JP2015500213A - 眼乾燥症候群を処置するためのjnkシグナル伝達経路の細胞透過性ペプチド阻害剤の使用 - Google Patents

眼乾燥症候群を処置するためのjnkシグナル伝達経路の細胞透過性ペプチド阻害剤の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤の使用に関し、より特定すると、眼乾燥症候群を処置するための、タンパク質キナーゼであるc−Junアミノ末端キナーゼの阻害剤、JNK阻害剤(ポリ)ペプチド、キメラペプチド、またはこれらをコードする核酸のほか、これらを含有する医薬組成物の使用に関する。一実施形態において、眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、150アミノ酸未満の長さを含むJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用が提供される。

Description

本発明は、タンパク質キナーゼ阻害剤の使用に関し、より特定すると、眼乾燥症候群を処置するための、タンパク質キナーゼであるc−Junアミノ末端キナーゼの阻害剤、JNK阻害剤(ポリ)ペプチド、キメラペプチド、またはこれらをコードする核酸のほか、これらを含有する医薬組成物の使用に関する。
乾燥角膜炎、眼球乾燥症、乾性角結膜炎(KCS)、または角膜乾燥症ともまた呼ばれる眼乾燥症候群(DES)は、眼の乾燥により引き起こされる眼疾患であり、眼の乾燥は、涙液産生の減少または涙液層蒸発の増大により引き起こされる。眼乾燥症候群の典型的な症状は、眼が乾燥し、ヒリヒリ、ザラザラ、ゴロゴロする刺激感である。眼乾燥症候群は、眼表面の炎症と関連することが多い。眼乾燥症候群が処置されないまま放置されるか、または重度化すると、眼損傷を引き起こしうる合併症がもたらされる可能性があり、その結果として視覚障害がもたらされる場合もあり、なおまたは失明がもたらされる場合もある。眼乾燥症候群が処置されないと、特に、眼上皮における病理学的症例である、扁平上皮化生、杯細胞の喪失、角膜表面の肥厚、角膜浸食、点状角膜症、上皮欠損、角膜の潰瘍化、角膜における血管新生、角膜の瘢痕化、角膜の薄層化がもたらされる場合があり、なお、角膜穿孔がもたらされる場合もある。
したがって、本発明の目的は、眼乾燥症候群および/または関連する病理学的効果、症状などの処置を可能とする医薬を提供することである。
この目的は、対象における眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、150アミノ酸未満の長さを含むJNK阻害剤(ポリ)ペプチドを用いることにより達せられる。
本発明者らは驚くべきことに、JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、対象における眼乾燥症候群を処置するのに特に適することを見出した。当技術分野では、JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが一般に公知であるが、対象における眼乾燥症候群を処置するのに特に適することは明らかなことでもなく、先行技術により示唆されることでもなかった。
本発明の文脈では、JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、ヒトIB1配列またはラットIB1配列、好ましくは配列番号102(ラットに由来するIB1 cDNA配列および予測されるそのアミノ酸配列を表示する)、配列番号103(rIB1遺伝子スプライスドナーのエクソン−イントロン境界部分によりコードされる、ラットに由来するIB1タンパク質配列を表示する)、配列番号104(Homo sapiensに由来するIB1タンパク質配列を表示する)、または配列番号105(Homo sapiensに由来するIB1 cDNA配列を表示する)に従う配列のうちのいずれかにより規定またはコードされるアミノ酸配列、より好ましくは配列番号104(Homo sapiensに由来するIB1タンパク質配列を表示する)、もしくは配列番号105(Homo sapiensに由来するIB1 cDNA配列を表示する)、またはその任意の断片もしくは改変体に従う配列のうちのいずれかにより規定またはコードされるアミノ酸配列に由来しうることが典型的でありうる。言い換えれば、JNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、ヒトIB1配列またはラットIB1配列の断片、改変体、またはこのような断片の改変体を含む。ヒトIB配列またはラットIB配列は、それぞれ、配列番号102、配列番号103、配列番号104、または配列番号105に従う配列により規定またはコードされる。
本明細書で用いられるこのようなJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、150アミノ酸残基未満の全長、好ましくは5〜150アミノ酸残基の範囲、より好ましくは10〜100アミノ酸残基の範囲、なおより好ましくは10〜75アミノ酸残基の範囲を含み、最も好ましくは10〜50アミノ酸残基の範囲、例えば、10〜30、10〜20、または10〜15アミノ酸残基を含むことが好ましい。
このようなJNK阻害剤(ポリ)ペプチドおよび上記の範囲は、上記で言及された配列のうちのいずれか、なおより好ましくは配列番号104に従い規定されるアミノ酸配列または配列番号105によりコードされるアミノ酸配列、なおより好ましくは配列番号105のヌクレオチド420と980との間の領域内、または配列番号104のアミノ酸105と291との間の領域内から選択することができ、最も好ましくは配列番号105のヌクレオチド561と647との間の領域内、または配列番号104のアミノ酸152と180との間の領域内から選択しうることがより好ましい。
特定の実施形態によれば、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、JNKに結合し、かつ/または少なくとも1つのJNK活性化型転写因子、例えば、c−JunもしくはATF2(例えば、それぞれ、配列番号15および16を参照されたい)またはElk1の活性化を阻害することが典型的である。
同様に、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100のうちのいずれか1つに従う少なくとも1つのアミノ酸配列、またはそれらの断片、誘導体、もしくは改変体を含むか、またはこれらからなることが好ましい。本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従うアミノ酸配列、またはそれらの改変体、断片、もしくは誘導体の1つ、2つ、3つ、4つ、なおまたはこれを超えるコピーを含有しうることがより好ましい。複数のコピーで存在する場合、本明細書で用いられる、これらの配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従うアミノ酸配列、またはそれらの改変体、断片、もしくは誘導体は、任意のリンカー配列を伴わずに、互いと直接連結することもでき、1〜10のアミノ酸、好ましくは1つ〜5つのアミノ酸を含むリンカー配列を介して連結することもできる。リンカー配列を形成するアミノ酸は、アミノ酸残基としてのグリシンまたはプロリンから選択されることが好ましい。本明細書で用いられる、これらの配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従うアミノ酸配列、またはそれらの断片、改変体、もしくは誘導体は、2つ、3つ以上のプロリン残基のヒンジにより互いに隔てうることがより好ましい。
本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せからなりうる。本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、少なくとも1つなおまたは2つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、好ましくは、少なくとも3つ、4つ、または5つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、より好ましくは、少なくとも6つ、7つ、8つ、または9つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、なおより好ましくは、少なくとも10もしくはそれより多いD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列内に、ブロック様の形で、非ブロック様の形で、または交互になった形で配置しうることが好ましい。
好ましい一実施形態によれば、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、もっぱらL−アミノ酸からなりうる。このとき、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、配列番号1または3に従う少なくとも1つの「天然JNK阻害剤配列」を含むか、またはこれからなる。この文脈では、「天然」または「天然JNK阻害剤配列(複数可)」という用語が、本明細書で用いられる、配列番号1または3のうちのいずれかに従う、非改変JNK阻害剤(ポリ)ペプチド配列であって、完全にL−アミノ酸からなる配列を指す。
したがって、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、少なくとも1つの(天然)アミノ酸配列であるNH−X −RPTTLXLXXXXXXXQD−X −X −COOH(L−IB generic(s))[配列番号3]および/またはIB1のJNK結合ドメイン(JBD)であるXRPTTLXLXXXXXXXQDS/TX(L−IB(generic))[配列番号19]を含みうるか、またはこれらからなりうる。この文脈では、各Xが、好ましくは任意の(天然)アミノ酸残基から選択されるアミノ酸残基を表すことが典型的である。X [式中、n(Xの反復の回数)は、0または1である]は、好ましくはセリンまたはトレオニンを除く任意のアミノ酸残基から選択される1つのアミノ酸残基を表すことが典型的である。さらに、各X [式中、この位置におけるセリンまたはトレオニンを回避するためには、X のn(Xの反復の回数)が0である場合に、直接隣接するX は、そのN末端にセリンまたはトレオニンを含まないことが好ましいと仮定すると、n(Xの反復の回数)は、0〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜30以上である]は、任意のアミノ酸残基から個別に選択することができる。X は、配列番号1または3に由来する連続的なペプチド残基の連なりを表すことが好ましい。X およびX は、Dアミノ酸を表す場合もあり、Lアミノ酸を表す場合もある。加えて、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、IB1のJNK結合ドメインであるDTYRPKRPTTLNLFPQVPRSQDT(L−IB1)[配列番号17]を含む群より選択される少なくとも1つの(天然)アミノ酸配列を含みうるか、またはこれからなりうる。本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、少なくとも1つの(天然)アミノ酸配列であるNH−RPKRPTTLNLFPQVPRSQD−COOH(L−IB1(s))[配列番号1]をさらに含みうるか、またはこれからなりうることがより好ましい。さらに、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、IB1のJNK結合ドメインであるL−IB1(s1)(NH−TLNLFPQVPRSQD−COOH、配列番号33);L−IB1(s2)(NH−TTLNLFPQVPRSQ−COOH、配列番号34);L−IB1(s3)(NH−PTTLNLFPQVPRS−COOH、配列番号35);L−IB1(s4)(NH−RPTTLNLFPQVPR−COOH、配列番号36);L−IB1(s5)(NH−KRPTTLNLFPQVP−COOH、配列番号37);L−IB1(s6)(NH−PKRPTTLNLFPQV−COOH、配列番号38);L−IB1(s7)(NH−RPKRPTTLNLFPQ−COOH、配列番号39);L−IB1(s8)(NH−LNLFPQVPRSQD−COOH、配列番号40);L−IB1(s9)(NH−TLNLFPQVPRSQ−COOH、配列番号41);L−IB1(s10)(NH−TTLNLFPQVPRS−COOH、配列番号42);L−IB1(s11)(NH−PTTLNLFPQVPR−COOH、配列番号43);L−IB1(s12)(NH−RPTTLNLFPQVP−COOH、配列番号44);L−IB1(s13)(NH−KRPTTLNLFPQV−COOH、配列番号45);L−IB1(s14)(NH−PKRPTTLNLFPQ−COOH、配列番号46);L−IB1(s15)(NH−RPKRPTTLNLFP−COOH、配列番号47);L−IB1(s16)(NH−NLFPQVPRSQD−COOH、配列番号48);L−IB1(s17)(NH−LNLFPQVPRSQ−COOH、配列番号49);L−IB1(s18)(NH−TLNLFPQVPRS−COOH、配列番号50);L−IB1(s19)(NH−TTLNLFPQVPR−COOH、配列番号51);L−IB1(s20)(NH−PTTLNLFPQVP−COOH、配列番号52);L−IB1(s21)(NH−RPTTLNLFPQV−COOH、配列番号53);L−IB1(s22)(NH−KRPTTLNLFPQ−COOH、配列番号54);L−IB1(s23)(NH−PKRPTTLNLFP−COOH、配列番号55);L−IB1(s24)(NH−RPKRPTTLNLF−COOH、配列番号56);L−IB1(s25)(NH−LFPQVPRSQD−COOH、配列番号57);L−IB1(s26)(NH−NLFPQVPRSQ−COOH、配列番号58);L−IB1(s27)(NH−LNLFPQVPRS−COOH、配列番号59);L−IB1(s28)(NH−TLNLFPQVPR−COOH、配列番号60);L−IB1(s29)(NH−TTLNLFPQVP−COOH、配列番号61);L−IB1(s30)(NH−PTTLNLFPQV−COOH、配列番号62);L−IB1(s31)(NH−RPTTLNLFPQ−COOH、配列番号63);L−IB1(s32)(NH−KRPTTLNLFP−COOH、配列番号64);L−IB1(s33)(NH−PKRPTTLNLF−COOH、配列番号65);およびL−IB1(s34)(NH−RPKRPTTLNL−COOH、配列番号66)を含む群より選択される少なくとも1つの(天然)アミノ酸配列を含みうるか、またはこれからなりうる。
加えて、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、IB1の(長い)JNK結合ドメイン(JBD)であるPGTGCGDTYRPKRPTTLNLFPQVPRSQDT(IB1−long)[配列番号13]、IB2の(長い)JNK結合ドメインであるIPSPSVEEPHKHRPTTLRLTTLGAQDS(IB2−long)[配列番号14]、c−JunのJNK結合ドメインであるGAYGYSNPKILKQSMTLNLADPVGNLKPH(c−Jun)[配列番号15]、ATF2のJNK結合ドメインであるTNEDHLAVHKHKHEMTLKFGPARNDSVIV(ATF2)[配列番号16](例えば、図1A〜1Cを参照されたい)を含む群より選択される少なくとも1つの(天然)アミノ酸配列を含みうるか、またはこれからなりうる。この文脈では、アライメントにより、部分的に保存された8つのアミノ酸配列(例えば、図1Aを参照されたい)が明らかとなり、さらにIB1のJBDとIB2のJBDとの比較により、2つの配列の間で高度に保存的な7つのアミノ酸および3つのアミノ酸による2つのブロックが明らかとなった。
別の好ましい実施形態によれば、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、上記で規定したD−アミノ酸から部分的になる場合もあり、上記で規定したD−アミノ酸からもっぱらなる場合もある。D−アミノ酸からなるこれらのJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、上記の(天然)JNK阻害剤配列の、非天然Dレトロインベルソ配列であることがより好ましい。「レトロインベルソ(ポリ)ペプチド」という用語は、配列方向が逆方向とされ、各アミノ酸残基のキラル性が反転された直鎖状ペプチド配列の異性体を指す(例えば、Jamesonら、Nature、368巻、744〜746頁(1994年);Bradyら、Nature、368巻、692〜693頁(1994年)を参照されたい)。D−光学異性体と逆合成とを組み合わせることの利点は、各アルファ炭素における側鎖基の位置は保持しながら、各アミド結合におけるカルボニル基の位置とアミノ基の位置とを交換することである。とりわけ別段に言明しない限りにおいて、本発明に従い用いられる所与の任意のL−アミノ酸配列またはペプチドは、対応する天然L−アミノ酸配列または天然L−アミノ酸ペプチドのリバース配列またはリバースペプチドを合成することにより、Dレトロインベルソ配列またはDレトロインベルソペプチドへと転換しうることが仮定される。
本明細書で用いられる、上記で規定したDレトロインベルソ(ポリ)ペプチドは、多様で有用な特性を有する。例えば、本明細書で用いられるDレトロインベルソ(ポリ)ペプチドは、本明細書で用いられるL−アミノ酸配列と同程度に効率的に細胞に入り込む一方で、本明細書で用いられるDレトロインベルソ配列は、対応するL−アミノ酸配列より安定的である。
