JP2021507680A - Efハンドカルシウム結合モチーフに由来するカルシウムキレート化ペプチド - Google Patents

Efハンドカルシウム結合モチーフに由来するカルシウムキレート化ペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、インビトロ又はインビボでの使用に適し、好ましくは特定の細胞区画を標的とすることができる、カルシウムと結合できる分子手段、特にカルシウムキレート剤であるペプチドの分野に関する。第1のカルシウム結合ドメイン、ペプチドリンカー及び第2のカルシウム結合ドメインを含むポリペプチドであって、上記第1及び第2の結合ドメインは、上記ペプチドリンカーを介して連結されており、第1のカルシウム結合ドメイン及び第2のカルシウム結合ドメインはそれぞれ、EFハンドモチーフに由来する少なくとも1つのカルシウム結合部位を含み、第1のカルシウム結合ドメイン及び第2のカルシウム結合ドメインは、少なくとも1つのカルシウム結合部位が異なる、ポリペプチド。

Description

本発明は、インビトロ又はインビボでの使用に適し、好ましくは特定の細胞区画を標的とすることができる、カルシウム、特にカルシウムキレート剤であるペプチドを結合できる分子手段の分野に関する。
カルシウム(Ca2+)は、代謝、生存から小胞の放出及び運動に至るまで、複数の細胞応答の中心となるセカンドメッセンジャーである。Ca2+信号の遮断は、現在、細胞へのCa2+流入を遮断するか、又は細胞外若しくは細胞内Ca2+をキレート化する薬理学的戦略に依存している。Ca2+は多くの信号伝達経路、及び細胞外マトリックスの広範な構成要素の機能にとって重要であるため、これらの戦略は、細胞特異性を欠き、患者に適用するとさまざまな副作用を引き起こす。オプトジェネティクスの台頭は、その最初の出現以来、細胞内Ca2+を増加させるための多種多様なツールを提供してきた。これは、興奮性細胞の電気的活動を制御するために広く使用されており、神経細胞の相互作用に焦点を当てた膨大な知識を提供し、さらに治療学の新しい有望な分野を切り開いてきた。それにもかかわらず、この戦略は、細胞外培地から追加のCa2+を流入させることに依存しており、Ca2+濃度を下げる、又は内部貯蔵からのCa2+放出を標的とするなどの、内在性Ca2+の変動を操作することはできない。さらに、光刺激が技術的に困難な場合(開発の初期段階など)、インビボでのオプトジェネティクスの使用には障害がある。
したがって、カルシウム信号伝達、特に細胞内カルシウム濃度を操作するための改善された手段が必要である。
ヘリックスループヘリックスカルシウム結合モチーフ(EFハンドモチーフ)は、タンパク質で最も一般的なCa2+結合部位である。標準的なEFハンドモチーフは、長さが約29アミノ酸で、高度に保存された12個の残基で構成される柔軟なカルシウム結合ループによって繋がれた2つのアルファヘリックスで構成されている。
本発明者らは、EFハンドモチーフに由来するカルシウム結合ドメインを含むポリペプチドを組み立てた。結果として、本発明のポリペプチドは、カルシウムチャネルの活性を改変するのではなく、カルシウムと直接相互作用する。したがって、それらは、細胞内Ca2+のキレート剤として利用できる。
上記ポリペプチドは、Ca2+に対する異なる結合親和性を有し、ペプチドリンカーを介して連結されている2つのカルシウム結合ドメインから形成される。本発明者らは、特に、異なるEFハンドモチーフに由来する、したがってCa2+に対して異なる親和性を有するカルシウム結合ドメインを関連付けることによって、影響を受けやすいカルシウム依存性細胞経路の範囲が拡大することを見出した。
本発明のポリペプチドは、インビトロ及びインビボで、例えば、下流エフェクターの活性化及びカルシウム依存性細胞過程を防止するために使用できる。本発明のポリペプチドは、単純な分子ツールを使用して、例えば細胞内の特定の区画を標的とするように蛍光ペプチド又は信号ペプチドを添加することによって容易にさらに機能化でき、したがって、多種多様な用途で使用できる。
本発明は、第1のカルシウム結合ドメイン、ペプチドリンカー及び第2のカルシウム結合ドメインを含むポリペプチドであって、上記第1及び第2の結合ドメインが、上記ペプチドリンカーを介して連結されており、
−第1のカルシウム結合ドメイン及び第2のカルシウム結合ドメインはそれぞれ、EFハンドモチーフに由来する少なくとも1つのカルシウム結合部位を含み、
−第1のカルシウム結合ドメイン及び第2のカルシウム結合ドメインは、少なくとも1つのカルシウム結合部位が異なる、ポリペプチドに関する。
本発明のポリペプチドは、好ましくは、単離された、組換え又は合成のポリペプチドである。
本発明の文脈において、「少なくとも1つのカルシウム結合部位が異なる」という用語は、1つのカルシウム結合ドメインのカルシウム結合部位の少なくとも1つが、他のカルシウム結合ドメインのカルシウム結合部位のいずれかと異なることを示す。
本発明の文脈において、「EFハンドモチーフに由来するカルシウム結合部位」という用語は、その配列がアミノ酸残基の置換、欠失又は付加によって上記EFハンドモチーフの配列に由来し、カルシウムを結合する能力を保持しているペプチドを指す。
カルシウムを結合する能力は、周知の方法を使用して、例えば、Johnson及びTikunova(Methods in Molecular Biology;173:89−102、2002)によって詳細に説明されているような蛍光法を使用して簡単に測定できる。
好ましくは、本発明によるカルシウム結合部位のそれぞれは、標準的なEFハンドモチーフに由来する。
本発明の文脈において、「標準的なEFハンドモチーフ」という用語は、当分野で一般的に考慮されるように、すなわち、Eと指定される第1のαヘリックス(残基1〜10)、カルシウム結合ループ(残基10〜21)、及びFと指定される第2のαヘリックス(残基19〜29)を含む約29アミノ酸残基を含むペプチド配列として解釈されるべきである。このモチーフは、多くのカルシウム結合タンパク質に見られる。
好ましくは、本発明のポリペプチドにおいて、カルシウム結合部位は、パルブアルブミン、カルモジュリン、カルレチニン、D28K、カルビンジン、リカバリン、ヒポカルシン、NCS−1、MELC、カルシニューリン(Cacineurin)B、MRLC、カルトラクチン、TnC、スクイジュリン(Squidulin)、グランカルシン、ソルシン、ALG2、カルパイン、CaPK、スペクチン、sCaBP、及びBM−40からなるリストから選択されるタンパク質からの標準的なEFハンドモチーフに由来する。有利には、カルシウム結合部位は、パルブアルブミン及びカルモジュリンからなるリストから選択されるタンパク質からの標準的なEFハンドモチーフに由来する。
標準的なEFハンドモチーフのカルシウム結合機能は、主に12アミノ酸のカルシウム結合ループに依存していることが当分野で文書化されている。好ましくは、本発明によるカルシウム結合部位のそれぞれは、標準的なEFハンドモチーフのカルシウム結合ループを含むか、又はそれからなる。
特に明記しない限り、「標準的なEFハンドモチーフのカルシウム結合ループ」又は「カルシウム結合ループ」という用語は、標準的なEFハンドのカルシウム結合ループに対応する12アミノ酸残基の配列を指す。標準的なEFハンド、それらの配列、及び特にそれぞれの「カルシウム結合ループ」に対応する12アミノ酸配列は、十分に文書化されている。好ましくは、「標準的なEFハンドモチーフのカルシウム結合ループ」という用語は、共通配列である配列番号1:
D−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11、式中、
−XはWを除く任意のアミノ酸残基であり、
−XはD、N、又はSであり、
−Xは、I、L、V、F、Y、及びWを除く、任意のアミノ酸残基であり、
−XはD、E、N、S、T、又はGであり、
−XはD、N、Q、G、H、R、又はKであり、
−XはG及びPを除く任意のアミノ酸残基であり、
−XはL、I、V、M、又はCであり、
−XはD、E、N、Q、S、T、A、G、又はCであり、
−Xは任意のアミノ酸残基であり、
−X10は任意のアミノ酸残基であり、
−X11はE又はDである、
又はその機能的変異体に対応するペプチド配列を指す。
パルブアルブミンは、2つの異なるEFハンドモチーフ、Parv EFハンド1及び2を含むことが当分野で説明されており、したがって2つの対応するカルシウム結合ループを含み、
−ラットParv EFハンド1のカルシウム結合ループの配列は、DKDKSGFIEEDE(配列番号2)であり、
−ヒトParv EFハンド2のカルシウム結合ループの配列は、DKDGDGKIGVDE(配列番号3)である一方、ラットParv EFハンド2のカルシウム結合ループの配列は、DKDGDGKIGVEE(配列番号4)である。
注目すべきことに、配列がDKDKDGFIDEDE(配列番号5)であるラットParv EFハンド1のカルシウム結合ループの高親和性変異体も開示されている。
カルモジュリンは、4つの異なるEFハンドモチーフ、CaM EFハンド1、2、3、及び4を含むことが当分野で説明されており、したがって4つの対応するカルシウム結合ループを含み、
−CaM EFハンド1のカルシウム結合ループの配列は、ヒトとマウスの両方で、DKDGDGTITTKE(配列番号6)であり、
−CaM EFハンド2のカルシウム結合ループの配列は、ヒトとマウスの両方で、DADGNGTIDFPE(配列番号7)であり、
−CaM EFハンド3のカルシウム結合ループの配列は、ヒトとマウスの両方で、DKDGNGYISAAE(配列番号8)であり、
−CaM EFハンド4のカルシウム結合ループの配列は、ヒトとマウスの両方で、DIDGDGQVNYEE(配列番号9)である。
さらに好ましくは、本発明のポリペプチドにおいて、カルシウム結合部位のそれぞれは、配列番号2〜9及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるカルシウム結合ループを含むか又はそれからなる。
