JP2021512169A - シチシンの単離方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、植物材料からのシチシンの単離方法に関する。本発明に係る方法は、鉱酸で1,5〜3,5の範囲内のpHに酸性化した低級アルコールによって植物原料を抽出することにある。合わせたアルコール水性抽出物を、アルコールが除去されるまで真空蒸留下で濃縮し、濾過後、それらをクロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで、1:1の比率で抽出する。バラスト物質から精製した酸性水性濃縮物を、アルカリ性水酸化物または水酸化アンモニウムでрН9〜12にアルカリ化し、得られたアルカリ性水性濃縮物をクロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで、濃縮物:抽出剤が1:5〜1:10の比率で、少なくとも2回抽出する。合わせた有機抽出物を蒸発乾固させ、次いで、アセトンまたは酢酸エチルを加えて懸濁液を得て、これを5〜10℃で完全に結晶化させ、次いで、濾過し、乾燥させる。単離された生成物は、高い純度および収率を有する。

Description

発明の詳細な説明
〔発明の技術分野〕
本発明は、植物材料からシチシンを単離する方法に関する。
〔発明の背景技術〕
以下の構造を有する、シチシン−(R,5S)−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロ1.5−メタノ−8Н−ピリド[1,2−α](1,5)ジアゾシン−8−オン:
Figure 2021512169
は、ニコチンと同様の薬理作用を示す強力なニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストである。それは、ニコチンおよびアルコール依存症との闘いに使用される。その存在は、Laburnum、Anagyris、Thermopsis、Cytisus、Genista、およびSophoraを含むFaboideae亜科のような種々の植物種において確立されている。シチシンは、Caesalpinioideae亜科等の一員であるGymnocladusにも見られる。Laburnum種子からのシチシンの抽出は、1世紀以上前に報告された(1)。その後、ソックスレー抽出器を用いて数時間抽出したペーストを得るために、粉砕された種子をアルカリで処理することによってシチシンが抽出された(2)。この提案には、ジクロロメタン、メタノール、および水酸化アンモニウム(25%)の混合物を2つの類似の変異体(3)および(4)でシチシンを抽出するために使用することが含まれている。生体材料と0.1N HCIとの混合物からアルカロイドを単離し、続いてイオン交換樹脂を溶離する方法が記載されている(5)。生体材料からのシチシンの単離方法が知られており、これには、植物油(菜種油、ヒマワリ油、亜麻仁油、グレープ油、ピーナッツ油など)を含む生体材料のアルカリ水溶液(炭酸塩、炭酸水素塩、またはアルカリ金属の水酸化物もしくは水酸化アンモニウム)の抽出、酸性水相(好ましくは硫酸を含む)での再抽出、ジクロロメタン(ジクロロメタン+アンモニウム)によるアルカリ抽出によるシチシンのリカバリー、水の除去、および溶媒の蒸発が含まれる。しかしながら、上記の例で得られたシチシンの純度は非常に低い(28%)(6)。CNS疾患の治療のためのシチシンのアルカロイド誘導体を得るための半合成法が存在し、その最初の段階は、粉末化したOrmosia、特に粉末化した根および茎の、メタノール中での浸軟、それに続く濾過および蒸発乾固;得られた抽出物の塩酸水溶液および酢酸エチル間の分布、水相および有機相の分離;水相の炭酸ナトリウムでのрН10〜12へのアルカリ化;ジクロロメタンの添加、ならびに相の繰り返しの分離、ならびに後で目的の生成物を得るために化学反応に供される化合物の単離からなる(7)。thermopsis lanceolataからのシチシンの抽出方法も保護されている(8)。
長い歴史はあるものの、植物からのシチシン抽出の課題を満足できる解決策が得られていないことは、概要から明らかである。シチシンの単離のための既知のアプローチは、多段式で、労働集約的で、効果が低く、非常に低い純度を有する生成物をもたらす。これは、より高い純度を有するシチシンの良好な収率を保証する方法の大きなニーズを決定する。ニーズは、このアルカロイドの探索の増加および使用用途の拡大によって課せられる。
〔発明の概要〕
利用しやすく効率的な方法を用いて、シチシンを含む植物材料から、高収率で高純度グレードの医薬品有効成分(API)を得ることができることを確立した。本発明に係る、当該方法は、鉱酸で1,5〜3,5の範囲内のрН、20〜50℃の温度に酸性化した低級アルコール(好ましくはメタノール、エタノール)で植物原料を抽出することを含む。50〜80%の低級アルコールを含む合わせたアルコール水性抽出物を、当該アルコールが除去されるまで、真空下で濃縮し、濾過後、それらをクロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで1:1の比率で抽出する。このようにしてバラスト物質から精製した酸性水性濃縮物を、アルカリ性(ナトリウムまたはカリウム)水酸化物または水酸化アンモニウムでрН9〜12にアルカリ化し、アルカリ性水性濃縮物を、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで、濃縮物:抽出剤が1:5〜1:10の比率で、少なくとも2回抽出する。合わせた有機抽出物を蒸発乾固させ、次いでアセトンまたは酢酸エチルを加えて懸濁液を得て、これを5〜10℃で完全に結晶化させ、次いでそれを濾過し、それを乾燥させる。本発明に係る、単純で洗練された方法を使用すると、驚くべきことに、HPLCグレード98〜99.9%および収率80〜85%のシチシンが得られる。
