JP2021506930A - 多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法 - Google Patents

多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法であって、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物と、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、又はこれらの前駆体のうちの少なくとも1つとを含む第1の構成成分を組み合わせることと、ポリフルオロ化ジカルボン酸を形成することと、を含む、方法である。ポリフルオロ化環状化合物の環炭素原子のうちの2つは、二重結合又はエポキシドを形成する。前駆体は、酸化剤と反応して四酸化ルテニウムを形成する。方法はまた、ポリフルオロ化ジカルボン酸をポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドに変換することと、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドを他の多官能性ポリフルオロ化化合物に変換することも含む。

Description

フルオロエラストマーは、例えば、機械的特性、耐熱性、耐候性、及び耐薬品性に優れることが知られている。このような有益な特性により、フルオロエラストマーは、例えば、高温又は腐食環境に曝露され得る、Oリング、シール、ホース、スキッド材料、及びコーティング(例えば、自動車用金属ガスケットコーティング)として有用である。フルオロエラストマーは、とりわけ、自動車、化学的な加工処理、半導体、航空宇宙、及び石油産業において有用であることが判明している。
フルオロエラストマーは、典型的には、フルオロエラストマーガムと呼ばれることもある非晶質フルオロポリマーを、1つ以上の硬化剤と組み合わせて、得られた硬化性組成物を所望の形状に成形し、硬化性組成物を硬化させることによって調製される。非晶質フルオロポリマーは、多くの場合、特定の硬化剤と反応可能な非晶質フルオロポリマー骨格鎖に組み込まれる官能基である硬化部位を含む。
硬化部位は、例えば、二官能性有機連鎖移動剤(CF又はICFCFCFCFI)、及び/又は2つ以上の官能基を有するフルオロ化硬化部位モノマーを使用して非晶質フルオロポリマーに導入されているが、これらのフルオロ化化合物は高価であり、かつ合成するのが困難である。
フルオロ化カルボン酸及びそれらの誘導体は、様々な官能性フルオロ化化合物に有用な前駆体であり得る。フルオロ化カルボン酸及びそれらの誘導体は、例えば、フルオロ化オレフィンの酸化的開裂によって製造することができる。フルオロ化化合物を酸化する従来の方法は、ルイス酸、例えば五フッ化アンチモン及び塩化チタンを利用した。このような方法は、使用可能な量の生産が実行不可能である低い収率をもたらした。その後の方法では圧力を増加させたが、依然として所望の収率を得られなかった。他の方法はより高い収率を得たが、非常に多量の試薬(例えば、KMnO)を利用し、多量の望ましくない副生成物を生成した。国際特許出願公開第WO2017/112445号(Hirschbergら)に最近記載された方法は、場合によっては、高温、高圧、及びガス状出発物質の使用を必要とする場合があり、これらのそれぞれは課題をもたらす可能性がある。
本開示は、比較的低い温度及び圧力で実施することができる酸化的開裂反応を含む、多官能性ポリフルオロ化化合物を製造するための合成方法を提供する。酸化的開裂反応は、典型的には、所望のポリフルオロ化ジカルボン酸が高収率であり、副生成物の形成は少量である。
一態様では、本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法であって、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物と、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、又はこれらの前駆体のうちの少なくとも1つと、を含む第1の構成成分を組み合わせることと、ポリフルオロ化ジカルボン酸を形成することと、を含む、方法を提供する。前駆体は、酸化剤と反応して四酸化ルテニウムを形成する。ポリフルオロ化環状化合物の環炭素原子のうちの2つは、二重結合又はエポキシドを形成する。ポリフルオロ化環状化合物の他の環炭素原子は、非置換であっても、又はポリフルオロアルキル基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態では、本方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸をポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドに変換することを更に含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドを金属ヨウ化物と共に含む第2の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジヨージドを提供することを更に含む。
いくつかの実施形態では、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドは、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、本方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物及びヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む第3の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジビニルエーテルを提供することを更に含む。
いくつかの実施形態では、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドは、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、本方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物、フッ化物イオン、及びCF=CF−CF−X(式中、Xは、Cl、Br、クロロスルフェート、フルオロスルフェート、又はトリフルオロメチルスルフェートである)を含む第4の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジアリルエーテルを提供することを更に含む。
本願において、
「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、具体例を例示するために用いることができる一般的な種類を含む。「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」などの用語は、「少なくとも1つの」という用語と互換可能に使用される。
列挙に続く、「のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、及び列挙中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを含むことを指す。列挙に続く、「のうちの少なくとも1つ」という語句は、列挙中の項目のうちのいずれか1つ、又は列挙中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
「アルキル基」及び接頭辞「アルキ(alk−)」は直鎖及び分枝鎖の両方の基、並びに環状基を含む。特に指定しない限り、本明細書におけるアルキル基は最大20個の炭素原子を有する。環状基は単環であっても多環であってもよく、いくつかの実施形態では、3〜10個の環炭素原子を有してもよい。
本明細書で使用するとき、「アリール」及び「アリーレン」という用語は、例えば、1、2又は3つの環を有し、最大4個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基(例えば、メチル又はエチル)、最大4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロ基(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモ若しくはヨード)、ヒドロキシ基、又はニトロ基を含む、任意に最大5つの置換基で置換されている環内に、任意に少なくとも1個のへテロ原子(例えば、O、S又はN)を含有する、炭素環式芳香環又は環系を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、並びにフリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが挙げられる。
「アルキレン」は、上記定義の「アルキル」基の、多価(例えば、二価又は三価)の形態である。「アリーレン」は、上記定義の「アリール」基の、多価(例えば、二価又は三価)の形態である。
「アリールアルキレン」は、アリール基が結合している「アルキレン」部分を指す。「アルキルアリーレン」は、アルキル基が結合している「アリーレン」部分を指す。
「ポリフルオロ化」という用語は、少なくともいくつかのC−H結合が、C−F結合で置き換えられている基を指す。
「ペルフルオロ」及び「ペルフルオロ化」という用語は、全てのC−H結合がC−F結合によって置き換えられている基を指す。
多官能性という用語は、ポリフルオロアルキル又はペルフルオロアルキル骨格鎖上に2つ以上の官能基を有することを指す。いくつかの実施形態では、多官能性は、二官能性を指す。有用な官能基としては、カルボン酸及びそれらの誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル、シアノ基、オレフィン、及びフッ素以外のハロゲンが挙げられる。多官能性(例えば、二官能性)基において、多数の官能基は同じである必要はない。
例えばペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルキレン基に関する、「少なくとも1つの−O−基が介在している」という語句は、その−O−基の両側にペルフルオロアルキル又はペルフルオロアルキレンの一部を有することを指す。例えば、−CFCF−O−CF−CF−は、1つの−O−が介在しているペルフルオロアルキレン基である。
全ての数値範囲は、特に記述されない限り、これらの範囲の端点、及び端点同士の間の非整数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
発明の詳細な説明
