JP2021507095A - 改善された乾式冶金工程 - Google Patents

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Abstract

少なくとも40重量%の銅と合わせて少なくとも5.0重量%のスズ及び鉛とを含む第1鉛−スズ系金属組成物(13)から、はんだ製品及び銅製品を製造する工程であって、該工程は、d)第1鉛−スズ系金属組成物(13)を含む第1液浴(450)を部分的に酸化(500)して、第1銅希薄金属組成物(15)と第1はんだ精錬スラグ(16)とを形成し、続いて、金属組成物からスラグを分離するステップと、l)第1銅希薄金属組成物(15)を含む第2液浴(550)を部分的に酸化(800)して、第1高銅金属組成物(22)と第3はんだ精錬スラグ(23)とを形成し、続いて、第1高銅金属組成物(22)から第3はんだ精錬スラグ(23)を分離するステップとを含み、これにより、はんだ製品は、第1はんだ精錬スラグ(16)に由来する、工程が開示される。【選択図】図1

Description

本発明は、乾式冶金による非鉄金属の製造、特に銅(Cu)及びいわゆるはんだ製品の製造に関する。より具体的には、本発明は、商業的に望ましい純度の金属製品にさらに精錬するための主要製品として、一次及び二次供給原料から銅流及びはんだ流を同時に製造する改善された工程に関する。はんだ流は、多くの場合、多量のスズ(Sn)を、必ずではないが通常は鉛(Pb)と一緒に含有する金属組成物又は合金の系統に属する。
非鉄金属は、一次供給源とも呼ばれる出発材料としての新しい鉱石から、又は二次供給原料としても知られる再生可能材料から、又はそれらの組み合わせから製造することができる。再生可能材料は、例えば、副製品、廃棄材料、及び使用済み材料であり得る。二次供給原料からの非鉄金属の回収は、長年にわたって最も重要な活動になっている。使用後の非鉄金属の再利用は、金属需要がひき続き強く、高品質な新しい金属鉱石の入手性は低下しているため、業界の主要な貢献要素である。特に銅の製造に関しては、二次供給原料からの回収は産業上重要になっている。さらに、高品質な新しい金属鉱石の入手性の低下によって、低品質の金属供給原料から非鉄金属を回収することの重要性も高まっている。銅回収のための低品質の金属供給原料は、例えば、他の非鉄金属を多量に含み得る。これらの他の金属は、それ自体が、スズ及び/又は鉛など、潜在的な商業的価値が高い場合もあるが、これらの一次及び二次供給原料には、亜鉛、ビスマス、アンチモン、ヒ素又はニッケルなど、経済的価値が低いか又は全くない他の金属が含まれ得る。多くの場合、これらの他の金属は、一次非鉄金属製品では望ましくないか、又は非常に限られた含有量でのみ許容され得る。
このように、銅の製造のための供給原料として利用可能な材料は、典型的には、複数の金属を含んでいる。銅が豊富な二次供給原料は、例えば、主に銅とスズとの合金である青銅と、主に銅と亜鉛との合金である黄銅である。
これらの異なる金属は、製造工程で銅から分離する必要がある。加えて、供給原料は、鉄、ビスマス、アンチモン、ヒ素、アルミニウム、マンガン、硫黄、リン及びケイ素を含む他の元素を少量含んでいる場合があり、それらのほとんどは、一次金属製品での許容量が限られている。
銅を含む二次供給原料は、使用済みの電子部品及び/又は電気部品であり得る。これらの供給原料は、典型的には、銅に加えて、はんだ成分、主にスズ及び鉛を含むが、通常、鉄及びアルミニウムなどのさらなる金属も含み、加えて場合によっては、少量の貴金属、さらにプラスチック、塗料、ゴム、にかわ、木、紙、ボール紙などの非金属部品も含む。これらの供給原料は、典型的にきれいではなく、通常は、汚れ、グリース、ワックス、土及び/又は砂などの不純物もさらに含む。そのような原材料中の多くの金属はまた、多くの場合、部分的に酸化されている。
一次供給原料及び二次供給原料の両方において、純度が低く、汚染物質濃度が高い原料の方がはるかに豊富に利用できるため、銅などの非鉄金属の回収又は製造のための供給原料の一部として、このような低品位原料の許容量を増加させるために、非鉄金属製造工程の受容能力を拡大させる必要がある。
非鉄金属製造工程は、典型的には、少なくとも1つ、通常は複数の乾式冶金工程ステップを含む。低品位の二次材料から銅を回収する非常に一般的な最初の乾式冶金ステップは、製錬ステップである。製錬炉で金属が溶融され、有機物及びその他の可燃材料が燃焼される。さらに、製錬炉に導入される様々な他の成分間で様々な化学反応が発生する。酸素に対して比較的高い親和性を有する金属は、それらの酸化物に変換され、より低密度の上澄みスラグ相に集まる。より揮発性の高い金属は、液相から気相に脱出して、形成され得るすべての炭素酸化物及び/又はSOと一緒に、排気ガスとともに炉を出ることができる。酸素に対してより低い親和性を有する金属は、酸化状態で存在する場合、それらの元素金属形態に容易に還元され、下にあるより重い金属相に移動する。酸化されない場合、これらの金属は元素金属として残り、製錬炉底部のより高密度の液体金属相に残る。銅製造ステップでは、製錬ステップは、ほとんどの鉄が最終的にスラグになり、一方、銅、スズ及び鉛が最終的に金属製品、典型的に「黒銅」と呼ばれる流れになるように操作され得る。また、ニッケル、アンチモン、ヒ素及びビスマスのほとんどは、典型的には、最終的に黒銅製品の一部になる。
非特許文献1は、ISASMELT(商標)技術に典型的な浸漬ランス炉を使用して、二次供給原料から銅を回収する工程を開示している。この文献はまた、そのような金属が工程中に十分に存在する場合のPb−Sn合金副製品の製造について記載している。この文献は、工程中に発生する限られた数の金属組成物の銅含有量を開示しているが、他の組成情報は開示されていない。開示された工程中の限られた数の工程ステップ及び分離に基づいて、出願人らは、金属製品の純度及び/又は異なる金属の回収にはまだ足りない点があると考えている。
特許文献1及びその対応案件の特許文献2は、銅の精錬工程について記載しており、該精錬工程は、黒銅流をもたらす溶融ステップから始まり、その後、この黒銅をさらに乾式冶金的に段階的に精錬して、電解精錬のためのアノードへの鋳造に適した、アノード品位の銅流にする。特許文献1に記載の黒銅の精錬により、多数の連続した銅精錬スラグが形成され、初期スラグは亜鉛が豊富であり、中間スラグは鉛及びスズが豊富、最終スラグは銅が豊富である。異なる精錬スラグが蓄積され、それらのスラグに含まれる銅、鉛及びスズを回収するためにスラグ再処理炉に移した。最初のスラグ再処理ステップでは、蓄積された銅精錬スラグは、銅/鉄くず、銅/アルミニウム合金、及び生石灰を追加することにより部分的に還元され、その結果、金属流が分離され、炉内の銅の約90%及びニッケルの約85%を回収することができた(表XIV)。この出湯された金属流は、特許文献1で「黒銅」と標識されており、精錬炉に再循環され、溶融炉からの予備精錬黒銅及びラジエータと混合された(表VI)。上記黒銅が出湯された後、抽出されたスラグは炉内に残り、このスラグは、次のステップで、98%量の鉄くずを炉に装入することによってさらに還元された。この第2還元ステップにより、鉛/スズ金属(つまり、一種の「粗はんだ」)が得られ、さらなる処理のために、廃棄され得る使用済みスラグと一緒に出湯された(表XV)。はんだ金属製品には、3.00重量%の鉄、13.54重量%の銅、及び1.57重量%のニッケル、すなわち合計で18.11重量%が含まれていた。使用済みスラグには、スズ及び鉛がそれぞれ0.50重量%、銅が0.05重量%含まれていた。スラグの総量が非常に大きいため、これらは低濃度でも経済的に多大な量となる。
特許文献1の製品の純度は、まだ不十分である。
特許文献1の表XVに金属相として得られた粗はんだ中のスズ及び鉛以外の金属は、商業的に価値のある金属製品を得るためにこれらの製品流をさらに処理する必要があり、負担となる。特許文献1の粗はんだには、3.00重量%の鉄、1.57重量%のニッケル、及び13.54重量%の銅が含まれ、これらの金属はすべて、はんだのさらなる精錬のために多量の化学薬品を消費するため、工程の負担になり、さらに、特に特許文献3に記載のように、すなわち希少で高価な試薬であるケイ素金属を用いた処理によってはんだの精錬が行われる場合、ことさらである。特許文献1のこの粗はんだ中のニッケル及び銅は、スラグ再処理炉で操作された第1のステップで得られたスラグに由来し、スラグは、第1のステップの最後で黒銅と接触しており、したがって黒銅と平衡状態にあった。
特許文献1の第1のスラグ再処理ステップから回収された黒銅、すなわち表XIVに記載の金属は、6重量%のニッケルとともに、4.2重量%のスズ及び3.1重量%の鉛を含んでいた。この流れは、アノード品質からはほど遠く、精錬炉で実施される一連の銅精錬ステップの第1のステップに再循環された(表VI)。この再循環により、銅以外の多量の金属が、特許文献1の工程で循環し続けた。
したがって、特許文献1での分離は不十分であり、特にスラグ再処理炉で操作される第1のステップでは、第1のステップの最後に「黒銅」がスラグと平衡状態となり、次の還元ステップで、スラグからSn/Pb金属又は粗はんだが回収される。
したがって、より高い純度を有する粗はんだ製品及び銅製品を製造すると同時に、流中の所望の有価金属を高い割合で回収する工程が依然として必要である。
本発明は、上記の問題を除去又は少なくとも軽減すること、及び/又は全般に改善することを目的とする。
本発明によれば、添付の特許請求の範囲のいずれかに定義される工程が提供される。
一実施形態では、本発明は、多量の銅、より具体的には少なくとも40重量%の銅と合わせて少なくとも5.0重量%のスズ及び鉛とを含む第1鉛−スズ系金属組成物を提供することを含む、はんだ製品及び銅製品の製造工程であって、該工程は、
d)第1鉛−スズ系金属組成物を含む第1液浴を部分的に酸化して、第1銅希薄金属組成物と第1はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1銅希薄金属組成物から第1はんだ精錬スラグを分離するステップと、
l)第1銅希薄金属組成物を含む第2液浴を部分的に酸化して、第1高銅金属組成物と第3はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1高銅金属組成物から第3はんだ精錬スラグを分離するステップと
をさらに含み、
これにより、はんだ製品は、第1はんだ精錬スラグに由来し、銅製品は、第1高銅金属組成物に由来し、任意選択的にはんだ製品は、第3はんだ精錬スラグにも由来する、工程を提供する。
出願人らは、本発明による工程によって、はんだ製品と銅製品とをより明確に分離できるようになることを見出した。
出願人らは、それぞれの製品中の汚染金属の存在が、容易に販売可能な主要製品を得るためにこれらの製品流をさらに精錬する必要があるため大きな負担であることを見出した。
粗はんだ製品は、例えば、ステップd)から得られた第1はんだ精錬スラグを部分的に還元することによって得ることができる。この場合、スラグ還元ステップでは、銅及びニッケルのほとんどが最終的に粗はんだ製品の一部になるため、このスラグ内の銅及び/又はニッケルの量を制限することが重要である。特に、粗はんだを高純度のスズ及び/又は鉛の製造のための供給原料として使用する場合、この粗はんだは、銅、ニッケル、及び/又は鉄の含有量を減らすために、さらに精錬する必要がある。そのようなはんだ精錬ステップは、例えば、独国特許出願公開第102012005401号に開示されているように、すなわちケイ素金属で処理することによって実施することができる。銅、ニッケル及び/又は鉄は、ケイ素と反応して、分離可能なケイ素残留物を形成する。その後、銅及び/又はニッケルはこの残留物から回収することができるが、この回収中に、ケイ素は、商業的価値のない酸化ケイ素に格下げされる。ケイ素金属は、より希少で高価な成分である。追加の処理コストとともに、ケイ素に係るコストは、粗はんだ製品中の、したがって同様にステップd)からの第1はんだ精錬スラグ中の銅、ニッケル及び/又は鉄の量を制限する主要要因である。
第1高銅金属組成物から、通常は最終ステップである銅の電気精錬ステップの最終的な生成物として、高純度の銅製品を得ることができる。はんだ金属のスズ及び/又は鉛を含む他の金属は、電気精錬工程を妨害する不純物である。主に銅が選択的にカソードに堆積する。したがって、銅の電気精錬は、銅以外の金属の存在に非常に敏感な工程ステップである。したがって、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物中のはんだ金属の存在を制限することが重要である。
出願人らは、本発明による工程が、従来技術と比較して、より高純度の製品の製造を可能にし、同時に、それぞれの製品流における目的の金属の高い回収も達成することを見出した。出願人らは、この利点は、2つの連続するステップで部分的な酸化を行うことによってもたらされると考えており、この連続ステップでは、第1ステップ、すなわちステップd)は、主に、粗はんだを製造するための供給原料として使用され得る第1はんだ精錬スラグ中の銅含有量を制限することに焦点を当て、一方、第2ステップ、すなわちステップl)は、主に、高純度の銅最終製品を製造するための適切な供給原料として用いられ得る第1高銅金属組成物中のはんだ金属の存在を制限することに焦点を当てることができる。
出願人らは、ステップd)における第1銅希薄金属組成物の生成は、一方では銅を高純度の銅流に、潜在的にはさらにアノード品質まで、他方では、ステップe)で得られる第1粗はんだ金属組成物などの粗はんだ流に、比較的明確に分離する点で大きな利点をもたらすことを見出した。ステップd)の元素銅は、ステップd)でスズ及び/又は鉛の抽出剤として作用するだけでなく、上流にも作用する。したがって、銅は、スズ及び/又は鉛の担体として働く。したがって、ステップd)及び上流にいくらかの銅がある場合、最初に銅がより多くのスズ及び/又は鉛を抽出し、ステップd)に移送するのを助けるため、有利である。
出願人らは、酸化ステップd)が、金属相として第1銅希薄金属組成物が製造されるおかげで、第1はんだ精錬スラグに同伴する銅の量に対して、スズ及び/又は鉛が豊富な、特にスズ及び鉛を合わせて豊富な第1はんだ精錬スラグを生成することができることを見出した。第1はんだ精錬スラグは、スズ及び/又は鉛に富むため、これにより、ステップe)でこの第1はんだ精錬スラグからはんだ金属(すなわち、スズ及び/又は鉛)を下流で回収することが容易になる。
出願人らは、ステップd)における第1銅希薄金属組成物の生成はまた、より多くのスズ及び/又は鉛を工程全体に原材料とともに導入することができるというさらなる利点を提供することを見出した。これにより、ステップd)及び上流に追加で供給することができる原材料の許容基準が大幅に拡大される。したがって、この特徴は、ステップd)への供給原料の製造に使用される原材料の許容基準を著しく拡大し、原材料の一部は、製錬ステップからの主生成物として得ることもできる。したがって、製錬ステップは、経済的により魅力的な条件でより豊富に入手可能な、はるかに低品質の原材料を受け入れることができる。
出願人らはさらに、ステップd)での第1銅希薄金属組成物の生成は、ステップd)において、第1銅希薄金属組成物への流入が意図される銅及びニッケルと、第1はんだ精錬スラグへの流入が意図されるスズ及び鉛とをより良く分離することができるというさらなる利点をもたらすことを見出した。
出願人らは、一方の銅及び/又はニッケルと他方のスズ及び/又は鉛との間のより良い分離の達成は、より多くのスズ及び/又は鉛が、本発明による工程がその一部を成す工程全体の多くのステップに導入され得る供給原料中に許容され得るという追加の利点をもたらすことを見出した。これにより、工程全体からの高純度の銅以外の主要製品の製造を増大させることができる。さらに、本発明による工程のステップにおいてだけでなく、工程全体において、並びに本明細書に記載の工程で使用される供給原料を製造する上流ステップにおいて、より低品質の、したがって通常は経済的により魅力的な供給原料を受け入れることがさらに可能になる。
出願人らはまた、ニッケル、ビスマス、ヒ素及びアンチモンなどの他の金属が本発明による工程に存在する場合、これらの金属の大部分が、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物に最終的になる傾向があることも見出した。出願人らは、第1高銅金属組成物の少なくとも一部を工程から除去することによって、工程からこれらの金属が適切に取り除かれることを見出した。これにより、工程からの他の製品流におけるこれらの金属の存在が減少するだけでなく、これらの金属を多く含む供給原料を受け入れる機会も得られる。
出願人らはまた、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物はまた、その少なくとも一部が本発明による工程のステップd)の上流の工程ステップに再循環されるのに非常に適していることを見出した。スラグ再処理炉から出湯された金属(表XIV)が「黒銅」として銅精錬炉に再循環された(表VI)米国特許第3682623号と比較すると、ステップl)で得られる第1高銅金属組成物は、銅がはるかに豊富で、含まれるはんだ金属(Sn及び/又はPb)ははるかに少ない。したがって、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物の上流への再循環はいずれも、はんだ金属のはるかに低い循環を表す。さらに、この流れの部分的な再循環はまた、ステップl)からのこの製品中のニッケル、ビスマス、ヒ素及びアンチモンの濃度増加をもたらし、したがって、工程からこの流れを部分的に除去する。ニッケル、ビスマス、ヒ素及びアンチモンの濃度が高いほど、通常、この流れから個々の金属を回収するためのこの流れのさらなる処理がほとんどの場合で容易になり、さらに、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物の除去部分の一部として工程から除去される銅の量が減り、工程内により多くの銅が残り、この銅は、工程の他の場所から得られ得る高純度の銅製品とともに取り出され得る。
本発明による工程の好ましい実施形態の流れ図を示す。
本発明は、特定の実施形態において、特定の図面を可能な限り参照して以下に説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。説明されている図面はすべて概略図であり、非限定的である。図面において、いくつかの要素の大きさは強調されている場合があり、例示の目的で縮尺どおりに描かれていない。図面の寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に必ずしも対応しない。
さらに、明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時間的順序を説明するためではない。これらの用語は適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、本明細書で説明及び/又は図示された以外の順序で操作することができる。
さらに、明細書及び特許請求の範囲における上部、下部、上側、下側などの用語は、説明の目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書で説明又は図示された以外の向きで操作してもよい。
請求項で使用される「含む(comprising)」という用語は、それに関連して列挙された要素に限定されると見なされるべきではない。この用語は、他の要素又はステップがあることを排除するものではない。この用語は、必要に応じて、これらの特徴、整数、ステップ、又は構成要素が存在すると見なすべきであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む物品」とは、媒体A及びBのみから構成される物体に限定されない場合がある。これは、A及びBが、単に本発明に関連する主題にとって重要な要素であることを意味する。これに従って、「含む」又は「包埋する」という用語は、「から本質的になる」及び「からなる」というより制限的な用語も包含する。したがって、「含む(comprise)」又は「含む(include)」を「からなる(consist of)」で置き換えることにより、これらの用語は、本発明に関するこの文書の内容の一部としても提供される、好ましいが狭められた実施形態の基礎を表す。
特に明記しない限り、本明細書で提供されるすべての値は、与えられた端点までを含み、組成物の構成成分又は構成要素の値は、組成物中の各成分の重量パーセント又は重量%で表される。
さらに、本明細書で使用される各化合物は、その化学式、化学名、略語などに関して互換的に論じられる場合がある。
本発明の文脈内では、「少なくとも部分的に」という用語は、その端点を「完全に」含む。工程の特定の酸化又は還元ステップが実施される程度に関連して、好ましい実施形態は、典型的には部分的な実施である。特定の工程ステップへの工程の流れの追加又は再循環に関して、好ましい実施形態は、典型的には、「少なくとも部分的に」という用語に含まれる範囲内の「完全な」操作点である。
この文書では、特に明記しない限り、金属及び酸化物の量は、乾式冶金の一般的な慣例に従って表される。各金属の存在は、金属が元素形態(酸化状態=0)であるか、化学的に結合した形態、典型的には酸化形態(酸化状態>0)で存在するかに関係なく、典型的に、その全体の存在で表される。比較的容易に元素形態に還元され、乾式冶金工程で溶融金属として発生し得る金属の場合、スラグの組成が与えられている場合でも、元素金属形態でその存在を表すことが極めて一般的であり、そのような金属の大部分は、実際には酸化形態で存在し得る。したがって、本明細書のスラグの組成は、元素金属としてFe、Zn、Pb、Cu、Sb、Biを含むことを明記している。卑金属は、非鉄乾式冶金条件下で還元するのがより難しく、ほとんどが酸化形態で発生する。これらの金属は、典型的には、最も一般的な酸化物の形で表される。したがって、スラグ組成は、典型的には、Si、Ca、Al、Naの含有量を、それぞれSiO、CaO、Al、NaOとして表している。
特に明記しない限り、又は水性組成物の場合、濃度は、この文書では、組成物全体の乾燥重量を基準にして表されているため、存在する水又は水分は除外される。
出願人らは、金属相の化学分析の結果がスラグ相分析の結果よりもはるかに信頼できることを見出した。本明細書では、数値が1つ以上の工程ステップにわたる物質収支から導き出される場合、出願人らによれば、可能な場合、可能な限り多くの金属相分析に基づいてそのような計算を行い、スラグ分析の使用を最小限に抑えることがはるかに好ましい。例えば、出願人らによれば、ステップb)からの第1銅精錬スラグにおけるスズ及び/又は鉛の回収率を、第1銅精錬スラグについて報告されたスズ及び/又は鉛の濃度に基づくのではなく、ステップb)からの第1銅濃縮金属相中ではそれ以上回収されない、ステップb)への組み合わせ供給原料中のスズ及び/又は鉛の量に基づいて計算することが好ましい。
出願人らはさらに、さらに処理されたスラグ相の分析は、多くの場合、下流の工程ステップにわたってマスバランスをとり、下流のステップで得られた製品の量を、これらの製品の分析と組み合わせて使用して逆算することで修正できることを見出した。これらの製品の少なくとも1つは、より信頼性の高い分析結果を提供する液体金属製品であることが望ましい。このような逆算は、いくつかの関連する特定の金属に対して個別に実行することができ、本発明による工程のほとんどの個々のステップにわたって信頼できる物質収支の確立を可能にすることができる。そのような逆算はまた、代表的なサンプルの取得が非常に困難であり得る液体金属流、例えば、スズとともに多量の鉛を含む溶融はんだ金属流の組成を決定する際に役立ち得る。
出願人らによれば、本発明の文脈において、金属相の分析に蛍光X線(XRF)を使用することが好ましい。出願人らによれば、この分析には溶融液体金属からサンプルを取ることが好ましく、出願人らによれば、銅精錬での分析を迅速に行うため、Heraeus Electro Nite社製のサンプラーを使用することが好ましく、これにより、さらなる処理のための固体の冷却サンプルがすぐに得られる。冷サンプルの表面は、XRFプローブを使用した分析の実施前に、適切に表面処理される。しかしながら、XRF分析手法では、サンプル内の酸素濃度は分析されない。したがって、必要に応じて、酸素含有量を含む金属相の完全な組成を確立するために、出願人らによれば、好ましくは銅精錬のバッチ工程にHeraeus Electro Nite社が提供する使い捨てのワンタイム電気化学センサを使用して、炉に存在する溶融液体金属中の金属の酸素含有量を個別に測定することが好ましい。次に、上記のように、XRFによる金属相分析の分析結果を、必要に応じて、別の酸素分析から得られた酸素含有量に合わせて調整してもよい。本明細書の実施例で報告されている組成は、酸素含有量を含めるように調整されていない。
本発明は、主に、目的の金属である銅、ニッケル、スズ及び/又は鉛を、高純度の一次金属製品を得るのに適した製品流に回収することに関する。本発明による工程は、異なる工程ステップを含み、これらの工程ステップは、酸化ステップ又は還元ステップのいずれかに分類され得る。この分類を用いて、出願人らによれば、これらの目的の金属が受ける可能性のある化学反応に対処することが望ましい。したがって、還元ステップは、これらの目的の金属の少なくとも1つが、対象の金属が炉内のスラグ相から金属相に移動されることを意図して、その対応する酸化物の少なくとも1つからその元素金属形態に還元されることを含む。このような還元ステップは、本明細書のいくつかの箇所で説明されているように、還元剤の添加により促進されることが好ましい。還元ステップとして、工程ステップに参照番号400、600、700、900、1000、1100を付す。酸化ステップでは、主な目的は、金属を炉内で金属相からスラグ相に移動させることを意図して、目的の金属の少なくとも1つをその対応する酸化物の少なくとも1つに変換することである。その変換のための酸素は、本発明の文脈では、様々な供給源から供給され得る。酸素は、必ずしも液浴に吹き込まれる空気又は酸素に由来する必要はない。酸素は同様に、別の工程ステップから得られ、酸素が少なくとも1つの他の金属の酸化物に結合しているスラグ相の導入によって供給されてもよい。したがって、本発明の文脈における酸化ステップは、空気又は酸素を注入することなく実施することもできる。したがって、酸化ステップとして、工程ステップに参照番号100、200、300、500、800、1200を付す。
本発明が回収している目的の金属のうち、Sn及びPbは、「はんだ金属」と見なされる。これらの金属は、他の目的の金属である銅及び/又はニッケルとは区別される。これは、主要量のこれらの金属を含む混合物は、通常、主要量の銅及び/又はニッケルを含む混合物よりも融点がはるかに低いためである。そのような組成物は、すでに数千年前に2つの金属片間の永久的な結合を作成するために使用されており、この結合は、最初に「はんだ」を溶融し、所定の位置に配置して固化することによる。したがって、はんだの溶融温度は、接続している金属片よりも低い必要があった。本発明の文脈において、はんだ製品又ははんだ金属組成物、この2つの用語は本明細書全体を通して互換的に使用され、はんだ金属の組み合わせ、したがってPbとSnとを合わせた含有量が、組成物の主要部分を構成する、すなわち少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%になる金属組成物を意味する。はんだ製品は、少量の他の目的の金属である銅及び/又はニッケル、及び非目的の金属、例えばSb、As、Bi、Zn、Al及び/又はFe、及び/又はSiなどの元素をさらに含んでいてもよい。本発明の文脈において、工程は、粗はんだ製品及び銅製品の製造を対象としているため、ステップe)及び/又はn)の工程によって得られる粗はんだ製品又は粗はんだ金属組成物は、不可避の不純物としても、測定可能な量の少なくとも銅を含むことが予想される。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、少なくとも56重量%の銅、好ましくは少なくとも57重量%、より好ましくは少なくとも58重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、さらになおより好ましくは少なくとも62.5重量%、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも67.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、さらになおより好ましくは少なくとも72.5重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも77.5重量%の銅を含む。出願人らは、銅が、第1銅希薄金属組成物の製造に先行する工程ステップにおいて、スズ及び/又は鉛の担体及び/又は同伴剤として作用することを見出した。第1銅希薄金属組成物に含まれる銅が多いほど、上流の工程ステップでより多くの銅が利用可能であることを意味し、したがって、銅を含む金属相と平衡状態にあるスラグからスズ及び/又は鉛をより良く取り除くことができ、特に、ステップc)の第1使用済みスラグから、より多くのスズ及び/又は鉛を抽出できることを意味し、このステップc)は、本明細書の以下でさらに説明され、この使用済みスラグは、第1鉛−スズ系金属組成物と平衡状態にある。これは、より多くのスズ及び/又は鉛が、本発明による工程から得られる第1粗はんだ金属製品の一部になり得るという利点をもたらす。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、最大84重量%の銅、好ましくは最大83重量%、より好ましくは最大82重量%、さらにより好ましくは最大81重量%、さらになおより好ましくは最大80重量%、好ましくは最大77.5重量%、より好ましくは最大75重量%、さらになおより好ましくは最大72.5重量%、好ましくは最大70重量%、より好ましくは最大67.5重量%の銅を含む。出願人らは、第1銅希薄金属組成物中の銅の存在を規定の制限量未満に制限することが有利であることを見出した。これによって、上流の工程ステップで形成される金属相中の銅の存在も制限されるからである。出願人らは、これらの金属相中の過剰な銅の存在が、これらの金属相と平衡状態にあるスラグ相中の銅の存在をより高めることを見出した。これらのスラグ相中の銅は、貴重な銅金属の損失を直接表す、及び/又は下流工程における負担を間接的に表す可能性があるため、このような過剰な銅の存在は回避することが好ましい。
第1銅希薄金属組成物中の銅の上限は、それと平衡状態にある第1はんだ精錬スラグの銅含有量に制限をもたらすため、特に重要である。このスラグ相は、その後部分的に還元され、そのため、スラグ相のスズ及び/又は鉛の含有量のほとんどは対応する元素金属に還元されるが、典型的には、銅も還元され、銅のほとんどは、得られる第1粗はんだ金属混合物の一部に最終的になる。この第1粗はんだ金属混合物は、通常、独国特許出願公開第102012005401号に記載されているケイ素金属での処理など、さらなる精製ステップを必要とする。ケイ素金属は、かなり高価な工程薬品であり、この処理によって、汚染金属のケイ素化合物が副製品として生じ、これは、再加工又は廃棄の必要がある。したがって、この第1粗はんだ金属に同伴された銅は、そのような精製ステップにおけるケイ素金属の消費の増加を引き起こす。したがって、第1銅希薄金属組成物と平衡状態にあるスラグ相中の銅を制限することが有利であり、その目的は、第1銅希薄金属組成物中の銅含有量を特定の制限量未満に制限することによって非常によく助けられる。
第1銅希薄金属組成物中の銅の上限もまた重要であり、なぜなら、それによって、かなり入手が困難な、したがって多くの場合、銅よりも高い経済的価値を達成し得る金属である、より多くのスズを処理するためにより多くの余地を残すことができるからである。銅を制限し、その結果としてより多くのスズを処理することにより、工程操作者に大きな利点がもたらされ得る。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、少なくとも7.5重量%のスズ、好ましくは少なくとも8.0重量%、より好ましくは少なくとも8.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも9.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも9.5重量%、好ましくは少なくとも10.0重量%、より好ましくは少なくとも10.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも11.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも11.5重量%、好ましくは少なくとも12.0重量%、より好ましくは少なくとも12.5重量%のスズを含む。出願人らは、第1銅希薄金属組成物中により多くのスズが存在する場合、金属相と平衡状態にある第1はんだ精錬スラグ中にもより多くのスズが存在することを見出した。スズは第1はんだ精錬スラグから回収されるため、スラグ相に、したがって同様に第1銅希薄金属組成物中により多くのスズを含むことが有利である。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、最大24重量%のスズ、好ましくは最大23重量%、より好ましくは最大22重量%、さらにより好ましくは最大21重量%、さらになおより好ましくは最大20重量%、好ましくは最大18.5重量%、より好ましくは最大17重量%、さらにより好ましくは最大15重量%、さらになおより好ましくは最大12.5重量%、好ましくは最大10重量%、より好ましくは最大7.5重量%のスズを含む。出願人らは、第1銅希薄金属組成物中のスズの存在を規定の制限量未満に制限することが有利であることを見出した。これによって、銅及び/又は鉛の存在の余地が与えられるからである。銅含有量が特定の制限量を超えることの利点は、本明細書の他の場所で説明されている。より多くの鉛を有することによって、本明細書の他の場所で説明されている他の利点がもたらされる。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、少なくとも3.0重量%の鉛、好ましくは少なくとも4.0重量%、より好ましくは少なくとも5.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、好ましくは少なくとも7.0重量%、より好ましくは少なくとも8.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも9.0重量%、好ましくは少なくとも10.0重量%、より好ましくは少なくとも11.0重量%の鉛を含む。出願人らは、第1銅希薄金属組成物中により多くの鉛がある場合、第1銅希薄金属組成物に至る工程ステップにおけるスラグ相からの金属相の物理的分離が改善されるという利点がもたらされることを見出した。出願人らはさらに、第1銅希薄金属組成物中のより高い鉛含有量が、平衡によって、それと平衡状態にあるスラグ相においてより多くの鉛をもたらすことも見出した。第1粗はんだ金属副製品が生成されるのは、このスラグ相からである。したがって、このスラグ相中の鉛がより多い場合、工程の第1粗はんだ金属副製品に流入し得る鉛の量はより多くなる。より多くの鉛がこの第1粗はんだ金属副製品中にある場合、第1粗はんだ金属副製品が精錬ステップに供されるときに、下流の工程に利益がもたらされ、この精錬ステップは、第1粗はんだ金属副製品が、より高い純度のスズ及び/又は鉛主要製品を、例えば真空蒸留によって得るための原材料である場合などに必要とされる。出願人らはまた、より高い鉛の存在が、第1粗はんだ金属副製品をより高純度のスズ及び/又は鉛主要製品に変換する際に操作され得る様々なステップで、より容易な相分離などの処理の利益をもたらす可能性があることを見出した。
