JP2021196616A - 管理装置および管理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一律評価指標と実態評価指標を空調の運用管理に有効活用する。【解決手段】建物管理装置101は、評価対象空間の環境計測値に基づいて評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である一律評価値を決定する一律評価値決定部14と、一律評価値に基づいて評価対象空間の居住者の温熱実感を反映した実態評価値を算出する実態評価値算出部16と、一律評価値と実態評価値とを同時に表示する表示部18とを備えている。【選択図】 図3

Description

本発明は、空調システムを管理する管理装置および管理方法に関するものである。
建物内空調の対象となる居住環境の温熱快適性は、体感温度で示される温度感、暑い/寒いといった居住者の温冷感、室内環境への不満足度/満足度などで評価される。これらを評価する標準的な温熱快適性指標としては、空気温度や湿度などの環境計測値そのものの他に、空気温度と湿度から算出される不快指数DI(Discomfort Index)、空気温度と湿度と放射温度と風速と代謝量と活動量の6要素から算出され、標準的な体感温度として米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)で採用されているSET*(標準新有効温度:Standard New Effective Temperature)、同様の6要素から算出され、ISO−7730で国際規格化されているPMV(予測平均温冷感申告:Predicted Mean Vote)、PMVから算出されるPPD(予測不満足者率:Predicted Percentage of Dissatisfied)などがある。これら温熱快適性指標は、空調制御結果である空調状態を把握する上で有用である。設備管理者は、温熱快適性指標を利用して建物の空調環境を評価し、居住者の快適性に配慮しながら空調を運用管理している。
しかしながら、このような快適性評価指標は、大人数を前提とした平均的な指標であり、実際に居住域に滞在している居住者の感じ方とは異なることも多い。そこで、居住者の感じ方の実態を反映する快適性評価方法が提案されている(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1参照)。
このように、従来の快適性評価方法を大きく2つに分けると、居住者全てが国際標準などの大人数を前提とした平均的な快適性の感じ方とみなす快適性評価方法(以後「一律評価」と記述)と、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1に開示された方法のように居住者の感じ方の実態に合った快適性評価方法(以後「実態評価」と記述)とがある。ただし、一律評価は物理的計測値から一律に算出するものなので、広義では温度や湿度などの単純な物理的計測値自体も一律評価指標とみなせる。一律評価と実態評価にはそれぞれに一長一短があるので、一律評価指標や実態評価指標を空調の運用管理に有効に活用する上での改善の余地が残されている。
特開2019−100657号公報
Joyce Kim,Yuxun Zhou,Stefano Schiavon et al.,"Personal comfort models: predicting individuals' thermal preference using occupant heating and cooling behavior and machine learning",Building and Environment,Vol.129,pp.96-106,2018 和田一樹他,"ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の先進的取り組み その10 竹中工務店における先進的取り組み−東関東支店ZEB 化改修の計画と運用実績−",平成29年度空気調和・衛生工学会大会(高知)学術講演論文集,Vol.10,pp.37-40,2017
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、一律評価指標と実態評価指標を空調の運用管理に有効活用することができる管理装置および管理方法を提供することを目的とする。
本発明の管理装置は、評価対象空間の環境計測値に基づいて前記評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である第1の評価値を決定するように構成された評価値決定部と、前記第1の評価値に基づいて前記評価対象空間の居住者の温熱実感を反映した第2の評価値を算出するように構成された評価値算出部と、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを同時に表示するように構成された表示部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の管理装置の1構成例において、前記評価値算出部は、前記第2の評価値に加えて、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を算出し、前記表示部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を表示することを特徴とするものである。
