JP2021511793A - Lag3に結合する抗原結合部位を含む二重特異性抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌治療に特に適した新規の抗体に関する。本発明による抗体は、二重特異性または多重特異性抗体であり、LAG3に結合する第1の抗原結合部位を含む。第1の抗原結合部位は自律性VHドメインである。【選択図】なし

Description

本発明は、操作された免疫グロブリンドメイン、より具体的には改善された安定性を有する操作された免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、およびそのような免疫グロブリンドメインのライブラリーに関する。本発明はさらに、そのような免疫グロブリンドメインを調製するための方法、およびこれらの免疫グロブリンドメインを使用する方法に関する。本発明はさらに、LAG3に結合する抗原結合部位を含む二重特異性または多重特異性抗体、そのような抗体をコードするポリヌクレオチド、およびそのような抗体の産生方法に関する。
シングルドメイン抗体断片は、ラクダ科の天然に存在する重鎖IgG(VHHと呼ばれる)または軟骨性であるサメのIgNAR(VNARと呼ばれる)に由来し得る。シングルドメイン抗体には、臨床開発の興味深い候補となるいくつかの特性があるが、非ヒトシングルドメイン抗体は、ヒトでの免疫原性のために治療用途には適していない。
しかしながら、従来のヒトIgGに由来するシングルドメイン抗体断片は、安定性と溶解性が低いために凝集しやすく、(Ward et al.,Nature 341,544−546(1989))、これにより、タンパク質の安定性が不可欠である治療でのそれらの用途が制限される。不安定なタンパク質は、部分的に展開して凝集する傾向にあり、これにより、最終的には治療効果の低下と望ましくない副作用がもたらされる。
シングルドメインおよび他の組換え抗体断片の安定性/溶解性を改善するためのいくつかのアプローチが行われている。選択ベースのアプローチには、例えば高温、極端なpHでの、またはプロテアーゼもしくは変性剤の存在下における抗体のライブラリー選択が含まれる。
エンジニアリングベースのアプローチとして、ジスルフィド結合および他の安定化変異の抗体への導入が挙げられる。
安定性が改善されたシングルドメイン抗体を得るための方法は、多数のシングルドメイン抗体変種を含むライブラリーからの選択である。そのようなライブラリーを生成するために、1つのシングルドメイン抗体が足場として使用され、これは安定性が向上するように操作され得る。次いで、所望の標的結合特異性を有する子孫シングルドメイン抗体が、従来のパニングによりライブラリーから選択され得る。なぜなら、それらの抗体は、親の足場の改善された特性を大きく継承することになるからである。安定性が改善されたシングルドメイン抗体を得るための別の方法は、表面に露出した親水性または荷電アミノ酸などの安定化変異を、予め選択したシングルドメイン抗体に所望の結合特性で導入することである。
人工ジスルフィド結合のタンパク質への導入は、タンパク質の立体配座の安定性を高めるための戦略として認識されている。しかしながら、タンパク質の安定性を高める代わりに、不適切な位置のジスルフィド結合は、折り畳みタンパク質の周囲のアミノ酸に好ましくない影響を及ぼしたり、既存の好ましい相互作用を妨害したりする可能性がある。ジスルフィド架橋のための適切な位置の選択は不可欠であるが、そのための確立された規則はない。それらの安定性を改善するための戦略として、人工的な非標準ジスルフィド結合の導入によるシングルドメイン抗体の操作が提案されている。
重鎖可変(VH)ドメインは、システイン残基23と104の間(IMGT番号付け、Kabat番号付けシステムによる残基22と92に対応)に高度に保存されたジスルフィド結合を自然に含み、これはVHのコアにおける2つのβ鎖BとFを結合し、それらの安定性と機能に非常に重要である。
54位と78位の間(IMGT番号付け、Kabat番号付けシステムによる49位と69位に対応)の2番目の非ネイティブジスルフィド結合の、ラクダ科VHH(Saerens et al.,J Mol Biol 377,478−488(2008),Chan et al.,Biochemistry 47,11041−11045(2008),Hussack et al.,Plos One 6,e28218(2011))またはヒトVH(Kim et al.,Prot Eng Des Sel 25,581−589)(2012)、国際公開第2012/100343号)への導入は、それらの熱安定性および(VHHの場合)プロテアーゼ耐性の増加につながることが示された(Hussack et al.,Plos One 6,e28218(2011))。この特定のジスルフィド結合は、特異的ヒトコブラクダVHHにおいて天然に存在することが以前に確認されていた(Saerens et al.,J Biol Chem 279,51965−51972(2004))。それはVHH疎水性コアにおけるフレームワーク領域2(FR2)とフレームワーク領域3(FR3)を結合する。
原則として効果的であるが、このアプローチには、アフィニティー、特異性および発現収量の低下など、いくつかの欠点がないわけではない(Hussack et al.,Plos One 6,e28218(2011))。
したがって、安定化されたシングルドメイン抗体が依然として必要とされている。
癌(がん)に対する防御における免疫系の重要性は、免疫系が異常細胞を検出し、破壊する能力に基づく。しかしながら、ある種の腫瘍細胞は、免疫抑制状態を作り出すことによって、免疫系から逃れることができる(Zitvogel et al.,Nature Reviews Immunology 6(2006),715−727)。T細胞は、抗ウイルス性および抗腫瘍性の免疫応答において、重要な役割を持つ。抗原特異性T細胞の適切な活性化によって、それらのクローン性増殖およびエフェクター機能の獲得が起こり、細胞毒性Tリンパ球(CTL)の場合には、CTLによって標的細胞を特異的に溶解することができる。T細胞は、全ての細胞内コンパートメント中のタンパク質に由来するペプチドの選択的な認識に関するそれらの能力、抗原発現細胞を直接的に認識し、死滅させる能力(細胞毒性Tリンパ球(CTL)としても知られている、CD8+エフェクターT細胞による)、および多様な免疫応答を調整し(CD4+ヘルパーT細胞による)、獲得エフェクター機構と自然エフェクター機構とを統合する能力に起因して、内因性抗腫瘍免疫を治療的に操作する取り組みが主に注目されている。T細胞の機能不全は、長期にわたる抗原曝露の結果として生じる。T細胞は、抗原の存在下で増殖する能力を失い、漸進的にサイトカインを産生できなくなり、標的細胞1を溶解できなくなる。機能不全のT細胞は、疲弊したT細胞と呼ばれており、増殖することができず、抗原刺激に応答して細胞毒性およびサイトカイン分泌などのエフェクター機能を発揮することができない。更なる研究は、疲弊したT細胞が、阻害分子PD−1(プログラム細胞死タンパク質1)の継続的な発現によって特徴付けられることと、LCMV感染マウスにおいて、PD−1とPD−L1(PD−1リガンド)の相互作用の遮断が、T細胞の疲弊を逆行させ、抗原特異的なT細胞応答を回復させることができることを特定した(Barber et al.,Nature 439(2006),682−687)。しかしながら、PD−1−PD−L1経路のみを標的としても、T細胞疲弊の逆行が常に起こるわけではなく(Gehring et al.,Gastroenterology 137(2009),682−690)、このことは、他の分子がおそらくT細胞疲弊に関与していることを示している(Sakuishi,J.Experimental Med.207(2010),2187−2194)。
リンパ球活性化遺伝子−3(LAG3またはCD223)は、IL−2依存性NK細胞株において発現した分子を選択的に単離するように設計された実験で、最初に発見された(Triebel F et al.,Cancer Lett.235(2006),147−153)。LAG3は、CD4に対して構造相同性を持ち、4つの細胞外免疫グロブリンスーパーファミリー様ドメイン(D1〜D4)を有する、特異的膜貫通タンパク質である。この膜の遠位にあるIgGドメインは、短いアミノ酸配列(他のIgGスーパーファミリータンパク質にはみられない、いわゆるエキストラループ)を含む。細胞内ドメインは、LAG3がT細胞機能に対して悪影響を及ぼすのに必要とされる特異的アミノ酸配列(KIEELE、配列番号75)を含む。LAG3は、メタロプロテアーゼによって連結ペプチド(CP)で開裂されて、可溶性形態を生成することができ、この形態は、血清中で検出可能である。CD4と同様に、LAG3タンパク質は、MHCクラスII分子に結合するが、アフィニティーがより高く、CD4とは別の部位で結合する(Huard et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94(1997),5744−5749)。LAG3は、T細胞、B細胞、NK細胞および形質細胞様樹状細胞(pDC)で発現し、T細胞活性化に従ってアップレギュレーションする。LAG3は、T細胞の機能だけでなくT細胞のホメオスタシスも調節する。免疫不応答性であるか、または機能不全を示す従来のT細胞の一部は、LAG3を発現する。LAG3+T細胞は、腫瘍部位に、そして慢性ウイルス感染中に豊富に含まれる(Sierro et al Expert Opin.Ther.Targets 15(2011),91−101)。LAG3は、CD8 T細胞の疲弊において、ある役割を果たすことが示されている(Blackburn et al.Nature Immunol.10(2009),29−37)。したがって、LAG3の活性をアンタゴナイズし、腫瘍に対する免疫応答を生成し、回復させるために使用可能な抗体が必要とされている。
LAG3に対するモノクローナル抗体は、例えば、国際公開第2004/078928号に記載されており、CD223に特異的に結合する抗体と抗癌ワクチンとを含む組成物が請求されている。国際公開第2010/019570号は、LAG3に結合するヒト抗体(例えば、抗体25F7および26H10)を開示している。米国特許出願公開第2011/070238号明細書は、臓器移植拒絶および自己免疫疾患の治療または予防に有用な細胞毒性抗LAG3抗体に関する。国際公開第2014/008218号は、抗体25F7と比較して、最適化された機能特性(すなわち、脱アミノ化部位の減少)を有するLAG3抗体を記載している。さらに、LAG3抗体は、国際公開第2015/138920号(例えば、BAP050)、国際公開第2014/140180号、国際公開第2015/116539号、国際公開第2016/028672号、国際公開第2016/126858号、国際公開第2016/200782号および国際公開第2017/015560号に開示されている。
プログラム細胞死タンパク質1(PD−1またはCD279)は、受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーであり、CD28、CTLA−4、ICOSおよびBTLAも含まれる。PD−1は、細胞表面受容体であり、活性化されたB細胞、T細胞および骨髄細胞で発現している(Okazaki et al(2002)Curr.Opin.Immunol.14:391779−82;Bennett et al.(2003)J Immunol 170:711−8)。PD−1の構造は、1つの免疫グロブリン可変様の細胞外ドメインと、免疫受容体阻害性モチーフ(ITIM)および免疫受容体チロシンに基づくスイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞質ドメインとからなるモノマー型1膜貫通タンパク質である。活性化されたT細胞は、一時的にPD1を発現するが、PD1およびそのリガンドPDL1の持続的な超発現は、免疫の疲弊を促進し、ウイルス感染、腫瘍回避を持続させ、感染および致死を増やす。PD1発現は、T細胞受容体による抗原認識によって誘発され、その発現は、連続的なT細胞受容体シグナル伝達によって主に維持される。長期間抗原に曝露した後、PD1の遺伝子座は、再メチル化することができず、連続的な超発現を促進する。PD1経路をブロックすると、癌および慢性ウイルス感染において、疲弊したT細胞の機能を回復させることができる(Sheridan,Nature Biotechnology 30(2012),729−730)。PD−1に対するモノクローナル抗体は、例えば、国際公開第2003/042402号、国際公開第2004/004771号、国際公開第2004/056875号、国際公開第2004/072286号、国際公開第2004/087196号、国際公開第2006/121168号、国際公開第2006/133396号、国際公開第2007/005874号、国際公開第2008/083174号、国際公開第2008/156712号、国際公開第2009/024531号、国際公開第2009/014708号、国際公開第2009/101611号、国際公開第2009/114335号、国際公開第2009/154335号、国際公開第2010/027828号、国際公開第2010/027423号、国際公開第2010/029434号、国際公開第2010/029435号、国際公開第2010/036959号、国際公開第2010/063011号、国際公開第2010/089411号、国際公開第2011/066342号、国際公開第2011/110604号、国際公開第2011/110621号、国際公開第2012/145493号、国際公開第2013/014668号、国際公開第2014/179664号、国際公開第2015/112900号に記載されている。
癌または細菌、真菌もしくはウイルスなどの病原体に関連する疾患の処置に使用するためのPD1およびLAG3との免疫反応性を有する二重特異性Fcダイアボディは、国際公開第2015/200119号に記載されている。しかしながら、PD1およびLAG3に同時に結合し、ひいてはPD1およびLAG3を両方とも発現する細胞を選択的に標的化するだけではなく、LAG3の広範囲にわたる発現パターンが与えられる他の細胞に対してLAG3のブロックを回避する新規な二重特異性抗体を提供する必要がある。本発明の二重特異性抗体は、PD1およびLAG3の両方を過剰発現するT細胞に対して、PD1およびLAG3を効率的にブロックするだけではなく、これらの細胞に対して非常に選択的であり、それによって、非常に活性なLAG3抗体を投与することによる副作用が回避され得る。
本発明は、自律性VHドメインが、有益な特性を有する二重特異性または多重特異性抗体における抗原結合実体として利用され得るという発見に基づく。
本発明の第1の態様は、LAG3に結合する第1の抗原結合部位を含む二重特異性または多重特異性抗体に関し、第1の抗原結合部位は自律性VHドメインである。特に、抗体は単離された抗体である。特に、自律性VHドメインは、適切な条件下でジスルフィド結合を形成する少なくとも2つの非標準システインを介して安定化される。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、PD1に結合する第2の抗原結合部位を含む。
本発明の1つの実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体の自律性VHドメインは、以下に開示される特徴を含む自律性VHドメインである。
自律性VHドメインは、Kabat番号付けによる(i)52a位および71位または(ii)33位および52位にシステインを含むことができ、前記システインは適切な条件下でジスルフィド結合を形成する。特に、自律性VHドメインは、Kabat番号付けによる52a、71、33および52位のシステインを含む。
自律性VHドメインは、
(a)配列番号207のアミノ酸配列を含むFR1と、
(b)配列番号208のアミノ酸配列を含むFR2と、
(c)配列番号209のアミノ酸配列を含むFR3と、
(d)配列番号210のアミノ酸配列を含むFR4と
を含む重鎖可変ドメインフレームワーク
または
(a)配列番号211のアミノ酸配列を含むFR1と、
(b)配列番号208のアミノ酸配列を含むFR2と、
(c)配列番号209のアミノ酸配列を含むFR3と、
(d)配列番号210のアミノ酸配列を含むFR4と
を含む重鎖可変ドメインフレームワーク
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(i)配列番号146の配列を有するCDR1、配列番号147の配列を有するCDR2、および配列番号148の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(ii)配列番号149の配列を有するCDR1、配列番号150の配列を有するCDR2、および配列番号151の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号79のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(iii)配列番号152の配列を有するCDR1、配列番号153の配列を有するCDR2、および配列番号154の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(iv)配列番号155の配列を有するCDR1、配列番号156の配列を有するCDR2、および配列番号157の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号83のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(v)配列番号158の配列を有するCDR1、配列番号159の配列を有するCDR2、および配列番号160の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(vi)配列番号161の配列を有するCDR1、配列番号162の配列を有するCDR2、および配列番号163の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号87のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(vii)配列番号164の配列を有するCDR1、配列番号165の配列を有するCDR2、および配列番号166の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号89のアミノ酸配列を含む。
好ましい態様では、LAG3に結合するaVHドメインは、(viii)配列番号167の配列を有するCDR1、配列番号168の配列を有するCDR2、および配列番号169の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(ix)配列番号170の配列を有するCDR1、配列番号171の配列を有するCDR2、および配列番号172の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号93のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(x)配列番号173の配列を有するCDR1、配列番号174の配列を有するCDR2、および配列番号175の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号95のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(xi)配列番号176の配列を有するCDR1、配列番号177の配列を有するCDR2、および配列番号178の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号97のアミノ酸配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、H35G、Q39R、L45EおよびW47Lからなる群から選択される置換をさらに含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、L45T、K94SおよびL108Tからなる群から選択される置換を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、特にハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)のVH配列に基づくVH3_23フレームワークを含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、Fcドメインに融合される。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、Fcドメインの末端のN末端またはC末端に融合される。本発明の好ましい実施形態では、Fcドメインは、本明細書に記載の「ノブ・イントゥ・ホール技術(knob−into−hole−technology)」に関連するノブ変異またはホール変異、特にノブ変異を含む。N末端およびC末端の両方のFc融合について、グリシン−セリン(GGGGSGGGGS)リンカー、リンカー配列「DGGSPTPPTPGGGSA」を有するリンカーまたは任意の他のリンカーが、好ましくは、自律性VHドメインとFcドメインとの間で発現され得る。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体のPD1に結合する第2の抗原結合部位は、
(i)配列番号201のアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
(ii)配列番号202のアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
(iii)配列番号203のアミノ酸配列を含むCDR−H3と
を含むVHドメイン;および
(i)配列番号204のアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
(ii)配列番号205のアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
(iii)配列番号206のアミノ酸配列を含むCDR−L3と
を含むVLドメイン
を含む。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体のPD1に結合する第2の抗原結合部位は、配列番号192のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび/または配列番号193のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、FcドメインおよびPD1に結合する第2の抗原結合部位を含むFab断片を含む。
本発明の一実施形態では、Fcドメインは、IgG、特にIgG1 FcドメインまたはIgG4 Fcドメインである。
本発明の一実施形態では、Fcドメインは、Fc受容体、特にFcγ受容体に対する結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む。
本発明の一実施形態では、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235AおよびP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を有するヒトIgG1サブクラスである。
本発明の一実施形態では、Fcドメインは、Fcドメインの第1および第2のサブユニットの会合を促進する修飾を含む。
本発明の一実施形態では、ノブ・イントゥ・ホール方法(knobs into holes method)に従って、Fcドメインの第1のサブユニットがノブを含み、Feドメインの第2のサブユニットがホールを含む、二重特異性抗体が提供される。「ノブ・イントゥ・ホール方法(knobs into holes method」は、「ノブ・イントゥ・ホール技術(knob−into−hole technology)」を指す。
本発明の一実施形態では、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366SおよびY407V(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む。
本発明の一実施形態では、Fcドメインは、二重特異性または多重特異性抗体のために、自律性VHドメインのC末端に融合され、融合体は、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119からなる群から選択されるアミノ酸配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の一実施形態では、PD1に結合する抗原結合部位を含むFab断片の可変ドメインVLおよびVHは、互いに置き換えられる。その場合、VHドメインは軽鎖の一部になり、VLドメインは重鎖の一部になる。
本発明の一実施形態では、Fab断片の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸は、独立して、リシン(K)、アルギニン(R)またはヒスチジン(H)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、Fab断片の定常ドメインCH1において、147位および213位のアミノ酸は、独立して、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)。
本発明の一実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、
(a)配列番号192の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号193の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の軽鎖、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択される配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖を含む。
本発明の好ましい実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、(a)配列番号143の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、または配列番号145の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖、およびb)配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択される配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖を含む。