本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法を提供する。本方法は、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物を含む第1の構成成分を組み合わせることを含む。ポリフルオロ化環状化合物は、例えば、以下の式I又はIIによって表すことができ、式中、mは、0、1、2、又は3であり、4員〜7員環をなすことができる。環の中心の「F」は、一般に、環がペルフルオロ化されていることを指すが、本開示の方法はまた、全てのC−H結合がC−F結合によって置き換えられているとは限らない化合物と共に実施することもできる。環炭素原子のうちの2つは、以下の式Iのような二重結合、又は下記式IIのエポキシドを形成する。二重結合又はエポキシドの炭素原子以外の環中の炭素原子のうちの1つ以上は、1つ以上のポリフルオロアルキル基Rfで置換され得る。Rf基は、典型的には、最大4個(いくつかの実施形態では、3個又は2個)の炭素原子を有し、ペルフルオロ化されていてもよい。いくつかの実施形態では、各Rf基は、トリフルオロメチルである。式I及びIIにおいて、nは、独立して、0〜4、0〜3、又は0〜2の範囲である。いくつかの実施形態では、nは0である。
Figure 2021506930
多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法のいくつかの実施形態では、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物は、式Iによって表されるポリフルオロ化環状オレフィンである。有用なポリフルオロ化環状オレフィンとしては、部分フルオロ化シクロブテン、ヘキサフルオロシクロブテン、部分フルオロ化シクロペンテン、オクタフルオロシクロペンテン、部分フルオロ化シクロヘキセン、デカフルオロシクロヘキセン、部分フルオロ化シクロヘプテン、及びドデカフルオロシクロヘプテンが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリフルオロ化環状オレフィンは、ペルフルオロシクロペンテン(すなわち、オクタフルオロシクロペンテン)である。これらの化合物は、薬品供給会社から市販されているが、安価な供給源であるフルオロ化オレフィンの合成から、廃棄物流中のペルフルオロシクロペンテンを見出した。
本開示の方法において組み合わされる第1の構成成分としては、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム(RuO)又は四酸化ルテニウムの前駆体が挙げられる。四酸化ルテニウム及び四酸化オスミウムの存在下で、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物は、二重結合又はエポキシド基の酸化的開裂を受けて、ポリフルオロ化ジカルボン酸を形成する。本方法の一実施形態が、以下のスキームIに示されており、ここでは、非置換の環状フルオロ化オレフィンIaが、ジカルボン酸Xに変換される。スキームIでは、m及びFは上記に定義した通りである。
スキームI
Figure 2021506930
いくつかの実施形態では、第1の構成成分は、四酸化ルテニウムの前駆体を含む。いくつかの実施形態では、前駆体は、水和物である。四酸化ルテニウムに対する好適な前駆体の例としては、酸化ルテニウム(IV)水和物(RuO・HO)及び塩化ルテニウム(III)水和物(RuCl・HO)が挙げられる。無水RuOは、四酸化ルテニウムの前駆体としてあまり効率的ではなく、場合によっては、以下の実施例に示されるように四酸化ルテニウムを生成しなかった。四酸化ルテニウムの前駆体は、例えば、好適な酸化剤の存在下で、四酸化ルテニウムが生成される条件下で使用される。酸化ルテニウム(IV)水和物及び塩化ルテニウム(III)水和物は、一般的な酸化剤(例えば、過塩素酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、オルト過ヨウ素酸、又はその塩のうちの少なくとも1つ)によって容易に酸化される。好適な酸化剤の例としては、メタ過ヨウ素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、及びオルト過ヨウ素酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸化剤は、過ヨウ素酸又はその塩(例えば、メタ過ヨウ素酸ナトリウム又はオルト過ヨウ素酸)である。酸化ルテニウム(IV)水和物及び塩化ルテニウム(III)水和物を容易に酸化しない酸化剤としては、臭素酸カリウムが挙げられる。いかなる更なる金属触媒も含まない含水次亜塩素酸ナトリウムとは対照的に、四酸化ルテニウムは、開環の位置選択性を強く増加させ、副生成物(例えば、ジフルオロマロン酸)の形成を強く減少させる。
いくつかの実施形態では、酸化剤は酸素含有ガスを含まない。これらの実施形態では、本方法は、酸素含有ガスが存在する条件下では実施されない。例えば、水は、一部の条件下では酸素含有ガスとみなすことができるが、本方法は、典型的には、水が液体である温度で実施される。酸素含有ガスとしては、酸素(O)、過酸化水素(H)、オゾン(O)、亜酸化窒素(NO)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
四酸化ルテニウム(RuO)又はその前駆体は、典型的には触媒量で使用される。いくつかの実施形態では、四酸化ルテニウム又はその前駆体の触媒量は、第1の構成成分中のポリフルオロ化環状化合物の総モルに基づいて、最大20モルパーセント、最大10モルパーセント、最大8モルパーセント、最大5モルパーセント、又は最大1モルパーセントである。いくつかの実施形態では、四酸化ルテニウム又はその前駆体の触媒量は、第1の構成成分中のポリフルオロ化環状化合物の総モルに基づいて、少なくとも0.05モルパーセントである。いくつかの実施形態では、四酸化ルテニウム又はその前駆体の量は、第1の構成成分中のポリフルオロ化環状化合物の総モルに基づいて、0.05モルパーセント〜5モルパーセント、又は0.1モルパーセント〜1モルパーセントの範囲である。
四酸化ルテニウムの前駆体を含む第1の構成成分中の酸化剤の当量数は、典型的には、前駆体の当量数と少なくとも同じであり、より典型的には、前駆体の当量数を超える。いくつかの実施形態では、前駆体のモル数に対する酸化剤(上記のもののいずれかを含む)のモル数は、1モルの前駆体に対して少なくとも1モルの酸化剤(例えば、≧1:1)、1モルの前駆体に対して最大10モルの共酸化剤(例えば、≦10:1)である。前駆体に対する酸化剤の比は、いくつかの実施形態では、最大9:1、8:1、7:1、6:1、又は5:1であり得る。
好都合には、第1の構成成分間の反応は、周囲温度及び圧力で実施することができるが、場合によっては、より高い温度及び圧力が有用であり得る。いくつかの実施形態では、第1の構成成分は、周囲温度(例えば、約25℃)又は周囲温度未満で組み合わされる。いくつかの実施形態では、第1の構成成分は、0℃〜25℃の範囲、又は0℃〜10℃の範囲の温度で組み合わされる。いくつかの実施形態では、第1の構成成分を、最高で50℃、50℃未満、最高で40℃、最高で30℃、又は最高で25℃の温度で反応させる。好都合なことに、少なくとも50℃、少なくとも100℃、又は少なくとも400℃の温度(これは、環状フルオロ化オレフィンの一部の遷移触媒酸化に必要とされる(例えば、国際出願公開第WO2017/112445号(Hirschbergら)参照))は、本開示の方法には必須ではない。有用な反応時間としては、少なくとも4時間、最長72時間、最長48時間、最長24時間、又は最長12時間が挙げられる。本開示の方法は、公知の合成法、プロセス、反応容器、及び他の標準装備を用いて行うことができる。本方法は、バッチモードで、連続モードで(例えば、流通反応器)、又はこれらの組み合わせで行うことができる。本方法は、バルク中で、又は溶媒中で行うことができる。好適な溶媒の例としては、水及びハロゲン化溶媒などの水不混和性溶媒が挙げられる。「水不混和性」という用語は、水に溶解することができない溶媒を指す。混和性溶媒は、任意の濃度で互いに溶解することができるが、水に不混和性である溶媒は、あらゆる濃度で水に溶解しない。好適なハロゲン化溶媒の例としては、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、C12、C14、C16、C18並びに他のペルフルオロカーボン(PFC)、ペルフルオロ化炭化水素、ペルフルオロ化アミン、ペルフルオロ化エーテル、ヒドロフルオロカーボン(例えば、The Chemours Company,Wilmington,Del.から商品名「VERTREL」で)、及びヒドロフルオロエーテル(例えば、メチルペルフルオロブチルエーテル、エチルペルフルオロブチルエーテル、及び3M Company,St.Paul,Minn.から商品名「NOVEC 7100」又は「NOVEC 7200」から得られるもの、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。他のフルオロ化溶媒(部分フルオロ化又はペルフルオロ化のいずれか)も有用であり得る。いくつかの実施形態では、ハロゲン化溶媒は、ヒドロフルオロエーテルである。いくつかの実施形態では、ヒドロフルオロエーテルは、式Rf−[O−Rで表され、式中、fは、1〜3の整数であり、Rfは、ペルフルオロアルキル又は二価若しくは三価のペルフルオロアルキレンであり、これらはそれぞれ、少なくとも1つの−O−、−S−、又は−NH−で中断されていてもよく、Rは、任意に少なくとも1つの−O−、−S−、又は−NH−で中断されているアルキル基である。いくつかの実施形態では、fが1である場合、Rfは、2〜約15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基、5〜約15個の炭素原子を有するペルフルオロシクロアルキル含有ペルフルオロアルキル基、及び3〜約12個の炭素原子を有するペルフルオロシクロアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、xが2である場合、Rfは、2〜約15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルカンジイル基又はペルフルオロアルキリデン基、6〜約15個の炭素原子を有する、ペルフルオロシクロアルキル含有若しくはペルフルオロシクロアルキレン含有ペルフルオロアルカンジイル基又はペルフルオロアルキリデン基、及び3〜約12個の炭素原子を有するペルフルオロシクロアルカンジイル基若しくはペルフルオロシクロアルキリデン基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、xが3である場合、Rfは、2〜約15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルカントリイル基、6〜約15個の炭素原子を有するペルフルオロシクロアルキル含有若しくはペルフルオロシクロアルキレン含有ペルフルオロアルカントリイル基、及び3〜約12個の炭素原子を有するペルフルオロシクロアルカントリイル基からなる群から選択される。