JP2021506875A - アルキルグリコシドによるタンパク質精製およびウイルス不活化 - Google Patents

アルキルグリコシドによるタンパク質精製およびウイルス不活化 Download PDF

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Abstract

組換えタンパク質を精製する方法であって、i)該組換えタンパク質を含む溶液を用意する工程;ii)該溶液へアルキルグリコシドを添加する工程;およびiii)該組換えタンパク質を精製する工程を含む前記方法。アルキルグリコシドの添加によって、プロセス関連不純物の排除が改善される。本発明の精製された組換えタンパク質は、低レベルの宿主細胞DNA、宿主細胞タンパク質、およびウイルス混入を有する。

Description

本発明は、遺伝子組換えにより発現されるポリペプチド、特に、薬学的用途のためのこれらのポリペプチドの精製の分野におけるものである。
遺伝子組換えにより発現されるポリペプチドの大規模で経済的な精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な問題となっている。これらのポリペプチドは、一般に、当該ポリペプチドの遺伝子を含有する組換えプラスミドを挿入して目的のポリペプチドを生産するように操作された哺乳動物、酵母、または細菌のいずれかの細胞株を使用して、細胞培養物によって産生される。所望のポリペプチドを、例えば宿主細胞DNAおよびタンパク質などの細胞成分から、ヒトの治療用物質として使用するために十分な純度へ分離するには、難しい課題がある。使用される精製技術は、理想的には、スケーラブルで、効率的で、費用効果が高く、信頼性の高いものであり、最終生成物の任意の純度要件を満たすものとなる。現行の精製技術には、通常、複数のクロマトグラフ分離法が必要となる。典型的な方法は、次の工程:沈殿、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イムノアフィニティーおよびアフィニティクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、マルチモードクロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー、ならびにサイズ排除クロマトグラフィーのうちの、すべてまたは少なくとも一部を含む可能性がある。
特に哺乳動物細胞株を用いる組換え技術を使用して製造されたポリペプチドは、健康に有害な病原性ウイルスなどのウイルスで汚染されている恐れもある。該ポリペプチドを個体に投与するのであれば、あらゆる混入するウイルス活性を排除することが重要である。現在、例えば、湿式もしくは乾式熱不活化、溶媒/界面活性剤(S/D)不活化、pH不活化、化学的不活化、および/または紫外線/ガンマ照射不活化を含む、病原性ウイルスを不活化する多様な方法がある。重要なヒト病原体のほぼすべては、溶媒および界面活性剤によって膜破壊の影響を受けるベロープウイルスであるため、これらの方法のうち、S/D不活化が、おそらく最も広く使用される殺ウイルス方法である。S/D不活化方法において、有機溶媒および界面活性剤は、精製されているポリペプチドを含む液体と混合され、インキュベートされる。溶媒は、界面活性剤と、ウイルスを封入する脂質膜との間の集合を促進する環境を創出し、界面活性剤は、この脂質膜中の分子間の相互作用を破壊する。一旦、破壊されると、エンベロープウイルスは、もはや細胞に結合し、感染し、複製することができない。無傷の脂質膜が、このような活性に必須であるためである。世界保健機関(WHO)のガイドラインに従って使用される典型的な条件は、0.3%リン酸トリ−n−ブチル(TNBP)および1%ポリソルベート80(PS80、別名ポリオキシエチレン(80)ソルビタンモノオレエートまたはTWEEN(登録商標)80)の24℃で最低6時間のインキュベーション、または0.3%TNBPおよび1%ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TRITON(登録商標)X−100)の24℃で最低4時間のインキュベーションである(非特許文献1を参照されたい)。
S/D処理は、エンベロープウイルスを不活化する標準技術になっているものの、その使用には幾つかの弱点がある。製造の間に加えられるS/D混合物は、最終生成物を生成する前に実質的に取り除かれなければならない。例えば、TNBPは、使用される濃度では健康への危険性があり、したがって、製造過程および最終製品において、健康上および安全上の問題となるものである。さらに、従来使用されているTRITON(登録商標)X−100などの界面活性剤は、深刻な環境上の脅威をもたらしており、使用を中止しなければならない。またこのウイルス不活化工程の組込みによって、プロセシング時間が増大し、生成物収率が10%も低減し(非特許文献2を参照されたい)、この組込みにはインキュベーションの間に混合物を撹拌する装置が必要となる。これらの問題を最少化または排除するために、より単純でより効率的なウイルス不活化手順が提案されている。一般的な選択肢には、例えば非特許文献2、3、および4の中で提案されているように、脂肪酸のカプリル酸(オクタン酸)の使用が含まれる。さらなる選択肢が、非特許文献5および特許文献1に記載されている。特に特許文献1では、より環境に適合性があると示唆される様々な界面活性剤が試験されている。ウイルス不活化に対する、様々な界面活性剤を使用する効果は一様ではない。さらに、特定の界面活性剤がウイルスを不活化することができる可能性があるものの、さらなる精製過程へのその効果は、例えばDNAまたは宿主細胞タンパク質低減に関して、予測することができない。
WO2015/073633
WHOテクニカルレポート、添付書類4、「Guidelines on viral inactivation and removal procedures intended to assure the viral safety of human blood plasma products」、シリーズ第924号、151〜224頁、(2004) Korneyevaら、(2002)Biologicals.30(2):153〜62頁 Lebingら、(2003)Vox Sang.84(3):193〜201頁 Johnstonら、(2003)Biologicals. 31(3):213〜21頁 Bosleyら、(2008)Proteomics Clin Appl. 2(6):904〜7頁
よって、さらに改善された、遺伝子組換えにより発現させたポリペプチドを精製する方法、特に、DNAおよびタンパク質混入の低減を達成し、病原性ウイルスを不活化する方法が必要である。
本発明の開示
本発明は、アルキルグリコシドを組換えポリペプチドに添加する精製方法に基づくものである。発明者らは、アルキルグリコシド、および特にn−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシドが、精製工程の間、例えば、精製工程に先立ち供給物質に添加されると、方法関連不純物の排除を改善し得ることを明らかにした。例えば、発明者らは、クロマトグラフィー精製工程の供給流にアルキルグリコシドが存在することによって、TNBP/PS80のような代替薬剤または対照緩衝液の使用と比較して、溶出段階における宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質レベルが有意に低減し得ることを発見した。さらに、アルキルグリコシドは、撹拌せずに短期間しか存在しない場合でも、効率的にウイルスを不活化することができ、これによってプロセス時間およびコストの削減が可能となる。該方法は、この効率的なウイルス不活化を保持しながら、広範囲の方法パラメーター下で実行することができる。n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシドに加え、発明者らは、n−デシル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−オクチル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−グルコピラノシド、およびn−デシル−ベータ−D−マルトシドが、本発明における使用に特に効果的なアルキルグリコシドであることを明らかにした。
したがって、本発明は、組換えポリペプチドを精製する方法であって、
i)該組換えポリペプチドを含む溶液を用意する工程;
ii)該溶液へアルキルグリコシドを添加する工程;および
iii)該組換えポリペプチドを精製する工程
を含む前記方法を提供する。
組換えポリペプチドは、典型的には、測定可能な量の宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質をさらに含む溶液中に含まれることとなる。これらの実施形態において、本発明は、宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質から組換えポリペプチドを分離する方法を提供し、ここでは、工程(iii)によってこの分離がもたらされる。溶液へのアルキルグリコシドの添加によって、アルキルグリコシドを用いない同じ方法と比較してこの分離を改善することができ、例えば、少なくとも10%(特に少なくとも20%)分離を改善する。発明者らは、工程(iii)が溶液に対するクロマトグラフィーの工程を実行することによって行われると、特に効果的な分離が達成可能であることを明らかにした。クロマトグラフィーは、任意の好適なクロマトグラフィー、例えば、イムノアフィニティー、アフィニティ、疎水性相互作用、イオン交換、マルチモード、サイズ排除、または金属キレートクロマトグラフィーから選択してもよい。後述の本発明を実施するための形態では、発明者らは、特にイムノアフィニティークロマトグラフィーの工程を用いている。疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび/またはイオン交換クロマトグラフィーもまた、特に有効である。
組換えポリペプチドを含む溶液に添加されたアルキルグリコシドは、好ましくは、0.1から1000mMの間(例えば、1から500mM、3から400mM、5から200mM、10から100mM、20から90mMの間)のこのような溶液の濃度を有してもよく、通常、約25〜80mMである。
工程(iii)が、溶液に対してクロマトグラフィーの工程を実行することによって行われる場合、アルキルグリコシドをクロマトグラフィー工程の洗浄緩衝液中に追加的に含めてもよい。他の実施形態において、クロマトグラフィー工程の洗浄緩衝液中にアルキルグリコシドを含める工程を、別個の工程として、工程(ii)の実行に対する代替として用いてもよい。これらの実施形態において、本発明は、したがって、組換えポリペプチドを精製する方法であって、i)該組換えポリペプチドを含む溶液を用意する工程;およびiii)アルキルグリコシドがクロマトグラフィー工程の洗浄緩衝液中に含まれる、該溶液に対する該クロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程を含む前記方法を提供する。クロマトグラフィー洗浄緩衝液中にアルキルグリコシドを含むことによって、宿主細胞DNAレベルおよび/もしくは宿主細胞タンパク質(HCP)レベルならびに/または他のタンパク質不純物を、アルキルグリコシドを含まない対応する洗浄緩衝液を使用する参照方法と比較してさらに低減させることが可能である。
さらなる精製工程を、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前または工程(iii)の後のどちらかで方法に含めてもよい。精製工程は、典型的にはクロマトグラフィーの工程である。クロマトグラフィーは、任意の好適なクロマトグラフィー、例えば、イムノアフィニティー、アフィニティ、疎水性相互作用、イオン交換、マルチモード、サイズ排除、または金属キレートクロマトグラフィーから選択してもよい。
例えば、1つまたはそれ以上の疎水性相互作用クロマトグラフィー工程を方法に含めてもよい。典型的には、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程は、特に工程(iii)がイムノアフィニティークロマトグラフィー工程である場合、工程(iii)の後に溶液に対して実行される。同様に、1つまたはそれ以上のイオン交換クロマトグラフィー工程を方法に含めてもよい。典型的には、イオン交換クロマトグラフィー工程は、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、溶液に対して実行される。イオン交換クロマトグラフィー工程もまた、特に工程(iii)がイムノアフィニティークロマトグラフィー工程である場合、工程(iii)の後に溶液に対して行ってもよい。この実施形態において、典型的には、(前述のように)イムノアフィニティークロマトグラフィー工程の後に、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程が続き、その次に、イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。
例えば、発明者らは、組換えポリペプチドを宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質から分離する特に効果的な方法は、a)該組換えポリペプチドを含む溶液を用意する工程;b)該溶液に対してイオン交換クロマトグラフィーの工程を実行することによって、該組換えポリペプチドを精製する工程;c)該溶液へアルキルグリコシドを添加する工程;d)該溶液に対してイムノアフィニティークロマトグラフィーの工程を実行することによって、該組換えポリペプチドを精製する工程;e)該溶液に対して疎水性相互作用またはマルチモードクロマトグラフィーの工程を実行することによって、該組換えポリペプチドを精製する工程;およびf)該溶液に対してさらなるイオン交換クロマトグラフィーの工程を実行することによって、該組換えポリペプチドを精製する工程を含むことを明らかにした。
したがって、本発明は、溶液中の組換えポリペプチドを精製する方法において、溶液へのアルキルグリコシドの添加からなる改善を提供する。該添加によって、該方法後の宿主細胞DNAおよび/またはタンパク質混入を低減させることができる。追加的にまたは代替的に、該添加によって、効率的なウイルス不活化が可能となる。さらに、該方法により得られる組換えポリペプチドの収率は、改善し得る。