本発明に係る、単純で洗練された方法を使用すると、驚くべきことに、HPLCグレード98〜99.9%および収率80〜85%のシチシンが得られる。
以下の実施例は、本発明に係る方法の本質を説明するものであり、本発明を限定するものではない。
〔実施例:〕
[実施例1:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子15kg、硫酸0,350Lで酸性化した45Lでそれぞれ、pH2,5〜3、温度30℃で5時間、2回抽出する。合わせたアルコール水性酸抽出物を真空下で初期体積の25L(1/5)の体積まで濃縮し、固体成分を濾過により除去し、得られた濃縮物をそれぞれ2,5〜3,0のpH範囲で、クロロホルム10Lで2回抽出する。得られた精製した酸性水性濃縮物を30%水酸化ナトリウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれを各抽出クロロホルム25Lで5回抽出する。合わせた有機抽出物を、choroformが完全に除去されるまで蒸留し、得られた残渣にアセトン2Lを加えてアセトン懸濁液を得て、これを5〜10℃で11時間静置し、次いで濾過し、それを乾燥させる。
HPLCグレード99,15%および収率85%のシチシン127gが得られる。
[実施例2:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
実施例1と同様に、ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子を60%メタノールで抽出し、塩酸で酸性化する。酸性水性濃縮物をクロロホルムで精製し、実施例1に従い、25%水酸化ナトリウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれをそれぞれ塩化メチレン20Lで7回抽出する。合わせた有機抽出物を、塩化メチレンが完全に除去されるまで蒸留し、得られた残基にアセトン2Lを加えてアセトン懸濁液を得て、これを5〜10℃で10時間静置し、次いで得られた析出物を濾過し、それを乾燥させる。
HPLCグレード98,72%および収率81%のシチシン121,5gが得られる。
[実施例3:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
実施例1と同様に、ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子を、酸性メタノールの代わりに硫酸で酸性化した70%エタノールで抽出する。クロロホルムで精製した酸性水性濃縮物を、実施例1に従って、25%水酸化アンモニウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれぞれクロロホルム25Lで6回抽出する。得られたクロロホルム抽出物を、実施例1と同様にさらに脅す(threated)。
HPLCグレード98,7%および収率83%のシチシン125gが得られる。
[実施例4:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性エタノール抽出によるシチシンの調製]
実施例1と同様に、ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子を、酸性メタノールの代わりに硫酸で酸性化した70%エタノールで抽出する。
酸性水性濃縮物を、pH11にするために40%水酸化ナトリウム溶液を用いてクロロホルムで精製し、次いでそれぞれクロロホルム25Lで5回抽出する。得られたクロロホルム抽出物を、実施例1と同様にさらに脅す(threated)。
HPLCグレード98,3%および収率80%のシチシン120gが得られる。
[実施例5:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子15kgを、それぞれ塩酸1,09LでpH2.5〜3.0、28℃の温度で5時間酸性化した80%エタノール45Lで、3回抽出する。合わせたアルコール−水性酸性抽出物を真空下で20Lの体積まで濃縮し、酸性濃縮物を濾過し、次いでそれぞれ2.5〜3.0のpH範囲で、塩化メチレン10Lで2回抽出する。酸精製した水性濃縮物を水酸化ナトリウムでpH11にアルカリ化し、次いでそれぞれ塩化メチレン20Lで6回抽出する。合わせた有機抽出物を、塩化メチレンが完全に除去されるまで蒸留し、得られた残渣に酢酸エチル2Lを加えて酢酸エチル懸濁液を得て、それを5〜10℃で撹拌し、10時間静置し、次いで得られた析出物を濾過し、さらにそれを乾燥する。
HPLCグレード98,8%および収率79%のシチシン119gが得られる。
[実施例6:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子15kgを、それぞれ硫酸0,350LでpH2,5〜3、30℃の温度で5時間酸性化した70%メタノール45Lで、3回抽出する。合わせたアルコール−水性酸性抽出物を真空下で初期体積の25L(1/5)の体積まで濃縮し、固体成分を濾過により除去し、得られた濃縮物をそれぞれ2,5〜3,0のpH範囲で、酢酸ブチル10Lで2回抽出する。酸精製した水性濃縮物を、30%水酸化ナトリウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれぞれ酢酸ブチル25Lで6回抽出する。合わせた有機抽出物を、酢酸ブチルが完全に除去されるまで蒸留し、得られた残渣にアセトン2Lを加え、これを5〜10℃で11時間静置して目的のアセトン懸濁液を得て、次いでそれを濾過し、それを乾燥させる。
