JP2021505554A - 眼の後部の疾患を治療するためのドベシル酸を含む眼科用局所組成物 - Google Patents

眼の後部の疾患を治療するためのドベシル酸を含む眼科用局所組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、特に網膜及び視神経の病態に対する、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防のための新たな治療アプローチに関する。ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はその酸若しくは塩のいずれかのエステルを、眼表面に局所投与する使用に対して提案する。眼の後部の疾患の治療及び/又は予防を実施するために適合された、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はその酸若しくは塩のいずれかのエステルを含む新たな組成物も開示される。

Description

本出願は、2017年12月4日に出願された欧州特許出願第17382832.8号の利益を主張する。
本発明は、網膜症とならんで視神経の病態を含む、後眼房の疾患を治療するための医学的アプローチの分野に関する。本発明はまた、眼科用組成物に関する。
眼は、最適な視覚機能を維持するように調節されている、様々な特殊化された細胞及び組織を備えた複雑な器官である。この機能は、眼の前部及び後部に緊密なバリアが存在することで実現され、流体及び溶質の内向き及び/又は外向きの横断を選択的に制御することで重要な役割を果たす。局部的な及び全身性の疾患は、眼の様々な領域に影響を与える可能性があるが、眼の解剖学、ならびに網膜及び視神経の複雑な生理機能は、有効な薬剤の開発を困難にしている。
眼は、前部(眼の前部)と後部(眼の後部)と呼ばれる2つの区画に大きく分けられる。眼の前部とは、角膜、結膜、前強膜(前方に移行して角膜輪部で角膜になる強膜の一部)、虹彩、毛様体、房水、及び水晶体を指す。眼の後部(後眼部とも呼ばれる)には、前部硝子体膜及びこの膜の後ろの構造、後強膜(視神経硬膜鞘(optic nerve dural sheat)へと後部に移行する強膜の一部)、硝子体(硝子体液及び膜を含む)、網膜、黄斑、脈絡膜及び視神経が含まれる。後部は眼の3分の2を占める。視力障害及び不可逆的な失明の主な原因は、眼の後部に関連する疾患である。
眼の薬物投与のための最も侵襲性の少ない経路は、局所製剤(例えば、点眼剤)である。局所局部投与は、前部疾患の主な治療様式である。しかしながら、病原体がアクセスするのを回避するための眼の障壁は、前部への薬物送達さえも妨げる。さらに、異物を洗い流し、滑らかで澄んだ前面を維持するようになっているまばたき及び涙液膜のターンオーバーも、薬物の滞留時間を制限する。さらに、後部へのアクセスは、様々な親油性を持つ密に詰まった角膜上皮及び間質によって妨げられる(非特許文献1を参照されたい)。さらに、眼の房水流の方向(毛様体から前房隅角)は、局所経路を介した薬物送達の方向に反する。
それにもかかわらず、薬物が最終的に眼の後部に到達できる場合、前房への拡散によって、又は血液網膜関門によって、硝子体腔から除去される可能性がある。これはいずれも、眼の表面に局所的に投与することによる後部の疾患のあらゆる眼の治療を困難にし、眼の後部の疾患を治療するために日常的に使用される唯一の局部様式は、硝子体内注射(IVT:intravitreal injection)又は眼周囲注射である。IVT注射は全ての障壁を回避し、最大のバイオアベイラビリティをもたらす。しかしながら、IVT注射は、わずかであるが重大な、失明の合併症のリスク、網膜剥離のリスク、及び眼内炎のリスクを示唆する。さらに、これらの注射は、疾患の初期段階に対する非常に侵襲性の治療方式となる。
一方、眼の後部の疾患を治療するための全身製剤は、眼血管床の間の流体及び分子の動きを制御し、網膜において高分子(アルブミン等)及び有害な分子の漏出を防ぐ、血液網膜関門(BRB)に打ち勝つ必要がある。BRBの外層及び内層により、網膜及び硝子体へのいかなる薬物の流入も非常に限られている。これは、多くの製剤が、副作用を伴う高用量の薬物を必要とすることを意味する。
主な後部眼科障害には、病的な血管新生及び異所性増殖、萎縮及び神経細胞死、炎症及び感染症、ならびに剥離等の状態が含まれる。これらの症状に共通して関連する疾患及び状態としては、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜色素変性症、黄斑浮腫、緑内障、後部ブドウ膜炎、眼内炎、眼球発作(ocular insult)、ならびにウイルス感染、関節炎及び酒さ等の全身性疾患の眼症状が挙げられる。
経口投与されるドベシル酸カルシウム一水和物(CDO)は、糖尿病性網膜症(DR)及び静脈不全の治療として知られている。Doxium(登録商標)(Laboratorios Dr.Esteve)は、非増殖性糖尿病性網膜症に投与されるドベシル酸カルシウム一水和物のハードカプセルの商品名である。
CDOは、ドベシル酸のカルシウム塩の一水和物であり、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸一水和物とも呼ばれる。ドベシル酸カルシウムのCAS番号は20123−80−2である。CDO(CAS番号、117552−78−0)は次式(I)を有する。
CDOは、容易に酸化されて3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエン−1−スルホン酸カルシウムになり得る化合物であり、したがって非常に不安定であることは広く知られている。CDOのこの物理化学的特性は、急速に酸化するため、局所投与には欠点があると考えられる。さらに、CDOは非常に親水性の高い分子であり、眼の薬物吸収に対する目立った障壁である。角膜上皮は本質的に類脂質性の性質があり、局所的に投与された親水性薬物の浸透に対してかなりの抵抗をもたらすことはよく知られており、さらに結膜上皮のタイトジャンクションは親水性分子の受動的な動きをさらに遅らせることができる(非特許文献2)。角膜及び結膜上皮は、ドベシル酸及びその塩のような高親水性分子の浸透を回避する生理的障壁である。さらに、後眼組織への薬物の浸透は、主に、非常に疎水性の分子に対して選択的に浸透性の血液網膜関門(BRB)によって左右され、CDOのような溶解性の高い分子に対する別の制限段階である。極性分子のバイオアベイラビリティは限られているため、経強膜網膜送達(transcleral retinal delivery)の眼科薬物の吸収を強化するための戦略のいくつかが、疎水性プロドラッグの開発において注目されている(非特許文献3)。
CDO類似化合物、特にドベシル酸ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の塩(エタムシル酸塩、Dicynone(登録商標)、Sanofi−Aventis)は、黄斑下及び硝子体下出血の治療用IVT注射の活性成分として、特許文献1に開示されている。Dicynone(登録商標)のIVT注射は、加齢性黄斑変性症の治療について特許文献2にも開示されている。いずれの文書も、侵襲的なIVT注射の代わりに眼表面を使用することを提案しているが、データは示されていない。これは主に、眼の前部によって課される上記の障壁のために、薬物が眼の後部に到達する可能性が低いためである。薬物が非常に極性又は親水性であり、この前部の様々な組織の多用な親油性を通過しなければならない場合は、より一層難しくなる。また、それらの溶解性のため、可溶性薬物は涙によってすぐに洗い流される。さらに、薬剤がすぐに酸化されることを考慮すると、局部IVT注射が最良の選択肢のようである。
これら全ての理由により、DRを治療するためのCDO(Doxium(登録商標))の全身投与に加えて、他のドベシル酸化合物が、眼の後部の疾患の治療におけるこれらのIVT注射に今日提案されているが、これらの化合物の局所眼投与のための組成物はない。(例えば、非特許文献4;非特許文献5を参照されたい)。
ドベシル酸の塩は、主にその血管保護(vasoprotection)効果及び血管保護(angioprotective)効果により、経口投与又は注射にかかわらず、眼の後部の疾患の治療に使用される。CDOは、少なくとも次の作用メカニズムに有効である:(i)網膜アルブミン漏出及び毛細血管透過性を低下させ、血液網膜関門(BRB)を保護すること、(ii)血小板凝集及び血液粘度の阻害、(iii)一酸化窒素合成の増加による、内皮依存性弛緩のアップレギュレーション、(iv)血管内において血管内皮細胞のアポトーシスを阻害すること、(v)抗酸化及び抗ラジカル活性、(vi)活性酸素種に対する保護、(vii)炎症及び血管内皮増殖因子を調節するICAM−1のアップレギュレーションを防ぐこと、(viii)抗炎症作用、又は(ix)神経保護。エタミシル酸塩はまた、ウサギの眼圧を低下させ、プロスタグランジンの生合成を阻害する止血剤(出血時間の短縮)であると記載されている。
これらの作用メカニズムは、主に上記のように最初に酸化するため、抗酸化特性の高い化合物であるドベシル酸(塩、又は当該酸若しくは塩のエステル)の性質に基づいている。先に言及された試験でドベシル酸ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸の塩(エタムシル酸塩、Dicynone(登録商標)、Sanofi−Aventis)が硝子体内に注射されるのも、それが急速に酸化するという事実によるものである。従来技術によれば、主にその極性が高く、期待される吸収が低く、一旦局部的に投与されると滞留時間が制限されるため、いかなる他の局所眼科適用も推奨されていない。
当業者は、いかなる場合でも、非特許文献6の教示に従って経口薬(全身)としてドベシル酸を提案するであろう。それにもかかわらず、Simoらはまた、糖尿病性網膜症の病態に関与する主な経路を遮断するために行われる全身治療は、ドベシル酸が提案されているが、網膜及び視神経には薬理学的濃度ではほとんど到達できないと述べている。
さらに、点眼薬の局所投与は眼の前部の疾患の治療にのみ有用であり、後眼部の治療は満たされていない医療ニーズのある重要な治療標的であるという科学的に明らかな承認がある(非特許文献7)。
欧州特許出願公開第2875811号明細書 欧州特許第2777699号明細書
Awwad et al.,"Principles of Pharmacology in the Eye",British Journal of Pharmacology−2017,vol no.174 Issue 23,pp.:4205−4223 Gaudana et al,"Ocular drug delivery",American Association of Pharmaceutical Sci.2010 Sep;12(3):348−360.doi:10.1208/s12248−010−9183−3.Epub 2010 May1 Vadlapudi et al,"Ocular Drug Delivery",Chapter 10,pp.:2019−263 Cuevas et al.,"Single Intravitreal Injection of Etamsylate for the Treatment of Geographic Atrophy Associated with Submacular Hemorrhage",MOJ Clin Med Case−2017,vol.no.7(1):00186 Cuevas et al.,"Intravitreal Dobesilate Injection for Macular Oedema Secondary to Branch Retinal Vein Occlusion",MOJ Clin Med Case−2016,vol.no.4(1):00078 Simo et al.,"Mechanisms of retinal neuroprotection of calcium dobesilate:therapeutic implications"Neural Regen Res−2017,vol.no.12(10),pp.:1620−1622 del Amo et al.,"Current and future ophthalmic drug delivery systems.A shift to the posterior segment",Drug Discovery Today−2008,vol.no.13(3/4),pp.:135−143
したがって、治療有効量の活性成分を後部に送達することができる後部の眼科障害の予防的及び治療的処置のための局所眼組成物の非侵襲的代替投与経路の必要性が依然として存在する。後部の眼科障害の予防的及び治療的処置のための方法も必要である。
発明者らは、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩、特にCDO及びエタムシル酸塩を眼表面に局所的に投与することができ、眼の前部の全ての障壁をすばやく通過して、網膜及び視神経(眼底)に到達できることに気づいた。したがって、局所投与されると、それらは角膜、結膜及び強膜を通過するが、虹彩及び水晶体の障壁も克服する。CDOのような親水性の高い分子は角膜透過性が乏しく、眼の後眼房にほとんど到達しないため、この知見は意外であり予想外である。さらに、高い水溶性は、涙液中の活性成分の迅速な溶解又は希釈、ならびに迅速なすすぎ及びクリアランスを伴い、眼局所投与後の薬物の吸収及びバイオアベイラビリティを低下させる可能性がある。驚くべきことに、その抗酸化活性及び高い反応性にもかかわらず、ドベシル酸塩は、眼表面から網膜及び/又は視神経のような眼内部組織への拡散経路において分解されない。さらに、CDOは、眼の後部のいくつかの構造に、それらの効果を発揮するのに十分な期間、留まる。