本発明の好ましい実施形態では、二重特異性または多重特異性抗体は、(a)配列番号143のアミノ酸配列を含む重鎖、または配列番号145のアミノ酸配列を含む軽鎖、およびb)配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択される配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む第2の重鎖を含む。
本発明の更なる態様は、上記に開示された二重特異性または多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドに関する。
更なる態様では、本発明は、上記に開示されたポリヌクレオチドを含むベクター、特に発現ベクターを提供する。
本発明の更なる態様は、上記に開示されたポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞、特に真核生物または原核生物の宿主細胞に関する。
本発明の更なる態様は、上記に開示された二重特異性または多重特異性抗体を産生するための方法に関し、
(a)前記二重特異性または多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターで宿主細胞を形質転換するステップ、
(b)二重特異性または多重特異性抗体の発現に適した条件下で宿主細胞を培養するステップ、および任意に
(c)培養物、特に宿主細胞から二重特異性または多重特異性抗体を回収するステップ
を含む。
本発明の更なる態様は、上記に開示された二重特異性または多重特異性抗体および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
本発明の更なる態様は、薬剤として使用するための、上記に開示された二重特異性もしくは多重特異性抗体または上記に開示された医薬組成物に関する。
本発明の更なる態様は、
(i)T細胞活性の回復などの免疫応答の調節において、
(ii)免疫応答または機能の刺激において、
(iii)感染の処置において、
(iv)癌の処置において、
(v)癌の進行を遅らせることにおいて、
(vi)癌を患う患者の生存を延長することにおいて使用するための、二重特異性もしくは多重特異性抗体または医薬組成物に関する。
本発明の更なる態様は、癌の予防または治療に使用するための、上記に開示された二重特異性もしくは多重特異性抗体または医薬組成物に関する。
本発明の更なる態様は、慢性ウイルス感染の治療に使用するための、上記に開示された二重特異性もしくは多重特異性抗体または医薬組成物に関する。
本発明の更なる態様は、癌の予防または処置に使用するための、上記に開示された二重特異性もしくは多重特異性抗体または医薬組成物に関し、二重特異性または多重特異性抗体は、癌免疫療法で使用するための化学療法剤、放射線および/または他の薬剤と組み合わせて投与される。
本発明の更なる態様は、有効量の二重特異性または多重特異性抗体を個体に投与して腫瘍細胞の増殖を阻害することを含む、個体における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法で使用するための、上記に開示された二重特異性もしくは多重特異性抗体または医薬組成物に関する。
図1A−B:新しいaVHライブラリーの配列とランダム化戦略。図1A:ハーセプチン重鎖の配列アラインメントと、モノマーで安定した自律性ヒト重鎖可変ドメインの発現を可能にする修飾された配列(Barthelemy et al.,J.Biol.Chem.2008,283:3639−3654)。図1B:第1のaVHライブラリーのCDR3領域のランダム化戦略。フレームワーク3領域の一部、Kabatの番号付けによる3つの異なるCDR3配列の長さのCDR3領域(ボックス)、およびフレームワーク4領域が示されている。太字の文字は、配列B1abと比較して異なる配列を示し、(X)はランダム化された位置を表す。 図2A−D:生成されたFcベースのaVHコンストラクトの概略図。A)DNAレベルでは、aVHドメインをコードするヌクレオチド配列は、2つのGGGGSリンカーまたはリンカー配列DGGSPTPPTPGGGSAをコードするDNA配列に融合されており、これは、Fcドメインコード配列をコードするDNA配列に融合されていた。最終的なタンパク質コンストラクトでは、aVHドメインは、前述のリンカーの1つを介して、ヒト由来のIgG1 Fc配列のN末端、ここでは、Fcノブ断片に融合され、これは、Fc二量体あたりモノマーディスプレイをもたらすFc−ホール断片をコードする配列と共発現される。FcノブおよびFcホールの両方がPG−LALA変異も含んでいる可能性がある。図2B:IgG抗体のVHドメインをコードするヌクレオチド配列は、aVHドメインをコードするヌクレオチド配列と置き換えられた。さらに、カッパ軽鎖の可変ドメインをコードする配列は削除され、唯一のカッパドメインの発現がもたらされた。共発現により、二価のaVHディスプレイを備えたIgG様コンストラクトが生じる。図2C:DNAレベルでは、aVHドメインをコードするヌクレオチド配列は、2つのGGGGSリンカーをコードするDNA配列に融合されており、これは、Fcドメインコード配列をコードするDNA配列に融合されていた。最終的なタンパク質コンストラクトでは、aVHドメインは、前述のリンカーを介して、ヒト由来のIgG1 Fc配列のN末端、ここでは、野生型FcドメインまたはPG−LALA変異を保有するFcドメインのいずれかに融合されている。発現により、二価のaVHディスプレイを備えたIgG様コンストラクトが生じる。図2D:抗PD1重鎖(FcホールおよびPG−LALA変異を含む)をコードするプラスミド、抗PD1軽鎖をコードするプラスミド、および抗LAG3 aVH−Fc(FcノブおよびPG−LALA変異を含む)ドメインをコードするプラスミドの共発現が、二重特異性1+1抗PD1/抗LAG3抗体様コンストラクトの生成をもたらす。aVHとFcドメインは、2つのGGGGSリンカーを介して融合されている。 図3A−B:ジスルフィド安定化aVHの配列アラインメントと新しいライブラリー用に設計されたテンプレート。図3A:aVHライブラリーテンプレートのアラインメントが、P52aC/A71Cの組合せに基づいて示されている。図3B:aVHライブラリーテンプレートのアラインメントが、Y33C/Y52Cの組合せに基づいて示されている。 フローサイトメトリーによる細胞結合分析。一価のaVH−Fc融合コンストラクトとしての、選択されたMCSP特異的クローンのMV3細胞への結合分析。濃度範囲は0.27〜600nMであった。アイソタイプコントロール抗体が、ネガティブコントロールとして機能した。 TfR1特異的aVHクローンのFRET分析。テルビウムで標識された膜貫通TfR1−SNAPタグ融合タンパク質を発現する一過性トランスフェクト細胞のFRET分析。分析は、抗体を0.4から72nMまでの範囲の濃度で加えて、続いて受容体分子として抗ヒトFc−d2(最終的にはウェルあたり200nM)を加えることにより行った。3時間後に特異的FRET信号を測定し、K値を計算した。 グランザイムBおよびIL2発現の誘導。前処理されたCD4 Tと抗PD1抗体および精製された二価の抗LAG3 aVH−Fcコンストラクトを同時にインキュベートした後のグランザイムB(図6A)およびIL2レベル(図6B)の誘導。 二重特異性抗PD1/抗LAG3 1+1抗体様コンストラクトを介した同時係合後のPD1およびLAG3の二量体化。受容体PD1およびLag3の「二量体化」時に誘導される化学発光シグナルが示されている。曲線は、PD1結合部分と4つの異なる抗Lag3 aVHとからなる4つの所定の二重特異性抗体様コンストラクトのin vitro効力を示している。 B細胞リンパ芽球様細胞株(ARH77)と共培養されたヒトCD4 T細胞による細胞毒性グランザイムB放出に対するPD−1/LAG−3二重特異性1+1抗体様コンストラクトの効果。前処理されたCD4 Tと、i)抗PD1抗体単独、ii)二価の抗LAG3 aVH−FcコンストラクトもしくはLAG3抗体のいずれかと組み合わせた抗PD1抗体、またはiii))二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様1+1コンストラクトとの同時インキュベーション後のグランザイムBの誘導。
発明の実施形態の詳細な説明
I.定義
他の意味であると定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野で一般的に使用されるのと同じ意味を有する。本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合にはいつでも、単数形で使用される用語は、複数形も含み、その逆に、複数形で使用される用語は、単数形も含む。
本明細書で使用される場合、「抗原結合分子」との用語は、最も広い意味で、抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の例は、抗体、抗体断片および足場抗原結合タンパク質である。
本明細書の「抗体」との用語は、最も広い意味で使用され、種々の抗体構造を包含し、限定されないが、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体および多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を含む。
「単一特異性」抗体との用語は、本明細書で使用される場合、同じ抗原の同じエピトープにそれぞれ結合する1つ以上の結合部位を有する抗体を示す。「二重特異性」との用語は、抗体が、2つの別個の抗原決定基、例えば、異なる抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに結合している抗体重鎖可変ドメイン(VH)と抗体軽鎖可変ドメイン(VL)の対または自律性VHドメインの対によってそれぞれ形成される2つの結合部位に特異的に結合することができることを意味する。そのような二重特異性抗体は、例えば1+1フォーマットである。他の二重特異性抗体フォーマットは、2+1フォーマット(第1の抗原またはエピトープに対する2つの結合部位と、第2の抗原またはエピトープに対する1つの結合部位とを含む)、または2+2フォーマット(第1の抗原またはエピトープに対する2つの結合部位と、第2の抗原またはエピトープに対する2つの結合部位とを含む)である。典型的には、二重特異性抗体は、2つの抗原結合部位を含み、それぞれが異なる抗原決定基に対して特異的である。
「多重特異性」抗体との用語は、本明細書で使用される場合、異なる抗原または同じ抗原上の異なるエピトープに結合する3つ以上の結合部位を有する抗体を指す。特定の実施形態では、多重特異性抗体は、少なくとも3つの異なる部位、すなわち、異なる抗原上の異なるエピトープまたは同じ抗原上の異なるエピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体はまた、細胞毒性剤または細胞を、標的を発現する細胞に局在化するために使用され得る。
「価数」との用語は、本出願で使用される場合、抗原結合分子内の特定数の結合部位の存在を示す。したがって、「二価」、「四価」および「六価」との用語は、抗原結合分子中のそれぞれ2個の結合部位、4個の結合部位および6個の結合部位の存在を示す。本発明による二重特異性抗体は、少なくとも「二価」であり、「三価」または「多価」(例えば、「四価」または「六価」)であってもよい。特定の態様では、本発明の抗体は、2つ以上の結合部位を有し、二重特異性または多重特異性である。すなわち、2つより多い結合部位が存在する場合であっても(すなわち、抗体は三価または多価である)、抗体は、二重特異性であってもよい。特に、本発明は、特異的に結合する各抗原に対して1つの結合部位を有する二重特異性二価抗体に関する。
「全長抗体」、「インタクト抗体」および「全抗体」との用語は、ネイティブ抗体構造に実質的に類似した構造を有する抗体を指すために、本明細書で相互に置き換え可能に用いられる。「ネイティブ抗体」は、さまざまな構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、ネイティブIgGクラス抗体は、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2つの軽鎖と2つの重鎖とから構成される。N末端からC末端まで、それぞれの重鎖は、可変ドメイン(VH)(可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる)と、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3)(重鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。同様に、N末端からC末端まで、それぞれの軽鎖は、可変ドメイン(VL)(可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる)と、続いて軽鎖定常ドメイン(CL)(軽鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。抗体の重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)またはμ(IgM)と呼ばれる5種類の1つに割り当てられてもよく、このいくつかは、例えば、γ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)およびα2(IgA2)などのサブタイプにさらに分けられてもよい。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2種類の1つに割り当てられてもよい。
「抗体断片」は、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体断片の例として、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、クロスFab断片、直鎖抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、抗体断片から作られる多重特異性抗体、およびシングルドメイン抗体が挙げられる。特定の抗体断片の総説として、Hudson et al.,Nat Med 9,129−134(2003)を参照。scFv断片の総説として、例えば、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照。また、国際公開第93/16185号および米国特許第5,571,894号および第5,587,458号を参照。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期が長くなったFabおよびF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照。ダイアボディは、二価または二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を含む抗体断片であり、例えば、欧州特許出願公開第404,097号明細書;国際公開第1993/01161号;Hudson et al.,Nat Med 9,129−134(2003)、およびHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444−6448(1993)を参照。トリアボディおよびテトラボディも、Hudson et al.,Nat Med 9,129−134(2003)に記載されている。
シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部もしくは軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部または自律性VHドメインを含む抗体断片である。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA。例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照)。さらに、抗体断片は、VHドメインに特徴的な(すなわち、VLドメインと共に集合させることが可能な)、またはVLドメインに特徴的な(すなわち、機能的抗原結合部位にVHドメインと共に集合させることが可能な)一本鎖ポリペプチドを含み、それによって、全長抗体の抗原結合特性を与えることができる。抗体断片は、限定されないが、本明細書に記載されるように、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、および組換え宿主細胞(例えば大腸菌)による産生を含め、種々の技術によって作られてもよい。
慣例的に、インタクト抗体のパパイン消化により、2つの同一の抗原結合断片が得られ、これは、それぞれ重鎖および軽鎖可変ドメインと、さらに、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む「Fab」断片と呼ばれる。したがって、本明細書で使用される場合、「Fab断片」との用語は、軽鎖(CL)のVLドメインおよび定常ドメインを含む軽鎖断片と、重鎖のVHドメインおよび第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片を指す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’−SHは、定常ドメインのシステイン残基が有機チオール基を有するFab’断片である。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位(2つのFab断片)と、Fc領域の一部とを含む、F(ab’)断片が得られる。
「クロスFab断片」または「xFab断片」または「クロスオーバーFab断片」との用語は、重鎖および軽鎖の可変領域または定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。クロスFab断片は、軽鎖可変領域(VL)と重鎖定常領域1(CH1)とで構成されるポリペプチド鎖、および重鎖可変領域(VH)と軽鎖定常領域(CL)とで構成されるポリペプチド鎖を含む。非対称Fabアームは、荷電または非荷電アミノ酸変異をドメインインターフェースに導入して正しいFabペアリングを指示することによって操作することもできる。例えば、国際公開第2016/172485号を参照。
「一本鎖Fab断片」または「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)およびリンカーからなるポリペプチドであり、前記抗体ドメインおよび前記リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の順序の1つを有する:(a)VH−CH1−リンカー−VL−CL、(b)VL−CL−リンカー−VH−CH1、(c)VH−CL−リンカー−VL−CH1、または(d)VL−CH1−リンカー−VH−CL。ここで、前記リンカーは、少なくとも30アミノ酸、好ましくは32〜50アミノ酸のポリペプチドである。前記一本鎖Fab断片は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然ジスルフィド結合によって安定化される。さらに、これらの一本鎖Fab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabat番号付けによれば、可変重鎖の44位および可変軽鎖の100位)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、さらに安定化されるだろう。
「クロスオーバー一本鎖Fab断片」または「x−scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)およびリンカーからなるポリペプチドであり、前記抗体ドメインおよび前記リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の順序の1つを有する。(a)VH−CL−リンカー−VL−CH1および(b)VL−CH1−リンカー−VH−CL。ここで、VHとVLは一緒になって、ある抗原に特異的に結合する抗原結合部位を形成し、前記リンカーは、少なくとも30アミノ酸のポリペプチドである。さらに、これらのx−scFab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabat番号付けによれば、可変重鎖の44位および可変軽鎖の100位)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、さらに安定化されるだろう。
「一本鎖可変断片(scFv)」は、10〜約25アミノ酸の短いリンカーペプチドを用いて接続された、抗体の重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは、通常、柔軟性のためにグリシンが豊富であり、溶解度のためにセリンまたはトレオニンが豊富であり、VHのN末端とVLのC末端とが接続していてもよく、または逆に接続していてもよい。このタンパク質は、定常領域が除去され、リンカーが導入されているが、元々の抗体の特異性を保持している。scFv抗体は、例えば、Houston,J.S.,Methods in Enzymol.203(1991)46−96)に記載されている。
「一本鎖ドメイン抗体」は、一本のモノマー性可変抗体ドメインからなる抗体断片である。第1のシングルドメインは、ラクダ由来の抗体重鎖の可変ドメインに由来した(ナノボディまたはVHH断片)。さらに、シングルドメイン抗体との用語は、自律性ヒト重鎖可変ドメイン(aVH)またはサメ由来VNAR断片を含む。
「エピトープ」との用語は、抗体が結合する相手である、タンパク質性または非タンパク質性のいずれかの、抗原上の部位を示す。エピトープは、隣接するアミノ酸ストレッチ(線状エピトープ)から形成することも、非隣接アミノ酸(立体構造エピトープ)、例えば、抗原の折り畳みにより、すなわち、タンパク質性抗原の三次折り畳みによって空間的に近位になる非隣接アミノ酸を含むこともできる。線状エピトープは、典型的には、タンパク質性抗原を変性剤に曝露した後も依然として抗体によって結合されているが、コンフォメーションエピトープは、典型的には、変性剤での処理により破壊される。エピトープは、独特の空間的構造で、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、または8〜10個アミノ酸を含む。
特定のエピトープに結合する抗体(すなわち、同じエピトープに結合する抗体)のスクリーニングは、例えば、限定されないが、アラニンスキャニング、ペプチドブロット(Meth.Mol.Biol.248(2004)443−463)、ペプチド切断分析、エピトープ切除、エピトープ抽出、抗原の化学的修飾(Prot.Sci.9(2000)487−496を参照)、およびクロスブロッキング(「Antibodies」,Harlow and Lane,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harb.,NYを参照)などの、当該技術分野で慣用の方法を用いて行われ得る。
修飾支援プロファイリング(MAP)としても知られる抗原構造ベースの抗体プロファイリング(ASAP)では、多数のモノクローナル抗体からの各抗体の、化学的または酵素的に修飾された抗原表面への結合プロファイルに基づいて、標的に特異的に結合するそれらの抗体を類別することができる(例えば、米国特許出願公開第2004/0101920号明細書を参照)。各類型における抗体は、別の類型によって表されるエピトープと明確に異なるか、または部分的に重複する特異的エピトープであり得る同じエピトープに結合する。
また、競合結合は、抗体が参照抗体と同じ標的のエピトープに結合するか、または参照抗体との結合について競合するかを容易に決定するために使用することができる。例えば、参照抗体と「同じエピトープに結合する抗原」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする。また、例えば、抗体が参照と同じエピトープに結合するかどうかを決定するために、参照抗体は、飽和条件下で標的に結合することができる。過剰な参照抗体を除去した後、対象の抗体が標的に結合する能力が評価される。抗体が参照抗体の飽和結合後に標的に結合できる場合、対象の抗体は、参照抗体とは異なるエピトープに結合すると結論付けることができる。しかし、対象の抗体が参照抗体の飽和結合後に標的に結合できない場合、対象の抗体は、参照抗体が結合するエピトープと同じエピトープに結合する可能性がある。対象の抗体が同じエピトープに結合するか、または立体的な理由で結合が妨げられているかを確認するために、通常の実験を使用することができる(例えば、ELISA、RIA、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、または他の定量的もしくは定性的な当該技術分野で利用可能な抗体結合アッセイ)。このアッセイは、2つの設定で実行する必要がある。すなわち、両方の抗体が飽和抗体である。両方の設定において、第1の(飽和)抗体のみが標的に結合できる場合、対象の抗体と参照抗体は、標的への結合をめぐって競合すると結論付けることができる。
いくつかの実施形態では、競合結合アッセイで測定して、一方の抗体の1、5、10、20または100倍過剰が他方の結合を少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、さらには99%以上阻害する場合、2つの抗体は同じまたは重複するエピトープに結合すると見なされる。(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50(1990)1495−1502を参照)。
一部の実施形態では、一方の抗体の結合を低減または排除する抗原中の本質的に全てのアミノ酸変異が他方の抗体の結合も低減または排除する場合、2つの抗体は同じエピトープに結合すると見なされる。一方の抗体の結合を低減または排除するアミノ酸変異のサブセットのみが他方の結合を低減または排除する場合、2つの抗体は「重複エピトープ」を有すると見なされる。
本明細書で使用される場合、「抗原結合部位」または「抗原結合ドメイン」との用語は、抗原決定基に特異的に結合する抗原結合分子の一部を指す。より具体的には、「抗原結合部位」との用語は、ある抗原の一部または全てに特異的に結合し、ある抗原の一部または全てに対して相補的な領域を含む抗体の一部を指す。抗原が大きい場合、抗原結合分子は、抗原の特定の部分のみに結合してもよく、この部分は、エピトープと呼ばれる。抗原結合部位は、例えば、1つ以上の可変ドメイン(可変領域とも呼ばれる)によって与えられてもよい。好ましくは、抗原結合部位は、抗体軽鎖可変領域(VL)と、抗体重鎖可変領域(VH)とを含む。一態様では、抗原結合部位は、その抗原に結合し、その機能をブロックするか、または部分的にブロックすることができる。PD1、MCSP、TfR1、LAG3などに特異的に結合する抗原結合部位は、本明細書でさらに定義するように、抗体およびその断片を含む。さらに、抗原結合部位は、足場抗原結合タンパク質、例えば、設計された反復タンパク質または設計された反復ドメインに基づく結合ドメインを含んでいてもよい(例えば、国際公開第2002/020565号を参照)。
