JP2021519612A - 中和を回避する肝臓向性組換えaav6ベクター - Google Patents

中和を回避する肝臓向性組換えaav6ベクター Download PDF

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Abstract

本明細書中で実証されるように、肝臓を形質導入し、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた改変組換えAAV6ベクターを提供する。したがって、本発明の実施形態は、中和を回避する肝臓向性rAAV6ベクターに関する。本発明の1つの態様では、AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基での置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクターを提供する。

Description

(関連出願の相互参照)
本国際出願は、35米国特許法第119条(e)の下で2018年3月29日提出の米国特許仮出願第62/649,691号(その内容全体が本明細書中で参考として援用される)の利益を主張する。
配列表
本出願は、配列表を含んでおり、この配列表は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が本明細書中で参考として援用される。2019年3月25日に作成した前述のASCIIコピーの名称は046192−091920WOPT_SL.txtであり、サイズは8,294バイトである。
本発明の実施形態は、中和を回避する肝臓向性rAAV6ベクターに関する。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、遺伝子療法のためのベクターとして使用される非病原性依存性パルボウイルスである。複数の血清型およびバリアントが同定されており、いくつかが臨床試験で使用されている。臨床試験においてAAVベクターの治療効果が得られているが、AAVベクターの主な課題の1つは、ナイーブ被験体(以前にウイルスに暴露されていない被験体)を処置する必要があること、および免疫応答のためにベクターを再投与することができないことである。したがって、免疫応答を回避することができ、かつ特定の組織に遺伝子を効率的に送達および発現させることができる遺伝子療法ベクターを開発することが当該分野で必要とされている。
本発明の1つの態様では、AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基での置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクターを提供する。1つの実施形態では、改変AAV6ベクターはまた、アミノ酸531(AAV6 VP1ナンバリング)にリジン(K)を含む。1つの実施形態では、改変AAV6ベクターは、AAV6 VP1ナンバリングに対応するアミノ酸531にアルギニン(R)を含む。アミノ酸531にKまたはRが存在する一定の実施形態では、1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つが置換されている。上記の一定の実施形態では、1またはそれを超える置換は、保存的アミノ酸置換を含む。一定の実施形態では、1またはそれを超える置換は、非保存的置換を含む。
本明細書中に記載の1つの実施形態では、改変rAAV6ベクターは、AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域をさらに含み、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されている。配列番号1はAAV6 VP1を示す。したがって、AAV6 VP1に対応するS264、G266、N269、I−1272、Q457、S588、T589、およびK531またはR531は、それぞれ、配列番号1のS264、G266、N269、H272、Q457、S588、T489および、KまたはR531である。
別の態様では、(AAV6 VP1ナンバリングに対応する)262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクターを提供する。
別では、(AAV6 VP1ナンバリングに対応する)269〜272;445〜450;469〜471;493;501〜515;584〜587からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクターを提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のいずれかの態様では、改変rAAV6ベクターは、K531、またはR531を含む。
本明細書中に記載の各態様のいくつかの実施形態では、改変rAAV6ベクターは、N447、S472、V473、N500、T502、およびW503からなる群から選択される、シアル酸に結合する1またはそれを超えるアミノ酸の置換をさらに含む。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の各態様では、改変rAAV6ベクターは、456〜459;492〜499;および588〜597からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸領域でのアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の各態様では、改変rAAV6ベクターは、456〜499のSEER(配列番号2)、492〜499のTPGGNATR(配列番号3);588〜597のDLDPKATEVE(配列番号4)からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の各態様では、改変rAAV6ベクターは、非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6に対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の各態様では、改変rAAV6ベクターは、非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6に対するマウス抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の各態様では、改変rAAV6ベクターは、非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6に対するアカゲザル抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた。
別の態様では、肝臓向性を保持し、かつADK6抗体による中和を減少させたAAV6ビリオンを単離する方法を提供する。本方法は、飽和変異誘発AAV6ライブラリーであって、ここで、S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択されるアミノ酸の各々が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々で、全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせにおいて置換されている、飽和変異誘発AAV6ライブラリーを生成すること;および肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前述のrAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;およびADK6または野生型rAAV6抗血清による中和の減少をスクリーニングすることを含む。上記の1つの実施形態では、ライブラリーのrAAV6は、K531またはR531のいずれかを含む。1つの実施形態では、本方法は、(例えば、カラムクロマトグラフィによって)シアル酸結合の喪失をスクリーニングすることをさらに含む。1つの実施形態では、本方法は、(例えば、カラムクロマトグラフィによって)シアル酸結合の存在をスクリーニングすることをさらに含む。
別の態様では、肝臓向性を保持し、かつADK6抗体などのAAV6中和抗体による中和を減少させるAAV6ビリオンを同定する方法を提供する。本方法は、262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域の飽和変異誘発ライブラリーであって、ここで、前述の1またはそれを超える領域が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々で、全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせにおいて置換されている、飽和変異誘発ライブラリーを生成すること;および肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前述のrAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;および野生型rAAV6に対するADK6または抗血清による中和の減少をスクリーニングすることを含む。1つの実施形態では、ライブラリーのrAAV6は、K531またはR531のいずれかを含む。改変rAAV6ベクターは、ADK6抗体による中和を減少させ、有意に肝臓を形質導入する。一定の実施形態では、改変rAAV6ベクターは、非改変rAAV6ベクターの中和と比較した非改変rAAV6(例えば、野生型ウイルス)に対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた。一定の実施形態では、改変rAAV6ベクターは、非改変rAAV6ベクターの中和と比較した非改変rAAV6(例えば、野生型ウイルス)に対する他の種(マウス、アカゲザル、イヌなど)の抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた。
本明細書中に記載の改変rAAV6ベクターを投与することを含む、被験体に導入遺伝子を送達する方法も提供する。
図1は、AAV6−ADK6 FAb複合体のCryo−EMおよび画像再構成。図1Aは、AAV6−ADK6キャプシド−FAb複合体のクライオ電子顕微鏡写真の例。キャプシド表面からの突起は、FAb装飾を示す。図1Bは、AAV6−ADK6構造について分解能に対してプロットしたフーリエシェル相関(FSCプロット)。FSC0.5および0.143での推定分解能はそれぞれ16および13Åである。図1Cは、正二十面体の2回軸に沿って表示したクライオ電子顕微鏡により再構成されたAAAV6−ADK6 Fab複合体構造の表面密度図。キャプシド密度をFAbと共に示す。右:複合体の密度地図の拡大画像およびキャプシド(灰色)およびFAb(桃色)の合体させた擬似原子モデル。残基K531を青色で示し、ラベリングしている。図1Dは、AAV6キャプシド表面の画像(灰色)であって、それぞれ、推定FAb接触残基を鮮桃色で示し、閉鎖残基(テキスト中に定義の通り)を淡桃色で示し、閉鎖領域内のK531およびL584を青色(塩基性)および黄色(疎水性)で示している。1つの5回軸および2つの3回軸(その間に1つの2回軸を含む)を境界とするウイルス非対称単位を、大きな黒色の三角で示す。2、3、および5回軸を、それぞれ、楕円形、三角形、および五角形で示す。図1Eは、ウイルス非対称単位内の残基の二次元「ロードマップ」投影図。画像を、図1C〜1Eのパネルについて、それぞれChimeraプログラム(Pettersenら、2004)、PyMolプログラム(Schroedinger,2017)、およびRIVEMプログラム(Xiao and Rossmann,2007)によって作成した。 同上。 同上。 同上。
図2は、WTおよびバリアントのAAV1ベクターおよびAAV6ベクターの産生および精製。図2Aは、AAV1とAAV6との間で異なる表面アミノ酸+内部残基642の残基の位置およびタイプ。図2Bは、WTおよびバリアントのAAV1およびAAV6ベクターの陰性染色したEM。スケールバーを、最初のEM画像上に白色で示す。図2Cは、WTおよびバリアントのAAV1およびAAV6ベクターについてqPCRによって決定した精製ベクターゲノム力価の定量。
図3は、ADK6の結合および中和アッセイ。図3Aは、B1(VP1/2/3共通領域のC末端の線状エピトープを認識する)(上)およびADK6(ネイティブキャプシドを認識する)によって検出された変性させたWTおよびバリアントのAAV1およびAAV6ベクターのイムノブロット。ADK6は、AAV6と特異的に相互作用し、この相互作用は、変異AAV6−K531Eで喪失されており、AAV1−E531Kで修復されている。図3Bおよび図3Cは、ADK6の存在下でのAAV1およびAAV6のWTおよびバリアントのそれぞれの中和アッセイ。形質導入を、抗体濃度ゼロでのWTウイルスのルシフェラーゼシグナルに対して正規化する。 同上。
図4は、AAV6の機能的表面。図4Aおよび図4Bは、AAV6のそれぞれキャプシド表面および二次元「ロードマップ」投影。それぞれ塩基性残基、極性残基、および疎水性残基についてのSIAおよびHS受容体結合残基を示す。図1と同様にウイルス非対称単位を示す。パネル図4Aおよび図4Bの画像を、それぞれPyMolプログラム(Schroedinger,2017)およびRIVEMプログラム(Xiao and Rossmann,2007)で作成した。 同上。
本発明の実施形態を、本発明の代表的な実施形態を示す添付の図面を参照してここに説明する。しかし、本発明を異なる形態で具体化することができ、本発明が本明細書中に記載の実施形態に制限されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態を提供することで、本開示が完璧かつ完全となり、本発明の範囲が当業者に完全に伝達される。
別段の定義がない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。本発明の説明で使用される用語法は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明が制限されることを意図しない。本明細書中で言及した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。
本発明の説明および添付の実施形態で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含まれることを意図する。
また、本明細書中で使用される場合、「および/または」は、1またはそれを超える列挙された関連する項目のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、かつ包含し、ならびに、選択肢(「または」)で解釈されるときの組み合わせの欠如を指し、かつ包含する。
さらに、本発明の化合物または薬剤の量、用量、時間、および温度などの測定可能な値について言及する場合に本明細書中で使用される用語「約」は、指定した量の+/−20%、+/−10%、+/−5%、+/−1%、+/−0.5%、さらに+/−0.1%の変動を含むことを意味する。
本明細書中で使用される用語「向性」は、一定の細胞または組織へのウイルスの優先的侵入、必要に応じたその後の細胞内でのウイルスゲノムによって運搬された配列(複数可)の発現(例えば、組換えウイルスについては、目的の異種核酸(複数可)の発現)(例えば、転写および、必要に応じて、翻訳)を指す。