したがって、ドベシル酸は酸化プロセスによって不安定になる可能性があり、極性が高く、極性溶媒に可溶であるが、ドベシル酸及び/又はCDOやエタムシル酸塩等のその塩とならんで、その酸又は塩のエステルは、眼の後部に到達してそこに留まり、特性の中でもとりわけ、抗血管新生剤としての作用により、血管保護剤及び神経保護剤として作用する。
眼表面へのCDOの投与が、満たされていない医療ニーズを持つ重要な治療標的である後眼部の障害を治療するための効果的な投与経路を可能にすることが明らになったため、これらの知見は非常に有利である。
さらに、実施例に示されているように、局所的に適用されたCDOは、後眼部でのバイオアベイラビリティが高く、これを単回経口投与した場合よりも高くなる。後部に到達するために克服すべきいくつかの障壁により、眼科局所投与後の硝子体液及び網膜における薬物のバイオアベイラビリティは非常に低く、その結果「局所点眼薬は網膜及び脈絡膜に効果的に薬物を送達しない」ことが広く受け入れられているため、これは非常に驚くべきことである(Ranta et al.,“Barrier analysis of periocular drug delivery to the posterior segment”,Journal of Controlled Release−2010,vol.no.148,pp.:42−48)。或いは、Awwad et al.“Principles of Pharmacology in the Eye”,British Journal of Pharmacology−2017,vol.no.174 Issue 23,pp.:4205−4223によって示されるように、従来の局所的な方法で適用された薬物は、硝子体に到達するまでに250,000〜1,000,000の間の係数で希釈される。したがって、特定の薬物が一旦局所投与されて硝子体液に到達できる場合、その量は薬理学的には非効率的である。
また、目(角膜、結膜、前強膜、虹彩、及び毛様体)の表面に局所的に投与された低濃度のドベシル酸塩(例えば、1%重量/体積CDO又はエタムシル酸塩)が、局所投与後、最長6時間まで網膜及び視神経において薬物量を与えるという事実は、驚くべきことである。アッセイした濃度(1%及び10%重量/体積)は、欧州特許出願公開第2875811号明細書及び欧州特許第2777699号明細書(12.5%ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩)に開示されているエタムシレートの硝子体内注射に対して提案される濃度よりも低い。
最後に、データはまた、局所的に投与されたCDO(100mg/ml)が良好な忍容性を有することを実証した。
したがって、本発明の第1の態様は、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するためのドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルであり、治療は、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルの眼の前面への投与を含む。
ドベシル酸及び/又はそれらの塩、又はそれらのエステルの効果は、他の特性の中でも、血管保護剤、抗酸化剤、抗アポトーシス剤、抗炎症剤、神経保護剤、及び抗血管新生剤としての役割に基づく。したがって、それらは、言及された活性に関連する眼の後部の任意の疾患の特定の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
発明者の知る限り、これは、ドベシル酸又はその誘導体(両方の塩又はエステル、酸又は塩)が、眼の前面への局所投与による眼の後部の疾患の治療又は予防のために提案されるのは初めてである。
この新たな治療アプローチは、全身投与に関連する副作用の問題、又は現在適用されている侵襲性のIVT注射の問題を解決する。
さらに、治療上有効な用量範囲は0.01mg/日〜400mg/日であり、有効と見なされる用量をはるかに下回る非毒性用量を想定している。したがって、上記のように、眼科局所投与後の硝子体液及び網膜における薬物のバイオアベイラビリティは非常に低く、異なる投与経路間の有効量は比較できないが、硝子体内に注射される薬物を同じ量/日で後部に送達することを望む場合、いかなる局所組成物も、硝子体内注射用組成物と比較して、少なくとも250,000倍の量/日を含まなければならない。これは、局所眼科医薬組成物を他の眼の構造(例えば、眼の前部の構造)に対して非常に濃縮されて危険(すなわち毒性)なものにする可能性がある。
この第1の態様はまた、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防のための医薬の製造のための、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は塩若しくは酸のいずれかのエステル、特にドベシル酸カルシウム又はエタムシル酸カルシウム(ジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩)の使用として製剤化され得て、ここで、該治療は、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルの眼表面への投与を含む。本発明はまた、ヒトを含む、それを必要とする被験体において、薬学的に局所的に許容可能な賦形剤及び/又は担体と共に、治療的有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそのエステルを眼表面(角膜、結膜、前強膜、虹彩及び毛様体)に局所的に投与することを含む、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防方法に関し、該治療は、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩若しくはエステルの投与を含む。
本発明による局所治療及び/又は予防は、眼表面(すなわち、角膜、前強膜、ならびに虹彩及び毛様体等又は結膜円蓋等の前部の他の組織)に投与されることを意味する。これは、ドベシル酸及び/又は塩、又はその両方のエステルが、眼に局所的に適用されると、網膜及び視神経、ならびに眼の後部の他の組織に到達できるという事実によるものである。これは、本発明に開示される実施形態及び実施形態の組み合わせのいずれかに、また同じく当該ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそのエステルを含む任意の組成物に適用される。
本発明の第2の態様は、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所賦形剤及び/又は担体と共に含む、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するための局所眼用医薬組成物であり、ここで、該治療は、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩若しくはエステルの投与を含む。
ドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩(CDO又はエタムシル酸塩等)を含む特定の局所眼用医薬組成物は、眼表面に投与されると、該酸又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルが網膜及び視神経に有効量で到達することを可能にするような方法で開発された。眼の後部の他の構造にも到達する(例えば、脈絡膜、後強膜、硝子体液等)。
したがって、本発明の第3の態様は、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所の眼の賦形剤及び/又は担体と共に含む局所眼用医薬組成物であり、該組成物は、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は酸若しくは塩のいずれかのエステルを2日間〜30日間放出するために製剤化される。
これらの局所眼用医薬組成物の有効成分の徐放は、投与回数を減らして、標的組織において、所望の期間に亘り有効量を得ることの利点を意味する。
非糖尿病ラット(Ctrl)、ストレプトゾトシンによって誘発された糖尿病ラット(STZ)、及びCDO10mg/mlの10μl/眼の局所点眼で治療されたストレプトゾトシンによって誘発された糖尿病ラットのホモジナイズした網膜における酸化型グルタチオン(GSSG)の濃度を示す棒グラフである。 非糖尿病ラット(Ctrl)、ストレプトゾトシンによって誘発された糖尿病ラット(STZ)、及びCDO10mg/mlの10μl/眼の局所点眼で処理されたストレプトゾトシンによって誘発された糖尿病ラットの網膜における炎症性サイトカインTNF−αの相対的mRNAレベルを示す棒グラフである。増加倍率vs対照は、対照に関する増加を意味する。 HET−CAM眼刺激性アッセイの写真。NaCl0.9%(陰性対照)、NaOH0.1%(陽性対照)、CDO(100mg/ml)、エタムシル酸塩(100mg/ml)、及びドベシル酸カリウム(100mg/ml)の適用後の卵の漿尿膜(CAM)における溶解、出血又は凝固プロセスの評価。
本出願において本明細書で使用される全ての用語は、特に明記しない限り、当該技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語のその他のより特殊な定義を以下に述べ、述べられる定義が明らかにより広い定義を提供しない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して一様に当てはめられることを意図する。
「網膜及び/又は脈絡膜の病態」については、網膜及び/又は脈絡膜に影響を与える任意の疾患又は障害と理解される。この定義には、様々な結果及び症状の疾患や障害が含まれる。例としては、非限定的な一覧として、網膜血管障害、黄斑症、遺伝性眼底ジストロフィー、特発性脈絡網膜症、中心性漿液性脈絡膜症、全身性脈絡膜ジストロフィー、及びそれらの組み合わせが挙げられる。脈絡膜の病態の特定の場合には、眼の脈管層であって、結合組織を含み、網膜と強膜との間にある脈絡膜に影響を及ぼす疾患を指す。特定の疾患には、炎症性の或る脈絡網膜炎、又は脈絡膜のみが炎症を起こしている場合は脈絡膜炎;後部ブドウ膜炎、これは網膜の内側と、強膜及び角膜で構成される外側の線維層との間にある色素性層である、ブドウ膜の炎症である;ならびに脈絡膜貧血及び脈絡膜萎縮を含む一般的な脈絡膜ジストロフィーが含まれる。
網膜の「血管障害」(網膜に直接又は間接的に灌流する血管が関与する病態)の具体例としては、広く知られている糖尿病性網膜症、糖尿病性乳頭症、非糖尿病性網膜症(主な障害としてブドウ膜炎又は網膜血管疾患によって引き起こされる黄斑浮腫を含む)、眼虚血性症候群、高血圧性網膜症、サラセミア網膜症、コーツ症候群、アレス症候群、放射線網膜症、日光網膜症、パーチャー網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV:polypoidal choroidal vasculopathy)、網膜細動脈瘤、網膜毛細血管瘤、白血病網膜症、網膜虚血(特に、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、及び未熟児網膜症による)、及び慢性網膜障害(急性網膜壊死症候群、及びバードショット網膜症等)が挙げられる。中でも「糖尿病性網膜症(DR)」は、労働年齢の成人の失明の主な原因である。DRは、長期間(10年超)のインスリン依存型糖尿病患者の最大90%で見られる。初期には、糖尿病の人に共通する高血糖レベルが、眼のグリコシル化タンパク質及び成長因子レベルの増加を引き起こす。「前糖尿病性網膜症段階」として知られるこの状態は、予防的に治療しなければ網膜症につながる可能性がある。「背景糖尿病性網膜症」としても知られる非増殖性又は初期糖尿病性網膜症は、基底膜の肥厚、網膜周皮細胞の喪失、微小血管異常、網膜内微小動脈瘤、網膜出血(「点状」又は「綿花様白斑」として知られる)、網膜浮腫、毛細血管の閉鎖、ならびに軟性白斑及び硬性白斑を特徴とする。後期又は増殖性糖尿病性網膜症は、血管新生及び線維血管の増殖、すなわち、網膜又は視神経から網膜の内面又は硝子体腔へのグリア及び線維性要素の瘢痕化を特徴とする。本発明の意味において、DRは、非増殖性又は初期段階の糖尿病性網膜症及び後期又は増殖性の糖尿病性網膜症を含む。さらに、糖尿病性黄斑浮腫又は糖尿病性黄斑症として知られる障害、及び眼底糖尿病性網膜症も、糖尿病性網膜症の意味に包含される。
高感度で正確な視力に関連する網膜の中心の領域である、黄斑の病理学的状態である「黄斑症」の特定の例としては、とりわけ、加齢性黄斑変性症(ARMD)、出血性ARMD、網膜血管腫性増殖、ポリープ状脈絡膜血管症、蜂巣状脈絡膜変性(malattia leventinese)、全層黄斑円孔、網膜黄斑前膜、黄斑部毛細血管拡張症、セロファン黄斑症又は黄斑パッカー、近視黄斑症(myopia maculopathy)、網膜の静脈血栓後の滲出性黄斑症、急性黄斑視神経網膜症、黄斑嚢胞(macular cystoid)、黄斑浮腫、網膜血管様線条(retinal angioid streaks)、脈絡膜襞(choroidal folds)、及び低眼圧性黄斑症が挙げられる。「黄斑変性症」としても知られる「加齢性黄斑変性症(AMD又はARMD)」は、視野の中心にぼやけが生じたり視力が失われたりする可能性がある医学的状態である。多くの場合、初期には症状はない。しかしながら、時間の経過とともに、人によっては、片眼又は両眼に影響を与える可能性がある視力の漸進的な悪化を経験する。完全な失明にはならないが、中心視野が失われると、顔の認識、運転、読書、又は日常生活の他の活動が困難になる可能性がある。萎縮型(ドライAMDとも呼ばれる)があり、初期の兆候としては、RPEとブルッフ膜との間にドルーゼンと呼ばれる物質の蓄積があり、脈絡膜循環からの酸素の拡散を損なう。進行した疾患は、しばしば末梢網膜の局部領域でのRPE及び光受容細胞死(地図状萎縮)とならんで、RPEの増殖及び再付着を妨げるブルッフ膜の変化を特徴とする。一方で、網膜色素上皮(RPE)細胞への損傷、及び脈絡膜毛細血管からの未熟な血管による無血管外網膜の浸潤のため、通常両眼の中心視力の喪失を特徴とする滲出型(ウェットAMD)がある。浸潤には、血液網膜関門を構成するRPE細胞層の破壊が含まれる。浸潤が黄斑を含む場合、患者には深刻な視覚障害がある。ARMDの新血管形成の自然な経過は、黄斑に対する円盤状瘢痕の発生及び不可逆的な失明である。本発明においてAMDが言及される場合、それはドライ及びウェットのAMDのいずれの形態も包含する。
