JP2021506828A - 骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤 - Google Patents

骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2021506828A
JP2021506828A JP2020532991A JP2020532991A JP2021506828A JP 2021506828 A JP2021506828 A JP 2021506828A JP 2020532991 A JP2020532991 A JP 2020532991A JP 2020532991 A JP2020532991 A JP 2020532991A JP 2021506828 A JP2021506828 A JP 2021506828A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasminogen
joint
mice
administered
osteoarthritis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020532991A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7214245B2 (ja
Inventor
ジナン リ
ジナン リ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Talengen International Ltd
Original Assignee
Talengen International Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Talengen International Ltd filed Critical Talengen International Ltd
Publication of JP2021506828A publication Critical patent/JP2021506828A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7214245B2 publication Critical patent/JP7214245B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/43Enzymes; Proenzymes; Derivatives thereof
    • A61K38/46Hydrolases (3)
    • A61K38/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • A61K38/482Serine endopeptidases (3.4.21)
    • A61K38/484Plasmin (3.4.21.7)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P19/00Drugs for skeletal disorders
    • A61P19/02Drugs for skeletal disorders for joint disorders, e.g. arthritis, arthrosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y304/00Hydrolases acting on peptide bonds, i.e. peptidases (3.4)
    • C12Y304/21Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12Y304/21007Plasmin (3.4.21.7), i.e. fibrinolysin

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Physical Education & Sports Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Rheumatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

本発明は、プラスミノーゲンを介して骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤に係る。具体的には、本発明は、有効量のプラスミノーゲンを骨関節炎被験者に投与して骨関節炎を治療することに係る。また、本発明はさらに、プラスミノーゲンを含む、骨関節炎を治療するための薬剤、製品およびキットに係る。