「特異的に結合する」とは、その結合が抗原選択性であり、望ましくない相互作用または非特異的な相互作用とは判別できることを意味する。抗体のKが1μM以下の場合、抗体は、標的、特にPD1またはLag3に「特異的に結合」すると言われる。抗原結合分子が特定の抗原(例えば、PD−1)に結合する能力は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)または当該技術分野で知られている他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(BIAcore装置で分析される)(Liljeblad et al.,Glyco 15 J 17,323−329(2000))、および従来の結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217−229(2002))によって測定することができる。一実施形態では、無関係なタンパク質に対する抗原結合分子の結合度は、例えばSPRによって測定される抗原に対する抗原結合分子の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗原に結合する分子は、解離定数(K)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nMまたは≦0.001nM(例えば、10−7M以下、例えば、10−7M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。
「アフィニティー」または「結合アフィニティー」は、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)と、その結合対(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計強度を指す。特に示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合アフィニティー」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する特異的結合アフィニティーを指す。分子Xのその結合対Yに対するアフィニティーは、一般的に、解離定数(K)によって表すことができ、脱離速度定数と解離速度定数(それぞれkoffおよびkon)の比である。したがって、速度定数の比率が同じである限り、等価なアフィニティーが、異なる速度定数を含む場合がある。アフィニティーは、本明細書に記載するものを含め、当該技術分野で一般的な方法によって測定することができる。アフィニティーを測定する特定の方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)である。
本明細書で使用される場合、ある抗体の「高アフィニティー」との用語は、標的抗原に対するKが10−9M以下、さらにより特定的には10−10M以下の抗体を指す。「低アフィニティー」の抗体は、Kが10−8以上の抗体を指す。
「アフィニティー成熟した」抗体は、1つ以上の超可変領域(HVR)に1つ以上の変更を有する抗体を指し、これに対して、親抗体は、そのような変更を有しておらず、そのような変更によって、抗原に対する抗体のアフィニティーが向上する。
「PD1」との用語は、プログラム細胞死タンパク質1としても知られ、1992年に最初に記述された288アミノ酸のI型膜タンパク質である(Ishida et al.,EMBO J.,11(1992),3887−3895)。PD1は、T細胞制御因子の伸長したCD28/CTLA−4ファミリーのメンバーであり、2つのリガンドPD−L1(B7−H1、CD274)およびPD−L2(B7−DC、CD273)を有する。このタンパク質の構造は、細胞外IgVドメインと、その後に膜貫通領域と、細胞内尾部とを含む。細胞内尾部は、免疫受容体チロシン系阻害モチーフおよび免疫受容体チロシン系スイッチモチーフ中に位置する2つのリン酸化部位を含み、PD−1がTCRシグナルを負の方向に制御することを示唆している。このことは、リガンド結合の際の、PD1の細胞質尾部に対するSHP−1およびSHP−2ホスファターゼの結合に一致している。PD−1は、ナイーブT細胞では発現しないが、T細胞受容体(TCR)が介在する活性化に従ってアップレギュレーションされ、活性化したT細胞および疲弊したT細胞の両方で観察される(Agata et al.,Int.Immunology 8(1996),765−772)。これらの疲弊したT細胞は、機能不全の表現型を有し、適切に応答することができない。PD−1は、比較的広い発現パターンを有するが、その最も重要な役割は、T細胞に対する共阻害受容体としての機能であろう(Chinai et al,Trends in Pharmacological Sciences 36(2015),587−595)。したがって、現在の治療手法は、T細胞応答を向上させるために、PD−1とそのリガンドとの相互作用をブロックすることに集中している。「プログラム死1」、「プログラム細胞死1」、「タンパク質PD−1」、「PD−1」、「PD1」、「PDCD1」、「hPD−1」および「hPD−I」との用語は、相互に置き換え可能に使用することができ、ヒトPD1のバリアント、アイソフォーム、種ホモログ、PD1と共通の少なくとも1つのエピトープを有するアナログを含む。ヒトPD1のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)寄託番号Q15116に示される。
「抗PD1抗体」および「PD1に結合する抗原結合部位を含む抗体」との用語は、抗体が、PD1を標的とする際に診断および/または治療薬剤として有用であるように十分なアフィニティーで、PD1(特に、細胞表面で発現するPD1ポリペプチド)に結合することが可能な抗体を指す。一実施形態では、無関係な非PD1タンパク質に対する抗PD1抗体の結合度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはフローサイトメトリー(FACS)によって、またはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサシステムを用いた表面プラズモン共鳴アッセイによって測定する場合、PD1に対する抗体の結合の約10%未満である。
特定の実施形態では、ヒトPD1に結合する抗原結合タンパク質は、ヒトPD1に結合する結合アフィニティーのK値が≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)である。好ましい一実施形態では、結合アフィニティーのそれぞれのK値は、PD1結合アフィニティーについて、ヒトPD1の細胞外ドメイン(ECD)(PD1−ECD)を用い、表面プラズモン共鳴アッセイで決定される。「抗PD1抗体」との用語は、PD1および第2の抗原に結合することが可能な二重特異性抗体も包含する。
「ブロッキング」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、これらが結合する抗原の生体活性を阻害するか、または減らす抗体である。いくつかの実施形態では、ブロッキング抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生体活性を実質的に、または完全に阻害する。例えば、本発明の二重特異性抗体は、抗原刺激に対する機能不全状態から、T細胞による機能応答(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死)を回復するように、PD1およびTIM−3によるシグナル伝達をブロックする。
「可変領域」または「可変ドメイン」との用語は、抗原に対する抗原結合分子の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれVHおよびVL)は、一般的に、同様の構造を有し、それぞれのドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th、W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照。抗原結合特異性を与えるために、単一のVHまたはVLドメインで十分な場合がある。
「超可変領域」または「HVR」との用語は、本明細書で使用される場合、配列において超可変性であり(「相補性決定領域」または「CDR」)、および/または構造的に所定のループ(「超可変ループ」)を形成し、および/または抗原に接触する残基(「抗原接触」)を含有する抗体可変ドメインのそれぞれの領域を指す。一般的に、抗体は、6個のHVRを含み、VHに3個(H1、H2、H3)、VLに3個(L1、L2、L3)含む。本発明の例示的なHVRとして、以下のものが挙げられる。
(a)アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)および96−101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987));
(b)アミノ酸残基24−34(L1)、50−56(L2)、89−97(L3)、31−35b(H1)、50−65(H2)および95−102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda,MD(1991));
(c)アミノ酸残基27c−36(L1)、46−55(L2)、89−96(L3)、30−35b(H1)、47−58(H2)および93−101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732−745(1996));ならびに
(a)、(b)および/または(c)の組合せ、HVRアミノ酸残基46−56(L2)、47−56(L2)、48−56(L2)、49−56(L2)、26−35(H1)、26−35b(H1)、49−65(H2)、93−102(H3)および94−102(H3)を含む。
特に示されない限り、HVR(例えばCDR)残基および可変ドメイン中の他の残基(例えば、FR残基)は、Kabat et al.(前出)に従って本明細書では番号付けされる。
Kabatet al.は、任意の抗体に適用可能な可変領域配列の番号付けシステムも定義した。当業者は、任意の可変領域配列に対し、配列自体を超える実験データに頼ることなく、「Kabat番号付け」のこのシステムを明確に割り当てることができる。本明細書で使用される場合、「Kabat番号付け」は、Kabat et al,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)に記載される番号付けシステムを指す。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EU番号付けシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
VH中のCDR1を除き、CDRは、一般的に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRは、「特異性決定領域」、すなわち「SDR」も含み、SDRは、抗原と接触する残基である。SDRは、省略−CDR、すなわちa−CDRと呼ばれるCDRの領域内に含まれる。例示的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2およびa−CDR−H3)は、L1の31−34、L2の50−55、L3の89−96、H1の31−35B、H2の50−58およびH3の95−102のアミノ酸残基に存在する。(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619−1633(2008)を参照。)簡単にするために、自律性VHドメインの文脈では、第2のポリペプチド鎖が存在せず、例えば、VLドメインが自律性VHドメインに存在するため、本明細書ではCDR1、CDR2およびCDR3と呼ぶ。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、FR1、FR2、FR3およびFR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVRおよびFR配列は、一般的に、VH(またはVL)中で以下の配列で現れる。FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。簡単にするために、自律性VHドメインの文脈では、自律性VHドメインは、特にVHドメインとVLドメインによって2つの鎖で構成されていないことから、FR1、FR2、FR3およびFR4と呼ばれる。
本明細書での目的のために、「受容体ヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク由来の軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」受容体ヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、またはアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態では、VL受容体ヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して、配列が同一である。
「キメラ」抗体との用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の供給源または種に由来する抗体を指し、一方、重鎖および/または軽鎖の残りは、異なる供給源または種に由来する。
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。5種類の主要なクラスの抗体IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、およびこれらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分類され得る。免疫グロブリンの異なる種類に対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基と、ヒトFR由来のアミノ酸残基とを含むキメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えばCDR)の全てまたは実質的に全てが、非ヒト抗体に対応し、FRの全てまたは実質的に全てが、ヒト抗体に対応する。ヒト化抗体は、場合により、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。
ある抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。本発明に包含される「ヒト化抗体」の他の形態は、特に、C1q結合および/またはFc受容体(FcR)結合という観点で、本発明に係る特性を作り出すために、定常領域が、元々の抗体の定常領域からさらに修飾されるか、または変更されているものである。
「ヒト」抗体は、ヒトまたはヒト細胞によって産生されるか、またはヒト抗体のレパートリーまたは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源から誘導される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特定的に除外する。
「モノクローナル抗体」との用語は、本明細書で使用される場合、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指し、すなわち、集合に含まれる個々の抗体が、同一であり、かつ/または同じエピトープに結合するが、但し、例えば、天然に存在する変異またはモノクローナル抗体製剤の製造中に生じる変異を含む、可能なバリアント抗体は除く。そのようなバリアントは、一般的に少量で存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基に対して指向する。したがって、修飾詞「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集合から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするように構築されない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ方法、組換えDNA方法、ファージディスプレイ方法、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含め、種々の技術によって作られてもよい。
「Fcドメイン」または「Fc領域」との用語は、本明細書において、定常領域の少なくとも一部を含む抗体重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、ネイティブ配列Fc領域とバリアントFc領域を含む。特に、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端まで延びている。しかし、Fc領域のC末端リシン(Lys447)は、存在していてもよく、または存在していなくてもよい。重鎖のアミノ酸配列は、C末端リシンを伴って存在するが、C末端リシンを含まないバリアントが、本発明に含まれてよい。
IgG Fc領域は、IgG CH2ドメインと、IgG CH3ドメインとを含む。ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、おおよそのアミノ酸231位のアミノ酸残基から、おおよそのアミノ酸340位のアミノ酸残基まで延びている。一実施形態では、炭水化物鎖は、CH2ドメインに接続している。本発明のCH2ドメインは、ネイティブ配列CH2ドメインまたはバリアントCH2ドメインであってもよい。「CH3ドメイン」は、Fc領域中のCH2ドメインに対してC末端に残基の伸長部を含む(すなわち、IgGのおおよその341位のアミノ酸残基から、おおよその447位のアミノ酸残基まで)。本発明のCH3領域は、ネイティブ配列CH3ドメインまたはバリアントCH3ドメインであってもよい(例えば、その1つの鎖に導入された「突起部」(「ノブ」)を有し、その他の鎖に対応する導入された「空洞」(「ホール」)を有するCH3ドメイン、本明細書に参考として明確に組み込まれる米国特許第5,821,333号を参照)。そのようなバリアントCH3ドメインを使用して、本明細書に記載される2つの同一ではない抗体重鎖のヘテロ二量体化を促進してもよい。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるEU番号付けシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
「ノブ・イントゥ・ホール(knob−into−hole)」技術は、例えば、米国特許第5,731,168号明細書、米国特許第7,695,936号明細書、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617−621(1996)およびCarter,J Immunol Meth 248,7−15(2001)に記載されている。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にある突起(「ノブ」)と、第2のポリペプチドの界面にある空洞(「ホール」)とを導入することを含み、その結果、突起が、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨害するように空洞内に位置することができる。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)と交換することによって構築される。突起と同一または同様の大きさの相補性空洞が、大きなアミノ酸側鎖を、より小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置き換えることによって、第2のポリペプチドの界面に作られる。突起および空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を変えることによって、例えば、部位特異的変異導入法によって、またはペプチド合成によって作り出すことができる。具体的な実施形態では、ノブ修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうち1つにアミノ酸置換T366Wを含み、ホール修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうち他方の1つにアミノ酸置換T366S、L368AおよびY407Vを含む。さらに具体的な実施形態では、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットは、さらに、アミノ酸置換S354Cを含み、ホール修飾を含むFcドメインのサブユニットは、さらに、アミノ酸置換Y349Cを含む。これら2つのシステイン残基の導入によって、Fc領域の2つのサブユニット間にジスルフィド架橋が生成し、それにより、ダイマーをさらに安定化する(Carter,J Immunol Methods 248,7−15(2001))。
「免疫グロブリンのFc領域に等価な領域」は、天然に存在する免疫グロブリンのFc領域の対立遺伝子バリアントおよび置換、付加または欠失を生じるが、エフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞毒性)に介在する免疫グロブリンの能力を実質的に低下させない変更を有するバリアントを含むことが意図される。例えば、1つ以上のアミノ酸は、生体機能を実質的に失うことなく、免疫グロブリンのFc領域のN末端またはC末端から欠失されていてもよい。そのようなバリアントは、活性に対して最小限の影響を有するように、当該技術分野で知られた一般的な規則に従って選択することができる(例えば、Bowie,J.U.et al.、Science 247:1306−10(1990)を参照)。
「エフェクター機能」との用語は、抗体のFc領域に帰属可能な生体活性を指し、抗体アイソタイプによって変わる。抗体エフェクター機能の例として、以下のものが挙げられる:C1q結合および補体依存性細胞障害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞障害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、およびB細胞活性化。
「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域による係合の後に、エフェクター機能を発揮するために受容体を含む細胞を刺激するシグナル伝達事象を誘発するFc受容体である。活性化Fc受容体として、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)およびFcαRI(CD89)が挙げられる。特定の活性化Fc受容体は、ヒトFcγRIIIaである(UniProt寄託番号P08637,version 141を参照)。
「ペプチドリンカー」との用語は、1つ以上のアミノ酸、典型的には、約2〜20のアミノ酸を含むペプチドを指す。ペプチドリンカーは、当該技術分野で知られているか、または本明細書に記載される。適切な非免疫原性リンカーペプチドは、例えば、(G4S)n、(SG4)nまたはG4(SG4)nペプチドリンカーであり、ここで、「n」は、一般に、1〜10の間、典型的には2〜4の数、特に2である。
「〜に融合する」または「〜に接続する」とは、コンポーネント(例えば、抗原結合部位およびFcドメイン)が、ペプチド結合によって直接的に、または1つ以上のペプチドリンカーを介して連結することを意味する。
「アミノ酸」との用語は、本明細書中で使用される場合、アラニン(三文字コード:ala、一文字コード)A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リシン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)およびバリン(val、V)を含む天然に存在するカルボキシα−アミノ酸の一群を示す。
参照ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列の同一性率(%)」は、アラインメントの目的で、配列をアラインメントし、最大の配列同一性率を達成するために、必要ならばギャップを導入した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合であると定義される。アミノ酸配列同一性率を決定するためのアラインメントは、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の様式で、例えば、公的に入手可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST−2、Clustal W、Megalign(DNASTAR)ソフトウェアまたはFASTAプログラムパッケージを用いて達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含め、配列をアラインメントするのに適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%の値は、FASTAパッケージバージョン36.3.8cのggsearchプログラムを使用するか、またはその後にBLOSUM50比較マトリックスを用いて生成される。FASTAプログラムパッケージは、W.R.PearsonおよびD.J.Lipman(1988),「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」,PNAS 85:2444−2448;W.R.Pearson(1996)「Effective protein sequence comparison」Meth.Enzymol.266:227−258;およびPearson et.al.(1997)Genomics 46:24−36によって記載されており、www.fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/fasta_down.shtml.またはwww.ebi.ac.uk/Tools/sss/fastaから公的に入手可能である。これに代えて、fasta.bioch.virginia.edu/fasta_www2/index.cgiでアクセス可能な公的なサーバーを使用して、ggsearch(global protein:protein)プログラムおよびデフォルトオプション(BLOSUM50;オープン:−10;ext:−2;Ktup=2)を用い、ローカルではなくグローバルのアラインメントを確実に行い、配列を比較することができる。アミノ酸同一性率は、出力アラインメントヘッダーに示される。特定の態様では、本明細書で提供される本発明のaVHの「アミノ酸配列バリアント」が企図される。例えば、aVHの結合アフィニティーおよび/または他の生体特性を改良することが望ましい場合がある。aVHのアミノ酸配列バリアントは、分子をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって調製されてもよく、またはペプチド合成によって調製されてもよい。そのような修飾として、例えば、aVHのアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入および置換の任意の組合せは、最終コンストラクトが、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終コンストラクトに到達するように行うことができる。置換による突然変異生成のための目的部位として、HVRおよびフレームワーク(FR)が挙げられる。保存的置換は、「好ましい置換」の見出しで表Bに与えられており、アミノ酸側鎖クラス(1)〜(6)を参照しつつ、以下にさらに記載される。アミノ酸置換は、目的の分子および所望の活性(例えば、抗原結合の保持/向上、免疫原性の低下、またはADCCまたはCDCの向上)についてスクリーニングされた産物に導入されていてもよい。