本明細書中で使用される場合、「全身向性」および「生体内分布」は、本発明のウイルスキャプシドまたはベクターが全身の組織(例えば、脳、肺、骨格筋、心臓、肝臓、腎臓、および/または膵臓)に向性を示し、形質導入することができることを示す。本発明の一定の実施形態では、中枢神経系(例えば、脳、神経細胞など)の全身形質導入が認められる。他の実施形態では、心筋組織の全身形質導入が達成される。本明細書中の一定の実施形態では、改変ベクターは、異なる全身向性または異なる生体内分布プロフィールを示し得、改変されていない親ウイルスと比較して特定の組織での形質導入が増強された選択的向性を示し得る。一定の実施形態では、生体内分布プロフィールは実質的に同一であるが、ベクターを受け入れた一定の組織で形質導入が増強される。
本明細書中で使用される場合、「選択的向性」または「特異的向性」は、一定の標的細胞および/または一定の組織へのウイルスベクターの送達および/または特異的形質導入を意味する。1つの実施形態では、改変ベクターは、親ウイルスと異なる選択的向性を示す。
別段の指示がない限り、「効率的向性」または類似の用語を、適切な対照を参照して決定することができる(例えば、それぞれ対照(非改変ウイルスベクター)の形質導入または向性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、500%、またはそれを超える)。
一定の実施形態では、改変ベクターが、適切な対照(非改変親ベクターなど)を参照して、標的組織に対して「効率的に形質導入しない」または「効率的向性を持たない」または類似の用語である。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、肝臓、腎臓、生殖腺、および/または生殖細胞に対して効率的に形質導入しない(すなわち、効率的向性を持たない)。特定の実施形態では、組織(複数可)(例えば、生殖細胞、肝臓など)への望ましくない形質導入は、所望の標的組織(複数可)(例えば、骨格筋、横隔膜筋、心筋、および/または中枢神経系の細胞など)の形質導入レベルの90%未満、または80%未満、または60%未満、または50%未満、20%またはそれ未満、10%またはそれ未満、5%またはそれ未満である。
本明細書中で使用される場合、組換えパルボウイルスによる細胞の「形質導入」は、パルボウイルス粒子への核酸の組み込みおよびその後のDNAを転写することができる細胞への移入による細胞への遺伝子材料の移入を指す。
別段の指示がない限り、「形質導入の増強」は、表示のベクターの改変前の親rAAVベクターと比較した統計的に有意な量の形質導入の増加を指す。
同様に、別段の指示がない限り、「形質導入の減少」は、表示のベクターの改変前の親rAAVベクターと比較した統計的に有意な量の形質導入の減少を指す。「形質導入の中和の減少」は、中和抗体(例えば、ADK6またはADK1など)によって示される形質導入阻害の減少を指す。減少は、中和抗体(すなわち、例えば抗血清の)存在下で非改変rAAV6を用いて認められる形質導入の阻害と比較して統計的に有意な量の減少である。したがって、形質導入阻害の減少は、中和抗体または特定の抗血清の存在下での親ベクター(非改変)と比較した中和抗体の存在下での形質導入の増強である。中和を、本明細書中に記載のin vitroアッセイによって評価することができる。
用語「処置する」、「処置すること」、または「〜の処置」(およびその文法上のバリエーション)は、被験体の状態の重症度が低下するか、少なくとも部分的に改善するか、安定化すること、および/または少なくとも1つの臨床症状がいくらか緩和するか、軽減するか、低下するか、安定化すること、および/または疾患もしくは障害の進行が遅延することを意味する。
用語「予防する」、「予防すること」、および「予防」(およびその文法上のバリエーション)は、処置を行わない場合と比較した被験体における疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の発症の予防および/もしくは遅延、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の発症の重症度の低下を指す。一定の実施形態では、予防は完全な予防(例えば、疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)が完全に存在しないこと)であり得る。予防はまた、被験体における疾患、障害、および/もしくは臨床症状(複数可)の発生ならびに/または発生の重症度が本発明の非存在下で生じる場合よりも実質的に低いような部分的な予防であり得る。
本明細書中で使用される「処置有効」量は、被験体にいくらかの改善または利益をもたらすのに十分な量である。他で言及される「処置有効」量は、被験体における少なくとも1つの臨床症状をいくらか緩和、軽減、低下、または安定化させる量である。当業者は、被験体にいくらか有益である限り、治療効果は完全であったり治癒的であったりする必要がないことを認識する。一定の実施形態では、処置は治癒的ではない。
本明細書中で使用される「予防有効」量は、本発明の方法の非存在下で生じる場合と比較して、被験体における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発症を予防および/もしくは遅延させ、ならびに/または被験体における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発症の重症度を低下および/もしくは遅延させるのに十分な量である。当業者は、被験体にいくらか予防上有益である限り、予防レベルは完全である必要がないと認識する。
「異種ヌクレオチド配列」または「異種核酸」は、ウイルス中に天然に存在しない配列である。1つの実施形態では、異種核酸は、治療ポリペプチドをコードする読み取り枠を含む。1つの実施形態では、異種核酸配列は、非コードDNAまたはRNAである。1つの実施形態では、異種核酸は、目的の非翻訳治療RNA(例えば、RNAi、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、短いヘアピンRNAまたは小さいヘアピンRNA(shRNA)、もしくはリボザイム、またはそのフラグメント(すなわち、例えば、CRISPER編集のためのsgRNAまたは他の遺伝子編集分子(例えば、ZFNおよびTALEN))をコードする。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の方法および組成物は、CRISPRi(CRISPR干渉)システムおよび/もしくはCRISPRa(CRISPR活性化)システムを含むことができ、ならびに/またはこれらを宿主細胞に送達させるために使用することができる。CRISPRiシステムおよびCRISPRaシステムは、二本鎖切断(DSB)できない不活化RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を含む。
CRISPRaは、さらなる転写活性化ドメインを動員するgRNAをさらに含むことができる。CRISPRiおよびCRISPRaのためのsgRNA設計は、当該分野で公知である(例えば、Horlbeckら.eLife.5,e19760(2016);Gilbertら、Cell.159,647−661(2014);およびZalatanら、Cell.160,339−350(2015)(それぞれその全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。所与の標的のためのCRISPRiおよびCRISPRa適合sgRNAを商業的に入手することもできる(例えば、Dharmacon;Lafayette,COを参照のこと)。CRISPRiおよびCRISPRaのさらなる説明は、例えば、Qiら、Cell.152,1173−1183(2013);Gilbertら、Cell.154,442−451(2013);Chengら、Cell Res.23,1163−1171(2013);Tanenbaumら.Cell.159,635−646(2014);Konermannら、Nature.517,583−588(2015);Chavezら、Nat.Methods.12,326−328(2015);Liuら、Science.355(2017);およびGoyalら、Nucleic Acids Res.(2016)(それぞれその全体が本明細書中で参考として援用される)で見出され得る。
本明細書中で使用される場合、用語「組換えAAV(rAAV)ベクター」または「遺伝子送達ベクター」は、核酸送達ビヒクルとして機能するウイルス粒子を指し、ベクターゲノム(例えば、AAVキャプシド内にパッケージングされたウイルスDNA(vDNA))を含む。あるいは、いくつかの文脈において、用語「ベクター」は、ベクターゲノム/vDNAのみを指すために使用され得る。
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、1またはそれを超える異種ヌクレオチド配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、一般に、ウイルスを生成するのにシスに作用する145塩基の末端反復(複数可)(TR(複数可))のみを必要とする。全ての他のウイルス配列は不必要であり、トランスに供給され得る(Muzyczka、(1992)Curr.Topics Microbiol.Immunol.158:97)。典型的には、rAAVベクターゲノムは、ベクターによって効率的にパッケージングされ得る導入遺伝子のサイズを最大にするために最小のTR配列(複数可)のみを保持する。構造タンパク質および非構造タンパク質をコードする配列は、(例えば、プラスミドなどのベクターから、またはパッケージング細胞内への配列の安定な組み込みによって)トランスに提供され得る。rAAVベクターゲノムは、少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列、合成TR配列、または他のパルボウイルスTR配列)、必要に応じて2つのTR(例えば、2つのAAV TR)を含み、TR配列は、典型的には、異種ヌクレオチド配列(複数可)の5’末端および3’末端に存在するであろうが、これらの末端に連続している必要はない。TRは、相互に同一であり得るか、異なり得る。
用語「末端反復」または「TR」には、ヘアピン構造を形成し、逆位末端配列(Samulskiらの米国特許第5,478,745号に記載の「二重D配列」など)として機能する任意のウイルス末端反復および合成配列が含まれる。自律パルボウイルスおよびAAVのキャプシド構造は、BERNARD N.FIELDSら、VIROLOGY、第2巻、第69章および70章(第4版、Lippincott−Raven Publishers)にさらにより詳細に記載されている。AAV2(Xieら、(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.99:10405−10)、AAV4(Padronら、(2005)J.Virol.79:5047−58)、AAV5(Waltersら、(2004)J.Virol.78:3361−71)、ならびにCPV(Xieら、(1996)J.Mol.Biol.6:497−520およびTsaoら、(1991)Science 251:1456−64)の結晶構造の記載も参照のこと。
「AAV末端反復」または「AAV TR」は、任意のAAV(血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11が含まれるが、これらに限定されない)または現在公知であるか、後に発見される任意の他のAAVに由来し得る。少なくとも1つの末端反復が所望の機能(例えば、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキューなど)を媒介する(機能的TR)限り、AAV末端反復は、野生型末端反復配列を有する必要はない(例えば、野生型配列を、挿入、欠失、短縮、またはミスセンス変異によって変化させることができる)。当業者は、機能的TRの複製で機能を果たすRepタンパク質を選択することを理解している。
本発明の方法で使用される改変rAAV6ベクターはまた、例えば、国際特許出願WO00/28004号;WO03/089612号;およびChaoら、(2000)Molecular Therapy 2:619(これらの開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載の「ハイブリッド」パルボウイルス(例えば、rAAVゲノムが本明細書中に記載のAAVキャプシドタンパク質と異なるパルボウイルスまたは血清型に由来する)であり得る。
本発明の方法で使用される改変ウイルスベクターは、さらに、国際特許出願WO01/92551号(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載の二本鎖パルボウイルス粒子であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、異種核酸を保有する二本鎖(二重鎖)ゲノムを、本発明のウイルスキャプシド中にパッケージングすることができる。
本明細書中で使用される用語「〜を含むこと」または「〜を含む」は、本発明に不可欠である組成物、方法、およびその各成分(複数可)に関して使用されるが、不可欠であるかどうかに無関係に不特定の要素を含む余地がある。
本明細書中で使用される用語「〜から本質的になる」は、所与の実施形態に必要な要素を指す。この用語は、本発明の実施形態の基本的かつ新規または機能的な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない要素の存在を許容する。
用語「〜からなる」は、実施形態の記載において引用されていないいかなる要素も排除した、本明細書中に記載の組成物、方法、およびその各成分を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、コード配列の発現に必要とされる制御配列が、コード配列に関してDNA分子内のコード配列の発現に適切な位置に配置されていることを意味する。この同一の定義は、時折、発現ベクター内のコード配列および転写調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、および終結エレメント)の配置に適用される。
例えば、262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595(VP1 AAV6のアミノ酸)からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域内にアミノ酸置換を含む改変rAAV6ベクターを本明細書中に提供する。これらの各領域内のアミノ酸置換(複数可)は、前述の領域内に存在する全ての位置の置換を任意の組み合わせで含むことができるか、全てより少ない位置の任意の組み合わせで含むことができ、例えば、それにより、それぞれ、アミノ酸配列X−X−X−X−X...などが得られ(領域内のアミノ酸数に依存する)、ここで、Xは、配列番号1(野生型AAV6のVP1)の位置に通常は存在するアミノ酸以外の20のアミノ酸の任意のアミノ酸である。
アミノ酸置換(例えば、S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589(AAV6 VP1ナンバリング)からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基の置換)を含むrAAV6ベクターも本明細書中に提供し、ここで、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた。改変rAAV6ベクターは、これらの位置の各々の置換を任意の組み合わせで含むことができるか、全てより少ない位置の任意の組み合わせで含むことができ、例えば、それにより、X−X−X−X−X−X−X…またはそれ未満のアミノ酸配列、例えば、X−X−X−X−X−X;X−X−X−X−X;X−X−X−X;X−X−X、X−X;またはXが得られ、ここで、Xは、配列番号1(野生型AAV6のVP1)の位置に通常は存在するアミノ酸以外の任意のアミノ酸である。