Description

本発明は、プラスミノーゲンを使用することで骨関節炎を予防または治療する方法および薬剤に係る。
骨関節炎は、骨性関節炎、退行性関節炎、退行性関節症、骨関節症とも呼ばれ、最も一般的な関節炎の形態であり、約2.37億(3.3%)の人口に影響を及ぼし、関節疼痛さらに身体障碍の主な原因の一つであり[1]、60歳以上の人の中で、男性の約10%、および女性の約18%が影響されている[2]。骨関節炎は、複数の要因による、関節軟骨の進行性の分解を特徴とする異質疾患であり、これらの要因には、創傷、異常な機械的負荷、不十分な栄養供給および遺伝的素因など、並びに代謝要因と膝蓋下脂肪パッドが含まれる。過去の研究では、軟骨下骨、関節軟骨の完全性、及び軟骨細胞の病理生理に対する異常な生体力学の影響に焦点を当てていた。最近の証拠は、骨関節炎の臨床症状が関節軟骨に影響するだけではなく、滑膜、骨、靭帯、支持筋および半月板を含む複数の関節組織の完全性にも影響することを示している[3]
骨関節炎の根本的な原因は、骨格に病変が起こったことではなく、現代の医学研究では、この疾患の根本的な原因は、軟骨などの「関節保護システム」による関節保護能力の喪失である。具体的には、さまざまな骨関節疾患の発生は、滑膜病変、軟骨の損傷または変性から始まることが多く、特定の抗炎症薬やホルモン剤の服用によって引き起こされる軟骨の損傷も、多くの骨関節疾患の主な原因の一つである。関節滑膜、軟骨の損傷、および関節の滑液の欠如により、関節の骨に必要な保護が欠けているため、人体が動くと、関節の骨は必要な「軟骨の保護」を欠いて直接に激しい剛摩擦を起こし、患者の関節疼痛、腫れ、変形、骨棘過形成などの多くの症状を引き起こす[4]。そのため、損傷した関節軟骨および滑膜を修復し、軟骨および滑膜の再生能力を促進し、関節滑液の生成を促進し、それによって関節器官の「軟骨保護層」を回復させることは、骨関節疾患の治療の鍵となる。本研究は、プラスミノーゲンが骨関節の構造的完全性を改善し、関節局所の骨芽細胞の活性を増強し、および/または破骨細胞の活性を低減し、軟骨再生と軟骨下骨の骨再建を促進し、疼痛などを効果的に緩和できることを証明し、骨関節炎を含む関節損傷疾患の治療に新しいアプローチを提供している。
本発明は、プラスミノーゲンを使用することで骨関節症を予防または治療するための方法および薬剤に係る。本発明は、プラスミノーゲンが骨関節の構造的完全性を改善し、関節局所の骨芽細胞の活性を増強し、および/または破骨細胞の活性を低減し、軟骨再生と軟骨下骨の骨再建を促進し、疼痛などの症状を効果的に緩和できることを証明し、骨関節症の治療に新しいアプローチを提供している。
具体的には、本発明は下記のことに係る:
1、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、骨関節炎を治療する方法。
2、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の量を増加させ、および/または関節軟骨損傷の修復を促進する、項1に記載の方法。
3、前記プラスミノーゲンが関節滑膜の炎症を改善する、項1または2に記載の方法。
4、前記プラスミノーゲンが関節の軟骨下骨の骨再建を促進する、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
5、前記プラスミノーゲンが関節の炎症、疼痛を改善し、および/または関節機能を改善する、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
6、前記プラスミノーゲンが関節の腫れおよび疼痛を軽減する、項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
7、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、骨関節炎被験者の関節軟骨の再生を促進する方法。
8、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の関節損傷の修復を促進する方法。
9、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進する、項8に記載の方法。
10、前記被験者が骨関節炎被験者である、項8または9に記載の方法。
11、前記プラスミノーゲンが関節組織の炎症を改善し、および/または関節疼痛を軽減する、項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
12、前記プラスミノゲンが配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有する、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
13、前記プラスミノーゲンがプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
14、前記プラスミノーゲンがGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta−プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲン活性を保持した変異体から選択されるものである、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
15、前記プラスミノーゲンが、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
16、前記プラスミノーゲンが、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
17、前記プラスミノーゲンのアミノ酸配列が配列2、6、8、10または12に示される通りである、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
18、前記プラスミノーゲンがヒト天然プラスミノーゲンである、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
19、前記被験者がヒトである、項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
20、前記被験者はプラスミノーゲンが不足、または欠乏している、項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
21、前記プラスミノーゲンが一つ以上の関節損傷治療薬または方法、若しくは一つ以上の骨関節炎治療薬または方法と組み合わせて使用する、項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
22、項1〜21のいずれか一項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲン。
23、薬学的に許容される担体及び項1〜21のいずれか一項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンを含む薬物組成物。
24、(i)項1〜21のいずれか一項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲンと、(ii)前記プラスミノーゲンを前記被験者に送達するための手段(means)とを含む、予防性または治療性キット。
25、前記手段はシリンジまたはバイアルである、項24に記載のキット。
26、項1〜21のいずれか一項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンを前記被験者に投与することを指示するラベルまたはプロトコルをさらに含む、項24または25に記載のキット。
27、ラベルを含む容器と、
(i)項1〜21のいずれか一項に記載の方法に使用されるプラスミノーゲン、またはプラスミノーゲンを含む薬物組成物とを含む製品であって、
前記ラベルは、項1〜21のいずれか一項に記載の方法を実施するように前記プラスミノーゲンまたは組成物を前記被験者に投与することを指示する、製品。
28、一つ以上のその他の関節損傷治療薬または用品、若しくは一つ以上のその他の骨関節炎治療薬または用品を含む、もう一つ以上の部材または容器をさらに含む、項24〜26のいずれか一項に記載のキットまたは項27に記載の製品。
29、骨関節炎と合併するその他の疾患を治療するための薬物をさらに含む、項24〜26のいずれか一項に記載のキットまたは項27に記載の製品。
30、プラスミノーゲンを含む、骨関節炎を治療するための薬剤。
31、プラスミノーゲンを含む、関節損傷を治療するための薬剤。
32、プラスミノーゲンを含む、骨関節炎を治療するための薬物組成物、キット、製品。
33、プラスミノーゲンを含む、関節損傷を治療するための薬物組成物、キット、製品。
34、骨関節炎を治療するための薬剤、製品、またはキットの製造におけるプラスミノーゲンの使用。
35、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の量を増加させ、および/または関節軟骨損傷の修復を促進する、項34に記載の使用。
36、前記プラスミノーゲンが関節滑膜の炎症を改善する、項34または35に記載の使用。
37、前記プラスミノーゲンが関節の軟骨下骨の骨再建を促進する、項34〜36のいずれか一項に記載の使用。
38、前記プラスミノーゲンが関節の炎症、疼痛を改善し、および/または関節機能を改善する、項34〜37のいずれか一項に記載の使用。
39、前記プラスミノーゲンが関節の腫れおよび疼痛を軽減する、項34〜38のいずれか一項に記載の使用。
40、骨関節炎被験者の関節軟骨の再生を促進する薬剤の調製におけるプラスミノーゲンの使用。
41、被験者の関節損傷の修復を促進する薬剤の調製におけるプラスミノーゲンの使用。
42、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進する、項41に記載の使用。
43、前記被験者が骨関節炎被験者である、項41または42に記載の使用。
44、前記プラスミノーゲンが関節組織の炎症を改善し、および/または関節疼痛を軽減する、項41〜43のいずれか一項に記載の使用。
45、前記プラスミノゲンが配列2、6、8、10または12と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有する、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
46、前記プラスミノーゲンがプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
47、前記プラスミノーゲンがGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta−プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲン活性を保持した変異体から選択されるものである、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
48、前記プラスミノーゲンが、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
49、前記プラスミノーゲンが、霊長類動物またはげっ歯類動物に由来するヒトプラスミノーゲンのオルソログ、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
50、前記プラスミノーゲンのアミノ酸配列が配列2、6、8、10または12に示される通りである、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
51、前記プラスミノーゲンがヒト天然プラスミノーゲンである、項34〜44のいずれか一項に記載の使用。
52、前記被験者がヒトである、項34〜51のいずれか一項に記載の使用。
53、前記プラスミノーゲンが一つ以上の関節損傷治療薬または方法、若しくは一つ以上の骨関節炎治療薬または方法と組み合わせて使用する、項34〜52のいずれか一項に記載の使用。
発明の詳細な説明
用語の定義および技術構成の説明
「関節」とは、骨と骨の間の接続組織のことであり、この接続組織には空間があり、異なる程度に動くことができる。関節の主な構造には、関節包、関節腔、関節軟骨、滑液、および靭帯や関節周囲の筋肉と腱、滑膜のひだ、滑液包、半月板、軟骨下骨などがある。関節包は、関節の向かい合う二つの骨端を囲む結合組織膜嚢であり、内層と外層との二つの層に分けられる。外層は、緻密な結合組織で構成される繊維層であり、厚くて堅く、主に関節の堅牢性と安定性を維持する役割を果たす。内層は、豊富な血管を備えた粗鬆結合組織で構成される滑膜層であり、薄くて柔らかく、繊維層の内面を覆って滑膜腔を囲む嚢に形成されている。関節腔は、関節包と関節面で囲まれた組織空間である。通常の状況下で、関節腔に少し粘性のある液体(すなわち滑液)があり、関節を潤滑して栄養を与える役割を果たす。関節軟骨とは、関節の表面を覆う非常に薄い軟骨の層を指す。関節軟骨は関節面を覆い、弾力性に優れているため、摩擦を軽減し、振動や衝撃を緩和する役割を果たす。滑液は、滑膜から分泌される関節液である。通常の滑液は透明で粘稠である。関節に炎症が起こる場合、滑液の量が明らかに増加し、関節腔内の圧力が高くなるため、局所的な腫れや痛みが生じる。
本発明の一部の実施形態は、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、プラスミノーゲンを使用して関節損傷を治療する方法、および関節損傷の被験者の関節損傷の修復を促進する方法に係る。一部の実施形態では、前記関節損傷は、炎症、退行性病変、代謝障害または創傷によって引き起こされる関節損傷を含む。一部の実施形態では、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進することによって関節損傷を治療し、または関節損傷の修復を促進する。一部の実施形態では、プラスミノーゲンが関節損傷被験者の関節組織の炎症を改善し、および/または関節疼痛を軽減する。一部の実施形態では、前記関節組織の炎症は、関節滑膜の炎症を含む。一部の実施形態では、前記プラスミノーゲンが関節損傷被験者の関節の腫れおよび疼痛を軽減する。
一部の実施形態では、本発明は、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、関節軟骨の再生を促進する方法に係る。一部の実施形態では、本発明は、プラスミノーゲンが軟骨の再生を促進することによって関節損傷の修復を促進し、関節損傷疾患を治療することに係る。
プラスミノーゲンを使用して関節損傷を治療し、関節損傷の修復を促進する上記の一部の実施形態では、前記関節損傷は、骨関節炎によって引き起こされる関節損傷である。
プラスミノーゲンを使用して関節損傷を治療し、関節損傷の修復を促進する上記の一部の実施形態では、前記プラスミノーゲンは関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進することによって関節損傷を修復させ、関節損傷から骨関節炎への進行プロセスは中断される。したがって、本発明は、骨関節損傷の被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、プラスミノーゲンを骨関節炎の予防に使用する方法にも係る。
プラスミノーゲンを用いて関節損傷を治療し、関節損傷の修復を促進し、軟骨再生を促進し、関節損傷が骨関節炎に進行するのを予防する上記のすべての方法において、前記プラスミノーゲンは単独で投与してもよく、一つ以上のその他の薬剤または方法と組み合わせて投与してもよい。前記組み合わせの投与は、一つ以上の他の薬剤または方法を適用する前、適用と同時、または後にプラスミノーゲンを投与することを含む。
「骨関節炎(оsteоarthritis、OA)」は退行性病変であり、エージング、肥満、過労、創傷、関節先天性異常、関節奇形など多くの要因によって引き起こされる関節軟骨退化損傷、関節縁および軟骨下骨の反応性過形成であり、骨関節症、退行性関節炎、老人性関節炎などとも呼ばれる。臨床症状は、ゆっくり進行した関節疼痛、圧痛、硬直、関節の腫れ、動きの制限および関節奇形などである。
骨関節炎は、骨関節の退行性病変であり、体重を支える関節、および頸椎、腰椎、膝関節、股関節などの動きの多い関節によく発生する。過度の体重負荷、またはこれらの関節の使用は、いずれも退行性変化を促進する可能性がある。臨床症状は、ゆっくり進行した関節疼痛、圧痛、硬直、関節の腫れ、動きの制限および関節奇形などである。イメージングの変化は、関節軟骨および軟骨下骨質の異常な変化、関節腔の狭窄(これは、関節軟骨が薄くなり始めたことを示す)、骨石灰化、鋭い関節縁、骨棘形成および/または軟骨下骨嚢胞の形成を含む。本発明に記載の「骨関節炎」は、頸椎、腰椎、膝関節、股関節を含む体の様々な部位に発生する骨関節炎または関連退行性病変をカバーする。
本発明の一部の実施形態は、被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、プラスミノーゲンを使用して骨関節炎を治療する方法に係る。一部の実施形態では、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進する。一部の実施形態では、プラスミノーゲンが関節組織の炎症を改善し、および/または関節の腫れおよび/または疼痛を軽減する。一部の実施形態では、前記骨関節炎は、頸椎、腰椎、膝関節、股関節部位に発生する骨関節炎または関連退行性病変である。
上記プラスミノーゲンによって骨関節炎を治療する実施形態において、「治療」は、関節疼痛、圧痛、硬直、関節の腫れ、関節機能障害または制限、関節軟骨または軟骨下骨質の異常な変化、関節腔の狭窄、骨石灰化、鋭い関節縁、骨棘、軟骨下骨嚢胞からなる群より選ばれる一つ以上の症状または徴候を軽減、緩和、改善または解消することを含む。前記プラスミノーゲンによって骨関節炎を治療する実施形態において、前記骨関節炎は、頸椎、腰椎、膝関節、股関節に発生する骨関節炎および関連退行性病変を含む。
「骨再建」は「骨リモデリング」とも呼ばれ、骨から成熟した骨組織の除去(骨吸収と呼ばれるプロセス)と新しい骨組織の形成(骨化または新しい骨形成と呼ばれるプロセス)を指す。これらのプロセスはまた、骨折などの損傷後の骨の再形成または置換、および通常の活動中に発生する微小損傷を制御する。リモデリングは、機械的負荷の機能要件にも応える。骨の構造及びカルシウムの十分な供給には、骨芽細胞(新しい骨を分泌する)と破骨細胞(破骨)の二つの細胞タイプが、骨再建部位に存在する他の細胞群(免疫細胞など)と緊密に協力することが必要であり、複雑なシグナル伝達経路と制御メカニズムに基づいて適切な成長率と分化率を実現する。
一部の実施形態では、本発明は、プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進することに係る。一部の実施形態では、本発明は、プラスミノーゲンが骨関節炎被験者の骨関節炎罹患部位の骨芽細胞の活性を促進(増強)し、および/または破骨細胞の活性を低減することに係る。
一部の実施形態では、本発明は、有効量のプラスミノーゲンを被験者に投与することを含む、プラスミノーゲンが被験者の関節損傷の修復を促進する方法に係る。一部の実施形態では、前記関節損傷は、炎症、退行性病変、代謝障害または創傷によって引き起こされる関節損傷を含む。一部の実施形態では、前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進することによって関節損傷を治療し、または関節損傷の修復を促進する。一部の実施形態では、プラスミノーゲンが関節損傷被験者の関節損傷部位の骨芽細胞の活性を促進(増強)し、および/または破骨細胞の活性を低減する。一部の実施形態では、前記関節損傷は、骨関節炎によって引き起こされる関節損傷である。一部の実施形態では、前記関節損傷は、炎症、代謝障害、または創傷によって引き起こされる関節損傷である。
関節滑膜炎症(状況)の「改善」、関節の炎症(状況)の「改善」、関節組織の炎症(状況)の「改善」、または関節組織の炎症の「改善」とは、炎症または炎症状況がプラスミノーゲンの投与治療によって改善され、炎症反応が最終的に緩和されて消退したことをいう。
プラスミノーゲンを用いて骨関節炎を治療する上記のすべての実施形態において、前記プラスミノーゲンは単独で投与してもよく、一つ以上のその他の薬剤または方法と組み合わせて投与してもよい。前記組み合わせの投与は、一つ以上の他の薬剤または方法を適用する前、適用と同時、または後にプラスミノーゲンを投与することを含む。
プラスミンはプラスミノゲン活性化系(PA系)の重要な成分である。それは広スペクトルのプロテアーゼであり、細胞外マトリックス(ECM)の幾つかの成分を加水分解することができ、これらの成分はフィブリン、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン及びプロテオグリカンを含む[5]。また、プラスミンは一部のマトリックスメタロプロテアーゼ前駆体(pro−MMP)を活性化させて活性のあるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)にすることができる。そのためプラスミンは細胞外タンパク加水分解作用の一つの重要な上流調節因子である[6,7]。プラスミンはプラスミノゲンが二種類の生理性のPAである組織型プラスミノゲン活性化剤(tPA)またはウロキナーゼプラスミノゲン活性化剤(uPA)をタンパク質加水分解することで形成されるものである。プラスミノゲンは血漿及び他の体液中において、相対的レベルが比較的高く、従来的にはPA系の調節は主にPAの合成及び活性レベルよって実現されると考えられている。PA系成分の合成は例えばホルモン、成長因子及びサイトカインである異なる要素によって厳格な調節を受ける。また、この他に、プラスミンとPAsの特定の生理的阻害剤が存在する。プラスミンの主な阻害剤はα2−抗プラスミン(α2−antiplasmin)である。PAsの活性は、uPAとtPAのプラスミノーゲン活性剤阻害剤−1(PAI−1)に同時に阻害され、uPAを主に阻害するプラスミノーゲン活性剤阻害剤−2(PAI−2)によって調節される。一部の細胞表面には直接加水分解する活性のあるuPA特異性細胞表面受容体(uPAR)がある[8,9]
プラスミノゲンは単一鎖の糖タンパクであり、791個のアミノ酸からなり、分子量は約92kDaである[10,11]。プラスミノゲンは主に肝臓で合成され、大量に細胞外液に存在している。血漿中に含まれるプラスミノゲンの含有量は約2μMである。そのためプラスミノゲンは組織及び体液中のタンパク質加水分解活性の大きな潜在的な由来である[12,13]。プラスミノゲンには二種類の分子の形が存在する:グルタミン酸−プラスミノゲン(Glu−plasminogen)及びリジン−プラスミノゲン(Lys−plasminogen)である。天然的に分泌され及び分解していない形のプラスミノゲンは一つのアミノ基末端(N−末端)グルタミン酸を有し、そのためグルタミン酸−プラスミノゲンと称される。しかし、プラスミンが存在する場合、グルタミン酸−プラスミノゲンはLys76−Lys77においてリジン−プラスミノゲンに加水分解される。グルタミン酸−プラスミノゲンと比較して、リジン−プラスミノゲンはフィブリンとより高い親和力を有し、さらにより高い速度でPAによって活性化されることができる。この二種類の形のプラスミノゲンのArg560−Val561ペプチド結合はuPA またはtPAによって切断され、これによりジスルフィド結合によって接続された二重鎖プロテアーゼプラスミンの形成をもたらす[14]。プラスミノゲンのアミノ基末端部分は五つの相同性三環を含み、即ちいわゆるkringlesであり、カルボキシル基末端部分はプロテアーゼドメインを含む。一部のKringlesはプラスミノゲンとフィブリン及びその阻害剤α2−APの特異的相互作用を介在するリジン結合部位を含む。最も新しく発見されたのは38kDaのフィブリンプラスミノゲンフラグメントであり、kringlel−4を含み、血管新生の有効的な阻害剤である。このフラグメントはアンジオスタチンと命名され、幾つかのプロテアーゼ加水分解プラスミノゲンから生成される。
プラスミンの主な基質はフィブリンであり、フィブリンの溶解は病理学的血栓の形成を予防するキーポイントである[15]。プラスミンはさらにECMの幾つかの成分に対する基質特異性を有し、これらはラミニン、フィブロネクチン、プロテオグリカン及びゼラチンを含み、これはプラスミンがECM再建において重要な作用を有することを示している[11、16、17]。間接的に、プラスミンはさらにMMP−1、MMP−2、MMP−3及びMMP−9を含むいくつかのプロテアーゼ前駆体を活性プロテアーゼに変換することによりECMのその他の成分を分解することができる。そのため、以下のように提唱する人がいる。プラスミンは細胞外タンパク加水分解の重要な上流調節因子である[18]。また、プラスミンはいくつかの潜在的な形の成長因子を活性化させる能力を有する[19−21]。体外において、プラスミンはさらに補体系の成分を加水分解させて走化性の補体フラグメントを放出することができる。
「プラスミン」は血液中に存在する非常に重要な酵素であり、フィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD−二量体に加水分解する。
「プラスミノーゲン」はプラスミンの酵素前駆体の形であり、swiss prot中の配列に基づいて、シグナルペプチドの天然ヒト由来プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列4)として計算すれば810個のアミノ酸からなり、分子量は約90kDであり、主に肝臓において合成され且つ血液中で循環できる糖タンパク質であり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列3に示される通りである。フルサイズのプラスミノーゲンは七つのドメインを含む:C末端に位置するセリンプロテアーゼドメイン、N末端に位置するPan Apple(PAp)ドメイン及び5つのKringleドメイン(Kringle1−5)を含む。swiss prot中の配列を参照すれば、そのシグナルペプチドは残基Met1−Gly19を含み、Papは残基Glu20−Val98を含み、Kringle1は残基Cys103−Cys181を含み、Kringle2は残基Glu184−Cys262を含み、Kringle3は残基Cys275−Cys352を含み、Kringle4は残基Cys377−Cys454を含み、Kringle5は残基Cys481−Cys560を含む。NCBIデータによれば、セリンプロテアーゼドメインは残基Val581−Arg804を含む。
