JP2021500397A - 片頭痛および群発頭痛の治療に適したゾルミトリプタン治療濃度を迅速に得る方法 - Google Patents

片頭痛および群発頭痛の治療に適したゾルミトリプタン治療濃度を迅速に得る方法 Download PDF

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Abstract

片頭痛の治療に適したトリプタン治療濃度を採用する組成物、デバイス、および方法について記載している。Tmaxが多くの対象で2分〜30分以下と速くなるゾルミトリプタン送達方法および送達装置についても記載している。

Description

本発明は、医薬品の経皮送達または皮内送達の分野に関し、より詳細にはゾルミトリプタンを含めたトリプタン類の送達に関する。
片頭痛研究財団(Migraine Research Foundation)によると、米国では3,000万人の人々が性別や年齢に関わらず片頭痛を患っている。片頭痛は4時間〜24時間続く場合がほとんどであるが、3日程度も長く続く場合もある。公表されている研究によれば、片頭痛を患う患者の63%が月に1回〜4回の片頭痛を経験している。女性の罹患率(約18%)は、喘息と糖尿病を組み合わせた数に匹敵するほどである。片頭痛で苦しむ人の約3分の1が1月に3回以上の片頭痛を患い、半数以上が重度障害であるかまたは床上安静を要すると報告されている。片頭痛は30代に最も多く、生産性や生活の質(QOL)に影響を与えるものである。片頭痛の治療に望まれる要素を調査すると、片頭痛治療における最も重要な要素の1つとして、迅速な痛みの緩和が常に最上位となる。
急性片頭痛は、日常生活に支障を来す頭痛障害であり、神経症状、胃腸症状、および自律神経症状の種々の組み合わせを伴った中程度から重度の頭痛の突発性発作によって特徴付けられるものである。前兆のない片頭痛は通例、吐き気、嘔吐や、光、音、または動きに対する過敏を伴い、治療を受けなければ4時間〜72時間続く可能性がある。かつて「普通型片頭痛」と言われた前兆のない片頭痛は、患者の約65%が経験するものである。前兆のある片頭痛は患者の約15%〜20%が経験するものであり、個々に一過性の局所的な神経症状、通常視覚症状を患う。この視覚症状は前兆として知られている。その他の残りの片頭痛患者は、この両方のタイプの片頭痛を経験する。
片頭痛患者の約4分の1が、週に1回または複数回のエピソードに見舞われる。急性片頭痛に付随する最も不快な症状は吐き気と嘔吐である。患者のうちの大多数(約90%)が吐き気を催し、約70%が嘔吐を経験し、一般的に3分の1の患者が発作毎にこれら両方の症状を経験する。
群発頭痛は、通例毎日、1週間以上の期間、一般的には6週間〜12週間にわたり、周期(「群発」)的に繰り返し生じる非常に激しい頭痛である。慢性的な群発頭痛は、寛解することなく1年以上もの間続くことになる。群発頭痛は医学において知られる最も酷い頭痛の1つであると考えられており、片頭痛よりも重篤な痛みをもたらすことがわかっている。群発頭痛の発作は、約47%のケースで日中か夜間に、特に就寝中の同じ時間帯に繰り返し発生している。群発期は何年にもわたり同じ時間帯に開始し、同様の長さ続く可能性がある。こうした再発パターンの主原因は不明であるが、視床下部(体内時計)に関わっていると考えられている。
群発頭痛の痛みは典型的には片側(一側性)または局所的に生じ、目の周囲または目の上部に生じる。発作の間、患者は興奮して情動不安となり、一箇所で安静にしていることが難しくなる場合がある。患者が動き回りたくなる場合には、痛みで身を揺らしたり、座ったり、歩きまわったり、這いずったり、痛みで叫んだり、ときには硬い表面で自分の頭を打ち付けることもある。患者によっては、群発頭痛が重篤で再発するために、アルコールや薬の濫用、自傷、さらには自殺に陥るリスクが高くなる。実際、群発頭痛は「自殺頭痛」と言われることもある。
群発頭痛の治療の選択肢は極めて限られており、急速で効果的な奏効をもたらす治療が切実に必要になっている。例えば、Law et al, Triptans for acute cluster headache, Cochrane Database of Systematic Reviews (2013), Issue 7を参照されたい。片頭痛は群発頭痛とは異なるが、トリプタンを含めた片頭痛に対する特定の治療が群発頭痛にも効果的である可能性があると考えられている。しかしながら、経口的および経鼻的な投与経路では、吸収速度が遅い上、頭痛が短期間であるため、特に効果が得られるわけではない。トリプタンの注射にはいくらかの有効性が見られたが、針恐怖症や、可搬性のないこと、準備が複雑になること、針を廃棄する必要があること、ならびに刺し傷、切傷、およびクロスコンタミネーションによる感染に関連した安全性の問題などによりその使用が限られている。
片頭痛の急性治療は1991年に激変したが、これはスマトリプタンおよびゾルミトリプタンなどのトリプタン群が導入されたことによる。トリプタンは、血管の5−HT1B受容体および神経の5−HT1D受容体において極めて選択的かつ強力なアゴニスト活性を示すセロトニン誘導体である。トリプタンの作用機序は以下の3つからなると考えられている。(1)シナプス後血管の5−HT1B受容体の結合により髄膜血管の血管収縮を刺激すること、(2)シナプス前神経の5−HT1D受容体の結合により炎症促進性の神経ペプチドの放出を抑制すること、(3)シナプス前神経の5−HT1D受容体の結合により三叉神経および三叉神経核尾部(中枢作用)における発火速度を減じることである。トリプタンは同様に、群発頭痛の治療においてプラセボよりも高い有効性を示している。
経口、経鼻スプレー、皮下注射、およびイオン導入皮内パッチ(皮膚を通して低電流で薬剤を送達するデバイス)を含めた現在使用可能なトリプタンの投与方法にはそれぞれ重大な欠点がある。片頭痛患者の中には経口トリプタンに対して奏効を示さない人がおり、片頭痛に付随し得る吐き気、嘔吐、または胃内容うっ滞を患う患者には、経口治療が有効ではないおよび/または不快となることがある。また、経口、経鼻、イオン導入パッチのトリプタン製剤は、吸収が遅く、作用が比較的ゆっくり開始するため、特にエピソードの初期に軽減が不十分になるという特徴がある。この遅れは群発頭痛には致命的な欠陥になる。群発頭痛エピソードは30分以下しか続かないことが多いので、経口トリプタンでは治療が全くできず、また経鼻トリプタンでは皮下送達トリプタンに比べて有効性が著しく低下すると考えられるからである。群発頭痛は鼻詰まりや鼻水を伴うことが多く、こうしたことが経鼻送達後の吸収に影響を与える可能性もある。経鼻スプレーは不快な味がすることがあり、また注射液の使用は苦痛を招き得る。
スマトリプタン(IMITREX(登録商標))は、錠剤、皮下(SC)注射、経鼻スプレー、および経皮電気泳動用などの種々の剤形で市販されている。経口投与(コハク酸塩として使用)は、吸収率および全身循環前代謝が低いため生体利用効率が低い(約15%)。経口錠剤投与後に血流中で最高濃度に到達するまでの時間(Tmax)は約2時間である。速放性の錠剤製剤は、Tmaxが従来の錠剤よりも平均して10分〜15分早くなるが、概ね同様の生体利用効率を有する。スマトリプタンは注射されると即効性がある(通常10分以内)が、作用の持続期間が短い。SCの方が速く送達されるにも関わらず、患者の多くが自身で注射することを嫌うため、スマトリプタンの錠剤製剤の方が注射製剤よりもはるかに多く処方されている。
トリプタンは適正に使用された場合には優れた安全性プロファイルを有し、有害作用プロファイルは、臨床試験においてプラセボで見られたプロファイルと同様である。ゾルミトリプタンは、トリプタン群の他の化合物と同じく、プラセボ対照臨床試験で有効性および良好な忍容性を示している。数多くの市販製剤(ZOMIG(登録商標))で使用可能であり、(a)通常放出錠剤(2.5mgおよび5.0mg)、(b)「速溶」口腔内崩壊錠剤(2.5mgおよび5.0mg)、ならびに(c)経鼻スプレー(5.0mg)がある。
ゾルミトリプタンの通常放出錠剤が持つ生体利用効率は41%〜48%であることがわかっており、食物と合わせて投与した場合にはCmaxおよびAUCが13%〜16%低下していた(Seaberらの「The absolute bioavailability and metabolic disposition of the novel antimigraine compound zolmitriptan (311C90)」Br. J. Clin. Pharmacol. 1997; 43(6): 579-87、およびSeaberらの「The absolute bioavailability and effect of food on the pharmacokinetics of zolmitriptan in healthy volunteers」Br. J. Clin. Pharmacol. 1998; 46: 433-439)。従来の錠剤はTmaxが約1.5時間である。実際に片頭痛発作が起こっている間には吸収されにくくなると報告されており、片頭痛がある間にはTmax値が大きくなることがある。ゾルミトリプタンは活性N−デスメチル代謝産物に変換されて、その代謝産物の濃度がゾルミトリプタンの濃度の約3分の2になる。代謝産物の5HT1B/1D効力は親化合物の効力の2倍〜6倍となるため、代謝産物はゾルミトリプタン投与後の全体作用のうちのかなりの部分を担うことができる。
口腔内崩壊錠剤の生体利用効率は従来の錠剤と同様であるが、Tmax値は(やや予想外に)大きく、従来の錠剤では1.5時間であるのに対して、崩壊錠剤では約3時間である。崩壊錠剤はまた、片頭痛発作と同時に生じることの多い吐き気を悪化させる可能性もある。
ゾルミトリプタンは、別の送達経路および方法を考えた場合には、他のトリプタンに対して有意な利点を有する。ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、およびフロバトリプタンの3種類のみが、5mg未満と最も少ない経口投与量を持つトリプタンであるが、この低投与量では、ゾルミトリプタンはナラトリプタンよりも有意に効力があり、2時間での痛みの緩和が62%対49%であり、2時間での痛みの消失が29%対18%となっている。(C. Asseburg, P. Peura, T. Oksanen, J. Turunen, T. Purmonen and J. Martikainen (2012); Cost-effectiveness of oral triptans for acute migraine: Mixed treatment comparison. International Journal of Technology Assessment in Health Care, 28, pp 382-389)。また、フロバトリプタンは「2時間での奏効、2時間での痛みの消失という点において他のトリプタンと比べて有効性が最も低くなっている」(Neuropsychiatr Dis Treat. 2008 Feb; 4(1): 49-54)。
上述した経口送達の欠点を克服するためにゾルミトリプタンの経鼻投与が試みられており、2.5mgおよび5.0mgの投与が実用化されている。しかし、ゾルミトリプタンのTmaxが若干改善される(約1.5時間になる)のみであり、投与量の大部分が嚥下され、初回通過代謝を受けることになる。
経皮イオン導入、パッチ、および液体注射などの他の非経口投与経路には、皮膚のかぶれおよび瘢痕、痛み、ならびに治療有効量の送達が不可能といった不利な点がある。皮下注射のスマトリプタンは何年も前から利用可能であったが、広く用いられることはなかった。調製が難しく、また針恐怖症、針廃棄、ならびに針による送達に伴う偶発的な刺痛、切傷、およびクロスコンタミネーションなどの問題があるからである。
片頭痛をトリプタンで治療した場合には、その有効性が用量や血漿濃度よりも吸収速度に依存することがわかっている。吸収が迅速になりTmaxが短くなると、片頭痛エピソードの初期だけでなく、意外なことに、比較的ゆっくりと吸収する治療の方が血漿濃度が高くなる後期においても、良好な痛みの緩和がもたらされる。群発頭痛では、上記の作用に加えて、単に頭痛事象の時間が短いという理由から迅速な吸収が必要になっている。迅速に吸収すると、必要となる経皮パッチの適用時間も短くなり、パッケージングされた用量の効率的な送達をもたらすことができる。これにより、例えば、パッチ装着時間のばらつきによる変動が少なくなり再現性が得やすくなる。
したがって、現在使用可能な片頭痛および群発頭痛の治療に代わる治療法であって、(a)経口よりも速く、かつSC製剤と同程度に作用が開始し、針に纏わる問題がなく、(b)片頭痛が及ぼす胃への作用(胃内容うっ滞、吐き気、および嘔吐)により吸収が制限され得る経口経路を用いず、(c)食物と相互作用する可能性を減らし、初回通過代謝を回避し、かつ薬物相互作用の可能性を減らし、(d)患者に好まれ(迅速に作用するが注射ではなく不快な味や匂いもない、例えば経鼻スプレーなど)、(e)トリプタンの副作用(例えば、胸部絞扼)を減らすように吸収を抑えているが、頭痛および吐き気を伴う片頭痛を軽減するのに十分効果的であり、(f)片頭痛または群発頭痛の最初の徴候時に患者が使用できるよう手軽に携帯することができ、(g)迅速に、便利に、かつ安全に自己投与できる、該治療法により優位性が得られると考えられる。さらに、吐き気は片頭痛発作の60%〜70%に伴うため、胃腸系を用いず、嘔吐による吸収阻害の影響を受けずに投与できる製剤があれば、医師および患者にとって好都合である。同様に、群発頭痛で鼻詰まりおよび鼻水がある場合には、経鼻的に送達される薬剤の有効性に影響を与える可能性もある。
したがって、当該技術分野において、ゾルミトリプタンなどのトリプタン類を経口投与に特有の比較的多い投与量で供給することができるが、経口的に送達する投与に伴う副作用を持たない投与経路が必要になっている。本開示は、特にこれらの課題および必要性に見合うものである。例えば、出願人は驚くべきことに、本明細書に記載のゾルミトリプタンなどのトリプタンを経皮送達すると、皮膚の持つ極めて低い透過性という性質にも関わらず、ゾルミトリプタンを、経口投与に特有の比較的に多い投与量で迅速に送達することができ、血漿濃度が経口投与した後に見られる濃度範囲であるか、またはそれよりも高い濃度範囲になることを見出した。
また、注射と同様の吸収速度を持つことにより有効性が高く、携帯可能でかつ簡単に調製できるが、針恐怖症、針廃棄、ならびに針を用いた送達に伴う偶発的な刺痛、切傷、およびクロスコンタミネーションなどの問題のないトリプタン投与経路が必要になっている。
さらに、当該技術分野では、経皮送達を用いてトリプタンを投与する効果的な方法であって、パッチを精密かつ均一にコーティングすることができ、パッチに製剤が不均一にコーティングされるか、またはパッチに製剤が付着しにくいなどの、アレイへの残留薬剤の問題または製造ばらつきの問題が生じ得ない、該方法が必要とされている。効果的に薬剤を送達するために経皮マイクロニードルパッチを用いる多くの試みがなされてきたが、マイクロニードルシステムから薬剤を迅速に放出しかつ該システムで迅速な治療を実施し、効果的なマイクロニードルの形状およびサイズを最適化し構築しつつ、薬剤の十分な投与量を含めることは実現困難であった。出願人らは鋭意開発することにより、粘性、薬剤担持、表面張力、マイクロニードルの形状およびサイズ、ならびに一般的な製造不良の課題に取り組むことにより、効果的なトリプタン送達システムを構築した。
本開示は、片頭痛、および群発頭痛を含めた他の症状の治療に有用な医薬品製剤の組成物、デバイス、治療方法、キット、および製造方法に関する。より具体的には、本開示は、ゾルミトリプタンなどのトリプタンを、医薬品活性成分としてそれを必要とする対象に投与することに関するものである。特に、本開示は、経皮的もしくは皮内に、または皮膚を介して、活性成分の治療有効量を迅速投与に適した使用しやすい形態および携帯可能な形態で投与することであって、該有効量が、活性成分の治療有効量を経口投与した場合と比べて迅速に対象の血流で利用可能になる投与を対象にする。一実施形態では、ゾルミトリプタンなどのトリプタンの経皮送達手段には通例、複数の微小突起(すなわち「針」または「マイクロニードル」または「アレイ」)を備えた微小突起部であって、該複数の微小突起が薬剤でコーティングされているか、薬剤の貯蔵部に流体連通しているか、または薬剤を含む、微小突起部を有するパッチアセンブリが含まれる。パッチアセンブリは粘着部さらに含み、好ましい実施形態では、微小突起部および粘着部は保持リングで取り付けられている。これらの微小突起は、薬剤を血流に送達するように皮膚に適用されるものであり、あるいは、より具体的には、治療有効量を血流に供給するのに十分な深さで、角質層を貫通するかまたは突き刺すのに適合したものである。一実施形態では、薬剤をコーティングしたマイクロニードルの皮膚への挿入を、約10ミリ秒未満内に十分な衝突エネルギー密度を与える携帯型アプリケータで制御する。
好ましくは、微小突起部は、治療効果を与えるのに十分な用量のゾルミトリプタンなどの薬剤を含む生体適合性コーティング製剤を備える。このコーティング剤は、皮膚を介して薬剤を投与しやすくする1つまたは複数の賦形剤または担体をさらに含んでいてもよい。例えば、生体適合性コーティング製剤はゾルミトリプタンと水溶性担体とを含み、これをまず微小突起に液体形態で塗布した後に乾燥させて、固体の生体適合性コーティングを形成する。
好ましい実施形態では、ゾルミトリプタン、賦形剤、ならびにコーティングおよび乾燥プロセスによって、驚くほど溶解速度が速い非結晶(非晶質)の薬剤コーティングを得る。この実施形態では、コーティングは、マイクロニードルを介して皮膚に適用されると、薬剤を表皮や血流に迅速に取り込むのに十分な速度で溶解する。一実施形態では、その速度は、20分未満、または15分未満、または10分未満、または5分未満、または2.5分未満、または1分未満である。この速い速度によって、迅速な片頭痛の緩和および群発頭痛の緩和がもたらされる。好ましくは、この迅速な取り込みによって、患者の約10%超で投与後1時間内に痛みが消失し、さらに好ましくは患者の約20%超、最も好ましくは患者の約25%以上で痛みが消失する。別の実施形態では、この迅速な取り込みによって、患者の40%超で投与後1時間内に痛みが緩和し、または患者の50%超、もしくは患者の約65%以上で投与後1時間にて痛みが緩和する。好ましくは、薬剤コーティングは、ガンマ線または電子線の照射後1年間、より好ましくは2年間、非晶質のままである。
こうした皮内送達システムは、患者が直接簡単に使用するのに適合したデバイスの形態であってもよい。例えば、このシステムは、(a)医薬品製剤でコーティングし、乾燥したチタンのマイクロニードルを有する使い捨ての微小突起部であって、該微小突起部が粘着面の中心にあってパッチを形成している微小突起部と、(b)マイクロニードルを角質層に押圧した結果、薬剤が吸収されるのに十分な特定の適用エネルギーで該パッチが皮膚に確実に適用されるようにする再使用可能な携帯型アプリケータと、を含む薬剤−デバイス組み合わせ製品であってもよい。一実施形態では、送達システムは、約0.2mg〜約10mgのゾルミトリプタン、または約1mg〜約4mg、もしくは約1mg、もしくは約1.9mg、もしくは約2mg、もしくは約3mg、もしくは約3.8mg、もしくは約4mg、もしくは約5mg、もしくは約6mg、もしくは約7mg、もしくは約8mg、もしくは約9mgのゾルミトリプタンを含むパッチを備える。一実施形態では、送達システムは、約0.2mg〜約10mgのゾルミトリプタン、または約1mg〜約4mg、もしくは約1mg、もしくは約1.9mg、もしくは約2mg、もしくは約3mg、もしくは約3.8mg、もしくは約4mg、もしくは約5mg、もしくは約6mg、もしくは約7mg、もしくは約8mg、もしくは約9mg、もしくは約1mg超、もしくは約1.9mg超、もしくは約2mg超、もしくは約3mg超、もしくは約3.8mg超、もしくは約4mg超、もしくは約5mg超、もしくは約6mg超、もしくは約7mg超、もしくは約8mg超、もしくは約9mg超のゾルミトリプタンを皮内送達するように設計されている。
別の実施形態では、本開示は、トリプタンをそれを必要とする患者に対して経皮的または皮内に投与する方法であって、(a)トリプタンを皮内に送達するのに適合した経皮パッチであって、患者の角質層を貫通するかまたは突き刺すのに適合した複数の微小突起を有する微小突起部を備え、該微小突起が該微小突起上の一部または全体に施した生体適合性のコーティングを有し、該コーティングがトリプタンの治療有効量を含む、経皮パッチを提供する工程と、(b)デバイスの微小突起部を患者の皮膚に適用する工程であって、複数の該微小突起が角質層を貫通するかまたは突き刺して患者の血流にトリプタンを送達する、適用する工程と、含む方法に関する。一実施形態では、トリプタンはゾルミトリプタンであり、微小突起に全量約0.2mg〜10mgでコーティングされ、この用量の約50%、または60%、または65%、または75%、または80%、または85%、または90%、または95%、または100%が投与後に患者の血流に到達し、好ましくは、この用量の約50%超、または60%超、または65%超、または75%超、または80%超、または85%超、または90%超、または95%超が投与後に患者の血流に到達する。
本開示は、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とするヒト患者の片頭痛または群発頭痛を治療する方法であって、ゾルミトリプタンの治療有効量を経皮投与または皮内投与することを含み、該投与が経口的、鼻腔内、舌下、またはイオン導入的に投与された治療有効量よりも迅速にゾルミトリプタンの血中治療濃度をもたらす方法を包含する。一態様では、患者の片頭痛または群発頭痛を治療または緩和する本方法によると、血漿Tmaxが多くの対象で約2分から約30分〜40分以下と速くなる。別の態様では、本方法によると、ゾルミトリプタン最高血漿濃度(Cmax)が50ng/ml未満となる。
一実施形態では、本明細書で開示したゾルミトリプタンをコーティングしたマイクロニードルパッチを片頭痛または群発頭痛の発作の間に適用した後、迅速に血漿濃度を得る。こうしたパッチにより、投与の少なくとも45分後に痛みが消失し、厄介な片頭痛または群発頭痛の症状が消失する。患者に非常に厄介な片頭痛症状は、痛みに加えて、光、特に明るい光に対する過敏(光恐怖症)、音、特に大きい音に対する過敏(音恐怖症)、および吐き気から選択されるのが一般的であるが、片頭痛は、嘔吐、匂いに対する過敏、前兆、視力変化、麻痺、刺痛、虚弱、目眩、意識もうろう感もしくは目眩感、眼瞼浮腫、集中力の欠如、疲労、下痢、便秘、気分変調、過食症、蕁麻疹、および/または熱を伴う場合もある。群発頭痛の一般的な症状として、頭部の片側に生じ、通例片方の目の中または周囲に感じることが多いが、顔、頭、首、および肩などの他の領域に広がり得る激痛、情動不安、患側の目の涙過剰分泌および発赤、鼻詰まりもしくは鼻水、前頭部もしくは顔面発汗、皮膚蒼白(蒼白)、顔面潮紅、患側の目周囲の腫脹、および/または眼瞼下垂が挙げられる。
