JP2021503960A - 神経疾患のための組成物および方法 - Google Patents

神経疾患のための組成物および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021503960A
JP2021503960A JP2020546302A JP2020546302A JP2021503960A JP 2021503960 A JP2021503960 A JP 2021503960A JP 2020546302 A JP2020546302 A JP 2020546302A JP 2020546302 A JP2020546302 A JP 2020546302A JP 2021503960 A JP2021503960 A JP 2021503960A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
receptor
vector
engineered
pain
ligand
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020546302A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021503960A5 (ja
Inventor
ピー. グリーンバーグ,ケネス
ピー. グリーンバーグ,ケネス
キーファー,オリオン,ジュニア
マキンソン,ステファニー
ロー,アンソニー
Original Assignee
コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド
コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド, コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド filed Critical コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド
Publication of JP2021503960A publication Critical patent/JP2021503960A/ja
Publication of JP2021503960A5 publication Critical patent/JP2021503960A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/70571Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for neuromediators, e.g. serotonin receptor, dopamine receptor
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • C12N15/86Viral vectors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2710/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
    • C12N2710/00011Details
    • C12N2710/10011Adenoviridae
    • C12N2710/10041Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2710/10043Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2750/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssDNA viruses
    • C12N2750/00011Details
    • C12N2750/14011Parvoviridae
    • C12N2750/14111Dependovirus, e.g. adenoassociated viruses
    • C12N2750/14141Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2750/14143Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector

Abstract

操作された受容体、操作された受容体をコードするポリヌクレオチド、および操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子治療ベクターを使用して、細胞の活性を調節するための組成物および方法が提供される。これらの組成物および方法は、例えば、疾患の治療または神経回路の研究における、ニューロンの活性の調節に特定の用途を見出す。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2017年11月27日に出願された米国仮特許出願第62/590,911号および2018年4月19日に出願された米国仮特許出願第62/659,911号の出願日に対する優先権を主張するものであり、これらの全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
電子提出されたテキストファイルの説明
本出願に関連する配列表は、ハードコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、SWCH_012_04WO_ST25.txtである。このテキストファイルは178kbであり、2018年11月27日に作成され、EFS−Webを介して電子的に提出される。
本開示は、操作された受容体、ならびに細胞の活性を調節し、疾患を治療するための操作された受容体および低分子リガンドの使用に関する。
難治性神経疾患は、異常に作用するニューロンと関連していることが多い。これらの状態を治療するための治療法を開発しようとする試みは、疾患に関連する追跡可能な標的タンパク質の欠如によって妨げられている。例えば、緩和されない慢性疼痛は、米国および世界中で重大な健康問題である。医学研究所(the Institute of Medicine)の報告書では、1億1600万人のアメリカ人が数週間から数年にわたって疼痛に苦しみ、その結果年間費用は5億6,000万ドルを超えていると推計されている。慢性疼痛患者には十分な長期療法がなく、社会にも個人にも大きなコストがかかる。疼痛は障害をもたらすことが多く、障害がない場合でさえ、生活の質に深い影響を与える。注意深く十分に訓練を受けた医師、オピオイドへの即時アクセス、アジュバント鎮痛剤の使用、患者制御鎮痛剤の利用可能性、および神経ブロックおよびITポンプのような手技のエビデンスに基づく使用などのように、治療提供の状況が最適であっても、疼痛治療は頻繁に失敗する。
慢性疼痛に最もよく用いられる療法は、オピオイド鎮痛剤と非ステロイド系抗炎症薬の適用であるが、これらの薬剤は依存症につながり、薬物依存症、耐容性、呼吸抑制作用、鎮静作用、認知不全、幻覚、およびその他の全身的な副作用などの副作用を引き起こす可能性がある。医薬品の広範な使用にもかかわらず、疼痛緩和における効果についての成功率は格段に低い。様々な医薬を用いた大規模な無作為化研究は、少なくとも50%の疼痛緩和を達成する患者を2〜3人のうち1人にしか見出すことができなかった(Finnerupら、2005)。最も多く開発された薬理学的治療を用いたフォローアップ研究は、同じ結果を見出し、疼痛に対する医薬の有効性の改善はなかったことを示した(Finnerupら、Pain、150(3):573−81、2010)。
疼痛の治療のためのより侵襲的な選択肢としては、神経ブロックと電気刺激が挙げられる。神経ブロックとは、脳への疼痛シグナルを中断するために通常脊髄に局所麻酔注射を行うもので、その効果は数週間から数ヶ月しか持続しない。ほとんどの場合、神経ブロックは推奨される治療方法ではない(MailisおよびTaenzer、Pain Res Manag.17(3):150−158、2012)。電気刺激とは、疼痛シグナルを遮断するために電流を提供することを含む。神経ブロックよりも効果が持続することがあるが、位置のずれ、感染、破損、またはバッテリーの枯渇などの電気リード自体に伴う合併症が生じる。あるレビューでは、神経障害のために電気刺激で治療された患者の40%が、デバイスに付随するこれらの問題のうちの1つ以上を経験したことが分かった(Wolter、2014)。
疼痛を管理するための最も侵襲的であり、最も好ましくない方法は、疼痛を引き起こしている神経またはその部分の完全な外科的除去である。この選択肢は、患者が前述したおよびその他の侵襲性の低い治療法を使い果たし、それらに効果がないことが見出された場合にのみ推奨される。高周波神経焼灼療法は、熱を利用して問題のある神経を破壊し、神経ブロックよりも長い疼痛緩和を提供する。しかし、ある研究は、慢性腰椎根痛のためのDRGの部分高周波病変における対照群と治療群との間に差を見出さなかった(Geurtsら、2003)。疼痛神経を外科的に取り除くための他の手術方法は、同様の欠点があり、感覚障害や運動障害を含む深刻な副作用が長期的に発生したり、他の場所で疼痛を引き起こしたりする。
神経障害の治療方法は、安全で効率的で費用対効果の高いものでなければならない。遺伝子治療は、疼痛の管理を含む、様々な神経疾患に対する非侵襲的治療オプションを提供することができる。しかし、これまで遺伝子治療法は神経疾患の治療に広く利用されていなかった。本開示は、これらの必要性に対処する。
本開示は、添付の図面と併せて読み取られるとき、以下の詳細な説明から最も理解される。特許または出願ファイルは、カラーで実行される少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数)を伴う本特許または特許出願公開のコピーは、請求および必要な手数料の支払いに応じて、特許庁により提供される。一般的な慣行に従って、図面の様々な特徴は一定比率で拡大されないことが強調される。逆に、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡張または縮小される。図面に含まれるのは以下の図である。
例示的な操作されたキメラLGIC受容体の概略図を示す。 本開示の操作されたLGIC受容体およびその変異体の開発および特徴付けのためのプロトコルの概略図を示す。 いくつかの機能的CHRNA7/GLRA1キメラ受容体の、それらの天然リガンドであるアセチルコリンに対する用量応答曲線の例を示す。これらの受容体は、1秒間適用されるとき、リガンドアセチルコリンの様々な用量に応答して、内向き電流を示す。電圧クランプ記録は、チャネルを過渡的に発現するHEK293T細胞において実施され、自動パッチクランプシステムIonFlux(Fluxion Biosciences)をアンサンブルモードで使用して同時にパッチされた最大20個の細胞からの合計された伝導電流に対応した。 アセチルコリンならびに非天然リガンドTC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487に対する野生型α−7nAChRおよび種々の操作されたキメラLGIC受容体のリガンド依存性応答プロファイルを示す。受容体をHEK293T細胞において過渡的に発現させ、薬物を1秒添加した後、自動パッチクランプシステム(Fluxion Biosciences)上で電流を測定した。図4Aは、野生型アルファ−7nAChRによる結果を示す。図4Bは、配列番号16による結果を示す。図4Cは、配列番号35による結果を示す。図4Dは、配列番号33による結果を示す。図4Eは、配列番号41による結果を示す。図4Fは、配列番号37による結果を示す。塗りつぶされたボックス:ヒト野生型α7−nAChRからのタンパク質配列。ストライプ状のボックス:ヒトアルファ1グリシン受容体からのタンパク質配列。用量は、各記録の上に示され、スケールバー=1である。図4Aの電流は、単一細胞モードで測定され、トレースは、1回の記録につき1個の細胞からの伝導率を表す。図4B〜図4Fの電流はアンサンブルモードで測定され、トレースは、1回の記録につきサンプリングされた最大20個の細胞からの伝導率の合計を表し、QCを通過した記録を灰色で、複合中間トレースは黒色で示される。 アセチルコリン、ならびに非天然リガンドABT−126、TC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487に対して、アフリカツメガエル卵母細胞内で発現される野生型α−7nAChRおよび種々の操作されたキメラLGIC受容体のリガンド依存性応答プロファイルを示す。図5A〜図5Bは、アセチルコリン、ニコチン、およびABT−126(図5A)、ならびにTC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487(図5B)に対する野生型α7−nAChRの応答プロファイルを示す。図5C〜図5Dは、アセチルコリン、ニコチン、およびABT−126(図5C)、ならびにTC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487(図5D)に対する配列番号33の応答プロファイルを示す。図5E〜図5Fは、アセチルコリン、ニコチン、およびABT−126(図5E)、ならびにTC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487(図5F)に対する配列番号41の応答プロファイルを示す。各パネルの上部に列挙されるように、増加用量の化合物を5〜10秒適用した後、手動パッチクランプシステム上で電流を測定した。左パネル、指定された受容体を発現する卵母細胞内の例示的な電流。右に示される濃度応答曲線から推定される各リガンドについてのEC50は、アスタリスクでマークされ、野生型α7−nAChRに対するEC50のシフトは、黒い矢印でマークされる。右パネル、左に示されるデータからの濃度応答曲線。最大応答のために電流を統一するように正規化した。データ点を通る連続した線は、Hill方程式で得られる最良の適合である。 経時のYFP蛍光におけるクエンチによる測定として、増加濃度のアセチルコリンに対する4つの異なる操作されたキメラLGIC受容体(配列番号29、配列番号33、配列番号35、配列番号41)の応答を示す。これらのクエンチプロットは、異なる親キメラがアセチルコリンに対して異なるEC50および活性化動態を有することを第2のアプローチによって実証している。アセチルコリン刺激の時点は、矢印で示される。 アセチルコリン(ACH)またはAZD−0328:配列番号33(図7A)および配列番号41(図7B)のいずれかに対する、2つの操作されたキメラLGIC受容体のクエンチプロットを提供する。親キメラは、同様の濃度の異なるリガンドに対して異なって反応する。キメラ#41は、キメラ#33よりも、より低い用量のACHまたはAZD−0328のいずれかに応答し、これは、ベータ1−2ループを含むことによりキメラ受容体上での固有の結合および活性化特性が伝達されることを示す。 様々な用量のアセチルコリンまたはAZD−0328のいずれかによる刺激後の、単一アミノ酸置換を含む操作されたキメラ配列番号33の変異体におけるYFP蛍光のパーセントのクエンチのヒートマップを提供する。図8A〜図8Fは、アセチルコリンおよびAZD−0328の両方に対する応答の右方向へのシフト(感受性の低下)を示す変異体を示し、これは、両方の化合物による結合および活性化に重要なアミノ酸における重複を実証している。図8Gは、アセチルコリンに応答して左方向へのシフトを示すが、AZD−0328に応答して右方向へのシフトを示す変異体を示し、これは、単一の変異がリガンドへの応答を分離する能力を実証している。図8Hは、親キメラと比較してアセチルコリンに対してかなりの右方向へのシフトを示すが、AZD−0328に応答して有意な変化を示さない変異体を示し、これは、単一の変異が他のリガンドによる活性化に影響を及ぼさずにアセチルコリンによる活性化を有意に低減する能力を実証している。図8Iは、アセチルコリンおよびAZD−0328の両方に対する応答の強い左向きへのシフト(感受性の向上)を示す変異体を示す。リガンド用量は、各チャートの上部に書かれている(各用量についてn=2)。ボックス内の数字は、観察されたクエンチの絶対量を示す。ダークブルー=YFPレポーターの80%最大クエンチ。ライトブルー=30〜80%のクエンチ。ホワイト=10〜30%。オレンジ=0〜10%のクエンチ。負の値は、刺激人工物に起因して負のクエンチを有する非応答物を表す。配列番号29は、負対照として使用される非応答性キメラである。 アセチルコリンおよびAZD−0328に対する、操作されたキメラ配列番号33の選択された変異体の用量応答曲線を提供する。図9Aは、置換L131S(塗りつぶしなしの四角形)、L131T(塗りつぶしなしの上向き三角形)、およびS172D(塗りつぶしなしの下向き三角形)を含む変異体の応答を示し、非変異配列番号33(塗りつぶしなしの円)のものと比較して、アセチルコリンの用量応答曲線においてかなり右方向へのシフト(すなわち、EC50における2log(100倍)増加)を実証している。対照的に、W77M置換(塗りつぶしなしのダイヤモンド)は、アセチルコリンに対して用量応答のシフトを示さない。図9Bは、L131S(塗りつぶしなしの四角形)、L131T(塗りつぶしなしの上向き三角形)、およびS172D(塗りつぶしなしの下向き三角形)での置換を含む変異体の応答を示し、未変異配列番号33キメラと比較して、AZD−0328に対して用量応答でわずかな右方向へのシフト(すなわち、EC50における1log増加)をもたらし、一方、W77M置換は、用量応答で劇的な右方向へのシフト(EC50における2log増加)をもたらす。 操作されたキメラ(配列番号33)における単一のアミノ酸置換が、どのように、アセチルコリンよりも非天然リガンドに対して優先的応答を付与するのかということを示す電気生理学的データを提供する。図10Aは、L131Sの置換が、親キメラ配列番号33に対してアセチルコリンのEC50において著しい右向きへのシフト(80倍)を引き起こし(図4Eを参照)、一方で、AZD−0328に対するEC50は、単に(2倍)の右向きへのシフトであることを示す。図10Bは、S172Dの置換が、親キメラに対してアセチルコリンのEC50において著しい右向きへのシフト(58倍)を引き起こし、一方で、S172DについてのAZD−0328に対するEC50は、単に(2倍)の右向きへのシフトであることを示す。図10Cは、W77Mの置換が、親キメラに対してアセチルコリンのEC50において緩やかな右向きへのシフト(2倍)を引き起こし、一方で、W77MについてのAZD−0328に対するEC50は、著しい右向きへのシフト(>2.5log)であることを示す。図10Dは、L131Tの置換が、親キメラに対してアセチルコリンのEC50において著しい右向きへのシフト(約2.5log)を引き起こし、一方で、この変異体についてのAZD−0328に対するEC50は、穏やかな右向きへのシフト(約1log)であることを示す。アスタリスクは、L131Sについての各リガンドに対する推定EC50をマークしている。矢印は、配列番号33に対するEC50のシフトの程度を示す。三角形は、野生型α7−nAChRについての各リガンドに対する推定EC50をマークしている。
簡単な要約
操作された受容体、操作された受容体をコードするポリヌクレオチド、および操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子治療ベクターを使用して、細胞の活性を調節するための組成物および方法が提供される。これらの組成物および方法は、例えば、疾患の治療または神経回路の研究における、ニューロンの活性の調節に特定の用途を見出す。
本開示のいくつかの態様において、本開示は、操作された受容体を対象としており、操作された受容体は、キメラリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体であり、第1の野生型CysループLGIC受容体に由来するリガンド結合ドメインと、第2の野生型CysループLGIC受容体からのCysループドメインと、第2の野生型CysループLGIC受容体に由来するイオン孔ドメインとを含む。いくつかの実施形態において、第1および第2の野生型CysループLGIC受容体は同じである。他の実施形態において、第1および第2の野生型CysループLGIC受容体は異なる。いくつかの実施形態において、第1の野生型CysループLGIC受容体は、アセチルコリン受容体(AchR)、例えば、α7−nAChR、グリシン受容体(GlyR)、例えば、GlyR α1、λ−アミノ酪酸(GABA)受容体、およびセロトニン受容体、例えば、5HT3から選択される。いくつかの実施形態において、第2の野生型CysループLGIC受容体は、アセチルコリン受容体(AchR)、例えば、α7−nAChR、グリシン受容体(GlyR)、例えば、GlyR α1、λ−アミノ酪酸(GABA)受容体、およびセロトニン受容体、例えば、5HT3から選択される。ある特定の実施形態において、第1の野生型CysループLGIC受容体は、α7−nAChRである。ある特定の実施形態において、第2の野生型CysループLGIC受容体は、GlyR α1である。いくつかのそのような実施形態において、Cysループドメインは、GlyR α1のアミノ酸166〜180を含む。他のそのような実施形態において、Cysループドメインは、GlyR α1のアミノ酸166〜172を含む。いくつかのそのような実施形態において、操作された受容体は、配列番号33と85%以上の配列同一性を有する。いくつかの実施形態において、受容体は、第2の野生型CysループLGIC受容体からのβ1−2ループドメインをさらに含む。いくつかのそのような実施形態において、β1−2ループドメインは、GlyR α1のアミノ酸81〜84を含む。いくつかのそのような実施形態において、操作された受容体は、配列番号41と85%以上の配列同一性を有する。
いくつかの実施形態において、リガンド結合ドメインは、W77、Y94、R101、W108、Y115、T128、N129、V130、L131、Q139、L141、Y151、S170、W171、S172、S188、Y190、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択されるα7−nAChRの残基に対応する残基の1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換は、受容体上の非天然リガンドの効力を実質的に維持しながら、受容体上のアセチルコリンの効力を低下させる、機能喪失変異である。ある特定のそのような実施形態において、置換は、α7−nAChRのL131S、L131T、L131D、またはS172Dに対応する置換から選択される。ある特定のそのような実施形態において、非天然リガンドは、AZD−0328、TC6987、ABT−126、およびファシニクリン/RG3487から選択される。他の実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換は、受容体上のアセチルコリンの効力を増加させる、機能獲得変異である。ある特定のそのような実施形態において、置換は、α7−nAChRのL131N、L141W、S170G、S170A、S170L、S170I、S170V、S170P、S170F、S170M、S170T、S170C、S172T、S172C、S188I、S188V、S188F、S188M、S188Q、S188T、S188P、またはS188Wに対応する置換から選択される。
本開示のいくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを対象とする。本開示のいくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを対象とする。本開示のいくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチド、または本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターと、薬学的に許容されるビヒクルと含む薬学的組成物を対象とする。
本開示のいくつかの態様において、本開示は、操作された受容体を対象とし、操作された受容体は、リガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体であり、(a)リガンド結合ドメインが、野生型受容体に対してリガンド結合ドメインの機能を変更する少なくとも1つのアミノ酸変異を含む、第1の野生型LGIC受容体に由来するリガンド結合ドメインと、(b)第2の野生型LGIC受容体に由来するイオン孔ドメインと、を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸変異は、機能喪失変異である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸変異は、機能獲得変異である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸変異は、機能喪失および機能獲得変異の両方であり、すなわち、機能喪失および機能獲得を提供する変異は同じ変異である。他の実施形態において、少なくとも1つの機能喪失アミノ酸変異および少なくとも1つの機能獲得アミノ酸変異は、リガンド結合ドメインの異なるアミノ酸残基における変異である。いくつかの実施形態において、第1および第2の野生型LGIC受容体は同じである。いくつかの実施形態において、第1および第2の野生型LGIC受容体は異なる。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体はCysループ受容体LGICである。いくつかのそのような実施形態において、第1および/または第2の野生型LGIC受容体は、グリシン受容体(GlyR)、λ−アミノ酪酸(GABA)受容体、セロトニン受容体、およびアセチルコリン受容体(AchR)からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、ATP依存性カチオンチャネル受容体、内向き整流性カリウムチャネル受容体(Kir)、カリウム電圧依存性チャネル受容体、およびATP結合カセットトランスポーター受容体から選択される。
いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、GABA受容体である。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、5ヒドロキシトリプタミン(5−HT)受容体である。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、ニコチン性AchR(nAchR)である。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、P2X受容体である。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、KCNQまたはK7受容体である。いくつかの実施形態において、第1および/または第2のLGIC受容体は、嚢胞性線維症膜貫通伝導調節因子(CFTR)受容体である。
いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、ホモマー受容体である。いくつかの実施形態において、操作された受容体は、ヘテロマー受容体である。
いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、天然または野生型リガンド結合ドメインに対して99%、98%、97%、95%、または90%未満相同であるリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、野生型リガンド結合ドメインに対して85%以上の配列同一性を共有するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、野生型リガンド結合ドメインに対して90%以上の配列同一性を共有するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、野生型リガンド結合ドメインに対して95%以上の配列同一性を共有するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、リガンド結合ドメインに導入された1つ以上のアミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸変異は、エラープローンポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってリガンド結合ドメインに導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸変異は、部位特異的変異誘発によってリガンド結合ドメインに導入される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸変異は、デノボ遺伝子合成によってリガンド結合ドメインに導入される。
いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、操作された受容体への内因性リガンドの結合を阻害するか、または操作された受容体に対する内因性リガンドの結合親和性を低下させる少なくとも1つの機能喪失アミノ酸変異を含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、操作された受容体に対する結合剤の結合親和性を増加させるか、または操作された受容体に対する結合剤の効果を調節する少なくとも1つの機能獲得アミノ酸変異を含む。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの機能獲得アミノ酸変異は、アゴニストリガンドに対する野生型受容体の親和性と比較して、操作された受容体のアゴニストリガンドに対する親和性を増加させる。いくつかの実施形態において、アゴニストリガンドは、ABT−089、ABT−126、ABT−418、ABT−894、アルファドロン、AQW−051、AZD0328、AZD7325、バスミサニル、ビロバリド、カンナビジオール、シランセトロン、CP−409092、DDP733、EVP−6124、GTS−21、イプタカリム、MK−0777/L83098、MDL−27531、MEM−3454/RG3487、MEM−63908、モキシデクチン、NRX−1050、NRX−1060、P−9939、PH−399733、QH−ii−066、ラパスチネル、レンザプリド、レチガビン、S−18841、SL−75102、SL−651498、SR−57227、SSR−180711、およびTC−5619/AT−101からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、リガンドは、AZD0328、ABT−126、AQW−051、カンナビジオール、シランセトロン、PH−399733、ファシニクリン/RG3487/MEM−3454、およびTC−5619/AT−101からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの機能獲得変異は、アゴニストリガンドとして機能するアンタゴニストリガンドをもたらす。いくつかの実施形態において、アンタゴニストリガンドは、468816、ACEA−2085、DA−9701、エスリカルバゼピン酢酸塩、ガベスチネル、GV−196771、GW−468816、HMR−2371、L−695902、L−701324、MDL−100748、MDL−102288、MDL−105519、PD−165650、テダチオキセチン、UK−315716、およびZD−9379からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの機能獲得アミノ酸変異は、アゴニストリガンドとして機能する調節因子リガンドをもたらす。いくつかの実施形態において、調節因子リガンドは、AQW−051、AZD7325、CTP−656、ガベスチネル、およびイベルメクチンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、GlyRに由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、GABA受容体に由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、リガンド結合ドメインを含み、nAChRに由来する。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、5HTに由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、P2X受容体に由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、Kir受容体に由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、KCNQ受容体に由来するリガンド結合ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、CFTR受容体に由来するリガンド結合ドメインを含む。
いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、GlyRに由来するイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、GABA受容体由来のイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、nAChRに由来するイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、5HT受容体に由来するイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、P2X受容体由来のイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、Kir受容体由来のイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、KCNQ受容体由来のイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、本開示の操作された受容体は、CFTR受容体由来のイオン孔ドメインを含む。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインは、非脱感作変異を含む。
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、または単純ヘルペス1型ウイルスベクター(HSV−1)である。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、およびAAVrh10からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV5、AAV6、およびAAV9から選択される。いくつかの実施形態において、ベクターは、AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、およびAAVrh10からなる群から選択されるベクターに由来する。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV−5、AAV−6またはAAV−9に由来する。
本開示のいくつかの態様において、神経障害の治療を必要とする対象において神経障害を治療する方法であって、操作されたリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体をコードするポリヌクレオチドを前述の対象に投与することと、操作されたLGIC受容体のアゴニストとして作用する結合剤を前述の対象に投与することとを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、非ウイルス法によって対象に送達される。いくつかの実施形態において、非ウイルス法は、リポフェクション、ナノ粒子送達、微粒子銃、エレクトロポレーション、超音波処理、またはマイクロインジェクションである。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターにて対象に送達される。いくつかの実施形態において、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、または単純ヘルペス1型ウイルスベクター(HSV−1)である。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV5、AAV6、およびAAV9から選択される。いくつかの実施形態において、ベクターは、AAV1、AAV2、AAV3 b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、およびAAVrh10からなる群から選択されるベクターに由来する。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV−5、AAV−6またはAAV−9に由来する。
いくつかの実施形態において、方法は、興奮性細胞において操作された受容体を発現することを含む。いくつかの実施形態において、興奮性細胞は、ニューロンまたは筋細胞である。いくつかの実施形態において、ニューロンは、背根神経節、運動ニューロン、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、または感覚ニューロンである。
いくつかの実施形態において、対象は、疼痛を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、発作性障害を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、運動障害を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、摂食障害を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、脊髄損傷を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、神経因性膀胱を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、痙攣性障害を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、掻痒を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷後ストレス障害(PTSD)、胃食道逆流症(GERD)、中毒、不安感、うつ病、記憶喪失、認知症、睡眠時無呼吸、脳卒中、ナルコレプシー、尿失禁、本態性振戦、運動障害、または心房細動を患っている。いくつかの実施形態において、方法は、結合剤の投与後に疾患の症状を測定することをさらに含み、ここで、疾患の症状は軽減されている。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
いくつかの実施形態において、結合剤は、468816、ABT−089、ABT−126、ABT−418、ABT−894、ACEA−2085、アルファドロン、AQW−051、AZD0328、AZD7325、バスミサニル、ビロバリド、カンナビジオール、シランセトロン、CP−409092、CTP−656、DA−9701、DDP733、エスリカルバゼピン酢酸塩、EVP−6124、ガベスチネル、ガベスチネル、GTS−21、GV−196771、GW−468816、HMR−2371、イプタカリム、L−695902、L−701324、MK−0777/L83098、MDL−100748、MDL−102288、MDL−105519、MDL−27531、MEM−3454/RG3487、MEM−63908、モキシデクチン、NRX−1050、NRX−1060、P−9939、PD−165650、PH−399733、QH−ii−066、ラパスチネル、レチガビン、S−18841、SL−75102、SL−651、498、SR−57227、SSR−180、711、TC−5619/AT−101、テダチオキセチン、UK−315716、およびZD−9379からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、リガンドは、AZD0328、ABT−126、AQW−051、カンナビジオール、シランセトロン、PH−399733、ファシニクリン/RG3487/MEM−3454、およびTC−5619/AT−101からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドおよび/または結合剤は、皮下、経口、髄腔内、局所、静脈内、神経節内、頭蓋内、脊髄内、大槽内、または神経内に投与される。この方法のいくつかの実施形態において、結合剤は、ポリヌクレオチドの少なくとも1週間後に投与される。
いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書に記載の操作された受容体、本明細書に記載のポリヌクレオチド、または本明細書に記載のウイルスベクターを含む組成物を含む。
A.概要
操作されたリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体、操作されたLGIC受容体をコードするポリヌクレオチド、および操作された受容体をコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子治療ベクターを使用して、細胞の活性を調節するための組成物および方法が提供される。これらの組成物および方法は、例えば、疾患の治療または神経回路の研究における、ニューロンの活性の調節に特定の用途を見出す。加えて、本発明の方法の実施において用途を見出される試薬、デバイス、およびそのキットが提供される。
特に、本開示は、既知の薬物、リガンド、および/または結合剤に結合し、かつそれらに応答してシグナル化される操作された受容体を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の操作された受容体は、既知のアゴニスト結合剤に対して増加した親和性を示す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の操作された受容体は、アンタゴニストまたは調節因子結合剤に対する親和性を示し、アンタゴニストおよび/または調節剤に対して、それらがまるでアゴニスト剤であるかのように応答する。本開示はさらに、神経疾患の治療を必要とする対象において神経疾患を治療する方法を提供する。本開示は、野生型内因性受容体とは異なる方法で既知の薬物に応答する操作された受容体を利用することによって、既知の薬物が使用され得る臨床適応の数を増加させる。
本方法および組成物が記載される前に、本開示は、記載される特定の方法または組成物に限定されないことを理解されたい。そのような方法または組成物は、もちろん変化し得る。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値も、具体的に開示されることを理解されたい。記載された範囲内の任意の記載された値または介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値との間のそれぞれのより小さな範囲は、本開示内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、範囲内に含まれてもよく、または除外されてもよく、いずれか、いずれも、または両方の制限がより小さな範囲内に含まれている各範囲も、本開示内に包含され、記載された範囲内の任意の具体的に除外された制限の対象となる。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除く範囲もまた、本開示に含まれる。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と同様または同等の任意の方法および材料は、本開示の実施または試験において使用することができるが、ここで、いくつかの潜在的かつ好ましい方法および材料が説明されることになる。本明細書で言及される全ての刊行物は、引用された刊行物に関連して方法および/または材料を開示し、説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、矛盾が生じる場合には、組み込まれた刊行物のいかなる開示にも取って代わることを理解されたい。
本開示を読むと当業者には明白であろうように、本明細書に記載および図示される個々の実施形態のそれぞれは、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離できるか、またはそれらと組み合わされることができる別個の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、または論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。
本明細書において論じられる刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなるものも、本開示が、先行開示のためにそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の公開日とは異なる可能性があり、これらは独立して確認する必要があり得る。
B.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、趣旨が明らかにそうではないと指示しない限り、複数への言及を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、そのような細胞の複数形を含み、「ペプチド(the peptide)」への言及は、1つ以上のペプチドおよびその等価物、例えば、当業者に既知のポリペプチド等への言及を含む。
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、別途示されない限り、本開示では、「および」または「または」のいずれかに対して使用される。
本明細書全体を通して、文脈が別途必要としない限り、用語「含む(comprise)]、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変化形は、記述された要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の包含を指すが、任意の他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の除外を意味するものではない。さらに、本明細書全体にわたる数値範囲の記述は、範囲の間にあるすべての整数および小数点を具体的に含む。
本明細書全体を通して、文脈が別途必要としない限り、「から本質的になる」という語句は、対象開示の基本的および新規特徴(複数可)に実質的に影響を与えない特定の材料または工程に対して記載される組成物、方法、またはキットの範囲の限界を指す。例えば、開示される配列「から本質的になる」リガンド結合ドメインは、配列の境界に、開示される配列のアミノ酸配列にプラスまたはマイナスして約5アミノ酸残基を有し、例えば、列挙される結合アミノ酸残基よりも約5残基、4残基、3残基、2残基、もしくは約1残基少ない、または列挙される結合アミノ酸残基よりも約1残基、2残基、3残基、4残基、もしくは5残基多い。
本明細書全体を通して、文脈が別途必要としない限り、「からなる」という語句は、組成物、方法、またはキットから、特許請求の範囲において特定されていない任意の要素、工程、または成分が除外されることを指す。例えば、開示される配列「からなる」リガンド結合ドメインは、開示されるアミノ酸配列のみからなる。
本出願で使用される場合、用語「約」および「およそ」は、等価物として使用される。約/およそを伴う、または伴わない、本出願で使用される任意の数値は、関連技術分野の当業者によって理解される任意の通常の変動をカバーすることを意味する。ある特定の実施形態において、用語「およそ」または「約」は、別段の記載がない限り、または文脈から別段に明らかでない限り(そのような数が考えられる値の100%を超える場合を除く)、記載された参照値のいずれかの方向(それより多い、またはそれより少ない)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満である値の範囲を指す。
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、通常付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない材料が、その天然の状態で見出される通りであることを意味する。いくつかの実施形態において、用語「得られる」または「由来する」は単離されたものと同義に使用される。
用語「対象」、「患者」、および「個体」は、本明細書において企図されるベクター、組成物、および方法を用いて治療することができる疼痛を示す任意の動物を指すために互換的に使用される。いくつかの実施形態において、対象は、脊椎動物、好ましくは、哺乳動物を指し得る。哺乳動物には、限定されないが、マウス、サル、ヒト、飼育用動物、競技用動物、およびペットが含まれる。好適な対象(例えば、患者)には、実験用動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、飼育用動物、ならびに家畜またはペット(ネコまたはイヌなど)が含まれる。非ヒト霊長類、好ましくは、ヒト患者が含まれる。いくつかの実施形態において、「試料」は対象から採取され得る。
用語「試料」は、分析に供される生体材料の容積および/または質量を指す。いくつかの実施形態において、試料は、組織試料、細胞試料、流体試料等を含む。いくつかの実施形態において、試料は、対象(例えば、ヒト対象)から採取されるか、または対象によって提供される。いくつかの実施形態において、試料は、任意の内臓、癌性腫瘍、前癌性腫瘍、または非癌性腫瘍、脳、皮膚、毛(毛根を含む)、眼、筋肉、骨髄、軟骨、白色脂肪組織、および/または褐色脂肪組織から採取される組織の一部を含む。いくつかの実施形態において、流体試料は、頬側スワブ、血液、臍帯血、唾液、精液、尿、腹水、胸水、脊髄液、肺洗浄、涙、汗、等を含む。当業者であれば、いくつかの実施形態において、「試料」は、供給源(例えば、対象)から直接得られるという点で「一次試料」であることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、「試料」は、例えば、特定の潜在的な汚染成分を除去し、特定の成分を単離し、および/または特定の目的の成分を精製するための、一次試料の処理の結果である。いくつかの実施形態において、試料は、細胞または細胞集団(例えば、ニューロン)である。細胞試料は、対象(例えば、一次試料)に直接由来し得るか、または細胞株であり得る。細胞株には、非哺乳動物細胞(例えば、昆虫細胞、酵母細胞、および/または細菌細胞)または哺乳動物細胞(例えば、不死化細胞株)が含まれ得る。
本明細書で使用される「治療する」または「治療」とは、組成物(例えば、操作された受容体および/または結合剤)を対象および/または細胞集団に送達して、生理学的結果に影響を及ぼすことを指す。特定の実施形態において、治療は、1つ以上の疾患症状の改善(例えば、軽減、改善、または是正)をもたらす。改善は、観察可能または測定可能な改善であり得るか、または対象の健康状態の一般的な感覚における改善であり得る。疾患の治療とは、疾患症状の重症度の低下を指すことができる。いくつかの実施形態において、治療は、疾患症状の重症度が疾患発症前と同等のレベルまで低下することを指すことができる。いくつかの実施形態において、治療は、疾患症状の短期(例えば、一時的または急性)および/または長期(例えば、持続的または慢性的)の低下を指すことができる。いくつかの実施形態において、治療は、疾患症状の寛解を指すことができる。いくつかの実施形態において、治療は、疾患の発症を予防するために、特定の疾患を発症する危険性のある対象の予防的治療を指すことができる。疾患発症の予防とは、疾患症状の完全な予防、疾患発症の遅延、その後に発症した疾患における症状の重症度の軽減、または疾患発症の可能性を低減することを指すことができる。
本明細書で使用される場合、「管理」または「制御」は、特定の疾患を患っている個人の生活の質を改善するための、本明細書で企図される組成物または方法の使用を指す。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される組成物および方法は、疼痛を患っている対象に鎮痛を提供する。
「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するのに必要とされる組成物の量である。治療有効量は、限定されないが、対象の疾患状態および年齢、性別、および体重等の要因に応じて変化し得る。一般に、治療有効量は、組成物の任意の毒性または有害効果よりも治療有益効果が上回る量でもある。「治療有効量」は、対象を治療するのに有効な組成物の量を含む。「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要とされる組成物の量を指す。いくつかの実施形態において、予防有効量は、疾患の前または早期の対象において予防用量が使用されるため、治療有効量よりも少なくてもよい。
「増加」は、参照または対照レベルと比較して少なくとも5%の値の増加(例えば、結合親和性の増加、生理学的応答の増加、治療効果の増加等)を指す。例えば、増加は、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、500、1000%以上の増加を含み得る。増加はまた、参照または対照レベルよりも1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30倍以上(例えば、500、1000倍)増加することを意味する。
「減少」は、参照または対照レベルと比較して少なくとも5%の値の減少(例えば、結合親和性の低下、生理学的応答の低下、治療効果の低下等)を指す。例えば、減少は、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、500、1000%以上の減少を含み得る。減少はまた、参照または対照レベルよりも1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30倍以上(例えば、500、1000倍)低い減少を意味する。
「維持する」または「保つ」または「維持」「変化がない」または「実質的な変化がない」または「実質的な減少がない」とは、概して、ビヒクルまたは対照分子/組成物のいずれかによって引き起こされる効果に匹敵する生理学的および/または治療効果を指す。匹敵する応答とは、参照の応答と有意に異ならないか、または測定可能な差異がない応答である。
「参照」または「対照」レベルという用語は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載の組成物で治療されていない対象または試料、またはビヒクル対照で治療されている対象または試料における特定の生理学的および/または治療効果の値を指す。いくつかの実施形態において、参照レベルは、本明細書に記載の組成物の投与前に対象または試料中で測定される特定の生理学的および/または治療効果の値(例えば、ベースラインレベル)を指す。
「受容体−リガンド結合」および「リガンド結合」は、本明細書において互換的に使用され、受容体(例えば、LGIC)とリガンドとの物理的相互作用を指す。本明細書で使用される「リガンド」という用語は、内因性または天然に存在するリガンドを指すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、リガンドは、神経伝達物質(例えば、λ−アミノ酪酸(GABA)、アセチルコリン、セロトニン、および他のもの)ならびにシグナル伝達中間体(例えば、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェート(PIP))、アミノ酸(例えば、グリシン)、またはヌクレオチド(例えば、ATP)を指す。いくつかの実施形態において、リガンドは、非天然、すなわち、合成または非天然に存在するリガンド(例えば、結合剤)を指してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、リガンドは、小分子を指す。リガンド結合は、当該技術分野で既知の様々な方法(例えば、放射活性標識されたリガンドとの会合の検出)によって測定することができる。
「結合親和性」は、概して、受容体の単一の結合部位とリガンドとの間の非共有結合性相互作用の合計の強度を指す。別段の指示がない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、受容体とリガンド)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのパートナーYに対する親和性は、概して、解離定数(K)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載されるものを含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。
用語「特異的結合親和性」または「特異的結合」は、本明細書および特許請求の範囲を通じて互換的に使用され、対になった分子種、例えば、受容体とリガンドとの間で生じる結合を指す。2つの種の相互作用が非共有結合複合体を生じるとき、生じる結合は、典型的には、静電気、水素結合、または親油性相互作用の結果である。種々の実施形態において、1つ以上の種間の特異的結合は直接的である。一実施形態において、特異的結合の親和性は、バックグラウンド結合(非特異的結合)よりも約2倍大きい、バックグラウンド結合よりも約5倍大きい、バックグラウンド結合よりも約10倍大きい、バックグラウンド結合よりも約20倍大きい、バックグラウンド結合よりも約50倍大きい、バックグラウンド結合よりも約100倍大きい、またはバックグラウンド結合よりも約1000倍大きい。
「シグナル伝達」は、受容体へのリガンド結合の結果(例えば、本明細書に記載の操作された受容体への結合剤の結合の結果)としての、生化学的または生理学的応答の生成を指す。
用語「天然」および「野生型」は、本明細書および特許請求の範囲にわたって互換的に使用され、天然に見出される組成物を指す。
「非天然」、「バリアント」、および「変異体」という用語は、本明細書全体および特許請求の範囲にわたって互換的に使用され、天然または野生型の組成物、例えば、天然または野生型の配列に対して100%未満の配列同一性を有するバリアントポリペプチドを指す。
用語「親」または「開始剤」は、本明細書全体および特許請求の範囲にわたって互換的に使用され、新規の特性を有する操作された組成物を作製するために修飾または誘導体化される初期組成物を指す。
「操作された」という用語は、本明細書全体および特許請求の範囲にわたって使用され、誘導体化された親組成物とは異なる特性を有する非天然に存在する組成物を指す。
一般に、「配列同一性」または「配列相同性」は、それぞれ2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の対応を指す。典型的には、配列同一性を決定するための技術は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定すること、および/またはそれによってコードされるアミノ酸配列を決定すること、ならびにこれらの配列を第2のヌクレオチドもしくはアミノ酸配列と比較することを含む。2つ以上の配列(ポリヌクレオチドまたはアミノ酸)は、それらの「同一性パーセント」を決定することによって比較することができる。核酸またはアミノ酸配列を問わず、2つの配列の同一性パーセントは、2つのアラインされた配列間の正確な一致の数を、より短い配列の長さで除し、100を乗じたものである。同一性パーセントはまた、例えば、国立衛生研究所(the National Institutes of Health)から入手可能なバージョン2.2.9を含む高度なBLASTコンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することによって決定されてもよい。BLASTプログラムは、KarlinおよびAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268(1990)のアラインメント方法に基づき、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990);KarlinおよびAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877(1993);ならびにAltschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402(1997)において記載されているようなものである。簡単に説明すると、BLASTプログラムは、同一性を、同一のアラインされた記号(概して、ヌクレオチドまたはアミノ酸)の数を2つの配列のうちの短い方の記号の合計数で割ったものとして定義する。プログラムは、比較されるタンパク質の全長にわたる同一性パーセントを決定するために使用され得る。例えば、BLASTプログラムを用いて、短いクエリ配列での検索を最適化するために、デフォルトのパラメータが提供される。プログラムはまた、WoottonおおよびFederhen、Computers and Chemistry 17:149−163(1993)のSEGプログラムによって決定されるようなクエリ配列のマスクオフセグメントにSEGフィルタを使用することを許可する。配列同一性の所望の程度の範囲は、約80%〜100%であり、介在する整数値である。典型的には、開示される配列と特許請求される配列との間の同一性パーセントは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である。
本明細書で使用される場合、「実質的に同一である」は、85%以上、例えば90%以上、例えば95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または100%である配列同一性を有することを指し、組成物の活性は、配列同一性の差をもたらす配列内の修飾によって変化しない。
C.操作された受容体
本開示は、操作された受容体、操作された受容体変異体、およびそれらの使用方法に関する。本明細書で使用される「受容体」という用語は、細胞の表面に位置し、細胞へのシグナル伝達および/または細胞からのシグナル伝達を媒介することができる任意のタンパク質を指す。「操作された受容体」という用語は、対応する親受容体と物理的および/または機能的に異なるように実験的に改変された受容体を指すために本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、親受容体は、野生型受容体である。用語「野生型受容体」は、本明細書において、天然に見られるタンパク質のポリペプチド配列と同一であるポリペプチド配列を有する受容体を指すために使用される。野生型受容体としては、ヒトにおいて天然に生じる受容体、ならびに他の真核生物、例えば、原生生物、真菌、植物または動物、例えば、酵母、昆虫、線虫、海綿動物、哺乳動物、非哺乳動物の脊椎動物において天然に生じるオルソログが挙げられる。他の実施形態において、親受容体は、非天然受容体であり、すなわち、それは、天然には存在しない受容体、例えば、野生型受容体から操作された受容体である。例えば、親受容体は、第2の野生型受容体からの1つ以上のサブユニットとともに、1つの野生型受容体からの1つ以上のサブユニットを含む操作された受容体であり得る。したがって、得られるタンパク質は、2つ以上の野生型受容体からのサブユニットから構成される。本開示の操作された受容体としては、例えば、親受容体、親受容体変異体、およびスイッチ受容体が挙げられる。
いくつかの態様において、本開示の操作された受容体は、対応する親受容体に対して少なくとも1つのアミノ酸変異を含み、例えば、野生型受容体の1つ以上のドメインにおいて1つ以上の変異を含む。「アミノ酸変異」とは、対応する親配列と比較したアミノ酸配列における任意の差異、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を意味する。いくつかの実施形態において、操作された受容体は、対応する親受容体と99%、98%、95%、90%、85%、80%、70%、60%、50%、またはそれ未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、親受容体変異体は、対応する親受容体と85%以上の配列同一性、例えば、対応する親受容体と90%以上または95%以上の同一性、例えば、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。いくつかの実施形態において、操作された受容体(例えば、親受容体変異体)はエラープローンPCRによって生成される。
いくつかの実施形態において、アミノ酸変異は、対応する親受容体に対する機能喪失アミノ酸変異である。「機能喪失」アミノ酸変異は、例えば、内因性リガンドの親受容体への結合と比較して、内因性リガンドの操作受容体への結合を低減することによって、または典型的には、対応する親受容体への結合剤の結合に応答して活性化される操作受容体の下流のシグナル伝達経路(複数可)の活性を低減することによって、親受容体と比較して操作受容体の機能を低減、実質的に低減、または廃止する1つ以上の変異を指す。
いくつかの実施形態において、アミノ酸変異は、対応する親受容体に対する機能獲得アミノ酸変異である。「機能獲得」アミノ酸変異は、例えば、内因性リガンドの親受容体への結合に対して内因性リガンドの操作された受容体への結合を低下させることにより、または結合剤の対応する親受容体への結合に応答して典型的には活性化される操作された受容体の下流方向のシグナル伝達経路(複数可)の活性を低下させることにより、親受容体に対して操作された受容体の機能を低下させる、実質的に減少させる、または廃止する1つ以上の変異を指す。いくつかの実施形態において、機能獲得変異は、結合剤に対する操作された受容体の親和性の増加をもたらす。特定の実施形態において、機能獲得変異は、アゴニスト結合剤に対する操作された受容体の親和性の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、機能獲得変異は、操作された受容体への結合時にアゴニスト結合剤として作用するアンタゴニスト結合剤をもたらす(例えば、アンタゴニストシグナル伝達経路の代わりにアゴニストシグナル伝達経路の活性化をもたらす)。いくつかの実施形態において、機能獲得変異は、操作された受容体への結合時にアゴニスト結合剤として作用する調節因子結合剤をもたらす。いくつかの実施形態において、本開示の主題の操作された受容体は、対応する親受容体に対して1つ以上の機能喪失アミノ酸変異および1つ以上の機能獲得アミノ酸変異を含む。
いくつかの実施形態において、機能喪失変異および機能獲得変異は同じ残基にあり、すなわち、それらは同じ変異である。他の実施形態において、機能喪失変異および機能獲得変異は、異なるアミノ酸残基における変異である。いくつかの実施形態において、機能喪失変異および/または機能獲得変異を含む主題の操作された受容体は、対応する親受容体、例えば、野生型受容体または非天然受容体と99%、98%、95%、90%、85%、80%、70%、60%、50%、またはそれ未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、主題の操作された受容体は、対応する親受容体と85%以上の配列同一性、例えば、85%、90%、または95%以上の配列同一性、いくつかの事例では、96%、97%、98%以上の配列同一性、例えば、99%または99.5%の配列同一性を共有する。
いくつかの態様において、本開示の操作された受容体は、1つ以上の野生型受容体からの1つ以上のアミノ酸配列、例えば、サブユニットと、第2の野生型受容体からの1つ以上のアミノ酸配列、例えば、サブユニットとの組み合わせによって生成される受容体を含む。つまり、操作された受容体は、互いに異種であるアミノ酸配列を含み、ここで「異種」とは、天然では一緒に存在しないことを意味する。そのような受容体は、本明細書において「キメラ受容体」と称される。いくつかの実施形態において、キメラ受容体は、本開示の操作された受容体が生成される親受容体として機能する。
いくつかの実施形態において、親受容体変異体は、アゴニスト結合剤に対する親和性の増加を示す。いくつかの実施形態において、野生型受容体に結合するときにアンタゴニストまたは調節因子として機能するリガンドまたは結合剤は、親受容体変異体に結合するときにアゴニストとして機能する。
いくつかの実施形態において、操作された受容体は、「リガンド依存性イオンチャネル」またはLGICである。LGICは、特異的リガンド(例えば、化学的または結合剤)による活性化時にイオンの通過を可能にする膜貫通タンパク質の大きな群を指す。LGICは、リガンド結合ドメインおよび膜貫通イオン孔ドメインの少なくとも2つのドメインから構成される。LGICへのリガンド結合は、LGICの活性化およびイオン孔の開放をもたらす。リガンド結合は、特定のイオン(複数可)に対するチャネルの透過性において劇的な変化を引き起こす。実際、不活性であるかまたは閉鎖しているときは、いかなるイオンもチャネルを通過することはできないが、リガンド結合時には、最大10個のイオン/秒が通過することができる。いくつかの実施形態において、LGICは細胞外リガンド(例えば、神経伝達物質)に応答し、イオンのサイトソルへの流入を促進する。いくつかの実施形態において、LGICは、細胞内リガンド(例えば、ATPにおけるヌクレオチドおよびPIP等のシグナル伝達中間体)に応答し、細胞ソルから細胞外環境へのイオンの流出を促進する。重要なことに、LGICの活性化は、細胞膜にわたるイオンの輸送(例えば、Ca2+、Na、K、Cl等)をもたらし、リガンド自体の輸送をもたらさない。
LGIC受容体は、複数のサブユニットからなり、ホモマー受容体またはヘテロマー受容体のいずれかであり得る。ホモマー受容体は、すべて同じ型であるサブユニットから構成される。ヘテロマー受容体は、少なくとも1つのサブユニットが、受容体内に含まれる少なくとも1つの他のサブユニットと異なるサブユニットからなる。例えば、グリシン受容体は、5つのサブユニットから構成され、そのうち、2つの型:4つのアイソフォーム(α1〜α)が存在するα−サブユニットと、1つの既知のアイソフォームが存在するβ−サブユニットと、が存在する。例示的なホモマーGlyRは、5つのα−GlyRサブユニットからつの構成されるGlyRである。同様に、ホモマーGABA受容体は、β−GABAサブユニットから構成されてもよく、nAchR受容体は、α−nAchRサブユニットから構成されてもよい。例示的なヘテロマーGlyRは、1つ以上のα−サブユニットおよび1つ以上のβ−サブユニットから構成されてもよい(例えば、αβ−GlyR)。例となるLGIC受容体のサブユニットを表1に示す。