Glu−プラスミノーゲンは天然のフルサイズのプラスミノーゲンであり、791個のアミノ酸からなる(19個のアミノ酸からなるシグナルペプチドを含まない)。該配列をコードするcDNA配列は配列1に示される通りであり、そのアミノ酸配列は配列2に示される通りである。体内において、さらにGlu−プラスミノーゲンの第76−77位のアミノ酸の位置で加水分解することにより形成されたLys−プラスミノーゲンが存在し、例えば配列6に示されるものであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列5が示す通りである。Delta−プラスミノーゲン(δ−plasminogen)はフルサイズのプラスミノーゲンにKringle2−Kringle5構造の欠損が生じているフラグメントであり、Kringle1及びセリンプロテアーゼドメインしか含有せず[22、23]、δ−プラスミノーゲンのアミノ酸配列(配列8)を報告している文献があり[23]、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は例えば配列7である。ミニプラスミノーゲン(Mini−plasminogen)はKringle5及びセリンプロテアーゼドメインからなり、残基Val443−Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)について文献が報告しており[24]、そのアミノ酸配列は配列10に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列9が示す通りである。しかしマイクロプラスミノーゲン(Micro−plasminogen)はセリンプロテアーゼドメインのみ含有し、そのアミノ酸配列は残基Ala543−Asn791(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)と文献が報告し[25]、特許文献CN102154253Aはその配列が残基Lys531−Asn791を含むと開示し(シグナルペプチドを含まないGlu−プラスミノーゲン配列のGlu残基を開始アミノ酸とする)、本特許の配列は特許文献CN102154253Aを参照でき、そのアミノ酸配列は配列12に示される通りであり、該アミノ酸配列をコードするcDNA配列は配列11に示される通りである。
本発明の「プラスミン」と「フィブリンプラスミン」、「繊維タンパクプラスミン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。「プラスミノーゲン」と「フィブリンプラスミノーゲン」、「繊維タンパクプラスミノーゲン」は互いに置き換えて使用でき、その意味は同じである。
本願において、プラスミノーゲンの「欠乏」とは、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より低く、被験者の正常な生理学的機能に影響を及ぼすまで低いことをいう。プラスミノーゲンの「欠乏」の意味は、被験者体内のプラスミノーゲンの含有量または活性が正常な人より明らかに低く、活性または発現が極微量であり、外部供給によってのみ正常な生理学的機能を維持できることである。
当業者は以下のように理解できる。本発明のプラスミノーゲンのすべての技術構成はプラスミンに適用でき、そのため、本発明に記載の技術構成はプラスミノーゲン及びプラスミンをカバーするものである。
循環プロセスにおいて、プラスミノーゲンはクローズ型の非活性コンフォメーションであるが、血栓または細胞表面に結合した際、プラスミノーゲン活性化剤(plasminogen activator,PA)の介在下において、オープン型のコンフォメーションを有する活性プラスミンとなる。活性を有するプラスミンはさらにフィブリン凝塊をフィブリン分解生成物及びD−二量体に加水分解させ、これにより血栓を溶解させる。そのうちプラスミノーゲンのPApドメインはプラスミノーゲンを非活性クローズ型コンフォメーションにする重要なエピトープであり、しかしKRドメインは受容体及び基質上のリジン残基と結合できるものである。プラスミノーゲン活性化剤としての酵素は、既に複数種類知られ、組織プラスミノーゲン活性化剤(tPA)、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化剤(uPA)、カリクレイン及び凝結因子XII(ハーゲマン因子)などを含む。
「プラスミノーゲン活性フラグメント」とはプラスミノーゲンタンパク質において、基質中のターゲット配列と結合してタンパク質加水分解機能を発揮できる活性フラグメントである。本発明のプラスミノーゲンに係る技術構成が、プラスミノーゲン活性フラグメントでプラスミノーゲンの代替とする技術構成を含む。本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントはプラスミノーゲンのセリンプロテアーゼドメインを含むタンパク質であり、好ましくは、本発明に記載のプラスミノーゲン活性フラグメントは配列14、配列14と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性のアミノ酸配列を含有するタンパク質を含むものである。そのため、本発明に記載のプラスミノーゲンは該プラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然として該プラスミノーゲン活性を有するタンパク質を含む。
現在、血液中のプラスミノーゲン及びその活性の測定方法は以下を含む:組織フィブリンプラスミノーゲン活性化剤の活性に対する測定(t−PAA)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤抗原に対する測定(t−PAAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性に対する測定(plgA)、血漿組織プラスミノーゲン抗原に対する測定(plgAg)、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物活性に対する測定、血漿組織プラスミノーゲン活性化剤の阻害物抗原に対する測定、血漿プラスミン−抗プラスミン複合物に対する測定(PAP)。最もよく見られる測定方法は発色基質法である:測定対象(被験者)の血漿中にストレプトキナーゼ(SK)と発光基質を添加し、測定対象の血漿中のPLGはSKの作用下においてPLMとなり、後者は発光基質に作用し、それから分光光度計で測定し、吸光度の増加はプラスミノーゲンの活性と正比例の関係となる。この他にも免疫化学法、ゲル電気泳動法、免疫比濁法、放射免疫拡散法などを用いて血液中のフィブリンプラスミノーゲン活性に対して測定を行うことができる。
「オルソログ(ortholog)」とは異なる種どうしのホモログであり、タンパク質の相同物もDNAの相同物も含む。それは具体的に異なる種どうしの同じ祖先の遺伝子から進化して得られるタンパク質または遺伝子を言う。本発明のプラスミノーゲンはヒト天然プラスミノーゲンを含み、さらには異なる種に由来する、プラスミノーゲン活性を有するプラスミノーゲンオルソログを含む。
「保存的置換バリアント」とはそのうちの一つの指定されたアミノ酸残基が改変されたがタンパク質または酵素の全体のコンフォメーション及び機能を変えないものであり、これは類似の特性(例えば酸性、アルカリ性、疎水性など)のアミノ酸でペアレントタンパク質中のアミノ酸配列中のアミノ酸を置換するものを含むがこれらに限られない。類似の性質を有するアミノ酸は知られている通りである。例えば、アルギニン、ヒスチジン及びリジンは親水性のアルカリ性アミノ酸であり且つ互いに置き換えることができる。同じように、イソロイシンは疎水アミノ酸であり、ロイシン、メチオニンまたはバリンによって置換されることができる。そのため、機能の類似する二つのタンパク質またはアミノ酸配列の類似性は異なる可能性もある。例えば、MEGALIGNアルゴリズムに基づいて70%〜99%の類似性(同一性)を有する。「保存的置換バリアント」はさらにBLASTまたはFASTAアルゴリズムに基づいて60%以上のアミノ酸同一性を有するポリペプチドまたは酵素を含み、75%以上に達すればさらによく、最も好ましくは85%以上に達し、さらには90%以上に達するのが最も好ましく、さらに天然またはペアレントタンパク質または酵素と比較して同じまたは基本的に類似する性質または機能を有する。「分離された」プラスミノーゲンとは天然環境から分離及び/または回収されたプラスミノーゲンタンパク質である。いくつかの実施形態において、前記プラスミノーゲンは(1)90%を超える、95%を超える、または98%を超える純度(重量で計算した場合)になるまで精製し、例えばLowry法によって決まるもので、例えば99%(重量で計算した場合)を超えるまで精製する、(2)少なくともスピニングカップ配列分析装置によりN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基が得られる程度になるまで精製する、または(3)同質性になるまで精製する。該同質性はクマシーブリリアントブルーまたは銀染色により還元性または非還元性条件下のドデシル硫酸ナトリウムーポリアクリルアミノゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって決まるものである。分離されたプラスミノーゲンはバイオエンジニアリング技術により組み換え細胞から製造され、さらに少なくとも一つの精製ステップで分離されたプラスミノーゲンを含む。
用語の「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において互いに置き換えて使用でき、いかなる長さのアミノ酸の重合体を指し、遺伝的にコードされた及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されまたは派生したアミノ酸、及び修飾されたペプチド主鎖を有するポリペプチドを含む。該用語は融合タンパク質を含み、異種性アミノ酸配列を有する融合タンパク質を含むがこれに限られず、異種性と同種性由来のリーダー配列(N端メチオニン残基を有するか有しない)を含む融合物;等々である。
参照ペプチド配列の「アミノ酸配列同一性パーセンテージ(%)」の定義は、必要に応じてギャップを導入することで最大のパーセンテージ配列の同一性を実現した後、如何なる保存的な置換も配列同一性の一部として見なさない場合、候補配列中における参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同じアミノ酸残基のパーセンテージである。パーセンテージのアミノ酸配列の同一性を測定することを目的としたアライメントは本分野の技術範囲における複数種類の方式によって実現でき、例えば公衆が入手できるコンピュータソフトウエア、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウエアによって実現できる。当業者は配列をアライメントするための適切なパラメータを決めることができ、該パラメータが比較対象の配列のフルサイズに対して最大比較の要求を実現するための如何なるアルゴリズムも含む。しかし、本発明の目的のために、アミノ酸配列の同一性パーセンテージは配列比較コンピュータソフトウエアALIGN−2により得られるものである。
ALIGN−2を用いることによりアミノ酸配列をアライメントする場合、所定のアミノ酸配列Aの所定のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(または所定のアミノ酸配列Bに対して、と、またはについてあるアミノ酸配列同一性%を有する又は含む所定のアミノ酸配列Aともいう)は以下のように計算される:
分数X/Y×100
そのうちXは配列アライメントプログラムALIGN−2において該プログラムのA及びBのアライメントにおいて同一でマッチングすると評価したアミノ酸残基の数であり、且つそのうちYはBにおけるアミノ酸残基の総数である。以下のように理解するべきである:アミノ酸配列Aの長さとアミノ酸配列Bの長さが等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは異なる。特に断りのない限り、本文中において使用するすべてのアミノ酸配列同一性%の値は前記の段落に記載の通りであり、ALIGN−2コンピュータプログラムによって得られるものである。
本文において使用されているように、用語の「治療」及び「処理」は期待される薬理及び/または生理的効果が得られることを言う。前記効果は疾患またはその症状を完全または一部予防すること、及び/または疾患及び/またはその症状を一部または完全に治癒するものとすることができる。さらに以下を含む:(a)疾患が被験者の体内で発生することを予防し、前記被験者は疾患の要因を持っているが、該疾患を有すると診断されていない状況であること;(b)疾患を抑制し、その形成を阻害すること;及び(c)疾患及び/またはその症状を減軽し、即ち疾患及び/またはその症状を減退させること。
用語の「個体」、「被験者」及び「患者」は本明細書中において互いに置き換えて使用でき、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、ヒト以外の霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限られない。
「治療上有効量」または「有効量」とは、哺乳動物またはその他の被験者に投与して疾患の治療に用いられる際に疾患の前記予防及び/または治療を実現できるプラスミノーゲンの量である。「治療上有効量」は使用するプラスミノーゲン、治療しようとする被験者の疾患及び/または症状の重症度及び年齢、体重などに従って変化するものである。
本発明のプラスミノーゲンの調製
プラスミノーゲンは治療の用途に用いられるために、自然界から分離及び精製されるものでもよく、標準的な化学ペプチド合成技術によって合成することでもよい。化学的手法によりポリペプチドを合成する際、液相または固相で合成を行うことができる。固相ポリペプチド合成(SPPS)(配列のC末端アミノ酸を不溶性支持体に附着させ、順番に配列中の残りのアミノ酸を添加する)はプラスミノーゲンの化学的合成に適したものである。各種形式のSPPS、例えばFmoc及びBocは、プラスミノーゲンの合成に用いることができる。固相合成に用いられる技術は以下に記載されている:Barany及びSolid−Phase Peptide Synthesis;3−284ページ、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.第二巻:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.,Merrifield,ら J.Am.Chem.Soc.,85:2149−2156(1963);Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984);及びGanesan A.2006Mini Rev.Med Chem.6:3−10及びCamarero JAら 2005Protein Pept Lett.12:723−8。簡単に言えば、その上にペプチド鎖が構築されている機能性ユニットにより不溶性の小さい多孔ビーズを処理する。カップリング/脱保護の繰り返し循環後に、附着した固相の遊離N末端アミンと単一のN保護を受けているアミノ酸ユニットをカップリングさせる。それから、該ユニットを脱保護し、他のアミノ酸と接続する新しいN末端アミンを露出させる。ペプチドを固相上に固定したままにし、それからそれを切除する。
標準的な組み換え方法により本発明のプラスミノーゲンを生産する。例えば、プラスミノーゲンをコードする核酸を発現ベクター中に挿入し、それと発現ベクター中の制御配列を操作可能に接続させる。発現制御配列はプロモーター(例えば天然に関連されているプロモーター、または異種由来のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント及び転写終了配列を含むが、これらに限られない。発現の制御はベクター中の真核プロモーターシステムとすることができ、前記ベクターは真核宿主細胞(例えばCOSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクションさせる。一旦ベクターを適切な宿主に導入すれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現及びプラスミノーゲンの収集及び精製に適した条件下において宿主を維持する。
適切な発現ベクターは通常宿主体内において付加体または宿主染色体DNAの組み込む部分として複製される。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えばアンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性またはネオマイシン耐性)を含み、インビトロで所望のDNA配列によって形質転換されたそれらの細胞に対して測定を行うことに有用である。
大腸菌(Escherichia coli)はターゲット抗体をコードするポリヌクレオチドをクローンする原核宿主細胞の例である。その他の使用に適した微生物宿主は桿菌を含み、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)及びその他の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、例えばサルモネラ属(Salmonella)、セラチア属(Serratia)、及び各種シュードモナス属(Pseudomonas)種である。これらの原核宿主において、発現ベクターを生成でき、通常は宿主細胞と相容する発現制御配列(例えば複製開始点)を含むものである。また、多くの公知のプロモーターが存在し、例えばラクトースプロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、β−ラクタマーゼプロモーターシステム、またはファージλ由来のプロモーターシステムである。プロモーターは一般的に発現を制御し、必要に応じて遺伝子配列を制御する場合に、転写及び翻訳を起動するために、さらにリボソームの結合位置配列を有してもよい。
その他の微生物、例えば酵母も発現に用いることができる。酵母(例えばサッカロミセス(S.cerevisiae))及びピキア(Pichia)が適した酵母宿主細胞の例であり、そのうちの適切な担体は必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製開始点、終止配列など含む。典型的なプロモーターは3−ホスホグリセリン酸キナーゼ及びその他の糖分解酵素を含む。誘導型酵母プロモーターにはアルコール脱水素酵素、イソチトクロムC、及びマルトースとガラクトースの利用のための酵素のプロモーターを含む。
微生物以外に、哺乳動物細胞(例えば体外細胞培養物中において培養された哺乳動物細胞)も本発明の抗−Tau抗体の発現および生成に用いることができる(例えば目的抗−Tau抗体をコードするポリヌクレオチド)。例えばWinnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.(1987)参照。適した哺乳動物宿主細胞はCHO細胞系、各種Cos細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系、及び形質転換されたB細胞またはハイブリドーマを含む。これらの細胞に用いられる発現ベクターは発現制御配列、例えば複製開始点、プロモーター、及びエンハンサー(Queenら,Immunol.Rev.89:49(1986))、及び必要とされる加工情報サイト、例えばリボソームの結合サイト、RNAの切断サイト、ポリアデノシン酸化サイト、及び転写ターミネーター配列を含むことができる。適切な発現制御配列の例はウサギ免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウィルス、サイトメガロウイルスなどの派生のプロモーターである。Coら、J.Immunol.148:1149(1992)を参照すること。
一旦合成(化学または組み換え的に)されれば、本分野の標準的な手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニテイカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル電気泳動などにより本発明に記載のプラスミノーゲンを精製することができる。該プラスミノーゲンは基本的に純粋なものであり、例えば少なくとも約80%から85%の純度で、少なくとも約85%〜90%の純度で、少なくとも約90%〜95%の純度で、または98%〜99%の純度またはさらに純度が高いものであり、例えば汚染物を含まず、前記汚染物は例えば細胞砕片、目的抗体以外の大分子などである。
薬物配合剤
所望の純度のプラスミノーゲンと必要に応じた薬用担体、賦形剤、または安定化剤(Remington′s Pharmaceutical Sciences,第16版,Osol,A.ed.(1980))を混合して凍結乾燥製剤または水溶液を形成して治療用の配合剤を得る。許容可能な担体、賦形剤、安定化剤は所要の用量及び濃度下において被験者に対して毒性がなく、さらに例えばリン酸塩、クエン酸塩及びその他の有機酸などの緩衝剤を含む。抗酸化剤はアスコルビン酸和メチオニンを含む;防腐剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメチレンジアミン;塩化ベンザルコニウム(benzalkonium chloride)、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブタノールまたはベンジルアルコール;アルキルパラヒドロキシ安息香酸エステル、例えばメチルまたはプロピルパラヒドロキシ安息香酸エステル;ピロカテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;m−クレゾール);低分子量ポリペプチド(少なくとも約10個の残基を有するもの);タンパク質例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンである;単糖、二糖及びその他の炭水化物はグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む;キレート剤は例えばEDTAである;糖類は例えばショ糖、マンニトール、フコースまたはソルビトールである;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば亜鉛−タンパク複合体);及び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONIC(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)である。好ましくは凍結乾燥された抗−VEGF抗体配合剤であり、WO 97/04801に記載されているとおりであり、本明細書において参考とされるものである。
本発明の配合剤は治療を必要とする具体的な症状の必要とする一種類以上の活性化合物を含有してもよく、好ましくは活性が相補的で互いに副作用を有しないものである。例えば、血圧降下薬、抗不整脈薬、糖尿病治療薬等である。
本発明のプラスミノーゲンは例えば凝集技術または界面重合によって作られるマイクロカプセル中に内包ことができ、例えば、膠質薬物輸送系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン剤、ナノ粒子及びナノカプセル)中に入れまたは粗エマルジョン状液中のヒドロキシメチルセルロースまたはゲルーマイクロカプセル及びポリ―(メタアクリル酸メチル)マイクロカプセル中に入れることができる。これらの技術はRemington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
体内に投与することに用いられる本発明のプラスミノーゲンは必ず無菌である必要がある。これは凍結乾燥及び再度配合する前または後に除菌濾過膜で濾過することで容易に実現できる。
本発明のプラスミノーゲンは徐放性製剤を調製できる。徐放性製剤の適切な実例は一定の形状を有し且つ糖タンパクを含む固体の疎水性重合体の半透過マトリックスを含み、例えば膜またはマイクロカプセルである。徐放性基質の実例はポリエステル、水性ゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリル酸エステル)(Langerら,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981);Langer,Chem.Tech.,12:98−105(1982))またはポリ(ビニールアルコール)、ポリラクチド(米国特許3773919,EP 58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman,ら,Biopolymers 22:547(1983)),分解できないエチレン−ビニルアセテート(ethylene−vinyl acetate)(Langer,ら,出所は前記と同じ)、または分解可能な乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体、例えばLupron DepotTM(乳酸−ヒドロキシ酢酸共重合体及びリュープロレリン(leuprolide)酢酸エステルからなる注射可能なミクロスフェア体)、及びポリD−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。重合体、例えばエチレン−酢酸エチル及び乳酸−ヒドロキシ酢酸は、持続的に分子を100日間以上放出することができ、しかしいくつかの水性ゲルがタンパク質を放出する時間は比較的短い。関連のメカニズムに応じてタンパク質を安定化させる合理的なストラテジーにより設計できる。例えば、凝集のメカニズムが硫化ジスルフィド結合の交換によって分子間S−S結合を形成するであれば、メルカプト基残基を修飾することにより、酸性溶液中から凍結乾燥させ、湿度を制御し、適切な添加剤を用いて、及び特定の重合体基質組成物を開発することで安定化を実現できる。