本デバイス、組成物、方法などのさらなる実施形態は、以下の記載、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかになる。前述および以下の記載から理解することができるように、本明細書に記載された特徴のいずれも、およびこうした特徴の2つ以上の組み合わせのいずれも、かかる組み合わせの持つ特徴が相互に矛盾しない場合には、本開示の範囲内に含まれる。さらに、任意の特徴または特徴の組み合わせが、任意の実施形態または態様のいずれかから特別に除外される場合がある。さらなる態様および実施形態が、特に添付の例および図面と合わせて考慮される場合に、以下の記載および特許請求の範囲で説明される。
カラー図面の参照
本出願には、カラーで描かれた少なくとも1つの図面が含まれる。カラー図面を有する本公開特許公報のコピーは、請求の上、所定の手数料を支払い次第、特許庁より提供される。
前述した実施形態の特徴は、添付の図面を参照すると共に以下の詳細な説明を参照することによって、さらに容易に理解されるはずである。
図1A〜図1Bは、1.9mgのゾルミトリプタンでコーティングされたMF1663アレイデザインの走査型電子顕微鏡写真(SEM)の図である。 図2A〜図2Bは、パッチおよび保持リングの構造を示す図である。(A)パッチおよび保持リングの上面図である。(B)保持リングに取り付けられたパッチの底面斜視図である。 図3A〜図3Bは、保持リングに組み入れたパッチで構成されるパッチアセンブリを示す図である。(A)パッチアセンブリの側面図である。(B)パッチアセンブリの分解図である。 図4A〜図4Bは、使用済みのプラスチック保持リングをアプリケータから外し、廃棄する方法を示す図である。指を用いて使用済みの保持リングをアプリケータから外す。(A)アプリケータに取り付けられた保持リングの側面図である。(B)アプリケータから外された保持リングの側面図である。 図5A〜図5Eは、本発明のパッチの適用工程を示す写真である。(A)パッチアセンブリをアプリケータに嵌め込む工程1を示す。(B)工程1において、アプリケータと一体化したパッチアセンブリの底正面斜視画像をさらに示す。(C)アプリケータのキャップを時計回りに位置1から位置2に回して、パッチを適用するためにロックを解除する工程2を示す。(D)アプリケータを下方向に押圧して、パッチを皮膚に適用する工程3を示す。(E)パッチが患者の皮膚に適用され、保持リングがアプリケータに取り付けられたままになっている工程4を示す。 図6A〜図6Cは、ZP−ゾルミトリプタンM207の1.9mgパッチのインビトロ放出プロファイルを示す図である。(A)上部左:電子線照射され、10カ月間室温で保管したZP−ゾルミトリプタンM207の1.9mgパッチ(L/N0164004)のインビトロ放出プロファイルを示す図である。(B)上部右:照射されずに、40℃、75%相対湿度で10カ月間保管したZP−ゾルミトリプタンM207の1.9mgパッチ(L/N0203149−NI)のインビトロ放出プロファイルを示す図である。(C)下部左:電子線照射され、40℃、75%相対湿度で10カ月間保管したZP−ゾルミトリプタンM207の1.9mgパッチ(L/N0203149−IR)のインビトロ放出プロファイルを示す図である。 図7は、正常ヒトのボランティアにおけるゾルミトリプタンおよびスマトリプタンの平均血漿濃度の経時変化(0時間〜24時間)を表す線グラフであり、治療AはM207システム(0.48mg)、治療BはM207システム(0.48mg×2)、治療CはM207システム(1.9mg)、治療Dはゾルミトリプタン(2.5mg経口錠剤)、治療Eはスマトリプタン(6.0mgSC、自己注射ペンを使用)、治療Fはゾルミトリプタンシステム(1.9mg×2)、治療Gはゾルミトリプタンシステム(3.8mg)である。スマトリプタンについては、スマトリプタン濃度−時間プロファイルを他の治療と比較して示すために、6/90に縮尺している。 図8は、ゾルミトリプタンおよびスマトリプタンの平均血漿濃度の経時変化(0時間〜2時間)を表す線グラフであり、治療AはM207システム(0.48mg)、治療BはM207システム(0.48mg×2)、治療CはM207システム(1.9mg)、治療Dはゾルミトリプタン(2.5mg経口錠剤)、治療Eはスマトリプタン(6.0mgSC、自己注射ペンを使用)、治療Fはゾルミトリプタンシステム(1.9mg×2)、治療Gはゾルミトリプタンシステム(3.8mg)である。このグラフで、スマトリプタンについては、スマトリプタン濃度−時間プロファイルを他の治療と比較して示すために、6/90に縮尺している。 図9は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のCmax用量直線性(3.8mgを除く)を示す線グラフである。 図10は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のAUCt用量直線性(3.8mgを除く)を示す線グラフである。 図11は、0時間〜2時間における女性の平均血漿ゾルミトリプタン濃度の線グラフである。 図12は、0時間〜2時間における男性の平均血漿ゾルミトリプタン濃度の線グラフである。 図13は、0時間〜2時間における平均血漿N−デスメチルゾルミトリプタン濃度の線グラフである。 図14は、0時間〜24時間における平均血漿N−デスメチルゾルミトリプタン濃度の線グラフである。 図15は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のCmax用量直線性を示す線グラフである。 図16は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のAUCt用量直線性を示す線グラフである。 図17は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のAUCinf用量直線性を示す線グラフである。 図18は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207のAUCinf用量直線性(3.8mgパッチを除く)を示す線グラフである。 図19は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのCmax用量直線性を示す線グラフである。 図20は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのAUCt用量直線性を示す線グラフである。 図21は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのAUCinf用量直線性を示す線グラフである。 図22は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのCmax用量直線性(3.8mgを除く)を示す線グラフである。 図23は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのAUCt用量直線性(3.8mgを除く)を示す線グラフである。 図24は、単回パッチおよび複数回パッチについて、M207の用量の関数としてN−デスメチルゾルミトリプタンのAUCinf用量直線性(3.8mgを除く)を示す線グラフである。 図25は、治療1時間後、2時間後、および4時間後の「痛みの消失割合(%)」を図式的に比較した図である。 図26は、治療1時間後、2時間後、および4時間後の「痛みの緩和割合(%)」を図式的に比較した図である。 図27は、治療1時間後、2時間後、および4時間後の「痛みの消失割合(%)」を図式的に比較した図である。 図28は、治療1時間後、2時間後、および4時間後の「痛みの緩和割合(%)」を図式的に比較した図である。 図29は、治療後最大4時間の間に「痛みが消失した対象の割合(%)」を図式的に比較した図である。 図30は、エクスビボでのヒト皮膚試料由来の平均フラックス結果をグラフ表示した図である。 図31は、微小突起と皮膚との相互作用を示し、具体的には、効果的な薬剤の送達を目的として微小突起の角質層を貫通する様子を示す図である。 図32は、微小突起が基板から外側に曲がりかつ薬剤でコーティングされる前の、ある形状および寸法の微小突起の実施形態を示す。
以下に、種々の態様および実施形態を詳細に記載する。しかしながら、こうした態様および実施形態は、様々な異なる形態で具現化されてもよく、制限するものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を徹底的かつ完全なものにし、本開示が当業者に本発明対象の範囲を十分に伝えるように提供されるものである。本明細書において引用された全ての出版物、特許および特許出願は、上掲下掲に関わらず、その全体が参照により本明細書に援用される。
I.緒言
出願人は、驚くべきことに、特に、経口送達に典型的なゾルミトリプタンの用量が、経口送達以外の送達経路で、例えば、本明細書に記載のゾルミトリプタンの皮内送達または経皮送達などで、良好な忍容性を示すことを見出した。本開示によると、ゾルミトリプタンの送達手段は概して、送達システムであって、角質層を貫通するかまたは突き刺して下の表皮層または表皮層および真皮層まで入れるのに適合した複数の微小突起(またはそのアレイ)を有する微小突起部(またはシステム)を備えた、送達システムを含めるものである。出願人は相当の試行錯誤および鋭意検討により、ゾルミトリプタンの経皮送達を改変した。一実施形態では、微小突起部はゾルミトリプタンを含む生体適合性コーティングを備える。このシステムは、現存する療法よりも優れた薬物動態および薬物動力学を提供するものであり、片頭痛、群発頭痛、および他の疾患または症状の治療に有用な他のトリプタンにも展開することができる。
II.定義
別途定義されない限り、本明細書で使用している全ての用語および語句は、相反する意味が明示されるか、または相反する意味が該用語または語句の使用される文脈から明らかでない限り、該用語および語句が当該技術分野で獲得している意味を含む。本明細書に記載の方法および材料と同様または均等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することもできるが、特定の方法および材料を以下に説明する。
別途明示されない限り、個々の数値は、その値の前に「約」または「およそ」という語が付記されているかのように近似値として使用される。同様に、本出願で明記された種々の範囲の数値は、別途明示されない限り、その範囲内の最小値および最大値の前に「約」または「およそ」が付記されているかのように近似値として示されている。このように、記載された範囲を上下に超える変動値を使用して、範囲内の値と実質的に同じ結果を得ることができる。数値に付記された「約」および「およそ」という用語は、本明細書で使用する場合、開示される発明対象に最も密接に関連する技術分野、または課題となっている範囲または要素に関連する技術分野の当業者に明白で通常の意味を持つことになる。具体的な数値境界を超える量は多くの因子によって決まる。例えば、考えられ得る要因には、要素の重要性、および/または特定の変動量が請求発明対象の実施に及ぼす影響、ならびに当業者に既知の他の検討事項が含まれる。種々の数値に対して様々な有効数字を用いた場合でも、本明細書で使用する場合、「約」または「およそ」という語の使用によって特定の数値または範囲が広がる程度を制限することを意図するものではない。したがって、一般論として「約」または「およそ」は数値の幅を広げるものである。さらに、範囲の開示は、最小値と最大値の間の各値と、さらには「約」または「およそ」という用語の使用により許容される範囲の広がりとを含む連続範囲を示すことを目的としている。よって、本明細書中の値の範囲の記載は、単に範囲内の各個別の値をそれぞれ指す簡略方法として用いることを意図しているに過ぎず、それぞれの個別の値は、本明細書中にそれぞれ記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
「非晶質」という用語は、非結晶固体、すなわち結晶体の特性である長距離秩序を持たない固体を意味する。
用語「曲線下面積」または「AUC」という用語は、時間に対する血漿中の薬剤濃度のプロットにおける曲線の下の面積(数学的には定積分値として知られる)を意味する。その面積は通例、薬剤を投与した時を開始点とし、血漿中の濃度が無視できる程度になった時を終了点として計算する。実際には、薬剤濃度は特定の各時点で測定し、台形公式を用いてAUCを概算する。
「生体適合性コーティング」という用語は、本明細書で使用する場合、十分な粘着特性を有し、生物学的活性剤(別称を医薬品活性成分、治療剤、または薬剤)との有害な相互作用がない(または最小限である)「コーティング製剤」から形成されたコーティングを意味し、かつ含めるものである。
「生物学的同等」という用語は、本明細書で使用する場合、同じ活性成分を含む2つ以上の医薬品製剤、組成物、または方法を相互に比較する際の科学的根拠を示すものである。「生物学的同等」は、製剤学的同等物または製剤学的代替物における活性剤が、適正に計画された試験で投与された場合に、作用部位において利用できる速度および程度に有意差がないことを意味する。生物学的同等性は、2つの組成物について薬物動態パラメータを比較するインビボ試験によって決定することができる。生物学的同等性試験に用いることの多いパラメータは、Tmax、Cmax、AUC0inf、AUC0tである。本文脈では、2つの組成物または2つの製剤の実質的生物学的同等性は、AUCおよびCmaxに対して90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25であることにより確定される。
「群発」という用語は、本明細書で使用する場合、一連の繰り返し発生する群発頭痛を意味する。群発の期間は通例、1週間から1年であるが、慢性群発頭痛ではその期間は1年を超える。群発は少なくとも1カ月の寛解により終了したとみなされる。
「群発頭痛」という用語は、本明細書で使用する場合、通常毎日(発作は1日当たり最大8回まで繰り返し生じる場合がある)、1週間以上もの間、繰り返し発生する激しい頭痛により特徴付けられる症状を意味する。群発頭痛の痛みは典型的には頭部の片側(「一側性」)に局所的に生じ、患者によってどちら側で発生するのか異なり得るが、通常同一側に生じる。痛みは通常、10分未満で最大の強さに達し、15分〜3時間の間(通常30分〜60分)続く。症状が急速に開始し短い期間であるため、薬剤が迅速に吸収される経路で治療することが求められている。
「コーティング製剤」という用語は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の微小突起および/またはそのアレイを含めた送達表面をコーティングするのに用いられる自由流動組成物または混合物を意味し、かつ含めるものである。
「分解」という用語は、本明細書で使用する場合、生物学的薬剤の純度が最初の時点から下がることを意味する。
「乾燥剤」という用語は、本明細書で使用する場合、水を吸収する薬剤、通例化学的薬剤を意味する。
「劣化する」という用語は、本明細書で使用する場合、生物学的活性剤の質、特性、または有効性が減じるか、または損なわれることを意味する。
「エレクトロトランスポート」という用語は一般的に、薬剤または薬剤前駆体などの有益な薬剤を、皮膚、粘膜、爪などの体表面を介して透過させることを意味する。電位の印加、ひいては電流の印加により薬剤の輸送が誘導されるかまたは増加し、これにより薬剤が送達されるかまたは送達されやすくなり、あるいは「逆」エレクトロトランスポートの場合には薬剤がサンプリングされるかまたはサンプリングされやすくなる。薬剤の人体へのまたは人体からのエレクトロトランスポートは様々な方法で実施することができる。
「半減期」という用語は、本明細書で使用する場合、薬剤の血液濃度または血漿濃度が半分に減少するまでに要する時間を意味する。この薬剤濃度の減少は、吸収が完了し、かつ分布が平衡状態または準平衡状態に達した後に排出または排泄された結果である。薬剤の血中半減期は、一般的にはサンプル集団への静脈内投与後、薬剤血中濃度の経時プロットである薬物動態プロット図から算出することができる。半減期は、当該技術分野で周知の数学的計算法を用いて算出することもできる。さらに、本明細書で使用する場合、用語「半減期」は薬剤の「見かけの半減期」も含める。見かけの半減期は、排泄に加えて、吸収、再取り込み、または腸肝再循環などの他のプロセスからの寄与も考慮に入れた複数の要素を含む数であってもよい。
「頭痛スケール」という用語は、本明細書で使用する場合、患者が痛みのレベルを定量できるように用いるスケールを意味する。好ましくは0〜3のスケールが用いられ、重度の痛みは頭痛スコアが3であり、中程度の痛みはスコアが2であり、軽度の痛みはスコアが1であり、痛みがない場合(「痛みの消失」とも称される)はスコアが0である。
「皮内」という用語は、本明細書で使用する場合、活性剤(例えば、薬剤、医薬、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質などの治療剤)を皮膚を介して局部組織または全身循環系に、メスで切ったり皮下注射針で皮膚を突き刺したりするなど皮膚を実質的に切ったり穿通したりすることなく送達することを意味する総称である。皮内薬剤送達には、受動拡散を介した送達、ならびに電気(例えば、イオン導入)および超音波(例えば、音波泳動法)などの外部エネルギー源に基づく送達が含まれる。
「皮内フラックス」という用語は、本明細書で使用する場合、薬剤の皮内送達速度を意味する。
「微小突起部」または「マイクロニードルアレイ」などの用語は、本明細書で使用する場合、一般的に、角質層を貫通するかまたは突き刺すための複数の微小突起を、好ましくはアレイに配置させた状態で含む、微小突起群を意味する。微小突起部は、金属または他の硬質材料の薄板から複数の微小突起をエッチングするかまたはパンチングし、その微小突起を板面から折るかまたは曲げて立体形状を作ることにより形成することができる。あるいは、微小突起部は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックまたはポリマーを含めた他の材料で形成することもできる。微小突起部は、射出成形もしくはマイクロ成形、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)などの他の既知の方法で、または細片それぞれの端部に沿って微小突起を備えた1つまたは複数の細片を構成することにより、形成することができる。これらについては、米国特許第6,083,196号、同第6,091,975号、同第6,050,988号、同第6,855,131号、同第8,753,318号、同第9,387,315号、同第9,192,749号、同第7,963,935号、同第7,556,821号、同第9,295,714号、同第8,361,022号、同第8,633,159号、同第7,419,481号、同第7,131,960号、同第7,798,987号、同第7,097,631号、同第9,421,351号、同第6,953,589号、同第6,322,808号、同第6,083,196号、同第6,855,372号、同第7,435,299号、同第7,087,035号、同第7,184,826号、同第7,537,795号、同第8,663,155、ならびに米国特許出願公開第20080039775号、同第20150038897号、同第20160074644号、および同第20020016562号に開示されている。当業者に理解されているように、微小突起アレイを使用する場合、送達される治療剤の用量は、微小突起アレイのサイズ、密度などを変えることによって変動させるか、または変えることもできる。
「微小突起」および「マイクロニードル」という用語は、本明細書で交換可能に使用されており、動物の皮膚、特に哺乳動物、より詳細にはヒトの皮膚を、貫通するか、突き刺すか、または切り込んで、角質層におよび/または角質層を介して下の表皮層もしくは表皮層および真皮層に入れるのに適合した穿通要素を意味する。本発明の一実施形態では、穿通要素は1000マイクロメートル未満の突起長を有する。さらなる実施形態では、穿通要素は500マイクロメートル未満の突起長、より好ましくは400マイクロメートル未満の突起長を有する。また、微小突起の幅は約25マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲であり、厚さは約10マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲である。微小突起は、針、ブレード、ピン、穿孔、およびそれらの組み合わせなどの種々の形状で形成され得る。
「最小化する」または「軽減する」という用語は、本明細書で使用する場合、減じることを意味する。
「非常に厄介な他の症状」は、痛みに加えて、患者に非常に厄介となる症状、通常は片頭痛症状を意味する。好ましくは、非常に厄介な他の症状は、臨床試験の開始時に患者により特定される。非常に厄介な他の症状は通例、吐き気、光恐怖症、および音恐怖症から選択される。
「非常に厄介な他の症状の消失」とは、薬剤投与後の1つまたは複数の事前に決めた時点で非常に厄介な他の症状がないと患者が報告していることを意味する。片頭痛患者に対する好適な時点は、1時間後、2時間後、および4時間後である。群発頭痛患者に対する好適な時点は、15分後および30分後である。
「吐き気の消失」は、薬剤投与後の事前に決めた期間において吐き気がないと患者が報告していることを意味する。
「任意の」または「任意に」は、それに続いて記載された要素、成分、または状況が存在してもまたは存在しなくてもよいことを意味し、したがって、この記載には要素、成分、または状況が存在している例と存在していない例とが含まれる。
「痛みの消失」は、薬剤投与後の1つまたは複数の事前に決めた時点で、頭痛がない(頭痛スコア=0)と患者が報告していることを意味する。片頭痛患者に対する好適な時点は、1時間後、2時間後、および4時間後である。群発頭痛患者に対する好適な時点は、15分後および30分後である。
「痛みの緩和」は、薬剤投与後の1つまたは複数の事前に決めた時点で、頭痛が減少した、つまり頭痛が中程度または重度の痛み(頭痛スコア=3または2)から軽度の痛みまたは痛みのない状態(頭痛スコア=1または0)まで減少したと患者が報告していることを意味する。片頭痛患者に対する好適な時点は、1時間後、2時間後、および4時間後である。群発頭痛患者に対する好適な時点は、15分後および30分後である。