したがって、アミノ酸置換は、保存的または非保存的アミノ酸置換であり得る。一定の実施形態では、アミノ酸置換は、非天然アミノ酸のアミノ酸置換であり得る。
本発明の実施形態のウイルスキャプシドおよびrAAV6ウイルスベクターを、当該分野で公知の任意の方法を使用して、例えば、バキュロウイルス(Brownら、(1994)Virology 198:477−488)または哺乳動物細胞からの発現によって産生することができる。
本発明の実施形態のrAAV6キャプシドタンパク質の改変は、「選択的」改変である。このアプローチは、AAV血清型の間でサブユニットの全体または大ドメインを交換する以前の研究とは対照的である(例えば、国際特許出願WO00/28004号およびHauckら、(2003)J.Virology 77:2768−2774を参照のこと)。特定の実施形態では、「選択的」改変により、特定の領域(例えば、262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595(VP1 AAV6のアミノ酸)内の約10、9、8、7、6、5、4、3、2、または3個未満の連続するアミノ酸の置換がもたらされる。一定の実施形態では、特定の領域内の少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、または全てのアミノ酸が置換される。1つの実施形態では、アミノ酸領域は、269〜272;445〜450;469〜471;493;501〜515;584〜587(VP1 AAV6ナンバリング)からなる群から選択される。選択された改変には、1またはそれを超える特定のアミノ酸領域、ならびにS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589(AAV6 VP1ナンバリング)での1またはそれを超える単一のアミノ酸置換が含まれ得る。本明細書中に記載のように、本発明の実施形態の選択された改変により、ADK6抗体による中和を減少させ、肝臓の有意な形質導入を保持する;これは肝臓向性である。
本発明の1つの態様では、AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基での置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクターを提供する。1つの実施形態では、改変AAV6ベクターはまた、アミノ酸531(AAV6 VP1ナンバリング)にリジン(K)を含む。1つの実施形態では、改変AAV6ベクターは、AAV6 VP1ナンバリングに対応するアミノ酸531にアルギニン(R)を含む。アミノ酸531にKまたはRが存在する一定の実施形態では、1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つが置換されている。上記の一定の実施形態では、1またはそれを超える置換は、保存的アミノ酸置換を含む。一定の実施形態では、1またはそれを超える置換は、非保存的置換を含む。
本明細書中に記載の1つの実施形態では、改変rAAV6ベクターは、AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域をさらに含み、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されている。配列番号1はAAV6 VP1を示す。したがって、AAV6 VP1に対応するS264、G266、N269、I−1272、Q457、S588、T589、およびK531またはR531は、それぞれ、配列番号1のS264、G266、N269、H272、Q457、S588、T489および、KまたはR531である。
別の態様では、(AAV6 VP1ナンバリングに対応する)262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクターを提供する。
別では、(AAV6 VP1ナンバリングに対応する)269〜272;445〜450;469〜471;493;501〜515;584〜587からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクターを提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載のいずれかの態様では、改変rAAV6ベクターは、K531、またはR531を含む。
本明細書中に記載の各態様のいくつかの実施形態では、改変rAAV6ベクターは、N447、S472、V473、N500、T502、およびW503からなる群から選択される、シアル酸に結合する1またはそれを超えるアミノ酸の置換をさらに含む。
本発明の改変キャプシドタンパク質およびキャプシドは、現在知られているか、その後に同定される任意の他の改変(例えば、ターゲティングペプチド)をさらに含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターは、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターが由来するAAV6の形質導入効率と比較して形質導入効率が等価であり得るか増強され得る。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターは、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターが由来するAAV6の形質導入効率と比較して形質導入効率が低下し得る。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターは、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターが由来するAAV血清型の向性と比較して向性が等価であり得るか増強され得る。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターは、本発明のキャプシドタンパク質、ウイルスキャプシド、またはベクターが由来するAAV6の向性と比較して向性が変化し得るか、異なり得る。
本発明の方法で使用される改変rAAVベクターは、異種核酸が被験体に送達されたときに疾患に関して治療効果を有する異種核酸(例えば、導入遺伝子、または遺伝子編集核酸)をさらに含むことができる。治療核酸を、プロモーター(構成性、細胞特異性、または誘導性)に作動可能に連結することができる。この様式では、治療核酸を被験体においてin vivoで産生することができる。被験体が核酸産物を欠くので、または被験体内での治療核酸の産生がいくらかの治療効果を付与するので、治療核酸を必要とする被験体を選択することができる。
当業者は、本明細書中に記載の方法および当業者に周知の方法を使用して、目的の任意の治療異種核酸を保有するrAAVベクターを容易に構築することができる(例えば、Sambrookら.(Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York 1989)を参照のこと)。種々の遺伝子のヌクレオチドおよびタンパク質、ポリペプチドおよびペプチド配列は以前に開示されており、当業者に公知のコンピュータ化されたデータベースに見出すことができる。かかるデータベースの1つは、国立生物工学情報センターのGenbankおよびGenPeptデータベースである。これらの公知の遺伝子のコート領域を、増幅させ、本明細書中に開示のrAAV核酸テンプレートにクローン化することができる。1つの実施形態では、異種核酸は、治療ポリペプチドをコードする。本発明の実施形態はまた、改変ベクターの投与によって疾患を処置または予防する方法に関する。
改変パルボウイルスベクターはまた、宿主染色体上の遺伝子座との相同性を共有し、かつこの遺伝子座を組換える異種ヌクレオチド配列を含み得る。このアプローチを、例えば、宿主細胞における遺伝的欠陥を修正するために利用することができる。当業者は、目的の異種ヌクレオチド配列(複数可)が適切な調節配列と作動可能に関連し得ることを理解するであろう。例えば、異種核酸は、発現調節エレメント(転写/翻訳調節シグナル、複製起点、ポリアデニル化シグナル、内部リボゾーム進入部位(IRES)、プロモーター、およびエンハンサーなど)と作動可能に関連し得る。誘導性発現調節エレメントは、異種核酸配列(複数可)の過剰発現を制御することが望まれる適用において好ましい。遺伝子送達のための誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、組織特異的プロモーター/エンハンサーエレメントであり得、平滑筋に特異的なもの(例えば、血管平滑筋細胞特異的)および内皮細胞に特異的なもの(例えば、血管内皮細胞特異的)が含まれる。他の誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントには、ホルモン誘導性エレメントおよび金属誘導性エレメントが含まれる。例示的な誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントには、Tetオン/オフエレメント、RU486−誘導性プロモーター、エクジソン−誘導性プロモーター、ラパマイシン−誘導性プロモーター、およびメタロチオネインプロモーター、FK506、またはFK1012が含まれるが、これらに限定されない。
ベクターの産生
組換えベクターの産生方法は、当業者に周知である。別段の指示がある場合を除き、当業者に公知の標準的な方法を、rAAV構築物、改変キャプシドタンパク質DNA配列(cap)、AAVのrepおよび/またはcap配列を発現するパッケージングベクター、一過性および安定にトランスフェクトされたパッケージング細胞の構築のために使用することができる。例えば、SAMBROOKら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 2nd Ed.(Cold Spring Harbor,N.Y.,1989);F.M.AUSUBELら.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Green Publishing Associates,Inc.and John Wiley&Sons,Inc.,New York)を参照のこと。さらなる代替法として、本発明の改変rAAV−2ウイルスベクターを、例えば、Urabeら、(2002)Human Gene Therapy 13:1935−43に記載のようにrep/cap遺伝子およびrAAVテンプレートを送達させるためにバキュロウイルスベクターを使用して、昆虫細胞中に産生することができる。
例えば、rAAVについて、rAAVベクターを、i)異種核酸配列および少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列)を含む核酸テンプレートおよびii)核酸テンプレートの複製およびAAVキャプシドへのキャプシド形成に十分なAAV配列(例えば、本明細書中に記載の改変AAVキャプシドをコードするAAVrep配列およびAAVcap配列)を細胞に提供することによって産生することができる。核酸テンプレートは、少なくとも1つの機能的AAV ITR配列を含むことができ、異種核酸配列(複数可)の5’および3’側に存在するが、それらはそれに直接隣接している必要はない2つのITRに複製することができる。
核酸テンプレートならびにAAVのrep配列およびcap配列を、改変レトロウイルス(例えば、AAVまたは他のパルボウイルス)キャプシド内にパッケージングされた核酸テンプレートを含む組換えウイルスベクターが細胞内で産生されるような条件下で(例えば、ヘルパー機能の存在下で、例えば、AdまたはHSV)提供する。ウイルスベクターを、培地から回収し、および/または細胞の溶解によって回収することができる。
当該分野で公知の任意の適切な細胞(例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞など)を産生のために使用することができる。
本発明の組換え核酸および/またはウイルスベクターに異なる特徴を付与するために、TRを改変すること(例えば、短縮すること、置換、欠失、付加によって変異させることなど)ができる。例えば、類似のベクターの増殖(propagation)、パッケージング、および形質導入の機能を提供する非AAV末端反復配列(他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB−19)の非AAV末端反復配列)を、本発明のベクターで使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、TRを、非AAV末端反復配列部分で改変することができる。本発明の他の実施形態では、TRを、SV40複製起点としての機能を果たすSV40ヘアピン配列などの非パルボウイルス末端反復で置換することができる。これらは、改変TRの限定された例のみを表し、他のかかる改変が当業者に公知である。
治療核酸
本明細書中に記載の改変ベクターを、目的の治療異種核酸(例えば、治療用の導入遺伝子または非コード核酸(DNAまたはRNA))をコードするベクターの組織への投与による処置または予防に感受性を示す任意の疾患の処置のために使用することができる。遺伝子療法に適切な導入遺伝子は、当業者に周知である。例えば、本明細書中に記載の変化したベクターは、導入遺伝子を送達および使用することができる(米国特許第6,547,099;6,506,559号;および同第4,766,072号;米国特許出願公開第20020006664号;同第20030153519号;同第20030139363号;ならびにPCT公開出願WO01/68836号およびWO03/010180号に記載の導入遺伝子、ならびに、例えば、WO2017/152149号のmiRNAおよび他の導入遺伝子(これらの各々全体が本明細書中で参考として援用される)が含まれるが、これらに限定されない)。