また、本発明の管理装置の1構成例において、前記表示部は、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差が予め設定された閾値を超えた場合に、閾値を超えたことをオペレータに通知する表示を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の管理装置の1構成例は、前記第1の評価値を評価するように構成された評価部をさらに備え、前記表示部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第1の評価値の評価結果を表示することを特徴とするものである。
また、本発明の管理装置の1構成例において、前記表示部は、前記評価部による評価の結果、前記第1の評価値が予め設定された範囲外と判定された場合に、範囲外であることをオペレータに通知する表示を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の管理装置の1構成例において、前記評価値算出部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値との関係を予め学習した温熱実感モデルを用いて、前記第1の評価値から前記第2の評価値を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法は、評価対象空間の環境計測値に基づいて前記評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である第1の評価値を決定する第1のステップと、前記第1の評価値に基づいて前記評価対象空間の居住者の温熱実感を反映した第2の評価値を算出する第2のステップと、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを同時に表示する第3のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記第2の評価値に加えて、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を算出するステップを含み、前記第3のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を表示するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法の1構成例において、前記第3のステップは、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差が予め設定された閾値を超えた場合に、閾値を超えたことをオペレータに通知する表示を行うステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法の1構成例は、前記第2のステップと前記第3のステップとを間に、前記第1の評価値を評価する第4のステップをさらに含み、前記第3のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第1の評価値の評価結果を表示するステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法の1構成例において、前記第3のステップは、前記第4のステップにおける評価の結果、前記第1の評価値が予め設定された範囲外と判定された場合に、範囲外であることをオペレータに通知する表示を行うステップを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の管理方法の1構成例において、前記第2のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値との関係を予め学習した温熱実感モデルを用いて、前記第1の評価値から前記第2の評価値を算出するステップを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、表示部が表示する画面に、第2の評価値に加え、第1の評価値を比較可能なように同時に表示することにより、居住者の感じ方の実態に合った快適性評価結果を提示しながら、空調制御結果である空調状態に異常があるか否かなどを認識し易くすることができる。その結果、本発明では、第1の評価値と第2の評価値を空調の運用管理に有効に活用することができる。
図1は、本発明の第1の実施例に係る空調システムの例を示す図である。 図2は、本発明の第1の実施例に係る空調ゾーンのレイアウトを示す平面図である。 図3は、本発明の第1の実施例に係る建物管理装置の構成を示すブロック図である。 図4は、一律評価値と実態評価値の相関関係の1例を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施例に係るモデル生成部の学習動作を説明するフローチャートである。 図6は、一律評価値である標準のPMV、PPD、温冷感(言語表現)の対応を示す図である。 図7は、温熱実感モデルによって算出される実態評価値の例を示す図である。 図8は、温熱実感モデルによって算出される実態評価値の別の例を示す図である。 