特定の実施形態での使用に好適なLGICのファミリーの例示的な例としては、Cysループ受容体、例えば、グリシン受容体(GlyR)、セロトニン受容体(例えば、5−HT3受容体)、λ−アミノ酪酸A(GABA−A)受容体、およびニコチン性アセチルコリン受容体(nAchR)、ならびに酸感知(プロトン依存性)イオンチャネル(ASIC)、上皮ナトリウムチャネル(ENaC)、イオンチャネル型グルタミン酸受容体、IP3受容体、P2X受容体、リアノジン受容体、および亜鉛活性化チャネル(ZAC)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載される方法とともに使用するのに適したLGICの具体的な非限定的な例には、HTR3A;HTR3B;HTR3C;HTR3D;HTR3E;ASIC1;ASIC2;ASIC3;SCNN1A;SCNN1B;SCNN1D;SCNN1G;GABRA1;GABRA2;GABRA3;GABRA4;GABRA5;GABRA6;GABRB1;GABRB2;GABRB3;GABRG1;GABRG2;GABRG3;GABRD;GABRE;GABRQ;GABRP;GABRR1;GABRR2;GABRR3;GLRA1;GLRA2;GLRA3;GLRA4;GLRB;GRIA1;GRIA2;GRIA3;GRIA4;GRID1;GRID2;GRIK1;GRIK2;GRIK3;GRIK4;GRIK5;GRIN1;GRIN2A;GRIN2B;GRIN2C;GRIN2D;GRIN3A;GRIN3B;ITPR1;ITPR2;ITPR3;CHRNA1;CHRNA2;CHRNA3;CHRNA4;CHRNA5;CHRNA6;CHRNA7;CHRNA9;CHRNA10;CHRNB1;CHRNB2;CHRNB3;CHRNB4;CHRNG;CHRND;CHRNE;P2RX1;P2RX2;P2RX3;P2RX4;P2RX5;P2RX6;P2RX7;RYR1;RYR2;RYR3;およびZACNが含まれる。
TRPV1、TRPM8、およびP2Xは、構造的特徴ならびにゲート原理を共有する大きなLGICファミリーのメンバーである。例えば、TRPV4は、TRPV1と同様に、熱が引き金となるが、カプサイシンが引き金にもなり、P2Xは、ATPが引き金となるが、P2Xよりも迅速に脱感作される。したがって、TRPV1、TRPM8、およびP2Xは、特定の実施形態での使用に好適なLGICの非限定的な例である。
一実施形態において、操作された受容体は、TRPV1もしくはTRPM8受容体またはその変異タンパク質である。TRPV1およびTRPM8は、末梢神経系の侵害受容性ニューロンによって発現されるバニロイドおよびメントール受容体である。両方のチャネルは、非選択的、ナトリウムおよびカルシウム透過性ホモトテトラマーとして機能すると考えられる。さらに、両方のチャネルおよびそれらの主なアゴニスト、それぞれカプサイシンおよびメントールなどの冷感性化合物は、中枢神経系に事実上存在しない。カプサイシン、ならびにメントールおよびイシリンを含むいくつかの冷感性化合物は、感光性遮断基のための潜在的なアクセプタ部位を含有する。感光性遮断基とそのようなアクセプタとが関連することにより、リガンド依存性イオンチャネルがもたらされ、そこで、光は活性リガンドを放出することによって間接的なトリガとして作用する。
一実施形態において、操作された受容体は、P2X受容体またはその変異タンパク質である。P2Xは、その緩慢な脱感作速度によって区別されるATP依存性の非選択的カチオンチャネルである。P2Xは、脱分極電流の選択的にアドレス指定可能な供給源として使用されてもよく、完全に天然のアゴニストを欠く操作されたチャネル−リガンドの組み合わせを生成するためのプラットフォームを提示する。
本開示の操作された受容体の生成における用途が見出されている野生型LGIC受容体の配列の非限定的な例としては、以下が挙げられる。配列において、シグナルペプチドは斜体で示され、リガンド結合ドメインは太字で示され、イオン孔ドメインは下線で示される:
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、GLRA1遺伝子(GenBank受託番号NM_001146040.1(配列番号1)によってコードされる、ヒトα1グリシン受容体(GlyR α1)である(GenBank受託番号NP_001139512.1、配列番号2):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、CHRNA7遺伝子(GenBank受託番号NM_000746.5(配列番号3)によってコードされる、ヒトニコチン性コリン作動性受容体α7サブユニット(α7−nAchR)である(GenBank受託番号NP_000737.1、配列番号4):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、HTR3A遺伝子(GenBank受託番号NM_213621.3、配列番号5)によってコードされる、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン受容体3Aである(5HT3A、GenBank受託番号NP_998786.2、配列番号6):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、HTR3B遺伝子(GenBank受託番号NM_006028.4、配列番号56)によってコードされる、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン受容体3Bである(5HT3B GenBank 受託番号NP_006019.1、配列番号57):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、GABRB3遺伝子(GenBank受託番号NM_000814.5、配列番号7)によってコードされる、ヒトγ−アミノ酪酸受容体A(GABA−A)、サブユニットβ−3(GABA−A β3)である(GenBank受託番号NP_000805.1、配列番号8):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、GABRR1遺伝子(GenBank受託番号NM_002042.4、配列番号9)によってコードされる、ヒトGABA−A、サブユニットrho1(ρ1)(GABA−A ρ1)である(GenBank受託番号NP_002033.2、配列番号10):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、GABRR2遺伝子(GenBank受託番号NM_002043.4、配列番号11)によってコードされる、ヒトGABA−A、サブユニットrho2(ρ2)(GABA−A ρ2)である(GenBank受託番号NP_002034.3、配列番号12):
いくつかの実施形態において、野生型LGIC受容体は、GABRR 3遺伝子(GenBank受託番号NM_001105580.2、配列番号13)によってコードされる、ヒトGABA−A、サブユニットrho 3(ρ3)(GABA−A ρ3である(GenBank受託番号NP_001099050.1、配列番号14):
いくつかの態様において、主題の操作された受容体は、キメラ受容体である。いくつかの実施形態において、キメラ受容体は、少なくとも第1のLGICからのリガンド結合ドメイン配列と、少なくとも第2のLGICからのイオン孔伝導ドメイン配列、またはより単純に、「イオン孔ドメイン配列」と、を含む。いくつかの実施形態において、第1および第2のLGICは、Cysループ受容体である。Cysループ受容体のリガンド結合ドメイン配列およびイオン孔ドメイン配列は、当該技術分野で周知であり、公開されているソフトウェア、例えば、PubMed、Genbank、Uniprot等を使用することによって、文献から容易に識別することができる。上述の配列において、リガンド結合ドメインは太字で示されており、イオン孔ドメインは下線で示されている。
いくつかの実施形態において、キメラ受容体のリガンド結合ドメインは、ヒトグリシン受容体のリガンド結合ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトグリシン受容体は、ヒトGlyR α1(配列番号2)である。いくつかのそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、GlyR α1のおおよそのアミノ酸29〜235、例えば、配列番号2のアミノ酸29〜235、アミノ酸29〜240、アミノ酸29〜246、アミノ酸29〜248、アミノ酸29〜250、またはアミノ酸29〜252を含む。ある特定のそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、配列番号2のアミノ酸29〜235から本質的になり、配列番号2のアミノ酸29〜240から本質的になり、配列番号2のアミノ酸29〜246から本質的になり、配列番号2のアミノ酸29〜248から本質的になり、配列番号2のアミノ酸29〜250から本質的になり、配列番号2のアミノ酸29〜252から本質的になる。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメイン配列は、ヒトGlyR α1以外のCysループ受容体由来である。
いくつかの実施形態において、キメラ受容体のリガンド結合ドメインは、ヒトニコチン性コリン作動性受容体のリガンド結合ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトニコチン性コリン作動性受容体はヒトα7−nAChRである。いくつかのそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、α7−nAChR(配列番号4)のおおよそのアミノ酸23〜220、例えば、アミノ酸23〜220、アミノ酸23〜226、アミノ酸23〜229、アミノ酸23〜230を含み、いくつかの事例では、配列番号4のアミノ酸23〜231を含む。ある特定のそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、配列番号4のアミノ酸23〜220から本質的になり、配列番号4のアミノ酸23〜226から本質的になり、配列番号4のアミノ酸23〜229から本質的になり、配列番号4のアミノ酸23〜230から本質的になり、または配列番号4のアミノ酸23〜231から本質的になる。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメイン配列は、ヒトα7−nAChR以外のCysループ受容体由来である−。
いくつかの実施形態において、キメラ受容体のリガンド結合ドメインは、ヒトセロトニン受容体のリガンド結合ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトセロトニン受容体は、ヒト5HT3Aまたは5HT3Bである。いくつかのそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、5HT3A(配列番号6)のおおよそのアミノ酸23〜247、例えば、アミノ酸23〜240、アミノ酸30〜245、アミノ酸23〜247、アミノ酸23〜250を含み、いくつかの事例では、配列番号6のアミノ酸30〜255を含む。ある特定の実施形態において、リガンド結合ドメインは、配列番号6のアミノ酸23〜240から本質的になり、配列番号6のアミノ酸23〜245から本質的になり、配列番号6のアミノ酸30〜247から本質的になり、配列番号6のアミノ酸23〜250から本質的になり、配列番号6のアミノ酸23〜255から本質的になる。いくつかのそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、5HT3B(配列番号57)のおおよそのアミノ酸21〜239、例えば、アミノ酸21〜232、アミノ酸21〜235、アミノ酸21〜240、アミノ酸21〜245を含み、いくつかの事例では、配列番号57のアミノ酸21〜247を含む。ある特定の実施形態において、リガンド結合ドメインは、配列番号57のアミノ酸21〜239から本質的になり、配列番号57のアミノ酸21〜232から本質的になり、配列番号57のアミノ酸21〜235から本質的になり、配列番号57のアミノ酸21〜240から本質的になり、配列番号57のアミノ酸21〜245から本質的になる。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメイン配列は、ヒト5−ヒドロキシトリプタミン受容体3以外のCysループ受容体由来である。
いくつかの実施形態において、キメラ受容体のリガンド結合ドメインは、ヒトGABA受容体のリガンド結合ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトGABA受容体は、ヒトGABA−Aβ3ある。いくつかのそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、GABA−A β3(配列番号8)のおおよそのアミノ酸26〜245、例えば、アミノ酸26〜240、アミノ酸26〜245、アミノ酸26〜248、アミノ酸26〜250を含み、いくつかの事例では、配列番号8のアミノ酸26〜255を含む。ある特定のそのような実施形態において、リガンド結合ドメインは、配列番号8のアミノ酸26〜240から本質的になり、配列番号8のアミノ酸26〜245から本質的になり、配列番号8のアミノ酸26〜248から本質的になり、配列番号8のアミノ酸26〜250から本質的になり、または配列番号8のアミノ酸26〜255から本質的になる。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメイン配列は、ヒトGABA−A受容体以外のCysループ受容体由来である。
いくつかの実施形態において、リガンド結合ドメインが融合されたイオン孔ドメインは、陰イオンを伝導し、例えば、それは、ヒトグリシン受容体またはヒトセロトニン受容体のイオン孔ドメイン配列を含む。他の実施形態において、リガンド結合ドメインが融合されたイオン伝導孔ドメインは、カチオンを伝導し、例えば、それは、ヒトアセチルコリン受容体またはヒトガンマ−アミノ酪酸受容体Aのイオン孔ドメイン配列を含む。
いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインは、ヒトグリシン受容体のイオン孔ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトグリシン受容体は、ヒトGlyR α1である。いくつかのそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、GlyR α1(配列番号2)のおおよそのアミノ酸245〜457、例えば、配列番号2のアミノ酸240〜457、アミノ酸245〜457、アミノ酸248〜457、アミノ酸249〜457、アミノ酸250〜457、アミノ酸255〜457、またはアミノ酸260〜457を含む。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、配列番号2のアミノ酸245〜457から本質的になり、配列番号2のアミノ酸248〜457から本質的になり、配列番号2のアミノ酸249〜457から本質的になり、または配列番号2のアミノ酸250〜457から本質的になる。
いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインは、ヒトニコチン性コリン作動性受容体のイオン孔ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトニコチン性コリン作動性受容体は、ヒトα7−nAChRである。いくつかのそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、α7−nAChR(配列番号4)のおおよそのアミノ酸230〜502、例えば、アミノ酸227〜502、アミノ酸230〜502、アミノ酸231〜502、アミノ酸232〜502、またはアミノ酸235〜502を含む。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、配列番号4のアミノ酸227〜502から本質的になり、配列番号4のアミノ酸230〜502から本質的になり、配列番号4のアミノ酸231〜502から本質的になり、配列番号4のアミノ酸232〜502から本質的になり、または配列番号4のアミノ酸235〜502から本質的になる。
いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインは、ヒトセロトニン受容体のイオン孔ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトセロトニン受容体は、ヒト5HT3Aまたは 5HT3Bである。いくつかのそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、5HT3A(配列番号6)のおおよそのアミノ酸248〜516、例えば、配列番号6のアミノ酸240〜516、アミノ酸245〜516、アミノ酸248〜516、アミノ酸250〜516、またはアミノ酸255〜516を含む。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、配列番号6のアミノ酸240〜516から本質的になり、配列番号6のアミノ酸245〜516から本質的になり、配列番号6のアミノ酸248〜516から本質的になり、配列番号6のアミノ酸250〜516から本質的になり、またはアミノ酸253〜516から本質的になる。いくつかのそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、5HT3B(配列番号57)のおおよそのアミノ酸240〜441、例えば、配列番号57のアミノ酸230〜441、アミノ酸235〜441、アミノ酸240〜441、アミノ酸245〜441、またはアミノ酸250〜441を含む。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、配列番号57のアミノ酸230〜441から本質的になり、配列番号57のアミノ酸235〜441から本質的になり、配列番号57のアミノ酸240〜441から本質的になり、配列番号57のアミノ酸245〜441から本質的になり、またはアミノ酸250〜441から本質的になる。
いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインは、ヒトGABA受容体のイオン孔ドメイン配列を含む。いくつかの実施形態において、ヒトGABA受容体は、ヒトGABA−A β3ある。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、GABA−A β3(配列番号8)のアミノ酸246〜473、例えば、配列番号8のアミノ酸240〜473、アミノ酸245〜473、アミノ酸247〜473、アミノ酸250〜473、アミノ酸253〜473を含む。ある特定のそのような実施形態において、イオン孔ドメインは、配列番号8のアミノ酸240〜473、配列番号8のアミノ酸245〜473、配列番号8のアミノ酸247〜473、配列番号8のアミノ酸250〜473、または配列番号8のアミノ酸253〜473から本質的になる。
いくつかの実施形態において、主題のキメラリガンド依存性イオンチャネルのイオン孔ドメインは、イオン孔ドメインのM2−M3リンカードメインに対して異種であるM2−M3リンカードメインを含む。「M2−M3リンカードメイン」、または「M2−M3リンカー」とは、受容体の膜貫通ドメイン2(M2)のC末端にそのアミノ(N)末端が隣接し、かつ受容体の膜貫通ドメイン3(M3)のN末端にそのカルボキシ(C)末端が隣接する、LGICのイオン孔ドメイン内の配列を意味する。LGICのM2−M3リンカーは、当該技術分野から、および/または公開されている任意のタンパク質分析ツール、例えば、Expasy、uniProt等を使用することによって容易に決定され得る。典型的には、キメラ受容体のイオン孔ドメインが異種のM2−M3リンカーを含むとき、M2−M3リンカーは、キメラ受容体のリガンド結合ドメインと同じ受容体に由来する。例えば、主題のリガンド依存性イオンチャネルがAChR由来のリガンド結合ドメインおよびGlyR由来のイオン孔ドメインを含む場合、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、代わりにAChRに由来するであろうM2−M3リンカーを除いて、GlyR由来のイオン孔ドメイン配列を含み得る。いくつかの実施形態において、イオン孔ドメインはGlyR α1由来であり、M2−M3リンカーはα7−nAChR由来である。いくつかのそのような実施形態において、GlyR α1から除去されるM2−M3リンカー配列は、GlyR α1(配列番号2)のアミノ酸293〜311、例えば、アミノ酸304〜310、293〜306、298〜310、305〜311等である。いくつかのそのような実施形態において、挿入されるM2−M3リンカーは、α7−nAChR(配列番号4)のおおよそのアミノ酸281〜295、例えば、アミノ酸290〜295、281〜290、281〜295、287〜292等であるか、またはα7−nAChRのアミノ酸281〜295に対して約95%以上の同一性を有する配列である。
いくつかの実施形態において、主題のキメラリガンド依存性イオンチャネルのリガンド結合ドメインは、リガンド結合ドメインのCysループ配列に対して異種であるCysループドメイン配列を含む。「Cysループドメイン配列」、または「Cysループ配列」とは、N末端およびC末端においてシステインに隣接するループ構造を形成するCysループLGICのリガンド結合ドメイン内のドメインを意味する。理論に拘束されることを望むものではないが、リガンドがリガンド結合ドメインに結合すると、Cysループは構造的にM2−M3ループに近接するように移動すると考えられ、この移動は、細胞外ドメインにおけるリガンド結合の生物物理的翻訳を媒介して、イオン孔ドメインにおけるシグナル伝達を行う(MillerおよびSmart、Trends in Pharmacological Sci 2009:31(4))。内因性Cysループ配列を異種Cysループ配列で置換することは、LGICの導電性を1.5倍以上、例えば、少なくとも2倍、3倍、または4倍増加させてもよく、いくつかの場合において、少なくとも5倍、または6倍増加させてもよく、ある特定の用量では、少なくとも7倍、8倍、9倍、または10倍増加させてもよい。Cysループ受容体のCysループドメインは、当該技術分野から、および/または公開されている任意のタンパク質分析ツール、例えば、Expasy、uniProt等を使用することによって容易に決定され得る。典型的には、キメラ受容体のリガンド結合ドメインが異種のCysループ配列を含むとき、Cysループ配列は、キメラ受容体のイオン孔ドメインと同じ受容体に由来する。例えば、対象のキメラリガンド依存性イオンチャネルがAChR由来のリガンド結合ドメインおよびGlyR由来のイオン孔ドメインを含む場合、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、代わりにGlyRに由来するCysループドメインの配列を除いて、AChR由来のリガンド結合ドメイン配列を含み得る。いくつかの実施形態において、リガンド結合ドメインはα7−nAChR由来であり、Cysループ配列はGlyR α1由来である。いくつかのそのような実施形態において、α7−nAChRから除去されるCysループ配列は、α7−nAChR(配列番号4)のおおよそのアミノ酸150〜164、例えば、α7−nAChRのアミノ酸150〜157である。いくつかのそのような実施形態において、挿入されるCysループ配列は、GlyR α1(配列番号2)のおおよそのアミノ酸166〜180、例えば、GlyR α1のアミノ酸166〜172、またはGlyR α1のアミノ酸166〜180と約95%以上の同一性を有する配列である。
いくつかの実施形態において、主題のキメラリガンド依存性イオンチャネルのリガンド結合ドメインは、リガンド結合ドメインのβ1−2ループドメイン配列に対して異種であるβ1−2ループドメイン配列を含む。「β1−2ループドメイン配列」、または「β1−2ループ、またはβ1−β2ループ」とは、CysループLGICのリガンド結合ドメイン内の、そのN末端にβ1シートのC末端、およびそのC末端にβ2シートのN末端が隣接するドメインを意味する。理論によって拘束されることを望むものではないが、β1−2ループは、イオン孔ドメインへの細胞外ドメインにおけるリガンド結合の生物物理的翻訳およびその後のシグナル伝達(すなわち、GlyRの場合には塩化物流入)を媒介するのに役立つと考えられる。リガンドの結合に際して、β1−2ループは、Cysループとともに、M2−M3ループに近接して、細胞外ドメインにおけるリガンド結合の生物物理的翻訳を媒介して、M2−M3ループが存在するイオン孔ドメインにおけるシグナル伝達を行うと考えられる(上記MillerおよびSmartにおいて概説されるように)。内因性β1−2ループ配列を異種β1−2ループ配列で置換することは、LGICの導電性を1.5倍以上、例えば、少なくとも2倍、3倍、または4倍増加させてもよく、いくつかの場合において、少なくとも5倍、または6倍増加させてもよく、ある特定の用量では、少なくとも7倍、8倍、9倍、または10倍増加させてもよい。Cysループ受容体のβ1−2ループドメインは、当該技術分野から、および/または公開されている任意のタンパク質分析ツール、例えば、Expasy、uniProt等を使用することによって容易に決定され得る。典型的には、キメラ受容体のリガンド結合ドメインが異種のβ1−2ループ配列を含むとき、β1−2ループ配列は、キメラ受容体のイオン孔ドメインと同じ受容体に由来する。例えば、対象のキメラリガンド依存性イオンチャネルがAChR由来のリガンド結合ドメインおよびGlyR由来のイオン孔ドメインを含む場合、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、代わりにGlyRに由来するβ1−2ループドメインの配列を除いて、AChR由来のリガンド結合ドメイン配列を含み得る。いくつかの実施形態において、リガンド結合ドメインはα7−nAChR由来であり、β1−2ループ配列はGlyR α1由来である。いくつかの実施形態において、α7−nAChRから除去されるβ1−2ループ配列は、α7−nAChR(配列番号4)のおおよそのアミノ酸67〜70、例えばα7−nAChRのアミノ酸67〜70、66〜71または64〜72である。いくつかの実施形態において、挿入されるβ1−2ループ配列は、GlyR α1(配列番号2)のおおよそのアミノ酸79〜85、例えば、GlyR α1のアミノ酸81〜84、79〜85、または81〜84、またはGlyR α1のアミノ酸79〜85と約95%以上の同一性を有する配列である。
本開示のキメラLGIC受容体の配列の非限定的な例としては、配列番号15〜配列番号52として本明細書に開示される配列が挙げられる。いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体またはそれをコードするポリヌクレオチドは、本明細書の配列番号15〜配列番号52に提供される配列に対して85%以上の配列同一性を有し、例えば、配列番号15〜配列番号52に提供される配列に対して90%以上、93%以上、または95%以上、すなわち96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。配列において、シグナルペプチドは斜体で示され、リガンド結合ドメインは太字で示され、イオン孔ドメインは下線で示される:
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラ(R229ジャンクション)である(例えば、図3の配列番号16);
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1(R228ジャンクション)キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1(V224ジャンクション)キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1(Y233ジャンクション)キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、α7−nAChR M2−M3リンカー(小文字)を含むヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラ(R229ジャンクション)である;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合した、GlyRα1 Cys、ループ配列(小文字)を含むヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラである(例えば、図3の配列番号34を参照されたい);
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合した、GlyRα1 β1−2ループ配列(小文字)を含むヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合した、GlyRα1 β1−2ループ配列(小文字)およびCysループ配列(小文字)を含むヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラである(例えば、図3の配列番号41);
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトα7−nAChR M2−M3リンカー(小文字)を含むヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合した、GlyRα1 β1−2ループ配列(小文字)を含むヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトα7−nAChR M2−M3リンカー(小文字)を含むヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合した、GlyRα1 Cys、ループ配列(小文字)を含むヒトα7−nAChRシグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、CHRNA7/GLRA1キメラである;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒト5HT3Aセロトニン受容体シグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、HTR3A/GLRA1キメラ(R241ジャンクション)である;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒト5HT3Aセロトニン受容体シグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、HTR3A/GLRA1キメラ(V236ジャンクション)である;
いくつかの実施形態において、キメラLGIC受容体は、ヒトGlyR α1イオン孔ドメイン(下線付き)に融合したヒトGABA−A β3シグナルペプチド(斜体)およびリガンド結合ドメイン(太字)を含む、GABRB3/GLRA1キメラ(Y245ジャンクション)である;
上述したように、いくつかの態様において、主題の操作された受容体は、操作された受容体上のリガンドの効力を、非変異親受容体上のその効力と比較して変化させる少なくとも1つのアミノ酸変異を含む。換言すると、1つ以上のアミノ酸変異、例えば、機能喪失変異または機能獲得変異は、非変異親受容体の応答性と比較して、操作された受容体のリガンドに対する応答性を変える。いくつかのそのような実施形態において、1つ以上の変異は、操作された受容体のリガンド結合ドメインにある。いくつかの実施形態において、操作された受容体のリガンド結合ドメインがCysループ受容体タンパク質である場合と同様に、1つ以上のアミノ酸変異は、W77、Y94、R101、W108、Y115、T128、N129、V130、L131、Q139、L141、Y151、S170、W171、S172、S188、Y190、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択されるα7−nAChR(配列番号4)の残基に対応する残基における置換である。いくつかの実施形態において、1つの残基が置換される。いくつかの実施形態において、2、3、4、または5個以上の残基が置換され、例えば、6、7、8、9、または10個の残基が置換される。ある特定の実施形態において、残基は、W77、R101、Y115、N129、L131、S170、S172、およびS188からなる群から選択されるα7−nAChR(配列番号4)の残基に対応する。ある特定の実施形態において、1つ以上の置換は、図8A〜Iに列挙される置換から選択される。ある特定の実施形態において、1つ以上の置換は、α7−nAChR配列内にある。
いくつかの実施形態において、1つ以上の置換は、例えば、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、50倍以上、または100倍だけ、操作された受容体のアセチルコリンおよび非天然リガンドに対する応答性を減少させる。いくつかのそのような実施形態において、1つ以上の置換は、図8A〜Fおよび8Hに記載されるα7−nAChR配列におけるアミノ酸置換に対応する。ある特定の実施形態において、1つ以上の置換は、α7−nAChRのR101I、R101S、R101D、Y115L、Y115M、Y115D、Y115T、T128M、T128R、T128I、N129I、N129V、N129P、N129W、N129T、N129D、N129E、L131P、L131T、L131D、L131S、L141S、L141R、W171F、W171H、S172F、S172Y、S172R、S172D、C212A、C212L、またはC213Pに対応する置換である。他の場合において、1つ以上の置換は、操作された受容体に対するアセチルコリンの効力を選択的に低下させる。すなわち、1つ以上の置換は、操作された受容体のアセチルコリンに対する応答性を低下させる一方で、非天然リガンドに対する応答性を本質的に維持し、或いは、それが非天然リガンドに対する操作された受容体の応答性を低下させるよりも2倍以上、例えば、3倍、4倍、5倍もしくはそれ以上、いくつかの場合では、10倍、20倍、50倍、または100倍以上、アセチルコリンに対する操作された受容体の応答性を低下させる。例示的な置換としては、図8Hに示されるもの、すなわち、α7−nAChRのL131S、L131T、L131D、またはS172Dに対応する置換が挙げられる。さらに他の実施形態において、1つ以上の置換は、操作された受容体上の非天然リガンドの効力を選択的に低下させる。すなわち、1つ以上の置換は、操作された受容体の非天然リガンドに対する応答性を低下させる一方で、アセチルコリンに対する応答性を維持し、あるいは、それがアセチルコリン対する操作された受容体の応答性を低下させるよりも2倍以上、例えば、3倍、5倍以上、いくつかの場合では、10倍、20倍、50倍以上、非天然リガンドに対する操作された受容体の応答性を低下させる。例示的な置換としては、図8Gに示されるもの、すなわち、α7−nAChRのW77M、Y115W、S172T、またはS172Cに対応する置換が挙げられる。ある特定の実施形態において、1つ以上の置換は、α7−nAChR配列内にある。ある特定の実施形態において、非天然リガンドは、AZD−0328、TC6987、ABT−126、およびファシニクリン/RG3487から選択される。
他の実施形態において、1つ以上の置換は、例えば、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、50倍以上、または100倍だけ、操作された受容体のアセチルコリンおよび/または非天然リガンドに対する応答性を増加させる。例示的な置換としては、図8Gまたは8Iに記載されるもの、すなわち、L131N、L141W、S170G、S170A、S170L、S170I、S170V、S170P、S170F、S170M、S170T、S170C、S172T、S172C、S188I、S188V、S188F、S188M、S188Q、S188T、S188P、またはS188Wに対応する置換が挙げられる。いくつかの事例では、1つ以上の置換は、アセチルコリンおよび非天然リガンドの両方の効力を増加させ、例えば、α7−nAChRのL131N、S170G、S170A、S170L、S170I、S170V、S170P、S170F、S170M、S170T、S170C、S172T、S188I、S188V、S188F、S188M、S188Q、およびS188Tに対応する置換である。他の場合において、1つ以上の置換は、操作された受容体に対するアセチルコリンの効力を選択的に増加させる。すなわち、1つ以上の置換、例えば、α7−nAChRのL141W、S172T、S172C、S188PまたはS188Wに対応する置換は、それが操作された受容体の非天然リガンドに対する応答性を増加させるよりも、2倍以上、例えば、3倍、4倍、または5倍以上、いくつかの場合では、10倍、20倍、50倍、または100倍、操作された受容体の非天然リガンドに対する応答性を増加させる。ある特定の実施形態において、1つ以上の置換は、α7−nAChR配列内にある。ある特定の実施形態において、非天然リガンドは、AZD−0328、TC6987、ABT−126、およびファシニクリン/RG3487から選択される。さらに他の場合では、1つ以上の置換は、操作された受容体上の非天然リガンドの効力を選択的に増加させる。すなわち、1つ以上の置換は、それが操作された受容体のアセチルコリンに対する応答性を増加させるよりも、2倍以上、例えば、3倍、5倍以上、いくつかの場合では、10倍、20倍、または50倍以上、操作された受容体の非天然リガンドに対する応答性を増加させる。
典型的には、対象の操作された受容体において変異されるアミノ酸残基は、野生型a7 nAChR(配列番号4)のR27、E41、Q79、Q139、141、G175、Y210、P216、Y217、またはD219に対応するアミノ酸ではない。さらにより典型的には、置換は、野生型α7 nAChRにおけるW77F、W77Y、W77M、Q79A、Q79Q、Q79S、Q79G、Y115F、L131A、L131G、L131M、L131N、L131Q、L131V、L131F、Q139G、Q139L、G175K、G175A、G175F、G175H、G175M、G175R、G175S、G175V、Y210F、P216I、Y217F、またはD219Aに対応する置換ではない。あるいは、そのような置換が操作された受容体内に確かに存在する場合、それは、本明細書に記載のアミノ酸変異のうちの1つ以上との組み合わせで存在する。
例えば、α7−nAChR(配列番号4)の残基Y94、Y115、Y151、およびY190が、天然リガンドアセチルコリンの結合を媒介することが分かっている。これらの残基における変異は、アセチルコリンの結合を低減し、したがって、機能喪失変異である。対照的に、α7−nAChRの残基W77、Y115、N129、V130、L131、Q139、L141、S170、Y210、C212、C213、およびY217は、非天然リガンドAZD0328のこの受容体への結合を媒介し、これらの残基の変異は、この受容体に対するAZD0328および/または他のリガンドの親和性を増加させ得、したがって、機能獲得変異であり得る。いくつかの実施形態において、主題の操作された受容体は、α7−nAChR(配列番号4)のリガンド結合ドメイン領域、またはα7−nAChRのリガンド結合ドメイン領域を含むキメラ受容体のリガンド結合ドメインの1つ以上のアミノ酸残基に変異を含み、1つ以上のアミノ酸残基は、W77、Y94、Y115、N129、V130、L131、Q139、L141、Y151、S170、Y190、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択される。ある特定の実施形態において、α7−nAChR(配列番号4)のリガンド結合ドメイン領域、またはα7−nAChRのリガンド結合ドメイン領域を含むキメラ受容体のリガンド結合ドメインの1つ以上のアミノ酸残基における変異は、W77、Y94、Y115、N129、V130、L131、Q139、L141、Y151、S170、Y190、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基である。
別の例として、α7−nAChR(配列番号4)の残基Y115、L131、L141、S170、W171、S172、C212、およびY217が、アセチルコリンおよび/またはニコチンの結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上における変異が、アセチルコリンおよび/またはニコチンの結合を低減することが分かった。α7−nAChRのR101、Y115、L131、L141、W171、S172、S188、Y210、およびY217は、非天然リガンドABT126の結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上の変異は、α7−nAChRに対するABT126および/または他のリガンドの親和性を増加させることが予想される。α7−nAChRのR101、Y115、T128、N129、L131、L141、W171、S172、Y210、C212、C213、およびY217は、非天然リガンドTC6987の結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上の変異は、α7−nAChRに対するTC6987および/または他のリガンドの親和性を増加させることが予想される。α7−nAChRのR101、N120、L131、L141、S170、W171、S172、Y210、およびY217は、非天然リガンドファシニクリン/RG3487の結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上の変異は、α7−nAChRに対するファシニクリン/RG3487および/または他のリガンドの親和性を増加させることが予想される。いくつかの実施形態において、主題の操作された受容体は、α7−nAChRのリガンド結合ドメイン領域、またはα7−nAChRのリガンド結合ドメイン領域を含むキメラ受容体のリガンド結合ドメインの1つ以上のアミノ酸残基に変異を含み、1つ以上のアミノ酸残基は、R101、Y115、T128、N120、N129、L131、L141、S170、W171、S172、S188、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基は、α7−nAChRへのアセチルコリンおよび/またはニコチンの結合を変化させ、ここで、アミノ酸は、α7−nAChRのY115、L131、L141、S170、W171、S172、C212、およびY217からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、C212およびS170から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基における変異は、ABT126のα7−nAChRへの結合を変化させ、1つ以上のアミノ酸残基は、α7−nAChRのR101、Y115、L131、L141、W171、S172、S188、Y210、およびY217からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、R101、S188、およびY210から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基における変異は、α7−nAChRへのTC6987の結合を変化させ、1つ以上のアミノ酸残基は、α7−nAChRのR101、Y115、T128、N129、L131、L141、W171、S172、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、R101、T128、N129、Y210、およびC213から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基における変異は、α7−nAChRへのファシニクリン/RG3487の結合を変化させ、1つ以上のアミノ酸残基は、α7−nAChRのR101、N120、L131、L141、S170、W171、S172、Y210、およびY217からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、Y210、R101、およびN129から選択される。
別の例として、5HT3(配列番号6)の残基W85、R87、Y136、Y138、G146、N147、Y148、K149、S177、S178、L179、Y228、およびY229が、セロトニンの結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上での変異が、セロトニンの5HT3への結合を低減することが分かっている。5HT3のD64、I66、W85、R87、Y89、N123、G146、Y148、T176、S177、S178、W190、R191、F221、E224、Y228、Y229、およびE231は、非天然リガンドシランセトロンの結合を媒介し、これらの残基のうちの1つ以上の変異は、5HT3に対するシランセトロンおよび/または他のリガンドの親和性を増加させることが予想される。いくつかの実施形態において、主題の操作された受容体は、5HT3のリガンド結合ドメイン領域、または5HT3Aのリガンド結合ドメイン領域を含むキメラ受容体のリガンド結合ドメインの1つ以上のアミノ酸残基における変異を含み、ここで、1つ以上のアミノ酸残基は、D64、I66、W85、R87、Y89、N123、Y136、Y138、G146、N147、Y148、K149、T176、S177、S178、L179、W190、R191、F221、E224、Y228、Y229、およびE231からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基における変異は、セロトニンの5HT3への結合を変化させ、ここで、アミノ酸は、5HT3AのW85、R87、Y136、Y138、G146、N147、Y148、K149、S177、S178、L179、Y228、およびY229からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、Y136、Y138、N147、K149、およびL179から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸残基における変異は、シランセトロンの5HT3への結合を変化させ、ここで、1つ以上のアミノ酸残基は、5HT3AのD64、I66、W85、R87、Y89、N123、G146、Y148、T176、S177、S178、W190、R191、F221、E224、Y228、Y229、およびE231からなる群から選択される。ある特定のそのような実施形態において、アミノ酸は、D64、I66、Y89、N123、T176、W190、R191、F221、E224、およびE231から選択される。
いくつかの実施形態において、LGICの活性を調節するリガンドの能力に影響を及ぼす1つ以上の変異は、LGICのイオン孔ドメインに位置する。例えば、セロトニン受容体5HT3Aの残基T279は、この残基の、例えば、セリン(T279S)への変異が、アンタゴニスト性(すなわち、LGICの活性を低下させる)からアゴニスト性(すなわち、チャネルの活性を促進する)へと効果を変換するように、リガンドがチャネルの活性を調節する方法を媒介する。いくつかの実施形態において、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、ヒト5HT3A(配列番号6)のイオン孔ドメイン、または5HT3Aのイオン孔ドメインを含むキメラLGIC受容体のイオン孔ドメインの1つ以上のアミノ酸残基における変異を含み、ここで、置換は、配列番号6の279に対応するアミノ酸内にある。ある特定の実施形態において、置換は、配列番号6に対するT279S置換である。
いくつかの態様において、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、1つ以上の非脱感作変異を含む。リガンド依存性イオンチャネルの文脈で使用されるとき、「脱感作」とは、アゴニストの長時間の存在下でのイオン流量の進行的な低減を指す。これにより、リガンドに対するニューロンの応答性が徐々に失われる。非脱感作変異とは、LGICがリガンドに対して脱感作され、それによってニューロンがリガンドに対して低応答性または非応答性となることを防止する、アミノ酸変異を意味する。非脱感作変異は、変異を有するLGICをニューロンに導入し、長時間のリガンドへの曝露中に経時的に電流の流れを分析することによって容易に同定することができる。LGICが非脱感作変異を含まない場合、電流は、長時間の曝露中にピークから定常状態に戻る一方で、LGICが非脱感作変異を含む場合、電流は、リガンドへの曝露の期間、ピーク流量にとどまる。脱感作をもたらす例示的なアミノ酸変異としては、ヒトGlyR α1におけるV322L変異(シグナルペプチドを除去するためのプロタンパク質のV294Lポストプロセシング)およびヒトGABA−A受容体GABRB3におけるL321V変異(シグナルペプチドを除去するためのプロタンパク質のL296Vポストプロセシング)が挙げられる。いくつかの実施形態において、脱感作変異は、LGICのC末端またはその付近のアミノ酸残基を脱感作配列、例えば、GABAR1によってコードされるタンパク質のC末端に由来するIDRLSRIAFPLLFGIFNLVYWATYLNREPQL(配列番号53)に対して90%以上の同一性を有する配列で置き換えること、例えば、GABRR1中の残基455〜479をIDRLSRIAFPLLFGIFNLVYWATYLNREPQL(配列番号53)で置き換えることである。LGIC脱感作、LGICの脱感作を測定するための方法、および非脱感作である変異は、当該技術分野で周知であり、例えば、Gielenら、Nat Commun 2015 Apr 20、6:6829、およびKeramidasら、Cell Mol Life Sci.2013 Apr;70(7):1241−53を参照されたく、これらの全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの態様において、主題のリガンド依存性イオンチャネルは、1つ以上の変換変異を含む。変換変異とは、LGICのイオン孔ドメインの透過性を変化させ、それが非天然イオン、すなわち、自然に通過することができないイオンの伝導に対して許容的となる変異を意味する。いくつかの場合において、変異は、透過性を陽イオンから陰イオンへと変換し、例えば、ヒトα7−nAChR(CHRNA7)(EKISLGITVLLSLTVFMLLVAE、配列番号54)中のアミノ酸残基260〜281、または別の陽イオン透過性LGIC中の対応するアミノ酸をペプチド配列PAKIGLGITVLLSLTTFMSGVAN(配列番号55)で置き換える。いくつかの場合において、変異は、透過性を陰イオンから陽イオンへと変換し、例えば、GLRA1のアミノ酸残基279もしくは別の陰イオン透過性LGIC内の対応するアミノ酸のグルタミン酸(E)への置換(GLRA1内のA293E置換として、LGICを陰イオン透過性からカルシウム透過性へと変換する)、またはGLRA1のアミノ酸残基278もしくは別の陰イオン透過性LGIC内の対応するアミノ酸の欠失、GLRA1のアミノ酸残基279もしくは別の陰イオン透過性LGIC内の対応するアミノ酸のグルタミン酸(E)への置換、およびGLRA1のアミノ酸残基293もしくは別の陰イオン透過性LGIC内の対応するアミノ酸のバリン(V)への置換(GLRA1のP278Δ、A279E、T293Vとして、LGICを陰イオン透過性からカチオン透過性へと変換する)が挙げられる。
本明細書に記載されるものを超えるさらなる操作された受容体は、例えば、図2および本明細書の実施例に記載されるように、インビトロスクリーニングおよび検証方法によって容易に同定することができる。いくつかの実施形態において、親受容体変異体のライブラリは、限られた数の親受容体、例えば図1に示され、本明細書の他の箇所に記載されるものから生成される。親受容体は、エラープローンPCRを含む当該技術分野で既知の方法を使用して変異させることができる。いくつかの実施形態において、親受容体変異体のライブラリは、次いで、酵母細胞または哺乳動物細胞にトランスフェクションされ、ハイスループットでスクリーニングされて、機能的受容体を同定する(例えば、結合剤またはリガンドに応答してシグナル伝達することができる親受容体変異体を同定する)。いくつかの実施形態において、この一次スクリーニングにおいて同定された機能的親受容体変異体は、次いで、哺乳動物細胞において発現され、例えば、本明細書に記載されるプレートリーダーおよび/または電気生理学アッセイによって、結合剤またはリガンドに対する応答性についてスクリーニングされる。次いで、アゴニスト結合剤に対する増加した結合親和性を示すか、または二次スクリーンにおけるアゴニストとしてのアンタゴニストもしくは調節因子結合剤の使用を可能にする親受容体変異体が選択されて、さらなるインビトロおよび/またはインビボ検証および特徴付けアッセイを実施することができる。かかるスクリーニングアッセイは、当該技術分野で既知であり、例えば、Armbruster、B.N.ら(2007)PNAS、104、5163−5168;Nichols、C.D.およびRoth、B.L.(2009)Front.Mol.Neurosci.2、16;Dong、S.ら(2010)Nat.Protoc.5、561−573;Alexander、G.M.ら(2009)Neuron 63、27−39;Guettier、J.M.ら(2009)PNAS 106、19197−19202;Ellefson J.W.ら(2014)Nat Biotechnol.32(1):97−101;Maranhao ACおよびEllington AD.(2017)ACS Synth Biol.20;6(1):108−119;Talwar Sら(2013)PLoS One;8(3):e58479;Gilbert D.F.ら(2009)Front Mol Neurosci.30;2:17;LynaghおよびLynch(2010)、BiolChem.14:285(20)、14890−14897;Islam R.ら(2016)ACS Chem Neurosci.21;7(12):1647−1657;ならびにMyersら(2008)Neuron.8:58(3):362−373が挙げられる。
D.結合剤
「結合剤」または「剤」という用語は、本明細書において互換的に使用され、哺乳動物細胞上で既知の作用機構を有する外因性薬物または化合物を指す(例えば、受容体のアゴニスト、アンタゴニスト、または調節因子として機能することが既知である)。結合剤は、タンパク質、脂質、核酸、および/または小分子を含むことができる。いくつかの実施形態において、結合剤としては、特定の疾患(例えば、神経疾患)の治療における臨床使用のために米国食品医薬品局(FDA)によって承認された薬物または化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、結合剤は、臨床使用のためにFDAによって承認されていないが、1つ以上の臨床試験において試験されている、1つ以上の臨床試験において現在試験されている、および/または1つ以上の臨床試験において試験されることが予想される薬物または化合物を含む。いくつかの実施形態において、結合剤としては、臨床使用のためにFDAによって承認されていないが、実験室での研究において日常的に使用される薬物または化合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、結合剤は、前述の剤のうちの1つのアナログである。特定の実施形態において、結合剤は、表2〜9の剤のいずれか1つから選択される。いくつかのそのような実施形態において、結合剤は、AZD0328、ABT−126、AQW−051、カンナビジオール、シランセトロン、PH−399733、ファシニクリン/RG3487/MEM−3454、およびTC−5619/AT−101からなる群から選択される。特定の実施形態において、結合剤は、シランセトロンのアナログであり、例えば、そのRまたはSエナンチオマーである化学式2〜7のうちの1つにより記載されているようなものである:
いくつかの実施形態において、結合剤はアゴニストとして作用する。本明細書で使用される「アゴニスト」という用語は、シグナル伝達応答を誘導するリガンドまたは結合剤を指す。いくつかの実施形態において、結合剤は、アンタゴニストとして作用する。アンタゴニストという用語は、シグナル伝達応答を阻害する剤を指すために本明細書で使用される。
いくつかの実施形態において、結合剤は、抗不安剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗精神病剤、制吐剤、向知性剤、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、または抗寄生剤である。
