式Rf−[O−Rのいくつかの実施形態では、各Rは、独立して、1〜約8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基、4〜約8個の炭素原子を有するシクロアルキル含有アルキル基、及び3〜約8個の炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Rf中の炭素原子の数とR中の炭素原子の数との合計は、4以上である。ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルカンジイル、ペルフルオロアルキリデン、及びペルフルオロアルカントリイル基内に含有されるペルフルオロシクロアルキル基及びペルフルオロシクロアルキレン基は、任意に(及び独立して)、例えば、1〜約4個の炭素原子を有する1つ以上のペルフルオロアルキル基で置換されてもよい。好適な溶媒は、約25℃〜200℃の範囲の沸点を有する。いくつかの実施形態では、第1の構成成分は、水と混和性又は不混和性であり得る有機共溶媒を含む。いくつかの実施形態では、共溶媒は、シアノ基を含む。好適な共溶媒の例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。また、これらの溶媒のいずれかの組み合わせも有用な場合がある。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、その実施形態のいずれかで上述されたポリフルオロ化ジカルボン酸を、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドに変換することを更に含む。ジカルボン酸ハライドは、ジカルボン酸塩化物又はジカルボン酸フッ化物であってもよい。いくつかの実施形態では、ジカルボン酸ハライドはジカルボン酸塩化物であり、本開示の方法によって製造される多官能性ポリフルオロ化化合物は、ジカルボン酸塩化物である。ポリフルオロ化ジカルボン酸は、従来の方法(例えば、塩化オキサリル、塩化チオニル、又はベンゾトリクロリドと反応する)を使用して、ポリフルオロ化ジカルボン酸塩化物中で変換することができる。変換は、触媒塩化鉄(III)の存在下で、ポリフルオロ化ジカルボン酸とベンゾトリクロリドとを組み合わせることによって、好都合に実施することができる。反応は、未希釈又は好適な溶媒の存在下のいずれかで、高温で実施することができ、生成物は、従来の方法(例えば、蒸留)によって単離され得る。同様に、ポリフルオロ化ジカルボン酸は、従来の方法を使用して、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物に変換することができる。変換は、触媒塩化鉄(III)の存在下で、ポリフルオロ化ジカルボン酸とベンゾトリフルオリドとを組み合わせることによって、好都合に実施することができる。反応は、未希釈又は好適な溶媒の存在下のいずれかで、高温で実施することができ、生成物は、従来の方法(例えば、蒸留)によって単離され得る。
ポリフルオロ化ジカルボン酸塩化物及びポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物は、ポリフルオロ化ジハライド(例えば、金属ヨウ化物との反応によって)に変換することができる。この実施形態では、本開示の方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドと共に金属ヨウ化物を含む第2の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジヨージドを提供することを更に含む。反応は、ポリフルオロ化ジカルボン酸塩化物を、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、若しくはヨウ化カルシウムとを組み合わせるか、又は不活性環境において、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物及びヨウ化リチウム、ヨウ化マグネシウム、若しくはヨウ化カルシウムを組み合わせることによって、都合よく実施することができる。反応は、高温で実施することができ、生成物は従来の方法によって実施することができる。上記のポリフルオロ化ジカルボン酸Xから製造されたポリフルオロ化ジカルボン酸塩化物XVがジヨージドXXに変換される一実施形態が、以下の反応スキームIIに示されており、式中、mは上記に定義した通りである。他の実施形態では、(CF鎖中の炭素のうちの少なくとも1つは、上記のようにRf基で置換されてもよい。反応スキームIIに示されるものなどのジヨージドは、例えば、非晶質フルオロ化ポリマーの調製における連鎖移動剤として有用であり得、硬化部位を非晶質フルオロポリマーに導入することができる。式XXの有用な化合物の例としては、I−(CF−I、I−(CF−I、I−(CF−I、及びI−(CF−Iが挙げられる。
反応スキームII
Figure 2021506930
ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物は、例えば、フッ化物イオンの存在下でヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させることによって、ポリフルオロ化ジビニルエーテルに変換することができる。この実施形態では、本開示の方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物及びヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む第3の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジビニルエーテルを提供することを更に含む。反応は、最高で275℃の沸点を有する非反応性有機溶媒(例えば、トリグリム及びテトラグリム)中で、いくつかの実施形態では、最高で170℃の沸点を有する非反応性有機溶媒(例えば、CHCN、THF、プロピオニトリル、モノグリム、ジグリム)中で、又はこれらの混合物中で、使用される触媒に応じて、−40℃〜60℃の範囲の温度で、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化物イオンを組み合わせることによって好都合に実施することができる。ハロゲン化フルオロオルガニル二酸ジフルオリドのHFPOに対するモル比は、1:1〜1:10の範囲であり、いくつかの実施形態では、1:2〜1:5の範囲である。フッ化物イオンは、フッ化物塩によって提供され得る。いくつかの実施形態において、フッ化物イオンの供給源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R)NF[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、いくつかの実施形態では、1〜4又は2〜4個の炭素原子を有するアルキルである]のうちの少なくとも1つである。上記のポリフルオロ化ジカルボン酸Xから製造されたポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物XVIがジビニルエーテルXXVに変換される一実施形態が、以下の反応スキームIIIに示されており、式中、mは上記に定義した通りである。他の実施形態では、(CF鎖中の炭素のうちの少なくとも1つは、上記のようにRf基で置換されてもよい。式XXVの有用な化合物の例としては、
CF=CF−O−(CF−O−CF=CF、CF=CF−O−(CF−O−CF=CF、CF=CF−O−(CF−O−CF=CF、及びCF=CF−O−(CF−O−CF=CFが挙げられる。
反応スキームIII
Figure 2021506930
ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物は、例えば、フッ化物イオンの存在下で、CF=CF−CF−X(式中、Xは脱離基である)との反応によって、ポリフルオロ化ジアリルエーテルに変換することができる。この実施形態では、本開示の方法は、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物、フッ化物イオン、及びCF=CF−CF−X(式中、Xは、Cl、Br、クロロスルフェート、フルオロスルフェート、又はトリフルオロメチルスルフェートである)を含む第4の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジアリルエーテルを提供することを更に含む。上記のポリフルオロ化ジカルボン酸Xから製造されたポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物XVIがジアリルエーテルXXXに変換される一実施形態が、以下の反応スキームIVに示されており、式中、mは上記に定義した通りである。他の実施形態では、(CF鎖中の炭素のうちの少なくとも1つは、上記のようにRf基で置換されてもよい。反応スキームIII及びIVに示されるものなどのジビニルエーテル及びジアリルエーテルは、例えば、米国特許出願公開第2010/0311906号(Lavalleeら)に記載されているような非晶質フルオロ化ポリマーの調製中に長鎖分枝を導入するために有用であり得、及び/又は硬化部位を非晶質フルオロポリマーに導入することができる。
反応スキームIV
Figure 2021506930
XXXによって表される化合物は、例えば、米国特許第4,273,729号(Krespan)に記載されるように、フッ化カリウムの存在中で、式XVIによって表されるジカルボン酸フッ化物をペルフルオロアリルクロリド、ペルフルオロアリルブロミド、又はペルフルオロアリルフルオロスルフェートと反応させることによって、製造することができる。式XXXによって表される化合物は、式XVIによって表されるジカルボン酸フッ化物、CF=CF−CF−OSOCl又はCF=CF−CF−OSOCFのうちの少なくとも1つ、及びフッ化物イオンを組み合わせることによって調製することもできる。フッ化物イオンは、フッ化物塩によって提供され得る。いくつかの実施形態において、フッ化物イオンの供給源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、又は(R)NF[式中、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、いくつかの実施形態では、1〜4又は2〜4個の炭素原子を有するアルキルである]のうちの少なくとも1つである。変換に好適な溶媒としては、極性、非プロトン性溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン(グリム)、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メトキシエタン(ジグリム)、2,5,8,11−テトラオキサドデカン(トリグリム)、ジオキサン、スルホラン、ニトロベンゼン及びベンゾニトリルが挙げられる。