「遺伝性眼底ジストロフィー」は、網膜色素変性症;限定されないが、アッシャー症候群、白点状網膜炎、レーバー先天性黒内障を含む非定型網膜色素変性症;錐体ジストロフィー;桿体ジストロフィー;ビエッティ結晶性角膜網膜ジストロフィー;若年性黄斑ジストロフィー;あらゆるタイプの黄斑ジストロフィー;スターガルト病又は黄色斑眼底;及びアッシャー症候群を含む遺伝性疾患に関連する。
「硝子体液の病態」については、硝子体(ヒト及び他の脊椎動物の眼球の水晶体と網膜との間のゲル充填空間)及び硝子体膜を含む硝子体構造の障害又は疾患として理解される。これらの障害には、血液、細胞、又は炎症の他の副産物が硝子体に入る、飛蚊症(eye floaters)、飛蚊症(myodesopsia);星状硝子体症、黄斑下及び硝子体出血;硝子体が網膜から離れる際に起こる硝子体剥離;網膜分離症、スティックラー症候群又はワーグナー症候群を含むがこれらに限定されない遺伝性硝子体網膜症が含まれる。
「視神経の病態」は、多くの原因で視神経に影響を与えるが、網膜から脳への視覚情報の伝達を可能にするメカニズムの機能不全につながる病理に関連する。これらの病理の中には視神経萎縮;視神経炎(脱髄、感染性又は非感染性の病因による視神経の炎症);神経網膜炎;及び虚血性視神経症(視神経乳頭への突然の血液供給及び栄養素の喪失);遺伝性視神経症(レーバー遺伝性視神経症等);有毒な弱視又は栄養性視神経症、高眼圧症、原発性緑内障(原発性開放隅角緑内障及び原発性閉塞隅角緑内障を含む);限定されないが、血管新生緑内障、炎症性緑内障又は外傷性緑内障を含む、続発性緑内障;緑内障、視神経頭ドルーゼン又は視神経円板ドルーゼンに関連する虹彩角膜内皮症候群;及び乳頭浮腫;ならびに外傷が含まれる。緑内障(神経も受ける圧迫により視力を低下させる眼圧の上昇)等、最終的に視神経に影響を与える他の眼疾患による病変がここに含まれる。「緑内障」は、次に、視神経の損傷及び視野喪失を含む特定の失明パターンを特徴とする一群の疾患である。眼圧の上昇は危険因子であり、緑内障眼の視神経萎縮及び網膜細胞死の全てではないが原因の一部となる。眼内圧(IOP)の上昇が見られない場合でも、網膜で緑内障による細胞死が起こる。視神経の損傷は、視神経の軸索束と網膜神経線維層との間の分離が変性する場合に発生する。
「後強膜の病態」は、後眼部の領域における強膜の炎症である強膜炎に関する。後強膜炎は、直筋の挿入後部の強膜の関与として定義される。後強膜炎はまれであるが、漿液性網膜剥離、脈絡膜襞、又はその両方として現れる場合がある。多くの場合、失明とならんで眼球運動による痛みがある。
本発明の意味において、「眼の後部の血管疾患」は、眼の後部を構成する組織及び/又は構造のいずれかの正常な機能の任意の疾患又は変化を含み、当該疾患又は変化は、少なくとも部分的には、当該眼の構造に血液を供給する血管系の障害が原因である。したがって、この用語には、多くの異なる病因(遺伝的素因、外傷、糖尿病等の他の代謝性疾患等)に起因する疾患又は障害が含まれ、共通して、眼を灌流する血管の1つ又は複数の機能不全(網膜アルブミン漏出及び毛細血管透過性、血小板凝集及び血液粘度の増加、内皮依存性弛緩障害等);細胞の抗酸化及び抗ラジカル活性の障害;活性酸素種の存在;炎症及び神経損傷を有する。
本明細書で使用する「治療有効量」という表現は、投与した際に、対処する疾患の症状の1つ又は複数の発症を予防するか、ある程度緩和するのに十分な化合物の量を指す。本発明に従って投与される化合物の特定の用量は、もちろん、投与される化合物、投与経路、治療される特定の状態、及び同様の考慮事項を含む、症例を取り巻く特定の状況によって決定される。
本明細書で使用される「薬学的に許容可能な」という用語は、適切な医学的及び獣医学的判断の範囲内で、重大な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題若しくは合併症のない、妥当な利益/リスク比に見合った、被験体(例えば、ヒト又は任意のその他の動物)の組織と接触して使用するのに適した化合物、材料、組成物及び/又は剤形に関する。各担体、賦形剤等はまた、医薬組成物の他の成分と適合性があるという意味で「許容可能」でなければならない。また、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、若しくはその他の問題、又は合併症を伴うことのない、合理的なベネフィット/リスク比に見合った、ヒト及び動物の組織又は臓器と接触して使用するのに適していなければならない。好適な担体、賦形剤等は、標準的な薬学の教科書に見られ、例として、防腐剤、pH調整剤、浸透圧を調整する等張剤、キレート剤、浸透促進剤、生体接着性ポリマー、安定剤、増粘剤、及び抗酸化剤が含まれる。
「薬学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体」又は「薬学的に許容可能な局所眼用賦形剤及び/又は担体」(区別なく使用される)という用語は、医療用局所眼用途の組成物を調製するための製薬技術における使用に適した、つまり、重大な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症がなく、妥当な利益/リスク比に見合った、眼表面に適用可能なその賦形剤又は担体を指す。
「重量/体積パーセント」という用語は、例えば、組成物全体、及び当該組成物中のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそのエステルとの間の、組成物100ml当たりの化合物のグラムでの重量を指す。記載に従って%重量/体積として、又は%のみとして表される。
「pH」という用語は、好適に適切に標準化された電位差測定センサー及び測定システムによって与えられる値として定義される。測定システムは、伝統的に「pHメーター」と呼ばれている。組成物のpHは、公定の伝統的な方法によって測定される。
上記の通り、本発明の第1の態様は、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するためのドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又は当該酸若しくは塩のエステルに関し、該治療は、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はエステルの眼表面への投与を含む。
特定の実施形態では、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩は、ドベシル酸のアルカリ金属塩、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩、ドベシル酸の式(II)のアミンとの塩、及びそれらの組み合わせから選択され、式中、R、R及びRは、独立してH、及び/又は−(C〜C)−アルキルラジカルから選択される。
明細書及び特許請求の範囲を通して、「−(C〜C)アルキルラジカル」という用語は、直鎖又は分枝鎖として解釈されるものとする。これには、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル(又は1−メチルプロピル)、イソブチル(又は2−メチルプロピル)、tert−ブチル(又は1,1−ジメチルエチル)、n−ペンチル、tert−ペンチル(又は2−メチルブタン−2−イル)、ネオペンチル(又は2,2−ジメチルプロピル)、イソペンチル(又は3−メチルブチル)、sec−ペンチル(又はペンタン−2−イル)、3−ペンチル(又はペンタール−3−イル)、n−ヘキシル、イソヘキシル(又は4−メチルペンチル)、tert−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、tert−ヘプチル、イソヘプチル、sec−ヘプチル、n−オクチル、tert−オクチル、sec−オクチル、及びイソオクチルの任意のラジカルが含まれる。
特定の実施形態では、眼治療に使用される化合物は、ドベシル酸のアルカリ金属塩、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩、及びそれらの組み合わせから選択される、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩である。より詳しくは、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩である。さらに詳しくは、ドベシル酸カルシウムとも呼ばれるドベシル酸のカルシウム塩である。より詳しくは、CDO(ドベシル酸カルシウム一水和物)である。したがって、この後者の特定の実施形態では、本発明は、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防で使用するためのドベシル酸カルシウム又はその水和物(CDOの一水和物等)に関する。ドベシル酸の他の薬学的に許容可能な塩としては、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。
ドベシル酸の塩は、遊離溶媒和化合物又は溶媒和物(例えば、水和物)のいずれかとして結晶形態であり得て、両方の形態が本発明の範囲に含まれることが意図される。溶媒和の方法は、当技術分野において一般的に知られている。上記のように、特定の溶媒和物には、水和塩、より詳しくはドベシル酸の一水和物及び二水和の塩とならんで、当該塩のエステルが含まれる。
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩は、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩であり、式中、R及びRが等しく、エチルラジカルであり、RがHである。このドベシル酸の塩は、エタムシル酸塩又はジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩としても知られている。別の特定の実施形態では、エタムシル酸塩は無水形態である。別の特定の実施形態では、エタムシル酸塩は水和物の形態であり、より詳しくはエタムシル酸塩一水和物及びエタムシル酸塩二水和物から選択される。
「ドベシル酸のエステル又はドベシル酸塩のエステル」は、薬学的に許容可能な無毒の有機酸から形成される薬学的に許容可能なエステルを指す。エステルに関する制限はないが、治療目的で使用される場合は、薬学的に許容可能でなくてはならない。ドベシル酸のエステルは、薬学的に許容可能な無毒の有機酸から調製され得る。かかる酸としては、とりわけ、酢酸、酪酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、コハク酸及び酒石酸が挙げられる。エステル基の例としては、アセチル、エタノイル、ブチリル、プロピオニル、アセトキシメチル、メトキシメチル、スクシニル等とならんで、本発明の2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸化合物のC−2位及びC−5位のいずれかの炭素原子でのヒドロキシル基と上記の有機酸とのカップリングから誘導されるエステル基が挙げられる。特に、ドベシル酸のエステルの例は、2,5−ジアセチルベンゼンスルホン酸及び/又は2,5−ジアセチルベンゼンスルホン酸の塩である。エステルの他の特定の例は、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸のC−2位及びC−5位のいずれかの炭素原子にあるヒドロキシル基と一般式COOH−(C1〜C3)アルキルの薬学的に許容可能な非毒性の有機酸とのカップリングから形成される薬学的に許容可能なエステルであって、ここで、(C〜C)アルキルはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル及びシクロプロピルのラジカルから選択される。
特定の実施形態では、任意に上記又は下記のいずれかの実施形態又は態様と組み合わせて、ドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルは、網膜及び/又は脈絡膜の病態、硝子体液の病変、後強膜の病態、視神経の病態、及びそれらの組み合わせから選択される後眼部の疾患の治療における局所使用のためのものである。
上記のように、網膜、硝子体液、脈絡膜及び視神経の病態におけるドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又は両方のエステルの使用は、これらの化合物に、とりわけ血管保護剤、抗酸化剤、抗アポトーシス、抗炎症、神経保護、止血、及び抗血管新生の特性があるという事実に基づいている。したがって、それらは、血管の問題(例えば、血管収縮、血管の閉塞、内皮依存性弛緩の喪失、毛細血管の高透過性等)、又は上に言及される組織におけるストレス酸化状態、炎症プロセス、又はアポトーシスに関連する損傷によって、傷害され機能が損なわれたされたこれらの構造に影響を与える障害で使用するためのものである。
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、同じく上記又は下記のいずれかの実施形態と組み合わせて、眼の後部の疾患は、網膜脈管障害、黄斑症、遺伝性眼底ジストロフィー、特発性脈絡網膜症、中心性漿液性網膜症、全身性脈絡膜ジストロフィー、及びそれらの組み合わせから選択される網膜及び/又は脈絡膜の病態である。