一実施形態では、第1銅希薄金属組成物は、最大14重量%の鉛、好ましくは最大13重量%、より好ましくは最大12重量%、さらにより好ましくは最大11重量%、さらになおより好ましくは最大10.0重量%、好ましくは最大9.5重量%、より好ましくは最大9.0重量%、さらにより好ましくは最大8.5重量%、さらになおより好ましくは最大8.0重量%、好ましくは最大7.5重量%、より好ましくは最大7.0重量%の鉛を含む。出願人らは、第1銅希薄金属組成物中の鉛の存在を規定の制限量未満に制限することが有利であることを見出した。これによって、銅及び/又はスズの存在の余地が与えられるからである。銅含有量が特定の制限量を超えることの利点は、本明細書の他の場所で説明されている。より多くのスズを有することによって、本明細書の他の場所で説明されている他の利点がもたらされる。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大2.5重量%の鉄、好ましくは最大2.0重量%、より好ましくは最大1.5重量%、さらにより好ましくは最大1.0重量%、さらになおより好ましくは最大0.8重量%、好ましくは最大0.60重量%、より好ましくは最大0.50重量%、さらにより好ましくは最大0.40重量%、さらになおより好ましくは最大0.30重量%、好ましくは最大0.25重量%、より好ましくは最大0.20重量%、さらにより好ましくは最大0.10重量%、さらになおより好ましくは最大0.05重量%の鉄を含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大3.0重量%の亜鉛、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%、さらにより好ましくは最大1.5重量%、さらになおより好ましくは最大1.0重量%、好ましくは最大0.05重量%の亜鉛を含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大1.5重量%のアンチモン、好ましくは最大1.25重量%、より好ましくは最大1.00重量%、さらにより好ましくは最大0.75重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.30重量%、より好ましくは最大0.20重量%のアンチモンを含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大15重量%のニッケル、好ましくは最大14.0重量%、より好ましくは最大13.0重量%、さらにより好ましくは最大12.0重量%、さらになおより好ましくは最大11.0重量%、好ましくは最大10.0重量%、より好ましくは最大9.0重量%、さらにより好ましくは最大8.0重量%、さらになおより好ましくは最大7.0重量%のニッケルを含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大0.30重量%の銀、好ましくは最大0.27重量%、より好ましくは最大0.25重量%、さらにより好ましくは最大0.20重量%、さらになおより好ましくは最大0.15重量%の銀を含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大0.1重量%のビスマス、好ましくは最大0.10重量%、より好ましくは最大0.09重量%、さらにより好ましくは最大0.08重量%、さらになおより好ましくは最大0.07重量%、好ましくは最大0.06重量%、より好ましくは最大0.05重量%、さらにより好ましくは最大0.04重量%、さらになおより好ましくは最大0.03重量%、好ましくは最大0.02重量%、より好ましくは最大0.01重量%、さらにより好ましくは最大0.005重量%のビスマスを含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大0.15重量%のヒ素、好ましくは最大0.10重量%、より好ましくは最大0.08重量%、さらにより好ましくは最大0.06重量%、さらになおより好ましくは最大0.05重量%のヒ素を含む。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、最大1.0重量%の硫黄、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.90重量%、さらにより好ましくは最大0.80重量%、さらになおより好ましくは最大0.70重量%、好ましくは最大0.60重量%、より好ましくは最大0.50重量%、さらにより好ましくは最大0.40重量%、さらになおより好ましくは最大0.30重量%、好ましくは最大0.25重量%、より好ましくは最大0.20重量%、さらにより好ましくは最大0.15重量%、さらになおより好ましくは最大0.10重量%、好ましくは最大0.05重量%の硫黄を含む。
出願人らによれば、銅希薄金属組成物中の金属、鉄、亜鉛、アンチモン、ニッケル、銀、ビスマス及びヒ素、及び元素硫黄の濃度が、互いに独立して個別に、上記で指定された上限に準拠することが好ましい。これによって、銅希薄金属組成物のさらなる処理が促進され、操作上の問題、廃棄問題がより低減され、より明確な分離が達成され、より単純に、したがって複雑さがより低減され得るという利点がもたらされる。硫黄がより少ない場合、蒸気排出ガスの問題も低減される。特定の工程ステップでは、これらの金属は、非常に有毒なガスであるスチビン(SbH3)又はアルシン(AsH3)を生成するおそれがあるため、アンチモン及び/又はヒ素の量が少ないほど、安全上の懸念も少なくなり得る。鉄は、FeOを含む溶融液が水と直接接触して急冷されると、爆発の危険をもたらす可能性がある。
一実施形態では、銅希薄金属組成物は、少なくとも3.0重量%のニッケル、好ましくは少なくとも4.0重量%、より好ましくは少なくとも5.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも7.0重量%、好ましくは少なくとも8.0重量%、より好ましくは少なくとも9.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも11.0重量%のニッケルを含む。出願人らは、銅希薄金属組成物によって、この経路を介して工程からより多くのニッケルを除去可能であることを見出した。これによって、(i)以下のステップb)若しくは以下で説明するステップh)で得られる銅濃縮金属相から得られ得る高純度銅など、又はステップd)から得られる第1はんだ精錬スラグから得ることができる粗はんだ流などの他の主要製品を介して出口を見つける必要のあるニッケルがより少なくてすむこと、及び(ii)主要工程製品である高品質の銅及び粗はんだの1つに存在する場合にニッケルがもたらす問題を増大させることなく、ステップa)でもたらされた黒銅の一部として許容される得るニッケルがより多くなることという利点がもたらされる。この利点によって、(ii)ステップa)の一部として黒銅を提供するために使用される工程ステップが、より多くのニッケルを含む供給原料を受け入れることができ、この増加したニッケル含有量により、供給原料はより豊富に利用可能であり、及び/又はより経済的に魅力的であるという追加の利点がもたらされる。
一実施形態では、本発明による工程は、ステップd)の炉装入物への新しい供給原料の添加を含む。出願人らは、ステップd)が有価金属をそれらの酸化物から回収するのに非常に適していることを見出した。酸化物の形でステップd)への新しい供給原料の一部として追加される銅、スズ及び/又は鉛は、ステップd)で、及び/又はさらに下流のステップe)又はf)で形成される金属相において元素金属として容易に回収することができ、ステップe)又はf)は、本明細書の以下でそれぞれの工程条件下でさらに説明する。したがって、出願人らは、ステップd)が、例えば、望ましい量を超える特定の金属を含み、したがって経済的又は生態学的に廃棄に適さない最終スラグ体積、又は溶融スラグを1つの工程ステップから別の工程ステップに輸送するために使用されるコンテナの内側に堆積し得るクラストとして収集されたスラグ層体積を再循環するのに適していることを見出した。出願人らは、そのような材料を新しい供給原料としてステップd)に加えることにより、その中の有価金属の回収が改善され得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、最大10.0重量%の銅、好ましくは最大9.0重量%、より好ましくは最大8.0重量%、さらにより好ましくは最大7.0重量%、さらになおより好ましくは最大6.0重量%の銅、好ましくは最大5.5重量%、より好ましくは最大5.0重量%、さらにより好ましくは最大4.5重量%、好ましくは最大4.0重量%、より好ましくは最大3.5重量%、さらにより好ましくは最大3.0重量%、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%、さらにより好ましくは最大1.5重量%の銅、及び任意選択的に少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5%、より好ましくは少なくとも1.0重量%の銅を含む。出願人らは、上限に準拠することによって、第1はんだ精錬スラグの下流で回収され得る粗はんだ流がより経済的に、場合によってはさらに簡単にさらに精錬されるという利点がもたらされることを見出した。
出願人らは、第1はんだ精錬スラグに含まれる銅の量がより少ないと、本明細書の以下でさらに説明されるステップe)で得られる第1粗はんだ金属組成物の銅含有量も減少することを見出した。これは、銅が典型的にステップe)でも還元され、銅のほとんどが最終的に得られる第1粗はんだ金属組成物の一部になるからである。第1粗はんだ金属組成物は、例えば、この粗はんだ金属組成物が高純度のスズ及び/又は鉛製品の回収に適するようになる前に、通常、粗はんだ金属組成物中のスズ、鉛及びアンチモン以外の金属の存在を低減するために、さらなる精製ステップに供する必要がある。これには銅の除去が含まれる。そのような処理には、例えば、独国特許出願公開第102012005401号に記載されているように、ケイ素金属を使用することができる。ケイ素金属は、かなり高価な工程薬品であり、この処理によって、汚染金属のケイ素化合物が副製品として生じ、これは、再加工又は廃棄の必要がある。したがって、第1粗はんだ金属に同伴された銅は、そのような精製ステップにおけるケイ素金属の消費の増加を引き起こす。したがって、第1はんだ精錬スラグ中の銅を制限することは有利である。
好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも1.0重量%、より好ましくは少なくとも1.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.0重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、より好ましくは少なくとも3.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも3.5重量%の銅を含む。
出願人らはまた、第1はんだ精錬スラグ中のいくらかの銅を許容し、指定された下限より上に留まらせることが有利であることを見出した。出願人らは、これが上流工程ステップの利益になるとともに、これらの上流工程ステップが受け入れることができる供給原料の利益になることを見出した。これらの限度量では、通常、銅の存在量が多いほど、スズ及び/又は鉛の存在量も多くなるため、非常に有利であり得る。両方の技術的利益は、第1はんだ精錬スラグ中の銅の存在によってもたらされる負担、及びその結果として第1粗はんだ金属組成物中の銅の存在によってもたらされる負担とのバランスを取ることの利点を表している。
本発明による工程の一実施形態では、第1高銅金属組成物は、スズ及び鉛を合わせて最大6.0重量%、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大4.50重量%、さらにより好ましくは最大4.00重量%、好ましくは最大3.75重量%、より好ましくは最大3.50重量%、及び任意選択的に少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1.00重量%含む。出願人らによれば、第1高銅金属組成物中のスズ及び鉛を合わせた存在を特定の制限量未満に制限することが好ましい。これにより、第1高銅金属組成物中の有価金属の回収のための第1高銅金属組成物のさらなる処理が容易になるからである。すでに上で述べたように、この流れからの銅の回収は、典型的には、最終工程としての銅の電気精錬ステップを含む。銅の電気精錬は、銅以外の金属の存在に非常に敏感である。したがって、スズ及び鉛を合わせて指定した上限に準拠することにより、このような銅の電気精錬に適した流れを得るために、第1高銅金属組成物を精錬する必要性と負担とが軽減される。
出願人らによればまた、スズ及び鉛を合わせて指定した下限に準拠することが好ましい。これにより、ステップl)の最後で第1高銅金属組成物と平衡状態にある第3はんだ精錬スラグ中に、より多くのスズ及び/又は鉛を有することが可能になるからである。したがって、第3はんだ精錬スラグ中のスズ及び/又は鉛の存在量がより多いことによって、好ましくは最初に銅及び/又はニッケルのほとんどがそのスラグ流から除去された後に、この流れは、そこから粗はんだ製品を回収するのにより適した流れになる。
出願人らは、工程から引き出された第1高銅金属組成物を、当技術分野で既知の手段によって、又は好ましくは、2018年5月16日に出願された「Improvement in Copper Electrorefining」という発明名称の同時係属中の特許出願EPA18172598.7に記載された手段によって、第1高銅金属組成物中に含まれる銅及び/又はニッケルの回収のためにさらに処理することができることを見出した。
出願人らは、本発明による工程によって製造された第1高銅金属組成物が、電気精錬ステップなどのさらなる精製処理のための供給原料として適切に使用することができ、銅以外の金属の存在にもかかわらず、これらの金属を従来の知識を大幅に超える含有量で高度に許容可能であるように、電気分解ステップを実施することができることを見出した。これらの他の金属は、電気分解からのアノードスライム副製品中に収集されてもよく、及び/又は電解液中に濃縮されてもよい。このようにして、工程からの第1高銅金属組成物製品は、工程からのこれらの金属の出口を提供する。これにより、工程全体で、当分野で既知の他の工程ではより少ないことが望ましく、場合によっては許容さえできない量のNi、As、Bi、Sbなどの金属を含む原材料を容易に受け入れることができ、したがって、この原材料はより有利な条件で入手可能であるという利益がもたらされる。さらなる利点は、例えば、2018年5月16日に出願された同時係属中の特許出願EPA18172598.7に記載されているように、第1高銅金属組成物のさらなる処理が、これらの他の金属の少なくとも1つの回収のための供給原料として適切であり、場合によって有利にさえ濃縮された副製品流を提供し得ることである。
したがって、出願人らによれば、本発明による工程によって利用可能になる第1高銅金属組成物をアノードに鋳造することが好ましい。出願人らは、上記をアノード炉で行うことを好み、アノード炉では金属組成物は鋳造に望ましい温度にもたらされる。金属組成物を炉に導入する前に、出願人らによれば、少なくとも1つの還元剤、好ましくは固体還元剤を炉に導入することが好ましい。出願人らは、還元剤が、前の稼働から炉内に残存する可能性がある、及び/又は第1高銅金属組成物の炉への供給中又は供給後に起こり得る空気接触によって形成される可能性のある酸化物及び/又はスラグの還元に役立つことを見出した。出願人らによれば、目的/有価金属をその元素金属形態に還元し、酸素との親和性が高い元素を酸化して、液体金属相の上部に保護層を形成するスラグ相にする、少なくとも1つの還元剤を使用することが好ましい。出願人らによれば、さらに、出湯孔の閉塞を回避するために、炉の底部及び/又は壁への付着性が低い低粘度スラグ相の形成を引き起こす還元剤を使用することが好ましい。出願人らによれば、この目的のために金属鉄とケイ素との組み合わせを使用することもできる。この組み合わせの添加及び酸化は、所与の工程条件で流動性が高く、下にある溶融金属の上部に保護層を容易に形成するファイヤライトスラグ(fayalite slag)を形成するとともに、酸素に対する親和性が低い金属の酸化物をその元素金属形態に還元する。後者は、アノード炉がステップl)からの第1高銅金属組成物の追加の装入を待たなければならない場合に非常に有益である。例えば、この待機時間中に、必要に応じて空気及び/又は酸素の注入と組み合わせて、天然ガスなどのガス状供給原料を注入することによって、スラグ形成を促進するための追加の撹拌を行ってもよい。
出願人らは、適切な還元剤は、いわゆる「キュプロ相」、すなわち、通常、第1及び/又は第2粗はんだ金属組成物のさらなる処理からの第1副製品として得られ得る、溶融金属よりも軽い分離相であることを見出し、さらなる処理では、Cu、Ni及び/又はFeなどの不純物が、元素ケイ素及び/又はアルミニウムとの反応により除去され、対応するシリサイド及び/又はアルミナイドが形成され、「キュプロ」工程と呼ばれる工程ステップは、2017年12月14日にMetallo Belgiumから出願された「Improved Solder Production Process」という発明の名称の特許出願EPA17207365.2に基づく、代理人整理番号PAT2524708PC00の同時係属中の特許出願により詳細に記載されている。これらの反応生成物は、溶液から出てクラストを形成する金属間化合物である。このクラスト中のさらなる化合物は、典型的には、CuとSnとの間に形成される金属間化合物でもある。出願人らによれば、このいわゆる「キュプロ相」を溶融Pbで、好ましくは繰り返し、過剰なケイ素の存在下で「洗浄」して、Cu/Sn金属間化合物を分解し、Cuをより多くのシリサイドに結合させて、洗浄に使用される溶融Pb金属相中のSnを回収することが好ましい。この「洗浄」中に、「キュプロ相」に同伴されたはんだも、例えば液滴の形で、溶融金属Pb相の一部として回収することもできる。出願人らは、この洗浄された「キュプロ相」が、銅量が多いだけでなく典型量を超える金属不純物、特にNi、As、Bi及び/又はSbも含む第1高銅金属組成物からアノードを鋳造するためのアノード炉内における還元剤として非常に適していることを見出した。出願人らは、この「キュプロ相」が、炉の底部及び/又は壁への付着性が低く、炉の出湯孔を閉塞するおそれを低減する利点を有する、低粘度スラグ相の形成をもたらし得る還元剤として作用することができることを見出した。さらに、スラグ相は、下にある液体金属相の上に保護層を形成する。必要に応じて、形成されるスラグが主にファイヤライトスラグであることを保証するために、追加の金属鉄(Fe)を加えてもよい。
アノード炉では、出願人らによれば、必要に応じて少なくとも1つのフラックス材料を加えることが好ましい。このフラックス材料は、炉内のスラグの流動性を高めることができ、スラグ形成剤として、溶融金属相に不溶性で、炉の壁に堆積し得る材料を収容できる液相の量を増大させることができるため有用であり得る。出願人らによれば、この目的のために、ガラスなどのケイ酸ナトリウムを使用することが好ましい。出願人らによればまた、この段階で、下流の電気精錬操作からの使用済みアノードをアノード炉に再循環することが好ましく、その方法は、例えば2018年5月16日に出願された同時係属中の特許出願EPA18172598.7に記載されている。
出願人らによれば、鋳造される金属相の酸素含有量をさらに低減するために、アノード鋳造の前に追加の処理ステップを設けることが好ましい。出願人らによれば、「ポーリング」として知られる工程ステップによって金属組成物の酸素含有量を低減することが好ましい。ポーリングステップにおいて、溶融液体金属組成物を炭素源と接触させる。炭素は、溶融液体金属組成物中の酸素と反応して、炭素酸化物、CO+COガスを形成し、これらのガスは、溶融液体金属組成物から脱出し、溶融液体金属浴の上方に還元雰囲気を形成する。炭素源は、天然ガス又は炭化水素液体などの任意の炭化水素、カーボンブラック、木炭、石炭、木材を含む任意の有機材料などの任意の好都合な炭素含有材料であってよい。出願人らによれば、その利便性のために天然ガスを使用することが好ましい。金属組成物が溶融して液体である操作条件のおかげで、強い接触を作りやすく、炭素源の炭素は組成物に存在する酸素(結合及び/又は溶解)と容易に反応して炭素酸化物を形成(CO又は二酸化炭素)し、炭素酸化物は、溶融液体金属組成物からガスとして脱出し、酸素に結合していた金属を元素形態にする。ポーリングは、溶融液浴の流動性が非常に高くなるように、少なくとも1150℃の温度で行われることが好ましく、スラグは溶融液体金属浴から最初に除去されることが好ましい。ポーリングステップからのオフガスは、好ましくは、工程から除去する前に、一酸化炭素を二酸化炭素に変換する後燃焼ステップに送られる。本発明者らは、本発明による工程の一部として、酸素含有量をアノード金属組成物にとって望ましい範囲内に下げるために、炭素源を正しく投入することが非常に好都合であることを見出した。
アノード炉は、円筒形の回転炉であることが好ましく、ポーリング中に、出願人らによれば、炉と後燃焼装置との間にグースネック排気ダクトを設け、排気ダクトの口を炉の回転軸と一直線にして、すべての炉の位置で排気ガスを連続的に除去できるようにすることが好ましい。グースネックは、同伴液体ではなくオフガスが煙道ガス排気システムに入るのを可能にするために設けられた一種のサイフォンシステムであり、オフガスの収集を非常に効率的にする。
一実施形態では、出願人らは、第1高銅金属組成物を、アノードへの鋳造に適した流れとして得るための代替形態を提供する。この代替形態では、部分的酸化ステップb)及びh)で部分的な酸化がさらに押し進められ、さらに二酸化ケイ素が添加されて、Pbのほとんどが、第1及び第2銅精錬スラグの一部として、同様にFe及びSiのほとんどとともに、銅精錬ステップシーケンスb)+h)+j)から除去される。これによって、第1及び/又は第2銅精錬スラグの少なくとも1つは、好ましくはファイヤライトスラグとなり、これは、Cu、Ni及びSnと比較して、Pbの酸素に対する親和性が選択的に増加し、Pbのほとんどが、ステップb)及び/又はh)で金属相からより選択的に除去されてもよく、他の金属、特にCu、Ni及びSnの過剰な同伴なしに、最終的にこれらのステップからのスラグになるという利点をもたらす。この押し進められた酸化ステップは、多量の反応熱を生成する可能性があり、溶融液浴の温度は、固体Cu含有原材料、好ましくはNi含有量が高い原材料を添加することによって制御できる。
この代替形態の一部としてのステップj)では、金属相は、その後、ソーダ灰又はカルシウムフェライト(CaO.Fe又はCa(FeO又はCaFe)などの、Snと親和性のある別個の相の存在下で、再び部分的に酸化される。このスラグは現代の耐火性ライニング材料に対してそれほど攻撃的ではなく、適切なスラグは製鉄所の副製品として容易に入手できるため、出願人らによれば、カルシウムフェライトが好ましい。出願人らによれば、Sn/Niの平衡を乱すことを避けるために、フェライトスラグのSiOを低く保つことが好ましい。
アノード鋳造用の第1高銅金属組成物を調製するためのこの代替形態は、組成物中のNi、Sn及び/又はPbなどの汚染物質のより高い濃度を許容し、したがって原材料中及び工程全体の様々な供給原料中のこれらの金属のより高い濃度を許容するという利点を提供する。欠点は、目的の結果を達成するために、様々な工程ステップで工程パラメータを緻密及び厳格に追跡管理する必要があることである。
本発明による工程の一実施形態では、ステップl)の終わりに、第1高銅金属組成物が、炉から部分的にのみ除去され、この金属組成物の一部は、炉内に保持されて第2液浴の一部となる。この部分は、ステップl)の終わりに炉内に存在する第1高銅金属組成物の全体の少なくとも3重量%、4重量%又は5重量%、好ましくはステップl)の終わりに炉内に存在し得る第1高銅金属組成物の全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらになおより好ましくは少なくとも40重量%である。出願人らは、この量の金属が、現在及びその後の少なくとも1つの工程ステップの間の炉の操作性を改善することを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも2.0重量%のスズ、及び任意選択的に最大20重量%のスズを含む。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも3.0重量%のスズ、より好ましくは少なくとも3.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも4.0重量%、好ましくは少なくとも4.5重量%、より好ましくは少なくとも5.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも5.5重量%、好ましくは少なくとも6.0重量%、より好ましくは少なくとも6.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも7.0重量%、好ましくは少なくとも7.5重量%、より好ましくは少なくとも8.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも8.5重量%、好ましくは少なくとも9.0重量%、より好ましくは少なくとも9.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、好ましくは少なくとも10.5重量%、より好ましくは少なくとも11.0重量%のスズを含む。出願人らは、第1はんだ精錬スラグに存在するスズが多いほど、下流で得られる第1粗はんだ金属組成物に含まれ得るスズが多くなることを見出した。高純度のスズは、かなりの経済的価値を有する市販製品であるため、第1粗はんだ金属組成物中のスズの量が多いほど、第1粗はんだ金属組成物から回収され得る高純度のスズの量が多くなる可能性がある。
好ましくは、本発明による工程における第1はんだ精錬スラグは、最大19重量%のスズ、より好ましくは最大18重量%、さらにより好ましくは最大17重量%、好ましくは最大16重量%、より好ましくは最大15重量%、さらにより好ましくは最大14重量%、好ましくは最大13重量%、より好ましくは最大12重量%、さらにより好ましくは最大11重量%のスズを含む。出願人らは、スズ含有量が指定の上限に準拠することによって、利点をもたらし得る他の金属のための余地が残されるという利点がもたらされることを見出した。特に、第1はんだ精錬スラグに多量の鉛が存在する場合、その大部分は最終的に第1粗はんだ金属組成物となるため、粗はんだ金属組成物の密度が高くなり、それにより、例えば粗はんだ金属組成物のさらに下流の精錬中に、はんだの重力によって、スラグ相又はドロスなどの他の相から分離するのに非常に有利であるという利点がもたらされる。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも9重量%の鉛、及び任意選択的に最大30重量%の鉛を含む。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも10重量%の鉛、より好ましくは少なくとも11重量%、さらにより好ましくは少なくとも12重量%、好ましくは少なくとも13重量%、より好ましくは少なくとも14重量%、さらにより好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも16重量%、より好ましくは少なくとも17重量%、さらにより好ましくは少なくとも18重量%の鉛を含む。出願人らは、第1はんだ精錬スラグ中の鉛が多いほど、第1粗はんだ金属組成物中の鉛がより多くなることを見出した。より多くの鉛がこの第1粗はんだ金属製品中にある場合、第1粗はんだ金属製品が精錬ステップに供されるときに、下流の工程に利益がもたらされ、この精錬ステップは、第1粗はんだ金属製品が、より高い純度のスズ及び/又は鉛主要製品を、例えば真空蒸留によって得るための原材料である場合などに必要とされる。出願人らはまた、より高い鉛の存在が、第1粗はんだ金属製品をより高純度のスズ及び/又は鉛主要製品に変換する際に操作され得る様々なステップで、より容易な相分離などの処理の利益をもたらす可能性があることを見出した。
好ましくは、本発明による工程における第1はんだ精錬スラグは、最大28重量%の鉛、より好ましくは最大26重量%、さらにより好ましくは最大24重量%、好ましくは最大23重量%、より好ましくは最大22重量%、さらにより好ましくは最大21重量%、好ましくは最大20重量%、より好ましくは最大19重量%、さらにより好ましくは最大18重量%、好ましくは最大17重量%、より好ましくは最大16重量%、さらにより好ましくは最大15重量%の鉛を含む。本発明者らは、本発明による工程における第1はんだ精錬スラグ中の鉛の存在を規定の制限量未満に制限することは、スズの存在の余地を与える可能性があるため、有利であることを見出した。より多くのスズを有することは、より多くのスズが第1粗はんだ金属組成物中に流入する可能性があり、したがって、より高純度のスズ最終製品をそこから得ることができるという利点をもたらす。高純度のスズは商業的価値が高いため、この技術的利点は、経済的利益が高いということでもある。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、合わせて少なくとも12重量%のスズ及び鉛、任意選択的に合わせて最大50重量%のスズ及び鉛を含む。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、合わせて少なくとも13重量%のスズ及び鉛、より好ましくは合わせて少なくとも14重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも15重量%、好ましくは合わせて少なくとも16重量%、より好ましくは合わせて少なくとも17重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも18重量%、好ましくは合わせて少なくとも19重量%、より好ましくは合わせて少なくとも20重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも21重量%、好ましくは合わせて少なくとも22重量%、より好ましくは合わせて少なくとも23重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも24重量%、好ましくは合わせて少なくとも25重量%、より好ましくは合わせて少なくとも26重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも27重量%、好ましくは合わせて少なくとも28重量%、より好ましくは合わせて少なくとも29重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも30重量%のスズ及び鉛を含む。出願人らは、第1はんだ精錬スラグに存在するスズ及び鉛が多いほど、最終的に第1粗はんだ金属組成物に含まれるスズ及び鉛が多くなり得ることを見出した。高純度のスズ及び鉛は、かなりの経済的価値を有する市販製品であるため、第1粗はんだ金属組成物中のスズ及び鉛を合わせた量が多いほど、第1粗はんだ金属組成物から回収され得る高純度のスズ及び高純度の鉛の量が多くなる可能性がある。これはまた、本発明による工程が、同じ量の銅製品に対してより多くの粗はんだを製造することができるという利点をもたらす。粗はんだ製品は、より高純度のスズ及び/又はより高純度の鉛製品、すなわち、経済的価値を大幅に高めることができる製品の製造につながる可能性があり、スズ及び/又は鉛が経済的価値が比較的低いことが多い混合金属供給原料から得られたものである場合は特にである。
好ましくは、本発明による工程における第1はんだ精錬スラグは、合わせて最大45重量%のスズ及び鉛、より好ましくは合わせて最大40重量%、さらにより好ましくは合わせて最大39重量%、好ましくは合わせて最大38重量%、より好ましくは合わせて最大36重量%、さらにより好ましくは合わせて最大34重量%、好ましくは合わせて最大33重量%、より好ましくは合わせて最大32重量%、さらにより好ましくは合わせて最大31重量%、好ましくは合わせて最大30重量%、より好ましくは合わせて最大29重量%、さらにより好ましくは合わせて最大28重量%、好ましくは合わせて最大27重量%、より好ましくは合わせて最大26重量%、さらにより好ましくは合わせて最大24重量%のスズ及び鉛を含む。出願人らは、本発明による工程において、第1はんだ精錬スラグ中のスズ及び鉛の存在を合わせて規定の制限量未満に制限することが有利であることを見出した。これによって、酸素の存在の余地、及び工程条件下で、銅、ニッケル、スズ、鉛よりも酸素に対する親和性が高い他の金属の存在の余地が与えられ得るからである。これは、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。酸素に対する親和性が高いこれらの元素は、典型的には、本明細書の以下でさらに説明されるステップf)で得られる第2使用済みスラグの一部となり、すなわち、上記元素は廃棄流とともに工程から除去されることを意味する。その結果、これらの元素は、工程からの主要金属製品の1つに汚染物質として混入することはなく、つまり、これらの流れは、目的の金属の純度が高くなる。銅、ニッケル、スズ及び鉛よりも酸素に対する親和性が高いこれらの元素の許容度がより高いことも、本発明による工程への供給原料の許容基準を広げる。したがって、これらの上流ステップでは、経済的により魅力的な条件でより豊富に入手できる、はるかに低品質の原材料を受け入れることができる。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、最大4.0重量%、任意選択的に少なくとも0.2重量%のニッケル、好ましくは最大3.5重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.5重量%、好ましくは最大2.0重量%、より好ましくは最大1.5重量%、さらにより好ましくは最大1.0重量%のニッケルを含む。出願人らは、ニッケルが、以下でさらに説明するステップe)の銅と非常によく似た挙動をすることを見出した。したがって、第1はんだ精錬スラグのニッケル含有量を規定の制限量内に維持することの利点は、本明細書の他の場所で、銅、又は銅とニッケルとを合わせて説明した利点と同様である。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも0.20重量%のニッケル、より好ましくは少なくとも0.25重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.30重量%、好ましくは少なくとも0.35重量%、より好ましくは少なくとも0.40重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.45重量%のニッケルを含む。これは、第1はんだ精錬スラグを得ることができる上流の工程ステップが、ニッケルを含む供給原料を受け入れることができるという利点をもたらす。これらの供給原料は、そのニッケル含有量が原因で、他の工程ではほとんど受け入れられないため、より豊富に、より経済的に魅力的な条件で入手することができる。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、合わせて最大10.0重量%の銅及びニッケル、好ましくは合わせて最大9.0重量%、より好ましくは合わせて最大8.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大7.0重量%、さらになおより好ましくは合わせて最大6.0重量%、好ましくは合わせて最大5.5重量%、より好ましくは合わせて最大5.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大4.5重量%、好ましくは合わせて最大4.0重量%、より好ましくは合わせて最大3.5重量%、さらにより好ましくは合わせて最大3.0重量%の銅及びニッケルを含む。出願人らは、第1はんだ精錬スラグ中の銅及び/又はニッケルの量が少ないほど、スラグ相の粘度を下げる傾向がある鉄などの金属をより容易に酸化する余地がより多く残り、このことは、特に以下でさらに説明するステップe)の一部として、炉内で金属相とスラグ相とを良品質に高速で分離するために有益であることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも10重量%、及び任意選択的に最大30重量%の鉄を含む。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも11重量%の鉄、より好ましくは少なくとも12重量%、さらにより好ましくは少なくとも13重量%、好ましくは少なくとも14重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも16重量%、好ましくは少なくとも17重量%、より好ましくは少なくとも18重量%、さらにより好ましくは少なくとも19重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも21重量%、さらにより好ましくは少なくとも鉄22重量%の鉄を含む。好ましくは、第1はんだ精錬スラグは、最大29重量%の鉄、より好ましくは最大28重量%、さらにより好ましくは最大27重量%、好ましくは最大26重量%、より好ましくは最大25重量%、さらにより好ましくは最大24重量%、好ましくは最大23重量%、より好ましくは最大22重量%、さらにより好ましくは最大21重量%、好ましくは最大20重量%の鉄を含む。出願人らは、鉄が、工程条件下で、銅、ニッケル、スズ、鉛などの鉄よりも酸素に対する親和性が低い金属にとって有利な還元剤であることを見出した。したがって、本出願人らによれば、第1はんだ精錬スラグ中に指定の制限量に準拠して鉄を存在させることは、上流の工程ステップで還元剤として多量の鉄を使用できるため好ましく、このことは、例えば多くの上流工程ステップのエネルギー効率をより高くする利点がある。別の利点は、これらの上流工程ステップの供給原料の許容基準が緩和され、それにより、より豊富に、より経済的に魅力的な条件で入手可能な供給原料を受け入れることができることである。
本発明による工程の一実施形態では、第1はんだ精錬スラグは、少なくとも0.003重量%のアンチモン、好ましくは少なくとも0.004重量%、より好ましくは少なくとも0.005重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.010重量%、好ましくは少なくとも0.015重量%、より好ましくは少なくとも0.020重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.025重量%、好ましくは少なくとも0.030重量%、及び任意選択的に最大0.200重量%、好ましくは最大0.180重量%、より好ましくは最大0.150重量%、さらにより好ましくは最大0.100重量%のアンチモン、好ましくは最大0.090重量%、より好ましくは最大0.080重量%、さらにより好ましくは最大0.070重量%、好ましくは最大0.060重量%、より好ましくは最大0.050重量%、さらにより好ましくは最大0.040重量%、さらになおより好ましくは最大0.030重量%のアンチモンを含む。出願人らはまた、第1はんだ精錬スラグの一部としてのアンチモンのほとんどは、典型的には、本明細書の以下でさらに説明されるステップe)の一部として還元され、そのほとんどは最終的に第1粗はんだ金属組成物の一部になることを見出した。出願人らはさらに、第1粗はんだ金属組成物に対して行われる工程ステップが高純度のスズ及び/又は鉛主要製品の回収を目的とする場合でも、この工程ステップにおいてある量のアンチモンは許容可能であることを見出した。出願人らは、このようなより高純度の金属主要製品のいくつかにおいて、ある量のアンチモンは許容可能であり、さらには望ましい場合があることを見出した。しかしながら、出願人らは、これらの下流工程でアンチモンを収容する能力は、存在する鉛の量に関して制限されていることを見出した。したがって、出願人らによれば、同様に、第1はんだ精錬スラグの一部としてのアンチモンの量は指定の上限に準拠することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、第1鉛−スズ系金属組成物は、40重量%〜90重量%の範囲、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも61重量%、より好ましくは少なくとも62重量%、さらにより好ましくは少なくとも63重量%、好ましくは少なくとも64重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、さらにより好ましく少なくとも66重量%の銅を含む。出願人らは、規定量の銅によって、上流の工程ステップに、はんだ金属を上澄みスラグ相から第1鉛−スズ系金属組成物に抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅が存在し、したがって、上流ステップにおけるこのスラグからの貴重なスズ及び/又は鉛の回収を改善するという利点がもたらされることを見出した。