CF=CF−CF−OSOClは、三塩化ホウ素(BCl)とClSOHとを反応させて、B(OSOCl)をもたらし、続いてB(OSOCl)とヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene、HFP)とを反応させることによって、都合よく調製することができる。BClとClSOHとの反応は、例えば、未希釈のClSOHをガス状BClに、50℃未満で、又は濃縮されたBClの場合は周囲温度未満で、滴加することによって実施することができる。反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃、又は20℃、かつ最高で30℃、40℃、又は50℃の温度で行うことができる。ClSOHのBClへの添加は、例えば、混合物の温度を10℃以下に維持する速度で行うことができる。揮発性出発材料を真空下で除去した後に、B(OSOCl)を白色粉末として単離することができる。次いで、B(OSOCl)を溶媒中に懸濁又は溶解させることができ、HFPを50℃未満、いくつかの実施形態では、周囲温度未満で添加することができる。例えば、反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃、又は20℃、かつ最高30℃、40℃又は50℃の温度で実施することができる。好適な溶媒としては、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン又はFreon−113)が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は非芳香族溶媒である。CF=CF−CF−OSOClを単離し、従来の方法を用いて任意に精製することができる。
M(OSOCF及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)を含む構成成分を組み合わせることにより、CF=CF−CF−OSOCFを提供し、式中、MはAl又はBである。Al(OSOCFは、例えば、abcr GmbH(Karlsruhe,Germany)及びSigma−Aldrich(St.Louis,Missouri)などの化学薬品供給元から市販されている。BClとCFSOHとの反応は、B(OSOCFをもたらすのに有用であり得る。BClとCFSOHとの反応は、例えば、未希釈のCFSOHをガス状BClに、50℃未満で、又は濃縮されたBClの場合は周囲温度未満で、滴加することによって実施することができる。反応は、少なくとも−20℃、−10℃、0℃、10℃、又は20℃、かつ最高で30℃、40℃、又は50℃の温度で行うことができる。CFSOHのBClへの添加は、例えば、混合物の温度を10℃以下に維持する速度で行うことができる。揮発性出発材料を真空下で除去した後に、B(OSOCFを白色粉末として単離することができる。
B(OSOCFは、0℃を超える温度で、HFPと組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、反応は、最高で50℃、40℃、30℃、20℃、又は10℃の温度で行うことができる。反応は、0℃超〜10℃の範囲の温度で、いくつかの実施形態では2℃〜10℃の範囲で、いくつかの実施形態では4℃〜8℃の範囲の温度で行うことができる。反応混合物を、28℃未満の温度で、いくつかの実施形態では、25℃超〜27℃の範囲の温度で水と組み合わせる。次いで、反応生成物を単離し、任意に、従来の方法(例えば、有機画分の分離、乾燥剤上での乾燥、濾過、及び蒸留)を使用して精製することができる。生成物CF=CF−CF−OSOCFは、75%の収率で単離することができ、これは、Petrov,V.A.、J.Fluorine Chem.1995,73,17〜19に報告されている収率より改善されている。
反応スキームII、III、及びIVに示される方法の組み合わせは、例えば、酸フッ化物基のうちの1つが、ポリフルオロ化ビニルエーテル又はアリルエーテルに変換され、酸フッ化物基の他方がヨウ化物に変換される硬化部位モノマーを製造するために有用であり得る。このような硬化部位モノマーは、例えば、非晶質フルオロ化ポリマーの調製において有用であり得、硬化部位を非晶質フルオロポリマーに導入することができる。式XXVの化合物中のフルオロ化ジビニルエーテルのうちの1つ以上は、30℃〜200℃の範囲の温度で、又は80℃〜160℃の範囲の温度で、ヨウ素元素と五フッ化ヨウ素との混合物でヨウ素化することができる。あるいは、得られたジビニルエーテルの反応を、約50℃でICl、HF、及びBFと実施して、更なる多官能性ポリフルオロ化化合物を形成することができる。このような化合物の例としては、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、I−CF−CF−O−(CF−O−CF−CF−I、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、I−CF−CF−O−(CF−O−CF−CF−I、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、I−CF−CF−O−(CF−O−CF−CF−I、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、及びI−CF−CF−O−(CF−O−CF−CF−Iが挙げられる。
ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物は、以下の反応スキームVに示されるように硬化部位モノマーに変換することもでき、式中、mは上記の定義の通りである。他の実施形態では、(CF鎖中の炭素のうちの少なくとも1つは、上記のようにRf基で置換されてもよい。一実施形態では、式XVIの化合物中の酸フッ化物基のうちの1つを、例えば、上記方法を使用して、フッ化物イオンの存在中で、1当量のヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させることによって、ポリフルオロ化ビニルエーテルに変換することができる。酸フッ化物基のうちの他方を、例えば、欧州特許第0710645A1号(1996)及び欧州特許第0708139A1号(1996)に記載されているように、公知の方法[例えば、エステル化(例えば、CHOHによる)、アミノ化、及びその後の酸化(例えば、P10による)により、シアノ基に変換することができる。反応スキームVに示されるXXXVなどの硬化部位モノマーは、例えば、非晶質フルオロ化ポリマーの調製において有用であり得、硬化部位を非晶質フルオロポリマーに導入することができる。式XXXVの有用な化合物の例としては、CF=CF−O−(CF−CN、CF=CF−O−(CF−CN、CF=CF−O−(CF−CN、及びCF=CF−O−(CF−CNが挙げられる。
反応スキームV
Figure 2021506930
式XXの化合物は、文献に記載される公知の方法による後続の架橋のために、(例えば、対応するオレフィンにエチレンを添加し、連続した脱ハロゲン化水素を行うことによって)硬化部位モノマーに変換することもできる。反応は、例えば、Bull.Acad.Sci.USSR,Div.Chem.Sci.1964,359−361、及びJ.Org.Chem.1977,42,1985−1990に記載されているように実施することができる。この方法によって製造することができる有用な化合物としては、I−(CF)x−CH=CH及びCH=CH−(CF)x−CH=CHが挙げられ、式中、xは、2、3、4、又は5である。
XVIなどのポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物の反応については、そのポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物を、官能基がそれぞれ異なるか同一である多官能化ポリフッ素化化合物に変換するのに、1又は2当量の、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物以外の構成成分が有用であり得る。ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物以外の構成成分の所望の当量数は、場合によっては最大10mol%、7.5mol%、又は5mol%を超えてもよい。
本開示の方法により製造された多官能性ポリフルオロ化化合物は、例えば、フルオロポリマーの調製において有用である。例えば、多官能性ポリフルオロ化化合物は、式RCF=CR によって表される、少なくとも1つの部分的にフルオロ化された、又はペルフルオロ化されたエチレン性不飽和モノマーと共重合されてもよく、式中、各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、水素、フルオロアルキル基(例えば、1〜8、1〜4若しくは1〜3個の炭素原子を有しかつ1つ以上の酸素原子が任意に介在しているペルフルオロアルキル)、フルオロアルコキシ基(例えば、1〜8個、1〜4個若しくは1〜3個の炭素原子を有し、かつ1つ以上の酸素原子が任意に介在しているペルフルオロアルコキシ)、最大10個の炭素原子を有するアルキル、最大8個の炭素原子を有するアルコキシ、又は最大8個の炭素原子を有するアリールである。式RCF=CR によって表される有用なフルオロ化モノマーの例としては、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ジクロロジフルオロエチレン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペルフルオロアルキルペルフルオロビニルエーテル、ペルフルオロアルキルペルフルオロアリルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示により製造される多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位を含むフルオロポリマーは、独立して式CF=CFORf[式中、Rfは、1つ以上の−O−基が任意に介在している、1〜8個、1〜4個、又は1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキルである]によって表される1つ以上のモノマーから選択される単位を含む。