本発明はまた、組換えポリペプチドを含む溶液への添加剤としてのアルキルグリコシドの使用を提供する。該使用によって、次の組換えポリペプチド精製の後の宿主細胞DNAおよび/またはタンパク質混入が低減し得る。追加的にまたは代替的に、該使用によって、効率的なウイルス不活化が可能となる。
本発明の方法は、5000pg/ml未満(例えば、≦4000pg/ml、≦3000pg/ml、≦2500pg/ml、≦2000pg/ml、≦1500pg/ml、≦1000pg/ml、≦500pg/ml、≦200pg/ml、≦100pg/ml、≦50pg/mlなど)であるレベルの宿主細胞DNA混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。典型的には、宿主細胞DNA混入のレベルは、500pg/ml未満、特に200pg/ml未満である。
本発明の方法は、アルキルグリコシドを使用しないということを除いてまたはTNBP/PS80のような従来のS/D処理を使用するということを除いて本発明の方法に同一である参照方法と比較した場合、1.5分の1以下、好ましくは、2分の1以下、5分の1以下、10分の1以下、20分の1以下、50分の1以下、100分の1以下、150分の1以下、または200分の1以下に低減したレベルの宿主細胞DNA混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。
本発明の方法は、好ましくは工程iii)による組換えポリペプチドの精製後に、好ましくは工程iii)によって、組換えポリペプチドの精製の前の宿主細胞DNA混入のレベルと比較した場合に10分の1以下、好ましくは、100分の1以下、1000分の1以下、10,000分の1以下、15,000分の1以下、20,000分の1以下、または25,000分の1以下に低減したレベルの宿主細胞DNA混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。このような低減は、工程(iii)が例えばイムノアフィニティークロマトグラフィー工程である場合にみられる。
本発明の方法は、5000ng/ml未満(例えば、≦4000ng/ml、≦3500ng/ml、≦3000ng/ml、≦2500ng/ml、≦2000ng/ml、≦1800ng/ml、≦1500ng/ml、≦1000ng/mlなど)であるレベルの宿主細胞タンパク質(HCP)混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。典型的には、宿主細胞タンパク質混入のレベルは、5000ng/ml未満、特に3000ng/ml未満である。
本発明の方法は、アルキルグリコシドを使用しないということを除いてまたはTNBP/PS80のような従来のS/D処理を使用するということを除いて本発明の方法に同一である参照方法と比較した場合、1.5分の1以下、好ましくは、2分の1以下、2.5分の1以下、3分の1以下、または3.5分の1以下に低減したレベルの宿主細胞タンパク質(HCP)混入を含む、組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。
本発明の方法は、好ましくは工程iii)による組換えポリペプチドの精製後に、好ましくは工程iii)による組換えポリペプチドの精製の前の宿主細胞タンパク質混入のレベルと比較した場合、10分の1以下、好ましくは、100分の1以下、200分の1以下、300分の1以下、400分の1以下、500分の1以下、700分の1以下、800分の1以下、900分の1以下、または1,000分の1以下に低減したレベルの宿主細胞タンパク質(HCP)混入を含む、組換えポリペプチドの溶液を提供することもできる。このような低減は、工程(iii)が例えばイムノアフィニティークロマトグラフィー工程である場合にみられる。
具体的には、本発明の方法は、(a)宿主細胞DNA混入のレベルが(前述のように)5000pg/ml未満であり、(b)宿主細胞タンパク質(HCP)混入のレベルが(前述のように)5000ng/ml未満である、組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。
本発明の方法は、アルキルグリコシドを使用しないということを除いてまたはTNBP/PS80のような従来のS/D処理を使用するということを除いて本発明の方法に同一である参照方法によって得られた組換えポリペプチドの収率と比較した場合、得られた組換えポリペプチドの収率が少なくとも1.05、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または少なくとも2の倍率で改善されている、組換えポリペプチドの溶液を提供することができる。
本明細書において言及された1つまたはそれ以上の方法による組換えポリペプチドの溶液は、好ましくは、本明細書に記載されたような組換えポリペプチドの精製の結果として、具体的には、工程iii)による精製の結果として提供される。別法としてまたは追加として、アルキルグリコシドは、クロマトグラフィー工程の洗浄緩衝液中に含めてもよい。
本発明はまた、組換えポリペプチドおよびアルキルグリコシドを含む溶液、具体的には、本発明の方法工程(ii)から得られたまたは得ることができる溶液を提供する。
本発明はまた、精製された組換えポリペプチドを含む溶液、特に、本発明の方法から得られたまたは得ることが可能な溶液を提供する。溶液には、アルキルグリコシドの残量が含有されていてもよい。アルキルグリコシドの量は、例えば、質量分析法を用いる場合、検出限界未満であり得る。例えば、アルキルグリコシドの量は、1.5μg/ml未満(または40ng/精製組換えポリペプチドmg未満)であり得る。アルキルグリコシドの量は、特に、10ng/精製組換えポリペプチドmg未満であり得る。
本発明はまた、5000pg/ml未満(例えば、≦4000pg/ml、≦3000pg/ml、≦2500pg/ml、≦2000pg/ml、≦1500pg/ml、≦1000pg/ml、≦500pg/ml、≦200pg/ml、≦100pg/ml、≦50pg/mlなど)であるレベルの宿主細胞DNA混入を含む、組換えポリペプチドを含む溶液を提供する。典型的には、宿主細胞DNA混入のレベルは、500pg/ml未満、特に200pg/ml未満である。
本発明はまた、5000ng/ml未満(例えば、≦4000ng/ml、≦3500ng/ml、≦3000ng/ml、≦2500ng/ml、≦2000ng/ml、≦1800ng/ml、≦1500ng/ml、≦1000ng/mlなど)であるレベルの宿主細胞タンパク質混入を含む、組換えポリペプチドを含む溶液を提供する。典型的には、宿主細胞タンパク質混入のレベルは、5000ng/ml未満、特に3000ng/ml未満である。
本発明はまた、(a)宿主細胞DNA混入のレベルが(前述のように)5000pg/ml未満であり;(b)宿主細胞タンパク質混入のレベルが(前述のように)5000ng/ml未満である、組換えポリペプチドを含む溶液を提供する。
本発明はまた、アルキルグリコシドをTNBPなどの任意の有機溶媒なしで添加する、組換えポリペプチドを含む溶液への添加剤としての該アルキルグリコシドの使用を提供する。本文脈における有機溶媒は、例えば、任意の炭素ベースの溶媒であり得る。本発明によれば、アルキルグリコシドを、水以外または緩衝水溶液以外の溶媒などと事前に混合することなく提供してもよい。
本発明はまた、本明細書に記載されたようなクロマトグラフィー工程用の洗浄緩衝液への添加剤としてのアルキルグリコシドの使用を提供する。
本発明はまた、添加剤としてアルキルグリコシドを含むことによってクロマトグラフィー工程において使用される、洗浄緩衝液を提供する。洗浄緩衝液は、好ましくは、本発明による組換えポリペプチドを精製する方法において適用できるように構成される。
アルキルグリコシドは、0.1から1000mMの間(例えば、0.2から500mM、0.5から300mM、1から200mM、1.5から100mM、2から80mMの間)のこのような洗浄緩衝液の濃度を有していてもよく、通常、約10〜100mMである。
よって、本発明の好ましい実施形態によれば、組換えポリペプチドを含む溶液を、用意し、必要に応じて、インキュベートしてもよく、該溶液は、クロマトグラフィーカラムに投入するのに使用され、溶出前に、該カラムは、アルキルグリコシドを含有する洗浄緩衝液で洗浄される。洗浄緩衝液におけるアルキルグリコシド最終濃度は、典型的には、0.1から1000mMの間(例えば、0.2から500mM、0.5から300mM、1から200mM、1.5から100mM、2から80mMの間)であり、通常、約10〜100mMである。発明者らは、この場合、該濃度はまた、アルキルグリコシドの臨界ミセル濃度(CMC)未満であってもよいことを明らかにした。この洗浄手順を用いて、アルキルグリコシドを含まない対応する洗浄緩衝液を用いる参照方法と比較して、宿主細胞DNAおよび/もしくはHCPならびに/または他のタンパク質不純物を、5分の1未満に、10分の1未満に、25分の1未満に、50分の1未満に、またはさらに100分の1未満に低減させることができた。そのようなタンパク質不純物の100分の1未満への低減は、下記の実施例3において実証されている。タンパク質不純物は、例えば、目的の組換えポリペプチドの1つまたはそれ以上の断片、目的の組換えポリペプチドのプロペプチド、任意の同時発現されたタンパク質などであり得る。
本発明の別の態様において、発明者らは、アルキルグリコシドが、ウイルス不活化のために使用された場合、特に有利な効果を有することを明らかにした。エンベロープウイルスはアルキルグリコシドに感受性があり、低温で使用された場合、TNBP/PS80などの代替薬剤と比較して、アルキルグリコシドは、不活化能の損失の問題がほとんどないまたは全くない。それらは、撹拌を伴わず、例えば振盪を伴わなくても使用することができる。この目的のための例示的なアルキルグリコシドは、n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−デシル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−オクチル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−グルコピラノシド、およびn−デシル−ベータ−D−マルトシドであり、n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシドが特に効果的である。
本発明のこのさらなる態様を、組換えポリペプチドを精製する本発明の方法を用いて適用してもよい。例えば、当該方法の工程ii)(すなわち、組換えポリペプチドを含む溶液へアルキルグリコシドを添加する工程)は、溶液をインキュベートすることをさらに含んでもよい。インキュベーションによって、溶液中に存在し得る1つまたはそれ以上のウイルスの不活化がもたらされる。インキュベーションは、後述のように行うことができる。ウイルスは、典型的には、自然環境から溶液に入り込むかまたは溶液を作製した材料中に存在した混入ウイルスとなる。溶液中のウイルスの有無はわからない可能性があるため、本発明を使用して、溶液中に存在し得る1つまたはそれ以上のウイルスを不活化することによって、ウイルス混入のリスクを低減させることができる。ウイルスが溶液中に存在する場合、インキュベーションによって、これらのウイルスのうちの1つまたはそれ以上を不活化することができる。
別法として、本発明のこの態様を、独立型の方法として適用してもよい。このようにして、本発明は、組換えポリペプチドを含む溶液へアルキルグリコシドを添加し、該溶液をインキュベートする工程を含む、該溶液中に存在し得る1つまたはそれ以上のウイルスを不活化する方法を提供する。1つまたはそれ以上のウイルスは、典型的には、エンベロープウイルスである。インキュベーションは、任意の好適な長さの時間、典型的には、効果的なウイルス低減を達成するのにかかるような長さの時間で行ってもよい。達成されたウイルス減少率(log10)は、例えば、少なくとも4であってもよい。典型的な実施形態において、インキュベーションは、1分から24時間の間で、2分から12時間の間で、好ましくは10分から5時間の間で行われ、通常、約30分間以上である。インキュベーションは好都合に室温で行われるが、より低い温度、例えば、≦20℃、また4から10℃の間でも、良好な結果を得ることができる。タンパク質が温度に影響を受けやすいのであれば、これらのより低い温度は特に好都合である。インキュベーション前のアルキルグリコシドの最終濃度は、典型的には、0.1から1000mMの間(例えば、1から500mM、3から400mM、5から200mM、10から100mM、20から90mMの間)であり、通常、約25〜80mMである。発明者らは、アルキルグリコシドの臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度が特にウイルス不活化に対して有効であることを明らかにした。典型的には、該濃度は、このCMCの1.5、2、3、または4倍となる。
1つまたはそれ以上のウイルスを不活化するこの方法は、組換えポリペプチドを含む溶液に関して上記で説明されてきた。しかしながら、当業者であれば、該方法を、任意の好適な供給物質、特に(ヒト)血漿由来物質などに適用することができることを理解するであろう。血漿由来物質は、特にウイルスの混入が起こりやすい。したがって、より一般的な態様において、本発明は、溶液へアルキルグリコシドを添加し、溶液をインキュベートする工程を含む、溶液中に存在し得る1つまたはそれ以上のウイルスを不活化する方法を提供する。溶液は、特に生物学的組成物から、例えば、全血、赤血球濃厚液、血小板濃厚液、白血球濃厚液(leukocyte concentrate)、血球タンパク質(blood cell protein)、血漿、多血小板血漿、血漿濃厚液(plasma concentrate)、血漿の任意の分画からの沈殿物、血漿の任意の分画からの上清、血漿タンパク質画分、精製されたまたは部分的に精製された血液タンパク質または他の成分、血清、精液、哺乳動物の初乳、乳汁、唾液、胎盤抽出物、寒冷沈降物、寒冷上清、細胞ライセート、哺乳動物細胞培養物または培養培地、発酵の生成物、腹水、血球中に存在するタンパク質、および正常または形質転換細胞によって細胞培養物中で産生された生成物(例えば、組換えDNAまたはモノクローナル抗体技術を介して)などから得てもよい。