本発明のポリペプチドがカルシウムイオンを結合する能力を増大させるために、当業者は、標準的なEFハンドモチーフ全体に由来する、すなわち、2つのαヘリックス、及び標準的なEFハンドモチーフに典型的なカルシウム結合ループを含むカルシウム結合部位の使用を検討してもよい。
有利には、本発明のポリペプチドにおいて、カルシウム結合部位のそれぞれは、標準的なEFハンドモチーフを含むか、又はそれからなる。
パルブアルブミンは、2つの異なるEFハンドモチーフ、Parv EFハンド1及び2を含むことが当分野で説明されており、
−Parv EFハンド1の配列は、KSADDVKKVFHILDKDKDGFIDEDELGSILKGFSSD(配列番号10)であり、
−Parv EFハンド2の配列は、LSAKETKTLMAAGDKDGDGKIGVEEFSTLVAES(配列番号11)である。
カルモジュリンは、4つの異なるEFハンドモチーフ、CaM EFハンド1、2、3、及び4を含むことが当分野で説明されており、
−CaM EFハンド1の配列は、EQIAEFKEAFSLFDKDGDGTITTKELGTVMRSLGQN(配列番号12)であり、
−CaM EFハンド2の配列は、PTEAELQDMINEVDADGNGTIDFPEFLTMMARKMKD(配列番号13)であり、
−CaM EFハンド3の配列は、DSEEEIREAFRVFDKDGNGYISAAELRHVMTNLGEK(配列番号14)であり、
−CaM EFハンド4の配列は、LTDEEVDEMIREADIDGDGQVNYEEFVQMMTAK(配列番号15)である。
さらに好ましくは、本発明のポリペプチドにおいて、カルシウム結合部位のそれぞれは、配列番号10〜15及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択される標準的なEFハンドモチーフを含むか又はそれからなる。
有利には、第1のカルシウム結合ドメイン及び第2のカルシウム結合ドメインはそれぞれ、EFハンドモチーフに由来する少なくとも2つのカルシウム結合部位を含む。好ましくは、カルシウム結合ドメイン内のカルシウム結合部位は、好ましくは上記に開示されたリストから選択される同じタンパク質からのEFハンドモチーフに由来する。
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドにおいて、第1のカルシウム結合ドメインは、パルブアルブミンからのEFハンドモチーフに由来するカルシウム結合部位を含み、第2のカルシウム結合ドメインは、カルモジュリンからのEFハンドモチーフに由来するカルシウム結合部位を含む。
好ましくは、上記実施形態では、第1のカルシウム結合ドメインは、パルブアルブミンからのEFハンドモチーフに由来する2つのカルシウム結合部位を含み、第2のカルシウム結合ドメインは、カルモジュリンからのEFハンドモチーフに由来する2つのカルシウム結合部位を含む。
より好ましくは、上記実施形態では、第1のカルシウム結合ドメインは、配列番号2〜5及びそれらの機能的変異体からなるリスト、さらに好ましくは配列番号4、配列番号5及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるパルブアルブミンからのカルシウム結合ループを含むか又はそれからなる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのカルシウム結合部位を含み、第2のカルシウム結合ドメインは、配列番号6〜9及びそれらの機能的変異体、さらに好ましくは配列番号6又は7及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるカルモジュリンからのカルシウム結合ループを含むか又はそれからなる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのカルシウム結合部位を含む。
さらに好ましくは、上記実施形態では、第1のカルシウム結合ドメインは、配列番号10及び11からなるリストから選択されるパルブアルブミンからのEFハンドモチーフを含むか又はそれらからなる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのカルシウム結合部位を含むか又はそれらからなり、第2のカルシウム結合ドメインは、配列番号12〜15及びそれらの機能的変異体からなるリスト、好ましくは配列番号12又は13及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるカルモジュリンからのEFハンドモチーフを含むか又はそれらからなる少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのカルシウム結合部位を含むか又はそれらからなる。
さらに好ましい実施形態では、第1のカルシウム結合ドメインの配列は、配列番号16の配列又はその機能的変異体を含むか又はそれからなり、第2のカルシウム結合ドメインの配列は、配列番号17又はその機能的変異体を含むか又はそれからなる。
本発明の文脈において、配列番号1〜配列番号17から選択される参照配列の機能的変異体は、その配列が参照配列の1つ又は複数の位置にあるアミノ酸残基の挿入、置換、及び/又は欠失によって上記参照配列に由来し、それに結合したか又はそれを含むペプチドを脂質ラフトに局在化させる能力を保持しているペプチドを包含する。特に興味深いのは、その配列が保存的置換を含む機能的変異体であり、すなわち、その場合、参照配列のアミノ酸残基は、類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換され、したがって、分子の機能的性質を変化させない。同様の特性を有するアミノ酸は、当技術分野で周知である。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性塩基性アミノ酸であり、交換可能であり得る。同様に、疎水性アミノ酸であるイソロイシンは、ロイシン、メチオニン、又はバリンで置き換えることができる。互いに置換できる中性親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニンが挙げられる。好ましくは、配列番号1〜配列番号17から選択される参照配列の機能的変異体は、その配列が1つ又は複数の保存的置換によって参照配列に由来するペプチドである。さらに好ましくは、配列番号1〜配列番号17から選択される参照配列の機能的変異体の配列は、参照配列と少なくとも80、85、90又は95%の同一性を有する。好ましい実施形態において、配列番号1〜配列番号17から選択される参照配列の機能的変異体は、参照配列と少なくとも80、85、90又は95%同一の配列を有し、その配列が保存的置換によって参照配列に由来するペプチドである。
本発明の意味において、核酸又はアミノ酸の2つの配列間の「パーセント同一性」又は「%同一性」は、最適に整列させた後に得られる、比較する2つの配列間の同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基のパーセントを意味し、このパーセンテージは純粋に統計的なものであり、2つの配列間の差異はその長さに沿ってランダムに分布している。2つの核酸又はアミノ酸配列の比較は、従来、それらを最適に整列させた後に配列を比較することによって行われ、上記比較は、セグメントごとに、又は「整列ウィンドウ」を使用して行うことができる。比較のための配列の最適整列は、手動による比較に加えて、Smith及びWatermanの局所相同性アルゴリズム、Pearson及びLipmanの類似検索法(1988)、又はこれらのアルゴリズムを使用するコンピューターソフトウェア(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,MadisonにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、TFASTA、又は比較ソフトウェアBLAST NR又はBLAST P)によって行うことができる。2つの核酸又はアミノ酸配列間のパーセント同一性は、2つの最適に整列された配列を比較することによって決定され、この最適配列では、比較する核酸又はアミノ酸配列が2つの配列間の最適整列の参照配列と比較して追加又は欠失を有し得る。パーセント同一性は、アミノ酸、ヌクレオチド、又は残基が2つの配列間、好ましくは2つの完全な配列間で同一である位置の数を決定し、同一の位置の数を整列ウィンドウ内の位置の総数で除算して、結果に100を掛けて計算し、2つの配列間のパーセント同一性を得る。
本発明のポリペプチドは、ペプチドリンカーをさらに含む。
好ましくは、本発明によるペプチドリンカーの長さは、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、及び最大40、好ましくは最大30、さらにより好ましくは最大20アミノ酸である。好ましくは、ペプチドリンカーは、配列番号18の配列を有する。
好ましい実施形態では、本発明のポリペプチドは、配列番号19の配列を有する。
本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドを特定の細胞内区画に標的化することを可能にする局在化配列である、ペプチド信号などの興味深い特性を有するペプチド配列、又はポリペプチドのインビトロ検出に役立つ蛍光ペプチドを用いてさらに機能化することができる。