E.ポリヌクレオチド
様々な例示的な実施形態において、本開示は、部分的に、ポリヌクレオチド、LGICを含む操作された受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびにそのサブユニットおよび変異タンパク質、ならびに融合ポリペプチド、ウイルスベクターポリヌクレオチド、ならびにそれらを含む組成物を企図する。
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、または「核酸」は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらの類似体のいずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有してもよく、既知または未知の任意の機能を実行し得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、結合分析から定義される複数の遺伝子座(単一の遺伝子座)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、短干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ等の1つ以上の修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後に付与され得る。ヌクレオチド配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、標識構成成分とコンジュゲーションすることによって、重合後にさらに修飾され得る。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはDNA/RNAハイブリッドであり得る。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖であってもよい。ポリヌクレオチドとしては、限定されないが、プレメッセンジャーRNA(プレmRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、RNA、短干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、合成RNA、ゲノムRNA(gRNA)、プラス鎖RNA(RNA+)、マイナス鎖RNA(RNA−)、合成RNA、ゲノムDNA(gDNA)、PCR増幅DNA、相補DNA(cDNA)、合成DNA、または組換えDNAが挙げられる。ポリヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、またはヌクレオチドのいずれかの種類の修飾形態の、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、少なくとも10000、または少なくとも15000、またはそれ以上のヌクレオチド長さのヌクレオチドのポリマー形態、ならびに全ての中間長さのヌクレオチドを指す。この文脈において「中間長さ」とは、引用した値の間の任意の長さ、例えば、6、7、8、9等、101、102、103等、151、152、153等、201、202、203等を意味することが容易に理解されるであろう。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドまたはバリアントは、本明細書に記載されるまたは当該技術分野で既知の参照配列に対して少なくともまたは約50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し、典型的には、変異体は、別段の記載がない限り、参照配列の少なくとも1つの生物活性を維持する。
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、エンハンサー、プロモーター、イントロン、エキソン等を含むポリヌクレオチド配列を指すことができる。特定の実施形態において、用語「遺伝子」は、ポリヌクレオチド配列がポリペプチドをコードするゲノム配列と同一であるかどうかに関係なく、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を指す。
本明細書で使用される場合、「シス作用配列」、「シス作用調節配列」、または「シス作用ヌクレオチド配列」または等価物は、遺伝子の発現、例えば、転写および/または翻訳に関連するポリヌクレオチド配列を指す。一実施形態において、シス作用配列は、転写を抑制または減少させるポリペプチドのための結合部位であるか、または転写抑制に寄与する転写因子結合部位に関連するポリヌクレオチドであるため、それは、転写を調節する。ポリヌクレオチド配列の発現を調節し、主題の操作された受容体の発現を調節するために本開示のポリヌクレオチドに作動可能に連結され得るシス作用配列の例は、当該技術分野において周知であり、プロモーター配列(例えば、CAG、CMV、SYN、CamKII、TRPV1)、コザック配列、エンハンサー、転写後調節要素、miRNA結合要素、およびポリアデニル化配列などの要素を含む。
1つの非限定的な例として、プロモーター配列は、細胞内でRNAポリメラーゼを結合させ、下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。本発明を定義する目的のためであるが、プロモーター配列は、その3’末端が転写開始部位に結合され、バックグラウンドを上回って検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小の数の塩基または要素を含むように、上流(5’方向)に延伸している。プロモーター配列内には、転写開始部位、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメインが見出される。真核生物プロモーターは、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することが多い。種々のプロモーターを使用して、本発明の種々のベクターを駆動してもよい。例えば、プロモーターは、構成的に活性なプロモーター、すなわち、外部適用剤の不在下で活性なプロモーター、例えば、CMV IE1プロモーター、SV40プロモーター、GAPDHプロモーター、アクチンプロモーターであり得る。プロモーターは、誘導性プロモーター、すなわち、ドキシサイクリンなどの剤を細胞へ適用した場合に活性が調節されるプロモーター、tet−onもしくはtet−offプロモーター、エストロゲン受容体プロモーター等であり得る。プロモーターは、組織特異的プロモーター、すなわち、特定のタイプの細胞上で活性なプロモーターであってもよい。
いくつかの実施形態において、プロモーターは興奮性細胞において活性である。「興奮性細胞」とは、膜電位の変化により活性化される細胞、例えば、ニューロンまたは筋細胞、例えば、背根神経節ニューロン、運動ニューロン、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、または感覚ニューロンを意味する。本発明のポリヌクレオチド組成物に使用され得る興奮性細胞において活性であるプロモーターとしては、ニューロンプロモーター、例えば、シナプシン(SYN)、TRPV1、Na1.7、Na1.8、Na1.9、CamKII、NSE、およびアドビリンプロモーター、筋細胞プロモーター、例えば、デスミン(Des)、α−ミオシン重鎖(α−MHC)、ミオシン軽鎖2(MLC−2)、および心臓トロポニンC(cTnC)プロモーター、ならびにユビキタス作用プロモーター、例えば、CAG、CBA、E1Fa、Ubc、CMV、およびSV40プロモーターが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「誘導性発現のための調節要素」は、発現するようにポリヌクレオチドへ作動可動に連結され、かつ作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現を増加(オン)または減少(オフ)するように要素へ結合する分子の存在または不在に応答する、プロモーター、エンハンサー、またはそれらの機能的断片であるポリヌクレオチド配列を指す。誘導性発現のための例示的な調節要素には、限定されないが、テトラサイクリン応答性プロモーター、エクジソン応答性プロモーター、クメート応答性プロモーター、グルココルチコイド応答性プロモーター、エストロゲン応答性プロモーター、RU−486応答性プロモーター、PPAR−γプロモーター、およびペルオキシド誘導性プロモーターが含まれる。
「一過性発現のための調節要素」は、ポリヌクレオチドヌクレオチド配列を短時間または一時的に発現するために使用することができるポリヌクレオチド配列を指す。特定の実施形態において、一過性発現のための1つ以上の調節要素は、ポリヌクレオチドの持続時間を制限するために使用され得る。ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド発現の好ましい持続時間は、分、時間、または日数の順である。一過性発現のための例示的な調節要素には、限定されないが、ヌクレアーゼ標的部位、リコンビナーゼ認識部位、および抑制性RNA標的部位が含まれる。加えて、ある程度は、特定の実施形態において、誘導性発現のための調節要素は、ポリヌクレオチド発現の持続時間の制御にも寄与し得る。
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチドバリアント」および「バリアント」等は、以下で定義されるストリンジェントな条件下で参照配列とハイブリダイズする参照ポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドと実質的な配列同一性を示すポリヌクレオチドを指す。これらの用語はまた、少なくとも1つのヌクレオチドの添加、欠失、置換、または修飾によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドも包含する。したがって、用語「ポリヌクレオチドバリアント」および「バリアント」は、1つ以上のヌクレオチドが付加もしくは欠失しているか、または修飾されているか、または異なるヌクレオチドで置き換えられているポリヌクレオチドを含む。この点において、変異、付加、欠失、および置換を含む特定の変化が、変化したポリヌクレオチドが参照ポリヌクレオチドの生物学的機能または活性を保持するように参照ポリヌクレオチドに対して行われ得ることは、当該技術分野においてよく理解される。特定の実施形態において、ポリヌクレオチドまたはバリアントは、本明細書に記載されるまたは当該技術分野で既知の参照配列に対して少なくともまたは約50%、55%、60%、65%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有し、典型的には、変異体は、別段の記載がない限り、参照配列の少なくとも1つの生物活性を維持する。
一実施形態において、ポリヌクレオチドは、ストリンジェント条件下で標的核酸配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。「ストリンジェント条件」下でハイブリダイズすることは、互いに少なくとも60%同一のヌクレオチド配列がハイブリダイズされたままであるハイブリダイゼーションプロトコルを説明する。一般に、ストリンジェント条件は、定義されたイオン強度およびpHでの特定の配列の熱融点(Tm)よりも約5℃低いように選択される。Tmは、標的配列に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下で)である。標的配列は概して過剰に存在するため、Tmにおいて、プローブの50%は平衡となる。
本明細書で使用される場合、「配列同一性」または例えば「と50%同一の配列」を含む列挙文は、配列が比較ウィンドウにわたってヌクレオチド単位で同一である程度、またはアミノ酸単位で同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適にアラインメントされた配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、CysおよびMet)が両方の配列で存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を算出し、比較ウィンドウ内の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)でマッチした位置の数を除し、その結果に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより、算出されてもよい。2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間の配列関係を説明するために使用される用語としては、「参照配列」、「比較ウィンドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の割合」、および「実質的な同一性」が挙げられる。「参照配列」は、ヌクレオチドおよびアミノ酸残基を含む、長さが少なくとも12個の、しばしば15〜18個の、多くの場合少なくとも25個の、モノマー単位である。2つのポリヌクレオチドはそれぞれ、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似している配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部のみ)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で分散している配列を含んでよいので、2つの(またはそれ以上の)ポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的には、2つのポリヌクレオチドの配列を「比較ウィンドウ」にわたって比較して、配列類似性の局所領域を特定および比較することによって行われる。「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適にアラインメントされた後に、配列が同じ数の連続した位置の参照配列と比較される、少なくとも6つの連続した位置、通常は約50〜約100、より通常は約100〜約150の概念的なセグメントを指す。比較ウィンドウは、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加または欠失を含まない)と比較して、約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでよい。比較ウィンドウをアラインメントするための配列の最適なアラインメントは、アルゴリズム(the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Drive Madison、WI、USAのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピュータ実装により、または選択された種々の方法のいずれかによって生成される検査および最良のアラインメント(すなわち、比較ウィンドウにわたって最高のパーセンテージの相同性をもたらす)によって行われてもよい。参照は、例えば、Altschulら、1997、Nucl.Acids Res.25:3389により開示されているようなプログラムのBLASTファミリーに対してなされる。配列解析の詳細な議論は、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons Inc、1994−1998、Chapter 15のユニット19.3において見出されることができる。
本明細書で使用される「単離されたポリヌクレオチド」は、天然に生じる状態でそれに隣接する配列から精製されたポリヌクレオチド、例えば、通常は断片に隣接する配列から除去されたDNA断片を指す。特定の実施形態において、「単離されたポリヌクレオチド」は、相補的DNA(cDNA)、組換えDNA、または天然に存在せず、かつ人工的に作製された他のポリヌクレオチドを指す。
ポリヌクレオチドの向きを説明する用語としては、5’(通常、遊離リン酸基を有するポリヌクレオチドの末端)および3’(通常、遊離ヒドロキシル(OH)基を有するポリヌクレオチドの末端)が挙げられる。ポリヌクレオチド配列は、5’から3’の方向または3’から5’の方向に注釈することができる。DNAおよびmRNAについて、5’から3’の鎖は、その配列が、プレメッセンジャー(プレRNA)の配列と同一であるため[DNA中のチミン(T)の代わりの、RNA中のウラシル(U)を除く]、「センス」、「プラス」、または「コード」鎖と指定される。DNAおよびmRNAについては、RNAポリメラーゼによって転写される鎖である相補的な3’から5’の鎖は、「鋳型」、「アンチセンス」、「マイナス」、または「非コード」鎖として指定される。本明細書で使用される場合、「逆方向」という用語は、3’から5’方向に書かれた5’から3’の配列または5’から3’方向に書かれた3’から5’の配列を指す。
用語「隣接する」は、配列に対して上流ポリヌクレオチド配列および/または下流ポイルヌクレオチド配列、すなわち、5’および/または3’との間にあるポリヌクレオチド配列を指す。例えば、2つの他の要素(例えば、ITR)に「隣接する」配列は、一方の要素が配列に対して5’に位置し、他方の要素が配列に対して3’に位置することを示すが、それらの間には、介在配列が存在し得る。
用語「相補的」および「相補性」は、塩基対合規則によって関連するポリヌクレオチド(すなわち、一連のヌクレオチド)を指す。例えば、DNA配列5’AGTCATG3’の相補鎖は、3’TCAGTAC5’である。後者の配列は、多くの場合、左側に5’末端、右側に3’末端の逆相補体、5’CATGACT3’として書かれる。その逆補体に等しい配列は、回文配列であると言われている。相補性は、「部分的」であってもよく、核酸の塩基の一部のみが塩基対合規則に従ってマッチしている。または、核酸間に「完全な」または「総合的な」相補性が存在し得る。
本明細書で使用される「核酸カセット」または「発現カセット」という用語は、ポリヌクレオチドから1つ以上のRNAを発現するのに十分な、ベクター等のより大きなポリヌクレオチド内のポリヌクレオチド配列を指す。発現されたRNAは、タンパク質に翻訳されてもよく、切断および/または分解のために他のポリヌクレオチド配列を標的にするためのガイドRNAまたは阻害性RNAとして機能してもよい。一実施形態において、核酸カセットは、1つ以上の目的のポリヌクレオチド(複数可)を含有する。別の実施形態において、核酸カセットは、1つ以上の目的のポリヌクレオチド(複数可)に作動可能に連結された1つ以上の発現制御配列を含有する。ポリヌクレオチドには、目的のポリヌクレオチド(複数可)が含まれる。本明細書で使用される場合、「目的のポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で企図されるように、ポリペプチドもしくは融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、または阻害性ポリヌクレオチド、例えば、LGIC、ならびにそのサブユニットおよび変異タンパク質の転写のための鋳型として機能するポリヌクレオチド、を指す。特定の実施形態において、目的のポリヌクレオチドは、ヌクレアーゼ活性および/またはクロマチン再構築またはエピジェネティック修飾活性などの1つ以上の酵素活性を有するポリペプチドまたは融合ポリペプチドをコードする。
ベクターは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の核酸カセットを含んでよい。本開示の好ましい実施形態において、核酸カセットは、操作された受容体、例えば、LGIC、またはそのサブユニットもしくは変異タンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された1つ以上の発現制御配列(例えば、ニューロン細胞内で作動可能なプロモーターまたはエンハンサー)を含む。カセットは、単一の単位として、他のポリヌクレオチド配列、例えば、プラスミドまたはウイルスベクターから除去、またはそれらに挿入することができる。
一実施形態において、本明細書に企図されるポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、またはそれ以上の核酸カセットを含み、これらのいずれかの数または組み合わせは、同じまたは反対方向であり得る。
さらに、遺伝暗号の縮重の結果として、本明細書に企図されるように、ポリペプチドをコードし得る多くのヌクレオチド配列、またはそのバリアントの断片が存在することが、当業者には理解されるであろう。これらのポリヌクレオチドのいくつかは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性を有する。にもかかわらず、コドン使用の違いにより変化するポリヌクレオチドは、本開示によって具体的に企図され、例えば、ヒトおよび/または霊長類コドン選択のために最適化されるポリヌクレオチドが挙げられる。一実施形態において、特定の対立遺伝子配列を含むポリヌクレオチドが提供される。対立遺伝子は、ヌクレオチドの欠失、付加、および/または置換などの1つ以上の変異の結果として変化する内因性ポリヌクレオチド配列である。
F.ベクター
本開示のいくつかの態様において、核酸分子、すなわち、操作された受容体をコードするポリヌクレオチドが対象に送達される。ある場合には、操作された受容体をコードする核酸分子は、ベクターによって対象に送達される。種々の実施形態において、ベクターは、本明細書に企図される1つ以上のポリヌクレオチド配列を含む。用語「ベクター」は、別の核酸分子を転写または輸送することができる核酸分子を指すために本明細書で使用される。転写されたポリヌクレオチドは、一般に、例えば、ベクター核酸分子に連結、例えば、挿入される。ベクターは、細胞内の自律的複製を指示する配列を含んでもよく、または宿主細胞DNAへの組み込みを可能にするのに十分な配列を含んでもよい。ベクターは、生物、細胞、または細胞成分に標的ポリヌクレオチドを送達することができる。ある場合には、ベクターは発現ベクターである。本明細書で使用される「発現ベクター」は、そこに組み込まれるポリヌクレオチドの発現ならびに複製を促進することができるベクター、例えば、プラスミド、を指す。典型的には、発現される核酸配列は、シス作用調節配列、例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー配列に作動可能に連結され、プロモーターおよび/またはエンハンサーによる転写調節制御の対象となる。特定の場合、ベクターは、本開示の操作された受容体をコードする核酸分子を対象に送達するために使用される。
特定の実施形態において、操作された受容体をコードする発現カセットまたはポリヌクレオチドをニューロン細胞に導入するのに好適な任意のベクターを用いることができる。好適なベクターの例示的な例としては、プラスミド(例えば、DNAプラスミドまたはRNAプラスミド)、トランスポソン、コスミド、細菌人工染色体、およびウイルスベクターが挙げられる。ある場合には、ベクターは、環状核酸、例えば、プラスミド、BAC、PAC、YAC、コスミド、フォスミド等である。ある場合には、環状核酸分子を利用して、操作された受容体をコードする核酸分子を対象に送達することができる。例えば、操作された受容体をコードするプラスミドDNA分子を対象の細胞に導入することができ、それによって操作された受容体をコードするDNA配列がmRNAに転写され、mRNAの「メッセージ」がタンパク質産物に翻訳される。環状核酸ベクターは、一般に、標的タンパク質の発現を調節する調節要素を含む。例えば、環状核酸ベクターは、任意の数のプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、スプライスシグナル、複製起点、開始シグナル等を含んでもよい。
ある場合には、ベクトルは、レプリコンを含むことができる。レプリコンは、自己複製可能な任意の核酸分子であり得る。ある場合には、レプリコンは、ウイルスに由来するRNAレプリコンである。限定されないが、アルファウイルス、ピコルナウイルス、フラビウイルス、コロナウイルス、ペスチウイルス、ルビウイルス、カルシウイルス、およびヘパシウイルスを含む、様々な好適なウイルス(例えば、RNAウイルス)が利用可能である。
いくつかの実施形態において、ベクターは非ウイルスベクターである。「非ウイルスベクター」とは、ウイルスカプシドまたはエンベロープを含まない任意の送達ビヒクル、例えば、脂質ナノ粒子(陰イオン性(負荷電)、中性または陽イオン性(正荷電))、重金属ナノ粒子、ポリマー系粒子、プラスミドDNA、ミニサークルDNA、ミニベクターDNA、ccDNA、合成RNA、エクソソーム等を意味する。非ウイルスベクターは、例えば、ナノ粒子送達、微粒子銃、エレクトロポレーション、超音波処理、またはマイクロインジェクションを含む、当該技術分野で十分に理解される任意の好適な方法によって送達され得る。例えば、Chenら、Mol.Therapy、Methods and Clinical Development.2016 Jan;Vol 3、issue 1;およびHardy、CEら、Genes(Basel).2017 Feb;8(2):65を参照されたい。
他の実施形態において、ベクターは、ウイルスベクターである。「ウイルスベクター」とは、目的のRNAまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを囲むウイルスカプシドまたはエンベロープを含む送達ビヒクルを意味する。ある場合には、ウイルスベクターは、複製欠損ウイルスに由来する。本開示の核酸分子を対象に送達するのに適したウイルスベクターの非限定的な例としては、アデノウイルス、レトロウイルス(例えば、レンチウイルス)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、および単純ヘルペス−1(HSV−1)に由来するものが挙げられる。好適なウイルスベクターの例示的な例としては、限定されないが、レトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)、ヘルペスウイルスに基づくベクターおよびパルボウイルスに基づくベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクター、AAV−アデノウイルスキメラベクター、およびアデノウイルスに基づくベクター)が挙げられる。
本明細書で使用される「パルボウイルス」という用語は、自律複製パルボウイルスおよびディペンドウイルスを含む、すべてのパルボウイルスを包含する。自律性パルボウイルスには、パルボウイルス属、エリスロウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属、およびコントラウイルス属のメンバーが含まれる。例示的な自律性パルボウイルスには、限定されないが、マウス微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、トリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、およびB19ウイルスが含まれる。他の自律性パルボウイルスは、当業者には既知である。例えば、Fieldsら、1996 Virology、volume 2、chapter 69(3d ed.、Lippincott−Raven Publishers)を参照されたい。
ディペンドウイルス属は、AAV1型、AAV2型、AAV3型、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAVrh10型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、およびヒツジAAVを含むが、これらに限定されない、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含む。
好ましい実施形態において、ベクターは、AAVベクターである。特定の場合、ウイルスベクターは、AAV−6またはAAV−9ベクターである。
すべての既知のAAV血清型のゲノム構成は類似している。AAVのゲノムは、約5,000ヌクレオチド(nt)未満の長さの直鎖一本鎖DNA分子である。逆位末端反復(ITR)は、非構造的複製(Rep)タンパク質および構造的(VP)タンパク質の固有のコードヌクレオチド配列に隣接している。VPタンパク質(VPl、−2および−3)は、カプシドを形成し、ウイルスのトロピズムに寄与する。末端145ntのITRは、自己相補的であり、T字型ヘアピンを形成する精力的に安定した分子内二本鎖が形成され得るように構成される。これらのヘアピン構造は、ウイルスDNA複製の起点として機能し、細胞DNAポリメラーゼ複合体のプライマーとしての役割を果たす。哺乳動物細胞における野生型(wt)AAV感染後、Rep遺伝子が発現され、ウイルスゲノムの複製に機能する。
いくつかの事例では、ウイルスベクターの外側タンパク質「カプシド」は、天然に存在し、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、またはAAV10である。特定の場合、カプシドは、変化したトロピズム、増加した形質導入効率、または免疫回避などの天然には存在しない特定の固有の特徴を有するように合成的に操作される(例えば、指向的進化または合理的な設計を通じて)。合理的に設計されたカプシドの例は、VP3ウイルスカプシドタンパク質上の1つ以上の表面曝露チロシン(Y)、セリン(S)、トレオニン(T)、およびリジン(K)残基の変異である。VP3カプシドタンパク質が合成的に操作され、本明細書に提供される組成物および方法とともに使用されることができるウイルスベクターの非限定的な例としては、AAV1(Y705+731F+T492V)、AAV2(Y444+500+730F+T491V)、AAV3(Y705+731F)、AAV5(Y436+693+719F)、AAV6(Y705+731F+T492V)、AAV8(Y733F)、AAV9(Y731F)、およびAAV10(Y733F)が挙げられる。本明細書に提供される組成物および方法とともに使用されることができる、指向的進化を通じて操作されたウイルスベクターの非限定的な例としては、AAV−7m8およびAAV−ShH10が挙げられる。
本明細書における「組換えパルボウイルスまたはAAVベクター」(または「rAAVベクター」)は、1つ以上のAAVITRに隣接する本明細書で企図される1つ以上のポリヌクレオチドを含むベクターを指す。かかるポリヌクレオチドは、その組み合わせが通常、天然には生じないため、ITRに対して「異種」であると言われる。かかるrAAVベクターは、AAVrepおよびCap遺伝子産物(すなわち、AAVRepおよびCapタンパク質)を発現している昆虫宿主細胞中に存在する場合、感染性ウイルス粒子に複製およびパッケージ化され得る。rAAVベクターがより大きな核酸構築物(例えば、染色体中、またはクローニングもしくはトランスフェクションに使用されるプラスミドもしくはバキュロウイルス等の別のベクター中)に組み込まれる場合、rAAVベクターは、典型的には、AAVパッケージ機能および必要なヘルパー機能の存在下で複製および封入によって「救出」され得る「プロベクター」と称される。
特定の実施形態において、任意のAAV ITRは、AAVベクターに使用されてもよく、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV14、AAV15、およびAAV16由来のITRを含む。1つの好ましい実施形態において、本明細書で企図されるAAVベクターは、1つ以上のAAV2ITRを含む。
2つのITRを含むrAAVベクターは、約4.4kBのペイロード容量を有する。自己相補的rAAVベクターは、第3のITRを含有し、ベクターの組換え部分の2つの鎖をパッケージ化し、本明細書に企図されるポリヌクレオチドに対して約2.1kBのみを残す。一実施形態において、AAVベクターは、scAAVベクターである。
二重rAAVベクター戦略を用いて、rAAV(約9kB)のパッケージ容量の約2倍の拡張パッケージ容量を達成している。本明細書で企図されるrAAVの産生に有用な二重ベクター戦略としては、限定されないが、スプライシング(トランススプライシング)、相同組み換え(重複)、または2つの組み合わせ(ハイブリッド)が挙げられる。二重AAVトランススプライシング戦略では、スプライスドナー(SD)シグナルを5’ハーフベクターの3’末端に配置し、スプライスアクセプター(SA)シグナルを3’ハーフベクターの5’末端に配置する。二重AAVベクターによる同じ細胞の共感染と、2つのハーフの逆位末端反復(ITR)媒介のヘッド対テールのコンカテマー形成とにより、トランススプライシングは、成熟mRNAおよびフルサイズタンパク質の産生をもたらす(Yanら、2000)。トランススプライシングは、筋肉および網膜で大きな遺伝子を発現するために首尾用使用された(Reichら、2003;Laiら、2005)。あるいは、二重AAVベクターに含まれる大きな導入遺伝子発現カセットの2つのハーフは、相同組み換えによる単一の大きなゲノムの再構成を媒介する、相同重複配列を含んでもよい(5’ハーフベクターの3’末端および3’ハーフベクターの5’末端において、二重AAV重複)(Duanら、2001)。この戦略は、導入遺伝子重複配列の組換え特性に依存する(Ghoshら、2006)。第3の二重AAV戦略(ハイブリッド)は、外因性遺伝子(すなわち、アルカリホスファターゼ;Ghoshら、2008、Ghoshら、2011)からの高度な組み換え誘導性領域をトランススプライシングベクターに付加することに基づく。付加された領域は、二重AAV間の組み換えを増加させるために、5’ハーフベクターのSDシグナルの下流、および3’ハーフベクターのSAシグナルの上流に配置される。
「ハイブリッドAAV」または「ハイブリッドrAAV」は、異なるAAV血清型(および好ましくは、1つ以上のAAV ITRと異なる血清型)のカプシドとともにパッケージされたrAAVゲノムを指し、そうでなければシュードタイプrAAVと称され得る。例えば、AAVカプシドおよびゲノム(および好ましくは、1つ以上のAAV ITR)が異なる血清型である限り、rAAV1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16型のゲノムは、AAV1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16型のカプシドまたはそのバリアント内に封入されてもよい。ある特定の実施形態において、シュードタイプrAAV粒子は、「x/y」型と称されてもよく、式中、「x」はITRの供給源を示し、「y」はカプシドの血清型を示し、例えば、2/5rAAV粒子は、AAV2由来のITRおよびAAV6由来のカプシドを有する。