さらに特定の実施形態では、網膜血管障害は、糖尿病性網膜症、糖尿病性乳頭症、非糖尿病性網膜症、眼虚血症候群、高血圧網膜症、サラセミア網膜症、コーツ症候群、イールズ症候群、放射線網膜症、日光網膜症、パーチャー網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜細動脈瘤、網膜毛細血管瘤、白血病性網膜症、網膜虚血、慢性網膜障害、及びそれらの組み合わせから選択される。より詳しくは、増殖性糖尿病性網膜症、非増殖性糖尿病性網膜症を含む糖尿病性網膜症、特に糖尿病性黄斑浮腫及び/又は眼底糖尿病性網膜症を伴う両方の糖尿病性網膜症に使用するためのものである。さらに詳しくは、本発明は、神経変性が始まり、眼科検査下で微小血管病変が検出される前であっても色の識別及びコントラスト感度の両方の喪失等の機能異常を生じる、糖尿病性網膜症の初期段階で使用される。
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、同じく上記又は下記の任意の実施形態と組み合わせて、網膜及び/脈絡膜の病態は、ドライ及びウェットのARMDを含む加齢性黄斑変性症(ARMD);出血性ARMD;網膜血管腫性増殖;ポリープ状脈絡膜血管症;蜂巣状脈絡膜変性;全層黄斑円孔;網膜黄斑前膜;黄斑部毛細血管拡張症;セロファン黄斑症又は黄斑パッカー;近視黄斑症;網膜の静脈血栓後の滲出性黄斑症;急性黄斑視神経網膜症;黄斑嚢胞黄斑浮腫;網膜血管様線条;脈絡膜襞;低眼圧性黄斑症、及びそれらの組み合わせから選択される黄斑症である。
本発明の第1の態様の別の実施形態では、同じく上記又は下記の任意実施形態と組み合わせて、網膜及び/又は脈絡膜の病態は、網膜色素変性症;限定されないが、アッシャー症候群、白点状網膜炎、レーバー先天性黒内障を含む非定型網膜色素変性症;錐体のジストロフィー;桿体ジストロフィー;ビエッティ結晶性角膜網膜ジストロフィー;若年性黄斑ジストロフィー;あらゆるタイプの黄斑ジストロフィー;スターガルト病又は黄色斑眼底;アッシャー症候群、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝性眼底ジストロフィーである。
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記のいずれかの実施形態又は態様と組み合わせて、ドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルは、これらの化合物の眼表面への局所投与による、黄斑下及び硝子体出血、星状硝子体症、硝子体剥離、飛蚊症(eye floaters)又は飛蚊症(myodesopsia)、網膜分離症、スティックラー症候群又はワーグナー症候群を含むがこれらに限定されない遺伝性硝子体網膜症、及びこれら全ての組み合わせからなる群から選択される硝子体液の病態の治療で使用するためのものである。
本発明の第1の態様の別の実施形態は、視神経萎縮;脱髄性、感染性、又は非感染性を含む、視神経炎;神経網膜炎;虚血性神経障害;遺伝性視神経障害(例えば、レーバー遺伝性視神経症);中毒性弱視又は栄養性視神経障害;高眼圧症;原発性緑内障;血管新生緑内障、炎症性緑内障又は外傷性緑内障を含むがこれらに限定されない、続発性緑内障;緑内障に伴う虹彩角膜内皮症候群;視神経乳頭ドルーゼン又は視神経円板ドルーゼン;視神経乳頭浮腫(又は鬱血乳頭)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される視神経の病態である、眼の後部の疾患で使用するためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルである。
より特定の実施形態では、後眼部の疾患は、網膜及び/又は脈絡膜の病態、視神経の病態、強膜及びそれらの組み合わせから選択され、眼表面に局所投与すると、眼の後部のこれらの組織でドベシル酸及び/又はその塩が検出される。
以下の実施例に示されるように、ウサギ又はラットの眼表面に局所的に投与されたCDO及びエタムシル酸塩は、後強膜、硝子体液、脈絡膜、網膜及び視神経に到達することができた。したがって、本発明の特定の実施形態は、脈絡膜の病態、硝子体液、網膜の病態、視神経の病態、及びそれらの組み合わせから選択される眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するためのドベシル酸カルシウム又はエタムシル酸カルシウムに関し、該治療は、0.01mg/〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルの眼表面への投与を含む。
CDOとならんで、ドベシル酸の別の薬学的に許容可能な塩又はエステルは、驚くべきことに、眼の後部に浸透し、長期間にわたってそこに留まり、その作用を発揮する。先の段落で示したように、ドベシル酸カルシウム又は他の薬学的に許容可能なドベシル酸の塩若しくはエステルは、特に網膜アルブミン漏出及び毛細血管透過性を低下させることで血液網膜関門(BRB)を保護することによる、一酸化窒素合成の増加のため内皮依存性弛緩をアップレギュレートすることによる、血管における血管内皮細胞のアポトーシスを阻害することによる、抗酸化及び抗ラジカル活性による、活性酸素種(ROS)から保護することによる、抗炎症活性、止血、又はICAM−1及び血管内皮増殖因子のアップレギュレーションを妨げることによる、血管保護剤としての役割に起因して、これら全ての疾患の予防及び/又は治療を促進する。さらに、これらの全ての生化学的効果は、網膜及び視神経におけるニューロンの神経保護に移行される。
本発明の第1の態様の別の特定の実施形態では、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルは、哺乳動物、より詳しくはヒトにおける眼の後部の疾患における使用のためのものである。
第1の態様のさらに別の特定の実施形態では、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルの局所用量は、0.01mg/日〜300mg/日、さらにより詳しくは0.1mg/日〜300mg/日である。より詳しくは、0.1mg/日〜100mg/日である。別の特定の実施形態では、0.01mg/日〜50mg/日である。さらに別の特定の実施形態では、0.01mg/日〜25mg/日である。他の実施形態では、0.01mg/日〜20mg/日である。より詳しくは、0.01mg/日〜18mg/日、さらにより詳しくは、0.1mg/日〜18mg/日である。別の特定の実施形態では、0.01mg/日〜13mg/日、より詳しくは0.1mg/日〜13mg/日である。
ドベシル酸又は任意の薬学的に許容可能な塩、ならびに任意の酸又は塩の任意のエステルは、異なるタイプの局所眼用医薬組成物の活性成分であり得る。したがって、本発明はまた、第2の態様において、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所賦形剤及び/又は担体と共に含む、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するための局所眼用医薬組成物に関し、該治療が、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルの投与を含む。
上記の使用のための局所眼用医薬組成物の特定の実施形態では、当該ドベシル酸及び/又はドベシル酸の薬学的に許容可能な塩、又は当該酸若しくは塩のエステルを、重量/体積パーセントで0.02%〜20%重量/体積含む。より詳しくは、重量/体積パーセントは0.05%〜15%重量/体積である。より詳しくは、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、及び15%重量/体積から選択される。より詳しくは、0.05%〜10%重量/体積である。別の特定の実施形態では、当該ドベシル酸及び/又はドベシル酸の薬学的に許容可能な塩、又は当該酸若しくは塩のエステルのパーセントは、11%〜20%重量/体積である。
特定の実施形態では、上記の使用のための組成物は、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩、より詳しくはドベシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を含む。さらに詳しくは、上記組成物は、ドベシル酸カルシウムを含む。より詳しくは、CDO(ドベシル酸カルシウム一水和物)である。ドベシル酸の他の薬学的に許容可能な塩としては、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。
本発明の第2の態様の別の特定の実施形態では、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩は、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩であり、式中、R及びRが等しく、エチルラジカルであり、RがHである。このドベシル酸の塩は、エタムシル酸塩又はジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩としても知られている。エタムシル酸塩の水和塩も包含される。
別の特定の実施形態では、上記の使用のための局所眼用医薬組成物は、眼表面への局所投与により、0.01mg/日〜400mg/日の用量を与えるために製剤化される。有効成分を送達する能力は、それに付随する賦形剤及び/又は担体によって調節され得る。本発明の意図された使用のために眼に局所的に投与可能な医薬組成物を調製するため、賦形剤は、活性成分を分解しないものから選択されなければならない。好適な担体、賦形剤等は、標準的な薬学の教科書に見られ、例として、防腐剤、pH調整剤、浸透圧を調整する等張剤、キレート剤、浸透促進剤、張力活性剤、生体接着性ポリマー、安定剤、増粘剤、及び抗酸化剤が含まれる。
さらに別の特定の実施形態では、上記に開示される使用のための局所眼用医薬組成物は、抗酸化化合物を含む。
抗酸化化合物は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、第三級ブチルヒドロキノン、ジラウリルチオプロピオネート、エトキシキン、没食子酸プロピル、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、チオジプロピオン酸、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、コハク酸ナトリウム六水和物、亜硫酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソルビン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明に従って使用するための医薬組成物の局所眼用剤形は、活性成分を安定させ、眼の表面(角膜、結膜、前強膜、虹彩又は毛様体)に局所的に適用できるようにするのに適したものである。特定の実施形態では、ドベシル酸及び/又はその塩(又はそれらのいずれかのエステル)のいずれかの局所投与による、眼の後部の疾患の治療に使用するための組成物は、溶液、ミセル溶液、ゲル、ローション、軟膏、リポソーム、懸濁液、エマルション、ナノエマルション、マイクロエマルション、及びクリームからなる群から選択される形態である。
かかる組成物を患者が容易に投与できるようにすること、及び組成物が適用されるときに視力を妨げることをできるだけ回避することを目的として、本発明による使用のための組成物は、特定の実施形態では点眼溶液の形態である。さらに詳しくは、透明な溶液の点眼剤である。
以下の実施例示されるように、点眼液として投与されたCDO及びエタムシル酸塩は、角膜、強膜、及び/又は結膜を通過することができ、涙による洗い流しを回避し、最終的に網膜と視神経に到達してそこに多量の薬を認めることができた。透き通って透明であるため、視力を維持する単純な医薬組成物であっても、有効成分は標的組織に到達することができるから、これは非常に関連がある。
実際、以下に実証するように、いずれも適切に滅菌されている(例えば、UV手段又は滅菌濾過により)、治療有効量のドベシル酸及び/又はその別の塩とならんで、該酸又は塩のエステル、pH調整剤、任意に抗酸化化合物、及び水を含む液体医薬組成物は、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用することができ、該治療は、局所用量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は当該酸若しくは塩のエステルの投与を含む。
別の特定の実施形態において、任意に上記又は下記のいずれかの実施形態と組み合わせて、有効成分の用量を眼の表面に局所投与することにより眼の後部の疾患の治療に使用するための組成物は、防腐剤、pH調整剤、浸透圧を調整するための等張化剤、キレート剤、浸透促進剤、生体接着性ポリマー、安定剤、増粘剤、張力活性剤、抗酸化剤、及びそれらの混合物から選択される賦形剤をさらに含む。
pH調整剤として使用される賦形剤は、3.8〜8.6、より詳しくは4.5〜8.0、さらにより詳しくは4.8〜7.5、好ましくは5.0〜7.3、さらにより好ましくは5.5〜6.9のpHを可能にするものである。pH調整剤の例としては、クエン酸塩(クエン酸/クエン酸塩緩衝液)、リン酸塩(リン酸/リン酸塩緩衝液)、ホウ酸塩(ホウ酸/ホウ酸塩緩衝液)、及びそれらの混合物が挙げられ、いずれの塩も薬学的に許容可能なものである。pH緩衝液は、さらに、アミノ酸、特にアルギニン、リジン、ならびにメチルグルカミン及びトロメタモールから選択されるアミン由来化合物、ならびにそれらの混合物を含み得る。