Figure 2021511793
アミノ酸は、共通の側鎖特性に従ってグループ分けされてもよい。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp,Glu;
(4)塩基性:His,Lys,Arg;
(5)鎖の配向に影響を与える残基:Gly,Pro;
(6)芳香族:Trp,Tyr,Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うだろう。
「アミノ酸配列バリアント」との用語は、親抗原結合分子(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基中にアミノ酸置換が存在する実質的なバリアントを含む。一般的に、更なる試験のために選択され、得られたバリアントは、親抗原結合分子と比較して、特定の生物学的特性の修飾(例えば、改良)(例えば、アフィニティーの増加、免疫原性の低下)を有し、および/または親抗原結合分子の特定の生物学的特性を実質的に保持しているだろう。例示的な置換バリアントは、アフィニティー成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づくアフィニティー成熟技術を用い、簡便に生成されてもよい。簡単に言うと、1つ以上のHVR残基は、変異しており、ファージディスプレイされ、特定の生体活性(例えば、結合アフィニティー)についてスクリーニングされたバリアント抗原結合分子である。特定の実施形態では、置換、挿入または欠失は、そのような変更が、抗原結合分子が抗原に結合する能力を実質的に減らさない限り、1つ以上のHVR内で起こってもよい。例えば、結合アフィニティーを実質的に低下させない保存的変更(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中に作られてもよい。変異を標的とし得る抗体の残基または領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science、244:1081−1085によって記載されるように、「アラニンスキャンニング突然変異生成」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基または標的残基群(例えば、荷電残基、例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGlu)が同定され、中性または負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。
これに代えて、またはこれに加えて、抗体と抗原との間の接触点を同定するための、抗原−抗原結合分子複合体の結晶構造。そのような接触残基および隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、または除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入として、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さ範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端の融合、ならびに1個または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有する二重特異性抗体が挙げられる。分子の他の挿入として、二重特異性抗体の血清半減期を延ばすポリペプチドに対する、N末端またはC末端に対する融合が挙げられる。
「免疫抱合体」は、限定されないが、細胞毒性薬剤を含め、1つ以上の異種分子に抱合される抗体である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位、すなわち、異なる抗原上の異なるエピトープまたは同じ抗原上の異なるエピトープに対して結合特異性を有するモノクローナル抗体である。特定の実施形態では、多重特異性抗体は、3つ以上の結合特異性を有する。特定の実施形態では、結合特異性の1つは抗原に対するものであり、他の(2つ以上の)特異性は他の任意の抗原に対するものである。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、抗原の2つ(またはそれ以上)の異なるエピトープに結合し得る。多重特異性抗体を使用して、抗原を発現する細胞に細胞毒性剤または細胞を局在化させることもできる。多重特異性抗体は、完全長抗体または抗体フラグランスとして調製できる。
多重特異性抗体を作るための技術として、限定されないが、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖ペアの組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983)を参照)および「ノブをホールに入れる」操作(例えば、米国特許第5,731,168号およびAtwell et al.,J.Mol.Biol.270:26(1997)を参照)が挙げられる。多重特異性抗体はまた、抗体Fcヘテロ二量体分子を作るための静電ステアリング効果を操作すること(国際公開第2009/089004号を参照);2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば米国特許第4,676,980号;およびBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照));ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を生成すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547−1553(1992)および国際公開第2011/034605号を参照);一般的な軽鎖技術を使用して軽鎖のミスペアリング問題を回避すること(例えば、国際公開第98/50431号を参照);二重特異性抗体断片を作るために「ダイアボディ」技術を使用すること(例えば、Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)を参照);および単鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照);および例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されるように三重特異性抗体を調製することによって作られ得る。
例えば、「オクトパス抗体」を含め、3つ以上の抗原結合部位を有する操作抗体、またはDVD−Igもまたここに含まれる(例えば、国際公開第2001/77342号および国際公開第2008/024715号を参照)。3つ以上の抗原結合部位を有する多重特異性抗体の他の例は、国際公開第2010/115589号、国際公開第2010/112193号、国際公開第2010/136172号、国際公開第2010/145792号および国際公開第2013/026831号に見出されうる。二重特異性抗体またはその抗原結合断片には、[[PRO]]と別の異なる抗原、または[[PRO]]の2つの異なるエピトープに結合する抗原結合部位を含む「二重作用FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、米国特許出願公開第2008/0069820号明細書および国際公開第2015/095539号を参照)。
多重特異性抗体はまた、同じ抗原特異性の1つまたは複数の結合アームにドメインクロスオーバーを持つ非対称の形で、すなわちVH/VLドメイン(例えば、国際公開第2009/080252号および国際公開第2015/150447号を参照)、CH1/CLドメイン(国際公開第2009/080253号を参照)または完全なFabアーム(国際公開第2009/080251号、国際公開第2016/016299号を参照、Schaefer et al,PNAS,108(2011)1187−1191、およびKlein at al.,MAbs 8(2016)1010−20も参照)を交換することによっても提供され得る。一実施形態では、多重特異性抗体はクロスFab断片を含む。「クロスFab断片」または「xFab断片」または「クロスオーバーFab断片」との用語は、重鎖および軽鎖の可変領域または定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。クロスFab断片は、軽鎖可変領域(VL)と重鎖定常領域1(CH1)とで構成されるポリペプチド鎖、および重鎖可変領域(VH)と軽鎖定常領域(CL)とで構成されるポリペプチド鎖を含む。非対称Fabアームは、荷電または非荷電アミノ酸変異をドメインインターフェースに導入して正しいFabペアリングを指示することによって操作することもできる。例えば、国際公開第2016/172485号を参照。
多重特異性抗体のさまざまな更なる分子フォーマットが当該技術分野で知られており、本明細書に含まれる(例えば、Spiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95−106を参照)。
本明細書に同様に含まれる特定のタイプの多重特異性抗体は、標的細胞、例えば腫瘍細胞上の表面抗原、およびT細胞受容体(TCR)複合体の活性化不変コンポーネント、例えば、T細胞を再標的化して標的細胞を殺すためのCD3に同時に結合するように設計された二重特異性抗体である。
この目的に役立ち得る二重特異性抗体フォーマットの例として、限定されないが、2つのscFv分子が柔軟なリンカーによって融合されている、いわゆる「BiTE」(二重特異性T細胞エンゲージャー)分子(例えば、国際公開第2004/106381号、国際公開第2005/061547号、国際公開第2007/042261号、および国際公開第2008/119567号、Nagorsen and Baeuerle,Exp Cell Res 317,1255−1260(2011)を参照);ダイアボディ(Holliger et al.,Prot Eng 9,299−305(1996))およびその誘導体、例えばタンデムダイアボディ(「TandAb」;Kipriyanov et al.,J Mol Biol 293,41−56(1999));ダイアボディフォーマットに基づくが、更なる安定化のためにC末端ジスルフィド架橋を特徴とする分子(Johnson et al.,J Mol Biol 399,436−449(2010))、いわゆるトリオマブ(これはマウス/ラットIgGハイブリッド分子全体である(Seimetz et al.,Cancer Treat Rev 36,458−467(2010)に概説)が挙げられる。本明細書に含まれる特定のT細胞二重特異性抗体フォーマットは、国際公開第2013/026833号、国際公開第2013/026839号、国際公開第2016/020309号;Bacac et al.,Oncoimmunology 5(8)(2016)e1203498に記載されている。
「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」との用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基で構成され、具体的には、プリン塩基またはピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)またはウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボースまたはリボース)、およびホスフェート基で構成される。多くは、核酸分子は、塩基配列によって記述され、ここで、前記塩基は、核酸分子の一次構造(線形構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’へと表される。本明細書中、核酸分子との用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、例えば、相補性DNA(cDNA)およびゲノムDNA、リボ核酸(RNA)、特に、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNAまたはRNAの合成形態、およびこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は、線形または環状であってもよい。これに加え、核酸分子との用語は、センス鎖およびアンチセンス鎖、および一本鎖形態および二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチドまたは天然に存在しないヌクレオチドを含んでいてもよい。誘導体化された糖またはホスフェート骨格結合または化学修飾された残基を含む、天然に存在しないヌクレオチドの例として、修飾されたヌクレオチド塩基が挙げられる。核酸分子は、例えば、宿主または患者において、in vitroおよび/またはin vivoで本発明の抗体の直接的な発現のためのベクターとして適したDNA分子およびRNA分子も包含する。そのようなDNA(例えば、cDNA)またはRNA(例えば、mRNA)ベクターは、修飾されていなくてもよく、または修飾されていてもよい。例えば、mRNAは、in vivoで抗体を産生するために被験体にmRNAを注入することができるように、RNAベクターの安定性および/またはコードされた分子の発現を高めるように化学修飾されてもよい(例えば、Stadler ert al,Nature Medicine 2017、2017年6月12日にオンラインで公開、doi:10.1038/nm.4356または欧州特許第2101823B1号明細書を参照)。
「単離された」核酸分子またはポリヌクレオチドは、その天然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、元々その核酸分子を含む細胞に含まれているが、その核酸分子が、染色体外に存在するか、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する核酸分子を含む。
「単離された」ポリペプチドまたはそのバリアント、またはその誘導体、特に、単離された抗体は、その天然の環境にはないポリペプチドを意図している。特定のレベルの精製は、必要とされない。例えば、単離されたポリペプチドは、そのネイティブ環境または天然環境から取り出すことができる。宿主細胞で発現する組換え産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、本発明の目的のために単離されたと考えられ、任意の適切な技術によって、分離され、フラクション化され、または部分的または実質的に精製される、ネイティブポリペプチドまたは組換えポリペプチドも同様である。
本発明の参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも、例えば95%「同一の」ヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドとは、このポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、ポリヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドあたり5個までの点変異を含んでいてもよいことを除けば、参照配列に対して同一であることを意図している。言い換えると、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの5%までが、欠失していてもよく、または別のヌクレオチドで置換されていてもよく、または参照配列中の全ヌクレオチドの5%までが、参照配列に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの変更は、参照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位置で、またはこれらの末端位置の間のどこかで起こってもよく、参照配列中の残基中で個々に散在していてもよく、または参照配列中の1つ以上の連続した基の中に散在していてもよい。実際の様式として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラム、例えば、ポリペプチドについて上に記載したもの(例えば、ALIGN−2)を用いて、従来通りに決定することができる。
「発現カセット」との用語は、組換えによって、または合成によって作られるポリヌクレオチドを指し、標的細胞内の特定の核酸の転写が可能な特定の一連の核酸要素を含む。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分は、配列の中でも特に、転写される核酸配列とプロモーターとを含む。特定の実施形態では、本発明の発現カセットは、本発明の二重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド配列またはその断片を含む。
「ベクター」との用語は、本明細書で使用される場合、それが連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、および導入される宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養物」との用語は、相互に置き換え可能に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、かかる細胞の子孫を含む。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換された細胞」を含み、これらは、継代数にかかわらず、初代の形質転換された細胞と、初代の形質転換された細胞から誘導された子孫を含む。子孫は、親細胞の核酸含有量と完全に同一でなくてもよいが、変異を含んでいてもよい。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされるか、または選択されるのと同じ機能または生体活性を有する変異体子孫が本発明に含まれる。
ある薬剤の「有効量」は、その薬剤が投与される細胞または組織において、ある生理学的変化を引き起こすのに必要な量を指す。
ある薬剤(例えば、医薬組成物)の「治療有効量」は、所望の治療結果または予防結果を達成するのに有効な量、必要な投薬量および必要な期間を指す。ある薬剤の治療有効量は、例えば、ある疾患の副作用をなくし、減らし、遅らせ、最低限にし、または防ぐ。
「個体」または「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物として、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が挙げられる。特に、個体または被験体は、ヒトである。
「医薬組成物」との用語は、その中に含まれる有効成分の生体活性を有効にし、製剤が投与される被験体に対して受け入れられないほど毒性である更なる構成要素を含まないような形態での製剤を指す。
「医薬的に許容される賦形剤」は、医薬組成物中の成分であって、有効成分以外であり、被験体にとって毒性ではない成分を指す。医薬的に許容される賦形剤として、限定されないが、緩衝液、安定化剤または防腐剤が挙げられる。
「パッケージ添付文書」との用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、そのような治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌および/または警告に関する情報を含む。
本明細書で使用される場合、「処置」(およびその文法的な変形語、例えば、「処置する」または「処置すること」)は、処置される個体において本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、または臨床病理の経過の間に行うことができる。所望の処置効果として、限定されないが、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病的状態、転移の予防、疾患の進行率を下げる、疾患状態の軽減または緩和、回復または改良された予後が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の分子を使用して、疾患の発生を遅らせるか、または疾患の進行を遅らせる。
「癌」との用語は、本明細書で使用される場合、増殖性疾患、例えば、リンパ腫、リンパ性白血病、肺癌、非小細胞肺(NSCL)癌、肺胞細胞性肺癌、骨腫瘍、膵臓癌、皮膚癌、頭部または頸部の癌、皮膚または眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、消化器癌、結腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌腫、子宮内膜癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、陰門の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫尿道の癌、陰茎癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎細胞癌腫、腎盂癌腫、中皮腫、肝細胞癌、胆管癌、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、神経鞘腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌腫、下垂体腺腫およびユーイング肉腫(上述のいずれかの癌の難治性態様を含む)、または上述の癌の1つ以上の組合せを指す。
「自律性VH(aVH)ドメイン」との用語は、免疫グロブリンの折り畳みを保持する単一の免疫グロブリン重鎖可変(VH)ドメインを指し、すなわち、それは、最大3つの相補性決定領域(CDR)と最大4つのフレームワーク領域(FR)が抗原結合部位を形成する可変ドメインである。
「免疫グロブリン分子」との用語は、天然に存在する抗体の構造を有するタンパク質を指す。例えば、IgGクラスの免疫グロブリンは、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2つの軽鎖と2つの重鎖から構成される。N末端からC末端まで、それぞれの重鎖は、可変ドメイン(VH)(可変重鎖ドメインまたは重鎖可変領域とも呼ばれる)と、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2およびCH3)(重鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。同様に、N末端からC末端まで、それぞれの軽鎖は、可変ドメイン(VL(可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変領域とも呼ばれる)と、その後に定常軽鎖(CL)ドメイン(軽鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)またはμ(IgM)と呼ばれる5種類の1つに割り当てられてもよく、このいくつかは、例えば、γ(IgG)、γ(IgG)、γ(IgG)、γ(IgG)、α(IgA)およびα(IgA)などの更なるサブタイプに分けられてもよい。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2種類の1つに割り当てられてもよい。免疫グロブリンは、免疫グロブリンヒンジ領域を介して接続する、2つのFab分子とFcドメインとからなる。
サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期が長くなったFabおよびF(ab’)断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照。ダイアボディは、二価または二重特異性であってもよい、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、欧州特許出願公開第404,097号明細書、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat Med 9,129−134(2003)およびHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444−6448(1993)を参照。トリアボディおよびテトラボディも、Hudson et al.,Nat Med 9,129−134(2003)に記載されている。シングルドメイン抗体は、本明細書で定義される重鎖可変ドメインの全てまたは一部を含む抗体断片である。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA。例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照)。抗体断片は、限定されないが、本明細書に記載されるように、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、および組換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含め、種々の技術によって作られてもよい。
配列表のポリペプチド配列は、Kabat番号付けシステムに従って番号付けされていない。しかしながら、配列表の配列の番号付けをKabat番号付け、特に、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに変換することは、当業者の通常の技術の範囲内である。配列がCDRに向けられている場合、Kabat番号付けが適用される。配列がFcドメインに向けられている場合、EUインデックスが適用される。