投与及び使用量
異なる方式、例えば静脈内、腹膜内、皮下、頭蓋骨内、髄腔内、動脈内(例えば頸動脈)、筋肉内により本発明の薬物組成物の投与を実現できる。
胃腸外での投与に用いられる製造物は無菌水性または非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばオリーブオイルのような植物油、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体は水、アルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含み、食塩水及び緩衝媒介を含む。胃腸外媒介物は塩化ナトリウム溶液、リンガ―デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、または固定油である。静脈内媒介物は液体及び栄養補充物、電気分解補充物などを含む。されには防腐剤及びその他の添加剤、例えば抗微生物製剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなども存在してもよい。
医療関係者は各種臨床的要素により用量案を決めることができる。例えば医学分野で公知のように、任意の患者の用量は複数の要素によって決められ、これらの要素は患者の体型、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与回数及び経路、全体の健康度、及び同時に投与するその他の薬物を含む。本発明が含有するプラスミノーゲンの薬物組成物の用量の範囲は例えば被験者体重に対して毎日約0.0001〜2000mg/kgであり、または約0.001〜500mg/kg(例えば0.02mg/kg,0.25mg/kg,0.5mg/kg,0.75mg/kg,10mg/kg,50mg/kgなど)とすることができる。例えば、用量は1mg/kg体重または50mg/kg体重または1−50mg/kgの範囲とすることができ、または少なくとも1mg/kgである。この例示性の範囲より高いまたは低い用量もカバーされ、特に前記の要素を考慮した場合である。前記範囲中の中間用量も本発明の範囲内に含まれるものである。被験者は毎日、隔日、毎週または経験分析によって決められた任意のスケジュール表に従ってに従ってこのような用量を投与できる。例示的な用量のスケジュール表は連続数日1−10mg/kg投与することである。本発明の薬物の投与過程において治療効果及び安全性をリアルタイムに評価する必要がある。
製品または薬物キット
本発明の一つの実施形態は製品または薬物キットに係るものであり、骨関節炎を治療するための本発明のプラスミノーゲンまたはプラスミンを含有する。前記製品は好ましくは一つの容器、ラベルまたはプロトコルを含む。適切な容器はボトル、バイアル、注射器などである。容器は各種材料例えばガラスまたはプラスチックから作られることができる。前記容器は組成物を含有し、前記組成物は本発明の疾患または症状を有効に治療し且つ無菌の入口を有する(例えば前記容器は静脈輸液用パックまたはバイアルであり、皮下注射針によって貫通されることができる栓を含む)。前記組成物中の少なくとも一種類の活性化剤がプラスミノーゲン/プラスミンである。前記容器上にあるまたは添付されているラベルは前記組成物を本発明の前記骨関節炎の治療に用いられると説明するものである。前記製品はさらに薬用緩衝液を含有する第二容器を含み、前記薬用緩衝液は例えばリン酸塩緩衝生理食塩水、リンガー溶液及びグルコース溶液を含む。さらには商業及び使用者の角度から見ると必要とされるその他の物質、即ちその他の緩衝液、希釈剤、濾過物、針及び注射器を含むことができる。また、前記製品は使用説明を有するプロトコルを含み、これは例えば前記組成物の使用者にプラスミノーゲン組成物及び疾患の治療に伴うその他の薬物を患者に投与することを指示するものである。
図1A〜Dは、0.5μg/kgビタミンD老化モデルマウスの膝関節Safranin Oの染色結果を示すものである。Aはブランク対照群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群の膝関節軟骨(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)、溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群の膝関節軟骨の量はブランク対照群マウスにより近かったことは示されている。これは、プラスミノーゲンがビタミンD老化モデルマウスの膝関節軟骨の損失を有意に減らすことができることを示している。 図2A〜Eは、プラスミノーゲンを14日間投与してII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節Safranin Oの染色スコアの結果を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群であり、Eは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群の膝関節の病理学的スコアは溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的にとても有意である(**は、P<0.01を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節の損傷を軽減できることを示している。 図3A〜Dは、プラスミノーゲンを14日間投与してII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎モデルPlg−/−マウスの膝関節Safranin Oの染色の代表的な写真を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群の軟骨組織(細い矢印に表記される)の構造配列が乱れ、細胞の数が明らかに減少し、Safranin O着色が明らかに減少し、骨小柱(太い矢印に表記される)が細くなって破断し;溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群の軟骨組織の構造は比較的に整っており、軟骨での細胞の数は比較的に多く、Safranin O着色の範囲は比較的に広い。これは、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎Plg−/−マウスの膝関節の損傷を軽減できることを示している。 図4A〜Bは、プラスミノーゲンを14日間投与して靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節Safranin Oの染色の代表的な写真を示すものである。Aは溶媒PBS投与対照群であり、Bはプラスミノーゲン投与群である。その結果、溶媒PBS投与対照群の軟骨(三角に表記される)が大幅に失われ、骨小柱(矢印に表記される)が細くなって破断、大きい面積の無骨小柱骨髄腔が現れ;溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群の骨小柱の連続性が良く、ひどい破断がなく、大きい面積の無骨小柱区域がなく、軟骨組織は比較的に多い。これは、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節組織の構造状況を改善できることを示している。 図5A〜Eは、プラスミノーゲンを14日間投与して靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節のアルカリフォスファターゼ染色結果を示すものである。AとCは溶媒PBS投与対照群であり、BとDはプラスミノーゲン投与群であり、Eは定量分析の結果である。その結果、プラスミノーゲン投与群マウスの膝関節の軟骨表面(細い矢印に表記される)と成長板(太い矢印に表記される)のアルカリフォスファターゼ着色はいずれも溶媒PBS投与対照群より多く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節のアルカリフォスファターゼ活性の増加を有意に促進でき、すなわち、プラスミノーゲンが膝関節の骨芽細胞の活性の増加を有意に促進できることを示している。 図6A〜Dは、プラスミノーゲンを28日間投与した後のMIA骨関節炎モデルマウスの膝関節におけるII型コラーゲンの免疫組織化学的染色の結果を示すものである。Aは偽手術群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは定量分析の結果である。その結果、偽手術群マウスの膝関節には一定量のII型コラーゲン(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群の膝関節のII型コラーゲンの量は偽手術群とは有意差がなく、プラスミノーゲン投与群の膝関節のII型コラーゲンの量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果では、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの関節軟骨の再生を促進できることを示している。 図7A〜Dは、プラスミノーゲンを28日間投与した後のMIA骨関節炎モデルマウスの膝関節におけるSafranin O染色の代表的な写真を示すものである。Aは偽手術群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは病理学的スコアの結果である。その結果、偽手術群マウスの膝関節には一定量の軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群の膝関節の軟骨の量は有意に減少し、その病理学的スコアは有意に増加したことは示されている。これは、MIAが骨関節炎の誘発に成功したことを示している。また、プラスミノーゲン投与群の膝関節の軟骨の量は、溶媒投与対照群よりも有意に多く、病理学的スコアも溶媒投与対照群より有意に低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが軟骨の再生を促進し、骨関節炎損傷を改善できることを示している。 図8A〜Dは、プラスミノーゲンを28日間投与した後の骨関節炎モデルマウスの左膝関節の大腿骨表面におけるSafranin Oの染色結果を示すものである。Aは偽手術群であり、Bは溶媒PBS投与対照群であり、Cはプラスミノーゲン投与群であり、Dは平均光学密度の定量分析の結果である。その結果、偽手術群マウスの膝関節の大腿骨表面には少量の軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群の大腿骨表面の軟骨の量は偽手術群と有意差がなく、プラスミノーゲン投与群の大腿骨表面の軟骨の量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果では、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの大腿骨表面の軟骨の再生を促進できることを示している。 図9は、プラスミノーゲンを7日間投与した後のMIA骨関節炎モデルラットの疼痛テストの結果を示すものである。その結果、偽手術群ラットはより高い疼痛しきい値を有し、溶媒投与対照群ラットの左足および右足の疼痛しきい値はいずれも有意に低下し、偽手術群よりも有意に低く、プラスミノーゲン投与群ラットの左足および右足の疼痛しきい値は有意に上昇し、溶媒投与対照群と比較して、左足の差が統計学的に有意に近く(P=0.08)、右足の差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎の疼痛を軽減できることを示している。 図10は、プラスミノーゲンを28日間投与した後の骨関節炎モデルマウスの疼痛テストの結果を示すものである。その結果、偽手術群マウスはより高い疼痛しきい値を有し、溶媒投与対照群マウスの疼痛しきい値は有意に低下し、偽手術群マウスよりも有意に低く、プラスミノーゲン投与群マウスの疼痛しきい値は有意に上昇し、溶媒投与対照群マウスより有意に高く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.09)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎の疼痛を軽減できることを示している。 図11A〜Fは、プラスミノーゲンを28日間投与した後の骨関節炎モデルマウスの左膝関節におけるSafranin Oの染色結果を示すものである。その結果、偽手術群の左膝関節の大腿骨と脛骨表面には一定量の関節軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群の脛骨と大腿骨表面の軟骨の量は偽手術群とは有意差がなく、プラスミノーゲン投与群の軟骨の量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの関節軟骨の再生を促進できることを示している。 図12A〜Dは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの骨吸収を阻害することを示すものである。その結果、偽手術群(図12A)の膝関節には一定量の酸性フォスファターゼ(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図12B)の膝関節の酸性フォスファターゼが増加し、偽手術群より有意に多く、プラスミノーゲン投与群(図12C)の膝関節の酸性フォスファターゼは溶媒投与対照群よりも有意に少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図12D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の酸性フォスファターゼを低減し、破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を阻害できることを示している。 図13A〜Fは、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎膝関節の脛骨端のSоx9陽性幹細胞の数の増加を促進することを示すものである。その結果、偽手術群(図13A、D)の膝関節の脛骨には一定量のSox9陽性幹細胞(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図13B、E)の膝関節の脛骨のSox9陽性幹細胞の数が有意に減少し、プラスミノーゲン投与群(図13C、F)の膝関節の脛骨のSox9陽性幹細胞の数は溶媒投与対照群よりも有意に多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の脛骨端のSox9陽性幹細胞の数の増加を促進し、骨関節炎によって引き起こされる膝関節の損傷を修復できることを示している。 図14A〜Cは、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎モデルマウスの膝関節滑膜炎症を改善することを示すものである。その結果、偽手術群(図14A)の膝関節滑膜には明らかな炎症細胞浸潤がなく、溶媒投与対照群(図14B)の膝関節滑膜には明らかな炎症細胞浸潤(矢印に表記される)が見られ、プラスミノーゲン投与群(図14C)の膝関節滑膜の炎症細胞浸潤は溶媒投与対照群より有意に少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の滑膜炎症を改善できることを示している。
[実施例1]
実施例1は、プラスミノーゲンがビタミンDによって誘発される骨粗鬆症マウスの膝関節の軟骨喪失を減少させることに関するものである。
5〜6週齢のオスC57マウス15匹を取り、体重を測ってからランダムに、ブランク対照群、プラスミノーゲン投与群、および溶媒PBS投与対照群との3つの群に分け、各群5匹ずつとした。ブランク対照群マウスに毎日50μlのコーンオイルを腹腔内注射により投与し、プラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群マウスには0.5μg/kg体重で毎日ビタミンD(Sigma Aldrich)を腹腔内注射により投与し、骨粗鬆症モデルを誘発した[26,27]。これと同時に、マウスに薬剤を投与し、プラスミノーゲン投与群マウスには、1mg/0.1mL/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に対して同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、ブランク対照群マウスには投与せず、28日間連続して投与してモデルを構築した。投与期間中、すべてのマウスに低カルシウム飼料を与えた。モデルを構築するために投与し始めた日を1日目とし、29日目にマウスを殺処分して膝関節を取り、4%パラホルムアルデヒドにて24時間固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄した。上記の操作は4℃で行う必要がある。そして、パラフィンで包埋させ、8μmの切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で100倍にて観察した。
軟骨染色液(サフラニンO法)の染色原理は、好塩基性軟骨が塩基性染料サフラニンOと結合して赤色を呈することである。サフラニンOは、ポリアニオンと結合したカチオン染料であり、軟骨を示すのはカチオン染料と多糖類におけるアニオン基(コンドロイチン硫酸またはケラタン硫酸)との結合に基づいている。サフラニンOの着色は、アニオンの濃度とほぼ正比例関係となり、マトリックスにおけるプロテオグリカンの含有量と分布を間接的に反映する。
Safranin O染色はすなわちサフラニン染色であり、主に軟骨組織における酸性プロテオグリカン成分を示し、軟骨形成を示すことができる[28]
その結果、プラスミノーゲン投与群(図1C)の膝関節軟骨(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(図1B)より明らかに多く、しかもその差が統計学的に有意であり(*は、P<0.05を表す)(図1D)、溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群の膝関節軟骨の量はブランク対照群マウスにより近かった(図1A)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがビタミンD骨粗鬆症モデルマウスの膝関節軟骨の損失を有意に減らすことができることを示している。
[実施例2]
実施例2は、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発される骨関節炎モデルマウスの膝関節の損傷を軽減することに関するものである。
10週齢のC57オスマウス12匹を取り、50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔してから、Tolfedine(0.1ml/kg)を筋肉内に注射した。マウスの右膝関節に隙間を開き、膝関節を90°曲げ、5μg/6μl/匹でII型コラゲナーゼ(C6885、sigma)をマウスの関節腔内に注射し、左膝関節に対して、同じ体積の生理食塩水を注射したことを除き、右膝関節と同じ操作を行かった[29,30]。注射7日後、体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群6匹ずつとし、投与を始めた。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、14日間連続して投与した。投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分して膝関節を取り、4%パラホルムアルデヒドにて24時間固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄した。上記の操作は4℃で行う必要がある。そして、パラフィンで包埋させ、8μmの切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で40(A、B)および100(C、D)倍にて観察し、表1に従って膝関節に対して病理学的スコアを行った[31]
その結果、プラスミノーゲン投与群の膝関節(図2B、D)の病理学的スコアは溶媒PBS投与対照群(図2A、C)より明らかに低く、しかもその差が統計学的にとても有意である(**は、P<0.01を表す)(図2E)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎による膝関節の損傷を有意に軽減し、関節軟骨の喪失を低減できることを示している。
[実施例3]
実施例3は、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発される骨関節炎モデルPlg−/−マウスの膝関節の組織構造の状態を改善することに関するものである。
10週齢のPlg−/−オスマウス10匹を取り、50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔してから、Tolfedine(0.1ml/kg)を筋肉内に注射した。マウスの右膝関節に隙間を開き、膝関節を90°曲げ、5μg/6μl/匹でII型コラゲナーゼ(C6885、sigma)をマウスの関節腔内に注射し、左膝関節に対して、同じ体積の生理食塩水を注射したことを除き、右膝関節と同じ操作を行かった[29,30]。注射7日後、体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとし、投与を始めた。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、14日間連続して投与した。投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分して膝関節を取り、4%パラホルムアルデヒドにて24時間固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄した。上記の操作は4℃で行う必要がある。そして、パラフィンで包埋させ、4μmの切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で40(A、B)および100(C、D)倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(図3A、C)の軟骨組織(細い矢印に表記される)の構造配列が乱れ、細胞の数が明らかに減少し、Safranin O着色が明らかに減少し、骨小柱(太い矢印に表記される)が細くなって破断し;溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群(図3B、D)の軟骨組織の構造は比較的に整っており、軟骨細胞の数は比較的に多く、Safranin O着色の範囲は比較的に広い。これは、プラスミノーゲンがII型コラゲナーゼによって誘発された骨関節炎Plg−/−マウスの膝関節の損傷を軽減できることを示している。
[実施例4]
実施例4は、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発される骨関節炎モデルマウスの膝関節の組織構造の状態を改善することに関するものである。
9〜10週齢のC57オスマウス10匹を取り、50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。膝関節周囲の毛を取り除き、手術前にマウスにTolfedine(0.1ml/kg)鎮痛剤を筋肉内注射した。マウスを解剖顕微鏡の下に置き、右膝蓋骨の遠い端および脛骨フラットに隙間を開いて膝蓋靭帯を分離し、関節腔を露出させた。前十字靭帯が観察できるように、大腿骨顆間の脂肪パッドを鈍く分離した。前十字靭帯と内側側副靭帯をマイクロブレードで切断し、関節包と皮膚を縫合して骨関節炎モデルを構築した[32,33]。左膝関節について、切断操作を行わずに関節腔のみを露出させた。手術中に関節軟骨を損傷しないように注意し、手術後に肢体を固定させず、ケージ内に自由活動をさせた。手術後の1日目に、マウスにTolfedine(0.1ml/kg)とペニシリンカリウム(40000単位/kg)を12時間ごとに筋肉内注射した。2週間後に体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとし、投与を始めた。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、14日間連続して投与した。投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分して膝関節を取り、4%パラホルムアルデヒドにて24時間固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄した。上記の操作は4℃で行う必要がある。そして、パラフィンで包埋させ、4μmの切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で40倍にて観察した。
その結果、溶媒PBS投与対照群(図4A)の軟骨(三角に表記される)が大幅に失われ、骨小柱(矢印に表記される)が細くなって破断し、大きい面積の無骨小柱骨髄腔が現れ;溶媒PBS投与対照群と比較して、プラスミノーゲン投与群(図4B)の骨小柱の連続性が良く、ひどい破断がなく、大きい面積の無骨小柱区域がなく、軟骨組織は比較的に多い。これは、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節組織の構造状況を改善できることを示している。
[実施例5]
実施例5は、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発される骨関節炎モデルマウスの膝関節のアルカリフォスファターゼ活性を増強することに関するものである。