したがって、本発明の第2の態様の特定の実施形態では、上に開示される使用のための局所医薬組成物は、3.8〜8.6、より詳しくは4.5〜8.0、さらにより詳しくは4.8〜7.5、好ましくは5.0〜7.3、さらにより好ましくは5.5〜6.9のpHを有する。
「pH調整剤」という用語は、組成物の安定性に影響を与えることなく、完成品のpHを所望のレベルに調整するために使用できる酸若しくは塩基、又はそれらの混合物を指す。一実施形態では、本発明に従って使用するための組成物は、乳酸及びその塩(乳酸ナトリウム、乳酸カリウム及び乳酸カルシウム等)、クエン酸及びその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リチウム、クエン酸三ナトリウム及びクエン酸水素二ナトリウム等)、酒石酸及びその塩(酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム等)、酢酸及びその塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム及び酢酸カルシウム等)、塩酸、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム)、硫酸及びその塩(硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等)、硝酸、塩酸、リン酸及びその塩(リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸リチウム、リン酸カリウム、及びリン酸カルシウム等)、炭酸塩及びその塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等)、マレイン酸及びその塩(マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム及びマレイン酸カルシウム)、コハク酸及びその塩(コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム及びコハク酸カルシウム)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アンモニア、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択されるpH調整剤をさらに含む。一実施形態では、pH調整剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。
別の実施形態では、組成物は、酢酸、ホウ酸、ソルビン酸、クエン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びそれらの塩、塩酸、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるpH調整剤を含む。
本発明による使用のための局所眼用(眼科)組成物中の他の成分としては、特定の実施形態において、張力活性剤、溶媒(有機及び無機溶媒;すなわち水)、増粘剤(増粘剤(viscosizing agent)とも呼ばれる)、防腐剤、等張化剤、粘膜付着性ポリマー、キレート剤及び有効成分(すなわち、ドベシル酸及び/又はその塩若しくはエステル)の増強剤が挙げられる。
張力活性剤の中で、非イオン性界面活性剤としては、限定されないが、(C30〜C40)アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー(商業的にポロキサマー又はポロキサミンと呼ばれる)、オクチルグルコシド及びデシルマルトシドを含む(C〜C14)アルキルポリグルコシド、セチルアルコール及びオレイルアルコールを含む脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ソルビタンエステル及びその誘導体、又はソルビタンエステルエトキシレート及びその誘導体が挙げられる。
増粘剤は、特にポリビニルアルコール、メチルセルロースヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロースから誘導された化合物、カルボマー、ポリエチレングリコール、ポリアルコール、キトサン、ヒアルロン酸及びそれらの混合物である。
本発明に適切な防腐剤の例としては、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、塩化ベゼトニウム、クロルヘキシジン、ベンジルアルコール、クロロブタノール、2−フェニルエタノール、プロピルパラベン、メチルパラベン、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、デヒドロ酢酸ナトリウム、硝酸ソルビン酸フェニル水銀、セチルピリジニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ベンジルブロミド、過ホウ酸ナトリウム、チメロサール、及びそれらの混合物が挙げられる。
等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デキストラン及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはグリセリンである。
活性成分の「増強剤」とも呼ばれる吸収を促進する薬剤は、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン20ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン5ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン20ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン20セチルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレン40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、パルミトイルカルニチン、カプリン酸ナトリウム、ステアリルアミン、ドデシル硫酸ナトリウム等の界面活性剤、デオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、ウロデオキシコール酸、タウロウルソデオキシコール酸等の胆汁酸、カプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、塩化ラウラルコニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、クロルヘキシジンジグルコネート、ベンジルアルコール、クロルブタノール、2−フェニルエタノール、パラベン、プロピルパラベン及びメチルパラベン、EDTA、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(アゾン)、ヘキサメチレンラウラミド、ヘキサメチレンオクタンアミド、デシルメチルスルホキシド、サポニン、シクロデキストリン、pz−ペプチド、α−アミノ酸、塩化セチルピリジニウム、サイトカラシン、イオノフォア等の脂肪酸、又はそれらの混合物である。
「生体接着性ポリマー」とも呼ばれる粘膜付着性ポリマーは、本発明の組成物の滞留時間を増加させることができる物質を指す。本発明に適した生体接着性ポリマーの例としては、ポビドンK17、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90F等のポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;キサンタンガム;グアーガム;ウェランガム;ジェランガム;トラガカントガム;セラトニアガム;寒天;メチルセルロース;エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースカルシウム;ポリエチレングリコール;グリセリン;カラギーナン;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸カリウム;アルギン酸プロピレングリコール;ヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム;カルボマー及びポリカルボル(polycarbol)等のポリ(アクリル酸)誘導体;ポロキサマー;キトサン及びキトサン誘導体;ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー;マルトデキストリン;ポリカプロラクトン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
「キレート剤」及び「キレート」という用語は同じ意味を有し、区別なく使用される。キレート剤は、イオンを錯化することができる化合物を指す。キレート剤の例は、クエン酸、特にクエン酸一水和物、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、及びEDTA二カリウム、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTAナトリウム及びEDTA三ナトリウム等のEDTAの塩、フマル酸、リンゴ酸ならびにマルトールである。一実施形態では、キレート剤は、エデト酸ナトリウム、クエン酸、ならびにそれらの塩及び混合物からなる群から選択される。
本発明の局所眼用組成物は、技術水準においてよく知られている方法に従って調製され得る。適切な賦形剤及び/又は担体と同様、任意のpH調整剤、ならびにそれらの量は、調製される製剤の種類に従って、当業者によって容易に決定され得る。
上記に開示される使用のための局所眼用医薬組成物の特定の実施形態では、組成物は、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのいずれかのエステルの即時放出用である。これらのタイプの製剤は、最終的にそれらが到達する眼の後部の様々な組織に迅速に作用する目的を果たす活性成分の素早い放出を可能にする。
代替として、別の特定の実施形態では、上記に定義される使用のための局所眼用医薬組成物は、放出調節組成物又は剤形とも呼ばれる、有効成分の制御された長期の放出のための組成物である。特に、有効成分を2日間〜30日間放出するためのものである。これらの組成物は、投与時間を短縮し、より簡単な薬量学を促進することを可能にする。有効成分が一定期間放出されるこれらの非即時放出組成物の例は、徐放性組成物及び長期放出組成物を含む。徐放性剤形は、最小限の副作用で特定の期間にわたって一定の薬物濃度を維持するために、所定の速度で薬物を放出(遊離)するように設計された剤形である。これは、薬物−ポリマーコンジュゲートを含む様々な製剤を通じて達成され得る。長期放出組成物は、薬物が一定の時間内(通常は一定速度での持続放出)又は体内の特定の標的(標的化放出投薬量)に送達される組成物である。
「2日間〜30日間の放出」について、本発明の任意の態様又は実施形態に関連する場合、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルの放出が、製剤中の有効成分の少なくとも85%が投与日からかかる製剤に示されている任意の日数(例えば、2日間、5日間、10日間、20日間、又は30日間)で放出されるように達成されることが理解される。すなわち、有効成分の2日間での放出のために製剤化された局所眼用医薬組成物は、有効成分の少なくとも85%、より詳しくは90%、さらにより詳しくは100%が2日目に放出されていることを意味する。同様に、30日間での放出とは、有効成分の少なくとも85%、詳しくは90%、さらにより詳しくは100%が30日目に放出されていることを意味する。局所眼組成物の当業者は、有効成分の放出パーセンテージを決定するための標準的なプロトコルを知っているであろう。
本発明の第2の態様の別の特定の実施形態では、上記に開示される使用のための局所眼用医薬組成物は、被験体、特に哺乳動物、より詳しくはヒトへの月1回の投与用に製剤化される。
より特定の実施形態では、放出調節投与用に製剤化された局所眼用医薬組成物は、ドベシル酸及び/又は医薬的に許容可能な塩、又はそれらの両方のいずれかのエステルを1mg〜700mg含む。
本発明の第2の態様の別の特定の実施形態では、上記に開示される使用のための局所眼用医薬組成物は、被験体、特に哺乳動物、より詳しくはヒトへの2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、又は24時間ごとに1回の投与用に製剤化される。この特定の実施形態は、点眼液等の液体組成物、懸濁液又は溶液の形態である提案される使用のための局所眼用組成物においてより一般的であり、一般的な薬量学は、所定の時間間隔での1〜数滴の適用(例えば、6時間ごとに2滴の点眼)を含む。
活性成分について示されているように、上記に開示される使用のための局所眼用医薬組成物は、網膜の病態、硝子体液の病態、脈絡膜の病態、視神経の病態、後強膜の病態、及びそれらの組み合わせから選択される疾患の予防及び/又は治療用である。
実際、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを含む局所医薬組成物は、眼の後部の疾患に使用するためのものであり、該疾患ではこの後部の組織のいずれかの血管系が損なわれている。特に、網膜の血管系(眼動脈の分岐でもあるが、視神経と一緒に通過する網膜中心動脈から派生する)及びブドウ膜循環と呼ばれる血管系(毛様体及び虹彩、脈絡膜を含む)。
特定の実施形態では、局所医薬組成物は、本発明によれば、ドベシル酸及び/又はその塩、又はそれらのエステルに言及する場合に上記に列挙した疾患の治療及び/又は予防に使用するためのものである。