ポリペプチドを特定の細胞内区画に標的化できるペプチド信号は、当技術分野で周知である。特に興味深いのは、ペプチドを原形質膜、より具体的には脂質ラフトに標的化できる配列である。脂質ラフトは、スフィンゴ脂質及びコレステロールに富む原形質膜マイクロドメインであり、信号伝達分子が受容体と相互作用するプラットフォームとして機能することが確認及び提案されている。ペプチドを原形質膜に標的化できるペプチド信号は、当技術分野で周知である。例えば、Srcファミリーのタンパク質のN末端ドメイン、及び特にLynキナーゼのN末端部分のパルミトイル化及びミリストイル化モチーフに対応する配列番号20の配列のペプチドは、上記タンパク質の脂質ラフトへの局在化を可能にすることが示されている。対照的に、タンパク質K−Rasに由来するCaaX−ポリリジンモチーフに対応する配列番号21の配列のペプチドは、脂質ラフトへの局在化を排除しながら、タンパク質を原形質膜に標的化することが知られている。有利には、本発明のポリペプチドは、ペプチド信号、好ましくは本発明のポリペプチドを原形質膜、さらに好ましくは原形質膜の脂質ラフトに標的化できるペプチド信号をさらに含む。好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号20又は21の配列、又はその機能的変異体のペプチド信号をさらに含む。
本発明の文脈において、配列番号20の機能的変異体は、その配列が配列番号20の配列の1つ又は複数の位置にあるアミノ酸残基の挿入、置換、及び/又は欠失によって配列番号20の配列に由来し、それに結合したか又はそれを含むペプチドを脂質ラフトに局在化させる能力を保持しているペプチドを包含する。特に興味深いのは、その配列が保存的置換を含む機能的変異体であり、すなわち、その場合、配列番号20の配列のアミノ酸残基は、類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換され、したがって、分子の機能的性質を変化させない。同様の特性を有するアミノ酸は、当技術分野で周知である。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性塩基性アミノ酸であり、交換可能であり得る。同様に、疎水性アミノ酸であるイソロイシンは、ロイシン、メチオニン、又はバリンで置き換えることができる。互いに置換できる中性親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニンが挙げられる。好ましくは、配列番号20の機能的変異体は、その配列が1つ又は複数の保存的置換によって配列番号20の配列に由来するペプチドである。さらに好ましくは、配列番号20の機能的変異体の配列は、配列番号20の配列と少なくとも80、85、90又は95%の同一性を有する。好ましい実施形態では、配列番号20の機能的変異体は、配列番号20の配列と少なくとも80、85、90又は95%同一の配列を有し、その配列が保存的置換によって配列番号20の配列に由来するペプチドである。
本発明の文脈において、配列番号21の機能的変異体は、その配列が参照配列の1つ又は複数の位置にあるアミノ酸残基の挿入、置換、及び/又は欠失によって配列番号21の配列に由来し、それに結合したか又はそれを含むペプチドを、脂質ラフトを除外して、細胞膜に局在化させる能力を保持しているペプチドを包含する。特に興味深いのは、その配列が保存的置換を含む機能的変異体であり、すなわち、その場合、配列番号21の配列のアミノ酸残基は、類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換され、したがって、分子の機能的性質を変化させない。同様の特性を有するアミノ酸は、当技術分野で周知である。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性塩基性アミノ酸であり、交換可能であり得る。同様に、疎水性アミノ酸であるイソロイシンは、ロイシン、メチオニン、又はバリンで置き換えることができる。互いに置換できる中性親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニンが挙げられる。好ましくは、配列番号21の機能的変異体は、その配列が1つ又は複数の保存的置換によって配列番号21の配列に由来するペプチドである。さらに好ましくは、配列番号21の機能的変異体の配列は、配列番号21の配列と少なくとも80、85、90又は95%の同一性を有する。好ましい実施形態では、配列番号21の機能的変異体は、配列番号21の配列と少なくとも80、85、90又は95%同一の配列を有し、その配列が保存的置換によって配列番号21の配列に由来するペプチドである。
それに結合したか又はそれを含むペプチドの細胞膜への、特に脂質ラフトへの、又は脂質ラフトを除外して、局在化を可能にするペプチド信号の能力は、特に蛍光顕微鏡及び/又は本出願の実験部分に詳述されているような密度勾配に基づく標準的な方法を使用して容易に決定され得る。
ペプチド信号は、ポリペプチドのC末端又はN末端部分にあってもよい。
蛍光ペプチドは、当技術分野で周知である。蛍光ペプチドの例は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、又はシアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、及び赤色蛍光タンパク質(RFP)などのGFP変異体、並びに最適化されたCFP Turquoise又はYFP変異体Venusなどのそれらの変異体である。有利には、本発明のポリペプチドは、好ましくは緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)並びに最適化されたCFP Turquoise又はYFP変異体Venusなどのそれらの変異体からなるリストから選択される蛍光ペプチドをさらに含む。蛍光タンパク質は、ポリペプチドのC末端又はN末端部分にあってもよい。
好ましくは、本発明はまた、1つ又は複数のアミノ酸残基、ペプチド結合、タンパク質のN末端及び/又はC末端に化学修飾を導入することによって、本発明のポリペプチド又はその機能的変異体に由来する修飾ポリペプチドに関し、この化学修飾は、修飾されたポリペプチドが機能し続ける限り、タンパク質の安定性、生物学的利用能、又は生物活性を高めることを目的とする。
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び上記ポリヌクレオチドをコードする組換えベクターに関する。
本発明の文脈において、用語「ポリヌクレオチド」という用語は、別個の断片又はより大きな構築体の形態のポリデオキシリボヌクレオチド又はポリリボヌクレオチドを指し、本発明のポリペプチドをコードするDNA、cDNA及びRNA配列を含む。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。本明細書で使用される「単離された」という用語には、他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、又は天然に関連付けられる他の物質を実質的に含まないポリヌクレオチドが含まれる。
好ましくは、上記組換えベクターは、哺乳動物、細菌又は真菌細胞のような真核細胞又は原核細胞などの宿主細胞にトランスフェクト又は形質転換されたときに上記ポリヌクレオチドを発現できる発現ベクターである。「発現ベクター」は、クローン化されたDNAの転写と適切な宿主でのmRNAの翻訳とに必要なDNA配列である。適切に構築された発現ベクターは、宿主細胞における自律複製のための複製起点、選択可能なマーカ、限られた数の有用な制限酵素部位、高コピー数の可能性、及びアクティブなプロモータを含み得る。例えば、適切な選択可能なマーカは、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、グルタミンシンテターゼ、及び真核細胞培養のためのヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;出芽酵母のためのTRP1をコードする遺伝子の中から選択され得る。一部の発現ベクターには、宿主細胞における自律複製のための複製起点が含まれていないが、統合/維持を選択するためのマーカを使用して(ランダムに又は相同的統合事象ごとに)安定して統合するベクターの能力に依存している。プロモータは、RNAポリメラーゼがDNAに結合してRNA合成を開始するように指示するDNA配列として定義される。強力なプロモータは、mRNAを高頻度で開始させるプロモータである。ポリヌクレオチドは、発現のために適切な方向及び正しいリーディングフレームで発現ベクターに挿入される。好ましくは、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの転写調節配列に、場合によって少なくとも1つの翻訳調節配列に制御可能に連結される。そのようなベクターには、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、バキュロウイルスベクター、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクター、又は染色体、非染色体、半合成又は合成DNAからなり得る直鎖又は環状DNA又はRNA分子が含まれる。本発明による適切なベクターには、これらに限定されないが、YAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、バキュロウイルスベクター、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、プラスミド、RNAベクター、又は染色体、非染色体、半合成又は合成DNAからなり得る直鎖又は環状DNA又はRNA分子が含まれる。哺乳動物発現ベクターとして使用される適切なプラスミドとしては、これらに限定されないが、pcDNA3、pcDNA3.1、pcDNAI、pcDNAIamp(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)pBPV−1(8−2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC37146)、pUCTag(ATCC37460)、及び≡ZD35(ATCC37565)が挙げられる。