フルオロポリマーを製造するために好適なペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルとしては、式CF=CF(OC2nORfによって表されるものが挙げられ、式中、各nは、独立して1〜6であり、zは、1又は2であり、Rfは、1〜8個の炭素原子を有しかつ1つ以上の−O−基が任意に介在する直鎖又は分岐鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態において、nは、1〜4又は1〜3又は2〜3又は2〜4である。いくつかの実施形態では、nは1又は3である。いくつかの実施形態では、nは3である。C2nは、直鎖又は分枝鎖であり得る。いくつかの実施形態では、C2nは、(CFと表記する場合があり、これは直鎖ペルフルオロアルキレン基を指す。いくつかの実施形態では、C2nは、−CF−CF−CF−である。いくつかの実施形態では、C2nは分枝鎖であり、例えば、−CF−CF(CF)−である。いくつかの実施形態では、(OC2nは、−O−(CF1−4−[O(CF1−40−1によって表される。いくつかの実施形態において、Rfは、最大4、3又は2つの−O−基が任意に介在している、1〜8個(又は1〜6個)の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ペルフルオロアルキル基である。いくつかの実施形態において、Rfは、1〜4個の炭素原子を有して1つの−O−基が任意に介在するペルフルオロアルキル基である。式CF=CFORf及びCF=CF(OC2nORfによって表される好適なモノマーには、ペルフルオロメチルビニルエーテル、ペルフルオロエチルビニルエーテル、ペルフルオロプロピルビニルエーテル、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、CF=CFOCFCFOCF、CF=CFOCFCFCFOCF、CF=CFOCFCFCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCF、CF=CFOCFCFCFOCFCF、CF=CFOCFCFCFCFOCFCF、CF=CFOCFCFOCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCFCFCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCFCFCFCFOCF、CF=CFOCFCF(OCFOCF、CF=CFOCFCF(OCFOCF、CF=CFOCFCFOCFOCFOCF、CF=CFOCFCFOCFCFCF、CF=CFOCFCFOCFCFOCFCFCF、CF=CFOCFCF(CF)−O−C(PPVE−2)、CF=CF(OCFCF(CF))−O−C(PPVE−3)及びCF=CF(OCFCF(CF))−O−C(PPVE−4)が挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの多くは、米国特許第6,255,536号(Wormら)、及び同第6,294,627号(Wormら)に記載されている方法によって調製することができる。
ペルフルオロアルキルアルケンエーテル及びペルフルオロアルコキシアルキルアルケンエーテルはまた、本開示によって製造される多官能性ポリフルオロ化化合物から誘導される単位を含むフルオロポリマーの調製にも有用であり得る。加えて、フルオロポリマーは、米国特許第5,891,965号(Wormら)及び同第6,255,535号(Schulzら)に記載されているものを含む、フルオロ(アルケンエーテル)モノマーの共重合単位(interpolymerized units)を含んでもよい。このようなモノマーとしては、式式CF=CF(CF−O−Rによって表されるものが挙げられ、式中、mは、1〜4の整数であり、Rは、酸素原子を含むことによって更なるエーテル結合を形成することができる直鎖又は分岐鎖ペルフルオロアルキレン基であり、Rは、1〜20個、いくつかの実施形態においては、1〜10個の炭素原子を主鎖中に含有し、Rは、また、更なる末端不飽和部位を含有してもよい。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルとしては、式CF=CFCF(OC2nORfによって表されるようなものが挙げられ、式中、n、z及びRfは、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテルの実施形態のいずれかにおいて上記に定義されたようなものである。好適なペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの例としては、CF=CFCFOCFCFOCF、CF=CFCFOCFCFCFOCF、CF=CFCFOCFOCF、CF=CFCFOCFOCFCF、CF=CFCFOCFCFCFCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCF、CF=CFCFOCFCFCFOCFCF、CF=CFCFOCFCFCFCFOCFCF、CF=CFCFOCFCFOCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFCFCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFCFCFCFOCF、CF=CFCFOCFCF(OCFOCF、CF=CFCFOCFCF(OCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFOCFOCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFCF、CF=CFCFOCFCFOCFCFOCFCFCF、CF=CFCFOCFCF(CF)−O−C、及びCF=CFCF(OCFCF(CF))−O−Cが挙げられる。これらのペルフルオロアルコキシアルキルアリルエーテルの多くは、例えば、米国特許第4,349,650号(Krespan)に記載されている方法によって調製することができる。
ペルフルオロ−1,3−ジオキソールはまた、本開示によって製造された多官能性ポリフルオロ化化合物から誘導される単位を含むフルオロポリマーを調製するのに有用であり得る。ペルフルオロ−1,3−ジオキソールモノマー及びそれらのコポリマーは、米国特許第4,558,141号(Squire)に記載されている。
多官能性ポリフルオロ化化合物は、非晶質フルオロポリマー、半結晶性熱可塑性材料、及び非溶融加工性フッ素プラスチックを調製するのに有用であり得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物は、TFEと共重合させて、非溶融加工性フッ素プラスチックを形成することができる。多官能性ポリフルオロ化化合物は、上記化合物のいずれかであってもよい。非溶融加工性フッ素プラスチックでは、1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物が、重合のために最大約1重量%の量でモノマー中に含まれる。最大約1重量%の量でコモノマーを含むTFEホモポリマー及びコポリマーは、当該技術分野において、PTFEと称される。PTFEは、押出、射出成形又は吹込成形などの従来の溶融加工技術では加工できない高い融解粘度及び/又は低いメルトフローインデックス(MFI)を有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、TFE単位及び少なくとも1つの多官能性ポリフルオロ化化合物からの単位を含有し、他のコモノマー単位を含有しない。多官能性ポリフルオロ化化合物コモノマー単位の量は、最大1重量%、又は最大0.1重量%であってもよい。例えば、多官能性ポリフルオロ化化合物コモノマー単位の量は、フルオロポリマーの(コモノマー単位が合計で100重量%になる)総重量に基づいて、0.01〜1重量%又は0.3〜1重量%であり得る。
特定のフッ素プラスチックの分子量は、多くの場合、融解粘度又はメルトフローインデックス(MFI、例えば、372℃/5kg)によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物から製造される非溶融加工性フルオロポリマーは、5kgの荷重を使用して372℃で1.0g/10分以下のメルトフローインデックス(MFI)(1.0g/10分未満のMFI 372/5)を有し、いくつかの実施形態では、0.1g/10分以下のメルトフローインデックス(372/5)を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工性フルオロポリマーは、少なくとも300℃、いくつかの実施形態では、少なくとも315℃、及び典型的には327+/−10℃の範囲内の融点を有する。いくつかの実施形態では、非溶融加工性フルオロポリマーは、少なくとも317℃、少なくとも319℃、又は少なくとも321℃の融点を有する。非溶融加工性フルオロポリマーの融点は、材料が最初に融解するときとその後の融解の後とでは異なる。材料が一度融解した後では、その後の融解における融点は一定のままである。本明細書でいうところの融点は、既に融解した材料の融点を指す(すなわち、材料が融点に達し、その融点を下回って冷却された後、再び融解された)。
本明細書に開示される方法によって製造された1つ以上多官能性ポリフルオロ化化合物で製造されたPTFEは、例えば、ガスケット、並びにパイプ及び容器のための内側ライナーに有用であり得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物は、TFEと共重合させて、フッ素熱可塑性材料を形成することができる。TFEと、ペルフルオロ化ビニル若しくはアリルエーテルとのコポリマーは、当技術分野において、PFA(ペルフルオロ化アルコキシポリマー)として知られている。これらの実施形態では、フルオロ化ビニル若しくはアリルエーテル単位は、0.5mol%〜15mol%の範囲、いくつかの実施形態では、0.5mol%〜10mol%、いくつかの実施形態では、0.5mol%〜5mol%の範囲の量でコポリマー中に存在する。多官能性フルオロ化アリルエーテルは、上記のもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、TFEと、少なくとも1つのフルオロ化ビニルエーテル若しくはアリルエーテルとのコポリマーは、TFE及び少なくとも1つの多官能性ポリフルオロ化化合物から誘導される単位から本質的になる。本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」とは、他のコモノマーが存在しないこと、又は他のコモノマーから誘導された単位が1重量%未満、いくつかの実施形態では、0.1重量%未満の量で存在することを指す。いくつかの実施形態では、TFEと、少なくとも1つの多官能性ポリフルオロ化化合物とのコポリマーは、少なくとも1重量%、いくつかの実施形態では、最大10、6、5、又は4重量%の上記の式RCF=CR によって表される化合物に由来する他の単位、非フルオロ化オレフィン(例えば、エテン若しくはプロペン)を更に含む。