好ましい実施形態によれば、アルキルグリコシドは、特に本明細書に記載された1つまたはそれ以上の方法において、1つまたはそれ以上のエンベロープウイルスを不活化するために使用される。ここで、該1つまたはそれ以上のウイルスは、好ましくは、MuLV(マウス白血病ウイルス)、BVDV(ウシウイルス性下痢症ウイルス)、PRV(仮性狂犬病ウイルス)、VSV(水疱性口内炎ウイルス)、およびVACV(ワクシニアウイルス)からなる群から選択される。
組換えポリペプチド
「ポリペプチド」という用語は、本明細書において、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために使用される。ポリマーは直鎖状であっても分枝状であってもよく、修飾型アミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって遮断されていてもよい。該用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、硫酸化、または標識成分もしくは半減期を延ばす成分との結合などその他の操作もしくは改変などの天然にまたは介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。該用語にはまた、例えば、アミノ酸の1つまたはそれ以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、および当技術分野で既知のその他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは、別々のポリペプチドのマルチマーの形態であってもよい。
本発明のポリペプチドは、目的の任意のポリペプチドであり、特に、混入ウイルス活性の排除が望まれるものであってもよい。本発明のポリペプチドは、好ましくは、水溶性ポリペプチドであってもよく、特に膜に挿入されているポリペプチドではなない。
ポリペプチドは、治療目的の任意のポリペプチドであってもよい。ポリペプチドは、特に、抗体、血液タンパク質、酵素、受容体、ホルモン、制御因子、抗原、サイトカイン、およびその他の目的のポリペプチドを含む群から選択することができる。例えば、ポリペプチドは、モノクローナル抗体、それらのドメイン、このような抗体もしくはそれらのドメインの二量体もしくはオリゴマー、重特異性抗体、単鎖抗原結合ドメイン(ScFv)、またはキメラ型ポリペプチドであってもよい。
ポリペプチドはまた、特に血液タンパク質、例えば、血液凝固タンパク質、アルブミン、または免疫グロブリンであってもよい。血液タンパク質の非限定的な例としては、ADAMTS−13、α1−抗プラスミン、α2−抗プラスミン、アンチトロンビンIII、腫瘍由来凝固促進因子(cancer procoagulant)、エリスロポエチン、第II因子、第V因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ヘパリンコファクターII、高分子量キニノーゲン、免疫グロブリン、プラスミノーゲン、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−2、プレカリクレイン、タンパク質C、タンパク質S、タンパク質Z、タンパク質Z関連プロテアーゼインヒビター、組織因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、またはフォン・ウィルブランド因子が挙げられる。ポリペプチドは、それらの融合タンパク質であってもよい。
ポリペプチドはまた、天然ポリペプチドの変異体、例えば、上記のポリペプチドのうちの1つの変異体であってもよい。変異体は、前記天然ポリペプチドの断片を含んでいてもよい。発明者らは、フォン・ウィルブランド因子融合タンパク質の組換え変異体を精製する本発明の方法を独自に開発した。変異体の一般的な種類は参考文献7に記載されており、この文書からの「D’D3−FP」変異体(文書では配列番号2と表記されている)が、発明者らが下記の本発明を実施するための形態において用いた代表的なポリペプチドである。
ポリペプチドは、異種のアミノ酸配列に融合させてもよい。前記異種のアミノ酸配列は、免疫グロブリン定常部および例えばFc断片などのそれらの部分、トランスフェリンおよびそれらの断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端ペプチド、XTENとして既知である水力学的容量が大きい溶媒和されたランダム鎖、ホモアミノ酸反復(homo−amino acid repeat)(HAP)、プロリン−アラニン−セリン反復(PAS)、アルブミン、アファミン、アルファ−フェトプロテイン、ビタミンD結合タンパク質、生理的条件下でアルブミンまたは免疫グロブリン定常部に結合できるポリペプチド、ならびにそれらの組合せからなる群から選択されるポリペプチドを含むかまたはそれらからなる。好ましい実施形態によれば、ポリペプチドは、アルブミンまたはFc断片に、特にアルブミンに融合させる。
ポリペプチドは、別法としてまたは追加として、さらなる部分に結合させてもよい。前記部分は、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリシアル酸(PSA)、エラスチン様ポリペプチド、ヘパロサンポリマー、ヒアルロン酸およびアルブミン結合リガンド、例えば脂肪酸鎖またはアルブミン結合ペプチド、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される。
「組換えポリペプチド」という用語は、本明細書において、遺伝子組換えにより発現されたポリペプチドを指すために使用される。具体的には、該ポリペプチドは、該ポリペプチドを発現するために遺伝子操作されたトランスジェニック生物から得られたか、または遺伝子組換えにより該ポリペプチドを産生する細胞株から得られたものである。生物の非限定的な例としては、鳥、ならびに例えばマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ロバ、雌ウシ、霊長類、およびヒトなどの哺乳動物が挙げられる。トランスジェニック生物の非限定的な例としては、ポリペプチドを発現するために遺伝子操作された生物が挙げられる。トランスジェニック生物からのポリペプチドは、当技術分野で既知の常法を用いて、体液、組織もしくは器官抽出物、または生物由来のその他の供給源から得てもよい。しかしながら、より典型的には、原核生物および/または真核生物発現系を使用して、遺伝子組換えによりポリペプチドを発現させる。発現系は、限定はしないが、誘導発現、非誘導発現、構成的発現、組織特異的発現、細胞特異的発現、ウイルス媒介発現、安定的に組み込まれた発現、および一過的発現を含む、様々な特性のいずれかを含み得る。このような発現系の作製および使用方法は、当技術分野では既知である。
一般的には、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現ベクターにクローニングされる。原核生物発現ベクターは、典型的には、複製開始点、好適なプロモーター、および/またはエンハンサーエレメントを含み、リボソーム結合、ポリアデニル化、転写終結に必要な部位、ならびに非転写5’フランキング配列およびその他の非転写遺伝要素もまた含む。例示的な原核生物ベクターとしては、例えばバクテリオファージT7プロモーターのようなプロモーターを用いる、pETおよびpRSETが挙げられる。真核生物発現ベクターは、典型的には、複製開始点、好適なプロモーター、および/またはエンハンサーエレメントを含み、リボソーム結合、ポリアデニル化、スプライシング、転写終結に必要な部位、ならびに非転写5’フランキング配列およびその他の非転写遺伝要素もまた含む。例示的な酵母ベクターとしては、例えばAOX1、AUG1、GAP、およびGALLなどのプロモーターを用いる、pAO、pMET、pPIC、pPICZ、およびpYESが挙げられる。例示的な昆虫ベクターとしては、例えばPH、p10、MT、Ac5、OplE2、gp64、およびpolhのようなプロモーターを用いる、pAc5、pBAC、pIB、pMIB、pMTが挙げられる。例示的な哺乳動物ベクターとしては、例えばベータ−カゼイン、ベータ−ラクトグロブリン、乳清酸性プロモーター、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期シミアンウイルス40(SV40)、レトロウイルス由来LTR、ならびにマウスメタロチオネイン−1などのプロモーターを用いる、pBPV、pCMV、pCMVTNT、pDNA、pDisplay、pMSG、pOG44、PQBI25、pRc/RSV、pSECTag、pSECTag2、pSG、pSV2cat、pSVK3、pSVL、pUCIG−MET、pVAX1、pWLneo、およびpXT1が挙げられる。選択マーカーとしては、アンピシリン、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ、カナマイシン、ネオマイシン、およびテトラサイクリンが挙げられる。好適な発現ベクターが、当技術分野において既知であり、市販されている。
適合性のあるベクターを発現することができる細胞には、原核細胞、真核細胞、ならびに原核および真核細胞由来の細胞株が含まれる。原核細胞株の非限定的な例としては、例えば、大腸菌、バチルス・スブチリス、バチルス・リケニフォルミス、バクテロイデス・フラジリス、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ディフィシル、カウロバクター・クレセンタス、ラクトコッカス・ラクティス、メチロバクテリウム・キストロクエンス、ナイセリア・メニンギルルス、ナイセリア・メニンギティディス、シュードモナス・フルオレッセンス、およびサルモネラ・ティフィムリウム由来のものが挙げられる。酵母株の非限定的な例としては、例えば、ピキア・パストリス、ピキア・メタノリカ、ピキア・アングスタ、シゾサッカロミセス・ポンベ、サッカロマイセス・セレビシエ、およびヤロウィア・リポリティカ由来のものが挙げられる。植物細胞および植物由来の細胞株には、例えば、トウモロコシのような単子葉植物の種、ならびにシロイヌナズナ、コムギ、イボウキクサ、およびコウキクサのような双子葉植物の種からの細胞が含まれる。昆虫細胞および昆虫由来細胞株には、例えば、ヨトウガ、イラクサギンウワバ、キイロショウジョウバエ、およびタバコスズメガからの細胞が含まれる。昆虫細胞株の非限定的な例としては、High−5、Kc、シュナイダーのショウジョウバエ株2(S2)、SF9、およびSF21細胞株が挙げられる。哺乳動物細胞および哺乳動物細胞由来細胞株には、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ブタ、ウシ、ウマ、霊長類、およびヒトからの細胞が含まれる。哺乳動物細胞株の非限定的な例としては、1A3、3T3、6E6、10T1/2、APRT、BALB/3T3、BE(2)−C、BHK、BT、C6、C127、CHO、CHP3、COS−1、COS−7、CPAE、ESK−4、FB2、GH1、GH3、HeLa、HEK−293、HepG2、HL−60、IMR−32、L2、LLC−PK1、L−M、MCF−7、NB4、NBL−6、NCTC、Neuro2A、NIE−1 15、NG108−15、NIH3T3、PC12、PK15、SBAC、SH−SY5Y、SK−Hep、SK−N−DZ、SK−N−F1、SK−N−SH、ST、SW−13、およびVV−1細胞株が挙げられる。細胞株は、American Type Culture Collection、European Collection of Cell Culturesおよび/またはGerman Collection of Microorganisms and Cell Culturesから得てもよい。
組換えポリペプチドは、典型的には、宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質(ほとんどの場合、典型的には両方)を含む溶液中に含まれることとなる。自然界ではポリペプチドは水性環境において生じるため、溶液は、典型的には水溶液である。宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質は、遺伝子組換えによりポリペプチドを発現したトランスジェニック生物または細胞株由来の溶液中に存在する。ポリペプチドが細胞株によって発現された場合、溶液は、細胞株培養物からの培養培地を含んでいてもよい。組換えポリペプチドは、後に続く精製のための特定の媒体に移されていてもよい。
典型的には、工程(i)における該組換えポリペプチドを含む溶液中の宿主細胞DNAの量は、0.01μg/mlから100μg/mlの間であり、例えば、0.1μg/mlから50μg/mlの間である。同様に、工程(i)における宿主細胞タンパク質の量は、典型的には、5μg/mlから5mg/mlの間であり、例えば、50μg/mlから1000μg/mlの間である。上記で論じたように、該溶液が0.01から100μg/mlの間の宿主細胞DNA(前述のように、例えば、少なくとも100pg/ml)および5μg/mlから5mg/mlの間の宿主細胞タンパク質(前述のように、例えば、少なくとも100ng/ml)を有するように、これらの混入種の両方が存在することが一般的である。
アルキルグリコシドの添加前の精製工程
上記で論じたように、本方法において、さらなる精製工程を、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前または工程(iii)の後のいずれかにおいて含めてもよい。いずれのさらなる精製工程も、典型的には、クロマトグラフィーの工程である。クロマトグラフィーは、任意の好適なクロマトグラフィー、例えば、イムノアフィニティー、アフィニティ、疎水性相互作用、イオン交換、マルチモード、サイズ排除、または金属キレートクロマトグラフィーから選択してもよい。
例えば、イオン交換クロマトグラフィー工程を、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、溶液に対して実行してもよい。このアプローチの一例は、後述の本発明を実施するための形態において示す。発明者らは、例えばPoros(商標)XQクロマトグラフィーマトリックスを用いる、(後述のような)陰イオン交換クロマトグラフィーは、特に、この工程に好適であることを明らかにした。