したがって、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、アミノ酸配列であるNH−X −X −DQXXXXXXXLXLTTPR−X −COOH(D−IB1 generic(s))[配列番号4]および/またはXS/TDQXXXXXXXLXLTTPRX(D−IB(generic))[配列番号20]に従う、少なくとも1つのDレトロインベルソ配列を含みうるか、またはこれからなりうる。この文脈で用いられるX、X 、およびX は、上記で規定した通りである(好ましくは、Dアミノ酸を表す)[式中、X は、配列番号2または4に由来する残基の連続的な連なりを表すことが好ましい。X のnが0である場合、直接隣接するX は、そのC末端にセリンまたはトレオニンを含まないことが好ましい]。加えて、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、IB1のJNK結合ドメイン(JBD)であるTDQSRPVQPFLNLTTPRKPRYTD(D−IB1)[配列番号18]を含むアミノ酸に従う、少なくとも1つのDレトロインベルソ配列も含みうるか、またはこれからなりうる。本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、アミノ酸配列であるNH−DQSRPVQPFLNLTTPRKPR−COOH(D−IB1(s))[配列番号2]に従う、少なくとも1つのDレトロインベルソ配列を含みうるか、またはこれからなりうることがより好ましい。さらに、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、IB1のJNK結合ドメイン(JBD)であるD−IB1(s1)(NH−QPFLNLTTPRKPR−COOH、配列番号67);D−IB1(s2)(NH−VQPFLNLTTPRKP−COOH、配列番号68);D−IB1(s3)(NH−PVQPFLNLTTPRK−COOH、配列番号69);D−IB1(s4)(NH−RPVQPFLNLTTPR−COOH、配列番号70);D−IB1(s5)(NH−SRPVQPFLNLTTP−COOH、配列番号71);D−IB1(s6)(NH−QSRPVQPFLNLTT−COOH、配列番号72);D−IB1(s7)(NH−DQSRPVQPFLNLT−COOH、配列番号73);D−IB1(s8)(NH−PFLNLTTPRKPR−COOH、配列番号74);D−IB1(s9)(NH−QPFLNLTTPRKP−COOH、配列番号75);D−IB1(s10)(NH−VQPFLNLTTPRK−COOH、配列番号76);D−IB1(s11)(NH−PVQPFLNLTTPR−COOH、配列番号77);D−IB1(s12)(NH−RPVQPFLNLTTP−COOH、配列番号78);D−IB1(s13)(NH−SRPVQPFLNLTT−COOH、配列番号79);D−IB1(s14)(NH−QSRPVQPFLNLT−COOH、配列番号80);D−IB1(s15)(NH−DQSRPVQPFLNL−COOH、配列番号81);D−IB1(s16)(NH−FLNLTTPRKPR−COOH、配列番号82);D−IB1(s17)(NH−PFLNLTTPRKP−COOH、配列番号83);D−IB1(s18)(NH−QPFLNLTTPRK−COOH、配列番号84);D−IB1(s19)(NH−VQPFLNLTTPR−COOH、配列番号85);D−IB1(s20)(NH−PVQPFLNLTTP−COOH、配列番号86);D−IB1(s21)(NH−RPVQPFLNLTT−COOH、配列番号87);D−IB1(s22)(NH−SRPVQPFLNLT−COOH、配列番号88);D−IB1(s23)(NH−QSRPVQPFLNL−COOH、配列番号89);D−IB1(s24)(NH−DQSRPVQPFLN−COOH、配列番号90);D−IB1(s25)(NH−DQSRPVQPFL−COOH、配列番号91);D−IB1(s26)(NH−QSRPVQPFLN−COOH、配列番号92);D−IB1(s27)(NH−SRPVQPFLNL−COOH、配列番号93);D−IB1(s28)(NH−RPVQPFLNLT−COOH、配列番号94);D−IB1(s29)(NH−PVQPFLNLTT−COOH、配列番号95);D−IB1(s30)(NH−VQPFLNLTTP−COOH、配列番号96);D−IB1(s31)(NH−QPFLNLTTPR−COOH、配列番号97);D−IB1(s32)(NH−PFLNLTTPRK−COOH、配列番号98);D−IB1(s33)(NH−FLNLTTPRKP−COOH、配列番号99);およびD−IB1(s34)(NH−LNLTTPRKPR−COOH、配列番号100)を含むアミノ酸配列に従う、少なくとも1つのDレトロインベルソ配列を含みうるか、またはこれからなりうる。
本明細書で用いられる、上記で開示したJNK阻害剤(ポリ)ペプチドを、表1(配列番号1〜4、13〜20、および33〜100)に示す。表は、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチド名/配列名のほか、それらの配列識別子番号、それらの長さ、およびアミノ酸配列も示す。さらに、表1は、配列のほか、それらの一般式、例えば、配列番号1、2、5、6、9、および11、ならびに配列番号3、4、7、8、10、および12のそれぞれの一般式も示す。表1は、キメラ配列である配列番号9〜12および23〜32(下記を参照されたい)、L−IB1配列である配列番号33〜66、ならびにD−IB1配列である配列番号67〜100もさらに開示する。
当業者は、もっぱらD−アミノ酸からなる、本明細書における所与の配列が、「D−名称」で識別されることを理解するであろう。例えば、配列番号100の配列名/ペプチド名は、「D−IB1(s34)」である。所与のアミノ酸配列は、LNLTTPRKPRである。しかし、本明細書では、全てのアミノ酸がD−アミノ酸である。
当業者はまた、「完全にL−アミノ酸からなる」、「もっぱらD−アミノ酸からなる」、「完全にD−アミノ酸からなる」、および/または「もっぱらD−アミノ酸からなる」などの用語が、グリシン残基の存在を除外する必要のない(しかし、これを除外する場合もある)配列を指すことも理解するであろう。グリシンは、非キラルの唯一のアミノ酸である。したがって、「完全にL−アミノ酸からなる」、「もっぱらD−アミノ酸からなる」、「完全にD−アミノ酸からなる」、および/または「もっぱらD−アミノ酸からなる」という用語が意図することは、可能ならば、L−アミノ酸またはD−アミノ酸のそれぞれを用いるということを明確にすることである。にもかかわらず、アミノ酸配列内の所与の位置においてグリシンの存在が必要であるかまたは好ましい場合は、グリシンをその位置に存在させておく場合もある。良い例は、L−TAT(配列番号5)である。本明細書で用いられる前記配列は、非キラルのグリシン残基を含む「が」、もっぱらL−アミノ酸からなると考えられる。同様に、本明細書で用いられるD−TAT(配列番号6)は、非キラルのグリシン残基を含む「が」、もっぱらD−アミノ酸からなると考えることができる。
別の好ましい実施形態によれば、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、上記で規定した、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う、天然または非天然のアミノ酸配列の少なくとも1つの改変体、断片、および/または誘導体を含むか、またはこれらからなる。これらの改変体、断片、および/または誘導体は、上記で開示した、本明細書で用いられる、天然または非天然のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの生物学的活性、特に、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う、天然または非天然のアミノ酸配列の生物学的活性、すなわち、JNKに結合し、かつ/または少なくとも1つのJNK活性化型転写因子、例えば、c−Jun、ATF2、もしくはElk1の活性化を阻害する活性を保持することが好ましい。機能性は、多様な試験、例えば、ペプチドのその標的分子に対する結合についての試験により調べることもでき、生物物理学的方法、例えば、分光法、コンピュータモデリング、構造解析などにより調べることもできる。特に、上記で規定したJNK阻害剤(ポリ)ペプチド、またはその改変体、断片、および/もしくは誘導体は、ペプチドの疎水性領域および親水性領域を同定するのに使用しうる親水性解析(例えば、HoppおよびWoods、1981年、Proc Natl Acad Sci USA、78巻:3824〜3828頁を参照されたい)により解析し、これにより、結合実験などにおける実験操作のための基質、または抗体合成のための基質をデザインする一助とすることができる。また、二次構造解析を実施して、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチド、またはその改変体、断片、および/もしくは誘導体の領域であって、特定の構造的モチーフを帯びる領域を同定することもできる(例えば、ChouおよびFasman、1974年、Biochem、13巻:222〜223頁を参照されたい)。操作、翻訳、二次構造の予測、親水性および疎水性のプロファイル、オープンリーディングフレームの予測およびプロッティング、ならびに配列相同性の決定は、当技術分野で利用可能なコンピュータソフトウェアプログラムを用いて達成することができる。構造解析の他の方法には、例えば、X線結晶構造解析(例えば、Engstrom、1974年、Biochem Exp Biol、11巻:7〜13頁を参照されたい)、質量分析、およびガスクロマトグラフィー(例えば、METHODS IN PROTEIN SCIENCE、1997年、J. Wiley and Sons、New York、NYを参照されたい)が含まれるが、また、コンピュータモデリング(例えば、FletterickおよびZoller編、1986年、Computer Graphics and Molecular Modeling、CURRENT COMMUNICATIONS IN MOLECULAR BIOLOGY、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NYを参照されたい)も使用することができる。
したがって、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の少なくとも1つの改変体を含みうるか、またはこれからなりうる。本発明の文脈では、「配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の改変体」が、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う配列のうちのいずれかに由来する配列であることが好ましく、改変体が、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従うアミノ酸配列のアミノ酸変化を含む。このような変化は、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従うアミノ酸の、1〜20カ所、好ましくは1〜10カ所の置換、付加、および/または欠失を含み、より好ましくは1〜5カ所の置換、付加、および/または欠失を含むことが典型的であり、改変体は、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う配列のうちのいずれかとの、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、95%、98%、なおまたは少なくとも約99%の配列同一性を呈示する。
上記で規定した、本明細書で用いられる、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の改変体が、特定のアミノ酸を置換することにより得られる場合、このような置換は、保存的アミノ酸置換を含むことが好ましい。保存的アミノ酸置換では、群のメンバー間の置換が分子の生物学的活性を温存するように、十分に類似した物理化学的特性を有する同義語のアミノ酸残基を、群内に組み入れることができる(例えば、Grantham, R.(1974年)、Science、185巻、862〜864頁を参照されたい)。当業者にはまた、特に、挿入および/または欠失が少数のアミノ酸、例えば、20未満のアミノ酸だけを伴い、好ましくは10未満のアミノ酸だけを伴い、機能的活性にとってきわめて重要なアミノ酸を除去したり置きかえたりしない場合、それらの機能を変化させることなく、上記で規定した配列に、アミノ酸を挿入する場合もあり、かつ/または欠失させる場合もあることが明らかである。さらに、本明細書で用いられる改変体では、本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチドまたは本明細書でin vivoもしくはin vitroにおいて用いられるキメラペプチドの不活化を回避するために、ホスホリラーゼ好ましくはキナーゼに結合可能なアミノ酸位置においてさらなるトレオニンをもたらす置換を回避するものとする。
同じ群へと分類され、保存的アミノ酸置換により交換可能であることが典型的な、同義語のアミノ酸残基は、表2で規定されることが好ましい。
本明細書で用いられる配列番号1〜4、13〜20、および33〜100の改変体の特定の形態は、本明細書で用いられる、配列番号1、1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の断片であって、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100と比較して、少なくとも1つの欠失により改変されていることが典型的な断片である。断片は、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100のうちのいずれかのうちの、これらの配列のうちのいずれかに由来するエピトープに対する特異的な認識を可能とするのに十分であることが典型的な長さである、少なくとも4つの連続アミノ酸を含むことが好ましい。断片は、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100のうちのいずれかの4〜18の連続アミノ酸、4〜15の連続アミノ酸を含むか、または、最も好ましくは4〜10の連続アミノ酸を含むことがなおより好ましく、範囲の下限は、4つの連続アミノ酸、または5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、もしくは10の連続アミノ酸でありうる。欠失させるアミノ酸は、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100の任意の位置で欠失させることができ、好ましくはN末端またはC末端で欠失させることができる。
さらに、上記で記載した、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の断片は、本明細書で用いられる配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う配列のうちのいずれかとの、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、95%、98%、なおまたは99%の配列同一性を共有する配列としてとして規定することもできる。
本明細書で用いられるJNK阻害剤(ポリ)ペプチド/配列は、上記で規定した、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の少なくとも1つの誘導体をさらに含みうるか、またはこれからなりうる。この文脈では、「配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う(天然または非天然の)アミノ酸配列の誘導体」が、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う配列のうちのいずれかに由来するアミノ酸配列であることが好ましく、誘導体は、少なくとも1つの修飾L−アミノ酸または修飾D−アミノ酸(非天然アミノ酸(複数可)を形成する)、好ましくは1〜20の修飾L−アミノ酸または修飾D−アミノ酸、より好ましくは1〜10の修飾L−アミノ酸または修飾D−アミノ酸を含み、なおより好ましくは1つ〜5つの修飾L−アミノ酸または修飾D−アミノ酸を含む。また、改変体または断片の誘導体も、本発明の範囲内に収まる。
この点における「修飾アミノ酸」は、例えば、多様な生物において異なるグリコシル化により改変された任意のアミノ酸の場合もあり、リン酸化により改変された任意のアミノ酸の場合もあり、特定のアミノ酸の標識化により改変された任意のアミノ酸の場合もある。標識化による改変の場合、このような標識は、
(i)放射性標識、すなわち、放射性リン酸化、または硫黄、水素、炭素、窒素などを伴う放射性標識;
(ii)着色染料(例えば、ジゴキシゲニンなど);
(iii)蛍光基(例えば、フルオレセインなど);
(iv)化学発光基;
(v)固相において固定化するための基 (例えば、Hisタグ、ビオチン、ストレップタグ、フラッグタグ、抗体、抗原など);および
(vi)(i)〜(v)の下で言及した標識のうちの2つ以上の標識の組合せ
を含む標識群より選択されることが典型的である。
上記の文脈では、本発明のクエリーアミノ酸配列に対して、少なくとも、例えば、95%の「配列同一性を共有する」配列を有するアミノ酸配列が、対象アミノ酸配列に、クエリーアミノ酸配列の各100アミノ酸当たり最大で5カ所のアミノ酸変化を組み入れうることを除き、対象アミノ酸の配列が、クエリー配列と同一であることを意味することを意図する。言い換えれば、クエリーアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一な配列を有するアミノ酸配列を得るには、対象配列内のアミノ酸残基のうちの最大で5%(100残基のうちの5残基)を、挿入することもでき、別のアミノ酸で置換することもでき、欠失させることもできる。
正確な対応を伴わない配列でも、第1の配列の「同一性%」を、第2の配列に照らして決定することができる。一般に、配列の間の最大の相関をもたらすように、比較されるこれらの2つの配列を配列決定する。これは、一方または両方の配列に「ギャップ」を挿入して、アライメントの程度を増大させることを包含しうる。次いで、比較される配列の各々の全長にわたり同一性%を決定する(いわゆる、グローバルアライメント)こともでき(これは、同じであるかまたは類似した長さの配列に特に適する)、規定された短い長さにわたり、同一性%を決定する(いわゆる、ローカルアライメント)こともできる(これは、長さが等しくない配列により適する)。
当技術分野では、特に、本明細書で用いられる、2つ以上の配列の同一性および相同性を比較するための方法が周知である。したがって、例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package、version 9.1(Devereuxら、1984年、Nucleic Acids Res.、12巻、387〜395頁)において利用可能なプログラム、例えば、プログラムであるBESTFITおよびGAPを用いて、2つのポリヌクレオチドの間の同一性%、ならびに2つのポリペプチド配列の間の同一性%および相同性%を決定することができる。BESTFITでは、(SmithおよびWaterman(1981年)、J. Mol. Biol.、147巻、195〜197頁)による「局所相同性」アルゴリズムが用いられ、2つの配列の間の最良で単一の類似性領域が見出される。当技術分野ではまた、配列の間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラム、例えば、インターネットのサイトであるncbi.nlm.nih.govにおける、NCBIのホームページを介してアクセス可能なBLASTファミリーのプログラム(Altschulら、1990年、J. Mol. Biol.、215巻、403〜410頁)、およびFASTAファミリーのプログラム(Pearson(1990年)、Methods Enzymol.、183巻、63〜98頁;PearsonおよびLipman(1988年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A、85巻、2444〜2448頁)も公知である。
