関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年5月14日に出願された米国特許仮出願第62/671,408号「Dielectric Antenna Array and System」、2018年7月3日に出願された米国特許仮出願第62/693,584号「Dielectric Antenna Array and System」、2018年11月2日に出願された米国特許仮出願第62/754,952号「Dielectric Antenna Array and System」、及び2019年3月15日に出願された米国特許出願第16/354,671号「Dielectric Antenna Array and System」に対する優先権を主張し、これら出願の開示全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
[0002]本主題は、例えば、制御回路を備えるアレイ、積み重ね、及びその他の誘電体構造の構成などの誘電体構造を有するアンテナ、並びに切り替え機能を介してビーム指向性を実現するための技法に関する。
[0003]無線アンテナは、あらゆる無線機器の重要な構成要素であり、無線放送、テレビ放送、双方向無線、通信受信機、レーダー、携帯電話、衛星通信、及びその他のデバイスにおいて使用されている。無線アンテナは、受信機又は送信機に電気的に接続された導体のアレイであり、空間を通って伝搬する無線周波数(RF:radio frequency)波と、導体内を送信機又は受信機に移動する電流との間のインターフェイスを提供する。送信モードでは、無線送信機は、電流をアンテナ端子に供給し、アンテナが電流からのエネルギーを電磁波(電波)として放射する。受信モードでは、アンテナ端子で電流を生成するために、アンテナが電磁波の電力の一部を傍受し、この電流が、増幅のために受信機に印加される。
[0004]無線アンテナの一種は、フェーズドアレイラインフィードアンテナ(phased array line feed antenna)である。フェーズドアレイラインフィードアンテナは、通常、球面反射器に関連して又はそれに関連せずに、連続的な電子ビーム操作用に最適化される。フェーズドアレイラインフィードアンテナの適切な応用例は、宇宙応用である。狭RFビームを必要とする応用の場合、フェーズドアレイラインフィードアンテナを制御するために、複雑な励振電子装置が必要になる。例えば、狭RFビームを実現するために、位相シフタを利用できる。しかし、位相シフタは、損失が多くなる傾向があり、追加の電力増幅器が受信及び送信の両方に必要になる。
[0005]その結果、フェーズドアレイラインフィードアンテナを狭RFビームの応用に適合させるには、大きな費用がかかる。5Gアプリケーションなどの、狭ビームが望ましい応用では、狭RFビームとビーム操作機能の両方が望ましい。しかし、フェーズドアレイラインフィードアンテナなどの無線アンテナにおいて、狭RFビームとビーム操作機能の両方をコスト効率の高い方法で実装することは困難である。
[0006]1つの例では、アンテナシステムは、複数の励振素子及び少なくとも1つの誘電体アンテナアレイを含む。少なくとも1つの誘電体アンテナアレイは、中央ハブを含む。各励振素子は、中央ハブを通って延びる。少なくとも1つの誘電体アンテナアレイは、中央ハブから外側に延びる複数の誘電体ロッドをさらに含む。各誘電体ロッドは、励振素子のうちの各1つによって励振される。アンテナシステムは、励振素子を切り替えて誘電体ロッドのうちの1つ又は複数を励振し、無線周波数(RF)波を送信又は受信するために、少なくとも1つの誘電体アンテナアレイに結合された制御回路をさらに含む。
[0007]実施例の追加の目的、利点、及び新しい特徴が、以下の説明において部分的に説明され、以下の説明及び添付の図面を調べたときに、一部が当業者には明らかとなり、又は実施例の製造若しくは操作によって理解することができる。本主題の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される方法、手段、及び組合せによって実現され、達成されてもよい。
[0008]図面は、制限ではなく例として、1つ又は複数の実装形態を示す。図面では、同様の参照番号は、同じ又は同様の要素を指す。
アンテナシステムの誘電体アンテナアレイの等角図であり、誘電体アンテナアレイが、中央ハブ、複数の誘電体ロッド、及び導電性インサートを含んでいる。
誘電体アンテナシステムの等角図であり、導電帯及び複数の励振素子と共に図1の誘電体アンテナアレイを含んでおり、励振素子への誘電体アンテナアレイの結合の追加の詳細を示している。
誘電体ロッドが中央ハブの周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、図1の誘電体アンテナアレイの上面図である。
図3Cの拡大図の周囲の状況を示すために詳細領域が円で囲まれている、図3Aの誘電体アンテナアレイに類似する図1の誘電体アンテナアレイの別の上面図である。
図3Bの誘電体アンテナアレイの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、図1の誘電体アンテナアレイの中央ハブのさまざまな導電性インサート開口部及び励振素子の穴を示している。
誘電体ロッドが中央ハブの周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、図1の誘電体アンテナアレイの下面図である。
誘電体ロッドの積み重ねを形成するように図1の複数の積み重ねられた誘電体アンテナアレイを含む、誘電体アンテナマトリックスの等角図であり、各誘電体ロッドの積み重ねが、各励振素子によって励振される。
図6Bの断面図の周囲の状況を示すために断面領域A−Aに線が引かれている、図5の誘電体アンテナマトリックスの別の上面図である。
図6Aの誘電体アンテナマトリックスの断面A−Aであり、2つの誘電体ロッドの積み重ね、2つの励振素子、及び反射コアの詳細を示している。
図6Bの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの積み重ねの5つの誘電体ロッド、6つの導電帯(導電帯の最下部は、修正された下側導電板である)、励振素子、及び反射コアの詳細を示している。
図6Cの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの積み重ねの1つの完全な誘電体ロッド及び2つの部分的な誘電体ロッド、外側の縦の面からの誘電体ロッドの伸長、並びに反射コアによる内側の縦の面の裏打ちの追加の詳細を示している。
誘電体ロッドの間隔、断面、及び先細の詳細を示す、図5の誘電体アンテナマトリックスの5つの誘電体ロッドの積み重ねの側面図であり、図7Bの拡大図の状況を示すために詳細領域が円で囲まれている。
図7Aの2つの誘電体ロッドの積み重ねの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの先細及び6つの導電帯(導電帯の最下部は、修正された下側導電板である)の追加の詳細を示している。
アンテナシステムの制御回路のブロック図であり、制御回路が、マイクロコントローラ、独立して制御される出力、及びRF入力ストリップを含んでいる。
アンテナシステムの別の誘電体アンテナアレイの等角図であり、誘電体アンテナアレイが、中央ハブ及び前述した構造に類似する他の構造を含んでいるが、複数の誘電体ロッドが針差し又はヤマアラシのうように配置されている。
直線(例えば、水平又は垂直)偏波又は円偏波を含む、RF信号の偏波制御のための、交差した単極を含んでいる励振素子を示す図である。
多入力多出力(MIMO:multiple−input and multiple−output)アーキテクチャを利用する、図8に示された制御回路に類似するアンテナシステム100の制御回路のブロック図を示す図である。
図11Aに示された独立して制御される出力回路の分解図である。
チャネルごとに複数の利用者にサービスを提供するために複数のRFチャネルを採用する、図8及び図11A〜Bに示されたアーキテクチャに類似する多ユーザ多入力多出力(MU−MIMO:multiple user multiple−input and multiple output)アーキテクチャの概要を示す図である。
図13Bの切り欠き図の状況を示すために詳細領域Aが円で囲まれている、図1の誘電体アンテナアレイの誘電体ロッドの側面図である。
図13Aの誘電体ロッドの円で囲まれた詳細領域Aの切り欠き図であり、単一の誘電体ロッドと、共振空洞に囲まれたらせん形素子である励振素子との詳細を示している。
スイッチングマトリックスアセンブリ内で誘電体ロッドと統合された独立して制御される出力回路基板を含むアンテナシステムを示す図である。
[0031]以下の詳細な説明では、関連する内容の完全な理解を可能にするための多くの具体的な詳細を例として示す。しかし、そのような詳細がなくても本内容を実施できるということは、当業者にとって明らかであろう。他の例では、本内容の態様を不必要に曖昧にするのを防ぐために、周知の方法、手順、構成要素、及び/又は回路が、詳細を含まずに相対的に高いレベルで説明されている。
[0032]「結合された」という用語は、本明細書において使用されるとき、任意の論理的、物理的、電気的、又は光学的接続、リンクなどのことを指し、そのような接続、リンクなどによって、システムの1つの要素によって生成又は供給された信号又は光が別の結合された要素に伝えられる。特に説明されない限り、結合された要素又はデバイスは、必ずしも直接的に互いに接続されず、光又は信号を修正、操作、又は搬送することができる中間の構成要素、要素、又は通信媒体によって分離されてもよい。
[0033]図面のいずれかに示されているような、誘電体アンテナアレイ、関連する構成要素、及び/又は誘電体アンテナアレイを組み込む任意の完全なデバイスの向きは、単に例として、例示及び説明の目的で提供されている。特定のRF処理の応用の動作中に、誘電体アンテナアレイが、誘電体アンテナアレイの特定の応用に適した任意のその他の方向(例えば、直立、横向き、又は任意のその他の向き)に向けられてもよい。また、本明細書において使用される範囲では、単に例として、横方向、縦方向、上、下、上方、下方、上部、下部、及び側面などの任意の方向を示す用語が、任意の誘電体アンテナアレイ又は構築された誘電体アンテナアレイの構成要素の方向又は向きに関して使用されるが、本明細書においてその他の方法で記載されているように、これらに限定されない。ここで、添付の図面に示されている、以下で説明される例を詳細に参照する。
[0034]図1は、誘電体アンテナアレイ100を含むアンテナシステム100の等角図である。誘電体アンテナアレイ100は、中央ハブ105と、中央ハブから外側に延びる複数の誘電体ロッド110A〜Pとを、車輪状の配置で含んでいる。例えば、中央ハブ105は、フラットパネルアレイの代わりに、誘電体ロッド110A〜Pの各々の起点になる(例えば、放射状に広がる)中心部である。中央ハブ105を、誘電体ロッド110A〜Pと一体的に(例えば、1つの構成要素又は部品として)形成することができ、又は中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pを別々に形成し、その後、一緒に接続することができる。誘電体ロッド110A〜Pはスポークのように見え、RFビームが各誘電体ロッド110A〜Pの長軸の下に制限され、例えばビーム形成のために分離している独立したRFビームを放射又は受信することができる。この例では、RF波の送信及び受信が、各誘電体ロッド110A〜Pの端部(例えば、先端)で発生する。したがって、各誘電体ロッド110A〜Pは、約20度のRFビーム角を有するエンドファイアアンテナとして機能する。
[0035]図1には示されていないが、図2に示されているように、アンテナシステム100は複数の励振素子125A〜Pを含んでおり、各励振素子125A〜Pは、中央ハブ105を通って延びる。この例では、16個の誘電体ロッド110A〜P及び各誘電体ロッド110A〜Pを独立して制御するための16個の対応する励振素子125A〜Pが存在する。中央ハブ105の周囲に適合する誘電体ロッド110A〜P及び対応する励振素子125A〜Pの数に影響を与える可能性がある各誘電体ロッド110A〜Pの形状は、どの程度の狭さのRFビームが望ましいかに応じて変わることがある。正方形の断面(図7の要素710を参照)を有する誘電体ロッド110A〜Pの場合、誘電体ロッド110A〜Pの長さ、幅、及び厚さが、RFビームのサイズを調整する。円形の断面を有する誘電体ロッド110A〜Pの場合、外周、半径などがRFビームのサイズを調整する。この例では、図に示された正方形の断面(図7の要素710を参照)を有する誘電体ロッド110A〜Pの形状の結果として、RFビームが約20度に固定される。通常、誘電体ロッド110A〜Pの数は、励振素子125A〜Pの数に一致する。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pよりも少ない励振素子125A〜Pが存在することがあり、例えば、単一の励振素子125Aが誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振することがある。図8を参照して下でさらに説明されるように、アンテナシステム100は、励振素子125A〜Pを切り替えて誘電体ロッド110A〜Pのうちの1つ又は複数を励振して、無線周波数(RF)波を送信又は受信するために、誘電体アンテナアレイ100に結合された制御回路(図8の要素800を参照)も含む。
[0036]誘電体ロッド110A〜Pの各々及び中央ハブ105は、ポリスチレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、他のポリマー、又は誘電セラミックで形成される。セラミックは、望ましい工学的特性を実現するように高温で処理された無機の非金属材料である。炭素又はシリコンなどのいくつかの元素が、セラミック材料を形成するために使用されることがある。誘電体ロッド110A〜Pを形成することができる適切なセラミックは、アルミナ(又は酸化アルミニウムAl2O3)、窒化アルミニウム(AIN)、ジルコニア強化アルミナ、酸化ベリリウム(BeO)、及びその他の適切なセラミック材料の組成であることができる。マイクロ波通信では、誘電セラミックが使用される。誘電体ロッド110A〜Pの内部は、通常、固体誘電材料であり、導電材料を何も含まない。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pは、RF波を反射して誘電体ロッド110A〜Pの異なる部分に集中させるために、導電材料で満たされた空洞を含んでもよい。
[0037]この例では、誘電体ロッド110A〜Pは、中央ハブ105の周囲に放射状に配置された誘電材料で形成されるアームである。しかし、誘電体ロッド110A〜Pは、図1に示されているように、円筒形の中央ハブ105の周囲に放射状の配置で配置されなくてもよい。例えば、誘電体ロッド110A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の異なる面から広がるように配置され得る。1つの例では、誘電体ロッド110A〜Pは、針差し又はヤマアラシのうように配置され、図9に示されている配置のように、部分的な回転楕円体形状の中央ハブ105の上側の円錐面から広がる。円錐面は、放物面、双曲面、楕円体、扁平楕円体、回転楕円体など、或いはこれらの面の一部、断片、又は組合せを含む。円錐面は、円錐を平面と交差させて円錐の断面を取得してから、この円錐の断面を3次元空間内で回転させて、非球面部又は球面部を形成することによって、形成される。別の例では、中央ハブ110は多面体形状(例えば、直方体)を有してもよく、誘電体ロッド110A〜Pは、例えば直方体形状の中央ハブ105の角の近くで、平面状の横方向の上面即ち平面状の縦の面から延びる。誘電体ロッド110A〜Pの各々は、正方形の断面を有し、この断面は、誘電体ロッドが中央ハブ105から離れて延びるにつれて、次第に先細になる。誘電体ロッド110A〜Pの断面は正方形として示されているが、この断面は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)の形状にすることもできる。
[0038]中央ハブ105は、横方向の上面115、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)、及び横方向の上面115と横方向の下面630の間に広がる外側の縦の面120を含む。図6C〜Dに示されているように、外側の縦の面120は、励振素子125A〜Pが中央ハブ105を通って延びる場所の外側に配置された中央ハブ105の誘電体部である(例えば、外部又は外側を向いている)。
[0039]図6C〜Dに示されているように、内側の縦の面625は、励振素子125A〜Pが中央ハブ105を通って延びる場所の内側に配置され、反射コア235によって裏打ちされた中央ハブ105の誘電体部である(例えば、内部又は内側を向いている)。図6Cに示されているように、横方向の上面115は、誘電体ロッド110A〜Bの上(例えば、中央ハブ105の上部)に配置された中央ハブ105の誘電体部である。図6Cに示されているように、横方向の下面630は、誘電体ロッド110A〜Bの下(例えば、中央ハブ105の下部)に配置された中央ハブ105の誘電体部である。誘電体ロッド110A〜Pは、外側の縦の面120から外側に、横方向に延びる。誘電体ロッド110A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pが外側の縦の面120から先端に向かって外側に伸び始める原点の領域(例えば、基部)と相対的に平坦に傾斜している。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pは、原点の領域と相対的に上方又は下方に傾斜している。
[0040]図1では、図2の導電帯130が削除されている。図1に示されているように、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、両方とも、中央ハブ105を通って延びるように励振素子125A〜Pごとに形成された励振素子の穴117A〜Pを含むことができる。図に示されているように、中央ハブ105は、横方向の上面115に複数の導電性インサート開口部116A〜Pを含んでおり、開口部116A〜Pは、中央ハブ105、及び下側導電板310などの他の層を貫通してもよい。一部の例では、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、導電性インサート開口部116A〜Pを含んでもよく、開口部116A〜Pは、この例では直方体形状の穴又は空間であるが、楕円体、円錐、直方体、その他の多面体、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せを含むさまざまな穴の形状が利用され得る。各導電性インサート開口部116A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pの各々が中央ハブ105から延びるところの間に形成される。誘電体アンテナアレイ101は、導電性インサート開口部116A〜Pの穴の形状に一致する形状又は外形を有する複数の導電性インサート119A〜Pをさらに含む。導電性インサート119A〜Pは、導電性インサート開口部116A〜Pの内部に配置されて、誘電体ロッド110A〜P間のクロストークを防ぎ、電磁RF波を各誘電体ロッド110A〜Pに向ける。この例では、導電性インサート119A〜Pは、スポークの各々の間の金属障壁分割器であり、反射を介してRFエネルギーを誘電体ロッド119A〜Pの各々に向けるため、RF波は異なる誘電体ロッド119A〜Pに流出しない。
[0041]導電性インサート開口部116A〜Pの内部では、導電性インサート119A〜Pは、例えばエポキシ樹脂を使用して中央ハブ105に接着されてもよい。エポキシ樹脂は、紫外線(UV:ultraviolet)光を使用して硬化され得る。16個の導電性インサート開口部116A〜P及び16個の導電性インサート119A〜Pが示されているが、導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化してよく、通常は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致する。誘電体ロッド110A〜Pより少ない導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pが存在してもよい。例えば、単一の励振素子125Aが、誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振する場合、導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pの数は励振素子125A〜Pの数に実際は一致する。
[0042]図2は、導電帯130及び複数の励振素子125A〜Pと共に誘電体アンテナアレイ101を含んでいる誘電体アンテナシステム100の等角図である。この例では、励振素子125A〜Pの各々は、単極励振素子である。一部の例では、励振素子125A〜Pは、直線(例えば、1つの平面内で水平又は垂直)偏波したRF信号又は円偏波したRF信号を伝達するための交差した単極、らせん形、又は双極であってもよい。例えば、励振素子125A〜Pの各々は、誘電体ロッド110A〜Pのうちの対応する1つの偏波を制御するために、図10に示されているように、約90°の角度で交差した、交差した単極であってもよい。誘電体アンテナアレイ101は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)に、少なくとも1つの導電帯130を含む。
[0043]図2に示されているように、横方向の上面115は、導電帯130を含んでいる。導電帯130は、誘電体ロッド110A〜P間のクロストークを最小限に抑えるために、電磁RF波を、誘電体ロッド110A〜Pの内部を通るように方向付けて制限する。導電帯130は、導電性インサート開口部116A〜Pの内部に配置された導電性インサート119A〜Pを覆うことができ、導電性インサート119A〜Pに電気的に接続されてもよい。一部の例では、導電帯130は、導電性インサート119A〜Pに電気的に接続されない。
[0044]導電帯130は、導電帯130を通って延びるように励振素子125A〜Pごとに形成された励振素子開口部205A〜Pを含む。したがって、励振素子125A〜Pは、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の励振素子の穴117A〜P並びに導電帯130の励振素子開口部205A〜Pを通って延びる。図2の例では16個の励振素子開口部205A〜Pが存在するが、励振素子開口部205A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化し、通常は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致する。誘電体ロッド110A〜Pより少ない励振素子開口部205A〜Pが存在してもよい。例えば、単一の励振素子125Aが、誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振する場合、励振素子開口部205A〜Pの数は励振素子125A〜Pの数に実際は一致する。
[0045]導電帯130は輪として成形されているが、導電帯130は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)の形状の導電性トレースとして形成され得る。励振素子125A〜Pは、この例では、導電帯130の周囲に環状に配置される。導電帯130の周囲の励振素子125A〜Pの配置は、導電帯130の形状(例えば、楕円形、多角形など)に応じて変化する。
[0046]図2には、励振素子125A〜Pへの誘電体アンテナアレイ101の結合の追加の詳細も示されている。導電帯130及び励振素子125A〜Pは、この例では電気的に接続されない。代わりに、導電帯130及び励振素子125A〜Pは、互いに絶縁される。例えば、導電帯130は、導電帯130と各励振素子125A〜Pの間で、各励振素子開口部205A〜Pによって形成された各空隙210A〜Pによって、励振素子125A〜Pから絶縁される。代替として、導電帯130は、励振素子開口部205A〜Pを満たす誘電材料によって、励振素子125A〜Pから絶縁される。