図9は、本発明の第1の実施例に係る一律評価値決定部の動作を説明するフローチャートである。 図10は、本発明の第1の実施例に係る実態評価値算出部の動作を説明するフローチャートである。 図11は、本発明の第1の実施例に係る表示部の動作を説明するフローチャートである。 図12は、本発明の第1の実施例に係る表示例を示す図である。 図13は、本発明の第1の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図14は、本発明の第1の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図15は、本発明の第1の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図16は、本発明の第1の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図17は、本発明の第2の実施例に係る建物管理装置の構成を示すブロック図である。 図18は、本発明の第2の実施例に係る実態評価値算出部の動作を説明するフローチャートである。 図19は、本発明の第2の実施例に係る表示部の動作を説明するフローチャートである。 図20は、本発明の第2の実施例に係る表示例を示す図である。 図21は、本発明の第2の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図22は、本発明の第3の実施例に係る建物管理装置の構成を示すブロック図である。 図23は、本発明の第3の実施例に係る空調状態評価部の動作を説明するフローチャートである。 図24は、本発明の第3の実施例に係る表示部の動作を説明するフローチャートである。 図25は、本発明の第3の実施例に係る表示例を示す図である。 図26は、本発明の第3の実施例に係る別の表示例を示す図である。 図27は、本発明の第1〜第3の実施例に係る建物管理装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
[発明の原理]
実態評価は、一律ではない居住者の感じ方を反映する評価であるが故に、仮に同じ環境であっても、居住者の感じ方に依存して多様な評価結果が示されることになる。例えば、同一環境の2つの空調ゾーンであっても、ゾーン毎の実態評価結果では、一方のゾーンの居住者は非常に寒く感じ、他方のゾーンの居住者は非常に暑く感じるという評価にもなり得る。まず、実態評価について、この点を踏まえる必要がある。
ここで、例えば、同一環境のゾーン間で一律評価での評価結果が異なる場合、温度センサ、熱源、バルブ等の機器の故障あるいは機器間通信の異常など、空調システムの不具合による環境悪化が要因であることが多い。一方で、同一環境のゾーン間で実態評価での評価結果が異なる場合、上記のように、各空調ゾーンの居住者の感じ方の違い(実態)が要因であることもあり得る。すなわち、実態評価では、評価結果に対応して推定すべき要因が、一律評価よりも複雑になる。発明者はこの点に着目した。
設備管理者が監視する室内環境管理画面などに、上記のような実態評価結果のみが表示される場合、快適性評価のゾーン間の差異の要因が、居住者の感じ方の実態を反映した差異なのか、空調システムの不具合などの可能性が含まれているのかが、設備管理者やオペレータには認識し難くなる。その結果として、空調システムの不具合発見が遅れるなどの支障が発生する可能性があるという点に、改善の余地があることを発明者は突き止めた。
そして、発明者は、実態評価を適用する際の室内環境管理画面に、実態評価での評価結果に加え、一律の基準での空調制御状態(空調状態)を示す一律評価での評価結果を、比較可能なように同時に表示することに想到した。これにより、居住者の感じ方の実態に合った快適性評価結果を提示しながら、空調システム不具合の発見が遅れるなどの支障が発生する可能性を低減できる。
[第1の実施例]
本発明の第1の実施例は、実態評価の結果と共に、空調制御の状態(空調状態)を示す一律評価の結果(一律評価値)を同時に表示するものである。本実施例では、一律評価値として、空気温度T、相対湿度H、一律評価の温熱快適性指標であるPMVを表示する例で説明する。なお、本実施例は、一律評価値PMVに対応する実際の居住者の温冷感情報を学習データとし、PMVと温冷感情報の関係を機械学習した温熱実感モデルが予め生成されており、温熱実感モデルを利用して実態評価を行う例とする。
図1は、本実施例に係る空調システムの例を示す図である。本実施例では、評価対象空間の単位を空調ゾーンとし、空調ゾーン毎の居住環境評価を行う例で説明する。図1において、100は居住者、101は建物管理装置、102−1〜102−6は建物内の空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に設けられた空調制御装置(コントローラ)、103−1〜103−6は空調ゾーンZ−1〜Z−6の温度と湿度を計測する温湿度センサ、104−1〜104−6は空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に設けられた室内機、105−1〜105−6は空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に設けられた室外機である。