音恐怖症は、音、特に大きい音に対する恐れまたは嫌悪を意味する。
「音恐怖感の消失」は、薬剤投与後の事前に決めた期間において音恐怖感がないと患者が報告していることを意味する。
「光恐怖症」は、光、特に明るい光に対する高い過敏性、多くの場合痛みを伴う過敏性を意味する。
「光恐怖感の消失」は、薬剤投与後の事前に決めた期間において光恐怖感がないと患者が報告していることを意味する。
「部分的AUC」は例えば、AUC(0時間〜1時間)、AUC(0時間〜2時間)、AUC(0時間〜4時間)、AUC(0時間〜6時間)、AUC(0時間〜8時間)などの特定の期間の間の線形台形加算法を用いて計算した薬剤濃度−時間曲線下の面積(AUC)を意味する。
薬剤「放出速度」は、本明細書で使用する場合、剤形または医薬組成物から単位時間当たりに放出される薬剤の量、例えば、1時間当たりに放出される薬剤のミリグラム量(mg/時間)を意味する。薬剤剤形の薬剤放出速度は通例、インビトロ溶解速度、すなわち、適正な条件かつ適正な液中で測定した、剤形または医薬組成物から単位時間当たりに放出される薬剤の量として測定される。
「安定」という用語は、本明細書で使用する場合、薬剤製剤に対しては、薬剤製剤が、例えば分解、崩壊、または不活性化などの必要以上の化学的変化または物理的変化を受けにくいことを意味する。本明細書で使用される「安定」は、コーティングに対しては、機械的に安定である、すなわちコーティングが施された表面に必要以上の変位または損失を受けにくいことを意味する。
「対象」または「患者」という用語は、本明細書では交換可能に用いられ、脊椎動物、好ましくは哺乳動物を意味する。哺乳動物には、以下に限定されないが、ヒトが含まれる。
「治療有効性」または「治療有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、望ましい有益な結果を促すか、または引き出すのに必要な生物学的活性剤の量を意味する。本発明のコーティングに用いられる生物学的活性剤の量は、所望の結果を得るのに要する生物学的活性剤の量を送達するのに必要な量である。実際には、この量は、送達される特定の生物学的活性剤、送達部位、ならびに生物学的活性剤の皮膚組織内への送達に関する溶解動力学および放出動力学によって大きく変動することになる。
「経皮」という用語は、本明細書で使用する場合、局所療法または全身療法を目的とした薬剤の皮膚内へのおよび/または皮膚を介する送達を意味する。
「経皮フラックス」という用語は、本明細書で使用する場合、経皮送達の速度を意味する。
「Tmax」という用語は、送達開始からCmaxに達するまで、すなわち生物学的活性剤の最大血漿濃度に達するまでの時間を意味する。
「パッケージ」または「パッケージング」という用語は、「貯蔵」または「貯蔵する」という意味も含むことが理解されるであろう。
「ゾルミトリプタン」という用語は、以下に限定されないが、ゾルミトリプタン塩、ゾルミトリプタンの単純誘導体、および近縁分子を含む。
III.皮内送達システム
一実施形態では、皮内送達システムは、粘着面の中心にある微小突起部で構成される使い捨てパッチを備えた、経皮または皮内の薬剤送達システムである。微小突起部は、乾燥薬剤製剤でコーティングされたチタン(またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのプラスチックもしくはポリマー材料を含めた他の硬質材料)のマイクロニードルを備える。パッチは保持リングに取り付けられて、パッチアセンブリを形成する。パッチアセンブリは取り外しできるように携帯型アプリケータに取り付けられて、皮内送達システムを形成する。アプリケータは、パッチが皮内投与部位に所定の適用速度とエネルギーとで確実に適用されるようにする。アプリケータは単回使用向けに設計されていても、再使用可能であってもよい。
より詳細には、パッチは約3cm2〜6cm2のチタンマイクロニードルアレイを備え得るが、このマイクロニードルは、約200マイクロメートル〜350マイクロメートルの長さを持ち、適切な薬剤の親水性製剤でコーティングされ、粘着面に取り付けられている。パッチのマイクロニードルアレイにコーティングされ得る活性薬剤の最大量は、その薬剤製剤の活性部分、薬剤製剤の賦形剤の重量、およびマイクロニードルアレイのコーティング可能な表面積により異なる。例えば、約1cm2、2cm2、3cm2、4cm2、5cm2、および6cm2のマイクロニードルアレイを備えたパッチを用いることができる。このパッチは携帯型アプリケータと合わせて適用され、このアプリケータは適用毎に、マイクロニードルを毛細血管床に近接する実質的一様な深さまで皮膚内に押圧して、薬剤コーティングを溶解および吸収させるが、皮膚の神経終末までは到達させないようにする。典型的なパッチの装着時間は、皮膚を刺激する可能性を減らすように約15分〜45分以下である。アプリケータの公称エネルギーが約0.20ジュール〜0.60ジュールである場合、一般的に、衝撃に対する知覚とアレイの貫入との良好なバランスを持つことができる。衝撃の瞬間での実際の運動エネルギーは、アプリケータのバネが完全には伸びないことや、保持リングからパッチが離れることによるエネルギー損失、および他の損失のために、これらの公称値よりも小さいと考えられ、これらの損失は公称量の全約25%をなす場合がある。
A.アレイデザイン
特定の活性剤用に利用されるアレイの種類には、様々な変数が影響を与える。例えば、種々の形状(例えば図31に示す矢じり形状や、フック形状、円錐形状、またはワシントン・モニュメント形状に類似した形状(図1A〜図1B))により高い薬剤担持能が得られる一方、微小突起の長さを増加させて貫入の駆動力を増やすこともできる。角質層の厚さは約10μm〜40μmであり、微小突起は、角質層を通って貫入して薬剤送達をもたらすように、適切なサイズ、厚さ、および形状を持つ必要がある。図31によると、一定の縮尺で描かれていないが、アレイが皮膚と相互に作用した結果、微小突起が角質層を貫通して、基板が皮膚の表面と接していることがわかる。角質層を貫通することになる微小突起に厚目のコーティングを施し、角質層を貫通することのないアレイの基板または基部(「ストリート」)にはコーティングを施さないことが有利である。表面積が大きくなるほど、アレイの基部またはストリートにはみ出すことなく厚目のコーティングをすることができる。コーティングは微小突起にのみ施される。さらに、コーティングで突起の厚さが増すとさらに大きい貫通力が必要になるが、突起の長さを長くし、1cm2当たりの突起の密度を下げることで相殺することができる。
本開示で用いることができる皮内送達システムの例には、米国特許第6,083,196号、同第6,091,975号、同第6,050,988号、同第6,855,131号、同第8,753,318号、同第9,387,315号、同第9,192,749号、同第7,963,935号、同第7,556,821号、同第9,295,714号、同第8,361,022号、同第8,633,159号、同第7,419,481号、同第7,131,960号、同第7,798,987号、同第7,097,631号、同第9,421,351号、同第6,953,589号、同第6,322,808号、同第6,083,196号、同第6,855,372号、同第7,435,299号、同第7,087,035号、同第7,184,826号、同第7,537,795号、同第8,663,155号、ならびに、米国特許出願公開第20080039775号、同第20150038897号、同第20160074644号、および同第20020016562号に記載されている薬剤送達技術が含まれる。開示されるシステムおよび装置は種々の形状およびサイズの穿通要素を用いて、皮膚の最外層(すなわち角質層)を突き刺して、薬剤のフラックスを増大させる。穿通要素は通例、パッドまたはシートなどの薄く平な基板部分から垂直に延出している。穿通要素は典型的には小さく、一部はわずか約25マイクロメートル〜400マイクロメートルの微小突起長と、約5マイクロメートル〜50マイクロメートルの微小突起厚と、を有する。これらの小型の穿通/切断要素は、その形状に応じて、角質層に小型のマイクロスリット/マイクロ加工を形成して、経皮/皮内の薬剤送達を増大させる。送達される活性剤は、微小突起の1つまたは複数に設けられており、好ましくは微小突起をトリプタン系製剤もしくはゾルミトリプタン系製剤でコーティングして固体乾燥コーティングを形成することによって、または任意選択的に角質層と連通している貯蔵部をマイクロスリットを形成した後に使用することによって、または適用後に溶解する固体トリプタン系製剤から微小突起を形成することによって設けられる。微小突起は、中実であっても中空であってもよく、コーティング容積を支えるおよび/または増大させるのに適合した、開口部、溝、表面凹凸、または同様の修飾形状といったデバイス構造をさらに含む場合があり、こうした構造は表面積を増やし、より多くの量のコーティングを施すことができるようにする。マイクロニードルは、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、またはポリマー材料などの同様の生体適合性材料から形成することができる。
したがって、本開示は、以下の特徴を有するパッチおよびマイクロニードルアレイを包含する。
・パッチサイズ:約1cm2〜20cm2、または約2cm2〜15cm2、または約4cm2〜11cm2、または約5cm2、または約10cm2
・基板サイズ:約0.5cm2〜10cm2、または約2cm2〜8cm2、または約3cm2〜6cm2、または約3cm2、または約3.13cm2、または約6cm2
・アレイサイズ:約0.5cm2〜10cm2、または約2cm2〜8cm2、または約2.5cm2〜6cm2、または約2.7cm2、または約5.5cm2、または約2.74cm2、または約5.48cm2
・密度(微小突起/cm2):少なくとも約10個の微小突起/cm2、または約200個〜約2000個の微小突起/cm2の範囲、または約500個〜約1000個の微小突起/cm2の範囲、または約650個〜約800個の微小突起/cm2の範囲、または約725個の微小突起/cm2
・1アレイ当たりの微小突起数:約100個〜4000個、または約1000個〜3000個、または約1500個〜2500個、または約1900個〜2100個、または約2000個、または約1987個、または約200個〜8000個、または約3000個〜5000個、または約3500個〜4500個、または約4100個〜4900個、または約4000個、または約3974個。
・微小突起長:約25マイクロメートル〜600マイクロメートル、または約100マイクロメートル〜500マイクロメートル、または約300マイクロメートル〜450マイクロメートル、または約320マイクロメートル〜410マイクロメートル、または約340マイクロメートル、または約390マイクロメートル、または約387マイクロメートル。他の実施形態では、長さは1000マイクロメートル未満、または700マイクロメートル未満、または500マイクロメートル未満である。したがって、マイクロニードルは皮膚に約25マイクロメートル〜1000マイクロメートル貫入する。
・先端部長:約100マイクロメートル〜250マイクロメートル、または約130マイクロメートル〜200マイクロメートル、または約150マイクロメートル〜180マイクロメートル、または約160マイクロメートル〜170マイクロメートル、または約165マイクロメートル。
・微小突起幅:約10マイクロメートル〜500マイクロメートル、または約50マイクロメートル〜300マイクロメートル、または約75マイクロメートル〜200マイクロメートル、または約90マイクロメートル〜160マイクロメートル、または約250マイクロメートル〜400マイクロメートル、または約300マイクロメートル、または約100マイクロメートル、または約110マイクロメートル、または約120マイクロメートル、または約130マイクロメートル、または約140マイクロメートル、または約150マイクロメートル。
・微小突起厚さ:約1マイクロメートル〜約500マイクロメートル、または約5マイクロメートル〜300マイクロメートル、または約10マイクロメートル〜100マイクロメートル、または約10マイクロメートル〜50マイクロメートル、または約20マイクロメートル〜30マイクロメートル、または約25マイクロメートル。
・先端部角度:約10度〜70度、または約20度〜60度、または約30度〜50度、または約35度〜45度、または約40度。
・1アレイ当たりの総活性剤:約0.1mg〜10mg、または約0.5mg〜5mg、または約1mg〜4mg、または約1mg、または約1.9mg、または約3.8mg。
・1アレイ当たりの非活性成分量:約0.1mg〜10mg、または約0.2mg〜4mg、または約0.3mg〜2mg、または約0.6mg、または約0.63mg、または約1.3mg、または約1.26mg。あるいは、非活性成分量は活性剤のせいぜい3分の1倍〜1倍量であるか、または約0.033mg〜約3.33mgである。
・コーティング厚さ:約100μm〜約500μm、または約200μm〜約350μm、または約250μm〜約290μm、または約270μm。
・1つの微小突起当たりの活性剤:約0.01μg〜約100μg、または約0.1μg〜約10μg、または約0.5μg〜約2μg、または約1μg、または約0.96μg。
特に好ましい実施形態は、パッチの面積が約5cm2であり、約3.1cm2の面積および約25μmの厚さを持つチタン基板に固着している。基板は、約1987個の微小突起を約725個の微小突起/cm2の密度で備えた約2.74cm2の面積を持つ微小突起アレイから構成されている。各微小突起に収容される乾燥製剤は、最大約270μmから先細りの厚さを持つ略アメリカンフットボールの形状を有していてもよく、1パッチ当たり約0.96μgのゾルミトリプタンと約0.32の酒石酸か、または約1.9mgのゾルミトリプタンと約0.63mgの酒石酸とからなる。
図32は、好ましい実施形態における曲げる(成形)前の微小突起の形状を示す。アレイ成形は、個々の微小突起を基板面に対して適切な角度で曲げるプロセスである。まずアレイを、微小突起を模った金型を備えた成形具上に置く。エラストマー成形ディスクをアレイ上部に置き、成形具の金型に圧力をかける。エラストマーが金型に入り、微小突起を所望の角度に曲げる。エラストマーを使用した場合、効果的なアレイ成形のために成形ディスクを微小突起および金型に精密に合わせる必要がないという利点を持つ。図32に示すように、微小突起は、約120±13μmの幅と、約25.4±2.5μmの厚さを持つ実質的長方形であり得る。微小突起は、貫入を容易にするために端部が三角形状の先端となっている。先端部の角度は40±5度であり、長さは約165±25マイクロメートルである。基板から曲げる(成形する)前には、微小突起の長さは387±13μmであり、曲げた後には、微小突起は基板から垂直方向に約340μm突き出る。
他の好ましい実施形態は、パッチの面積が約5cm2であり、約6cm2の面積および約25μmの厚さを持つチタン基板に固着している。基板は、約4000個の微小突起を約725個の微小突起/cm2の密度で備えた約5.5cm2の面積を持つアレイから構成されている。各微小突起に収容される乾燥製剤は、最大約270μmから先細りの厚さを持つ略アメリカンフットボールの形状であり、1パッチ当たり約0.96μgのゾルミトリプタンと約0.32の酒石酸か、または約3.8mgのゾルミトリプタンと約1.3mgの酒石酸とからなる。微小突起の長さは約387±13μmであり、幅は約120±13μm、厚さは約25.4±2.5μmである。微小突起は、貫入を容易にするために三角形状の先端部を有した長方形である。先端部の角度は40±5度であり、長さは約165±25マイクロメートルである。
所望の貫入をもたらす大きさ、長さ、および密度の適正な組み合わせは様々であり、薬剤、薬剤の用量、治療される疾患または症状、および投与の頻度に左右され得る。したがって、ある特定のアレイの薬剤送達効率(すなわち血流に送達される薬剤量)は、約40%〜100%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約100%と様々になる。
B.衝撃アプリケータ
図4A〜図4B、図5A〜図5Eに示すように、本開示の皮内薬剤送達システムは、本体と、本体内で移動可能なピストンとを備えた衝撃アプリケータであって、該ピストンの表面がパッチを皮膚に対して押し込み、微小突起が角質層を突き刺すようにする、衝撃アプリケータをさらに含むことができる。このアプリケータは、10ミリ秒以下内に1cm2当たり少なくとも0.05ジュール、または10ミリ秒以下内に1cm2当たり約0.26ジュール、または10ミリ秒以下内に1cm2当たり約0.52ジュールの衝突エネルギー密度で、マイクロニードルアレイを角質層に対して押し付けるのに適合したものである。
図2A〜図2Bに示すように、皮内送達システムは、一方の表面に粘着面を備え、他方の側に薬剤コーティングされたマイクロニードルのアレイで構成される光沢金属表面を備えた、パッチを含む。パッチは、手動でまたは好ましくはアプリケータを用いて、皮膚に対して光沢金属表面を押圧することによって皮膚に適用することができる。好ましくは、アプリケータは、10ミリ秒以下内に1cm2当たり0.26ジュールの衝突エネルギー密度でパッチを皮膚に押し付ける。図2A、図2B、図3A、および図3Bに示すように、パッチは保持リング構造と接続し、保持リング構造によって支持されて、パッチアセンブリを形成することができる。保持リングを調節して、衝撃アダプターの上に合わせ、取り外しできるようにパッチをアプリケータに取り付ける。保持リング構造は、内側リングと外側リングとを含んでいてもよく、これらは、粘着性パッチとマイクロニードルアレイとを嵌め込むように設計されている。図5A〜図5Eは、特許請求される発明の一実施形態を示すものであり、ユーザーが、パッチとマイクロニードルアレイとを既に取り付けた保持リングに、衝撃アプリケータを接続させている様子を示すものである。図示のように、保持リングと衝撃アプリケータとが接続すると、ユーザーはアプリケータキャップを回すことによって衝撃アプリケータのロックを解除することができる。図5Cは、ユーザーが続いてアプリケータを皮膚に下向きに押圧して、パッチを出し、それを皮膚に適用することができることを示す。パッチは取り外しできるように患者の皮膚に付着し、保持リングはアプリケータに取り付けられたままになる。図4Aおよび図4Bに示すように、保持リングは、元に戻せるように衝撃アプリケータに取り付けられて、衝撃アプリケータが次の投与時に、さらなるパッチアセンブリを用いかつ場合によっては他の活性成分や病状を対象にして再利用できるようにする。
別の実施形態では、パッチとアプリケータとは、単一の一体型ユニットとして、製剤の安定性および無菌性を確保するパッケージングを施されて提供される。ユーザーは、システムをパッケージングから外し、上述と同様にパッチを適用する。使用したアプリケータは処分される。この実施形態は、1回の投与当たりのコストがやや高くなるが、複雑ではなく小型軽量で使用しやすいシステムを提供する。
本開示は、様々な能動的経皮システム(本明細書に記載の受動的な手動皮内送達デバイスとは異なる)と合わせて用いることもでき、本開示はこの点に関して何ら制限されるものではない。
能動的経皮システムにはエレクトロトランスポートを用いるものもある。エレクトロトランスポート薬剤送達システムは、米国特許第5,147,296号、同第5,080,646号、同第5,169,382号、および同第5,169,383号に例示的に開示されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に援用される。広範に使用されているエレクトロトランスポートプロセスの1つはイオン導入であり、これには荷電イオンの電気誘導輸送が含まれる。電気浸透は、非荷電分子または電荷的に中性な分子の経皮輸送(例えば、グルコースの経皮サンプリング)に関与した別のタイプのエレクトロトランスポートプロセスであり、薬剤を含む溶媒が電界の影響下で膜を介して移動することに関するものである。電気穿孔は、さらに別のタイプのエレクトロトランスポートであり、電気パルス、すなわち高電圧パルスを膜にかけることにより形成した孔を介して薬剤が通過することに関するものである。多くの場合、記載したプロセスのうちの1つ以上が種々の程度で同時に行われている可能性がある。したがって、「エレクトロトランスポート」という用語は、本明細書では、その最も広い理にかなった解釈で使用され、少なくとも1つの荷電薬剤もしくは非荷電薬剤またはその混合物の電気誘導輸送または電気増強輸送を、その薬剤が実際に輸送される手段の特定機序に関わらず含んでいる。
さらに、以下に限定されないが、化学浸透増強、レーザーアブレーション、熱、超音波、または圧電素子を含む任意の他の輸送増強方法を本明細書の開示と合わせて使用することもできる。
IV.活性剤および生体適合性コーティング
固体コーティングを形成するために上述の微小突起部に塗布するコーティング製剤は、液体、好ましくは生体適合性担体に溶解することができるかまたは該担体に懸濁することができる少なくとも1つの生物学的活性製剤を含む水性製剤からなる。生物学的活性剤は、ゾルミトリプタン、スマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、アビトリプタン、およびドニトリプタン、ならびにその薬学的に許容される塩、断片、類似体、またはプロドラッグを含むトリプタンであってもよい。好ましくは、生物学的活性剤はゾルミトリプタンである。
薬学的に許容される塩の例として、以下に限定されないが、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、トリカルバリル酸塩、マロン酸塩、アジピン酸塩、シトラコン酸塩、グルタル酸塩、イタコン酸塩、メサコン酸塩、シトラマル酸塩、ジメチロールプロピオン酸塩、チグリン酸塩、グリセリン酸塩、メタクリル酸塩、イソクロトン酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、クロトン酸塩、アンゲリカ酸塩(angelate)、ヒドロアクリル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、およびスルホン酸塩が挙げられる。