細菌発現ベクターとして使用される適切なプラスミドとしては、これらに限定されないが、pCR2.1(Invitrogen)、pET11a(Novagen)、lambda gt11(Invitrogen)、pcDNAII(Invitrogen)、pKK223−3(Pharmacia)、及びpQE7O、pQE6O、pQE−9を含むpQEベクター(Qiagen)が挙げられる。真菌細胞において発現ベクターとして使用される適切なプラスミドとしては、これらに限定されないが、pYES2(Invitrogen)、Pichia発現ベクター(Invitrogen)が挙げられる。昆虫細胞において発現ベクターとして使用される適切なプラスミドとしては、これらに限定されないが、pBlueBacIII、pBlueBacHis2(Invitrogen)及びpFastBacl、pFastBacHT(Life Technologies)が挙げられる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス(アデノ随伴ウイルスなど)、コロナウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、例えばオルソミクソウイルス(インフルエンザウイルスなど)、ラブドウイルス(狂犬病及び水疱性口内炎ウイルスなど)、パラミクソウイルス(麻疹及びセンダイなど)、プラス鎖RNAウイルス、例えばピコルナウイルス及びアルファウイルス、並びに二本鎖DNAウイルス、例えばアデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型及び2型、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルスなど)、及びポックスウイルス(ワクシニア、鶏痘、及びカナリア痘など)が挙げられる。他のウイルスとしては、例えば、ノーウォークウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが挙げられる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病肉腫、哺乳動物C型、B型ウイルス、D型ウイルス、HTLV−BLVグループ、レンチウイルス、スプマウイルスが挙げられる。他の例としては、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒヒ内在性ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、メイソンファイザーサルウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス及びレンチウイルスが挙げられる。
本発明の別の態様は、上記ポリヌクレオチド又は組換えベクターで形質転換された宿主細胞又は非ヒト生物を提供する。非ヒトトランスジェニック生物は、単細胞又は多細胞微生物又は高等真核生物から得られる。発現ベクターは、感染、形質転換、トランスフェクション、リポフェクション、プロトプラスト融合、及びエレクトロポレーションを含むがこれらに限定されない多数の技術のいずれか1つを介して宿主細胞に導入できる。発現ベクターを含む修飾された宿主細胞は、クローン的に増殖でき、本発明のポリペプチドを産生するかどうかを判定するために個別に分析され得る。
好ましい実施形態では、上記修飾宿主細胞は、ヒト細胞などの真核細胞である。別の実施形態では、上記非ヒトトランスジェニック生物は、トランスジェニック植物、線虫、ゼブラフィッシュ又は藻類である。
本発明のポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び非ヒトトランスジェニック生物は、周知の組換えDNA技術を使用する本発明のポリペプチド/キメラタンパク質の産生に有用である。本発明の別の態様は、インビトロ又はインビボでの、カルシウムキレート剤としての、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそれらを含むベクターの非治療的使用に関する。好ましくは、本発明は、カルシウム濃度を安定化及び/又は低下させるための、及び/又はインビボ及び/又はインビトロでカルシウム信号伝達を阻害するための、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又はそれらを含むベクターの非治療的使用に関する。さらに好ましくは、非治療的使用は、インビボで行う場合、健康な対象者で行う。
「カルシウム濃度の安定化」という用語は、当技術分野で一般に理解されているように、すなわち、カルシウムを添加したときの組成物中のカルシウム濃度の変動、又は上記組成物中のカルシウム濃度変動の誘発を最小限に抑える作用として解釈されるべきである。カルシウム濃度の変動、特に増加は、実験部分で開示されているように、FRET/CFP比を監視することによって、例えばバイオセンサーであるTwitch2Bを使用して簡単に測定できる。本発明の文脈において、バイオセンサーTwitch2BのFRET/CFP比が、カルシウムの添加又は上記組成物中のカルシウム濃度変動の誘発の際に本発明のポリペプチドなしで検出される変動の10%未満、好ましくは5%未満で変動、好ましくは増加するとき、カルシウム濃度は組成物中で安定していると見なすことができる。
「カルシウム信号を阻害する」、「カルシウム信号阻害」という用語は、当技術分野で一般に理解されているように、すなわち、カルシニューリンなどのセカンドメッセンジャーとしてのカルシウムによって活性化されることが知られている下流エフェクターを阻害する作用として解釈されるべきである。カルシニューリン細胞活性を評価するための方法及びキットは、当技術分野で既知であり、例えば、Enzo社によって製品化されているカルシニューリン細胞活性測定キット(参照名BML−AK816−0001)が知られている。
多くの病理がカルシウム信号伝達機能不全に関連していることは十分に文書化されている。したがって、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞は、そのような病理の予防又は治療に特に有用であり得る。この文脈において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、又は宿主細胞は、医薬用途に適した組成物に配合され得る。
本発明の別の局面は、本発明の少なくとも1つのポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及び/又は宿主細胞、並びに好ましくは、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本発明の文脈において、「薬学的に許容される」という用語は、一般的に安全で非毒性であり、生物学的にもその他の点でも有害ではない医薬組成物の調製に使用でき、獣医用途及び人間の医薬品用途に許容される担体を指す。適切なビヒクル又は担体としては、緩衝剤、安定化剤、希釈剤、塩、防腐剤、及び乳化剤などの任意の薬学的に許容されるビヒクルが挙げられる。適切な緩衝剤の例としては、リン酸緩衝溶液、塩化物溶液又はリンガー溶液などの緩衝溶質が挙げられる。適切な安定化剤の例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、ポリビニルピロリドン又はヒアルロン酸が挙げられる。
本発明の組成物は、意図された投与経路に従って処方され得る。例えば、経口投与に適した製剤としては、錠剤、丸剤、粉末(硬質又は軟質ゼラチンカプセル)又は顆粒などの液体又は固体製剤が挙げられる。典型的には、そのような製剤において、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、及び/又は宿主細胞は、アルゴン流中で、デンプン、セルロース、スクロース、ラクトース又はシリカなどの1つ以上の不活性希釈剤と混合される。これらの組成物はまた、希釈剤以外の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム又はタルクなどの潤滑剤、着色剤、コーティング(コーティング錠)又はワニスを含んでもよい。非経口投与で使用されるような注射に適した製剤は、好ましくは無菌かつ流動性であり、好ましくは水溶液、非水溶液、懸濁液又は乳濁液であってよい。
本発明の別の態様は、好ましくは細胞内カルシウム信号機能不全に関連する病理の予防及び/又は治療に使用する、医薬として使用するための、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、それらを含むベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物に関する。
本発明の文脈において、「細胞内カルシウム信号伝達機能不全に関連する病理」という用語は、当技術分野におけるそれらの一般的な意味に従って解釈されるべきである。好ましくは、上記病理は、異常に高い細胞内カルシウム濃度に起因する細胞内カルシウム信号伝達機能不全に関連する。本発明の文脈において、「異常に高い細胞内カルシウム濃度」とは、健康なドナーからの細胞よりも著しく高い細胞内カルシウム濃度を指す。さらに好ましくは、上記病理は、網膜色素変性症、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病、てんかん、脳卒中、心不整脈、心不全、高血圧、糖尿病、及び癌からなるリストから選択される。
言い換えれば、本発明は、細胞内カルシウム信号伝達機能不全に関連する病理の予防及び/又は治療方法であって、上記病状は、網膜色素変性症、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病、てんかん、脳卒中、心不整脈、心不全、高血圧、糖尿病、及び癌からなるリストから選択され、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物を、それを必要とする対象者に、好ましくは有効量で投与するステップを含む、方法に関する。