空調制御装置102−1〜102−6は、それぞれ温湿度センサ103−1〜103−6によって計測された温度が室温設定値と一致し、温湿度センサ103−1〜103−6によって計測された湿度が湿度設定値と一致するように空調機器(室内機104−1〜104−6および室外機105−1〜105−6)を空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に制御する。空調ゾーンZ−1〜Z−6を上から見たときのレイアウトを図2に示す。
なお、本実施例では、BAS(Building Automation System)やBEMS(Building Energy Management System)などの建物の運用管理システムに本発明を適用する例で説明するが、複数の空調機器を統合管理するコントローラや空調状態の監視画面に本発明を適用しても構わない。また、本発明は、居住環境評価結果の表示に関わるものであるので、空調設備や空調方式等で限定されない。
本実施例の建物管理装置101は、各空調ゾーンZ−1〜Z−6の空調機器の運転情報や環境計測値(温度、湿度等)、居住者からの温冷感申告情報を取得して保持し、運転情報や環境計測値、運転操作情報(発停指示、室温設定値操作)の表示を行い、運転操作の指令を空調機器に送信する。
図3は建物管理装置101の構成を示すブロック図である。建物管理装置101は、評価対象空間の環境計測値を環境量として取得する環境量取得部10と、評価対象空間の居住者からの温冷感申告情報を取得して保持する温冷感申告情報取得部11と、評価対象空間の空調機器に指令を与える制御部12と、評価対象空間の環境計測値に基づいて評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である一律評価値(第1の評価値)を決定する一律評価値決定部14と、複数の一律評価値と各々の一律評価値に対応して実際の居住者が感じた温冷感申告情報から生成する実態評価用データとの関係をモデル化した温熱実感モデルを空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に予め生成するモデル生成部15と、一律評価値に基づいて実態評価値(第2の評価値)を算出する実態評価値算出部16と、一律評価値と実態評価値とを統合して保持する評価情報管理部17と、一律評価値と実態評価値とを同時に表示する表示部18とを備えている。
環境量取得部10は、空調ゾーンZ−1〜Z−6に設置された環境計測デバイス(温湿度センサ103−1〜103−6)から室内環境計測値(温度、湿度など)を計測日時と共に取得し、室内環境計測値が計測された空調ゾーンZ−1〜Z−6の特定情報と計測日時と室内環境計測値とを関連付けて環境量として保持する。環境量取得部10は、一律評価値決定部14からの要求に応じて環境量を送信する。取得する環境計測値の種類や対象となる評価単位(空調ゾーン)、環境計測値を取得する周期や時刻、取得元の情報は、プロバイダや管理者によって予め設定されている。
温冷感申告情報取得部11は、空調ゾーンZ−1〜Z−6の居住者からの温冷感申告情報を取得する。各居住者は、例えばスマートフォン、PC(personal computer)等の電子機器から自身が感じる温冷感をいつでも申告できる。温冷感申告情報取得部11は、居住者からの温冷感申告情報と温冷感申告情報の発生時刻と温冷感申告情報が得られた空調ゾーンZ−1〜Z−6の特定情報とを関連付けて保持する。
制御部12は、通常のモードでは、例えばプロバイダや管理者によって決定された設定値(室温設定値、湿度設定値など)を各空調ゾーンZ−1〜Z−6の空調制御装置102−1〜102−6に送信する。また、制御部12には、温冷感申告情報を活用して室温設定値を自動で変更する(夏季冷房時に暑いと感じる居住者が多い場合に設定値を下げる等)温冷感申告制御モードが実装されている。
温冷感申告情報を利用して室温設定値を変更する空調システムについては、例えば文献「大曲 康仁他,“温冷感申告対応空調システムの実証試験”,空気調和・衛生工学会学術講演論文集,第3巻,pp41−44,2016/9」に開示されているので、詳細な説明は省略する。
一律評価値決定部14は、環境量取得部10から環境量を取得し、環境量に基づく一律評価値を空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に決定し、決定した一律評価値を実態評価値算出部16と評価情報管理部17の要求に応じて送信する。一律評価値としては、環境量取得部10から取得する環境量に含まれる室内環境計測値と、室内環境計測値に基づいて算出される値とがある。一律評価値として保持する情報の種類と、演算が必要な一律評価値の算出方法は、制御プロバイダや設備管理者によって予め設定されている。
算出が必要な一律評価値としては、作用温度やSET*など体感温度の標準的な指標、PMVに代表される温冷感の標準的な指標、PPDに代表される不満足度(満足度)の標準的な指標などがある。これら一律評価値の算出方法は、国際標準やガイドラインなどにより一般に入手可能である。なお、PMVは−3から+3の間の数値で定義されており、PMVおよびPPDと居住者の温冷感の感じ方(言語表現)との対応関係は国際標準では図6のように対応している。