「アミノ酸変異」との用語は、本明細書で使用される場合、アミノ酸の置換、欠失、挿入および修飾を包含することを意味している。置換、欠失、挿入および修飾の任意の組合せは、最終コンストラクトが、所望の特徴を有する限り、最終コンストラクトに到達するように行うことができる。アミノ酸配列の欠失および挿入は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端のアミノ酸の欠失および挿入を含む。特定のアミノ酸変異は、アミノ酸置換である。ペプチドの特定の特性を変える目的のために、非保存的アミノ酸置換(すなわち、1つのアミノ酸を、構造特性および/または化学特性が異なる別のアミノ酸と置き換えること)が特に好ましい。アミノ酸置換として、天然に存在しないアミノ酸による置き換え、または20種類の標準的なアミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン、3−メチルヒスチジン、オルニチン、ホモセリン、5−ヒドロキシリシン)の天然に存在するアミノ酸誘導体による置き換えが挙げられる。アミノ酸変異は、当該技術分野で周知の遺伝的方法または化学的方法を用いて生成することができる。遺伝的方法として、部位特異的変異導入、PCR、遺伝子合成などが挙げられ得る。遺伝子操作以外の方法によってアミノ酸の側鎖基を変える方法、例えば、化学的修飾も有用な場合があることが想定される。同じアミノ酸変異を示すために、本明細書でさまざまな名称を使用してもよい。例えば、VHドメインの71位のアラニンからシステインへの置換は、71C、A71C、またはAla71Cysとして示され得る。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」との用語は、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって線形に接続したモノマー(アミノ酸)で構成される分子を指す。「ポリペプチド」との用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖を指し、特定の長さの産物を指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸の鎖を指すために使用される任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義に含まれ、「ポリペプチド」との用語は、これらのいずれかの用語の代わりに、または相互に置き換え可能に使用されてもよい。「ポリペプチド」との用語も、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解による開裂、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含め、ポリペプチドの発現後修飾の産物を指すことを意図している。ポリペプチドは、天然の生体源から誘導されてもよく、または組換え技術によって産生されてもよいが、指定の核酸配列から必ずしも翻訳されなくてもよい。ポリペプチドは、化学合成によるものを含め、任意の様式で作られてもよい。本発明のポリペプチドは、約3以上、5以上、10以上、20以上、25以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、1,000以上、または2,000以上のアミノ酸のサイズであってよい。ポリペプチドは、所定の三次元構造を有していてもよいが、ポリペプチドは、そのような構造を必ずしも有していなければならないわけではない。所定の三次元構造を有するポリペプチドは、折り畳まれていると呼ばれ、所定の三次元構造を有しておらず、むしろ多数の異なる配座をとり得るポリペプチドは、折り畳まれていないと呼ばれる。
ジスルフィド結合の形成を可能にする条件は、例えば、細菌のペリプラズムまたは真核細胞の小胞体に見られるような、酸化条件に関係する。さらに、ジスルフィドを形成するアミノ酸ペアは、4〜6ÅのCα/Cα間の距離を有している必要がある。
II.実施形態
aVHS
一態様では、本発明は、安定化された自律性VHドメインに部分的に基づく。特定の実施形態では、Kabat番号付けによる52aおよび71位または33および52位にシステインを含む自律性VHドメインが提供される。前記システインは、適切な条件下でジスルフィド結合を形成する。本発明の更なる態様では、Kabat番号付けによる52a、71、33および52位にシステインを含む自律性VHドメインが提供される。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1または配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2または配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3または配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1およびは配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1およびは配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1およびは配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1、配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3および配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1、配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2および配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号207のアミノ酸配列によるフレームワーク領域1、配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2、配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3および配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2、配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3および配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2および配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号208のアミノ酸配列によるフレームワーク領域2および配列番号220のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。本発明の好ましい実施形態では、aVHは、配列番号209のアミノ酸配列によるフレームワーク領域3および配列番号210のアミノ酸配列によるフレームワーク領域4を含む重鎖可変ドメインフレームワークを含む。あるいは、フレームワーク領域1は、前述の実施形態において配列番号211によるものであり、フレームワーク領域1は、配列番号207により定義された。
本発明の好ましい一実施形態では、aVHはVH3_23ヒトフレームワークを含む。本発明の好ましい一実施形態では、フレームワークは、ハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)のVHフレームワークに基づく。
aVHテンプレート
本発明の更なる態様では、テンプレートaVHが提供される。好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号40(テンプレート1)のアミノ酸配列を含む。配列番号40のアミノ酸配列は、P52aC位およびA71C位のシステイン変異に基づく。好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号42(テンプレート2)のアミノ酸配列を含む。配列番号42のアミノ酸配列は、P52aC位およびA71C位のシステイン変異に基づいており、更なる変異、すなわちG26Sを含む。好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号44(テンプレート3)のアミノ酸配列を含む。配列番号42のアミノ酸配列は、P52aC位およびA71C位のシステイン変異に基づいており、31a位にセリン挿入を含み、31位と32位の間にセリンが付加されている。好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号46(テンプレート4)のアミノ酸配列を含む。配列番号44のアミノ酸配列は、P52aC位とA71C位のシステイン変異に基づいており、31a位と31b位に2つのセリン挿入を含み、つまり、31位と32位の間の配列に2つのセリンが付加されていた。好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号180のアミノ酸配列(テンプレート5)を含む。配列番号180のアミノ酸配列は、Y33C位およびY52位のシステイン変異に基づく。配列番号40、42、44、46および180の配列は、更なる安定化の目的で、突然変異K94SおよびL108Tを含む。しかしながら、テンプレート1〜5は、K94Sおよび/またはL198T変異を含む必要はない。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号42のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号46のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号180のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、変異H35G、および/またはQ39R、および/またはL45EまたはL45T、および/またはW47Lを含む。
特異的標的のaVH結合物質
更なる態様では、本発明は、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)に結合するaVHドメインに部分的に基づく。好ましい実施形態では、MCSPに結合するaVHドメインは、配列番号57のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、MCSPに結合するaVHドメインは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、MCSPに結合するaVHドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、MCSPに結合するaVHドメインは、配列番号63のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、MCSPに結合するaVHドメインは、配列番号65のアミノ酸配列を含む。
更なる態様では、本発明は、トランスフェリン受容体1(TfR1)に結合するaVHドメインに部分的に基づく。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号194のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号195のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号196のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号197のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号198のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号199のアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、TfR1に結合するaVHドメインは、配列番号200のアミノ酸配列を含む。
一態様では、本発明は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に結合するaVHドメインに部分的に基づく。好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(i)配列番号146の配列を有するCDR1、配列番号147の配列を有するCDR2、および配列番号148の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(ii)配列番号149の配列を有するCDR1、配列番号150の配列を有するCDR2および配列番号151の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号79のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(iii)配列番号152の配列を有するCDR1、配列番号153の配列を有するCDR2および配列番号154の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号81のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(iv)配列番号155の配列を有するCDR1、配列番号156の配列を有するCDR2および配列番号157の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号83のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(v)配列番号158の配列を有するCDR1、配列番号159の配列を有するCDR2および配列番号160の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号85のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(vi)配列番号161の配列を有するCDR1、配列番号162の配列を有するCDR2および配列番号163の配列を有するCDR3(抗LAG3 aVHドメインP110D1のCDRに対応)を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号87のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(vii)配列番号164の配列を有するCDR1、配列番号165の配列を有するCDR2および配列番号166の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号89のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(viii)配列番号167の配列を有するCDR1、配列番号168の配列を有するCDR2および配列番号169の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号91のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(ix)配列番号170の配列を有するCDR1、配列番号171の配列を有するCDR2および配列番号172の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号93のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(x)配列番号173の配列を有するCDR1、配列番号174の配列を有するCDR2および配列番号175の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号95のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態では、LAG3に結合するaVHドメインは、(xi)配列番号176の配列を有するCDR1、配列番号177の配列を有するCDR2および配列番号178の配列を有するCDR3を含む。本発明のより好ましい実施形態では、aVHドメインは、配列番号97のアミノ酸配列を含む。
VHライブラリー
本明細書に記載される自律性VHドメインを含むVHライブラリーの生成のために、テンプレート配列はランダム化した。テンプレート1(配列番号40に基づく)は、3つ全てのCDRでランダム化した。テンプレート2、3および4(それぞれ、配列番号42、配列番号44、配列番号46による)は、CDR2およびCDR3でランダム化した。テンプレート5(配列番号180による)は、第1のライブラリーでは3つ全てのCDRにおいてランダム化し、第2のライブラリーではCDR2および3でのみランダム化した。
III.実施例
以下は、本発明の方法および組成物の例である。上に提供した一般的な記載が与えられ、種々の実施形態が実施されてもよいことが理解される。
組換えDNA技術
標準的な方法を使用して、Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されるようにDNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造業者の指示に従って使用した。ヒト免疫グロブリンの軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列に関連する一般的な情報は、Kabat,E.A.et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Ed.,NIH Publication No 91−3242に示されている。
遺伝子合成
必要な場合、望ましい遺伝子セグメントは、適切なテンプレートを使用してPCRにより生成したか、またはGeneart AG(レーゲンスブルク、ドイツ)で合成オリゴヌクレオチドとPCR産物から自動遺伝子合成によって合成した。単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位に隣接する遺伝子セグメントを、標準的なクローニング/配列決定ベクターにクローニングした。プラスミドDNAを形質転換細菌から精製し、UV分光法で濃度を測定した。サブクローン化された遺伝子断片のDNA配列は、DNA配列決定によって確認した。遺伝子セグメントは、それぞれの発現ベクターへのサブクローニングを可能にする適切な制限部位を用いて設計した。真核細胞での分泌に使用される全てのコンストラクトを、リーダーペプチドをコードする5’末端のDNA配列で設計した。配列番号1および2は、代表的なリーダーペプチドを与える。
抗原発現ベクターのクローニング
特異的aVHドメインの選択のために、3つの異なる抗原を生成した。
「成熟黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン」のアミノ酸1553から2184をコードするDNA断片(MCSP、Uniprot:Q6UVK1)は、N末端リーダー配列を含む哺乳類のレシピエントベクターにインフレームでクローニングした。さらに、コンストラクトには、Bir Aビオチンリガーゼとの共発現中に特異的ビオチン化を可能にするC末端aviタグと、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)による精製に使用されるHisタグとが含まれている(配列番号3および4)。
ヒトトランスフェリン受容体1(TfR1、Uniprot:P02786)のアミノ酸122〜760をコードする増幅されたDNA断片は、溶解性タグおよび精製タグとして機能するハムIgG1 Fcコード断片の下流にある哺乳類のレシピエントベクターにインフレームで挿入した。N末端のaviタグにより、in vivoでのビオチン化が可能になった。モノマー状態で抗原を発現させるために、Fc−TfR1融合コンストラクトは、「ホール」変異(配列番号5および6)を含み、「Fcノブ」対応物(配列番号7および8)と組み合わせて共発現させた。
細胞死受容体5(DR5、Uniprot:O14763)、細胞外ドメイン(アミノ酸1〜152)をコードするDNA断片を、ハムIgG1 Fcコード断片の上流にあるN末端リーダー配列を有する哺乳類のレシピエントベクターにインフレームで挿入した。C末端のaviタグにより、特異的in vivoビオチン化が可能になった(配列番号9および10)。
MCSP、TfR1およびDR5の抗原発現は、一般にMPSVプロモーターによって駆動され、転写は、コード配列の下流にある合成polyAシグナル配列によって終了される。発現カセットに加えて、各ベクターには、EBV−EBNA発現細胞株における自律性複製のためのEBV oriP配列が含まれている。
ビオチン化されたC末端Aviタグを有する可溶性ヒトLag3−IgG1−Fc−の生成のために、プラスミド21707_pIntronA_shLag3_huIgG1−Fc−AviをヒトLag3細胞外ドメイン(sw:lag3_humanのpos.23−450)とAviタグ配列(5’GSGLNDIFEAQKIEWHE)のC末端が結合したヒトIgG1重鎖cDNA発現ベクターのGly329までのPro100位のN末端にあるIEGRMDリンカー(配列番号11および12)の遺伝子合成(GeneArt GmbH)によって生成した。
Fc融合コンストラクトとHisタグコンストラクトの生成および精製
DR5−Fc−avi、モノマーTfR1−Fc−avi、ならびに一価および二価のaVH Fcコンストラクトの発現のために、EBV由来タンパク質EBNAを安定して発現するHEK 293細胞に一過性トランスフェクトした。タンパク質は、標準プロトコルを参照しつつ、ろ過した細胞培養物上清から精製した。簡単に言うと、Fcを含むタンパク質を、Protein A Sepharoseカラム(GE healthcare)にアプライし、PBSで洗浄した。溶出はpH2.8で達成され、続いて試料をすぐに中和した。凝集したタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200、GE Healthcare)によって、PBS中、または20mM ヒスチジン、150mM NaCl(pH6.0)中に、単量体フラクションから分離した。モノマータンパク質フラクションをプールし、例えば、MILLIPORE Amicon Ultra(30 MWCO)遠心分離濃縮器を用いて濃縮し(必要な場合)、凍結させ、−20℃または−80℃で保存した。試料の一部を、例えば、SDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)または質量分析法によるその後のタンパク質分析および分析による特性決定のために提供した。
LAG3−Fc−aviの発現のために、最終的なプラスミド21707_pIntronA_shLag3_huIgG1−Fc−Aviを、製造元の指示に従って、2リットルのスケールでExpi293(商標)発現システム(Life Technologies)にトランスフェクトした。上清を回収し、タンパク質Aカラムクロマトグラフィーで精製した。精製されたタンパク質は、製造元の指示に従って、BirAビオチンタンパク質リガーゼ標準反応キット(Avidity)を介してビオチン化した。タンパク質のタンパク質分解を回避するために、プロテアーゼ阻害剤Mini EDTA−free(Roche)を加えた。ゲルろ過カラム(Superdex200 16/60,GE)を使用して、ビオチン化タンパク質から遊離ビオチンとBirAリガーゼを除去した。ビオチン化は、ストレプトアビジンを加えることによって確認された。得られたビオチン化タンパク質/ストレプトアビジン複合体は、分析用SECクロマトグラムで保持時間のシフトを示した。
hisタグを発現するコンストラクトをHEK 293細胞に一過性トランスフェクトし、EBV由来タンパク質EBNA(HEK EBNA)を安定して発現させた。ビオチンリガーゼBirAをコードする同時に共トランスフェクトされたプラスミドが、in vivoでのaviタグ特異的なビオチン化を可能にした。タンパク質を、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)とその後のゲルろ過を使用した標準プロトコルを参照して、ろ過された細胞培養上清から精製した。モノマータンパク質フラクションをプールし、濃縮し(必要な場合)、凍結させ、−20℃または−80℃で保存した。試料の一部を、例えば、SDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)または質量分析法によるその後のタンパク質分析および分析による特性決定のために提供した。
実施例1
汎用自律性ヒト重鎖可変ドメイン(aVH)ライブラリーの生成
汎用aVHライブラリーを、Barthelemy et al.,J.Biol.Chem.2008,283:3639−3654に掲載された自律性ヒト重鎖可変ドメインのハーセプチン由来のテンプレート(配列番号13および14)である配列B1abに基づき生成した。B1abでは、軽鎖界面がない場合に表面に露出されるようになる4つの疎水性残基が、ファージディスプレイによって同定されたより親水性の高い残基で置き換えられた。これらの変異は、VHドメインの折り畳みの構造と互換性があることがわかっている。それらは親水性を高め、ひいては足場の安定性を高め、軽鎖パートナーの非存在下で安定かつ可溶性であるaVHドメインの発現を可能にする(図1A)。
B1abの配列に基づく、CDR3領域でランダム化されたaVHファージディスプレイライブラリーを生成するために、2つの断片が「オーバーラップエクステンションによるスプライシング」(SOE)PCRによって組み立てられた。断片1は、フレームワーク3を含むaVHをコードする遺伝子の5’末端を含み、断片2は、フレームワーク3の末端、ランダム化されたCDR3領域、およびaVH断片のフレームワーク4を含む。
以下のプライマーの組合せを使用して、ライブラリー断片を生成した:断片1(LMB3(配列番号15)およびDP47_CDR3バック(mod)(配列番号16))および断片2(DP47−v4プライマー(配列番号18〜20)およびfdseqlong(配列番号17))(表1)。このライブラリーの生成のために、3つの異なるCDR3の長さを使用した(図2B)。十分な量の完全長ランダム化aVH断片を組み立てた後、それらを等しく切断された受容体ファージミドベクターと共にNcoI/NotIで消化した。6μgのFabライブラリーインサートを24μgのファージミドベクターにライゲーションした。精製したライゲーションを60の形質転換に使用し、6×10個の形質転換体を得た。aVHライブラリーを表示するファージミド粒子を救出し、PEG/NaCl精製によって精製することで選択のために使用した。
Figure 2021511793
汎用aVHライブラリーからの抗DR5結合物質の選択
新しいライブラリーの機能をテストするために、DR5の細胞外ドメイン(ECD)に対する選択を、HEK293で発現されたタンパク質を使用して行った。パニングラウンドを、以下のパターンに従って溶液中で行った:(1)全容量1mlで0.5時間、100nMビオチン化抗原タンパク質への約1012ファージミド粒子の結合、(2)ビオチン化抗原の捕捉および5.4×10のストレプトアビジン被覆磁性ビーズの10分間の添加による特異的結合ファージの付着、(3)5×1ml PBS/Tween 20および5x1ml PBSを使用したビーズの洗浄、(4)1mlの100mMトリエチルアミン(TEA)の10分間の添加によるファージ粒子の溶出および500μlの1M Tris/HCl pH7.4の添加による中和、(5)上清のファージ粒子による対数増殖期の大腸菌TG1細胞の再感染、ヘルパーファージVCSM13による感染、その後の選択ラウンドで使用されることになるファージミド粒子のその後のPEG/NaCl沈殿。