出願人らによれば、第1鉛−スズ系金属組成物が最大85重量%、好ましくは最大80重量%、より好ましくは最大75重量%、さらにより好ましくは最大70重量%、好ましくは最大65重量%の銅を含むことが好ましい。
出願人らは、第1鉛−スズ系金属組成物における銅の上限は、同様に重要であることを見出した。この銅の上限によって、より多くのスズ及び/又は鉛を処理するためのより多くの余地が残されるからであり、特にスズはかなり入手が困難な、したがって多くの場合銅よりも高い経済的価値を達成し得る金属であるからである。銅の含有量を制限し、その結果、第1鉛−スズ系金属組成物の一部としてより多くのスズを処理することにより、さらに下流のステップd)及びl)では、工程の下流の誘導物としての粗はんだと、さらに下流の高純度のスズ及び/又は高純度の鉛主要製品とをより多く製造することができるため、工程操作者に大きな利点がもたらされ得る。
本発明による工程の一実施形態では、第1鉛−スズ系金属組成物は、合わせて5.0重量%〜60重量%の範囲、好ましくは合わせて少なくとも10重量%、より好ましくは合わせて少なくとも15重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも17.5重量%、好ましくは合わせて少なくとも18重量%、より好ましくは合わせて少なくとも18.5重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも19重量%、好ましくは合わせて少なくとも20重量%、より好ましくは合わせて少なくとも22重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも24重量%、好ましくは合わせて少なくとも26重量%、及び任意選択的に合わせて最大50重量%、好ましくは合わせて最大40重量%、より好ましくは合わせて最大30重量%のスズ及び鉛を含む。スズ及び鉛を合わせた下限に準拠することによって、本発明による工程を含む工程全体が、同じ量の銅製品に対してより多くの粗はんだを製造することができるという利点がもたらされる。続いて、粗はんだを使用して、高純度のスズ及び/又は鉛主要製品を得ることができ、これにより、銅も含む混合金属供給原料から得られる場合、経済性が大幅に向上する。したがって、第1鉛−スズ系金属組成物中のスズ及び/又は鉛が多いほど、操作者にとってかなりの潜在的な経済的利益となる。
スズ及び鉛を合わせた上限に準拠することによって、より多くの銅が第1鉛−スズ系金属組成物中に許容され得るという利点がもたらされる。工程条件下で、制限量内の銅の存在は、スズ及び/又は鉛の抽出剤として作用し、したがって、ステップd)において、一方の第1銅希薄金属組成物中の銅及びニッケルと、他方の第1はんだ精錬スラグ中のスズ及び鉛との間の分離を改善するだけでなく、第1鉛−スズ系金属組成物が形成され、上澄みスラグ相と平衡状態にある上流ステップでも分離を改善するという利点をもたらす。
本発明による工程の一実施形態では、第1鉛−スズ系金属組成物は、2.0重量%〜30重量%の範囲のスズ、好ましくは少なくとも4.0重量%、より好ましくは少なくとも6.0重量%、より好ましくは少なくとも8.0重量%、好ましくは少なくとも9.0重量%、より好ましくは少なくとも9.50重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、好ましくは少なくとも11.0重量%のスズを含む。第1鉛−スズ系金属組成物中のスズが多いほど、第1はんだ精錬スラグ及び/又は第3はんだ精錬スラグに、及びさらに下流の本発明による工程の誘導物として得られ得る粗はんだ製品に流入し得るスズが多くなるという利点がもたらされる。スズは、かなり入手が困難な金属であり、したがって多くの場合、銅及び/又は鉛よりも高い経済的価値を達成し得る。したがって、第1鉛−スズ系金属組成物の一部としてより多くのスズを処理することにより、さらに下流のステップd)及びl)で、工程操作者に大きな利点がもたらされ得る。
第1鉛−スズ系金属組成物中により多くのスズを有するということは、第1鉛−スズ系金属組成物が得られる上流の工程ステップが、他の元素又は金属(銅及び/又は鉛など)とともに、より多くのスズを含む供給原料を受け入れることができるという利点ももたらす。これにより、これらの上流工程ステップの供給原料の許容基準が広がり、その結果、許容基準には、対象となる別の特定の金属とともに多量のスズを含む供給原料が含まれ得る。そのようなより複雑な供給原料は、より価値のある用途を見つけるのが困難な場合があり、したがって、比較的大量に、経済的により魅力的な条件で入手することができる。したがって、より多くのスズを含む供給原料をより多く受け入れることは、操作者にとって利点となり得る。
本発明による工程の一実施形態では、第1鉛−スズ系金属組成物は、3.0重量%〜40重量%の範囲の鉛、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも6.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも8.0重量%、好ましくは少なくとも9.0重量%、より好ましくは少なくとも9.50重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、好ましくは少なくとも11.0重量%、より好ましくは少なくとも12.0重量%、さらにより好ましく少なくとも13.0重量%の鉛を含む。第1鉛−スズ系金属組成物中の鉛が多いほど、第1はんだ精錬スラグ及び/又は第3はんだ精錬スラグに、及びさらに下流の本発明による工程の誘導物として得られる粗はんだ製品に流入し得る鉛が多くなるという利点がもたらされる。鉛は、他の金属よりもはるかに密度が高い金属であり、鉛がその一部である混合物にこの特性をもたらす。より重い液体金属相を、化学反応が起こった後に平衡状態になるより軽いスラグ相から分離する必要がある各ステップでは、金属相に鉛が存在すると、金属相の密度が高くなり、スラグ相と金属相との密度差が増す。したがって、鉛の存在により、2つの液相間の迅速で明確な分離が容易になる。より速い、より明確な分離の同じ効果は、鉛の存在によって下流の工程でも得ることができ、例えば、可能性として化学反応の結果として、より低密度のドロスを生成することによって粗はんだ流が精錬される工程ステップでも得られる。したがって、第1鉛−スズ系金属組成物の一部としてより多くの鉛を処理することにより、さらに下流のステップd)及びl)で、工程操作者に大きな利点がもたらされ得る。
第1鉛−スズ系金属組成物中により多くの鉛を有するということは、第1鉛−スズ系金属組成物が得られる上流の工程ステップが、他の元素又は金属(銅及び/又はスズなど)とともに、より多くの鉛を含む供給原料を受け入れることができるという利点ももたらす。これにより、これらの上流工程ステップの供給原料の許容基準が広がり、その結果、許容基準には、対象となる別の特定の金属とともに多量の鉛を含む供給原料が含まれ得る。そのようなより複雑な供給原料は、より価値のある用途を見つけるのが困難な場合があり、したがって、比較的大量に、経済的により魅力的な条件で入手することができる。したがって、より多くの鉛を含む供給原料をより多く受け入れることは、操作者にとって利点となり得る。
本発明による工程の一実施形態では、第1高銅金属組成物は、少なくとも70重量%の銅、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも87.5重量%、より好ましくは少なくとも90.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも91.0重量%、好ましくは少なくとも92.0重量%、より好ましくは少なくとも93.0重量%の銅を含む。第1高銅金属組成物から、通常は最終ステップである銅の電気精錬ステップの最終的な生成物として、高純度の銅製品を得ることができる。はんだ金属のスズ及び鉛を含む他の金属は、電気精錬工程を妨害する不純物である。主に銅が選択的にカソードに堆積する。したがって、銅の電気精錬は、銅以外の金属の存在に非常に敏感な工程ステップである。したがって、ステップl)から得られる第1高銅金属組成物中の銅の存在を最大化することが重要である。これにより、電気精錬によって銅をさらに精製する前に、第1高銅金属組成物をさらに精錬する必要性が低減、場合によっては排除されるからである。
本発明による工程の一実施形態では、第3はんだ精錬スラグは、少なくとも4.0重量%の銅、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも5.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、好ましくは少なくとも6.5重量%、より好ましくは少なくとも7.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも7.5重量%、好ましくは少なくとも8.0重量%、より好ましくは少なくとも8.5重量%の銅を含む。第3はんだ精錬スラグは、好ましくは、ステップl)の終わりに、第1高銅金属組成物と平衡になる。出願人らによれば、第3はんだ精錬スラグの銅濃度が指定の下限に準拠することはまた、第1高銅金属組成物中の銅が豊富になり、他の金属が少なくなるため、好ましい。第1高銅金属組成物のこのより高い純度は、上記で説明した利点をもたらす。
第3はんだ精錬スラグはまた、第3はんだ精錬スラグから粗はんだ流を回収するため、好ましくは第3はんだ精錬スラグから高い経済的価値を要請する高純度スズ及び/又は鉛流を最終的に回収するために非常に適している。出願人らは、粗はんだ流を第3はんだ精錬スラグから得る前に、まず中間ステップで銅のほとんどを除去することが有利であることを見出した。出願人らは、そのような中間ステップにおける多量の銅の存在によって、そのような中間ステップの終わりに行われる分離が大幅に改善されるとともに、銅が金属相に多く残留する傾向にある、したがって、スラグ相の銅含有量が比較的低い、したがって好ましい状態で平衡が得られるという利点がもたらされることを見出した。
本発明による一実施形態では、工程は、
c)第1銅精錬スラグを部分的に還元して、第1鉛−スズ系金属組成物と第1使用済みスラグとを形成し、続いて、第1鉛−スズ系金属組成物から第1使用済みスラグを分離し、第1鉛−スズ系金属組成物が第1液浴の基礎を形成するステップ
をさらに含む。
出願人らは、銅精錬から得られるスラグが、ステップc)でのような部分還元によって、スズ及び鉛から選択される少なくとも1つのはんだ金属と一緒に銅を含有する金属組成物を得るのに非常に適した供給原料であり、この金属組成物が、部分酸化ステップd)の供給原料として第1液浴の基礎を形成するのに非常に適していることを見出した。この理由は、銅の冶金精錬から得られるスラグは、はんだ金属のスズ及び鉛の少なくとも1つ、典型的にはスズ及び鉛の両方と一緒に銅を含有するためである。出願人らは、第1銅精錬スラグとともにステップc)に来る銅のほとんどが、最終的に、ステップc)で形成される第1鉛−スズ系金属組成物の一部になることを見出した。最終的に第1鉛−スズ系金属組成物になる銅は、工程ステップc)に存在するスズ及び/又は鉛の溶媒として役立つ。したがって、ステップc)に存在する銅は、ステップc)の金属相、すなわち第1鉛−スズ系金属組成物にスズ及び/又は鉛を維持するのに役立ち、ステップc)から第1使用済みスラグに流入し得る、したがって工程から失われ得るスズ及び/又は鉛の量を低減する。
出願人らはさらに、本発明による工程にステップc)を含めることにより、いくつかのさらなる利益がもたらされることを見出した。
ステップc)では、工程条件下で酸素に対してより低い親和性を有する炉内のそれらの金属をそれらのそれぞれの金属に選択的に還元することができる。これらの還元された金属は、次に、液体金属相として分離され、分離により、これらの金属がほとんど濃縮されていないが、酸素に対する親和性がより高い金属及び元素を含有した液体スラグ相が残され得る。このステップの目的は、好ましくは、できる限り多くのスズ及び/又は鉛の存在と一緒に、第1銅精錬スラグから銅のほとんどを銅金属として選択的に回収することである。したがって、ステップc)における還元は、好ましくは、第1使用済みスラグが合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を一緒に含むように操作される。好ましくは、第1使用済みスラグは、合わせて20重量%未満の、より好ましくはさらに少ない銅、スズ及び鉛を含む。非常に好ましくは、このスラグ中の銅、スズ及び/又は鉛の量は、それらがもはや経済的にほとんど価値を持たない程度に十分に低い。最も好ましくは、銅、スズ及び/又は鉛の濃度は、第1使用済みスラグがそのまま廃棄されても環境問題を引き起こさない程度に、又は限られたさらなる処理を行うだけで廃棄が許容され得る程度に十分に低い。
ステップc)の第1使用済みスラグでは、好ましくは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い元素のほとんどが回収される。これは、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。
出願人らは、ステップc)が、さらなる処理に非常に適した、特にそれ自体で商業的価値を有し得、及び/又は商業的に許容可能なより高い純度のスズ及び/又は鉛製品の回収に適した粗はんだ金属組成物の製造に非常に適した第1鉛−スズ系金属組成物を好ましく製造することを見出した。
出願人らは驚くべきことに、ステップc)において、金属相中の有価金属である銅、ニッケル、スズ及び鉛、並びに鉄及びアルミニウムなどの低価値金属と、スラグ相中のケイ素などのその他の元素との間のかなり明確な分離を得ることが可能であることを見出した。これにより、有価金属の非常に高い回収が可能になる一方、これらの金属が非常に少ないスラグ相が生成されるため、スラグ相は直接又は比較的少ないさらなる処理で廃棄することができる。出願人らによれば、炉全体の含有物の一部としてのステップc)の銅の存在が特定の濃度枠内にあるため、このような明確な分離が可能であると考えられる。一方で、銅は、スラグ相からのスズ及び鉛の抽出剤として作用する。他方で、銅の存在は十分に低いため、スラグ相での銅の損失は非常に制限される。
別の主要な利点は、ステップc)を含む本発明による工程の銅以外の元素に対する許容度がはるかに高く、それらの元素のほとんどが工程条件下で銅、スズ及び鉛よりも酸素に対して高い親和性を有する元素であり、したがって、最終的に第1使用済みスラグの一部になることである。これにより、本明細書の以下でさらに説明されるステップb)に追加で供給され得る、すなわち同じく本明細書の以下でさらに説明されるステップa)の一部として提供される黒銅に加えて供給され得る原材料の許容基準が大幅に広がる。さらに、これにより、黒銅自体の許容基準も大幅に緩和される。したがって、この特徴により、通常は製錬ステップで黒銅の製造に使用される原材料の許容基準が大幅に広がる。したがって、製錬ステップは、経済的により魅力的な条件でより豊富に入手可能な、はるかに低品質の原材料を受け入れることができる。
さらに別の利点は、本明細書の以下でさらに説明される上流のステップb)で、スラグの体積が全炉の含有量に比べて高いことによってもたらされる。したがって、炉からのスラグの除去により、炉の容積の大部分が解放され、通常同じ炉内で実施されるステップb)から得られる第1銅濃縮金属相のさらなる処理において、さらに追加の原材料を導入するための追加の余地が生まれる。
出願人らは、ステップc)からの第1鉛−スズ系金属組成物のこのさらなる処理は、少なくとも金属及び元素の大部分が工程条件下で酸素に対して高い親和性を有する第1使用済みスラグの一部として、上流で工程から除去されるおかげで、はるかに効果的及びはるかに効率的に操作され得ることを見出した。出願人らは、工程のこの特徴が第1鉛−スズ系金属組成物の処理に大きな利益をもたらすことを見出した。
主な利点の1つは、ステップc)で、すなわち、はんだ金属(Sn及び/又はPb)を回収する前に、第1使用済みスラグとして多量の材料を除去することにより、下流で処理される材料の量が大幅に減少することである。さらに下流のステップでは、この材料は重荷となり、利益よりも主に欠点をもたらす。ステップc)を含む本発明による工程において、第1鉛−スズ系金属組成物のさらなる処理は、はるかに多量に効率的に操作することができ、つまり、より小規模の設備を使用することができるか、又はステップc)を含む本発明による工程に、既知の工程では余地が少ないかまったくない追加の流れを処理する機会をもたらす。さらに、処理を要する高温の材料の量が減少するため、これらの下流の工程ステップでのエネルギー消費量も削減され得る。
出願人らはさらに、驚くべきことに、ステップc)を含む本発明による工程から第1使用済みスラグを除去することにより、特に第1鉛−スズ系金属組成物を処理するための下流の乾式冶金工程ステップにおける分離もはるかに改善されることを見出した。それぞれの金属相とそれに対応するスラグ相との分離をより明確にすることにより、下流の有価金属の回収をより効果的及びより効率的に操作することができ、すなわち、主要製品の収率が向上し、有価金属の廃棄が少なくなり、例えば再循環量がより少ないために必要なエネルギー入力がより少なくなる。
ステップc)を含む本発明による工程のさらなる利点は、第1鉛−スズ系金属組成物のさらなる処理において、工程からの多量の第1使用済みスラグの除去により利用可能になった追加の炉空間のおかげで、追加の材料が導入され得ることである。そのような追加の材料は、例えば、スズ及び/又は鉛が豊富であり得る。そのような追加の材料は、例えば、スズ及び/又は鉛の流れをさらに精製して商業的に価値のある主要製品にするための一部として、下流の精錬ステップからの副製品として生成される工程スラグ及び/又はドロスであり得る。
ステップc)を含む本発明による工程の別の主要な利点は、処理される同じ量の銅に対して、はるかに多量の粗はんだ副製品を可能にすることである。出願人らは、第1銅精錬ステップで処理される銅の量に対する粗はんだの同時製造量が、米国特許第3682623号に記載された工程で得られる量と比較して約29%増加し得ることを見出した。粗はんだの経済的価値は、特に高純度スズ製品を製造する際の可能な中間体としては、黒銅から得られるアノード銅主要製品の価値に比べて非常に重要である。したがって、第1銅精錬ステップで処理される銅の量に対する粗はんだ副製品の相対量の増加は、本発明による工程の操作者にかなりの経済的利点をもたらす。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)は、好ましくは第1銅精錬スラグの還元前に第1還元剤を第1銅精錬スラグに加えることによって、ステップc)に第1還元剤を加えることを含む。出願人らは、還元剤の添加が所望の化学的還元の達成を助けることを見出した。出願人らは、第1還元剤が可能性としてメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにほとんど必要とされない場合があることを見出した。本明細書の他の場所で説明されるように、出願人らは、ステップc)がシリカの添加によってさらに利益を得ることをさらに見出した。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)への総供給原料は、少なくとも29.0重量%の銅、好ましくは少なくとも30.0重量%、より好ましくは少なくとも31.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも32.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも33.0重量%、好ましくは少なくとも34.0重量%、より好ましくは少なくとも35.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも36.0重量%、好ましくは少なくとも37.0重量%、より好ましくは少なくとも38.0重量%の銅を含む。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)への総供給原料は、存在するはんだ金属の総量、すなわちSnとPbとの合計の少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも1.6倍、より好ましくは少なくとも1.7倍、さらにより好ましくは少なくとも1.8倍、さらになおより好ましくは少なくとも1.9倍、好ましくは少なくとも2.0倍、より好ましくは少なくとも2.1倍の銅を含む。
出願人らは、規定量の銅によって、はんだ金属をスラグ相から第1鉛−スズ系金属組成物に抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅が存在し、したがって、ステップc)におけるスラグからの貴重なスズ及び/又は鉛の回収を改善するという利点がもたらされることを見出した。
出願人らは、ステップc)への総供給原料において、存在するSnとPbとの合計の存在に対して銅の存在を指定の下限にすることによって、Sn及びPbがスラグ相からより良好に抽出され、しかもスラグ相に多量の銅を導入することなく行われるという利点がもたらされることを見出した。出願人らは、ステップc)への供給原料中の銅の高い存在が、ステップc)の終わりにスラグ相と金属相との間のスズ及び鉛の平衡に影響を与え、これらのはんだ金属のスラグ相から金属相への移動を促進することを見出した。出願人らは、この効果は、ステップc)から得られる使用済みスラグ中の銅の濃度を、経済的に有意な、場合によって許容できない濃度まで増加させることなく達成され得ることを見出した。出願人らは、ステップc)への供給原料中の銅の量が多いことにより、低濃度のスズ及び/又は鉛、並びに銅のみを含む使用済みスラグがステップc)から得られ得ることを見出した。これは、ステップc)からの使用済みスラグが、その責任ある廃棄又は適切な下流用途での使用のために、たとえあったとしても、必要とするさらなる処理がより少ないという利点をもたらす。
出願人らは、はんだ金属、すなわちSn及びPbの合計に対する規定量の銅によって、はんだ金属をスラグ相から第1鉛−スズ系金属組成物に抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅が存在し、したがって、ステップc)におけるスラグからの貴重なスズ及び/又は鉛の回収を改善するという利点がもたらされることを見出した。出願人らは、この利点は、ステップc)で形成されるスラグ相において貴重な銅の許容できない損失をもたらすことなく得られ得ることを見出した。
出願人らは、ステップc)への供給原料中のはんだ金属Pb及びSnの量に対する最小量の銅の存在によって、明示したように、有価金属であるスズ、鉛、及び必要に応じて銅若しくは場合によってニッケルが、それらの存在が望まれる製品流により高率に回収されるという利益がもたらされることを見出した。これはまた、これらの金属がほとんど存在しないか又は存在しないことが望ましい製品流にこれらの金属が存在することによって引き起こされ得る負担を低減する。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)からの第1使用済みスラグは、合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛、好ましくは合わせて最大18重量%、より好ましくは合わせて最大15重量%、さらにより好ましくは合わせて最大12重量%、さらになおより好ましくは合わせて最大9.0重量%、好ましくは合わせて最大7.0重量%、より好ましくは合わせて最大5.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大4.0重量%、さらになおより好ましくは合わせて最大3.0重量%、好ましくは合わせて最大2.0重量%、より好ましくは合わせて最大1.5重量%、さらにより好ましくは合わせて最大1.10重量%の銅、スズ及び鉛を含む。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)からの第1使用済みスラグは、最大7.0重量%の銅、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%の銅を含む。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)からの第1使用済みスラグは、最大7.0重量%のスズ、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%、より好ましくは最大0.30重量%のスズを含む。
ステップc)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップc)からの第1使用済みスラグは、最大7.0重量%の鉛、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大3.0重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.50重量%、好ましくは最大1.00重量%、より好ましくは最大0.75重量%、さらにより好ましくは最大0.60重量%、さらになおより好ましくは最大0.50重量%、好ましくは最大0.40重量%の鉛を含む。
第1使用済みスラグに含まれる銅、スズ、鉛、及び3つの金属合計の存在に関する指定の上限は、それぞれ個別に、ステップc)から第1使用済みスラグとともに工程を離れる経済的価値のある3つの目的金属の量が制限されて維持されるという利益をもたらす。これにより、第1使用済みスラグの廃棄前に、第1使用済みスラグに追加の工程ステップを提供する必要性又は要望が減り、第1使用済みスラグの廃棄前、又はスラグが経済的により魅力的な用途若しくは最終用途で許容可能と見なされる前に、必要とされる追加の処理ステップが少ないか、又は場合によっては不要になるという利益がもたらされる。
ステップc)を含む本発明による工程の第1使用済みスラグでは、工程条件下でスズ及び/又は鉛及び/又は銅及び/又はニッケルよりも酸素に対する親和性が高い元素のほとんどが回収される。これは、亜鉛、クロム、マンガン、バナジウム、チタン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。
本発明による工程の一実施形態では、ステップc)における、及び好ましくは本明細書の以下でさらに説明されるステップb)におけるスラグの温度は、少なくとも1000℃、好ましくは少なくとも1020℃、より好ましくは少なくとも1040℃、さらにより好ましくは少なくとも1060℃、好ましくは少なくとも1080℃、より好ましくは少なくとも1100℃、さらにより好ましくは少なくとも1110℃、好ましくは少なくとも1120℃、より好ましくは少なくとも1130℃、さらにより好ましくは少なくとも1140℃、好ましくは少なくとも1150℃である。出願人らは、スラグの温度が規定の制限値に準拠し、好ましくは規定の制限値を超えると、金属相とスラグ相との間の分離がより明確になることを見出した。この理論に縛られることを望まないが、出願人らによれば、少なくともスラグの粘度が高温ではより低いため、より高い温度がより明確な分離をもたらすと考えられる。スラグ粘度が低いほど、より重い金属の泡がより速く結合してより大きな泡になり、下にある金属相に到達して金属相と結合するまで、スラグ相を通過してより速く沈降することができる。より高い温度はまた、反応速度がより早くなるという利点をもたらし、その結果、所望の平衡により速く到達することができる。
しかしながら、出願人らによれば、同様に、金属相とスラグ相との間の平衡は温度によって影響を受けると考えられる。通常、温度が高いほど、工程条件下での酸素に対する親和性の観点から、異なる金属間の違いは低減する傾向がある。したがって、出願人らによれば、ステップb)及び/又はステップc)における炉の温度を最大1300℃、好ましくは最大1250℃、より好ましくは最大1200℃に制限することが好ましい。出願人らによれば、少なくとも2つの液相間、通常は上澄みスラグ相と下にある金属相との間で相分離が行われる本発明による工程のすべてではないにしても、ほとんどのステップにこの制限を適用することが好ましい。
一実施形態では、本発明による工程は、
e)第1はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第1粗はんだ金属組成物と第2はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第1粗はんだ金属組成物から第2はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
このステップe)によって、第1はんだ精錬スラグに同伴された比較的少量の銅及び/又はニッケルのほとんども含む、スズ及び/又は鉛が豊富な粗はんだ流が製造される。第1粗はんだ流は、例えば独国特許出願公開第102012005401号に記載のケイ素金属での処理によって、スズ及び/又は鉛をさらに濃縮するためにさらに処理するのに適している。代替的又は追加的に、この粗はんだ流は、任意選択的にスズ及び/又は鉛含有量を増加させるための濃縮ステップ後に、国際公開第2018/060202号又は類似案件に記載のようにさらに調整され、その後、同じ文献に記載のように、蒸留して、高純度金属製品としてスズ及び/又は鉛を回収してもよい。
出願人らは、ステップe)でのはんだ金属の第1粗はんだ金属組成物への回収が有利に高く得、スズ及び/又は鉛だけでなく、同様に銅及び/又はニッケルの第2はんだ精錬スラグへの同伴が有利に低く維持され得ることを見出した。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、合わせて少なくとも65重量%のスズ及び鉛、好ましくは合わせて少なくとも67重量%、より好ましくは合わせて少なくとも69重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも70重量%、好ましくは合わせて少なくとも72重量%、より好ましくは合わせて少なくとも74重量%、好ましくは合わせて少なくとも75重量%、より好ましくは合わせて少なくとも76重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも77重量%のスズ及び鉛を含む。出願人らは、第1粗はんだ金属組成物中に存在するスズ及び鉛の量が多いほど、第1粗はんだ金属組成物から回収され得る高純度のスズ及び高純度の鉛、すなわち経済的価値の高い製品の量が多くなることを見出した。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、少なくとも5.0重量%のスズ、好ましくは少なくとも7.5重量%、より好ましくは少なくとも10.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも15.0重量%、好ましくは少なくとも17重量%、より好ましくは少なくとも19重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも21重量%、より好ましくは少なくとも22重量%のスズを含む。出願人らは、第1粗はんだ金属組成物中に存在するスズが多いほど、第1粗はんだ金属組成物から回収され得る高純度スズの量が多くなることを見出した。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、少なくとも45重量%の鉛、好ましくは少なくとも47.5重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも52重量%、好ましくは少なくとも53重量%、より好ましくは少なくとも54重量%、さらにより好ましくは少なくとも55重量%の鉛を含む。出願人らは、第1粗はんだ金属組成物中に存在する鉛が多いほど、第1粗はんだ金属組成物から回収され得る高純度鉛、すなわち、かなりの経済的価値を有する市販製品の量が多くなることを見出した。鉛はさらに、第1粗はんだ金属組成物のさらなる処理中に下流で発生するいずれの相分離においても、鉛を含む液体金属流がより高い密度を有し、したがって上澄みスラグ相又はドロス相から重力によってより容易に分離するという利点をもたらす。さらなる利点は、工程全体の供給原料がより多くの鉛を含むことが許容されることであり、そのため、より多様な原料が受け入れられるようになり、可能な供給原料の選択の幅が広がり、場合によってより経済的に魅力的な条件でより豊富に入手可能な供給原料が含まれるという利益がもたらされる。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、合わせて最大26.5重量%の銅及びニッケル、好ましくは合わせて最大25.0重量%、より好ましくは合わせて最大22.5重量%、さらにより好ましくは合わせて最大20.0重量%、好ましくは合わせて最大17.5重量%、より好ましくは合わせて最大16.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大15.5重量%の銅及びニッケルを含む。出願人らは、ステップe)で得られる第1粗はんだ金属組成物中の銅及びニッケルがより少ないことが有利であることを見出した。第1粗はんだ金属組成物は、例えば、この粗はんだ金属組成物が高純度のスズ及び/又は鉛製品の回収に適するようになる前に、通常、粗はんだ金属組成物中のスズ、鉛及びアンチモン以外の金属の存在を低減するために、さらなる精製ステップに供する必要がある。これには、銅及びニッケルの除去が含まれる。そのような処理には、例えば、独国特許出願公開第102012005401号に記載されているように、ケイ素金属を使用することができる。ケイ素金属はかなり高価な工程薬品であり、この処理によって、汚染金属のケイ素化合物が副製品として生じ、これは、再加工又は廃棄の必要がある。したがって、第1粗はんだ金属に同伴された銅及びニッケルは、そのような精製ステップにおけるケイ素金属の消費の増加を引き起こす。したがって、規定の上限量に準拠して、第1粗はんだ金属組成物中の銅及びニッケルを制限することが有利である。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、最大17.5重量%の銅、好ましくは最大15重量%、より好ましくは最大14重量%、さらにより好ましくは最大13重量%、好ましくは最大12重量%、より好ましくは最大11重量%の銅を含む。銅及びニッケルを合わせて上記で説明した理由により、出願人らによれば、規定された上限量に準拠して、第1粗はんだ金属組成物中の銅を制限することが好ましい。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、最大9.0重量%のニッケル、好ましくは最大7.0重量%、より好ましくは最大5.0重量%、さらにより好ましくは最大4.0重量%、好ましくは最大3.0重量%、より好ましくは最大2.0重量%のニッケルを含む。銅及びニッケルを合わせて上記で説明した理由により、出願人らによれば、規定された上限量に準拠して、第1粗はんだ金属組成物中のニッケルを制限することが好ましい。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物は、最大8重量%の鉄、好ましくは最大8.0重量%、より好ましくは最大7.5重量%、さらにより好ましくは最大7.0重量%、好ましくは最大6.5重量%、より好ましくは最大6.0重量%、さらにより好ましくは最大5.5重量%、好ましくは最大5.0重量%、より好ましくは最大4.5重量%、さらにより好ましくは最大4.0重量%、好ましくは最大3.5重量%の鉄を含む。出願人らは、ステップe)で得られる第1粗はんだ金属組成物中の鉄がより少ないことが有利であることを見出した。第1粗はんだ金属組成物は、例えば、この粗はんだ金属組成物が高純度のスズ及び/又は鉛製品の回収に適するようになる前に、通常、粗はんだ金属組成物中のスズ、鉛及びアンチモン以外の金属の存在を低減するために、少なくとも1つのさらなる精製ステップに供する必要がある。これには鉄の除去が含まれる。そのような処理には、例えば、独国特許出願公開第102012005401号に記載されているように、ケイ素金属を使用することができる。ケイ素金属は、かなり高価な工程薬品であり、この処理によって、汚染金属のケイ素化合物が副製品として生じ、これは、再加工又は廃棄の必要がある。したがって、第1粗はんだ金属に同伴された鉄は、そのような精製ステップにおけるケイ素金属の消費の増加を引き起こす。したがって、規定の上限量に準拠して、第1粗はんだ金属組成物中の鉄を制限することが有利である。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2はんだ精錬スラグは、合わせて最大2.0重量%の銅及びニッケル、好ましくは合わせて最大1.5重量%、より好ましくは合わせて最大1.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大0.5重量%、好ましくは合わせて最大0.45重量%、より好ましくは合わせて最大0.40重量%の銅及びニッケルを含む。第2はんだ精錬スラグに含まれる銅及びニッケルがより少ないということは、ステップe)の終わりに第2はんだ精錬スラグと平衡状態にある第1粗はんだ金属組成物中の銅及びニッケルもより少ないことを意味する。したがって、第2はんだ精錬スラグ中に含まれる銅及びニッケルがより少ないことの利点としては、第1はんだ精錬スラグ中に含まれる銅及び/又はニッケルがより少ないことに関して本明細書の他の場所で説明されている利点が挙げられる。さらに、この特徴によって、本明細書の以下でさらに説明されるステップf)で得られる第2鉛−スズ系金属組成物に最終的になり得る銅及びニッケルがより少なくなり、第2鉛−スズ系金属組成物から回収する必要がある銅及びニッケルがより少なくなるという利益がもたらされる。別の利点は、ステップf)で利用可能な炉の容積が増大するため、ステップf)の一部としてより多量の新しい供給原料の導入が可能になることである。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2はんだ精錬スラグは、合わせて最大8.0重量%、及び任意選択的に合わせて少なくとも1.0重量%のスズ及び鉛、好ましくは合わせて最大7.0重量%、より好ましくは合わせて最大6.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大5.0重量%、好ましくは合わせて最大4.5重量%、より好ましくは合わせて最大4.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大3.5重量%のスズ及び鉛を含む。出願人らは、ステップe)の終わりの第2はんだ精錬スラグ中のスズ及び鉛の存在を制限することが有利であることを見出した。本明細書の以下でさらに説明される下流のステップf)で回収する必要があるこれらのスズ及び鉛のほとんどが、最終的に第2鉛−スズ系金属組成物になり、主要な高品質金属製品にこれらのスズ及び鉛を回収するためにさらなる処理を必要とするからである。ステップf)における第2使用済みスラグの製造の上流で、スズ、特に鉛を回収することも重要である。典型的に、最終的に使用済みスラグとなるスズ及び/又は鉛はすべて、工程からの有価金属の損失を表し、使用済みスラグを廃棄する前に、又は経済的により価値のある用途での使用に適するようにする前に、さらなる処理が課される場合がある。