1つの実施形態では、治療導入遺伝子は、成長因子、インターロイキン、インターフェロン、抗アポトーシス因子、サイトカイン、抗糖尿病因子、抗アポトーシス因子、凝固因子,および抗腫瘍因子(例えば、BDNF、CNTF、CSF、EGF、FGF、G−SCF、GM−CSF、ゴナドトロピン、IFN、IFG−1、M−CSF、NGF、PDGF、PEDF、TGF、VEGF、TGF−B2、TNF、プロラクチン、ソマトトロピン、XIAP1、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−10(187A)、ウイルスのIL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16 IL−17、およびIL−18)からなる群から選択される。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、遺伝子の発現の欠如または機能障害に関連する。例えば、治療導入遺伝子および関連する病態の例を以下に列挙する;グルコース−6−ホスファターゼ(グリコーゲン貯蔵欠損症1A型に関連);ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(Pepck欠損症に関連);ガラクトース−1リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(ガラクトース血症に関連);フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(フェニルケトン尿症に関連);分枝鎖α−ケト酸デヒドロゲナーゼ(カエデシロップ尿症に関連);フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(チロシン血症1型に関連);メチルマロニル−CoAムターゼ(メチルマロン酸血症に関連);中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(中鎖アセチルCoA欠損症に関連);オルニチントランスカルバミラーゼ(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症に関連);アルギニノコハク酸シンテターゼ(シトルリン血症に関連);低密度リポタンパク質受容体タンパク質(家族性高コレステロール血症に関連);UDP−グルクロノシルトランスフェラーゼ(glucouronosyltransferase)(クリグラー・ナジャー病に関連);アデノシンデアミナーゼ(重症複合型免疫不全症に関連);ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(痛風およびレッシュ・ナイハン症候群(Lesch−Nyan syndrome)に関連);ビオチニダーゼ(ビオチニダーゼ欠損症に関連);β−グルコセレブロシダーゼ(ゴーシェ病に関連);β−グルクロニダーゼ(スライ症候群に関連);ペルオキシソーム膜タンパク質70kDa(ツェルウェーガー症候群に関連);ポルホビリノーゲンデアミナーゼ(急性間欠性ポルフィリン症に関連);α−1抗トリプシン(α−1アンチトリプシン欠損症(気腫)の処置用);エリスロポエチン(サラセミアまたは腎不全に起因する貧血の処置用);血管内皮成長因子、アンギオポエチン−1、および線維芽細胞成長因子(虚血性疾患の処置用);トロンボモジュリンおよび組織因子経路阻害剤(例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、または塞栓症で認められる閉塞血管の処置用);芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)およびチロシンヒドロキシラーゼ(TH)(パーキンソン病の処置用);βアドレナリン作動性受容体、ホスホランバンのアンチセンスまたは変異体形態、筋小胞体(小胞体)アデノシントリホスファターゼ−2(SERCA2)、および心臓アデニリルシクラーゼ(鬱血性心不全の処置用);p53などの腫瘍抑制遺伝子(種々のがんの処置用);種々のインターロイキンのうちの1つなどのサイトカイン(炎症性障害および免疫障害およびがんの処置用);ジストロフィンまたはミニジストロフィンおよびユートロフィンまたはミニユートロフィン(筋ジストロフィの処置用);およびインスリン(糖尿病の処置用)。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、CNSに関連する疾患または障害に関連する遺伝子(例えば、DRD2、GRIAl、GRIA2、GRIN1、SLClAl、SYP、SYTl、CHRNA7、3Rtau/4rTUS、APP、BAX、BCL−2、GRIK1、GFAP、IL−1、AGER(アルツハイマー病に関連);UCH−L1、SKP1、EGLN1、Nurr−1、BDNF、TrkB、gstml、S106p(パーキンソン病に関連);IT15、PRNP、JPH3、TBP、ATXN1、ATXN2、ATXN3、アトロフィン1、FTL、TITF−1(ハンチントン病に関連);FXN(フリードライヒ運動失調症(Freidrich’s ataxia)に関連);ASPA(カナヴァン病に関連);DMD(筋ジストロフィに関連);およびSMN1、UBE1、DYNC1H1(脊髄性筋萎縮症に関連))である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、心血管系に関連する疾患または障害に関連する遺伝子(例えば、VEGF、FGF、SDF−1、コネキシン40、コネキシン43、SCN4a、HIFla、SERCa2a、ADCY1、およびADCY6)である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、肺系に関連する疾患または障害に関連する遺伝子(CFTR、A AT、TNFa、TGFpl、SFTPA1、SFTPA2、SFTPB、SFTPC、HPS1、HPS3、HPS4、ADTB3A、ILIA、IL1B、LTA、IL6、CXCR1、およびCXCR2)である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、肝臓に関連する疾患または障害に関連する遺伝子(例えば、al−AT、HFE、ATP7B、フマリルアセト酢酸ヒドラーゼ(FAH)、グルコース−6−ホスファターゼ、NCAN、GCKR、LYPLAL1、PNPLA3、レシチンコレステロールアセチルトランスフェラーゼ、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、およびG6PC)である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、腎臓に関連する疾患または障害に関連する遺伝子(例えば、PKD1、PKD2、PKHD1、NPHS1、NPHS2、PLCE1、CD2AP、LAMB2、TRPC6、WT1、LMX1B、SMARCAL1、COQ2、PDSS2、SCARB3、FN1、COL4A5、COL4A6、COL4A3、COL4A4、FOX1C、RET、UPK3A、BMP4、SIX2、CDC5L、USF2、ROB02、SLIT2、EYA1、MYOG、SIX1、SIX5、FRAS1、FREM2、GATA3、KALI、PAX2、TCF2、およびSALL1)である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、眼に関連する疾患または障害または眼疾患に関連する遺伝子(例えば、VEGF、CEP290、CFH、C3、MT−ND2、ARMS2、TIMP3、CAMK4、FMN1、RHO、USH2A、RPGR、RP2、TMCO、SIX1、SIX6、LRP12、ZFPM2、TBK1、GALC、ミオシリン、CYP1B1、CAV1、CAV2、オプチニューリン、およびCDKN2B)である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、血液、例えば、赤血球、例えば、第VIII因子(FVIII)、第IX因子(FIX)、フォンウィルブランド因子(VWF)に関連する疾患または障害に関連する遺伝子である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、アポトーシスに関連する遺伝子である。
1つの実施形態では、治療異種核酸は、腫瘍抑制因子である。
したがって、異種治療ヌクレオチド配列を保有する本明細書中に記載の改変ベクターを投与することを含む、疾患を処置する方法を本明細書中に提供する。処置すべき疾患の非限定的な例には、例えば、軟骨無形性症、色盲、酸性マルターゼ欠損症、アデノシンデアミナーゼ欠損症(OMIM番号102700)、副腎白質ジストロフィ、エカルディ症候群、α−1アンチトリプシン欠損症、αサラセミア、アンドロゲン不応症候群、アペール症候群、不整脈原性右心室異形成、毛細血管拡張性運動失調(ataxia telangictasia)、バルト症候群、βサラセミア、青色ゴムまり様母斑症候群、カナヴァン病、慢性肉芽腫症(CGD)、ネコ鳴き症候群、嚢胞性線維症、ダーカム病、外胚葉性形成異常、ファンコニー貧血、進行性骨化性線維形成異常(fibrodysplasia ossificans progressive)、脆弱X症候群、ガラクトース血症(galactosemis)、ゴーシェ病、全身性ガングリオシドーシス(例えば、GM1)、ヘモクロマトーシス、β−グロビンの6番目のコドンのヘモグロビンC変異(HbC)、血友病、ハンチントン病、ハーラー症候群、低ホスファターゼ血症、クラインフェルター症候群(Klinefleter syndrome)、クラッベ病、ランガー・ギーディオン症候群、白血球接着不全(LAD、OMIM番号116920)、白質ジストロフィ、QT延長症候群、マルファン症候群、メビウス症候群、ムコ多糖体沈着症(MPS)、爪・膝蓋骨症候群、腎性尿崩症(nephrogenic diabetes insipdius)、神経線維腫症、ニーマン・ピック病(Neimann−Pick disease)、骨形成不全症、ポルフィリン症、プラダー・ウィリ症候群、早老症、プロテウス症候群、網膜芽細胞腫、レット症候群、ルビンスタイン・テイビ症候群、サンフィリッポ症候群、重症複合型免疫不全(SCID)、シュバッハマン症候群、鎌状赤血球症(鎌状赤血球貧血)、スミス・マゲニス症候群、スティックラー症候群、テイ・サックス病、血小板減少橈骨欠損(TAR)症候群、トリーチャー・コリンズ症候群、トリソミー、結節性硬化症、ターナー症候群、尿素サイクル異常症、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワールデンブルグ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、ヴィスコット・オールドリッチ症候群、X連鎖リンパ増殖性症候群(XLP、OMIM番号308240)が含まれる。標的化組み込みによって処置することができるさらなる例示的な疾患には、後天性免疫不全、リソソーム蓄積症(例えば、ゴーシェ病、GM1、ファブリー病、およびテイ・サックス病)、ムコ多糖体沈着症(mucopolysaccahidosis)(例えば、ハンター病、ハーラー病)、異常血色素症(例えば、鎌状赤血球症、HbC、α−サラセミア、β−サラセミア)、および血友病が含まれる。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体に溶解または分散された有効量の1またはそれを超える改変rAAVウイルスベクター(複数可)またはさらなる薬剤(複数可)を含む。句「薬学的にまたは薬理学的に許容され得る」は、例えば、適宜、ヒトなどの動物に投与したときに有害性、アレルギー性を示さず、他の望ましくない反応、生物学的影響を生じない分子実体および組成物を指す。
少なくとも1つの改変rAAVベクターまたはさらなる有効成分を含む医薬組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Printing Company,1990(本明細書中で参考として援用される)に例示されるように、本開示を考慮して当業者に公知である。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与については、調製物が、米国FDAのOffice of Biological Standardsまたは他国の等価な政府規制によって要求されるような無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度の基準を満たすべきであることが理解される。
本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容され得る担体」には、当業者に公知のように、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩類、防腐剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、ならびにこれらの類似の材料および組み合わせが含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Printing Company,1990,pp.1289−1329(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。いずれの従来の担体も有効成分と不適合である範囲を除いて、治療組成物または医薬組成物におけるその使用が意図される。
改変rAAVベクターおよび/またはさらなる薬剤(複数可)を含む医薬組成物は、固体、液体、またはエアロゾル形態のいずれで投与されるのか、そして注射などの投与経路のために無菌である必要があるかどうかに応じて異なるタイプの担体を活用することができる。医薬組成物を、静脈内、皮内、動脈内、移植片内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼内、経口、局所、局部、吸入(例えば、エアゾール吸入)、注射、注入、連続注入、標的細胞を直接浸す局所灌流(例えば、自家組織移植片において)、カテーテルを介して、洗浄(lavage)を介して、クリームで、脂質組成物で(例えば、リポソーム)、または当業者に公知であるような任意の他の方法もしくは前述の任意の組み合わせによって投与することができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Printing Company,1990を参照のこと)。
改変ベクターおよび/または薬剤を、遊離塩基、中性、または塩の形態で医薬組成物に製剤化することができる。薬学的に許容され得る塩には、酸付加塩(例えば、タンパク質組成物の遊離アミノ基で形成されるもの、または、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、もしくはマンデル酸などの有機酸で形成されるもの)が含まれる。遊離カルボキシル基で形成される塩はまた、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは水酸化第二鉄などの無機塩基;またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、もしくはプロカインなどの有機塩基に由来し得る。
投与実行者は、日常的な手順を使用して、個別の被験体のための医薬組成物中の有効成分(複数可)の濃度および適切な用量(複数可)を決定する。一定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物(例えば、改変rAAVベクター、治療剤)を含み得る。他の実施形態では、活性化合物は、単位の重量の約2%〜約75%または約25%〜約60%(例えば、これらの間の任意の範囲)を含み得る。
本発明の方法の1つの態様では、異種核酸は、例えば、組織の移植または植え込みによって被験体に改変細胞を投与するために、in vitroで脈管構造または脈管組織の細胞に送達される。ウイルス粒子を、標準的な形質導入法にしたがって適切な感染多重度で細胞に適切に導入することができる。投与するためのウイルスの力価は、標的細胞のタイプおよび数、ならびに特定のウイルスベクターに応じて変動し得、当業者が過度の実験を行うことなく決定することができる。1つの実施形態では、10感染単位、または少なくとも約10感染単位、または少なくとも約10感染単位が細胞に導入される。
本明細書中で使用される「治療有効」量は、被験体にいくらかの改善または利益をもたらすのに十分な量である。他で言及される「治療有効」量は、被験体における少なくとも1つの臨床症状をいくらか緩和、軽減、または低下させる量である。当業者は、被験体にいくらか有益である限り、治療効果は完全であったり治癒的であったりする必要がないことを認識する。一定の実施形態では、治療有効量は治癒的ではない。
当該分野で公知の任意の手段によって本発明のウイルスベクターの投与を必要とするヒト被験体または動物へ投与することができる。好ましくは、ウイルスベクターは、薬学的に許容され得る担体中で治療有効用量で送達される。1つの実施形態では、ベクターは、改変ベクターをコーティングしたステントまたは改変ベクターを含むステントによって投与される。脈管構造へのベクターの送達のためのデリバリーシースは、米国特許出願公開第20040193137号(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
被験体へのウイルスベクターの投与量は、投与様式、処置すべき疾患または状態、各被験体の状態、送達すべき特定の治療核酸に依存し、日常的様式で決定することができる。治療効果を得るための例示的な用量は、少なくとも約10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、またはそれを超える形質転換単位、およびその中で導き出せる任意の整数、およびその中で導き出せる任意の範囲のウイルス力価を送達させる用量である。1つの実施形態では、投与用量は約10〜1013形質転換単位である。1つの実施形態では、投与用量は約10〜10形質転換単位である。