「宿主細胞」は、本開示の組換えベクターまたはポリヌクレオチドを用いてインビボ、エクスビボ、またはインビトロでトランスフェクト、感染、または形質導入された細胞を含む。宿主細胞は、ウイルス産生細胞およびウイルスベクターに感染した細胞を含み得る。特定の実施形態において、インビボでの宿主細胞は、本明細書に企図されるウイルスベクターに感染する。ある特定の実施形態において、用語「標的細胞」は宿主細胞と互換的に使用され、所望の細胞型の感染細胞を指す。
高力価AAV調製物は、例えば、米国特許第5,658,776号、第6,566,118号、第6,989,264号、および第6,995,006号、U.S.2006/0188484、WO98/22607、WO2005/072364、およびWO/1999/011764、ならびにViral Vectors for Gene Therapy:Methods and Protocols、ed.Machida、Humana Press、2003;Samulskiら、(1989)J.Virology 63、3822;Xiaoら、(1998)J.Virology 72、2224;lnoueら、(1998)J.Virol.72、7024に記載されているような、当該技術分野において周知の技法を用いて産生することができる。シュードタイプAAVベクターの産生方法も報告されており(例えば、WO 00/28004)、ならびにインビボ投与時にそれらの免疫原性を低減するためのAAVベクターの種々の修飾または製剤化も報告されている(例えば、WO 01/23001、WO 00/73316、WO 04/1 12727、WO 05/005610、WO 99/06562を参照されたい)。
G.薬学的組成物
また、ベクターの薬学的調製物および結合剤の薬学的調製物を含む薬学的調製物も提供される。薬学的調製物は、操作された受容体をコードする主題のポリヌクレオチド(RNAまたはDNA)、主題の操作された受容体をコードするポリヌクレオチド(RNAまたはDNA)を有するベクター、または薬学的に許容されるビヒクル中に存在する結合剤を含む。「薬学的に許容されるビヒクル」は、ヒトなどの哺乳動物に使用するために、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に列挙されているビヒクルであり得る。用語「ビヒクル」は、本開示の化合物が哺乳動物への投与のために製剤化される際の希釈剤、アジュバント、賦形剤、または担体を指す。かかる薬学的ビヒクルは、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油等の石油、動物、植物または合成起源のものを含む、水および油等の液体であり得る。薬学的ビヒクルは、生理食塩水、アカシアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素等であり得る。加えて、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤を使用してもよい。哺乳動物に投与される場合、本開示の化合物および組成物ならびに薬学的に許容されるビヒクル、賦形剤、または希釈剤は滅菌され得る。いくつかの場合において、本開示の化合物が静脈内投与されるとき、水、生理食塩水溶液、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液等の水性培地がビヒクルとして用いられる。
薬学的組成物は、カプセル、錠剤、丸薬、ペレット、ロゼンジ、粉末、顆粒、シロップ、エリキシル、溶液、懸濁液、乳剤、座薬、またはそれらの持続放出製剤、または哺乳動物への投与に好適な任意の他の形態をとることができる。いくつかの場合において、薬学的組成物は、ヒトへの経口または静脈内投与に適合された薬学的組成物として、通常の手順に従って投与するために製剤化される。好適な薬学的ビヒクルの例およびその製剤化方法は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Alfonso R.Gennaro ed.、Mack Publishing Co.Easton、Pa.、19th ed.、1995、Chapters 86、87、88、91、および92に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
賦形剤の選択は、特定のベクター、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、本開示の薬学的組成物の好適な製剤は多種多様である。
例えば、ベクターは、それらを植物油または他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、より高度の脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコール等の水性溶媒または非水性溶媒中に溶解、懸濁、または乳化させることによって、注入のための調製物に製剤化されてもよく、必要に応じて、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤等の従来の添加剤を用いて製剤化されてもよい。
別の例として、ベクターは、経口投与に適した調製物に製剤化されてもよく、これは、(a)液体溶液、例えば、水または生理食塩水等の希釈剤中に溶解した有効量の化合物(b)それぞれが所定量の活性成分を固体または顆粒として含有するカプセル、サシェもしくは錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、および(d)適切な乳剤、を含む。錠剤形態は、乳糖、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、保湿剤、保存剤、香料剤、および薬理学的に適合する賦形剤のうちの1つ以上を含むことができる。ロゼンジ形態は、香料、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカント中の活性成分、ならびに活性成分に加えて本明細書に記載されるような賦形剤を含有する、ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシア、乳剤、ゲルなどの不活性基剤中の活性成分を含むパスティル、を含むことができる。
別の例として、本開示の主題の製剤は、吸入を介して投与されるエアゾール製剤にすることができる。これらのエアゾール製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧された許容される高圧ガス中に配置することができる。それらはまた、ネブライザまたはアトマイザで使用するためのような非加圧調製物の医薬品として製剤化され得る。
いくつかの実施形態において、非経口投与に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液との等張性を製剤に付与する溶質を含有することができる水性および非水性の等張滅菌注射溶液と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、アンプルおよびバイアル等の単位用量または複数用量の密封容器中にて提供することができ、使用の直前に、注射用の滅菌液体賦形剤、例えば水を添加することのみを必要とする凍結して乾燥した(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。即時の注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
局所投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、適切な担体などを含有するクリーム、ゲル、ペースト、または発泡体として提供され得る。いくつかの実施形態において、局所製剤は、構造化剤、増粘剤またはゲル化剤、および軟化剤または潤滑剤から選択される1つ以上の成分を含有する。頻繁に用いられる構造化剤としては、ステアリルアルコール等の長鎖アルコール、およびそのグリセリルエーテルもしくはエステルおよびオリゴ(エチレンオキシド)エーテルもしくはエステルが挙げられる。増粘剤およびゲル化剤としては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよびそのエステル、ポリアクリルアミド、ならびに寒天、カラゲナン、ゼラチン、およびグアーガム等の天然増粘剤が挙げられる。軟化剤の例としては、トリグリセリドエステル、脂肪酸エステルおよびアミド、蜜蝋、鯨蝋、またはカルナバワックスなどのワックス、レシチンなどのリン脂質、ならびにそのステロールおよび脂肪酸エステルが挙げられる。局所製剤は、他の成分、例えば、収斂剤、香料、顔料、皮膚浸透促進剤、日焼け止め剤(すなわち、日光遮断剤)等をさらに含んでもよい。
本開示の化合物は、局所投与のために製剤化され得る。局所適用のためのビヒクルは、様々な形態、例えば、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、スティック、スプレー、またはペーストのうちの1つであり得る。これらは、限定されないが、溶液、エアゾール、乳剤、ゲル、およびリポソームを含む、様々な種類の担体を含有してもよい。担体は、例えば、水中油または油中水の基剤を有する乳剤として製剤化されてもよい。乳剤に用いられる好適な疎水性(油性)成分としては、例えば、植物油、動物性脂肪および油、合成炭化水素、ならびにポリエステルを含むそのエステルおよびアルコール、ならびにオルガノポリシロキサン油が挙げられる。かかる乳剤はまた、乳化剤および/または界面活性剤、例えば、連続相内で不連続相を分散および懸濁させるための非イオン性界面活性剤も含む。
また、座薬製剤は、乳化基剤または水溶性基剤等の様々な基剤と混合することによって提供される。膣内投与に好適な製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームとして提供され得る。
シロップ、エリキシル、および懸濁液等の経口または直腸投与のための単位剤形が提供されてもよく、各剤形単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤または座薬は、所定量の1つ以上の阻害剤を含有する組成物を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、通常の生理食塩水、または別の薬学的に許容される担体中の溶液としての組成物中に阻害剤(複数可)を含み得る。
本明細書で使用される「単位剤形」という用語は、ヒトおよび動物対象のための単位剤形として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体、またはビヒクルと関連して所望の効果をもたらすのに十分な量で計算された本開示の化合物の所定の量を含有する。本開示の新規単位剤形の仕様は、使用される特定の化合物および達成されるべき効果、ならびに宿主内の各化合物に関連する薬物力学に依存する。
用量レベルは、特定の化合物、送達ビヒクルの性質等の関数として変化することができる。所与の化合物の所望の用量は、様々な手段によって容易に決定可能である。
本開示の文脈において、動物、特にヒトに投与される用量は、例えば、以下にさらに詳細に記載されるように、合理的な期間にわたって動物において予防的または治療的応答をもたらすのに十分であるべきである。用量は、用いられる特定の化合物の強度、動物の状態、および動物の体重、ならびに疾患の重症度および疾患の段階を含む様々な要因に依存するであろう。用量のサイズはまた、特定の化合物の投与に付随し得る任意の副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
薬学的剤形において、ASC誘導剤化合物は、遊離塩基、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与されてもよく、またはそれらは、単独で、または他の薬学的に活性な化合物との適切な関連で、ならびにそれらと組み合わせて、使用されてもよい。
G.臨床適用および治療方法
本明細書に開示される組成物および方法を利用して、神経疾患または障害を治療することができる。本開示のいくつかの態様において、対象における神経疾患または障害を治療する方法が提供され、この方法は、操作された受容体をニューロン細胞に導入し、操作された受容体を活性化して細胞の活性を制御するリガンドを有効量で提供し、それによって対象における疼痛を軽減することを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるベクターまたは組成物は、神経疾患または障害を治療するための医薬品の製造に使用される。
ある場合には、本開示の方法および組成物は、てんかんを治療するために利用される。てんかん発作を予防または制御するために、本明細書に記載の組成物を使用することができる。てんかん発作は、強直間伐性発作、強直性発作、間伐性発作、筋クローヌス性発作、欠神発作、または脱力発作に分類され得る。場合によっては、本明細書の組成物および方法は、対象が経験するてんかん発作の数を約5%、約10%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%または100%予防または減少させ得る。
ある場合には、本開示の方法および組成物は、摂食障害を治療するために利用される。摂食障害は、対象の心身の健康に悪影響を及ぼす異常な摂食行動によって定義される精神障害であり得る。ある場合には、摂食障害は、拒食症である。他の場合には、摂食障害は、過食症である。場合によっては、摂食障害は、異食症、反芻障害、回避性/制限性食物摂取障害、むちゃ食い障害(BED)、他で特定される哺育および摂食の障害(OSFED)、強制過食、糖尿病の摂食障害(diabulimia)、オルトレキシア、選択的摂食障害、アルコール依存症に関連する食欲不振症(drunkorexia)、妊娠中の摂食障害(pregorexia)、または大食グルマンド症候群である。ある場合には、組成物は、摂食障害に関連する1つ以上の分子の産生を増加または減少させるGタンパク質共役型受容体を含む。他の場合には、組成物は、摂食障害に関連する1つ以上の分子の産生を変化させるリガンド依存性イオンチャネルを含む。摂食障害に関連する1つ以上の分子は、バソプレシン、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)、副腎皮質ホルモン(ACTH)、コルチゾール、エピネフリン、またはノルエピネフリンを含む視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸の分子、ならびにセロトニン、ドーパミン、ニューロペプチドY、レプチン、またはグレリンを含み得るが、これらに限定されない。
いくつかの場合には、組成物および方法は、外傷後ストレス障害(PTSD)、胃食道逆流症(GERD)、中毒(例えば、アルコール、薬物)、不安、うつ病、記憶喪失、認知症、睡眠時無呼吸、脳卒中、尿失禁、ナルコレプシー、本態性振戦、運動障害、心房細動、癌(例えば、脳腫瘍)、パーキンソン病、またはアルツハイマー病を治療するために利用される。本明細書の組成物および方法によって治療され得る神経疾患または障害の他の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる:無為症、失書症、アルコール中毒、失読症、動脈瘤、一過性黒内障、記憶喪失、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アンジェルマン症候群、失語症、失行症、くも膜炎、アーノルド・キアリ奇形、アスペルガー症候群、運動失調、毛細血管拡張性運動失調症、注意欠陥多動障害、聴知覚障害、自閉症スペクトラム、双極性障害、顔面麻痺、腕神経叢損傷、脳損傷、脳傷害、脳腫瘍、カナバン病、カプグラ症候群、手根管症候群、灼熱痛、中枢性疼痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、中心核ミオパチー、セファリック障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、大脳萎縮症、皮質下梗塞および白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)、脳性巨人症、脳性小児麻痺、脳血管炎、頸椎脊椎管狭窄症、シャルコー・マリー・トゥース病、キアリ奇形、コレア、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、慢性疼痛、コフィン・ローリー症候群、昏睡、複合性局所疼痛症候群、圧迫性神経障害、先天性眼筋麻痺、皮質基底核変性症、頭蓋動脈炎、頭蓋縫合早期癒合症、クロイツフェルトヤコブ病、累積外傷性障害、クッシング症候群、気分循環性障害、巨細胞性封入体病(CIBD)、サイトメガロウイルス感染、ダンディ・ウォーカー症候群、ドーソン病、ドモルシア症候群、デジェリーヌ−クルンプケ麻痺、デジュリーヌ・ソッタス病、睡眠相後退症候群、認知症、皮膚筋炎、発達性協調運動障害、糖尿病性神経障害、びまん性硬化症、複視、ダウン症候群、ドラベ症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、構音障害、自律神経失調、計算障害、書字障害、ジスキネジア、失読症、ジストニア、トルコ鞍空洞症候群、脳炎、脳ヘルニア、脳3叉神経領域血管腫、遺糞症、夜尿症、てんかん、女性におけるてんかん知的障害、エルブ麻痺、紅痛症、頭内爆発音症候群、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性痙性対麻痺、熱性痙攣、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調症、線維筋痛症、フォヴィーユ症候群、胎児アルコール症候群、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦失調症候群(FXTAS)、ゴーシェ病、全般てんかん熱性痙攣プラス、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞性封入体病、グロボイド細胞白質ジストロフィー、異所性灰白質、ギランバレー症候群、全般性不安障害、HTLV−1関連ミエロパチー、ハラーホルデン・スパッツ症候群、頭部損傷、頭痛、片側顔面痙攣、遺伝性痙性対麻痺、多発神経炎型遺伝性失調症、耳帯状疱疹、帯状疱疹、ヒラヤマ症候群、ヒルシュスプルング病、ホルムズ−アーディー症候群、全前脳症、ハンチントン病、水頭性無脳症、水頭症、副腎皮質ホルモン過剰症、低酸素症、免疫介在性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児レフサム病、点頭てんかん、炎症性ミオパチー、頭蓋内嚢腫、頭蓋内圧亢進症、二動原体染色体(Isodicentric)15、ジュベール症候群、カラク症候群、ケアーンズ・セイヤー症候群、キンスボーン症候群、クライネ・レヴィン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クラッベ病、ラフォラ病、ランバート・イートン筋無力症症候群、ランドウ・クレフナー症候群、延髄外側(ワレンベルク)症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、白質ジストロフィー、白質の消失を伴う白質脳症、レビー小体型認知症、脳回欠損、閉じこめ症候群、腰部椎間板症、腰部脊柱管狭窄症、ライム病−神経学的後遺症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、大脳症、大視症、上陸後症候群(Mal de debarquement)、皮質下嚢腫を伴う大頭型白質脳症、巨脳症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、小視症、偏頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、小発作(一過性脳虚血発作)、ミソフォニア、ミトコンドリアミオパチー、メビウス症候群、一側上肢筋萎縮症、運動能力障害、モヤモヤ病、ムコ多糖症、多発脳梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、筋ジストロフィー、筋痛性脳脊髄炎、重症筋無力症、ミエリン破壊性びまん性硬化症、乳児のミオクローヌス脳障害、ミオクローヌス、ミオパチー、筋細管ミオパチー、先天性筋強直症、ナルコレプシー、神経ベーチェット病、神経線維腫症、神経弛緩薬性悪性症候群、AIDSの神経症状、狼瘡の神経学的後遺症、神経性筋強直症、神経セロイドリポフスチン症、神経細胞移動障害、神経障害、神経症、ニーマン・ピック病、非24時間性睡眠覚醒障害、非言語的学習障害、オーサリバン・マクラウド症候群、後頭部神経痛、潜在性脊椎神経管閉鎖異常後遺症、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、視神経炎、起立性低血圧、耳硬化症、濫用症候群、反復視、異常知覚、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、傍腫瘍性疾患、発作性発作、パリー・ロンバーグ症候群、PANDAS、ペリツェウス・メルツバッヘル病、周期性麻痺、末梢神経障害、広汎性発達障害、光くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、縮まった神経、脳下垂体腫瘍、PMG、多発神経障害、ポリオ、多小脳回、多発性筋炎、脳孔症、ポリオ後症候群、帯状疱疹後神経痛(PHN)、体位性低血圧、プラダー・ウィリー症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性顔面片側萎縮、進行性多巣性白質脳症、進行性核上性麻痺、顔貌失認、偽脳腫瘍、四分盲、四肢麻痺、狂犬病、神経根麻痺、ラムゼイハント症候群1型、ラムゼイハント症候群2型、ラムゼイハント症候群3型、ラスムッセン脳炎、反射性神経血管性ジストロフィー、レフサム病、REM睡眠行動障害、反復性ストレス損傷、下肢静止不能症候群、レトロウイルス関連ミエロパチー、レット症候群、ライエ症候群、リズム運動障害、ロンベルグ症候群、舞踏病、サンドホフ病、シルダー病、裂脳症、知覚処理障害、中隔視神経異形成症、乳児揺さぶり症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、食後のくしゃみ(Snatiation)、ソトス症候群、痙縮、脊椎破裂、脊髄損傷、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳失調症、分離脳、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、全身硬直症候群、発作、スタージ・ウェーバー症候群、どもり、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、表在性鉄沈着、シドナム舞踏病、卒倒、共感覚、脊髄空洞症、足根管症候群、遅発性ジスキネジア、遅発性ディスフレニア、ターロフ嚢腫、ティサックス病、側頭動脈炎、側頭葉てんかん、破傷風、繋索脊髄症候群、トムセン病、胸郭出口症候群、三叉神経痛、トッド麻痺、トゥレット症候群、中毒性脳症、一過性脳虚血発作、伝達性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳損傷、振戦、抜毛症、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺症、トリパノソーマ症、結節性硬化症、ウンフェルリヒト・ルントボルク病、フォンヒッペル・リンダウ病(VHL)、ビリウス脳脊髄炎(VE)、ワレンベルク症状群、ウェスト症候群、むち打ち、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、またはツェルウェーガー症候群。
いくつかの場合において、本明細書に開示される組成物および方法は、脳癌または脳腫瘍を治療するために使用され得る。本明細書で記載のベクターおよび組成物を用いて治療することが可能となり得る脳癌または脳腫瘍の非限定的な例は、悪性星状細胞腫(グレードIIIのグリオーマ)、星状細胞腫(グレードIIのグリオーマ)、脳幹グリオーマ、上衣腫、神経節膠腫、神経節神経腫、神経膠芽腫(グレードIVのグリオーマ)、グリオーマ、若年性毛様星状細胞腫(JPA)、低グレードの星状細胞腫(LGA)、髄芽細胞腫、混合型グリオーマ、乏突起神経膠腫、視神経グリオーマ、毛様細胞性星状細胞腫(グレードIのグリオーマ)、および原始神経外胚葉性(PNET)を含む、グリオーマ;聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)、先端巨大症、アデノーマ、軟骨肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、類表皮腫瘍、頸静脈小体腫瘍、テント下髄膜腫、髄膜腫、脳下垂体アデノーマ、脳下垂体腫瘍、ラトケ裂溝嚢胞を含む、頭蓋底腫瘍;脳転移、転移性脳腫瘍を含む、転移性癌;脳嚢腫、脈絡叢乳頭腫、CNSリンパ腫、コロイド嚢腫、嚢腫性腫瘍、類皮腫瘍、胚細胞腫、リンパ腫、鼻癌腫、鼻咽腔腫瘍、松果腺腫瘍、松果体芽腫、松果体細胞腫、テント上髄膜腫、および血管腫瘍を含む、他の脳腫瘍;星状細胞腫、上衣腫、髄膜腫、およびシュワン細胞腫を含む、脊髄腫瘍、を含む。
本開示は、部分的に、対象における疼痛を制御、管理、予防、または治療するための組成物および方法を企図する。「疼痛」とは、対象の身体における不快感および/または不快な感覚を指す。疼痛の感覚は、軽度および時折のものから、重度および絶えず続くものまであり得る。疼痛は、急性疼痛または慢性疼痛に分類することができる。疼痛は、知覚的な疼痛(すなわち、組織損傷によって引き起こされる疼痛)、神経障害性の疼痛、または精神的な疼痛であり得る。ある場合には、疼痛は、疾患(例えば、癌、関節炎、糖尿病)によって引き起こされるか、またはそれらに関連する。他の場合には、疼痛は、傷害(例えば、スポーツ傷害、外傷)によって引き起こされる。本明細書の組成物および方法による治療に適した疼痛の非限定的な例としては、末梢神経障害、糖尿病性神経症、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰痛、癌に関連する神経症、Hiv/aidsに関連する神経症、幻肢痛、腕管症候群、中枢性脳卒中後痛、慢性アルコール依存症に関連する疼痛、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症に関連する疼痛、脊髄損傷に関連する疼痛、パーキンソン病に関連する疼痛、てんかん、変形性関節痛、関節リウマチ疼痛、内臓痛、およびビタミン欠乏に関連する疼痛を含む神経障害性疼痛、ならびに中枢神経系外傷、株/捻挫、およびやけどに関連する疼痛を含む知覚性疼痛、心筋梗塞、急性膵臓炎、術後疼痛、腎痛、癌に関節痛、線維痛に関連する疼痛、および腰痛が挙げられる。
本明細書における組成物および方法を利用して、対象の疼痛レベルを改善することができる。いくつかの事例では、対象の疼痛レベルは、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%改善される。対象における疼痛のレベルは、様々な方法によって評価することができる。場合によっては、疼痛のレベルは、自己報告によって評価される(すなわち、ヒト対象は、自分が経験している疼痛のレベルを口頭で報告する)。場合によっては、疼痛のレベルは、疼痛の行動指標、例えば、表情、四肢の動き、発声、落ち着きのなさ、および警戒行動によって評価される。これらの種類の評価は、例えば、対象が自己報告できない場合(例えば、乳児、意識不明の対象、非ヒト対象)に有用であり得る。疼痛のレベルは、対象が組成物による治療前に経験していた疼痛のレベルと比較して、本開示の組成物による治療後に評価され得る。
種々の実施形態において、対象における疼痛を制御、管理、予防、または治療するための方法は、有効量の本明細書に企図される操作された受容体を対象に投与することを含む。いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本開示は、本明細書に開示されるベクターを使用して、対象における疼痛を緩和するためにニューロン活性を調節することを企図する。
種々の実施形態において、ニューロン細胞を活性化または脱分極させる操作された受容体をコードするベクターは、疼痛感覚を減少させる1つ以上のニューロン細胞、例えば、抑制性介在ニューロンに投与される(またはその中に導入される)。リガンドの存在下で、操作された受容体を発現するニューロンが活性化され、これらのニューロン細胞を刺激する鎮痛効果を増強する疼痛に対する感受性が低下する。
種々の実施形態において、ニューロン細胞を不活性化または過分極化する操作された受容体をコードするベクターは、疼痛感覚または疼痛に対する感受性を増加させる1つ以上のニューロン細胞、例えば、侵害受容器、末梢感覚ニューロン、C線維、Aδ繊維、Aβ繊維、DRGニューロン、TGGニューロン等に投与される(またはその中に導入される)。リガンドの存在下で、操作された受容体を発現するニューロンが不活性化され、疼痛に対する感受性が低下し、鎮痛効果を増強する。
操作された受容体の発現を侵害受容器のサブ集団に標的化することは、ベクター(例えば、AAV1、AAV1(Y705+731F+T492V)、AAV2(Y444+500+730F+T491V),AAV3(Y705+731F)、AAV5、AAV5(Y436+693+719F)、AAV6、AAV6(VP3バリアント Y705F/Y731F/T492V)、AAV−7m8、AAV8、AAV8(Y733F)、AAV9、AAV9(VP3バリアント Y731F)、AAV10(Y733F)、およびAAV−ShH10)の選択、プロモーターの選択、ならびに送達手段のうちの1つ以上によって達成されることができる。
特定の実施形態において、本明細書で企図される組成物および方法は、疼痛を軽減するのに有効である。本明細書に企図されるベクター、組成物、および方法による治療に適している疼痛の例示的な例としては、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、異痛症、炎症性疼痛、炎症性痛覚過敏、神経障害、神経痛、糖尿病性神経症、ヒト免疫不全ウイルス関連神経症、神経損傷、関節リウマチ性疼痛、骨関節炎疼痛、やけど、腰痛、眼痛、内臓痛、癌性疼痛(例えば、骨癌性疼痛)、歯痛、頭痛、偏頭痛、手根管症候群、線維筋痛、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛、ヘルペス後神経痛、術後疼痛、脳卒中後疼痛、および月経痛が挙げられるが、これらに限定されない。
疼痛は、急性または慢性に分類することができる。「急性疼痛」とは、突然始まり、通常は鋭い質の疼痛を指す。急性疼痛は、軽度でほんの一瞬続くこともあれば、激しく何週間も何ヶ月も続くこともある。ほとんどの場合、急性疼痛は、3ヶ月以上は続かず、疼痛の根本原因が治療または治癒すると消失する。しかし、緩和されない急性疼痛は、慢性疼痛につながる可能性がある。「慢性疼痛」とは、通常の急性疾患やケガの経過を超えて持続したり、3〜6ヶ月以上持続したりして、個人の健康に悪影響を及ぼす、継続的または再発的な疼痛を指す。特定の実施形態において、用語「慢性疼痛」は、続くべきでない場合に続く疼痛を指す。慢性疼痛には、侵害受容性疼痛または神経障害性疼痛があり得る。
特定の実施形態において、本明細書で企図される組成物および方法は、急性疼痛を軽減するのに有効である。特定の実施形態において、本明細書で企図される組成物および方法は、慢性疼痛を軽減するのに有効である。
患者の症状の中に不快感や異常な感受性の特徴があるときには、臨床的な疼痛が存在する。個人は様々な疼痛の症状を呈し得る。このような症状には、1)鈍い、焼けるような、または刺すような自発痛;2)有害な刺激に対する誇張的な疼痛応答(痛覚過敏);および3)通常無害な刺激によって生じる疼痛(異痛症−Meyerら、1994、Textbook of Pain、13−44)が含まれる。様々な形態の急性疼痛および慢性疼痛を患っている患者は同様の症状を有し得るが、根本的な機序は異なる場合があり、したがって、異なる治療戦略が必要となる。したがって、疼痛は、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛を含む、異なる病態生理学に応じて多数の異なるサブタイプに分割され得る。
特定の実施形態において、本明細書に企図される組成物および方法は、侵害受容性疼痛を軽減するのに有効である。特定の実施形態において、本明細書に企図される組成物および方法は、炎症性疼痛を軽減するのに有効である。特定の実施形態において、本明細書に企図される組成物および方法は、神経障害性疼痛を軽減するのに有効である。
侵害受容性疼痛は、組織損傷により、または傷害を引き起こす可能性のある強い刺激により、引き起こされる。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、筋違え/捻挫、やけど、心筋梗塞および急性膵炎、術後疼痛(任意の種類の手術処置後の疼痛)、外傷後疼痛、腎疝痛、癌疼痛および腰痛からの疼痛の顕著な特徴である。癌性疼痛は、腫瘍に関連する疼痛(例えば、骨痛、頭痛、顔面痛もしくは内臓痛)、または癌療法に関連する疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性手術後疼痛症候群、もしくは放射線後症候群)などの慢性疼痛であり得る。癌疼痛は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法または放射線療法に応答して生じる場合もある。腰痛は、椎間板ヘルニアもしくは破断、または腰椎間関節、仙陽骨関節、脊髄傍筋もしくは後縦靭帯の異常が原因である場合がある。腰痛は自然に解消される場合もあるが、12週間以上続く一部の患者では、それは、特に衰弱しやすい慢性的な状態になる。