一方、出願人らによれば、また、第2はんだ精錬スラグ中に、合わせて少なくとも1.5重量%のスズ及び鉛、好ましくは合わせて少なくとも2.0重量%、より好ましくは合わせて少なくとも2.5重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも3.0重量%、好ましくは合わせて少なくとも3.5重量%のスズ及び鉛を含むことが好ましい。これは、ステップe)の終わりに第2はんだ精錬スラグと平衡になると予想され、その利点が本明細書の他の場所で説明されている第1粗はんだ金属組成物中に合わせてより多くのスズ及び鉛を有するという利点ももたらす。
本発明の一実施形態では、工程は、
f)第2はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2鉛−スズ系金属組成物と第2使用済みスラグとを形成し、続いて、第2鉛−スズ系金属組成物から第2使用済みスラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、粗はんだ製造ステップe)の下流に、追加の還元ステップf)を、特に上記ステップe)から回収された第2はんだ精錬スラグの還元ステップを設けることが有利であることを見出した。出願人らは、ステップf)によって、この第2はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出しながら、残りのスラグを価値のある最終使用用途での使用のために、及び/又は使用済みスラグとして廃棄するためにさらにより適切に処理し得ることを見出した。出願人らはさらに、追加の還元ステップf)が、スラグ中の鉛などの浸出可能な金属を十分に低い濃度に還元することができ、その結果、ステップf)から残ったスラグはさらに貴重な材料として使用可能になり、又は責任をもって廃棄可能になり、これはまた、鉛及び/又は亜鉛などの敏感な金属の濃度を下げるために、非常に限られた数の追加の処理ステップで、場合によってはさらなる処理ステップなしで行われ得ることを見出した。
一実施形態では、ステップf)を含む本発明による工程は、好ましくは第2はんだ精錬スラグの還元前に、ステップf)に第1新しい銅含有供給原料を加えることを含む。
出願人らは、銅が、ステップe)の後に残される第2はんだ精錬スラグ中に残存する他の有価金属の優れた抽出剤として作用することができ、また、この有利な抽出は、ステップf)で製造される第2使用済みスラグへの多量の銅の損失を伴わずに実行することができるため、還元ステップf)への銅の添加は大きな利点をもたらすことを見出した。
出願人らはさらに、ステップf)に添加され得る新しい銅含有供給原料が、多量の他の有価金属、特に亜鉛、ニッケル、スズ及び/又は鉛を含み得ることを見出した。出願人らは、十分な銅が利用可能であれば、特にスズ及び/又は鉛の第2使用済みスラグへの損失を非常に低く保つことができるため、この第2使用済みスラグのさらなる使用又は経路づけを脅かすことも、有価金属の経済的に重要な損失を招くこともないことを見出した。
出願人らは、多種多様な材料が、ステップf)への新しい銅含有供給原料として適していることを見出した。しかしながら、出願人らによれば、ステップf)への新しい銅含有供給原料が、可燃物、すなわち工程条件下で容易に酸化する物質、例えばプラスチック及び/又は炭化水素などの有機材料、燃料又はオイルの残りなどを、限られた量のみ含み、好ましくはほとんど乃至全く含まず、そのため、ステップf)の温度が容易に制御可能であることが好ましい。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第1新しい銅含有供給原料は、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む。
出願人らは、ステップf)において、ステップe)からの第2はんだ精錬スラグから、追加の有価金属をステップf)からの第2使用済みスラグ中に過度に失うことなく、より多くの有価金属を抽出するために、本明細書の以下でさらに説明されるステップa)で提供される黒銅と組成が類似した多量の黒銅をステップf)に添加することを見出した。出願人らは、ステップf)で許容される上流の製錬ステップからのそのような黒銅の量は、本明細書の以下でさらに説明される第1銅精錬ステップb)への供給原料としてステップa)で提供される黒銅量が桁違いの大きさであったとしても、非常に大きいことを見出した。出願人らは、ステップf)を本発明による工程に含めることにより、製錬タイプの黒銅を処理する能力を、したがって、低価値の、つまり、高価値に高められる可能性のある有価金属を持ち込む低品質の原材料を多量に処理する能力を大幅に高めることを見出した。出願人らは、ステップf)を操作するこの方法は、上流の製錬ステップからの黒銅の大部分が、これらのすべての黒銅が本明細書でさらに説明される銅精錬シーケンスの少なくとも第1ステップb)を通過する必要なく処理され得るという追加の利点をもたらすことを見出した。ステップf)への黒銅供給原料中の、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高いすべての金属は、この新しい黒銅供給原料からステップf)への銅がステップb)に流入し、ステップb)から始まる銅精錬工程シーケンスを通過する前に、すでに除去されている可能性が高い。
出願人らはまた、ステップf)が使用済み及び/又は排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。高品質の銅の製造は、典型的に電気分解ステップを含み、銅はアノードから電解液に溶解し、カソードに再堆積する。アノードは、典型的には完全には消費されず、アノードは、その最後の銅が溶解する前に電解浴から使用済み銅アノード材料として除去される。出願人らは、ステップf)がそのような使用済み銅アノード材料を導入するのに非常に適していることを見出した。そのような銅電気分解ステップのための銅アノードは、典型的には、適量の溶融アノード品質銅を鋳型に注ぎ、冷却時に銅を凝固させることにより鋳造される。銅の電気分解を適切に機能させるために、アノードはかなり厳格な寸法及び形状要件に準拠する必要がある。非準拠のアノードは使用しないことが好ましいが、排除銅アノード材料を表す。出願人らは、ステップf)はそのような排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。
出願人らによれば、使用済み及び/又は排除銅アノード材料を、予熱をほとんど乃至全く伴わずに固体として導入することが好ましい。これは、この材料の溶融が、ステップf)で発生する化学反応によって生成される反応熱の少なくとも一部を消費するという利点をもたらす。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2鉛−スズ系金属組成物は、合わせて少なくとも60重量%、任意選択的に合わせて最大90重量%の銅及びニッケル、好ましくは合わせて少なくとも65重量%、より好ましくは合わせて少なくとも68重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも70重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも72重量%の銅及びニッケルを含む。出願人らは、ステップf)の終わりの第2鉛−スズ系金属組成物中の合わせて多量の銅及びニッケル、特に多量の銅が有利であることを見出した。銅とさらにニッケルとは、ステップf)で他の有価金属、特にスズ及び鉛の抽出剤として作用し、これは、適切な条件下で、銅及びニッケルの相平衡によって実現可能となり、同時に第2使用済みスラグ中への銅及びニッケルの許容できないほど高い損失も生じない。
一方、出願人らによれば、第2鉛−スズ系金属組成物が合わせて最大85重量%、好ましくは合わせて最大82重量%、より好ましくは合わせて最大80重量%、さらにより好ましくは合わせて最大77.5重量%、好ましくは合わせて最大75重量%の銅及びニッケルを含むことが好ましい。これにより、スズ及び/又は鉛を回収する余地がより多く残され、ステップf)からの第2使用済みスラグ中へのスズ及び/又は鉛の損失が減少する。出願人らはまた、この上限に準拠することにより、ステップf)の終わりの第2使用済みスラグ中への有価金属、特に銅の損失が大幅に減少することを見出した。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2鉛−スズ系金属組成物は、合わせて少なくとも12重量%のスズ及び鉛、好ましくは合わせて少なくとも15重量%、より好ましくは合わせて少なくとも17重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも18重量%、好ましくは合わせて少なくとも19重量%、より好ましくは合わせて少なくとも20重量%、さらにより好ましくは合わせて少なくとも21重量%、好ましくは合わせて少なくとも22重量%のスズ及び鉛を含む。出願人らは、ステップf)の終わりの金属相における、スズ及び鉛の最小の存在など、銅以外の金属の最小の存在によって、ステップf)の終わりに銅と平衡状態になる第2使用済みスラグ中に失われる銅がより少なくなるという利点がもたらされることを見出した。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2鉛−スズ系金属組成物は、少なくとも60重量%、任意選択的に最大85重量%の銅、好ましくは少なくとも65重量%、より好ましくは少なくとも67重量%、さらにより好ましくは少なくとも69重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも71重量%の銅を含む。出願人らは、特に、ステップf)の終わりの第2鉛−スズ系金属組成物中の多量の銅が有利であることを見出した。銅は、ステップf)で他の有価金属、特にスズ及び鉛の抽出剤として作用し、これは、適切な条件下で、銅の相平衡によって実現可能となり、同時に第2使用済みスラグ中への銅の許容できないほど高い損失も生じない。
一方、本出願人らによれば、第2鉛−スズ系金属組成物が最大82.5重量%、好ましくは最大80重量%、より好ましくは最大77.5重量%、さらにより好ましくは最大75重量%、好ましくは最大72.5重量%の銅を含むことが好ましい。これにより、スズ及び/又は鉛を回収する余地がより多く残され、ステップf)からの第2使用済みスラグ中へのスズ及び/又は鉛の損失が減少する。出願人らはまた、この上限に準拠することにより、ステップf)の終わりの第2使用済みスラグ中への貴重な銅の損失が大幅に減少することを見出した。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2使用済みスラグは、合わせて最大2.5重量%のスズ及び鉛、好ましくは合わせて最大2.0重量%、より好ましくは合わせて最大1.5重量%、さらにより好ましくは合わせて最大1.00重量%、好ましくは合わせて最大0.95重量%のスズ及び鉛を含む。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2使用済みスラグは、合わせて最大2.0重量%の銅及びニッケル、好ましくは合わせて最大1.5重量%、より好ましくは合わせて最大1.0重量%、さらにより好ましくは合わせて最大0.75重量%、好ましくは合わせて最大0.60重量%の銅及びニッケルを含む。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2使用済みスラグは、最大2.0重量%の銅、好ましくは最大1.5重量%、より好ましくは最大1.0重量%、さらにより好ましくは最大0.70重量%の銅を含む。
銅、ニッケル、スズ、鉛、及びこれらの金属のいずれかの組み合わせの存在に関する指定の上限は、それぞれ個別に、ステップf)から第2使用済みスラグとともに工程を離れる経済的価値のある目的金属の量が制限されて維持されるという利益をもたらす。これにより、第2使用済みスラグの廃棄前に、第2使用済みスラグに追加の工程ステップを提供する必要性又は要望が減り、第2使用済みスラグの廃棄前、又はスラグが経済的により魅力的な用途若しくは最終用途で許容可能と見なされる前に、必要とされる追加の処理ステップが少ないか、又は場合によっては不要になるという利益がもたらされる。
ステップf)を含む本発明による工程の第2使用済みスラグでは、工程条件下でスズ及び/又は鉛及び/又は銅及び/又はニッケルよりも酸素に対する親和性が高い元素のほとんどが回収される。これは、亜鉛、クロム、マンガン、バナジウム、チタン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、その他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属などの金属だけでなく、ケイ素又はリンなどの他の元素にも特に当てはまる。最終的に第2使用済みスラグになるこれらの要素はすべて工程から除去され、上流の工程ステップに再循環する場合と比較して、有用な炉の容積を占領しない。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップf)は、第3還元剤をステップf)に加えることを含む。
出願人らは、第3還元剤が、還元ステップf)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2鉛−スズ系金属組成物中に分離し、排除可能金属を第2使用済みスラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第3還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップf)を含む本発明による工程の一実施形態では、第3還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。本明細書の他の場所で説明されるように、出願人らは、ステップf)がシリカの添加によってさらに利益を得ることができることをさらに見出した。
出願人らによれば、ステップf)に、鉄を豊富に含む第3還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として追加することが好ましく、これは、上記マルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅及び/又はスズが金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれる鉄は酸化鉄としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下で鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
g)第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップc)に再循環し、好ましくは第1銅精錬スラグを還元する前に、好ましくはすべてではないにしてもほとんどの第2鉛−スズ系金属組成物をステップc)に加える、及び/又は第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部を本明細書の以下でさらに説明されるステップb)に再循環する、及び/又は第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップd)に再循環するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップf)からの第2鉛−スズ系金属組成物中の有価金属が、この組成物をステップc)及び/又はステップb)及び/又はステップd)に加えることによって容易に回収され得ることを見出した。工程条件下で酸素に対する親和性がより高い第2鉛−スズ系金属組成物中の金属は、容易に酸化し、同じ条件下で酸素に対して親和性がより低い第2鉛−スズ系金属組成物中の金属は、ステップc)に供給されて還元される。ステップc)におけるステップf)からの追加の金属の存在は、第1銅精錬スラグ中に酸化物として存在する金属の部分的な還元をもたらす。その結果、Cu、Ni、Sn、Pb、Sb、Asなどのより多くの有価金属がステップc)の金属相に移動し、Fe、Si、Alなどのより多くの排除可能金属がステップc)で製造される第1使用済みスラグに移動する。したがって、この第2鉛−スズ系金属組成物をステップc)に加えると、ステップf)から回収された金属の所望の分離が得られることと組み合わせて、ステップc)への他の供給原料の所望の分離が改善される。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップe)は、第2還元剤をステップe)に、好ましくは第1はんだ精錬スラグの還元前に第1はんだ精錬スラグに加えることを含む。出願人らはさらに、ステップe)で還元を行うために、ステップe)に加えられ得る金属流に加えて、又は代替として、還元剤をステップe)に加えてもよいことを見出した。出願人らは、還元剤の添加が所望の化学的還元の達成を助けることを見出した。出願人らは、第2還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
出願人らは、ステップe)における還元は、適切な金属流(第2還元剤)を加えることによって、すなわち、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えば亜鉛、ケイ素、マグネシウム、鉄、カルシウム又はアルミニウムを含む金属組成物を加えることによって、少なくとも部分的に実施され得ることを見出した。この金属流は、好ましくはさらにスズ及び/又は鉛も含み、任意選択的にいくらかのアンチモン及び/又はヒ素も含み得る。この追加のアンチモン、スズ、及び/又は鉛は、最終的にステップe)からの第1粗はんだ金属組成物の一部に容易になり、精製された金属主要製品の一部として下流で容易に回収され得る。追加される金属流は、好ましくは、ニッケル及び/又は銅、すなわち、最終的にステップe)からの第1粗はんだ金属組成物の一部となる可能性も高いが、第1粗はんだ金属組成物の精錬の下流にケイ素処理ステップを設ける場合の追加のケイ素消費など、余分な工程負担及び運用費用をもたらす可能性がある金属を、少量のみ含むことが好ましい。また、追加された鉄のすべてがスラグ相になるわけではなく、第1粗はんだ金属組成物とともにステップe)を離れて、下流の工程の負担を増やすため、鉄は、限られた量のみ存在するのが好ましい。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくはそのような金属であり、好ましくは第2還元剤は、鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きいため、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。本明細書の他の場所で説明されるように、出願人らは、ステップe)がシリカの添加によってさらに利益を得ることをさらに見出した。
ステップe)を含む本発明による工程の一実施形態において、第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料がステップe)に、好ましくは第1はんだ精錬スラグの還元前に第1はんだ精錬スラグに加えられ、好ましくは第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料は、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、より好ましくは主にそのようなドロスである。
出願人らは、ステップe)が、スズ及び/又は鉛が豊富だが、銅及びニッケルが少ない、ただし工程条件下でスズ及び鉛よりも酸素への親和性が高い金属を含む可能性がある材料を導入するための本工程における非常に適切な場所であることを見出した。上記材料のステップe)への追加は、スズ及び/又は鉛が第1粗はんだ金属組成物の一部として容易に回収され、工程から引き出される一方、いわゆる「卑金属」と呼ばれる金属は、短い直線の工程経路で下流のステップf)で製造される第2使用済みスラグに入るという利点をもたらす。
出願人らは、ステップe)が、そのような金属が豊富であるが銅及び/又はニッケルが比較的少ない原材料又は工程副製品において、スズ及び/又は鉛、並びに任意選択的にアンチモン及び/又はヒ素を回収するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムなどをさらに含み得ることを見出した。そのような金属は、例えば、第1粗はんだ金属組成物又は下流の誘導物などのスズ及び/又は鉛に富む流れを精錬するための下流ステップで使用される工程薬品の一部として導入され得る。出願人らは、ステップe)が、国際公開第2018/060202号又は類似案件に開示された工程の一部として実施される精錬ステップの1つで形成されたドロス副製品から有価金属を回収するのに非常に適していることを見出した。そのようなドロス副製品流は、典型的には、経済的に多量のスズ及び/又は鉛を同伴するが、工程薬品の一部として導入された可能性がある他の金属も含む。
一実施形態では、本発明による工程は、
a)多量のスズ及び/又は鉛と一緒に多量の銅を含む黒銅組成物を提供するステップと、
b)黒銅組成物を部分的に酸化して、第1銅濃縮金属相と第1銅精錬スラグとを形成し、続いて、第1銅濃縮金属相から第1銅精錬スラグを分離するステップと
をさらに含み、
第1銅精錬スラグをステップc)に供給する。
出願人らは、黒銅供給原料の部分的な酸化が、スラグ相、すなわち第1はんだ精錬スラグの製造に非常に効果的であり、このスラグは、ステップe)の第1粗はんだ金属組成物などの粗はんだ流の誘導に特に適しており、この粗はんだ流は、高純度のスズ及び/又は鉛製品の回収のための中間体として役立ち得ることを見出した。出願人らは、この効果が、特に工程d)で第1銅希薄金属組成物を得ることに起因するだけでなく、ステップa)、b)、c)及びd)を含む本発明による工程で特定される一連の酸化及び還元ステップにも起因することを見出した。
ステップb)を含む本発明による工程の一実施形態において、ステップb)に存在するスズの総量に対して、ステップb)における第1銅精錬スラグの一部としてのスズの回収は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40.00%、さらにより好ましくは少なくとも45%、さらになおより好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも57%である。特定の元素の%回収率の単位を指定する必要はなく、これは、原子又は重量のどちらを考慮しても、%回収率は同じであるからである。
ステップb)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップb)に存在する鉛の総量に対して、ステップb)における第1銅精錬スラグの一部としての鉛の回収率は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30.00%、より好ましくは少なくとも40%、さらにより好ましくは少なくとも45%、さらになおより好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%である。
第1銅精錬スラグの一部としてのステップb)におけるスズ及び/又は鉛の回収に関する指定の下限は、黒銅に対して実施される第1酸化ステップですでに、存在する多量のスズ及び/又は鉛が、銅以外の多量の他の元素とともに除去されるという利点をもたらす。これにより、第1銅濃縮金属相に対して下流で実施されるステップに供給される不純物がより少なくなるという利点がもたらされる。これは、第1銅濃縮金属相に対する下流の工程ステップが対処する必要のある不純物の量がより少なく、また、第1銅濃縮金属相によって占有される容積がより少ないことを意味する。これは通常、第1銅濃縮金属相に対して実施される後続の工程ステップでより多くの貴重な炉容積が解放され、それにより、これらの工程ステップで追加の材料を導入する余地が生まれ、したがって、同じ炉容積の制約内で最終的な銅製品の製造量増加の機会が得られることを意味する。列挙された利点は、ステップb)でのスズの回収の下限、ステップb)での鉛の回収の下限、及びステップb)でのスズの回収の下限と鉛の回収の下限との組み合わせに関連する。効果は、スズ及び鉛の2つの金属に関して累積的であり、2つの個別の効果の合計に比べて、2つが一緒の場合、効果を強化しさえする。
出願人らは、必要に応じて酸素の捕捉剤の制御された添加及びフラックス材料の添加と組み合わせて、ステップb)の酸素及び/又は酸素ドナーの存在を適切な制限内に制御することにより、ステップb)における望ましい回収率が得られ得ることを見出した。
ステップb)を含む本発明による工程の一実施形態では、追加の原材料が新しい供給原料としてステップb)に加えられる。出願人らによれば、固体金属の溶融が反応熱の一部を吸収することができ、炉の温度を好ましい範囲内に保つのを助けるので、固体金属を含む原材料を加えることが好ましい。出願人らによれば、この目的のために、銅に富み、少なくとも少量のSn及び/又はPbを含み得る原材料を使用することが好ましい。好ましい温度範囲は、その温度未満では少なくとも1つの液相の粘度が炉を作動させるには高すぎることになる下限によって制限される。好ましい温度範囲は、その温度を超えると有価金属、特にスズ及び/又は鉛の揮発性が過剰になり、炉ダストの一部としてのこれらの金属の回収が非常に面倒で複雑かつ高価になる上限によって制限される。
ステップa)を含む本発明による工程の一実施形態では、黒銅組成物は、以下の条件、
・少なくとも50重量%の銅を含むこと、
・最大96.9重量%の銅を含むこと、
・少なくとも0.1重量%のニッケルを含むこと、
・最大4.0重量%のニッケルを含むこと、
・少なくとも1.0重量%のスズを含むこと、
・最大15重量%のスズを含むこと、
・少なくとも1.0重量%の鉛を含むこと、
・最大25重量%の鉛を含むこと、
・最大3.5重量%の鉄を含むこと、及び
・最大8.0重量%の亜鉛を含むこと
の少なくとも1つ、好ましくはすべてに準拠する。
出願人らによれば、本発明による工程で使用することができる任意の黒銅、すなわち、ステップb)以外の工程ステップで使用される任意の黒銅が、上記の条件の少なくとも1つ、好ましくはすべてに準拠することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態において、黒銅は、最大96.9重量%又はより良くは最大96.5重量%の銅、好ましくは最大96.0重量%、より好ましくは最大95.0重量%、さらにより好ましくは最大90.0重量%、さらになおより好ましくは最大85.0重量%、好ましくは最大83.0重量%、より好ましくは最大81.0重量%、さらにより好ましくは最大80.0重量%、さらになおより好ましくは80.0重量%未満、好ましくは最大79.0重量%の銅を含む。これは、黒銅を製造する上流工程が、銅以外のはるかに多くの金属を含む原材料を受け入れることができるという利点をもたらす。黒銅の製造においてより多くのスズ及び/又は鉛を受け入れることは特に有利であり、これらのより多量のスズ及び/又は鉛を処理して、粗はんだ副製品、すなわち経済的価値が比較的高い製品の量を容易に増加させることができる。
本発明による工程の一実施形態において、黒銅は、少なくとも50重量%又はさらに良くは少なくとも51重量%の銅、好ましくは少なくとも52重量%、より好ましくは少なくとも53重量%、さらにより好ましくは少なくとも54重量%、さらになおより好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも57重量%、より好ましくは少なくとも59重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、さらになおより好ましくは少なくとも62重量%、好ましくは少なくとも64重量%、より好ましくは少なくとも66重量%、さらにより好ましくは少なくとも68重量%、さらになおより好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも71重量%、より好ましくは少なくとも72重量%、さらにより好ましくは少なくとも73重量%、さらになおより好ましくは少なくとも74重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも77.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%の銅を含む。
これにより、米国特許第3682623号で提供されているような、黒銅の銅含有量を75〜80重量%から約85重量%以上(実施例では85.12重量%の銅、表VI)に向上させる予備精錬ステップを省略することができるという利点がある。
出願人らはさらに、工程全体がより操作可能で効率的であり、通常、黒銅の銅濃度が規定の下限内に留まる場合、より多くの主要製品が製造されることを見出した。黒銅の銅濃度が低い場合、他の元素がバランスを構成する。これは、バランスを構成するのが鉛などの有価金属である場合だけでなく、さらにより重要にはスズも含む場合、非常に許容されやすく、多くの場合望ましくさえある。これらの金属は、任意の酸化及び/又は還元ステップ中に化学物質を消費するが、最終的にはその大部分が主要製品流になる。しかし、逆に、バランスを構成するのが最終的に使用済み工程スラグの1つに到達することが避けられないより価値の低い金属又は元素である場合、これらの金属及び/又は元素は、銅精錬ステップの一部としての酸化ステップで化学物質を消費するため、及び/又は本発明による工程のステップc)などの下流の還元ステップの1つで他の化学物質を消費する可能性があるため、銅濃度が低いことは、むしろ不利である。さらに、これらの価値の低い金属又は元素は、炉内で体積を占めるため、それらが存在すると、より大きな炉が必要になり、したがって投資コストが高くなる。特定の利用可能な設備規模内では、これらの金属又は元素の存在によって、銅、スズ、及び/又は鉛を高濃度で含む原材料など、より価値の高い原材料を任意の工程ステップに導入する際の制約が厳しくなる。黒銅組成物は、典型的には、別の乾式冶金工程ステップ、すなわち製錬ステップによって製造される中間体である。製錬ステップは、通常は多量のシリカの存在下で、溶融金属製品、いわゆる「黒銅」と、主に金属酸化物の液体スラグとをもたらす。出願人らによれば、高い銅の存在が他の有価金属、例えばスズ及び鉛の抽出剤として作用するため、製錬ステップにおいて、指定された少なくとも最小量の銅を有する黒銅製品を得ることが好ましい。したがって、黒銅組成物中の銅濃度を指定の制限を超えて維持すると、これらの有価金属が典型的にはほとんど乃至全く価値を持たない、さらには負担になることさえり得る製錬スラグの一部としてこれらの有価金属を失うよりも、黒銅組成物中に存在するこれらの他の有価金属の回収率が高くなる。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも1.0重量%のスズ、好ましくは少なくとも1.5重量%、より好ましくは少なくとも2.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.5重量%、さらになおより好ましくは少なくとも3.0重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、より好ましくは少なくとも3.75重量%、さらにより好ましくは少なくとも4.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも5.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも6.5重量%、好ましくは少なくとも7.0重量%、より好ましくは少なくとも7.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも8.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも8.5重量%、好ましくは9.0重量%、より好ましくは少なくとも9.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも11.0重量%のスズを含む。スズは非常に価値のある金属であり、その純度の高い製品形態ではかなり入手が困難である。したがって、出願人らによれば、本工程が扱うことのできる最大量のスズを製造することが好ましい。さらに、本出願人らによれば、スズが典型的に低濃度で存在する経済的価値の低い原材料からこのスズを回収することが好ましい。そのような低価値の原材料は、多くの場合、乾式冶金銅精錬工程での処理が難しい多量の元素を含んでいるため、通常は最初に製錬ステップで処理される。したがって、これらの低価値の原材料に含まれるスズは、最終的に主に黒銅組成物の一部となる。出願人らによれば、そのような低価値の原材料から可能な限り多くのスズを処理することが好ましく、したがって、本発明による工程の黒銅組成物が他の工程制約内で可能な限り多くのスズを含むことが好ましい。
本発明による工程の一実施形態において、黒銅は、少なくとも1.0重量%の鉛、好ましくは少なくとも1.5重量%、より好ましくは少なくとも2.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも2.5重量%、さらになおより好ましくは少なくとも3.0重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、より好ましくは少なくとも3.75重量%、さらにより好ましくは少なくとも4.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも4.5重量%、好ましくは少なくとも5.0重量%、より好ましくは少なくとも5.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも6.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも7.0重量%、好ましくは少なくとも8.0重量%、より好ましくは少なくとも9.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも10.0重量%、さらになおより好ましく鉛の少なくとも11.0重量%、好ましくは少なくとも12.0重量%、より好ましくは少なくとも13.0重量%、さらにより好ましくは少なくとも14.0重量%、さらになおより好ましくは少なくとも15.0重量%の鉛を含む。
鉛も有価金属である。さらに、鉛はスズと同様に挙動し、最終的に同じ工程流になって「はんだ」と呼ばれる混合物を形成し、得られたはんだ流は密度が高く、したがって、スラグなどの低密度液体流又はドロスなどの低密度固体流からより簡単に分離されるため、鉛の存在によって、さらに価値の高いスズ金属の回収が容易になる。したがって、出願人らによれば、本工程に多量の鉛を含めることが好ましい。さらに、出願人らによれば、鉛が典型的に低濃度で存在する経済的価値の低い原材料からこの鉛を回収することが好ましい。そのような低価値の原材料は、多くの場合、乾式冶金銅精錬工程での処理が難しい多量の元素を含んでいるため、通常は最初に製錬ステップで処理される。したがって、これらの低価値の原材料に含まれる鉛は、最終的に主に黒銅組成物の一部となる。出願人らによれば、そのような低価値の原材料から可能な限り多くの鉛を得ることが好ましく、したがって、本発明による工程の黒銅組成物が他の工程制約内で可能な限り多くの鉛を含むことが好ましい。