また、一律評価値の算出に必要なパラメータ値が環境量から取得できない場合は、従来行われている方法、つまりパラメータ値に一般的な代表値を使用すればよく、パラメータ値を算出方法の情報と共に一律評価値決定部14に予め設定しておけばよい。例えば、SET*やPMVの算出には、空気温度、湿度、放射温度、風速、着衣量、代謝量の6要素の値が必要となる。空気温度と湿度とは環境量から取得できる。また、デスクワークが主の夏季の静穏環境のオフィスでは、一般的に放射温度を空気温度と等しい値とし、風速を0.1[m/s]、着衣量を0.6[clo]、代謝量を1.0[met]と設定しておけばよい。
次に、モデル生成部15は、一律評価値とこれに対応して実際の居住者が感じた温冷感申告情報に一次処理を加えて生成する実態評価用データとの関係をモデル化した温熱実感モデルを空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に予め生成する。温熱実感モデルの学習方法としては、機械学習がある。機械学習方法については、ディープラーニングなどが知られている。以下、温熱実感モデルの学習方法について説明する。
本実施例では、一律評価値決定部14によって一律評価値を取得することが可能である。これら一律評価値を居住者の感じ方の実態に合わせて補正するモデルを機械学習によって生成すれば、実態評価を実現する学習済みモデルが得られる。すなわち、学習済みの温熱実感モデルに一律評価値を入力として与えることで、実態評価値を算出することが可能になる。
図4に一律評価値と実態評価値の相関関係を示すモデルの1例を示す。図4の直線L1は、実態評価値と一律評価値が等しい場合のモデルの特性を示している。実態評価値としては、温熱快適性の評価指標に対応する実態体感温度、実態不満足度、実態温冷感などがある。
図5はモデル生成部15の学習動作を説明するフローチャートである。本実施例では、まず学習データを収集するために、上記の温冷感申告制御モードで一定期間、空調システムを運用する。これにより、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の一律評価値が一律評価値決定部14に保持され、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に実際の居住者が感じた温冷感申告情報が温冷感申告情報取得部11に保持される。なおここで、実際の居住者が申告する温冷感申告情報は居住者が実際に感じた温冷感を反映した情報ではあるものの、「忙しい」「手が離せない」などの理由で不満がある環境でも必ずしも申告情報が得られるとは限らず、また、居住者の体調や心理状態の影響で同じ環境で必ずしも同じ温冷感申告情報が得られるとは限らないばらつきの多い情報である。さらに、学習データが少なければ温熱実感モデルの精度劣化につながったり、モデル同定自体が困難となること、また、学習データに含まれる一律評価値のデータ範囲(環境の範囲)はモデルが適用可能な環境の範囲と関連することなども考慮すると、建物の空調環境を評価し、居住者の快適性に配慮しながら空調の運用管理を行うために設備管理者が利用する実態評価値は、例えば1ヶ月といった一定期間を対象とした複数の学習データを利用し、過学習とならない点に配慮したモデルを生成して、このようなばらつきの影響を低減することが必要となる。
モデル生成部15は、例えば1ヶ月といった予め制御プロバイダや設備管理者によって指定された学習データ生成期間に対し、この期間に取得され保持された一律評価値決定部14の一律評価値と、温冷感申告情報取得部11の温冷感申告情報を用いて学習データを生成する。具体的には例えば、学習データ生成期間を空調環境が大きくは変わらない一定のデータ処理区間(30分、1時間など)に分割し、この処理期間毎に、一律評価値を空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に平均化すると共に、同データ処理区間内の温冷感申告情報を空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に平均化する処理を行い、実態評価用データとする。そして、モデル生成部15は、データ処理区間内の一律評価値の平均値とこれに対応する同データ処理区間内の実態評価用データ(温冷感申告情報の平均値)とを空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に対応付けたデータを学習データとして取得する(図5ステップS1−1)。こうして、学習データ生成期間内の複数のデータ処理区間のそれぞれについて学習データを得ることができる。
なお、実態評価用データの生成方法(温冷感申告情報の一次処理方法)は、使用する実態評価値(実態体感温度、実態不満足度、実態温冷感など)に対応した処理方法が予め決定されているとする。例えば、体感温度を温冷感申告情報とした場合、学習データ生成期間に対応する複数のデータ処理区間毎・空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に、平均した統計量を体感温度の実態評価用データとする。また、不満足度温冷感申告情報とした場合、学習データ生成期間に対応する複数のデータ処理区間毎・空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に、室内温熱環境への不満足者の数を算出したり、対象ゾーンの居住者数と不満足者数から算出される不満足者率を算出して不満足度の実態評価用データとする。さらに、言語表現での温冷感申告(非常に暑い、暑い、やや暑い、どちらでもない、やや寒い、寒い、非常に寒い等)を温冷感申告情報とした場合、図6で示した対応をもとに温冷感情報を数値化した上で平均するなどの処理を加えて温冷感の実態評価用データとする。