神経障害性疼痛は、神経系の原発性病変または機能障害によって開始または引き起こされる疼痛として定義することができる。神経障害性疼痛の病因としては、例えば、末梢神経症、糖尿病性神経症、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰痛、癌神経症、HIV神経症、幻肢痛、手根管症候群、脳卒中後中枢性疼痛、および慢性アルコール中毒に関連する疼痛、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、てんかん、およびビタミン欠乏症が挙げられる。
神経障害性疼痛は、疼痛障害に関連し、この用語は、疼痛に関連するかまたは疼痛により引き起こされる疾患、障害または状態を指す。疼痛障害の例示的な例としては、関節炎、異痛症、典型的な三叉神経痛、三叉神経痛、身体表現性障害、知覚鈍麻、知覚過敏、神経痛、神経炎、神経原性疼痛、無痛覚症、
無知覚性疼痛症、灼熱痛(causlagia)、坐骨神経痛障害、変性関節障害、線維筋痛、内臓疾患、慢性疼痛障害、偏頭痛/頭痛、慢性疲労症候群、複合性局所疼痛症候群、神経ジストロフィー、足底筋膜炎または癌に関連する疼痛が挙げられる。
炎症プロセスは、組織損傷または異物の存在に応答して活性化され、腫れおよび疼痛をもたらす複雑な一連の生化学的および細胞的事象である。関節痛は、一般的な炎症性の疼痛である。
本明細書に企図されるベクター、組成物、および方法での治療に適している他の種類の疼痛としては、筋肉痛、線維筋痛、脊椎炎、血清陰性(非リウマチ)関節障害、非関節リウマチ、ジストロフィン異常症、糖原分解、多発性筋炎、および化膿性筋炎を含む筋骨格障害に起因する疼痛;扁桃炎、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、強皮症(scleredoma)および骨格筋虚血を含む心臓および血管疼痛;頭痛、例えば、偏頭痛(前兆ありの偏頭痛および前兆なしの偏頭痛を含む)、群発頭痛、緊張型頭痛と混合した頭痛、血管障害に関連する頭痛;ならびに歯痛、耳痛、口腔灼熱症候群、および顎関節筋膜痛を含む口腔顔面疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
ヒト対象によって経験される疼痛の量を減少させるための本明細書で企図される組成物および方法の有効量は、様々な疼痛スケールを使用して決定され得る。患者の自己報告を使用して、疼痛が軽減されるかどうかを評価することができる。例えば、KatzおよびMelzack(1999)Surg.Clin.North Am.79:231を参照されたい。あるいは、観察的疼痛スケールを使用してもよい。LANSS疼痛スケールは、疼痛が軽減されるかどうかを評価するために使用することができる。例えば、Bennett(2001)Pain 92:147を参照されたい。視覚的アナログ疼痛スケールを使用することができ、例えば、Schmader(2002)Clin.J.Pain 18:350を参照されたい。Likertの疼痛スケールを使用することができ、その場合、例えば、0は疼痛なしであり、5は中程度の疼痛であり、10は起こり得る最悪の疼痛である。子供のための自己報告疼痛スケールには、例えば、顔面疼痛スケール、Wong−Baker顔面疼痛評価スケール、およびカラーアナログスケールが含まれる。成人のための自己報告疼痛スケールには、例えば、視覚アナログスケール、口頭数値評価スケール、口頭記述式スケール、および簡単な疼痛調査票が含まれる。疼痛測定スケールには、例えば、Alder Heyトリアージ疼痛スコア(Stewartら.(2004)Arch.Dis.Child.89:625)、行動疼痛スケール(Payenら.(2001)Critical Care Medicine 29:2258)、簡単な疼痛調査票(CleelandおよびRyan(1994)Ann.Acad.Med.Singapore 23:129);非言語的疼痛指標のチェックリスト(Feldt(2000)Pain Manag.Nurs.1:13)、救命救急疼痛観察ツール(Gelinasら.(2006)Am.J.Crit.Care 15:420);コンフォートスケール(Ambuelら.(1992)J.Pediatric Psychol.17:95)、ダラス疼痛アンケート(Ozgulerら.(2002)Spine 27:1783);痛覚計疼痛指標(Hardyら.(1952)Pain Sensations and Reactions Baltimore:The Williams & Wilkins Co.);顔面疼痛スケール改訂版(Hicksら.(2001)Pain 93:173);顔面足活動泣き慰めによるスケール(Face Legs Activity Cry Consolability Scale);McGill疼痛アンケート(Melzack(1975)Pain 1:277);記述式示差的スケール(GracelyおよびKwilosz(1988)Pain 35:279);数字11ポイントボックス(Jensenら.(1989)Clin.J.Pain 5:153);数字評価スケール(Hartrickら(2003)Pain Pract.3:310);Wong−Baker顔面疼痛評価スケール;および視覚アナログスケール(Huskisson(1982)J.Rheumatol.9:768)を含む。
特定の実施形態において、対象における疼痛を緩和する方法が提供され、この方法は、操作された受容体をニューロン細胞に導入することと、操作された受容体を活性化するリガンドを有効量で提供することによって細胞の活性を制御することと、それによって対象における疼痛を緩和することと、を含む。この方法は、一般的な中枢神経系のうつ病などのオフターゲット効果を伴うことなく、疼痛に対して有意な鎮痛作用をもたらす。ある特定の実施形態において、本方法は、未治療の対象と比較して、対象における神経障害性疼痛の1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の低減を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、結合剤の投与前および後に対象における疼痛を測定する工程を含み、対象における疼痛は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上低減される。このような場合、測定は、結合剤の投与の4時間後、またはそれ以後、例えば、結合剤の投与の8時間、12時間、16時間、24時間、36時間、48時間、3日、または4日後、またはそれ以後に実施され得る。
特定の実施形態において、本明細書に企図されるベクターは、1つ以上のニューロン細胞に投与または導入される。ニューロン細胞は、同じ種類のニューロン細胞、または異なる種類のニューロン細胞の混合集団であってもよい。一実施形態において、ニューロン細胞は、侵害受容性または末梢感覚ニューロンである。感覚ニューロンの例示的な例としては、限定されないが、背根神経節(DRG)ニューロンおよび三叉神経節(TGG)ニューロンが挙げられる。一実施形態において、ニューロン細胞は、ニューロン疼痛回路に関与する抑制性介在ニューロンである。
ある場合には、操作された受容体をコードするベクターは、それを必要とする対象に投与される。投与方法の非限定的な例としては、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮膚内投与、腹腔内投与、経口投与、注入、頭蓋内投与、髄腔内投与、鼻腔内投与、神経節内投与、脊髄内投与、大槽投与、および神経内投与が挙げられる。ある場合には、投与は、ベクターの液体製剤の注射を含み得る。他の場合には、投与は、ベクターの固体製剤の経口送達を含み得る。ある場合には、経口製剤は、食品とともに投与することができる。特定の実施形態において、ベクターは、1つ以上のニューロン細胞にベクターを導入するために、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、髄腔内に、神経内に、神経節内に、脊髄内に、または脳室内に投与される。種々の実施形態において、ベクターはrAAVである。
一実施形態において、AAVは、感覚ニューロンまたは侵害受容器、例えば、DRGニューロン、TGGニューロン等に、髄腔内(IT)または神経節内(IG)投与によって投与される。IT経路は、AAVを脳脊髄液(CSF)に送達する。この投与経路は、例えば、慢性疼痛または他の末梢神経系(PNS)または中枢神経系(CNS)適応症の治療に好適であり得る。動物では、大槽を通してITカテーテルを挿入し、腰椎レベルまで尾側に前進させることによって、IT投与が達成される。ヒトでは、IT送達は、優れた安全性プロファイルを用いる日常的なベッドサイドでの手順である腰椎穿刺(LP)によって容易に行うことができる。
特定の場合、ベクターは、神経節内投与によって対象に投与され得る。神経節内投与は、1つ以上の神経節に直接注射することを伴い得る。IG経路は、AAVをDRGまたはTGG実質に直接送達し得る。動物において、DRGへのIG投与は、それが複雑かつ侵襲的な処置を必要とするため、ヒトにおいて望ましくない開放的な神経外科処置によって行われる。ヒトにおいては、DRGを安全に標的にするための、低侵襲性CT撮像誘導技術を使用することができる。対流増強送達(CED)のためのカスタマイズされたニードルアセンブリを使用して、AAVをDRG実質内に送達することができる。非限定的な例では、本開示のベクターは、慢性疼痛の治療のために、1つ以上の背根神経節および/または三叉神経節に送達され得る。別の非限定的な例では、本開示のベクターは、てんかんを治療するために、節上神経節(迷走神経)に送達され得る。
さらに別の特定の場合において、ベクターは、頭蓋内投与(すなわち、脳内に直接投与)によって対象に投与され得る。頭蓋内投与の非限定的な例では、本開示のベクターは、例えばてんかん発作の焦点を治療するために脳の皮質に送達されてもよく、例えば満足障害を治療するために視床下部室傍に送達されてもよく、または例えば満足障害を治療するために扁桃体中心核に送達されてもよい。別の特定の場合において、ベクターは、神経内注射によって(すなわち、神経に直接)対象に投与され得る。神経は、治療される適応症に基づいて選択されてもよく、例えば、慢性疼痛を治療するための坐骨神経への注射、またはてんかんまたは満足障害を治療するための迷走神経への注射が挙げられる。さらに別の特定の場合、ベクターは、例えば、感覚神経末端に皮下注射によって対象に投与されて、慢性疼痛を治療することができる。
ベクター用量は、対象に送達されるベクターゲノムユニットの数として表され得る。本明細書で使用される「ベクターゲノムユニット」は、用量で投与される個々のベクターゲノムの数を指す。個々のベクターゲノムのサイズは、一般に、使用されるウイルスベクターの種類に依存する。本開示のベクターゲノムは、約1.0キロ塩基、1.5キロ塩基、2.0キロ塩基、2.5キロ塩基、3.0キロ塩基、3.5キロ塩基、4.0キロ塩基、4.5キロ塩基、5.0キロ塩基、5.5キロ塩基、6.0キロ塩基、6.5キロ塩基、7.0キロ塩基、7.5キロ塩基、8.0キロ塩基、8.5キロ塩基、9.0キロ塩基、9.5キロ塩基、10.0キロ塩基、10.0キロ塩基超であり得る。したがって、単一のベクターゲノムは、最大10,000塩基対のヌクレオチドを含み得る。場合によっては、ベクター用量は、約1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x10、2x10、3x10、4x10、5x10、6x10、7x10、8x10、9x10、1x1010、2x1010、3x1010、4x1010、5x1010、6x1010、7x1010、8x1010、9x1010、1x1011、2x1011、3x1011、4x1011、5x1011、6x1011、7x1011、8x1011、9x1011、1x1012、2x1012、3x1012、4x1012、5x1012、6x1012、7x1012、8x1012、9x1012、1x1013、2x1013、3x1013、4x1013、5x1013、6x1013、7x1013、8x1013、9x1013、1x1014、2x1014、3x1014、4x1014、5x1014、6x1014、7x1014、8x1014、9x1014、1x1015、2x1015、3x1015、4x1015、5x1015、6x1015、7x1015、8x1015、9x1015、1x1016、2x1016、3x1016、4x1016、5x1016、6x1016、7x1016、8x1016、9x1016、1x1017、2x1017、3x1017、4x1017、5x1017、6x1017、7x1017、8x1017、9x1017、1x1018、2x1018、3x1018、4x1018、5x1018、6x1018、7x1018、8x1018、9x1018、1x1019、2x1019、3x1019、4x1019、5x1019、6x1019、7x1019、8x1019、9x1019、1x1020、2x1020、3x1020、4x1020、5x1020、6x1020、7x1020、8x1020、9x1020、またはそれ以上のベクターゲノム単位であり得る。
特定の実施形態において、本明細書に企図されるベクターは、少なくとも約1×10ゲノム粒子/mL、少なくとも約1×1010ゲノム粒子/mL、少なくとも約5×1010ゲノム粒子/mL、少なくとも約1×1011ゲノム粒子/mL、少なくとも約5×1011ゲノム粒子/mL、少なくとも約1×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約5×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約6×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約7×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約8×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約9×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約10×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約15×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約20×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約25×1012ゲノム粒子/mL、少なくとも約50x1012ゲノム粒子/mL、または少なくとも約100x1012ゲノム粒子/mLの力価で対象に投与される。用語「ゲノム粒子(gp)」または「ゲノム当量」または「ゲノムコピー」(gc)は、ウイルス力価に関して使用される場合、感染性または機能性に関係なく、組換えAAV DNAゲノムを含有するビリオンの数を指す。特定のベクター調製物におけるゲノム粒子の数は、当該技術分野において十分に理解されている方法、例えば、ゲノムDNAの定量的PCR、または例えば、Clarkら.(1999)Hum.Gene Ther.、10:1031−1039;Veldwijkら(2002)Mol.Ther.、6:272−278に記載されているものにより測定されることができる。
本開示のベクターは、流体容積中で投与され得る。場合によっては、ベクターは、約0.1mL、0.2mL、0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mL、1.0mL、2.0mL、3.0mL、4.0mL、5.0mL、6.0mL、7.0mL、8.0mL、9.0mL、10.0mL、11.0mL、12.0mL、13.0mL、14.0mL、15.0mL、16.0mL、17.0mL、18.0mL、19.0mL、20.0mL、または20.0mL以上の容積で投与され得る。ある場合には、ベクター用量は、対象に投与されるベクターの濃度または力価として表され得る。この場合、ベクター用量は、容積当たりのベクターゲノム単位の数(すなわち、ゲノム単位/容積)として表され得る。
特定の実施形態において、本明細書に企図されるベクターは、少なくとも約5×10感染単位/mL、少なくとも約6×10感染単位/mL、少なくとも約7×10感染単位/mL、少なくとも約8×10感染単位/mL、少なくとも約9×10感染単位/mL、少なくとも約1×1010感染単位/mL、少なくとも約1.5×1010感染単位/mL、少なくとも約2×1010感染単位/mL、少なくとも約2.5×1010感染単位/mL、少なくとも約5×1010感染単位/mL、少なくとも約1×1011感染単位/mL、少なくとも約2.5×1011感染単位/mL、少なくとも約5×1011感染単位/mL、少なくとも約1×1012感染単位/mL、少なくとも約2.5×1012感染単位/mL、少なくとも約5x1012感染単位/mL、少なくとも約1x1013感染単位/mL、少なくとも約5x1013感染単位/mL、少なくとも約1x1014感染単位/mLの力価で対象に投与される。「感染単位(iu)」、「感染性粒子」、または「複製単位」という用語は、ウイルス力価に関して使用される場合、例えば、McLaughlinら.(1988)J.Virol.、62:1963−1973.に記載されるように、複製センターアッセイとしても知られる、感染性センターアッセイによって測定されるような、感染性および複製能力のある組換えAAVベクター粒子の数を指す。
特定の実施形態において、本明細書に企図されるベクターは、少なくとも約5×1010形質導入単位/mL、少なくとも約1×1011形質導入単位/mL、少なくとも約2.5×1011形質導入単位/mL、少なくとも約5×1011形質導入単位/mL、少なくとも約1×1012形質導入単位/mL、少なくとも約2.5×1012形質導入単位/mL、少なくとも約5×1012形質導入単位/mL、少なくとも約1×1013形質導入単位/mL、少なくとも約5×1013形質導入単位/mL、少なくとも約1×1014形質導入単位/mLの力価で対象に投与される。用語「形質導入単位」(tu)」は、ウイルス力価に関して使用される場合、例えば、Xiaoら.(1997)Exp.Neurobiol.、144:113−124;またはFisherら.(1996)J.Virol.、70:520−532(LFUアッセイ)に記載されているような機能的アッセイにおいて測定されるような、機能的導入遺伝子産物の産生をもたらす感染性組換えAAVベクター粒子の数を指す。
ベクター用量は、一般に、投与経路によって決定される。特定の例では、神経節内注射は、約0.1mL〜約1.0mLの容積中に、約1×10〜約1×1013ベクターゲノムを含んでよい。特定の例では、髄腔内注射は、約1.0mL〜約12.0mLの容積中に、約1×1010〜約1×1015ベクターゲノムを含んでよい。さらに別の特定の場合において、頭蓋内注射は、約0.1mL〜約1.0mLの容積中に、約1×109〜約1×1013ベクターゲノムを含んでよい。別の特定の場合において、神経内注射は、約0.1mL〜約1.0mLの容積中に、約1×109〜約1×1013ベクターゲノムを含んでよい。別の特定の例では、脊髄内注射は、約0.1mL〜約1.0mLの容積中に、約1×10〜約1×1013ベクターゲノムを含んでよい。さらに別の特定の場合、大槽注入は、約0.5mL〜約5.0mLの容積中に、約5×10〜約5×1013ベクターゲノムを含んでよい。さらに別の特定の場合において、皮下注射は、約0.1mL〜約1.0mLの容積中に、約1×10〜約1×1013ベクターゲノムを含んでよい。
ある場合には、ベクターは、注入によって対象に送達される。注入によって対象に送達されるベクター用量は、ベクター注入速度として測定することができる。ベクター注入速度の非限定的な例としては、神経節内投与、脊髄内投与、頭蓋内投与または神経内投与の場合は1〜10μL/分、髄腔内投与または大槽内投与の場合は10〜1000μL/分が挙げられる。ある場合には、ベクターは、MRI誘導対流増強送達(CED)によって対象に送達される。この技術は、大容積の脳全体に分布するウイルス拡散および形質導入の増加を可能にするとともに、ニードル経路に沿ったベクターの逆流を低減する。
種々の実施形態において、ニューロン細胞を不活性化または過分極化する操作された受容体をコードするベクターを、疼痛感覚または疼痛に対する感受性を増加させる1つ以上のニューロン細胞に投与することと、操作された受容体を発現するニューロン細胞に特異的に結合するリガンドを対象に投与することと、それによって細胞を不活性化し、疼痛に対する感受性を低下させ、鎮痛効果を増強することとを含む方法が提供される。
種々の実施形態において、ニューロン細胞を活性化または分極化する操作された受容体をコードするベクターを、疼痛感覚または疼痛に対する感受性を減少させる1つ以上のニューロン細胞に投与することと、操作された受容体を発現するニューロン細胞に特異的に結合するリガンドを対象に投与することと、それによって細胞を活性化し、疼痛に対する感受性を低下させ、鎮痛効果を増強することとを含む方法が提供される。
リガンドの製剤は、様々な経路によって対象に投与することができる。投与方法の非限定的な例としては、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、経皮投与、皮膚内投与、腹腔内投与、経口投与、注入、頭蓋内投与、髄腔内投与、鼻腔内投与、神経節内投与、および神経内投与が挙げられる。ある場合には、投与は、リガンドの液体製剤の注射を含み得る。他の場合には、投与は、リガンドの固体製剤の経口送達を含み得る。特定の場合、リガンドは、経口投与(例えば、ピル、錠剤、カプセル等)によって投与される。ある場合には、経口組成物は、食品とともに投与することができる。別の特定の場合、リガンドは、対象の脳脊髄液(CSF)に送達するために髄腔内注射によって(すなわち、脊髄のくも膜下空間に)投与される。別の特定の場合、リガンドは、局所投与される(例えば、真皮パッチ、クリーム、化粧水、軟膏等)。
対象に投与されるリガンドの用量は、絶対限界の対象とはならないが、組成物およびその活性成分の性質ならびにその望ましくない副作用(例えば、抗体に対する免疫応答)、治療される対象および治療される状態の種類、ならびに投与方法に依存する。一般に、用量は、所望の生物学的効果を達成するのに十分な量、例えば、対象が経験した疼痛のレベルを減少または減衰させるのに有効な量などの治療有効量である。特定の実施形態において、用量は、予防量または有効量であってもよい。治療有効量のリガンドは、投与経路、治療される適応症、および/または使用のために選択されるリガンドに依存し得る。
一実施形態において、リガンドは、ベクターの投与前に対象に最初に投与される。治療有効量のリガンドは、ベクターの送達後のある時間に対象に投与され得る。一般に、ベクターの送達後、対象の1つ以上の細胞が、ベクターによってコードされるタンパク質(すなわち、操作された受容体)を生成するのに必要な期間がある。この期間中、リガンドを対象に投与することは、対象にとって有益ではない場合がある。この状況において、対象の1つ以上の細胞によって一定量の操作された受容体が産生された後に、リガンドを投与することが好適であり得る。
一実施形態において、リガンドは、まず、ベクターが対象に投与されるとほぼ同時に対象に投与される。
一実施形態において、リガンドは、最初に、ベクターを対象に投与した1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、または12時間後、日後、週間後、ヶ月後、または年後に投与される。いくつかの事例では、治療有効量のリガンドは、ベクターの送達の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、または30日以上後に対象に投与され得る。特定の実施例において、治療有効量のリガンドは、ベクターの送達の少なくとも1週間後に対象に投与される。さらなる実施例において、治療有効量のリガンドは、少なくとも3日間連続して対象に毎日投与される。
本開示のリガンドの治療有効量または用量は、対象の体重kg当たりのリガンドのmgまたはμgとして表すことができる。いくつかの事例では、リガンドの治療有効量は、約0.001μg/kg、約0.005μg/kg、約0.01μg/kg、約0.05μg/kg、約0.1μg/kg、約0.5μg/kg、約1μg/kg、約2μg/kg、約3μg/kg、約4μg/kg、約5μg/kg、約6μg/kg、約7μg/kg、約8μg/kg、約9μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約30μg/kg、約40μg/kg、約50μg/kg、約60μg/kg、約70μg/kg、約80μg/kg、約90μg/kg、約100μg/kg、約120μg/kg、約140μg/kg、約160μg/kg、約180μg/kg、約200μg/kg、約220μg/kg、約240μg/kg、約260μg/kg、約280μg/kg、約300μg/kg、約320μg/kg、約340μg/kg、約360μg/kg、約380μg/kg、約400μg/kg、約420μg/kg、約440μg/kg、約460μg/kg、約480μg/kg、約500μg/kg、約520μg/kg、約540μg/kg、約560μg/kg、約580μg/kg、約600μg/kg、約620μg/kg、約640μg/kg、約660μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、または10mg/kg以上である。
特定の実施形態において、対象に投与されるリガンドの用量は、1キログラム当たり少なくとも約0.001マイクログラム(μg/kg)、少なくとも約0.005μg/kg、少なくとも約0.01μg/kg、少なくとも約0.05μg/kg、少なくとも約0.1μg/kg、少なくとも約0.5μg/kg、1キログラム当たり0.001ミリグラム(mg/kg)、少なくとも約0.005mg/kg、少なくとも約0.01mg/kg、少なくとも約0.05mg/kg、少なくとも約0.1mg/kg、少なくとも約0.5mg/kg、少なくとも約1mg/kg、少なくとも約2mg/kg、少なくとも約3mg/kg、少なくとも約4mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約5mg/kg、少なくとも約6mg/kg、少なくとも約7mg/kg、少なくとも約8mg/kg、少なくとも約8mg/kg、少なくとも約9mg/kg、または少なくとも約10mg/kg、またはそれ以上である。
特定の実施形態において、対象に投与されるリガンドの用量は、少なくとも約0.001μg/kg〜少なくとも約10mg/kg、少なくとも約0.01μg/kg〜少なくとも約10mg/kg、少なくとも約0.1μg/kg〜少なくとも約10mg/kg、少なくとも約1μg/kg〜少なくとも約10mg/kg、少なくとも約0.01mg/kg〜少なくとも約10mg/kg、少なくとも約0.1mg/kg〜少なくとも約10mg/kg、または少なくとも約1mg/kg〜少なくとも約10mg/kg、またはそれらの任意の介在範囲である。
いくつかの態様において、治療有効量のリガンドは、モル濃度(すなわち、Mまたはmol/L)として表現されることができる。いくつかの事例では、治療有効量のリガンドは、約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、9nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、200nM、300nM、400nM、500nM、600nM、700nM、800nM、900nM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、200mM、300mM、400mM、500mM、600mM、700mM、800mM、800mM、900mM、900mM、1000mM、またはそれ以上であり得る。
治療有効量のリガンドは、毎日1回以上投与することができる。ある場合には、治療有効量のリガンドは、必要に応じて投与される(例えば、疼痛緩和が必要な場合)。リガンドは、連続投与され得る(例えば、治療レジメンの期間中、中断なしに毎日)。ある場合には、治療レジメンは、1週間未満、1週間、2週間、3週間、1ヶ月未満、または1ヶ月以上であり得る。いくつかの場合において、治療有効量のリガンドは、1日、少なくとも2日連続、少なくとも3日連続、少なくとも4日連続、少なくとも5日連続、少なくとも6日連続、少なくとも7日連続、少なくとも8日連続、少なくとも9日連続、少なくとも10日連続、または少なくとも10日以上連続して投与される。特定の場合において、治療有効量のリガンドは、3日間連続投与される。場合によっては、治療有効量のリガンドは、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、週に7回、週に8回、週に9回、週に10回、週に11回、週に12回、週に13回、週に14回、週に15回、週に16回、週に17回、週に18回、週に19回、週に20回、週に25回、週に30回、週に35回、週に40回、または週に40回以上投与され得る。場合によっては、治療有効量のリガンドは、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日7回、1日8回、1日9回、10回、または1日10回以上投与することができる。いくつかの場合において、治療有効量のリガンドは、少なくとも1時間ごと、少なくとも2時間ごと、少なくとも3時間ごと、少なくとも4時間ごと、少なくとも5時間ごと、少なくとも6時間ごと、少なくとも7時間ごと、少なくとも8時間ごと、少なくとも9時間ごと、少なくとも10時間ごと、少なくとも11時間ごと、少なくとも12時間ごと、少なくとも13時間ごと、少なくとも14時間ごと、少なくとも15時間ごと、少なくとも16時間ごと、少なくとも17時間ごと、少なくとも18時間ごと、少なくとも19時間ごと、少なくとも20時間ごと、少なくとも21時間ごと、少なくとも22時間ごと、少なくとも23時間ごと、または少なくとも1日ごとに投与される。リガンドの用量は、対象に連続して、または1日1、2、3、4、もしくは5回、週1、2、3、4、5、6、もしくは7回、月1、2、3、もしくは4回、2、3、4、5、または6ヶ月に1回、または年1回、またはさらに長い間隔で投与され得る。治療期間は、1日、1、2、もしくは3週間、1、2、3、4、5、7、8、9、10、もしくは11ヶ月、1、2、3、4、5年、またはそれ以上、またはより長く続くことができる。
本明細書に開示される方法および組成物によって治療される対象は、ヒトであってもよく、または非ヒト動物であってもよい。本明細書で使用される用語「治療する」およびその文法的等価物は、一般に、疾患の症状を軽減、排除、または予防するための組成物または方法の使用を指し、治療的利益および/または予防的利益を達成することを含む。治療的利益とは、治療される障害または状態の症状の進行を遅らせること、それらの進行を停止すること、それらの進行を逆行させること、またはそれらを根絶もしくは改善することを意味する。治療の予防的利益としては、状態の危険性を低減すること、状態の進行を遅らせること、または状態の発症の可能性を低減することが挙げられる。
非ヒト動物の非限定的な例としては、非ヒト霊長類、家畜動物、家庭用ペット、および実験動物が挙げられる。例えば、非ヒト動物は、類人猿(例えば、チンパンジー、ヒヒ、ゴリラ、またはオランウータン)、旧世界サル(例えば、アカゲザル)、新世界サル、イヌ、ネコ、バイソン、ラクダ、ウシ、シカ、ブタ、ロバ、ウマ、ラバ、ラマ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、トナカイ、ヤク、マウス、ラット、ウサギ、または任意の他の非ヒト動物であり得る。本明細書に記載の組成物および方法は、獣医学的動物の治療に適している。獣医学的動物は、限定するものではないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヘビ、カメ、およびトカゲを含むことができる。いくつかの態様において、組織または細胞集団を組成物と接触させることは、組成物を細胞集団または対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与は、例えば、組成物を細胞培養系に添加することによってインビトロで行われる。いくつかの態様において、投与は、例えば、特定の経路を介して投与することによってインビボで行われる。複数の組成物が投与される場合、組成物は、同時に(例えば、同じ日に)同じ経路を介して、または異なる時間に同じ経路を介して投与され得る。あるいは、組成物は、異なる経路を介して、同時に(例えば、同じ日に)、または異なる時間に異なる経路を介して投与され得る。
組成物がそれを必要とする対象に投与される回数は、医療従事者の裁量、障害、障害の重症度、および対象の製剤に対する応答に依存する。いくつかの態様において、組成物の投与は少なくとも1回行われる。さらなる態様において、投与は、所与の期間中に1回以上、例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回以上行われる。各投与の投与量および/または投与頻度は、患者の状態および生理学的応答に基づいて必要に応じて調整され得る。
いくつかの実施形態において、組成物は、対象の状態において所望の生理学的効果または改善を達成するのに十分な回数投与され得る。対象の状態が改善されない場合、医師の判断により、組成物を慢性的に、すなわち、対象の疾患または状態の症状を改善またはそれ以外の方法で制御または制限するために、対象の生涯にわたってを含める長期間にわたって投与することができる。対象の状態が確かに改善される場合、医師の判断により、組成物は連続投与されてもよく、代替的に、投与される薬物の用量は、一定の期間、一時的に減少または一時的に休止されてもよい(すなわち、「休薬」)。休薬の期間は、単なる例示であるが、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日を含む、2日〜1年間で変動する。休薬中の用量減少は、単なる例示であるが、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、10%〜100%であり得る。
組成物が複数回投与される場合、各投与は、同じ実施者によって、および/または同じ地理的位置で行われ得る。あるいは、各投与は、異なる実施者によって、および/または異なる地理的位置で行われ得る。