抗原濃度の(10−7Mから5×10−9Mへの)減少を使用して選択を3ラウンド行った。ラウンド2では、ストレプトアビジンビーズの代わりにニュートラアビジンプレートを使用して抗原:ファージ複合体の捕捉を行った。特異的結合物質を、ELISAによって以下のように同定した:ウェルあたり100μlの50nMビオチン化抗原をニュートラアビジンプレートに被覆した。Fabを含む細菌の上清を加え、抗Flag/HRP二次抗体を使用して結合FabをそれらのFabタグを介して検出した。バックグラウンドよりも有意なシグナルを示すクローンを、配列決定用にショートリストした(配列番号21〜28)。
実施例2
安定化ジスルフィド架橋を含むaVHドメインの同定
aVH足場をさらに安定させるために、タンパク質鎖の柔軟性を制約する追加のジスルフィド架橋の導入をテストした。システインに変異したときにジスルフィド架橋の形成を可能にする位置は、1)構造モデリングまたは2)追加の安定化ジスルフィドを保有する自然状態のIg様V型配列を検索することによって同定した。
1つ目のアプローチでは、使用されたaVHに最も近い構造相同性を持つ分子の結晶構造を同定した。(www.pdb.org、entry No.3B9V)。コンピューターアルゴリズムを使用して、Cα/Cαペアの距離が5Å未満の63ペアのアミノ酸を同定した。この63ペアから、コアパッキングに強い影響を与えるアミノ酸ペア、またはCβ/Cβ幾何学的配置の明らかな破れがあるアミノ酸ペアは除外した。その結果、8つの異なる残基のペアを選択した。
2つ目のアプローチでは、22位と92位の間の標準ジスルフィド結合(Kabat番号付け)に加えて、ジスルフィド架橋を有する免疫グロブリンファミリーの生殖細胞系コードV型ドメインを同定するために、手動データベース画面を実行した。ラマ、ラクダまたはウサギからの既知のジスルフィドパターンは明示的に回避した。1つの例では、33位と52位に2つの追加のシステインを保有するナマズ(Ictalurus punctatus、AY238373)からの配列を同定した。タンパク質構造データベース(www.pdb.org)の検索により、このジスルフィドパターンが存在する2つの既存の天然抗体(PDBエントリー1AI1および1ACY)が明らかになり、これは、初めてヒト抗体足場に導入されていた。
近接しており、したがって安定化ジスルフィド架橋の形成を可能にする2つの追加のシステインを保有する全ての選択されたバリアントを、ドメインの安定性に及ぼす有益な影響について個別にテストした。予め同定されたDR5特異的結合物質の配列誘導体(配列番号38)に基づいて、全てのバリアントを生成した。ジスルフィド安定化効果の分析のために、全てのバリアントを、CH3領域のノブ変異を保有するFc(ノブ)断片のN末端に融合した(配列番号29、30、31、32、33、34、35、36、37、38)。それぞれのFcホール断片との共発現により、非対称の1価のaVH−Fc融合コンストラクトが得られた(図2A)。HEK−EBNA細胞における発現および精製は、上記のように行った。コンストラクトの安定性は、動的光散乱(DLS)によって測定された熱誘起凝集によって評価した。表3に、それぞれのコンストラクトの測定された凝集温度を示す。これらの結果に基づいて、2つのバリアント(DS−Des9(Cys Y33C/Y52C)(配列番号30)およびDS−Des2(Cys P52aC/A71C)(配列番号37))を、VHランダム化ライブラリーの世代の基準として選択した。
Figure 2021511793
実施例3
安定化された汎用自律性ヒト重鎖可変ドメイン(aVH)ライブラリーを生成するための新しいライブラリーテンプレート
配列番号30および37に基づいて、より安定性の高いaVHライブラリーを生成するために、新しいaVHライブラリーテンプレートを設計した。以下の任意の修飾は、テンプレート配列で行った(1)変異K94Sの導入。(2)抗体Jエレメントで頻繁に見られる配列バリアントである変異L108Tの導入。しかしながら、前述の変異は特定の効果を有していなかった。全てのライブラリーテンプレートの概要を図3に示している。
安定化ジスルフィド架橋52a/71を保有する新しい汎用自律性重鎖可変ドメイン(aVH)ライブラリーの生成
52a位と71位での追加の安定化ジスルフィド架橋に基づく新しいaVHライブラリーの生成のために、4つの新しいテンプレートを設計した(配列番号39、41、43、45)。4つのテンプレートのうち3つは、CDR1領域に追加の配列修飾を保有する(図3A)。テンプレート2(配列番号42)では、グリシン26がセリン(G26S修飾)に置き換えられ、テンプレート3および4(配列番号44および46)は、それぞれ31a位および31a/b位に1つおよび2つのセリン挿入を有する(S31aおよびS31ab修飾)。テンプレート1(配列番号40)は3つ全てのCDRでランダム化し、テンプレート2〜4(配列番号42、44および46)はCDR2およびCDR3のみでランダム化した。全てのランダム化において、3つの断片が「オーバーラップエクステンションによるスプライシング」(SOE)PCRによって組み立てられた。断片1は、フレームワーク1、CDR1、およびフレームワーク2の一部を含むaVH遺伝子の5’末端を含む。断片2は、フレームワーク2の断片1とオーバーラップし、CDR2およびフレームワーク3領域をコードする。断片3は断片2とアニーリングし、CDR3領域とaVHのC末端を保有する。
3つ全てのCDRをランダム化するために、以下のプライマーの組合せを使用して、ライブラリー断片を生成した:断片1(LMB3(配列番号14)およびaVH_P52aC_A71C_H1_rev_Primer_TN(配列番号47))、断片2(aVH_P52aC_A71C_H2_for_Primer_TN(配列番号48)およびaVH_H3リバースプライマー(配列番号49))、ならびに断片3(aVH_H3_4/5/6_for_Primer_TN(配列番号50〜52)およびfdseqlong(配列番号17))(表4)。CDR2と3でのみランダム化された3つのライブラリーの生成では、ランダム化プライマーの配列番号15を、定常プライマーの配列番号53に置き換えた(表5)。十分な量の完全長ランダム化aVH断片の組立て後、それらを同様に処理された受容体ファージミドベクターと共にNcoI/NotIで消化した。6μgのaVHライブラリーインサートを24μgのファージミドベクターにライゲーションした。精製したライゲーションを60の形質転換に使用し、5×10〜1010個の形質転換体を得た。aVHライブラリーを表示するファージミド粒子を救出し、PEG/NaCl精製によって精製することで選択のために使用した。
Figure 2021511793
Figure 2021511793
安定化ジスルフィド架橋33/52を保有する新しい汎用自律性ヒト重鎖可変ドメイン(aVH)ライブラリーの生成
33位および52位でジスルフィド架橋により安定化されたaVHテンプレート5(図3B;DNA:配列番号179;タンパク質配列番号180)のランダム化のために、前述のものと同じPCR戦略を選択した。3つのランダム化されたCDRを有するライブラリーの生成のために、断片1はプライマーLMB3(配列番号15)およびaVH_Y33C_Y52C_H1_rev_Primer_TN(配列番号54)を使用して生成し、断片2はaVH_Y33C_Y52C_H2_for_Primer_TN(配列番号55)およびaVH_H3リバースプライマー(配列番号49)を使用して生成し、断片3はaVH_H3_4/5/6_for_Primer_TN(配列番号50〜52)およびfdseqlong(配列番号17)を使用して生成した(表6)。CDR2および3のみでランダム化されたライブラリーの生成のために、ランダム化プライマー配列番号54を、定常プライマー配列番号53で置き換えた(表7)。得られたファージライブラリーのサイズは、約5×10の形質転換体であった。
Figure 2021511793
Figure 2021511793
実施例4
汎用ジスルフィド安定化aVHライブラリーからの抗MCSPおよび抗TfR1結合物質の選択
ライブラリーの複雑さの品質をテストし、結果として得られる結合物質をさらに特性決定するために、前述のように、組換えMCSPおよびTfR1に対する概念実証選択を溶液中で行った。両方の選択について、6つのファージライブラリー全てを個別に、前述の抗原に対する結合物質についてスクリーニングした。抗原濃度の(10−7Mからx10−8Mへの)減少を使用して選択を3ラウンド行った。ラウンド2では、ストレプトアビジンビーズの代わりにニュートラアビジンプレートを使用して抗原:ファージ複合体の捕捉を行った。特異的結合物質を、ELISAによって以下のように同定した:ウェルあたり100μlの50nMビオチン化抗原をニュートラアビジンプレートに被覆した。個々のaVHを含む細菌の上清を加え、抗Flag/HRP二次抗体を使用して結合aVHをそれらのFlagタグを介して検出した。バックグラウンドよりも有意なシグナルを示すクローンを、配列決定用にショートリストし(例示的なDNA配列は、MCSP特異的aVHの配列番号56、58、60、62および64としてリストし、TfR1特異的aVHの配列番号66、67、68、69、70、71および72としてリストした)、さらに分析した。
大腸菌からのaVHの精製
選択したクローンをさらに特性決定するために、ELISAポジティブaVH(MCSP特異的aVHの配列番号57、59、61、63および65としてリストされた可変ドメインの例示的なタンパク質配列)を、反応速度パラメータの正確な分析のために精製した。各クローンについて、500mlの培養物に、対応するファージミドを保有する細菌を接種し、OD6000.9で1mM IPTGを用いて誘導した。その後、培養物を25℃で一晩インキュベートし、遠心分離により回収した。再懸濁したペレットを25mlのPPB緩衝液(30mM Tris−HCl pH8、1mM EDTA、20%ショ糖)で20分間インキュベートした後、細菌を再度遠心分離し、上清を回収した。このインキュベーションステップを、25mlの5mM MgSO溶液で1回繰り返した。両方のインキュベーションステップの上清をプールし、ろ過し、IMACカラム(His gravitrap、GE Healthcare)にロードした。続いて、カラムを40mlの洗浄緩衝液(500mM NaCl、20mMイミダゾール、20mM NaHPO pH7.4)で洗浄した。溶出後(500mM NaCl、500mMイミダゾール、20mM NaHPOpH7.4)、PD10カラム(GE Healthcare)を使用して溶出液を再緩衝化し、続いてゲルろ過ステップを行った。精製タンパク質の収量は500〜2000μg/Lの範囲であった。
SPRによるMCSP特異的ジスルフィド安定化aVHクローンのアフィニティー決定
選択されたaVHクローンのアフィニティー(K)は、25℃でProteOn XPR36装置(Biorad)を使用して、表面プラズモン共鳴により、ニュートラアビジン捕捉によってNLCチップにビオチン化MCSP抗原を固定化して測定した。組換え抗原(リガンド)の固定:抗原をPBST(10mMリン酸、150mM塩化ナトリウム pH7.4、0.005%Tween 20)で10μg/mlに希釈し、次いでさまざまな接触時間で30μl/分で注入して、垂直方向で200、400または800の応答単位(RU)の固定化レベルを達成した。分析物の注入:ワンショット反応速度測定では、注入方向を水平方向に変更し、精製されたaVHの2倍希釈系列(200〜6.25nMのさまざまな濃度範囲)を180秒の間の結合時間と800秒の解離時間で、別々のチャネル1〜5に沿って60μl/minで同時に注入した。参照用の「インライン」ブランクを提供するために、6つ目のチャネルに沿って緩衝液(PBST)を注入した。結合速度定数(kon)と解離速度定数(koff)は、ProteOn Manager v3.1ソフトウェアの単純な1:1 Langmuir binding model を使用して、結合と解離センサーグラムを同時にフィッティングすることで計算した。平衡解離定数(K)は、koff/konの比として計算した。分析されたクローンにより、非常に広い範囲(8〜193nM)のK値が明らかになった。全てのクローンの速度論的および熱力学的データ、凝集温度、ランダム化されたCDR、ならびに安定化ジスルフィド架橋の位置を表8にまとめている。
Figure 2021511793
選択されたジスルフィド安定化aVHクローンのFcベースのフォーマットへの変換
選択されたaVHクローンをさらに特性決定するために、全ての結合物質をFcベースのフォーマットに変換した。MCSP特異的aVH配列は、「ノブ」変異を保有するヒトIgG1 FcドメインにN末端で融合された。特に、同定されたaVH DNA配列(配列番号56、58、60、62、64)は、配列番号73のaVHをコードするテンプレート配列を置き換えた。aVH−Fc融合配列は、「ホール」変異を持つFc配列(配列番号74)と組み合わせて発現され、N末端のモノマーaVHを有するFcドメインをもたらした(図2A)。
TfR1特異的結合物質の場合、代替的なFcベースのフォーマットが選択された:ヒトIgG1抗体に基づいて、VHドメインをコードする配列は、選択されたaVHドメインをコードするDNA配列断片(配列番号66、67、68、69、70、71および72)で置き換えられた。さらに、カッパ型の軽鎖をコードする発現コンストラクトでは、VLドメインが削除され、定常カッパドメイン(配列番号75)がシグナル配列に直接融合された。両方のプラスミドの共発現により、全ての抗体定常ドメインと各CH1のN末端に融合したaVHドメインとからなる二価のコンストラクトが得られる(図2B)。これらのコンストラクトは、全ての更なる特性決定のために使用された。
MCSP特異的ジスルフィド安定化aVHクローンの結合分析
ジスルフィド安定化MCSP特異的クローンのMV3細胞株への結合をFACSで測定した。ネガティブコントロールとして、無関係の抗体を使用した。96ウェルの丸底プレートのウェルあたり0.2mio細胞を、300μlのPBS(0.1%BSA)とモノマーのaVH−Fc融合コンストラクト(0.27、0.8、2.5、7.4、22.2、66.6、200および600nM)で4℃にて30分間インキュベートした。非結合分子は、細胞をPBS(0.1%BSA)で洗浄することにより除去した。結合分子は、FITC抱合AffiniPureヤギ抗ヒトIgG Fcガンマ断片特異的二次F(ab’)2断片(Jackson ImmunoResearch ♯109−096−098;PBS中1:20希釈標準溶液、0.1%BSA)で検出された。4℃で30分のインキュベーション後、非結合抗体を洗浄により除去し、細胞を1%PFAを使用して固定した。BD FACS CantoII(ソフトウェアBD DIVA)を使用して細胞を分析した。全てのクローンの結合(図4)が観察された。SPRによって測定されたアフィニティーと結合分析の感度は相関しており、クローン2(配列番号57)がSPR分析と細胞結合研究の両方で最良の結合物質であった。
選択されたMCSP特異的ジスルフィド安定化aVHクローンの特性決定
選択および精製されたaVHをさらに特性決定するために、MCSP特異的クローンの凝集温度を前述のように決定した。興味深いことに、全てのジスルフィド安定化MCSP特異的クローンの凝集温度は59〜64℃であり、追加のジスルフィド架橋の安定化効果を明確に実証している(表8)。
TfR1特異的ジスルフィド安定化aVHクローンの蛍光共鳴エネルギー移動アッセイ
TfR1特異的二価aVH−FcコンストラクトのTfR1発現細胞上のそれらのエピトープへの結合は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)分析によって決定した。この分析では、SNAPタグ(Cisbioから購入したプラスミド)をコードするDNA配列をPCRで増幅し、完全長TfR1配列(Origene)を含む発現ベクターにライゲーションした。得られた融合タンパク質は、C末端SNAPタグを有する全長TfR1を含む。Hek293細胞に、トランスフェクション試薬としてLipofectamine 2000を使用して、10μgのDNAをトランスフェクションした。20時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、100nMのSNAP−Lumi4Tb(Cibsio)を含むLabMed緩衝液(Cisbio)で37℃にて1時間インキュベートし、SNAPタグの特異的標識をもたらした。その後、細胞をLabMed緩衝液で4回洗浄して、非結合色素を除去した。標識効率は、緩衝液と比較して615nmでテルビウムの発光を測定することにより決定した。次いで、細胞を−80℃で6ヶ月まで冷凍保存した。結合は、0.5〜60nMまでの範囲の濃度のTfR1特異的aVH Fc融合体を標識細胞(ウェルあたり100細胞)に加え、続いてFRETの受容体分子として抗ヒトFc−d2(Cisbio、最終濃度はウェルあたり200nMであった)を加えて測定した。RTで3時間のインキュベーション時間後、受容体色素(665nm)ならびにドナー色素(615nm)の発光を、蛍光リーダー(Victor 3、Perkin Elmer)を使用して決定した。受容体とドナー発光の比率を計算し、バックグラウンドコントロール(抗huFc−d2を含む細胞)の比率を差し引いた。GraphPad Prism5(図5)で曲線を分析し、Kを計算した(表9)。
Figure 2021511793
実施例5
汎用ジスルフィド安定化aVHライブラリーからの抗LAG3特異的結合物質の選択
LAG3特異的aVHの選択は、前述のように行った。この選択のために、6つ全てのファージライブラリーを個別に、上述の抗原に対する結合物質についてスクリーニングした。抗原濃度の(10−7Mからx10−8Mへの)減少を使用して選択を3ラウンド行った。ラウンド2では、ストレプトアビジンビーズの代わりにニュートラアビジンプレートを使用して抗原:ファージ複合体の捕捉を行った。特異的結合物質を、ELISAによって以下のように同定した:ウェルあたり100μlの50nMビオチン化抗原をニュートラアビジンプレートに被覆した。aVHを含む細菌の上清を加え、抗Flag/HRP二次抗体を使用して結合aVHをそれらのFlagタグを介して検出した。バックグラウンドよりも有意なシグナルを示すクローンを、配列決定用にショートリストし(配列番号76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96としてリストされるDNA配列;配列番号77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97としてリストされるタンパク質配列)、さらに分析した。
SPRによるLAG3特異的ジスルフィド安定化aVHクローンのアフィニティー決定
選択されたaVHクローンのアフィニティー(K)は、25℃でProteOn XPR36装置(Biorad)を使用して、表面プラズモン共鳴により、ニュートラアビジン捕捉によってNLCチップにビオチン化LAG3−Fc抗原を固定化して測定した。組換え抗原(リガンド)の固定:抗原をPBST(10mMリン酸、150mM塩化ナトリウム pH7.4、0.005%Tween 20)で10μg/mlに希釈し、次いでさまざまな接触時間で30μl/分で注入して、垂直方向で200、400または800の応答単位(RU)の固定化レベルを達成した。LAG3結合相互作用のネガティブコントロールとして、ビオチン化Fcドメインを同じ条件で固定化した。分析物の注入:ワンショット反応速度測定では、注入方向を水平方向に変更した。精製されたaVHの2倍希釈系列(200〜6.25nMのさまざまな濃度範囲)を300秒の間の結合時間と360秒の解離時間で、別々のチャネル1〜5に沿って60μl/minで同時に注入した。参照用の「インライン」ブランクを提供するために、6つ目のチャネルに沿って緩衝液(PBST)を注入した。結合速度定数(kon)と解離速度定数(koff)は、ProteOn Manager v3.1ソフトウェアの単純な1:1 Langmuir binding model を使用して、結合と解離センサーグラムを同時にフィッティングすることで計算した。平衡解離定数(K)は、koff/konの比として計算した。分析されたクローンにより、非常に広い範囲(5〜766nM)のK値が明らかになった。全てのクローンの速度論的および熱力学的データ、凝集温度、ランダム化されたCDR、ならびに安定化ジスルフィド架橋の位置を表10にまとめている。
Figure 2021511793
細菌から精製されたaVHドメインを有するA375細胞のMHCII競合アッセイ
細菌で精製されたLAG3特異的aVHドメインがT細胞で発現するMHCIIへのLAG3の結合をブロックして妨げる能力を評価するために、細菌から精製されたaVHsドメインを使用して細胞ベースの結合阻害アッセイを行った。最初のステップでは、20μg/ml〜0.05μg/mlの範囲のaVHドメインの連続希釈液を、1μg/mlのビオチン化LAG3−Fcと共にPFAE緩衝液(2%FCS、0.02%アジ化ナトリウムおよび1mM EDTAを含むPBS)でインキュベートした。室温で20分後、混合物を2×10のPFAEで洗浄したA375細胞に加えた。4℃で30分後、細胞をPFAEで1回洗浄した。A375細胞で発現したMHCIIへのLAG3−Fcの結合は、Alexa 647標識ヤギ抗ヒトFcの添加により検出された。インキュベーションの30分後、細胞をPFAE緩衝液で洗浄し、FACS caliburフローサイトメーターを使用して結合分析を行った。
実施例6
選択されたジスルフィド安定化aVHクローンのFcベースのフォーマットへの変換
選択されたaVHクローンをさらに特性決定するために、全ての結合物質をFcベースのフォーマットに変換した。aVHコード配列は、ヒトIgG1 Fcドメインまたは「ノブ」変異を保有するヒトIgG1 FcドメインのいずれかにN末端で融合された。両方のFcバリアントは、FcγR結合を完全に無効にするPG−LALA変異を含んでいた。P329G、L234AおよびL235A(EU番号付け)のFcドメインにおける変異に関連するPG−LALA変異は、その全体が本明細書に組み込まれるWO2012/130831に記載されている。
得られたaVH−Fc(PG−LALA)融合配列(配列番号98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118を有するDNA配列および配列番号99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119を有するそれぞれのタンパク質配列)の発現により二価の融合コンストラクトが得られ(図2C)、aVH Fc(ノブ、PG−LALA)融合コンストラクト(配列番号120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140を有するDNA配列および配列番号121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141を有するそれぞれのタンパク質配列)と「ホール」変異を持つFc配列断片(配列番号74)との共発現により一価のaVH−Fc融合コンストラクトがもたらされた(図2A)。分子の生成および精製は、前で記載されたように行った。
一価aVH−Fc融合コンストラクトの生化学的特性
それらの生化学的および生物物理学的特性を特性決定して比較するために、全ての一価のaVH−Fc融合コンストラクトを詳細に分析した:
化学分解試験
試料を3つのアリコートに分け、20mM His/His−HCl、140mM NaCl、pH6.0(His/NaCl)またはPBSにそれぞれ再緩衝化し、40℃(His/NaCl)または37℃(PBS)で2週間保存した。コントロール試料は−80℃で保存した。
インキュベーションが終了した後、試料を相対活性濃度(SPR)、凝集(SEC)および断片化(CE−SDS)について分析し、未処理のコントロールと比較した。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
見かけの疎水性は、20μgの試料を25mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウム、pH 7.0で平衡化したHIC−Ether−5PW(Tosoh)カラムに注入することにより決定した。溶出は、0〜100%の緩衝液B(25mMリン酸ナトリウム、pH7.0)の直線勾配で60分以内に行った。リテンションタイムを、既知の疎水性を有するタンパク質標準と比較した。ほとんどの抗体は、0〜0.35の相対リテンションタイムを示す。
熱安定性
試料を、20mM His/His−HCl、140mM NaCl中、pH6.0で1mg/mLの濃度にて調製し、0.4μmフィルタープレートで遠心分離して光学384ウェルプレートに移し、パラフィンオイルで覆った。流体力学的半径は、試料を25℃〜80℃に0.05℃/minの速度で加熱している間、DynaProプレートリーダー(Wyatt)で動的光散乱によって繰り返し測定する。
FcRnアフィニティークロマトグラフィー
FcRnは、記載されているように(Schlothauer et al.)発現、精製およびビオチン化した。カップリングのために、調製した受容体をストレプトアビジン−セファロース(GE Healthcare)に加えた。得られたFcRn−セファロースマトリックスをカラムハウジングに充填した。カラムを20mM 2−(N−モルホリン)−エタンスルホン酸(MES)、140mM NaCl、pH5.5(溶離液A)で0.5 ml/minの流速で平衡化した。30μgの抗体試料を溶離液Aで1:1の容量比で希釈し、FcRnカラムにアプライした。カラムを5カラム容量の溶離液Aで洗浄し、続いて20〜100%の直線勾配で35カラム容量の20mM Tris/HCl、140mM NaCl、pH8.8(溶離液B)で溶出した。分析は、25℃のカラムオーブンで行った。溶出プロファイルは、280nmでの吸光度を継続的に測定することでモニターした。リテンションタイムを、既知のアフィニティーを有するタンパク質標準と比較した。ほとんどの抗体は、0〜1の相対リテンションタイムを示す。
表11は、異なる試験済み試料の生物物理学的および生化学的特性をまとめたものである。全てが予想外に高い熱安定性と見かけの疎水性を示した。しかしながら、クローン17D7および19G3は、FcRnへの異常に強い結合を示した。全ての試料はストレス時にわずかな断片化のみを示したが(表12)、クローンP11E2およびP11E9はストレス時に有意な凝集傾向を示した(表12)。最後に、SPR測定により、P11A2を除く全ての試料が、ストレス後にそれらのLag3標的への結合特性のほとんどを保持していることが明らかになった(相対活性濃度>80%)(表13)。
Figure 2021511793
Figure 2021511793
Figure 2021511793
実施例7
二価のaVH−Fc融合コンストラクトのin vitro特性決定
下記のインビトロ実験では、以下の試薬を使用した。全ての結果の概要を表14に見出すことができる。