本発明は、典型的には、イオン交換クロマトグラフィーとして陰イオン交換クロマトグラフィーを使用する。陰イオン交換クロマトグラフィーでは、負に荷電した分子が、正に荷電した固形支持体に引き寄せられる。正に荷電した固形支持体は、当業者に既知の任意の手段によって調製することができ、通常、正に荷電した機能的リガンドを固形支持体上へ共有結合させることが必要となる。好適な正に荷電した機能的リガンドは常に、溶液から分離したいポリペプチドによって決まる。好適な陰イオン交換樹脂の例には、機能的第四級アミン基(Q)および/もしくは第三級アミン基(DEAE)、またはジエチルアミノプロピル基(ANX)を含むものがある。市販の陰イオン交換クロマトグラフィーマトリックスとして、ThermoFisherからのDEAEセルロース、Poros(商標)PI20、PI50、HQ10、HQ20、HQ50、D50、XQ、GE HealthcareからのMonoQ(商標)、MiniQ(商標)、Source(商標)15Qおよび30Q、Q、DEAEならびにANX Sepharose Fast Flow(商標)、Q Sepharose high Performance(商標)、QAE SEPHADEX(商標)、ならびにFAST Q SEPHAROSE(商標)、J.T.BakerからのWP PEI(商標)、WP DEAM(商標)、WP QUAT(商標)、Biochrom Labs Inc.からのHydrocell(商標)DEAEおよびHydrocell(商標)QA、BioradからのUNOsphere(商標)Q、Macro−Prep(商標)DEAE、ならびにMacro−Prep(商標)High Q、Pall TechnologiesからのCeramic HyperD(商標)Q、ceramic HyperD(商標)DEAE、Q HyperZ(商標)、Trisacryl(商標)MおよびLS(商標)DEAE、Spherodex(商標)LS DEAE、QMA Spherosil(商標)LS、QMA Spherosil(商標)M、Dow Liquid SeparationsからのDOWEX(商標)Fine Mesh Strong Base Type IおよびType II Anion Matrix、ならびにDOWEX(商標)MONOSPHER E 77、弱塩基陰イオン、MilliporeからのMatrex Cellufme(商標)A200、A500、Q500、およびQ800、EMDからのFractogel(商標)EMD TMAE Fractogel(商標)EMD DEAE、およびFractogel(商標)EMD DMAE、Sigma−AldrichからのAmberlite(商標)弱および強陰イオン交換体タイプIおよびII、DOWEX(商標)弱および強陰イオン交換体タイプIおよびII、Diaion(商標)弱および強陰イオン交換体タイプIおよびII、Duolite(商標)、TosohからのTSK(商標)gel QならびにDEAE 5Pおよび5PW−HR、Toyopearl(商標)SuperQ−650S、650M、および650C、QAE−26−550Cおよび650S、DEAE−650Mおよび650C、ならびにWhatmanからのQA52(商標)、DE23(商標)、DE32(商標)、DE51(商標)、DE52(商標)、DE53(商標)Express−Ion(商標)D、およびExpress−Ion(商標)Qが挙げられるが、これらだけに限定されない。
必要に応じて、陰イオン交換クロマトグラフィーマトリックスの代わりに、陰イオン交換クロマトグラフィー膜を使用することができる。市販の陰イオン交換膜としては、SartoriusからのSartobind(商標)Q、Pall TechnologiesからのMustang(商標)Q、およびMilliporeからのIntercept(商標)Qメンブレンが挙げられるが、これらだけに限定されない。
陰イオン交換クロマトグラフィーに代わる手段として、幾つかの実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用することが可能な場合もある。陽イオン交換クロマトグラフィーでは、正に荷電した分子は負に荷電した固形支持体に引き寄せられる。例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、およびその他下記のような、陽イオン交換マトリックスを形成するのに好適な固相に結合された任意の負に荷電したリガンドを使用することができる。市販の陽イオン交換マトリックスとしては、例えば、スルホン酸塩をベースとする基(例えば、GE HealthcareからのMonoS(登録商標)、MiniS、Source(商標)15Sおよび30S、SP Sepharose(登録商標)Fast Flow(商標)、SP Sepharose(登録商標)High Performance、TosohからのToyopearl(登録商標)SP−650SおよびSP−650M、BioRadからのMacro−Prep(登録商標)High S、Pall TechnologiesからのCeramic HyperD(登録商標)S、Trisacryl(登録商標)MおよびLS SP、ならびにSpherodex(登録商標)LS SP);スルホエチルをベースとする基(例えば、EMD MilliporeからのFractogel(登録商標)SE、ThermoFisherからのPOROS(登録商標)(S−10およびS−20));スルホプロピルをベースとする基(例えば、TosohからのTSK Gel(登録商標)SP 5PWおよびSP−5PW−HR、ThermoFisherからのPOROS(登録商標)HS−20およびHS 50);スルホイソブチルをベースとする基(例えば、EMD MilliporeからのFractogel(登録商標)EMD SO3);スルホキシエチルをベースとする基(例えば、WhatmanからのSE52、SE53、およびExpress−Ion(商標)S)、カルボキシメチルをベースとする基(例えば、GE HealthcareからのCM Sepharose(登録商標)Fast Flow、Biochrom Labs Inc.からのHydrocell CM、BioRadからのMacro−Prep(登録商標)CM、Pall TechnologiesからのCeramic HyperD(登録商標)CM、Trisacryl M CM、Trisacryl LS CM、MilliporeからのMatrex Cellufine C500およびC200、WhatmanからのCM52、CM32、CM23、およびExpress−Ion(商標)C、TosohからのToyopearl(登録商標)CM−650S、CM−650M、およびCM−650C);スルホン酸およびカルボン酸をベースとする基(例えば、J.T.BakerからのBAKERBOND(登録商標)Carboxy−Sulfon);カルボン酸をベースとする基(例えば、J.T.BakerからのWP CBX、Dow Liquid SeparationsからのDOWEX(登録商標)MAC−3、Sigma−AldrichからのAmberlite(商標)Weak Cation Exchangers、DOWEX(登録商標)Weak Cation Exchanger、およびDiaion Weak Cation Exchangers、ならびにEMDからのFractogel(登録商標)EMD COO−);スルホン酸をベースとする基(例えば、Biochrom Labs Inc.からのHydrocell SP、Dow Liquid SeparationsからのDOWEX(登録商標)Fine Mesh Strong Acid Cation Matrix、J.T.BakerからのUNOsphere(登録商標)S、WP Sulfonic、SartoriusからのSartobind(登録商標)Sメンブレン、Sigma−AldrichからのAmberlite(商標)Strong Cation Exchangers、DOWEX(登録商標)Strong Cation、およびDiaion Strong Cation Exchanger);ならびにオルトリン酸をベースとする基(例えば、WhatmanからのPI 1)を有するものが挙げられるが、これらだけに限定されない。
必要に応じて、陽イオン交換マトリックスの代わりに、陽イオン交換膜、例えば、Sartobind(登録商標)S(Sartorius;Edgewood、NY)を使用することができる。
別法として、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程を、溶液に対して実行してもよい。
イムノアフィニティークロマトグラフィーは、抗原−抗体相互作用の高い特異性を利用して、ポリペプチドを分離し、精製する。本発明におけるイムノアフィニティークロマトグラフィー工程は、典型的には、固形支持体上に固定化された抗体または抗体断片を必要とし、そこに組換えポリペプチドを含む溶液を通過させ、固定化された抗体に特異的なポリペプチドを捕捉するものである。非特異的タンパク質およびペプチドは洗い流され、次いで抗原が溶出される。他の実施形態において、例えば、組換えポリペプチドそれ自体が抗体である場合、当該抗体の特異的抗原をカラムにカップリングさせることができ、抗体の溶液をカラムに通す。
抗体(またはその他の実施形態においては抗原)を、アミンまたはスルフヒドリル残基を介して活性化された固形支持体への抗体または抗原の化学的カップリングを含む数多くの技術によって、固形支持体へ固定化することができる。様々な異なるカップリング化学反応を使用した、様々な市販の商用活性化アガロースがある。別の技術では、抗体を捕捉し、固定化する、プロテインAまたはGなどの抗体結合タンパク質で被覆された固形支持体を使用する。次いで、抗体は、化学的クロスリンカーの助剤を用いて共有結合により樹脂に連結される。
本発明において、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程を使用して、宿主細胞タンパク質をさらに低減させることができる。この工程によって、多くの場合、ポリペプチドの良好な収率、例えば約60〜90%が維持される。該方法では、典型的には、イムノアフィニティークロマトグラフィーカラムを使用する。カラムへの投入量は、例えばUV吸収によって、溶液中の組換えポリペプチド濃度に基づき算出することができる。幾つかの実施形態において、溶液は、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程の前に、例えば、エデト酸二ナトリウム(EDTA)またはクエン酸ナトリウムを添加して調整される。
別法として、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、アフィニティクロマトグラフィー工程を、溶液に対して実行してもよい。
アフィニティクロマトグラフィーは、固定化されたリガンドとその結合相手との間の特異的結合相互作用に基づく分離方法である。例としては、抗体/抗原、酵素/基質、および酵素/阻害剤相互作用が挙げられる。精製の程度は、相互作用の特異性に応じて高くなり得、その結果、アフィニティクロマトグラフィーが精製ストラテジーにおける唯一の工程であり得ることもある。
アフィニティクロマトグラフィーは、大まかに2つのアプローチに分けることができる。第1のアプローチは、結合部位として、目的のポリペプチド上のアミノ酸の天然構造または配列を使用する。アフィニティクロマトグラフィー物質の例としては、プロテインAまたはタンパク質Gで誘導体化された物質が挙げられる。その他の選択肢には、ポリペプチドへ十分に強く結合できるようにさせ、アフィニティ樹脂において結合剤として作用し得る、特異的に開発された結合剤(ペプチド、修飾型ペプチド、核酸、合成化合物など)が含まれる。第2の方法は、目的のポリペプチド中へ操作された、通常「タグ」と呼ばれる特別なアミノ酸配列への結合を必要とするものである。多数の様々なタグが利用可能である。最も一般的に使用されるタンパク質タグのうちの2つは、IMAC樹脂に存在するようなある種の金属含有錯体に結合するポリヒスチジンタグ、およびGST媒体
にみられるグルタチオンに結合するグルタチオンs−トランスフェラーゼ(GST)配列である。
アフィニティクロマトグラフィー物質の具体的な例としては、Prosep−VA、Prosep−VA Ultra Plus(Merck)、Protein A sepharose fast flow、MAbSelect、MAbSelect SuRe、MAbSelect SuRe LX、VIII Select、Capto Blue、Capto Heparin(GE Healthcare)、Toyopearl Protein A(Tosoh)、CaptureSelect Human Albumin、またはその他の CaptureSelect樹脂(ThermoFisher Scientific)、Mimetic Blue SA、およびAlbupure(Prometic)が挙げられる。さらに、ThermoFisher、Merck、またはAvitideなどの会社による特注のアフィニティ樹脂を使用することができる。アフィニティクロマトグラフィー物質は、アフィニティクロマトグラフィーカラムの形態で用いてもよい。他の実施形態において、アフィニティクロマトグラフィー物質は、アフィニティクロマトグラフィー膜の形態で使用される。
アルキルグリコシド
「アルキルグリコシド」という用語は、当技術分野において既知であるように、本明細書において、何らかの疎水性アルキルへの結合によって連結されている任意の糖を概して指すために使用される。疎水性アルキル鎖と親水性サッカライドとの間の連結には、中でも特に、グリコシド、エステル、チオグリコシド、チオエステル、エーテル、アミド、もしくはウレイド結合または連結を挙げることができる。本発明における糖の典型的な選択肢としては、グルコース(グルコピラノシドとして)およびマルトースが挙げられる。疎水性アルキルの典型的な選択肢としては、n−オクチル、n−デシル、およびn−ドテシル基が挙げられる。連結は、具体的には、グリコシド連結であり、特に、ベータグリコシド連結(例えば、ベータ−Dグリコシド連結)であり得る。発明者らは、具体的には、糖はグルコースであり、疎水性アルキルはn−オクチル基であり、連結はベータ−Dグリコシド結合であるアルキルグリコシドを使用した。発明者らが使用したその他の個々の組合せとしては、:グルコース、n−デシル基、およびベータ−Dグリコシド結合;マルトース、n−オクチル基、およびベータ−Dグリコシド結合;マルトース、n−ドテシル基、およびベータ−Dグリコシド結合;グルコース、n−ドテシル基、およびベータ−Dグリコシド結合;ならびにマルトース、n−デシル基、およびベータ−Dグリコシド結合が含まれる。