本発明は、第3の態様では、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所の眼の賦形剤及び/又は担体と共に含む局所眼用医薬組成物であり、該組成物は、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを2日間〜30日間放出するため製剤化される。
第3の態様によるこれらの局所眼用医薬組成物は、徐放性組成物及び長期放出組成物から選択される放出調節組成物である。
この第3の態様の特定の実施形態では、組成物は、1mg〜700mgの治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを含む。さらに別のより特定の実施形態では、局所眼用医薬組成物は、10mg〜500mgの治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のエステルを含み、該組成物は、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルを30日間放出するために製剤化されている。
本発明のこの第3の態様の組成物のさらに別の特定の実施形態では、上記組成物は、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩、より具体的にはドベシル酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を含む。さらに詳しくは、上記組成物は、ドベシル酸カルシウムを含む。より詳しくは、CDO(ドベシル酸カルシウム一水和物)である。別の特定の実施形態におけるドベシル酸の他の薬学的に許容可能な塩は、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩及びそれらの混合物から選択される。
本発明の第3の態様の別の特定の実施形態では、ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩は、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩であり、式中、R及びRが等しく、エチルラジカルであり、RがHである。このドベシル酸の塩は、エタムシル酸塩又はジエチルアミン2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸塩としても知られている。エタムシル酸塩の水和塩も、第3の態様による局所眼用組成物の成分として使用される。
本発明の第3の態様の別の特定の実施形態では、組成物は、防腐剤、pH調整剤、浸透圧を調整する等張剤、キレート剤、浸透促進剤、生体接着性ポリマー、安定剤、増粘剤、張力活性剤、抗酸化剤、及びそれらの混合物をさらに含む。本発明の第2の態様による使用のための組成物に言及する場合に上に開示及び列挙される特定の賦形剤及び/又は担体は、本発明の第3の態様の局所眼用医薬組成物に適用可能な賦形剤及び/又は担体でもある。
本発明の第3の態様のより特定の実施形態では、局所眼用医薬組成物は、3.8〜8.6、より詳しくは4.5〜8.0、さらにより詳しくは4.8〜7.5、好ましくは5.0〜7.3、さらにより好ましくは5.5〜6.9のpHを有する。このpHは、特定の実施形態では、酢酸、ホウ酸、ソルビン酸、クエン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びそれらの塩、塩酸、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択される適切なpH調整剤によって達成される。
本発明の第3の態様のさらに別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記のいずれかの実施形態と組み合わせて、組成物は、特にクエン酸、特にクエン酸一水和物、EDTA、及びEDTA二カリウム、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTAナトリウム及びEDTA三ナトリウム等のEDTAの塩、フマル酸、リンゴ酸、ならびにマルトールからなる群から選択されるキレート剤をさらに含む。一実施形態では、キレート剤は、エデト酸ナトリウム、クエン酸、ならびにそれらの塩及び混合物からなる群から選択される。
本発明の第3の態様のさらに別の特定の実施形態では、任意に上記又は下記の任意の実施形態と組み合わせて、組成物は有効量の生体接着性ポリマーをさらに含む。生体接着性ポリマーは、特定の実施形態では、ポビドンK17、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90F等のポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;キサンタンガム;グアーガム;ウェランガム;ジェランガム;トラガカントガム;セラトニアガム;寒天;メチルセルロース;エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースカルシウム;ポリエチレングリコール;グリセリン;カラギーナン;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸カリウム;アルギン酸プロピレングリコール;ヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム;カルボマー及びポリカルボル(polycarbol)等のポリ(アクリル酸)誘導体;ポロキサマー;キトサン及びキトサン誘導体;ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー;マルトデキストリン;ポリカプロラクトン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
さらに別の特定の実施形態では、本発明の第3の態様による局所眼用医薬組成物は、特にブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、第三級ブチルヒドロキノン、ジラウリルチオプロピオネート、エトキシキン、没食子酸プロピル、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、チオジプロピオン酸、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、コハク酸ナトリウム六水和物、亜硫酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソルビン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択される有効量の抗酸化剤をさらに含む。
任意に、本発明の第3の態様による組成物は、組成物中のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルの活性形態を保存する化合物又は化合物の混合物である薬学的に許容可能な送達システムを含み、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルが放出され、活性型及び有効量で眼の後部に到達することを可能にする。
これらの送達システムの例は、活性成分を安定化し、及び又は標的組織での滞留時間を増加させ、血液網膜関門による排除を減少させる化合物を含む。
本発明による他の局所眼用医薬組成物は、以下を含むものである:
−治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは塩のいずれかのエステルと、
−1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所眼用賦形剤及び/又は担体であって、当該賦形剤及び/又は担体はpH調整剤を含む。
pH調整剤を含む組成物の特定の実施形態は、かかるカテゴリーの薬剤に、本発明の第2の態様について上に示した一覧から選択される化合物を含む。より特定の実施形態では、局所眼用組成物は、酢酸、ホウ酸、ソルビン酸、クエン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二水素カリウム及びそれらの塩、塩酸、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるpH調整剤を含む。
pH調整剤を含むこれらの組成物のより特定の態様では、それらはキレート剤をさらに含む。特定のキレート剤は、本発明の第2の態様について列挙されたものである。より詳しくは、それらはクエン酸、特にクエン酸一水和物、EDTA、及びEDTA二カリウム、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTAナトリウム及びEDTA三ナトリウム等のEDTAの塩、フマル酸、リンゴ酸ならびにマルトールからなる群から選択される。一実施形態では、キレート剤は、エデト酸ナトリウム、クエン酸、ならびにそれらの塩及び混合物からなる群から選択される。
別の特定の実施形態では、pH調整剤を含むこれらの組成物は、有効量の生体接着性ポリマーをさらに含む。生体接着性ポリマーは、特定の実施形態では、ポビドンK17、ポビドンK25、ポビドンK30及びポビドンK90F等のポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;キサンタンガム;グアーガム;ウェランガム;ジェランガム;トラガカントガム;セラトニアガム;寒天;メチルセルロース;エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースカルシウム;ポリエチレングリコール;グリセリン;カラギーナン;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;アルギン酸カリウム;アルギン酸プロピレングリコール;ヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム;カルボマー及びポリカルボル(polycarbol)等のポリ(アクリル酸)誘導体;ポロキサマー;キトサン及びキトサン誘導体;ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマー;マルトデキストリン;ポリカプロラクトン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
さらに別の特定の実施形態では、本発明のpH調整剤による局所眼用医薬組成物は、特にブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、tert−ブチルヒドロキノン、第三級ブチルヒドロキノン、ジラウリルチオプロピオネート、エトキシキン、没食子酸プロピル、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、チオジプロピオン酸、アルファ−トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、コハク酸ナトリウム六水和物、亜硫酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ソルビン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、及びそれらの混合物からなる群から選択される有効量の抗酸化剤をさらに含む。
第3の態様の組成物について示したように、pH調整剤を含む局所眼用医薬組成物は、別の特定の実施形態では、本発明の第3の態様の組成物について定義される薬学的に許容可能な送達システムも含む。
本発明はまた、ドベシル酸のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩又はエステル(すなわち、ドベシル酸カルシウム、ドベシル酸カリウム、ドベシル酸ナトリウム、ドベシル酸マグネシウム)それ自体、又は眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するための医薬組成物中にあるものに関する。特に、網膜及び/又は脈絡膜の病態、硝子体液の病態、視神経の病態、後強膜の病態及びそれらの組み合わせから選択される眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するため、該治療は、ドベシル酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩又はエステルの眼表面への局所用量の投与を含む。特に、本発明は、上記のいずれかのカテゴリーの疾患の治療及び/又は予防のためのものである。
本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む」及びその単語の変形は、その他の技術的特徴、付加物、構成要素、又は工程を排除することを意図するものでない。さらに、「含む」という単語は、「からなる」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点、特徴は、本明細書の検討により当業者に明らかとなるか、又は本発明の実施によって習得され得る。以下の実施例は、実例として提供され、それらは、本発明の限定を意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載される特定及び好ましい実施形態の全ての可能性のある組み合わせを包含する。
実施例1.組成物
適切な量のCDO又はエタムシル酸塩を適切な容器に量り入れ、表1に示す蒸留水を加える。
CDO又はエタムシル酸塩を穏やかに撹拌しながら水に溶解する。
実施例2.ラット及びウサギにおけるCDOの眼内分布(局所眼投与vs経口単回投与)。
方法
経口投与後及び眼の点眼後のバイオアベイラビリティを比較するため、ラット及びウサギの動物モデルにおいて、CDOの眼内分布を決定した。
ラットにおけるCDOの眼内分布(局所眼投与vs経口投与)