ヒトおよび獣医学的治療に関して、投与される特定の薬剤(複数可)の量は、治療される障害および障害の重症度、使用される特定の薬剤(複数可)の活性、患者の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、使用される特定の薬剤(複数可)の投与時間、投与経路、および排泄速度、治療期間、使用される特定の薬剤(複数可)と組み合わせてまたは偶然に使用される薬物、処方する医師または獣医の判断、ならびに医療および獣医分野において既知の同様の因子を含む、様々な因子に依存し得る。同様に、所与の組成物の有効濃度は、患者または対象の年齢、性別、体重、遺伝子状態、および全体的な健康状態を含む様々な因子に依存し得る。
実施例1.操作された受容体の探索および特徴付け
α7−nAChRからのリガンド結合ドメインおよびヒトGlyR1αからの塩化物導入イオン孔ドメインを含むキメラLGIC受容体を操作し、アセチルコリン、ニコチン、およびいくつかの低分子アゴニストリガンドに対する応答性について評価した。その後、これらの「親」キメラ受容体中にアミノ酸置換を生成し、これらのリガンドに対する応答性について変異体を再試験した。
操作されたキメラ受容体間およびキメラ受容体と野生型α7−nAChRとの間の両方で、効能(EC50)および電流の流れ(Imax)の差が観察され、操作された受容体の細胞外ドメインに寄与するドメインがチャネル特性において影響的な役割を果たすことを示唆した。これらの操作されたチャネルにおけるアミノ酸置換は、チャネルの応答性をさらに変化させ、場合によっては、異なるリガンドに対して示差的に変化させた。これらの結果は、独特のチャネル特性を有するLGIC受容体のツールボックスを操作することができ、疾患におけるニューロンの活性を制御するために使用することができる治療薬の開発のための道筋を提供することを示す。
材料および方法
受容体構築:個々の親キメラ受容体を、標準的な分子生物学的技術によって、BamHI部位およびEcoRI部位を使用してpcDNA3.1(+)(Invitrogen)にクローニングした。部位特異的変異誘発によってアミノ酸置換が導入された。
プレートリーダーYFPクエンチアッセイ:Lenti−X 293T細胞(LX293T、Clontech)を、10%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を含有するDMEM中で維持した。プレートリーダーアッセイの場合、LX293T細胞をレンチウイルスに感染させて、変異YFP(H148Q/I152L)レポーターを安定して発現する細胞を作製し、これは、アッセイの2日前に陰イオンに対する増強された感受性を示し、細胞を、ポリ−dリジンでコーティングされた96ウェル組織培養プレート中で20,000細胞/ウェルの密度で分割した(Thermo Scientific)。翌日、標準Fugeneプロトコル(Promega)を使用して、細胞を1ウェル当たり0.1μgのDNAで過渡的にトランスフェクトした。アッセイ当日、細胞を1×の細胞外溶液(1×ECS:140mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl2、2mMのCaCl2、10mMのHEPES、10mMのブドウ糖、pH7.2、mOsms300)中で2回洗浄した。最後の洗浄後、100μLの1XECSをウェルに添加し、プレートを37℃で30分間インキュベートした。プレートをインキュベートしている間、薬物を1×ECS−NaI(140mMのNaClを140mMのNaIに置き換えたこと以外は1×ECSと同じ成分)中で2倍濃度に希釈した。その後、プレートをFlexstation 3(Molecular Devices)で読み取った。プレートの各ウェル、一度に8ウェルを、Flexstation 3(分子デバイス)を使用して、以下のように2分間読み取る:1)ベースラインYFP蛍光を17秒間読み取り、2)100μLのリガンドを添加し、3)次いで、残りの時間は1.3秒ごとにYFP蛍光の変化を測定する。
電気生理学:HEK293T研究については、標準的な組み換え技法を使用して、イオンチャネルをコードするcDNAをpcDNA 3.1にクローニングした。ClontechからのHEK293T細胞(Lenti−X(商標)293T細胞株)を、標準細胞培養プロトコルを使用して10%のFBSおよび1%のPen/Strepを40〜50%コンフルエンスまで補充したDMEM中で培養し、Fugene 6を使用して15cmのディッシュ当たり18μgの濃度でイオンチャネルプラスミドでトランスフェクトし、さらに24時間成長させた。次いで、細胞をミディアムスループット電気生理学システム(IonFluxHTおよび/またはMercury、Fluxion Biosciences)上でアッセイし、用量応答関係は、全細胞構成を確立するためのマイクロフルイディクスに基づくプラットフォームを通じて評価され得る。アンサンブルプレートに、LynaghおよびLynchから適応されるような、細胞外緩衝液(140mMのNaCl、5mMのKCl、2mMのCaCl2、1mMのMgCl2、10mMのHEPES、および10mMのグルコース、NaOHを用いてpH7.2、mOsm310)、細胞内緩衝液(145mMのCsCl、2mMのCaCl2、2mMのMgCl2、10mMのHEPES、および10mMのEGTA、CsOHでpH7.2、mOsm305)をプライミングし、試験化合物(新鮮に調製されたストック)を細胞外緩衝液中で希釈した。次いで、Accutaseを用いて細胞をプレートから解放し、遠心分離し、細胞外緩衝液中に再懸濁し、アンサンブルプレートに充填した。次いで、細胞をプライミング、トラップ、破壊、および全細胞構成の確立のための標準的なプロトコルに供し、細胞は、記録を通して−60mVで保持された。ベースラインを記録した後、IonFluxソフトウェアを用いて、進行用量の試験化合物を適用し、用量応答関係を評価した。次いで、データを.csvフォーマットに変換し、トレースを再プロットし、QC測定値を適用して不安定な記録を拒否する(すなわち、ベースラインにおけるアクセス抵抗および/または標準偏差に基づく閾値、ならびに人工物拒否)ために、カスタム化したPythonスクリプトを用いてオフラインでデータを分析した。その後、ピーク電流を計算し、Hill方程式によって説明されるように4パラメータ論理方程式を用いて集団データを適合させた
アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞研究では、0.04μg/μLの最終濃度のイオンチャネルをコードするcDNAの注入を、独自の自動注入デバイスを用いて実施し、少なくとも2日後に、受容体発現を調べた。卵母細胞を、2つの電極で突き、実験を通じてそれらの膜電位を−80mVで維持した。全ての記録を18℃で行い、細胞を、mM単位の:NaCl 82.5、KCl 2.5、HEPES 5、CaCl2.2H2O 1.8、MgCl2.6H2O 1、pH7.4を含有するOR2培地で灌流した。卵母細胞が十分に低い保持電流を有する場合、記録が進行し、その場合、続いて、それらをリガンドまたは試験化合物の適用(5〜10秒の洗浄間隔)に供し、投与間に100秒の洗浄を行った。アセチルコリンまたは他のアゴニストによって誘発された電流を、標準的な2つの電極電圧クランプ構成(TEVC)を備えた自動化プロセスを使用して記録した。Matlab(Mathworks Inc.)の下で動作するHiQScreen独自データ取得および分析ソフトウェアを使用してデータを取り込み、分析した。アセチルコリンを水中の濃縮原液(10〜1M)として調製し、次いで記録培地中で希釈し、所望の試験濃度を得た。ニコチンを原液(10〜1M)として水中で希釈し、冷凍したまま、所望の濃度で実験直前に希釈した。化合物を、OR2中の原液(10〜1M)として調製し、次いで、記録培地中で希釈して、所望の試験濃度を得た。化合物−1のための原液を、HClで調整したpH5でOR2中で作製した。この原液の最終濃度での希釈が有意な変化を導入しなかったことを評価するために、最終溶液のpHを、比色アッセイを使用して確認した(Galietta L.J.V.ら.2001.FEBS Letters 499:220−224.Kruger W.ら.(2005).Neuroscience Letters 380:340−345.)。
結果
ヒト「α7−nAChR」の非天然小分子アゴニストへの曝露後に陰イオン電流を伝導するLGICを生成するために、α7−nAChRのリガンド結合ドメインに融合したヒトGlyR α1サブユニットの塩化物導入イオン孔ドメインを含む融合タンパク質を操作した。いくつかの融合タンパク質では、α7−nAChRのβ1−β2ループ配列および/またはCysループ配列を、GlyR α1からの対応する配列に置き換えた(図4の概略図を参照されたい)。他の融合タンパク質において、細胞外ドメインの3’配列とイオン孔ドメインの5’配列との間のジャンクション部位(「プレM1リンカー」)はシフトした。さらに他の融合タンパク質において、GlyR α1イオン孔ドメインの膜貫通ドメイン2と膜貫通ドメイン3との間の細胞外ループ配列(「M1−M2リンカー」)を、α7−nAChRからの対応するM1−M3リンカー配列に置き換えた。これらの操作されたキメラLGICの、天然リガンドであるアセチルコリンの用量範囲に対する応答を、アセチルコリンを1秒間適用した後の電気生理学によって評価した。各チャネルについて異なるEC50、Imax値、および脱感作動態が観察され(図3)、これらは、キメラのイオン孔ドメインに寄与するタンパク質の細胞外領域に対応するチャネル異種配列のリガンド結合ドメインに含めることが、イオンチャネルの特性を変化させることを示唆した。
チャネルに挿入されていた異種ドメインの影響をよりよく理解するために、野生型α7−nAChRのリガンド依存性応答プロファイルおよびアセチルコリンならびに非天然リガンドTC−6987、AZD−0328、およびファシニクリン/RG3487に対する様々な操作されたキメラLGIC受容体を評価した。受容体をHEK291T細胞において過渡的に発現させ、薬物を1秒添加した後、自動パッチクランプシステム(Fluxion Biosciences)上で電流を測定した。細胞外ドメインにGlyRα1 Cysループ配列を含めると、操作された受容体上の全ての小分子の効力が増加した(EC50における左向きのシフト)(例えば、配列番号35、図4C、対、配列番号16、図4B)。異種Cysループ配列の長さを増加させることは、全ての化合物についてEC50を控えめに右向きにシフトさせたが、Imax値を有意に増加させ(配列番号33、図4D、対、配列番号35、図4C)、このことは、有効性の控えめな低下を示したが、全体的な伝導性の増加を示した。細胞外ドメインにGlyR α1のCysループ配列およびβ1−β2ループ配列の両方を含めることにより、完全なCysループ配列だけで観察されたものと比較して感度が約1log低下したが、さらに導電性が約2倍増加し、チャネルの不活性化速度が遅くなった(配列番号41、図4E、対、配列番号33、図4D)。これらの結果は、受容体がアフリカツメガエル卵母細胞で発現され、増加用量の化合物の10秒間の適用後に手動パッチクランプシステムで電流を測定した第2のモデル系で確認された(図5)。
全体的に、配列番号33は、野生型α7−nAChRとほぼ同様に、アセチルコリン、ABT−126、およびTC−6987に対して感受性であり、TC−6987は、野生型と同様に配列番号33に対して部分アゴニスト活性を示す。配列番号33は、野生型よりもニコチンに対する感受性が約2倍低く、AZD−0328およびファシニクリン/RG3487に対する感受性がそれぞれ約3倍および10倍低い。GlyR α1由来のβ1−β2ループドメインをさらに含む配列番号41は、野生型α7−nAChRと比較してみるとABT−126、TC−6987、およびAZD−0328に対して感受性があるが、アセチルコリンおよびニコチンに対しては感受性が低く、配列番号41のアセチルコリンおよびニコチンについてのEC50は、野生型よりも約4倍および7倍大きい(右方向のシフト)。配列番号41は、配列番号33よりもファシニクリン/RG3487に対して感受性が低いが、なお野生型よりもファシニクリン/RG3487に対して感受性が高く、EC50は、約2倍低い(左方向のシフト)(図5)。
操作されたLGIC受容体の天然および非天然リガンドに対する応答性をさらに調整するために、α7−nAChR中の各リガンドの結合ポケットをモデル化し、結合ポケットを形成するアミノ酸残基をマッピングした。次いで、変異キメラLGICのライブラリを生成し、各変異キメラLGICは、結合ポケットの1つ以上のアミノ酸内の置換を含む。リガンドに対する新規な応答プロファイルを有するものについて、これらの変異LGICをスクリーニングするために、より高いスループット形式でチャネルの機能を評価するために、陰イオンレポーターアッセイを開発した。このアッセイでは、蛍光が陰イオンの存在下でクエンチされるYFPレポーターを発現する細胞を、目的のチャネルをコードするDNAでトランスフェクトする。リガンドに曝露すると、活性化されたチャネルは陰イオンを流動させ、プレートリーダー上で検出することができるYFPの用量依存性クエンチをもたらす。図6は、経時のYFP蛍光のクエンチにより測定されるような、増加濃度のアセチルコリンに対する4つの操作されたキメラLGIC受容体(配列番号29、配列番号33、配列番号35、配列番号41)の応答を示す。これらのクエンチプロットは、電気生理学と陰イオンレポーターアプローチとの間の比較性を示す。図7は、操作されたキメラLGIC受容体、配列番号33および配列番号41の、アセチルコリン(ACH)またはAZD−0328のいずれかに対するクエンチプロットを提供する。親キメラは、同様の濃度の異なるリガンドに対して異なって反応する。
親キメラ配列番号33に基づく変異キメラLGIC受容体のライブラリを、陰イオンレポータープレートリーダーアッセイを使用して、アセチルコリンおよびAZD−0328に対する応答性についてスクリーニングした。図8は、様々な用量のアセチルコリンまたはAZD−0328のいずれかによる刺激後のYFP蛍光のクエンチのパーセントのヒートマップを提供する。多くのアミノ酸置換は、両方のリガンドに対する応答性を低下させた(図8A〜F、EC50における右向きのシフト)か、またはリガンドに対する応答性を増加させ(図8I、EC50における左向きのシフト)たかのいずれかであり、これは、両方の化合物による結合および活性化に重要なアミノ酸における重複を示唆する。しかし、アセチルコリンに応答して左方向のシフトを示すが、AZD−0328に応答して右方向のシフトを示す変異体(図8G)、または親キメラと比較してはるかに右方向へのシフトを示すが、AZD−0328に応答して有意な変化を示さない変異体(図8H)も同定され、リガンドへの応答を分離する単一の変異の能力を実証した。
異なるリガンドのEC50をより良く特徴付けるために、目的のいくつかの変異体について用量応答曲線を作製した(図9)。非変異の配列番号33のものと比較して、配列番号33における置換L131S、L131T、およびS172Dは、アセチルコリンについてのEC50において2log以上の増加をもたらしたが、AZD−0328についてのEC50においてはわずかな増加(1log以下、場合によっては0.5log未満)のみをもたらした(図9)。W77Mの置換は、アセチルコリンに対する応答性に変化をもたらさなかったが、AZD−0328に対するEC50において有意な増加(>2log)をもたらした。これらの用量応答曲線は、ある特定のアミノ酸残基の置換が、親キメラ上で観察されたものから選択されたリガンドのEC50を劇的に変化させることができることを確認した。
プレートリーダーによって決定されたEC50を確認するとともに、最大電流流量のより良好な理解を形成するために、L131S、L131T、S172D、およびW77M変異を電気生理学を使用してアッセイした。L131Sの置換が、親キメラ配列番号33に対してアセチルコリンのEC50において有意な右向きへのシフト(約2log、80〜100倍)を引き起こしたが、一方で、AZD−0328に対するEC50は、単に2倍の右向きへのシフトであることを示す。(図10A)代わりに残基131をTで置換することは、さらに大きな影響を有し、EC50において、アセチルコリンに対しては約2.5log、AZD−0328に対しては約1logの右向きシフトをもたらした(図10D)。S172Dの置換はまた、親キメラと比較して、アセチルコリンのEC50において著しい右方向のシフト(約2log、または58倍)を引き起こしたが、S172Dに対するAZD−0328のEC50は、2倍の右方向のシフトのみである。W77Mの置換は、親キメラと比較して、アセチルコリンのEC50において中程度の左向きのシフト(2倍)を引き起こすが、W77Mに対するAZD−0328のEC50は、著しく右向きにシフトしている(2.5log超)。これらの結果は、プレートリーダーによって観察される単一点変異によるアセチルコリンおよび非天然リガンド応答の脱カップリングの電気生理学的確認を提供する。
実施例2.動物モデルにおける疾患を治療するための操作された受容体の有効性の評価
α7−nAChRからのリガンド結合ドメインおよびヒトGlyR α1サブユニットからの塩化物導入イオン孔ドメインを含むキメラLGIC受容体は、小分子リガンドの投与後の神経障害性疼痛のラットモデルにおいて鎮痛を提供するそれらの有効性について評価される。
材料および方法
AAVベクター産生:8つの発現カセットは、標準的な分子生物学的技法を使用して構築される。いずれも、α7−nAChRのリガンド結合ドメインならびにGlyR α1のCysループドメインおよびイオン孔ドメインを含む操作されたキメラ受容体に連結したヒトシナプシン−1(hSYN)プロモーターを含有する。それらのデザインは以下の通りである:
(a)キメラ1:追加変更なし。
(b)キメラ2:1と同様であるが、図8Hからのアミノ酸置換も含み、このアミノ酸置換は、操作された受容体を、野生型受容体またはそれが由来する親キメラ受容体のいずれかよりもアセチルコリンに対する応答性を低くするが、非天然リガンドAZD−0328に対する受容体の応答性を維持する。
(c)キメラ3:1と同様であるが、図8A〜Fからのアミノ酸置換も含み、このアミノ酸置換は、操作された受容体を、野生型受容体またはそれが由来する親キメラ受容体のいずれかよりもアセチルコリンおよび非天然リガンドの両方に対する応答を低くする。
(d)キメラ4:同様であるが、図8Iからのアミノ酸置換を含み、このアミノ酸置換は、非天然リガンドAZD−0328およびファシニクリンのEC50を野生型受容体レベル程度に回復させる。
(e)キメラ5:1と同じであるが、GlyR α1からのβ1−2ループドメインも含む。
(f)キメラ6:2と同じであるが、GlyR α1からのβ1−2ループドメインも含む。
(g)キメラ7:3と同じであるが、GlyR α1由来のβ1−2ループドメインも含む。
(h)キメラ8:4と同じであるが、GlyR α1からのβ1−2ループドメインも含む。
これらのカセットをAAVバクミドにサブクローニングし、精製し、Sf9昆虫細胞にトランスフェクションして、組み換えバクブロウイルスを産生し、次いで増幅する。Sf9細胞は、hSYN−α7−nAChR/GlyRα1カセットを含有する増幅された組換えバキュロウイルスおよびRepおよびAAV6(Y705+731F+T492V)キャップ遺伝子を含有する別の組換えバキュロウイルスを使用して、二重感染させ、組換えAAVベクターを産生する。ウイルスベクターは、精製され、qPCRを使用してウイルス力価を決定され、SDS−PAGEを使用して、AAVベクターの純度が検証される。
行動実験および疼痛モデル:神経障害性疼痛状態を模倣するモデルにおいて機械的過敏症を生じるために、神経部分損傷(SNI)モデル(機械的異痛症の検証済みモデル)が使用される(Shieldsら、2003、The Journal of Pain、4、465−470)。このモデルは、総腓骨神経と腓腹神経を切断し、脛骨分枝を隔離することによって作製される。機械的離脱閾値は、高いワイヤーメッシュグリッド上にラットを配置し、von Freyフィラメントで後肢の足底表面を刺激することによって評価される。
ラットの脊髄へのAAV注射:腰部脊髄の2セグメント(約1.5〜2mm)を露出させるために腰膨大のレベルで背側ヘ片側椎弓切除術を行い、その後、硬膜を切開し、反映させた。ウイルス溶液をガラスマイクロピペット(ミネラルオイルをあらかじめ充填したもの)に充填する。マイクロピペットは、定位装置に取り付けられた手動マイクロインジェクタに接続される。ウイルス溶液は、背角(左側)を標的とする。露出した領域内の吻側−尾側の軸に沿って、各240nlの6回の注入を等距離線状様式で行う。各注入後、1分間の休止時間を観測し、次に、筋肉層を縫合し、皮膚をステープルで閉じ、動物を加熱パッドを用いて回復させてから、各自のホームケージに戻した。動物は、最後の行動テスト後に、組織学的分析のために灌流される。
ラットの背根神経節(DRG)へのAAV神経節内注射:注入は、微細先端まで引かれた状態の、注入ポンプに取り付けられたシリンジにポリエチレンチューブ(0.4/0.8mmの内径/外径)により連結したホウケイ酸ガラスキャピラリー(0.78/1mmの内径/外径)を用いて、実施される。ニードルは、(ニードルのみを保持し、操作するために使用される)外側に揺動した定位フレームの延伸アームに取り付けられる。チューブ、シリンジ、およびニードルはすべて水で充填されている。1マイクロリットルの空気をニードルに取り込み、続いて、3μLのウイルスベクター溶液を取り込む。注射ごとにこの容量で別々にニードルを充填する。手術前に動物に麻酔をかける。背正中線に沿って切開した後、L4およびおL5のDRGが、脊椎の側方小結節を除去することによって、露出される。DRGの上にある神経上膜が開放され、露出された神経節の表面から400μmの深さまで、ガラスニードルが神経節に挿入される。ガラスキャピラリー先端周囲の組織の封着を可能にするために3分間遅滞させた後、1.1μLのウイルス溶液を0.2μL/分の速度で注入した。さらに2分間遅滞させた後、ニードルを取り出す。L4神経節に最初注射し、続いて、L5神経節に注射する。脊髄を覆う筋肉は、5−0縫合糸で緩やかに縫合され、傷口が閉鎖される。動物は37℃で回復させておき、術後鎮痛剤を受ける。
ラットにおけるAAV髄腔内注射:ラットは最初に麻酔をかけられ、その後、頭を定位フレームに固定された状態で、垂直に配置される。首の付け根に切開を行い、項部頂部の溝を露出させる。脳脊髄液が漏出するような深さまで、槽膜内に切開(1〜2mm)を行う。続いて、4cmの32Gの髄腔内カテーテルを脊髄腰部の方向にゆっくり挿入し、カテーテルの周りを縫合して皮膚を閉鎖する。次いで、ラットを回復させておく。次いで、ラットを麻酔し、ベクター(6μL)を投与する。カテーテルを6μLのPBSでフラッシュし、次いで除去し、ラットを回復させておく。
結果
このSNIモデルは、ラットの総腓骨神経と腓腹神経を切断し、脛骨分枝を隔離することによって作製される。ChaplanおよびYakshのアップダウン法を用いて、AAV.hSYN−α7−nAChR/GlyRα1を脊髄、DRG、または髄腔内空間に注入する前に機械的閾値を決定する。一方的ベクター注射の3週間後、動物を再び試験して、それらの機械的離脱閾値が変化しないことを検証する。最高回転数33rpmの加速ロータロッド(Stoelting、USA)を使用して、運動協調性も注入の前後に試験する。ラットがロータロッドに費やす持続時間が記録され、カットオフは300秒とした。各ラットは3つの訓練試験を経て、2時間後に検査を受ける。キメラ1およびキメラ5を受けた動物は、合成リガンドの不在下でさえ、多少の鎮痛を経験するようであり、これは、天然に存在するレベルのアセチルコリンがキメラ受容体を活性化している可能性があることを示唆している。試験中の残りの動物は、AAVの注入に起因する機械的離脱または運動協調性において変化を示さない。
続いて、各キメラコホート内のラットの半分は、AZD−0328またはファシニクリンの単回IP注射を投与され、IP注射の1日後、2日後、5日後、7日後、および13日後にアップダウン法を用いて機械的閾値を試験される。高用量のリガンドで試験する場合、すべてのラットにおいて機械的過敏症の完全な逆転が観察される。低用量で試験される場合、キメラ1、2、4、5、6、および8を受けるラットは、機械的過敏症の完全な逆転を経験するが、一方で、キメラ3および7(非天然リガンドに対する応答性を低減する置換を含むが、その効果を抑制する置換を含まない)を受けるラットは、過敏症の部分的な逆転のみを経験する。対側に変化はなく、すなわち、AZD−0328は、ベクターの不在下で測定可能な効果を有さない。逆転は少なくとも2日間続いた。3日目、閾値が傷害後ベースラインに戻ったときに、AZD−0328を再びIP注射し、再度、非傷害ベースライン閾値への回復が観察される。これらの動物を48時間追跡し、閾値はベースラインにとどまった。次いで、動物は組織学のために灌流される。
実施例3.慢性疼痛を患っている患者の治療
非限定的な例では、慢性根性性疼痛を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、1つ以上の背根神経節に直接送達される(すなわち、腰部、頚部、または胸部DRGへの神経節内対流増強送達)、1.0mLの容積のAAV.hSYN−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトシナプシン−1(SYN1)プロモーターの制御下でα7−nAChR/GlyRα1キメラをコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、必要に応じて(すなわち、疼痛エピソード中)、0.1mg/kgのAZD−0328を経口的に自己投与する。
実施例4.慢性疼痛を患っている患者の治療
非限定的な例では、慢性頭蓋顔面痛(例えば、三叉神経痛または側頭下顎関節機能障害)を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、三叉神経節に直接送達される(すなわち、神経節内対流増強送達)、0.150mLの容積のAAV.hSYN−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトシナプシン−1(SYN1)プロモーターの制御下でα7−nAChR/GlyRα1キメラをコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、必要に応じて(すなわち、疼痛エピソード中)、0.1mg/kgのAZD−0328を経口的に自己投与する。
実施例5.肥満を患っている患者の治療
非限定的な例では、肥満を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、1013のAAVベクターゲノムで治療される。迷走神経の胃岐(すなわち、神経内)に直接送達される1.0mLの容積のグレリン−α7−nAChR/GlyRα1。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトグレリンプロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、過剰な体重減少のため(すなわち、食欲抑制のため)に、0.1mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例6.肥満を患っている患者の治療
非限定的な例では、肥満を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、膵臓を神経支配する背根神経節に直接送達される(すなわち、神経節内)、1.0mLの容積のAAV−TRPV1−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトTRPV1プロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、過剰な体重減少のために0.1mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例7.肥満を患っている患者の治療
非限定的な例では、肥満を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、視床下部の室傍核(PVH)に直接送達される(すなわち、頭蓋内対流増強送達)、1.0mLの容積のAAV−SIM1−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、プロオピオメラノコルチン(POMC)ニューロンにおける選択的ニューロン発現および最終的な食欲抑制経路の刺激のためのヒトシングルマインドファミリーBHLH転写因子1(SIM1)プロモーターの制御下で操作されたチャネルをコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、過剰な体重減少のため(すなわち、食欲抑制のため)に、0.15mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例8.PTSDを患っている患者の治療
非限定的な例では、外傷後ストレス障害(PTSD)を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、C6星状神経節に直接送達される(すなわち、神経節内)、1.0mLの容積のAAV−hSYN1−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトシナプシン−1(hSYN1)プロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、PTSD症状(すなわち、不安)のために0.15mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例9.うつ病を患っている患者の治療
非限定的な例では、治療抵抗性うつ病(TRD)を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、迷走神経に直接送達される(すなわち、神経内)、1.0mLの容積のAAV−hSYN1−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトシナプシン−1(hSYN1)プロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、うつ病症状に対して0.1mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例10.GERDを患っている患者の治療
非限定的な例では、胃食道逆流症(GERD)を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、それぞれ下部食道括約筋(LES)迷走神経および腸筋層間神経叢(すなわち、神経内)または平滑筋(筋肉内)に直接送達される1.0mLの容積のAAV−hSYN1−α7−nAChR/GlyRα1またはAAV−CAG−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、選択的ニューロン発現のためのヒトシナプシン−1(hSYN1)プロモーターまたはLES筋細胞における発現のためのCAGプロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、GERDの症状(すなわち、酸逆流)に対して、0.15mg/kgのAD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例11.てんかんを患っている患者の治療
非限定的な例では、てんかんに関連する発作を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、運動皮質などの所定の発作焦点に直接送達される(すなわち、頭蓋内)、1.0mLの容積のAAV−CamKIIα−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、興奮性ニューロンにおける選択的ニューロン発現のためのヒトカルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIα(CamKIIα)プロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、てんかん症状(すなわち、発作)に対して、0.1mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
実施例12.運動障害を患っている患者の治療
非限定的な例では、運動障害(例えば、パーキンソン病の振戦)を患っている患者は、本明細書に開示される組成物および方法を使用して治療される。患者は、1日目に、視床下核(すなわち、頭蓋内STN)に直接送達される、1.0mLの容積のAAV−CamKIIα−α7−nAChR/GlyRα1の1013ベクターゲノムで治療される。この実施例では、AAVベクターは、興奮性ニューロンにおける選択的ニューロン発現のためのヒトカルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼIIα(CamKIIα)プロモーターの制御下で操作された受容体をコードする。注射の2週間後に、患者はAZD−0328の処方のために診療所に戻る。患者は、運動障害の症状(すなわち、振戦)に対して、0.1mg/kgのAZD−0328を毎日経口的に自己投与する。
前述は、本開示の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明白に説明または示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる種々のアレンジメントを考案することができるであろうことを理解されたい。さらに、本明細書に列挙されるすべての実施例および条件付き言語は、主に、読み手が本開示の原理および本発明者が当技術の進歩に寄与する概念を理解するのを支援することを意図しており、かかる具体的に列挙される実施例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は、構造に関係なく、現在既知の均等物および将来開発されるであろう均等物、すなわち、同じ機能を実行するように開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。したがって、本開示の範囲は、本明細書に示され説明される例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本開示の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。