黒銅中のスズ及び/又は鉛のより高い存在は、このスズ及び/又は鉛を含む原材料が、スズ及び/又は鉛などの他の非鉄金属の同時製造に関連するステップを含む、銅精錬工程の一部として実施される典型的なステップよりはるかに多量に、他の不純物に対して許容度が高い製錬ステップで処理され得るという利点をもたらす。したがって、これらの許容可能な原材料は、典型的には、品質がはるかに低く、したがって経済的価値も低い。本発明による工程の黒銅中のスズ及び/又は鉛のほとんどは、最終的に比較的高い経済的価値の製品である粗はんだ副製品になる。したがって、本発明による工程に供給される黒銅中のスズ及び/又は鉛の経済的な価値の向上は、典型的には、付随物を含む、銅精錬工程のステップの1つで直接許容され得るはるかに濃縮された原材料の一部として導入される同量よりもはるかに高い。
したがって、出願人らによれば、製造されるこれらの金属の設備上の制限による制限量内で、これらの金属が低価値の原材料からより多く回収され、したがってこれらの金属が、原材料におけるそれらのより低い価値から経済的価値を向上させ、最終製品においてそれらが高い経済的価値を有してより多く回収され得るという利点がもたらされるため、黒銅中のスズ及び/又は鉛の量がより多いことが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大15.0重量%のスズ、好ましくは最大14.0重量%、より好ましくは最大13.0重量%、さらにより好ましくは最大12.0重量%、さらになおより好ましくは最大11.0重量%、好ましくは最大10.0重量%、より好ましくは最大9.0重量%、さらにより好ましくは最大8.0重量%、さらになおより好ましくは最大7.0重量%、好ましくは最大6.0重量%のスズを含む。出願人らは、黒銅組成物中のスズ濃度を指定の上限に制限することにより、他の金属及び元素のために黒銅組成物中に十分な余地が残されるという利点がもたらされることを見出した。上で議論したように、銅の存在は上流の製錬ステップで非常に有利であり、鉛の存在もそうである。したがって、出願人らによれば、スズの濃度を指定の上限内に維持することが好ましい。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大25.0重量%の鉛、好ましくは最大24.0重量%、より好ましくは最大23.0重量%、さらにより好ましくは最大22.0重量%、さらになおより好ましくは最大21.0重量%、好ましくは最大20.0重量%、より好ましくは最大19.0重量%、さらにより好ましくは最大18.0重量%、さらになおより好ましくは最大17.0重量%、好ましくは最大16.0重量%、より好ましくは最大15.0重量%、さらになおより好ましくは最大14.0重量%、さらにより好ましくは最大13.0重量%、さらになおより好ましくは最大12.0重量%、好ましくは最大11.0重量%、より好ましくは最大10.0重量%、さらにより好ましくは最大9.0重量%、さらになおより好ましくは最大8.0重量%、好ましくは最大7.0重量%の鉛を含む。出願人らは、黒銅組成物中の鉛濃度を指定の上限に制限することにより、他の金属及び元素のために黒銅組成物中に十分な余地が残されるという利点がもたらされることを見出した。上で議論したように、銅の存在は上流の製錬ステップで非常に有利であり、多量のスズの存在も非常に望ましい。したがって、出願人らによれば、鉛の濃度を指定の上限内に維持することが好ましい。
出願人らは、黒銅中の過剰量のスズ及び/又は鉛が、一方の銅(及びニッケル)と他方のスズ及び鉛との間の分離ステップに影響を与えることを見出した。分離は不明確であり、より多くのスズ及び/又は鉛が銅とともに留まる傾向がある。これにより、銅流が少なくとも部分的に再循環されたとしても、より多量のスズ及び/又は鉛が工程内を循環し、炉の容積を占領する。しかし、その分離からの銅流又はその一部が工程から除去される場合、その流れ内のより多量のスズ及び/又は鉛は、その下流の処理において追加の負担となる。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、少なくとも0.1重量%、及び任意選択的に最大4.0重量%のニッケル(Ni)を含む。好ましくは、ステップb)への黒銅供給原料は、少なくとも0.2重量%のニッケル、より好ましくは少なくとも0.3重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.4重量%、さらになおより好ましくは少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも0.75重量%、より好ましくは少なくとも1.00重量%のニッケルを含む。
ニッケルは、銅、スズ、及び/又は鉛を含有する多くの原材料に存在する金属であり、鉄を含むか、又は鉄をベースとする多くの合金にも存在する。ニッケルは、炉条件下で、酸素に対する親和性がスズ及び/又は鉛よりも低く、銅よりもやや高い。したがって、乾式冶金によって銅から分離するのが難しい金属である。米国特許第3682623号では、予備精錬された黒銅(表VI、541.8kg)に含まれるニッケルのほとんどが、精錬された銅製品(表XII、300kg)中の不純物として工程を離れ、精錬銅製品はアノードに鋳造された(col.19、61〜62行目)。少量のニッケルが鉛/スズ金属製品に流入する(表XV、110kg)。この工程は、多量の黒銅の再循環流を含み、再循環流のニッケルは各循環で増加するように見える(表XIV、630kgを表VI、500kgとを比較)。出願人らは、銅アノード中のニッケルが、下流の電気精錬ステップにおける妨害要素であることを見出した。電気精錬工程条件下では、ニッケルは電解液に溶解するが、カソードには堆積しない。そのため、電解液に蓄積し、溶解限度を超えるとニッケル塩が沈殿する可能性がある。しかし、より低い濃度であっても、アノード表面でのニッケル濃度勾配の蓄積の可能性があるため、ニッケルはすでにアノード不動態化を引き起こす可能性がある。したがって、米国特許第3682623号の工程は、そのニッケル処理能力に制限がある。したがって、米国特許第3682623号の溶融ステップは、多量のニッケルを含む原材料をかなり限られた量しか受け入れられない可能性がある。
出願人らは、本発明による工程が、例えば、上流の製錬ステップからの黒銅の一部として、はるかに多くの量のニッケルを受け入れることができることを見出した。ニッケルに対するこのより高い許容度は、本発明による工程、及び上流で実施される任意の工程ステップに、原材料に関してより広い許容範囲をもたらす。したがって、本発明による工程、同様にその上流工程ステップのいずれかは、当技術分野で知られている代替工程が受け入れることができない、又は非常に限られた量しか受け入れることができない、したがって経済的により魅力的な条件でより容易に入手可能な原材料を受け入れることができる。
出願人らはまた、ニッケルに対するより高い許容度にもかかわらず、本発明による工程は、米国特許第3682623号で製造されるアノード銅と比較して、銅がより豊富でニッケルがより少ない主要アノード銅製品を製造する能力を有し得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大3.5重量%の鉄、好ましくは最大3.0重量%、より好ましくは最大2.5重量%、さらにより好ましくは最大2.0重量%、さらになおより好ましくは最大1.80重量%、好ましくは最大1.60重量%の鉄を含む。
本発明による工程の一実施形態では、黒銅は、最大8.0重量%の亜鉛、好ましくは最大7.5重量%、より好ましくは最大7.0重量%、さらにより好ましくは最大6.5重量%、さらになおより好ましくは最大6.0重量%、好ましくは最大5.5重量%、より好ましくは最大5.0重量%、さらにより好ましくは最大4.7重量%の亜鉛を含む。
出願人らは、鉄及び/又は亜鉛の濃度を指定の境界内に維持することが賢明であることを見出した。これらの金属は、典型的には、銅の精錬ステップで酸化され、付随物を消費する。亜鉛は、工程の還元ステップのいずれかで容易に還元され、したがってそこで付随物も消費する。さらに、これらの金属は炉の容積を占領する。これらの理由により、出願人らによれば、これらの金属を指定のそれぞれの濃度に制限することが望ましい。
ステップb)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップb)及び/又はステップc)におけるスラグの温度は、少なくとも1000℃、好ましくは少なくとも1020℃、より好ましくは少なくとも1040℃、さらにより好ましくは少なくとも1060℃、好ましくは少なくとも1080℃、より好ましくは少なくとも1100℃、さらにより好ましくは少なくとも1110℃、好ましくは少なくとも1120℃、より好ましくは少なくとも1130℃、さらにより好ましくは少なくとも1140℃、好ましくは少なくとも1150℃である。出願人らは、スラグの温度が規定の制限値に準拠し、好ましくは所定の制限値を超えると、金属相とスラグ相との間の分離がより良好になることを見出した。この理論に縛られることを望まないが、出願人らによれば、少なくともスラグの粘度が高温ではより低いため、より高い温度がより良好な分離をもたらすと考えられる。スラグ粘度が低いほど、より重い金属の泡がより速く結合してより大きな泡になり、下にある金属相に到達して金属相と結合するまで、スラグ相を通過してより速く沈降することができる。より高い温度はまた、反応速度がより早くなるという利点をもたらし、その結果、所望の平衡により速く到達することができる。
しかしながら、出願人らによれば、同様に、金属相とスラグ相との間の平衡は温度によって影響を受けると考えられる。通常、温度が高いほど、工程条件下での酸素に対する親和性の観点から、異なる金属間の違いは低減する傾向がある。したがって、出願人らによれば、ステップb)及び/又はステップc)における炉の温度を最大1300℃、好ましくは最大1250℃、より好ましくは最大1200℃に制限することが好ましい。出願人らによれば、少なくとも2つの液相間、通常は上澄みスラグ相と下にある金属相との間で相分離が行われる本発明による工程のすべてではないにしても、ほとんどのステップにこの制限を適用することが好ましい。
非鉄金属の製錬又は精錬ステップの高温では、金属及び金属酸化物はどちらも液体の溶融状態で発生する。金属酸化物は通常、金属よりも密度が低く、分離したいわゆる「スラグ」相を形成し、これは、溶融金属相の上部に上澄み液相として浮遊する。したがって、金属酸化物は、溶融金属相とは別の液体スラグ相として重力によって分離され得る。シリカは通常、通常の砂の形で、いわゆる「フラックス材料」として、すなわちスラグ希釈剤として、及び/又はスラグの流動性を改善して、スラグが金属相からより容易に分離し、より処理が簡単になるように添加され得る。シリカは特定の元素を結合することもできるため、その元素が金属相ではなくスラグ相の一部になるようにする狙いにも影響を与える。出願人らは、シリカの添加が、スラグ相と金属相とが互いに分離されるべきである本発明による工程の一部である多くのステップにとって非常に望ましい工程要素であることを見出した。なぜなら、シリカは、多くの状況で、金属相に望ましい金属及びスラグ相に留まることが好ましい金属に関して望ましい分離を支持して、金属相とスラグ相との間の平衡を変化させるのを助けるからである。出願人らはさらに、スラグが鉄を含み、炉から引き出されて、高温の液体スラグを水と接触させることによって造粒される場合、シリカの添加により、鉄が水の分解、したがって爆発の危険をもたらす水素ガスの形成を起こす触媒として作用する形態で存在するおそれを避けることができることを見出した。シリカはまた、スラグ中のスズの活性を高め、一部のSnOをSn金属に還元し、Snは金属相に移動する。この最後のメカニズムにより、下にある同じ金属組成物のスラグに残るSnの量が減少する。
乾式冶金の操作条件では、炉内の様々な金属と酸化物との間でいくつかの化学反応が起こる。酸素との親和性が高い金属は酸化されやすく、これらの酸化物はスラグ相に移動する傾向があるが、酸素との親和性が低い金属は、酸化物として存在する場合、還元されて金属状態に戻りやすく、これらの金属は液体金属相に移動する傾向がある。十分な接触面及び時間がある場合、工程条件下で酸素に対する親和性が低い金属が集まる金属相と、工程条件下で酸素に対する親和性が高い金属がそれらの酸化物の形態で集まるスラグ相との間に平衡が確立される。
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)などの金属は、酸素との親和性が非常に高く、ほとんどがスラグ相でのみ回収される。銀(Ag)、金(Au)、その他の貴金属などの金属は、酸素との親和性が非常に低く、ほとんどが金属相でのみ回収される。他のほとんどの金属は、典型的には、これらの両極の「中間」で挙動し、それらの優先度は、他の元素若しくは物質の存在、又はそれらの相対的な不在によって影響を受ける可能性がある。
本発明の対象となる金属は、非鉄金属精錬の典型的な炉条件下で、酸素に対する親和性を有し、金属相とスラグ相との間に分布する傾向がある。酸素に対する親和性が低いものから高いものへ、したがって金属相への親和性が比較的高いものから低いものへと、これらの金属を順位付けると、おおよそ次のように表される:Au>Ag>>Bi/Cu>Ni>As>Sb>Pb>Sn>>Fe>Zn>Si>Al>Mg>Ca。便宜上、これは、貴金属から卑金属への順位付けと呼んでもよいが、この条件付けは、非鉄金属の乾式冶金工程の特定の条件及び状況と関連付ける必要があり、他の分野へは転用できない可能性がある。このリストでの特定の金属の相対位置は、とりわけ、例えばケイ素などの炉内の他の要素の有無によって影響を受ける可能性がある。
金属相とスラグ相との間の金属の平衡分布は、酸素及び/又は酸素捕捉物質(又は還元剤)を炉内の液浴に加えることによっても影響され得る。
酸素を添加すると、金属相の一部の金属が酸化形態に変換され、この酸化物はスラグ相に移動する。酸素に対する親和性が高い金属相の金属は、この変換を受けて移動する傾向がある。したがって、金属相とスラグ相との間の平衡分布は、より変化しやすい可能性がある。
酸素捕捉物質を添加することによって、これとは反対の結果が得られる可能性がある。適切な酸素消費物は、例えば木材又は天然ガスなどの他の可燃物などの有機材料中の任意の形状又は形態の炭素及び/又は水素であり得る。炭素及び水素は、容易に酸化(「燃焼」)し、HO及び/又はCO/COに変換され、これらの成分は、液浴を容易に離れ、浴からその含有酸素を同伴する。しかし、Si、Fe、Al、Zn及び/又はCaなどの金属も、適切な還元剤である。鉄(Fe)及び/又はアルミニウム(Al)は、入手が容易であるため、特に重要である。これらの成分は、酸化によって、スラグ相の金属の一部を酸化状態から金属状態に還元し、これらの金属は金属相に移動する。ここで、この還元反応が起こりやすく、反対方向に移動しやすいのは、酸素への親和性が低いスラグ相中の金属である。
製錬ステップにおいて、目的の1つは、供給原料とともに流入する貴重な非鉄金属の酸化物を還元して、それらの対応する還元金属にすることである。製錬ステップで発生する反応の方向及び速度は、炉内の雰囲気の性質を制御することによってさらに操作することができる。代替的又は追加的に、酸素供与物質又は酸素捕捉物質を精錬ステップに加えることができる。
このような操作に非常に適した酸素捕捉物質は、鉄金属であり、通常は鉄くずが好ましい。典型的な操作条件下では、鉄は高温の酸化物、シリケート、及び鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属化合物と反応し、元素形態で後者の金属を含む溶融物を生成する。典型的な反応は次のとおりである。
MeO+Fe→FeO+Me+熱
(MeO)SiO+xFe→(FeO)SiO+xMe+熱
浴の温度は、反応熱及び燃焼熱により高いままである。温度は、スラグが液体のままであり、鉛及び/又はスズの揮発が制限されたままである範囲内で容易に維持することができる。
溶融炉で行われる各還元反応は平衡を形成する。したがって、各反応を通じて実現される変換は、以下のような関係で定義された平衡によって制限される。
[FeO][Me]
K1=−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[MeO][Fe]
[(FeO)SiO][Me]
K2=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[(MeO)SiO][Fe]
これらの式のパラメータは、操作条件下での言及された化学成分の活性を表しており、多くの場合、成分の濃度に操作条件下での成分の活量係数を掛けたものであり、これにより、後者は常に1.0と等しいわけでも、異なる成分に対して同じでもない。出願人らは、活量係数が、場合によってスラグ形成剤とも呼ばれるいわゆるフラックス化合物などの他の化学化合物の存在によって、特に二酸化ケイ素の添加によって影響を受ける可能性があることを見出した。
Meが銅の場合、K1及びK2は通常の反応温度では高くなり、したがって、銅化合物の還元が進行して実質的に完了する。鉛及びスズの場合、K1及びK2はどちらも比較的低いものの、金属相の銅はスラグ反応領域から金属鉛及びスズを抽出し、それによってスラグ内のこれらの金属の活性は低下し、結合した鉛及びスズの還元が進められて完了する。
亜鉛の蒸気圧は、典型的な反応温度で比較的高く、鉛及びスズとは対照的に、亜鉛の大部分は炉から容易に揮発する可能性がある。炉を離れる亜鉛蒸気は、例えば炉口とフード及び/又は排気管との間で吸引され得る空気によって酸化される。得られた酸化亜鉛ダストは、従来のダスト収集システムによって凝縮及び収集される。
好ましくは、製錬炉内のスラグの銅、スズ及び鉛含有量は、それぞれ0.5重量%以下に低減される。その目的のために、金属相は、スラグから存在する鉛及びスズを抽出するための溶媒として作用するのに十分な銅を含む必要がある。またこの理由から、出願人らによれば、本発明による工程に供給される黒銅中の銅濃度が、本明細書の他の場所で指定された下限を超えることが好ましい。
一実施形態では、本発明による工程は、
h)第1銅濃縮金属相を部分的に酸化して、第2銅濃縮金属相と第2銅精錬スラグを形成し、続いて、第2銅濃縮金属相から第2銅精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップb)で形成された第1銅濃縮金属相が、その流れを後続の酸化ステップに送ることにより、銅をさらに濃縮することができることを見出した。後続の酸化ステップは、第2銅精錬スラグの形成をもたらし、第2銅精錬スラグは、経済的に多量の銅以外の有価金属を含み得るが、経済的に多量の銅も同伴する。
ステップb)及びh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも37.0重量%が、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収される。
ステップb)及びh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも37.5重量%、より良好には少なくとも38重量%が、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、さらにより好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも92重量%、さらにより好ましくは少なくとも94重量%、さらになおより好ましくは少なくとも95重量%が回収される。出願人らは、銅精錬ステップシーケンスの初期スラグへのスズ及び/又は鉛の高い回収率が、一方の銅と他方のはんだ金属のスズ及び/又は鉛との間のより良好な分離を得るために有利であることを見出した。
ステップb)及びh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)を介して処理されるスズ及び鉛の総量の少なくとも8.5重量%が、第1銅精錬スラグに回収され、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、さらにより好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも45重量%、さらになおより好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも55重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも64重量%、さらになおより好ましくは少なくとも68重量%が回収される。出願人らは、銅精錬ステップb)及びh)のシーケンスの初期で、より多くのスズ及び/又は鉛が酸化されて銅精錬スラグ相に移動するほど、一方の銅と他方のはんだ金属との間の分離全体がより明確になることを見出した。
ステップb)及びh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理されるスズの総量の少なくとも41.0重量%は、第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも45重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも92重量%が回収される。
ステップb)及びh)を含む本発明による工程の一実施形態では、工程ステップb)及び/又はh)を介して処理される鉛の総量の少なくとも34.5重量%が第1銅精錬スラグと第2銅精錬スラグとに合わせて回収され、好ましくは少なくとも35重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも55重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、さらになおより好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、さらにより好ましくは少なくとも91重量%が回収される。
一実施形態では、本発明による工程は、
i)第2銅精錬スラグの少なくとも一部を第1液浴に加える、及び/又は第2銅精錬スラグの少なくとも一部をステップd)に加えるステップ
をさらに含む。
出願人らは、第2銅精錬スラグの組成が、第1液浴への添加に非常に適していることを見出した。したがって、出願人らによれば、すべての第2銅精錬スラグを第1液浴に加えるのが好ましい。第一に、第2銅精錬スラグは、対象となる有価金属のスズ及び鉛を既に比較的豊富に含むだけでなく、下流でスズ及び鉛などの非銅金属の抽出剤として作用し得る銅も多量に含むため、この流れは適している。第二に、第2銅精錬スラグは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、より具体的には最終精製金属製品である銅、スズ、及び/又は鉛中に所望されない金属であって、使用済みスラグの一部として工程から除去する必要がある金属を少量のみ含む。第2銅精錬スラグにはそのような金属が比較的乏しいため、このスラグを第1液浴に添加しても、工程シーケンスd)、e)及びf)、すなわち、このような「卑金属」が最終的に使用済みスラグ、この場合は第2使用済みスラグになる好ましい工程経路の下流のステップのいずれにおいても、無駄に多くの炉容積を消費しない。
出願人らは、ステップb)、h)、c)、i)及びd)を含む本発明による工程が、スラグ相、すなわち第1はんだ精錬スラグの製造に非常に効果的であり、このスラグは、誘導物はんだ流、すなわち第1粗はんだ金属組成物の製造に特に適しており、この誘導物はんだ流は、高純度のスズ及び/又は鉛製品を回収するための中間体として役立ち得ることを見出した。出願人らは、この効果が、特に工程d)で第1銅希薄金属組成物を得ることに起因するだけでなく、指定の一連の酸化及び還元ステップにも起因することを見出した。
出願人らはさらに、ステップi)及びd)を含む工程は非常にエネルギー効率もよいことを見出した。ステップd)において、ステップi)で添加され得る第2銅精錬スラグは、第1液浴中の不純物に対する酸化剤として作用する。第2銅精錬スラグ内の酸化銅は、容易に元素銅に還元されて酸素を放出し、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い金属を元素金属形態から酸化物に変換するためにその酸素を利用できるようにする。したがって、ステップd)で形成された元素銅は金属相に移動し、第1銅希薄金属組成物とともにステップd)を離れる。ステップd)で酸化物に変換される金属はスラグ相に移動し、第1はんだ精錬スラグに回収される。出願人らは、ステップd)において、多量のSn及び/又はPbが、炉に流入する金属相から、ステップd)の終わりに存在する第1はんだ精錬スラグに向かって移動する可能性があることを見出した。出願人らはまた、ステップd)におけるこれらの化学的変換、すなわち酸化銅から元素銅、及びスズ、鉛又は他の金属からそれらの酸化物への変換は、エネルギー、外部の酸化剤及び/又は還元剤の追加の投入が比較的少なくても達成することができ、したがって、工程薬品をほとんど消費せずに済むことを見出した。
出願人らはさらに、ステップi)及びd)を含む本発明による工程は非常にエネルギー効率もよいことを見出した。ステップi)では、ステップd)の上流の液浴に加えられた第2銅精錬スラグが、第1液浴中の不純物の酸化剤として作用する。第2銅精錬スラグ中の酸化銅は、その浴中で元素銅に容易に還元され、それにより、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い金属をそれらの元素金属形態から酸化物に変換するための酸素を放出する。したがって、ステップd)で形成された元素銅は金属相に移動し、第1銅希薄金属組成物とともにステップd)を離れる。ステップd)で酸化物に変換される金属はスラグ相に移動し、第1はんだ精錬スラグに回収される。出願人らは、ステップd)において、多量のSn及び/又はPbが、炉に流入する金属相から、ステップd)の終わりに存在する第1はんだ精錬スラグに向かって移動する可能性があることを見出した。出願人らはまた、ステップd)におけるこれらの化学的変換、すなわち酸化銅から元素銅、及びスズ、鉛又は他の金属からそれらの酸化物への変換は、エネルギー、外部の酸化剤及び/又は還元剤の追加の投入が比較的少なくても達成することができ、したがって、比較的限られたエネルギーの消費又は工程薬品の投入で済むことを見出した。
出願人らはまた、ステップc)が第1銅精錬スラグのみを受け取ることが有利であり、後続の銅精錬スラグは別々に、好ましくはそれぞれ異なる方法でより良く処理されることを見出した。出願人らは、第1銅精錬スラグは、銅以外の元素、特に、炉条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い、より具体的にはさらにスズ及び鉛よりも酸素に対する親和性が高い元素の総量が最も多い銅精錬スラグであることを見出した。したがって、出願人らは、驚くべきことに、第1銅精錬スラグで、すなわち、ステップb)の下流の工程ステップで製造される他の銅精錬スラグを混合する前にステップc)を実施することが最も効果的であることを見出した。出願人らは、後続の銅精錬スラグが典型的により高濃度の銅を含むことを見出し、そのため、出願人らによれば、これらの下流の銅精錬スラグは第1銅精錬スラグとは異なる方法で処理することが好ましい。
一実施形態では、本発明による工程は、
j)第2銅濃縮金属相を部分的に酸化して、第3銅濃縮金属相と第3銅精錬スラグとを形成し、続いて、第3銅濃縮金属相から第3銅精錬スラグを分離するステップと、
k)第3銅精錬スラグの少なくとも一部を第2液浴に加える、及び/又は第3銅精錬スラグの少なくとも一部をステップl)に加えるステップと
をさらに含む。
出願人らは、ステップh)で形成された第2銅濃縮金属相が、その流れを後続の酸化ステップj)に送ることにより、銅をさらに濃縮することができることを見出した。後続の酸化ステップは、第3銅精錬スラグの形成をもたらし、第3銅精錬スラグは、経済的に多量の銅以外の有価金属を含み得るが、経済的に多量の銅も同伴する。この利点は、非銅金属が工程の負担になる傾向がある高純度銅回収のための銅電気精錬ステップにこの流れが供される場合、これらの貴重な非銅金属が、第3銅濃縮金属相に残っている非銅金属と比べてはるかに簡単な方法で、第3銅精錬スラグから回収できることである。一部の非銅金属は、電気精錬中にいわゆるアノードスライムに残り、他の一部の非銅金属は電解液に溶解する。
出願人らはさらに、一連のステップb)、h)及びj)の一部としての3つの連続した酸化ステップが、銅がかなり希薄だがスズ及び/又は鉛に富んだ黒銅出発原料から、電気精錬によるさらなる精製に非常に適した銅濃度を有して「アノード品位」と呼ばれ得る第3銅濃縮金属相を製造することができることを見出した。出願人らは、指定された一連の酸化ステップが、75重量%をほとんど超えない黒銅から、99.0重量%もの銅を含む第3銅濃縮金属相を製造することができることを見出した。出願人らはさらに、ステップb)に供給された黒銅の処理とともに、追加の銅含有原材料が指定の一連の酸化ステップを通して処理され得ることを見出した。
出願人らは、第3銅精錬スラグの組成が、第2液浴への添加に非常に適していることを見出した。したがって、出願人らによれば、すべての第3銅精錬スラグを第2液浴に加えるのが好ましい。
第一に、第3銅精錬スラグは、重要なスズ及び/又は鉛といった有価金属を経済的に多量に含むだけでなく、スズ及び/又は鉛などの非銅金属の有用な抽出剤として使用され得る銅も比較的豊富であるため、この流れは適している。
第二に、第3銅精錬スラグは、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、より具体的には最終精製金属製品である銅、スズ、及び/又は鉛中にあまり所望されない金属であって、使用済みスラグの一部として本発明による工程から除去されるのが好ましい金属を極少量のみ含む。第3銅精錬スラグはそのような金属が非常に乏しいため、このスラグを第2液浴に添加しても、ステップl)を含む本工程の下流の任意のステップだけでなく、そのような「卑金属」が最終的に使用済みスラグになる前に経る必要がある工程経路の任意の下流ステップにおいても、無駄に消費される炉容積は極めて少ない。
出願人らはさらに、ステップl)などの、第2液浴からの有価金属のさらなる回収は、ステップk)における第3銅精錬スラグの少なくとも一部の添加により、非常にエネルギー効率がよい可能性があることを見出した。ステップk)では、さらなる金属回収ステップの上流の第2液浴に添加される第3銅精錬スラグは、第2液浴中の不純物に対する酸化剤として作用する。第3銅精錬スラグ中の酸化銅は、ステップl)で元素銅に容易に還元され、それにより、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高い金属をそれらの元素金属形態から酸化物に変換するための酸素を放出する。したがって、ステップl)における第2液浴の処理で形成された元素銅は、ステップl)で金属相に移動し、第1高銅金属組成物になる。ステップl)でそれらの酸化物に変換する金属は、スラグ相、すなわち第3はんだ精錬スラグに移動する。出願人らは、ステップl)において、多量のSn及び/又はPbが、供給されたときの金属相からスラグ相に向かって移動する可能性があることを見出した。出願人らはまた、ステップl)におけるこれらの化学的変換、すなわち酸化銅から元素銅、並びにスズ、鉛及び/又は他の金属からそれらの酸化物への変換は、エネルギー、外部の酸化剤及び/又は還元剤の追加の投入が比較的限られていても達成することができ、したがって、比較的限られたエネルギーの消費又は工程薬品の投入で済むことを見出した。
出願人らは、ステップl)で、第1銅希薄金属組成物、同様に第3銅精錬スラグに存在する銅及びニッケルのほとんどが、存在し得るビスマスとアンチモンの一部とともに、第1高銅金属組成物に回収され得る一方、これらの流中のスズ及び/又は鉛のほとんどが第3はんだ精錬スラグに回収され得ることを見出した。出願人らは、第3はんだ精錬スラグが有利にスズ及び/又は鉛に富み、さらに銅が比較的乏しくなり得るため、このスラグは、そのはんだ金属のほとんどを、粗はんだ流に類似した、粗はんだ流として処理されるのに適した流れに回収するために比較的簡単にさらに処理され得ることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、第1高銅金属組成物は、工程の上流の適切な場所に少なくとも部分的に再循環される。好ましくは、この場所はステップb)であるが、再循環された流れの一部は、ステップh)及び/又はステップj)及び/又はステップc)及び/又はステップd)に再循環されてもよい。
出願人らは、一方で、上流の任意の場所で工程に導入されるニッケルはいずれも最終的に第1高銅金属組成物の一部になりやすいため、ステップl)は、製造工程全体からニッケルの少なくとも一部を除去するための経路を提供するのにも非常に適していることを見出した。出願人らは、他方で、工程全体に供給原料とともにニッケルが全く導入されないか、ごく少量しか導入されない場合、第1高銅金属組成物は、ステップa)で提供される黒銅供給原料に高度に匹敵する組成を有し、したがって、この第1高銅金属組成物流は、ステップb)に、又は代替的に及び/又は追加的に部分的に、後続の銅酸化ステップh)及びj)のいずれか1つに容易に再循環して、第3銅濃縮金属相の一部としてその銅を回収することができることを見出した。米国特許第3682623号に記載の工程は、黒銅に対して実施される第1酸化ステップへの銅に富む流れのそのような再循環を含む。しかしながら、ステップl)からステップb)、又は後続のステップh)及び/又はj)の1つへの第1高銅金属組成物の再循環はいずれも、先行技術と比較して、ステップc)で製造される第1使用済みスラグ及び/又はステップf)で製造される第2使用済みスラグなどの使用済みスラグの1つに不純物を上流で除去することに利益がある。
出願人らは、工程への供給原料にニッケルが存在する場合、第1高銅金属組成物の工程の上流の場所、例えばステップb)、c)、d)、h)又はj)などへの部分的な再循環が、そのような部分的な再循環を行わない工程と比較して、ニッケルが第1高銅金属組成物中でより高い濃度まで濃縮されるという利点をもたらすことを見出した。この濃縮効果は、例えば、工程の特定のステップにおけるニッケルの濃度を特定の濃度より低く保つために、工程から特定の量のニッケルを引き出すには、ニッケル量とともにより少量の銅を引き出す必要があるという利点をもたらす。これは、工程からのニッケルの除去がより効果的であり、引き出された銅/ニッケル混合物のさらなる処理が、より効果的により小さな設備で操作され、さらに、より効率的に、すなわちより少ないエネルギー及び/又は工程薬品の消費で操作され得るという利点をもたらす。
出願人らは、工程から引き出された第1高銅金属組成物を、当技術分野で既知の手段によって、又は好ましくは、2018年5月16日に出願された「Improvement in Copper Electrorefining」という発明名称の同時係属中の特許出願EPA18172598.7に記載された手段によって、第1高銅金属組成物中に含まれる銅及びニッケルの回収のためにさらに処理することができることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、ステップl)の終わりに、第1高銅金属組成物が炉から部分的にのみ除去され、この金属組成物の一部は、第3はんだ精錬スラグとともに炉内に保持される。この部分は、ステップl)の終わりに炉内に存在する第1高銅金属組成物の全体の少なくとも3重量%、4重量%又は5重量%、好ましくは炉内に存在する第1高銅金属組成物の全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらになおより好ましくは少なくとも40重量%であり得る。出願人らは、この量の金属が、現在及びその後の少なくとも1つの工程ステップの間の炉の操作性を改善することを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
m)第3はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2銅希薄金属組成物と第4はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第2銅希薄金属組成物から第4はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、第3はんだ精錬スラグが、このスラグから粗はんだ系の流れを導き出すにはなおかなり高い量の銅及び/又はニッケルを含み得ることを見出した。したがって、出願人らによれば、本発明による工程の一部として追加の部分的還元ステップm)を含むことが好ましい。出願人らは、第3はんだ精錬スラグに存在する多量の銅及び/又はニッケルが、ステップm)で形成される第2銅希薄金属組成物の一部として容易に除去され得る一方、スズ及び/又は鉛のほとんどが、第4はんだ精錬スラグをさらなる処理に供する前に、第4はんだ精錬スラグの一部として保持され得ることを見出した。好ましくは、ステップm)は、ステップm)に存在する銅の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも90重量%が第2銅希薄金属組成物の一部として除去されるように操作される。代替的又は追加的に、好ましくは、ステップm)は、ステップm)に存在するスズの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、さらになおより好ましくは少なくとも90重量%が第4はんだ精錬スラグに回収されるように操作される。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップm)の終わりに、第2銅希薄金属組成物が炉から部分的にのみ除去され、この金属組成物の一部は、第4はんだ精錬スラグとともに炉内に保持される。この部分は、ステップm)の終わりに炉内に存在する第2銅希薄金属組成物の全体の少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%又は5重量%、好ましくは炉内に存在する第2銅希薄金属組成物の全体の少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも30重量%、さらになおより好ましくは少なくとも40重量%であり得る。出願人らは、この量の金属が、後続の工程ステップの少なくとも1つの間の炉の操作性を改善することを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