HPLCグレード99,85%および収率81%のシチシン125gが得られる。
[実施例7:ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L., Golden chain)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
ゴールデンチェーンツリー(Cytisus laburnum L.)の粉砕種子15kgを、それぞれ硫酸0,350LでpH2,5〜3、30℃の温度で5時間酸性化した70%メタノール45Lで、3回抽出する。合わせたアルコール−水性酸性抽出物を真空下で初期体積の25L(1/5)の体積まで濃縮し、固体成分を濾過により除去し、得られた濃縮物を、それぞれ2,5〜3,0のpH範囲で、n−ブタノール10Lで2回抽出する。酸精製した水性濃縮物を、30%水酸化ナトリウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれぞれn−ブタノール25Lで6回抽出する。合わせたn−ブタノール抽出物を、実施例6と同様にfither脅す(threated)。
HPLCグレード99,66%および収率82%のシチシン120gが得られる。
[実施例8:Thermopsis(Thermopsis lanceolata R.Br)の粉砕種子の酸性メタノール抽出によるシチシンの調製]
Thermopsis(Thermopsis lanceolata R.Br)の粉末種子15kgを、それぞれ硫酸0,350LでpH2,5〜3,0、30℃の温度で5時間酸性化した70%メタノール45Lで、3回抽出する。合わせたアルコール−水性酸性化した抽出物を真空下で初期体積の25L(1/5)の体積まで濃縮し、固体成分を濾過により除去し、得られた濃縮物を、それぞれ2,5〜3,0のpH範囲でn−ブタノール10Lで2回抽出する。酸精製した水性濃縮物を、30%水酸化ナトリウム溶液でpH11にアルカリ化し、次いでそれぞれn−ブタノール25Lで6回抽出する。合わせたn−ブタノール抽出物は、実施例6と同様にさらに脅す(threated)。
HPLCグレード99,32%および収率81%のシチシン121gが得られる。
[実施例9:Thermopsis(Thermopsis lanceolata R.Br)の粉砕種子の酸性エタノール抽出によるシチシンの調製]
Thermopsis(Thermopsis lanceolata R.Br)の粉砕種子15kgを、それぞれ塩酸1,09LでpH2,5〜3、28℃の温度で5時間酸性化した80%エタノール45Lで、3回抽出する。合わせたアルコール−水性酸性化した抽出物を、真空下で20Lの体積まで濃縮し、酸性濃縮物を濾過し、次いでそれぞれ2,5〜3,0のpH範囲で、塩化メチレン10Lで、2回抽出する。酸精製した水性濃縮物を、水酸化ナトリウムでpH12にアルカリ化し、次いでそれぞれ塩化メチレン20Lで、6回抽出する。合わせた有機抽出物を、塩化メチレンが完全に除去されるまで蒸留し、得られた残渣に酢酸エチル2Lを加えて酢酸エチル懸濁液を得て、5〜10℃で撹拌し、12時間静置し、次いでそれを濾過し、得られた析出物を乾燥する。
HPLCグレード98,9%および80%の収率のシチシン120gが得られる。
〔使用文献:〕
1. Partheil, A., Ber. O. Ch. G. 23, 3201 (1890).
2. Klein, C., Handbuch der Pflanzenanalyse, Vienna (1933), Ed. J. Springer.
3. Wink, E., Pharmazie 51,768 (1996).
4. (Organic Synthesis 83,141 (2006).
5. DE 3429543 A1
6. EP 2292629 A
7. WO2014001348 A
8. CN 103724347 B

Claims (1)

  1. シチシンを含む植物材料の酸抽出によるシチシンの単離方法であって、前記植物材料を、鉱酸で1,5〜3,5の範囲内のpH、20〜50℃の温度に酸性化した低級アルコール、好ましくはメタノールまたはエタノールで脅し(threated)、次いで、50〜80%の低級アルコールを含む合わせたアルコール水性抽出物を、前記アルコールが除去されるまで減圧蒸留下で濃縮し、濾過後、それらをクロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで1:1の比率で抽出し、バラスト物質から精製した酸性水性濃縮物を得て、これをアルカリ性(ナトリウムまたはカリウム)水酸化物または水酸化アンモニウムでpH9〜12にアルカリ化し、得られたアルカリ性水性濃縮物をクロロホルム、塩化メチレン、酢酸ブチル、またはノルマルブタノールで、濃縮物:抽出剤が1:5〜1:10の比率で、少なくとも2回抽出し、次いで、合わせた有機抽出物を蒸発乾固させ、アセトンまたは酢酸エチルを加え、得られた懸濁液を5〜10℃で完全に結晶化させ、次いで、それを濾過し、それを乾燥させることを特徴とする、単離方法。
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