本発明において使用することができるアルキルグリコシドの一般構造は、R−O−(CH−R[式中、Rは、例えば、CH、シクロへキシル(C11)、または別のアルキル鎖、およびそれらの異性体であってもよく、xは、典型的には5から13の間、特に7から11の間であり、Rは、糖、典型的にはグルコースまたはマルトースである]である。好ましくは、本発明において使用されるアルキルグリコシドは、n−オクチル−β−D−グルコピラノシドである(すなわち、Rはグルコース、RはCHであり、xは7である)。n−オクチル−β−D−グルコピラノシドは好都合な物理化学的および毒性学的特性を有する穏やかな界面活性剤であるため、発明者らは、これを好ましい選択肢であると考えている。発明者らが使用したその他のアルキルグリコシドには、n−デシル−ベータ−D−グルコピラノシド(すなわち、Rはグルコースであり、RはCHであり、xは9である)、n−オクチル−ベータ−D−マルトシド(すなわち、Rはマルトースであり、RはCHであり、xは7である)、n−ドテシル−ベータ−D−マルトシド(すなわち、Rはマルトースであり、RはCHであり、xは11である)、n−ドテシル−ベータ−D−グルコピラノシド(すなわち、Rはグルコースであり、RはCHであり、xは11である)、およびn−デシル−ベータ−D−マルトシド(すなわち、Rはマルトースであり、RはCHであり、xは9である)が含まれる。
例示的な代替アルキルグリコシドとしては、Rがグルコースであり、RがCHであり、xが:5(n−ヘキシル−β−D−グルコピラノシド);6(n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド);または8(n−ノニル−β−D−グルコピラノシド)であるものが挙げられる。グルコピラノシドは、グルコシドと呼ばれることもある。
例示的なアルキルグリコシドとして、Rがマルトースであり、RがCHであり、xが:5(n−ヘキシル−β−D−マルトシド);8(n−ノニル−β−D−マルトシド);10(n−ウンデシル−β−D−マルトシド);12(n−トリデシル−β−D−マルトシド);13(n−テトラデシル−β−D−マルトシド)、または15(n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド)であるものがさらに挙げられる。マルトシドは、マルトピラノシドと呼ばれることもある。
例示的なアルキルグリコシドとして、Rがグルコースであり、xが3であり、Rがシクロへキシル(3−シクロへキシル−l−プロピル−β−D−グルコシド)であるもの、およびRがマルトースであり、xが4であり、Rがシクロへキシル(4−シクロへキシル−l−ブチル−β−D−マルトシド)であるものがさらに挙げられる。
当業者であれば、これらのようなアルキルグリコシドの化学的合成によって、化合物は、完全に均質に調製されるのではなく、不均質な混合物として得られる可能性があることを理解するであろう。したがって、使用されている特定のアルキルグリコシドへの本明細書での言及は、少なくとも不均質な混合物の成分の大半は当該アルキルグリコシドであることを意味している。
組換えポリペプチドを含む溶液へのアルキルグリコシドの添加
組換えポリペプチドを含む溶液は、上記のようなアルキルグリコシドで処理される。特定の実施形態において、アルキルグリコシドは、n−オクチル−β−D−グルコピラノシドである。この処理は、該溶液を、所期の最終濃度の例えば10倍のアルキルグリコシドの保存液と混合することによって簡便になし得る。溶媒/界面活性剤、例えばTNBP/PS80による処理とは異なり、アルキルグリコシドは、水溶液で用意することができ、追加の溶媒、特にTNBPのような有機溶媒は必要としない。アルキルグリコシドがn−オクチル−β−D−グルコピラノシドである場合、200から1000mMの間の濃度を有する保存液を使用するのが便利である。組換えポリペプチドを含む溶液がクロマトグラフィー工程からの溶出物であれば、必要に応じて、次いで、アルキルグリコシドの添加に先立ち、該溶液をさらに溶出緩衝液で希釈してもよい。
アルキルグリコシドの最終濃度は、典型的には、0.1から1000mMの間(例えば、1から500mM、3から400mM、5から200mM、10から100mM、20から90mMの間)である。n−オクチル−β−D−グルコピラノシドの場合、最終濃度は、通常、約25〜80mMである。当業者であれば、その他のアルキルグリコシドの好適な濃度を特定することができるはずである。最適濃度は、そのような濃度の範囲を試験することによって特定してもよい。発明者らは、特にウイルス不活化のためには、アルキルグリコシドの臨界ミセル濃度(CMC)を超える濃度が有効であることを明らかにした。典型的には、該濃度は、このCMCの1.5、2、3、または4倍となる。
アルキルグリコシドの添加後、混合物を、好ましくはホモジナイズして、確実に十分に混合する。このホモジナイゼーションは、典型的には、2から10分間行う。
混合物は、典型的には、濾過されるが(例えば、0.45/0.2μmフィルター孔径を使用して)、これは、アルキルグリコシド処理からウイルスを保護する可能性のある粒子を確実に除去するため、好都合である。発明者らは、この工程によって、ポリペプチドの良好な収率、例えば、約90〜100%が維持されることを明らかにした。
前述のように、混合物をインキュベートしてウイルスを不活化させてもよい。インキュベーションは、任意の好適な長さの時間、典型的には、効果的なウイルス低減を達成するのにかかるような長さの時間で行ってもよい。達成されたウイルス減少率(log10)は、例えば少なくとも4であり得る。典型的な実施形態において、インキュベーションは、1分から24時間の間で、2分から12時間の間で、好ましくは、10分から5時間の間で行われ、通常、約30分以上である。インキュベーションは室温で好都合に行われるが、より低い温度でも、例えば、≦20℃、また4℃から10℃の間でも良好な結果を得ることができる。タンパク質が温度に影響を受けやすいのであれば、これらのより低い温度は特に好都合である。組換えポリペプチドを変性させる可能性がある温度で混合物をインキュベートしないように注意すべきである(活性を保持したい場合)。インキュベーションの間、さらに撹拌する必要はないが、必要に応じて、これを行ってもよい。
インキュベーション後、溶液は、場合により、さらなる使用までの保管のために、例えば−20℃未満に、またはより好ましくは−65℃未満で凍結することができる。理想的には、組換えポリペプチドを保存するために、冷凍はできるだけ急速に行い、冷凍期間はできるだけ短くする。
組換えタンパク質を精製する工程
上記で論じたように、工程(iii)における組換えポリペプチドの精製は、典型的には、溶液に対するクロマトグラフィーの工程を実行することによって行われる。クロマトグラフィーは、任意の好適なクロマトグラフィー、例えば、イムノアフィニティー、アフィニティ、疎水性相互作用、イオン交換、マルチモード、サイズ排除、または金属キレートクロマトグラフィーから選択してもよい。
クロマトグラフィーの工程は、特に、イムノアフィニティークロマトグラフィーまたはアフィニティクロマトグラフィーの工程であり得る。別法として、工程(iii)として実行することができるクロマトグラフィー工程は、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程またはイオン交換クロマトグラフィー工程である。さらに、さらなる精製工程を、工程(iii)の後、方法に含めてもよい。例えば、1つまたはそれ以上の疎水性相互作用クロマトグラフィー工程を、方法に含めてもよい。一実施形態において、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程は、例えば、工程(iii)がイムノアフィニティークロマトグラフィー工程である場合、工程(iii)の後に溶液に対して実行される。同様に、1つまたはそれ以上のイオン交換クロマトグラフィー工程を、方法に含めてもよい。典型的には、イオン交換クロマトグラフィー工程は、特に工程(iii)がイムノアフィニティーまたはアフィニティクロマトグラフィー工程である場合、工程(iii)の後に溶液に対して実行される。好ましい実施形態において、典型的には、(前述のように)イムノアフィニティークロマトグラフィー工程の後に、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程が続き、その次に、イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。
工程のその他の順序もまた可能である。例えば、第1の実施形態において、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、陽イオン交換クロマトグラフィー工程が溶液に対して実行され、次いで、工程(iii)はイムノアフィニティークロマトグラフィー工程であり、この工程の後に疎水性相互作用クロマトグラフィー工程が続き、その次に、陰イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。第2の実施形態において、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程が溶液に対して実行され、次いで、工程(iii)は陰イオン交換クロマトグラフィー工程であり、この工程の後に陽イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。3番の実施形態において、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程が溶液に対して実行され、次いで、工程(iii)は疎水性相互作用クロマトグラフィー工程であり、この工程の後に陰イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。第4の実施形態において、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、陽イオン交換クロマトグラフィー工程が溶液に対して実行され、次いで、工程(iii)は疎水性相互作用クロマトグラフィー工程であり、この工程の後に陰イオン交換クロマトグラフィー工程が続く。その他の順序は、当業者には明らかであり、目的の組換えポリペプチドに応じて最適化することができる。イオン交換クロマトグラフィーの方法は上述している。本発明は、典型的には、陰イオン交換クロマトグラフィーを使用するが(例えば、工程(iii)のために、および/または工程(iii)の後にイオン交換クロマトグラフィーが用いられる場合)、幾つかの実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーが好適であることもある。陰イオン交換クロマトグラフィーを使用する一例は、下記の本発明を実施するための形態において示す。発明者らは、工程(iii)の後の陰イオン交換クロマトグラフィーは、特に有効であることを明らかにした。
イムノアフィニティークロマトグラフィーおよびアフィニティクロマトグラフィーの方法は、同様に上述している。マルチモード、サイズ、金属キレート、および疎水性相互作用クロマトグラフィーは、後述する。
工程iii)は、場合により、例えば、組換えポリペプチドを精製する工程の前に、該組換えポリペプチドを含む溶液を改変することを含んでいてもよい。改変は、溶液導電率を改変すること、および/または1つもしくはそれ以上の添加剤を含むことを必要とすることもある。添加剤は、例えばキレート剤、例えばDTAであってもよい。改変は、溶液の希釈またはその他の調整を必要とすることもある。
マルチモードクロマトグラフィー
マルチモードまたは混合モードクロマトグラフィーは、相互作用の複数のモード:イオン交換、ヒドロキシアパタイト、アフィニティ、サイズ排除、および疎水性相互作用が可能なリガンドで機能化されている媒体支持体に基づくものである。これらの分離方法を組み合わせる能力によって、ポリペプチド精製方法における選択性が高められる。特に、ヒドロキシアパタイト(静電的およびカルシウム配位化合物)に基づく、または疎水性イオン交換リガンドに基づく、様々なクロマトグラフィー要素を合わせもつ混合モード媒体が多数市販されている。
マルチモードクロマトグラフィー物質の具体的な例としては、Capto MMC Imp Res、Capto MMC ImpAct、およびCapto adhere(すべてGE Healthcareから);Toyopearl NH2−750F、Toyopearl MX−Trp−650M(Tosoh);Nuvia cPrime(BioRad)、ならびにHEA HyperCel、MEP HyperCel、PPA HyperCel、CMM HyperCel(Pall)が挙げられる。
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、ゲルに通す濾過によって、分子の大きさに基づきそれらを分離するものである。ゲルは、特定の粒径分布を含有する球状のビーズからなる。分離は、異なる大きさの分子がマトリックス内で選択されるかまたは細孔から排除されて起こる。低分子は細孔の中へ拡散し、カラムを通過するそれらの流れは大きさに基づき遅くなり、一方、大分子は、細孔に入り込むことなくカラムの空隙容量に溶出される。その結果、分子は、カラムを通過しながらそれらの大きさに基づいて分かれ、分子量が徐々に低くなる順で溶出される。
操作条件およびゲルの選択は、用途および所望の分離度によって決まる。SECによって行われる一般的な2種類の分離法は、分画および脱塩(または緩衝液交換)である。分画は、ゲルマトリックス内において異なる分子量の分子を分離することを必要とする。ゲルの分画範囲は、目的の分子を包含するように選択する。脱塩は、試料を脱塩するためにSECの使用を必要とする。目的の分子は空隙容量に溶出され、一方、より小さい分子はゲル細孔に保持される。所望の分離を得るためには、ゲルは、目的の分子より著しく小さい排除限界を有するべきである。
サイズ排除クロマトグラフィー物質の具体的な例としては、Bio−Gel Pポリアクリルアミド媒体が挙げられる。
金属キレートクロマトグラフィー
金属キレートクロマトグラフィーは、ヒスチジンタグ付きタンパク質の精製に有効であり、また、その他の露出したヒスチジン、システイン、およびトリプトファン残基を有するタンパク質を精製するためにも使用することができる。固定化アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)樹脂が、ポリペプチドを精製するために使用される。Cu+、Zn+、Ca+、Co2+、またはFe3+のような使用する金属イオンによって高い選択的親和性を達成することができる。標的ポリペプチドの樹脂への結合強度は、主として使用する金属イオンおよび緩衝液のpHによって影響を受ける。結合したタンパク質は、イミダゾールによる競合溶出、またはpHを下げることによって溶出することができる。