妥当なコーティング厚さで所望の量の活性成分を得、コーティング製剤がマイクロニードルアレイ基部でウィッキングすることを回避し、コーティングの均一性を維持し、安定性を確保するために、生物学的活性成分および賦形剤の濃度を慎重に制御しなければならない。一実施形態では、活性剤は、約1重量/重量%〜約60重量/重量%、好ましくは約15%〜60%、またはさらに好ましくは35%〜45%の濃度でコーティング製剤に含まれる。製剤は、約0.1重量/重量%〜約20重量/重量%の濃度で酸をさらに含み得る。こうした酸は、酒石酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、乳酸、塩酸から、個別にまたは組み合わせて選択することができる。別の実施形態では、コーティング製剤において、活性剤と酸の比は約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、または約5:1である。本開示は、約33重量/重量%のゾルミトリプタンのベースと約11重量/重量%の酒石酸とを含むコーティング製剤をさらに包含する。一部の実施形態では、酸は、酒石酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、またはマレイン酸のうちの1つであり、約0.33重量/重量%〜10重量/重量%、または約8.33重量/重量%〜16.67重量/重量%、または約13.33重量/重量%、または約15重量/重量%、または約6.67重量/重量%の量で含まれる。一部の実施形態では、コーティング製剤は、45重量/重量%の活性剤と、15重量/重量%の酸と、40重量/重量%の水とを含む。
界面活性剤がコーティング製剤に含まれる場合がある。コーティング製剤に添加するのに適切な界面活性剤として、以下に限定されないが、ポリソルベート20およびポリソルベート80が挙げられる。界面活性剤は、浸透促進剤として薬剤送達を高めるために一般的に使用されている。一方で、出願人は、界面活性剤が、不均一な膜を示しかつ極めて不都合となるコーティング製剤のうねりをもたらすことがわかった。出願人は、特許請求される発明を使用することにより、具体的には特許請求されるゾルミトリプタン経皮送達パッチを使用することにより、界面活性剤および他の浸透促進剤を用いる必要性をなくすことができることを見出した。さらに、出願人は、驚くべきことに、界面活性剤を用いていないにも関わらず、マイクロニードルコーティングにはウィッキングがなく、このコーティングはマイクロニードルアレイの製造プロセスの間、微小突起にしっかりと付着していたこともわかった。
酸化防止剤がコーティング製剤に含まれる場合がある。コーティング製剤に添加するのに適切な酸化防止剤として、以下に限定されないが、メチオニン、アスコルビン酸、およびEDTAが挙げられる。
コーティング製剤は、マイクロニードル上で乾燥する前に製剤を100%にするのに十分な(作成するのに十分な)量で液体を、好ましくは水をさらに含む。液体コーティング製剤のpHは約pH8未満であってもよい。他の事例では、pHは約pH3〜7.4、または約pH3.5〜4.5である。
本開示による液体コーティング製剤の代表例を以下表1に記載する。コーティングは通例、少なくとも1種類の酸を含む。
Figure 2021500397
本開示は、スマトリプタンまたは他のトリプタンを、ゾルミトリプタンの代わりに前述と同様の量または比率で用いることができることを考慮に入れるものである。
本開示による液体コーティング製剤は、一般的に、5%未満の水、好ましくは3%未満の水を含み、マイクロニードルをばらつきなく適正な量およびモルフォロジーでコーティングすることができ、したがって安定な固体(乾燥)製剤をもたらすものである。液体製剤を、マイクロニードルアレイおよびその微小突起先端部に、液膜に浸す微小突起先端部の深さを正確にコントロールできる工業用塗布装置を用いて塗布する。適正なコーティング手法の例は、米国特許第6,855,372号に記載されており、該特許はその全体が参照により本明細書に含まれる。したがって、既に述べたように、液体の粘度が微小突起部のコーティングプロセスに影響を与えることになる。Ameri, M.; Fan, SC.; Maa, YF (2010);「Parathyroid hormone PTH(l-34) formulation that enables uniform coating on a novel transdermal microprojection delivery system;」Pharmaceutical Research, 27, pp. 303-313を参照されたく、またAmeri M, Wang X, Maa YF (2010);「Effect of irradiation on parathyroid hormone PTH(l-34) coated on a novel transdermal microprojection delivery system to produce a sterile product-adhesive compatibility;」Journal of Pharmaceutical Sciences, 99, 2123-34も参照されたい。
ゾルミトリプタンを含むコーティング製剤の粘度は、約500センチポアズ(cP)未満かつ3cP超、または約400cP未満かつ10cP超、または約300cP未満かつ50cP超、または約250cP未満かつ100cP超である。一部の実施形態では、コーティングする前の液体製剤の粘度は少なくとも20cPである。他の実施形態では、粘度は、約25cP、または約30cP、または約35cP、または約40cP、または約45cP、または約50cP、または約55cP、または約60cP、または約65cP、または約70cP、または約75cP、または約80cP、または約85cP、または約90cP、または約95cP、または約100cP、または約150cP、または約200cP、または約300cP、または約400cP、または約500cPである。他の実施形態では、粘度は、約25cP超,または約30cP超、または約35cP超、または約40cP超、または約45cP超、または約50cP超、または約55cP超、または約60cP超、または約65cP超、または約70cP超、または約75cP超、または約80cP超、または約85cP超、または約90cP超、または約95cP超、または約100cP超、または約150cP超、または約200cP超、または約300cP超、または約400cP、または約500cP未満である。好ましい実施形態では、コーティング製剤の粘度は、約80cP超かつ約350cP未満であり、別の好ましい実施形態では、粘度は約100cP超かつ約350cP未満であり、別の好ましい実施形態では、粘度は約100cP超かつ約250cP未満である。
微小突起に塗布された後、コーティング製剤の平均厚さは、微小突起表面から測定した場合、約10マイクロメートル〜約400マイクロメートル、または約30マイクロメートル〜約300マイクロメートル、または約100マイクロメートル〜約175マイクロメートル、または約115マイクロメートル〜約150マイクロメートル、または約135マイクロメートルであり得る。コーティング製剤の微小突起を被覆する厚さは均一であることが好ましいが、製造プロセスの結果として製剤に若干ばらつきがある場合がある。図31に示すように、微小突起は通例、角質層を貫通するために均一にコーティングされる。一部の実施形態では、微小突起の先端部から基部までの全長がコーティングされているわけではなく、代わりに微小突起の長さの一部がコーティングで被覆されており、その長さの一部は、先端部から基部まで測定した場合、微小突起の長さの少なくとも約10%〜約80%、または20%〜70%、または約30%〜約60%、または約40%〜約50%である。
液体コーティング製剤は、1アレイ当たり約0.1mg〜10mgの量で活性剤用量が送達されるように微小突起アレイに塗布される。ゾルミトリプタンの場合には、1アレイ当たり角質層に送達(パッチまたは他の形態を介して送達)される用量は、約0.25mg〜約10mg、または約1mg以上、または約1.9mg以上、または約2mg以上、または約3mg以上、または約3.8mg以上、または約4mg以上、または約5mg以上である。一実施形態では、コーティング製剤に含まれるゾルミトリプタンの量は1μg〜1000μgまたは10μg〜100μgである。一実施形態では、アレイサイズが約5.5cm2であり約3.8mgのゾルミトリプタンの用量を含むか、またはアレイサイズが約3cm2であり約3.8mgの用量を含むか、またはアレイサイズが約3cm2であり約1.9mgの用量を含む。1つの微小突起当たりのゾルミトリプタンまたは同様の活性剤の量は、約0.001μg〜約1000μg、または約0.01μg〜約100μg、または約0.1μg〜約10μg、または約0.5μg〜約2μgの範囲であり得る。一実施形態では、1つの微小突起当たりのゾルミトリプタンまたは同様の活性剤の量は約1μgである。微小突起の形状およびサイズは、薬剤担持能および薬剤送達効率に大きく関わっている。
本開示の製剤が活性剤の血流への吸収を促進させる浸透促進剤にそもそも依存していないことは、重要な点である。Azone(登録商標)および脂肪酸などの浸透促進剤は、皮膚のかぶれをもたらすことが多く、他の不利な点も有する。したがって、本開示のシステムは完全に浸透促進剤を含んでいないか、または実質的に浸透促進剤を含んでいない。他の実施形態では、乾燥製剤に含まれる浸透促進剤は、15重量/重量%未満、または10重量/重量%未満、または5%重量/重量%未満、または2.5%重量/重量%未満、または1重量/重量%未満である。
生物学的活性剤製剤は一般的に、米国特許出願公開第2002/0128599号に記載されているように、コーティング製剤を微小突起上で乾燥させることにより固体コーティングとして調製される。コーティング製剤は通例、水性製剤である。乾燥プロセスの間、水を含む全ての揮発性物質がほとんど除去されるが、最終的な固体コーティングにはまだ約1重量/重量%の水、または約2重量/重量%の水、または約3重量/重量%の水、または約4重量/重量%の水、または約5重量/重量%の水が含まれている場合がある。製剤に含まれる酸素および/または水の含有率は、乾燥不活性雰囲気および/または減圧を用いることによって減少する。微小突起アレイ上の固体コーティングにおいて、薬剤は、単位用量当たり約10mg未満、または約4mg未満、または約3mg未満、または約2mg未満、または約1mg未満の量で含まれ得る。賦形剤を追加した場合には、固体コーティングの総質量は、単位用量当たり約15mg未満となり得る。
微小突起部は通例、粘着面にあり、使い捨てのポリマー製保持リングに取り付けられている。このアセンブリは個々に小袋またはポリマー製容器にパッケージングされている。このパッケージは、アセンブリの他に、少なくとも3mLの用量となる死容積を含む。この大きい容積(コーティングの容積と比べた場合)の一部が水の吸収体として作用する。例えば、20℃では、3mLの大気において蒸気圧の結果として含まれる水の量は飽和状態で約0.05mgであり、これが通例、乾燥後に固体コーティングに含まれる残留水の量となる。したがって、乾燥不活性雰囲気および/または減圧で保管することにより、コーティングの水含有量がさらに減じ、その結果、安定性が向上すると考えられる。
本開示によると、種々の既知の方法を用いてコーティングを微小突起に施すことができる。例えば、皮膚を突き刺す微小突起部または微小突起の箇所(例えば先端部)のみにコーティングを施すことができる。続いてコーティングを乾燥させて、固体コーティングを形成する。こうしたコーティング方法には、浸漬コーティングが含まれる。浸漬コーティングは、微小突起をコーティング溶液に部分的または完全に浸漬することによって微小突起をコーティングする方法として説明することができる。部分的に浸漬する技術を用いることで、微小突起の先端部のみにコーティングを限定することが可能になる。
さらなるコーティング方法には、同様に微小突起の先端部のみにコーティングを限定するローラーコーティング機構を用いるローラーコーティングがある。ローラーコーティング方法は米国特許出願公開第2002/0132054号に開示されている。そこで詳細に論じているように、開示されたローラーコーティング方法は、皮膚穿通の間に微小突起から容易に剥がれることのない滑らかなコーティングを提供している。
本発明の範囲内で用いることができるさらなるコーティング方法にはスプレーコーティングがある。スプレーコーティングは、コーティング組成物のエアロゾル懸濁液を形成することを含み得る。一実施形態では、約10ピコリットル〜200ピコリットルの液滴サイズを持つエアロゾル懸濁液を微小突起にスプレーした後に乾燥する。
パターンコーティングを用いて微小突起をコーティングすることもできる。微小突起表面の特定箇所に液を被覆させる吐出システムを用いて、パターンコーティングを施すことができる。被覆液の量は、好ましくは、1つの微小突起当たり0.1ナノリットル〜20ナノリットルの範囲である。適正な精密定量液体吐出装置の例が、米国特許第5,916,524号、同第5,743,960号、同第5,741,554号、および同第5,738,728号に開示され、これらは参照により本明細書に完全に援用される。
微小突起コーティング製剤または溶液を、既知のソレノイド弁ディスペンサと、任意選択的な液体輸送手段と、電界を用いて制御するのが一般的な位置決め手段とを備えた、インクジェット技術を用いて塗布することもできる。印刷業界の他の液体吐出技術または当該技術分野で既知の同様の液体吐出技術を用いて、本発明のパターンコーティングを施すこともできる。
本開示の一実施形態では、ゾルミトリプタンを含む乾燥コーティング製剤の厚さは、微小突起表面から測定した場合、約10マイクロメートル〜100マイクロメートル、または約20マイクロメートル〜80マイクロメートル、または約30マイクロメートル〜60マイクロメートル、または約40マイクロメートル〜50マイクロメートルの範囲である。所望のコーティング厚さは複数の要因によって変わるが、その要因には、所定の用量、ひいてはその用量の送達に必要なコーティング厚さ、シートの単位面積当たりの微小突起の密度、粘度、コーティング組成物の溶解度および濃度、ならびに選択したコーティング方法などがある。微小突起に塗布するコーティングの厚さは、ゾルミトリプタンの安定性を最適化するようにも調節され得る。既知の製剤補助剤は、コーティング製剤に必要とされる溶解度特性や粘性特性に悪影響を及ぼすことも、乾燥コーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼすこともない限り、コーティング製剤に添加することができる。
コーティングは、マイクロニードルアレイの基部またはストリートから突き出ているマイクロニードルに施される。コーティングは、マイクロニードルの先端部に施されるものであり、マイクロニードルおよびマイクロニードルアレイの表面を被覆することを意図するものではない。その結果、1つの経皮パッチ当たりの薬剤量が減る。これは、経皮送達システムの残留薬剤の危険性に関し、システムの残留薬剤の量は最小にすべきであると提案するFDAガイドラインの点から有利である。産業向けFDAガイダンスの「経皮および関連薬剤送達システムにおける残留薬剤(Residual Drug in Transdermal and Related Drug Delivery Systems)」(2011年8月)を参照されたい。コーティングに過剰の薬剤を使用することなく、単位面積当たりの皮膚への薬剤放出を最大化することが、出願人の戦略であった。
コーティングを施した後、コーティング製剤を微小突起上で様々な方法を用いて乾燥させる。コーティングされた微小突起部を、周囲室内条件で乾燥することができる。しかしながら、様々な温度および湿度レベルを使用して、微小突起上のコーティング製剤を乾燥することもできる。さらに、コーティング部を加熱するか、真空下または乾燥剤の上で保管するか、凍結乾燥させるか、フリーズドライするか、または同様の技術を用いて、コーティングから残留水分を除去することができる。
コーティングを、薬剤製剤貯蔵部(容積2mL)のローラードラムを50rpmで回転させることによって周囲温度で行い、厚さ約270μmという制御された厚さを持つ薄膜を形成した。コーティングプロセスに関するさらなる情報については、米国特許第6,855,372号に記載されており、この特許はその全体が参照により本明細書に援用される。微小突起アレイをその薬剤薄膜に浸漬し、コーティング量を薬剤薄膜に浸漬(薬剤薄膜を通過)する回数により制御する。
乾燥プロセスを実施している間に、制御された一様の厚さで微小突起を均一にコーティングすることに関して問題が生じる場合がある。経皮パッチコーティングでの共通な課題の1つは、「ドリッピング」または「涙滴」形成とも呼ばれ、コーティングが乾燥し、コーティングが微小突起の端部で「涙滴」形状で溜まる際に発生する。この涙滴形状はマイクロニードルの尖端部を鈍らせる場合があり、貫入の効果および均一性に影響を与える可能性がある。微小突起上の製剤が不均一な層になっている場合には、不均一な、ときには不適当な薬剤送達をもたらすことになる。さらに、乾燥プロセスにおけるこの課題は、製剤コーティングの品質制御の問題を引き起こす。好ましい液体コーティング製剤は、30重量/重量%〜約60重量/重量%、好ましくは約40重量/重量%〜約50重量/重量%、より好ましくは約45重量/重量%の量のゾルミトリプタンと、約5重量/重量%〜約25重量/重量%、好ましくは約10重量/重量%〜約20重量/重量%、より好ましくは約15重量/重量%の量の酒石酸とを、液体担体中に、好ましくは水中、より好ましくはイオン交換水中に含む。こうした液体コーティング製剤では、出願人らは、驚くべきことに、約150cP〜約350cP、好ましくは約200cP〜約300cP、より好ましくは約250センチポアズの粘度と、約50mNm-1〜約72mNm-1、好ましくは約55mNm-1〜約65mNm-1、より好ましくは約62.5mNm-1の表面張力とを維持すれば、ドリッピングが回避できることを見出した。涙滴形成を回避できるのと同時に、微小突起を液体コーティング製剤に浸漬する毎に十分な容積の液体コーティング製剤を付着させることができ、所望の薬剤用量を最小限の浸漬回数で得ることができる。コーティング溶液の粘度および表面張力が十分に高い場合には、コーティング液は、浸漬後かつ乾燥前に、直ちに浸漬を後退させることも涙滴形状を形成することもない。
本明細書に記載した製剤および方法は、片頭痛または群発頭痛の治療に適したゾルミトリプタン治療濃度を迅速に得る方法でゾルミトリプタンを送達することに関するものであるが、スマトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、アビトリプタン、およびドニトリプタンを含む他のトリプタンにも適用できる。
一態様において、ゾルミトリプタンの投与経路は、筋肉内、皮内、皮下、鼻腔内、経口吸入、経皮、頬側、肺、または舌下である。例えば、筋肉内送達または皮下送達用に設計された製剤は、ゾルミトリプタン(ベース)1mgと酒石酸0.3mgとを、0.9重量/体積%の生理食塩水1mL中に含む。さらに、肺送達用に設計された製剤は、水に溶解もしくは懸濁したゾルミトリプタン塩の形態であるか、またはミリング、超臨界流体プロセス、スプレー乾燥、もしくはスプレー凍結乾燥を用いて作製された吸入送達用のゾルミトリプタン粉末の形態であり、またゾルミトリプタンの相当割合が肺に確実に取り込まれるように、空気動力学的質量中央径(MMAD)が約0.5μm〜5.8μmの制御された微粒子サイズを持つ呼吸可能微粒子であることもある。ゾルミトリプタン粉末を生じさせるプロセスは、粉末貯蔵部から計量するか、もしくは予め計量して乾燥粉末吸入器(DPI)構成に供給することにより直接用いることができるか、または定量吸入器(MDI)構成においては、ヒドロフルオロアルカン類(1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン、および1,1,1,2−テトラフルオロエタンと1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンとの混合物からなる群から選択されるか、またはその混合物)といった薬学的に許容できる噴霧剤などの懸濁媒体に微粒子を直接懸濁/分散することもできる。生成した粒子は結晶体であっても非晶質であってもよく、これはゾルミトリプタン粉末を生成するプロセスによって決まる。一態様では、ゾルミトリプタン用量は0.5mg〜4mgの範囲であり、片頭痛または群発頭痛の発症時に投与される。
V.パッケージング滅菌
乾燥コーティングされた製剤の物理的安定性が高まると、治療薬剤自体の保管寿命または貯蔵寿命が増えるという利点があるだけでなく、有効性も高める。本発明の組成物ならびに製剤方法および送達方法に従って治療薬を安定化させると、候補となる製剤のさらに広い範囲で、また様々な種類の治療剤送達手段で、本治療薬剤が有用になるからである。
本開示は、活性剤製剤であって、酸素および/または水による劣化を、活性剤製剤を乾燥不活性雰囲気で製造するおよび/またはパッケージングすることにより最小化および/または制御する活性剤製剤を含む。製剤は、乾燥剤の存在下の乾燥不活性雰囲気で、任意選択的に箔層含むチャンバまたはパッケージ内で、保持されてもよい。
乾燥剤は当業者に既知の任意のものであってもよい。一部の一般的な乾燥剤として、以下に限定されないが、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、粘土乾燥剤、硫酸カルシウム、およびシリカゲルが挙げられる。乾燥剤を、生物学的活性剤含有製剤と合わせて、箔層を含むパッケージ内に不活性雰囲気下で入れることができる。
別の態様では、活性剤製剤を、その製剤を微小突起アレイ送達デバイスにコーティングした後に、箔層を含むチャンバにパッケージングする。この実施形態では、乾燥剤をチャンバに入れ、好ましくは箔層を含むチャンバ蓋に取り付け、チャンバを乾燥窒素または希ガスなどの他の不活性ガスでパージした後に、送達デバイスの入った箔チャンバを該箔蓋でシールする。本明細書において、乾燥不活性雰囲気を作るために任意の適切な不活性ガスを使用することができる。
一実施形態では、皮内送達に適したゾルミトリプタンの組成物ならびにゾルミトリプタン製剤方法および送達方法は、パッチアセンブリを利用している。このパッチアセンブリは、乾燥不活性雰囲気でかつ乾燥剤の存在下で製造および/またはパッケージングされる。一実施形態では、パッチアセンブリは乾燥不活性雰囲気で製造され、および/または箔層を含みかつ乾燥不活性雰囲気と乾燥剤とを備えたチャンバ内でパッケージングされる。一実施形態では、パッチアセンブリは減圧下で製造および/またはパッケージングされる。一実施形態では、パッチアセンブリは、乾燥不活性雰囲気内かつ減圧下で製造および/またはパッケージングされる。一実施形態では、パッチアセンブリは減圧下の乾燥不活性雰囲気で製造され、および/または箔層を含み、かつ乾燥不活性雰囲気と減圧と乾燥剤とを備えたチャンバ内でパッケージングされる。