体重がおよそ200gのSprague Dawley(SD)ラットにおいて、CDOを10mg/ml(実施例1の組成物2)、100mg/ml(実施例1の組成5)で局所点眼(10μl/眼)により投与するか、又は水溶液中(それぞれ、実施例1の組成物1、3及び4による)50mg/kg、200mg/kg、若しくは750mg/kgで強制経口投与した。投与後15分、60分、180分及び360分に動物を安楽死させ、血漿、ならびに強膜、角膜、網膜、硝子体液/水晶体及び視神経を含む眼組織を収集した。
ラットでの50mg/kg(10mg)の経口投与量は、ヒト等価用量(HED:Human Equivalent Dose)(Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers U.S.Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(CDER)July 2005 Pharmacology and Toxicology)に基づいて、ヒトでの1個の500mgカプセルのDoxium(登録商標)、200mg/kg(40mg)〜4個の500mgカプセルのDoxium(登録商標)用量、及び750mg/kg(150mg)〜15個の500mgカプセルのDoxium(登録商標)に等しかった。
500mgのCDO Doxium(登録商標)(ヒト体重60kg)=8.3mgCDO/kgヒト
HED(ラット/ヒト)=6.2
8.3×6.2=51.5mg/kgラット(ラット体重0.2kg)=10mg(ラット用量等量)
ウサギにおけるCDOの眼内分布(局所眼投与vs経口投与)
体重がおよそ1.8kgのニュージーランドホワイトウサギにおいて、CDOを10mg/ml(実施例1の組成2)、100mg/ml(実施例1の組成5)の局所点眼(33μl/眼)により投与するか、又は水溶液中25mg/kg(実施例1の組成物1による)で強制経口投与した。投与後15分、60分、180分及び360分に動物を安楽死させ、血漿、ならびに網膜/脈絡膜、及び視神経を含む眼組織を収集した。
HEDの計算に基づけば、ウサギでの25mg/kg(45mg)の経口用量は、ヒトでの1個の500mgカプセルのDoxium(登録商標)に相当した。
500mgのCDO Doxium(登録商標)(ヒト体重60kg)=8.3mgCDO/kgヒト
HED(ウサギ/ヒト)=3.1
8.3×3.1=25.7mg/kgウサギ(ウサギ体重1.75kg)=45mg(ウサギ用量等量)
分析条件:
マトリクスの種類に応じて、CDOの生体分析を行った。血漿の場合、メタノールを使用してタンパク質を沈殿させた。組織の場合、サンプルを、ジルコニウムビーズ及び溶媒としてメタノール/水(1:1)(体積/体積)を使用して、Mini Bead Beaterで粉砕した。遠心分離後、サンプルをUPLC−MS/MSで分析した。
クロマトグラフィーによる分離は、Acquity CSH Fluoro Phenylカラム(1.7μm、50×2.1mm)を使用して行った。移動相は、0.6ml/分の流速において、水中0.1%ギ酸、及び4.5分間で5%〜45%のアセトニトリルを使用する勾配で構成された。
質量分析検出に関して、エレクトロスプレーイオン化源は負イオンを記録するように作動した。脱プロトン化分子イオンの多重反応モニタリング(MRM:Multiple Reaction Monitoring)取得モードを実行した。CDOについてモニターした遷移は、m/z189.0→80.1であり、コーン電圧は45V、衝突エネルギーは25eVであった。
結果
ラットにおけるCDOの眼内分布(局所眼投与vs経口投与)
次の表2は、様々な試験時間におけるμg/g組織のCDOの濃度を示す。
データは、ラットにおける局所眼投与により血漿レベルが低下することを示し、これは、眼の前部の微小血管及び後部のBRBが、眼の後ろから体循環への拡散を回避することを意味する可能性がある。
CDOを眼表面に局所的に適用すると、吸収及び分布が速くなる。
ラットにおける1%重量/体積(実施例1の組成物2)の単回用量(10μlの液滴)の局所点眼により、視神経におけるCDOの検出が可能になる。
眼表面に点眼された1mgのCDOは、40〜150mgの経口投与されたCDOと同等の網膜レベルを示すことから、眼の局所経路に従って、より良好なバイオアベイラビリティが存在する。
ウサギにおけるCDOの眼内分布(局所眼投与vs経口投与)
次の表3は、様々な試験時間におけるμg/g組織のCDOの濃度を示す。
データは、ウサギにおける局所眼投与(単回低用量0.3mg)が、単回経口用量(45mg)と同等の標的組織におけるCDOの値を与えることを示す。より高量の単回用量(CDO3.3mg)を眼に局所的に適用する場合、単回経口投与後に得られるよりも高いレベルの薬物が検出される。この場合も、眼の表面に局所的に適用されたCDOは高いバイオアベイラビリティを示すことが実証された。
さらに、CDO量は、両方の動物モデルにおいて、局所眼投与の6時間後に標的組織、特に視神経及び網膜脈絡膜で検出することができた。
実施例3.ラットにおける局所単回眼投与後のエタムシル酸塩の眼内分布。
方法
眼の後部への薬物の吸収を確認するため、エタミシル酸塩の眼内分布をラットで決定した。
体重がおよそ200gのSprague Dawley(SD)ラットに、実施例1の組成物6及び7の局所点眼(10μl/眼)によりエタムシレートを投与した。投与後15分、60分、及び180分に動物を安楽死させ、網膜及び視神経を含む眼組織を収集した。
分析条件:
実施例2に記載される通りである。
結果
次の表4に実験結果を示す。
別のドベシル酸塩(エタミシル酸塩)の吸収が確認されている。活性成分は、眼表面に局所的に適用されると(角膜及び結膜の点眼薬)、後眼部、特に網膜及び視神経に多量に到達する。
これらのデータを総合すると、塩の形態のドベシル酸が吸収され、塩とは無関係に眼の構造の後部にすばやく輸送されると結論付けることができる。
実施例4.ラットにおける局所眼反復投与後のCDOの眼内分布。
方法
定常状態の網膜におけるCDOレベルを評価するため、糖尿病ラットにおける28日間の反復投薬研究を行った。実施例1のCDO組成物2及び5を、28日間の局所点眼(10μl/眼)TIDによって投与した。29日目にCDOを1回点眼し、投与15分後に網膜を採取した。
分析条件:
実施例2に記載される通りである。
結果
次の表5は、28日間の反復投薬研究後に測定し、29日目のCDOの単回投与後15分に測定したμg/gの網膜組織におけるCDOの濃度を示す。
上記の要約データは、局所眼投与後のCDOの正しい吸収及び分布、ならびに網膜組織内の薬物濃度の上昇を裏付けている。定常状態の研究では、網膜におけるCDOの用量と濃度との間に良好な相関関係も観察されている。反復投薬は、単回用量の投与後に得られたデータを補強する。
実施例5.ラットのストレプトゾトシンにより誘発された糖尿病性網膜症モデルにおけるCDOの有効性
方法
クエン酸緩衝液(pH4.5)中60mg/kg体重のストレプトゾトシン(STZ)の単回腹腔内注射により、SD雄ラットで糖尿病を誘発した。STZ投与の7日後に血糖値を測定し、250mg/dlのレベルを糖尿病誘発とみなす閾値とした。一旦高血糖が確認されれば、10mg/mlのCDOによる眼科治療(10μl/眼の局所点眼)を開始し、28日間1日3回(TID)継続した。ラットを無作為に3つの群に分けた:I.対照(非糖尿病)、II.治療なしの糖尿病ラット及びIII.CDO10mg/mlの糖尿病ラット。
29日目に、群IIIにおいてCDOを10mg/mlで1回点眼し、ラットを安楽死させて、投与15分後に網膜を採取した。
網膜血管分布
静脈内注射直後にエバンスブルー(EB)が血清アルブミンに結合する能力に基づいて、EB染色によって網膜血管を観察した。したがって、29日目の安楽死の60分前に、エバンスブルー3%を1ml/kgで尾静脈から注射した。眼球をパラホルムアルデヒド4%で固定した。網膜を解剖した直後にスライドにマウントし、蛍光顕微鏡で観察した。
抗酸化能
抗酸化能を、ホモジナイズした網膜中のグルタチオンジスルフィド(GSSG)又は酸化型グルタチオンの濃度を測定することによって評価した。組織を29日目に収集し、1mM EDTAを含むPBS pH6〜7でホモジナイズした。10000rpmで遠心分離した後、上清のアリコートを0.1%ギ酸で希釈し、UPLC−MS/MSで分析した。
クロマトグラフィー分析を、Acquity HSST3カラム(1.8μm、50×2.1mm)を使用して行った。0.1%ギ酸及びメタノール(99:1)の混合物を移動相として使用し、0.6ml/分の流速でアイソクラティック溶出を行った。
質量分析検出に関して、エレクトロスプレーイオン化源は負イオンを記録するように作動した。脱プロトン化分子イオンの多重反応モニタリング取得モードを実行した。GSSGについてモニターした遷移は、m/z611.2→306.2であり、コーン電圧は45V、衝突エネルギーは25eVであった。
抗炎症活性
市販のキットSV Total RNA Isolation System(Promega)を使用して各網膜からRNAを単離し、使用するまで−80℃で保存した。相対mRNAレベルは、MX3000(Stratagene)定量PCRシステムを使用して定量した。逆転写及びcDNA増幅を、遺伝子の標的特異的プライマーを用いたワンステップqRT−PCR SYBRグリーンPCRマスターミックスを使用して行った。サーモサイクラーのパラメーターは、50℃で15分を1サイクル;95℃で2分間、続いて95℃で30秒、55℃で30秒、及び68℃で30秒を40サイクル、最後に95℃で60秒、55℃で30秒、及び95℃で30秒を1サイクルであった。
プライマー配列は次の通りである:
β−アクチン:(フォワードプライマー、5’−GTCGTACCACTGGCATTGTG−3’(配列番号1);及びリバースプライマー、5’−CTCTCAGCTGTGGTGGTGAA−3’(配列番号:2))。
TNF−α:(フォワードプライマー、5’−ATCTACTCCAGGTCCTCTTC−3’(配列番号3);及びリバースプライマー、5’−GATGCGGCTGATGGTGTG−3’(配列番号:4))。
qPCRシステムはSYBRが発する蛍光を検出し、その増加はPCR産物の指数関数的増加に対応する。ソフトウェアは、蛍光がバックグラウンドシグナルを超える閾値サイクル(Ct)を計算する。遺伝子発現の相対変化を、ΔCt法を使用して計算した。遺伝子発現の量を、ハウスキーピング遺伝子としてのβ−アクチンに対して正規化した。試験サンプルにおけるmRNAの相対発現を、対照試料(非糖尿病)と比較して増加倍率として決定した。
結果
網膜血管分布:
網膜を蛍光顕微鏡によって評価した。糖尿病ラット(未治療群II)では、網膜血管分布が明らかに損なわれ、微小血管病変が観察され、糖尿病性網膜症の初期段階と一致している。毛細血管からの透過性の増加とならんで、明らかな網膜血管漏出が観察された。この糖尿病未治療群IIでは、重度でない血管新生プロセスが観察された。10mg/mlのCDOで治療した糖尿病ラット(群III)は、網膜がよく保存されており、血管損傷の形跡のない明確な血管を示した。網膜の全体的な外観は、非糖尿病対照群Iに近かった。
抗酸化能:
糖尿病ラットのホモジナイズした網膜(未治療群II及び未治療群III)とならんで、対照群Iにおいて決定されたGSSGの濃度を図1に示す。糖尿病ラット(未治療)のGSSGの網膜濃度は、対照群の網膜濃度よりも高かった)(P<0.05、Bonferroni補正を伴う一元配置分散分析)。それにもかかわらず、10mg/mlのCDOで治療した糖尿病ラットは、対照群と同じレベルのGSSGの濃度に戻すことができ(P<0.01群IIvs群III、Bonferroni補正を伴う一元配置分散分析)、ラット糖尿病性網膜症モデルにおけるCDOの抗酸化能を実証した。これらの結果は、標的組織におけるCDOの活性、及び高レベルの血糖によって引き起こされる酸化ストレスプロセスに関連する活性酸素種の生成の大幅な防止を裏付ける。
抗炎症活性:
糖尿病ラット(非治療群II及び治療群III)とならんで対照群I(非糖尿病)の網膜におけるTNF−αmRNAの相対的発現を図2に示す。糖尿病群IIの網膜において、炎症性サイトカインTNF−αレベルの増加が観察された。10mg/mlのCDOによる治療は、TNF−αレベルを有意に減少させることができ(P<0.01 群IIvs群III、Bonferroni補正を伴う一元配置分散分析)、さらに、治療群の発現は対照群よりも有意に低く、このラット糖尿病性網膜症モデルにおけるCDOの抗炎症効果を実証している。
実施例6.眼刺激性アッセイ(HET−CAM)
方法
HET−CAMは、眼結膜のアナログである漿尿膜の血管の変化を模倣するDraize Rabbit Eye Testの代替方法であり、試験物質の潜在的な刺激を判断するために使用できる。この方法は、鶏卵試験−漿尿膜(HET−CAM:Hen´s Egg Test−Chorioallantoic Membrane)試験法(ICCVAM−Recommended Test Method Protocol,NIH Publication No.10−7553−Published2010)に記載される方法に基づいている。
受精させた白色SPF(特殊な病原菌を含まない)白色レグホンの鶏卵を、10日まで37℃、湿度60%でインキュベートした。胚の生存率を測定した後、気室の真上の殻から長方形の窓を取り外し、卵膜を2ml〜3mlの0.9%生理食塩水で注意深く湿らせた。インキュベーターに30分間戻した後、内膜を外し、ピペットでCAM膜に試験物質を塗布した。溶解、出血及び/又は凝固の出現について卵を5分間継続的に観察し、刺激スコア(IS)をICCVAM−Recommended Test Method Protocol(NIH Publication No.10−7553−Published2010)ガイドラインに従って決定した。
結果