[0047]図2には示されていないが、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、横方向の上面115上の導電帯130によく似た別の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)も含む。例えば、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の他の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)は、励振素子開口部205A〜Pを含む。他の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)は、空隙210A〜P又は励振素子開口部205A〜Pを満たす誘電材料によって、励振素子125A〜Pから絶縁される。横方向の上面115の導電帯130、横方向の下面の他の導電帯(図6Cの要素630を参照)は、反射コア235及び導電性インサート119A〜Pと共に、電磁エネルギー(例えば、RF波)を誘電体ロッド110A〜Pに向かって集中させる、短い導波管を形成する。励振素子125A〜Pのうちの1つ又は複数がRF波を放射しているときに、これらの構成要素は、RF波を制限し、誘電体ロッド110A〜Pに向かって、又は誘電体ロッド110A〜Pの内部に方向付ける(例えば、進める)。
[0048]さらに示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、中央ハブ105の横方向の上面115と横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の間に縦方向に広がる反射コア235を含んでいる。したがって、中央ハブ105の内部は中空であり、反射コア235は、RFエネルギーに対して境界を裏打ちし、RFエネルギーを反射する。1つの例では、反射コア235は、誘電体ロッド110A〜Pの背後から1/4波長の位置にあることができる。反射コア235及び導電性インサート119A〜Pは、一体となって、RFエネルギーを誘電体ロッド110A〜Pの内部に反射することができる。
[0049]反射コア235は、中央ハブ105の内側の縦の面(図6Dの要素652を参照)を裏打ちする金属パイプであることができ、中央ハブ105の内側を覆い、誘電体ロッド110A〜Pを通るようにRF波を方向付ける。反射コア235は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の少なくとも1つの導電帯130に、電気的に接続される。しかし、一部の例では、反射コア235は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の少なくとも1つの導電帯130に、電気的に接続されなくてもよい。
[0050]本明細書で開示されたさまざまな誘電体アンテナアレイ101の構成は、鋳造、積層、射出成形、機械加工、めっき、フライス加工、1つ又は複数の電導性被覆材の成膜、又はこれらの組合せを含む、さまざまな技法を使用して製造され得る。例えば、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pは、鋳造又は射出成形を使用して単一の一体的部品を形成するように、形成され得る。代替として、一部の例では、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pは、別々に鋳造されて成形されてから、機械的に一緒に締め付けられ得る。例えば、レーザー切断を含む二次的な機械加工作業を使用して、不要な部分を焼き落とすか、又はその他の方法で除去して、例えば、誘電体ロッド110A〜Pを先細にするか、或いは導電性インサート開口部116A〜P、励振素子の穴117A〜P、又は突起(図3Cの要素315A〜Eを参照)を形成することによって、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pの形状を作成できる。導電層又は導電膜を、少なくとも1つの導電帯130として成膜することができ、又は例えば、導電板の上にさらに層を積み重ねる前に、導電板の平面をめっきすることによって、導電板を利用することができる。導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235は、銅、アルミニウム、銀など、又はこれらの組合せなどの、任意の適切な導体又は金属層で形成されてもよい。導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235を形成するために、同じ又は異なる導電材料が使用されてもよい。二次的な機械加工作業を利用して、例えば、不要な部分を除去して、励振素子の穴117A〜P、励振素子開口部205A〜Pなどを形成することによって、導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235を成形することもできる。1つの例では、2つの導電帯130A〜B(図6C〜Dを参照)が、誘電体アンテナアレイ101の誘電体ロッド110A〜Pの上及び下に形成される。図5に示されている積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eのように、複数の層が存在する場合、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの層の間のスペーサのような方法で、図6C〜Dに示されているように、導電帯130A〜Bのうちの1つが共有される。
[0051]図3Aは、誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、誘電体アンテナアレイ101の上面図である。導電板130が除去されている。図に示されているように、中央ハブ105の横方向の上面115は、中央ハブ105の外周320を定める。外周320は、この例では、円形の形状をしている。しかし、一部の例では、外周320は、横方向の上面115の形状に応じて、楕円形、多角形、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せにすることができる。励振素子125A〜Pは、外周320の周囲に放射状に配置され、励振素子の穴117A〜Pを介して中央ハブ105を通って延びる。外周320の周囲の励振素子125A〜Pの配置は、外周320の形状(例えば、楕円形、多角形など)に応じて変化する。
[0052]図3Aでは、機械的な締め付けのためのキャップ及びねじが除去されているため、中央の取り付け穴305及び下側導電板310(例えば、金属円盤)が示されている。中央の取り付け穴305は、誘電体アンテナアレイ101を、制御回路(図8の要素800を参照)又は図5に示されているような誘電体アンテナマトリックス500の構成内の他の誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの、他の構成要素に機械的に締め付けるために利用することができる。中央ハブ105の内部を裏打ちする反射コア235も示されている。反射コア235の内部には、中央ハブ105の横方向の下面(図6Cの要素630を参照)側で、下側導電板305によって部分的に閉鎖された空気で満たされた空洞(図6Bの要素650を参照)がある。
[0053]図3Bは、図3Cの拡大図の周囲の状況を示すために詳細領域Eが円で囲まれている、図3Aの誘電体アンテナアレイに類似する誘電体アンテナアレイ101の別の上面図である。図3Cは、図3Bの誘電体アンテナアレイ101の円で囲まれた詳細領域Eの拡大図であり、誘電体アンテナアレイ101の中央ハブ105のさまざまな導電性インサート開口部116A〜P及び励振素子の穴117A〜Pを示している。詳細領域E内を左から右に見ていくと、下側導電板310内で形成された開口部である中央の取り付け穴305がある。下側導電板310は、中央ハブ105の側面の横方向の下面を囲むために横方向の下面(図4の要素430)の上に形成された導電帯130の一種である。下側導電板310は、図6Cの要素130Bとしてさらに詳細に示されている。下側導電板310は、少なくとも1つの導電帯130に類似する方法で、誘電体ロッド110A〜Pを通るように電磁RF波を向け直し、誘電体ロッド110A〜Pに向かって、又は誘電体ロッド110A〜Pの内部にRF波を制限して方向付ける(例えば、進める)。機械的な締め付けの目的で、下側導電板310は、横方向の上面115上の導電帯130よりはるかに大きい。したがって、下側導電板310は、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)より大きい表面積を有する。例えば、下側導電板310は、制御回路(図8の要素800を参照)の基板への機械的な締め付けなどのために、アンテナシステム100の制御回路(図8の要素800を参照)への接続に利用される。したがって、下側導電板310は、誘電体アンテナアレイ101に機械的支持を提供する。別の構成では、導電板310は、少なくとも1つの導電帯130に類似して形成されるが、誘電体アンテナアレイ101に機械的支持構造を実際に提供する類似する材料又は異なる材料の別の部分(例えば、機械的支持脚)に接続される。
[0054]図3Cにさらに示されているように、反射コア235は、横方向の上面115に隣接し、通常は中央ハブ105の内側の縦の面(図6Dの要素625を参照)を裏打ちする。次に、5つの導電性インサート開口部116A〜E全体を含むように示されている横方向の上面115がある。導電性インサート開口部116A〜Eは、5つの導電性インサート119A〜Eで満たされている。横方向の上面115は5つの励振素子の穴117A〜Eも含んでおり、5つの励振素子125A〜Eは、各励振素子の穴117A〜Eを通って延びる。励振素子の穴117A〜Eの各々の周囲には、各突起315A〜Eも形成される。突起315A〜Eは、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pと同様に、誘電材料で形成される。突起315A〜Eは、導電帯130を中央ハブ105の横方向の上面115とかみ合わせる。突起315A〜Eは、励振素子125A〜Eを導電帯130から絶縁する。5つの突起315A〜Eのみが示されているが、突起315A〜Eの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化する。この例では、突起315A〜Eの数は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致しており、したがって、図3Cの拡大図に5つしか示されていなくても、実際は16個の突起315A〜Pが存在する。
[0055]図4は、図3Aと同様に誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、誘電体アンテナアレイ101の下面図である。中央ハブ105は、この例では下側導電板310によって覆われた横方向の下面430を含む。中央の取り付け穴305が、下側導電板310に形成されている。ねじ又はその他の機械的締め具用の4つの周囲の取り付け穴410A〜Dも、下側導電板310に形成されているように示されている。中央の取り付け穴305及び周囲の取り付け穴410A〜Bは、誘電体アンテナアレイ101を、制御回路(図8の要素800を参照)又は図5に示されているような誘電体アンテナマトリックス500の構成内の他の誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの、他の構成要素に機械的に締め付けるために利用される。図にさらに示されているように、横方向の下面430は、横方向の下面430を通って延びるように形成された、各励振素子125A〜P用の励振素子の穴117A〜Pを含む。
[0056]図5は、誘電体アンテナシステム100の誘電体アンテナマトリックス500の等角図である。誘電体アンテナマトリックス500は、複数の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを形成するように、複数の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eを含む。図5の例では、5つの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eが示されているが、他の例では、さらに少ない(例えば、2つ又は3つ)又は多い(例えば、15個の10個)積み重ねられた誘電体アンテナアレイが存在してもよい。図5の例では、16個の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pも示されており、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの各々に5つの誘電体ロッドが含まれている。一部の例では、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの各々は、さらに少ない(例えば、2つ又は3つ)又は多い(例えば、15個の10個)誘電体ロッドを含んでもよい。さらに、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの数は、さらに少ない(例えば、5個又は10個)か、又は多くてもよい(例えば、20個又は30個)。
[0057]各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々の各誘電体ロッドを含み、例えばビーム形成のために分離している独立したRFビームを集合的に放射又は受信することができる。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、励振素子125A〜Pのうちの各1つによって励振される。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、制御回路(図8の要素800を参照)によって、各励振素子125A〜Pを介して、RF波を独立したRF出力ビームとして送信又は受信するように、分離したチャネルとして独立して制御可能である。
[0058]図5に示されているように、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの誘電体ロッドは、誘電体アンテナマトリックス500の高さ520に沿って、実質的に重複する外形530A〜Eを有するように揃えられる。「実質的に重複する」とは、本明細書において導入されるとき、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの誘電体ロッド110A〜Pの各々が、高さ520に沿って(例えば、垂直に)90%以上重複する誘電体構造を有するということを意味する。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを形成する積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々の各誘電体ロッドは、誘電体アンテナマトリックス500の高さ520に沿って異なる高さ525A〜Eに配置される。誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の各誘電体ロッドは、この例では、中心面と中心面の間で半波長離れている。
[0059]この例では、誘電体アンテナマトリックス500は、積み重ねられる誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々を、16個の放射状に配置された誘電体ロッド110A〜Eの各々と共に射出成形し、その後、誘電体アンテナアレイ101A〜Eを垂直方向に積み重ねることによって実装される。積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eは、ハブとスポークのような配置で、中央ハブ105から生じる誘電体ロッド110A〜Pと共に中央ハブ105を含む。誘電体アンテナマトリックス500の垂直方向の積み重ねは、RFビームを狭くし、RF電力を改善するためのビーム形成を実現する。誘電体アンテナマトリックス500は、積み重ねられる誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々を、16個の誘電体ロッド110A〜Eの各々と共に射出成形し、その後、誘電体アンテナアレイ101A〜Eを垂直方向に積み重ねることによって実装され得る。
[0060]誘電体アンテナマトリックス500は、360度にわたって回転することができる灯台のように動作し、周囲を移動可能な、制御回路800によって切り替えることができる複数のRFビームを有する。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の誘電体ロッド110A〜Eの各々は、誘電体円錐を効果的に作成して狭RFビームを生成するために、中心面と中心面の間で半波長離れている。この例では、RFビームは約20度である。しかし、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの配置に応じて、RFビームの狭さ及び幅は調整され得る。例えば、誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の誘電体ロッド110A〜Eの数を2倍にして、RFビームを数度狭くしてもよい。さらに、誘電体ロッド110A〜Eの長さを短くすることによって、RFビームをより広いビームに調整することができる。都市環境では、RF信号強度が大きな問題ではない道路に隣接してより広いRFビームを捕らえるために、より短い誘電体円錐が望ましいことがある。しかし、地方では、狭RFビームが強化されたRF電力を提供することがある。
[0061]本明細書で開示された例の一部では、誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、導電帯130A〜E(例えば、金属円盤)によって分離された1つ又は複数の導電性の励振素子125A〜P(例えば、単極)によって励起される段階的な3次元誘電体構造を利用して、電磁信号を受信/送信できる高い指向性及び広い有効範囲を有する小型アンテナを生み出す。事前に形成された誘電体構造を介して低抵抗経路を提供することと、前述の構造の積み重ねとの組合せによって、互いに建設的及び/又は破壊的に干渉するように、ビーム形成が実現される。誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、多数の受動アンテナ素子及び/又は能動アンテナ素子或いは位相シフタを必要とせずに、高指向性ビームの生成を可能にし、以て、RFアンテナの構造及び動作を大幅に簡略化する。誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、球面反射器を使用せずに、複数の重複する高指向性ビームの作成に対して最適化され得る。
[0062]誘電体アンテナマトリックス500は、自由空間波長を中心して約10〜50%の帯域幅にわたって信号を受信/送信することができる。誘電体アンテナマトリックス500は、導電帯130A〜E(例えば、薄い導電性ディスク)によって間隔を空けられ、分離された複数の層を含む。図に示されているように、各層は、中央ハブ105から放射状に生じるスポークのように見える誘電体ロッド110A〜Eを含む「車輪状」の形態を有する。各誘電体ロッド110A〜Pは、FWHM=60°/平方根(Lλ0)で与えられる半値全幅(FWHM:fullwidth at half maximum)で長軸と平行に向けられたビームを生成するエンドファイアアンテナとして機能する。
[0063]サイドローブを減らすために、誘電体ロッド110A〜P(例えば、スポーク)の断面を、その基部(誘電体ロッド110A〜Pが外側の縦の面115で中央ハブ105から離れる位置)から先端に向かって先細にすることができる。望ましいビームの数がNb、λ0が自由空間波長である場合、中央ハブ105の半径(R)は、次式で与えられる。
R=(Nb/4π)*λ
[0064]その場合、アンテナの全径は、D=2(R+Lλ0)になる。各誘電体ロッド110A〜Pは、誘電性の中央ハブ105内の約0.25λdの位置に配置された導電性の励振素子125A〜Pによって励起される。ここで、誘電体の波長は、λd=λ0/平方根(Er)によって与えられ、Erは、誘電体ロッド110A〜Pを形成する誘電材料の比誘電率である。金属製バックショート(例えば、反射コア235)が、中央ハブ105内の、励振素子125A〜Pの背後の約0.25λdの位置にある。1つの例では、ポリスチレンの場合、Er=2.6である。29GHzの周波数では、λ0=10.3ミリメートル(mm)である。誘電体ロッド110A〜Pの各々の長さ(L)は、L=9λ0で与えられ、92.7ミリメートル(mm)になる。中央ハブ105の半径(R)は8.2mmである。
[0065]誘電体アンテナアレイ101A〜Eの複数の層を積み重ねること(例えば、間隔を空けた「車輪状」のアンテナ構造)によって、誘電体アンテナマトリックス500の実効面積が増加し、以て、それに比例して感度が増加する。各エンドファイアアンテナ110A〜Pの基部での導電性の励振素子125A〜Pは、信号を受信及び/又は送信するために、誘電体アンテナアレイ101A〜Eの積み重ねられた構造全体にわたって垂直に延びることができる。この方法でアンテナ構造を積み重ねることによって、遠距離場で結合されたエンドファイアビームのFWHMは、垂直の寸法で約1/平方根(NS)の量だけさらに減少し、NSは誘電体アンテナマトリックス500内で積み重ねられている層(誘電体アンテナアレイ)の数である。誘電体アンテナアレイ101A〜Eの「車輪状」の円筒形構成の代替として、誘電体ロッド110A〜Pは、球又は半球などの、他の面から延びることができ、以て、利用者は、例えば図9に示されているように、特定の環境内のRFビームの有効範囲をカスタマイズすることができる。
[0066]図6Aは、図6Bの断面図の周囲の状況を示すために断面領域A−Aに線が引かれている、誘電体アンテナマトリックス500の別の上面図である。図に示されているように、誘電体アンテナマトリックス500は、5つの垂直方向に積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eによって形成された16個の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを含んでいる。5つのレベルの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eが存在し、誘電体アンテナアレイの各々が16個の誘電体ロッド110A〜Pを含んでいるため、誘電体アンテナマトリックス500内には、合計で80個の誘電体ロッドが存在する。
[0067]反射コア235は、各積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの中央ハブ105の内部を裏打ちする。誘電体アンテナマトリックス500の中央ハブ105の外周は円形であるが、前述したように、外周320の形状は変化する(例えば、楕円形、多角形、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せになる)ことができる。誘電体アンテナマトリックスは、中央の取り付け穴305を含む。上側導電帯130は、中央ハブ105の横方向の上面115に形成され、最上部の積み重ねられた誘電体アンテナアレイの真上にある。図6C〜Dに示されているように、他の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101B〜Eも、各導電帯130B〜Eを含む。下側導電板310は、中央ハブ105の横方向の下面630に形成され、最下部の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101Eの真下にある。
[0068]図6Bは、図6Aの誘電体アンテナマトリックス500の断面A−Aである。図6Bには、2つの誘電体ロッドの積み重ね510A〜Bの詳細が示されており、これらの誘電体ロッドの積み重ねの各々は、誘電体ロッド110A〜Eが延びて中央ハブ105から離れるにつれて(特に、RF波を放射及び受信する誘電体ロッド110AE〜Eの端部(例えば、先端)で)先細(610)になる誘電体ロッド110A〜Eの各対を含んでいる。誘電体ロッドの積み重ね510A〜Bは、2つの励振素子125A〜Bのうちの各1つにそれぞれ含まれる。特に、誘電体ロッドの積み重ね510Aの誘電体ロッド110A〜Eの各々は、励振素子125Aによって制御される。誘電体ロッドの積み重ね510Bの誘電体ロッド110A〜Eの各々は、励振素子125Bによって制御される。反射コア235は、中央ハブ105の内部を裏打ちして外側へのRF反射器を形成し、空気で満たされた空洞650が、反射コア235によって作り出されたパイプの内部に形成される。
[0069]図6Cは、誘電体アンテナマトリックス500の、図6Bの円で囲まれた詳細領域Bの拡大図である。図6Cには、誘電体ロッドの積み重ね510Bの5つの誘電体ロッド110A〜Eの詳細が示されている。この例では、6つの導電帯が示されている。しかし、5つの上側導電帯130A〜E(例えば、金属環)が、下側導電板310である下部の6つの導電帯とはやや異なって形成されていることが分かる。
[0070]下側導電板310(例えば、金属円盤)は、RFエネルギーを最も下の誘電体ロッド110E内に制限するように、中央ハブ105の横方向の下面630に形成されるが、下側導電板310が機械的支持として機能し、回路基板800とインターフェイスをとることができるため、導電帯130A〜Eよりも著しく大きい。制御回路800に応答して誘電体ロッド110A〜Eを励振してRF波を送信又は受信する、励振素子125Bも示されている。