本発明に従い用いられる、上記で規定したJNK阻害剤(ポリ)ペプチド/配列は、当技術分野で周知の方法により、例えば、下記で論じられる化学合成または遺伝子操作法により、得るかまたは作製することができる。例えば、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列の一部であって、前記JNK阻害剤配列の所望の領域を組み入れるか、またはin vitroもしくはin vivoにおいて所望の活性を媒介する配列の一部に対応するペプチドは、ペプチド合成器を用いることにより合成することができる。
本明細書で用いられる、上記で規定したJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、本明細書で用いられる、上記で規定したJNK阻害剤(ポリ)ペプチドを細胞へと効果的に輸送することを可能とするトラフィキング(ポリ)ペプチドにより、さらに修飾することもできる。このような修飾JNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、キメラ(ポリ)ペプチドとして提供され、用いられることが好ましい。
したがって、第2の態様によれば、本発明は、対象における眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、少なくとも1つの第1のドメインおよび少なくとも1つの第2のドメインを組み入れたキメラ(ポリ)ペプチドの使用であって、キメラペプチドの第1のドメインが、トラフィキング配列を含む一方で、キメラ(ポリ)ペプチドの第2のドメインが、上記で規定したJNK阻害剤配列、好ましくは、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う配列のうちのいずれかまたはそれらの誘導体もしくは断片によるJNK阻害剤配列を含む使用を提供する。
本発明に従い用いられるキメラ(ポリ)ペプチドは、少なくとも25アミノ酸残基、例えば、25〜250アミノ酸残基、より好ましくは25〜200アミノ酸残基、なおより好ましくは25〜150アミノ酸残基、25〜100アミノ酸残基であり、最も好ましくは25〜50アミノ酸残基の長さを有することが典型的である。
第1のドメインとして、本明細書で用いられるキメラ(ポリ)ペプチドは、トラフィキング配列を含むことが好ましく、トラフィキング配列は、ペプチド(トラフィキング配列がその中に存在する)を細胞内の所望の輸送先へと方向付けるアミノ酸の任意の配列から選択されることが典型的である。したがって、本明細書で用いられるトラフィキング配列は、ペプチドを、細胞膜を越えて、例えば、細胞の外側から、細胞膜を介して、細胞質へと方向付けることが典型的である。代替的に、または加えて、トラフィキング配列は、例えば、2つの成分(例えば、細胞透過性のための成分および核内局在化のための成分)を組み合わせることにより、または、例えば、細胞膜輸送および標的化された輸送、例えば、核内輸送の特性を有する単一の成分により、ペプチドを細胞内の所望の地点、例えば、核、リボソーム、小胞体(ER)、リソソーム、またはペルオキシソームへと方向付けることも可能である。トラフィキング配列は、細胞質成分もしくは他の任意の成分、または細胞内コンパートメント(例えば、小胞体、ミトコンドリア、ゴルジ(gloom)装置、リソソーム小胞)に結合することが可能な別の成分もさらに含みうる。したがって、例えば、第1のドメインのトラフィキング配列および第2のドメインのJNK阻害剤配列を、細胞質または他の任意の細胞のコンパートメントに局在化させることができる。これは、キメラペプチドが取り込まれたときの細胞における局在化を決定することを可能とする。
トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられる)は、5〜150アミノ酸残基の長さを有することが好ましく、より好ましくは5〜100アミノ酸の長さを有し、最も好ましくは5〜50アミノ酸、5〜30アミノ酸、なおまたは5〜15アミノ酸の長さを有する。
トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに含有される)は、第1のドメインにおける連続的なアミノ酸配列の連なりとして生じうることがより好ましい。代替的に、第1のドメインにおけるトラフィキング配列を、2つ以上の断片へと分断する場合もあり、この場合、トラフィキング配列それ自体が上記で開示したその担体特性を保持するという条件で、これらの断片の全てをトラフィキング配列の全体に酷似させ、互いから1〜10アミノ酸、好ましくは1〜5アミノ酸隔てさせることができる。トラフィキング配列の断片を隔てるこれらのアミノ酸は、例えば、トラフィキング配列と異なるアミノ酸配列から選択することができる。代替的に、第1のドメインは、複数の成分からなるトラフィキング配列を含有することが可能であり、各成分は、カーゴである第2のドメインのJNK阻害剤配列を、例えば、特定の細胞内コンパートメントへと輸送するためのその固有の機能を伴う。
上記で規定したトラフィキング配列は、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せからなりうる。トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられる)は、少なくとも1つなおまたは2つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、好ましくは、少なくとも3つ、4つ、または5つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、より好ましくは、少なくとも6つ、7つ、8つ、または9つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、なおより好ましくは、少なくとも10もしくはそれより多いD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含むことが可能であり、D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を、JNKトラフィキング配列内に、ブロック様の形で、非ブロック様の形で、または交互になった形で配置しうることが好ましい。
代替的な一実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラ(ポリ)ペプチドのトラフィキング配列は、もっぱらL−アミノ酸からなりうる。本明細書で用いられるキメラペプチドのトラフィキング配列は、上記で規定した、少なくとも1つの「天然」トラフィキング配列を含むか、またはこれからなることがより好ましい。この文脈では、「天然」という用語は、完全にL−アミノ酸からなる、非改変トラフィキング配列を指す。
別の代替的な実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラ(ポリ)ペプチドのトラフィキング配列は、もっぱらD−アミノ酸からなりうる。本明細書で用いられるキメラペプチドのトラフィキング配列は、上記で提示された配列のDレトロインベルソペプチドを含みうることがより好ましい。
本明細書で用いられるキメラ(ポリ)ペプチドの第1のドメインのトラフィキング配列は、自然発生の供給源から得ることもでき、遺伝子操作技法または化学合成を用いることにより作製することもできる(例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E. F.、Maniatis, T.(1989年)、Molecular cloning: A laboratory manual、2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照されたい)。
例えば、TATタンパク質(例えば、米国特許第5,804,604号、および同第5,674,980号において記載され、これらの参考文献の各々は、参照により本明細書に組み込まれる)、VP22(例えば、WO97/05265;ElliottおよびO’Hare、Cell、88巻:223〜233頁(1997年)において記載されている)、非ウイルス性タンパク質(Jacksonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻:10691〜10695頁(1992年))、アンテナペディア(例えば、アンテナペディアの担体配列)に由来するトラフィキング配列、または塩基性ペプチド、例えば、5〜15アミノ酸、好ましくは10〜12アミノ酸の長さを有し、少なくとも80%、より好ましくは85%、なおもしくは90%の、例えば、アルギニン、リシン、および/もしくはヒスチジンなどの塩基性アミノ酸を含むペプチドに由来するトラフィキング配列などの、例えば、天然タンパク質を含め、第1のドメインのトラフィキング配列のための供給源を使用することができる。本明細書ではさらに、トラフィキング配列として用いられる天然タンパク質のうちの1つの改変体、断片、および誘導体も開示される。改変体、断片、および誘導体に関しては、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列について上記に示した規定を参照する。これに応じて、改変体、断片のほか、誘導体については、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列について上記で示した通りに規定する。特に、トラフィキング配列の文脈では、改変体もしくは断片または誘導体を、上記で規定したトラフィキング配列として用いられる天然タンパク質のうちの1つと、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、95%、98%、なおまたは99%の配列同一性を共有する配列として規定することができる。
本明細書で用いられるキメラ(ポリ)ペプチドの好ましい実施形態では、第1のドメインのトラフィキング配列が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1 TATタンパク質、特に、TATタンパク質を構成する86アミノ酸の一部または全部に由来する配列を含むか、またはこれからなる。
トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられる)には、全長TATタンパク質の部分配列であって、機能的に有効なTATタンパク質の断片、すなわち、細胞への移入および取込みを媒介する領域を組み入れたTATペプチドを形成する部分配列を用いることができる。このような配列が、機能的に有効なTATタンパク質の断片であるのかどうかについては、公知の技法を用いて決定することができる(例えば、Frankedら、Proc. Natl. Acad. Sci、USA、86巻:7397〜7401頁(1989年)を参照されたい)。したがって、本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメイン内のトラフィキング配列は、TATタンパク質配列の機能的に有効な断片または部分であって、86未満のアミノ酸を含み、細胞への取込みを呈示し、場合によって、細胞内の核への取込みを呈示する断片または部分に由来しうる。キメラペプチドの、細胞膜を越える透過を媒介する担体として用いられるTATの部分配列(断片)は、全長TATの塩基性領域(アミノ酸48〜57または49〜57)を含むことを意図することがより好ましい。
より好ましい実施形態によれば、トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられる)は、TAT残基48〜57または49〜57を含有するアミノ酸配列を含みうるか、またはこれからなることが可能であり、最も好ましくは、TAT配列の一般式であるNH−X −RKKRRQRRR−X −COOH(L−generic−TAT(s))[配列番号7]および/またはXXXXRKKRRQ RRRXXXX(L−generic−TAT)[配列番号21][式中、XまたはX は、上記で規定されている]を含みうるか、またはこれらからなりうる。さらに、配列番号8における「X 」残基の数は、表示される数に限定されず、上記の通りに変化させうる。代替的に、本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられるトラフィキング配列は、例えば、アミノ酸配列であるNH−GRKKRRQRRR−COOH(L−TAT)[配列番号5]を含有するペプチドを含みうるか、またはこれからなりうる。
別のより好ましい実施形態によれば、トラフィキング配列(本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられる)は、上記で提示された配列のDレトロインベルソペプチド、すなわち、配列NH−X −RRRQRRKKR−X −COOH(D−generic−TAT(s))[配列番号8]および/またはXXXXRRRQRRKKRXXXX(D−generic−TAT)[配列番号22]を有するTAT配列の一般式のDレトロインベルソ配列を含みうる。この配列でもまた、X は、上記で規定した通りである(好ましくはDアミノ酸を表す)。さらに、配列番号8における「X 」残基の数も、表示される数に限定されず、上記の通りに変化させうる。本明細書で用いられるトラフィキング配列は、Dレトロインベルソ配列であるNH−RRRQRRKKRG−COOH(D−TAT)[配列番号6]を含みうることが最も好ましい。
別の実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられるトラフィキング配列は、上記で規定したトラフィキング配列の改変体を含みうるか、またはこれらからなりうる。「トラフィキング配列の改変体」は、上記で規定したトラフィキング配列に由来する配列であって、改変体が、上記で規定したトラフィキング配列内に存在する少なくとも1つのアミノ酸の修飾、例えば、付加、(内部)欠失(断片をもたらす)、および/または置換を含む配列であることが好ましい。このような修飾(複数可)は、1〜20カ所、好ましくは1〜10カ所のアミノ酸の置換、付加、および/または欠失を含み、より好ましくは1〜5カ所のアミノ酸の置換、付加、および/または欠失を含むことが典型的である。さらに、改変体は、上記で規定したトラフィキング配列との、より好ましくは配列番号5〜8または21〜22のうちのいずれかとの、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、95%、98%、なおまたは99%の配列同一性を呈示することが好ましい。
本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられるトラフィキング配列のこのような修飾は、安定性を増大または減少させたトラフィキング配列をもたらすことが好ましい。代替的に、トラフィキング配列の改変体は、本明細書で用いられるキメラペプチドの細胞への局在化を調節するようにデザインすることもできる。外因的に付加される場合、上記で規定したこのような改変体は、トラフィキング配列が細胞に入り込む能力を保持する(すなわち、トラフィキング配列の改変体の細胞への取込みが、トラフィキング配列として用いられる天然タンパク質の取込みと実質的に同様である)ようにデザインすることが典型的である。例えば、核局在化に重要であると考えられる塩基性領域の変化(例えば、DangおよびLee、J. Biol. Chem.、264巻:18019〜18023頁(1989年);Hauberら、J. Virol.、63巻:1181〜1187頁(1989年);Rubenら、J. Virol.、63巻:1〜8頁(1989年)を参照されたい)は、トラフィキング配列の細胞質への局在化または細胞質への部分的な局在化を結果としてもたらす可能性があり、したがって、本明細書で用いられるキメラペプチドの成分としてのJNK阻害剤配列の、細胞質への局在化または細胞質への部分的な局在化を結果としてもたらす可能性がある。上記に加えて、例えば、例えば、コレステロールまたは他の脂質部分をトラフィキング配列へと連結して、膜における可溶性を増大させたトラフィキング配列を作製することにより、さらなる修飾を改変体へと導入することもできる。本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインに組み入れられるトラフィキング配列の、上記で開示した改変体のうちのいずれかは、当業者に典型的には公知の技法を用いて作製しうる(例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E. F.、Maniatis, T.(1989年)、Molecular cloning: A laboratory manual、2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照されたい)。
第2のドメインとして、本明細書で用いられるキメラペプチドは、これらのJNK阻害剤配列の改変体、断片、および/または誘導体を含め、上記で規定したJNK阻害剤配列のうちのいずれかから選択されるJNK阻害剤配列を含むことが典型的である。
本明細書で用いられるキメラペプチドの両方のドメイン、すなわち、第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とは、機能的単位を形成するように連結することができる。第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを連結するための、当技術分野で一般に公知の任意の方法を適用することができる。
一実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とは、共有結合により連結することが好ましい。本明細書で規定される共有結合は、例えば、上記で規定したキメラペプチドを、融合タンパク質として発現させることにより得られるペプチド結合でありうる。本明細書で記載される融合タンパク質は、以下で記載される標準的な組換えDNA法と類似する方途、または標準的な組換えDNA法から容易に適合化可能な方途で形成し、用いることができる。しかしまた、両方のドメインを、側鎖を介して連結することもでき、化学的リンカー部分により連結することもできる。