9〜10週齢のC57オスマウス10匹を取り、50mg/kg体重でペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。膝関節周囲の毛を取り除き、手術前にマウスにTolfedine(0.1ml/kg)鎮痛剤を筋肉内注射した。マウスを解剖顕微鏡の下に置き、右膝蓋骨の遠い端および脛骨フラットに隙間を開いて膝蓋靭帯を分離し、関節腔を露出させた。前十字靭帯が観察できるように、大腿骨顆間の脂肪パッドを鈍く分離した。前十字靭帯と内側側副靭帯をマイクロブレードで切断し、関節包と皮膚を縫合して骨関節炎モデルを構築した[32,33]。左膝関節について、切断操作を行わずに関節腔のみを露出させた。手術中に関節軟骨を損傷しないように注意し、手術後に肢体を固定させず、ケージ内に自由活動をさせた。手術後の1日目に、マウスにTolfedine(0.1ml/kg)とペニシリンカリウム(40000単位/kg)を12時間ごとに筋肉内注射した。2週間後に体重によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群5匹ずつとし、投与を始めた。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、14日間連続して投与した。投与し始めた日を1日目とし、15日目にマウスを殺処分して膝関節を取って固定液にて固定させた。固定液は、2%パラホルムアルデヒド、0.075mоl/Lリジン、および0.01mоl/L過ヨウ素酸ナトリウムを含む。固定後、4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄してから4℃脱カルシウム液において2週間脱カルシウムを行い、5日ごとに脱カルシウム液を置き換えた。脱カルシウムが終わってから4℃ PBS洗浄液で段階的に12時間洗浄し、膝関節をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは5umであり、切片を脱パラフィンさせ、さらに再水和して塩化マグネシウム緩衝液中で4℃終夜インキュベーションをした。アルカリフォスファターゼ基質溶液で室温で1時間インキュベーションをしてヘマトキシリンで2分間再染色した。流水で5分間流してから60℃で30分間乾かし、中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
アルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase,ALP)は骨芽細胞の初期に分化する指標である[32]
その結果、プラスミノーゲン投与群マウス(図5B、D)の膝関節の軟骨表面と成長板のアルカリフォスファターゼ着色(矢印に表記される)はいずれも溶媒PBS投与対照群(図5A、C)よりも多く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図5E)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが靭帯切断によって誘発された骨関節炎モデルマウスの膝関節のアルカリフォスファターゼ活性の増加を有意に促進でき、すなわち、プラスミノーゲンが膝関節の骨芽細胞の活性の増加を有意に促進できることを示している。
[実施例6]
実施例6は、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎モデルマウスの膝関節の軟骨再生を促進することに関するものである。
8〜10週齢のC57オスマウス25匹を取り、体重を測ってから体重によって二つの群に分け、偽手術群で5匹とし、モデル群で20匹とした。すべてのマウスに50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。麻酔後、モデル群マウスの左膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、左膝関節を90°曲げ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、脛骨に垂直な膝蓋腱を通過し、MIA(モノヨード酢酸、monoiodoacetic acid,MIA)生理食塩水溶液0.1mg/10μlを関節腔内に注射した。偽手術群の左関節腔に10μl生理食塩水を注射した。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした[34]。右膝関節を処理しなかった。関節腔内にMIA注射の3日後、モデル群マウスに対して疼痛テストを行い、テストの結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群10匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。MIA溶液は、MIA粉末(Sigma、57858−5G)を10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解し、0.22μmろ過膜でろ過して得られた。この溶液は、使用する直前に調製して使用される。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせて再水和した後にさらに1回水洗いし、それからPAPマーカーで組織を囲んだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の正常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間ブロッキングし、時間になった後、ヒツジ血清液を除去し、ウサギ抗II型コラーゲン抗体(Abcam、ab34712)4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)(二次抗体)を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で発色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹化処理した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍下にて観察して写真を撮り、Image−Proソフトウェアで処理してデータを収集した。
モノヨード酢酸(monoiodoacetic acid,MIA)は、関節軟骨と周囲の滑膜靭帯を破壊する効果がある。それを関節腔内に注射すると、関節腔の元の恒常性を変えることができ、さらに関節内の炎症反応を引き起こして軟骨と軟骨下骨の代謝を変え、関節内の環境の安定性を破壊し、軟骨細胞のアポトーシスと軟骨の摩耗を引き起こすことができる。研究により、モノヨード酢酸が関節軟骨の細胞代謝を阻害し、軟骨細胞の死亡を引き起こし、さらに軟骨マトリックスの分解を引き起こし、関節炎軟骨の変化及び骨関節炎モデルを誘発することができることは明らかになった。II型コラーゲンは、軟骨マトリックスの主要成分の一つであり、軟骨の機械的特性を維持する上で重要な役割を果たす[35]
その結果、偽手術群(図6A)マウスの膝関節には一定量のII型コラーゲン(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図6B)の膝関節のII型コラーゲンの量は偽手術群とは有意差がなく、プラスミノーゲン投与群(図6C)の膝関節のII型コラーゲンの量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果では、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図6D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの関節軟骨の再生を促進できることを示している。
[実施例7]
実施例7は、プラスミノーゲンがMIAによって誘発される骨関節炎を改善することに関するものである。
8〜10週齢のC57オスマウス25匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で5匹とし、モデル群で20匹とした。すべてのマウスに、50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。麻酔後、モデル群マウスの左膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、左膝関節を90°曲げ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、脛骨に垂直な膝蓋腱を通過し、MIA生理食塩水溶液0.1mg/10μlを関節腔内に注射した。偽手術群の左関節腔に10μl生理食塩水を注射した。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした[34]。右膝関節を処理しなかった。関節腔内にMIA注射の3日後、モデル群マウスに対して疼痛テストを行い、テストの結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群10匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。MIA溶液は、MIA粉末(Sigma、57858−5G)を10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解し、0.22μmろ過膜でろ過して得られた。この溶液は、使用する直前に調製して使用される。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた。5μm切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で40倍にて観察して写真を撮り、表1に従って病理学的スコアを行った。
その結果、偽手術群(図7A)マウスの膝関節には一定量の軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図7B)の膝関節の軟骨の量は有意に減少し、その病理学的スコアは有意に増加したことは示されている。これは、MIAが骨関節炎の誘発に成功したことを示している。また、プラスミノーゲン投与群(図7C)の膝関節の軟骨の量は、溶媒投与対照群よりも有意に多く、病理学的スコアも溶媒投与対照群より有意に低く、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図7D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが軟骨の再生を促進し、骨関節炎による関節の損傷を修復できることを示している。
[実施例8]
実施例8は、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの膝関節の軟骨再生を促進することに関するものである。
11〜15週齢のdb/dbメスマウス18匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で3匹とし、モデル群で15匹とした。モデル群マウスに、50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、マウスの背部の両側の毛を取り除いて70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。偽手術群マウスを麻酔した後、卵巣を摘出せずに皮膚、背部筋肉、および腹膜のみを切り分けた。すべての手術用マウスの切り口を縫い合わせて消毒した後、各匹に抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射により投与し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射により投与し、連続して3日間投与した。卵巣切除の65日後、すべてのマウスにペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、右膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、右膝関節を90°曲げ、正確な注射部位を見つけ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、抵抗が感じずに脛骨に垂直な膝蓋腱を通過した。モデル群マウスの右関節腔内に5μg/6μl II型コラゲナーゼ生理食塩水溶液を注射し、偽手術群マウスの右関節腔内に6μl生理食塩水を注射した[36,37]。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした。左膝関節について注射の処理をしなかった。コラゲナーゼ注射の7日後、すべてのマウスの体重を測り、体重によってモデル群マウスをランダムに二つの群に分け、溶媒投与対照群で7匹とし、プラスミノーゲン投与群で8匹とし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒投与対照群マウスには同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた。5μm切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で100倍にて観察して写真を撮り、Image−Proソフトウェアで処理してデータを収集した。
その結果、偽手術群(図8A)マウスの膝関節の大腿骨表面には少量の軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図8B)の大腿骨表面の軟骨の量は偽手術群と有意差がなく、プラスミノーゲン投与群(図8C)の大腿骨表面の軟骨の量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多く、しかも平均光学密度の定量分析の結果では、その差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図8D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの大腿骨表面の軟骨の再生を促進できることを示している。
[実施例9]
実施例9は、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎モデルラットの関節炎疼痛を軽減することに関するものである。
体重が約200g〜250gであるSDラット21匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で5匹とし、モデル群で16匹とした。すべてのラットに、3%ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)を腹腔注射により投与してラットを麻酔した。モデル群ラットの左と右の膝関節の毛を取り除いて70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、膝関節を90°曲げ、正確な注射部位を見つけ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、抵抗が感じずに脛骨に垂直な膝蓋腱を通過した。両側の関節腔内にそれぞれ2mg/50μl MIA生理食塩水溶液を注射し、偽手術群の左、右関節腔内に50μl生理食塩水を注射した。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした[38]。MIA溶液は、MIA粉末(Sigma、57858−5G)を40mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解し、0.22μmろ過膜でろ過して得られた。この溶液は、使用する直前に調製して使用される。MIA注射3日後、モデル群ラットに対して疼痛テストを行い、テストの結果によってランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群8匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。溶媒PBS投与対照群の各ラットに、毎日0.7ml溶媒(10mMクエン酸ナトリウム緩衝液、2%塩酸アルギニン、3%マンニトール、PH7.4)を尾静脈注射により投与し、プラスミノーゲン投与群ラットに7mg/0.7ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、7日間連続して投与し、投与期間中に動物の状態を観察した。8日目に左足と右足に対して疼痛テストを行った[38]
その結果、偽手術群ラットはより高い疼痛しきい値を有し、溶媒投与対照群ラットの左足および右足の疼痛しきい値はいずれも有意に低下し、偽手術群よりも有意に低く、プラスミノーゲン投与群ラットの左足および右足の疼痛しきい値は有意に上昇し、溶媒投与対照群と比較して、左足の差が統計学的に有意に近く(P=0.08)、右足の差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図9)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎の疼痛を明らかに軽減できることを示している。
[実施例10]
実施例10は、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの関節炎の疼痛を軽減することに関するものである。
7週齢のC57メスマウス19匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で3匹とし、モデル群で16匹とした。モデル群マウスに、50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、マウスの背部の両側の毛を取り除いて70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。偽手術群マウスを麻酔した後、卵巣を摘出せずに皮膚、背部筋肉、および腹膜のみを切り分けた。すべての手術用マウスの切り口を縫い合わせて消毒した後に抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射により投与し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射により投与し、連続して3日間投与した。卵巣切除の65日後、すべてのマウスにペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、右膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、右膝関節を90°曲げ、正確な注射部位を見つけ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、抵抗が感じずに脛骨に垂直な膝蓋腱を通過した。モデル群マウスの右関節腔内に5μg/6μl II型コラゲナーゼ生理食塩水溶液を注射し、偽手術群マウスの右関節腔内に6μl生理食塩水を注射した[36,37]。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした。左膝関節について注射の処理をしなかった。コラゲナーゼ注射の7日後、すべてのマウスの体重を測り、体重によってモデル群マウスをランダムに二つの群に分け、溶媒投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群8匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒投与対照群マウスには同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。29日目に右足に対して疼痛テストを行った[34]
その結果、偽手術群マウスはより高い疼痛しきい値を有し、溶媒投与対照群マウスの疼痛しきい値は有意に低下し、偽手術群マウスよりも有意に低く、プラスミノーゲン投与群マウスの疼痛しきい値は有意に上昇し、溶媒投与対照群マウスより有意に高く、しかもその差が統計学的に有意に近い(P=0.09)(図10)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎の疼痛を軽減できることを示している。
[実施例11]
実施例11は、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの軟骨再生を促進することに関するものである。
7週齢のC57メスマウス19匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で3匹とし、モデル群で16匹とした。モデル群マウスに、50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、マウスの背部の両側の毛を取り除いて70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。偽手術群マウスを麻酔した後、卵巣を摘出せずに皮膚、背部筋肉、および腹膜のみを切り分けた。すべての手術用マウスの切り口を縫い合わせて消毒した後に抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射により投与し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射により投与し、連続して3日間投与した。卵巣切除の65日後、すべてのマウスにペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、右膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、右膝関節を90°曲げ、正確な注射部位を見つけ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、抵抗が感じずに脛骨に垂直な膝蓋腱を通過した。モデル群マウスの右関節腔内に5μg/6μl II型コラゲナーゼ生理食塩水溶液を注射し、偽手術群マウスの右関節腔内に6μl生理食塩水を注射した[36,37]。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした。左膝関節について注射の処理をしなかった。コラゲナーゼ注射の7日後、すべてのマウスの体重を測り、体重によってモデル群マウスをランダムに二つの群に分け、溶媒投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群8匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒投与対照群マウスには同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。29日目にマウスを殺処分して両側の膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた。5μm切片をSafranin O染色した。切片を光学顕微鏡下で100倍にて観察して写真を撮り、Image−Proソフトウェアで処理してデータを収集した。
その結果、偽手術群(図11A、D)の左膝関節の大腿骨と脛骨表面には一定量の関節軟骨(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図11B、E)の脛骨と大腿骨表面の軟骨の量は偽手術群とは有意差がなく、プラスミノーゲン投与群(図11C、F)の軟骨の量は、溶媒投与対照群と偽手術群よりも有意に多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの関節軟骨の再生を促進できることを示している。
[実施例12]
実施例12は、プラスミノーゲンが骨関節炎モデルマウスの骨吸収を阻害することに関するものである。
7週齢のC57メスマウス19匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で3匹とし、モデル群で16匹とした。モデル群マウスに、50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、マウスの背部の両側の毛を取り除いて70%のアルコールとヨードチンキで消毒し、皮膚、背部筋肉および腹膜を切り分け、小さいピンセットでそっと白色の光っている脂肪塊を切り口から引き出し、脂肪塊を分離して卵巣が見えた。卵巣の下部の輸卵管を糸で結んで卵巣を摘出した。偽手術群マウスを麻酔した後、卵巣を摘出せずに皮膚、背部筋肉、および腹膜のみを切り分けた。すべての手術用マウスの切り口を縫い合わせて消毒した後に抗生物質(5000U/匹)を筋肉内注射により投与し、鎮痛剤(2mg/kg)を皮下注射により投与し、連続して3日間投与した。卵巣切除の65日後、すべてのマウスにペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔し、右膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、右膝関節を90°曲げ、正確な注射部位を見つけ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、抵抗が感じずに脛骨に垂直な膝蓋腱を通過した。モデル群マウスの右関節腔内に5μg/6μl II型コラゲナーゼ生理食塩水溶液を注射し、偽手術群マウスの右関節腔内に6μl生理食塩水を注射した[36,37]。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした。左膝関節について注射の処理をしなかった。コラゲナーゼ注射の7日後、すべてのマウスの体重を測り、体重によってモデル群マウスをランダムに二つの群に分け、溶媒投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群8匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒投与対照群マウスには同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、5μm切片をパラフィンで包埋させて再水和し、酸性フォスファターゼ(TRAP)染色を行った。