記載した本発明の実施形態では通例、不活性雰囲気の実質的水含有量はゼロである。例えば、実質的に水含有量がゼロである窒素ガス(乾燥窒素ガス)は、液体窒素を電気的に制御して沸騰させることにより調製することができる。パージシステムを用いて、水分含有量または酸素含有量を減らすこともできる。減圧の範囲は約0.01気圧〜約0.3気圧である。
本実施形態の一態様では、ゾルミトリプタン製剤は生体適合性担体をさらに含む。別の実施形態では、ゾルミトリプタンを送達するのに適合した皮内送達システムであって、(a)患者の角質層を突き刺すのに適合した複数の微小突起を備えた微小突起部と、(b)ゾルミトリプタンを含むヒドロゲル製剤であって、微小突起部と連通したヒドロゲル製剤と、(c)不活性ガスでパージされ、かつ微小突起部周囲のシールされた環境条件を制御するのに適合したパッケージングであって、該シールされたパッケージングが微小突起部を滅菌するために放射線に曝露されている、パッケージングとを含む、皮内送達システムがある。
別の実施形態では、ゾルミトリプタンを送達するのに適合した皮内送達システムであって、(a)患者の角質層を突き刺すのに適合した複数の微小突起を備えた微小突起部と、(b)微小突起部に近設された固体膜であって、該固体膜が、ゾルミトリプタンと、ポリマー材料と、可塑剤と、界面活性剤と、揮発性溶媒とを含む液体製剤をキャスティングすることにより形成された、固体膜と、(c)不活性ガスでパージされ、微小突起部周囲のシールされた環境条件を制御するのに適合したパッケージングであって、該シールされたパッケージングが微小突起部を滅菌するために放射線に曝露されている、パッケージングと、を含む、皮内送達システムがある。
本開示は、ゾルミトリプタンを送達するのに適合したパッチアセンブリを最終的に滅菌する方法であって、(a)患者の角質層を突き刺すのに適合した複数の微小突起を備えた微小突起部であって、ゾルミトリプタンを含む生体適合性コーティングが該微小突起部上に設けられた、微小突起部を提供する工程と、(b)ガンマ線および電子線からなる群から選択される放射線であって、該放射線が所望の滅菌保証水準に達するのに十分である放射線に、該微小突起部を曝露する工程と、を含む方法に関するものでもある。この滅菌保証水準は10-6〜10-5であり得る。本方法は、不活性ガスでパージしたパッケージング内に微小突起部と乾燥剤とを合わせてシールすることと、ガンマ線および電子線からなる群から選択される放射線であって、該放射線が所望の滅菌保証水準に達するのに十分である放射線に、該パッケージングされた微小突起部を曝露することとをさらに含むことができる。
本実施形態の一態様では、本方法は、粘着面に固着した微小突起部を備えるパッチを予め乾燥させた保持リングに取り付けて、パッチアセンブリを形成する工程と、続いてパッケージング内で該微小突起部をシールする工程とをさらに含む。本実施形態の一態様では、本システムは、パッケージング内でパッチアセンブリと共にシールされた乾燥剤をさらに含み、および/または該パッケージングが窒素でパージされており、および/または該パッケージングが箔層を備えた小袋を含む。好ましくは、箔層はアルミニウムを含む。
微小突起部を放射線に曝露する工程は約−78.5℃〜25℃で行うことができるが、微小突起部を室温で放射線に曝露してもよい。放射線は約5kGy〜50kGyの範囲、または約10kGy〜30kGyの範囲、または約15kGy〜25kGyの範囲、または約21kGy、または約7kGyであり得る。本実施形態の一態様では、放射線は、少なくとも約3.0kGy/時間の線量で微小突起部に照射される。
本明細書に記載した通り、出願人はゾルミトリプタン製剤を開発し、この製剤は、本開示のマイクロニードル部にコーティングされている場合、上述の放射線への曝露後少なくとも6カ月間、または少なくとも9カ月間、または少なくとも12カ月間、または少なくとも18カ月間、または少なくとも24カ月間安定であり、かつその非晶質特性を維持するものである。
一実施形態では、マイクロニードルに付いた乾燥ゾルミトリプタン製剤は、少なくとも6カ月間、最初の純度の約100%、または最初の純度の約99%、または最初の純度の約98%、または最初の純度の約97%、または最初の純度の約96%、または最初の純度の約95%、または最初の純度の約90%を保持する。他の態様では、こうした純度は、パッケージング後少なくとも9カ月、または少なくとも12カ月、または少なくとも18カ月、または少なくとも24カ月の間保持される。さらなる実施形態では、マイクロニードルにコーティングされたゾルミトリプタンは、この段落で述べたように純度を保持し、パッケージングした後に少なくとも6カ月間、または少なくとも9カ月間、または少なくとも12カ月間、または少なくとも18カ月間、または少なくとも24カ月間、実質的にその非晶質特性をも維持する。
一実施形態では、ゾルミトリプタンの送達に適合した皮内送達システム用のパッチアセンブリを製造する方法は、患者の角質層を貫通するかまたは突き刺すのに適合した複数のマイクロニードルを備えたマイクロニードル部であって、生体適合性コーティングが該マイクロニードル部の表面に設けられ、該コーティングがゾルミトリプタンを含むコーティング製剤から形成されかつ被覆された、マイクロニードル部を提供する工程と、窒素でパージされ、マイクロニードル周囲の環境条件を制御するのに適合したパッケージング内で乾燥剤と共にマイクロニードル部をシールする工程と、ガンマ線、電子線、およびX線からなる群から選択される放射線であって、該放射線が所望の滅菌保証水準に達するのに十分な放射線にマイクロニードル部を曝露する工程と、を含む。
本発明の別の実施形態によれば、安定な生物学的活性剤製剤を送達する方法は、(i)複数の微小突起を備えた微小突起部を提供する工程と、(ii)生物学的活性剤の安定化された製剤を提供する工程と、(iii)安定化された生物学的活性剤製剤を含む生体適合性コーティング製剤を生成する工程と、(iv)生体適合性コーティングを形成するために、微小突起部を生体適合性コーティング製剤でコーティングする工程と、(v)生体適合性コーティングを乾燥することによって安定化させる工程と、(vi)該コーティングした微小突起部を対象の皮膚に適用する工程と、を含む。
さらに、薬剤の最適な安定性と貯蔵寿命とが、固体でありかつ実質的に乾燥した生体適合性コーティングにより達成される。しかしながら、コーティング溶解の動力学および薬剤放出の動力学は、種々の要因に応じて認識できる程度に変わり得る。本生体適合性コーティングは保管上の安定性があることに加えて、治療剤の所望の放出が得られることが理解されるであろう。
患者の角質層を貫通するかまたは突き刺すのに適合した複数の微小突起を備えた微小突起部であって、生体適合性コーティングが該微小突起部表面に設けられ、該コーティングが、少なくとも1つのトリプタン、好ましくはゾルミトリプタンを含むコーティング製剤から形成され、被覆された、微小突起部を提供する工程と、ガンマ線および電子線からなる群から選択される放射線であって、該放射線が所望の滅菌保証水準に達するのに十分である放射線に該微小突起部を曝露する工程と、を含む、ゾルミトリプタンの送達に適合した経皮デバイスを最終的に滅菌する方法が、本明細書に包含される。本方法のさらなる態様は、微小突起部周囲の環境条件を制御するのに適合したパッケージング内で微小突起部をシールする工程をさらに含む。一態様では、該パッケージングは箔小袋を含む。本方法のさらなる態様は、パッケージング内で乾燥剤をシールする工程をさらに含む。また、本方法は、パッケージング内に微小突起部をシールする前に、予め乾燥した保持リングに微小突起部を取り付ける工程を含む。本方法のさらなる態様は、パッケージングをシールする前に、該パッケージングを不活性ガスでパージする工程を含む。一実施形態では、不活性ガスは窒素を含む。
VI.インビボ薬物動態(PK)
本発明の皮内/経皮システムは、同一の薬剤の経口投与と比べて、より迅速に血流の血清濃度をもたらし、かつ総薬剤曝露量を減少させる。例えば、本開示のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンの吸収は、Cmaxが50mg/mL未満となり、Tmaxが約2分〜30分となる。別の実施形態では、最初の2時間の血漿ゾルミトリプタンAUCは、経口投与後に見られる値より多いが、血漿ゾルミトリプタンAUC(0時間〜24時間)は経口投与後に見られる値よりも少なくなっている。
別の態様では、ゾルミトリプタンの吸収により血漿ゾルミトリプタンの最大値が増加するが、N−デスメチルゾルミトリプタン産物(AUC0時間〜24時間)は減少し、代謝産物が蓄積する可能性を減らしている。ゾルミトリプタンを含むトリプタンの皮内投与は、経口投与で見られる肝臓での初回通過代謝を回避し、生体利用効率が高くなる。詳細には、代謝が有意に減少した結果、適用後の各時点(例えば、1.5時間後、2時間後、5時間後、10時間後)において、N−デスメチルゾルミトリプタンの血清濃度が経口製剤で見られるよりも少なくとも約20%少なくなる。さらにゾルミトリプタン血漿レベルは増加する場合があるが、N−デスメチルゾルミトリプタン産物は、ゾルミトリプタンを同量経口投与した際に生じた場合に比べて減少する。したがって、代謝産物が蓄積する可能性が少なくなる。一方、N−デスメチルゾルミトリプタンはゾルミトリプタンよりも標的部位で活性が高いため、以下に詳述するように本発明は片頭痛または群発頭痛の治療に極めて有効となる。さらに、ゾルミトリプタンの見かけの半減期が経口投与と比べて減少するため、副作用の期間を減じることができる。
別の態様では、N−デスメチルゾルミトリプタンの血漿濃度は、適用の約15分後に約0.05ng/ml〜0.9ng/ml、または約30分後に約0.1ng/ml〜1.4ng/ml、または約1時間後に約0.1ng/ml〜1.6ng/ml、または約1.5時間後に約0.1ng/ml〜1.4ng/ml、または約2時間後に約0.1ng/ml〜1.3ng/ml、または約5時間後に約0.7ng/ml未満、または約10時間後に約0.2ng/ml未満となる。
さらに、皮内送達された生体適合性コーティングは、ゾルミトリプタンの用量を、1回の適用後または2回の適用後に、約0.2mg〜10mg、好ましくは1mg〜5mg、より好ましくは約1.9mgまたは3.8mgで含み、ゾルミトリプタンの皮内送達により、血漿Cmaxが少なくとも2ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも3.6ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも4ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも6ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも9ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも10ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも12ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも14ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも16ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも18ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも20ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも25ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも30ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも40ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも45ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも50ng/mLゾルミトリプタン、50ng/mLゾルミトリプタン未満、少なくとも55ng/mLゾルミトリプタン、少なくとも60ng/mLゾルミトリプタン、または少なくとも65ng/mLとなる。
また、ゾルミトリプタンの皮内送達により、1回の適用後、血漿Tmaxが1分以下、2分以下、3分以下、4分以下、5分以下、8分以下、10分以下、12分以下、15分以下、20分以下、30分以下、35分以下、40分以下、45分以下、50分以下、55分以下、2分〜30分、または60分以下となる。
一実施形態では、本発明のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンのTmaxは、通常放出型の経口ゾルミトリプタン錠剤の約2時間以上前、またはかかる錠剤の約1.8時間以上前、またはかかる錠剤の約1.6以上時間前、またはかかる錠剤の約1.4時間以上前、またはかかる錠剤の約1.2時間以上前、またはかかる錠剤の約1.0時間以上前、またはかかる錠剤の約0.8時間以上前、またはかかる錠剤の約0.6時間以上前、またはかかる錠剤の約0.4時間以上前、またはかかる錠剤の約0.2時間以上前となる。
別の実施形態では、本発明のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンのTmaxは、ZOMIG(登録商標)(ゾルミトリプタン)口腔内崩壊錠剤の約3時間以上前、またはかかる錠剤の約2.5時間以上前、またはかかる錠剤の約2.0時間以上前、またはかかる錠剤の約1.5時間以上前、またはかかる錠剤の約1.0時間以上前、またはかかる錠剤約0.5時間以上前となる。
さらなる実施形態では、本発明のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンのTmaxは、ゾルミトリプタン経鼻スプレーの約3時間以上前、またはかかるスプレーの約2.5時間以上前、またはかかるスプレーの約2.0時間以上前、またはかかるスプレーの約1.5時間以上前、またはかかるスプレーの約1.0時間以上前、またはかかるスプレー約0.5時間以上前となる。
別の実施形態では、本発明のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンの排出速度(t1/2)は、約0.75時間、または1.0時間、または1.1時間、または1.2時間、または1.3時間、または1.4時間、または1.5時間、または1.6時間、または1.7時間、または1.8時間、または1.9時間、または2.0時間である。こうした排出速度(t1/2)は、従来のゾルミトリプタン錠剤の速度の約3倍であるか、または従来のゾルミトリプタン錠剤の速度の約2倍である。
さらなる実施形態では、本発明のシステムを用いて皮内投与されたゾルミトリプタンのCmaxは、従来の経口ゾルミトリプタン錠剤2.5mgのCmaxよりも約1倍〜8倍、または約1.5倍〜7倍、または約2倍〜6倍、または約3倍〜5倍、または約4倍高い。
さらに、最大曝露量(Cmax)の平均値は、皮内ゾルミトリプタンでは経口錠剤に比べて約2倍〜約5倍高くなる。さらなる態様では、本発明の皮内ゾルミトリプタンに対する最大曝露量(Cmax)の平均値は、約1.0mg/mL〜約40.0mg/mL、または約5.0mg/mL〜約35.0mg/mL、または約10.0mg/mL〜約30.0mg/mL、または約15.0mg/mL〜約25.0mg/mL、または約20.0mg/mL〜約30.0mg/mL、または約25mg/mLである。
また、従来の経口ゾルミトリプタン2.5mgと比べて、約0.5mg〜約4.0mgの用量での本発明の皮内ゾルミトリプタンは、経口生体利用効率の約50%〜約100%の生体利用効率を有する。他の実施形態では、皮内での生体利用効率は、経口生体利用効率の約55%〜約95%、または約60%〜約90%、または約65%〜約85%、または約70%〜約80%、または約75%である。
最後に、本発明は、本明細書に記載のM207皮内送達システムと生物学的同等である製剤およびデバイスを包含するものである。したがって、本開示は、生物学的同等性が(i)AUCに対する90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25となり、(ii)Cmaxに対する90%CIが0.80〜1.25となる製品を網羅する。
VII.治療方法
本発明の薬剤−デバイスの組み合わせを用いて、片頭痛および群発頭痛を含む様々な疾患および症状を治療することができる。本発明の一実施形態では、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とする個体に対する片頭痛または群発頭痛の治療方法または緩和方法であって、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量の投与を含み、ゾルミトリプタンベース薬剤の吸収により血漿Cmaxが50ng/mL未満となる、治療方法または緩和方法がある。用量には約0.2mg〜約10mgのゾルミトリプタンが含まれる。この用量は、0.48mg、0.96mg、1.9mg、および3.8mgのゾルミトリプタンであってもよい。用量には、1.0mg、1.9mg、または3.8mgの単回パッチ投与か、または1.9mgの2回のパッチ投与も含まれる。これらの用量は、本明細書に記載のパッチを用いて送達することができ、身体の任意の部分の皮膚に適用することができる。好ましい実施形態では、ゾルミトリプタンの用量は、パッチを介して上腕に送達されて、片頭痛または群発頭痛の単回発作を治療する。
特定の実施形態では、本明細書に記載の片頭痛または群発頭痛を治療する方法により、以下の治療エンドポイントについて改善が見られる。投与1時間後、2時間後、または4時間後での片頭痛の痛みの消失、投与15分後または30分後での群発頭痛の痛みの消失、投与1時間後または2時間後での非常に厄介な他の片頭痛症状の消失、投与後15分または30分での患者のこれまで確認されている非常に厄介な他の群発頭痛症状の消失、1時間、2時間、または4時間での片頭痛の痛みの緩和、投与後15分または30分での群発頭痛の痛みの緩和、30分での痛みの緩和、2時間での光恐怖症の消失、2時間での音恐怖症の消失、15分での痛みの緩和、3時間での痛みの緩和、4時間での痛みの緩和、2時間での吐き気の消失、30分での痛みの消失、24時間での痛みの消失、および48時間での痛みの消失などである。さらに、救済投与を要する治療患者に関して改善が見られる。痛み、非常に厄介な他の症状、光恐怖症、音恐怖症、吐き気、および他の厄介な症状に関して、所定の逐次試験方法で改善が継続的に見られている。
表45〜表48には、片頭痛または群発頭痛による痛みを低減または削減するための特許請求される発明の有効性を、トリプタン類、およびゾルミトリプタンの他の形態と比較して示している。これらの結果は、特許請求される発明の一実施形態に基づいているが、限定されるものではない。
表45に見られるように、本明細書に記載の方法は、特許請求される発明の一実施形態によって投与1時間後に患者の痛みが消失することにおいて、ゾルミトリプタンの錠剤に比べて有意に改善することを示している。表45に示した結果は、片頭痛または群発頭痛のゾルミトリプタンでの治療に対し、既知の方法よりも特許請求される発明の方が有意に有効であることを示す単なる一例である。特許請求される発明の一実施形態では、1mgのゾルミトリプタン用量で、患者の15%超が治療1時間後に痛みが消失した。別の実施形態(1.9mg)では、患者の20%超が1時間で痛みが消失した。第3の実施形態(3.8mg)では、患者の25%超が1時間で痛みが消失した。これは、1時間で痛みが消失する患者が約10%のみであることを示したゾルミトリプタン経鼻治療よりも有効性が改善したことを明らかにしている。2.5mg、5mg、および10mgの錠剤、ならびに2.5mgの口腔内崩壊錠剤は、それぞれ1時間後に10%未満の痛みの消失のみが得られるものであるが、本発明はそれらよりもはるかに有効性が高い。特許請求される発明はまた、治療の2時間後および4時間後の痛みの消失の結果に著しい改善が見られている。一実施形態では、治療後2時間で患者の30%超に痛みの消失が見られた。別の実施形態では、2時間で患者の40%超に痛みの消失が見られた。第3の実施形態では、治療後4時間で患者の50%超に痛みの消失が見られた。これらは、治療の2時間および4時間後にそれぞれ患者の25%未満および40%未満に痛みの消失が見られるゾルミトリプタンを用いた経鼻的治療を凌駕して改善されている。これらの結果は他のゾルミトリプタン剤形および送達経路と比較することもでき、2時間で40%の痛みの消失は、他の全てのゾルミトリプタン剤形および送達経路に比べてより良好な結果となっている。これらの結果を図25にも図式的に示している。
表46は、片頭痛または群発頭痛をゾルミトリプタンで治療するための特許請求される発明方法と現行方法の痛みの緩和結果を比較したものである。1mg、1.9mg、および3.8mgを用いた実施形態では、投与わずか1時間後、それぞれ45%超、55%超、および65%超の痛みの緩和が得られた。それぞれ65%、68%、および80%超が投与2時間後に痛みの緩和を経験した。3.8mgを用いた実施形態で、80%を超える患者が投与後4時間で痛みの緩和を経験した。これら全3つの実施形態で、他のゾルミトリプタン剤形および送達経路と比較した場合に1時間で痛みの緩和に著しい改善が見られており、3.8mgを用いた実施形態は、2時間および4時間においても他のゾルミトリプタン剤形より有効であった。これらの結果を図26にも図式的に示している。