本明細書で用いられるキメラペプチドの第1のドメインおよび/または第2のドメインは、前記キメラペプチド内に、1つまたは複数のコピーで生起させうる。両方のドメインを単一のコピー内に存在させる場合、第1のドメインは、第2のドメインのN末端またはC末端へと連結することができる。複数のコピー内に存在させる場合、第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)は、任意の可能な順序で配置することができる。例えば、第1のドメインは、本明細書で用いられるキメラペプチド内に、好ましくは連続的な順序で配置される複数のコピー数で、例えば、2つ、3つ以上のコピーで存在させることができる。この場合、第2のドメインは、第1のドメインを含む配列のN末端またはC末端において生起する単一のコピーで存在させることができる。代替的に、第2のドメインを、複数のコピー数、例えば、2つ、3つ以上のコピーで存在させ、第1のドメインを、単一のコピーで存在させることも可能である。いずれの代替法によっても、第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)は、連続的な配置において任意の場所を占めうる。例示的な配置を以下に示す:例えば、第1のドメイン−第1のドメイン−第1のドメイン−第2のドメイン;第1のドメイン−第1のドメイン−第2のドメイン−第1のドメイン;第1のドメイン−第2のドメイン−第1のドメイン−第1のドメイン;または例えば、第2のドメイン−第1のドメイン−第1のドメイン−第1のドメイン。当業者には、これらの例が、例示だけを目的とするものであり、本発明の範囲をこれらに限定するものではないものとすることが十分に理解されている。したがって、コピー数および配置は、最初に規定した通りに変化させることができる。
第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)は、リンカーを伴わずに互いと直接連結しうることが好ましい。代替的に、第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)は、1〜10アミノ酸、好ましくは1〜5アミノ酸を含むリンカー配列を介して互いと連結することもできる。リンカー配列を形成するアミノ酸は、アミノ酸残基としてのグリシンまたはプロリンから選択されることが好ましい。第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)は、第1のドメインと第2のドメイン(複数可)との間で、2つ、3つ以上のプロリン残基のヒンジにより互いに隔てうることがより好ましい。
少なくとも1つの第1のドメインおよび少なくとも1つの第2のドメインを含む、上記で規定した、本明細書で用いられるキメラペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せからなりうる。キメラペプチド内で、各ドメイン(ならびに用いられるリンカー)は、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せ(例えば、D−TATおよびL−IB1(s)またはL−TATおよび D−IB1(s)など)からなりうる。本明細書で用いられるキメラペプチドは、少なくとも1つなおまたは2つ、好ましくは、少なくとも3つ、4つ、または5つ、より好ましくは、少なくとも6つ、7つ、8つ、または9つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、なおより好ましくは、少なくとも10もしくはそれより多いD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸は、本明細書で用いられるキメラペプチド内に、ブロック様の形で、非ブロック様の形で、または交互になった形で配置しうることが好ましい。
特定の実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラペプチドは、L−TAT−IBペプチドの一般式であるNH−X −RKKRRQRRR−X −RPTTLXLXXXXXXXQD−X −X −COOH(L−TAT−IB(generic)(s))[配列番号10][式中、X、X 、およびX は、上記で規定した通りであることが好ましい]に従うL−アミノ酸キメラペプチドを含むか、またはこれらからなる。本明細書で用いられるキメラペプチドは、L−アミノ酸キメラペプチドであるNH−GRKKRRQRRRPPRPKRPTTLNLFPQVPRSQD−COOH(L−TAT−IB1(s))[配列番号9]を含むか、またはこれからなることがより好ましい。代替的に、または加えて、本明細書で用いられるキメラペプチドは、L−アミノ酸キメラペプチド配列であるGRKKRRQRRR PPDTYRPKRP TTLNLFPQVP RSQDT(L−TAT−IB1)[配列番号23]、またはXXXXXXXRKK RRQRRRXXXX XXXXRPTTLX LXXXXXXXQD S/TX(L−TAT−IB generic)[配列番号24][式中、Xもまた、上記で規定した通りであることが好ましい]を含むか、またはこれらからなり、本明細書で用いられるキメラペプチドは、L−アミノ酸キメラペプチド配列であるRKKRRQRRRPPRPKRPTTLNLFPQVPRSQD(L−TAT−IB1(s1))[配列番号27]、GRKKRRQRRRX RPKRPTTLNLFPQVPRSQD(L−TAT−IB1(s2))[配列番号28]、またはRKKRRQRRRX RPKRPTTLNLFPQVPRSQD(L−TAT−IB1(s3))[配列番号29]を含むか、またはこれらからなる。この文脈では、各Xが、上記で規定したアミノ酸残基を表すことが典型的であり、X [式中、n(X の反復の回数)は、0〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜30、なおまたはこれを超える数であり、好ましくは0〜5または5〜10であることが典型的である]が連続的なペプチド残基の連なりを表し、各Xが、互いから独立にグリシンまたはプロリン、例えば、単調なグリシンの連なりまたは単調なプロリンの連なりから選択されることがより好ましい。X は、Dアミノ酸またはLアミノ酸を表しうる。
代替的な特定の実施形態によれば、本明細書で用いられるキメラペプチドは、上記で開示したL−アミノ酸キメラペプチドのD−アミノ酸キメラペプチドを含むか、またはこれらからなる。本発明に従う、例示的なDレトロインベルソキメラペプチドは、例えば、D−TAT−IBペプチドの一般式であるNH−X −X −DQXXXXXXXLXLTTPR−X −RRRQRRKKR−X −COOH(D−TAT−IB(generic)(s))[配列番号12]である。本明細書では、X、X 、およびX が、上記で規定した通りである(好ましくはDアミノ酸を表す)ことが好ましい。本明細書で用いられるキメラペプチドは、TAT−IB1ペプチドであるNH−DQSRPVQPFLNLTTPRKPRPPRRRQRRKKRG−COOH(D−TAT−IB1(s))[配列番号11]に従うD−アミノ酸キメラペプチドを含むか、またはこれらからなることがより好ましい。代替的に、または加えて、本明細書で用いられるキメラペプチドは、D−アミノ酸キメラペプチド配列であるTDQSRPVQPFLNLTTPRKPRYTDPPRRRQRRKKRG(D−TAT−IB1)[配列番号25]、またはXT/SDQXXXXXXXLXLTTPRXXXXXXXXRRRQRRKKRXXXXXXX(D−TAT−IB generic)[配列番号26][式中、Xもまた、上記で規定した通りであることが好ましい]を含むか、またはこれらからなり、本明細書で用いられるキメラペプチドは、D−アミノ酸キメラペプチド配列であるDQSRPVQPFLNLTTPRKPRPPRRRQRRKKR(D−TAT−IB1(s1))[配列番号30]、DQSRPVQPFLNLTTPRKPRX RRRQRRKKRG(D−TAT−IB1(s2))[配列番号31]、またはDQSRPVQPFLNLTTPRKPRX RRRQRRKKR(D−TAT−IB1(s3))[配列番号32]を含むか、またはこれらからなる。X は、上記で規定した通りでありうる。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とは、当技術分野で公知の任意の適する形で実行される化学的カップリングまたは生化学的カップリングにより、例えば、第1のドメインと第2のドメイン(複数可)との間でペプチド結合を確立することにより互いと連結することもでき、例えば、第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)を融合タンパク質として発現させることにより互いと連結することもでき、例えば、上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを架橋することにより互いと連結することもできる。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)との化学的架橋に適する多くの公知の方法は、非特異的である、すなわち、それらの方法は、カップリング点を、輸送ポリペプチド上またはカーゴである高分子上の任意の特定の部位へと方向付けない。結果として、非特異的な架橋剤の使用は、機能的部位を攻撃する場合もあり、活性部位を立体障害的に遮断する場合もあることから、コンジュゲートされたタンパク質は、生物学的に不活性とされうる。したがって、第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とのより特異的なカップリングを可能とするこのような架橋法を用いることが好ましい。
この文脈では、カップリングの特異性を増大させる1つの方途は、官能基への直接的な化学的カップリングを、架橋される第1のドメインおよび第2のドメイン(複数可)の一方または両方において、1回または少数の回数に限り存在させることである。例えば、チオール基を含有する唯一のタンパク質アミノ酸であるシステインは、多くのタンパク質において、少数の回数に限り生起させる。例えば、ポリペプチドがリシン残基を含有しない場合はまた、一級アミンに特異的な架橋試薬も、そのポリペプチドのアミノ末端に対して選択的であろう。カップリングの特異性を増大させるこの手法の使用を成功させるには、ポリペプチドが、適切な程度に希少で反応性である残基を、分子の生物学的活性を失わせることなく改変しうる分子エリアにおいて有することが要請される。システイン残基が、それらを置きかえなければ、それらの架橋反応への関与が、生物学的活性に干渉する可能性が高くなるポリペプチド配列の部分において生起する場合は、システイン残基を置きかえることができる。システイン残基を置きかえる場合は、ポリペプチドのフォールディングにおいて結果として生じる変化を最小化することが典型的に所望される。ポリペプチドのフォールディングの変化は、置きかえが、システインと化学的および立体障害的に類似する場合に最小化される。これらの理由で、システインの置きかえとしては、セリンが好ましい。下記の例で顕示される通り、システイン残基を、架橋を目的として、ポリペプチドのアミノ酸配列へと導入することができる。システイン残基を導入する場合は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端における導入またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端の近傍における導入が好ましい。このようなアミノ酸配列の修飾のためには、従来の方法が利用可能であり、対象のポリペプチドを、化学合成により、または組換えDNAの発現を介して作製する。
上記で規定した、本明細書で用いられる、キメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とのカップリングはまた、カップリング剤またはコンジュゲート剤を介しても達成することができる。いくつかの分子間架橋試薬を使用することができる(例えば、MeansおよびFeeney、CHEMICAL MODIFICATION OF PROTEINS、Holden−Day、1974年、39〜43頁を参照されたい)。これらの試薬には、例えば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)またはN,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド(これらのいずれも、スルフヒドリル基に対して高度に特異的であり、不可逆性の連結を形成する);N,N’−エチレン−ビス−(ヨードアセトアミド)または6〜11カ所の炭素メチレン架橋を有する他のこのような試薬(これらは、スルフヒドリル基に対して比較的特異的である);および1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(これは、アミノ基およびチロシン基と共に不可逆性の連結を形成する)がある。この目的に有用な他の架橋試薬には、p,p’−ジフルオロ−m,m’−ジニトロジフェニルスルホン(これは、アミノ基およびフェノール基と共に不可逆性の架橋を形成する);アジプイミド酸ジメチル(これは、アミノ基に特異的である);フェノール−1,4ジスルホニルクロリド(これは主に、アミノ基と反応する);ヘキサメチレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソチオシアネート、またはアゾフェニル−p−ジイソシアネート(これは主に、アミノ基と反応する);グルタルアルデヒド(これは、いくつかの異なる側鎖と反応する);およびジスジアゾベンジジン(これは主に、チロシンおよびヒスチジンと反応する)が含まれる。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを架橋するために用いられる架橋試薬は、ホモ二官能性でありうる、すなわち、同じ反応を経る2つの官能基を有しうる。好ましいホモ二官能性架橋試薬は、ビスマレイミドヘキサン(「BMH」)である。BMHは、マイルドな条件(pH6.5〜7.7)下でスルフヒドリル含有化合物と特異的に反応する2つのマレイミド官能基を含有する。2つのマレイミド基は、炭化水素鎖で接合される。したがって、BMHは、システイン残基を含有するポリペプチドを不可逆的に架橋するのに有用である。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを架橋するために用いられる架橋試薬はまた、ヘテロ二官能性でもありうる。ヘテロ二官能性架橋剤は、2つの異なる官能基、例えば、それぞれ、遊離アミンおよび遊離チオールを有する2つのタンパク質を架橋する、アミン反応性基およびチオール反応性基を有する。ヘテロ二官能性架橋剤の例は、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(「SMCC」)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(「MBS」)、およびスクシンイミド4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(「SMPB」)、MBSの伸長鎖類似体である。これらの架橋剤のスクシンイミジル基は、一級アミンと反応し、チオール反応性のマレイミド形態は、システイン残基のチオールと共有結合する。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを架橋するのに適する架橋試薬は、水中での可溶性が低いことが多い。したがって、スルホネート基などの親水性部分を、架橋試薬へと付加して、その水溶性を改良することができる。この点において、スルホ−MBSおよびスルホ−SMCCは、本発明に従い用いうる、水溶性のための修飾架橋試薬の例である。
同様に、多くの架橋試薬は、細胞内条件下で本質的に切断不可能なコンジュゲートももたらす。しかし、特に、上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)とを架橋するのに適する一部の架橋試薬は、細胞内条件下で切断可能なジスルフィド結合などの共有結合を含有する。例えば、トラウト試薬、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(「DSP」)、およびN−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(「SPDP」)は、周知の切断可能な架橋剤である。切断可能な架橋試薬の使用は、カーゴ部分が、標的細胞への送達後に輸送ポリペプチドから分離することを可能とする。また、直接的なジスルフィド連結も有用でありうる。
上記で論じた架橋試薬を含め、多数の架橋試薬が、市販されている。それらの使用についての詳細な指示書は、販売元から容易に入手可能である。タンパク質の架橋およびコンジュゲートの調製についての一般的な参考文献は、Wong、CHEMISTRY OF PROTEIN CONJUGATION AND CROSSLINKING、CRC Press(1991年)である。
上記で規定したキメラペプチドの第1のドメインと第2のドメイン(複数可)との化学的架橋は、スペーサーアームの使用を包含しうる。スペーサーアームは、分子間の可撓性をもたらすか、またはコンジュゲートされた部分の間の分子間の距離を調整し、これにより、生物学的活性を温存する一助となりうる。スペーサーアームは、スペーサーアミノ酸、例えば、プロリンを組み入れたポリペプチド部分の形態でありうる。代替的に、スペーサーアームは、「長鎖SPDP」(Pierce Chem. Co.、Rockford、IL.、型番:21651 H)内の部分など、架橋試薬の部分でもありうる。
さらに本明細書では、上記で開示したキメラペプチドのうちの1つの改変体、断片、または誘導体も用いることができる。断片および改変体に関しては一般に、JNK阻害剤配列について上記に示した規定を参照する。
特に、本発明の文脈では、「キメラペプチドの改変体」が、配列番号9〜12および23〜32に従う配列のうちのいずれかに由来する配列であり、キメラ改変体が、本明細書で用いられる配列番号9〜12および23〜32に従うキメラペプチドのアミノ酸変化を含むことが好ましい。このような変化は、配列番号9〜12および23〜32に従うアミノ酸の1〜20カ所、好ましくは1〜10カ所の置換、付加、および/または欠失を含むことが典型的であり、より好ましくは1〜5カ所の置換、付加、および/または欠失(断片をもたらす)を含み、本明細書で用いられる改変キメラペプチドは、配列番号9〜12および23〜32に従う配列のうちのいずれかとの、少なくとも約30%、50%、70%、80%、または95%、98%、なおまたは99%の配列同一性を呈示することが典型的である。これらの改変体は、本明細書で用いられるキメラペプチド内に含有される第1のドメインおよび第2のドメインの生物学的活性、すなわち、上記で開示した第1のドメインのトラフィキング活性、ならびに第2のドメインのJNKに結合する活性および/または少なくとも1つのJNK活性化型転写因子の活性化を阻害する活性を保持することが好ましい。