酸性フォスファターゼ(TRAP)は破骨細胞の特異的な指標酵素であり、破骨細胞は骨吸収の主な機能細胞である。その結果、偽手術群(図12A)の膝関節には一定量の酸性フォスファターゼ(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図12B)の膝関節の酸性フォスファターゼが増加し、偽手術群より有意に多く、プラスミノーゲン投与群(図12C)の膝関節の酸性フォスファターゼは溶媒投与対照群よりも有意に少なく、しかもその差が統計学的に有意である(*は、P<0.05を表す)(図12D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の酸性フォスファターゼを低減し、破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を阻害できることを示している。
[実施例13]
実施例13は、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎膝関節の脛骨端のSоx9陽性幹細胞の数の増加を促進することに関するものである。
8〜10週齢のC57オスマウス25匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で5匹とし、モデル群で20匹とした。すべてのマウスに50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。麻酔後、モデル群マウスの左膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、左膝関節を90°曲げ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、脛骨に垂直な膝蓋腱を通過し、MIA生理食塩水溶液0.1mg/10μlを関節腔内に注射した。偽手術群の左関節腔に10μl生理食塩水を注射した。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした[34]。右膝関節を処理しなかった。関節腔内にMIA注射の3日後、モデル群マウスに対して疼痛テストを行い、テストの結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群10匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。MIA溶液は、MIA粉末(Sigma、57858−5G)を10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解し、0.22μmろ過膜でろ過して得られた。この溶液は、使用する直前に調製して使用される。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせて再水和した後にさらに1回水洗いし、それからPAPマーカーで組織を囲んだ。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。5%の正常ヒツジ血清液 (Vector laboratories,Inc.,USA)で30分間封止し、時間になった後、ヒツジ血清液を除去し、ウサギ抗II型コラーゲン抗体(Abcam、ab34712)4℃で終夜インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)(二次抗体)を室温で1時間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で発色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒再染色して、流水で5分間洗い流した。アルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹化処理した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で100(A〜C)と400(D〜F)倍下にて観察して写真を撮り、Image−Proソフトウェアで処理してデータを収集した。
Sox9は、軟骨の発育と形成の過程において肝心な転写因子であり、間葉系肝細胞の凝集および軟骨細胞への分化を決定し、軟骨の発育成熟および損傷の修復などの過程に対して重要な調節の役割を果たす[39]
その結果、偽手術群(図13A、D)の膝関節の脛骨には一定量のSox9陽性幹細胞(矢印に表記される)があり、溶媒投与対照群(図13B、E)の膝関節の脛骨のSox9陽性幹細胞の数が有意に減少し、プラスミノーゲン投与群(図13C、F)の膝関節の脛骨のSox9陽性幹細胞の数は溶媒投与対照群よりも有意に多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の脛骨端のSox9陽性幹細胞の数の増加を促進し、骨関節炎によって引き起こされる膝関節の損傷を修復できることを示している。
[実施例14]
実施例14は、プラスミノーゲンがMIA骨関節炎モデルマウスの膝関節の滑膜炎症を改善することに関するものである。
8〜10週齢のC57オスマウス25匹を取り、体重を測ってから体重によってランダムに二つの群に分け、偽手術群で5匹とし、モデル群で20匹とした。すべてのマウスに50mg/kg体重で3%ペントバルビタールナトリウムを腹腔注射により投与してマウスを麻酔した。麻酔後、モデル群マウスの左膝の毛を取り除き、70%アルコールとヨードチンキで消毒し、左膝関節を90°曲げ、膝蓋骨の下方の隙間が見つかるまで注射針を膝に沿って水平に動かせた(皮膚を刺し通さないように)。わずかな圧力で当該領域を標記し、針とシリンジを垂直に持ち上げ、標記された領域に針を挿入し、脛骨に垂直な膝蓋腱を通過し、MIA生理食塩水溶液0.1mg/10μlを関節腔内に注射した。偽手術群の左関節腔に10μl生理食塩水を注射した。注射後、均一に分布するように膝をマッサージした[34]。右膝関節を処理しなかった。関節腔内にMIA注射の3日後、モデル群マウスに対して疼痛テストを行い、テストの結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で各群10匹ずつとし、投与を始め、その日を投与1日目とした。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1ml/匹/日でヒトプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群には同じ体積の溶媒PBS緩衝液を尾静脈注射により投与し、28日間連続して投与した。偽手術群マウスには投与しなかった。MIA溶液は、MIA粉末(Sigma、57858−5G)を10mg/mlの濃度で生理食塩水に溶解し、0.22μmろ過膜でろ過して得られた。この溶液は、使用する直前に調製して使用される。29日目にマウスを殺処分して左膝関節を取ってPLP固定液にて固定させてから、10%EDTAで3週間脱カルシウムし、ショ糖溶液で段階的に洗浄し、そして、パラフィンで包埋させた(膝関節周辺の筋肉を残した)。組織切片の厚みは5μmであり、切片を脱パラフィンさせて再水和した後にヘマトキシリンとエオシンで染色(H&E染色)し、1%塩酸エタノールで分化させ、アンモニア水でブルーイングさせ、さらにアルコールで段階的に脱水させてキシレンで透徹化処理した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で400倍にて観察した。
その結果、偽手術群(図14A)の膝関節滑膜には明らかな炎症細胞浸潤がなく、溶媒投与対照群(図14B)の膝関節滑膜には明らかな炎症細胞浸潤(矢印に表記される)が見られ、プラスミノーゲン投与群(図14C)の膝関節滑膜の炎症細胞浸潤は溶媒投与対照群より有意に少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが骨関節炎膝関節の滑膜炎症を改善できることを示している。
上記のすべての実施例で使用された(ヒト)プラスミノーゲンは、ヒトのドナー血漿から得られ、文献[40〜42]に記載されている方法に基づいてプロセスの最適化をしてヒトの血漿から精製されて得られたものである。プラスミノーゲン単量体の純度は>95%である。
参考文献:
[1] National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases. April 2015. Archived from the original on 18 May 2015. Retrieved 13 May 2015.
[2] Glyn-Jones S, Palmer AJ, Agricola R, Price AJ, Vincent TL, Weinans H, Carr AJ (July 2015). "Osteoarthritis". Lancet. 386 (9991): 376-87.
[3] Berenbaum F (January 2013). "Osteoarthritis as an inflammatory disease (osteoarthritis is not osteoarthrosis!)". Osteoarthritis and Cartilage. 21 (1): 16-21.
[4] Li G, Yin J, Gao J, Cheng TS, Pavlos NJ, Zhang C, Zheng MH (2013). "Subchondral bone in osteoarthritis: insight into risk factors and microstructural changes".
[5] Alexander CM and Werb, Z. (1991). Extracellular matrix degradation. In Cell Biology of Extracellular Matrix, Hay ED, ed. (New York: Plenum Press), pp. 255-302.
[6] Werb, Z., Mainardi, C.L., Vater, C.A., and Harris, E.D., Jr. (1977). Endogenous activiation of latent collagenase by rheumatoid synovial cells. Evidence for a role of plasminogen activator. N. Engl. J. Med. 296, 1017-1023.
[7] He, C.S., Wilhelm, S.M., Pentland, A.P., Marmer, B.L., Grant, G.A., Eisen, A.Z., and Goldberg, G.I. (1989). Tissue cooperation in a proteolytic cascade activating human interstitial collagenase. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 86, 2632-2636.
[8] Stoppelli, M.P., Corti, A., Soffientini, A., Cassani, G., Blasi, F., and Assoian, R.K. (1985). Differentiation-enhanced binding of the amino-terminal fragment of human urokinase plasminogen activator to a specific receptor on U937 monocytes. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 82, 4939-4943.
[9]Vassalli, J.D., Baccino, D., and Belin, D. (1985). A cellular binding site for the Mr 55, 000 form of the human plasminogen activator, urokinase. J. Cell Biol. 100, 86-92.
[10] Wiman, B. and Wallen, P. (1975). Structural relationship between "glutamic acid" and "lysine" forms of human plasminogen and their interaction with the NH2-terminal activation peptide as studied by affinity chromatography. Eur. J. Biochem. 50, 489-494.
[11] Saksela, O. and Rifkin, D.B. (1988). Cell-associated plasminogen activation: regulation and physiological functions. Annu. Rev. Cell Biol. 4, 93-126.
[12] Raum, D., Marcus, D., Alper, C.A., Levey, R., Taylor, P.D., and Starzl, T.E. (1980). Synthesis of human plasminogen by the liver. Science 208, 1036-1037.
[13] David M.Waisman.Plasminogen: structure, activation, and regulation. Springer US, 2003.
[14] Sottrup-Jensen, L., Zajdel, M., Claeys, H., Petersen, T.E., and Magnusson, S. (1975). Amino-acid sequence of activation cleavage site in plasminogen: homology with "pro" part of prothrombin. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 72, 2577-2581.
[15] Collen, D. and Lijnen, H.R. (1991). Basic and clinical aspects of fibrinolysis and thrombolysis. Blood 78, 3114-3124.
[16] Alexander, C.M. and Werb, Z. (1989). Proteinases and extracellular matrix remodeling. Curr. Opin. Cell Biol. 1, 974-982.
[17] Mignatti, P. and Rifkin, D.B. (1993). Biology and biochemistry of proteinases in tumor invasion. Physiol Rev. 73, 161-195.
[18] Collen, D. (2001). Ham-Wasserman lecture: role of the plasminogen system in fibrin-homeostasis and tissue remodeling. Hematology. (Am. Soc. Hematol. Educ. Program. ) 1-9.
[19] Rifkin, D.B., Moscatelli, D., Bizik, J., Quarto, N., Blei, F., Dennis, P., Flaumenhaft, R., and Mignatti, P. (1990). Growth factor control of extracellular proteolysis. Cell Differ. Dev. 32, 313-318.
[20] Andreasen, P.A., Kjoller, L., Christensen, L., and Duffy, M.J. (1997). The urokinase-type plasminogen activator system in cancer metastasis: a review. Int. J. Cancer 72, 1-22.
[21] Rifkin, D.B., Mazzieri, R., Munger, J.S., Noguera, I., and Sung, J. (1999). Proteolytic control of growth factor availability. APMIS 107, 80-85.
[22] Marder V J, Novokhatny V. Direct fibrinolytic agents: biochemical attributes, preclinical foundation and clinical potential [J]. Journal of Thrombosis and Haemostasis, 2010, 8(3): 433-444.
[23] Hunt J A, Petteway Jr S R, Scuderi P, et al. Simplified recombinant plasmin: production and functional comparison of a novel thrombolytic molecule with plasma-derived plasmin [J]. Thromb Haemost, 2008, 100(3): 413-419.
[24] Medynski D , Tuan M , Liu W , et al. Refolding, purification, and activation of miniplasminogen and microplasminogen isolated from E. coli inclusion bodies.[J]. Protein Expression & Purification, 2007, 52(2):395-402.
[25] Nagai N, Demarsin E, Van Hoef B, et al. Recombinant human microplasmin: production and potential therapeutic properties [J]. Journal of Thrombosis and Haemostasis, 2003, 1(2): 307-313.
[26] E. DACI, A. VERSTUYF, K. MOERMANS et al. Bone Resorption Induced by 1a,25 Dihydroxyvitamin D3 In Vivo Is Not Altered by Inactivation of the Plasminogen Activator Inhibitor 1. Bone Vol. 27, No. 1 July 2000:97-102.
[27] Mohammed S. Razzaque, Despina Sitara,Takashi Taguchi et al. Premature aging-like phenotype in fibroblast growth factor 23 null mice is a vitamin D-mediated process. FASEB J. 2006 Apr; 20(6): 720-722.
[28] Mackay, A. M., Beck, S. C., Murphy, J. M., Barry, F. P., Chichester, C. O., & Pittenger, M. F. (1998). Chondrogenic differentiation of cultured human mesenchymal stem cells from marrow. Tissue Engineer. 4:415-428.
[29].Peter L. E. M. van Lent, 1 Arjen B. Blom,1 Rik F. P. Schelbergen et al. Active Involvement of Alarmins S100A8 and S100A9 in theRegulation of Synovial Activation and Joint Destruction During Mouse and Human Osteoarthritis. Arthritis Rheum. 2012 May; 64(5):1466-76. doi: 10.1002/art.34315.
[30] Peter M. van der Kraan, Elly L. Vitters, Henk M. van Beuningen et al. Degenerative knee joint lesions in mice after a single intra-articular collagenase injection. A new model of osteoarthritis. J Exp Pathol (Oxford). 1990 Feb; 71(1):19-31.
[31] Ostergaard K, Andersen CB, Petersen J et al. Validity of histopathological grading of articular cartilage from osteoarthritic knee joints. Ann Rheum Dis. 1999 Apr; 58(4):208-13.
[32] Weinreb M, Shinar D , Rodan G. Different pattern of alkaline phosphatase, osteopontin ,and osteocalcin expression in developing rat bone visualized by in situ hybridization J . J Bone Miner Res, 1990, 5 (8) :831-842.
[33] S. Kamekura M.D.y, K. Hoshi M.D., Ph.D et al. Osteoarthritis development in novel experimental mouse models induced by knee joint instability. Osteoarthritis Cartilage. 2005 Jul;13(7):632-41.
[34] Ogbonna AC, ClarkAK et al. Pain-like behavior and spinal changes in the monosodium iodoacetate model of osteoarthritis in C57Bl/6 mice. EurJPain.2013Apr; 17(4): 514-26.
[35] Keigo Sato, Hisashi Mera, Shigeyuki Wakitani et al. Effect of epigallocatechin-3-gallate on the increase in type II collagen accumulation in cartilage-like MSC sheets. Journal of the Agricultural Chemical Society of Japan, 2017, 81(6):5.
[36] Gustavo Duque, Dao Chao Huang,Natalie Dion et al. Interferon-g Plays a Role in Bone Formation In Vivo and Rescues Osteoporosis in Ovariectomized Mice. Journal of Bone and Mineral Research, Vol. 26, No. 7, July 2011, pp 1472-1483.
[37] Peter M. van der Kraan, Elly L. Vitters, Henk M. van Beuningen et al. Degenerative knee joint lesions in mice after a single intra-articular collagenase injection. A new model of osteoarthritis. J Exp Pathol (Oxford). 1990 Feb; 71(1):19-31.
[38] Combe R, Bramwell S, Field MJ et al. The monosodium iodoacetate model of osteoarthritis: a model of chronic nociceptive pain in rats? Neurosci Lett. 2004 Nov 11;370(2-3):236-40.
[39] Hardingham T E, Oldershaw R A, Tew S R. Cartilage, SOX9 and Notch signals in chondrogenesis[J]. Journal of Anatomy, 2010, 209(4):469-480.
[40] KennethC Robbins,Louis Summaria,David Elwyn et al.Further Studies on the Purification and Characterization of Human Plasminogen and Plasmin. Journal of Biological Chemistry, 1965, 240 (1):541-550.
[41] Summaria L, Spitz F, Arzadon L et al. Isolation and characterization of the affinity chromatography forms of human Glu- and Lys-plasminogens and plasmins. J Biol Chem. 1976 Jun 25; 251(12):3693-9.
[42] HAGAN JJ, ABLONDI FB, DE RENZO EC. Purification and biochemical properties of human plasminogen. J Biol Chem. 1960 Apr; 235:1005-10.