疎水性相互作用クロマトグラフィー
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、一般的に、タンパク質凝集物およびその他の方法関連不純物を除去するために実行される。該分離法を実行する場合、例えばバッチ精製技術またはカラムを使用して、試料混合物をHIC物質と接触させる。HIC精製に先立ち、例えば混合物をプレカラムに通すことによって、カオトロピック剤またはきわめて疎水性の物質を除去することが望ましい場合もある。
例えば、バッチ精製の関連において、HIC物質は、望ましい平衡化緩衝液中で調製されるか、または望ましい平衡化緩衝液に対して平衡化される。HIC物質のスラリーが得られる。組換えポリペプチドを含む溶液を該スラリーと接触させて、分離したいポリペプチドをHIC物質に吸着させる。例えばスラリーを沈殿させ、上清を取り除くことによって、HIC物質に結合しない不純物を含む溶液をスラリーから分離する。スラリーは、1つまたはそれ以上の洗浄ステップにかけることができる。必要に応じて、スラリーをより低い導電率の溶液と接触させて、HIC物質に結合したポリペプチドを脱着させることができる。結合したポリペプチドを溶出するために、塩濃度を低下することができる。
イオン交換クロマトグラフィーがポリペプチドの電荷に頼ってポリペプチドを分離するのに対し、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、ポリペプチドの疎水性特性を利用する。ポリペプチド上の疎水基が、カラム上の疎水基と相互作用する。疎水性が大きいポリペプチドほど、カラムと強く相互作用することになる。このように、HIC工程によって、例えば宿主細胞由来不純物、および場合により生成物関連不純物が除去される。
HICカラムへのポリペプチドの吸着は、高い塩濃度によって容易となるが、実際の濃度は、ポリペプチドおよび選択された特定のHICリガンドの性質に応じて広範囲にわたり様々であり得る。HICカラムは、通常、疎水性リガンド(例えば、アルキルまたはアリール基)が結合されているベースマトリックス(例えば、架橋アガロースまたは合成共重合体物質)を含む。好適なHICカラムは、フェニル基で置換されたアガロース樹脂(例えば、Phenyl Sepharose(商標)カラム)を含む。多くのHICカラムが市販されている。例としては、低または高置換のPhenyl Sepharose(商標)6 Fast Flowカラム(GE Healthcare Life Sciences);Phenyl Sepharose(商標)High Performanceカラム(GE Healthcare Life Sciences);Octyl Sepharose(商標)High PerformanceカラムまたはButyl Sepharose Fast FlowもしくはHigh Performance column(GE Healthcare Life Sciences);Fractogel(商標)EMD PropylまたはFractogel(商標)EMD Phenylカラム(E.Merck、Germany);Macro−Prep(商標)MethylまたはMacro−Prep(商標)t−Butyl Supports(Bio−Rad、California);WP Hl−Propyl(C3)(商標)カラム(J.T.Baker、New Jersey);およびToyopearl(商標)エーテル、フェニル、またはブチルカラム(TosoHaas、PA)が挙げられるが、これらだけに限定されない。
HICを使用する一例は、下後述の本発明を実施するための形態において示す。発明者らは、工程(iii)の後の、例えばButyl Sepharose(商標)High Performanceカラム(GE Healthcare Life Sciences)を用いたHICクロマトグラフィーは、特に有効であることを明らかにした。
組換えポリペプチドを含む溶液のさらなる処理
溶液を、工程(iii)の後のさらなる処理および上述のような任意の追加の精製工程にかけてもよい。
例えば、ウイルス濾過の工程を実行してもよい。本発明のある態様において、前工程からの組換えポリペプチドを含む溶液は、無傷のウイルスを含むウイルス粒子が存在する場合、その除去のための濾過にかけられる。好適なフィルターの非限定的な例としては、Pall CorporationからのUltipor DV50(商標)フィルター、またはAsahi Kasei Medical Co.,LtdからのPlanova 20Nフィルターがある。その他のウイルス用フィルターが、この濾過工程において用いることができ、当業者には公知である。ある実施形態において、濾過処理の後、フィルターハウジングに保持された組換えポリペプチドを除去するために、例えば前工程で使用した溶出緩衝液を用いてフィルターを洗浄する。
限外濾過および/またはダイアフィルトレーションのうちの1つまたはそれ以上の工程もまた、組換えポリペプチドを精製するのに使用してもよい。これらの工程によって、組換えポリペプチドを濃縮し、かつ/またはその緩衝液を交換することができる。典型的には、1つまたはそれ以上の限外濾過および/またはダイアフィルトレーション工程は、上記のウイルス濾過工程の後に実行される。
限外濾過は、参考文献8および9に詳述されている。1つの濾過方法は、参考文献10に記載されているようなタンジェンシャルフロー濾過である。限外濾過は、一般的に、0.1μm未満の孔径を有するフィルターを使用する濾過を意味すると考えられている。そのような小さい孔径を有するフィルターを使用することによって、フィルターを通過する試料緩衝液が浸透することよって試料の体積は減少するが、組換えポリペプチドはフィルターに保持される。
ダイアフィルトレーションは、塩、糖、および非水溶媒を除去し、交換するために、結合種から遊離物を分離するために、低分子量物質を除去するために、かつ/またはイオンおよび/もしくはpH環境の急速な変化を引き起こすために、限外濾過膜を使用する方法である。微小溶質(Microsolute)は、限外濾過されている溶液に、限外濾過速度とほぼ等しい速度で溶媒を加えることによって、最も効率的に除去される。これによって、一定の体積で溶液から微細種を洗い流し、保持されたポリペプチドを効果的に精製する。本発明のある実施形態において、ダイアフィルトレーション工程は、組換えポリペプチドから不純物を除去するためだけでなく、場合により、さらなる精製工程の前に、本発明の方法に関連して使用される様々な緩衝液を交換するために用いられる。
医薬組成物および方法
本発明の医薬組成物は、精製された本発明の組換えポリペプチドを、当技術分野において一般的に使用される任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤(これらすべては本明細書において「担体」と呼ぶ)、すなわち、緩衝剤、安定化剤、防腐剤、等張化剤、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤、およびその他の多種多様な添加剤と混合することによって、凍結乾燥した調合物または水溶液として保管用に調製することができる(参考文献11を参照されたい)。そのような添加剤は、用いる用量および濃度でにおいて、レシピエントに対して非毒性でなければならない。
本発明の医薬組成物はまた、本発明の精製された組換えポリペプチドに加えて、第2の治療薬も含有することができる。
該組成物は、様々な剤形で調製してもよい。例えば、該組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製してもよい。注射に先立ち液体ビヒクルに溶解または懸濁するのに適した固形剤を調製することもできる。該組成物は、例えば軟膏、クリーム、または散剤として、局所投与用に調製してもよい。該組成物は、例えば錠剤もしくはカプセル剤として、またはシロップ剤として(場合により味を付けて)、経口投与用に調製してもよい。該組成物は、例えば、細粉または噴霧剤を使用して吸入剤として、経肺投与用に調製してもよい。該組成物は、座薬またはペッサリーとして調製してもよい。該組成物は、例えば点滴剤として、噴霧剤として、または散剤として、経鼻、経耳、または目への投与用に調製してもよい[例えば、12]。
医薬組成物は、典型的には、無菌である。好ましくは、パイロジェンフリーである。
多くの実施形態において、該組成物は、例えばpH6からpH8の間、一般的には約pH7で緩衝化される。該組成物は、水性であってもよく、または凍結乾燥されていてもよい。
本発明はまた、本発明の医薬組成物を含有する送達機器を提供する。該機器は、例えば、シリンジまたは吸入器であってもよい。
調剤化してしまえば、本発明の組成物は、対象に直接投与することができる。処置されるべき対象は、動物であり得、特に、ヒト対象を処置することができる。
概括
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」および「なる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、排他的にXからなっていてもよく、または例えばX+Yのように、さらに何かを含んでいてもよい。
数値xに関して「約」という用語は、例えばx±10%を意味する。
「実質的に」という単語は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、完全にYを含まない場合もある。必要ならば、「実質的に」という単語は、本発明の定義から省いてもよい。
本発明が複数の連続する工程を含む方法を提供する場合、工程は、示した順、すなわち、番号順またはアルファベット順で行われる。ただし、当業者であれば、工程の順序は変更できる一方で、なお有効な結果が得られることを理解するであろう。本発明はまた、総数がより少ない工程を含む方法も提供し得る。例えば、組換えタンパク質を含む溶液が、該溶液に対してイオン交換クロマトグラフィーの工程を実行することによって既に精製されていれば、この工程は、本発明の方法から省くことができる。同様に、組換えポリペプチドを含む溶液へアルキルグリコシドを添加する工程を行って工程(iii)用に準備された物質を得ることができるが、工程(iii)を実行する必要はない。前処置された物質は、次の精製のための中間生成物として有用であり、後の使用のために、例えば、一般にイムノアフィニティークロマトグラフィーまたはクロマトグラフィーのために使用し、保管し、運び出すことなどができるため、本発明の範囲内となるために工程(iii)を実行する必要があるわけではない。これらの様々な工程は、様々な場所で(例えば様々な国で)、様々な人によって、様々な回数で実行することができる。
OG/TNBPによるMuLV不活化およびOGのみによるMuLV不活化を示す図である:白三角は、撹拌下で21℃での200mM OG+0.3%TNBPを含む4.4mg/ml D’D3−FPにおけるMuLV不活化を示し、白四角は、撹拌なしで6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるMuLV不活化を示す。 OG/TNBPによるBVDV不活化およびOGのみによるBVDV不活化を示す図である:白三角は、撹拌下で21℃での200mM OG+0.3%TNBPを含む4.4mg/ml D’D3−FPにおけるBVDV不活化を示し、白四角は、撹拌なしで6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるBVDV不活化を示す。 OG/TNBPによるPRV不活化およびOGのみによるPRV不活化を示す図である:白三角は、撹拌して21℃での200mM OG+0.3%TNBPを含む4.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白四角は、撹拌なしで6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 撹拌してまたは撹拌なしのいずれかでの6℃でのOGによるPRV不活化を示す図である:白三角は、撹拌下で6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白四角は、撹拌なしで6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白菱形は、撹拌なしで6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 撹拌して5〜6℃での様々な濃度のOGによるPRV不活化を示す図である:白四角は、撹拌下で5〜6℃での15mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白菱形は、撹拌下で5〜6℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白三角は、撹拌下で5〜6℃での30mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 18〜19℃での様々な濃度のOGによるPRV不活化を示す図である:白三角は、撹拌下で21.5℃での10mM OGを含む4.