したがって、本明細書で用いられるキメラペプチドはまた、前述で開示したキメラペプチド、特に、配列番号9〜12および23〜32のうちのいずれかに従うキメラペプチド配列の断片も含む。したがって、本発明の文脈では、「キメラペプチドの断片」が、配列番号9〜12および23〜32に従う配列のうちのいずれかに由来する配列であり、断片が、配列番号9〜12および23〜32のうちのいずれかの少なくとも4つの連続アミノ酸を含むことが好ましい。この断片は、これらの配列のうちのいずれかに由来するエピトープに対する特異的な認識を可能とし、この配列を、細胞、核、またはさらなる好ましい地点へと輸送するのに十分な長さを含むことが好ましい。断片は、配列番号9〜12および23〜32のうちのいずれかの4〜18、4〜15の連続アミノ酸を含むことがなおより好ましいか、または、4〜10の連続アミノ酸を含むことが最も好ましい。さらに、本明細書で用いられるキメラペプチドの断片は、配列番号99〜12および23〜32のうちのいずれかに従う配列のうちのいずれかとの、少なくとも約30%、50%、70%、80%、または95%、98%、なおまたは99%の配列同一性を共有する配列として規定することもできる。
最後に、本明細書で用いられるキメラペプチドはまた、前述で開示したキメラペプチド、特に、配列番号9〜12および23〜32のうちのいずれかに従うキメラペプチド配列の誘導体も含む。
本発明の特に好ましい使用は、眼乾燥症候群を処置するための、配列番号11のアミノ酸配列からなるか、もしくはこれらを含むか、または配列番号11との、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、92%、なおもしくは95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列からなるか、もしくはこれらを含むJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用である。配列番号11のアミノ酸配列からなるか、もしくはこれらを含むか、または配列番号11との、少なくとも約30%、50%、70%、80%、90%、92%、なおもしくは95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列からなるか、もしくはこれらを含むJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、例えば、眼へと局所投与することもでき、全身投与することもできる。
本発明は加えて、本明細書で規定される対象における眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、上記で規定したJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または全て上記で規定したそれらの断片、改変体、もしくは誘導体をコードする核酸配列の使用にも関する。本明細書で用いられるJNK阻害剤配列をコードする、好ましく適切な核酸は、ヒトIB1核酸(GenBank受託番号:AF074091)、ラットIB1核酸(GenBank受託番号:AF108959)、もしくはヒトIB2(GenBank受託番号:AF218778)から選び出されるか、または上記で規定した配列のうちのいずれかをコードする任意の核酸配列、すなわち、配列番号1〜26に従う任意の配列から選び出されることが典型的である。
本明細書で用いられるJNK阻害剤配列または本明細書で用いられるキメラペプチドをコードする核酸は、当技術分野で公知の任意の方法により(例えば、配列の3’末端および5’末端とハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いるPCR増幅により、かつ/または所与の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチド配列を用いるcDNAライブラリーもしくはゲノムライブラリーからのクローニングにより)得ることができる。
本明細書では加えて、厳密な条件下で、(天然)JNK阻害剤配列または上記で規定したキメラペプチドをコードする適切な鎖とハイブリダイズする核酸配列も同様に開示される。このような核酸配列は、特異的なハイブリダイゼーションを可能とするのに十分な長さを有する少なくとも6つの(連続)核酸を含むことが好ましい。このような核酸配列は、6〜38の(連続)核酸を含むことがより好ましく、6〜30の(連続)核酸を含むことがなおより好ましく、6〜20または6〜10の(連続)核酸を含むことが最も好ましい。
「厳密な条件」は、配列依存的であり、異なる状況下では異なる。一般に、厳密な条件は、規定されたイオン強度およびpHにおける特異的な配列の熱融解点(TM)より約5℃低くなるように選択することができる。TMとは、標的配列のうちの50%が、完全にマッチしたプローブとハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度下およびpH下における)である。厳密な条件は、pH7における塩濃度が少なくとも約0.02モルであり、温度が少なくとも約60℃である条件となることが典型的である。他の因子(中でも、相補鎖の塩基組成およびサイズ、有機溶媒の存在ならびに塩基ミスマッチの程度を含めた)もハイブリダイゼーションの厳密性に影響を及ぼしうるので、パラメータの組合せが、任意の1つの因子の絶対的測定値より重要である。
「高度な厳密性の条件」は、以下、例えば、ステップ1:6倍濃度のSSC、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のFicoll、0.02%のBSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAからなる緩衝液中、65℃で8時間〜一晩にわたりDNAを含有するフィルターを前処理するステップ;ステップ2:フィルターを、100mg/mlの変性サケ精子DNA、および5〜20×10cpmの32P標識プローブを添加した上記の前ハイブリダイゼーション混合物中、65℃で48時間にわたりハイブリダイズさせるステップ;ステップ3:2倍濃度のSSC、0.01%のPVP、0.01%のFicoll、および0.01%のBSAを含有する溶液中、37℃で1時間にわたりフィルターを洗浄する(この後、0.1倍濃度のSSC中、50℃で45分間にわたる洗浄を行う)ステップ;ステップ4:フィルターをオートラジオグラフィーにかけるステップを含みうる。当技術分野で用いうる高度な厳密性の他の条件も周知である(例えば、Ausubelら(編)、1993年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、NY;およびKriegler、1990年、Gene Transfer and Expression, a Laboratory Manual、Stockton Press、NYを参照されたい)。
「中程度の厳密性の条件」は、以下:ステップ1:6倍濃度のSSC、5倍濃度のデンハルト溶液、0.5%のSDS、および100mg/mlの変性サケ精子DNAを含有する溶液中、55℃で6時間にわたりDNAを含有するフィルターを前処理するステップ;ステップ2:フィルターを、5〜20×10cpmの32P標識プローブを添加した同じ溶液中、55℃で18〜20時間にわたりハイブリダイズさせるステップ;ステップ3:2倍濃度のSSC、0.1%のSDSを含有する溶液中、37℃で1時間にわたりフィルターを洗浄し、次いで、1倍濃度のSSC、および0.1%のSDSを含有する溶液中、60℃で30分間にわたり2回洗浄するステップ;ステップ4:フィルターを乾燥させてブロット処理し、オートラジオグラフィーのために露光するステップを包含しうる。当技術分野で用いうる中程度の厳密性の他の条件も周知である(例えば、Ausubelら(編)、1993年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、NY;およびKriegler、1990年、Gene Transfer and Expression, a Laboratory Manual、Stockton Press、NYを参照されたい)。
最後に、「低度な厳密性の条件」は、ステップ1:35%のホルムアミド、5倍濃度のSSC、50mMのトリス−HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のFicoll、1%のBSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAを含有する溶液中、40℃で6時間にわたりDNAを含有するフィルターを前処理するステップ;ステップ2:フィルターを、0.02%のPVP、0.02%のFicoll、0.2%のBSA、100μg/mlのサケ精子DNA、10%(wt/vol)の硫酸デキストラン、および5〜20×106cpmの32P標識プローブを添加した同じ溶液中、40℃で18〜20時間にわたりハイブリダイズさせるステップ;ステップ3:2倍濃度のSSC、25mMのトリス−HCl(pH7.4)、5mMのEDTA、および0.1%のSDSを含有する溶液中、55℃で1.5時間にわたりフィルターを洗浄する(洗浄溶液を、新鮮な溶液で置きかえ、60℃でさらに1.5時間にわたりインキュベートする)ステップ;ステップ4:フィルターを乾燥させてブロット処理し、オートラジオグラフィーのために露光する(必要な場合は、フィルターを65〜68℃で3回目の洗浄にかけ、フィルムへと再露光する)ステップを包含しうる。当技術分野で用いうる低度な厳密性の他の条件も周知である(例えば、異種間ハイブリダイゼーションに用いられる)。例えば、Ausubelら(編)、1993年、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley and Sons、NY;およびKriegler、1990年、GENE TRANSFER AND EXPRESSION, A LABORATORY MANUAL、Stockton Press、NYを参照されたい。
本発明に従う、上記で規定した核酸配列は、ペプチドを発現させるのに用いることができる、すなわち、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列または本明細書で用いられるキメラペプチドを、解析、特徴付け、または治療的使用のために、対応するペプチド(本明細書で用いられる)が優先的に発現する(構成的に、または組織分化もしくは組織発生の特定の段階において、または疾患状態において)組織についてのマーカーとして発現させるのに用いることができる。これらの核酸の他の使用には、例えば、核酸についてのゲル電気泳動ベースの解析における分子量マーカーが含まれる。
本発明のさらなる実施形態によれば、1つまたは複数のJNK阻害剤配列および/または上記で規定したキメラペプチドを組換え発現させる上記の目的のために、発現ベクターを用いることができる。本明細書では、「発現ベクター」という用語を用いて、二本鎖または一本鎖で、環状または直鎖状のDNAまたはRNAを指し示す。発現ベクターは、宿主細胞または単細胞もしくは多細胞の宿主生物へと導入される、上記で規定した少なくとも1つの核酸をさらに含む。本明細書で用いられる発現ベクターは、本明細書で用いられるJNK阻害剤配列またはその断片もしくは改変体、あるいは本明細書で用いられるキメラペプチド、またはその断片もしくは改変体をコードする、上記で規定した核酸を含むことが好ましい。加えて、本発明に従う発現ベクターは、ウイルス供給源、細菌供給源、植物供給源、哺乳動物供給源、および他の真核生物供給源に由来する、挿入されるポリヌクレオチドの、宿主細胞における発現を駆動するエンハンサー/プロモーターなど、インスレーター、境界エレメント、LCR(例えば、BlackwoodおよびKadonaga(1998年)、Science、281巻、61〜63頁により記載される)、またはマトリックス/足場接合領域(例えば、Li、Harju、およびPeterson、(1999年)、Trends Genet.、15巻、403〜408頁により記載される)など、多様な制御エレメントを含めた、発現を支援するのに適するエレメントも含むことが好ましい。一部の実施形態では、制御エレメントが、異種エレメント(すなわち、天然の遺伝子プロモーターではない)である。代替的には、必要な転写シグナルおよび翻訳シグナルがまた、遺伝子および/またはそれらのフランキング領域に対する天然プロモーターによってももたらされる。
本明細書で用いられる「プロモーター」という用語は、上記で規定した1つまたは複数の核酸配列の転写を制御するように機能し、DNA依存型RNAポリメラーゼの結合部位の存在およびプロモーターの機能を調節するように相互作用する、他のDNA配列の存在により構造的に同定されるDNAの領域を指す。プロモーターの機能的な発現促進断片とは、プロモーターとしての活性を保持する、短縮型プロモーター配列または切断型プロモーター配列である。プロモーター活性は、当技術分野で公知(例えば、Wood、de Wet、Dewji、およびDeLuca、(1984年)、Biochem Biophys. Res. Commun.、124巻、592〜596頁;SeligerおよびMcElroy、(1960年)、Arch. Biochem. Biophys.、88巻、136〜141頁を参照されたい)であるか、またはPromega(登録商標)から市販されている、任意のアッセイにより測定することができる。
本明細書で規定される発現ベクターにおいて用いられる「エンハンサー領域」は、1つまたは複数の遺伝子の転写を増大させるように機能するDNAの領域を指すことが典型的である。より特定すると、本明細書で用いられる「エンハンサー」という用語は、遺伝子の発現を、発現させる遺伝子に照らしたその地点および配向にかかわらず増強、増進、改良、または改善するDNA制御エレメントであり、複数のプロモーターの発現も増強、増進、改良、または改善しうる。
本明細書で規定される発現ベクターにおいて用いられるプロモーター/エンハンサー配列には、植物、動物、昆虫、または真菌の調節配列を使用することができる。例えば、酵母および他の真菌に由来するプロモーター/エンハンサーエレメント(例えば、GAL4プロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター)を用いることができる。代替的に、または加えて、プロモーター/エンハンサーエレメントには、動物の転写制御領域、例えば、(i)膵臓ベータ細胞内で活性なインスリン遺伝子制御領域(例えば、Hanahanら、1985年、Nature、315巻:115〜122頁を参照されたい);(ii)リンパ球様細胞内で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(例えば、Grosschedlら、1984年、Cell、38巻:647〜658頁を参照されたい);(iii)肝臓内で活性なアルブミン遺伝子制御領域(例えば、Pinckertら、1987年、Genes and Dev、1巻:268〜276頁を参照されたい);(iv)脳の希突起膠細胞内で活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(例えば、Readheadら、1987年、Cell、48巻:703〜712頁を参照されたい);および(v)視床下部内で活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(例えば、Masonら、1986年、Science、234巻:1372〜1378頁を参照されたい)なども含まれうる。
加えて、本明細書で規定される発現ベクターは、増幅マーカーも含みうる。この増幅マーカーは、例えば、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、複数の薬物耐性遺伝子(MDR)、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)、およびN−(ホスホンアセチル)−L−アスパラギン酸耐性(CAD)からなる群より選択されうる。
本発明に適する例示的な発現ベクターまたはそれらの誘導体には、特に、例えば、ヒトウイルスまたは動物ウイルス(例えば、牛痘ウイルスまたはアデノウイルス);昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルス);酵母ベクター;バクテリオファージベクター(例えば、ラムダファージ);プラスミドベクターおよびコスミドベクターが含まれる。
本発明では加えて、上記で規定した核酸のペプチドコード配列(複数可)を発現させることが可能な、多様な宿主−ベクター系も使用することができる。これらには、(i)牛痘ウイルス、アデノウイルスなどを感染させる哺乳動物細胞系;(ii)バキュロウイルスなどを感染させる昆虫細胞系;(iii)酵母を含有する酵母ベクター;または(iv)バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNAで形質転換される細菌が含まれるがこれらに限定されない。使用される宿主−ベクター系に応じて、多数の適する転写エレメントおよび翻訳エレメントのうちのいずれか1つを用いることができる。
挿入される対象の配列の発現を調節するか、または配列によりコードされる、発現させるペプチドを、所望の特異的な形で修飾もしくはプロセシングする、このような宿主−ベクター系に適する宿主細胞株を選択しうることが好ましい。加えて、特定のプロモーターからの発現は、選択される宿主株における特定の誘導剤の存在下で増強することができ、これにより、遺伝子操作されたペプチドの発現の制御が容易となる。さらに、異なる宿主細胞は、発現させるペプチドの翻訳および翻訳後プロセシングならびに修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化など)のための特徴的で特異的な機構を保有する。したがって、外来ペプチドに対する所望の修飾およびプロセシングが達成されることを確保するように、適切な細胞系または宿主系を選び出すことができる。例えば、細菌系内のペプチド発現を用いて、非グリコシル化コアペプチドを作製しうる一方で、哺乳動物細胞内の発現により、異種ペプチドの「天然」のグリコシル化が確保される。