いくつかの実施形態では、HFP、VDF、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エテン、又はプロペンのうちの少なくとも1つが、PFAコポリマーを製造するために最大で10重量%の量でモノマーに含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのペルフルオロ化ビニル若しくはアリルエーテル基を含む化合物から製造されるフッ素熱可塑性材料は、5kgの荷重を使用して、372℃で0.5g/10分〜100g/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)(0.5g/10分〜100g/10分の範囲のMFI 372/5)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、270℃〜326℃の融点及び0.5〜19g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、250℃〜290℃の融点を有し、31g/10分〜50g/10分のメルトフローインデックス(372℃及び5kg荷重でのMFI)を有する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物は、TFE及びHFPと共重合させ得る。多官能性ポリフルオロ化化合物は、上記化合物のいずれかであってもよい。他のペルフルオロ化コモノマーを有するか又は有さない、TFEとHFPとのコポリマーは、当技術分野では、FEP(フルオロ化エチレンプロピレン)として知られている。いくつかの実施形態では、これらのフッ素系熱可塑性樹脂は、30〜70重量%のTFE、10〜30重量%のHFP、及び0.2〜50重量%の他のコモノマー、並びに多官能性ポリフルオロ化化合物のうちの1つ以上を共重合させることに由来する。これらの重量パーセントは、ポリマーの重量に基づいており、コモノマーは合計で100重量%になる。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.2重量%〜12重量%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位は、コポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%〜6重量%の範囲で存在し、コポリマーの総重量は100重量%である。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位は、コポリマーの総量に基づいて、0.02モル%〜2モル%の範囲で本開示によるコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位は、最大1.5モル%又は最大1.0モル%の量でコポリマーに存在する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する共重合単位(copolymerized units)は、少なくとも0.03モル%又は0.05モル%の量でコポリマーに存在する。由来する共重合単位は、0.02モル%〜2モル%、0.03モル%〜1.5モル%又は0.05モル%〜1.0モル%の範囲でコポリマーに存在してもよい。HFPは、コポリマーの総重量に基づいて、5重量%〜22重量%の範囲、10重量%〜17重量%の範囲、11重量%〜16重量%の範囲又は11.5重量%〜15.8重量%の範囲で存在してもよく、コポリマーの重量は100重量%である。本開示の方法に従って製造されるコポリマーは、典型的には、220℃〜285℃、いくつかの実施形態では、235℃〜275℃、240℃〜275℃、又は245℃〜265℃の融点を有する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物、TFE、及びHFPから調製されるコポリマーは、372℃及び5kg荷重において10分当たり30±10gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物、TFE、及びHFPから調製されるコポリマーは、372℃及び5kg荷重で10分当たり30±5g、又は10分当たり30±3gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、多官能性ポリフルオロ化化合物、TFE、及びHFPから調製されるコポリマーは、372℃及び5kg荷重で10分当たり1g〜10分当たり19gのMFIを有する。いくつかの実施形態では、このコポリマーは、10分当たり1g〜10分当たり15gの範囲又は10分当たり1g〜10分当たり10gの範囲のMFIを有する。
本明細書に開示される方法によって製造された1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物で製造されたFEPは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)における電気絶縁に有用であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって製造された1つ以上の多官能性ポリフルオロ化化合物を使用して、非晶質フルオロポリマーを製造することができる。非晶質フルオロポリマーは、典型的には融点を呈さず、室温で結晶性をほとんど又は全く呈しない。有用な非晶質フルオロポリマーは、室温未満又は最高で280℃のガラス転移温度を有することができる。好適な非晶質フルオロポリマーは、−60℃〜最大280℃、−60℃〜最大250℃、−60℃〜150℃、−40℃〜150℃、−40℃〜100℃又は−40℃〜20℃の範囲のガラス転移温度を有することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製された多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーとしては、TFE/プロピレンコポリマー、TFE/プロピレン/VDFコポリマー、VDF/HFPコポリマー、TFE/VDF/HFPコポリマー、TFE/ペルフルオロメチルビニルエーテル(perfluoromethyl vinyl ether、PMVE)コポリマー、TFE/CF=CFOCコポリマー、TFE/CF=CFOCF/CF=CFOCコポリマー、TFE/エチルビニルエーテル(ethyl vinyl ether、EVE)コポリマー、TFE/ブチルビニルエーテル(butyl vinyl ether、BVE)コポリマー、TFE/EVE/BVEコポリマー、VDF/CF=CFOCコポリマー、エチレン/HFPコポリマー、TFE/HFPコポリマー、CTFE/VDFコポリマー、TFE/VDFコポリマー、TFE/VDF/PMVE/エチレンコポリマー、又はTFE/VDF/CF=CFO(CFOCFコポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製された多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーは、硬化部位を含む重合単位を含む。これらの実施形態では、硬化部位モノマー(上記のもののいずれかを含む、例えば、式XXV、XXX、XXXVの化合物、及びI−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、I−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF、並びにI−CF−CF−O−(CF−O−CF=CF)は、非晶質フルオロポリマーを製造するために、重合中に有用であり得る。このような硬化部位モノマーとしては、フリーラジカル重合が可能なモノマーが挙げられる。硬化部位モノマーは、得られるエラストマーの適切な熱安定性を確保するために、ペルフルオロ化され得る。有用な硬化部位の例としては、Br硬化部位、I硬化部位、ニトリル硬化部位、炭素−炭素二重結合及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの硬化部位のいずれも、例えば過酸化物を使用して硬化させることができる。しかし、複数の異なる硬化部位が存在するいくつかの場合には、二重硬化系又は多硬化系が有用であり得る。有用であり得る他の好適な硬化系としては、ビスフェノール硬化系又はトリアジン硬化系が挙げられる。硬化部位モノマーの有用な量としては、ポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、0.01mol%〜1mol%が挙げられ、使用することができる。いくつかの実施形態では、非晶質フルオロポリマーに組み込まれたモノマーの総モルに基づいて、少なくとも0.02、0.05又は更には0.1mol%の硬化部位モノマーが使用され、最大0.5、0.75又は更には0.9mol%の硬化部位モノマーが使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製された多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーは、ニトリル硬化部位を構成する重合単位を含む。ニトリル硬化部位は、重合の際にニトリル含有モノマーを使用してポリマーに導入することができる。好適なニトリル含有モノマーの例としては、上記のように調製した式CF=CF−O−(CF−CN及びCF=CF−O−(CF−CNによって表されるものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法を使用して調製された多官能性ポリフルオロ化化合物に由来する単位を含む非晶質フルオロポリマーは、その実施形態のいずれかで上述したように、硬化部位モノマーとして、XXV又はXXXによって表された少なくとも1つの化合物を構成する重合単位を含む。XXV又はXXXによって表される化合物は、重合される構成成分中に任意の有用な量で存在してもよく、いくつかの実施形態では、重合性成分の総量に基づいて、最大2、1、又は0.5モル%の量、及び少なくとも0.1モル%の量で存在してもよい。
非晶質フルオロポリマーがペルハロゲン化され、いくつかの実施形態ではペルフルオロ化されている場合、典型的には、その共重合単位の少なくとも50モル%(mol%)は、任意にHFPを含むTFE及び/又はCTFEに由来する。非晶質フルオロポリマーの共重合単位の残部(例えば、10〜50mol%)は、1つ以上のペルフルオロ化ビニル又はアリルエーテル、及び硬化部位モノマーから構成される。フルオロポリマーがペルフルオロ化されていない場合、それは、典型的には、約5mol%〜約90mol%のTFE、CTFE及び/又はHFP由来のその共重合単位、約5mol%〜約90mol%のVDF、エチレン及び/又はプロピレン由来のその共重合単位、最大約40mol%のペルフルオロ化ビニル又はアリルエーテル由来のその共重合単位、並びに約0.1mol%〜約5mol%の、いくつかの実施形態では約0.3mol%〜約2mol%の硬化部位モノマーを含有する。