ベクターゲノム/キログラム体重(vg/kg)の用量の単位での特定の治療効果を得るために必要な改変ビリオンの用量は、いくつかの要因に基づいて変動し、要因には以下が含まれるが、これらに限定されない:改変ビリオンの投与経路、治療効果を得るために必要な核酸(非翻訳RNAまたはタンパク質をコードする)の発現レベル、処置される特定の疾患または障害、ビリオンに対する宿主免疫応答、発現産物に対する宿主免疫応答、および異種核酸産物の安定性。当業者は、前述の要因および当該分野で周知の他の要因に基づいて特定の疾患または障害を有する患者を処置するための組換えビリオンの用量範囲を容易に決定することができる。
特定の実施形態では、毎週、毎月、または毎年などに1回を超える投与(例えば、2回、3回、4回、またはそれを超える投与)を使用することができる。
注射剤を、従来の形態で(液体の液剤または懸濁剤、注射前に液体で液剤または懸濁剤になるのに適切な固体の形態、または乳剤のいずれかとして)調製することができる。ベクターを、局所または全身に送達させることができる。1つの実施形態では、ベクターをデポーまたは徐放製剤で投与する。さらに、ウイルスベクターを、外科的に植え込み可能なマトリックスに接着させて送達させることができる(例えば、米国特許出願公開第2004−0013645−A1号に記載)。
本明細書中に開示の改変パルボウイルスベクター(例えば、AAVベクターまたは他のパルボウイルス)を、被験体が吸入するウイルスベクターから構成される吸入可能な粒子のエアロゾル懸濁液の投与によって投与することができる。吸入可能な粒子は、液体または固体であり得る。ウイルスベクターを含む固体粒子のエアロゾルを、当業者に公知の圧力駆動型エアロゾルネブライザーまたは超音波式ネブライザーなどを用いた任意の適切な手段によって生成することができる。例えば、米国特許第4,501,729号を参照のこと。ウイルスベクターを含む固体粒子のエアロゾルを、薬学分野で公知の技術によって任意の固体粒子医薬のエアロゾル生成器を用いて同様に生成することができる。
1つの実施形態では、米国特許第6,177,403号に記載され、本明細書中で参考として援用される温熱四肢灌流を使用して、分離した四肢の脈管構造中に改変rAAVベクターを送達させることもできる。
1つの実施形態では、脈管構造の組織に微多孔膜から形成された膨張性バルーンと流体連通したカテーテルを挿入し、前述のカテーテルを介して目的の遺伝子を含むベクターを含む溶液を送達させることによって、本発明の改変ベクターを脈管構造の組織に投与する(例えば、米国特許出願公開第2003/0100889号(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
一定の実施形態では、本発明の改変組換えベクターの有効性を増加させるために、本発明の方法を、血管疾患または血管障害の処置に有効な別の薬剤の投与または他の手順と組み合わせることが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、従来の治療または薬剤(薬理学的治療剤、外科的手技、またはその組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)をベクター投与と組み合わせることができることが意図される。非限定的な例では、治療上の利点は、血管組織における高血圧の低下、または医学的手技もしくは外科的手技中などに生じる血管または心血管への介入後の再狭窄の減少を含む。
このプロセスは、薬剤(複数可)およびベクターを、同時(例えば、実質的に同時)または細胞、組織、もしくは被験体へのベクターおよび薬剤の個別投与が所望の治療上の利点を生じる時間内に投与することを含み得る。改変ベクターおよび1またはそれを超える薬剤の両方を含む単一の薬理学的製剤を投与することができるか、一方の製剤がベクターを含み、他方の製剤が1またはそれを超える薬剤を含む2またはそれを超える個別の製剤を被験体に投与することができる。一定の実施形態では、薬剤は、免疫応答を低下させる薬剤(例えば、TLR−9阻害剤、cGAS阻害剤、またはラパマイシン)である。
改変ベクターを、他の薬剤(複数可)の投与前に、それと共投与して、および/またはそれを投与してから数分間から数週間までの間隔をあけた後に投与することができる。ベクターおよび他の薬剤(複数可)を細胞、組織、または被験体に個別に適用する実施形態では、一般に、ベクターおよび薬剤(複数可)が依然として細胞、組織、または被験体に対して有利な組み合わせ効果を発揮することができるように、各送達の時間の間に有効期間が切れないようにするはずである。
薬理学的治療剤の投与、投与方法、および投与量などは、当業者に周知であり(例えば、「Physicians Desk Reference」、「Goodman&Gilman’s「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、および「The Merck Index、Eleventh Edition」(関連部分が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)、本開示を考慮して本発明を組み合わせることができる。処置される被験体の状態に依存して、投与量のいくらかの変動が必然的に生じる。投与担当者は、任意の事象において、個別の被験体に適切な用量を判定し、かかる個別の判定は、当業者の技術の範囲内にある。
いくつかの実施形態では、本出願は、以下のパラグラフのうちのいずれかで定義され得る:
1.AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基でのアミノ酸置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクター。
2.AAV6 VP1のアミノ酸531に対応するアミノ酸部位にリジン(K)またはアルギニン(R)をさらに含む、パラグラフ1に記載の改変AAV6ベクター。
3.アミノ酸531にKを含む、パラグラフ2に記載の改変AAV6ベクター。
4.アミノ酸531にRを含む、パラグラフ2に記載の改変AAV6ベクター。
5.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも2つが置換されている、パラグラフ1〜3のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
6.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも3つが置換されている、パラグラフ1〜4のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
7.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも4つが置換されている、パラグラフ1〜5のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
8.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも5つが置換されている、パラグラフ1〜6のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
9.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも6つが置換されている、パラグラフ1〜7のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
10.1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも7つが置換されている、パラグラフ1〜8のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
11.1またはそれを超える置換が保存的置換を含む、パラグラフ1〜9のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
12.1またはそれを超える置換が非保存的置換を含む、パラグラフ1〜9のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
13.AAV6 VP1ナンバリングに対応するN447、S472、V473、N500、T502、およびW503からなる群から選択される、シアル酸に結合する少なくとも1つのアミノ酸の置換をさらに含む、パラグラフ1〜11のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
14.AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域をさらに含み、ここで、前述の1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されている、パラグラフ1〜12のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
15.AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基での置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクター。
16.AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、前述の1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、前述のrAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前述の1またはそれを超える置換を欠くrAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクター。
17.AAV6 VP1ナンバリングに対応するK531を含む、パラグラフ15に記載の改変rAAV6ベクター。
18.AAV6 VP1ナンバリングに対応するR531を含む、パラグラフ15に記載の改変rAAV6ベクター。
19.456〜459;492〜499;および588〜597からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸領域でのアミノ酸置換をさらに含む、パラグラフ1〜17のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
20.456〜499のSEER(配列番号2)、492〜499のTPGGNATR(配列番号3);588〜597のDLDPKATEVE(配列番号4)からなる群から選択される1またはそれを超える前述のアミノ酸配列を含む、パラグラフ1〜18のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
21.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
22.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するマウス抗血清によって測定される肝臓形質導入の中和を減少させた、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
23.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するアカゲザル抗血清によって測定される肝臓形質導入の中和を減少させた、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
24.肝臓向性を保持し、かつADK6抗体による中和を減少させるAAV6ビリオンを同定する方法であって、
a.飽和変異誘発AAV6ライブラリーであって、ここで、S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択されるアミノ酸の各々が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々で、全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせにおいて置換されており、前述のAAV6がK531またはR531のいずれかを含む、飽和変異誘発AAV6ライブラリーを生成すること;および
b.肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前述のrAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;および
c.前述の対応する非改変AAV6ビリオンと比較してADK6または抗血清による少なくとも10%の中和の減少(reduced neutralization by of at least 10% ADK6 or anti-sera)をスクリーニングすること
を含む、方法。
25.シアル酸結合の喪失をスクリーニングすることをさらに含む、パラグラフ23に記載の方法。
26.シアル酸結合の存在をスクリーニングすることをさらに含む、パラグラフ23に記載の方法。
27.肝臓向性を保持し、かつADK6抗体による中和を減少させるAAV6ビリオンを同定する方法であって、
a.262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域の飽和変異誘発ライブラリーであって、ここで、前述の1またはそれを超える領域が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々と全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせで置換されており、前述のAAV6がK531またはR531のいずれかを含む、飽和変異誘発ライブラリーを生成すること;および
b.肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前述のrAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;および
c.前述の対応する非改変AAV6ビリオンと比較してADK6または抗血清による少なくとも10%の中和の減少をスクリーニングすること
を含む、方法。
28.シアル酸結合の喪失をスクリーニングすることをさらに含む、パラグラフ27に記載の方法。
29.シアル酸結合の存在をスクリーニングすることをさらに含む、パラグラフ27に記載の方法。
30.ADK6抗体による中和を減少させ、肝臓を形質導入する、請求項24〜27のいずれかに記載の方法によって得られた改変rAAV6ベクター。
31.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、パラグラフ28に記載の改変rAAV6ベクター。
32.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するマウス抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、パラグラフ28に記載の改変rAAV6ベクター。
33.非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するアカゲザル抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、パラグラフ28に記載の改変rAAV6ベクター。
本明細書を通して、例えば、本明細書の表および実施例内の本明細書中に引用された全ての文献は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