Claims (34)

  1. 操作された受容体であって、前記操作された受容体が、キメラリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体であり、
    (a)第1の野生型CysループLGIC受容体に由来するリガンド結合ドメインと、
    (b)第2の野生型CysループLGIC受容体からのCysループドメインと、
    (c)前記第2の野生型CysループLGIC受容体に由来するイオン孔ドメインと、を含む、操作された受容体。
  2. 前記受容体が、前記第2の野生型CysループLGIC受容体からのβ1−2ループドメインをさらに含む、請求項1に記載の操作された受容体。
  3. 前記第1および前記第2の野生型CysループLGIC受容体が異なる、請求項1または2に記載の操作された受容体。
  4. 前記第1の野生型CysループLGIC受容体が、ヒトα7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7−nAChR、配列番号4)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の操作された受容体。
  5. 前記第2の野生型CysループLGIC受容体が、ヒトグリシン受容体α1サブユニット(GlyRα1、配列番号2)である、請求項3または4に記載の操作された受容体。
  6. 前記Cysループドメインが、配列番号2のアミノ酸166〜180を含む、請求項5に記載の操作された受容体。
  7. 前記Cysループドメインが、配列番号2のアミノ酸166〜172を含む、請求項5に記載の操作された受容体。
  8. 前記β1−2ループドメインが、配列番号2のアミノ酸81〜84を含む、請求項5に記載の操作された受容体。
  9. 前記リガンド結合ドメインが、W77、Y94、R101、W108、Y115、T128、N129、V130、L131、Q139、L141、Y151、S170、W171、S172、S188、Y190、Y210、C212、C213、およびY217からなる群から選択されるα7−nAChRの残基に対応する残基の1つ以上のアミノ酸置換を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の操作された受容体。
  10. 前記1つ以上のアミノ酸置換が、前記受容体上の非天然リガンドの効力を実質的に維持しながら、前記受容体上のアセチルコリンの効力を低下させる、機能喪失変異である、請求項9に記載の操作された受容体。
  11. 前記置換が、α7−nAChRのL131S、L131T、L131D、またはS172Dに対応する置換から選択される、請求項10に記載の操作された受容体。
  12. 前記非天然リガンドが、AZD−0328、TC6987、ABT−126、およびファシニクリン/RG3487から選択される、請求項10に記載の操作された受容体。
  13. 前記1つ以上のアミノ酸置換が、前記受容体上のアセチルコリンの効力を増加させる、機能獲得変異である、請求項9に記載の操作された受容体。
  14. 前記置換が、α7−nAChRのL131N、L141W、S170G、S170A、S170L、S170I、S170V、S170P、S170F、S170M、S170T、S170C、S172T、S172C、S188I、S188V、S188F、S188M、S188Q、S188T、S188P、またはS188Wに対応する置換から選択される、請求項13に記載の操作された受容体。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の操作された受容体をコードするポリヌクレオチド。
  16. 請求項15に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  17. 前記ベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、および単純ヘルペス1型ウイルスベクター(HSV−1)からなる群から選択されるウイルスベクターである、請求項16に記載のベクター。
  18. 前記AAVベクターが、AAV5もしくはそのバリアント、AAV6もしくはそのバリアント、またはAAV9もしくはそのバリアントである、請求項17に記載のウイルスベクター。
  19. 請求項15に記載のポリヌクレオチド、または請求項16〜18のいずれか一項に記載のベクターと、薬学的に許容されるビヒクルとを含む、薬学的組成物。
  20. 神経障害を改善する必要がある対象において神経障害を改善する方法であって、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の操作されたリガンド依存性イオンチャネル(LGIC)受容体をコードするポリヌクレオチドを前記対象に投与することと、
    前記対象に、前記操作されたLGIC受容体のアゴニストとして作用する結合剤を投与することと、を含む、方法。
  21. 前記ポリヌクレオチドが、非ウイルス法によって前記対象に投与される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記非ウイルス法が、リポフェクション、ナノ粒子送達、微粒子銃、エレクトロポレーション、超音波処理、またはマイクロインジェクションである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ポリヌクレオチドが、ウイルスベクターにて前記対象に送達される、請求項20に記載の方法。
  24. 前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、または単純ヘルペス1型ウイルスベクター(HSV−1)である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記AAVベクターが、AAV5もしくはそのバリアント、AAV6もしくはそのバリアント、またはAAV9もしくはそのバリアントである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記操作された受容体が、興奮性細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結されている、請求項20〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記興奮性細胞が、ニューロンまたは筋細胞である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記ニューロンが、背根神経節、運動ニューロン、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、または感覚ニューロンである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記対象が、疼痛、発作性障害、運動障害、摂食障害、脊髄損傷、神経因性膀胱、痙攣性障害、または掻痒を患っている、請求項20〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記対象が、アルツハイマー病、パーキンソン病、外傷後ストレス障害(PTSD)、胃食道逆流症(GERD)、中毒、不安感、うつ病、記憶喪失、認知症、睡眠時無呼吸、脳卒中、ナルコレプシー、尿失禁、本態性振戦、運動障害、または心房細動を患っている、請求項20〜28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記結合剤が、AZD0328、ABT−126、TC6987、またはファシニクリン/RG3487からなる群から選択される、請求項20〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記ポリヌクレオチドが、皮下、経口、髄腔内、局所、静脈内、神経節内、神経内、頭蓋内、脊髄内、または大槽内に投与される、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記結合剤が、経口、皮下、局所、または静脈内に投与される、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記対象がヒトである、請求項20〜33のいずれか一項に記載の方法。
JP2020546302A 2017-11-27 2018-11-27 神経疾患のための組成物および方法 Pending JP2021503960A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201762590911P 2017-11-27 2017-11-27
US62/590,911 2017-11-27
US201862659911P 2018-04-19 2018-04-19
US62/659,911 2018-04-19
PCT/US2018/062575 WO2019104307A1 (en) 2017-11-27 2018-11-27 Compositions and methods for neurological diseases