本発明に従い規定されるJNK阻害剤配列、キメラペプチド、核酸、ベクター、および/または宿主細胞は、本明細書で規定される疾患のうちのいずれかの防止または処置において、特に、本明細書で規定される眼乾燥症候群の防止または処置において適用しうる医薬組成物中で調合することができる。本発明に従い用いられるこのような医薬組成物は、活性成分として、例えば、(i)上記で規定したJNK阻害剤配列および/もしくはキメラペプチド、ならびに/またはそれらの改変体、断片、もしくは誘導体、特に、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片のうちの任意の1つまたは複数;ならびに/あるいは(ii)JNK阻害剤配列および/もしくは上記で規定したキメラペプチド、ならびに/またはそれらの改変体もしくは断片をコードする核酸、ならびに/あるいは(iii)上記で規定したJNK阻害剤配列および/もしくはキメラペプチド、ならびに/またはそれらの改変体、断片、もしくは誘導体のうちの任意の1つまたは複数を含む細胞、ならびに/あるいは(iv)上記で規定したJNK阻害剤配列および/もしくはキメラペプチド、ならびに/またはそれらの改変体もしくは断片をコードするベクターおよび/または核酸をトランスフェクトした細胞を組み入れることが典型的である。
好ましい実施形態によれば、本発明に従い用いられるこのような医薬組成物は、安全有効量の、上記で規定した成分、好ましくは、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片、あるいは上記で規定した、これらをコードする少なくとも1つの核酸、または少なくとも1つのベクター、または宿主細胞を含むことが典型的である。
対象に投与される医薬組成物中のJNK阻害剤配列およびキメラペプチドのそれぞれの量は、(それに限定せずに述べると)きわめて低用量でありうる。したがって、用量は、DTS−108など、当技術分野で公知のペプチド薬の場合(Florence Meyer−Losicら、Clin Cancer Res.、2008年、2145〜53頁)よりはるかに低量でありうる。これは、いくつかの肯定的な側面、例えば、潜在的な副反応の軽減および費用の低減を有する。
用量(体重1kg当たりの)は、最大で10mmol/kg、好ましくは最大で1mmol/kg、より好ましくは最大で100μmol/kg、なおより好ましくは最大で10μmol/kg、なおより好ましくは最大で1μmol/kg、なおより好ましくは最大で100nmol/kg、最も好ましくは最大で50nmol/kgの範囲内にあることが好ましい。
したがって、用量範囲は、約1pmol/kg〜約1mmol/kg、約10pmol/kg〜約0.1mmol/kg、約10pmol/kg〜約0.01mmol/kg、約50pmol/kg〜約1μmol/kg、約100pmol/kg〜約500nmol/kg、約200pmol/kg〜約300nmol/kg、約300pmol/kg〜約100nmol/kg、約500pmol/kg〜約50nmol/kg、約750pmol/kg〜約30nmol/kg、約250pmol/kg〜約5nmol/kg、約1nmol/kg〜約10nmol/kg、または前記値のうちのいずれか2つの組合せでありうることが好ましい。
配列番号30に従うJNK阻害剤の例示的な用量は、例えば、約10、50、または100μg/kgでありうる。
この文脈では、上記の医薬組成物を用いる場合の処置の処方、例えば、投与量などについての決定は、医療従事者および他の医師の責任の範囲内にあることが典型的であり、処置される障害、個別の患者の状態、送達部位、投与法、および医療従事者に公知の他の因子を考慮に入れることが典型的である。上記で言及した技法およびプロトコールの例は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、16版、Osol, A.(編)、1980年において見出すことができる。したがって、本発明に従い用いられる医薬組成物の成分について上記で規定した「安全有効量」とは、眼乾燥症候群の肯定的な変容を著明に誘導するのに十分なこれらの成分の各々または全ての量を意味する。しかし、同時に、「安全有効量」は、重篤な副作用を回避する、すなわち、利点と危険性との間の妥当な関係を可能とするのに十分な少量でもある。これらの限界の決定は、妥当な治療的判断の範囲内にあることが典型的である。このような成分の「安全有効量」は、処置される特定の状態との関連で変化するであろうし、また、処置される患者の年齢および健康状態、状態の重症度、処置の持続期間、随伴する治療の性質、用いられる特定の薬学的に許容される担体の性質、ならびに主治医の知識および経験の範囲内にある類似した因子との関連でも変化するであろう。本発明に従う医薬組成物は、本発明に従い、ヒトのために用いることができ、また、獣医療目的を目的としても用いることができる。
本発明に従い用いられる医薬組成物は、これらの物質のうちの1つに加えて、(適合性の)薬学的に許容される担体、賦形剤、緩衝剤、安定化剤、または当業者に周知の他の材料をさらに含みうる。
この文脈では、「(適合性の)薬学的に許容される担体」という表現が、組成物の液体基剤または非液体基剤を包含することが好ましい。「適合性の」という用語は、本明細書で用いられる医薬組成物の構成物質を、上記で規定した医薬活性成分および別の成分と、通例の使用条件下で組成物の医薬としての有効性を実質的に減殺する相互作用が起こらない形で混合することが可能なことを意味する。薬学的に許容される担体は、当然ながら、それらを、処置される人への投与に適するものとするのに十分な程度に純度が高く、十分な程度に毒性が低くなければならない。
本明細書で用いられる医薬組成物を、液体形態で提供する場合、薬学的に許容される担体は、1つまたは複数の(適合性の)薬学的に許容される液体の担体を含むことが典型的である。組成物は、(適合性の)薬学的に許容される液体の担体として、例えば、発熱物質非含有水;等張性生理食塩液または、例えば、リン酸緩衝溶液、クエン酸緩衝溶液などの(水性)緩衝溶液;例えば、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびカカオに由来する油などの植物油;例えば、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸などを含みうる。特に、本明細書で用いられる医薬組成物を注射するには、緩衝液、好ましくは水性緩衝液を用いることができる。
本明細書で用いられる医薬組成物を固体形態で提供する場合、薬学的に許容される担体は、1つまたは複数の(適合性の)薬学的に許容される固体担体を含むことが典型的であろう。組成物は、(適合性の)薬学的に許容される固体担体として、例えば、1つまたは複数の適合性の固体または液体の充填剤または希釈剤を含む場合もあり、また、人への投与に適する封入化合物を用いる場合もある。このような(適合性の)薬学的に許容される固体担体のいくつかの例は、例えば、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;例えば、トウモロコシデンプンまたはバレイショデンプンなどのデンプン;セルロースおよび、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなど、その誘導体;粉末化されたトラガント;麦芽;ゼラチン;獣脂;例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムなど、固体の流動促進剤;硫酸カルシウムなどである。
(適合性の)薬学的に許容される担体または他の材料の正確な性質は、投与経路に依存しうる。したがって、(適合性の)薬学的に許容される担体の選び出しは、原則として、本発明に従い用いられる医薬組成物を投与する方式により決定することができる。本発明に従い用いられる医薬組成物は、例えば、全身投与することができる。投与経路には、例えば、静脈内経路、筋内経路、皮下経路、皮内経路、もしくは経皮経路などの非経口経路(例えば、注射を介する)、経口経路もしくは直腸内経路などの腸内経路、経鼻経路もしくは鼻腔内経路などの外用経路(topical route)、または表皮経路もしくはパッチ送達などの他の経路が含まれる。また、眼/眼内局所投与、例えば、硝子体内投与、結膜下投与、および/または滴注も特に好ましい。特に、配列番号11などのJNK阻害剤ペプチドを用いる場合、滴注は、本明細書で論じられるドライアイを処置するための最も好ましい投与経路である。
さらなる態様では、本明細書で規定されるJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片は、例えば、眼手術または眼外傷後、特に、一般にレーザー眼内手術とだけ称するレーシック(laser−assisted in situ keratomileusis)後における眼乾燥症候群の処置で使用することができる。
ドライアイの標準的な処置は、人工涙液、シクロスポリン(特に、シクロスポリンA;例えば、Restasis(登録商標));自己血清点眼剤;潤滑性涙液軟膏の投与;および/または例えば、滴注剤または眼軟膏の形態である(コルチコ)ステロイドの投与を伴いうる。したがって、本発明はまた、本明細書で規定されるJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片の、眼乾燥症候群の処置法における使用であって、眼乾燥症候群の処置法が、本明細書で規定されるJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列の、ドライアイのための標準的な処置、特に、上記で言及した処置のうちのいずれか1つと併せた組合せ投与を含む使用にも関する。シクロスポリンAとの組合せが特に好ましく、人工涙液との組合せが最も好ましい。組合せ投与は、共時的投与および/または逐次的投与(まず、本明細書で記載されるJNK阻害剤を投与し、次いで、(コルチコ)ステロイドを投与するか、またはこの逆も成り立つ)を含む。当然ながら、また、逐次的投与と共時的投与とを組み合わせることもできる、例えば、処置を本明細書で記載されるJNK阻害剤により開始し、処置の経過における後の時点で(コルチコ)ステロイドを共時的に施すこともでき、これと逆の処置を施すこともできる。
用いられる医薬組成物の適量は、動物モデルを伴う日常的な実験により決定することができる。このようなモデルには、限定を含意することなく述べると、ウサギモデル、ヒツジモデル、マウスモデル、ラットモデル、イヌモデル、および非ヒト霊長動物モデルが含まれる。注射に好ましい単位用量形態には、滅菌水溶液、生理食塩液、またはそれらの混合物が含まれる。このような溶液のpHは、約7.4へと調整されるものとする。注射に適する担体には、ハイドロゲル、制御放出または遅延放出のためのデバイス、ポリ乳酸マトリックスおよびコラーゲンマトリックスが含まれる。外用適用に適する、薬学的に許容される担体には、ローション、クリーム、ゲルなどにおいて用いるのに適する、薬学的に許容される担体が含まれる。化合物を経口投与する場合は、錠剤、カプセルなどが、好ましい単位用量形態である。先行技術では、経口投与に用いうる単位用量形態を調製するための、薬学的に許容される担体が周知である。それらの選び出しは、本発明の目的にはそれほど重要ではなく、当業者が困難を伴わずに行いうる、風味、費用、および保存可能性などの副次的検討に依存する。
経口投与用の医薬組成物は、錠剤形態、カプセル形態、粉末形態、または液体形態でありうる。錠剤には、ゼラチンなど、上記で規定した固体担体が含まれる可能性があり、場合によって、アジュバントが含まれる可能性もある。液体の経口投与用の医薬組成物には一般に、水、石油、動物油または植物油、鉱物油または合成油など、上記で規定した液体の担体が含まれうる。生理食塩溶液、デキストロース、もしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールなどグリコールも含まれうる。
例えば、静脈内注射、経皮注射、または皮下注射、罹患部位における注射、または、特に、眼における滴注のために、有効成分は、発熱物質非含有であり、適切なpH、等張性、および安定性を有する、非経口的に許容される水溶液の形態にあることが好ましいであろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて、適切な溶液を調製することが十分に可能である。防腐剤、安定化剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤も要請に応じて組み入れることができる。それがポリペプチドであれ、ペプチドであれ、核酸分子であれ、個体へと施される、本発明に従う、他の薬学的に有用な化合物であれ、投与は、「予防有効量」または「治療有効量」(場合に応じて)であることが好ましく、これは、個体への利益を示すのに十分である。投与される実際の量、ならびに投与速度および投与の時間経過は、処置されつつある状態の性質および重症度に依存する。
本明細書で規定される疾患の防止および/または処置は、上記で規定した医薬組成物の投与を包含することが典型的である。「〜を調節する」という用語は、上記の疾患のうちのいずれかにおいてそれが過剰発現する場合の、JNKの発現の抑制を包含する。「〜を調節する」という用語はまた、それに限定することなく述べると、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片を、細胞内の天然のc−jun結合部位、ATF2結合部位、およびNFAT4結合部位に対する競合的阻害剤として用いることによる、上記の疾患のうちのいずれかにおける、c−jun、ATF2、またはNFAT4のリン酸化の抑制も包含する。「〜を調節する」という用語はまた、それに限定することなく述べると、c−jun、ATF2、またはNFAT4、ならびに、例えば、c−jun、AFT2、およびc−fosから構成されるAP−1複合体など、それらの類縁のパートナーから構成される転写因子のヘテロマー複合体およびホモマー複合体の抑制も包含する。次いで、「〜を調節する」は、場合によって、例えば、IBペプチドのJNKへの結合を遮断し、これにより、IB類縁ペプチドによるJNKの阻害を防止するIBペプチド特異的抗体を用いることによる、JNK発現の増大も包含する。
上記で開示した医薬組成物による対象の防止および/または処置は、(「治療有効」)量の、前記医薬組成物を、対象に投与する(in vivoにおいて)ことにより達成しうることが典型的であり、ここで、対象は、例えば、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長動物、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、またはブタでありうる。「治療的に有効な」という用語は、医薬組成物の活性成分が、眼乾燥症候群および/または関連する症状を改善するのに十分な量であることを意味する。
したがって、上記で規定したペプチド、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従う少なくとも1つのJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片を、眼乾燥症候群を処置するための本発明の特定の実施形態において使用することができる。
上記で規定したペプチドおよび本発明の医薬組成物中に含有されるペプチドはまた、核酸にコードさせることもできる。これは特に、上記のペプチドを、遺伝子治療を目的として投与する場合に有利である。この文脈では、遺伝子治療が、対象に特異的な、上記で規定した核酸を投与することにより、例えば、上記で規定した医薬組成物により実施される治療を指し、この場合、核酸(複数可)は、もっぱらL−アミノ酸を含む。本発明のこの実施形態では、核酸により、それによりコードされるペプチド(複数可)が産生され、次いで、これが、疾患または障害の影響を調節することにより治療効果を及ぼすのに用いられる。本発明の実施における、当技術分野内で利用可能な遺伝子治療に関する方法のうちのいずれかを用いることができる(例えば、Goldspielら、1993年、Clin Pharm、12巻:488〜505頁を参照されたい)。
好ましい実施形態では、上記で規定した核酸および遺伝子治療のために用いられる核酸が、適する宿主内で、上記で規定したIB類縁ペプチドのうちの任意の1つまたは複数をコードし、発現させる、発現ベクターの部分、すなわち、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片である。特定の実施形態では、このような発現ベクターが、JNK阻害剤配列のコード領域(複数可)に作動可能に連結したプロモーターを保有する。プロモーターは、上記の通りに、例えば、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターとして規定することができ、場合によって、組織特異的プロモーターとして規定することもできる。
別の特定の実施形態では、上記で規定した核酸分子を、遺伝子治療のために用いるが、この場合は、上記で規定した核酸分子のコード配列(およびそれらの他の任意の所望の配列)を、ゲノム内の所望の部位において相同組換えを促進する領域で挟み、これにより、これらの核酸の染色体内発現をもたらす(例えば、KollerおよびSmithies、1989年、Proc Natl Acad Sci USA、86巻:8932〜8935頁を参照されたい)。
上記で規定した、本発明に従う核酸の患者への、遺伝子治療を目的とする、特に、上記で規定した上述の眼乾燥症候群の文脈における送達は、直接的(すなわち、患者を、核酸または核酸含有ベクターへと直接曝露する)な場合もあり、間接的(すなわち、細胞をまずin vitroにおいて核酸で形質転換し、次いで、患者へと移植する)な場合もある。これらの2つの手法は、それぞれ、in vivoにおける遺伝子治療またはex vivoにおける遺伝子治療として公知である。本発明の特定の実施形態では、核酸をin vivoにおいて直接投与し、これを発現させて、コードされる産物を産生させる。これは、例えば、核酸を適切な核酸の発現ベクターの部分として構築し、これを、細胞内投与となるような形で投与する方法(例えば、欠損レトロウイルスベクターまたは弱毒化レトロウイルスベクターもまたは他のウイルスベクターを用いて感染させることによる;米国特許第4,980,286号を参照されたい);ネイキッドDNAを直接的に注射する方法;微粒子銃(例えば、「GeneGun」;Biolistic、DuPont)を用いる方法;核酸を脂質でコーティングする方法;会合する細胞表面受容体/トランスフェクト剤を用いる方法;リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセルへと封入する方法;核に移入することが公知のペプチドへと連結して投与する方法;または、対象の受容体を特異的に発現させる細胞型「を標的化する」のに用いうる、受容体介在型エンドサイトーシスに対する素因があるリガンドへと連結して投与する方法(例えば、WuおよびWu、1987年、J Biol Chem、262巻:4429〜4432頁を参照されたい)などを含め、当技術分野で公知の多数の方法のうちのいずれかにより達成することができる。