s)ステップm)で形成される第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を、好ましくは第1銅精錬スラグが還元される前に、ステップc)に再循環する、及び/又は第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を、好ましくは第1鉛−スズ金属組成物が酸化される前に、ステップc)に再循環する、及び/又は第2銅希薄金属組成物の少なくとも一部を第1液浴に加えるステップ
をさらに含む。
出願人らは、第2銅希薄金属組成物を再循環するためにどの再循環選択肢を選択しても、存在し得るニッケルに加えて、第2銅希薄金属組成物に回収された銅が、ステップd)で形成され、さらに下流でステップl)で形成される第1高銅金属組成物に容易に流入する第1銅希薄金属組成物に容易に回収され、これによって銅が工程から容易に引き出され得る一方、同時に、第2銅希薄金属組成物中のスズ及び/又は鉛は、ステップd)で形成される第1はんだ精錬スラグに容易に流入し得、その後、さらに下流でステップe)で形成される第1粗はんだ金属組成物の一部として回収され、これによってスズ及び/又は鉛が工程から引き出され得ることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
n)第4はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第2粗はんだ金属組成物と第5はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第5はんだ精錬スラグから第2粗はんだ金属組成物を分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、第4はんだ精錬スラグが粗はんだ系材料を回収するのに非常に適した供給原料であり、より高純度のスズ及び/又は鉛主要製品にさらに処理するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、部分還元ステップn)において、炉に存在するスズ及び/又は鉛の大部分が、実質的にすべての存在する銅及び/又はニッケルとともに、第2粗はんだ金属組成物に回収される得る一方、工程条件下で酸素に対する親和性が高い鉄などの金属のほとんどは、第5はんだ精錬スラグの一部として保持され得ることを見出した。出願人らは、第2粗はんだ金属組成物が、独国特許出願公開第102012005401号に記載のように流れをケイ素金属での処理に供することなどによって、さらに処理するのに適していることを見出した。代替的又は追加的に、この粗はんだ流は、任意選択的にスズ及び/又は鉛含有量を増加させるための濃縮ステップ後に、国際公開第2018/060202号又は類似案件に記載のようにさらに調整され、その後、同じ文献に記載のように、蒸留して、高純度金属製品としてスズ及び/又は鉛を回収してもよい。
一実施形態では、本発明による工程は、
o)第5はんだ精錬スラグを部分的に還元して、第3鉛−スズ系金属組成物と第3使用済みスラグとを形成し、続いて、第3鉛−スズ系金属組成物から第3使用済みスラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、粗はんだ製造ステップn)の下流に、追加の還元ステップo)を、特に上記ステップn)から回収された第5はんだ精錬スラグの部分還元ステップを設けることが有利であることを見出した。出願人らは、ステップo)によって、この第5はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出しながら、残りのスラグを価値のある最終使用用途での使用のために、及び/又は使用済みスラグとして廃棄するためにさらにより適切に処理し得ることを見出した。出願人らはさらに、追加の還元ステップo)が、スラグ中の鉛などの浸出可能な金属を十分に低い濃度に還元することができ、その結果、ステップo)から残ったスラグはさらに貴重な材料として使用可能になり、又は責任をもって廃棄可能になり、これはまた、鉛及び/又は亜鉛などの敏感な金属の濃度を下げるために、非常に限られた数の追加の処理ステップで、場合によってはさらなる処理ステップなしで行われ得ることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
p)第3鉛−スズ系金属組成物を部分的に酸化して、第4鉛−スズ系金属組成物と第6はんだ精錬スラグとを形成し、続いて、第4鉛−スズ系金属組成物から第6はんだ精錬スラグを分離するステップ
をさらに含む。
出願人らは、ステップp)が、ステップo)から回収された第3鉛−スズ系金属組成物が分割されて、一方は、存在するニッケルのほとんどとともに、ステップp)からの銅が濃縮された金属流に、他方は、鉄及び存在する場合は亜鉛のほとんどとともに、銅が極めて少ないがステップp)で存在するスズ及び/又は鉛の大部分が濃縮されたスラグ相になるという利点をもたらすことを見出した。出願人らは、この分割により、ステップp)から得られる2つの流れが、それらの組成により適切に適合するステップを使用して、様々に及び/又は別々に処理され得るという利点がもたらされることを見出した。
一実施形態では、本発明による工程は、
q)第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を、好ましくは第1液浴を酸化する前に、ステップd)に再循環する、及び/又は第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を第1液浴に添加する、及び/又は第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部を、好ましくは第1はんだ精錬スラグを還元する前に、ステップe)に再循環するステップ
をさらに含む。
出願人らによれば、第6はんだ精錬スラグをステップd)及び/又はステップe)に再循環することが好ましい。これにより、このスラグ流のスズ及び/又は鉛を、ステップe)からの第1粗はんだ金属組成物、又はステップn)からの第2粗はんだ金属組成物に回収することができる一方、第6はんだ精錬スラグに存在する鉄が、ステップf)からの第2使用済みスラグにかなり容易に流入し、鉄が本発明による工程の循環の一部として蓄積するリスクが生まれないからである。
一実施形態では、本発明による工程は、
r)第4鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップl)に再循環する、及び/又は第4鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部を、好ましくはステップl)の一部として第2液浴を酸化する前に、第2液浴に添加するステップ
をさらに含む。
出願人によれば、第4の鉛−スズ系金属組成物を工程l)に再循環することが好ましい。なぜなら、この金属流は、ステップd)からの第1銅希薄金属組成物とともに、第2液浴に添加される第3銅精錬スラグと接触させるのに非常に適しており、それによって、ステップj)からの第3銅精錬スラグが部分的に還元され、添加された2つの金属組成物が部分的に酸化されて平衡が確立され、炉内に存在する銅のほとんどが、ニッケルと一部のスズおよび/または鉛とともに、最終的に第1高銅金属組成物になる一方、排除可能金属(鉄、ケイ素、アルミニウム)が、存在するスズおよび/または鉛の大部分とともに、ステップl)で製造される第3はんだ精錬スラグの一部になるからである。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップo)は、好ましくは第5はんだ精錬スラグの還元前に、ステップo)に第2新しい銅含有供給原料を加えることを含む。
出願人らは、銅が、ステップn)の後に残される第5はんだ精錬スラグ中に残存する他の有価金属の優れた抽出剤として作用することができ、また、この有利な抽出は、ステップo)で製造される第3使用済みスラグへの多量の銅の損失を伴わずに実行することができるため、還元ステップo)への銅の添加は大きな利点をもたらすことを見出した。
出願人らはさらに、ステップo)に添加され得る新しい銅含有供給原料が、多量の他の有価金属、特に亜鉛、ニッケル、スズ及び/又は鉛を含み得ることを見出した。出願人らは、十分な銅が提供される場合、特にスズ及び/又は鉛の第3使用済みスラグへの損失を非常に低く保つことができるため、この第3使用済みスラグの可能なさらなる使用又は経路づけを脅かすことも、有価金属の経済的に大きな損失を招くこともないことを見出した。
出願人らは、多種多様な材料が、ステップo)への新しい銅含有供給原料として適していることを見出した。しかしながら、出願人らによれば、ステップo)への新しい銅含有供給原料が、可燃物、すなわち工程条件下で容易に酸化する物質、例えばプラスチック及び/又は炭化水素などの有機材料、燃料又はオイルの残りなどを、限られた量のみ含み、好ましくはほとんど乃至全く含まず、そのため、ステップo)の温度が容易に制御可能であることが好ましい。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2新しい銅含有供給原料は、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む。
出願人らは、ステップo)に、ステップa)で提供された黒銅と組成が類似した多量の黒銅を添加して、ステップn)から得られる第5はんだ精錬スラグからより多くの有価金属を抽出することができ、その際、追加の有価金属をステップo)からの第3使用済みスラグに過剰に失わないことを見出した。出願人らは、工程o)で許容される上流の製錬ステップからのそのような黒銅の量は、ステップb)の供給原料としてステップa)で提供される黒銅量が桁違いの大きさであったとしても、非常に大きいことを見出した。出願人らは、ステップo)を本発明による工程に含めることにより、製錬タイプの黒銅を処理する能力を、したがって、低価値の、つまり、高価値に高められる可能性のある有価金属を持ち込む低品質の原材料を多量に処理する能力を大幅に高めることを見出した。出願人らは、ステップo)を操作するこの方法は、上流の製錬ステップからの黒銅の大部分が、これらのすべての黒銅が銅精錬シーケンスの少なくとも第1ステップb)を通過する必要なく処理され得るという追加の利点をもたらすことを見出した。ステップo)への黒銅供給原料中の、工程条件下で銅よりも酸素に対する親和性が高いすべての金属は、この新しい黒銅供給原料からステップo)への銅がステップb)に流入し、ステップb)、h)及びj)の銅精錬工程シーケンスを通過する前に、すでに除去されている可能性が高い。
出願人らはまた、ステップo)が使用済み及び/又は排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。高品質の銅の製造は、典型的に電気分解ステップを含み、銅はアノードから電解液に溶解し、カソードに再堆積する。アノードは、典型的には完全には消費されず、アノードは、その最後の銅が溶解する前に電解浴から使用済み銅アノード材料として除去される。出願人らは、ステップo)がそのような使用済み銅アノード材料を導入するのに非常に適していることを見出した。そのような銅電気分解ステップのための銅アノードは、典型的には、適量の溶融アノード品質銅を鋳型に注ぎ、冷却時に銅を凝固させることにより鋳造される。銅の電気分解を適切に機能させるために、アノードはかなり厳格な寸法及び形状要件に準拠する必要がある。非準拠のアノードは使用しないことが好ましいが、排除銅アノード材料を表す。出願人らは、ステップo)はそのような排除銅アノード材料を導入するのにも非常に適していることを見出した。
出願人らによれば、使用済み及び/又は排除銅アノード材料を、予熱をほとんど乃至全く伴わずに固体として導入することが好ましい。これは、この材料の溶融が、ステップo)で発生する化学反応によって生成される反応熱の少なくとも一部を消費するという利点をもたらす。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップo)は、好ましくは第5はんだ精錬スラグの還元前に、ステップo)に第6還元剤を加えることを含む。
出願人らは、第6還元剤が、還元ステップo)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第3鉛−スズ系金属組成物中に分離し、排除可能金属を第3使用済みスラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第6還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップo)を含む本発明による工程の一実施形態では、第6還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくはそのような金属である。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにほとんど必要とされない場合があることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップo)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
出願人らによれば、ステップo)に、銅及び鉄を豊富に含む第6還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として添加することが好ましく、これは、そのようなマルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅及び/又はスズが金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれる鉄は酸化鉄としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下で鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップn)は、好ましくは第4はんだ精錬スラグの還元前に、ステップn)に第5還元剤を加えることを含む。
出願人らは、第5還元剤が、還元ステップn)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2粗はんだ金属組成物中に分離し、排除可能金属を第5はんだ精錬スラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第5還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、第5還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくは主にそのような金属であり、好ましくは第5還元剤は鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む。出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きいため、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合もあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップn)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
好ましくは、第5還元剤は、銅及び/又はニッケルをほとんど含まず、より好ましくは、合わせて1重量%未満の銅及びニッケルを含む。これは、第2粗はんだ金属組成物中に余分な銅及び/又はニッケルがほとんど又は全く現れず、そのため、この粗はんだ組成物を精錬するための下流ステップにおける工程薬品の消費は大幅に増加しないという利点をもたらす。
ステップn)を含む本発明による工程の一実施形態では、第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、好ましくは第4はんだ精錬スラグの還元前に、ステップn)に加えられ、好ましくは第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料は、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、より好ましくは主にそのようなドロスである。
出願人らは、ステップn)が、スズ及び/又は鉛が豊富だが、銅及びニッケルが少ない、ただし工程条件下でスズ及び鉛よりも酸素への親和性が高い金属を含む可能性がある材料を導入するための本工程における非常に適切な場所であることを見出した。上記材料のステップn)への追加は、スズ及び/又は鉛が第2粗はんだ金属組成物の一部として容易に回収され、工程から引き出される一方、いわゆる「卑金属」と呼ばれる金属は、短い直線の工程経路で下流のステップo)で製造される第3使用済みスラグに入るという利点をもたらす。
出願人らは、ステップn)が、そのような金属が豊富であるが銅及び/又はニッケルが比較的少ない原材料又は工程副製品において、スズ及び/又は鉛、並びに任意選択的にアンチモン及び/又はヒ素を回収するのに非常に適していることを見出した。出願人らは、第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料が、工程条件下でスズ及び/又は鉛よりも酸素に対する親和性が高い金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムなどをさらに含み得ることを見出した。そのような金属は、例えば、第1粗はんだ金属組成物又は下流の誘導物などのスズ及び/又は鉛に富む流れを精錬するための下流ステップで使用される工程薬品の一部として導入され得る。出願人らは、ステップn)が、国際公開第2018/060202号又は類似案件に開示された工程の一部として実施される精錬ステップの1つで形成されたドロス副製品から有価金属を回収するのに非常に適していることを見出した。そのようなドロス副製品流は、典型的には、経済的に多量のスズ及び/又は鉛を同伴するが、工程薬品の一部として導入された可能性がある他の金属も含む。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、ステップm)は、第3はんだ精錬スラグの還元前に、ステップm)に第4還元剤を加えることをさらに含む。
出願人らは、第4還元剤が、還元ステップm)の生成物を所望の通りに分離するように駆り立て、有価金属を第2銅希薄金属組成物中に分離し、排除可能金属を第4はんだ精錬スラグに維持することを可能にすることを見出した。出願人らは、第4還元剤がメタン又は天然ガスなどのガスであり得るだけでなく、炭素、炭化水素、さらにはアルミニウム若しくは鉄などの固体又は液体でもあり得ることを見出した。
ステップm)を含む本発明による工程の一実施形態では、第4還元剤は、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくは主にそのような金属である。
出願人らによれば、経済的に非常に魅力的な条件で十分に入手可能であるため、還元剤として鉄、好ましくは鉄くずを使用することが好ましい。出願人らは、固体還元剤の添加が、その所望の温度を維持又は達成するために炉が要する追加の加熱がより少ないという追加の利益をもたらし得ることを見出した。出願人らは、この利益が十分に大きく、空気及び/又は酸素を使用して燃料を燃焼させることによる追加の加熱が、所望の温度に到達するためにわずかでよいか、又はほとんど必要とされない場合さえあることを見出した。出願人らはさらに、上記で説明したように、ステップm)がシリカの添加によってさらに利益を得る可能性があることを見出した。
出願人らによれば、ステップm)に、銅及び鉄を豊富に含む第4還元剤を、好ましくはマルチメタル材料として添加することが好ましく、これは、このマルチメタル材料が、高純度のスズ、高純度の銅、又は高純度の鉄よりも有利な条件で容易に入手できるからである。別の適切な材料は、電気モータ、好ましくは使用済みのそのようなモータであり得る。なぜなら、そのようなモータは、コアに鉄を、巻線に銅を多く含むからである。出願人らは、銅が金属相に容易に保持され、スラグ相への移動が阻止される一方、この新しい銅含有供給原料に含まれるスズ、鉛及び鉄はそれらの各酸化物としてスラグ相に容易に移動し、ただしそれによって、工程条件下でスズ、鉛及び鉄よりも酸素に対する親和性が低い他の金属の化学的還元が助けられることを見出した。
本発明による工程の一実施形態では、スラグ相から金属相を分離することを含む工程ステップの少なくとも1つに、ある量のシリカが、好ましくは砂の形態で添加される。
出願人らは、シリカがスラグ相の形成を促進し、スラグの流動性を改善し、重力によってスラグ相からの金属相の分離を改善することを見出した。この理論に縛られることを望まないが、出願人らによれば、化学的還元によりスラグ相に形成される金属の泡がスラグ相をより容易に移動して、2つの相の間の界面に到達し、そこで下にある連続した金属相と結合され得るため、スラグ粘度の低下自体が相分離を改善すると考えられる。シリカの添加は、特に鉛に関して、金属相とスラグ相との間の特定の金属の平衡にさらに有利に影響を与える。シリカはスラグの酸性度も高め、これは、異なる相間の炉内の平衡にさらに影響を与える。スラグが鉄を含み、炉から引き出されて、高温の液体スラグを水と接触させることによって造粒される場合、シリカの添加により、鉄が水の分解、したがって爆発の危険をもたらす水素ガスの形成を起こす触媒として作用する形態で存在するおそれを避けることができる。シリカはまた、スラグ中のスズの活性を高め、一部のSnOをSn金属に還元し、Snは金属相に移動する。この最後のメカニズムにより、下にある同じ金属組成物のスラグに残るSnの量が減少する。
黒銅がステップb)、f)及びo)の少なくとも1つに添加される本発明による工程の一実施形態では、黒銅は製錬ステップによって製造される。
出願人らは、本発明による工程のステップ、特にステップb)、h)、f)及び/又はo)への可能な供給原料及び新しい供給原料として使用される黒銅組成物のいずれか、好ましくはすべてを製造するために、製錬ステップが非常に適しており、さらには好ましいことを見出した。製錬ステップは、操作及び設備が単純であるという利点を提供し、したがって経済的に有利である。製錬ステップは、原材料の品質の観点で許容性があるというさらなる利点をもたらす。本明細書の上記で説明したように、製錬ステップは、多様な成分で高度に希釈及び/又は汚染された原材料を受け入れることができる。これらの混合及び/又は汚染された原材料には他の最終用途がほとんどないため、経済的に非常に魅力的な条件で供給され得る。したがって、これらの原材料を処理し、そこに含まれる有価金属の価値を向上させる能力は、本発明による工程の操作者にとって関心がある。
製錬炉で金属が溶融され、有機物及びその他の可燃材料が燃焼される。酸素に対して比較的高い親和性を有する金属は、それらの酸化物に変換され、より低密度の上澄みスラグ相に集まる。酸素に対して比較的低い親和性を有する金属は、元素金属として残り、製錬炉底部のより高密度の液体金属相に残る。銅製造ステップでは、製錬ステップは、ほとんどの鉄が最終的にスラグになり、一方、銅、スズ及び鉛が最終的に金属製品、典型的に「黒銅」と呼ばれる流れになるように操作され得る。また、ニッケル、アンチモン、ヒ素及びビスマスのほとんどは、最終的に黒銅製品の一部になる。
出願人らは、製錬ステップからの金属製品は溶融液体として本発明による工程に導入され得るが、代替的に、造粒などによって固化及び冷却されてもよく、それによって、様々な工業用地間の輸送が可能になり、その後、溶融前又は再溶融後に工程に導入され得ることを見出した。本発明による工程の一実施形態では、第1粗はんだ金属組成物及び第2粗はんだ金属組成物の少なくとも1つは、ケイ素金属を使用して予備精錬され、予備精錬はんだ金属組成物が製造される。そのような粗はんだ金属組成物に適した予備精錬処理は、独国特許出願公開第102012005401号に記載されている。
一実施形態では、本発明による工程は、第1粗はんだ金属組成物及び/又は第2粗はんだ金属組成物及び/又は予備精錬はんだ金属組成物を最大825℃の温度まで冷却し、重力によって第1液状溶融調整はんだ相上に浮遊する第1上澄みドロスを含む浴を製造するステップをさらに含む。出願人らは、このさらなる下流の工程ステップによって、多量の銅及び他の望ましくない金属を粗はんだから除去することができることを見出した。このステップの詳細は、国際公開第2018/060202号で参照することができる。出願人らはさらに、この冷却ステップが、この鉛/スズ流で実施されるいくつかのさらなる下流工程ステップと組み合わせて、少なくとも部分的に、本明細書の他の場所で言及されたケイ素金属による予備再処理の代替を提供し得ることを見出した。これは、ケイ素金属はかなり希少な工程薬品であり、その使用が削減及び/又は排除される場合に有益であるため、有利である。
一実施形態では、本発明による工程は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化学化合物を、第1粗はんだ金属組成物及び/又は第2粗はんだ金属組成物及び/又は予備精錬はんだ金属組成物及び/又は第1液状溶融調整はんだ相に添加し、重力によって第2液状溶融調整はんだ相の上部に浮遊する第2上澄みドロスを含む浴を形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第2液状溶融調整はんだ相から第2上澄みドロスを除去し、それにより第2調整はんだを形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第1液状溶融調整はんだ相から第1上澄みドロスを除去し、それにより第1調整はんだを形成するステップをさらに含む。
一実施形態では、本発明による工程は、第1調整はんだ及び/又は第2調整はんだを蒸留するステップをさらに含み、鉛(Pb)が蒸発によってはんだから除去され、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が好ましくは真空蒸留によって得られる。
本発明による工程の一実施形態では、少なくとも1つのはんだ流を蒸留してはんだから鉛(Pb)を蒸発により除去するステップを含み、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が得られ、蒸留塔底生成物は少なくとも0.6重量%の鉛を含む。その利点は、国際公開第2018/060202号に説明されている。
本発明の一実施形態では、工程の少なくとも一部は、好ましくはコンピュータプログラムによって電子的に監視及び/又は制御される。出願人らは、本発明による工程からのステップの電子的、好ましくはコンピュータプログラムによる制御は、処理性にはるかに優れるという利点をもたらし、結果として、はるかに優れた予測ができ、工程目標により近づくことを見出した。例えば、温度測定に基づいて、必要に応じて圧力及び/又は濃度測定に基づいて、及び/又は工程流から取得したサンプルの化学分析の結果及び/又はオンラインで取得した分析結果と組み合わせて、制御プログラムは、電気エネルギーの供給又は除去、熱又は冷却媒体の供給、流れ及び/又は圧力制御に関連する設備を制御することができる。出願人らは、そのような監視又は制御が、連続モードで操作されるステップで特に有利であるだけでなく、バッチ又はセミバッチで操作されるステップでも有利であり得ることを見出した。さらに、好ましくは、本発明による工程のステップの実施中又は実施後に得られる監視結果は、本発明による工程の一部としての他のステップの監視及び/又は制御にも、及び/又は本発明による工程が一部のみである工程全体の一部としての本発明による工程の上流又は下流に適用される工程の監視及び/又は制御にも役立つ。好ましくは、全工程全体が電子的に監視され、より好ましくは少なくとも1つのコンピュータプログラムによって監視される。好ましくは、工程全体は可能な限り電子的に制御される。
出願人らによれば、コンピュータ制御によって、本明細書で説明されている工程を含むがこれらに限定されない他の工程の監視及び/又は制御のために、データ及び命令が1つのコンピュータ又はコンピュータプログラムから少なくとも1つの他のコンピュータ又はコンピュータプログラム又は同じコンピュータプログラムのモジュールに渡されることがさらに行われることが好ましい。
出願人らによれば、本発明による工程の特定のステップを、上吹回転炉(TBRC)、任意選択的に、米国特許第3682623号、図3〜図5及びそれらの関連説明に開示されている炉、又は一般にカルド炉又はカルド転炉として知られている炉で操作することが好ましい。出願人らによれば、化学反応が起こっているステップ及び/又は溶融スラグ相と下にある溶融金属相との間の平衡が望まれるステップで、このタイプの炉を使用することが特に好ましい。
出願人らは、このタイプの炉が、複合材料、多量のスラグ相を生成する材料、及び物理的外観と化学組成とに関して多様性を有する材料の処理を可能にすることを見出した。このタイプの炉は、供給原料として、他の工程ステップからのスラグ及び/又は大きな固体材料片、すなわち他のタイプの炉設計への導入がはるかに難しい供給原料を受け入れることができる。
そのような炉は、固体と液体との間、及び異なる液相間でより強力な接触が得られるように、炉が回転され得るという利点をもたらし、それにより、所望の相間平衡のより早い達成及び/又は実現を可能にする。
好ましくは、炉の回転速度は、炉内で実施される工程ステップに適合可能であるように、可変である。反応を要し、炉の内容物を平衡状態に移動させる工程ステップは、高速回転が好ましく、一方、新しい固体供給原料を溶融する必要がある場合など、他の工程ステップは、低速回転が好ましく、又は場合によって全く回転しないことが好ましい。
好ましくは、炉の傾斜角は可変であり、それにより、より優れた混合制御を可能にし、それによって反応速度論的制御も可能にする。可変の傾斜角はまた、十分量の十分に熱い液体、したがってより流動性の高い液体が形成されて残りの固体を浮遊させておくようになるまで、固体供給原料に対する開始が、好ましくは低傾斜角で、より良好に成されることを可能にする。
出願人らによれば、特定の条件下で、少なくとも定期的に、従来の回転モードではなく、いわゆる「ロッキングモード」で、すなわち全360°回転の一部のみを反対方向に交互に回転させることで、炉を操作することが好ましい。出願人らは、この操作モードが、炉が同じ内容物で完全に回転している場合に炉の駆動装置にかかり得る過大な力を回避し得ることを見出した。出願人らによれば、炉装入物に比較的多量の固体がまだあり、これらの固体を浮遊させておくには液体の存在が低すぎる場合、又は、例えば炉内の液体がまだかなり冷たいために流動性がまだ不十分である場合、この操作モードを適用することが好ましい。
出願人らによれば、TBRCが耐火性ライニングを有することが好ましく、このライニングが2層であるとより好ましい。好ましくは、ライニングの内層、すなわち、炉の内容物と接触する層は、完全操作中に炉の内容物が高温のときに視覚的に明るくなる材料で作製され、一方、下にある層の材料は、槽の内部温度に曝されたときに暗いままである。この設定により、炉の操作中に簡単な目視検査でライニングの欠陥をすばやく見つけることができる。
したがって、ライニングの外層は、一種の安全層として機能する。出願人らによれば、この安全ライニングは内部ライニング層よりも熱伝導率が低いことが好ましい。
TBRCのライニングを設置する場合、ライニングは個別の円錐形の耐火れんがを配置することによって構築するのが好ましく、出願人らによれば、ボール紙又は屋根材の層など、個々のライニング要素又はれんがの間に犠牲層を設けることが好ましい。これにより、最初の稼働中に炉の温度が上昇するため、犠牲層が焼却されて消失し、れんがの熱膨張の余地が生まれるという利点がもたらされる。
本発明による工程のいくつかのステップでは、上澄み液体スラグ相がまだ炉内にある間に、下にある溶融金属相が炉から出湯されることが好ましい。出願人らによれば、炉の耐火性ライニングのドレン孔又は出湯孔によってこの液体金属を出湯するのが好ましい。出願人らによれば、操作する炉の移動中は犠牲金属棒によってこの孔を塞ぐことが好ましい。金属の出湯を準備するためには、出願人らによれば、この棒を炉の液位より上に保ったまま焼損させ、焼損した出湯孔を、例えばボール紙製の可燃性プラグで一時的に塞ぎ、その後、炉を金属出湯位置に回転することが好ましい。出願人らは、可燃性プラグの焼却時間が、炉が金属出湯位置に回転し、出湯孔がスラグ相を通過する時間をもたらすことを見出した。
外部の熱供給で炉を加熱するために、出願人らによれば、燃料と酸素源を別々に炉に導入するのではなく、燃料と酸素源との混合物を燃焼させる燃焼装置を使用するのが好ましい。出願人らは、そのような混合物燃焼装置は、操作がより難しい場合があるが、火炎がより正確に炉内の好ましいスポットに向けられるという利点をもたらし得ることを見出した。
出願人らは、酸素源に対する燃料の比を使用して、炉内の酸化/還元の炉体制を容易に制御することができ、したがって、炉内で起こることが想定される化学反応の方向を調整及び/又は制御するのを助けることができることを見出した。
出願人らは、冷たい供給原料が導入される本発明による工程の一部としてのそれらのステップが、ダイオキシン及び/又は揮発性有機化合物(VOC)を生成する可能性があることを見出した。出願人らによれば、ダイオキシン及び/又はVOCを排出蒸気から捕捉するための適切な設備を備えた炉でこれらの工程ステップを実施することが好ましい。出願人らは、炉の一部のみがそのような排気処理設備を必要とし、一方、他の炉ダストについては法的に課せられた排出基準を満たすために収集及び/又はろ過で十分である方法で、工程を操作することができることを見出した。
本発明による工程は、液体溶融金属及び/又はスラグ相を1つの炉から別の炉に移送するいくつかの機会を含む。出願人らは、この移送が移送取鍋を使用して最も便利に行われることを見出した。移送取鍋の構築材料を保護するために、出願人らによれば、取鍋に固体スラグコーティングの内層を設けることが好ましい。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す。実施例は、本発明による工程の中核部分の流れ図を示す図1によってさらに示されている。この工程部分では、様々な供給原料に由来して、及び黒銅組成物1から開始して、精錬アノード品位銅製品9、高銅金属組成物副製品22、2つの粗はんだ金属組成物製品18、26、及び3つの使用済みスラグ12、20、28が回収される。
図1では、数字は以下の特許請求の範囲の特徴を表している。
1ステップb)(100)への黒銅組成物供給原料
2ステップb)(100)への新しい供給原料
3第1銅精錬スラグ
4第1銅濃縮金属相
5ステップh)(200)への新しい供給原料
6第2銅精錬スラグ
7第2銅濃縮金属相
8第3銅精錬スラグ
9第3銅濃縮金属相−アノード品位
10第2鉛−スズ系金属組成物
11第2銅希薄金属組成物
12第1使用済みスラグ
13第1鉛−スズ系金属組成物
14ステップd)(500)の前の第1液浴(450)への第6はんだ精錬スラグ
15第1銅希薄金属組成物
16第1はんだ精錬スラグ
17ステップe)(600)への第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料
18第1粗はんだ金属組成物
19第2はんだ精錬スラグ
20第2使用済みスラグ
21第4鉛−スズ系金属組成物
22第1高銅金属組成物−工程から除去された部分
23第3はんだ精錬スラグ
24第4はんだ精錬スラグ
25ステップn)(1000)への第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料
26第2粗はんだ金属組成物
27第5はんだ精錬スラグ
28第3使用済みスラグ
29第3鉛−スズ系金属組成物
30第1高銅金属組成物−ステップb)及び/又はステップd)に再循環される部分
31ステップj)(300)への新しい供給原料
50ステップf)(700)への第1新しい銅含有供給原料
51ステップp)(1200)への新しい供給原料
52ステップl)(800)の前の第2液浴(550)への新しい供給原料
53ステップe)(600)に再循環される第6はんだ精錬スラグ
55ステップo)(1100)への第2新しい銅含有供給原料
56ステップc)(400)への新しい供給原料
57ステップd)(500)の前の第1液浴(450)への新しい供給原料
58ステップm)(900)への新しい供給原料
450第1液浴
550第2液浴
100工程ステップb)
200工程ステップh)
300工程ステップj)
400工程ステップc)
500工程ステップd)
600工程ステップe)
700工程ステップf)
701工程ステップg)
800工程ステップl)
801ステップl)から工程ステップb)及び/又はd)への流れ30の再循環
900工程ステップm)
901工程ステップs)、すなわち、ステップm)から工程ステップc)への流れ11の再循環
1000工程ステップn)
1100工程ステップo)
1200工程ステップp)
1201工程ステップq)−第6はんだ精錬スラグ(14)の一部のステップp)から第1液浴(450)への再循環及び/又は工程ステップe)(600)への再循環(53)
1202工程ステップr)−第4鉛−スズ系金属組成物(21)のステップp)から第2液浴(550)への再循環
ステップb)(100):本明細書ではステップb)(100)の精錬炉として使用される上吹回転炉(TBRC)には、上流の溶融炉からの21,345kgの黒銅1、前の工程循環の一部として下流の工程ステップl)(800)から再循環された30,524kgの第1高銅金属組成物30、及び86,060kgの新しい供給原料2を装入した。新しい供給原料2は、主に、青銅、赤黄銅、及び銅が豊富で他の有価金属が少ないいくらかの供給原料から構成されていた。ステップb)(100)への炉装入のすべての供給原料の組成及び量を表Iに示す。このようにして装入された供給原料に、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスの形のシリカフラックスを加えた。供給原料は、炉を回転させながら、酸化条件下で、部分的に酸素を吹き込みながら溶融及び/又は加熱した。