本発明の文脈において、「有効量」という用語は、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物の量が、上記の病理の適切な予防及び/又は症状の退行を得るのに十分な量であることを意味する。有効量及び投与計画は、通常の臨床的要因に基づいて主治医によって決定され得る。医学分野で周知のように、患者一人に対する投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、一般的な健康状態、並びに同時に投与されている薬物など、多くの要因に依存する。
本明細書で言及される本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物は、本明細書で述べる病理を予防又は治療するために、1回、又は2回以上投与できる。予防及び/又は治療の有効性は、定期的な評価によって監視できる。
本明細書で言及される本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物は、既知の投与経路を介して局所的又は全身的に投与できる。好ましくは、本明細書で言及される本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、又はそれらを含む組成物は、腸内経路を通じて、特に経口、舌下、又は直腸投与によって、又は非経口経路を通じて、特に脳内、筋肉内、皮内、経皮、腹腔内又は経鼻投与によって投与される。
前述の特徴に加えて、本発明は、本発明を例示する実施例及び添付の図面を参照する以下の説明から明らかになる他の特徴をさらに含む。
本発明のポリペプチドはCa2+捕捉剤であり、インビボで皮質神経細胞の遊走を変化させる。(A、B)20秒間のタプシガルギン(Thaps.)曝露によって、FRETバイオセンサーTwitch2BからのFRET/CFP比によって監視される、対照H293細胞のカルシウム濃度の増加が誘発される。対照的に、細胞がCa2+Sp/SpiCeeを発現すると、この上昇は劇的に減少する。FRET比は、青(低Ca2+)から赤(高Ca2+)にコードされる。(C)E14.5のeGFP及びmRFP共エレクトロポレーション皮質神経細胞は、E18.5で辺縁帯に近い緻密層に詰め込まれる(上列)。対照的に、Ca2+Sp/SpiCeeの発現は、この層の発達を妨げ、発達中の皮質の深さ全体に神経細胞が散在し、皮質の表面にヘテロトピアが形成される(下列)。 本発明のポリペプチドを使用したCa2+操作の細胞内制限。A:Ca2+Sp/SpiCee、B:Lyn−Ca2+Sp/SpiCee、C:Ca2+Sp/SpiCee−Kras。Ca2+Sp/SpiCeeは、いずれの細胞区画も標的としない場合にCa2+信号伝達を全体的に変更するために、又は特定の区画を標的とするために使用した。Lyn−Ca2+Sp/SpiCeeは、Ca2+Sp/SpiCee−Krasが原形質膜の非ラフト画分に制限されることを意図しているかどうかにかかわらず、脂質ラフトを標的にすることを目的としている。Ca2+Sp/SpiCeeは、Lyn−Ca2+Sp/SpiCee及びCa2+Sp/SpiCee−Krasの両方が原形質膜で見つかったかどうかにかかわらず、細胞質で検出された。 原形質膜分画は、Lyn−Ca2+Sp/SpiCee及びCa2+Sp/SpiCee−Krasの明らかな細胞内局在を強調した。異なる密度勾配画分における目的タンパク質の存在。A:カベオリン、B:Lyn−Twich2B、C:Lyn−Ca2+Sp/SpiCee、D:アダプチン、E:Twich2B−Kras、F:Ca2+Sp/SpiCee−Kras。Lyn−Ca2+Sp/SpiCeeは、より高密度の画分(4〜9)にCa2+Sp/SpiCee−Krasの局在が移動したかどうかにかかわらず、画分3で非常に濃縮された。 (A、B)E14.5でエレクトロポレーションされた対照皮質神経細胞は、E18.5で辺縁帯の近くに緻密層を形成する。Ca2+Sp/SpiCeeの発現は、この層の発達を妨げ、(A)発達中の皮質の深さ全体に神経細胞が散在し(矢じり)、(B)皮質の表面にヘテロトピアが形成される(矢じり)。(C)P10の仔では、Ca2+Sp/SpiCeeエレクトロポレーション神経細胞は、対照よりも皮質に広い広がりを持ち、(D)Ca2+Sp/SpiCeeによって誘発されたヘテロトピアは維持され(矢じり)、Ca2+信号伝達の変更が皮質神経細胞の遊走に干渉することを示す。箱ひげ図の要素:中央線、平均;箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.。スケールバー、(A)250μm、(B)100μm、(C)200μm、(D)500μm。*PΠ0.05;***PΠ0.001;(A、C)二元配置分散分析及びボンフェローニ事後検定。 Ca2+Sp/SpiCeeの生化学的特性評価。(a)Ca2+Sp/SpiCeeF103Wは、EGTA(Kd=0.3±0.1nM)との競合により、挿入されたトリプトファン(残基103)に隣接するEFハンドからのCa2+の解離定数の決定を可能にしたが、Ca2+Sp/SpiCeeF134Wを用いた直接Ca2+滴定を使用し、変異の近くにあるカルモジュリン由来のCa2+結合部位のKdを測定した(Kd=2.8±0.9μΜ)。代表的な滴定フィットを示す。(b)Ca2+Sp/SpiCeeF103W及びCa2+Sp/SpiCeeF134W(それぞれ、koff=529±28s−1及びkoff=0,24±0.01s−1)の速度論的解離定数を決定するためにストップトフロー実験を行った。 Ca2+Sp/SpiCeeは、細胞生存に影響を及ぼさない。HEK293細胞にCa2+Sp/SpiCee又はRFPのいずれかをトランスフェクトした。活性化Caspase3陽性細胞を免疫標識して、アポトーシスを起こした細胞の数を評価した。Ca2+Sp/SpiCee発現細胞は、RFP発現対照よりもアポトーシスプログラムに入りにくい。(a)スケールバー、50μm(b)データは平均±s.e.m.、マンホイットニー検定である。 Ca2+Sp/SpiCeeトランスフェクト細胞は、対照と同様にCa2+の静止濃度を維持するように適応する。Ca2+Sp/SpiCee又RFPトランスフェクトHEK293細胞にレシオメトリックカルシウムセンサーFura−2をロードし、細胞内カルシウム濃度を評価できるようにした。(a)Fura−2は340nm(Ca2+結合)及び380nm(Ca2+なし)で順次励起し、細胞内Ca2+濃度は、較正したCa2+溶液の蛍光に基づいて計算した。(a)0.2mM又は(b)2mMのいずれかのCa2+を含む培養液中のCa2+Sp/SpiCee及びRFPトランスフェクト細胞間で、静止Ca2+濃度に違いは検出されなかった。(c)静止Ca2+濃度は、2mMの細胞外Ca2+で成長したCa2+Sp/SpiCee及びRFPトランスフェクト細胞の両方で、0.2mMのCa2+で維持された細胞と比較して高く、Ca2+Sp/SpiCeeはこのイオンの細胞内静止濃度の調節を妨げないことを示唆している。(a、b)スケールバー、20μm。(b)のスケールバーは(a)に適用される。(c)箱ひげ図の要素:中央線、平均;箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.;***PΠ0.001、クラスカルウォリス検定とそれに続くダンの多重比較検定。 Ca2+Sp/SpiCeeは、タプシガルギンの短い又はより長いパルスによって誘発されるCa2+濃度の上昇を低減する。HEK293細胞を低Ca2+培地に浸し、タプシガルギンの1分間(a−c)、2分間(d−f)及び5分間(g−i)のパルスに曝露した。Ca2+Sp/SpiCee発現細胞は、対照と比較してFRET/CFP比の上昇が減少し、最大応答が遅延する。SpiCee発現細胞では、応答の減衰も遅延し、応答の鋭さが低下する。スケールバー、20μm。(b、e、h)データは平均±s.e.m.である。(c、f、i)箱ひげ図の要素:中央線、平均、箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.;***PΠ0.001、マンホイットニー検定。 細胞内Ca2+濃度の強力で持続的な上昇は、Ca2+Sp/SpiCeeによって遅延する。細胞外Ca2+濃度の変化(0.2mMから2mM)は、HEK293細胞内のTwitch2BのFRET/CFP比に大きな変化をもたらす。Ca2+Sp/SpiCee発現細胞は、同様の大きさのFRET/CFP比の変化を示すが、Ca2+Sp/SpiCeeのない細胞と比較して遅延する。スケールバー、20μm。(b)データは平均±s.e.m.である。(c)箱ひげ図の要素:中央線、平均;箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.;***PΠ0.001、マンホイットニー検定。 Ca2+Sp/SpiCee標的化の生化学的特性評価、(a、b)膜分画アッセイの画分3のLyn−Ca2+Sp/SpiCeeピーク。(a)コレラ毒素のφサブユニット(CtB、画分3及び4に濃縮、画分3にピーク)の発現プロファイルと一致し、(b)カベオリン(画分4に濃縮)の発現とは異なる。Ca2+Sp/SpiCee−Krasは、主に画分4に濃縮され、(d)カベオリンに似たプロファイルを有し、(c)CtBとは異なるプロファイルを有する。データは平均+s.e.m.である。*PΠ0.05、***PΠ0.01、***PΠ0.001、二元配置分散分析及びボンフェローニ事後検定。 Ca2+Sp/SpiCee、Lyn−Ca2+Sp/SpiCee、及びCa2+Sp/SpiCee−Krasは、成長する軸索の形態に影響を及ぼさない。非エレクトロポレーションRGC軸索は、mRFP、Ca2+Sp/SpiCee、Lyn−Ca2+Sp/SpiCee、又はCa2+Sp/SpiCee−Krasの発現に影響されない先端に扇形の成長円錐を示す。箱ひげ図の要素:中央線、平均;箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.。スケールバー、10μm。有意差は検出されない;クラスカルウォリス検定。 サイトゾルCa2+Sp/SpiCee及びLyn−Ca2+Sp/SpiCeeは、ephrinA5及びSlit1誘発成長円錐の崩壊を妨げるが、Ca2+Sp/SpiCee−Krasは妨げない。(a)ephrinA5又は(e)slit1に曝露されると、mRFP発現成長円錐は、同じカバーガラスの非エレクトロポレーションされた隣接物と同じ崩壊応答を示し、(b、f)Ca2+Sp/SpiCee、及び(c、g)Lyn−Ca2+Sp/SpiCee発現軸索は、ephrinA5及びslit1の忌避活性に耐性があり、これは、同じカバーガラスからの非エレクトロポレーション軸索で観察され、(d、h)対照的に、Ca2+Sp/SpiCee−Kras発現軸索は、それらの対照に類似した成長円錐の再構築を示す。箱ひげ図の要素:中央線、平均;箱の境界、四分位数の上限と下限;ひげ、s.d.。スケールバー、10μm。*PΠ0.05;***PΠ0.001;ウィルコクソン対検定