表47および表48によると、特許請求される発明が、片頭痛または群発頭痛の治療に使用される他のトリプタン類と比べて、頭痛または群発頭痛の痛みの削減または低減に著しい改善を示している。表47に示すように、特許請求される発明は、当該技術分野で現状使用されている他のトリプタン類に比べて痛みの消失の結果に著しい改善を示している。1mg、1.9mg、および3.8mgを用いた実施形態において、1時間でそれぞれ17.7%、20.5%、および26.8%の痛みの消失となり、全3つの値は他のトリプタン類のいずれよりも痛みの消失のレベルが高かった。3.8mgの実施形態では2時間および4時間でそれぞれ41.5%および54.9%の痛みの消失となり、他のトリプタン類の全てよりもなお高い値であった。これらの結果を図27にも図式的に示している。表48に示すように、特許請求される発明は、当該技術分野で現状使用されている他のトリプタン類に比べて痛みの緩和結果に著しい改善を示している。1mg、1.9mg、および3.8mgを用いた実施形態において、1時間でそれぞれ46.8%、55.4%、および68.3%の痛みの緩和となり、全3つの値は他のトリプタン類のいずれよりも痛みの緩和のレベルが高かった。3.8mgの実施形態では2時間および4時間でそれぞれ80.5%および82.9%の痛みの緩和となり、他のトリプタンの全てよりもなお高い値であった。これらの結果を図28にも図式的に示している。別の態様では、投与されたゾルミトリプタンベース薬剤の血漿Tmaxは約2分〜30分である。一実施形態では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与は、経皮投与または皮内投与により行われる。あるいはゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、皮内、経皮、頬側、または舌下である。
別の実施形態では、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とする個体における片頭痛または群発頭痛の治療方法または緩和方法であって、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量の投与を含み、最初の2時間での血漿ゾルミトリプタンAUCが、ゾルミトリプタンの等用量を経口投与した後の血漿ゾルミトリプタンAUCよりも大きくなるが、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量を皮内投与した後の血漿ゾルミトリプタンAUC0infは、ゾルミトリプタンの等用量を経口投与した後に見られる血漿ゾルミトリプタンAUC0infよりも小さくなる、治療方法または緩和方法がある。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与は、経皮投与または皮内投与である。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、皮内、経皮、頬側、または舌下である。
別の実施形態では、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とする個体における片頭痛または群発頭痛の治療方法または緩和方法であって、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量の投与を含み、ゾルミトリプタンの等用量の経口投与と比べて、ゾルミトリプタン血漿レベルが増加するが、N−デスメチルゾルミトリプタン産物が減少し、ひいては代謝産物蓄積の可能性を低減させる、治療方法または緩和方法がある。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与は、経皮投与または皮内投与である。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、経皮、頬側、または舌下である。
別の実施形態では、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とする個体における片頭痛または群発頭痛の治療方法または緩和方法であって、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量の投与を含み、ゾルミトリプタンの等用量の経口投与と比べて、ゾルミトリプタンの見かけの半減期が減少し、ひいては副作用の期間を減じる可能性を提示する、治療方法または緩和方法がある。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与は、経皮投与または皮内投与である。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、経皮、頬側、または舌下である。
本明細書で開示した実施形態のいずれも、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、経皮、頬側、および舌下からなる群から選択される。
この実施形態の一態様では、皮内投与されたゾルミトリプタンベース薬剤は、皮内投与されたスマトリプタンベース薬剤と等用量の皮下投与で得られる薬物動態プロファイルと同様の薬物動態プロファイルをもたらす。
ゾルミトリプタンを投与する方法の一態様では、ゾルミトリプタンの投与は、より速い吸収にも関わらず、血圧への影響が経口ゾルミトリプタンで見られる影響よりも大きくなるわけではない。
一実施形態では、片頭痛または群発頭痛の治療または緩和を必要とする個体における片頭痛または群発頭痛の治療方法または緩和方法であって、ゾルミトリプタンベース薬剤の治療有効量の投与を含み、最高血漿濃度(Tmax)に達するまでの時間が、ゾルミトリプタンの等用量を経口投与した場合のTmaxと同等であるかまたは該Tmaxよりも小さい、治療方法または緩和方法がある。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与は、経皮投与または皮内投与である。この実施形態の一態様では、ゾルミトリプタンベース薬剤の投与経路は、静脈内、皮下、経口、鼻腔内、経口吸入、皮内、経皮、頬側、または舌下である。これらの実施形態の一態様では、N−デスメチルゾルミトリプタンの生成量が、ゾルミトリプタンベース薬剤の等量を経口投与した場合に得られるN−デスメチルゾルミトリプタンの生成量に比べて減少している。これらの実施形態の別の態様では、皮内投与されたゾルミトリプタンベース薬剤の吸収によって、Cmaxが50ng/mL未満となる。
VIII.実施例
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を実証するために含めたものである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示される特定の実施形態において改良を行うことができ、それでもなお、本発明の精神および範囲から離れることなく同様または類似の結果が得られることを理解するべきである。したがって、記載される全ての事項は、説明的なものであり、限定的な意味ではないと解釈されるべきである。
以下の実施例において、別段の記載がなければ、微小突起アレイは、光/化学エッチングにより製作し、制御された製造プロセスを使用して形成した。方法は、M. Cormier et al.、「Device for enhancing transdermal agent delivery or sampling」、EP0914178B1(参照することにより全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法と実質的に類似である。微小突起アレイへの薬剤製剤コーティングを薬剤製剤リザーバ(2mLの体積)中で50rpmの回転のローラードラムを利用して周囲温度で実行し、制御された厚さの薬剤コーティング製剤フィルムを製造した。方法は、J.C.Trautman et al.、「Method and apparatus for coating skin piercing microprojections」、米国特許第6,855,372号明細書;J.C.Trautman et al.、「Method and apparatus for coating skin piercing microprojections」、米国特許第7,435,299号明細書(参照することにより全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法と実質的に類似である。微小突起をフィルムに浸漬する。コーティングの量は、薬剤フィルムを通じた浸漬(通過)の回数の他に、薬剤コーティング製剤特性により制御される。各浸漬の間の時間は数秒であり、これは、コーティングされた液体製剤を周囲条件下で乾燥させるために充分であった。リザーバに冷却液を循環させて、1℃のフィルム温度を維持した。リザーバは周囲空気に開いているので、コーティング装置を露点制御システム内に配置した。露点制御は、コーティング中の液体製剤への水分凝縮または液体製剤からの蒸発を最小化する。ゾルミトリプタンでコーティングされたマイクロニードルアレイを粘着バッキングとアセンブルさせてパッチを形成させ、保持リングに取り付けてパッチアセンブリを形成させた。パッチアセンブリをアルミニウムポーチ(Mangar、New Britain、PA、USA)中に包装し、乾燥窒素でパージし、Multivacヒートシーラー(モデルC400)(Multivac、Kansas City、MO、USA)を用いてヒートシールした。
実施例1−ゾルミトリプタンコーティング製剤、特徴付け、物理的性質
ゾルミトリプタンは、9.6のpKaを有する弱塩基である。過剰なゾルミトリプタン塩基を0.5mlの0.1Mの酸に加え、懸濁液を終夜2〜8℃で回転させることにより溶解度測定を実行した。次に懸濁液を遠心分離した。次に上清を回収した後、溶解したゾルミトリプタンの濃度を決定した。表2は、様々な酸におけるゾルミトリプタンの溶解度の結果を示す。
Figure 2021500397
ゾルミトリプタンは、様々な酸において良好な溶解度を呈する。ゾルミトリプタン溶液のレオロジー挙動は、pH制御用の製剤中の対イオンにより影響されることが観察された。1つの三酸(クエン酸)、2つの二酸(マレイン酸および酒石酸)を含むいくつもの弱酸緩衝液を試験した。クエン酸、マレイン酸および酒石酸を用いて調製したゾルミトリプタン製剤は、酸のpKaにおいてそれぞれpH5.2、4.3および6.2であった。これらの酸を含む製剤の粘度プロファイルを時間の関数として測定した。クエン酸およびマレイン酸緩衝化製剤はレオペクティックな挙動、すなわち、時間の関数としての粘度の増加を呈したが、酒石酸により緩衝化された製剤は、時間と共に比較的均一な粘度を維持した。全体的なレオロジー効果を考慮して、酒石酸をpH調整用の対イオンとして選択した。
33%w/wのゾルミトリプタン、11%w/wの酒石酸および56%w/wの脱イオン水製剤の液体コーティング製剤をpH4.5で調製し、チタン基材上の接触角を決定したところ、不良な濡れ性の製剤を指し示す65.8度であった。チタン上の製剤の濡れ性を向上させるために、0.2%w/wの濃度のポリソルベート20をゾルミトリプタン製剤に加えた。接触角は51.6度に減少した。
「液滴法」と呼ばれる光学的接触角方法を用いてFDS接触角計(モデルOCA15)を使用してチタン表面上の薬剤溶液製剤の静的接触角を決定した。静的接触角測定のために、溶液(5μL)の液滴をシリンジから分注して清潔なチタンホイル表面上に置いた時にスナップショット写真を撮る。液滴のベースラインと液滴境界のタンジェントとの角度を両側で測定する。完全な測定を2つの数を平均することにより得た。少なくとも5つの読取り値を各試料について記録した。
33%w/wのゾルミトリプタン、11%w/wの酒石酸、0.2%w/wのポリソルベート20、充分な量の脱イオン水を用いたコーティング試験を実行した。微小突起アレイへの薬剤製剤コーティングを薬剤製剤リザーバ(2mLの体積)中で50rpmの回転のローラードラムを利用して周囲温度で実行し、制御された厚さの薬剤製剤フィルムを製造した。微小突起を薬剤フィルムに浸漬した。コーティングの量は、薬剤コーティング製剤フィルムを通じた浸漬(通過)の回数により制御した。各浸漬の間の時間はわずか数秒であり、これは、コーティングされた液体製剤を周囲条件下で乾燥させるために充分であった。リザーバは周囲空気に開いていたので、コーティング装置を露点制御システム内に配置した。プロセスは、薬剤フィルム温度を空気の露点に合致させるように設計され、これにより、製造の実行期間にわたるコーティング製剤の蒸発が防止される。しかしながら、ゾルミトリプタン液体製剤において起伏が視覚的に観察され、これは不均一なフィルムの徴候である。液体製剤中のゾルミトリプタンの濃度を51%w/w(製剤中の酒石酸は17%w/w、および0.2%w/wのポリソルベート20)まで増加させた。フィルム中の起伏は、より高い固体含有量の製剤でもなお観察された。その後、ポリソルベート20を除去したところ、起伏はもはや存在しないことが観察された。薬学における従来の教示は、滑らかな、均一なコーティングの製造を促進するための界面活性剤の使用を支持するので、これは驚くべきかつ自明でない結果である。
別のコーティング実施形態では、33%w/wのゾルミトリプタン、11%w/wの酒石酸および56%w/wの脱イオン水製剤は、利用した特定の微小突起アレイに対してウィッキングの高い発生率を引き起こし、それにより薬剤は微小突起に粘着しなかった。製剤の粘度は22cPであったが、微小突起(幅120μm、長さ340μm)および厚い薬剤フィルム(算出されるフィルム厚み270μm)の設計は、薬剤フィルムへの各浸漬において微小突起が、充分な迅速さで乾燥できない体積の液体を摘み取り、薬剤フィルムが微小突起のベース上に広がることに繋がるようなものである。より高い固体含有量の製剤では、40%w/wのゾルミトリプタン、13.3%w/wの酒石酸および46.7%w/wの脱イオン水(M207)、85cPの粘度で微小突起は均一にコーティングされ、ウィッキングは観察されなかった。この製剤をさらなる評価のために利用した。45g(ゾルミトリプタン塩基)の名目上のバッチサイズに基づくマイクロニードルアレイパッチ(社内製品名M207)の2つの強度について代表的なバッチ処方を表3および表4に提供する。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
粘弾特性
40%w/wのゾルミトリプタン液体製剤を粘弾特性について評価した。液体の粘弾性の特徴付けは、液体のゲル化傾向を予測するための有用なツールであり得る。H. A. Barnes、J. F. Hutton、およびK. Walters、An Introduction to Rheology(Elsevier、New York、1989)。粘度計における粘弾性(すなわち、弾性かつ粘性の成分)の測定は、複雑な理論モデルに基づく。簡潔に述べれば、材料を振動応力または歪みに供し、その値は、材料の構造を破壊し、位相角の出力を生じさせるために充分に小さいものである。位相角は、粘性係数と弾性係数との比である。0度の位相角は、フックの弾性法則にしたがって全的に弾性のある材料に対応し、それゆえより剛性の、かつ秩序だった構造を示唆する。90度の位相角は全的に粘性の挙動を有する材料に対応し、ゲル化する傾向がより低い、より秩序だっていない構造を指し示す。40%w/wのゾルミトリプタン液体製剤は、約83度の高い位相角を呈し、製剤はゲル化しにくいことを指し示した。
ナノインデンテーションによるZP−ゾルミトリプタンパッチの機械的特性の特徴付け
硬度および靱性のようなゾルミトリプタンコーティングの機械的特性をM207 1.9mgパッチについてナノインデンテーションにより評価した。ナノインデンテーション試験は、微小突起をチタンアレイのベースにおいて壊した後にゾルミトリプタンでコーティングされた個々の微小突起に対して行った。硬度測定のために、コーティングされた微小突起をアレイの中心および2つの端の位置からサンプリングし、10のインデンテーション測定を3つの位置のそれぞれについて行った。Nanomechanical Test System、TriboIndenterによるBerkovichインデンターを使用して硬度および換算弾性係数を決定した。キューブコーナーインデンターを有するTriboIndenterを使用して破壊靱性により靱性を決定した。各パッチ試料について5つのインデントを作製した。
Figure 2021500397
動的蒸気収着
DVS Intrinsic(Surface Measurement Systems, Ltd.)により25℃でのM207 1.9mgパッチの水収着および脱着等温線を決定した。0%から65%まで上昇させた後に65%から0%まで低下させる増減ステップで各パッチを制御された相対湿度(RH)のサイクルに曝露した。0.1μgの分解能の微量天秤により質量の変化を連続的に測定した。各RHステップにおいて試料を0.0004のdm/dt基準で平衡に到達させた後、次のRHステップに移行した。コーティングされていないパッチを同じ条件下で分析して、コーティングされた薬剤製剤以外のパッチ成分によるバックグラウンド水取込みを決定した。
結晶化度
X線回折(XRD)解析を行って、M207 1.9mgシステムについてパッチ上の乾燥したゾルミトリプタンコーティングの固体状態相を特徴付けた。非照射およびガンマ線照射M207パッチを解析し、同じアレイ設計のコーティングされていないパッチと比較した。解析した各パッチ試料について、ゾルミトリプタンコーティングを有する約45〜50の微小突起をチタンアレイのベースにおいて壊し、XRDによりバルクとして解析した。XRDデータを連結シータ(coupled Theta)により収集した:Montel光学モノクロメーターを有する微小焦点銅X線チューブ、0.5mmのコリメーター、Vantec 500 2−D領域検出器およびレーザーアライメントシステムを備えたBruker D8 Vantec回折計での2シータスキャン。ゾルミトリプタンでコーティングされた微小突起のXRDパターンを、コーティングされていない微小突起のXRDパターンと比較した。ゾルミトリプタンでコーティングされたパッチ試料において存在する全ての鋭いピークは、コーティングされていないパッチ試料におけるものと合致した。それらの鋭いピークを、ICDD/ICSDデータベースからの参照XRDデータに基づくチタン(Ti)金属として同定したところ、Ti微小突起基材からの結晶相の結果を指し示した。ゾルミトリプタンでコーティングされたパッチは、約18°の2シータを中心とする広範なワイドピークを示し、これはコーティングされていないパッチ試料においては存在せず、非照射パッチおよびガンマ線照射パッチの両方について薬剤コーティングは非晶質材料であることを指し示した。ピークプロファイルフィッティングを用いて結晶化度のパーセントを算出して結果を表6に要約し、以下に記載されるように安定性をモニターした。
Figure 2021500397
ゾルミトリプタンコーティングの機械的特性を時間および貯蔵条件の関数として評価した。局在化させた塑性変形に対する材料の抵抗の指標である硬度、力が適用された時の弾性的変形に対する材料の抵抗の指標である弾性係数(材料の剛性の指標)および割れに抵抗する亀裂を含有する材料の能力を記載する破壊靱性のような機械的特性を評価した。個々のZP−ゾルミトリプタンパッチの異なる領域からの複数のコーティングされた微小突起を試験のためにサンプリングした。表5は、最長12ヶ月間25℃/60% RHおよび最長3ヶ月間40℃/75% RHで貯蔵したガンマ線照射M207 1.9mgパッチについてのナノ硬度(H)、換算係数弾性係数(Er)、および破壊靱性(Kc)の結果を要約する。安定性の結果は、硬度および破壊靱性における減少傾向、および弾性係数における増加傾向を示唆する。
ゾルミトリプタンの純度および含有量の定量
225nmの波長での逆相高速液体クロマトグラフィー(RPHPLC)法(TM−601)によりゾルミトリプタンの純度を決定した。アッセイのためのクロマトグラフィーは、30℃に維持したPhenomenex Kinetex EVO C18、(4.6mm ID×150mm、5μm)を使用して行った。移動相は勾配溶出を伴い、溶媒A:リン酸二水素アンモニウム緩衝液:MeOH:アセトニトリル、70:20:10(v/v)、および溶媒B:リン酸二水素アンモニウム緩衝液:アセトニトリル、30:70(v/v)であり、バイナリポンプ、サーモスタット付きオートサンプラー、カラム区画、およびPDA検出器を備えたHPLCシステム(Water Alliance 2695)において0.6ml/分の流速でポンプした。データを収集し、Empower Pro(Empower 2ソフトウェア、Waters Corporation)を使用して解析した。
インビトロ溶解
Distek 2100C 6ポジション溶解テスターを用いて標準的なUSP パドルオーバーディスク装置(USP apparatus 5)を使用してM207 1.9mgパッチのインビトロ溶解を評価した。パドル高さをパッチの25mm上に設定し、50RPMで回転させた。脱気した500mLのPBS溶解媒体でUSP容器を満たし、温度を32℃に制御した。内側リングの中心に粘着させ、次に外側リングに取り付けたコーティングされたパッチを含有するパッチアセンブリ全体を、コーティングされた微小突起を上に向けて容器壁に沿って容器中に挿入した。14cmのディッププローブおよび10mmのパス長を有するPion Rainbow 6−Ch Fiber Optic Systemを使用してUV吸光度により溶解媒体のゾルミトリプタン濃度の定量を介して、コーティングされたパッチからのゾルミトリプタンの放出を連続的にモニターした。
室温および40℃/75%の相対湿度で10ヶ月間貯蔵したM207パッチを評価した。図6(A)〜(C)および表7に示す結果は、試験した全てのパッチについてゾルミトリプタンの即時の放出を示し、1分未満で完全な溶解の濃度プラトーに達した急な勾配を有した。
Figure 2021500397
実施例2−エクスビボのヒト皮膚
インビトロのフランツヒト皮膚有限用量モデルは、局所的に適用された薬剤の経皮吸収の研究のためのツールである。該モデルでは、典型的なインビボ条件に合致する温度および湿度に皮膚を維持することを可能とする特別に設計された拡散セル中に取り付けられたエクスビボのヒト胴皮膚が使用される。有限用量(例えば、2mg/cm2〜10mg/cm2の半固体、または経皮送達システム)の製剤が皮膚の外側表面に適用され、皮膚の内側表面を浸すレセプター溶液中に現れる速度をモニターすることにより薬剤吸収が測定される。総吸収、吸収速度の他に、皮膚含有量を定義するデータをこのモデルにおいて決定することができる。
投与.アプリケータを使用してゾルミトリプタンパッチをエクスビボの皮膚に適用した。投与後、パッチおよび皮膚をフランツ拡散セルに直ちに取り付けた。
皮膚レセプター媒体.拡散セルを最初に取り付けた時に、0.008%の硫酸ゲンタマイシン(PBSg)溶液を含む通常リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4±0.1)を利用した。
拡散セルおよび皮膚の調製.インビトロのヒト皮膚フランツ有限用量技術を使用して経皮吸収を測定した。皮膚疾患または損傷の明らかな徴候を有しない、エクスビボの皮膚切除したヒト胴皮膚をこの研究のために使用した。皮膚は、皮膚切除され、凍結保存され、かつ約−70℃での連続的な貯蔵と共に水不透過性バッグ中に密閉されたものとして試験施設に提供された。使用前にそれを約37℃の水中で解凍し、次に蒸留脱イオン水(ddH2O)ですすいで、あらゆる付着した血液または他の材料を表面から除去した。