ジヨードフルオロアルカン及び/又はジヨードメタンは、連鎖移動剤として有用であり得る。有用なジヨード−フルオロアルカン連鎖移動剤の例としては、I(CFI[式中、nは2〜5の整数である]が挙げられる。連鎖移動剤の有用な量としては、使用されるコモノマーの総量に基づいて、0.01重量%〜最大2重%が挙げられる。連鎖移動剤に関するより多くの情報は、例えば、2017年11月3日に出願された同時係属出願PCT/US2017/059825号に見出すことができる。
本明細書に開示される方法によって製造される多官能性ポリフルオロ化化合物から誘導される単位を含むフルオロポリマーは、フリーラジカル重合によって製造することができる。好都合には、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるコポリマーの製造方法は、重合、凝固、洗浄、及び乾燥を含むことができる一連の工程を用いたラジカル水性乳化重合を含む。いくつかの実施形態において、水性乳化重合を定常状態下で連続的に実行することができる。例えば、モノマー(例えば、上記のいずれかを含む)、水、乳化剤、緩衝剤及び触媒の水性エマルションを、最適な圧力及び温度条件下で撹拌反応器に連続的に供給することができ、一方では、得られたエマルション又は懸濁液を連続的に取り出す。いくつかの実施形態では、前述の成分を撹拌反応器に供給し、指定された時間にわたり設定温度でそれらを反応させることによるか、又は成分を反応器に充填し、所望量のポリマーが形成されるまでモノマーを反応器に供給し一定の圧力を維持することにより、バッチ又は半バッチ重合が実施される。重合後に、反応器廃液ラテックスから、減圧での蒸発によって未反応モノマーを除去する。フルオロポリマーは、凝固によってラテックスから回収することができる。
本開示のいくつかの実施形態
第1の実施形態において、本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法であって、
4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物であって、環炭素原子のうちの2つが二重結合又はエポキシドを形成する、ポリフルオロ化環状化合物と、
四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、又は酸化剤と反応して四酸化ルテニウムを形成する四酸化ルテニウムの前駆体のうちの少なくとも1つと、を含む第1の構成成分を組み合わせることと、
ポリフルオロ化ジカルボン酸を形成することと、を含む、方法を提供する。
第2の実施形態では、本開示は、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物が、1つ以上のポリフルオロアルキル基によって置換されている、第1の実施形態の方法を提供する。
第3の実施形態では、本開示は、4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物が、ポリフルオロ化環状オレフィンである、第1又は第2の実施形態の方法を提供する。
第4の実施形態では、本開示は、ポリフルオロ化環状オレフィンが、ペルフルオロシクロペンテンである、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第5の実施形態では、本開示は、廃棄物流からペルフルオロシクロペンテンを得ることを更に含む、第4の実施形態に記載の方法を提供する。
第6の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、四酸化ルテニウムを含む、第1〜第5の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第7の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、四酸化ルテニウムの前駆体を含み、四酸化ルテニウムの前駆体が、水和物である、第1〜第6の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第8の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、四酸化ルテニウムの前駆体を含み、四酸化ルテニウムの前駆体が、酸化ルテニウム(IV)水和物、塩化ルテニウム(III)水和物、又はこれらの組み合わせを含む、第1〜第7の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第9の実施形態では、本開示は、酸化剤が、過塩素酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、又はオルト過ヨウ素酸若しくはその塩のうちの少なくとも1つを含む、第1〜第8の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第10の実施形態では、本開示は、酸化剤が、過ヨウ素酸又はその塩を含む、第1〜第9の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第11の実施形態では、本開示は、酸化剤が酸素含有ガスを含まない、第1〜第10の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第12の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、水と水不混和性有機溶媒とを更に含む、第1〜第11の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第13の実施形態では、本開示は、水不混和性有機溶媒が、ハロゲン化溶媒である、第12の実施形態に記載の方法を提供する。
第14の実施形態では、本開示は、水不混和性有機溶媒が、四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、又はヒドロフルオロエーテルのうちの少なくとも1つを含む、第12又は第13の実施形態に記載の方法を提供する。
第15の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、有機共溶媒を含む、第12〜第14の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第16の実施形態では、本開示は、有機共溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル、又はアジポニトリルのうちの少なくとも1つを含む、第15の実施形態に記載の方法を提供する。
第17の実施形態では、本開示は、第1の構成成分を、50℃未満の温度で反応させる、第1〜第16の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第18の実施形態では、本開示は、第1の構成成分が、室温を超えて加熱されない、第17の実施形態に記載の方法を提供する。
第19の実施形態では、本開示は、ポリフルオロ化ジカルボン酸を、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドに変換することを更に含む、第1〜第18の実施形態のいずれか1つに記載の方法を提供する。
第20の実施形態では、本開示は、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライド及び金属ヨウ化物を含む第2の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジヨージドを提供することを更に含む、第19の実施形態に記載の方法を提供する。
第21の実施形態では、本開示は、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドが、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、方法が、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物及びヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む第3の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジビニルエーテルを提供することを更に含む、第19の実施形態に記載の方法を提供する。
第22の実施形態では、本開示は、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドが、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、方法が、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物、フッ化物イオン、及びCF=CF−CF−X(式中、Xは、Cl、Br、クロロスルフェート、フルオロスルフェート、又はトリフルオロメチルスルフェートである)を含む第4の構成成分を組み合わせて、多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジアリルエーテルを提供することを更に含む、第19の実施形態に記載の方法を提供する。
第23の実施形態では、本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物が、ポリフルオロ化ジヨージド、ポリフルオロ化ジビニルエーテル、ポリフルオロ化ジアリルエーテル、ポリフルオロ化ジオレフィン、又はポリフルオロ化ジニトリルのうちの少なくとも1つを含む、第19の実施形態に記載の方法を提供する。
第24の実施形態では、本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物が、ペルフルオロ化ジヨウ化物、ペルフルオロ化ジビニルエーテル、ペルフルオロ化ジアリルエーテル、ペルフルオロ化ジオレフィン、又はペルフルオロ化ジニトリルのうちの少なくとも1つを含む、第23の実施形態に記載の方法を提供する。
第25の実施形態では、本開示は、多官能性ポリフルオロ化化合物が、ヨード、ビニルエーテル、フルオロ化アリルエーテル、オレフィン、及びシアノからなる群から選択される少なくとも2つの異なる官能基を有する、第19の実施形態に記載の方法を提供する。
以下の具体的であるが非限定的な実施例は、本開示の例示に役立つであろう。
全ての材料は、特に記述がない又は明らかでない限り、例えば、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI,USA)から市販されている又は当業者に公知のものである。