[0071]図6Dは、誘電体アンテナマトリックス100の、図6Cの円で囲まれた詳細領域Cの拡大図である。誘電体ロッドの積み重ね510Bの1つの完全な誘電体ロッド110B並びに2つの部分的な誘電体ロッド110A及び110Cの追加の詳細が示されている。図に示されているように、誘電体ロッド110A〜Cが外側の縦の面120から延びている。さらに図に示されているように、内側の縦の面625が、反射コア235によって裏打ちされており、反射コア235が下側導電板310に結合されている。空洞650は中空であり、空気に提出されている。
[0072]図7Aは、誘電体アンテナマトリックス500の5つの誘電体ロッドの積み重ね510A〜Eの側面図である。この例では、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Eの各々は、5つの誘電体ロッド110A〜Eを個々に含んでいる。誘電体ロッド110A〜Eの先細(610)の形状に起因して、誘電体ロッドが延びて中央ハブ105から離れるにつれて(特に、RF波を放射及び受信する誘電体ロッド110AE〜Eの端部(例えば、先端)で)、誘電体ロッド110A〜Eの間の間隔が大きくなる傾向がある。図に示されているように、誘電体ロッド110A〜Eの断面710は正方形であるが、断面710は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)にすることもできる。導電帯130A〜E及び下側導電板310も示されている。
[0073]図7Bは、図7Aの2つの誘電体ロッドの積み重ねの円で囲まれた詳細領域Jの拡大図である。誘電体ロッド110A〜Eの先細610の追加の詳細も示されている。導電帯130A〜E及び下側導電板310を含む6つの導電帯も示されている。例えば、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々が垂直に配置されるため、導電帯130A〜Eは、誘電体ロッドの積み重ね510Aの誘電体ロッド110A〜Eの各々の間の輪として成膜又はめっきされてもよい。下側導電板は、誘電体アンテナアレイ101A〜Eの積み重ねの前、間、又は後のいずれかに、最も下の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101Eに形成される。
[0074]図8は、アンテナシステム100の制御回路800のブロック図である。図に示されているように、制御回路800は、マイクロコントローラ805及び複数の独立して制御される出力810A〜Pを含んでいる。独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805に結合される。各独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805によって操作され、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pに結合されて、各励振素子125A〜Pを介してRF波を送信及び受信する。
[0075]各独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805からの切り替え制御815A〜Pなどの各切り替え制御信号に基づいてオン又はオフになるように構成される。マイクロコントローラ805は、RFビーム角(例えば、指向性)及び電力を制御するためのプログラミング命令を含むメモリを含むことができる。独立して制御される出力810A〜Pは、RF波の送信又は受信中に各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを有効化又は無効化することができる、スイッチ、中継装置、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、又はトランジスタであることができる。図8の例では、独立して制御される出力810A〜Pはスイッチであり、より詳細には、輪アセンブリに配置されたPINダイオードである。各切り替え制御信号815A〜Pに基づいて、各独立して制御される出力815A〜Pは、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを制御して、各励振素子125A〜Pを介してRF波を送信又は受信するように構成される。図8の例では、切り替え制御信号815A〜Pは、独立して制御される出力815A〜Pへの16本の線上を走る制御電圧(例えば、合計約0.8ワットの場合は、5ボルト(V)、10ミリアンペア(mA))である。一部の例では、制御電圧は、単線に加えられ、タイミング信号に基づいて、独立して制御される出力815A〜Pに対してゲート制御される。
[0076]制御回路800は、各独立して制御される出力810A〜Pに電気的に接続されたRF入出力(I/O:input/output)ストリップ820を含む。この例では、RF入出力ストリップ820は、50Ωのマイクロストリップリングである。制御回路800は、裏面から差し込まれるアンテナピンなどの、複数の電気的接触830A〜Pをさらに含む。各電気的接触830A〜Pは、各励振素子125A〜Pに電気的に接続され、各独立して制御される出力810A〜Pに電気的に接続される。マイクロコントローラ805は、制御回路800の各部分を有効化して閉じる切り替え制御信号815A〜Pなどの各制御信号を使用して、各独立して制御される出力810A〜Pをオンにするように構成される。各独立して制御される出力810A〜Pをオンにすることによって、RF入出力ストリップ820を各励振素子125A〜Pに電気的に接続し、選択された誘電体ロッド110A〜P若しくは誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを介したRF放射線の送信(例えば、送信モード)及び/又は選択された誘電体ロッド110A〜P若しくは誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを介したRF放射線の受信(例えば、受信モード)を行う。マイクロコントローラ805は、各切り替え制御信号815A〜Pを使用して、各独立して制御される出力810A〜PをオフにしてRF入出力ストリップ820を各励振素子125A〜Pから電気的に切断し、制御回路800の各部分を無効化して開くように構成される。
[0077]図にさらに示されているように、制御回路800は、送信モード中にRF入力信号をRF入出力ストリップ820に入力するように構成された無線装置860をさらに含む。無線装置860は、受信モード中にRF入出力ストリップ820からRF出力信号を受信するように構成される。マイクロコントローラ805は、RFビーム角制御プログラミング875にも結合される。RFビーム角制御プログラミング875は、メモリに格納することができ、マイクロコントローラ805からアクセス可能である。RFビーム角制御プログラミング875のプログラミング命令は、マイクロコントローラ805によって実行可能である。マイクロコントローラ805は、この例ではユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ポートである入出力(I/O)インターフェイス870にも結合される。代替的又は追加的に、RFビーム角制御プログラミング875は、入出力インターフェイス870を介して受信され得る。RFビーム角制御プログラミング875は、誘電体ロッド110A〜Pの位置及び数を選択して利用し、放射又は受信されるRFビームの狭さ又は幅を調整することができる。RFビーム角制御プログラミング875がビーム角を制御するために、マイクロコントローラ805は、I/Oインターフェイス870を介して送信されたデータを受信して利用してもよい。このデータは、無線装置860によって、アンテナシステム100に含まれているセンサによって、又は独立した別個の独立型センサによって、生成されてもよい。さらに、このデータは、誘電体アンテナアレイ101A〜Eによって受信され、無線装置860によって処理され、実行されたRFビーム角制御プログラミング875による意思決定のためにマイクロコントローラ805からアクセスできるメモリに、格納され得る。前述したように、相対的に狭いビームは、強化された電力を有することができ、特定の設定に役立つ可能性があり、一方、より広いビームは、他の設定においてより望ましいことがある。
[0078]制御回路800は、この例では16個の独立して制御される出力810A〜P及び16個の電気的接触830A〜Pを含んでいるが、この数は誘電体ロッド110A〜Pの数に応じて変化してもよい。誘電体ロッド110A〜P及び対応する励振素子125A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化する。通常、誘電体ロッド110A〜Pの数は、励振素子125A〜Pの数に一致する。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pよりも少ない励振素子125A〜Pが存在することがあり、例えば、単一の励振素子125Aが誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振することがある。したがって、独立して制御される出力810A〜P及び電気的接触830A〜Pの数は、誘電体ロッド110A〜Pの代わりに、励振素子125A〜Pの数に基づいてもよい。
[0079]マイクロプロセッサ及びRFビーム角制御プログラミング875のいずれかは、方法のステップとして1つ又は複数の方法において、又は1つ又は複数のプログラムにおいて具現化され得る。一部の実施形態によれば、プログラム(複数可)は、ソフトウェア命令又はハードウェア命令において具現化された論理などの、プログラムにおいて定義された機能を実行する。ファームウェア、手続き型プログラミング言語(例えば、C又はアセンブリ言語)、又はオブジェクト指向プログラミング言語(例えば、オブジェクティブC、Java、又はC++)などのさまざまな方法で構造化されたアプリケーションのうちの1つ又は複数を作成するために、さまざまなプログラミング言語が採用され得る。プログラム(複数可)は、本明細書に記載された機能を容易にするために、オペレーティングシステムによって提供されたAPI呼び出しを呼び出すことができる。プログラムは、任意の種類のコンピュータ可読媒体又はコンピュータストレージデバイスに格納され、1つ又は複数の汎用コンピュータによって実行され得る。加えて、本明細書で開示された方法及びプロセスは、代替として、特殊なコンピュータハードウェア、或いは特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、又は複合プログラム可能論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)において具現化され得る。
[0080]したがって、機械可読媒体は、有形のストレージ媒体のさまざまな形態をとることができる。不揮発性ストレージ媒体は、例えば、図に示されている、クライアントデバイス、メディアゲートウェイ、トランスコーダなどを実装するために使用できるような、任意のコンピュータ(複数可)内のストレージデバイスのいずれかなどの、光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性ストレージ媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの、動的メモリを含む。有形の送信媒体は、コンピュータシステム内のバスを含むワイヤなどの、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。搬送波送信媒体は、無線周波(RF)データ通信及び赤外線(IR:infrared)データ通信中に生成される信号又は波などの、電気信号又は電磁信号、或いは音波又は光波の形態をとってもよい。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意のその他の磁気媒体、CD−ROM、DVD又はDVD−ROM、任意のその他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを含む任意のその他の物理的ストレージ媒体、RAM、PROM、及びEPROM、フラッシュEPROM、任意のその他のメモリチップ又はカートリッジ、データ又は命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブル又はリンク、或いはコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取ることができる任意のその他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行のためにプロセッサに運ぶことに関与してもよい。
[0081]図9は、アンテナシステム101の別の誘電体アンテナアレイ901の等角図である。誘電体アンテナアレイ901は、中央ハブ105から外側に延びる複数の誘電体ロッド110A〜Pと共に中央ハブ105を含んでいる。誘電体ロッド110A〜Pは、特定の環境内でRFビームの有効範囲をカスタマイズするために、中央ハブ105の周囲に針差し又はヤマアラシのような配置で配置されている。中央ハブ105は外面920を含んでおり、誘電体ロッド110A〜Pが外面920から外側に延びている。示されている例では、外面920は、切り取られた回転楕円体又は楕円体(例えば、上半分又は半球)の形状をしている。誘電体ロッド110A〜Pは、特に外面920(例えば、上半球)の方向のRF波を敏感に受信し、RF波の送信を外面920(例えば、上半球)の方向に制限するように、外面920のさまざまな部分又は位置から延びるように配置される。外面920は、曲面形状(例えば、円筒、円錐、球体、楕円体、或いはその他の非球形又は球形)を有することができ、連続的であることができる。連続面又は壁(例えば、曲面)は、片方又は両方の端部で切り取られてもよい楕円体、回転楕円体、円錐、放物面、又は双曲面を形成することができる。代替的又は追加的に、外面920は、多面体(例えば、直方体、4面体など)の形状或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せを有することができる。針差し又はヤマアラシの配置は、受信又は送信されたRF波が空中の方向に制限される応用(例えば、人工衛星)において役立つことができる。
[0082]図10の例にさらに示されているように、励振素子125A〜Pの各々は、各誘電体ロッド110A〜Pのうちの1つを介して送信されたRF信号の偏波を制御するために、励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている交差した単極で形成され得る。励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、金属線などの導電媒体で形成することができ、交差角1005(この例では、約90°)で互いに交差する。励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、電気的に接続しないように、相互に絶縁される。例えば、交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、コネクタ1020A〜Bを介して組み合わさって、励振素子偏波構成要素1000A〜Bを介して互いに相対的にRF波の位相を変更することによって、誘電体ロッド110Aを通るように方向付けられたRF信号の偏波を制御する。交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bを、アンテナシステム100の励振素子125A〜Bの各々に利用することによって、誘電体アンテナアレイ101は、直線(例えば、水平又は垂直)偏波したRF信号又は円偏波したRF信号に対して敏感になるように構成され得る。図10に示されているように、励振素子125Aは、図8に示されている電気的接触のような電気的接触を介して無線装置860に接続される。しかし、励振素子125Aに関して図8に示されている電気的接触のような単一の電気的接触830Aの代わりに、励振素子125Aを形成する交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bの各々は、別々の各電気的接触1035A〜Bを介して無線装置860に接続される。
[0083]図11Aは、多入力多出力(MIMO:multiple−input and multiple−output)アーキテクチャを利用する、図8に示された制御回路に類似するアンテナシステム100の制御回路800のブロック図を示している。MIMOは、例えば、図5の誘電体アンテナマトリックス500を利用して多重伝搬を活用し、無線装置860A〜Bのリンクの容量を増やす。制御回路800は、マイクロコントローラ805及び複数の無線装置860−Nを含んでおり、そのうちの2つの無線装置860A〜Bが示されている。各無線装置860A〜Bは、各無線入出力(I/O)線861A〜Bに接続される。したがって、各無線入出力(I/O)線861A〜Bは、各無線入出力(I/O)線861A〜Bを介して独立して制御される各出力回路基板1100A〜Bに接続される。各無線入出力(I/O)線861A〜Bは、超小型のバージョンA(SMA:subminiature version A)などの、同軸ケーブル及び半精度の同軸RFコネクタを含むことができる。
[0084]ビーム管理アルゴリズムを組み込んでいるマイクロコントローラ805は、望ましい誘電体ロッド110A〜P又は誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの有効化を命令するための信号を供給する。制御回路800は、特定の時間にどの誘電体ロッド110A〜Pが有効化されるかの選択において、完全な柔軟性を実現する。マイクロコントローラ805は、誘電体ロッド110A〜Pを介した送信/受信のための通信プロトコル及び信号を提供する1つ又は複数の無線装置860A〜Nとインターフェイスをとる。制御回路800は、切り替え速度及び柔軟性を最大化するために、PINダイオードのリングネットワークを組み込んでもよい。誘電体ロッド110A〜Pは、プラスチック、テフロン(登録商標)、又はその他の誘電材料から製造されてもよい。
[0085]制御回路800は、マイクロコントローラ805に接続されたバイアス回路1106をさらに含んでもよい。バイアス回路1106は、多重化された切り替え制御信号815(例えば、デジタル信号又はアナログ信号)をマイクロプロセッサ805から受信し、切り替え制御信号815を、各独立して制御される出力回路基板1100A〜B用の16個の別々の逆多重化された切り替え制御信号815A〜P(例えば、アナログ電圧)に逆多重化する。16個の逆多重化された切り替え制御信号815A〜Pの各々は、各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフにするために、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各々に電気的に伝達される。示されている図では、4つ(独立して制御される出力回路基板1100A〜Bごとに2つ)の逆多重化され切り替え制御信号815A〜Pのみが示されている。バイアス回路1106は、独立して制御される出力回路1103A〜Pを適切に動作させて、各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフに切り替えるために、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの既定の電圧及び電流を確立する。
[0086]1つの例では、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各々は、16個の独立して制御される出力回路1103A〜P(例えば、PINダイオードのRFスイッチ回路)を含む。しかし、2つの独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの示された部分の断面図には、2つの独立して制御される出力回路1103A〜Bのみが示されている。図にさらに示されているように、独立して制御される出力回路1103Aは、破線の楕円で囲まれた領域として識別される。
[0087]図11Aの例では、誘電体ロッド110A〜Pの数を16個を超えて増やすために、追加の誘電体ロッド110(例えば、ポリロッド)のポートが各RF入出力ストリップ820の輪に追加され得る。誘電体ロッド110A〜Pの数を16個未満に減らすために、誘電体ロッド110(例えば、ポリロッド)のポートを削除することもできる。さらに、追加の無線装置860Nごとに追加の独立して制御される出力回路基板1100N(例えば、PINダイオードの基板)を追加することによって、無線装置860A〜Bの数を、3つ以上に増やすことができる。
[0088]図11Bは、図11Aに示された独立して制御される出力回路1103Aの分解図である。1つの例では、16個の独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、短絡スイッチ1120(例えば、反射型のPINダイオードなどのPINダイオード)などの、各独立して制御される出力810A〜Pを含む。したがって、独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜P(例えば、PINダイオード)を含み、独立して制御される出力810A〜Pは、短絡スイッチ1120A〜Pのアレイを集合的に形成する。この例では、誘電体ロッド110Aごとに1つのPINダイオード1120Aが存在し、利用されるPINダイオードは、部品番号MA4AGP90又はMA4AGSW1として、MACOMによって製造される。各短絡スイッチ1120A〜Pは、各RF供給側端子1135A〜P、各アンテナ側端子1140A〜P、及び少なくとも1つの各制御信号端子1141A〜P(例えば、陽極端子及び陰極端子)を含むことができる。
[0089]独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜Pの各RF供給側端子1135A〜Pに結合された各供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P(1/4波長、又は3/4波長、5/4波長などの、その奇数倍である)を含む。各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pは、RF入出力ストリップ820にも結合される。独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜Pの各アンテナ側端子1140A〜Pに結合された各アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜P(1/4波長、又は3/4波長、5/4波長などの、その奇数倍である)を含む。各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1155A〜Pは、各RF電気的接触830A〜Pにも結合される。したがって、各短絡スイッチ1120A〜Pは、各供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜Pと各アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pの間に結合される。
[0090]供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P及びアンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、同軸ケーブル、マイクロストリップ、導波管、又はその他の適切な1/4波長媒体を含むことができる。例示的な5Gハブのマイクロストリップ設計では、供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P及びアンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、各PINダイオード1120A〜Pが順方向にバイアスされたときに、PINダイオードの位置で短絡する。短絡したPINダイオードは、伝送線の各1/4波長セクションによって、供給RF入出力ストリップ820及びアンテナ端子で、開回路に変換される。PINダイオードが逆方向にバイアスされたときに、アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、供給線の特性インピーダンスを最大電力伝達のためのアンテナの望ましい励振インピーダンスに変換する。
[0091]一部の例では、独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各供給側の直流(DC:direct current)ブロックコンデンサ1165A〜P及び各アンテナ側のDCブロックコンデンサ1170A〜Pを含むことができる。各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pは、各供給側の直流(DC)ブロックコンデンサ1165A〜Pを介してRF入出力ストリップ820に結合され得る。各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1155A〜Pは、各アンテナ側のDCブロックコンデンサ1170A〜Pを介して各電気的接触830A〜Pに結合され得る。