本発明の実施における遺伝子治療のためのさらなる手法は、上記で規定した核酸をin vitroの組織培養物中の細胞へと、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム介在型トランスフェクション、ウイルス感染などの方法により導入するステップを伴う。一般に、導入法は、選択マーカーの細胞への同時的導入を包含する。次いで、導入された遺伝子を取り込み、発現させる細胞の単離を容易にするように、細胞を選択圧(例えば、抗生剤耐性)下に置く。次いで、これらの細胞を患者へと送達する。特定の実施形態では、結果として得られる組換え細胞をin vivoにおいて投与する前に、例えば、トランスフェクション、電気穿孔、マイクロインジェクション、対象の核酸配列を含有するウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体介在型遺伝子導入、微小細胞介在型遺伝子導入、スフェロプラストフュージョン、ならびにレシピエント細胞の必要な発生的機能および生理学的機能が、導入により破壊されないことを確保する類似の方法を含め、当技術分野内で公知の任意の方法により、核酸を細胞へと導入する。例えば、LoefflerおよびBehr、1993年、Meth Enzymol、217巻:599〜618頁を参照されたい。選び出された技法は、核酸が細胞により発現可能となるように、核酸の細胞への安定的導入をもたらすものとする。導入される核酸は、子孫細胞により遺伝可能および発現可能であることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、結果として得られる組換え細胞を、例えば、上皮細胞への(例えば、皮下)注射、患者への皮膚移植片としての組換え皮膚細胞の適用、および組換え血液細胞(例えば、造血幹細胞または造血前駆細胞)の静脈内注射を含め、当技術分野内で公知の多様な方法により患者へと送達することができる。使用が想定される細胞の総量は、所望の効果、患者状態などに依存し、当業者により決定されうる。遺伝子治療を目的として核酸を導入しうる細胞は、任意の所望で利用可能な細胞型を包摂し、異種細胞の場合もあり、異種遺伝子型細胞の場合もあり、同系細胞の場合もあり、自家細胞の場合もある。細胞型には、上皮細胞、内皮細胞、角化細胞、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞、および血液細胞、または多様な幹細胞もしくは前駆細胞、特に、胎児由来心筋細胞、肝幹細胞(国際特許公開第WO94/08598号)、神経幹細胞(StempleおよびAnderson、1992年、Cell、71巻:973〜985頁)、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児由来肝臓などから得られる造血幹細胞または造血前駆細胞などの分化細胞が含まれるがこれらに限定されない。好ましい実施形態では、遺伝子治療に使用される細胞が、患者に対する自己細胞である。
代替的におよび/または加えて、本明細書で言及される疾患を処置するためには、標的化治療を用いて、上記で規定したJNK阻害剤配列、キメラペプチド、および/または核酸を、より特定すると、特定の種類の細胞へと、(標的化)抗体または細胞特異的リガンドなどの標的化系を用いることにより送達することができる。標的化に用いられる抗体は、下記で規定する疾患のうちのいずれかと関連する細胞の細胞表面タンパク質に特異的なことが典型的である。例を目的として述べると、これらの抗体は、例えば、MHCクラスII DRタンパク質、CD18(LFA−1ベータ鎖)、CD45RO、CD40、もしくはBgp95、または例えば、CD2、CD2、CD4、CD5、CD7、CD8、CD9、CD10、CD13、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD38、CD39、CD4、CD43、CD45、CD52、CD56、CD68、CD71、CD138などから選択される細胞表面タンパク質など、B細胞関連表面タンパク質などの細胞表面抗体を指向しうる。標的化構築物は、典型的に、本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列、キメラペプチド、および核酸を、細胞表面タンパク質に特異的な抗体へと共有結合的に結合させることにより調製することもでき、細胞特異的リガンドへと結合させることにより調製することもできる。タンパク質を、例えば、このような抗体へと結合させることもでき、ペプチド結合または化学的カップリング、架橋などによりこのような抗体へと接合することもできる。次いで、標的化構築物を、医薬としての有効量で、患者へと、下記で規定する投与経路、例えば、腹腔内経路、経鼻経路、静脈内経路、経口経路、およびパッチ送達経路のうちのいずれかを介して投与することにより、標的化治療を実行することができる。上記で規定した標的化抗体または細胞特異的リガンドへと接合された、本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸は、in vitroまたはin vivoにおいて、例えば、共有結合の加水分解により、ペプチダーゼにより、または他の任意の適する方法により放出されうることが好ましい。代替的に、本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸を、小型の細胞特異的リガンドへと接合する場合は、リガンドの放出を実行しない場合もある。細胞表面に存在する場合、キメラペプチドは、そのトラフィキング配列が活性化すると、細胞に入り込むことが可能となる。標的化は、多様な理由で、例えば、本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列、キメラペプチド、および核酸が許容不可能な程度に毒性である場合、またはそうでなくとも、過度な高投与量を要請する場合に所望されうる。
本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列および/またはキメラペプチドを直接投与する代わりに、例えば、投与されるウイルスベクターから細胞へと導入されるコード遺伝子から発現させることにより、それらを標的細胞内で産生させることもできよう。ウイルスベクターは、本明細書で規定される、本発明に従うJNK阻害剤配列および/またはキメラペプチドをコードすることが典型的である。ベクターは、処置される特定の細胞へと標的化されうるであろう。さらに、ベクターは、規定された調節時において、標的細胞により、多少とも選択的に切り替えられる制御エレメントも含有しうるであろう。この技法は、それらの前駆体形態の代わりに成熟タンパク質を使用する、VDEPT法(ウイルス指向型酵素プロドラッグ療法)の変化形を表す。
代替的に、本明細書で規定されるJNK阻害剤配列および/またはキメラペプチドは、抗体またはウイルスを用いることにより、前駆体形態でも投与しうるであろう。次いで、これらのJNK阻害剤配列および/またはキメラペプチドを、処置される細胞内で産生されるかまたは処置される細胞へと標的化される活性化薬剤により、活性形態へと転換することができる。この種の手法は、場合によって、ADEPT(抗体指向型酵素プロドラッグ療法)または VDEPT(ウイルス指向型酵素プロドラッグ療法)として公知であり、前者が、細胞特異的抗体へのコンジュゲーションにより、活性化薬剤を細胞へと標的化するステップを伴うのに対し、後者は、活性化薬剤、例えば、JNK阻害剤配列またはキメラペプチドを、ウイルスベクターにおけるコードDNAからの発現により、ベクター内で産生させるステップを伴う(例えば、EP−A−415731およびWO90/07936を参照されたい)。
さらなる実施形態によれば、本明細書で規定されるJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、ならびに/もしくは配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチド、ならびに/もしくは配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片を、(in vitro)アッセイ(例えば、イムノアッセイ)において使用して、上記で規定した眼乾燥症候群を検出、予後診断、診断、またはモニタリングすることもでき、その処置をモニタリングすることもできる。イムノアッセイは、免疫特異的結合が生じ、その後、任意の免疫特異的結合の量を抗体により検出または測定しうるような条件下で、患者に由来する試料を、上記で規定したJNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列に対する抗体と接触させるステップを含む方法により実施することができる。特定の実施形態では、JNK阻害剤配列、キメラペプチド、または核酸配列に特異的な抗体を用いて、患者に由来する組織試料または血清試料を、JNKまたはJNK阻害剤配列の存在について解析することができ、この場合、異常なレベルのJNKは、疾患状態を示す。使用しうるイムノアッセイには、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA(酵素免疫測定アッセイ)、「サンドウィッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、プレシピチン反応、ゲル拡散プレシピチン反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、蛍光イムノアッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、およびプロテインAイムノアッセイなどの技法を用いる競合的アッセイ系および非競合的アッセイ系が含まれるがこれらに限定されない。代替的に、(in vitro)アッセイは、上記で規定したJNK阻害剤配列、キメラペプチド、核酸配列、またはJNK阻害剤配列もしくはキメラペプチドに対する抗体を、例えば、培養動物細胞、ヒト細胞、または微生物から選択されることが典型的である標的細胞へと送達し、当業者に公知であることが典型的な生物物理学的方法を介して細胞応答をモニタリングすることによっても実施しうる。アッセイにおいて用いられる標的細胞は、培養細胞(in vitroにおける)またはin vivo細胞、すなわち、生存動物もしくはヒトの器官もしくは組織、または生存動物もしくはヒトにおいて見出される微生物を構成する細胞であることが典型的である。
本発明はさらに、診断または治療を目的とするキット、特に、上記で規定した眼乾燥症候群を処置、防止、またはモニタリングするためのキットであって、上記で規定したJNK阻害剤配列、キメラペプチド、核酸配列、および/またはこれらのJNK阻害剤配列もしくはキメラペプチドに対する抗体、例えば、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列に対する抗JNK阻害剤配列抗体、配列番号9〜12および23〜32の配列のうちのいずれかに従うキメラペプチドに対する抗JNK阻害剤配列抗体、配列番号5〜8および21〜22のうちのいずれかに従うトラフィキング配列を含む、配列番号1〜4、および13〜20、および33〜100の配列のうちのいずれかに従うJNK阻害剤配列に対する抗JNK阻害剤配列抗体、または上記の規定内のそれらの改変体もしくは断片に対する抗JNK阻害剤配列抗体、あるいはこのような抗JNK阻害剤配列抗体を含有し、場合によって、抗体に対する標識した結合パートナーも含有する、1つまたは複数の容器を包含するキットの使用も提供する。これにより抗体へと組み込まれる標識には、化学発光部分、酵素部分、蛍光部分、比色部分、または放射性部分が含まれうるがこれらに限定されない。別の特定の実施形態では、眼乾燥症候群の処置、防止、またはモニタリングにおける診断的使用のためのキットであって、上記で規定したJNK阻害剤配列および/またはキメラペプチドをコードするか、または代替的に、これに対する相補体である核酸を含有する1つまたは複数の容器を含むキットが提供され、場合によってまた、これらの核酸に対する、標識した結合パートナーも提供される。代替的な特定の実施形態では、キットを、上記の目的のために、1つまたは複数の容器と、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;例えば、Innisら、1990年、PCR PROTOCOLS、Academic Press, Inc.、San Diego、CAを参照されたい)、リガーゼ連鎖反応、環状プローブ反応など、または上記で規定した核酸を伴う文脈において用いられる、当技術分野内で公知の他の方法のための増幅プライマーとして作用することが可能なオリゴヌクレオチドプライマーの対(例えば、各6〜30ヌクレオチドの長さ)とを含むキットとして用いることもできる。キットは、場合によって、所定量の、精製された、上記で規定したJNK阻害剤配列、上記で規定したキメラペプチド、またはこれらをコードする核酸を、上記の目的のための診断法、基準物質、またはアッセイにおける対照としての使用のためにさらに含みうる。
本発明は、本明細書で記載される特定の実施形態による範囲内に限定されるものではない。実際、当業者には、前出の記載および付属の図面から、本明細書で記載される改変に加えた、本発明の多様な改変が明らかとなろう。このような改変は、付属の特許請求の範囲の範囲内に収まる。
本明細書では、それらの開示が参照によりそれらの全体において組み込まれる多様な刊行物が引用される。
別段に規定されない限りにおいて、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で記載される方法および材料と同様または同等の方法および材料を、本発明を実施または検討するのに用いうるが、下記では、適切な方法および材料について記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体において組み込まれる。利益相反の場合は、規定を含め、本明細書により管理する。加えて、材料、方法、および例は、例示的であるに過ぎず、限定を意図するものではない。
図1は、ラットに由来するIB1 cDNA配列および予測されるそのアミノ酸配列(配列番号102)を示す図である。 図1は、ラットに由来するIB1 cDNA配列および予測されるそのアミノ酸配列(配列番号102)を示す図である。 図2は、ラットに由来するIB1タンパク質配列であって、rIB1遺伝子スプライスドナーのエクソン−イントロン境界部分によりコードされる配列(配列番号103)を示す図である。 図2は、ラットに由来するIB1タンパク質配列であって、rIB1遺伝子スプライスドナーのエクソン−イントロン境界部分によりコードされる配列(配列番号103)を示す図である。 図2は、ラットに由来するIB1タンパク質配列であって、rIB1遺伝子スプライスドナーのエクソン−イントロン境界部分によりコードされる配列(配列番号103)を示す図である。 図3は、Homo sapiensに由来するIB1タンパク質配列(配列番号104)を示す図である。 図3は、Homo sapiensに由来するIB1タンパク質配列(配列番号104)を示す図である。 図3は、Homo sapiensに由来するIB1タンパク質配列(配列番号104)を示す図である。 図4は、Homo sapiensに由来するIB1 cDNA配列(配列番号105)を示す図である。 図4は、Homo sapiensに由来するIB1 cDNA配列(配列番号105)を示す図である。 図5は、スコポラミン誘導眼乾燥症候群を伴う動物について計算された、平均TBUT AUC値を示す図である。ビヒクル、および3つの異なる濃度の、配列番号11の配列を伴うall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドで処置された動物についての結果が示される。 図6は、スコポラミン誘導ドライアイを伴う動物について計算された平均PRTT AUC(7〜21日目)を示す図である。ビヒクル、および3つの異なる濃度の、配列番号11の配列を伴うall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドで処置された動物についての結果が示される。 図7は、スコポラミン誘導眼乾燥症候群を伴う動物の、組織学的角膜病変スコアの平均を示す図である。ビヒクル、および3つの異なる濃度の、配列番号11の配列を伴うall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドで処置された動物についての結果が示される。
実施例
(実施例1)
溶液および産物
配列番号11のall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドは、Polypeptide Laboratories(France)により作製され、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製された。識別については、質量分析で解析され、純度については、RP−HPLCで解析された(Polypeptide Laboratories、France)。凍結乾燥させたら、粉末を2〜8℃で保存した。
(実施例2 スコポラミン誘導マウスドライアイモデルにおける3つの用量による、配列番号11のall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの効果)
研究概念
本研究の目的は、配列番号11のall−D−レトロインベルソJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの効果を、スコポラミン誘導ドライアイのマウスモデルにおける3つの用量レベルで評価することであった。
配列番号11のペプチドを、このドライアイのマウスモデルにおける有効性について調べた。ペプチドは、低用量、中程度用量、および高用量で調べた。配列番号11のペプチドの低用量レベル、中程度用量レベル、および高用量レベルについて、処方物試料中で測定された濃度は、それぞれ、0.06%(w/v)、0.25%(w/v)、および0.6%(w/v)であった。陰性対照としてもまた用いられるビヒクルは、0.9%のUSPグレード注射用塩化ナトリウムであった。
本研究は、各群マウス12匹の4群と、マウス4匹のさらなる群とを含む、合計5群の雌C57BL/6マウスからなった。臭化水素酸スコポラミン(Sigma−Aldrich Corp.、St.Louis、MO)注射(皮下(SC)、1日4回、投薬1回当たり0.5mg、0〜21日目)と、定常的な気流による乾燥環境へのマウスの曝露との組合せにより、両眼の短期ドライアイを誘導した。1日目に開始して、群1〜4のマウスを、1日3回(TID)ずつ21日間にわたり、ビヒクル(0.9%の滅菌生理食塩液;陰性対照薬)または配列番号11のペプチド(0.06%、0.25%、および0.6%)の両眼(bilateral ocular(oculus uterque;OU))外用投与(投薬1回当たり眼1つ当たり5μL)により処置した。群5のマウスは、非誘導の(ドライアイを来さない)非処置対照として維持した。