実施例1:
構築:
本発明によるポリヌクレオチドをコードする配列番号22の配列
5ATGTCGATGACAGACTTGCTCAGCGCTGAGGACATCAAGAAGGCGATAGGAGCCTTTACTGCTGCAGACTCCTTCGACCACAAAAAGTTCTTCCAGATGGTGGGCCTGAAGAAAAAGAGTGCGGATGATGTGAAGAAGGTGTTCCACATTCTGGACAAAGACAAAGATGGCTTCATTGACGAGGATGAGCTGGGGTCCATTCTGAAGGGCTTCTCCTCAGATGCCAGAGACTTGTCTGCTAAGGAAACAAAGACGCTGATGGCTGCTGGAGACAAGGACGGGGATGGCAAGATTGGGGTTGAAGAGTTCTCCACTCTGGTGGCCGAAAGCATCGATCTTAAGATGGCTGATCAGCTGACTGAAGAGCAGATTGCTGAATTTAAGGAGGCTTTCTCCCTATTCGATAAAGATGGTGACGGCACCATCACAACCAAGGAACTGGGGACCGTCATGCGGTCACTGGGTCAGAACCCAACAGAAGCCGAGCTGCAGGATATGATCAACGAAGTGGATGCTGATGGCAATGGCACCATTGACTTCCCAGAGTTCTTGACTATGATGGCTAGAAAAATGAAAGACACACTTAAGGCGGATCCCGCCACCTGTACATACCCATACGATGTTCCAGATTACGCT−3のポリヌクレオチドは、配列番号23の配列:
5ATGGGCTGCATCAAGAGCAAGCGCAAGGACAAGATGGGCTGCATCAAGAGCAAGCGCAAGGACAAG3のLynキナーゼN末端ドメインをコードするヌクレオチド配列の縦列反復を用いてインフレームでインシリコで設計し、
所望の配列はそれぞれ、Sigma社及びInvitrogen社のオリゴヌクレオチドとして得られる。オリゴをアニーリングし、レポーター配列を用いてインフレームでpcDNA3−mRFPにクローニングした。脂質ラフト除外型及びサイトゾル型はそれぞれ、配列番号24の配列:
5CAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAGCAAGACCAAGTGCGTGATCATG3のKrasのCaaX−ポリリジンモチーフをコードする配列の有無にかかわらず、上記のポリヌクレオチドをpcDNA3にサブクローニングすることにより得た。
網膜神経節細胞(RGC)での発現のために、構築体をpcXにサブクローニングした。Twitch2Bは、In−Fusion HDクローニングキット(Clontech)を使用して膜マイクロドメインを標的とし、pcDNA3又はpcXにサブクローニングした。
細胞培養:HEK293T細胞を37℃、5%CO2インキュベータに保存し、製造元のプロトコルに従ってLipofectamine2000(Invitrogen)を使用してトランスフェクトし、トランスフェクションの翌日にイメージングするか、固定して免疫細胞蛍光処理した。
精製Ca2+Sp/SpiCeeF134W及びCa2+Sp/SpiCeeF103Wの産生:完全長CaSponge cDNAを、N末端グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)タグが付いたフレーム内で、pGST−Parallel2ベクター(pGEX−4T−1;Amersham製)にサブクローニングした。Ca2+Sp/SpiCeeF134W及びCa2+Sp/SpiCeeF103Wクローンは、QuickChange II部位特異的変異誘発キット(Agilent Technologies)を使用してCa2+Sp/SpiCeeから調製した。タンパク質は、BL21(DE3)pLysS E.coli細胞で産生した。GSTタグ付きタンパク質は、グルタチオンSepharose4Bカラムを使用して精製した。GSTタグは、組換えタバコエッチウイルスNIaプロテイナーゼを使用して切断した。組換えタンパク質は、30mMのMOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、pH7.2及び100mMのKClを含むバッファーで溶出した。タンパク質濃度は、Ca2+Sp/SpiCeeF134W及びCa2+Sp/SpiCeeF103Wの両方で5500M−1cm−1の計算された吸光係数を使用して、A280測定から推定した。
Ca2+Sp/SpiCeeF103W(パルブアルブミン由来)の標識部位のCa2+親和性の測定:Ca2+Sp/SpiCeeF103Wの標識部位へのCa2+の結合は、4mm x 10mmの石英キュベット(Jasco FP−8300分光蛍光光度計)で20℃でトリプトファン蛍光(285nm励起、330nm発光、5nm帯域通過)を測定することによって監視した。タンパク質を標準バッファー(30mMのMOPS−KOH、pH7.2;0.1MのKCl)で2.25μMに希釈し、254μLのサンプルをキュベットにロードした。CaClの添加は蛍光を増加させなかったが、ミリモル量のEGTAの添加は大幅な減少(7.5mMの最終EGTA濃度で最大27%)をもたらすことが最初に観察された。これによって、Ca2+Sp/SpiCeeF103Wの標識部位がCa2+で飽和していることが示された。Ca2+の解離定数は、タンパク質溶液をEGTAで滴定した競合実験から推定した。漸増濃度のEGTA(1.95〜500mM)を含む溶液のサンプル2μlをキュベットに添加した。各添加後に蛍光を測定した。蛍光値を希釈について補正し、EGTAの濃度の関数としてプロットした。Weeks,K.M.&Crothers(D.M.Biochemistry31,10281−10287(1992))によって以前に記載されたように、パルブアルブミン由来の2つの部位がCa2+結合と同等であると仮定して、データを二次方程式1にフィッティングした。
Ca2+Sp/SpiCeeF134W(カルモジュリン由来)の標識部位のCa2+親和性の測定:Ca2+Sp/SpiCeeF134Wの最初のカルモジュリン部位へのCa2+の結合は、20℃でトリプトファン蛍光(285nm励起、340nm発光、5nm帯域通過)を測定することによって監視した。Ca2+Sp/SpiCeeF134Wを標準バッファーで1.6μMに希釈し、258μLのサンプルをキュベットにロードした。CaClの添加は蛍光を増加させたが、ミリモル量のEGTAの添加は蛍光の減少をもたらし、Ca2+Sp/SpiCeeのカルモジュリン由来の部位はサンプル中のCa2+で部分的に満たされていることが示された。Ca2+がないカルモジュリン部位を有するタンパク質の蛍光値は、飽和していることが判明した濃度である2mMのEGTAの存在下で測定した。サンプル中のCa2+の合計濃度(Ca2+Sp/SpiCeeのパルブアルブミン由来部位に結合したCa2+を除く)は、Quin−2を使用して上記のように測定し、2.5μMであることがわかった。Ca2+Sp/SpiCeeF134Wの標識部位からのCa2+の解離定数は、タンパク質溶液を漸増量のCaCl(0.05〜6.25mMの溶液2μLを添加)で滴定した実験から推定した。蛍光値を希釈について補正し、全Ca2+濃度(追加したCa2+プラス2.5μΜ)の関数としてプロットした。2つのカルモジュリン部位がCa2+結合と同等であると仮定して、データを結合曲線にフィッティングした。
速度論的解離定数の測定:Ca2+Sp/SpiCee(Ca2+Sp/SpiCeeF103W及びCa2+Sp/SpiCeeF134W)のトリプトファン標識Ca結合部位の速度論的解離定数(koff)の値は、タンパク質を20℃で、Applied Photophysics社製ストップトフロー装置で適切な量のEGTAと混合して測定した。反応溶液を285nmで励起し、320nmカットオフフィルターを備えた光電子増倍管を使用して蛍光を測定した。Ca2+Sp/SpiCeeF103Wの場合、タンパク質(標準バッファーで2.3μM)を同じバッファーで15mMのEGTAと1:1で混合した。Ca2+Sp/SpiCeeF134Wの場合、タンパク質(標準バッファーで1.7μLプラス50μMのCaCl)を、標準バッファープラス50μMのCaClを含む4mMのEDTAと1:1で混合した。蛍光は時間の関数として記録し、データは、そこから速度定数を導き出した単一の指数曲線でフィッティングした。報告された値は、3つの測定の平均±標準偏差である。
細胞死アッセイ:HEK293細胞を、ポリリジンでコーティングされたカバーガラスにプレーティングし、翌日、製造元の指示に従ってLipofectamine 2000(Thermo Fisher)を使用して、pCX−mRFP又はpCX−Ca2+Sp/SpiCeeベクターでトランスフェクトした。プレーティングの3日後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、抗Cleaved Caspase 3(Aspl75、Cell Signaling、#0043)抗体及び抗−チューブリン(Sigma)抗体で免疫細胞化学のために処理するか、又はCellEvent Caspase 3/7 Green Detection Reagent(Thermo Fisher)で30分間処理し、固定して、−チューブリン抗体で標識した。