[0092]各短絡スイッチ1120A〜Pは、独立して制御される出力回路基板1100Aの回路基板1180上及び/又は内に形成された各ビア1175A〜Pを介して接地されるように構成される。制御回路800のプリント基板(PCB:printed circuit board)設計では、各ビア1170A〜Pは、回路基板1180の異なる部分の対応する位置に、2つの電気パッドを含み、これらの電気パッドは、独立して制御される出力回路基板1100Aの回路基板1180を通る穴によって電気的に接続される。この穴は、独立して制御される出力回路基板1103Aのグランドプレーン1185に接続する電気相互接続を作成するために、電気めっきによって導電性にすることができ、又は管又はリベットを使用して裏打ちすることができる。ブラインドビア又はスルーホール型のビア、並びに表面相互接続、内部又は外部の導電性トレース、及び平面電極などのさまざまなその他の種類の電気相互接続が、電気接続に利用され得る。
[0093]少なくとも各1つの制御信号端子1141A〜Pに加えられた各切り替え制御信号815A〜Pによって各短絡スイッチ1120A〜Pがオンに切り替えられた(オンにされた)(例えば、低インピーダンス状態になった)場合、各短絡スイッチ1120A〜Pは、各ビア1175A〜Pによってグランドプレーン1185(グランド)に短絡する。この状態は、各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pを通ってRF入出力ストリップ820に戻る開回路として現れる。各短絡スイッチ1120A〜Pがオフに切り替えられた(オフにされた)(例えば、高インピーダンス状態になった)場合、RF信号(波)が、各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pと各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1150A〜Pの間の各短絡スイッチ1120A〜Pを通過する。
[0094]図12は、チャネルごとに複数の利用者にサービスを提供するために複数のRFチャネルを採用する、図8及び図11A〜Bに示されたアーキテクチャに類似する多ユーザ多入力多出力(MU−MIMO)アーキテクチャの概要を示している。各無線装置860A〜Cは、異なるRF周波数チャネルを中心にすることができる。制御回路800は、複数の無線装置860A〜Nを含んでおり、そのうちの3つの無線装置が示されている。各無線装置860A〜Nは、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続されてもよい。各独立して制御される出力回路基板1100A〜Bは、RF信号(波)を(送信又は受信中に)各無線装置860A〜Nとの間で伝達するために、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続された各RF入出力ストリップ820A〜Nを含んでいる。各切り替え制御信号815A〜Pは、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各RF入出力(I/O)ストリップ820A〜Pの各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフにしてもよい。各RF入出力(I/O)ストリップ820A〜Nは、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続される。切り替え制御信号815A〜Pは、メモリに格納され、図8に示されているように、マイクロプロセッサ805によって、又はI/Oインターフェイス870(例えば、USB232)によって実行されるRFビーム角制御(例えば、形成)プログラミング875に基づいて生成され得る。
[0095]図にさらに示されているように、制御回路800は、MIMO符号化ブロック1210並びに送信(TX:transmission)及び受信(RX:reception)ブロック1215を含んでいる。MIMO符号化ブロック1210は、802.11技法に基づくことができる。MIMO符号化ブロック1210は、TX/RXブロック1215によって制御されるプログラミングであることができる。MIMOは、複数の送信及び受信誘電体アンテナアレイ101A〜Nを使用して多重伝搬を活用し、1つ又は複数の無線装置860A〜Nの容量を増やすための技法である。例えば、誘電体アンテナアレイ101A〜Nは、100メガヘルツ(MHz)〜40ギガヘルツ(GHz)の範囲内で送信又は受信してもよい。アンテナシステム100は、独立した出力回路基板1110A〜Nの制御回路800を含む。独立した出力回路基板1110A〜Nは、(スイッチングマトリックスとして配置された)複数の独立して制御される出力回路1103A〜Pを含んでおり、独立して制御される出力回路1103A〜Pは、この目的で送信及び受信するために、どの無線装置860A〜N、変調方式、及び誘電体アンテナアレイ101A〜Nが有効化されるべきかを(MIMO符号化ブロック1210を介して)利用者が設定できるようにする。
[0096]1つのMU−MIMOの例では、アンテナシステム100の制御回路800は、8つの独立して制御される出力回路基板1100A〜Hを含み、これらの独立して制御される出力回路基板1100A〜Hの各々は、各無線装置860A〜Hに接続された後に、同軸相互接続を介してまとまってチェーン接続される。複数のRFチェーンの接続を接続することができ、原理的には、アンテナアレイ101A〜N内に存在する誘電体ロッド110A〜Pと同じ数の独立した無線ビーム(例えば、図11Aに示されているような2つの独立したRFチェーン、又は図12に示されているような8つ程度の独立したRFチェーン)を可能にする。1つから複数又は全部までの複数のアンテナ要素(誘電体ロッド110A〜P)が、任意の望ましい構成で同時に有効化され得る。規定の方法で隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、生成されたビームの方位角又は高度が(制限内で)操作され得る。28GHzのアンテナシステム100は、1〜10ワット(W)の実効放射電力で500メートル(見通し線)を超える送信範囲を実現することができる。電力入力は、望ましい送信範囲及びデータ速度を可能にするように調整され得る。1つの例では、誘電体アンテナマトリックス500は、それぞれ18個の誘電体ロッド110A〜Pの3つの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Cに配置された合計54個の誘電体ロッドのハブとスポークの設計を有する、3つの誘電体アンテナアレイ101A〜Cを含む。これによって、単一のアンテナシステム100での360度の領域の完全な有効範囲を可能にする。アンテナシステム100の形状は、特定の使用事例の場合に、単層又は多層の輪、放射状に突き出る誘電体ロッド110A〜Pを備える球体、又はその他の望ましい形状を含む形状に修正され得る。誘電体ロッド110A〜Pは、ビームのパターン及び有効範囲を最適化するために、任意の角度に傾ける(傾斜させる)ことができる。誘電体ロッド110A〜Pは、柔軟な使用及び修正を可能にするために、モジュール方式で取り付けられてもよい。
[0097]誘電体ロッド110A〜Pの形状は、特定の使用事例の場合に、カスタマイズされ得る。1つの例では、誘電体ロッド110A〜Pは、波長の9倍の長さであり、円形の断面及び先細を有する。誘電体ロッド110A〜Pの長さは、異なる周波数、利得、及びビーム幅を実現するように調整され得る。誘電体ロッド110A〜Pの形状及び先細は、ビーム形状を最適化するように調整され得る。
[0098]独立して制御される出力回路基板1100A〜Hの各々は、16個の独立して制御される出力回路1103A〜P(例えば、PINダイオードのRFスイッチ回路)を含む。各独立して制御される出力回路1103A〜Pは、(例えば、16個のPINダイオード短絡スイッチのアレイとして配置された)各独立して制御される出力810A〜P及び各1/4波長伝送線1145A〜P、1150A〜Pを含む。この方法は、独立して制御される出力810A〜Pに接続された誘電体アンテナマトリックス500内の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)が、無線装置860A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)によって励振されることを可能にする。この方法は、ビーム操作(及び形成)における最大の効率及び柔軟性を、最小限の数の構成要素を使用して低損失で実現する。したがって、アンテナシステム100では位相シフタは不要であるが、必要に応じて位相シフタが含まれ得る。PINダイオード1120A〜P型の独立して制御される出力810A〜Pが、オンに切り替えられている(オンにされている)切り替え制御信号815A〜Pから順方向にバイアスされた場合、PINダイオードは、送信モード又は受信モード中に、無線装置860との間のRF信号(例えば、RF供給信号)をグランドに接続する。1/4波長の長さの伝送線を介して逆に見たときに、オンへの切り替え(オンにすること)は、無線装置860A〜HをRF信号に対して開くこととして現れる。PINダイオード1120A〜P型の独立して制御される出力810A〜Pが、オフに切り替えられている(オフにされている)切り替え制御信号815A〜Pから逆方向にバイアスされた場合、PINダイオードは、無線装置860A〜Hとの間のRF信号をグランドから分離し、RF信号がPINダイオード1120A〜Pを通過して、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)に非常に少ない損失で渡ることができるようにする。
[0099]図12では、PINダイオードの輪(すなわち、PINダイオードのスイッチングマトリックス)を集合的に形成することができる独立して制御される出力回路1103A〜Pを含む、すべての誘電体アンテナアレイ101A〜Nが、各独立して制御される出力回路基板1100A〜Nに接続される。このアーキテクチャは、任意の誘電体アンテナアレイ101A〜Nへの任意の無線装置860A〜Nのアクセスを可能にする。説明したように、PINダイオードの輪が、PINダイオードの輪に適切に接続された任意の種類のアンテナアレイ(例えば、ポリロッド、マイクロストリップパッチ、又はフィードホーン)と共に動作できるということに、注意するべきである。
[0100]前述したように、MIMOと共にスイッチ及びスプリッタを使用して、どの時点においても複数(最大8つ)の送信及び受信を可能にすることができる。スイッチングマトリックスネットワークは、8つの入力及び出力を追加することによって、8つ以上のチャネル経路に対応することができるため、大規模MIMOの応用に対応することができる。28GHzでの無線信号のファンアウトのためのスイッチング及びスプリッタ、並びに28GHzから10GHz未満へのアップコンバートとダウンコンバートの両方のための変換段の組合せは、いずれかの特定のスポークを送信又は受信として使用して、SISO(単入力単出力:single input single output)及び2度のMIMOを提供する、多用途性を実現する。
[0101]図13Aは、図13Bの切り欠き図の周囲の状況を示すために詳細領域Aが円で囲まれている、図1の誘電体アンテナアレイ101Aの誘電体ロッド110Aの側面図である。図に示されているように、各誘電体ロッド110Aは、各励振素子125Aによって励振される。励振素子125Aは、1つ又は複数の旋回から成るばねに似た構造を有する、らせん形素子1305Aである。各旋回は、約1波長の外周を有し、約0.225波長だけ分離されている。各らせん形素子1305Aは、各誘電体ロッド110Aの基部に埋め込まれる。この埋め込みは、例えば、らせん形素子1305Aを射出成形の内部に挿入し、ポリマー材料を流して、各らせん形素子1305Aを通る各誘電体ロッド110A及び/又は各らせん形素子1305Aの周囲の各誘電体ロッド110Aを形成することによって、実現され得る。この例では、らせん構造を作成することによって、8デシベル(dB)の利得を実現し、コストを削減することができる。誘電体ロッド110Aの円筒に接着によって取り付けられる複数個の手巻きのらせん構造の代わりに、マイクロストリップを、ストリップラインのらせん構造及び誘電体ロッド110Aと、すべて同じ基板内で統合し、1個のアンテナアセンブリを作成することができる。
[0102]図13Bは、図13Aの誘電体ロッド110Aの円で囲まれた詳細領域Aの切り欠き図であり、単一の誘電体ロッド110Aと、共振空洞1310Aに囲まれたらせん形素子1305Aである励振素子125Aとの詳細を示している。各共振空洞1310A〜P(例えば、導電性空洞)は、各らせん形素子1305A〜Pを囲む各導電性壁1315A〜Cを含み、各導電性壁1315A〜Cで形成される。各共振空洞1310A〜Pの導電性壁1315A〜Cは、前述した反射コア235及び導電性インサート119A〜Pと同様に、各誘電体ロッド110A〜Pの内部でRFエネルギーを反射する。らせん形素子1305A〜P及び共振空洞1310A〜P(導電性壁1315A〜Cを含む)は、銅、アルミニウム、銀など、又はこれらの組合せなどの、任意の適切な導体又は金属層で形成されてもよい。
[0103]図13A〜Bの例にさらに示されているように、励振素子125A〜Pによって各誘電体ロッド110A〜Pを励起することができ、励振素子125A〜Pは、各誘電体ロッド110A〜Pの基部(例えば、各共振空洞1310A〜Pの内部)に埋め込まれた各らせん形素子1305A〜Pである。各らせん形素子1305A〜Pは、右側円偏波(RCP:right hand circular polarization)、左側円偏波(LCP:left hand circular polarization)、又はRCPとLCPの両方を提供するように構成され得る。各らせん形素子1305A〜Pは、本質的に広帯域であり、誘電体ロッド110A〜Pを広い帯域幅(>30%)にわたって動作させることができる。
[0104]さまざまな種類の励振素子125A〜Pを使用して誘電体アンテナアレイ101を励振することによって、RF波(信号)のさまざまな偏波制御状態が実現され得る。図6Dの例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、単極によって励振されて、直線偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、直線偏波したRF波を送信又は受信する各単極を含むことができる。図10の例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、交差した単極によって励振されて、二重直線偏波又は円偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、二重直線偏波又は円偏波したRF波を送信又は受信する各交差した単極(図10に励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている)を含むことができる。ここで、「二重」とは、垂直偏波した信号又は水平偏波した信号のいずれかを受信することを意味する。円偏波した波は、必要に応じて、同じであるが±90度の位相差を有するRF信号を、交差した単極(図10に励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている)に供給することによって、作り出され得る。図13A〜Bの例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、埋め込まれたらせん形素子によって励振されて、円偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、図13A〜Bに示されているように、円偏波したRF波を送信又は受信する各らせん形素子1305A〜Pを含むことができる。円偏波は、携帯電話利用者のサポートにおいて最大限の柔軟性を実現することができる。
[0105]したがって、図1のアンテナシステム100は、16個のアンテナアレイ101A〜Pと、励振素子125A〜Pとして機能する16個のらせん形素子1305A〜Pとを含むアンテナアレイ101を含むことができる。各誘電体ロッド110A〜Pは、各らせん形素子1305A〜Pによって励振されて、RF波(信号)を送信又は受信する。16個の各らせん形素子1305A〜Pの各々は、各共振空洞1310A〜Pによって囲まれている。誘電体ロッド110A〜Pは、図1に示されているように、誘電体アンテナアレイ101の中央ハブ105から生じることができ、又は図5に示されているような複数の誘電体アンテナアレイ101A〜Eとして積み重ねられ得る。誘電体アンテナアレイ101A〜Eが積み重ねられた場合、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の5つの誘電体ロッド110A〜Eの各々を独立して(別々に)制御するための80個の個別のらせん形素子1305が存在することができる。
[0106]図14は、スイッチングマトリックスアセンブリ構成内で3つの誘電体ロッド110A〜Cそれぞれと統合された16個の独立して制御される出力回路基板1100A〜Pを含むアンテナシステム100を示している。図に示されているように、各独立して制御される出力回路基板1103A〜Pは、垂直に取り付けられて、スイッチングマトリックスアセンブリを作り出す。各独立して制御される出力回路基板1103A〜Pは、3つの各誘電体ロッド110A〜Cそれぞれを含んでいる各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを含むことができる。したがって、図に示されているように、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、3つ以上の放射状の誘電体ロッド110A〜Cを含んでいる。図14の例では、18個の独立して制御される出力回路基板1103A〜Pの各々は、20度離れて、360度の有効範囲を可能にすることができる。デジタル垂直及び水平ビームの形成及び操作のためのこの方法は、ケーブル又は複雑なケーブルハーネス及び放射状の要素の層数を増やす能力を使用せずに、ビーム形成/操作の目的の応用及び完全な実装のためのアンテナ角のカスタマイズを可能にする。
[0107]誘電体ロッド110A〜Cは、各誘電体ロッド110A〜Cに関連付けられたらせん形素子1305A〜Cによって有効化され、円偏波を可能にする。各らせん形素子1305A〜Cは、製造を簡略化するために、28GHzで独立した出力回路基板1100A〜Pに統合されてもよい。誘電体ロッド110A〜Cは、例えばコストを最小限に抑えるためにオールインワンプロセスを使用して、示された制御回路800に取り付けられるモジュール式のスタックボード(stackboard)に取り付けられ得る。
[0108]本明細書に記載された例では、誘電体ロッド110A〜Pの数及び間隔は、特定の使用事例の場合、及び各誘電体ロッド110A〜P間のRF信号の減少を最小限に抑えるために、カスタマイズされ得る。各誘電体ロッド110A〜Pは、各励振素子125A〜Pによって独立して有効化され得る。各誘電体ロッド110A〜Pは、RF信号を受信及び送信することができる。制御回路800は、いずれかの特定の時間にどの誘電体ロッド110A〜Pが有効化されるかという選択における完全な柔軟性を可能にし、誘電体ロッド110A〜P間の切り替えを可能にするように、実装される。制御回路800は、PINダイオード1103A〜Pを、極めて迅速なRFビームの切り替えを可能にする独立して制御される出力810A〜Pとして組み込んでもよい。RFビーム管理アルゴリズムを組み込んでいるマイクロコントローラ805は、RF信号を伝達するために、望ましい誘電体ロッド110A〜Pの有効化を命令するための信号を制御回路800に供給する。
[0109]マイクロコントローラ805は、誘電体ロッド110A〜Pを介したRF波の送信のための通信プロトコル及び信号を提供する1つ又は複数の無線装置860A〜Nとインターフェイスをとる。1つから複数又は全部までの複数の誘電体ロッド110A〜Pが、同時に有効化され得る。誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの誘電体ロッド110A〜Pの輪が、互いに積み重ねられ、追加の有効範囲を提供することができる。誘電体ロッド110A〜Pは、スタックボードを介してモジュール方式で取り付けられ、垂直に積み重ねられる誘電体ロッド110A〜Pの数における柔軟性を可能にすることができる。誘電体ロッド110A〜Pは、垂直方向の有効範囲を最適化するために、任意の角度に傾けることができる。各誘電体ロッド110A〜Pの形状は、最適な、又は望ましいビーム形状を生成するようにカスタマイズされ、サイドローブを低減するように先細にされ得る。各誘電体ロッド110A〜Pの長さは、特定のRF周波数、利得、及びビーム幅に対してカスタマイズされ得る。規定の方法で隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、生成されたRFビームが垂直又は水平に操作され得る。アンテナシステム100への電力入力は、望ましいデータ速度及び伝送距離を可能にするように調整され得る。隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、RFビームが誘電体ロッド110A〜P間から生じるようにし、利用者が有効範囲内を移動するときの利得の減少を最小限に抑えることができる。複数のRFチェーンを接続することができ、原理的には、アンテナアレイ101A〜E内に存在する誘電体ロッド110A〜Pと同じ数の独立したRFビームを可能にする。アンテナシステム100は、RFの送信と受信の両方に使用することができ、単一ユーザMIMO、多ユーザMIMO、及びSISOをサポートすることができる。アンテナシステム100の形状は、特定の使用事例の場合に、単層又は多層の輪、放射状に突き出る誘電体ロッド110A〜Pを備える球体、及びその他の望ましい形状を含む形状に修正され得る。
[0110]保護の範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって制限される。この範囲は、本明細書及び後に続く出願経過を考慮して解釈されたときに、特許請求の範囲内で使用される言語の通常の意味と一致する広さとなるよう意図されており、そのように解釈されるべきであり、すべての構造的及び機能的に同等のものを包含するよう意図されており、そのように解釈されるべきである。それにもかかわらず、特許請求の範囲は、特許法の第101項、第102項、又は第103項の要件を満たさない主題を包含するよう意図されておらず、そのように解釈されるべきではない。そのような主題の意図されない包含は、本明細書によってすべて放棄される。
[0111]すぐ上で述べたことを除き、述べられた内容又は説明された内容は、特許請求の範囲内で列挙されているかどうかに関わらず、構成要素、ステップ、特徴、目的、恩恵、利点、又は同等のものの公衆への献納を引き起こすよう意図されておらず、そのように解釈されるべきではない。
[0112]本明細書において使用された用語及び表現は、本明細書において特に固有の意味が示された場合を除き、それらに対応する照会及び調査の各領域に関して、そのような用語及び表現と一致するそのままの通常の意味を有するということが理解されるであろう。第1及び第2などの関係を示す用語は、そのような実体又は動作の間のそのような実際の関係又は順序を必ずしも必要としないか、又は意味せずに、ある実体又は動作を別の実体又は動作と単に区別するために使用されることがある。用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、又はこれらの任意のその他の変形は、要素又はステップのリストを備えているか、又は含んでいるプロセス、方法、項目、又は装置が、それらの要素又はステップのみを含むのではなく、明示的に示されていないか、或いはそのようなプロセス、方法、項目、又は装置に固有の他の要素又はステップを含んでもよいように、非排他的包含を含むよう意図されている。「a」又は「an」が前に付く要素は、さらなる制約なしに、この要素を備えるプロセス、方法、項目、又は装置における追加の同一の要素の存在を除外しない。
[0113]特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書において示されたあらゆる測定、値、評価、位置、大きさ、サイズ、及びその他の仕様は、近似であり、正確ではない。そのような量は、それらの量が関係している機能、及びそれらの量が関連する技術分野において慣習となっているものと一致する、妥当な範囲を有するよう意図されている。例えば、特に明記しない限り、パラメータ値又は同様のものは、規定された量から±10%程度変化してもよい。