使用した材料は、PBS(DPBS、PAN、P04−36500)、BSA(Roche、10735086001)、Tween 20(Polysorbat 20(usb、#20605、500ml))、PBSTブロッキング緩衝液(PBS(10×、Roche、#11666789001)/2%BSA(ウシ血清アルブミン分画V、脂肪酸フリー、Roche、#10735086001)/0,05%Tween 20)、1ステップELISA緩衝液(OSEP)(PBS(10×、Roche、#11666789001)、0.5% BSA(ウシ血清アルブミン分画V、脂肪酸フリー、Roche、#10735086001)、0.05%Tween 20)であった。
Figure 2021511793
ヒトLag3のELISA
Nunc maxisorpプレート(Nunc 464718)を、PBS緩衝液で希釈した25μl/ウェルの組換えヒトLAG3 Fcキメラタンパク質(R&D Systems、2319−L3)を用い、タンパク質濃度800ng/mlでコーティングし、4℃で一晩、または室温で1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、各ウェルを、90μlのブロッキング緩衝液(PBS+2% BSA+0.05% Tween 20)と共に、室温で1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μlの抗Lag3試料を濃度1000または3000〜0.05ng/ml(OSEP緩衝液中1:3希釈)で加え、RTで1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのヤギ抗ヒトIgG F(ab’)2−HRP抱合体(Jackson,JIR109−036−006)を1:800希釈状態で加え、RTで1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、番号11835033001)を加え、2〜10分間インキュベートした。測定をTecan Safire 2機器で、370/492nmで行った。(米国特許出願公開第2011/0150892号明細書および国際公開第2014/008218号に開示されている)コントロール抗体MDX25F7と比較して、ほとんどのaVHクローンはより高いEC50値を示した。さらに、マウスLAG3−Fc抗原(R&D Systems,3328−L3−050)を使用したそれぞれのELISA実験は、どの結合物質もマウスLAG3と交差反応しないことを明らかにした(データは示していない)。
オフレート決定
ヒトLag3への結合からの抗Lag3 aVH Fc融合コンストラクトのオフレートを、BIACORE B4000またはT200機器(GE Healthcare)を使用した表面プラズモン共鳴により調査した。全ての実験は、ランニング緩衝液としてPBST緩衝液(pH 7.4+0.05%Tween20)を使用して25℃で行った。抗ヒトFc(JIR109−005−098,Jackson)は、Series S C1 Sensor Chip(GE Healthcare)に約240〜315RUで固定した。1または5μg/mlの抗Lag3 aVH抗体を10μl/minで60秒間捕捉した。次のステップでは、250μg/mlの濃度で10μl/minの2x120秒の注入によるヒトIgG(Jackson,JIR−009−000−003)の注入により、遊離の抗ヒトFc結合部位をブロックした。0、5および25nMのヒトLAG−3 Fcキメラタンパク質(R&D Systems,2319−L3)を、30μl/minの流速で180秒間アプライした。解離相は、ランニング緩衝液で洗浄することにより、900秒間モニターした。H3PO4(0.85%)を30μl/minの流速で70秒間注入することにより、表面を再生した。
バルクの屈折率差を、模擬表面から得られた応答を差し引くことにより補正した。ブランク注入は差し引いた(二重参照)。導出された曲線は、BIAevaluationソフトウェアを使用して1:1 Langmuir binding modelに適合させた。測定されたオフレートを、予め測定された一価のaVHsドメインのオフレートと比較すると、二価のaVH−Fcコンストラクトの結合は非常に強くアビディティを介していると結論付けることができる。
実施例8
細胞上のaVH−Fc融合コンストラクトの特性決定
以下のセクションでは、選択されたaVH−Fc融合コンストラクトをいくつかの細胞ベースのアッセイで特性決定した。下記のインビトロ実験では、以下の試薬を使用した。全ての結果の概要を表15に見出すことができる。
使用した材料は、PBS(DPBS、PAN、P04−36500)、BSA(Roche、10735086001)、Tween 20(Polysorbat 20(usb、#20605、500ml))、PBSTブロッキング緩衝液(PBS(10×、Roche、#11666789001)/2%BSA(ウシ血清アルブミン分画V、脂肪酸フリー、Roche、#10735086001)/0,05%Tween 20)、1ステップELISA緩衝液(OSEP)(PBS(10×、Roche、#11666789001)、0.5% BSA(ウシ血清アルブミン分画V、脂肪酸フリー、Roche、#10735086001)、0.05%Tween 20)であった。
Figure 2021511793
細胞表面Lag3結合ELISA
25μl/ウェルのLag3細胞(Lag3を発現する組換えCHO細胞、10000細胞/ウェル)を、組織培養処理された384ウェルプレート(Corning、3701)に播種し、37℃で1日間または2日間インキュベートした。培地を除去した次の日、25μlの二価の抗Lag3 aVH−Fcコンストラクト(OSEP緩衝液中1:3希釈、6μg/mlの濃度で開始)を加え、4℃で2時間インキュベートした。洗浄した後(PBST中で1x90μl)、30μl/ウェルのグルタルアルデヒドを、最終濃度0.05%(Sigmaカタログ番号G5882)に室温で10分間添加することによって細胞を固定した。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのヤギ抗ヒトIgG H+L−HRP抱合体(Jackson,JIR109−036−088)を1:2000希釈状態で加え、RTで1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、番号11835033001)を加え、6〜10分間インキュベートした。測定をTecan Safire 2機器で、370/492nmで行った。要約すると、全ての試験された分子は、LAG3を組換え発現するCHO細胞に結合した。それらのEC50値は、主にナノモル未満の範囲にあり、非常に強いアビディティを介した結合を示し、ELISAで測定して強い結合が確認された(表14)。
A375 MHCII競合ELISA
25μl/ウェルのA375細胞(10,000細胞/ウェル)を、組織培地で処理した384ウェルプレート(Corning、3701)に播種し、37℃で一晩インキュベートした。二価の抗Lag3 aVH−Fcコンストラクトを、3μg/mlの抗体濃度で出発して、1:3の希釈率で、細胞培地中でビオチン化Lag3(250ng/ml)を用いて1時間プレインキュベートした。播種した細胞を含むウェルから培地を取り出した後、25μlのaVH−Lag3プレインキュベート混合物をウェルに移し、4℃で2時間インキュベートした。洗浄した後(PBST中で1x90μl)、30μl/ウェルのグルタルアルデヒドを、最終濃度0.05%(Sigmaカタログ番号G5882)に室温で10分間添加することによって細胞を固定した。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのポリ−HRP40−ストレプトアビジン(Fitzgerald、65R−S104PHRPx)を1:2000または1:8000希釈状態で加え、RTで1時間インキュベートした。洗浄した後(PBST緩衝液を用いて3x90μl/ウェル)、25μl/ウェルのTMB基質(Roche、番号11835033001)を加え、2〜10分間インキュベートした。測定をTecan Safire 2機器で、370/492nmで行った。コントロール抗体MDX25F7と比較して、いくつかのaVHクローンは、3μg/mlの濃度で同様のまたはさらに優れた阻害と、同等のIC50値を示した。
aVH−Fcコンストラクトの組換えcyno Lag3ポジティブHEK細胞への結合
ヒトLag3を組換え発現するCHO細胞を用いた結合分析に加え、カニクイザルLag3ポジティブHEK細胞への結合も評価した。この実験のために、予めcyno LAG3で一過性トランスフェクションされ、凍結させたHEK293F細胞を解凍し、遠心分離し、PBS/2%FBSに再補充した。1.5x10個の細胞/ウェルを96ウェルプレートに播種した。二価の抗Lag3 aVH−Fc融合コンストラクトのセットを10μg/mlの正規化された最終濃度まで加えた。参照するためにコントロールとして、自己蛍光でポジティブコントロール(MDX 25F7およびMDX 26H10)ならびにアイソタイプコントロール(Sigma製huIgG1、カタログ番号♯I5154)抗体を調製し、この実験で測定した。HEK細胞を、示したaVH−Fcコンストラクトと共に氷上で45分間インキュベートし、200μlの氷冷PBS/2%FBS緩衝液で2回洗浄した後、二次抗体(APC標識されたヤギ抗ヒトIgG−カッパ、Invitrogen、カタログ番号♯MH10515)を加え(FACS緩衝液/ウェルで1:50に希釈)、さらに氷上で30分間インキュベートした。細胞を再び、200μlの氷冷PBS/2%FBS緩衝液で2回洗浄した後、試料を最終的に、150μlのFACS緩衝液に再懸濁させ、FACS CANTO−II HTS Moduleで結合を測定した。
実施例9
aVH−Fc融合コンストラクトの機能特性
同種異系成熟樹状細胞と共培養されたヒトCD4 T細胞による細胞毒性グランザイムB放出およびIL−2分泌に対するPD−1およびLAG−3ブロックの効果。
以下の実験のために、国際公開第2017/055443 A1号による抗PD−1抗体(0376)を生成し、使用した。PD1−0103_01(0376)のヒト化バリアント−重鎖可変ドメインVHについては配列番号192が参照され、PD1−0103_01(0376)のヒト化バリアント−軽鎖可変ドメインVLについては配列番号193が参照される。
同種異系設定で抗PD−1(0376)と組み合わせたaVH−Fcコンストラクトによる二価LAG3−ブロッキングの効果を分析するために、新しく精製したCD4 T細胞を、単球由来同種異系成熟樹状細胞(mDC)と5日間、共培養するアッセイを開発した。単球を、プラスチック接着し、続いて非接着細胞を除去する1週間前に、PBMCから単離した。次いで、GM−CSF(50ng/ml)およびIL−4(100ng/ml)を含有する培地中、未成熟DC(iDC)を5日間培養することによって、それらを単球から生成した。iDC成熟を誘発するために、TNF−α、IL−1βおよびIL−6(それぞれ50ng/ml)を培地にさらに2日間かけて加えた。その後、フローサイトメトリー(LSRFortessa、BD Biosciences)によるMajor Histocompatibility Complex Class II(MHCII)、CD80、CD83およびCD86のその表面発現を測定することによって、DC成熟を評価した。
最小混合リンパ球反応(mMLR)の日に、CD4 T細胞を、マイクロビーズキット(Miltenyi Biotec)によって、無関係のドナーから得られた10個のPBMCから濃縮した。培養前に、CD4 T細胞を、5μMのカルボキシ−フルオレセイン−スクシンイミジルエステル(CFSE)で標識した。次いで、10個のCD4 T細胞を、抗PD1抗体(0376)単独の存在下もしくは非存在下で、または濃度10μg/mlでNovartis(BAP050)およびBristol Meyers Squibb(BMS−986016)からの二価の抗LAG3 aVH−FcコンストラクトもしくはLAG3特異的コントロール抗体と組み合わせて、成熟allo−DC(5:1)と共に96ウェルプレートにプレーティングした。DP47は、FcγRによる認識を回避するためにFc部分にPG−LALA変異を有する非結合性ヒトIgGであり、これをネガティブコントロールとして使用した。
5日後、細胞培養上清を集め、これを後で使用して、ELISA(R&D systems)によりIL−2レベルを測定し、Golgi Plug(Brefeldin A)およびGolgi Stop(Monensin)の存在下で、細胞を37℃にてさらに5時間放置した。次いで、細胞を洗浄し、その表面を、抗ヒトCD4抗体およびLive/Dead fixable dye Aqua(Invitrogen)で染色した後、Fix/Perm緩衝液(BD Bioscience)で固定/透過処理した。その後、細胞内染色を、グランザイムB(BD Bioscience)およびIFN−γ(eBioscience)について実施した。二価P21A03 LAG3 aVH−Fcコンストラクトは、抗PD−1(0376)抗体と組み合わせると、抗体BAP050に匹敵する形でCD4 T細胞によるグランザイムBおよびIL−2分泌を誘導する。さらに、いくつかの追加のaVHクローンも、グランザイムB発現および/またはIL2分泌のレベルの増加を示した。6人の独立したドナーからの血液細胞を用いた実験の統合結果を図6AおよびBに示している。
(活性化した)カニクイザルPBMC/Lag3を発現するT細胞に対するaVHの結合
この実験では、活性化したカニクイザルT細胞に発現したLag3への結合を評価した。
カニクイザルT細胞またはPBMCの細胞表面で発現したLag3に対する、4つの抗Lag3 aVH−Fc融合コンストラクトの結合特性を、FACS分析によって確認した。Lag3は、ナイーブT細胞では発現しないが、活性化するとアップレギュレーションされ、かつ/または疲弊したT細胞で発現される。したがって、カニクイザル末梢血単核細胞(PBMC)を、新しいカニクイザル血液から調製し、次いで、抗CD3/CD28前処理(1μg/ml)によって2〜3日間かけて活性化させた。その後、活性化された細胞を、Lag3発現について分析した。簡単に言うと、1−3×10の活性化された細胞を、指定の抗Lag3 aVH−Fcコンストラクトおよびそれぞれのコントロール抗体を最終濃度10μg/mlで用い、氷上で30〜60分間かけて染色した。結合された抗Lag3 aVH/抗体は、Alexa488に抱合した抗ヒトIgG二次抗体を介して検出された。染色後、細胞をPBS/2%FCSで2回洗浄し、FACS Fortessa(BD)で分析した。
表16は、活性化されたカニクイザルPBMC内のLag3ポジティブ細胞の割合をまとめたものである。活性化されたカニクイザルT細胞では、aVHのほとんどがLag3への有意な結合を示した。興味深いことに、全ての一価aVH−Fcは、ヒト抗Lag3参照抗体(MDX25F7、BMS−986016)と比較してポジティブ細胞の割合が高く、全ての二価コンストラクトは、3つ全てのコントロール抗体と比較してさらに高い結合を示した。
Figure 2021511793
NFAT Lag3レポーターアッセイ
抑制されたT細胞応答を回復する際に、Lag3 aVHクローンの中和能力を試験するために、市販のレポーターシステムを使用した。このシステムは、Lag3+NFAT Jurkatエフェクター細胞(Promega、カタログ番号♯CS194801)、MHC−IIRaji細胞(ATCC、♯CLL−86)および超抗原からなる。簡単に言うと、このレポーター系は、以下の3つのステップに基づく:(1)超抗原によって誘発されるNFAT細胞の活性化、(2)MHCII(Raji細胞)とLag3NFAT Jurkatエフェクター細胞との相互作用によって媒介される活性化シグナルの阻害、(3)Lag3アンタゴニスト/中和aVH−Fc融合コンストラクトによるNFAT活性化シグナルの回復。
この実験のために、RajiおよびLag−3Jurkat/NFAT−luc2エフェクターT細胞を上記のように培養した。5つの抗Lag3 aVHs−Fcコンストラクトと参照抗体の連続希釈液を、白い平底の96ウェル培養プレート(Costar、カタログ番号#3917)のアッセイ培地(RPMI 1640(PAN Biotech、カタログ番号#P04−18047)、1%FCS)で調製した。1×10個のLag3NFAT−Jurkat細胞/ウェル)を抗体溶液に加えた。このステップの後で、2.5×10個のRaji細胞/ウェルを、Jurkat細胞/aVH−Fcミックスおよび50ng/mlの最終濃度のSED超抗原(Toxin technology、カタログ番号DT303)に加えた。37℃および5%COで6時間インキュベートした後、Bio−Glo基質(Promega、♯G7940)を室温まで加温して加え、5〜10分間インキュベートした後、製造業者の推奨に従って、Tecanインフィニットリーダーで全体的な発光を測定した。
表17に示されるのは、SED刺激の際の一価および二価の抗Lag3 aVH−FcコンストラクトによるNFATルシフェラーゼシグナルMHCII/Lag3が媒介した抑制の回復である(EC50値として与えられる)。一価および二価のコンストラクトP9G1およびP21A03のEC50値を比較すると、両方の二価のコンストラクトはLAG3のブロッキングが大幅に改善され、その結果、NFAT+Jurkat細胞の活性化が示されていることが明らかになる。これはおそらく、二価の融合コンストラクトとしてのLAG3へのアビディティ主導の強い結合によるものである。注目すべきことに、二価のaVH−Fcコンストラクトは、コントロール抗体MDX25F7と比較して同様のEC50値を示す。
Figure 2021511793
修飾されたNFAT Lag3レポーターアッセイ
上記のNFAT Lag3レポーターアッセイの代替的なバリアントとして、SED刺激およびRaji細胞の非存在下で抗Lag3 aVHs−Fcコンストラクトの影響を評価した。このアッセイでは、Lag−3Jurkat/NFAT−luc2エフェクターT細胞のみを培養し(=1x10細胞/ウェル)、上記のように単独で、または滴定されたコントロール抗体もしくはいくつかのVH−Fcコンストラクトの存在下で、37℃および5%COで20時間培養した後、発光をBioGlo基質の添加後に測定した。
このアッセイの目的は、組換えJurkat細胞の基底NFAT活性と、第2の細胞株によって提供されるMHC−IIとの相互作用なしの活性化状態に対するaVH−Fcコンストラクトの阻害効果を評価することであった。
表18に、aVH−Fcコンストラクトおよびコントロール抗体MDX25F7によるルシフェラーゼ活性のほぼ完全な減少のIC50値を示す。前でのアッセイと同様に、二価のコンストラクトは大幅に改善された機能を示し、その結果、IC50が改善される。また、これはおそらく、二価の融合コンストラクトとしてのLAG3へのアビディティ主導の強い結合によるものである。二価のaVH−FcコンストラクトのIC50値をMDX25F7と比較すると、再び同様の値が示される。
Figure 2021511793
実施例10
二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様1+1コンストラクトの機能特性
二重特異性抗PD1/抗LAG3二重特異性1+1抗体様コンストラクトの同時係合の後の細胞PD1およびLAG3の二量体化。
二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様1+1コンストラクトを生成した(図2D)。Lag3結合部分は自律性VHドメインであった。これらのコンストラクトの生成のために、PD1軽鎖をコードするプラスミド(配列番号144のDNA配列;配列番号145のタンパク質配列)、PD1重鎖をコードするプラスミド(ホール、PG−LALA)(配列番号142のDNA配列;配列番号143のタンパク質配列)およびaVH−Fc融合体をコードするプラスミドの1つ(ノブ、PG−LALA)(結果として生じる配列番号127(21A3)、配列番号129(P9G1)、配列番号131(P10D1)、配列番号139(P19G3)によるタンパク質配列))をHEK293細胞に共トランスフェクションした。それぞれのPD1−LAG 1+1抗体コンストラクトのインキュベーションおよび精製を、上記のように実施した。コンストラクトを使用して、PD1−LAG3二重特異性コンストラクトの存在下でのPD1およびLAG3の二量体化または少なくとも局所的な共蓄積を分析した。この特異的な相互作用を測定するために、両受容体の細胞質ゾルC末端は、レポーター酵素の異種サブユニットに個々に融合する。1つの酵素サブユニットのみがレポーター活性を示さなかった。しかしながら、両受容体に対する抗PD1/抗Lag3二重特異性抗体コンストラクトの同時結合は、両受容体の局所的な細胞蓄積、2種類の異種酵素サブユニットの相補性を引き起こし、最終的に、基質を加水分解し、それによって、化学発光シグナルを生成する特異的で機能的な酵素が生成すると予想される。
二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様コンストラクトの架橋効果を分析するために、10,000個のPD1Lag3ヒトU2OS細胞/ウェルを、白い平底の96ウェルプレート(costar、カタログ番号♯3917)に播種し、100μlの完全培地(DiscoverX #93−0563R5B)で一晩培養した。次の日に、細胞培地を捨て、55μlの新しい培地と交換した。抗体希釈液を調製し、55μlの滴定量の指示されたコンストラクトを加え、37℃で2時間37℃でインキュベートした。次に、110μl/wellの基質/緩衝液ミックス(例えばPathHunter Flash検出試薬)を加え、再び1時間インキュベートした。同時結合および二量体化の際に誘発される化学発光を測定するために、Tecanインフィニットリーダーを使用した(図7)。
B細胞リンパ芽球様細胞株(ARH77)と共に培養されたヒトCD4 T細胞による細胞毒性グランザイムB放出に対する、PD−1/LAG−3二重特異性1+1抗体様コンストラクトの効果。
CD4細胞を腫瘍細胞株ARH77と共培養し、i)抗PD1抗体(0376)単独、ii)二価の抗LAG3 aVH−FcコンストラクトもしくはLAG3抗体と組み合わせた抗PD1抗体(0376)、またはiii)二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様コンストラクトを含め、抗体または抗体様コンストラクトでインキュベートした。実験手順は上記(aVH−Fc融合コンストラクトの機能的特性についての説明)のように実施した。5日後、細胞を洗浄し、細胞を洗浄し、その表面を、抗ヒトCD4抗体およびLive/Dead fixable dye Aqua(Invitrogen)で染色した後、Fix/Perm緩衝液(BD Bioscience)で固定/透過処理した。その後、細胞内染色を、グランザイムB(BD Bioscience)について実施した。
計4つのLAG3特異的aVH、すなわち、P21A03、P9G1、P10D1、19G3を、抗PD1抗体と組み合わせた二価のaVH−Fcコンストラクトとして、または二重特異性抗PD1/抗LAG3抗体様1+1コンストラクトとして試験した。興味深いことに、抗PD−1単独に対する有意な相加効果または相乗効果は観察されなかったが、抗PD−1抗体(0376)と組み合わせ二価のaVH−Fcコンストラクトについても、二重特異性抗体様フォーマットについても、CD4 T細胞によるグランザイムB分泌の増加傾向が、以下の二重特異性抗体様コンストラクト:PD1/P21A03 aVH、PD1/P9G1 aVH、およびPD1/P10D1 aVHの場合に観察された。これらのコンストラクトの場合、グランザイムBの放出は、PD−1ブロッキング抗体(0376)と組み合わせた競合的LAG−3抗体に匹敵した(図8)。
本発明の更なる態様
本発明が提供する更なる態様では、自律性VHドメインは、Kabat番号付けによる(i)52a位および71位または(ii)33位および52位にシステインを含み、前記システインは適切な条件下でジスルフィド結合を形成する。特に、自律性VHドメインは単離された自律性VHドメインである。自律性VHドメインは安定性が向上している。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、
(a)配列番号207のアミノ酸配列を含むFR1と、
(b)配列番号208のアミノ酸配列を含むFR2と、
(c)配列番号209のアミノ酸配列を含むFR3と、
(d)配列番号210のアミノ酸配列を含むFR4と、
または
(a)配列番号211のアミノ酸配列を含むFR1と、
(b)配列番号208のアミノ酸配列を含むFR2と、
(c)配列番号209のアミノ酸配列を含むFR3と、
(d)配列番号210のアミノ酸配列を含むFR4と
を含む重鎖可変ドメインフレームワーク
自律性VHドメインは、配列番号207〜211によるFR1−4がヒトにおいて免疫原性ではないため、特に有用である。したがって、本発明の自律性VHドメインは、抗原結合分子の同定のためのVHライブラリーを生成するための有望な候補である。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号40、または配列番号42、または配列番号44、配列番号46、または配列番号180の配列を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、配列番号40、または配列番号42、または配列番号44、配列番号46、または配列番号180のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、死受容体5(DR5)、または黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、またはトランスフェリン受容体1(TfR1)、またはリンパ球活性化遺伝子3(LAG3)に結合する。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、以下を含むMCSPに結合する:
(i)配列番号212のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号213のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号214のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(ii)配列番号215のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号216のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号217のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(iii)配列番号218のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号219のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号220のアミノ酸配列を含むCDR3、または