供給原料中に存在する多量の亜鉛を炉から発煙させた。第1酸化ステップb)(100)の終わりに、第1銅精錬スラグ3を注ぎ出し、工程ステップc)(400)に供するためにスラグ再処理炉に移した。この第1銅精錬スラグ3は、鉛、スズ、亜鉛及び鉄が豊富であった。このスラグ3、同様に第1銅濃縮金属相4、及びステップb)(100)中に生成されたダストの詳細な組成を、それらの量とともに表IIに示す。第1銅濃縮金属相4は、工程ステップh)(200)に供するために別のTBRCに移した。

ステップh)(200):第1銅濃縮金属相4に、27,091kgの新しい銅豊富供給原料5と、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとを追加した。この新しい供給原料5は、炉の温度を冷却するために、銅豊富固体材料に加えて、上流の製錬炉からのいくらかの追加の黒銅から構成されていた。ステップh)(200)の炉装入の供給原料の組成及び量を表IIIに示す。

炉内容物の酸化は、炉内容物に酸素を吹き込むことにより行った。第2酸化ステップの終わりに、第2銅精錬スラグ6を注ぎ出し、ステップd)(500)に供するために別のスラグ再処理炉に移した。残りの第2銅濃縮金属相7は、ステップj)(300)に供するために別のTBRCに移した。第2銅精錬スラグ6及び第2銅濃縮金属相7の組成及び量を表IVに示す。表IVからわかるように、金属相7は、表IIIの炉供給流4及び5と比較して、銅含有量が大幅に濃縮されていた。

ステップj)(300):第2銅濃縮金属相7に、さらに22,096kgの新しい銅豊富供給原料31を加えた。ステップj)(300)の炉装入の供給原料の組成及び量を表Vに示す。

炉の内容物に酸素吹き込みを行い、吹き込み期間の終わりに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えてから、第3銅精錬スラグ8を注ぎ出した。残りのアノード品位の銅金属相9は、例えば電気精錬による精製などのさらなる処理のために炉から除去した。第3銅精錬スラグ8及びアノード品位の銅9の組成及び量を表VIに示す。表VIからわかるように、金属相9は、表Vの炉供給流7及び/又は31と比較して、銅含有量がさらに豊富であった。