HET−CAM眼刺激アッセイを実施し、NaCl0.9%(陰性対照)、NaOH0.1%(陽性対照)、エタムシル酸塩(100mg/ml)、ドベシル酸カリウム(100mg/ml)、及びCDO(100mg/ml)の代表画像を図3に示す。アッセイした活性成分は、いかなる溶解、出血、又は凝固のプロセスも引き起こさなかったため、刺激性がないと特徴付けられた。ISは刺激スコアである。
実施例7.ラットにおけるCDOの眼での忍容性。
方法
糖尿病SD系雄性ラットを、実施例1のCDO組成物2及び5で28日間、1日3回治療した(10μl/眼の局所点眼)。研究を通して眼の外観の臨床評価を行った。
結果
治療したラットの眼の臨床評価では刺激症状は明らかにならず、アッセイした組成物の良好な忍容性を示している。
引用文献一覧
特許文献
−EP2875811
−EP2777699
非特許文献
−Awwad et al.,“Principles of Pharmacology in the Eye”,British Journal of Pharmacology−2017,vol no.174 Issue 23,pp.:4205−4223.
−Cuevas et al.,“Single Intravitreal Injection of Etamsylate for the Treatment of Geographic Atrophy Associated with Submacular Hemorrhage”,MOJ Clin Med Case−2017,vol.no.7(1):00186.
−Cuevas et al.,“Intravitreal Dobesilate Injection for Macular Oedema Secondary to Branch Retinal Vein Occlusion”,MOJ Clin Med Case−2016,vol.no.4(1):00078.
−ICCVAM−Recommended Test Method Protocol,NIH Publication No.10−7553−Published 2010
−Gaudana et al,“Ocular drug delivery”,American Association of Pharmaceutical Sci.2010 Sep;12(3):348−360.doi:10.1208/s12248−010−9183−3.Epub 2010 May 1.
−Vadlapudi et al,“Ocular Drug Delivery”,Chapter 10,pp.:2019−263.
−Simo et al.,“Mechanisms of retinal neuroprotection of calcium dobesilate:therapeutic implications”Neural Regen Res−2017,vol.no.12(10),pp.:1620−1622.
−del Amo et al.,“Current and future ophthalmic drug delivery systems.A shift to the posterior segment”,Drug Discovery Today−2008,vol.no.13(3/4),pp.:135−143
−Guidance for Industry Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers U.S.Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(CDER)July 2005 Pharmacology and Toxicology.
−Ranta et al.,“Barrier analysis of periocular drug delivery to theposterior segment”,Journal of Controlled Release−2010,vol.no.148,pp.:42−48.

Claims (25)

  1. 眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は該酸若しくは該塩のいずれかのエステルであって、前記治療が、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量の前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの投与を含む、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  2. 前記薬学的に許容可能な塩が、ドベシル酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。

    式中、R、R及びRは、独立して−(C〜C)−アルキルラジカル又はHから選択される。
  3. ドベシル酸のアルカリ金属塩、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩、及びそれらの組み合わせから選択される薬学的に許容可能な塩である、請求項1〜2のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  4. ドベシル酸カルシウムのドベシル酸アルカリ土類金属塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  5. ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩であって、式中、RとRは等しく、エチルラジカルである、請求項1〜2のいずれかに記載の使用のための、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は酸若しくは塩のいずれかのエステル。
  6. 前記眼の後部の疾患が網膜及び/又は脈絡膜の病態、硝子体液の病態、後強膜の病態、視神経の病態、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は酸若しくは塩のいずれかのエステル。
  7. 前記眼の後部の疾患が、網膜脈管障害、黄斑症、遺伝性眼底ジストロフィー、特発性脈絡網膜症、中心性漿液性網膜症、全身性脈絡膜ジストロフィー、及びそれらの組み合わせから選択される網膜の病態及び/又は脈絡膜の病態である、請求項1〜6のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸又は前記塩のいずれかのエステル。
  8. 前記網膜血管障害が、糖尿病性網膜症、糖尿病性乳頭症、非糖尿病性網膜症、眼虚血症候群、高血圧網膜症、サラセミア網膜症、コーツ症候群、イールズ症候群、放射線網膜症、日光網膜症、パーチャー網膜症、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜細動脈瘤、網膜毛細血管瘤、白血病性網膜症、網膜虚血、慢性網膜障害、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  9. 前記黄斑症が、加齢性黄斑変性症(ARMD)、出血性ARMD、網膜血管腫性増殖、ポリープ状脈絡膜血管症、蜂巣状脈絡膜変性(malattia leventinese)、全層黄斑円孔、網膜黄斑前膜、黄斑部毛細血管拡張症、セロファン黄斑症又は黄斑パッカー、近視黄斑症(myopia maculopathy)、網膜の静脈血栓後の滲出性黄斑症、急性黄斑視神経網膜症、黄斑嚢胞(macular cystoids)、黄斑浮腫、網膜血管様線条(retinal angioid streaks)、脈絡膜襞(choroidal folds)、低眼圧性黄斑症及びそれらの組み合わせから選択され、前記遺伝性眼底ジストロフィーが、網膜色素変性症;限定されないがアッシャー症候群、点状白斑網膜炎、レーバー先天性黒内障、錐体のジストロフィー、桿体ジストロフィー、ビエッティ結晶性角膜網膜ジストロフィー、若年性黄斑ジストロフィー、全てのタイプの黄斑ジストロフィー、シュタルガルト病又は黄色斑眼底を含む非定型網膜色素変性症、アッシャー症候群及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  10. 前記後眼部の疾患が、黄斑下及び硝子体の出血、星状硝子体症、硝子体剥離、飛蚊症(eye floaters)又は飛蚊症(myodesopsia)、遺伝性硝子体網膜症、スティックラー症候群又はワーグナー症候群、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される硝子体液の病態である、請求項1〜6のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  11. 前記眼の後部の疾患が、視神経萎縮、視神経炎、神経網膜炎、虚血性神経障害、遺伝性視神経障害、中毒性弱視又は栄養性視神経障害、高眼圧症、原発性緑内障、続発性緑内障、緑内障に伴う虹彩角膜内皮症候群、視神経乳頭ドルーゼン又は視神経円板ドルーゼン(head drusen or optic disc drusen)、視神経乳頭浮腫、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される視神経の病態である、請求項1〜6のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸又は前記塩のいずれかのエステル。
  12. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜300mg/日である、請求項1〜11のいずれかに記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  13. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸又は塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜100mg/日である、請求項12に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  14. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜50mg/日である、請求項13に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  15. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜25mg/日である、請求項14に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  16. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜18mg/日である、請求項15に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  17. 前記ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは塩のエステルの局所用量が0.01mg/日〜13mg/日である、請求項16に記載の使用のためのドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステル。
  18. 治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所賦形剤及び/又は担体と共に含む、眼の後部の疾患の治療及び/又は予防に使用するための局所眼用医薬組成物であって、前記治療が、0.01mg/日〜400mg/日の局所用量のドベシル酸及び/又はその薬学的に許容可能な塩、又はそれらのエステルの投与を含む、局所眼用医薬組成物。
  19. ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステルを、重量/体積パーセントで0.02%〜20%重量/体積で含む、請求項18に記載の使用のための局所眼用医薬組成物。
  20. 前記薬学的に許容可能な塩が、ドベシル酸のアルカリ金属塩、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項18〜19に記載の使用のための局所眼用医薬組成物。

    式中、R、R及びRは、独立して−(C〜C)−アルキルラジカル又はHから選択される。
  21. 前記薬学的に許容可能な塩が、ドベシル酸のアルカリ金属塩、ドベシル酸のアルカリ土類金属塩、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項18〜20のいずれかに記載の使用のための局所眼用医薬組成物。
  22. 前記薬学的に許容可能な塩が、ドベシル酸カルシウムのドベシル酸アルカリ土類金属塩である、請求項18〜21のいずれか一項に記載の使用のための局所眼用医薬組成物。
  23. 前記ドベシル酸の薬学的に許容可能な塩が、ドベシル酸と式(II)のアミンとの塩であり、R及びRが等しく、エチルラジカルである、請求項18〜20のいずれかに記載の使用のための局所眼用医薬組成物。
  24. 点眼液の形態である、請求項18〜23のいずれかに記載の使用のための局所眼用医薬組成物。
  25. 局所眼用医薬組成物であって、治療有効量のドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステルを、1つ又は複数の薬学的に許容可能な局所の眼の賦形剤及び/又は担体と共に含み、前記組成物が、ドベシル酸及び/又は薬学的に許容可能な塩、又は前記酸若しくは前記塩のいずれかのエステルを2日間〜30日間放出するため製剤化されている、局所眼用医薬組成物。
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