各ドナーからの皮膚を切断して、名目上の7cm2の静的フランツ拡散セルに充分にフィットする大きさの複数のより小さい切片とした。Digital Pocket Thickness Gaugeを使用して各皮膚切片の実際の厚さを3連で測定した。(結果は表2)。次に各皮膚切片を拡散セルに取り付けた。
皮膚レセプター区画の容積をPBSgで満たした。表皮チャンバ(チムニーまたはドナー区画としても公知)を閉塞しないままとし、周囲実験室環境に曝露した。次にセルをラックシステム内に入れ、水循環システムに取り付け、そこからレセプター溶液を約600RPMで磁気的に撹拌し、その温度を維持して32±1℃の皮膚表面温度を達成した(社内資料)。バリア完全性試験前に最短で1時間にわたり皮膚を平衡化させた。
1ドナー当たり1つの追加の皮膚切片を調製して全ての試験作業を行ったが、プラセボパッチを用いて投与し、これを陰性試料対照とした。
バリア完全性試験.各皮膚切片のバリア完全性を確実にするために、水の脱着を経皮水分損失(TEWL)について測定した。Delfin Vapometerプローブを起動し、皮膚表面上に置き、TEWL値を記録した。TEWLが25g/m2/h未満である拡散セル中に取り付けられた皮膚を許容可能と考えた。投与のために許容できないと決定された皮膚切片は、必要に応じて、非投与陰性試料対照セルとして使用することができた。バリア完全性試験を完了した後、0.1×PBSgの指定されたストックレセプター溶液でレセプター溶液を置き換えた。
ドナー人口統計.皮膚ドナーの人口統計を表8に要約する。
Figure 2021500397
用量投与および試料収集.皮膚切片へのパッチの投与前に、レセプター溶液体積の全体を取り出して投与前(0時間)の試料を収集し、収集した試料の約5mLのアリコートをその後の分析のために保管した。0.1×PBSgの指定されたストックレセプター溶液でレセプター溶液を置き換えた。次に、チムニーをフランツ拡散セルから一時的に除去して、皮膚の表皮表面への全的なアクセスを可能とした。
パッチ適用の直後、皮膚−パッチの組合せおよびドナー区画(チムニー)を取り換えてフランツ拡散セルのレセプター区画に入れた。
予定されたサンプリング時点(3、5、10、15、30、45、60、90、120、150、180、210、240、270、および300分)において、レセプター溶液の全体を除去し、ストックレセプター溶液で再び満たし、収集した試料の約5mLのアリコートをその後の分析のために保管した。試料分析のために、真空遠心分離を使用して5mLのアリコートを凍結乾燥し、0.25mLのddH2O中に再構成した。
最後のレセプター試料を収集した後、その後の抽出および分析のためにパッチを取り外した。ddH2Oの2回の連続的な還流洗浄を使用して皮膚表面の洗浄を行った。各洗浄サイクルは、少なくとも10回の還流からなるものであった。各ドナーセルからの2つの洗浄体積をプールして、拡散セルについて単一の表面洗浄試料を生成した。
表面洗浄後、10分以上にわたり皮膚を乾燥させた。その後に、最大10の順次的なテープ(例えば、3M Transpore(登録商標)テープ)を用いて皮膚をテープ剥離して角質層を除去および収集した。テープ細片をddH2O中で終夜抽出した。次に皮膚をセルから取り外し、その後の抽出および分析のために手技での解剖により表皮および真皮に分離させた。皮膚切片をddH2O中で終夜抽出した。
試料分析.収集した試料中のゾルミトリプタンの定量化は、検証されたHPLC法を使用して達成された。
Shimadzu Series LC Systemにより試料を分析した。HPLC UV/Vis法では、(溶媒A)H2O中の0.1%の酢酸を含む0.1%の酢酸アンモニウムおよび(溶媒B)メタノールを使用する移動相勾配からなる溶媒系を使用し、ゾルミトリプタンの分析のために0.5mL/分の流速でPhenomenex Luna C18(2)カラム、(100×4.6mm、3μ)を通じて流した。カラムを40℃に維持した。
平均フラックスの結果.単一の適用からの300分にわたるエクスビボヒト胴皮膚を通じたゾルミトリプタンの経皮吸収(平均±SE)。平均フラックス(μg/cm2/hr)を表9に要約し、図30に座標化する。これはドナーにわたる要約であり、単一の適用からの300分にわたるエクスビボヒト胴皮膚を通じたゾルミトリプタンの経皮吸収の結果(平均、N=3ドナー)を示す。
Figure 2021500397
総吸収および質量収支の結果.単一の適用からの300分にわたるエクスビボヒト胴皮膚の中へのおよびそれを通じたゾルミトリプタンの経皮吸収の結果を表10に要約する。適用した用量のパーセント(%)および総質量(μg)としての平均±SE。
Figure 2021500397
結論および考察.皮膚を通じたレセプター溶液への総吸収ゾルミトリプタンは、1.9mgパッチについて83.41±1.33%であった。ピークフラックスは、適用の約4分後に起こり、849.4±42.1μg/cm2/hrのピークフラックスであった。1%未満のゾルミトリプタンが投与期間の終わりに3つの皮膚層から回収された。質量収支は適用した用量の約90%であった。
実施例3−M207パッチの安定性
M207パッチアセンブリに最大25kGyの線量で電子ビームおよびガンマ線照射による照射を行った。その後の照射されたパッチアセンブリを25℃/60% RHおよび40℃/75% RHの貯蔵条件において安定状態に置いた。電子ビームおよびガンマ線照射M207パッチの結果を表11〜17に示す。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
固体状態の物理的安定性をXRDにより評価した。ゾルミトリプタンコーティングについて非晶質対結晶性の相変化をXRD分析により調べた。初期時点(T0)、6ヶ月および12ヶ月の貯蔵時のM207 1.9mgパッチを分析した。薬剤コーティングは、T0において非照射パッチおよびガンマ線照射パッチの両方について非晶質であった。25℃/60% RHにおいて12ヶ月間および40℃/75% RHにおいて貯蔵されたガンマ線照射ゾルミトリプタンパッチは、T0パッチと類似のXRDパターンを示した。ピークプロファイルフィッティングを用いて結晶化度のパーセントを算出し、結果を以下の表16に要約する。それぞれ12ヶ月間および6ヶ月間の意図する(25℃/60% RH)および加速貯蔵条件(40℃/75% RH)の両方の下で貯蔵されたガンマ線照射パッチ上にコーティングされたゾルミトリプタン製剤固体について結晶相は検出されなかった。
Figure 2021500397
本明細書に記載されるように、ゾルミトリプタンでコーティングされたマイクロニードルを約7〜30kGyの範囲内の放射線の線量に曝露した。より好ましくは、10-5〜10-6の無菌状態保証レベルのために15〜30kGyの範囲内である。表17は、25℃および40℃において貯蔵された照射および非照射のゾルミトリプタンパッチの12ヶ月の安定性の結果を示す。
実施例4−薬剤−デバイスの組合せ製品
新規の薬剤−デバイスの組合せ製品(M207)を本開示にしたがって製造した。M207は、パッチを形成させるための粘着バッキングを中心として使い捨てのチタン微小突起部材を含む皮内送達システムである。このパッチをプラスチック保持リング中に取り付けてパッチアセンブリを形成させた。パッチは、薬剤製品製剤でコーティングされた乾燥したマイクロニードルを含む。保持リングは、手持ち式アプリケータの底部へのパッチの取付けを促進する。このアプリケータは、定義された適用エネルギーでパッチが投与の部位に適用されることを確実にする。パッチアセンブリとアプリケータとの組合せは皮内送達システムを構成する。アプリケータは、パッチを適用するために手の中に保持される。アプリケータキャップをねじってアプリケータのロックを解除する。アプリケータが皮膚に押し付けられた時に、プランジャーがパッチを保持リングから押し出し、それを皮膚に適用する。
パッチを皮膚に適用した時に、パッチは皮膚上に留まり、プラスチックリングがアプリケータ上に留まり、後に脱着されて廃棄される。皮内に1mg、1.9mg、または3.8mgの用量のゾルミトリプタンを迅速に送達するように送達システムを設計した。M207薬剤製品のユニット組成を表18に提供する。
Figure 2021500397
ゾルミトリプタンでコーティングされたチタンマイクロニードルアレイは、それぞれ1.9mgまたは1mgの薬剤製品について約1987または約997のチタンマイクロニードルからなる3cm2のアレイである。それは、約5cm2の粘着パッチに取り付けられている。パッチは、共成形された乾燥剤を有するポリカーボネートプラスチック保持リング内に取り付けられてもよい。代替的に、乾燥剤は、ホイルポーチの蓋に取り付けられてもよい。完成したパッチアセンブリは、乾燥窒素でパージされたホイルポーチ中に包装される。ユーザーは、パッチアセンブリへと手持ち式のアプリケータを押し付けることにより適用のためにパッチを準備する。アプリケータは、ユーザーの皮膚にパッチを適用するためのばね懸架式ピストンを含む(図4(A)、図4(B)、および図5(A)〜(E))。アプリケータは、位置#1から位置#2へとベースに対して外側グリップをねじることにより解除される(図5(C))。ユーザーは、アプリケータを取り付けたパッチアセンブリを皮膚部位に押し付けることによりパッチを適用する。アプリケータは、充分な衝撃エネルギー、例えば約0.26ジュールでそのピストンを解放する。ピストンは、パッチを保持リングから離し、再現性のあるパッチ適用を確実にするために所定の衝撃エネルギー密度でパッチを皮膚に適用する。アプリケータは、各送達のためおよび異なるユーザーにわたり同じ力が適用されることを確実にするように設計される。
薬剤をコーティングされたマイクロニードルは、皮膚の角質層を透過または貫通して、薬剤送達を可能とする。投与されると、固体ゾルミトリプタンコーティングは、皮膚の間質液中にマイクロニードルから迅速に溶解して溶液を形成し、吸収のために利用可能となる。パッチは約30分後に除去される。
M207システムの成分を表19に列記する。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
実施例5−ヒトPK臨床試験
M207製品のヒトにおける評価を行った。この第1相試験では、市販の経口ゾルミトリプタン錠剤2.5mgおよび皮下スマトリプタン6.0mgを比較物質として含めた。上記の実施例に記載されるように、M207は、ゾルミトリプタンでコーティングされたマイクロニードルのチタンアレイからなり、専用のアプリケータにより適用されるパッチを介して皮内に投与される。この試験の目的は、M207システムの薬物動態および忍容性に関する情報を提供することであった。標準的な経口用量(2.5mg)のゾルミトリプタンに対する皮内ゾルミトリプタンの様々な用量の忍容性の評価もまた、適用部位における反応の評価と共に完了した。
具体的には、試験では、20人の健常ボランティアでの7元クロスオーバーデザインにおいて、M207の5レジメンの他に、2.5mgの経口ゾルミトリプタン錠剤および6.0mgの皮下スマトリプタンの単回投与を比較した。ゾルミトリプタン、N−デスメチルゾルミトリプタンおよびスマトリプタンの濃度についての血漿試料の分析は、当該技術分野において公知のアッセイによりQuest Pharmaceutical Services、Groningen、Hollandにおいて行った。この試験では、M207システムの投与は、経口投与されたゾルミトリプタンへの曝露と同等の、最大濃度までの迅速な時間(Tmax)を結果としてもたらしたが、主要代謝物N−デスメチルゾルミトリプタンへの曝露の低減を示した。M207システムを使用してこの試験において評価した用量は、0.48mg、0.96mg、1.9mg、および3.8mgであった。
ゾルミトリプタンの最初の4投与では、本明細書において記載される皮内マイクロニードルシステムにおいて5cm2パッチおよび0.26ジュールアプリケータを利用した。投与された最終の処置は、本明細書において記載される皮内マイクロニードルシステムにおいて0.52ジュールの適用エネルギーを用いてアプリケータを使用した10cm2パッチでの3.8mgであった。試験した製品は以下の通りであった。
M207 0.48mgパッチアセンブリ:ゾルミトリプタン0.48mgパッチは、0.48mgのゾルミトリプタンでコーティングされた名目上340μmの長さの微小突起の3cm2チタンアレイからなるものであった。アレイを5cm2タン(tan)粘着バッキングの中心に適用してパッチを形成させた。乾燥剤と共成形した白色からオフホワイト色のポリカーボネートリングの内側にパッチを取り付け、このパッチアセンブリをホイルポーチ中に包装した。
M207 1.9mgパッチアセンブリ:ゾルミトリプタン1.9mgパッチは、1.9mgのゾルミトリプタンでコーティングされた名目上340μmの長さの微小突起の3cm2チタンアレイからなるものであった。アレイを5cm2タン粘着バッキングの中心に適用してパッチを形成させた。乾燥剤と共成形した白色からオフホワイト色のポリカーボネートリングの内側にパッチを取り付け、このパッチアセンブリをホイルポーチ中に包装した。
M207 3.8mgパッチアセンブリ:ゾルミトリプタン3.8mgパッチは、3.8mgのゾルミトリプタンでコーティングされた名目上340μmの長さの微小突起の5.5cm2チタンアレイからなるものであった。アレイを10cm2タン粘着バッキングの中心に適用してパッチを形成させた。乾燥剤と共成形した白色からオフホワイト色のポリカーボネートリングの内側にパッチを取り付け、このパッチアセンブリをホイルポーチ中に包装した。
試験の設計
これは、単一施設、オープンラベル、無作為化5元クロスオーバー試験(パート1)の後に2つの追加の処置の逐次的試験(パート2およびパート3)を行うものであった。インフォームドコンセントを得、適格性を確立した後、各対象に7つの試験処置のそれぞれを1回与えた後、院内モニタリングおよび薬物動態分析のために大規模な血液試料収集を行った。処置の流れ表にしたがって無作為化された順序で処置A〜E(表20を参照)の投与が完了するまで、パート1における投与日は48〜120時間離して行った。初期投与日からの血漿試料を分析のために分析試験室に送り、各用量レベルについての忍容性を要約した。忍容性は許容可能と判断され、対象をパート2のために戻した。パート2の間、対象には1.9mg×2パッチ(パート1において使用したものと同じ0.26Jアプリケータを用いて適用)中のゾルミトリプタンの皮内投与を与え、パート1と同一の手順を完了した。パート3の間、対象には単一の3.8mgパッチ(0.52Jアプリケータを用いて適用)を与え、先行する投与日と同一の手順を完了した。7投与日の完了後、対象を最後に1回評価し、試験から解放した。
試験において使用した処置は以下の表20に列記される通りであった。
Figure 2021500397
20人の対象が試験に参加し、10人の男性および10人の女性であった。対象の平均年齢は29歳±3.5歳であり、平均BMIは24.4±3.5であった。1回の処置通院を休んだ1人の対象を除いて、全ての対象は試験の7回全ての処置通院を完了し、7つ全ての試験処置を与えられた。2人の対象(処置Aにおいて#1010および処置Dにおいて#2010)において、静脈へのアクセスの困難に起因して1回の通院時に非常に少量の投与前血液試料が収集されたが、他の全ての対象について、予定された薬物動態用血液試料(通院当たり14)の実質的に全てが分析のために収集された。
パート1において忍容性は許容可能と考えられ、最初の5つの投与期間からの安全性データおよび薬物動態データの検討、およびスポンサーと主要な研究者との議論にしたがって、対象はパート2および3に進み、通院を完了した。液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS−MS)法の使用のような当該技術分野において周知の方法を使用してゾルミトリプタンおよびN−デスメチルゾルミトリプタンについて収集した血清を分析した。
薬物動態
M207パッチは忍容性良好であり、迅速な吸収が観察され、これは、片頭痛または群発頭痛患者にとっての迅速な痛みの緩和に翻訳される可能性があると考えられた。Zosanoのマイクロニードルパッチおよびアプリケータシステムに特徴的なM207の迅速な吸収を実証する第1相の結果を以下に示す。
Figure 2021500397
投与された6ゾルミトリプタンレジメンのそれぞれについての平均血漿濃度対時間データを図7および図8に示す。図7は、全24時間のサンプリング期間についての結果を示し、図8は、試験薬剤投与後の最初の2時間のみについての結果を示す。両方の図は、皮下スマトリプタン濃度対時間データを含む(時間経過を説明するための表示目的のために縮尺している)。SCスマトリプタン後の結果は、この用量および投与経路のいくつもの公開された試験と類似していた。
図7および図8に提示する結果に基づけば、ゾルミトリプタン皮内適用後のゾルミトリプタンの血漿レベルは用量依存的であり、パッチ適用後の吸収は2.5mgの錠剤の投与後に見られたものよりはるかに速かった。単一のより大きい3.8mgパッチ後に見られた血漿レベルは、2×1.9mgパッチ後に見られた血漿レベルより高かった。ゾルミトリプタンCmax、AUCt、およびAUCinfについての用量線形性のプロットを図9、図10、および図18に示す(より大きい3.8mgパッチを除く)。N−デスメチルゾルミトリプタンCmax、AUCt、およびAUCinfについての用量線形性のプロットを図22〜24に示す(より大きい3.8mgパッチを除く)。評価した用量の範囲にわたり優れた用量線形性が観察された。ゾルミトリプタンレジメンおよび皮下スマトリプタンについての算出された鍵となる平均(Tmaxのメジアン)薬物動態パラメータを以下の表22に示す。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
片頭痛または群発頭痛の処置のためのこの製品の潜在的な有用性に恐らく最も関連するのはゾルミトリプタンレジメンの皮内投与についてのTmaxであり、これは経口投与よりも皮内投与からのゾルミトリプタンのはるかにより迅速な吸収を示す。
ゾルミトリプタンの皮内投与後の薬物動態パラメータは、図11および図12に示されるように、男性対象での結果を女性対象で見られた結果と比較した時に平均で非常に類似していた。
活性代謝物N−デスメチルゾルミトリプタンは、5回のより高用量レジメンを投与された全ての対象において検出可能であった。各ゾルミトリプタンレジメンについてのN−デスメチルゾルミトリプタン薬物動態パラメータを以下の表23に示す。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
N−デスメチルゾルミトリプタンのレベルは、経口投与(処置D)後に見られるよりもM207ゾルミトリプタン皮内投与後に有意により低かった。
記述統計(算術平均、標準偏差、変動係数、試料サイズ、最小、最大、およびメジアン)を使用して処置群によりPKパラメータを要約した。加えて、AUC2時間、AUCt、AUCinfおよびCmaxについて幾何平均および95%信頼区画(CI)を算出した。各ゾルミトリプタン処置について、AUCinfN−デスメチルゾルミトリプタン/AUCinfゾルミトリプタンの比を各対象について算出し、群平均を決定した。
M207の3用量について用量比例関係を評価し、用量比例関係は、厳密な統計規則のみに基づくものではなかった。ゾルミトリプタンの用量とPKパラメータとの関係性をグラフ的アプローチを使用しておよび記述統計により調べた。PKパラメータ(AUCt、AUCinfおよびCmax)の見かけの用量線形性および比例関係のグラフをまとめた。
ゾルミトリプタンの迅速な吸収が皮内パッチ適用後に見られ、平均ピーク血漿濃度(Tmax)は16.1〜18.4分であった。これはスマトリプタンSC注射(12.5±4.4分)と類似しており、ゾルミトリプタン錠剤(107.4±76.4分[1.8±1.27時間])よりかなり早かった。
M207システムの平均(±SD)排出半減期(t1/2)は、0.48mg〜3.8mgの用量範囲にわたりそれぞれ1.15±0.27時間から1.53±0.31時間であった。ゾルミトリプタン錠剤後のゾルミトリプタンの排出(3.27±0.8時間)は、M207のほぼ2倍の遅さであった。
ゾルミトリプタン錠剤の平均(±SD)最大血漿濃度(Cmax)は3.77±1.51ng/mLであった。2×0.48mgパッチの投与は、3.70±1.05ng/mLのほぼ同等の最大濃度を提供し、単一のパッチとして投与された群C(1.9mg)のCmaxはほぼ2倍であった(6.76±2.75ng/mL)。群Fおよび群Gは、ゾルミトリプタン錠剤のそれぞれ3.9倍(14.61±4.46ng/mL)および6倍(22.56±14.0ng/mL)の最大血漿濃度を生じさせた。
平均(±SD)総曝露(AUCinf)は、M207 0.48mgについて3.81±1.46ng.H/mL、単一のパッチとして適用されたM207 3.8mgについて33.81±7.95ng.H/mLであった。群Fおよび群GにおけるM207パッチを用いた処置は、ゾルミトリプタン錠剤と類似の曝露(AUCinf)を生じさせた(それぞれ30.12、33.81ng.H/mL)。M207についての平均曝露(AUCinf)は単一パッチ投与についての用量と比例していた(y=8.31)。全ての処置についての0〜2時間にわたる濃度−時間曲線を図8に示し、0〜24時間について図7に示す。
より高用量の群F(2×1.9mg)および群G(3.8mg)について血漿濃度は女性より男性においてわずかに高かった。より低用量(群A[0.48mg]〜群C[1.9mg])では性別による差異はないようであった。
以下の式:
Figure 2021500397
を使用してM207システムの相対バイオアベイラビリティをゾルミトリプタン錠剤と比較した。
M207皮内マイクロニードルシステムについての平均総曝露は、ゾルミトリプタン錠剤と比べて低かった(範囲:0.70〜0.86)。しかしながら、平均ピーク曝露は、ゾルミトリプタン錠剤と比較して皮内ゾルミトリプタンについて2.35〜3.73倍高かった。
試験からの鍵となる算出された薬物動態パラメータの要約を表24に示す。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
M207後に見られたものと比較しておおよそ2倍の量の活性代謝物N−デスメチルゾルミトリプタンがゾルミトリプタン経口投与後に形成された(平均59.8±16%)(表25)。