[0114]加えて、前述の「詳細な説明」のさまざまな例において、本開示を簡素化する目的で、さまざまな特徴がまとまってグループ化されるということが、理解され得る。本開示の方法は、請求された例が各請求項において明示的に列挙されている特徴より多い特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映しているように、保護される主題は、いずれかの単一の開示された例のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって「詳細な説明」に組み込まれており、各請求項は、別々に請求される主題として独立している。
[0115]上記では、最良の形態であると考えられるもの及び/又はその他の例について説明したが、これらにおいてさまざまな変更が行われてもよいということ、及び本明細書で開示された主題が、さまざまな形態及び例において実装されてもよいということ、並びにこれらが多数の応用に適用されてもよく、その一部のみが本明細書において説明されていることが、理解される。以下の特許請求の範囲では、本概念の真の範囲に含まれるあらゆる変更及び変形を請求することが意図される。
[0002]本主題は、例えば、制御回路を備えるアレイ、積み重ね、及びその他の誘電体構造の構成などの誘電体構造を有するアンテナ、並びに切り替え機能を介してビーム指向性を実現するための技法に関する。
[0003]無線アンテナは、あらゆる無線機器の重要な構成要素であり、無線放送、テレビ放送、双方向無線、通信受信機、レーダー、携帯電話、衛星通信、及びその他のデバイスにおいて使用されている。無線アンテナは、受信機又は送信機に電気的に接続された導体のアレイであり、空間を通って伝搬する無線周波数(RF:radio frequency)波と、導体内を送信機又は受信機に移動する電流との間のインターフェイスを提供する。送信モードでは、無線送信機は、電流をアンテナ端子に供給し、アンテナが電流からのエネルギーを電磁波(電波)として放射する。受信モードでは、アンテナ端子で電流を生成するために、アンテナが電磁波の電力の一部を傍受し、この電流が、増幅のために受信機に印加される。
[0004]無線アンテナの一種は、フェーズドアレイラインフィードアンテナ(phased array line feed antenna)である。フェーズドアレイラインフィードアンテナは、通常、球面反射器に関連して又はそれに関連せずに、連続的な電子ビーム操作用に最適化される。フェーズドアレイラインフィードアンテナの適切な応用例は、宇宙応用である。狭RFビームを必要とする応用の場合、フェーズドアレイラインフィードアンテナを制御するために、複雑な励振電子装置が必要になる。例えば、狭RFビームを実現するために、位相シフタを利用できる。しかし、位相シフタは、損失が多くなる傾向があり、追加の電力増幅器が受信及び送信の両方に必要になる。
[0005]その結果、フェーズドアレイラインフィードアンテナを狭RFビームの応用に適合させるには、大きな費用がかかる。5Gアプリケーションなどの、狭ビームが望ましい応用では、狭RFビームとビーム操作機能の両方が望ましい。しかし、フェーズドアレイラインフィードアンテナなどの無線アンテナにおいて、狭RFビームとビーム操作機能の両方をコスト効率の高い方法で実装することは困難である。
[0006]1つの例では、アンテナシステムは、複数の励振素子及び少なくとも1つの誘電体アンテナアレイを含む。少なくとも1つの誘電体アンテナアレイは、中央ハブを含む。各励振素子は、中央ハブを通って延びる。少なくとも1つの誘電体アンテナアレイは、中央ハブから外側に延びる複数の誘電体ロッドをさらに含む。各誘電体ロッドは、励振素子のうちの各1つによって励振される。アンテナシステムは、励振素子を切り替えて誘電体ロッドのうちの1つ又は複数を励振し、無線周波数(RF)波を送信又は受信するために、少なくとも1つの誘電体アンテナアレイに結合された制御回路をさらに含む。
他の例では、アンテナシステムは、複数の誘電体ロッドの積み重ね及び制御回路を含む。 制御回路は、複数の独立して制御される出力回路基板を含む。各独立して制御される出力回路基板は、各誘電体ロッドの積み重ねを含む。各誘電体ロッドの積み重ねは、複数の各誘電体ロッドを含む。制御回路は、(i)複数の誘電体ロッドの積み重ね、及び(ii)各誘電体ロッドの積み重ねの各誘電体ロッドを選択して、放射又は受信される無線周波数(RF)波のビームを調整する。
[0007]実施例の追加の目的、利点、及び新しい特徴が、以下の説明において部分的に説明され、以下の説明及び添付の図面を調べたときに、一部が当業者には明らかとなり、又は実施例の製造若しくは操作によって理解することができる。本主題の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される方法、手段、及び組合せによって実現され、達成されてもよい。
[0008]図面は、制限ではなく例として、1つ又は複数の実装形態を示す。図面では、同様の参照番号は、同じ又は同様の要素を指す。
アンテナシステムの誘電体アンテナアレイの等角図であり、誘電体アンテナアレイが、中央ハブ、複数の誘電体ロッド、及び導電性インサートを含んでいる。
誘電体アンテナシステムの等角図であり、導電帯及び複数の励振素子と共に図1の誘電体アンテナアレイを含んでおり、励振素子への誘電体アンテナアレイの結合の追加の詳細を示している。
誘電体ロッドが中央ハブの周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、図1の誘電体アンテナアレイの上面図である。
図3Cの拡大図の周囲の状況を示すために詳細領域が円で囲まれている、図3Aの誘電体アンテナアレイに類似する図1の誘電体アンテナアレイの別の上面図である。
図3Bの誘電体アンテナアレイの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、図1の誘電体アンテナアレイの中央ハブのさまざまな導電性インサート開口部及び励振素子の穴を示している。
誘電体ロッドが中央ハブの周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、図1の誘電体アンテナアレイの下面図である。
誘電体ロッドの積み重ねを形成するように図1の複数の積み重ねられた誘電体アンテナアレイを含む、誘電体アンテナマトリックスの等角図であり、各誘電体ロッドの積み重ねが、各励振素子によって励振される。
図6Bの断面図の周囲の状況を示すために断面領域A−Aに線が引かれている、図5の誘電体アンテナマトリックスの別の上面図である。
図6Aの誘電体アンテナマトリックスの断面A−Aであり、2つの誘電体ロッドの積み重ね、2つの励振素子、及び反射コアの詳細を示している。
図6Bの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの積み重ねの5つの誘電体ロッド、6つの導電帯(導電帯の最下部は、修正された下側導電板である)、励振素子、及び反射コアの詳細を示している。
図6Cの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの積み重ねの1つの完全な誘電体ロッド及び2つの部分的な誘電体ロッド、外側の縦の面からの誘電体ロッドの伸長、並びに反射コアによる内側の縦の面の裏打ちの追加の詳細を示している。
誘電体ロッドの間隔、断面、及び先細の詳細を示す、図5の誘電体アンテナマトリックスの5つの誘電体ロッドの積み重ねの側面図であり、図7Bの拡大図の状況を示すために詳細領域が円で囲まれている。
図7Aの2つの誘電体ロッドの積み重ねの円で囲まれた詳細領域の拡大図であり、誘電体ロッドの先細及び6つの導電帯(導電帯の最下部は、修正された下側導電板である)の追加の詳細を示している。
アンテナシステムの制御回路のブロック図であり、制御回路が、マイクロコントローラ、独立して制御される出力、及びRF入力ストリップを含んでいる。
アンテナシステムの別の誘電体アンテナアレイの等角図であり、誘電体アンテナアレイが、中央ハブ及び前述した構造に類似する他の構造を含んでいるが、複数の誘電体ロッドが針差し又はヤマアラシのうように配置されている。
直線(例えば、水平又は垂直)偏波又は円偏波を含む、RF信号の偏波制御のための、交差した単極を含んでいる励振素子を示す図である。
多入力多出力(MIMO:multiple−input and multiple−output)アーキテクチャを利用する、図8に示された制御回路に類似するアンテナシステム100の制御回路のブロック図を示す図である。
図11Aに示された独立して制御される出力回路の分解図である。
チャネルごとに複数の利用者にサービスを提供するために複数のRFチャネルを採用する、図8及び図11A〜Bに示されたアーキテクチャに類似する多ユーザ多入力多出力(MU−MIMO:multiple user multiple−input and multiple output)アーキテクチャの概要を示す図である。
図13Bの切り欠き図の状況を示すために詳細領域Aが円で囲まれている、図1の誘電体アンテナアレイの誘電体ロッドの側面図である。
図13Aの誘電体ロッドの円で囲まれた詳細領域Aの切り欠き図であり、単一の誘電体ロッドと、共振空洞に囲まれたらせん形素子である励振素子との詳細を示している。
スイッチングマトリックスアセンブリ内で誘電体ロッドと統合された独立して制御される出力回路基板を含むアンテナシステムを示す図である。
[0031]以下の詳細な説明では、関連する内容の完全な理解を可能にするための多くの具体的な詳細を例として示す。しかし、そのような詳細がなくても本内容を実施できるということは、当業者にとって明らかであろう。他の例では、本内容の態様を不必要に曖昧にするのを防ぐために、周知の方法、手順、構成要素、及び/又は回路が、詳細を含まずに相対的に高いレベルで説明されている。
[0032]「結合された」という用語は、本明細書において使用されるとき、任意の論理的、物理的、電気的、又は光学的接続、リンクなどのことを指し、そのような接続、リンクなどによって、システムの1つの要素によって生成又は供給された信号又は光が別の結合された要素に伝えられる。特に説明されない限り、結合された要素又はデバイスは、必ずしも直接的に互いに接続されず、光又は信号を修正、操作、又は搬送することができる中間の構成要素、要素、又は通信媒体によって分離されてもよい。
[0033]図面のいずれかに示されているような、誘電体アンテナアレイ、関連する構成要素、及び/又は誘電体アンテナアレイを組み込む任意の完全なデバイスの向きは、単に例として、例示及び説明の目的で提供されている。特定のRF処理の応用の動作中に、誘電体アンテナアレイが、誘電体アンテナアレイの特定の応用に適した任意のその他の方向(例えば、直立、横向き、又は任意のその他の向き)に向けられてもよい。また、本明細書において使用される範囲では、単に例として、横方向、縦方向、上、下、上方、下方、上部、下部、及び側面などの任意の方向を示す用語が、任意の誘電体アンテナアレイ又は構築された誘電体アンテナアレイの構成要素の方向又は向きに関して使用されるが、本明細書においてその他の方法で記載されているように、これらに限定されない。ここで、添付の図面に示されている、以下で説明される例を詳細に参照する。
[0034]図1は、誘電体アンテナアレイ100を含むアンテナシステム100の等角図である。誘電体アンテナアレイ100は、中央ハブ105と、中央ハブから外側に延びる複数の誘電体ロッド110A〜Pとを、車輪状の配置で含んでいる。例えば、中央ハブ105は、フラットパネルアレイの代わりに、誘電体ロッド110A〜Pの各々の起点になる(例えば、放射状に広がる)中心部である。中央ハブ105を、誘電体ロッド110A〜Pと一体的に(例えば、1つの構成要素又は部品として)形成することができ、又は中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pを別々に形成し、その後、一緒に接続することができる。誘電体ロッド110A〜Pはスポークのように見え、RFビームが各誘電体ロッド110A〜Pの長軸の下に制限され、例えばビーム形成のために分離している独立したRFビームを放射又は受信することができる。この例では、RF波の送信及び受信が、各誘電体ロッド110A〜Pの端部(例えば、先端)で発生する。したがって、各誘電体ロッド110A〜Pは、約20度のRFビーム角を有するエンドファイアアンテナとして機能する。
[0035]図1には示されていないが、図2に示されているように、アンテナシステム100は複数の励振素子125A〜Pを含んでおり、各励振素子125A〜Pは、中央ハブ105を通って延びる。この例では、16個の誘電体ロッド110A〜P及び各誘電体ロッド110A〜Pを独立して制御するための16個の対応する励振素子125A〜Pが存在する。中央ハブ105の周囲に適合する誘電体ロッド110A〜P及び対応する励振素子125A〜Pの数に影響を与える可能性がある各誘電体ロッド110A〜Pの形状は、どの程度の狭さのRFビームが望ましいかに応じて変わることがある。正方形の断面(図7の要素710を参照)を有する誘電体ロッド110A〜Pの場合、誘電体ロッド110A〜Pの長さ、幅、及び厚さが、RFビームのサイズを調整する。円形の断面を有する誘電体ロッド110A〜Pの場合、外周、半径などがRFビームのサイズを調整する。この例では、図に示された正方形の断面(図7の要素710を参照)を有する誘電体ロッド110A〜Pの形状の結果として、RFビームが約20度に固定される。通常、誘電体ロッド110A〜Pの数は、励振素子125A〜Pの数に一致する。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pよりも少ない励振素子125A〜Pが存在することがあり、例えば、単一の励振素子125Aが誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振することがある。図8を参照して下でさらに説明されるように、アンテナシステム100は、励振素子125A〜Pを切り替えて誘電体ロッド110A〜Pのうちの1つ又は複数を励振して、無線周波数(RF)波を送信又は受信するために、誘電体アンテナアレイ100に結合された制御回路(図8の要素800を参照)も含む。
[0036]誘電体ロッド110A〜Pの各々及び中央ハブ105は、ポリスチレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、他のポリマー、又は誘電セラミックで形成される。セラミックは、望ましい工学的特性を実現するように高温で処理された無機の非金属材料である。炭素又はシリコンなどのいくつかの元素が、セラミック材料を形成するために使用されることがある。誘電体ロッド110A〜Pを形成することができる適切なセラミックは、アルミナ(又は酸化アルミニウムAl2O3)、窒化アルミニウム(AIN)、ジルコニア強化アルミナ、酸化ベリリウム(BeO)、及びその他の適切なセラミック材料の組成であることができる。マイクロ波通信では、誘電セラミックが使用される。誘電体ロッド110A〜Pの内部は、通常、固体誘電材料であり、導電材料を何も含まない。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pは、RF波を反射して誘電体ロッド110A〜Pの異なる部分に集中させるために、導電材料で満たされた空洞を含んでもよい。
[0037]この例では、誘電体ロッド110A〜Pは、中央ハブ105の周囲に放射状に配置された誘電材料で形成されるアームである。しかし、誘電体ロッド110A〜Pは、図1に示されているように、円筒形の中央ハブ105の周囲に放射状の配置で配置されなくてもよい。例えば、誘電体ロッド110A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の異なる面から広がるように配置され得る。1つの例では、誘電体ロッド110A〜Pは、針差し又はヤマアラシのうように配置され、図9に示されている配置のように、部分的な回転楕円体形状の中央ハブ105の上側の円錐面から広がる。円錐面は、放物面、双曲面、楕円体、扁平楕円体、回転楕円体など、或いはこれらの面の一部、断片、又は組合せを含む。円錐面は、円錐を平面と交差させて円錐の断面を取得してから、この円錐の断面を3次元空間内で回転させて、非球面部又は球面部を形成することによって、形成される。別の例では、中央ハブ110は多面体形状(例えば、直方体)を有してもよく、誘電体ロッド110A〜Pは、例えば直方体形状の中央ハブ105の角の近くで、平面状の横方向の上面即ち平面状の縦の面から延びる。誘電体ロッド110A〜Pの各々は、正方形の断面を有し、この断面は、誘電体ロッドが中央ハブ105から離れて延びるにつれて、次第に先細になる。誘電体ロッド110A〜Pの断面は正方形として示されているが、この断面は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)の形状にすることもできる。
[0038]中央ハブ105は、横方向の上面115、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)、及び横方向の上面115と横方向の下面630の間に広がる外側の縦の面120を含む。図6C〜Dに示されているように、外側の縦の面120は、励振素子125A〜Pが中央ハブ105を通って延びる場所の外側に配置された中央ハブ105の誘電体部である(例えば、外部又は外側を向いている)。
[0039]図6C〜Dに示されているように、内側の縦の面625は、励振素子125A〜Pが中央ハブ105を通って延びる場所の内側に配置され、反射コア235によって裏打ちされた中央ハブ105の誘電体部である(例えば、内部又は内側を向いている)。図6Cに示されているように、横方向の上面115は、誘電体ロッド110A〜Bの上(例えば、中央ハブ105の上部)に配置された中央ハブ105の誘電体部である。図6Cに示されているように、横方向の下面630は、誘電体ロッド110A〜Bの下(例えば、中央ハブ105の下部)に配置された中央ハブ105の誘電体部である。誘電体ロッド110A〜Pは、外側の縦の面120から外側に、横方向に延びる。誘電体ロッド110A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pが外側の縦の面120から先端に向かって外側に伸び始める原点の領域(例えば、基部)と相対的に平坦に傾斜している。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pは、原点の領域と相対的に上方又は下方に傾斜している。
[0040]図1では、図2の導電帯130が削除されている。図1に示されているように、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、両方とも、中央ハブ105を通って延びるように励振素子125A〜Pごとに形成された励振素子の穴117A〜Pを含むことができる。図に示されているように、中央ハブ105は、横方向の上面115に複数の導電性インサート開口部116A〜Pを含んでおり、開口部116A〜Pは、中央ハブ105、及び下側導電板310などの他の層を貫通してもよい。一部の例では、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、導電性インサート開口部116A〜Pを含んでもよく、開口部116A〜Pは、この例では直方体形状の穴又は空間であるが、楕円体、円錐、直方体、その他の多面体、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せを含むさまざまな穴の形状が利用され得る。各導電性インサート開口部116A〜Pは、誘電体ロッド110A〜Pの各々が中央ハブ105から延びるところの間に形成される。誘電体アンテナアレイ101は、導電性インサート開口部116A〜Pの穴の形状に一致する形状又は外形を有する複数の導電性インサート119A〜Pをさらに含む。導電性インサート119A〜Pは、導電性インサート開口部116A〜Pの内部に配置されて、誘電体ロッド110A〜P間のクロストークを防ぎ、電磁RF波を各誘電体ロッド110A〜Pに向ける。この例では、導電性インサート119A〜Pは、スポークの各々の間の金属障壁分割器であり、反射を介してRFエネルギーを誘電体ロッド119A〜Pの各々に向けるため、RF波は異なる誘電体ロッド119A〜Pに流出しない。
[0041]導電性インサート開口部116A〜Pの内部では、導電性インサート119A〜Pは、例えばエポキシ樹脂を使用して中央ハブ105に接着されてもよい。エポキシ樹脂は、紫外線(UV:ultraviolet)光を使用して硬化され得る。16個の導電性インサート開口部116A〜P及び16個の導電性インサート119A〜Pが示されているが、導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化してよく、通常は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致する。誘電体ロッド110A〜Pより少ない導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pが存在してもよい。例えば、単一の励振素子125Aが、誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振する場合、導電性インサート開口部116A〜P及び導電性インサート119A〜Pの数は励振素子125A〜Pの数に実際は一致する。
[0042]図2は、導電帯130及び複数の励振素子125A〜Pと共に誘電体アンテナアレイ101を含んでいる誘電体アンテナシステム100の等角図である。この例では、励振素子125A〜Pの各々は、単極励振素子である。一部の例では、励振素子125A〜Pは、直線(例えば、1つの平面内で水平又は垂直)偏波したRF信号又は円偏波したRF信号を伝達するための交差した単極、らせん形、又は双極であってもよい。例えば、励振素子125A〜Pの各々は、誘電体ロッド110A〜Pのうちの対応する1つの偏波を制御するために、図10に示されているように、約90°の角度で交差した、交差した単極であってもよい。誘電体アンテナアレイ101は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)に、少なくとも1つの導電帯130を含む。
[0043]図2に示されているように、横方向の上面115は、導電帯130を含んでいる。導電帯130は、誘電体ロッド110A〜P間のクロストークを最小限に抑えるために、電磁RF波を、誘電体ロッド110A〜Pの内部を通るように方向付けて制限する。導電帯130は、導電性インサート開口部116A〜Pの内部に配置された導電性インサート119A〜Pを覆うことができ、導電性インサート119A〜Pに電気的に接続されてもよい。一部の例では、導電帯130は、導電性インサート119A〜Pに電気的に接続されない。
[0044]導電帯130は、導電帯130を通って延びるように励振素子125A〜Pごとに形成された励振素子開口部205A〜Pを含む。したがって、励振素子125A〜Pは、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の励振素子の穴117A〜P並びに導電帯130の励振素子開口部205A〜Pを通って延びる。図2の例では16個の励振素子開口部205A〜Pが存在するが、励振素子開口部205A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化し、通常は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致する。誘電体ロッド110A〜Pより少ない励振素子開口部205A〜Pが存在してもよい。例えば、単一の励振素子125Aが、誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振する場合、励振素子開口部205A〜Pの数は励振素子125A〜Pの数に実際は一致する。
[0045]導電帯130は輪として成形されているが、導電帯130は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)の形状の導電性トレースとして形成され得る。励振素子125A〜Pは、この例では、導電帯130の周囲に環状に配置される。導電帯130の周囲の励振素子125A〜Pの配置は、導電帯130の形状(例えば、楕円形、多角形など)に応じて変化する。
[0046]図2には、励振素子125A〜Pへの誘電体アンテナアレイ101の結合の追加の詳細も示されている。導電帯130及び励振素子125A〜Pは、この例では電気的に接続されない。代わりに、導電帯130及び励振素子125A〜Pは、互いに絶縁される。例えば、導電帯130は、導電帯130と各励振素子125A〜Pの間で、各励振素子開口部205A〜Pによって形成された各空隙210A〜Pによって、励振素子125A〜Pから絶縁される。代替として、導電帯130は、励振素子開口部205A〜Pを満たす誘電材料によって、励振素子125A〜Pから絶縁される。