以下の略語をこのセクションで使用する:mL=ミリリットル、g=グラム、kg=キログラム、mol%=モルパーセント、mmol=ミリモル、h=時間、NMR=核磁気共鳴、r.t.=室温、mmHg=ミリメートル水銀柱、eq=当量。このセクションで使用される材料の略語、並びに材料の説明を表1に示す。
材料
Figure 2021506930
実施例1〜9(EX−1〜EX−9)
EX−1については、追加の漏斗及び凝縮器を備えた500mLの三つ口フラスコに、RuCl×HO(129mg、0.6mmol、1.0mol%)、CCl(60mL)及びCHCN(30mL)を移した。暗色懸濁液を、氷浴によって0℃に冷却し、氷冷したc−C(13.0g、61mmol)を迅速に添加した。懸濁液に、水(310mL)中に溶解されたHIO(74.6g、0.33mol)を、5〜6℃で激しく攪拌しながら滴加した。発熱が観察された。その後、冷却浴を外し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。次いで、MeOH(1.2mL)を添加した。RuOを沈殿させ、濾別した。水相を分離し、HSO(10mL)でpH=1まで酸性化した(ここでは、水相の温度を8℃以下に維持した)。溶液をエーテル(4×150mL)で抽出し、CaClで乾燥させ、エーテルを減圧下で除去した。溶媒の蒸発後、残留物を減圧下(1mmHg)で60℃にて2時間乾燥させて、結晶質固体を形成した。99.9mol%の純度を有する所望の二酸を、90%の収率(13.1g、55mmol)で得た。
EX−2〜EX−11については、EX−1について記載したものと同じ手順に従ったが、触媒、触媒量、酸化剤、酸化剤量、溶媒、時間、温度、及びHOC−(CF−COHの収率は、表2に示した通りであった。
例示的実施例1〜3(IE−1〜IE−3)
IE−1〜CE−3については、EX−1について記載したものと同じ手順に従ったが、触媒、触媒量、酸化剤、酸化剤量、溶媒、時間、温度、及びHOC−(CF−COHの収率は、表2に示した通りであった。
例示的実施例4
NaOCl(13%、45mL、54.3g、95mmol)、NaOH(1.9g、47.5mmol)、及びAliquat 336(0.3g、0.7mmol)の溶液に、CHCN(7mL)を添加した。反応混合物を、10℃に冷却し、c−C(3.1g、14.6mmol)を添加した。フラスコを密封し、激しく撹拌しながら16時間かけてゆっくりと室温に加温した。その後、水(20mL)を、完全均質化が観察されるまで懸濁液に添加した。得られた溶液を室温で蒸発させてCHCNを除去した。次に、反応混合物を濃HClで、pH=1に酸性化した。得られた溶液をCHCl(3×60ml)及びEtOAc(3×50mL)で抽出した。EtOAc相をモレキュラーシーブ(4Å)で乾燥させ、蒸発させ、黄色がかった残渣を減圧下で蒸留した。1mmHgで102〜104℃の沸点を有する分画を採取した。対象生成物を、32%の収率で得た(1.1g、4.6mmol;m.p.84〜86℃;m.p.は、J.Am.Chem.Soc.1945,67,1235−1237に準拠している)。
Figure 2021506930
Figure 2021506930
実施例12(Ex−12):2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオイルジクロリドの合成
上記のように製造した無水ペルフルオログルタル酸(20.2g、84.1mmol)、及び無水FeCl(210mg、1.3mmol)を、温度計及び還流凝縮器を備えた50mLの三つ口フラスコに、不活性雰囲気内で置いた。次いで、ベンゾトリクロリド(32.5g、166.2mmol)を添加した。激しく撹拌しながら、反応混合物を2時間かけてゆっくりと40℃に温め、発泡体形成を観察した。反応混合物を、130℃で4時間攪拌し、24℃で一晩撹拌した。
還流凝縮器を、短いビグリュー(Vigreux)カラムを備えた蒸留セットで置き換え、反応混合物を蒸留した。生成物2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオイルジクロリドを、84%の収率で得た(19.5g、70.4mmol、b.p.112〜116℃/760mmHg)。
実施例13(EX−13):1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−ジヨードプロパンの合成
Ex.10で記載されたように調製した2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタンジオイルジクロリド(19.4g、70.0mmol)、及び予め乾燥させたKI(31.0g、186.7mol)を、電磁撹拌棒を備えた80mLのHokeシリンダー内でアルゴン下に置いた。シリンダーを203℃で6時間撹拌した(内部のCO圧力は64atmであった)。室温に冷却した後、COを慎重に放出させた。ジエチルエーテル(4×35ml)及び冷水(4×30ml)を添加した。有機相を分離し、飽和NaSO溶液(80mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒の蒸発後、粗生成物を、短いビグリューカラムで蒸留した。生成物1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−ジヨードプロパンを、70%の収率で得た(19.8g、49.0mmol、b.p.64〜68℃/85〜92mmHg)。
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者によって本開示の様々な修正及び変更を行うことができ、本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態に不当に限定されるものではない点を理解するべきである。

Claims (15)

  1. 多官能性ポリフルオロ化化合物の製造方法であって、
    4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物であって、前記環炭素原子のうちの2つが二重結合又はエポキシドを形成する、ポリフルオロ化環状化合物と、
    四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、又は酸化剤と反応して四酸化ルテニウムを形成する四酸化ルテニウムの前駆体のうちの少なくとも1つと、
    を含む第1の構成成分を組み合わせることと、
    ポリフルオロ化ジカルボン酸を形成することと、を含む、方法。
  2. 前記4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物が、1つ以上のポリフルオロアルキル基によって置換されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記4〜7個の環炭素原子を有するポリフルオロ化環状化合物が、ポリフルオロ化環状オレフィンである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ポリフルオロ化環状オレフィンが、ペルフルオロシクロペンテンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 廃棄物流からペルフルオロシクロペンテンを得ることを更に含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第1の構成成分が、前記四酸化ルテニウムの前駆体を含み、前記四酸化ルテニウムの前駆体が、酸化ルテニウム(IV)水和物、塩化ルテニウム(III)水和物、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記酸化剤が、過塩素酸塩、メタ過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、又はオルト過ヨウ素酸若しくはその塩のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記酸化剤が、酸素含有ガスを含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記第1の構成成分が、水及び水不混和性有機溶媒を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記第1の構成成分を、50℃未満の温度で反応させる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ポリフルオロ化ジカルボン酸を、ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドに変換することを更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライド及び金属ヨウ化物を含む第2の構成成分を組み合わせて、前記多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジヨージドを提供することを更に含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドが、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、前記方法が、前記ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物及びヘキサフルオロプロピレンオキシドを含む第3の構成成分を組み合わせて、前記多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジビニルエーテルを提供することを更に含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記ポリフルオロ化ジカルボン酸ハライドが、ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物であり、前記方法が、前記ポリフルオロ化ジカルボン酸フッ化物、フッ化物イオン、及びCF=CF−CF−X(式中、Xは、Cl、Br、クロロスルフェート、フルオロスルフェート、又はトリフルオロメチルスルフェートである)を含む第4の構成成分を組み合わせて、前記多官能性ポリフルオロ化化合物としてのポリフルオロ化ジアリルエーテルを提供することを更に含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記多官能性ポリフルオロ化化合物が、ヨード、ビニルエーテル、フルオロ化アリルエーテル、オレフィン、及びシアノからなる群から選択される少なくとも2つの異なる官能基を有する、請求項11に記載の方法。
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