Figure 2021500397
以下の式:
Figure 2021500397
を使用して、M207パッチについて生じた活性代謝物N−デスメチルゾルミトリプタンの相対バイオアベイラビリティをゾルミトリプタン錠剤と比較した。
ゾルミトリプタン錠剤と比較してM207パッチについてN−デスメチルゾルミトリプタン代謝物へのより低い変換があり(FrelAUC範囲:0.32〜0.46)、Cmaxの相対バイオアベイラビリティに基づいてゾルミトリプタン錠剤と比較してM207パッチについて約50%低い曝露速度であった。
ゾルミトリプタン錠剤(162.6分[2.71H]と比較して皮内経路を介して投与されたM207について約1時間時(範囲:54.7〜65.0分)にN−デスメチル代謝物の血漿濃度は最大に達した(図13)。代謝物についての排出半減期(t1/2)は、経口投与を含む全ての処置について同等であった(範囲2.7H〜3.31H])。N−デスメチルゾルミトリプタンについての0〜24時間の濃度−時間曲線を図14に示す。
M207 0.48mg用量についての平均最大血漿濃度(Cmax)は0.22ng/mL、3.8mg強度について1.77ng/mLであり、これと比較してゾルミトリプタン錠剤については2.08ng/mLであった。平均AUCinfは、ゾルミトリプタン錠剤についての14.55ng.H/mLに対して0.48mg強度についての1.38ng.H/mLから3.8mg強度についての8.17ng.H/mLまでであった。M207パッチについてのN−デスメチル代謝物の量(CmaxおよびAUCinf)は、用量に正比例し(それぞれy=0.4127および2.022)、ゾルミトリプタン錠剤についてのものよりかなり低かった。図19および図21を参照。
N−デスメチルゾルミトリプタンについての平均薬物動態パラメータの要約を表26に詳述する。
Figure 2021500397
M207はまた、ゾルミトリプタン錠剤と比較してAUCinfパラメータについてより低い群内のばらつき(CV%により指し示される)を有する傾向があった。
M207システムの投与の用量線形性
単回(0.48mg、1.9mgおよび3.8mg)および複数回(0.48mg×2および1.9mg×2)の両方のシステムの投与についてCmax(y=4.81)、AUCt(y=7.61)およびAUCinf(y=8.31)について正の直線的関係性が見られた。図15〜17を参照。投与範囲の下端(0.48mg×2)において、ゾルミトリプタンおよびN−デスメチルゾルミトリプタン代謝物の両方の濃度は非常に同等であった。しかしながら、最も高い用量(1.9mg×2)において、複数回パッチ投与を用いて達成された血漿濃度は、ゾルミトリプタンおよびN−デスメチルゾルミトリプタンの両方について単回パッチ(および0.52Jの投与力)を用いたものよりわずかに低かった。N−デスメチルゾルミトリプタンについて、図19〜21を参照。
M207パッチの投与は、パッチ適用の20分以内に起こる迅速なピーク血漿濃度(Tmax)を結果としてもたらした。これはSCスマトリプタンについての12.5分と良好に比較され、従来の放出経口ゾルミトリプタン錠剤(1.8時間)に対してかなりの向上を与える。M207についての排出速度(t1/2)はより短く、ゾルミトリプタン錠剤の速度の約2倍短かった(1.2〜1.5時間対3.3時間)。
ゾルミトリプタン錠剤についてのCmaxは3.77ng/mLであった。群C(1.9mg)、群F(1.9mg×2)および群G(3.8mg)におけるM207パッチでの処置は、ゾルミトリプタン2.5mg錠剤より1.8倍、3.9倍および6倍高い平均ピーク血漿濃度を生じさせた。2×0.48mg M207での複数回のパッチの投与は、経口ゾルミトリプタン錠剤と同等のCmax(3.70ng/mL)を生じさせた。
群Fおよび群GにおけるM207パッチでの処置は、経口ゾルミトリプタン錠剤と類似の曝露(AUCinf)を生じさせた(それぞれ30.12、33.81および27.19ng.H/mL)。しかしながら、M207パッチについての平均総曝露(AUCinf)は、経口ゾルミトリプタン錠剤と比べてより低く(0.700〜0.86)、平均ピーク曝露(Cmax)は2.35〜3.73倍高かった。
M207からのN−デスメチル代謝物のピーク血漿濃度までの時間は、経口ゾルミトリプタンについての2.7時間に対して約1時間とかなり早かった。しかしながら、M207から生じた代謝物の量は、経口ゾルミトリプタン錠剤より約50%低かった。鍵となるPKの知見を以下の表27に要約する。
Figure 2021500397
片頭痛または群発頭痛の処置のためのこの製品の潜在的な有用性に多分最も関連するのはM207レジメンについてのTmaxであり、これは経口投与よりも皮内投与からのゾルミトリプタンのはるかにより迅速な吸収を示す。
曝露の比較を以下の表28に提供する。
Figure 2021500397
maxおよびAUCinfについて高および低用量について優れた用量線形性が観察された。M207は忍容性良好であった。有害事象(AE)は主に、短い(24時間未満)継続期間の穏やかなものであり(87%)、大部分は、ゾルミトリプタンで以前に報告された事象(88%)に合致した。重篤または深刻なAEはなかった。収縮期血圧および拡張期血圧の両方において一時的な変化が起こり、収縮期血圧および拡張期血圧の両方について、圧力値は薬剤投与の1〜2時間後に処置前のレベルに戻った。有意なECGの変化は起こらなかった。パッチの適用は忍容性良好であり、24時間後に消散する穏やかから中等度の反応がほとんどであった。より大きな力(0.52J)を用いて適用された3.8mgパッチの局所的な忍容性は、他のレジメンほどは好都合でなかった。
M207皮内送達システムは、ゾルミトリプタン錠剤に対して薬物動態上の利点を与え、作用のより早い発現、同等の曝露ならびに薬剤相互作用および有害事象の低下した可能性と共に低減された初回通過代謝を結果としてもたらすはずである。重要なことに、送達は、胃腸経路または注射法を伴わない方法を介する。ゾルミトリプタンの従来の経口錠剤とのさらなる比較を以下の表29および表30に記載する。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
実施例5−インビボブタ試験
M207パッチをブタにおいて試験した。
LC/MS/MS法によるゾルミトリプタンの決定
使用したパッチ皮膚スワブおよび血漿PK試料からのゾルミトリプタンの分析は、確立された社内のLC/MS/MS法を使用して行った。定量下限(LLOQ)および定量上限(HLOQ)はそれぞれ0.1および1000ng/mLであった。高速液体クロマトグラフィー−エレクトロスプレーイオン化−タンデム質量分析(HPLC−ESI−MS/MS)を利用する4分間の方法をHGP血漿中のゾルミトリプタンおよびその2つの主な代謝物の定量のために開発した。器具は、Agilent(登録商標)1200ポンプ、冷却スタックを有するCTC PAL(登録商標)Autosampler、AB Sciex(登録商標)TurboV(登録商標)ESI供給源、およびAPI 4000(登録商標)質量分光計からなる。
100%のメタノールを使用して最初に全ての血漿試料および標準物質をタンパク質沈殿させ、次に1:2の比(血漿:30%のACN)のアセトニトリルの30%溶液を用いて希釈し、20μLのこの溶液をオートサンプルに注入した。オートサンプルは100μLのシリンジおよび100μLのループを備えていた。各注入の間に溶媒1(0.2%のギ酸)および溶媒2(アセトニトリル中の0.2%のギ酸)を用いてシリンジおよびループを2回洗浄した。
オンライン固相抽出(SPE)のために使用される保護カートリッジ(Zorbax 300SB−C8、12.5×4.6mm)を備えた質量分光計とインラインに10ポート2ポジションValco(登録商標)バルブを配置した。「ロード」位置において、試料がカートリッジに注入されて10%の移動相Bで30秒間洗浄され、次にバルブが「注入」位置に切り替えられ、洗浄された試料がそこで逆方向でSPEカートリッジから分析カラム(Luna PFP(2)、100A、5μm、50×2mm)および質量分光計に溶出されるようにこのバルブをセットアップした。
使用したHPLC法は、逆相勾配法(0.0分、10%のB;0.5分、10%のB;1.0分、40%のB;1.7分、40%のB;2.1分、10%のB;4.0分、10%のB)であった。HPLC移動相は、移動相Aとしての20mMの酢酸アンモニウム、および移動相Bとしての20%の20mMの酢酸アンモニウム中の80%のアセトニトリルからなる。全ての分析のための供給源の設定は以下の通りであった:衝突ガス(CAD)=12;カーテンガス(CUR)=25;イオンソースガス1(GS1)=60;イオンソースガス2(GS2)=60;イオンスプレー電圧(IS)=5500;温度(TEM)=600;インターフェースヒーター(ihe)=オン。質量分光計の取得の間、11のMRM遷移をモニターした。11全てのMRM遷移をデータ処理のために使用した。各対応するMRM遷移下のピーク面積を足し合わせ、スパイクされた標準血漿試料のものと比較して各試料について濃度を算出した。二次(1/x)フィッティングを全ての算出のために使用した。
麻酔
Telazolを筋肉内に用いて動物を誘導し、換気装置上でイソフルランを用いて維持した。
薬物動態試験のための血液試料収集
動物中の以下の血管の1つまたは複数から血液試料を回収した:耳縁静脈/動脈(左/右)、伏在静脈(左/右)、乳房静脈(左/右)、および大腿動脈(左/右)。留置カテーテル/シースを入れて好ましい血管に接近させ、血液収集期間にわたり適所に固定した。全ての手順は、試験施設における承認されたプロトコールおよびSOPにしたがって訓練されたスタッフにより行った。最初の投与の前に5mLのブランク血液収集物を各動物から得た。パッチ適用投与の5時間後までに1mLの血液試料を収集した。ヘパリン処理マイクロティナチューブを使用して全ての血液試料を収集した。カテーテルのデッドボリュームを考慮に入れて、採取した血液体積を等体積のヘパリン化生理食塩水で置換した。一般に、連日の血液収集は動物の総血液体積の3〜5%を超えなかった。
ゾルミトリプタンの静脈内投与
IV投与用のゾルミトリプタン溶液を3mg/mLの最大ゾルミトリプタン濃度で社内で調製した。3mL未満の投与体積を28〜30G針を使用して動物の耳縁静脈に注射した。圧力を瞬間的に適用し、注射後直ちにガーゼを用いて注射の部位における出血を防止した。
パッチ送達性能の決定
残留薬剤分析を使用したZP−ゾルミトリプタン送達の決定
使用したパッチおよび処置した皮膚部位からのスワブからゾルミトリプタン残留物を決定した。皮膚を剥離したら、使用したパッチを微小突起アレイ区画の外側で粘着バンドから除去し、ゾルミトリプタン残留物の分析のために保管した。処置した皮膚部位から残留ゾルミトリプタンを回収するため、3つの合成繊維スワブを使用した。第1のスワブは、1mLのスワブ緩衝液を含有するバイアルに挿入することにより予め湿らせた。第1のスワブをいくつもの方向で処置部位の周縁までわずかな圧力(回転運動を使用)でパッチ処置皮膚部位にわたり適用した。第2および第3のスワブは乾燥しており、第1のスワブにより湿らせた皮膚部位から全ての残留緩衝液を捕捉するために使用した。3つ全てのスワブをスワブ緩衝液を含有する元々のバイアルに入れた。各適用後に微小突起アレイおよび皮膚表面に残ったゾルミトリプタンの量をアレイに元々コーティングした量に対して比較して、ゾルミトリプタン送達総量および送達効率の決定を可能とした。送達された総薬剤および薬剤送達効率を決定するための式をそれぞれ(1)および(2)として以下に示す。
総残留量=パッチ残留量+皮膚残留量
総薬剤送達量=名目上のコーティング量−総残留量(1)
Figure 2021500397
試験の設計
3匹の発情期前の雌ヨークシャーブタを試験において使用した。試験施設の承認されたプロトコールおよびSOPにしたがって承認された販売業者からナイーブ動物を購入し、最長7日間隔離した。各群の動物に処置間の最長5日の回復/ウォッシュアウト期間と共に最大5回の処置(クロスオーバー)を投与した。最初の投与時に、動物は18〜25kgの範囲内の体重を有し、最後の投与時に、動物は25〜41kgの範囲内の体重を有した。一般に、群当たりの処置は、1〜2回の対照および1〜3回のZP−ゾルミトリプタン投与を含んだ。対照は、IVゾルミトリプタンを含んだ。1回より多くのパッチ適用処置を実行する場合、各群の動物において後肢の左および右腹側大腿からZP−ゾルミトリプタンパッチの位置を回転させた。
結果
Figure 2021500397
平均送達は、両方のインビボ試験において全てのコーティングについて1.7mgより大きかった。送達効率は85%より高く、両方の試験について一貫していた。その後、1.9mgのコーティングのMF1663アレイ設計を用いて薬物動態試験を実行した。表32はパッチおよびIVの結果を要約する。
Figure 2021500397
インビボ評価は、パッチ投与を用いたゾルミトリプタンの迅速な全身吸収を示した。血漿レベルは、15分のメジアンTmaxで5時間にわたり維持された。ゾルミトリプタンパッチは77%の絶対的バイオアベイラビリティを有した。ZP−ゾルミトリプタンパッチは、薬剤の必要量をコーティングすることができ、高い送達効率が一貫して達成され、かつコーティングされたゾルミトリプタンはCmaxまでの早い時間と共に良好に吸収され得ることを示した。
実施例6−ヒト有効性臨床試験
ZOTRIP中心的有効性試験は、単一の片頭痛発作の処置についてM207の3つの用量(1.0mg、1.9mg、および3.8mg)をプラセボと比較する多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験であった。対象は米国内の36施設におけるZOTRIP試験に参加した。試験に採用された者は、前兆ありまたはなしの片頭痛発作の少なくとも1年の既往歴を有していた。採用時に、対象は、月当たり2〜8回の片頭痛発作という鍵となる適格性基準を満たしていることを確実にする導入期間に入れられ、それを電子手帳または携帯電話のアプリを使用して記録した。対象はまた、吐き気、光恐怖症、および音恐怖症から選択される最も煩わしい他の症状を同定し、導入期間中の発作の間の吐き気、音恐怖症または光恐怖症の存在または非存在を指し示した。スクリーニングに成功した対象を次に処置/投与期間に無作為化し、この期間中、対象は、以前に同定した最も煩わしい他の症状が存在した、「適格性片頭痛」と称する単一の片頭痛発作のための盲検処置を確認して受けるための8週を与えられた。
適格性片頭痛の間、対象は、投与前に開始して投与後48時間にわたりいくつもの間隔において、4点頭痛スケールにおいて痛みの重篤度、および片頭痛関連症状(光恐怖症、音恐怖症または吐き気)の存在または非存在をスコア付けした。試験の共主要評価項目は、痛みおよび最も煩わしい他の症状の消失に関する2014年10月のFDA Draft Guidance「Migraine:Developing Drugs for Acute Treatment」において定義されたものであった。対象は、処置前、および処置後48時間までの様々な間隔において、患者の日記に片頭痛症状を記録した。報告された有害事象および他の標準的な安全性指標により安全性を評価した。
589人の対象がこの試験に参加し、そのうちの365人を無作為化した。無作為化された対象のうち、333人の対象を処置し、安全性分析に含め、321人が修正治療企図(mITT)集団のために適格であった。無作為化された対象の51%は、処置前に重篤な片頭痛を有していた。処置の時点においても、70%は吐き気、37%は前兆、51%は片頭痛と共に目覚めている(朝片頭痛)ことを報告した。試験における複数の用量および複数の評価項目を用いて、最大用量および共主要評価項目と共に開始する逐次的な試験手順を使用した。1.9mg群では最も煩わしい他の症状について統計的有意性が達成されなかったので、二次評価項目についてのp値を名目上のp値と考えるべきである。
M207の3つ全ての用量(1mg、1.9mg、および3.8mg)は、2時間時に統計的に有意な痛みの消失を達成した。3.8mg用量は、2時間時に痛みの消失および最も煩わしい他の症状の消失の両方の共主要評価項目を達成した。3.8mg用量はまた、45分および1時間時に痛みの消失の二次評価項目において有意性を達成し、24および48時間時に痛みの消失に対する効果の持続性を示した。さらに、M207は、いかなる深刻な有害事象(SAE)とも関連付けられなかった。
M207の3.8mg用量は、表33に示すように、2時間時に両方の共主要評価項目について統計的有意性を達成した。
Figure 2021500397
さらには、3.8mg用量のM207について追加の時点における痛みの消失の指標となる二次評価項目は、表34に示すように、0.05未満の名目上のp値を有してM207がプラセボより優れていることを示した。
Figure 2021500397
全体として、13人の対象(3.9%)のみが適用部位における痛みを報告し、3人以外の全ての対象において適用部位の痛みは穏やかであると報告された。最も頻繁に報告された有害事象は適用部位における紅斑であった(対象の18.3%)。紅斑の全ての症例は消散した。さらに、M207処置群の5人(1.5%)の患者は、プラセボの0%に対して、めまいを報告した。
臨床試験の結果からの追加のデータを以下の表に示す。
Figure 2021500397
上記の表35において、3.8mg用量群は、p値<0.05で両方の共主要評価項目を満たした。1.9mg用量群は、p値<0.05で痛みの消失の評価項目を満たした。2時間時の最も煩わしい他の症状の消失の評価項目について、1.9mg用量群は0.05以上のp値を有した。1mg用量群は、p値<0.05で痛みの消失の評価項目を満たした。1mg用量群について、2時間時の最も煩わしい他の症状の消失の評価項目は、0.05以上のp値を有した。
Figure 2021500397
上記の表36は、共主要評価項目解析(mITT LOCF)に合致する。以下の表35は、試験が成功であったかどうかを評価するために片頭痛について記載される複数の評価項目のそれぞれを試験するための固定された順序を提供する。3.8mg、1.9mg、および1.0mgの用量について、処置の有効性を表35における共主要および二次評価項目について試験した。示されるように、順序4の試験におけるまたはその後の全ての評価項目は、MCP方法論の下で有意でない。
Figure 2021500397
表38〜46は、請求項の発明の一実施形態を用いた処置の臨床試験の結果を提供する。この実施形態では、表36〜40に示すように、処置の15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、12時間、24時間、および48時間後の時点における1mg、1.9mg、および3.8mgの処置についての痛みの消失、痛みの緩和、光恐怖症の消失、音恐怖症の消失、および吐き気の消失を含む評価項目を表35に記載されるように逐次的に評価した。表41〜44に示すように、本研究者はまた、紫斑、浮腫、および紅斑のような有害事象についてパッチ除去後の皮膚の視覚的評価も行った。
Figure 2021500397
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表47〜50および図25〜28は、当該技術分野において現在使用されている処置の公開された結果に対する請求項の発明の一実施形態の有効性を実証する。請求項の発明までの技術水準は、経鼻処置および標準および経口溶解錠剤を含んでいた。
Figure 2021500397
Figure 2021500397
Figure 2021500397
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上記される本発明の実施形態は単に例示的であることを意図しており、多数の変形および改良が当業者に明らかとなる。全てのそのような変形および改良は、任意の添付の請求項において定義される本発明の範囲内であることが意図される。

Claims (10)

  1. 皮内送達システムであって、ヒト患者の角質層を貫通するかまたは突き刺すのに適合した複数の微小突起を含み、前記微小突起が、各微小突起の先端部から基部まで測定した長さの約10%〜約80%を被覆する固体製剤コーティングを備え、前記コーティングがゾルミトリプタンまたはその薬学的に許容される塩を1システム当たり約1mg〜約5mgの量で含み、前記ゾルミトリプタンの少なくとも95%が、米国薬局方(USP)収載のパドルオーバーディスク法(装置(Apparatus)5)で測定した場合に、前記システムから約5分以内に放出される、システム。
  2. 前記ゾルミトリプタンの少なくとも95%が約1分以内に放出される、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記ゾルミトリプタンの約100%が約1分以内に放出される、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記システムを前記患者の皮膚の選択した領域に適用した場合に、治療有効血漿濃度のTmaxが前記適用の約45分以内に生じ、Cmaxが約5ng/ml〜約25ng/mlであり、AUC0時間〜2時間が約5ng/ml・時間〜約20ng/ml・時間である、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記システムを前記患者の皮膚の選択した領域に適用した場合に、治療有効血清濃度のTmaxが前記適用の約30分以内に生じる、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記製剤コーティングの乾燥前の粘度が約150cP〜約350cPであり、表面張力が約50mNm-1〜約72mNm-1である、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記コーティングが各微小突起の長さの約20%〜約70%を被覆している、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記コーティングが各微小突起の長さの約30%〜約60%を被覆している、請求項7に記載のシステム。
  9. 前記製剤コーティングの乾燥前の粘度が約200cP〜約300cPであり、表面張力が約55mNm-1〜約65mNm-1である、請求項1に記載のシステム。
  10. 各微小突起の前記製剤コーティングが、最大約270μmから先細りの厚さを持つ略アメリカンフットボールの形状を有する、請求項1に記載のシステム。
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