[0047]図2には示されていないが、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)は、横方向の上面115上の導電帯130によく似た別の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)も含む。例えば、横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の他の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)は、励振素子開口部205A〜Pを含む。他の導電帯(図6Cの要素130Bを参照)は、空隙210A〜P又は励振素子開口部205A〜Pを満たす誘電材料によって、励振素子125A〜Pから絶縁される。横方向の上面115の導電帯130、横方向の下面の他の導電帯(図6Cの要素630を参照)は、反射コア235及び導電性インサート119A〜Pと共に、電磁エネルギー(例えば、RF波)を誘電体ロッド110A〜Pに向かって集中させる、短い導波管を形成する。励振素子125A〜Pのうちの1つ又は複数がRF波を放射しているときに、これらの構成要素は、RF波を制限し、誘電体ロッド110A〜Pに向かって、又は誘電体ロッド110A〜Pの内部に方向付ける(例えば、進める)。
[0048]さらに示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、中央ハブ105の横方向の上面115と横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の間に縦方向に広がる反射コア235を含んでいる。したがって、中央ハブ105の内部は中空であり、反射コア235は、RFエネルギーに対して境界を裏打ちし、RFエネルギーを反射する。1つの例では、反射コア235は、誘電体ロッド110A〜Pの背後から1/4波長の位置にあることができる。反射コア235及び導電性インサート119A〜Pは、一体となって、RFエネルギーを誘電体ロッド110A〜Pの内部に反射することができる。
[0049]反射コア235は、中央ハブ105の内側の縦の面(図6Dの要素652を参照)を裏打ちする金属パイプであることができ、中央ハブ105の内側を覆い、誘電体ロッド110A〜Pを通るようにRF波を方向付ける。反射コア235は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の少なくとも1つの導電帯130に、電気的に接続される。しかし、一部の例では、反射コア235は、中央ハブ105の横方向の上面115及び/又は横方向の下面(図6Cの要素630を参照)の少なくとも1つの導電帯130に、電気的に接続されなくてもよい。
[0050]本明細書で開示されたさまざまな誘電体アンテナアレイ101の構成は、鋳造、積層、射出成形、機械加工、めっき、フライス加工、1つ又は複数の電導性被覆材の成膜、又はこれらの組合せを含む、さまざまな技法を使用して製造され得る。例えば、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pは、鋳造又は射出成形を使用して単一の一体的部品を形成するように、形成され得る。代替として、一部の例では、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pは、別々に鋳造されて成形されてから、機械的に一緒に締め付けられ得る。例えば、レーザー切断を含む二次的な機械加工作業を使用して、不要な部分を焼き落とすか、又はその他の方法で除去して、例えば、誘電体ロッド110A〜Pを先細にするか、或いは導電性インサート開口部116A〜P、励振素子の穴117A〜P、又は突起(図3Cの要素315A〜Eを参照)を形成することによって、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pの形状を作成できる。導電層又は導電膜を、少なくとも1つの導電帯130として成膜することができ、又は例えば、導電板の上にさらに層を積み重ねる前に、導電板の平面をめっきすることによって、導電板を利用することができる。導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235は、銅、アルミニウム、銀など、又はこれらの組合せなどの、任意の適切な導体又は金属層で形成されてもよい。導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235を形成するために、同じ又は異なる導電材料が使用されてもよい。二次的な機械加工作業を利用して、例えば、不要な部分を除去して、励振素子の穴117A〜P、励振素子開口部205A〜Pなどを形成することによって、導電性インサート119A〜P、励振素子125A〜P、少なくとも1つの導電帯130、及び反射コア235を成形することもできる。1つの例では、2つの導電帯130A〜B(図6C〜Dを参照)が、誘電体アンテナアレイ101の誘電体ロッド110A〜Pの上及び下に形成される。図5に示されている積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eのように、複数の層が存在する場合、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの層の間のスペーサのような方法で、図6C〜Dに示されているように、導電帯130A〜Bのうちの1つが共有される。
[0051]図3Aは、誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、誘電体アンテナアレイ101の上面図である。導電板130が除去されている。図に示されているように、中央ハブ105の横方向の上面115は、中央ハブ105の外周320を定める。外周320は、この例では、円形の形状をしている。しかし、一部の例では、外周320は、横方向の上面115の形状に応じて、楕円形、多角形、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せにすることができる。励振素子125A〜Pは、外周320の周囲に放射状に配置され、励振素子の穴117A〜Pを介して中央ハブ105を通って延びる。外周320の周囲の励振素子125A〜Pの配置は、外周320の形状(例えば、楕円形、多角形など)に応じて変化する。
[0052]図3Aでは、機械的な締め付けのためのキャップ及びねじが除去されているため、中央の取り付け穴305及び下側導電板310(例えば、金属円盤)が示されている。中央の取り付け穴305は、誘電体アンテナアレイ101を、制御回路(図8の要素800を参照)又は図5に示されているような誘電体アンテナマトリックス500の構成内の他の誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの、他の構成要素に機械的に締め付けるために利用することができる。中央ハブ105の内部を裏打ちする反射コア235も示されている。反射コア235の内部には、中央ハブ105の横方向の下面(図6Cの要素630を参照)側で、下側導電板305によって部分的に閉鎖された空気で満たされた空洞(図6Bの要素650を参照)がある。
[0053]図3Bは、図3Cの拡大図の周囲の状況を示すために詳細領域Eが円で囲まれている、図3Aの誘電体アンテナアレイに類似する誘電体アンテナアレイ101の別の上面図である。図3Cは、図3Bの誘電体アンテナアレイ101の円で囲まれた詳細領域Eの拡大図であり、誘電体アンテナアレイ101の中央ハブ105のさまざまな導電性インサート開口部116A〜P及び励振素子の穴117A〜Pを示している。詳細領域E内を左から右に見ていくと、下側導電板310内で形成された開口部である中央の取り付け穴305がある。下側導電板310は、中央ハブ105の側面の横方向の下面を囲むために横方向の下面(図4の要素430)の上に形成された導電帯130の一種である。下側導電板310は、図6Cの要素130Bとしてさらに詳細に示されている。下側導電板310は、少なくとも1つの導電帯130に類似する方法で、誘電体ロッド110A〜Pを通るように電磁RF波を向け直し、誘電体ロッド110A〜Pに向かって、又は誘電体ロッド110A〜Pの内部にRF波を制限して方向付ける(例えば、進める)。機械的な締め付けの目的で、下側導電板310は、横方向の上面115上の導電帯130よりはるかに大きい。したがって、下側導電板310は、横方向の上面115及び横方向の下面(図6Cの要素630を参照)より大きい表面積を有する。例えば、下側導電板310は、制御回路(図8の要素800を参照)の基板への機械的な締め付けなどのために、アンテナシステム100の制御回路(図8の要素800を参照)への接続に利用される。したがって、下側導電板310は、誘電体アンテナアレイ101に機械的支持を提供する。別の構成では、導電板310は、少なくとも1つの導電帯130に類似して形成されるが、誘電体アンテナアレイ101に機械的支持構造を実際に提供する類似する材料又は異なる材料の別の部分(例えば、機械的支持脚)に接続される。
[0054]図3Cにさらに示されているように、反射コア235は、横方向の上面115に隣接し、通常は中央ハブ105の内側の縦の面(図6Dの要素625を参照)を裏打ちする。次に、5つの導電性インサート開口部116A〜E全体を含むように示されている横方向の上面115がある。導電性インサート開口部116A〜Eは、5つの導電性インサート119A〜Eで満たされている。横方向の上面115は5つの励振素子の穴117A〜Eも含んでおり、5つの励振素子125A〜Eは、各励振素子の穴117A〜Eを通って延びる。励振素子の穴117A〜Eの各々の周囲には、各突起315A〜Eも形成される。突起315A〜Eは、中央ハブ105及び誘電体ロッド110A〜Pと同様に、誘電材料で形成される。突起315A〜Eは、導電帯130を中央ハブ105の横方向の上面115とかみ合わせる。突起315A〜Eは、励振素子125A〜Eを導電帯130から絶縁する。5つの突起315A〜Eのみが示されているが、突起315A〜Eの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化する。この例では、突起315A〜Eの数は誘電体ロッド110A〜Pの数に一致しており、したがって、図3Cの拡大図に5つしか示されていなくても、実際は16個の突起315A〜Pが存在する。
[0055]図4は、図3Aと同様に誘電体ロッド110A〜Pが中央ハブ105の周囲に放射状に配置されているレイアウトを示す、誘電体アンテナアレイ101の下面図である。中央ハブ105は、この例では下側導電板310によって覆われた横方向の下面430を含む。中央の取り付け穴305が、下側導電板310に形成されている。ねじ又はその他の機械的締め具用の4つの周囲の取り付け穴410A〜Dも、下側導電板310に形成されているように示されている。中央の取り付け穴305及び周囲の取り付け穴410A〜Bは、誘電体アンテナアレイ101を、制御回路(図8の要素800を参照)又は図5に示されているような誘電体アンテナマトリックス500の構成内の他の誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの、他の構成要素に機械的に締め付けるために利用される。図にさらに示されているように、横方向の下面430は、横方向の下面430を通って延びるように形成された、各励振素子125A〜P用の励振素子の穴117A〜Pを含む。
[0056]図5は、誘電体アンテナシステム100の誘電体アンテナマトリックス500の等角図である。誘電体アンテナマトリックス500は、複数の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを形成するように、複数の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eを含む。図5の例では、5つの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eが示されているが、他の例では、さらに少ない(例えば、2つ又は3つ)又は多い(例えば、15個の10個)積み重ねられた誘電体アンテナアレイが存在してもよい。図5の例では、16個の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pも示されており、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの各々に5つの誘電体ロッドが含まれている。一部の例では、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの各々は、さらに少ない(例えば、2つ又は3つ)又は多い(例えば、15個の10個)誘電体ロッドを含んでもよい。さらに、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの数は、さらに少ない(例えば、5個又は10個)か、又は多くてもよい(例えば、20個又は30個)。
[0057]各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々の各誘電体ロッドを含み、例えばビーム形成のために分離している独立したRFビームを集合的に放射又は受信することができる。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、励振素子125A〜Pのうちの各1つによって励振される。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pは、制御回路(図8の要素800を参照)によって、各励振素子125A〜Pを介して、RF波を独立したRF出力ビームとして送信又は受信するように、分離したチャネルとして独立して制御可能である。
[0058]図5に示されているように、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの誘電体ロッドは、誘電体アンテナマトリックス500の高さ520に沿って、実質的に重複する外形530A〜Eを有するように揃えられる。「実質的に重複する」とは、本明細書において使用されるとき、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの誘電体ロッド110A〜Pの各々が、高さ520に沿って(例えば、垂直に)90%以上重複する誘電体構造を有するということを意味する。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを形成する積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々の各誘電体ロッドは、誘電体アンテナマトリックス500の高さ520に沿って異なる高さ525A〜Eに配置される。誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の各誘電体ロッドは、この例では、中心面と中心面の間で半波長離れている。
[0059]この例では、誘電体アンテナマトリックス500は、積み重ねられる誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々を、16個の放射状に配置された誘電体ロッド110A〜Eの各々と共に射出成形し、その後、誘電体アンテナアレイ101A〜Eを垂直方向に積み重ねることによって実装される。積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eは、ハブとスポークのような配置で、中央ハブ105から生じる誘電体ロッド110A〜Pと共に中央ハブ105を含む。誘電体アンテナマトリックス500の垂直方向の積み重ねは、RFビームを狭くし、RF電力を改善するためのビーム形成を実現する。誘電体アンテナマトリックス500は、積み重ねられる誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々を、16個の誘電体ロッド110A〜Eの各々と共に射出成形し、その後、誘電体アンテナアレイ101A〜Eを垂直方向に積み重ねることによって実装され得る。
[0060]誘電体アンテナマトリックス500は、360度にわたって回転することができる灯台のように動作し、周囲を移動可能な、制御回路800によって切り替えることができる複数のRFビームを有する。各誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の誘電体ロッド110A〜Eの各々は、誘電体円錐を効果的に作成して狭RFビームを生成するために、中心面と中心面の間で半波長離れている。この例では、RFビームは約20度である。しかし、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの配置に応じて、RFビームの狭さ及び幅は調整され得る。例えば、誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の誘電体ロッド110A〜Eの数を2倍にして、RFビームを数度狭くしてもよい。さらに、誘電体ロッド110A〜Eの長さを短くすることによって、RFビームをより広いビームに調整することができる。都市環境では、RF信号強度が大きな問題ではない道路に隣接してより広いRFビームを捕らえるために、より短い誘電体円錐が望ましいことがある。しかし、地方では、狭RFビームが強化されたRF電力を提供することがある。
[0061]本明細書で開示された例の一部では、誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、導電帯130A〜E(例えば、金属円盤)によって分離された1つ又は複数の導電性の励振素子125A〜P(例えば、単極)によって励起される段階的な3次元誘電体構造を利用して、電磁信号を受信/送信できる高い指向性及び広い有効範囲を有する小型アンテナを生み出す。事前に形成された誘電体構造を介して低抵抗経路を提供することと、前述の構造の積み重ねとの組合せによって、互いに建設的及び/又は破壊的に干渉するように、ビーム形成が実現される。誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、多数の受動アンテナ素子及び/又は能動アンテナ素子或いは位相シフタを必要とせずに、高指向性ビームの生成を可能にし、以て、RFアンテナの構造及び動作を大幅に簡略化する。誘電体アンテナアレイ101又は誘電体アンテナマトリックス500は、球面反射器を使用せずに、複数の重複する高指向性ビームの作成に対して最適化され得る。
[0062]誘電体アンテナマトリックス500は、自由空間波長を中心して約10〜50%の帯域幅にわたって信号を受信/送信することができる。誘電体アンテナマトリックス500は、導電帯130A〜E(例えば、薄い導電性ディスク)によって間隔を空けられ、分離された複数の層を含む。図に示されているように、各層は、中央ハブ105から放射状に生じるスポークのように見える誘電体ロッド110A〜Eを含む「車輪状」の形態を有する。各誘電体ロッド110A〜Pは、FWHM=60°/平方根(Lλ0)で与えられる半値全幅(FWHM:fullwidth at half maximum)で長軸と平行に向けられたビームを生成するエンドファイアアンテナとして機能する。
[0063]サイドローブを減らすために、誘電体ロッド110A〜P(例えば、スポーク)の断面を、その基部(誘電体ロッド110A〜Pが外側の縦の面115で中央ハブ105から離れる位置)から先端に向かって先細にすることができる。望ましいビームの数がNb、λ0が自由空間波長である場合、中央ハブ105の半径(R)は、次式で与えられる。
R=(Nb/4π)*λ
[0064]その場合、アンテナの全径は、D=2(R+Lλ0)になる。各誘電体ロッド110A〜Pは、誘電性の中央ハブ105内の約0.25λdの位置に配置された導電性の励振素子125A〜Pによって励起される。ここで、誘電体の波長は、λd=λ0/平方根(Er)によって与えられ、Erは、誘電体ロッド110A〜Pを形成する誘電材料の比誘電率である。金属製バックショート(例えば、反射コア235)が、中央ハブ105内の、励振素子125A〜Pの背後の約0.25λdの位置にある。1つの例では、ポリスチレンの場合、Er=2.6である。29GHzの周波数では、λ0=10.3ミリメートル(mm)である。誘電体ロッド110A〜Pの各々の長さ(L)は、L=9λ0で与えられ、92.7ミリメートル(mm)になる。中央ハブ105の半径(R)は8.2mmである。
[0065]誘電体アンテナアレイ101A〜Eの複数の層を積み重ねること(例えば、間隔を空けた「車輪状」のアンテナ構造)によって、誘電体アンテナマトリックス500の実効面積が増加し、以て、それに比例して感度が増加する。各エンドファイアアンテナ110A〜Pの基部での導電性の励振素子125A〜Pは、信号を受信及び/又は送信するために、誘電体アンテナアレイ101A〜Eの積み重ねられた構造全体にわたって垂直に延びることができる。この方法でアンテナ構造を積み重ねることによって、遠距離場で結合されたエンドファイアビームのFWHMは、垂直の寸法で約1/平方根(NS)の量だけさらに減少し、NSは誘電体アンテナマトリックス500内で積み重ねられている層(誘電体アンテナアレイ)の数である。誘電体アンテナアレイ101A〜Eの「車輪状」の円筒形構成の代替として、誘電体ロッド110A〜Pは、球又は半球などの、他の面から延びることができ、以て、利用者は、例えば図9に示されているように、特定の環境内のRFビームの有効範囲をカスタマイズすることができる。
[0066]図6Aは、図6Bの断面図の周囲の状況を示すために断面領域A−Aに線が引かれている、誘電体アンテナマトリックス500の別の上面図である。図に示されているように、誘電体アンテナマトリックス500は、5つの垂直方向に積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eによって形成された16個の誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを含んでいる。5つのレベルの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eが存在し、誘電体アンテナアレイの各々が16個の誘電体ロッド110A〜Pを含んでいるため、誘電体アンテナマトリックス500内には、合計で80個の誘電体ロッドが存在する。
[0067]反射コア235は、各積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの中央ハブ105の内部を裏打ちする。誘電体アンテナマトリックス500の中央ハブ105の外周は円形であるが、前述したように、外周320の形状は変化する(例えば、楕円形、多角形、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せになる)ことができる。誘電体アンテナマトリックスは、中央の取り付け穴305を含む。上側導電帯130は、中央ハブ105の横方向の上面115に形成され、最上部の積み重ねられた誘電体アンテナアレイの真上にある。図6C〜Dに示されているように、他の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101B〜Eも、各導電帯130B〜Eを含む。下側導電板310は、中央ハブ105の横方向の下面630に形成され、最下部の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101Eの真下にある。
[0068]図6Bは、図6Aの誘電体アンテナマトリックス500の断面A−Aである。図6Bには、2つの誘電体ロッドの積み重ね510A〜Bの詳細が示されており、これらの誘電体ロッドの積み重ねの各々は、誘電体ロッド110A〜Eが延びて中央ハブ105から離れるにつれて(特に、RF波を放射及び受信する誘電体ロッド110AE〜Eの端部(例えば、先端)で)先細(610)になる誘電体ロッド110A〜Eの各対を含んでいる。誘電体ロッドの積み重ね510A〜Bは、2つの励振素子125A〜Bのうちの各1つにそれぞれ含まれる。特に、誘電体ロッドの積み重ね510Aの誘電体ロッド110A〜Eの各々は、励振素子125Aによって制御される。誘電体ロッドの積み重ね510Bの誘電体ロッド110A〜Eの各々は、励振素子125Bによって制御される。反射コア235は、中央ハブ105の内部を裏打ちして外側へのRF反射器を形成し、空気で満たされた空洞650が、反射コア235によって作り出されたパイプの内部に形成される。
[0069]図6Cは、誘電体アンテナマトリックス500の、図6Bの円で囲まれた詳細領域Bの拡大図である。図6Cには、誘電体ロッドの積み重ね510Bの5つの誘電体ロッド110A〜Eの詳細が示されている。この例では、6つの導電帯が示されている。しかし、5つの上側導電帯130A〜E(例えば、金属環)が、下側導電板310である下部の6つの導電帯とはやや異なって形成されていることが分かる。
[0070]下側導電板310(例えば、金属円盤)は、RFエネルギーを最も下の誘電体ロッド110E内に制限するように、中央ハブ105の横方向の下面630に形成されるが、下側導電板310が機械的支持として機能し、回路基板800とインターフェイスをとることができるため、導電帯130A〜Eよりも著しく大きい。制御回路800に応答して誘電体ロッド110A〜Eを励振してRF波を送信又は受信する、励振素子125Bも示されている。