Claims (15)

  1. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、骨関節炎を治療する方法。
  2. 前記プラスミノーゲンが関節軟骨の量を増加させ、および/または関節軟骨損傷の修復を促進する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プラスミノーゲンが関節滑膜の炎症を改善する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記プラスミノーゲンが関節の軟骨下骨の骨再建を促進する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記プラスミノーゲンが関節の炎症、疼痛を改善し、および/または関節機能を改善する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記プラスミノーゲンが関節の腫れおよび疼痛を軽減する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、骨関節炎被験者の関節軟骨の再生を促進する方法。
  8. 被験者に有効量のプラスミノーゲンを投与することを含む、被験者の関節損傷の修復を促進する方法。
  9. 前記プラスミノーゲンが関節軟骨の再生および/または軟骨下骨の骨再建を促進する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記被験者が骨関節炎被験者である、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記プラスミノーゲンが関節組織の炎症を改善し、および/または関節疼痛を軽減する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記プラスミノゲンが配列2と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有し、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記プラスミノーゲンがプラスミノーゲン活性フラグメントを含み、且つ依然としてプラスミノーゲン活性を有するタンパク質である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記プラスミノーゲンがGlu−プラスミノーゲン、Lys−プラスミノーゲン、ミニプラスミノーゲン、マイクロプラスミノーゲン、delta−プラスミノーゲンまたはそれらの、プラスミノーゲン活性を保持した変異体から選択されるものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記プラスミノーゲンが、天然または合成のヒトプラスミノーゲン、または依然としてプラスミノーゲン活性を保持した変異体若しくはフラグメントである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
JP2020532991A 2017-12-15 2018-12-17 骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤 Active JP7214245B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN2017116636 2017-12-15
CNPCT/CN2017/116636 2017-12-15
PCT/CN2018/121535 WO2019114839A1 (zh) 2017-12-15 2018-12-17 一种预防或治疗骨关节炎的方法和药物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021506828A true JP2021506828A (ja) 2021-02-22
JP7214245B2 JP7214245B2 (ja) 2023-01-30