以下に示した実施例を、当業者へのさらなる手引として提供し、これらの実施例は、決して本発明を制限すると解釈されない。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、遺伝的障害の処置のためのベクターとして開発されている。しかし、既存の抗体は、AAV遺伝子送達系の有効性を最適にすることを著しく制限させる。免疫応答を回避する能力を有するようにベクターを操作する試みには、これらの相互作用およびその変化に重要なウイルスキャプシド上の残基の同定が含まれる。ここでは、AAV1とは密接に関連しないAAV6によるモノクローナル抗体ADK6認識の決定因子としてK531を同定している。AAV6 ADK6複合体の構造をクライオ電子顕微鏡法によって決定し、フットプリントを細胞ベースのアッセイによって確認した。ADK6フットプリントは、以前に同定されたAAV抗原性領域と重複し、不可欠な細胞表面グリカン結合部位を遮断することによって中和する。したがって、この研究により、キャプシド機能を維持することができる宿主免疫回避AAVベクターのデザインをガイドすることができるAAV−抗体情報の利用可能な範囲が広がる。
実施例1 AAV6−ADK6複合体のクライオ電子顕微鏡法による再構成。分解能16Å(FSC0.5)で決定されたAAV6:ADK6 FAb複合体のクライオEM再構成は、AAV6キャプシド表面の2回軸を横切る3回軸突起(3-fold protrusion)の側面に結合したADK6 FAbを示し、これは2価の結合が示唆される(図1A〜C)。この所見と一致して、インタクトなADK6 IgG(非切断)との複合体は、Fcについて密度に秩序のないFAbのみと類似の構造を示した(データ示さず)。AAV6キャプシド上のADK6結合部位は、他のAAVによって利用される共通の抗原部位内にある(3回軸突起および2/5回軸壁(the2/5-fold wall))(Tsengら、2015)。これらのエピトープは、配列および構造の多様性が高い領域であり、受容体認識およびAAVによる形質導入に重要であることを示す。CC0.93で再構成した密度マップにフィッティングされた擬似原子モデルにおけるAAV6とADK6 FAbとの間の推定接触残基を(図1C〜E)に示す。
PDBePISAプログラムによって同定された合体したADK6 FAbモデルの残基と接触するAAV6キャプシド表面残基は、S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589である。残基S264、G266、N269、およびH272は、1つの3回軸対称関連単量体上に存在し、Q457は第2の3回軸関連単量体上に存在し、残基S588およびT589は、第3の3回軸対称関連単量体上に存在する。さらに、ADK6 Fabフットプリントは、モデルで推測される接触残基の周囲の他の残基に対して閉鎖している:262〜272、382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、528〜534、571〜579、584〜589、および593〜595。有意には、AAV1とAAV6との間で異なる残基のうちの2つ(531および584)は、閉鎖領域内に存在する(図1DおよびE)。AAV6のみがADK6に結合し、AAV1は結合しない(Sonntagら、2011)。したがって、フットプリントは、AAV6:ADK6相互作用の特異性が531、584、またはその両方によって決定されることを意味していた。
実施例2 相互交換的なAAV1ベクターおよびAAV6ベクターは、キャプシドアセンブリ、ゲノム力価、および形質導入効率が野生型に匹敵する。AVBカラムクロマトグラフィによって精製されたAAV1バリアントおよびAAV6バリアントは、陰性染色EMによって可視化されたときにアセンブリされたキャプシドを示し(図2B)、1010〜1013vg/mlの範囲の封入ゲノム力価を有しており、これはWTウイルスに匹敵していた(図2C)。キャプシドの内面が変化したAAV6−H642Nバリアントも、WTに匹敵するレベルでキャプシドをアセンブリし、ゲノムを封入した。WTおよびバリアントの形質導入表現型を、抗体の非存在下で比較した。WTウイルスと比較したAAV1バリアントの形質導入効率は約160%であり、一方で、AAV6バリアントでは約95(AAV6−V598Aについて)から160%(AAV6−L584Fについて)の範囲であった。WT AAV6と比較したAAV6−K531Eの形質導入効率は約120%であった。これらの所見により、変異がキャプシドアセンブリ、ゲノムパッケージング、形質導入効率に有意な影響を及ぼさないことが確認された。
実施例3 AAV6 K531は、ADK6認識を担う。ADK6でのAAV1およびAAV6のイムノブロットにより、ADK6によるAAV6の認識およびAAV1による回避が確認された(図3A)。ADK6は、残基タイプがAAV1からAAV6にスイッチされたEからKへの変化を有するバリアントAAV1−E531Kを認識するが、第2の閉鎖位置でLからFにスイッチされたAAV1−F584は認識しないことが重要である。この所見により、AAV6−K531がADK6認識の決定因子であることが同定された。この結論と一致して、ADK6は、AAV6−L584FおよびAAV6−H642Nを認識するが、AAV6−K531Eを認識しない(図3A)。AAV1およびAAV1−F584LはADK6を回避する一方で、AAV1−E531Kは、FAb分子/キャプシドのモル比約15でADK6によって中和される(図3B)。これの結合部位占有率はたった25%である。ADK6は、AAV6およびAAV6−L584F(これもFAb分子/キャプシドのモル比約15)、AAV6−V598A(FAb分子のモル比約20)、およびAAV6−H642N(FAb分子のモル比約60)の形質導入を約50%阻害する(図3C)。他方では、AAV6−K531Eは、FAb分子/キャプシドのモル比120まで(VP結合部位あたり2FAb分子の飽和)抗体認識を回避する(図3C)。これらの所見により、AAV6に対するADK6の特異性の決定因子としてのK531の役割が確認され、FAb残基と直接接触しない場合があるが、ウイルス−抗体相互作用におけるフットプリントの一部であるというキャプシド残基の重要な寄与が強調される。
実施例4 ADK6結合は、AAV6グリカン結合を立体的に妨害すると予想され、以前に定義されたエピトープと重複するフットプリントを有する。AAV6は、細胞感染のためにHSおよびSIAの両方を利用する二重グリカン受容体結合血清型である(Huangら、2016;Wuら、2006)。ADK6フットプリントは、そのHS結合を担うことが報告されているK531に加えて、以前に構造的にマッピングされたSIAグリカン受容体結合部位を含むAAV6キャプシド表面の広域を網羅する(図4Aおよび4B)(Huangら、2013;Wuら、2006)。ADK6がAAV6による形質導入を遮断する能力は、ADK6がおそらく両方のグリカン相互作用の立体障害によってAAV6感染を侵入段階で中和することを示す。SIA相互作用の遮断は、3回軸領域の上部にADK6フットプリント領域を共有するというAAV1およびAAV6のADK1a中和について提唱された機序に類似する(Huangら、2016;Tseng and Agbandje−McKenna,2014)。この機序は、AAV2のA20中和およびAAV8のADK8中和について報告された機序とは異なる(Gurdaら、2012;Huttnerら、2003;McCrawら、2012;Tsengら、2015)。これらの抗体は、侵入後段階で中和すると提唱されており、A20は核内で作用し、ADK8は核侵入を遮断し、それにより、核周囲に蓄積される。AAV8細胞表面のグリカン受容体は知られていないが、AAV2は、3回軸(2/−5回回軸壁に存在するA20フットプリントとは異なる領域)のそのHS受容体に結合することが重要である(McCrawら、2012)。
AAV6上のADK6フットプリントは、他のAAV−抗体相互作用(AAV8−ADK8、AAV1−ADK1aが含まれる)について以前にマッピングされたもの、ならびに3回軸突起および2/5回軸壁上のAAV1−5H7、AAV6−5H7、およびAAV2−A20の領域と重複する(Gurdaら、2012;Tseng and Agbandje−McKenna,2014;Tsengら、2015;Tsengら、2016)。したがって、この構造は、AAVについて蓄積された抗原フットプリントの情報ライブラリーに追加され、AAVベクターの再投与中に既存の宿主免疫応答を回避する能力を有するAAVベクターの生成技術に関する情報が伝えられるであろう。
構造の組み合わせ、部位特異的変異誘発、および細胞結合アッセイを使用した本研究により、単一の残基K531が密接に関連するAAV1とAAV6との間に抗原選択性を付与するものとして、単一の残基K531を同定した。有意には、承認されたAAV1ベースのリポタンパク質リパーゼ遺伝子ベクターの反復処置には、類似の形質導入特性を有する抗原バリアントを使用する必要がある。AAV1/6の531位が免疫回避特性を付与することができるという所見は、これらの患者に今後使用するためのAAV1操作ならびにさらなるAAV1ベクターおよびAAV6ベクターの開発の際に与えることができる情報である。
方法
AAV6ウイルス様粒子の産生および精製。バキュロウイルス/SF9発現系を使用したAAV6ウイルス様粒子(VLP)の産生および精製は、以前に記載されている(DiMattiaら、2005;Millerら、2006;Ngら、2010)。簡潔に述べれば、AAV6のVP2およびVP3を発現するためのDNAを含む遺伝子をパッケージングするバキュロウイルスを、Bac−to−Bacシステムを製造者の指示(Invitrogen)にしたがって使用して作製し、このウイルスを使用してSF9細胞に感染させた。感染由来の細胞ペレットを、TNTM緩衝液(25mM Tris−HCl(pH8.0)、100mM NaCl、0.2%TritonX−100、2mM MgCl2)に再懸濁し、凍結融解を3回行い、ここで、2回目の融解後に37℃でベンゾナーゼ(enzonase)(Promega)処理を行い、JA−20ローター中、10,000rpmにて4℃で20分間の遠心分離によって清澄化した。上清を20%スクロースクッション(TNTM緩衝液中のスクロース(w/v))上にロードし、試料を、Ti70ローターで45,000rpmにて4℃で3時間遠心分離した。上清を破棄し、ペレットをTNTMに再懸濁し、4℃で一晩撹拌した。再懸濁したペレットを、5−40%(w/v)スクロース段階勾配にロードし、試料を、SW41ローター中、35,000rpmにて4℃で3時間遠心分離した。VLPを含む画分を分画によって回収し、緩衝液A(20mM Tris−HCl(pH8.5)、15mM NaCl)中に透析し、試料を使用前にイオン交換クロマトグラフィによってさらに精製した。
1ml陰イオン交換樹脂(Qカラム,GE Healthcare)を、緩衝液Aおよび緩衝液B(20mM Tris−HCl(pH8.5)、500mM NaCl)で平衡化した。試料をカラム上に流速0.5ml/分でロードし、カラムを10カラム体積(CV)の緩衝液Aで洗浄し、試料を、5CVの0−100%緩衝液Bの勾配を用いて溶出した(Zolotukhinら、2002)。500マイクロリットルの画分を回収し、スクリーニングしてAAV6 VPを含む画分を同定した。これらの画分をプールし、緩衝液をPBSと交換し、1mg/mlまで濃縮し、SDS PAGEによって分析し、陰性染色電子顕微鏡法(EM)によて純度およびキャプシドの完全性をそれぞれチェックした。
ADK6 IgG抗体の精製。ADK6免疫グロブリンG(IgG)抗体を、以前に記載のようにUniversity of Florida Hybridoma Core Labで産生させた(Kuckら、2007;Tsengら、2016)。ADK6ハイブリドーマ上清をPBSで1:5に希釈し、1ml HiTrapプロテインG HPカラム(GE Healthcare)にロードし、10CVのPBSで洗浄し、0.5mlのグリシン−HCl(pH2.7)で溶出し、50μlの中和緩衝液(1M Tris−HCl(pH10))で中和した。精製したIgGを20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、10mM EDTAに緩衝液交換し、パパイン切断のために濃縮した。
ADK6抗体断片(FAb)の生成および精製。システインHClを、使用直前にパパイン消化緩衝液(20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)、10mM EDTA)に添加した。濃縮IgGを、固定パパイン(Pierce)と酵素:基質比1:160にて37℃で16時間インキュベートした。等体積のパパイン停止緩衝液(10mM Tris−HCl(pH7.5))を添加して、切断プロセスを停止させ、混合物を1500×gで2分間遠心分離して、固定パパインから試料を分離した。HiTrapプロテインAカラム(GE Healthcare)にてFAbを未消化IgGおよび断片結晶化可能(Fc)フラグメントから分離した。
FAbを洗浄および通過画分に回収し、PBSに緩衝液交換し、使用のために濃縮した。
AAV6−ADK6 FAb複合体の形成。濃度1mg/mlのAAV6 VLPおよび濃度1mg/mlのADK6 FAbを、FAb:VP結合部位のモル比1:1および2:1で混合し、混合物を4℃で1時間インキュベートした。複合体を、Spirit microscope(FEI)での陰性染色EMによって試験してFAbによるキャプシド装飾を確認後、cryo−EMデータ収集のためにガラス化した。
AAV6−ADK6 FAb複合体のcryo−EMデータ収集。3マイクロリットルのAAV6−ADK6 Fab複合体混合物を、使用1分前にグロー放電したC−Flat穴あきカーボングリッド(CF−2/2−4C−50,Protochips Inc.)にロードし、Vitrobot Mark IV(FEI)における液化エタン中でのプランジ凍結によってガラス化した。凍結したグリッドを液体窒素に移し、次いで、200kVで操作するFEI Technai TF20透過型電子顕微鏡に移した。クライオ顕微鏡写真を、デフォーカス範囲2.5〜3.0μmおよび総電子線量20e−/Å2/画像を使用して収集した。36枚の顕微鏡写真を、Gatan Ultra Scan 4000 CCDカメラをステップサイズ1.82Å/ピクセルで用いて収集した。
AAV6−ADK6 FAb複合体のCryo−EMおよび画像再構成。RobEMソフトウェアパッケージ(ワールド・ワイド・ウェブ上のcryoEM.ucsd.edu/programs.shtmで入手可能)を使用して、各顕微鏡写真から装飾されたAAV6 VLP(複合体化)粒子を抽出した。各顕微鏡写真のデフォーカスレベルを、AUTO3DEMアプリケーション(Yanら、2007a;Yanら、2007b)に組み込まれたCTFFIND3アプリケーション(Mindell and Grigorieff,2003)を使用して推定した。AUTO3DEMソフトウェアパッケージ内の「autopp」サブルーチンを使用して、選択された粒子を前処理して汚れを除去し、直線勾配を補正し、正規化し、その画像をアポダイズし、同一のアプリケーション(Yanら、2007a)を使用して、各粒子の原点および配向を検索およびその精密化を開始するために、分解能約25Åでの初期モデルを生成した。最初の10サイクルの検索および精密化後、データセットを、精密化された粒子中心および配向の情報を用いて「リボックス」および「リセンター」し、画像を、コントラスト伝達関数(CTF)における位相反転の影響を相殺するように補正し、その後にAUTO3DEM内でさらなる精密化サイクルも実施した(Yanら、2007b)。最終分解能を、閾値0.5のフーリエシェル相関(FSC)によって決定した(van Heel and Schatz,2005)。再構成マップの画像を、Chimeraソフトウェアパッケージ(Pettersenら、2004)を使用して示した。