また、本実施の形態では実態評価用データの生成方法として平均値を算出するシンプルな方法を示したが、特許文献1に開示されているような、前記温冷感申告情報のばらつきを低減する申告処理方法を実態評価用データの生成方法に加えてももちろん構わない。
モデル生成部15は、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の学習データを用いて、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の温熱実感モデルをディープラーニングなどの一般的な手法で機械学習することができる(図5ステップS1−2)。生成した温熱実感モデルを利用することで、学習データに含まれない任意の一律評価値に対する実態評価値の推定も可能となる。例えば、10月の1ヶ月間を学習データ生成期間とした温熱実感モデルを11月の実態評価値の推定に利用可能となる。
そして、モデル生成部15は、学習結果の温熱実感モデルを記憶する(図5ステップS1−3)。空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の学習済みの温熱実感モデルによって算出される実態評価値RPMV_znの例を図7に示す。ここでは、入力とする一律評価値をPMVとしている。RPMV_zn(n=1〜6)は、それぞれ空調ゾーンZ−1〜Z−6の温熱実感モデル(実態温冷感)である。図7のL2は、参考として、実態評価値と一律評価値が等しい場合の温熱実感モデルの特性を示している。
学習済みの温熱実感モデルによって算出される実態評価値の別の例を図8に示す。図8の例では、入力の一律評価値をPMV、出力の実態評価値を不満足者率としている。
特許文献1に開示されている学習済みモデルは、PMVと不満足度(不満足者率)との関係を、標準のPPD関数を補正することで表現しているが、PMVとPPDはISO−7730で与えられている式(1)式によって関係付けられている。これにより、PMVからPPDを算出することも可能である。
PPD=100−95×exp(−0.03353×PMV4
−0.2179×PMV2) ・・・(1)
よって、図8に示した横軸のPMVをPPDに変換すれば、図4に示したPPDと実態不満足度との関係と等価の結果を得ることができる。さらに、実態評価値である不満足者率(縦軸)から実態評価値に対応するPMVを逆算することによって、図4におけるPMVと実態温冷感との関係と等価の結果を得ることができる。さらに、PMVとSET*の算出に必要なパラメータも同様であるので、これらはお互いに変換が可能であり、結果的に図4のような空間で表現可能なモデルとなる。
以上に示したように、機械学習により生成された温熱実感モデルは、快適性の評価指標についての数学的関係などを用いて適宜変換可能であり、本発明では学習結果をそのまま利用する方法に限定されない。
次に、実態評価値算出部16は、一律評価値決定部14から一律評価値を取得し、モデル生成部15によって予め生成された空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の学習済みの温熱実感モデルを用いて、実態評価値を空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に算出する。実態評価値の算出に必要なパラメータ値は、プロバイダや設備管理者によって予め登録されている。実態評価値算出部16は、評価情報管理部17の要求に応じて、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に算出した実態評価値を送信する。
本実施例では、一律評価値決定部14から取得する一律評価値に含まれるPMVと予め登録されている学習済みの温熱実感モデルとから、実態評価値である実態温冷感RPMVを空調ゾーンZ−1〜Z−6毎に算出するものとする。
なお、一律評価値決定部14による一律評価値の算出に用いたパラメータ値と同種のパラメータ値を実態評価値算出部16における算出でも用いる場合には、一律評価値決定部14に設定された値と同じ値を使用すればよい。
評価情報管理部17は、一律評価値決定部14から取得した一律評価値と実態評価値算出部16から取得した実態評価値とを関連付けて保持する。
表示部18は、設備管理者等のオペレータからの要求に対応して、一律評価値と実態評価値とを同時に比較可能な形態で表示する。
以下、本実施例の建物管理装置101の動作をより具体的に説明する。建物管理装置101には、空調制御のために周期的に収集された室内環境計測値(温度、湿度)が空調制御装置102−1〜102−6から逐次送信される。
建物管理装置101の表示部18は、最新の評価情報、あるいは、オペレータから指示された任意の過去の評価日時における評価情報を表示する。
環境量取得部10は、室内環境計測値を計測日時と共に取得し、空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の室内環境計測値と室内環境計測値が計測された空調ゾーンZ−1〜Z−6の特定情報と計測日時とを関連付けて環境量として保持する。本実施例では、室内環境計測値が更新される周期に合わせて最新の環境量が逐次、環境量取得部10に蓄積されることとする。