ステップc)(400):26,710kgの第1銅精錬スラグ3(表VIIに示す組成)を、スラグ再処理炉として使用される別のTBRCに、6,099kgの新しい供給原料56と、前の工程循環からの工程ステップm)(900)から得られた11,229kgの第2銅希薄金属相11とともに、及び前の工程循環からの工程ステップf)(700)から得られた23,000kgの第2鉛−スズ系金属相又は組成物10とともに導入した。この炉内容物に、10,127kgの鉄くずを還元剤として加えた。さらに、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。充填が完了したら、18〜20rpmの範囲の速度で炉を回転させた。ステップc)(400)の炉装入の供給原料の組成及び量を表VIIに示す。

銅、スズ及び鉛の還元が十分に進行すると、鉛−スズ系金属組成物13、ダスト、及び第1使用済みスラグ12が製造された。これらの製品の組成及び量を表VIIIに示す。第1使用済みスラグ12を注ぎ出し、工程から除去した。第1鉛−スズ系金属組成物13を別のTBRCに移し、第1液浴450の一部とした。

ステップd)(500):第1液浴450を形成するために、46,718kgの第1鉛−スズ系金属組成物13に、17,164kgの第2銅精錬スラグ6(表IVに示される組成を有する)を、9,541kgの新しい供給原料57と、(前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から再循環された)474kgの第6はんだ精錬スラグ14とともに加えた。さらに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。ステップd)(500)の炉装入物を形成した第1液浴450の成分の組成及び量を表IXに示す。

スラグと金属相との混合物は、スラグ相で銅及び/又はニッケルの濃度が十分に低下するまで反応させた。反応は、より多くのスズ及び鉛をスラグ相に移動させた。その時点で、炉の底部から出湯させ、第1銅希薄金属組成物15を炉から除去した。第1はんだ精錬スラグ16は、第1銅希薄金属相15から残された約1メトリックトンとともに、次のステップe)(600)に供するために別のTBRCに渡した。ステップ500から得られた両方の製品流の組成及び量は、スラグ相とともに残っていた1メトリックトンの金属相を除いて、表Xに示す。

ステップd)からの第1Cu希薄金属相15は、約0.08重量%の銀(Ag)及び0.03重量%の硫黄を含んでいた。
ステップe)(600):14,987kgの第1新しい鉛及びスズ含有供給原料17を第1はんだ精錬スラグ16に加えてから、この混合物をステップe)(600)で還元した。還元は、還元剤として8,017kgの鉄くずを加えることにより行った。所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスに加えて、前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から得られた8,650kgの第6はんだ精錬スラグ53を、ステップe)(600)の一部として炉にさらに追加した。ステップe)(600)の炉装入物を形成する供給原料の組成及び量を表XIに示す。

この部分還元ステップ中に、多量の亜鉛を炉内容物から発煙させた。スラグ相のSn濃度がほぼ目標の濃度に達したときに、還元を停止した。その時点で、炉の底部から出湯させ、工程から第1粗はんだ金属組成物18を除去した。第1粗はんだ金属組成物18を、さらに処理して、鉛及びスズ主要製品にした。第2はんだ精錬スラグ19を、ステップf)(700)の一部としてさらに処理するために別のTBRCに渡した。第1粗はんだ金属18、第2はんだ精錬スラグ19、同様にステップe)(600)から得られたダストの組成及び量を表XIIに示す。

ステップf)(700):還元剤として1,207kgの鉄くずを添加することにより、第2はんだ精錬スラグ19に対してさらなる還元ステップを実施した。22,234kgの第1新しい銅含有供給原料50と、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとを、ステップf)(700)の一部としてさらに追加した。この新しい供給原料50は、他の工程ステップから残されたいくらかのスラグ材料に加えて、上流の製錬炉からのいくらかの追加の黒銅から構成されていた。ステップf)(700)への炉装入の供給原料の組成及び量を表XIIIに示す。

スラグ中のCu、Sn及びPbがそれぞれ最大0.50%まで減少すると、第2鉛−スズ系金属相10及び第2使用済みスラグ20が製造された。それらの組成及び量を表XIVに示す。第2使用済みスラグ20を注ぎ出し、工程から除去した。第2鉛−スズ系金属組成物10は、第1銅精錬スラグ(3)を還元する前に、次の工程循環のステップc)(400)に先に渡した。
ステップl)(800):17,024kgの第3銅精錬スラグ8(表VIに示す組成を有する)は、スラグ再処理炉として使用されるTBRCに、14,920kgの新しい銅豊富供給原料52と、ステップd)(500)から得られた49,792kgの第1銅希薄金属相15とともに供給した。さらに、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスを加えた。これらの材料は、前の工程循環の一部として下流の工程ステップp)(1200)から得られた第4鉛−スズ系金属相21(20,665kg)とともに溶融した。これらの供給原料は一緒に、第2液浴550を構成した。充填及び溶融が完了したら、20rpmの速度で炉を回転させた。ステップl)(800)のスラグ再処理炉装入物の供給原料の組成及び量を表XVに示す。

スラグ中の銅及びニッケルの濃度がほぼ目標値に達するまで、必要に応じてさらに酸素吹き込みを使用して部分的に酸化して、混合物を反応させた。その時点で、炉の底部から出湯させ、第3はんだ精錬スラグ23から64,500kgの第1高銅金属組成物(流れ22と30とを合わせて)を除去した。第3はんだ精錬スラグ23は、スラグとともに保持された約6メトリックトンの第1高銅金属相とともに、ステップm)(900)の一部としてさらに処理するために別のTBRCに渡した。ステップl)(800)の終わりの製品流の組成及び量を表XVIに示し、ここでは、次の処理ステップへの途中でスラグ相とともに残った6メトリックトンの金属相が含まれている。

炉内の第1高銅金属組成物のうち、30,524kgを次の循環の新しいステップb)(100)を開始するための流れ30として銅精錬炉に供給した。さらに33,976kgを、さらに処理するために、流れ22として工程から除去した。
ステップm)(900):(30,524kg+33,976kg=)64,500kgの第1高銅金属相(22+30)を炉から除去した後、ステップm)(900)の一部としてさらに処理するために、炉の内容物を別のTBRCに渡した。39,276kgの第3はんだ精錬スラグ23と、第1高銅金属組成物の組成を有する6トンの金属との混合物を、ステップm)(900)の一部として部分的に還元した。還元剤として鉄くずを導入した。所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスと、少量(37kg)の新しい供給原料58とを、ステップm)にさらに加えた。ステップm)(900)の炉装入物を形成する供給原料の組成及び量を表XVIIに示す。
スラグ相中の銅及びニッケルの濃度が十分に減少したとき、還元ステップm)(900)を停止した。その時点で、次の工程循環のステップc)(400)でさらに処理するために、炉の底部から出湯させ、11,229kgの第2銅希薄金属組成物11を除去した。第4はんだ精錬スラグ24は、第2銅希薄金属相11の組成を有する約1400kgの金属とともに、ステップn)(1000)に供するために別のTBRCに渡した。第2銅希薄金属相又は組成物11と第4はんだ精錬スラグ24との組成及び総量を表XVIIIに示し、この際、スラグ相とともに残っている1,400kgの金属相が第2銅希薄金属相11について報告される総量に含まれる。

ステップm)からの第2Cu希薄金属相11は、約0.11重量%の銀(Ag)及び0.01重量%の硫黄を含んでいた。
ステップn)(1000):11,229kgの第2銅希薄金属相11を炉から出湯させた後、残りの炉内容物は、ステップn)(1000)を実施するために別のTBRCに移した。11,789kgの第2新しい鉛及びスズ含有供給原料25をステップn)(1000)の一部として加え、炉内容物をさらに還元した。還元は、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに、還元剤として9,692kgの鉄くずを加えることにより行った。ステップn)(1000)の異なる炉供給原料の組成及び量を表XIXに示す。

スラグ相のスズ濃度がほぼ目標の濃度に達したときに、部分還元ステップを停止した。その時点で、炉の底部から出湯させ、第2粗はんだ金属組成物26を炉から除去し、第5はんだ精錬スラグ27のみを炉内に残した。第2粗はんだ金属組成物26を、さらに処理して、鉛及びスズ主要製品にした。第5はんだ精錬スラグ27は、ステップo)(1100)を実施するために、別のTBRCに渡した。第2粗はんだ金属26及び第5はんだ精錬スラグ27の組成及び量を表XXに示す。

ステップo)(1100):第5はんだ精錬スラグ27に、還元剤として922kgの鉄くずを、23,735kgの新しい銅含有供給原料55と、所望の安全性、相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに加えることにより、さらなる還元ステップを実施した。第2新しい銅含有供給原料55は、上流の製錬炉からの追加の黒銅で主に構成されていた。ステップo)(1100)への供給原料の組成及び量を表XXIに示す。

許容可能な使用済みスラグ品質が得られるまで、還元を続けた。この目標が達成されたとき、第3鉛−スズ系金属相29と第3使用済みスラグ28とが製造され、それらの組成及び量を表XXIIに示す。第3使用済みスラグ28を注ぎ出し、工程から除去した。第3鉛−スズ系金属組成物29は、ステップp)(1200)の実施を目的としたTBRCに移した。

ステップp)(1200):第3鉛−スズ系金属組成物29に、所望の相分離及び/又はスラグ流動性の効果を得るのに十分な量の砂フラックスとともに、5,204kgの新しい供給原料51を加えた。その後、部分酸化により、鉄及び亜鉛のほとんどを金属相からスラグ相に酸化した。この酸化ステップp)(1200)からの生成物の組成及び量を表XXIIIに示す。

鉄及び亜鉛の酸化が十分に進行したとき、第4鉛−スズ系金属組成物21及び第6はんだ精錬スラグ14が製造され、それらの組成及び量を表XXIVに示す。第6はんだ精錬スラグ14を注ぎ出し、少なくとも部分的に流れ14として第1液浴(450)に、及び/又は少なくとも部分的に流れ53として次の工程循環のステップe)(600)に加えた。第4鉛−スズ系金属組成物21は、別のTBRCに移し、第2液浴550の一部となり、次の工程循環の一部としてステップl)(800)を実施した。

溶融金属及び/又はスラグ相に関する工程ステップ100〜1200はすべて、1100〜1250℃の範囲の温度で操作される。ステップの目的に応じて、その操作温度は、この温度範囲の上限又は下限に近いことが好ましい場合がある。
出願人らは、この実施例に記載された工程の実施形態は、限られた数のTBRCで実施され得ることを見出した。出願人らによれば、この工程はわずか8つの炉で実施することができ、それらのいくつかは、好ましくはTBRCタイプの炉である。出願人らによれば、この工程はわずか6つの炉で、より好ましくは5つの炉のみで、さらにより好ましくは4つの炉のみで、さらになおより好ましくは3つの炉のみで実施することが好ましい。
ここまでで本発明を十分に説明したが、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、請求される範囲内の広い範囲のパラメータ内で実施できることが当業者には理解されよう。
米国特許第3682623号 オーストラリア特許第505015号 独国特許出願公開第102012005401号
Gerardo Alvear Flores et al,"ISASMELTTM for the Recycling of E−scrap and Copper in the U.S.Case Study Example of a New Compact Recycling Plant",in Journal of Metals,Springer New York LLC,USA,vol.66,no.5,18 March2014,pp.823−832,ISSN:1047−4838

Claims (85)

  1. 少なくとも40重量%の銅と合わせて少なくとも5.0重量%のスズ及び鉛とを含む第1鉛−スズ系金属組成物(13)を提供することを含む、はんだ製品及び銅製品の製造工程であって、該工程は、
    d)第1鉛−スズ系金属組成物(13)を含む第1液浴(450)を部分的に酸化(500)して、第1銅希薄金属組成物(15)と第1はんだ精錬スラグ(16)とを形成し、続いて、前記第1銅希薄金属組成物(15)から前記第1はんだ精錬スラグ(16)を分離するステップと、
    l)前記第1銅希薄金属組成物(15)を含む第2液浴(550)を部分的に酸化(800)して、第1高銅金属組成物(22)と第3はんだ精錬スラグ(23)とを形成し、続いて、前記第1高銅金属組成物(22)から前記第3はんだ精錬スラグ(23)を分離するステップと
    をさらに含み、
    これにより、前記はんだ製品は、前記第1はんだ精錬スラグ(16)に由来し、前記銅製品は、前記第1高銅金属組成物(22)に由来し、任意選択的にはんだ製品は、前記第3はんだ精錬スラグ(23)にも由来する、工程。
  2. 前記第1はんだ精錬スラグ(16)が、最大10.0重量%の銅を含む、請求項1に記載の工程。
  3. 前記第1高銅金属組成物(22)が、合わせて最大6.0重量%のスズ及び鉛を含む、請求項1又は2に記載の工程。
  4. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、少なくとも2.0重量%のスズ、及び任意選択的に最大20重量%のスズを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の工程。
  5. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、少なくとも9重量%の鉛、及び任意選択的に最大30重量%の鉛を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の工程。
  6. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、合わせて少なくとも12重量%のスズ及び鉛、及び任意選択的に合わせて最大50重量%のスズ及び鉛を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の工程。
  7. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、最大4.0重量%、及び任意選択的に少なくとも0.2重量%のニッケルを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の工程。
  8. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、合わせて最大10.0重量%の銅及びニッケルを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の工程。
  9. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、少なくとも10重量%、及び任意選択的に最大30重量%の鉄を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の工程。
  10. 前記第1はんだ精錬スラグ(16、24)が、少なくとも0.003重量%、及び任意選択的に最大0.200重量%のアンチモンを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の工程。
  11. 前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)が、最大90重量%の銅を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の工程。
  12. 前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)が、合わせて最大60重量%のスズ及び鉛を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の工程。
  13. 前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)が、2.0重量%〜30重量%の範囲のスズを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の工程。
  14. 前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)が、3.0重量%〜40重量%の範囲の鉛を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の工程。
  15. 前記第1高銅金属組成物(22)が、少なくとも70重量%の銅を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の工程。
  16. 前記第3はんだ精錬スラグ(23)が、少なくとも4.0重量%の銅を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の工程。
  17. c)第1銅精錬スラグ(3)を部分的に還元(400)して、第1鉛−スズ系金属組成物(13)と第1使用済みスラグ(12)とを形成し、続いて、前記第1鉛−スズ系金属組成物(13)から前記第1使用済みスラグ(12)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の工程。
  18. ステップc)(400)が、ステップc)に第1還元剤(R1)を加えることを含む、請求項17に記載の工程。
  19. 前記第1還元剤(R1)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項18に記載の工程。
  20. ステップc)(400)への総供給原料が、少なくとも29.0重量%の銅を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の工程。
  21. ステップc)(400)への総供給原料が、存在するはんだ金属の総量の少なくとも1.5倍の量の銅を含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の工程。
  22. 前記第1使用済みスラグ(12)が、合わせて最大20重量%の銅、スズ及び鉛を含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の工程。
  23. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%の銅を含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の工程。
  24. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%のスズを含む、請求項17〜23のいずれか一項に記載の工程。
  25. 前記第1使用済みスラグ(12)が、最大7.0重量%の鉛を含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載の工程。
  26. ステップc)(400)における前記スラグの温度が、少なくとも1000℃である、請求項17〜25のいずれか一項に記載の工程。
  27. e)前記第1はんだ精錬スラグ(16)を部分的に還元(600)して、第1粗はんだ金属組成物(18)と第2はんだ精錬スラグ(19)とを形成し、続いて、前記第1粗はんだ金属組成物(18)から前記第2はんだ精錬スラグ(19)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の工程。
  28. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、合わせて少なくとも65重量%のスズ及び鉛を含む、請求項27に記載の工程。
  29. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、少なくとも5.0重量%のスズを含む、請求項27又は28に記載の工程。
  30. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、少なくとも45重量%の鉛を含む、請求項27〜29のいずれか一項に記載の工程。
  31. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、合わせて最大26.5重量%の銅及びニッケルを含む、請求項27〜30のいずれか一項に記載の工程。
  32. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、最大17.5重量%の銅を含む、請求項27〜31のいずれか一項に記載の工程。
  33. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、最大9.0重量%のニッケルを含む、請求項27〜32のいずれか一項に記載の工程。
  34. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)が、最大8.0重量%の鉄を含む、請求項27〜33のいずれか一項に記載の工程。
  35. 前記第2はんだ精錬スラグ(19)が、合わせて最大2.0重量%の銅及びニッケルを含む、請求項27〜34のいずれか一項に記載の工程。
  36. 前記第2はんだ精錬スラグ(19)が、合わせて最大8.0重量%のスズ及び鉛を含む、請求項27〜35のいずれか一項に記載の工程。
  37. f)前記第2はんだ精錬スラグ(19)を部分的に還元(700)して、第2鉛−スズ系金属組成物(10)と第2使用済みスラグ(20)とを形成し、続いて、第2鉛−スズ系金属組成物(10)から前記第2使用済みスラグ(20)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項27〜36のいずれか一項に記載の工程。
  38. 第1新しい銅含有供給原料(50)をステップf)(700)に加えることをさらに含む、請求項37に記載の工程。
  39. 前記第1新しい銅含有供給原料(50)が、黒銅及び/又は使用済み又は排除銅アノード材料を含む、請求項38に記載の工程。
  40. 前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)が、合わせて少なくとも60重量%の銅及びニッケルを含む、請求項37〜39のいずれか一項に記載の工程。
  41. 前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)が、合わせて少なくとも12重量%のスズ及び鉛を含む、請求項37〜40のいずれか一項に記載の工程。
  42. 前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)が、少なくとも60重量%の銅を含む、請求項37〜41のいずれか一項に記載の工程。
  43. 前記第2使用済みスラグ(20)が、合わせて最大2.5重量%のスズ及び鉛を含む、請求項37〜42のいずれか一項に記載の工程。
  44. 前記第2使用済みスラグ(20)が、合わせて最大2.0重量%の銅及びニッケルを含む、請求項37〜43のいずれか一項に記載の工程。
  45. 前記第2使用済みスラグ(20)が、最大2.0重量%の銅を含む、請求項37〜44のいずれか一項に記載の工程。
  46. ステップf)(700)が、第3還元剤(R3)をステップf)(700)に加えることを含む、請求項37〜45のいずれか一項に記載の工程。
  47. 前記第3還元剤(R3)が、工程条件下で、スズ及び鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含み、好ましくは主にそのような金属である、請求項46に記載の工程。
  48. g)前記第2鉛−スズ系金属組成物(10)の少なくとも一部をステップc)(400)に再循環(701)する、及び/又は前記第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップb)(100)に再循環する、及び/又は前記第2鉛−スズ系金属組成物の少なくとも一部をステップd)(500)に再循環するステップ
    をさらに含む、請求項37〜47のいずれか一項に記載の工程。
  49. ステップe)(600)が、第2還元剤(R2)をステップe)(600)に加えることを含む、請求項27〜48のいずれか一項に記載の工程。
  50. 前記第2還元剤(R2)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属を含み、好ましくは前記第2還元剤(R2)が、鉄金属、好ましくは鉄くずを含む、請求項49に記載の工程。
  51. 第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料(17)が、ステップe)(600)に添加される、好ましくは前記第1新しいPb及び/又はSn含有供給原料(17)が、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、好ましくは主にそのようなドロスである、請求項27〜50のいずれか一項に記載の工程。
  52. a)多量のスズ及び/又は鉛と一緒に多量の銅を含む黒銅組成物(1)を提供するステップと、
    b)前記黒銅組成物(1)を部分的に酸化(100)して、第1銅濃縮金属相(4)と第1銅精錬スラグ(3)とを形成し、続いて、前記第1銅濃縮金属相(4)から前記第1銅精錬スラグ(3)を分離するステップと
    をさらに含み、前記第1銅精錬スラグ(3)をステップc)(400)に供給する、請求項17〜51のいずれか一項に記載の工程。
  53. ステップb)(100)に存在するスズの総量に対して、前記第1銅精錬スラグ(3)の一部としてステップb)(100)で回収されるスズが、少なくとも20%である、請求項52に記載の工程。
  54. ステップb)(100)に存在する鉛の総量に対して、前記第1銅精錬スラグ(3)の一部としてステップb)(100)で回収される鉛が、少なくとも20%である、請求項52又は53に記載の工程。
  55. 前記黒銅組成物(1)が、以下の条件、
    ・少なくとも50重量%の銅を含むこと、
    ・最大96.9重量%の銅を含むこと、
    ・少なくとも0.1重量%のニッケルを含むこと、
    ・最大4.0重量%のニッケルを含むこと、
    ・少なくとも1.0重量%のスズを含むこと、
    ・最大15重量%のスズを含むこと、
    ・少なくとも1.0重量%の鉛を含むこと、
    ・最大25重量%の鉛を含むこと、
    ・最大3.5重量%の鉄を含むこと、及び
    ・最大8.0重量%の亜鉛を含むこと
    の少なくとも1つ、好ましくはすべてに準拠する、請求項52〜54のいずれか一項に記載の工程。
  56. ステップb)(100)における前記スラグの温度が、少なくとも1000℃である、請求項52〜55のいずれか一項に記載の工程。
  57. h)前記第1銅濃縮金属相(4)を部分的に酸化(200)して、第2銅濃縮金属相(7)と第2銅精錬スラグ(6)とを形成し、続いて、前記第2銅濃縮金属相(7)から前記第2銅精錬スラグ(6)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項52〜56のいずれか一項に記載の工程。
  58. i)前記第2銅精錬スラグ(6)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に加える、及び/又は前記第2銅精錬スラグ(6)の少なくとも一部をステップd)(500)に加えるステップ
    をさらに含む、請求項57に記載の工程。
  59. j)前記第2銅濃縮金属相(7)を部分的に酸化(300)して、第3銅濃縮金属相(9)と第3銅精錬スラグ(8)とを形成し、続いて、前記第3銅濃縮金属相(9)から前記第3銅精錬スラグ(8)を分離するステップと、
    k)前記第3銅精錬スラグ(8)の少なくとも一部を前記第2液浴(550)に加える、及び/又は前記第3銅精錬スラグ(8)の少なくとも一部をステップl)(800)に加えるステップと
    をさらに含む、請求項57又は58に記載の工程。
  60. m)前記第3はんだ精錬スラグ(23)を部分的に還元(900)して、第2銅希薄金属組成物(11)と第4はんだ精錬スラグ(24)とを形成し、続いて、前記第2銅希薄金属組成物(11)から前記第4はんだ精錬スラグ(24)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項1〜59のいずれか一項に記載の工程。
  61. s)ステップm)(900)で形成された前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部をステップc)(400)に再循環(901)する、及び/又は前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部をステップd)(500)に再循環する、及び/又は前記第2銅希薄金属組成物(11)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に加えるステップ
    をさらに含む、請求項60に記載の工程。
  62. n)前記第4はんだ精錬スラグ(24)を部分的に還元(1000)して、第2粗はんだ金属組成物(26)と第5はんだ精錬スラグ(27)とを形成し、続いて、前記第5はんだ精錬スラグ(27)から前記第2粗はんだ金属組成物(26)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項60又は61に記載の工程。
  63. o)前記第5はんだ精錬スラグ(27)を部分的に還元(1100)して、第3鉛−スズ系金属組成物(29)と第3使用済みスラグ(28)とを形成し、続いて、前記第3鉛−スズ系金属組成物(29)から前記第3使用済みスラグ(28)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項62に記載の工程。
  64. p)前記第3鉛−スズ系金属組成物(29)を部分的に酸化(1200)して、第4鉛−スズ系金属組成物(21)と第6はんだ精錬スラグ(14)とを形成し、続いて、前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)から前記第6はんだ精錬スラグ(14)を分離するステップ
    をさらに含む、請求項63に記載の工程。
  65. q)前記第6はんだ精錬スラグ(14)の少なくとも一部をステップd)(500)に再循環(1201)する、及び/又は前記第6はんだ精錬スラグ(14)の少なくとも一部を前記第1液浴(450)に加える、及び/又は前記第6はんだ精錬スラグの少なくとも一部(53)をステップe)(600)に再循環(1201)するステップ
    をさらに含む、請求項64に記載の工程。
  66. r)前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)の少なくとも一部をステップl)(800)に再循環(1202)する、及び/又は前記第4鉛−スズ系金属組成物(21)の少なくとも一部を前記第2液浴(550)に加えるステップ
    をさらに含む、請求項64又は65に記載の工程。
  67. ステップo)(1100)が、第2新しい銅含有供給原料(55)をステップo)(1100)に加えることを含む、請求項63〜66のいずれか一項に記載の工程。
  68. 前記第2新しい銅含有供給原料(55)が、黒銅及び/又は使用済み若しくは排除銅アノード材料を含む、請求項67に記載の工程。
  69. ステップo)(1100)が、第6還元剤(R6)を該ステップo)(1100)に加えることを含む、請求項63〜68のいずれか一項に記載の工程。
  70. 前記第6還元剤(R6)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項69に記載の工程。
  71. ステップn)(1000)が、好ましくは前記第4はんだ精錬スラグ(24)を還元(1000)する前に、第5還元剤(R5)をステップn)に加えることを含む、請求項62〜70のいずれか一項に記載の工程。
  72. 前記第5還元剤(R5)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項71に記載の工程。
  73. 第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料(25)が、好ましくは前記第4はんだ精錬スラグ(24)を還元(1000)する前に、ステップn)に加えられ、好ましくは前記第2新しいPb及び/又はSn含有供給原料(25)が、Pb及び/又はSnの濃縮流の下流処理から得られるドロスを含み、より好ましくは主にそのようなドロスである、請求項62〜72のいずれか一項に記載の工程。
  74. ステップm)(900)が、第4還元剤(R4)をステップm)(900)に加えることを含む、請求項60〜73のいずれか一項に記載の工程。
  75. 前記第4還元剤(R4)が、工程条件下で、スズ、鉛、銅及びニッケルよりも酸素に対する親和性が高い金属、好ましくは鉄金属、より好ましくは鉄くずを含む、請求項74に記載の工程。
  76. スラグ相から金属相を分離することに関する工程ステップの少なくとも1つに、ある量のシリカが、好ましくは砂の形態で添加される、請求項1〜75のいずれか一項に記載の工程。
  77. 黒銅がステップb)(100)、f)(700)及びo)(1100)の少なくとも1つに添加され、前記黒銅(1、50、55)が製錬ステップによって製造される、請求項1〜76のいずれか一項に記載の工程。
  78. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び前記第2粗はんだ金属組成物(26)の少なくとも1つが、ケイ素金属を使用して予備精錬され、予備精錬はんだ金属組成物が製造される、請求項1〜77のいずれか一項に記載の工程。
  79. 前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び/又は前記第2粗はんだ金属組成物(26)及び/又は前記予備精錬はんだ金属組成物を最大825℃の温度まで冷却し、重力によって第1液状溶融調整はんだ相上に浮遊する第1上澄みドロスを含む浴を製造するステップをさらに含む、請求項1〜78のいずれか一項に記載の工程。
  80. アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む化学化合物を、前記第1粗はんだ金属組成物(18)及び/又は前記第2粗はんだ金属組成物(26)及び/又は前記予備精錬はんだ金属組成物及び/又は前記第1液状溶融調整はんだ相に添加し、重力によって第2液状溶融調整はんだ相の上部に浮遊する第2上澄みドロスを含む浴を形成するステップをさらに含む、請求項1〜79のいずれか一項に記載の工程。
  81. 前記第2液状溶融調整はんだ相から前記第2上澄みドロスを除去し、それにより第2調整はんだを形成するステップをさらに含む、請求項80に記載の工程。
  82. 前記第1液状溶融調整はんだ相から前記第1上澄みドロスを除去し、それにより第1調整はんだを形成するステップをさらに含む、請求項79〜81のいずれか一項に記載の工程。
  83. 前記第1調整はんだ及び/又は前記第2調整はんだを蒸留するステップをさらに含み、鉛(Pb)が蒸発によってはんだから除去され、蒸留塔頂生成物及び蒸留塔底生成物が好ましくは真空蒸留によって得られる、請求項81又は82に記載の工程。
  84. 前記蒸留塔底生成物が、少なくとも0.6重量%の鉛を含む、請求項83に記載の工程。
  85. 前記工程の少なくとも一部が、電子的に監視及び/又は制御される、請求項1〜84のいずれか一項に記載の工程。
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