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021503960A true JP2021503960A (ja) 2021-02-15
JP2021503960A5 JP2021503960A5 (ja) 2022-01-04

Family

ID=66632192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020546302A Pending JP2021503960A (ja) 2017-11-27 2018-11-27 神経疾患のための組成物および方法

Country Status (11)

Country Link
US (2) US10538571B2 (ja)
EP (1) EP3716990A4 (ja)
JP (1) JP2021503960A (ja)
KR (1) KR20200112811A (ja)
CN (1) CN111741760A (ja)
AU (1) AU2018373279A1 (ja)
CA (1) CA3082907A1 (ja)
IL (1) IL274702A (ja)
MX (1) MX2020005470A (ja)
SG (1) SG11202004488TA (ja)
WO (1) WO2019104307A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022545226A (ja) * 2019-08-21 2022-10-26 コーダ バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド 神経学的疾患のための組成物および方法
US20230102192A1 (en) * 2020-02-20 2023-03-30 The Regents Of The University Of California Therapies for the treatment of diseases and disorders associated with abnormal expression of a neural-associated gene
BR112023003167A2 (pt) * 2020-08-21 2023-05-02 Trames Bio Inc Composições e métodos para doenças neurológicas
US20230381125A1 (en) * 2020-09-25 2023-11-30 The Regents Of The University Of California Compositions and methods for ameliorating medical conditions
CA3205877A1 (en) * 2021-01-25 2022-07-28 Annahita KERAVALA Adeno-associated virus capsids and engineered ligand-gated ion channels for treating focal epilepsy and neuropathic pain
WO2023278295A1 (en) 2021-06-29 2023-01-05 The Broad Institute, Inc. Compositions and methods for ameliorating anterodorsal thalamus hyperexcitability
CN113730809A (zh) * 2021-10-09 2021-12-03 西安科悦医疗股份有限公司 一种非侵入式迷走神经联合骶神经刺激装置
WO2023159208A2 (en) * 2022-02-18 2023-08-24 Trames Bio, Inc. Compositions and methods for neurological diseases

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012504966A (ja) * 2008-10-09 2012-03-01 ハワード ヒューズ メディカル インスティチュート 新規なキメラリガンド開口型イオンチャネルおよびその使用方法
US20170190758A1 (en) * 2012-12-10 2017-07-06 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Engineered receptors and their use

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1994020617A2 (en) * 1993-03-08 1994-09-15 The Salk Institute Biotechnology/Industrial Associates, Incorporated Human neuronal nicotinic acetylcholine receptor compositions and methods employing same
PT733103E (pt) 1993-11-09 2004-07-30 Targeted Genetics Corp Criacao de elevados titulos de vectores de aav recombinantes
EP0893950A4 (en) 1996-03-26 2002-02-27 Univ California SELECTIVE TARGET CELL ACTIVATION BY EXPRESSION OF A RECEPTOR SPECIFICALLY ACTIVATED BY SYNTHETIC LIGANDS
FR2756297B1 (fr) 1996-11-22 1999-01-08 Centre Nat Rech Scient Procede de production de virus recombinants
AU8672198A (en) 1997-07-31 1999-02-22 Chiron Corporation Method enabling readministration of aav vector via immunosuppression of host
CA2302992C (en) 1997-09-05 2011-11-01 Targeted Genetics Corporation Methods for generating high titer helper-free preparations of recombinant aav vectors
US6566118B1 (en) 1997-09-05 2003-05-20 Targeted Genetics Corporation Methods for generating high titer helper-free preparations of released recombinant AAV vectors
US6995006B2 (en) 1997-09-05 2006-02-07 Targeted Genetics Corporation Methods for generating high titer helper-free preparations of released recombinant AAV vectors
JP2002538770A (ja) 1998-11-10 2002-11-19 ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル ウイルスベクターとその製造及び投与の方法
EP1180142A2 (en) 1999-05-27 2002-02-20 PHARMACIA & UPJOHN COMPANY Methods and compositions for measuring ion channel conductance
US6498244B1 (en) 1999-05-28 2002-12-24 Cell Genesys, Inc. Adeno-associated virus capsid immunologic determinants
US6399385B1 (en) 1999-09-29 2002-06-04 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Methods for rapid PEG-modification of viral vectors, compositions for enhanced gene transduction, compositions with enhanced physical stability, and uses therefor
EP1280902A2 (en) 2000-04-29 2003-02-05 Millennium Pharmaceuticals, Inc. 23949 and 32391, human ion channels and uses thereof
WO2003102156A2 (en) 2002-05-31 2003-12-11 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research Heterologous stimulus-gated ion channels and methods of using same
PT3235827T (pt) 2003-06-19 2021-04-09 Genzyme Corp Viriões aav com imunorreatividade diminuída e seus usos
US9441244B2 (en) 2003-06-30 2016-09-13 The Regents Of The University Of California Mutant adeno-associated virus virions and methods of use thereof
WO2005072364A2 (en) 2004-01-27 2005-08-11 University Of Florida A modified baculovirus expression system for production of pseudotyped raav vector
US20080289058A1 (en) 2007-05-14 2008-11-20 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Targeted delivery of glycine receptors to excitable cells
GB201404470D0 (en) 2014-03-13 2014-04-30 Ucl Business Plc Therapeutic methods and materials
US10682424B2 (en) 2015-03-31 2020-06-16 New York University Compositions and method for reducing seizures
KR20200108514A (ko) * 2015-09-17 2020-09-21 코다 바이오테라퓨틱스 인코포레이티드 신경 장애를 치료하기 위한 조성물 및 방법
WO2018009832A1 (en) 2016-07-07 2018-01-11 Scott Sternson Modified ligand-gated ion channels and methods of use
WO2018175443A1 (en) 2017-03-20 2018-09-27 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Targeted gene therapies for pain and other neuro-related disorders

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012504966A (ja) * 2008-10-09 2012-03-01 ハワード ヒューズ メディカル インスティチュート 新規なキメラリガンド開口型イオンチャネルおよびその使用方法
US20170190758A1 (en) * 2012-12-10 2017-07-06 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Engineered receptors and their use

Also Published As

Publication number Publication date
US20210061873A1 (en) 2021-03-04
KR20200112811A (ko) 2020-10-05
US20190161529A1 (en) 2019-05-30
MX2020005470A (es) 2020-11-09
AU2018373279A1 (en) 2020-06-04
SG11202004488TA (en) 2020-06-29
US10538571B2 (en) 2020-01-21
CN111741760A (zh) 2020-10-02
EP3716990A1 (en) 2020-10-07
WO2019104307A1 (en) 2019-05-31
EP3716990A4 (en) 2021-12-08
IL274702A (en) 2020-06-30
CA3082907A1 (en) 2019-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2021503960A (ja) 神経疾患のための組成物および方法
US20180193414A1 (en) Compositions and methods for treating neurological disorders
Petrs-Silva et al. Novel properties of tyrosine-mutant AAV2 vectors in the mouse retina
KR20220007056A (ko) 뇌에서 증진된 특이성을 갖는 바이러스 조성물
JP2022526398A (ja) 標的化されたIn vivoエピジェネティック抑制を介した持続性鎮痛剤
KR20220009950A (ko) 효소 발현의 조절 및 자가-불활성화를 위한 조성물 그리고 효소의 오프-타깃 활동성의 조정 방법
JP2022545226A (ja) 神経学的疾患のための組成物および方法
EP3519576A1 (en) Method for the treatment or prevention of pain or excessive neuronal activity or epilepsy
JP2023538130A (ja) 神経疾患のための組成物および方法
Fiani et al. The role of gene therapy as a valuable treatment modality for multiple spinal pathologies
WO2023159208A2 (en) Compositions and methods for neurological diseases
CN116997647A (zh) 用于治疗局灶性癫痫和神经性疼痛的腺相关病毒衣壳和工程化配体门控离子通道
WO2023159247A1 (en) Ligand gated ion channels and methods of use
JP2024505197A (ja) 焦点てんかんおよび神経因性疼痛を処置するためのアデノ随伴ウイルスカプシドおよび操作されたリガンド依存性イオンチャネル
JP2024505257A (ja) 神経セロイドリポフスチン症の遺伝子治療

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211116

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221027

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230726

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20231227

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240228