擬似原子モデルのフィッティングおよびADK6抗体フットプリントの同定。
AAV6の60塩基長VP3キャプシド座標を、Viperdbオンラインサーバ(ワールド・ワイド・ウェブ上のviperdb.scripps.edu/で利用可能)を使用したOligomer generatorのサブルーチンを使用した正二十面体の行列乗算(Carrillo−Trippら、2009)によってAAV6結晶構造(RCSB PDB ID番号3OAH)から作成した。Chimeraプログラム(Pettersenら、2004)を使用した剛体の回転および平行移動によって、座標をcryo−EMで再構成した複合体の密度マップにフィッティングした。この60塩基長を、相関係数(CC)0.94で合体させた。モデルをFAb密度に構築することができるように、AAV6−ADK6複合体マップから合体した60塩基長モデルについて作成した縮尺密度マップ(scaled density map)を差し引いた差分マップを作成した。一般的なFAb構造(PDB ID番号2FBJ)を、Chimeraプログラム(Pettersenら、2004)を使用して、基準AAV6 VP3単量体(鎖A)と相互作用するFAbを示す、得られた正の差分密度マップにフィッティングした。基準単量体の座標を、合体した60塩基長から抽出し、これを合体したFabモデルと共に用い、Viperdb(ワールド・ワイド・ウェブ上のviperdb.scripps.edu/で利用可能)を使用して60塩基長を作成した(Carrillo−Trippら、2009)。次いで、この複合体60塩基長を、再構成した複合体の密度マップに再度合体させると、CCは0.93で類似した。AAV6キャプシドとADK6 FAbとの間の相互作用残基を決定するために、PDBePISA(ワールド・ワイド・ウェブ上のebi.ac.uk/msd−srv/prot_int/で利用可能)(Krissinel and Henrick,2007)およびCOOT(Emsleyら、2010)ソフトウェアパッケージを使用した。フィッティングした複合体の座標の画像を、PyMolプログラム(ワールド・ワイド・ウェブ上のpymol.org/で利用可能)(Schroedinger,2017)を使用して作成した。
組換え野生型およびバリアントAAV1ベクターおよびAAV6ベクターの産生および精製。AAV6によるADK6認識(AAV1では認識されない)のための必須残基の決定因子を同定するために、組換えの野生型(WT)AAV1(rAAV1)およびAAV6(rAAV6)、ならびにADK6フットプリント内に存在する等価なキャプシド表面アミノ酸の531位および584位(それぞれ、AAV6ではKおよびF、AAV1ではEおよびL)での相互交換的な単一部位特異的バリアント、ならびにAAV6−V598Aを、ADK6の存在下でのネイティブイムノブロットおよび感染性による試験のために作製した。異なる非フットプリント残基(キャプシド内面)のネガティブコントロールおよびアミノ酸置換の存在下でのAAV6キャプシドアセンブリについてのコントロールとして、試験のために相互交換的AAV6−H642Nバリアントも作製した。これらのバリアントを、それぞれAAV1およびAAV6についてpXR1バックグラウンドおよびpXR6バックグラウンドで以前に記載のように作製した(Wuら、2006)。
WTおよびバリアントのrAAV1ベクターおよびrAAV6ベクターを産生するために、70%コンフルエンシーのHEK293細胞の単層を、15cmプレートあたり190μlのポリエチレンイミン(1mg/ml)を使用して、18μgのWTおよび変異体pXRAAV1プラスミドおよびpXRAAV6プラスミド、18μgのpTR−UF3−ルシフェラーゼ(AAV2逆位末端配列の間にルシフェラーゼ遺伝子を有する)、および54μgのヘルパープラスミドpXX6で三重にトランスフェクトした。10枚の15cmプレートを、各ベクターでトランスフェクトし、その後に5%CO2の存在下にて37℃で72時間インキュベートした。トランスフェクション後、細胞を回収し、1100×gで15分間遠心分離した。各ベクターの上清を10%PEG8000(Fisher)で沈殿させ、細胞ペレットを10ml TD緩衝液(1×PBS、5mM MgCl2、および2.5mM KCl(pH7.4))に再懸濁し、3回凍結融解して細胞からウイルスを放出させた。TD緩衝液に再懸濁したPEG沈殿ウイルスおよび再懸濁した細胞ライセートの両方をBenzonase(Novagen)で37℃で1時間処理し、その後にJA−20ローター中、10,000rpmにて4℃で20分間の遠心分離によって清澄化した。ゲノムを含むベクターを、段階的Iodixanol勾配(radient)によって空のキャプシドから分離した(Zolotukhinら、2002)。簡潔に述べれば、清澄化した上清を、15−60%の段階的Iodixanol勾配にロードした。40/60%界面またはベクターを含む画分を回収し、10×TD緩衝液で希釈した。ゲノムを含むベクターを、AVB(Thermo Fisher)アフィニティカラムクロマトグラフィ(Mietzschら、2014)によってさらに精製した。1ml AVBカラムを10ml TD緩衝液で平衡化し、希釈したベクターを含む画分を、1ml/分でロードした。精製したベクターを10mlまたは10CVの溶出緩衝液(0.1M酢酸ナトリウム(pH2.5)および0.75M NaCl、0.5ml画分)で溶出した。溶出画分を50μl中和緩衝液(1M Tris−HCl(pH10))で希釈した。精製されたベクターを、PBS緩衝液に交換し、UV分光分析およびqPCRによって定量した。
ネイティブイムノブロット。AAV6のADK6との相互作用および抗体によるAAV1認識の欠如を確認し、キャプシド抗体結合に重要な特異的残基(複数可)をさらに描写するために、精製されたrAAV1ベクターおよびrAAV6ベクターならびに単一残基バリアント(rAAV1−E531K、rAAV1−F584L、rAAV6−K531E、rAAV6−L584F、rAAV6−H642Nベクター(図2A))を、ADK6を使用したネイティブイムノブロットによって探索した。100ngの精製されたインタクトなベクターを、ニトロセルロースメンブレンにロードした。メンブレンを、5%ミルク(w/v)を含むPBSおよび0.05%Tweenでブロッキングし(1時間)、その後に1:3000に希釈したADK6(0.5mg/ml)と1時間インキュベートした。rAAV−ADK6複合体を、1:5000に希釈したセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)抗マウス二次抗体で探索した。最後に、メンブレンを化学発光を用いて探索し、Kodakフィルム上で検出した。フィルム画像をGel Doc(Biorad)で出力した。ポジティブコントロールとして100ngのrAAVベクターを100℃で5分間ボイルし、試料をニトロセルロースメンブレン上にロードした。次いで、試料を、rAAV1 VPおよびrAAV6 VPのC末端を認識するB1抗体で探索した。このC末端エピトープは、キャプシドが変性されるときにのみ利用可能である(Wobusら、2000)。
中和アッセイ。WTおよびバリアントのrAAVベクターへのADK6の結合がin vitroで中和されるかどうかを判定するために、以前に記載のように(Tsengら.、2015)、精製したベクターを使用して、抗体の存在下でHEK293T細胞を感染させた。簡潔に述べれば、HEK293T細胞を、96ウェルプレート中に1.25×104細胞/ウェルで24時間播種して、70%コンフルエンシーに到達させた。精製したWTベクターおよび変異体ベクター(2.5×109ウイルスゲノム(vg))を、PBS中ウイルス粒子:ADK6 IgGの分子比1:0、1:15、1:30、1:60、1:90、および1:120で、最終体積30μlの非補充DMEM(Gibco)中にて37℃で1時間インキュベートした。このインキュベーション期間後、培地を細胞から吸引し、複合体試料を、10%FBSならびに1%抗生物質および抗有糸分裂剤(ABAM)を補充した70μlのDMEMに添加し、混合物を細胞に添加した。細胞を、5%CO2の存在下にて37℃で48時間インキュベートした。細胞を回収し、PBSで洗浄し、溶解し、製造者の指示に従ったルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)によって形質導入レベルを決定した。
実施例1〜4の参考文献
Figure 2021519612
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実施例5 中和を回避し、肝臓向性を保持するさらなる改変rAAV6ベクターのためのAAVキャプシドライブラリーの飽和変異誘発生成。
AAVライブラリーは、アミノ酸残基S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589(AAV6 VP1ナンバリング)、および/または記載の改変すべき領域内(例えば、262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595(AAV6 VP1ナンバリング))の飽和変異誘発によって操作される。アミノ酸置換のすべての組み合わせ。簡潔に述べれば、Gibsonアセンブリについて、隣接オリゴと少なくとも15〜20ntの重複する相同性を含む平均長70ヌクレオチドのオリゴが生成される。これらのオリゴは、異なる改変領域をコードするゲノムアミノ酸領域内に縮重ヌクレオチド(NK)を含む。プラスミドライブラリーを、High Fidelity Gibson Assembly Mix(NEB,Ipswich,MA)を製造者の指示にしたがって使用した複数のオリゴのin vitroアセンブリによって生成する。アセンブリした断片を、Phusion HF(NEB,Ipswich,MA)を使用して10サイクルPCR増幅するか、pTR−AAV6プラスミドのBspEI制限部位とSbfl制限部位との間に直接クローン化する。プラスミドpTR−AAV6**は、490位および491位(AAV6 VP1ナンバリング)に部位特異的変異誘発(Agilent,Santa Clara,CA)によって導入された2つの終止コドンを有するAAV2 RepおよびAAV6 Capをコードする遺伝子を含む。構築物全体は、AAV2逆位末端配列(ITR)に挟まれていて、ヘルパーウイルスの共感染の際に偽型AAV6ライブラリーのパッケージングおよび複製が可能になる。異なるライブラリー内への野生型AAV6の混入を減少させるために、AAV6キャプシド遺伝子をライブラリークローニングの前に組み込むことに言及することは注目すべきである。次いで、ライゲーション反応物を濃縮し、エタノール沈殿によって精製した。精製されたライゲーション産物を、DH 10B electroMax(Invitrogen,Carlsbad,CA)に電気穿孔し、細菌懸濁培養由来のバイアスを回避するために複数の5245mm2バイオアッセイ皿(Corning,Corning,NY)に直接プレーティングする。pTR−AAV6ライブラリー由来のプラスミドDNAを、Maxiprepキット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用してLB寒天プレート上で成長させたプールコロニーから精製する。
改変rAAV株の定向進化。
等量(各15ug)の各pTR−AAV6ライブラリーおよびAdヘルパープラスミド(pXX680)を、PEIを使用した各150mm皿上の70〜80%コンフルエンシーの肝臓細胞(または、いくつかの実施形態では、HEK293細胞)にトランスフェクトして、すべての組み合わせのウイルスライブラリーを生成した。AAVライブラリーを、標準的な手順を使用して精製する。MB114細胞を100mm組織培養皿に一晩播種して60〜70%コンフルエンスに到達させた後、1000〜10,000の範囲のMOIでAAVライブラリーを接種した。形質導入24時間後、マウスアデノウイルス(ATCC)MAV−1をヘルパーウイルスとして添加して、AAV複製を促進する。MAV−1での感染6日後に(50%CPE)、上清を回収し、7日目にDNアーゼI耐性ベクターゲノムを定量した。次いで、複製しているAAV株および各感染ラウンドから得たMAV−1を含む培地を、合計で5ラウンドの進化のためのその後の各サイクルの接種材料として使用する。異なる順序および組み合わせの新規に進化した抗原フットプリントを含むAAVキャプシドライブラリーを用いて、類似の様式でその後の進化の反復ラウンドを行う。
新規に進化したAAV株の同定。
親および進化したAAV6飽和ライブラリーの配列多様性を分析するために、DNアーゼI耐性ベクターゲノムを培地から単離し、プライマー5’−CCCTACACGACGCTCTTCCGATCTNNNNNcagaactcaaaatcagtccggaagt−3’(配列番号5)および5’−GACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCTNNNNNgccaggtaatgctcccatagc−3’(配列番号6)を使用した10〜18サイクルのQ5ポリメラーゼ(NEB,Ipswich,MA)によって増幅させる。多重化のためのIllumina MiSeq配列決定アダプターを、P5およびP7プライマーと共にQ5ポリメラーゼを使用した2ラウンドのPCRを介して付加した。各PCRラウンド後、PureLink PCR Microキット(ThermoFisher,Waltham,MA)を使用して産物を精製した。Bioanalyzer(Agilent)を使用してアンプリコンの質を検証し、Qubit分光計(ThermoFisher,Waltham,MA)を使用して濃度を定量した。次いで、製造者の指示にしたがってMiSeq 300 Kit v2での配列決定のためのライブラリーを調製し、MiSeqシステム(Illumina)で配列決定する。
配列決定データの解析。脱多重化の読み取り値を、カスタムPerlスクリプトによって解析する。簡潔に述べれば、未加工の配列決定ファイルを、目的の変異誘発領域について探索し、この領域内の異なるヌクレオチド配列の頻度をカウントし、各ライブラリーについて順位をつける。ヌクレオチド配列も翻訳し、これらのアミノ酸配列を同様にカウントし、順位をつける。次いで、ライブラリー間のアミノ酸配列の頻度を、R graphicsパッケージv3.2.4でプロットした。
各ライブラリー由来の選択されたクローンを特徴づけるために、DNアーゼI耐性ベクターゲノムを培地から単離し、BspEI部位およびSbfl部位に隣接するプライマーを使用したPhusion I IF(NEB,Ipswich,MA)によって増幅させる。PCR産物をゲル精製し、TOPOクローニングベクター(ThermoFisher,Waltham,MA)にサブクローン化し、標準的なSanger配列決定のために発送した(Eton Bioscience,San Diego,CA)。固有の配列を、BspEI部位およびSbfl部位を使用してAAVヘルパープラスミドバックボーン(pXR)にサブクローン化する。固有の組換えAAV6バリアントを、上記の標準的なrAAV産生プロトコールにしたがって産生する。
in vitroでの抗体および血清中和アッセイ。
25マイクロリットルの抗体または抗血清(例えば、ADK6抗体またはAAV1中和抗体)を、組織培養用の処理された黒色のガラス底96ウェルプレート(Corning,Corning,NY)中で組換えAAV6ベクター(MOI1,000〜10,000)を含む等体積と混合し、室温(RT)で30分間インキュベートする。次いで、50μ1の培地中の合計5×10個の肝臓細胞(いくつかの実施形態では、HEK293細胞)を各ウェルに添加し、プレートを5%CO2下にて37℃で48時間インキュベートする。次いで、細胞を、25μlの1×受動的溶解緩衝液(Promega,Madison,WI)を用いて室温で30分間溶解する。ルシフェラーゼ活性を、25μlのルシフェリン(Promega,Madison,WI)の添加直後にVictor3マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)で測定する。全ての読み取り値を、抗体/抗血清で処置しない対照に対して正規化する。ssCBA−Luc導入遺伝子をパッケージングしている組換えAAVベクターをDMEM+5%FBS+P/Sで予め希釈し、このアッセイで利用する。