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白四角は、撹拌下で18℃での20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白菱形は、撹拌下で18℃での30mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白丸は、撹拌下で18℃での40mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒菱形は、撹拌下で19℃での60mM OGを含む13.5mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒三角は、撹拌下、18℃での、7日間暗所で保管した20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒四角は、撹拌下、18℃での、7日間明所で保管した20mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒丸は、撹拌下、18℃での、7日間暗所で保管した10mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 18または5〜6℃での同じmM濃度のOGによるPRV不活化を示す図である:白三角は、撹拌下で18℃での30mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白四角は、撹拌下で5〜6℃での30mM OGを含む8.4mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 様々なアルキルグリコシドのPRV不活化能を示す図である:白四角は、60mM OGの11.9mg/ml D’D3−FP中でのPRV不活化を示し、白三角は、60mM n−デシル−β−D−グルコピラノシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白菱形は、60mM n−オクチル−β−D−マルトシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒四角は、60mM n−ドテシル−β−D−マルトシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒三角は、60mM n−ドテシル−β−D−グルコピラノシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、黒菱形は、60mM n−デシル−β−D−マルトシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 より低い濃度(それらのCMC値の約2倍)のn−デシル−β−D−グルコピラノシド、n−デシル−β−D−マルトシド、およびn−オクチル−β−D−マルトシドのPRV不活化能を示す図である:白三角は、5mM n−デシル−β−D−グルコピラノシの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白四角は、40mM n−オクチル−β−D−マルトシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示し、白菱形は、5mM n−デシル−β−D−マルトシドの11.9mg/ml D’D3−FPにおけるPRV不活化を示す。 a)n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OG)、n−デシル−β−D−グルコピラノシド(DG)、ポリソルベート80、およびリン酸トリ−n−ブチル(PS80/TNBP)、または緩衝液対照による処理後、イムノアフィニティークロマトグラフィーによって得られた、アルブミン融合タンパク質(rD’D3−FP)の試料中の残留宿主細胞タンパク質濃度を比較する図;ならびにb)PS80/TNBP(白のバー)または緩衝液対照(斜線のバー)処理と比較した、OGまたはDGを工程ii)で使用した場合の宿主細胞タンパク質排除の相対的な改善(HCP排除の改善倍率)を示す図である。 a)n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OG)、ポリソルベート80、およびリン酸トリ−n−ブチル(PS80/TNBP)、または緩衝液対照による処理後、イムノアフィニティークロマトグラフィーによって得られた、アルブミン融合タンパク質(rD’D3−FP)の試料における残留宿主細胞DNA濃度を比較する図;ならびにb)PS80/TNBP(透明なバー)または緩衝液対照(縞のバー)処理と比較した、OGを使用した場合の宿主細胞DNA排除の相対的な改善(宿主細胞DNA排除の改善倍率)を示す図である。 OGと比較した、SD処理によるVSV不活化を示す図である:黒三角は、24.5℃での10.4mg/ml D’D3−FPにおける40mM OGによるVSV不活化を示し、白四角は、26.5℃での10.4mg/ml D’D3−FPにおける1%PS80+0.3%TNBPによるVSV不活化を示す。 OGと比較した、SD処理によるワクシニアウイルス不活化を示す図である:黒三角は、24.5℃での10.4mg/ml D’D3−FPにおける40mM OGによるワクシニアウイルス不活化を示し、白四角は、26.5℃での10.4mg/ml D’D3−FPにおける1%PS80+0.3%TNBPによるワクシニアウイルス不活化を示す。
n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシドと、溶媒/界面活性剤混合物、および対照としての緩衝液との比較
概要
組換えD’D3−FP(参考文献7)の、ポリソルベート80とリン酸トリ−n−ブチル(PS80/TNBP)との典型的な溶媒/界面活性剤混合物による処理を、アルキルグリコシド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(OG)による処理と比較した。初期実験で、rD’D3−FPは、アルキルグリコシドによる処理に対して依然として安定していることが示された。さらに重要なことには、リン酸トリ−n−ブチル(TNBP)の非存在下でも、アルキルグリコシドによって、3つのモデルウイルスの迅速な不活化が観察された。ウイルス不活化は、撹拌してまたはせずに、5℃という低い温度で、1時間以内に完了した。この効率的な手順では、効率的なウイルス不活化をもたらす予想外に広範囲のプロセスパラメーターを用いることができた(OGのために試験した範囲は、4〜25℃、30分以内(典型的には、120分間追跡した)、20mM以上の濃度であった)。予想外に、その次のクロマトグラフィー精製工程の供給流中にアルキルグリコシドが存在することによって、溶出段階において、PS80/TNBPまたは対照緩衝液の使用と比較して有意に低い宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質レベルが得られた。
方法および結果
rD’D3−FPは、組換えDNA技術によって生成したフォン・ウィルブランド因子(vWF)タンパク質のFVIII結合部位を含有する。rD’D3−FP cDNA配列を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞へトランスフェクトし、ポリペプチドを発現させ、記載した調査を行った。様々な代表的なウイルスモデルを用いてアルキルグリコシド工程のウイルス不活化能を評価する実験室での研究を行った。関連のウイルスとしてのレトロウイルスMuLV(マウス白血病ウイルス)の使用は、CHO細胞が内在性レトロウイルス様粒子を含有することが知られているため、特にCHO細胞由来生成物に関連したものである。一般的にS/D処理に対してより安定なフラビウイルスBVDV(ウシウイルス性下痢症ウイルス)およびヘルペスウイルスPRV(仮性狂犬病ウイルス)を、アルキルグリコシド処理の広範なウイルス不活化能を実証するウイルス評価研究において使用した。
検討したすべての試料のウイルス力価は、試料を生成した後、直ちに終末点希釈法を用いて測定し、参考文献13に示されているようなスピアマン−ケルバー法によって算出した。
これらのOG研究では、ウイルス不活化に関する曝露条件を試験するために、2つのプロセス制御パラメーター:1)20mMのOG界面活性剤濃度;および2)6℃±1℃の温度を選択した。rD’D3−FP中間産物の試料(約14mg/mlのタンパク質濃度)を適切に希釈し、または未希釈で使用し、検討するウイルスを注入して、所望の界面活性剤濃度を得た。
界面活性剤の添加前(無処理)、および界面活性剤の添加後の様々な時点で、試料を採取した。試料は、反応を止め、ウイルス測定で試料を非毒性するために細胞培養培地で1:100に希釈することによって、直ちに測定した。
以下の減少率が得られた(すべてのウイルスについて、本試験システムによってのみ、特に検出限界および使用したウイルス注入量によってのみ限定されたものである):
Figure 2021506875
図1〜3(それぞれ、表2〜4)におけるウイルス保持対照の結果は、インキュベーション期間を通して、ウイルス安定性試料で有意な減少がなかったことを示しており、これは、示された減少は、アルキルグリコシド界面活性剤処理の作用によることを裏づけるものである。さらに、これらの図から、ウイルス不活化が非常に迅速であったことが実証され、すべての場合において、4logを超えたウイルス不活化が観察された。20mMのOG界面活性剤濃度によって、MuLVおよびBVDVは、6℃±1℃の温度で、最初の調査時点である15分までに完全に不活化されたのに対し、PRVの完全な不活化には、60分かかった。
Figure 2021506875
Figure 2021506875
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より耐性のあるエンベロープウイルスであるPRVを用いたさらなるロバスト性研究で、以下のパラメーターが検討された:
・タンパク質濃度の変化は、PRV不活化に影響しなかった(図3、表4)。
・6℃での20mM OGインキュベーション中の撹拌によって、PRV不活化は若干速まった(図4、表5)。それにもかかわらず、PRVは、OGインキュベーション中、全く撹拌しない20mM OG処理によって、完全に確実に不活化された。
・6℃でOG濃度を15mM(CMC以下)まで下げることによって、有意なPRV不活化は得られなかった(図5、表6)。
・同様の観察を、21℃で10mM OGで行った(図6、表7)。OG濃度を30mM以上に上げることによって、PRV不活化は速まった。さらに、OG保存液を7日間(暗所で)保管することによる不活化能への影響はなかった。
・30mM OGでは、インキュベーション温度を6℃から18℃に上げた場合、PRV不活化は速まらなかった(図7、表8)。この他の数種の60mMのアルキルグリコシドによって、PRVはきわめて速く完全に不活化された(図8、表9)。特に、低量のアルキルグリコシド(CMCの約2倍)によって、PRVはきわめて速く完全に不活化された(図9、表10a)。
Figure 2021506875
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評価したすべてのロバスト性条件下で、ウイルス不活化の速度論は、標準条件と同様であった。全体として、OG処理工程は、効果的でロバストなものであることと、特に関連のレトロウイルスMuLVを含むエンベロープウイルスを不活化する高い能力を有することとが明らかにされた。またその他のアルキルグリコシドについても、関連のウイルスを効果的に不活化するそれらの能力を明らかにすることができた。
さらに、SD不活化に対して最も耐性のあるエンベロープウイルスであるワクシニアウイルス(VACV)[14]、および水疱性口内炎ウイルス(VSV)を用いたロバスト性研究を行った。VSVについて図12(表10b)に示した結果およびVACVについて図13(表10c)に示した結果は、OGによるウイルス不活化が、SD(1%PS80+0.3%TNBP)と比較してはるかに速いことを実証した。4時間の期間を通して、特にOGだけがきわめて速くVACVを完全に不活化し、SDは効果的にVACVを不活化することができなかった(図13)。
Figure 2021506875
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結論
観察された迅速な不活化速度論から、OGおよびその他のアルキル−グリコシドが、効果的に確実にエンベロープウイルスを不活化することが示された。
イムノアフィニティークロマトグラフィー(IAC)実験
rD’D3−FPは、IAC樹脂にかける前に、OGまたはPS80/TNBPで処理した。この目的のために、rD’D3−FP試料を、OG保存液(600mM)で希釈して、60mM OGを含むウイルス不活化溶液を作出した。対照実験では、PS80/TNBP保存液(3%PS80/0.9%TNBP)を添加して、1%PS80、0.3%TNBPの最終濃度とした。次いで、溶液を濾過し、室温で2時間インキュベートした。その後、表11に従ってIAC実験を行った。クロマトグラフィーについては、イムノアフィニティー樹脂CaptureSelectヒトアルブミン(ThermoFisher)を使用した。使用したクロマトグラフィー装置は、AKTA Avantシステム(GE Healthcare)であった。
Figure 2021506875
PS80/TNBP処理によって、前溶出(工程5)画分中で60%のrD’D3−FPが有意に損失し、溶出画分中に40%のrD’D3−FPしか認められなかった。対照的に、OG処理では、はるかに高い収率が得られ、rD’D3−FPの83%が溶出画分に存在した。溶出画分における宿主細胞DNA排除(180pg/mL)は、OGによる精製工程を経ることにより1700倍となった。より高い濃度の宿主細胞DNAを含む様々な供給原料のrD’D3−FPロットをOGと共にインキュベートしたこの他の実施例において、イムノアフィニティークロマトグラフィー工程の溶出物中の宿主細胞DNA含量は、同等であり、約25,000の精製倍率となった。PS80/TNBP処理と比較して、OG処理では、7.4倍優れた宿主細胞DNA排除が得られた。OG処理された試料について、この工程を経ることによる、正規化した宿主細胞タンパク質排除は1270倍であり、溶出物において117ppmとなった(PS80/TNBP処理と比較して1.9倍良い)。界面活性剤または溶媒/界面活性剤処理後、溶出画分間での同じrD’D3−FP濃度でのより良好な比較可能性を実現するために、実験の第2の設定では、供給物質をPS80/TNBP処理した場合において、rD’D3−FPを2画分へ分割されることを避けるために、工程5(表11)をプロトコールから省略した。
イムノアフィニティークロマトグラフィー(IAC)実験(前溶出工程5を含まない)
rD’D3−FPを、60mM OGもしくは表12に明記したようなその他のアルキルグリコシド、1%PS 80、0.3%TNBP、または緩衝液対照(500mM NaCl、20mM Tris pH7.4)で処理した。次いで、溶液を濾過し、室温で2時間インキュベートした。
Figure 2021506875
インキュベーションの2時間後、ウイルスが不活化された試料を、CaptureSelectヒトアルブミン(ThermoFisher)樹脂を充填したクロマトグラフィーカラムにかけた。使用したクロマトグラフィー装置は、AKTA Avantシステム(GE Healthcare)であった。クロマトグラフィープロトコールは、表11に記載しており、工程5は、実験のこの設定では、PS80/TNBP処理画分における収率損失を回避するために省略した。