界面活性剤を使用しない方法による膜分画:エレクトロポレーションされた網膜をペレット状にし(195gで4℃で5分間)、プロテアーゼ阻害剤カクテルとホスファターゼ阻害剤カクテル1、2、3(Sigma−Aldrich)を含む1.34mLの0.5M炭酸ナトリウム、pH11.5に再懸濁した。ホモジネートを26ゲージの針でせん断し、20秒間のバーストで3回超音波処理した。ホモジネートは、MBS(25mMのMES、pH6.4、150mMのNaCl、及び250mMの炭酸ナトリウム)中に2.06mLの60%スクロースを添加して40%スクロースに調整し、5〜30%不連続スクロースグラジエント下に置き、34,000rpm、4℃で15〜18時間、Beckman社製SW 41Tiロータで遠心分離した。9つの画分(各1.24mL)を9容量のMBSと混合したチューブの上部から採取し、40,000rpm、4℃で1時間遠心分離した(Beckman社製SW−41Tiロータ)。上清を捨て、膜ペレットを100μlの1%SDSに再懸濁した。
イムノブロッティングでは、サンプルを4〜15%のMini−Protean TGX Tris−GlycineバッファーSDS PAGE(Biorad)で分離し、0.2μmのTrans−Blot Turboニトロセルロース膜(Biorad)に転写した。5%(w/v)乾燥脱脂粉乳を補充した1xTBS(10mMのTris、pH8.0、150mMのNaCl)で、膜を室温で1時間ブロックした。一次抗体のインキュベーションを4℃で一晩実施し、それには、以下の抗体:ウサギ抗GFP(1/200、A11122、Life Technologies)、ウサギ抗DsRed(1/200、632476、Clontech)、ウサギ抗φアダプチン(1/200、sc−10762、Santa Cruz)及びウサギ抗カベオリン(1/500、610060、BD Transduction Laboratories)を使用した。ヤギ抗ウサギHRP結合二次抗体を検出に使用した(Jackson Immuno Research、ウェストグローブ、ペンシルベニア州)。抗体のインキュベーション後、膜をTBS T(2.5%Tween−20を含むTBS)で徹底的に洗浄した。強化された化学発光法(ECLプライムウエスタンブロッティング検出試薬、Amersham)を使用して、ウエスタンブロットを可視化した。
崩壊アッセイ:E15マウスの網膜に、mRFP、Lyn−Calcium Sponge、Calcium Sponge、又はCalcium Sponge−Krasを、2つのポーリングパルス(方形波、175V、持続時間5ms、50ms間隔)に続いて4つの転送パルス(40V、50ms及び950ms中間パルス)でエレクトロポレーションした。網膜を切開し、培養液(グルタミン(Sigma Aldrich)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma Aldrich)、BSA(Sigma Aldrich)及びグルコースを補充したDMEM−F12)で24時間、37℃、5%CO2の加湿インキュベータで保存した。翌日、それらをTissue−Chopper(Mcllwan)で200μmの正方形に切断し、外植片をpoly−L−lysine及びLaminin(Sigma Aldrich)でコーティングしたカバーガラスにプレーティングした。細胞は、0.4%メチルセルロースを補充した培養液で24時間培養し、rmSlit−1(R&D Systems)で1時間処理した。
免疫検出:網膜外植片、又はCalcium Sponge及びGFPの標的バージョン又はTwitch2B及びmRFPの標的バージョンを共発現しているHek細胞を、PB中4%PFAで30分間固定し、透過ブロックし、PBS中1%Triton及び3%BSAで固定した。次に、DsRed(Clontech)、続いてAlexaFluor 594(Invitrogen)及びGFP(invitrogen)に結合された二次抗体に対して免疫化するか、又は−Tubulin(Sigma)、続いてAlexaFluor 488(Invitrogen)に結合された二次抗体に対して免疫化した。
イメージング:画像は、40倍の油浸対物レンズ(N.A.1.3)とソフトウェアMetamorph(Molecular Devices)とを組み合わせた倒立DMI6000B落射蛍光顕微鏡(Leica)で取得した。ライブイメージング実験では、0.2又は2mMのCaClを含むHBSバッファーで細胞を灌流した。タプシガルギンは1mMで使用した。CFP(483/32nm)及びYFP(542/27)チャネルの画像は、20秒ごとに同時に取得した。画像はImageJで処理し、背景及び裏写りを修正した後、CFP/YFPの比率を計算した。共焦点画像は63倍の油浸対物レンズ(N.A.1.45)で取得し、試験片全体を含むZスタックをナイキスト周波数でサンプリングした。画像は、ImageJ及びPhotoshopでレンダリングした。
統計:
二元配置分散分析及びボンフェローニ事後検定は、GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.)を用いて計算した。**=p<0.001
結果:
本発明によるポリペプチドの例は、以後Ca2+Sp、Calcium Sponge、SpiCee、又はCa2+Sp/SpiCeeと呼ばれ、正確に同じペプチドを指すこれらの3つの用語は、パルブアルブミン及びカルモジュリンの両方のCa2+結合ドメインを含む融合タンパク質として設計した。
固定又は生細胞実験でスポンジ発現細胞を簡単に特定できるように、蛍光タンパク質mRFPをこの構築体に融合した。
Ca2+Sp/SpiCeeのCa2+結合特性を特性評価するために、Ca2+Sp/SpiCeeの2つの変異体(Ca2+Sp/SpiCeeF134W及びCa2+Sp/SpiCeeF103W)のトリプトファン蛍光を使用した。これらの変異体のそれぞれは、カルモジュリン又はパルブアルブミン部分(それぞれCa2+Sp/SpiCeeF134W及びCa2+Sp/SpiCeeF103W)のCa2+結合特性の評価を可能にする。Ca2+滴定を使用して、Ca2+Sp/SpiCeeF134WのCa2+のKdが2.8±0.9μΜであることが確認され、ストップトフロー実験を行って、20℃での解離速度koff=529±28s−1を評価した(図5)。標識されたパルブアルブミン部位(Ca2+Sp/SpiCeeF103W)の高い親和性により、Ca2+滴定の使用が妨げられ、EGTAとの競合によりKdを測定した。Ca2+Sp/SpiCeeF103Wの解離定数は、Kd=0.3±0.1nM及びkoff=0.24±0.01s−1である(図5)。これらの特徴は、完全長のパルブアルブミン及びカルモジュリンタンパク質のCa2+結合特性と一致し、Ca2+Sp/SpiCeeがCa2+に対する低親和性及び高親和性を備えたバイモーダルCa2+キレート剤結合部位であることが確認され、Ca2+Sp/SpiCeeは、インセルロ(in cellulo)での挙動を評価するためにHEK293細胞で発現させた。Ca2+Sp/SpiCeeの発現は細胞生存率(図6)にも静止Ca2+濃度(図7)にも影響を及ぼさなかったため、Ca2+Sp/SpiCee発現細胞は、以前に報告された範囲内で、その生存率に対応する静止Ca2+濃度を維持できることが示唆された。Ca2+Sp/SpiCeeトランスフェクト細胞は、静止Ca2+濃度を培養液中のCa2+量に適合させることもできた(図7)。これらの観察は、薬理学的Ca2+バッファーの報告された特性に類似している。
Ca2+Sp/SpiCeeの緩衝特性は、最適化されたCa2+FRETセンサーであるTwitch2Bを使用して調査した。細胞内Ca2+濃度を反映するCFPに対するFRET比は、Twitch2B発現HEK293細胞で監視した。タプシガルギンの20秒間のパルスによって誘発された細胞内Ca2+貯蔵の放出は、FRET/CFP比の増加を誘発し、これは、Ca2+Sp/SpiCeeを共発現する細胞では劇的に減少した(図1)。タプシガルギンの存在下でのFRET/CFP比の上昇の欠如は、Ca2+Sp/SpiCeeがTwitch2Bを含む他のCa2+結合タンパク質と競合し、それらのCa2+への効率的な結合を妨げていることを示している。Ca2+Sp/SpiCeeによるCa2+緩衝の限界を調査するために、Ca2+Sp/SpiCee及びTwitch2Bを共発現する細胞をより長いタプシガルギン刺激(1、2、又は5分)に曝露した。すべての場合において、Ca2+Sp/SpiCeeは、バイオセンサーによって検出されるCa2+の上昇を低減及び遅延させた(図8)。極端な細胞内Ca2+の上昇は、長期のタプシガルギン曝露後に、細胞外Ca2+濃度(0.2mMから2mMに)を増加させることによって誘発された。Ca2+Sp/SpiCeeは、Twitch2Bによって検出されるCa2+の上昇の遅延を誘発した(図9)。これは、Ca2+Sp/SpiCeeが、薬理学的に誘発されたCa2+信号伝達を、このセカンドメッセンジャーの広範囲の濃度で変更できることを示している。