存命(処置)期間中は、臨床的観察を1日1回記録し、角膜フルオレセイン染色、涙液層破壊時間試験(TBUT)、およびフェノールレッド綿糸検査(PRTT)を伴う細隙灯顕微鏡検査(SLE)を毎週3回実施した。22日目に剖検を実施し、眼、眼瞼、結膜、および涙腺を、各動物の両眼から採取した。右眼(right eyes(oculus dexter、OD))に由来する組織を固定し、次いで、顕微鏡により評価した。左眼(left eyes(oculus sinister;OS))に由来する組織を、液体窒素中で瞬時凍結させ、その後の可能な解析のために−80℃で凍結保存した。
方法
1.投薬のための調製
配列番号11の(ポリ)ペプチドは、300.65mgの乾燥粉末を含有する1.5mLの透明プラスチック製微量遠心用バイアルとして、Polypeptide Laboratories(France)から得た。
研究を開始する前に、配列番号11の(ポリ)ペプチドを、滅菌生理食塩液(ビヒクル)中で調合した。各濃度の投薬用溶液を、0.2μmのフィルターを用いて滅菌し、複数のあらかじめラベル付けされたバイアルへとアリコート分割し、−20℃で凍結させた。処方物試料中で測定された濃度は、0.06%、0.25%、および0.6%へと四捨五入される0.058%、0.25%、および0.624%であった。
投薬の各日において、1セットの投薬用溶液を融解させ、その日の投薬の実施のために用いた。対照(ビヒクル)は、投薬準備ができた状態で用意され、投薬のための調製は不要であった。
2.細隙灯顕微鏡検査(SLE)
研究への登録の前に、各動物には、SLEおよび外用適用されたフルオレセインを用いる間接的眼検査を施した。ドレイズ眼評価スケールを用いて、眼についての所見を記録した。SLEおよびドレイズ評価は、存命期間中毎週3回繰り返した。
3.涙液層破壊時間(TBUT)試験およびその後の角膜検査
TBUT試験は、角膜へのフルオレセインの適用後における完全な瞬きと、涙液層における最初のランダムな乾燥スポットの出現との間の経過時間を秒単位で測定することにより、毎週3回実行した。TBUTを実施するために、0.1%の液体フルオレセインナトリウムを結膜嚢へと滴注し、眼瞼を手指で3回にわたり閉止し、次いで、眼瞼を開放させたまま保持し、連続的なフルオレセイン含有涙液層が角膜を覆うことを明らかにし、涙液層が破壊される(乾燥スポットまたは乾燥ストリークが出現する)のに要する時間(秒単位の)を記録した。少なくとも90秒後、0.1%のフルオレセインのさらなる滴注を角膜へと再適用した後で、角膜上皮の損傷を、コバルトブルーフィルターを伴う細隙灯を用いてグレード付けし、次いで、ドレイズ眼スケールに従い、角膜をスコア付けした。
4.フェノールレッド綿糸涙液試験(PRTT)
涙液の産生は、PRTT検査ストリップ(Zone−Quick;日本、名古屋、株式会社メニコン)を用いて、両眼において毎週3回測定した。1日の1回目の処置の前に、細隙灯生体顕微鏡法下で30秒間にわたり、糸を、各眼の結膜円蓋の外眼角へと適用した。涙液の糸に沿った移動(すなわち、湿潤した綿糸の長さ)を、ミリメートル単位の定規を用いて測定した。
5.剖検および病理学的解析
22日目の剖検では、眼球、涙腺、眼瞼、および結膜を含めた、各動物に由来する両眼を摘出した。右眼および関連組織を、一晩にわたり改変ダビッドソン液中に浸漬することにより固定した後、10%の中性緩衝ホルマリン(NBF)へと移した。固定された右眼の組織を脱水し、パラフィン中に包埋し、3〜5μmの厚さで切片化し、スライドガラス処理された組織を、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した。染色されたスライドガラスを、光学顕微鏡により評定した。各右眼について少なくとも2つの切片レベルを組織病理学的に検討して、眼の全ての部分に対する詳細で完全な組織病理学的評価を実行した。角膜、結膜および角膜の上皮(杯細胞を含めた)のほか、涙腺に対して特別の注意を払った。これらの組織は、傷害について、0を正常とし、1を最小限の傷害とし、2を軽度の傷害とし、3を中等度の傷害とし、4を重度の傷害とする0〜4のスケールに基づきスコア付けした。各角膜についてのスコアは、角膜上皮の厚さおよび角膜炎症に基づいた。結膜は、浸食および炎症のほか、杯細胞の存在または非存在についてスコア付けした。
結果
1日4回のスコポラミンのSC投与(投薬1回当たり0.5mg)により、雌C57BL/6マウスにおいて、眼を効果的に潤滑化および保護することが可能な、安定的な涙液層を維持する能力を低下させる、水性涙液産生容量の減少および涙液の生理化学的特性の変化によって特徴付けられる眼乾燥症候群を誘導した。
1.涙液層破壊時間(TBUT)試験および角膜検査
ドライアイを誘導する前に、涙液層破壊時間試験(TBUT)を実施し、ドライアイの誘導後2、4、7、9、11、14、16、18、および21日目にもまた実施した。スコポラミンの投薬開始(ドライアイの誘導)後、全ての動物において、TBUTの平均値が減少し始めた。群3および4の、中程度用量および高用量の配列番号11のペプチドで処置された動物のTBUTの平均が、投薬の開始後に低下し続けて、9日目には最低値に達したのに対し、低用量の群2では9日目に増大した。低用量、中程度用量、および高用量におけるTBUTの平均(それぞれ、群2、3、および4)は、ビヒクル群を上回った。低用量レベル、中程度用量レベル、および高用量レベルの配列番号11のペプチドで処置された群(群2〜4)は一般に、TBUTの用量依存的増大を示した。
2.フェノールレッド綿糸涙液試験(PRTT)
ドライアイを誘導する前に、PRTT試験を実施し、2、4、7、9、11、14、16、18、および21日目にもまた実施した。0日目〜4日目のPRTT値が、ドライアイを誘導された全てのマウスにおいて減少したことから、スコポラミンの投与および送風機により作り出される、気流を増大させた乾燥環境への曝露後における涙液産生の減少が示された。大半の群におけるPRTTの最低値は、ほぼ7日目に生じた。ビヒクル対照群(群1)では、PRTTが減少を続け、14日目に最低値に達した。全てのドライアイ群では、最低値の後で、増大が見られた。これらの所見は、スコポラミンによる処置の開始が、化合物による処置の開始より1日早ければ、眼乾燥症候群と関連する眼の生理学的変化を誘発するのに十分であったことを示す。
低用量レベル、中程度用量レベル、および高用量レベル(0.06%、0.25%、および0.6%;それぞれ、群2、3、および4)の配列番号11のペプチドで処置された群は一般に、PRTTの用量依存的増大を示した。
3.組織病理学的解析
本研究では、組織学的変化が一般に、角膜に限定された。角膜における所見は、角膜上皮表面の角質化の増大、角膜上皮の厚さの増大、角膜上皮の細胞充実度の増大、上皮細胞回転の増大と符合する、上皮基底層の有糸分裂発生の微弱な増大からなった。これらの所見は、角膜の乾燥および角膜表面の刺激に対する生理学的適応応答を示唆する。本研究では、表面の潰瘍化、角膜間質の浮腫、および角膜への炎症性浸潤物が見られなかった。非処置群(正常マウス、スコポラミンによる処置を伴わない)である群5における眼は、正常限界内にあった。眼瞼の何らかの最小限の非化膿性炎症が、全ての群にわたり散見されたが、結膜、網膜、涙腺、および眼の他の部分は、正常限界内にあった。杯細胞は、全ての群において、限界内にあると考えられた。杯細胞とは、涙液がより強力でより付着性の涙液層を形成する一助となるムチンの主要な産生細胞である。
軽度〜中程度の角膜変化が、非処置正常眼群(群5)を除く全ての群において注意され、ビヒクル処置群である群1、および低用量の配列番号11のペプチドである群2では、他の処置群と比較して僅かにより重度であった。これらの所見は、涙液産生増大の角膜に対する肯定的で有益な効果と符合した。
高用量の配列番号11のペプチドは、このマウスドライアイモデルと関連する角膜変化を軽減/改善するのに最も有効であった。

Claims (24)

  1. 眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、150アミノ酸未満の長さを含むJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  2. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、5〜150アミノ酸残基の範囲、より好ましくは10〜100アミノ酸残基の範囲、なおより好ましくは10〜75アミノ酸残基の範囲を含み、最も好ましくは10〜50アミノ酸残基の範囲を含む、請求項1に記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  3. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、c−junアミノ末端キナーゼ(JNK)に結合する、請求項1または2のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  4. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、JNK発現細胞内に存在する場合に、前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、少なくとも1つのJNK標的化転写因子の活性化を阻害する、請求項1から3のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  5. 前記JNK標的化転写因子が、c−Jun、ATF2、およびElk1からなる群より選択される、請求項1から4のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  6. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、JNK発現細胞内に存在する場合に、前記ペプチドが、JNKの効果を変化させる、請求項1から5のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  7. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せからなり、好ましくは、少なくとも1つなおまたは2つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、好ましくは、少なくとも3つ、4つ、または5つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、より好ましくは、少なくとも6つ、7つ、8つ、または9つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、なおより好ましくは、少なくとも10もしくはそれより多いD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含むことが好ましく、前記D−アミノ酸および/または前記L−アミノ酸を、前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチド内に、ブロック様の形で、非ブロック様の形で、または交互になった形で配置しうる、請求項1から6のいずれかに記載のJNK阻害剤配列の使用。
  8. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、配列番号102、配列番号103、配列番号104、または配列番号105に従う配列のうちのいずれかにより規定またはコードされる、ヒトIB1(ポリ)ペプチドまたはラットIB1(ポリ)ペプチドの断片、改変体、またはこのような断片の改変体を含む、請求項1から7のいずれかに記載の使用。
  9. 前記阻害剤の配列が、配列番号1〜4、13〜20、および33〜100に従う少なくとも1つのアミノ酸配列、またはその断片、誘導体、もしくは改変体を含むか、またはこれらからなる、請求項1から8のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドの使用。
  10. 眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、共有結合により連結される、少なくとも1つの第1のドメインおよび少なくとも1つの第2のドメインを含む、キメラ(ポリ)ペプチドの使用であって、前記第1のドメインが、トラフィキング(ポリ)ペプチドを含み、前記第2のドメインが、請求項1から9のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチドを含む、使用。
  11. 前記キメラ(ポリ)ペプチドが、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれら両方の組合せからなり、好ましくは、少なくとも1つなおまたは2つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、好ましくは、少なくとも3つ、4つ、または5つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、より好ましくは、少なくとも6つ、7つ、8つ、または9つのD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含み、なおより好ましくは、少なくとも10もしくはそれより多いD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含むことが好ましく、前記D−アミノ酸および/または前記L−アミノ酸を、前記キメラペプチド内に、ブロック様の形で、非ブロック様の形で、または交互になった形で配置しうる、請求項10に記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  12. 前記トラフィキング(ポリ)ペプチドが、ヒト免疫不全ウイルスTATポリペプチドのアミノ酸配列を含む、請求項10または11に記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  13. 前記トラフィキング配列が、配列番号5、6、7、8、21、または22のアミノ酸配列からなるか、またはこれらを含む、請求項10から12のいずれかに記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  14. 前記トラフィキング(ポリ)ペプチドが、前記ペプチドの細胞への取込みを増進する、請求項10から13のいずれかに記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  15. 前記トラフィキング(ポリ)ペプチドが、前記ペプチドの核局在化を方向付ける、請求項10から14のいずれかに記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  16. 前記キメラ(ポリ)ペプチドが、配列番号9〜12および23〜32のいずれかのアミノ酸配列、またはその断片もしくは改変体からなるか、またはこれらを含む、請求項10から15のいずれかに記載のキメラ(ポリ)ペプチドの使用。
  17. 前記キメラ(ポリ)ペプチドが、配列番号9または11のアミノ酸配列からなるか、またはこれらを含む、請求項10から15のいずれかに記載のキメラペプチドの使用。
  18. 眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、請求項1から9のいずれかに記載のJNK阻害剤(ポリ)ペプチド、または請求項10から17のいずれかに記載のキメラ(ポリ)ペプチドをコードする単離核酸の使用。
  19. 眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、請求項18に記載の核酸を含むベクターの使用。
  20. 眼乾燥症候群を処置するための医薬組成物を調製するための、請求項19に記載のベクターを含む細胞の使用。
  21. 前記医薬組成物を、静脈内経路、筋内経路、皮下経路、皮内経路、経皮経路を含めた非経口経路、経口経路、直腸経路を含めた腸内経路、経鼻経路、鼻腔内経路を含めた外用経路、表皮送達またはパッチ送達を含めた他の経路、ならびに眼への局所投与、特に、硝子体内投与、結膜下投与、および/または滴注からなる群より選択される投与経路により投与する、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
  22. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドおよび/または前記キメラ(ポリ)ペプチドの用量(体重1kg当たりの)が、最大で10mmol/kg、好ましくは最大で1mmol/kg、より好ましくは最大で100μmol/kg、なおより好ましくは最大で10μmol/kg、なおより好ましくは最大で1μmol/kg、なおより好ましくは最大で100nmol/kg、最も好ましくは最大で50nmol/kgの範囲内にある、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
  23. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドおよび/または前記キメラ(ポリ)ペプチドの用量が、約1pmol/kg〜約1mmol/kg、約10pmol/kg〜約0.1mmol/kg、約10pmol/kg〜約0.01mmol/kg、約50pmol/kg〜約1μmol/kg、約100pmol/kg〜約500nmol/kg、約200pmol/kg〜約300nmol/kg、約300pmol/kg〜約100nmol/kg、約500pmol/kg〜約50nmol/kg、約750pmol/kg〜約30nmol/kg、約250pmol/kg〜約5nmol/kg、約1nmol/kg〜約10nmol/kg、または前記値のうちのいずれか2つの組合せの範囲内にある、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
  24. 前記JNK阻害剤(ポリ)ペプチドが、配列番号11の配列からなり、滴注により投与されることが好ましい、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
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