[0071]図6Dは、誘電体アンテナマトリックス100の、図6Cの円で囲まれた詳細領域Cの拡大図である。誘電体ロッドの積み重ね510Bの1つの完全な誘電体ロッド110B並びに2つの部分的な誘電体ロッド110A及び110Cの追加の詳細が示されている。図に示されているように、誘電体ロッド110A〜Cが外側の縦の面120から延びている。さらに図に示されているように、内側の縦の面625が、反射コア235によって裏打ちされており、反射コア235が下側導電板310に結合されている。空洞650は中空であり、空気に提出されている。
[0072]図7Aは、誘電体アンテナマトリックス500の5つの誘電体ロッドの積み重ね510A〜Eの側面図である。この例では、誘電体ロッドの積み重ね510A〜Eの各々は、5つの誘電体ロッド110A〜Eを個々に含んでいる。誘電体ロッド110A〜Eの先細(610)の形状に起因して、誘電体ロッドが延びて中央ハブ105から離れるにつれて(特に、RF波を放射及び受信する誘電体ロッド110AE〜Eの端部(例えば、先端)で)、誘電体ロッド110A〜Eの間の間隔が大きくなる傾向がある。図に示されているように、誘電体ロッド110A〜Eの断面710は正方形であるが、断面710は、円形、楕円形、多角形(三角形、長方形、五角形、六角形、八角形など)、或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せ(例えば、半円形)にすることもできる。導電帯130A〜E及び下側導電板310も示されている。
[0073]図7Bは、図7Aの2つの誘電体ロッドの積み重ねの円で囲まれた詳細領域Jの拡大図である。誘電体ロッド110A〜Eの先細610の追加の詳細も示されている。導電帯130A〜E及び下側導電板310を含む6つの導電帯も示されている。例えば、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Eの各々が垂直に配置されるため、導電帯130A〜Eは、誘電体ロッドの積み重ね510Aの誘電体ロッド110A〜Eの各々の間の輪として成膜又はめっきされてもよい。下側導電板は、誘電体アンテナアレイ101A〜Eの積み重ねの前、間、又は後のいずれかに、最も下の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101Eに形成される。
[0074]図8は、アンテナシステム100の制御回路800のブロック図である。図に示されているように、制御回路800は、マイクロコントローラ805及び複数の独立して制御される出力810A〜Pを含んでいる。独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805に結合される。各独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805によって操作され、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pに結合されて、各励振素子125A〜Pを介してRF波を送信及び受信する。
[0075]各独立して制御される出力810A〜Pは、マイクロコントローラ805からの切り替え制御815A〜Pなどの各切り替え制御信号に基づいてオン又はオフになるように構成される。マイクロコントローラ805は、RFビーム角(例えば、指向性)及び電力を制御するためのプログラミング命令を含むメモリを含むことができる。独立して制御される出力810A〜Pは、RF波の送信又は受信中に各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを有効化又は無効化することができる、スイッチ、中継装置、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、又はトランジスタであることができる。図8の例では、独立して制御される出力810A〜Pはスイッチであり、より詳細には、輪アセンブリに配置されたPINダイオードである。各切り替え制御信号815A〜Pに基づいて、各独立して制御される出力815A〜Pは、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを制御して、各励振素子125A〜Pを介してRF波を送信又は受信するように構成される。図8の例では、切り替え制御信号815A〜Pは、独立して制御される出力815A〜Pへの16本の線上を走る制御電圧(例えば、合計約0.8ワットの場合は、5ボルト(V)、10ミリアンペア(mA))である。一部の例では、制御電圧は、単線に加えられ、タイミング信号に基づいて、独立して制御される出力815A〜Pに対してゲート制御される。
[0076]制御回路800は、各独立して制御される出力810A〜Pに電気的に接続されたRF入出力(I/O:input/output)ストリップ820を含む。この例では、RF入出力ストリップ820は、50Ωのマイクロストリップリングである。制御回路800は、裏面から差し込まれるアンテナピンなどの、複数の電気的接触830A〜Pをさらに含む。各電気的接触830A〜Pは、各励振素子125A〜Pに電気的に接続され、各独立して制御される出力810A〜Pに電気的に接続される。マイクロコントローラ805は、制御回路800の各部分を有効化して閉じる切り替え制御信号815A〜Pなどの各制御信号を使用して、各独立して制御される出力810A〜Pをオンにするように構成される。各独立して制御される出力810A〜Pをオンにすることによって、RF入出力ストリップ820を各励振素子125A〜Pに電気的に接続し、選択された誘電体ロッド110A〜P若しくは誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを介したRF放射線の送信(例えば、送信モード)及び/又は選択された誘電体ロッド110A〜P若しくは誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pを介したRF放射線の受信(例えば、受信モード)を行う。マイクロコントローラ805は、各切り替え制御信号815A〜Pを使用して、各独立して制御される出力810A〜PをオフにしてRF入出力ストリップ820を各励振素子125A〜Pから電気的に切断し、制御回路800の各部分を無効化して開くように構成される。
[0077]図にさらに示されているように、制御回路800は、送信モード中にRF入力信号をRF入出力ストリップ820に入力するように構成された無線装置860をさらに含む。無線装置860は、受信モード中にRF入出力ストリップ820からRF出力信号を受信するように構成される。マイクロコントローラ805は、RFビーム角制御プログラミング875にも結合される。RFビーム角制御プログラミング875は、メモリに格納することができ、マイクロコントローラ805からアクセス可能である。RFビーム角制御プログラミング875のプログラミング命令は、マイクロコントローラ805によって実行可能である。マイクロコントローラ805は、この例ではユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ポートである入出力(I/O)インターフェイス870にも結合される。代替的又は追加的に、RFビーム角制御プログラミング875は、入出力インターフェイス870を介して受信され得る。RFビーム角制御プログラミング875は、誘電体ロッド110A〜Pの位置及び数を選択して利用し、放射又は受信されるRFビームの狭さ又は幅を調整することができる。RFビーム角制御プログラミング875がビーム角を制御するために、マイクロコントローラ805は、I/Oインターフェイス870を介して送信されたデータを受信して利用してもよい。このデータは、無線装置860によって、アンテナシステム100に含まれているセンサによって、又は独立した別個の独立型センサによって、生成されてもよい。さらに、このデータは、誘電体アンテナアレイ101A〜Eによって受信され、無線装置860によって処理され、実行されたRFビーム角制御プログラミング875による意思決定のためにマイクロコントローラ805からアクセスできるメモリに、格納され得る。前述したように、相対的に狭いビームは、強化された電力を有することができ、特定の設定に役立つ可能性があり、一方、より広いビームは、他の設定においてより望ましいことがある。
[0078]制御回路800は、この例では16個の独立して制御される出力810A〜P及び16個の電気的接触830A〜Pを含んでいるが、この数は誘電体ロッド110A〜Pの数に応じて変化してもよい。誘電体ロッド110A〜P及び対応する励振素子125A〜Pの数は、RFビームの望ましい狭さに応じて変化する。通常、誘電体ロッド110A〜Pの数は、励振素子125A〜Pの数に一致する。しかし、一部の例では、誘電体ロッド110A〜Pよりも少ない励振素子125A〜Pが存在することがあり、例えば、単一の励振素子125Aが誘電体ロッド110A〜Pのうちの2つ、3つ、又はそれ以上を励振することがある。したがって、独立して制御される出力810A〜P及び電気的接触830A〜Pの数は、誘電体ロッド110A〜Pの代わりに、励振素子125A〜Pの数に基づいてもよい。
[0079]マイクロプロセッサ及びRFビーム角制御プログラミング875のいずれかは、方法のステップとして1つ又は複数の方法において、又は1つ又は複数のプログラムにおいて具現化され得る。一部の実施形態によれば、プログラム(複数可)は、ソフトウェア命令又はハードウェア命令において具現化された論理などの、プログラムにおいて定義された機能を実行する。ファームウェア、手続き型プログラミング言語(例えば、C又はアセンブリ言語)、又はオブジェクト指向プログラミング言語(例えば、オブジェクティブC、Java、又はC++)などのさまざまな方法で構造化されたアプリケーションのうちの1つ又は複数を作成するために、さまざまなプログラミング言語が採用され得る。プログラム(複数可)は、本明細書に記載された機能を容易にするために、オペレーティングシステムによって提供されたAPI呼び出しを呼び出すことができる。プログラムは、任意の種類のコンピュータ可読媒体又はコンピュータストレージデバイスに格納され、1つ又は複数の汎用コンピュータによって実行され得る。加えて、本明細書で開示された方法及びプロセスは、代替として、特殊なコンピュータハードウェア、或いは特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、又は複合プログラム可能論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)において具現化され得る。
[0080]したがって、機械可読媒体は、有形のストレージ媒体のさまざまな形態をとることができる。不揮発性ストレージ媒体は、例えば、図に示されている、クライアントデバイス、メディアゲートウェイ、トランスコーダなどを実装するために使用できるような、任意のコンピュータ(複数可)内のストレージデバイスのいずれかなどの、光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性ストレージ媒体は、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリなどの、動的メモリを含む。有形の送信媒体は、コンピュータシステム内のバスを含むワイヤなどの、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。搬送波送信媒体は、無線周波(RF)データ通信及び赤外線(IR:infrared)データ通信中に生成される信号又は波などの、電気信号又は電磁信号、或いは音波又は光波の形態をとってもよい。したがって、コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意のその他の磁気媒体、CD−ROM、DVD又はDVD−ROM、任意のその他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを含む任意のその他の物理的ストレージ媒体、RAM、PROM、及びEPROM、フラッシュEPROM、任意のその他のメモリチップ又はカートリッジ、データ又は命令を運ぶ搬送波、そのような搬送波を運ぶケーブル又はリンク、或いはコンピュータがプログラミングコード及び/又はデータを読み取ることができる任意のその他の媒体を含む。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行のためにプロセッサに運ぶことに関与してもよい。
[0081]図9は、アンテナシステム101の別の誘電体アンテナアレイ901の等角図である。誘電体アンテナアレイ901は、中央ハブ105から外側に延びる複数の誘電体ロッド110A〜Pと共に中央ハブ105を含んでいる。誘電体ロッド110A〜Pは、特定の環境内でRFビームの有効範囲をカスタマイズするために、中央ハブ105の周囲に針差し又はヤマアラシのような配置で配置されている。中央ハブ105は外面920を含んでおり、誘電体ロッド110A〜Pが外面920から外側に延びている。示されている例では、外面920は、切り取られた回転楕円体又は楕円体(例えば、上半分又は半球)の形状をしている。誘電体ロッド110A〜Pは、特に外面920(例えば、上半球)の方向のRF波を敏感に受信し、RF波の送信を外面920(例えば、上半球)の方向に制限するように、外面920のさまざまな部分又は位置から延びるように配置される。外面920は、曲面形状(例えば、円筒、円錐、球体、楕円体、或いはその他の非球形又は球形)を有することができ、連続的であることができる。連続面又は壁(例えば、曲面)は、片方又は両方の端部で切り取られてもよい楕円体、回転楕円体、円錐、放物面、又は双曲面を形成することができる。代替的又は追加的に、外面920は、多面体(例えば、直方体、4面体など)の形状或いはこれらの形状の一部、断片、又は組合せを有することができる。針差し又はヤマアラシの配置は、受信又は送信されたRF波が空中の方向に制限される応用(例えば、人工衛星)において役立つことができる。
[0082]図10の例にさらに示されているように、励振素子125A〜Pの各々は、各誘電体ロッド110A〜Pのうちの1つを介して送信されたRF信号の偏波を制御するために、励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている交差した単極で形成され得る。励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、金属線などの導電媒体で形成することができ、交差角1005(この例では、約90°)で互いに交差する。励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、電気的に接続しないように、相互に絶縁される。例えば、交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bは、コネクタ1020A〜Bを介して組み合わさって、励振素子偏波構成要素1000A〜Bを介して互いに相対的にRF波の位相を変更することによって、誘電体ロッド110Aを通るように方向付けられたRF信号の偏波を制御する。交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bを、アンテナシステム100の励振素子125A〜Bの各々に利用することによって、誘電体アンテナアレイ101は、直線(例えば、水平又は垂直)偏波したRF信号又は円偏波したRF信号に対して敏感になるように構成され得る。図10に示されているように、励振素子125Aは、図8に示されている電気的接触のような電気的接触を介して無線装置860に接続される。しかし、励振素子125Aに関して図8に示されている電気的接触のような単一の電気的接触830Aの代わりに、励振素子125Aを形成する交差した励振素子偏波構成要素1000A〜Bの各々は、別々の各電気的接触1035A〜Bを介して無線装置860に接続される。
[0083]図11Aは、多入力多出力(MIMO:multiple−input and multiple−output)アーキテクチャを利用する、図8に示された制御回路に類似するアンテナシステム100の制御回路800のブロック図を示している。MIMOは、例えば、図5の誘電体アンテナマトリックス500を利用して多重伝搬を活用し、無線装置860A〜Bのリンクの容量を増やす。制御回路800は、マイクロコントローラ805及び複数の無線装置860−Nを含んでおり、そのうちの2つの無線装置860A〜Bが示されている。各無線装置860A〜Bは、各無線入出力(I/O)線861A〜Bに接続される。したがって、各無線入出力(I/O)線861A〜Bは、各無線入出力(I/O)線861A〜Bを介して独立して制御される各出力回路基板1100A〜Bに接続される。各無線入出力(I/O)線861A〜Bは、超小型のバージョンA(SMA:subminiature version A)などの、同軸ケーブル及び半精度の同軸RFコネクタを含むことができる。
[0084]ビーム管理アルゴリズムを組み込んでいるマイクロコントローラ805は、望ましい誘電体ロッド110A〜P又は誘電体ロッドの積み重ね510A〜Pの有効化を命令するための信号を供給する。制御回路800は、特定の時間にどの誘電体ロッド110A〜Pが有効化されるかの選択において、完全な柔軟性を実現する。マイクロコントローラ805は、誘電体ロッド110A〜Pを介した送信/受信のための通信プロトコル及び信号を提供する1つ又は複数の無線装置860A〜Nとインターフェイスをとる。制御回路800は、切り替え速度及び柔軟性を最大化するために、PINダイオードのリングネットワークを組み込んでもよい。誘電体ロッド110A〜Pは、プラスチック、テフロン(登録商標)、又はその他の誘電材料から製造されてもよい。
[0085]制御回路800は、マイクロコントローラ805に接続されたバイアス回路1106をさらに含んでもよい。バイアス回路1106は、多重化された切り替え制御信号815(例えば、デジタル信号又はアナログ信号)をマイクロプロセッサ805から受信し、切り替え制御信号815を、各独立して制御される出力回路基板1100A〜B用の16個の別々の逆多重化された切り替え制御信号815A〜P(例えば、アナログ電圧)に逆多重化する。16個の逆多重化された切り替え制御信号815A〜Pの各々は、各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフにするために、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各々に電気的に伝達される。示されている図では、4つ(独立して制御される出力回路基板1100A〜Bごとに2つ)の逆多重化され切り替え制御信号815A〜Pのみが示されている。バイアス回路1106は、独立して制御される出力回路1103A〜Pを適切に動作させて、各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフに切り替えるために、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの既定の電圧及び電流を確立する。
[0086]1つの例では、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各々は、16個の独立して制御される出力回路1103A〜P(例えば、PINダイオードのRFスイッチ回路)を含む。しかし、2つの独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの示された部分の断面図には、2つの独立して制御される出力回路1103A〜Bのみが示されている。図にさらに示されているように、独立して制御される出力回路1103Aは、破線の楕円で囲まれた領域として識別される。
[0087]図11Aの例では、誘電体ロッド110A〜Pの数を16個を超えて増やすために、追加の誘電体ロッド110(例えば、ポリロッド)のポートが各RF入出力ストリップ820の輪に追加され得る。誘電体ロッド110A〜Pの数を16個未満に減らすために、誘電体ロッド110(例えば、ポリロッド)のポートを削除することもできる。さらに、追加の無線装置860Nごとに追加の独立して制御される出力回路基板1100N(例えば、PINダイオードの基板)を追加することによって、無線装置860A〜Bの数を、3つ以上に増やすことができる。
[0088]図11Bは、図11Aに示された独立して制御される出力回路1103Aの分解図である。1つの例では、16個の独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、短絡スイッチ1120(例えば、反射型のPINダイオードなどのPINダイオード)などの、各独立して制御される出力810A〜Pを含む。したがって、独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜P(例えば、PINダイオード)を含み、独立して制御される出力810A〜Pは、短絡スイッチ1120A〜Pのアレイを集合的に形成する。この例では、誘電体ロッド110Aごとに1つのPINダイオード1120Aが存在し、利用されるPINダイオードは、部品番号MA4AGP90又はMA4AGSW1として、MACOMによって製造される。各短絡スイッチ1120A〜Pは、各RF供給側端子1135A〜P、各アンテナ側端子1140A〜P、及び少なくとも1つの各制御信号端子1141A〜P(例えば、陽極端子及び陰極端子)を含むことができる。
[0089]独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜Pの各RF供給側端子1135A〜Pに結合された各供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P(1/4波長、又は3/4波長、5/4波長などの、その奇数倍である)を含む。各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pは、RF入出力ストリップ820にも結合される。独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各短絡スイッチ1120A〜Pの各アンテナ側端子1140A〜Pに結合された各アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜P(1/4波長、又は3/4波長、5/4波長などの、その奇数倍である)を含む。各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1155A〜Pは、各RF電気的接触830A〜Pにも結合される。したがって、各短絡スイッチ1120A〜Pは、各供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜Pと各アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pの間に結合される。
[0090]供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P及びアンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、同軸ケーブル、マイクロストリップ、導波管、又はその他の適切な1/4波長媒体を含むことができる。例示的な5Gハブのマイクロストリップ設計では、供給側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1145A〜P及びアンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、各PINダイオード1120A〜Pが順方向にバイアスされたときに、PINダイオードの位置で短絡する。短絡したPINダイオードは、伝送線の各1/4波長セクションによって、供給RF入出力ストリップ820及びアンテナ端子で、開回路に変換される。PINダイオードが逆方向にバイアスされたときに、アンテナ側の1/4波長(λ/4)伝送線セクション1150A〜Pは、供給線の特性インピーダンスを最大電力伝達のためのアンテナの望ましい励振インピーダンスに変換する。
[0091]一部の例では、独立して制御される出力回路1103A〜Pの各々は、各供給側の直流(DC:direct current)ブロックコンデンサ1165A〜P及び各アンテナ側のDCブロックコンデンサ1170A〜Pを含むことができる。各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pは、各供給側の直流(DC)ブロックコンデンサ1165A〜Pを介してRF入出力ストリップ820に結合され得る。各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1155A〜Pは、各アンテナ側のDCブロックコンデンサ1170A〜Pを介して各電気的接触830A〜Pに結合され得る。