in vivo抗体中和アッセイ。6〜8齢の雌BAlb/cマウス(Jackson Laboratory,Bay Harbor,ME)の各後肢に、1:500、1:50、および1:5に希釈した異なるモノクローナル抗体、例えば、ADK6およびAAV1中和抗体(例えば、4E4、5H7、およびADKla)と予め混合したCBA−Lucをパッケージングしている2×l010個のAAVを最終体積20μlで筋肉内(I.M.)注射する。注射4週間後に、ルシフェラーゼ活性を、マウスあたり175μlのin vivo D−ルシフェリン(120mg/kg Nanolight,Pinetop,AZ)の腹腔内(LP.)注射の5分後にXenogen IVIS Luminaシステム(PerkinElmer Life Sciences/Caliper Life Sciences,Waltham,MA)を使用して測定する。ルシフェラーゼ活性を光子/秒/cm2/srとして測定し、Living Image3.2ソフトウェア(Caliper Life Sciences,Waltham,MA)を使用して分析する。
免疫(AAV6抗血清)による抗AAV6マウス血清の生成。20μlPBS中の1×10vgのwtAAV6を、6〜8齢の雌Balb/cマウスの各後肢に筋肉内注射する。全血を、注射4週間後に心穿刺によって採取し、標準的な凝固および遠心分離プロトコールを使用して血清を単離した。簡潔に述べれば、マウスの血液を室温で30分間凝固させ、2000gにて4℃で10分間遠心分離する。全血清を55℃で15分間熱不活化し、−80℃で保存する。
マウスにおけるAAVバリアントのin vivo特徴づけ。1×1011vgの用量の、scCBh−GFP導入遺伝子カセットをパッケージングしているAAVベクターを含む200μlのPBSを、C57/B16マウスに尾静脈を介して静脈内(l.V.)注射する。マウスを注射3週間後に屠殺し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)を含むPBSを灌流する。複数の臓器(心臓、脳、肝臓、および腎臓が含まれる)を採取する。組織をビブラトームVT1200S(Leica,Welzlar,Germany)によって50μmの薄切片にし、以前に記載の標準的な免疫組織化学3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)染色手順を使用してGFPを染色する。3匹の異なるマウス由来の臓器あたり少なくとも3切片を、スライドスキャニングのために提出する。生体分布分析のために、1×1011vgの、ssCBA−LucをパッケージングしているAAVベクターを、前のBalb/Cマウスに記載のようにI.V.注射する。注射2週間後にマウスを屠殺し、PBSで1回灌流する。複数の臓器(心臓、脳、肺、肝臓、脾臓、腎臓、および筋肉が含まれる)を採取した。DNeasyキット(Qiagen,Hilden,Germany)を製造者の指示にしたがって使用して、DNAを採取した。ベクターゲノムのコピー数を、ルシフェラーゼ導入遺伝子プライマー5’−CCTTCGCTTC AAAAAATGGAAC−3’(配列番号7)および5’−AAAAGC ACTCTGATTGACAAATAC−3’(配列番号8)を使用して、前述のように使用した定量PCR(qPCR)によって決定する。ウイルスゲノムのコピー数を、各サンプル中のマウスゲノムDNAに対して正規化する。組織試料も、3回の45sパルスのために周波数20hzでQiagen Tissue LyserIIを使用した1×PLB(Promega,Madison,WI)中での均質化によって、ルシフェラーゼ活性アッセイのために処理する。ホモジネートをスピンダウンし、20μlの上清を50μlのルシフェリン(Promega,Madison,WI)と混合し、Victor3マルチラベルプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham.MA)を使用して直ちに測定した。
4〜5ラウンドの進化を経た後の上記の飽和ライブラリーが、ヘパラン硫酸への結合能力を保持し、肝臓を形質導入し、依然として固有にADK6抗体による中和を減少させたrAAV6ビリオンを生成することが期待される。これらの改変ベクターはまた、ADK1および他の交差反応性中和抗体による中和を減少させることが公知の改変アミノ酸領域と組み合わされるため、in vivoおよびin vitroでの中和を回避する一方で、肝臓形質導入が保持される。
配列
AAV6キャプシドタンパク質VP1(Genbank受入番号ΛΛΒ95450)(配列番号1)
Figure 2021519612
表1:AAV6に特異的な抗体
Figure 2021519612

Claims (33)

  1. AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基でのアミノ酸置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前記rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前記1またはそれを超える置換を欠く前記rAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクター。
  2. AAV6 VP1のアミノ酸531に対応するアミノ酸部位にリジン(K)またはアルギニン(R)をさらに含む、請求項1に記載の改変AAV6ベクター。
  3. アミノ酸531にKを含む、請求項2に記載の改変AAV6ベクター。
  4. アミノ酸531にRを含む、請求項2に記載の改変AAV6ベクター。
  5. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも2つが置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  6. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも3つが置換されている、請求項1〜4のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  7. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも4つが置換されている、請求項1〜5のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  8. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも5つが置換されている、請求項1〜6のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  9. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも6つが置換されている、請求項1〜7のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  10. 前記1またはそれを超えるアミノ酸のうちの少なくとも7つが置換されている、請求項1〜8のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  11. 前記1またはそれを超える置換が保存的置換を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  12. 前記1またはそれを超える置換が非保存的置換を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の改変AAV6ベクター。
  13. AAV6 VP1ナンバリングに対応するN447、S472、V473、N500、T502、およびW503からなる群から選択される、シアル酸に結合する少なくとも1つのアミノ酸の置換をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  14. AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域をさらに含み、ここで、前記1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されている、請求項1〜12のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  15. AAV6 VP1ナンバリングに対応するS264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸残基での置換を含む改変組換えAAV6ベクターであって、前記rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前記1またはそれを超える置換を欠く前記rAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による形質導入の中和を減少させた、改変組換えAAV6ベクター。
  16. AAV6 VP1ナンバリングに対応する262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域を含む改変rAAV6ベクターであって、ここで、前記1またはそれを超える改変領域中の少なくとも1またはそれを超えるアミノ酸が置換されており、前記rAAV6ベクターは、肝臓を形質導入し、前記1またはそれを超える置換を欠く前記rAAV6ベクターと比較して、ADK6抗体による肝臓の形質導入の中和を減少させた、改変rAAV6ベクター。
  17. AAV6 VP1ナンバリングに対応するK531を含む、請求項15に記載の改変rAAV6ベクター。
  18. AAV6 VP1ナンバリングに対応するR531を含む、請求項15に記載の改変rAAV6ベクター。
  19. 456〜459;492〜499;および588〜597からなる群から選択される1またはそれを超えるアミノ酸領域でのアミノ酸置換をさらに含む、請求項1〜17のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  20. 456〜499のSEER(配列番号2)、492〜499のTPGGNATR(配列番号3);588〜597のDLDPKATEVE(配列番号4)からなる群から選択される1またはそれを超える前記アミノ酸配列を含む、請求項1〜18のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  21. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を減少させた、請求項1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  22. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するマウス抗血清によって測定される肝臓形質導入の中和を減少させた、請求項1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  23. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するアカゲザル抗血清によって測定される肝臓形質導入の中和を減少させた、請求項1〜19のいずれかに記載の改変rAAV6ベクター。
  24. 肝臓向性を保持し、かつADK6抗体による中和を減少させるAAV6ビリオンを同定する方法であって、
    a.飽和変異誘発AAV6ライブラリーであって、ここで、S264、G266、N269、H272、Q457、S588、およびT589からなる群から選択されるアミノ酸の各々が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々と全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせで置換されており、前記AAV6がK531またはR531のいずれかを含む、飽和変異誘発AAV6ライブラリーを生成すること;および
    b.肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前記rAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;および
    c.前記対応する非改変AAV6ビリオンと比較してADK6または抗血清による少なくとも10%の中和の減少をスクリーニングすること
    を含む、方法。
  25. シアル酸結合の喪失をスクリーニングすることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  26. シアル酸結合の存在をスクリーニングすることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  27. 肝臓向性を保持し、かつADK6抗体による中和を減少させるAAV6ビリオンを同定する方法であって、
    a.262〜272;382〜386、445〜457、459、469〜473、488〜489、494〜496、499〜515、571〜579、584〜589、および593〜595からなる群から選択されるアミノ酸の1またはそれを超える改変領域の飽和変異誘発ライブラリーであって、ここで、前記1またはそれを超える領域が、20種の異なる天然または非天然のアミノ酸の各々で、全てまたは全てより少ない位置の任意の組み合わせにおいて置換されており、前記AAV6がK531またはR531のいずれかを含む、飽和変異誘発ライブラリーを生成すること;および
    b.肝臓の細胞(例えば、肝細胞)または組織を前記rAAV6ライブラリーで感染させることによって複数ラウンドの進化を行うこと;および
    c.前記対応する非改変AAV6ビリオンと比較してADK6または抗血清による少なくとも10%の中和の減少をスクリーニングすること
    を含む、方法。
  28. シアル酸結合の喪失をスクリーニングすることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. シアル酸結合の存在をスクリーニングすることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. ADK6抗体による中和を減少させ、肝臓を形質導入する、請求項24〜27のいずれかに記載の方法によって得られた改変rAAV6ベクター。
  31. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するヒト抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、請求項28に記載の改変rAAV6ベクター。
  32. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するマウス抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、請求項28に記載の改変rAAV6ベクター。
  33. 非改変rAAV6ベクターの中和と比較して、非改変rAAV6ウイルスに対するアカゲザル抗血清による肝臓形質導入の中和を少なくとも10%減少させた、請求項28に記載の改変rAAV6ベクター。
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