Family

ID=66819953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020532991A Active JP7214245B2 (ja) 2017-12-15 2018-12-17 骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11642397B2 (ja)
EP (1) EP3725326A4 (ja)
JP (1) JP7214245B2 (ja)
CN (1) CN111465408B (ja)
CA (1) CA3123318A1 (ja)
WO (1) WO2019114839A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7171572B2 (ja) 2016-12-15 2022-11-15 タレンゲン インターナショナル リミテッド 糖尿病を治療するための新しい方法
CA3123318A1 (en) 2017-12-15 2019-06-20 Talengen International Limited Method and drug for preventing or treating osteoarthritis
CN111789953B (zh) * 2020-08-04 2022-02-15 中山大学附属第一医院 MicroRNA-455-3p在骨关节炎治疗上的应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002520367A (ja) * 1998-07-14 2002-07-09 ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー アンギオスタチンのリジン結合フラグメント
US6475784B1 (en) * 1997-11-14 2002-11-05 Valentis, Inc. Inhibition of angiogenesis by delivery of nucleic acids encoding anti-angiogenic polypeptides
CN105664145A (zh) * 2016-01-29 2016-06-15 湘潭大学 一种用于抗炎镇痛的药物组合物及其应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3773919A (en) 1969-10-23 1973-11-20 Du Pont Polylactide-drug mixtures
IE52535B1 (en) 1981-02-16 1987-12-09 Ici Plc Continuous release pharmaceutical compositions
EP1516628B1 (en) 1995-07-27 2013-08-21 Genentech, Inc. Stable isotonic lyophilized protein formulation
AU4571099A (en) 1998-06-16 2000-01-05 General Hospital Corporation, The Matrix metalloproteinase proenzyme activator
CN102154253A (zh) 2011-01-06 2011-08-17 郑州大学 具有抑制血小板凝集功能的微小纤溶酶原突变体及其制备方法和用途
CN104056260A (zh) * 2014-06-17 2014-09-24 王维山 一种骨关节炎动物模型的制备方法
CN110402150A (zh) 2016-12-15 2019-11-01 泰伦基国际有限公司 一种预防和治疗骨质疏松的药物及其用途
CA3123318A1 (en) 2017-12-15 2019-06-20 Talengen International Limited Method and drug for preventing or treating osteoarthritis

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6475784B1 (en) * 1997-11-14 2002-11-05 Valentis, Inc. Inhibition of angiogenesis by delivery of nucleic acids encoding anti-angiogenic polypeptides
JP2002520367A (ja) * 1998-07-14 2002-07-09 ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー アンギオスタチンのリジン結合フラグメント
CN105664145A (zh) * 2016-01-29 2016-06-15 湘潭大学 一种用于抗炎镇痛的药物组合物及其应用

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JOURNAL OF BIOMEDICINE AND BIOTECHNOLOGY, vol. Vol. 2012, Article ID 272148, JPN6021035715, 2012, pages 1 - 14, ISSN: 0004593643 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN111465408A (zh) 2020-07-28
US11642397B2 (en) 2023-05-09
WO2019114839A1 (zh) 2019-06-20
EP3725326A4 (en) 2021-03-03
US20210154275A1 (en) 2021-05-27
EP3725326A1 (en) 2020-10-21
CN111465408B (zh) 2023-07-04
CA3123318A1 (en) 2019-06-20
JP7214245B2 (ja) 2023-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6682008B2 (ja) 糖尿病性腎症を予防及び治療するための方法
JP6749412B2 (ja) 糖尿病性神経損傷及びその関連疾患を予防または治療するための方法
TWI763960B (zh) 一種預防或治療骨關節炎的方法及藥物
JP6783870B2 (ja) 心血管病を予防及び治療するための新しい方法
TWI680764B (zh) 一種預防動脈粥樣硬化及其併發症的方法
JP2020059730A (ja) 糖尿病網膜症を予防または治療するための方法
CA3047298C (en) Drug for preventing and treating osteoporosis and use thereof
TWI657823B (zh) 一種預防和治療系統性硬化症的方法
JP7214245B2 (ja) 骨関節炎を予防または治療するための方法および薬剤
TW201829448A (zh) 纖溶酶原在製備預防或治療肥胖症及疾病倂發的肥胖的藥物中的用途
TW202123962A (zh) 一種預防和治療腎纖維化的方法
JP2019505570A (ja) 放射性および化学的損傷を予防及び治療するための方法
KR20220127880A (ko) 신경 손상 및 이의 관련 병증 치료 방법
EP4190911A1 (en) Method and drug for tumor treatment

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200615

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200923

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200918

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200814

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210914

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20211130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20211201

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20220209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20220314

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221107

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20221107

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20221115

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20221122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7214245

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150