(iv)配列番号221のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号222のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号223のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(v)配列番号224のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号225のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号226のアミノ酸配列を含むCDR3。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、以下を含むTfR1に結合する。
(i)配列番号227のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号228のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号229のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(ii)配列番号230のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号231のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号232のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(iii)配列番号233のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号234のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号235のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(iv)配列番号236のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号237のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号238のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(v)配列番号239のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号240のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号241のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(vi)配列番号242のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号243のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号244のアミノ酸配列を含むCDR3;または
(vii)配列番号245のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号246のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号247のアミノ酸配列を含むCDR3。
自律性VHドメインはMCSPに結合し得る。MCSPに結合する自律性VHドメインは、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。自律性VHドメインはTfR1に結合し得る。TfR1に結合する自律性VHドメインは、配列番号194のアミノ酸配列、配列番号195の配列、配列番号196のアミノ酸配列、配列番号197のアミノ酸配列、配列番号198のアミノ酸配列、配列番号199のアミノ酸配列、配列番号200のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。自律性VHドメインはLAG3に結合し得る。Lag3に結合する自律性VHドメインは、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み得る。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、(i)配列番号146のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号147のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号148のアミノ酸配列を含むCDR−H3;または(ii)配列番号149のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号150のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号151のアミノ酸配列を含むCDR3;または(iii)配列番号152のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号153のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号154のアミノ酸配列を含むCDR3;または(iv)配列番号155のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号156のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号157のアミノ酸配列を含むCDR3;または(v)配列番号158のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号159のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号160のアミノ酸配列を含むCDR3;または(vi)配列番号161のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号162のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号163のアミノ酸配列を含むCDR3;または(vii)配列番号164のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号165のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号166のアミノ酸配列を含むCDR3;または(viii)配列番号167のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号168のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号169のアミノ酸配列を含むCDR3;または(ix)配列番号170のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号171のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号172のアミノ酸配列を含むCDR3;または(x)配列番号173のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号174のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号175のアミノ酸配列を含むCDR3;または(xi)配列番号176のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号177のアミノ酸配列を含むCDR2、および配列番号178のアミノ酸配列を含むCDR3を含むLAG3に結合する。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、H35G、Q39R、L45EおよびW47Lからなる群から選択される置換をさらに含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、L45T、K94SおよびL108Tからなる群から選択される置換を含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、特にハーセプチンのVH配列に基づくVH3_23フレームワークを含む。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、Fcドメインに融合される。
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、ヒトFcドメインである。
本発明の好ましい実施形態では、自律性VHドメインは、Fcドメインの末端のN末端またはC末端に融合される。本発明の好ましい実施形態では、Fcドメインは、本明細書に記載の「ノブ・イントゥ・ホール技術(knob−into−hole−technology)」に関連するノブ変異またはホール変異、特にノブ変異を含む。N末端およびC末端の両方のFc融合について、グリシン−セリン(GGGGSGGGGS)リンカー、リンカー配列「DGGSPTPPTPGGGSA」を有するリンカーまたは任意の他のリンカーが、好ましくは、自律性VHドメインとFcドメインとの間で発現され得る。自律性VHドメインおよびFcドメインの例示的な好ましい融合は、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、配列番号139、配列番号141からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。自律性VHドメインおよびFcドメインの例示的な好ましい融合は、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号119からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示されるさまざまな自律性VHドメインを含むVHドメインライブラリーに関する。
本発明の更なる態様は、さまざまなポリヌクレオチドから生成された、本明細書に開示されるさまざまな自律性VHドメインを含むVHドメインライブラリーに関する。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示されるさまざまな自律性VHドメインをコードするさまざまなポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドライブラリーに関する。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示される自律性VHドメインをコードするポリヌクレオチドに関する。
本発明の更なる態様は、ポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関し、ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される自律性VHドメインをコードする。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示される発現ベクターを含む宿主細胞、特に真核生物または原核生物の宿主細胞に関する。
本発明の更なる態様は、抗体、特に二重特異性または多重特異性抗体に関する。抗体、特に二重特異性抗体または多重特異性抗体は、本明細書に開示される自律性VHドメインを含む。特に、抗体は単離された抗体である。特定の実施形態では、多重特異性抗体は、3つ以上の結合特異性を有する。特定の実施形態では、二重特異性抗体は、標的の2つ(またはそれ以上)の異なるエピトープに結合し得る。二重特異性および多重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。多重特異性抗体のさまざまな分子フォーマットが当該技術分野で知られており、本明細書に含まれる(例えば、Spiess et al.,Mol Immunol 67(2015)95−106を参照)。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示されるVHドメインライブラリーを使用して抗原結合分子を同定するための方法に関する。この方法は、(i)VHドメインライブラリーを標的と接触させるステップ、および(ii)標的に結合するライブラリーのVHドメインを同定するステップを含む。ステップ(ii)では、標的に結合するライブラリーのVHドメインを、その同定のために単離することができる。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドライブラリーを使用して抗原結合分子を同定するための方法に関する。この方法は、(i)特に宿主細胞においてポリヌクレオチドライブラリーを発現させるステップ、(ii)発現したVHドメインライブラリーを標的と接触させるステップ、および(iii)標的に結合する発現したVHドメインライブラリーのVHドメインを同定するステップを含む。ステップ(ii)では、標的に結合するライブラリーのVHドメインを、その同定のために単離することができる。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示される方法での、本明細書に開示されるVHドメインライブラリーの使用に関する。
本発明の更なる態様は、本明細書に開示される方法での、本明細書に開示されるポリヌクレオチドライブラリーの使用に関する。

Claims (35)

  1. LAG3に結合する第1の抗原結合部位を含む二重特異性または多重特異性抗体であって、前記第1の抗原結合部位が自律性VHドメインである、二重特異性または多重特異性抗体。
  2. PD1に結合する第2の抗原結合部位を含む、請求項1に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  3. 前記自律性VHドメインが、Kabat番号付けによる(i)52a位および71位または(ii)33位および52位にシステインを含み、前記システインが適切な条件下でジスルフィド結合を形成する、請求項1または2に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  4. LAG3に結合する前記自律性VHドメインが、
    (i)配列番号146の配列を有するCDR1、配列番号147の配列を有するCDR2、および配列番号148の配列を有するCDR3;または
    (ii)配列番号149の配列を有するCDR1、配列番号150の配列を有するCDR2、および配列番号151の配列を有するCDR3;または
    (iii)配列番号152の配列を有するCDR1、配列番号153の配列を有するCDR2、および配列番号154の配列を有するCDR3;または
    (iv)配列番号155の配列を有するCDR1、配列番号156の配列を有するCDR2、および配列番号157の配列を有するCDR3;または
    (v)配列番号158の配列を有するCDR1、配列番号159の配列を有するCDR2、および配列番号160の配列を有するCDR3;または
    (vi)配列番号161の配列を有するCDR1、配列番号162の配列を有するCDR2、および配列番号163の配列を有するCDR3;または
    (vii)配列番号164の配列を有するCDR1、配列番号165の配列を有するCDR2、および配列番号166の配列を有するCDR3;または
    (viii)配列番号167の配列を有するCDR1、配列番号168の配列を有するCDR2、および配列番号169の配列を有するCDR3;または
    (ix)配列番号170の配列を有するCDR1、配列番号171の配列を有するCDR2、および配列番号172の配列を有するCDR3;または
    (x)配列番号173の配列を有するCDR1、配列番号174の配列を有するCDR2、および配列番号175の配列を有するCDR3;または
    (xi)配列番号176の配列を有するCDR1、配列番号177の配列を有するCDR2、および配列番号178の配列を有するCDR3
    を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  5. 前記自律性VHドメインが、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  6. 前記自律性VHドメインが、H35G、Q39R、L45EおよびW47Lからなる群から選択される置換をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  7. 前記自律性VHドメインが、L45T、K94SおよびL108Tからなるリストから選択される置換をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  8. 前記自律性VHドメインが、特にハーセプチン(登録商標)(トラスツズマブ)のVHフレームワークに基づく、VH3_23ヒトフレームワークを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  9. 前記PD1に結合する第2の抗原結合部位が、
    (i)配列番号201のアミノ酸配列を含むCDR−H1と、
    (ii)配列番号202のアミノ酸配列を含むCDR−H2と、
    (iii)配列番号203のアミノ酸配列を含むCDR−H3と
    を含むVHドメイン;および
    (i)配列番号204のアミノ酸配列を含むCDR−L1と、
    (ii)配列番号205のアミノ酸配列を含むCDR−L2と、
    (iii)配列番号206のアミノ酸配列を含むCDR−L3と
    を含むVLドメインを含む、請求項2から8のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  10. 前記PD1に結合する第2の抗原結合部位が、配列番号192のアミノ酸配列を含むVHドメインおよび/または配列番号193のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項2から9のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  11. 前記二重特異性または多重特異性抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  12. 前記二重特異性または多重特異性抗体が、Fcドメインおよび前記PD1に結合する第2の抗原結合部位を含むFab断片を含む、請求項2から11のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  13. 前記FcドメインがIgG、特にIgG1 FcドメインまたはIgG4 Fcドメインである、請求項12に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  14. 前記Fcドメインが、Fc受容体、特にFcγ受容体に対する結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項12または13に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  15. 前記Fcドメインが、アミノ酸変異L234A、L235AおよびP329G(Kabat EUインデックスによる番号付け)を有するヒトIgG1サブクラスのものである、請求項12から14のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  16. 前記Fcドメインが、前記Fcドメインの第1および第2のサブユニットの会合を促進する修飾を含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  17. ノブ・イントゥ・ホール(knobs−into−holes)技術に従って、前記Fcドメインの前記第1のサブユニットがノブを含み、前記Fcドメインの前記第2のサブユニットがホールを含む、請求項12から16のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  18. 前記Fcドメインの前記第1のサブユニットが、アミノ酸置換S354CおよびT366W(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含み、前記Fcドメインの前記第2のサブユニットが、アミノ酸置換Y349C、T366SおよびY407V(Kabat EUインデックスによる番号付け)を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  19. 前記Fcドメインが、前記aVHドメインのC末端に融合され、前記融合体は、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択されるアミノ酸配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  20. 前記PD1に結合する抗原結合部位を含む前記Fab断片の可変ドメインVLおよびVHが互いに置き換えられている、請求項12から18のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  21. 前記Fab断片の定常ドメインCLにおいて、124位のアミノ酸が、独立して、リシン(K)、アルギニン(R)またはヒスチジン(H)によって置換されており(Kabat EUインデックスによる番号付け)、前記Fab断片の定常ドメインCH1において、147位および213位のアミノ酸が、独立して、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)によって置換されている(Kabat EUインデックスによる番号付け)、請求項12から19のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  22. (a)配列番号192の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の重鎖、配列番号193の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第1の軽鎖、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択される配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  23. (a)配列番号143の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖、または配列番号145の配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖、および
    (b)配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号117、配列番号117からなる群から選択される配列、特に、配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の重鎖を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体。
  24. 請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド。
  25. 請求項24に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター、特に発現ベクター。
  26. 請求項24に記載のポリヌクレオチドまたは請求項25に記載のベクターを含む、宿主細胞、特に真核生物または原核生物の宿主細胞。
  27. 請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を産生するための方法であって、
    (a)前記二重特異性または多重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つのベクターで宿主細胞を形質転換するステップ、
    (b)前記宿主細胞を前記二重特異性または多重特異性抗体の発現に適した条件下で培養するステップ、および任意に
    (c)培養物、特に宿主細胞から前記二重特異性または多重特異性抗体を回収するステップ
    を含む、方法。
  28. 請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体と、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
  29. 医薬として使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性もしくは多重特異性抗体または請求項28に記載の医薬組成物。
  30. i)免疫応答の調節、例えば、T細胞活性の回復において、
    ii)免疫応答または機能の刺激において、
    iii)感染の処置において、
    iv)癌の処置において、
    v)癌の進行を遅らせることにおいて、
    vi)癌を患う患者の生存を延長することにおいて
    使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性もしくは多重特異性抗体または請求項28に記載の医薬組成物。
  31. 癌の予防または処置に使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性もしくは多重特異性抗体または請求項28に記載の医薬組成物。
  32. 慢性ウイルス感染の処置に使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性もしくは多重特異性抗体または請求項28に記載の医薬組成物。
  33. 前記二重特異性または多重特異性抗体が、癌免疫療法で使用するための化学療法剤、放射線および/または他の薬剤と組み合わせて投与される、癌の予防または処置に使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性もしくは多重特異性抗体または請求項28に記載の医薬組成物。
  34. 個体において腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、前記腫瘍細胞の増殖を阻害するために、有効量の請求項1から23のいずれか一項に記載の二重特異性または多重特異性抗体を前記個体に投与することを含む、方法。
  35. 本明細書で上に記載するような発明。
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