すべての処理選択肢で、宿主細胞DNA(HC DNA)およびタンパク質(HCP)を分析した溶出画分において、rD’D3−FPの同等の収率およびタンパク質濃度が得られた(表13、図10aおよび11a)。
Figure 2021506875
宿主細胞DNAについての結果は、60mM OGを使用した場合を除く試料はすべて、緩衝液対照と比較して同等かまたはわずかに悪いものであった。60mM OGの使用によって、緩衝液対照の126分の1およびPS80/TNBP対照の214分の1である著しく低い宿主細胞DNA含量の溶出試料が得られた(図11b)。この具体例では、宿主細胞DNAは、約2000分の1まで除去された(タンパク質含量に対して正規化したDNAレベル)。
同様に、緩衝液対照処理と比較して、OG処理では、宿主細胞タンパク質のレベルで3.5倍優れた低減がもたらされた。rD’D3−FP含量に対して正規化したところ、精製工程を経ることによりHCPは725分の1に低減していた。PS80/TNBPを使用した場合、OGと比較して、HCP排除は32%低下した(表13、図10b)。その他の試験したアルキルグリコシドの中では、60mMのDGおよびOMだけが、緩衝液対照と比較してHCP排除を改善した。OMでは効果は小さかったのに対し(1.7倍)、DGでは、14.6倍の改善がみられた。5mM DGでは、溶出物中のHCP含量が緩衝液対照と同等であったため、この効果は強く濃度依存性であった。
まとめると、次のクロマトグラフィー工程に先立ち、rD’D3−FPをOGとインキュベーションすることによって、緩衝液またはPS80/TNBP対照と比較して、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質に関して有意により純粋な溶出試料が得られる。OG処理はまた、PS80/TNBP処理では有意な損失をもたらした追加の洗浄工程の使用も可能にする(表1、工程5)。
様々なアルキルグリコシドのウイルス不活化能
概要
実施例1に記載した実験室研究と同様の研究をさらに行って、OGに加えて、アルキルグリコシドのウイルス不活化能を評価した。n−オクチル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−デシル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−オクチル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−グルコピラノシド、およびn−デシル−ベータ−D−マルトシドは、すべて、効果的であり(図8)、より低い濃度でも(それらのCMC値の約2倍、図9)効果的であることが認められた。
本発明は実施例によってのみ説明されているが、本発明の範囲および趣旨において変更を行うことができることが理解されるであろう。
OGを含有する洗浄工程の使用による、プロセス関連不純物の低減
概要
さらなる研究を行って、クロマトグラフィー装置において洗浄剤としてアルキルグリコシドを使用することを評価し、プロセス関連不純物、特にタンパク質不純物の排除への効果を検討した。本実施例では、バイオリアクタープロセスから回収したrD’D3−FPの細胞フリーの物質を、陰イオン交換カラム(Poros XQ、Thermo Scientific)にかけた。rD’D3−FPは、フォン・ウィルブランド因子(VWF)プロペプチドと一緒に発現される。このフォン・ウィルブランド因子(VWF)プロペプチドは、細胞中で切り離されるがrD’D3−FPと共に細胞上清へ分泌されるため、産物と同等のレベルで存在する。よって、このタンパク質不純物のレベルを低減することが重要である。クロマトグラフィープロトコールを改変し、OGを洗浄緩衝液のうちの1つに添加した。
方法および結果
陰イオン交換クロマトグラフィーの精製の詳細は、表14でみることができる。2つの実験を行った。選択1では、工程5(洗浄工程2)をOGなしで実行し、選択2では、60mM OGを洗浄緩衝液中に追加的に含めた。
Figure 2021506875
洗浄工程におけるOGの添加によって、主要なタンパク質不純物であるVWFプロペプチドの含量は有意に低減した(表15を参照されたい)。
Figure 2021506875
OGを添加しなかった場合、VWFプロペプチドは、rD’D3−FPから全く分離しなかった。60mM OGを洗浄工程2へ添加した場合、溶出物中のVWFプロペプチド濃度は、ほぼ150分の1に低減した。洗浄工程2におけるOGの存在は、これらの実験における唯一の変動要素であるため、タンパク質不純物排除の改善は、これに起因すると考えることができる。
参考文献
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[7] WO 2016/188907
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[14] Roberts (2000) Biologicals 28: 29-32.

Claims (31)

  1. 組換えポリペプチドを精製する方法であって、
    i)該組換えポリペプチドを含む溶液を用意する工程;
    ii)該溶液へアルキルグリコシドを添加する工程;および
    iii)該溶液に対してクロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程
    を含む前記方法。
  2. アルキルグリコシドは、追加的に、クロマトグラフィー工程の洗浄バッファーに含まれるか;別法として、アルキルグリコシドは、工程ii)において該溶液に添加されず、クロマトグラフィー工程の洗浄バッファーにだけ含まれる、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(iii)は、溶液中の宿主細胞DNAおよび/もしくは宿主細胞タンパク質からの組換えポリペプチドの分離、ならびに/または溶液中の他のタンパク質不純物からの組換えポリペプチドの分離をもたらす、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 工程(iii)は、溶液へアルキルグリコシドを添加しない同じ方法と比較して、溶液中の宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質からの組換えポリペプチドの分離を改善する、請求項3に記載の方法。
  5. クロマトグラフィーは、イムノアフィニティークロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、マルチモードクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、または金属キレートクロマトグラフィーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. クロマトグラフィーはイムノアフィニティークロマトグラフィーである、請求項5に記載の方法。
  7. イオン交換クロマトグラフィー工程は、溶液へアルキルグリコシドを添加する工程の前に、該溶液に対して実行される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 疎水性相互作用クロマトグラフィー工程は、工程(iii)の後に、溶液に対して実行される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. マルチモードクロマトグラフィー工程は、工程(iii)の後に、溶液に対して実行される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. イオン交換クロマトグラフィー工程は、疎水性相互作用またはマルチモードクロマトグラフィー工程の後に、溶液に対して実行される、請求項8または請求項9に記載の方法。
  11. 宿主細胞DNAおよび/または宿主細胞タンパク質から組換えポリペプチドを分離するためのものであり、
    a)該組換えポリペプチドを含む溶液を用意する工程;
    b)該溶液に対してイオン交換クロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程;
    c)該溶液へアルキルグリコシドを添加する工程;
    d)該該溶液に対してイムノアフィニティークロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程;
    e)該溶液に対して疎水性相互作用またはマルチモードクロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程;および
    f)該溶液に対してさらにイオン交換クロマトグラフィーの工程を実行することによって該組換えポリペプチドを精製する工程
    を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. イオン交換クロマトグラフィーは陰イオン交換クロマトグラフィーである、請求項5、7、10、または11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 5000pg/ml未満であるレベルの宿主細胞DNA混入を含む溶液を提供し;かつ/または、アルキルグリコシドを使用しないことを除いてもしくはTNBP/PS80のような従来のS/D処理を使用することを除いて前記方法に同一である参照方法と比較した場合、1.5分の1以下、好ましくは、2分の1以下、5分の1以下、10分の1以下、20分の1以下、50分の1以下、100分の1以下、150分の1以下、もしくは200分の1以下に低減したレベルの宿主細胞DNA混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 5000ng/ml未満である宿主細胞DNAの混入のレベルを含む溶液を提供し;かつ/または、アルキルグリコシドを使用しないことを除いてもしくはTNBP/PS80のような従来のS/D処理を使用することを除いて前記方法に同一である参照方法と比較した場合、1.5分の1以下、好ましくは、2分の1以下、2.5分の1以下、3分の1以下、もしくは3.5分の1以下に低減したレベルの宿主細胞タンパク質(HCP)混入を含む組換えポリペプチドの溶液を提供する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 工程ii)は、溶液をインキュベートすることをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 溶液中に存在し得る1つまたはそれ以上のウイルスを不活化する方法であって、該溶液へアルキルグリコシドを添加し、該溶液をインキュベートする工程を含む前記方法。
  17. 溶液は、i)組換えポリペプチドを含む溶液、またはii)血漿由来物質である、請求項16に記載の方法。
  18. インキュベーションは、20分から5時間の間で行われる、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. インキュベーションは、室温または4℃から10℃の間で行われる、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. インキュベーション前のアルキルグリコシドの最終濃度は、該アルキルグリコシドの臨界ミセル濃度(CMC)を超えている、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. インキュベーションは撹拌なしで行われる、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. ポリペプチドは、遺伝子組換えにより該ポリペプチドを産生する細胞株由来のものである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. ポリペプチドは、血液凝固タンパク質、アルブミン、免疫グロブリン、または融合タンパク質である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 工程(i)における溶液は、0.1μg/mlから50μg/mlの間の宿主細胞DNA、および/または50μg/mlから1000μg/mlの間の宿主細胞タンパク質を有する、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. アルキルグリコシドは、n−オクチル−β−D−グルコピラノシドであるか、またはn−デシル−ベータ−D−グルコピラノシド、n−オクチル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−マルトシド、n−ドテシル−ベータ−D−グルコピラノシド、およびn−デシル−ベータ−D−マルトシドからなる群から選択される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 溶液は、工程(iii)および任意の追加の精製工程の後にウイルスの濾過の工程によりさらに処理される、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 溶液は、工程(iii)および任意の追加の精製工程の後に限外濾過および/またはダイアフィルトレーションの1つまたはそれ以上の工程によりさらに処理される、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 精製された組換えポリペプチドは、医薬組成物を作製するために薬学的に許容される担体と混合される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. アルキルグリコシドは任意の有機溶媒なしに添加され、かつ/またはアルキルグリコシドは事前に有機溶媒と混合することなく添加される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 組換えポリペプチドおよびアルキルグリコシドを含む溶液であって、請求項1〜29のいずれか1項に記載の工程(ii)から得られる前記溶液。
  31. 精製された組換えポリペプチドを含む溶液であって、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法によって得られる前記溶液。
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