[0092]各短絡スイッチ1120A〜Pは、独立して制御される出力回路基板1100Aの回路基板1180上及び/又は内に形成された各ビア1175A〜Pを介して接地されるように構成される。制御回路800のプリント基板(PCB:printed circuit board)設計では、各ビア1170A〜Pは、回路基板1180の異なる部分の対応する位置に、2つの電気パッドを含み、これらの電気パッドは、独立して制御される出力回路基板1100Aの回路基板1180を通る穴によって電気的に接続される。この穴は、独立して制御される出力回路基板1103Aのグランドプレーン1185に接続する電気相互接続を作成するために、電気めっきによって導電性にすることができ、又は管又はリベットを使用して裏打ちすることができる。ブラインドビア又はスルーホール型のビア、並びに表面相互接続、内部又は外部の導電性トレース、及び平面電極などのさまざまなその他の種類の電気相互接続が、電気接続に利用され得る。
[0093]少なくとも各1つの制御信号端子1141A〜Pに加えられた各切り替え制御信号815A〜Pによって各短絡スイッチ1120A〜Pがオンに切り替えられた(オンにされた)(例えば、低インピーダンス状態になった)場合、各短絡スイッチ1120A〜Pは、各ビア1175A〜Pによってグランドプレーン1185(グランド)に短絡する。この状態は、各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pを通ってRF入出力ストリップ820に戻る開回路として現れる。各短絡スイッチ1120A〜Pがオフに切り替えられた(オフにされた)(例えば、高インピーダンス状態になった)場合、RF信号(波)が、各供給側の1/4波長伝送線セクション1145A〜Pと各アンテナ側の1/4波長伝送線セクション1150A〜Pの間の各短絡スイッチ1120A〜Pを通過する。
[0094]図12は、チャネルごとに複数の利用者にサービスを提供するために複数のRFチャネルを採用する、図8及び図11A〜Bに示されたアーキテクチャに類似する多ユーザ多入力多出力(MU−MIMO)アーキテクチャの概要を示している。各無線装置860A〜Cは、異なるRF周波数チャネルを中心にすることができる。制御回路800は、複数の無線装置860A〜Nを含んでおり、そのうちの3つの無線装置が示されている。各無線装置860A〜Nは、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続されてもよい。各独立して制御される出力回路基板1100A〜Bは、RF信号(波)を(送信又は受信中に)各無線装置860A〜Nとの間で伝達するために、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続された各RF入出力ストリップ820A〜Nを含んでいる。各切り替え制御信号815A〜Pは、独立して制御される出力回路基板1100A〜Bの各RF入出力(I/O)ストリップ820A〜Pの各独立して制御される出力810A〜Pをオン又はオフにしてもよい。各RF入出力(I/O)ストリップ820A〜Nは、各無線入出力(I/O)線861A〜Nに接続される。切り替え制御信号815A〜Pは、メモリに格納され、図8に示されているように、マイクロプロセッサ805によって、又はI/Oインターフェイス870(例えば、USB232)によって実行されるRFビーム角制御(例えば、形成)プログラミング875に基づいて生成され得る。
[0095]図にさらに示されているように、制御回路800は、MIMO符号化ブロック1210並びに送信(TX:transmission)及び受信(RX:reception)ブロック1215を含んでいる。MIMO符号化ブロック1210は、802.11技法に基づくことができる。MIMO符号化ブロック1210は、TX/RXブロック1215によって制御されるプログラミングであることができる。MIMOは、複数の送信及び受信誘電体アンテナアレイ101A〜Nを使用して多重伝搬を活用し、1つ又は複数の無線装置860A〜Nの容量を増やすための技法である。例えば、誘電体アンテナアレイ101A〜Nは、100メガヘルツ(MHz)〜40ギガヘルツ(GHz)の範囲内で送信又は受信してもよい。アンテナシステム100は、独立した出力回路基板1110A〜Nの制御回路800を含む。独立した出力回路基板1110A〜Nは、(スイッチングマトリックスとして配置された)複数の独立して制御される出力回路1103A〜Pを含んでおり、独立して制御される出力回路1103A〜Pは、この目的で送信及び受信するために、どの無線装置860A〜N、変調方式、及び誘電体アンテナアレイ101A〜Nが有効化されるべきかを(MIMO符号化ブロック1210を介して)利用者が設定できるようにする。
[0096]1つのMU−MIMOの例では、アンテナシステム100の制御回路800は、8つの独立して制御される出力回路基板1100A〜Hを含み、これらの独立して制御される出力回路基板1100A〜Hの各々は、各無線装置860A〜Hに接続された後に、同軸相互接続を介してまとまってチェーン接続される。複数のRFチェーンの接続を接続することができ、原理的には、アンテナアレイ101A〜N内に存在する誘電体ロッド110A〜Pと同じ数の独立した無線ビーム(例えば、図11Aに示されているような2つの独立したRFチェーン、又は図12に示されているような8つ程度の独立したRFチェーン)を可能にする。1つから複数又は全部までの複数のアンテナ要素(誘電体ロッド110A〜P)が、任意の望ましい構成で同時に有効化され得る。規定の方法で隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、生成されたビームの方位角又は高度が(制限内で)操作され得る。28GHzのアンテナシステム100は、1〜10ワット(W)の実効放射電力で500メートル(見通し線)を超える送信範囲を実現することができる。電力入力は、望ましい送信範囲及びデータ速度を可能にするように調整され得る。1つの例では、誘電体アンテナマトリックス500は、それぞれ18個の誘電体ロッド110A〜Pの3つの積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Cに配置された合計54個の誘電体ロッドのハブとスポークの設計を有する、3つの誘電体アンテナアレイ101A〜Cを含む。これによって、単一のアンテナシステム100での360度の領域の完全な有効範囲を可能にする。アンテナシステム100の形状は、特定の使用事例の場合に、単層又は多層の輪、放射状に突き出る誘電体ロッド110A〜Pを備える球体、又はその他の望ましい形状を含む形状に修正され得る。誘電体ロッド110A〜Pは、ビームのパターン及び有効範囲を最適化するために、任意の角度に傾ける(傾斜させる)ことができる。誘電体ロッド110A〜Pは、柔軟な使用及び修正を可能にするために、モジュール方式で取り付けられてもよい。
[0097]誘電体ロッド110A〜Pの形状は、特定の使用事例の場合に、カスタマイズされ得る。1つの例では、誘電体ロッド110A〜Pは、波長の9倍の長さであり、円形の断面及び先細を有する。誘電体ロッド110A〜Pの長さは、異なる周波数、利得、及びビーム幅を実現するように調整され得る。誘電体ロッド110A〜Pの形状及び先細は、ビーム形状を最適化するように調整され得る。
[0098]独立して制御される出力回路基板1100A〜Hの各々は、16個の独立して制御される出力回路1103A〜P(例えば、PINダイオードのRFスイッチ回路)を含む。各独立して制御される出力回路1103A〜Pは、(例えば、16個のPINダイオード短絡スイッチのアレイとして配置された)各独立して制御される出力810A〜P及び各1/4波長伝送線1145A〜P、1150A〜Pを含む。この方法は、独立して制御される出力810A〜Pに接続された誘電体アンテナマトリックス500内の積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)が、無線装置860A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)によって励振されることを可能にする。この方法は、ビーム操作(及び形成)における最大の効率及び柔軟性を、最小限の数の構成要素を使用して低損失で実現する。したがって、アンテナシステム100では位相シフタは不要であるが、必要に応じて位相シフタが含まれ得る。PINダイオード1120A〜P型の独立して制御される出力810A〜Pが、オンに切り替えられている(オンにされている)切り替え制御信号815A〜Pから順方向にバイアスされた場合、PINダイオードは、送信モード又は受信モード中に、無線装置860との間のRF信号(例えば、RF供給信号)をグランドに接続する。1/4波長の長さの伝送線を介して逆に見たときに、オンへの切り替え(オンにすること)は、無線装置860A〜HをRF信号に対して開くこととして現れる。PINダイオード1120A〜P型の独立して制御される出力810A〜Pが、オフに切り替えられている(オフにされている)切り替え制御信号815A〜Pから逆方向にバイアスされた場合、PINダイオードは、無線装置860A〜Hとの間のRF信号をグランドから分離し、RF信号がPINダイオード1120A〜Pを通過して、積み重ねられた誘電体アンテナアレイ101A〜Hの任意のサブセット(又はすべて)に非常に少ない損失で渡ることができるようにする。
[0099]図12では、PINダイオードの輪(すなわち、PINダイオードのスイッチングマトリックス)を集合的に形成することができる独立して制御される出力回路1103A〜Pを含む、すべての誘電体アンテナアレイ101A〜Nが、各独立して制御される出力回路基板1100A〜Nに接続される。このアーキテクチャは、任意の誘電体アンテナアレイ101A〜Nへの任意の無線装置860A〜Nのアクセスを可能にする。説明したように、PINダイオードの輪が、PINダイオードの輪に適切に接続された任意の種類のアンテナアレイ(例えば、ポリロッド、マイクロストリップパッチ、又はフィードホーン)と共に動作できるということに、注意するべきである。
[0100]前述したように、MIMOと共にスイッチ及びスプリッタを使用して、どの時点においても複数(最大8つ)の送信及び受信を可能にすることができる。スイッチングマトリックスネットワークは、8つの入力及び出力を追加することによって、8つ以上のチャネル経路に対応することができるため、大規模MIMOの応用に対応することができる。28GHzでの無線信号のファンアウトのためのスイッチング及びスプリッタ、並びに28GHzから10GHz未満へのアップコンバートとダウンコンバートの両方のための変換段の組合せは、いずれかの特定のスポークを送信又は受信として使用して、SISO(単入力単出力:single input single output)及び2度のMIMOを提供する、多用途性を実現する。
[0101]図13Aは、図13Bの切り欠き図の周囲の状況を示すために詳細領域Aが円で囲まれている、図1の誘電体アンテナアレイ101Aの誘電体ロッド110Aの側面図である。図に示されているように、各誘電体ロッド110Aは、各励振素子125Aによって励振される。励振素子125Aは、1つ又は複数の旋回から成るばねに似た構造を有する、らせん形素子1305Aである。各旋回は、約1波長の外周を有し、約0.225波長だけ分離されている。各らせん形素子1305Aは、各誘電体ロッド110Aの基部に埋め込まれる。この埋め込みは、例えば、らせん形素子1305Aを射出成形の内部に挿入し、ポリマー材料を流して、各らせん形素子1305Aを通る各誘電体ロッド110A及び/又は各らせん形素子1305Aの周囲の各誘電体ロッド110Aを形成することによって、実現され得る。この例では、らせん構造を作成することによって、8デシベル(dB)の利得を実現し、コストを削減することができる。誘電体ロッド110Aの円筒に接着によって取り付けられる複数個の手巻きのらせん構造の代わりに、マイクロストリップを、ストリップラインのらせん構造及び誘電体ロッド110Aと、すべて同じ基板内で統合し、1個のアンテナアセンブリを作成することができる。
[0102]図13Bは、図13Aの誘電体ロッド110Aの円で囲まれた詳細領域Aの切り欠き図であり、単一の誘電体ロッド110Aと、共振空洞1310Aに囲まれたらせん形素子1305Aである励振素子125Aとの詳細を示している。各共振空洞1310A〜P(例えば、導電性空洞)は、各らせん形素子1305A〜Pを囲む各導電性壁1315A〜Cを含み、各導電性壁1315A〜Cで形成される。各共振空洞1310A〜Pの導電性壁1315A〜Cは、前述した反射コア235及び導電性インサート119A〜Pと同様に、各誘電体ロッド110A〜Pの内部でRFエネルギーを反射する。らせん形素子1305A〜P及び共振空洞1310A〜P(導電性壁1315A〜Cを含む)は、銅、アルミニウム、銀など、又はこれらの組合せなどの、任意の適切な導体又は金属層で形成されてもよい。
[0103]図13A〜Bの例にさらに示されているように、励振素子125A〜Pによって各誘電体ロッド110A〜Pを励起することができ、励振素子125A〜Pは、各誘電体ロッド110A〜Pの基部(例えば、各共振空洞1310A〜Pの内部)に埋め込まれた各らせん形素子1305A〜Pである。各らせん形素子1305A〜Pは、右側円偏波(RCP:right hand circular polarization)、左側円偏波(LCP:left hand circular polarization)、又はRCPとLCPの両方を提供するように構成され得る。各らせん形素子1305A〜Pは、本質的に広帯域であり、誘電体ロッド110A〜Pを広い帯域幅(>30%)にわたって動作させることができる。
[0104]さまざまな種類の励振素子125A〜Pを使用して誘電体アンテナアレイ101を励振することによって、RF波(信号)のさまざまな偏波制御状態が実現され得る。図6Dの例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、単極によって励振されて、直線偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、直線偏波したRF波を送信又は受信する各単極を含むことができる。図10の例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、交差した単極によって励振されて、二重直線偏波又は円偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、二重直線偏波又は円偏波したRF波を送信又は受信する各交差した単極(図10に励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている)を含むことができる。ここで、「二重」とは、垂直偏波した信号又は水平偏波した信号のいずれかを受信することを意味する。円偏波した波は、必要に応じて、同じであるが±90度の位相差を有するRF信号を、交差した単極(図10に励振素子偏波構成要素1000A〜Bとして示されている)に供給することによって、作り出され得る。図13A〜Bの例に示されているように、誘電体アンテナアレイ101は、埋め込まれたらせん形素子によって励振されて、円偏波を実現することができる。したがって、励振素子125A〜Pの各々は、図13A〜Bに示されているように、円偏波したRF波を送信又は受信する各らせん形素子1305A〜Pを含むことができる。円偏波は、携帯電話利用者のサポートにおいて最大限の柔軟性を実現することができる。
[0105]したがって、図1のアンテナシステム100は、16個のアンテナアレイ101A〜Pと、励振素子125A〜Pとして機能する16個のらせん形素子1305A〜Pとを含むアンテナアレイ101を含むことができる。各誘電体ロッド110A〜Pは、各らせん形素子1305A〜Pによって励振されて、RF波(信号)を送信又は受信する。16個の各らせん形素子1305A〜Pの各々は、各共振空洞1310A〜Pによって囲まれている。誘電体ロッド110A〜Pは、図1に示されているように、誘電体アンテナアレイ101の中央ハブ105から生じることができ、又は図5に示されているような複数の誘電体アンテナアレイ101A〜Eとして積み重ねられ得る。誘電体アンテナアレイ101A〜Eが積み重ねられた場合、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜P内の5つの誘電体ロッド110A〜Eの各々を独立して(別々に)制御するための80個の個別のらせん形素子1305が存在することができる。
[0106]図14は、スイッチングマトリックスアセンブリ構成内で3つの誘電体ロッド110A〜Cそれぞれと統合された18個の独立して制御される出力回路基板1100A〜Rを含むアンテナシステム100を示している。図に示されているように、各独立して制御される出力回路基板1100A〜Rは、垂直に取り付けられて、スイッチングマトリックスアセンブリを作り出す。各独立して制御される出力回路基板1100A〜Rは、3つの各誘電体ロッド110A〜Cそれぞれを含んでいる各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Rを含むことができる。したがって、図に示されているように、各誘電体ロッドの積み重ね510A〜Rは、3つ以上の放射状の誘電体ロッド110A〜Cを含んでいる。図14の例では、18個の独立して制御される出力回路基板1100A〜Rの各々は、20度離れて、360度の有効範囲を可能にすることができる。デジタル垂直及び水平ビームの形成及び操作のためのこの方法は、ケーブル又は複雑なケーブルハーネス及び放射状の要素の層数を増やす能力を使用せずに、ビーム形成/操作の目的の応用及び完全な実装のためのアンテナ角のカスタマイズを可能にする。
[0107]誘電体ロッド110A〜Cは、各誘電体ロッド110A〜Cに関連付けられたらせん形素子1305A〜Cによって有効化され、円偏波を可能にする。各らせん形素子1305A〜Cは、製造を簡略化するために、28GHzで独立した出力回路基板1100A〜Rに統合されてもよい。誘電体ロッド110A〜Cは、例えばコストを最小限に抑えるためにオールインワンプロセスを使用して、示された制御回路800に取り付けられるモジュール式のスタックボード(stackboard)に取り付けられ得る。
[0108]本明細書に記載された例では、誘電体ロッド110A〜Pの数及び間隔は、特定の使用事例の場合、及び各誘電体ロッド110A〜P間のRF信号の減少を最小限に抑えるために、カスタマイズされ得る。各誘電体ロッド110A〜Pは、各励振素子125A〜Pによって独立して有効化され得る。各誘電体ロッド110A〜Pは、RF信号を受信及び送信することができる。制御回路800は、いずれかの特定の時間にどの誘電体ロッド110A〜Pが有効化されるかという選択における完全な柔軟性を可能にし、誘電体ロッド110A〜P間の切り替えを可能にするように、実装される。制御回路800は、PINダイオード1103A〜Pを、極めて迅速なRFビームの切り替えを可能にする独立して制御される出力810A〜Pとして組み込んでもよい。RFビーム管理アルゴリズムを組み込んでいるマイクロコントローラ805は、RF信号を伝達するために、望ましい誘電体ロッド110A〜Pの有効化を命令するための信号を制御回路800に供給する。
[0109]マイクロコントローラ805は、誘電体ロッド110A〜Pを介したRF波の送信のための通信プロトコル及び信号を提供する1つ又は複数の無線装置860A〜Nとインターフェイスをとる。1つから複数又は全部までの複数の誘電体ロッド110A〜Pが、同時に有効化され得る。誘電体アンテナアレイ101A〜Eなどの誘電体ロッド110A〜Pの輪が、互いに積み重ねられ、追加の有効範囲を提供することができる。誘電体ロッド110A〜Pは、スタックボードを介してモジュール方式で取り付けられ、垂直に積み重ねられる誘電体ロッド110A〜Pの数における柔軟性を可能にすることができる。誘電体ロッド110A〜Pは、垂直方向の有効範囲を最適化するために、任意の角度に傾けることができる。各誘電体ロッド110A〜Pの形状は、最適な、又は望ましいビーム形状を生成するようにカスタマイズされ、サイドローブを低減するように先細にされ得る。各誘電体ロッド110A〜Pの長さは、特定のRF周波数、利得、及びビーム幅に対してカスタマイズされ得る。規定の方法で隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、生成されたRFビームが垂直又は水平に操作され得る。アンテナシステム100への電力入力は、望ましいデータ速度及び伝送距離を可能にするように調整され得る。隣接する誘電体ロッド110A〜Pを有効化することによって、RFビームが誘電体ロッド110A〜P間から生じるようにし、利用者が有効範囲内を移動するときの利得の減少を最小限に抑えることができる。複数のRFチェーンを接続することができ、原理的には、アンテナアレイ101A〜E内に存在する誘電体ロッド110A〜Pと同じ数の独立したRFビームを可能にする。アンテナシステム100は、RFの送信と受信の両方に使用することができ、単一ユーザMIMO、多ユーザMIMO、及びSISOをサポートすることができる。アンテナシステム100の形状は、特定の使用事例の場合に、単層又は多層の輪、放射状に突き出る誘電体ロッド110A〜Pを備える球体、及びその他の望ましい形状を含む形状に修正され得る。
[0110]保護の範囲は、以下の特許請求の範囲のみによって制限される。この範囲は、本明細書及び後に続く出願経過を考慮して解釈されたときに、特許請求の範囲内で使用される言語の通常の意味と一致する広さとなるよう意図されており、そのように解釈されるべきであり、すべての構造的及び機能的に同等のものを包含するよう意図されており、そのように解釈されるべきである。それにもかかわらず、特許請求の範囲は、特許法の第101項、第102項、又は第103項の要件を満たさない主題を包含するよう意図されておらず、そのように解釈されるべきではない。そのような主題の意図されない包含は、本明細書によってすべて放棄される。
[0111]すぐ上で述べたことを除き、述べられた内容又は説明された内容は、特許請求の範囲内で列挙されているかどうかに関わらず、構成要素、ステップ、特徴、目的、恩恵、利点、又は同等のものの公衆への献納を引き起こすよう意図されておらず、そのように解釈されるべきではない。
[0112]本明細書において使用された用語及び表現は、本明細書において特に固有の意味が示された場合を除き、それらに対応する照会及び調査の各領域に関して、そのような用語及び表現と一致するそのままの通常の意味を有するということが理解されるであろう。第1及び第2などの関係を示す用語は、そのような実体又は動作の間のそのような実際の関係又は順序を必ずしも必要としないか、又は意味せずに、ある実体又は動作を別の実体又は動作と単に区別するために使用されることがある。用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、又はこれらの任意のその他の変形は、要素又はステップのリストを備えているか、又は含んでいるプロセス、方法、項目、又は装置が、それらの要素又はステップのみを含むのではなく、明示的に示されていないか、或いはそのようなプロセス、方法、項目、又は装置に固有の他の要素又はステップを含んでもよいように、非排他的包含を含むよう意図されている。「a」又は「an」が前に付く要素は、さらなる制約なしに、この要素を備えるプロセス、方法、項目、又は装置における追加の同一の要素の存在を除外しない。
[0113]特に明記しない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書において示されたあらゆる測定、値、評価、位置、大きさ、サイズ、及びその他の仕様は、近似であり、正確ではない。そのような量は、それらの量が関係している機能、及びそれらの量が関連する技術分野において慣習となっているものと一致する、妥当な範囲を有するよう意図されている。例えば、特に明記しない限り、パラメータ値又は同様のものは、規定された量から±10%程度変化してもよい。
[0114]加えて、前述の「詳細な説明」のさまざまな例において、本開示を簡素化する目的で、さまざまな特徴がまとまってグループ化されるということが、理解され得る。本開示の方法は、請求された例が各請求項において明示的に列挙されている特徴より多い特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映しているように、保護される主題は、いずれかの単一の開示された例のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって「詳細な説明」に組み込まれており、各請求項は、別々に請求される主題として独立している。
[0115]上記では、最良の形態であると考えられるもの及び/又はその他の例について説明したが、これらにおいてさまざまな変更が行われてもよいということ、及び本明細書で開示された主題が、さまざまな形態及び例において実装されてもよいということ、並びにこれらが多数の応用に適用されてもよく、その一部のみが本明細書において説明されていることが、理解される。以下の特許請求の範囲では、本概念の真の範囲に含まれるあらゆる変更及び変形を請求することが意図される。