Ca2+Sp/SpiCeeがインビボの生理学的プロセスを妨げる能力を評価するために、Ca2+Sp/SpiCeeを、14.5日齢(E14.5)マウス胚の側脳室の子宮内エレクトロポレーションを使用して新しく生成された皮質神経細胞で発現させた。初期に生まれた皮質神経細胞の遊走は、Ca2+依存プロセスである。エレクトロポレーションされた神経細胞の移動の位置は、E18.5で評価した。GFP及びmRFPで共エレクトロポレーションされた神経細胞の大部分は皮質板に達し、辺縁帯の近くに神経細胞の緻密層を形成する(図4)。対照的に、GFP及びCa2+Sp/SpiCeeを共発現する多くの神経細胞は、遊走の減少を示し、脳室下帯を含む新皮質全体で見つかった。さらに、いくつかのエレクトロポレーションされた細胞は、皮質板で失速せず、辺縁帯に向かってオーバーシュートし、ヘテロトピアを引き起こした。(図1)。いくつかのエレクトロポレーションされた神経細胞も皮質板で失速せず、辺縁帯に向かってオーバーシュートし、9匹中7匹の動物でヘテロトピアを引き起こし、誤って配置された神経細胞は10個のmRFPでエレクトロポレーションされた胚のうち2つのみで見つかった(図4)。生後10日目に、Ca2+Sp/SpiCeeを発現する神経細胞は、mRFPでエレクトロポレーションされた対照よりも皮質の厚い層を覆っていた(図4)。さらに、胚発生中に検出されたヘテロトピアは、Ca2+Sp/SpiCee発現動物(12匹中10匹)で出生後の段階で維持されたが、1匹のmRFPをエレクトロポレーションされた仔(5匹のエレクトロポレーションされた動物、図4)でのみ見つかった。これは、Ca2+Sp/SpiCeeによるCa2+緩衝が、インビボでの正しい神経細胞の遊走に必要な生理学的Ca2+変調を変更するのに十分であることを示している。
細胞内のカルシウム信号は、細胞内区画に限定されることがよくある。遺伝的コード化は、特定の細胞小器官に構築体の発現を制限する能力を与えるため、このシナリオにおけるCa2+Sp/SpiCeeの機能を評価した。Lynキナーゼからのパルミトイル化−ミリストイル化モチーフのタンデムを、Ca2+Sp/SpiCeeのn末端に融合して、脂質ラフト、原形質膜の区画(Lyn−Ca2+Sp/SpiCee)を標的にした。あるいは、Ca2+Sp/SpiCeeは、脂質ラフトは除外したが、K−Ras(Ca2+Sp/SpiCee−Kras)に由来するCaaX−ポリリジンモチーフのc末端融合により、依然として原形質膜を標的としていた。これらの標的化配列は、以前に使用及び検証されている。界面活性剤を含まない原形質膜分画法を使用すると、Lyn−Ca2+Sp/SpiCeeは脂質ラフト画分に濃縮されていることがわかったが、Ca2+Sp/SpiCeeの局在は、非ラフト画分に移動しており(図2)、Ca2+Sp/SpiCeeのこれらの変異体が別個の膜区画を標的としていることを示している。それらの特定の分布は、さまざまな膜マーカ、それぞれコレラ毒素(CtB)及びカベオリンのφサブユニットのプロファイルと一致する(図10)。
Lyn−Ca2+Sp/SpiCee及びCa2+Sp/SpiCee−Krasを使用して、Ca2+Sp/SpiCeeがその細胞内局在に応じて特定の生理的Ca2+依存性細胞過程を操作する可能性を調査した。この目的のために、網膜軸索の忌避ガイダンス分子slit1及びephrinA5への応答を分析し、カルシウム信号伝達を必要とするプロセスである。トランスフェクトされていない軸索とmRFPでエレクトロポレーションされた軸索とを含む対照条件では、slit1及びephrinA5は、エレクトロポレーションされていない又はmRFPを発現する成長円錐の崩壊を引き起こし、葉状仮足アクチンの脱重合と成長円錐領域の大幅な減少を特徴とした(図11及び図12)。サイトゾルにおけるCa2+Sp/SpiCeeの発現は、slit1及びephrinA5が誘発する成長円錐の崩壊を完全に廃止し、カルシウム信号の要件が確認された(図12)。同様に、Lyn−Ca2+Sp/SpiCeeを発現する軸索は、Slit−1処理で崩壊の増加を示さなかった(図12)。対照的に、Ca2+Sp/SpiCee−Krasを発現する軸索は、対照と区別がつかず(図12)、slit1及びephrinA5によって生成される崩壊を誘発する信号伝達カスケードは、脂質ラフト内で区分化されたカルシウム信号伝達を必要とし、Ca2+Sp/SpiCeeの標的バージョンは、異なる細胞内及びCa2+依存性信号伝達カスケードの特定の操作を実現することを示した。
結論として、本発明のポリペプチドは、Ca2+依存性生理学的機能を妨害する能力を有するCa2+捕捉剤として機能する。本発明のポリペプチドは、細胞特異的な方法で、細胞内分解能を用いてカルシウム応答を変化させる可能性を有し、信号伝達カスケードの精密な研究のための新しい分野を開き、治療実施への道を開く。

Claims (16)

  1. 第1のカルシウム結合ドメイン、ペプチドリンカー及び第2のカルシウム結合ドメインを含むポリペプチドであって、前記第1及び第2の結合ドメインは、前記ペプチドリンカーを介して連結されており、
    −前記第1のカルシウム結合ドメイン及び前記第2のカルシウム結合ドメインはそれぞれ、EFハンドモチーフに由来する少なくとも1つのカルシウム結合部位を含み、
    −前記第1のカルシウム結合ドメイン及び前記第2のカルシウム結合ドメインは、少なくとも1つのカルシウム結合部位が異なる、ポリペプチド。
  2. 前記カルシウム結合部位が、パルブアルブミン、カルモジュリン、カルレチニン、D28K、カルビンジン、リカバリン、ヒポカルシン、NCS−1、MELC、カルシニューリン(Cacineurin)B、MRLC、カルトラクチン、TnC、スクイジュリン(Squidulin)、グランカルシン、ソルシン、ALG2、カルパイン、CaPK、スペクチン、sCaBP、及びBM−40からなるリストから選択されるタンパク質からの標準的なEFハンドモチーフに由来することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記カルシウム結合部位のそれぞれが、配列番号1の配列又はその機能的変異体を有する標準的なEFハンドモチーフのカルシウム結合ループを含むか又はそれからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
  4. 前記カルシウム結合部位のそれぞれが、配列番号2〜9又はそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるカルシウム結合ループを含むか又はそれからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  5. 前記カルシウム結合部位のそれぞれが、配列番号10〜15又はそれらの機能的変異体からなるリストから選択される標準的なEFハンドモチーフを含むか又はそれからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  6. 前記第1のカルシウム結合ドメインが、パルブアルブミンからのEFハンドモチーフに由来する少なくとも1つのカルシウム結合部位を含み、前記第2のカルシウム結合ドメインが、カルモジュリンからのEFハンドモチーフに由来する少なくとも1つのカルシウム結合部位を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. 前記第1のカルシウム結合ドメインが、配列番号2〜5及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるパルブアルブミンからのカルシウム結合ループを含むか又はそれからなる少なくとも1つのカルシウム結合部位を含み、前記第2のカルシウム結合ドメインが、配列番号6〜9及びそれらの機能的変異体からなるリストから選択されるカルモジュリンからのカルシウム結合ループを含むか又はそれからなる少なくとも1つのカルシウム結合部位を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  8. ペプチド信号、好ましくは本発明のポリペプチドを原形質膜、さらに好ましくは原形質膜の脂質ラフトに標的化できるペプチド信号、有利には配列番号20又は21の配列又はそれらの機能的変異体のペプチド信号を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  9. 好ましくは緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)からなるリストから選択される蛍光ペプチドを含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  11. 請求項10に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
  12. 請求項10のポリヌクレオチド又は請求項11の組換えベクターで形質転換された宿主細胞又は非ヒト生物。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の少なくとも1つのポリペプチド、請求項10に記載のポリヌクレオチド、請求項11に記載のベクター、及び/又は請求項12に記載の宿主細胞、並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  14. カルシウムキレート剤としての、好ましくはカルシウム濃度の安定化のための、及び/又はインビボ及び/又はインビトロでのカルシウム信号伝達の阻害のための、請求項1〜9のいずれかに記載のポリペプチド、請求項10に記載のポリヌクレオチド、又は請求項11に記載のベクターの非治療的使用。
  15. 医薬として使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10に記載のポリヌクレオチド、又は請求項11に記載の組換えベクター、請求項12に記載の宿主細胞、又は請求項13に記載の組成物。
  16. 細胞内カルシウム信号伝達機能不全、好ましくは網膜色素変性症、神経変性疾患、好ましくはアルツハイマー病、てんかん、脳卒中、心不整脈、心不全、高血圧、糖尿病、及び癌に関連する病理の予防及び/又は治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10に記載のポリヌクレオチド、又は請求項11に記載の組換えベクター、請求項12に記載の宿主細胞又は請求項13に記載の組成物。
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