図9は一律評価値決定部14の動作を説明するフローチャートである。一律評価値決定部14は、環境量取得部10から環境量を取得する(図9ステップS1−11)。そして、一律評価値決定部14は、評価単位(空調ゾーン)を区別するための評価単位カウントnを1増やし(図9ステップS1−12)、評価単位カウントnが上限値Nv以下かどうかを判定する(図9ステップS1−13)。評価単位カウントnの初期値は0、上限値Nv(空調ゾーンの数)は6である。ここでは、空調ゾーンの一律評価値PMVを算出し終えていないので、ステップS1−14に進む。
一律評価値決定部14は、評価単位カウントn(空調ゾーンZ−n)の一律評価値PMVの算出に必要な環境計測値(温度、湿度)を評価単位カウントnの環境量から取得し(図9ステップS1−14)、評価単位カウントnの一律評価値PMVを算出する(図9ステップS1−15)。こうして、ステップS1−12〜S1−15の処理を評価単位カウントn毎に繰り返すことにより、一律評価値PMVを評価単位カウントn毎に算出する。評価単位カウントn=Nv(空調ゾーンZ−6)の一律評価値PMVを算出し終えると、次のステップS1−13において評価単位カウントnが上限値Nvを超えるので、一律評価値決定部14の動作が終了する。
環境量から取得できる温度、湿度以外でPMVの算出に必要なパラメータ値については、上記のように、放射温度を空気温度と等しい値とし、風速を0.1[m/s]、着衣量を0.6[clo]、代謝量を1.0[met]と予め設定しておけばよい。
本実施例では、算出する一律評価値をPMVとしているが、上記のように一律評価値には作用温度やSET*、PMV、PPDなどがあり、PMV以外の他の一律評価値を算出するようにしてもよい。また、SET*とPMVなどのように複数の一律評価値を算出するようにしても構わない。複数の一律評価値を算出する場合には、図9において、一律評価値の全ての算出が完了するまでステップS1−12〜S1−15の処理を繰り返すようにすればよい。
また、一律評価値を温度、湿度のみとし、作用温度やSET*、PMV、PPDなどの一律評価値を算出しない場合には、ステップS1−12〜S1−15の処理を割愛して、環境量に含まれる温度、湿度をそのまま一律評価値とすればよい。
図10は実態評価値算出部16の動作を説明するフローチャートである。実態評価値算出部16は、一律評価値決定部14から一律評価値を取得する(図10ステップS1−21)。そして、実態評価値算出部16は、評価単位(空調ゾーン)を区別するための評価単位カウントnを1増やし(図10ステップS1−22)、評価単位カウントnが上限値Nv以下かどうかを判定する(図10ステップS1−23)。上記のように、評価単位カウントnの初期値は0、上限値Nv(空調ゾーンの数)は6である。ここでは、空調ゾーンの実態評価値RPMVを算出し終えていないので、ステップS1−24に進む。
実態評価値算出部16は、評価単位カウントn(空調ゾーンZ−n)の一律評価値PMVを一律評価値決定部14から取得した情報の中から取り出して(図10ステップS1−24)、評価単位カウントnの温熱実感モデルを用いて評価単位カウントnの実態評価値RPMVを算出する(図10ステップS1−25)。
こうして、実態評価値算出部16は、ステップS1−22〜S1−25の処理を評価単位カウントn毎に繰り返すことにより、実態評価値RPMVを評価単位カウントn毎に算出する。評価単位カウントn=Nv(空調ゾーンZ−6)の実態評価値RPMVを算出し終えると、次のステップS1−23において評価単位カウントnが上限値Nvを超えるので、実態評価値算出部16の動作が終了する。
本実施例では、算出する実態評価値を実態温冷感を示すRPMVとし、空調ゾーンZ−1〜Z−6の実態評価値をRPMV_zn(n=1〜6)とする。実態評価値RPMV_zn(n=1〜6)を算出する空調ゾーンZ−1〜Z−6毎の温熱実感モデルの関数M_zn(PMV)(n=1〜6)は、式(2)〜式(7)とする。なお、式(2)〜式(7)では、説明を簡単にするために平易な関数表現としたが、温熱実感モデルの表現は、より複雑な関数などで表現される場合もある。
RPMV_z1=M_z1(PMV)=1.655×PMV2+0.1576×PMV
+0.26 ・・・(2)
RPMV_z2=M_z2(PMV)=1.75×PMV−0.2 ・・・(3)
RPMV_z3=M_z3(PMV)=PMV+0.1 ・・・(4)
RPMV_z4=M_z4(PMV)=1.655×PMV2+0.1576×PMV
+0.26 ・・・(5)
RPMV_z5=M_z5(PMV)=0.85×PMV2 ・・・(6)
RPMV_z6=M_z6(PMV)=PMV−0.13 ・・・(7)
評価情報管理部17は、一律評価値決定部14から取得した一律評価値と実態評価値算出部16から取得した実態評価値の情報とを関連付けて統合し評価情報として保持する。
図11は表示部18の動作を説明するフローチャートである。表示部18は、設備管理者等のオペレータから指示があったときに(図11ステップS1−26)、オペレータの指示に対応して、一律評価値と実態評価値とを同時に比較可能な形態で表示する(図11ステップS1−27)。
オペレータの表示指示は、計測日時や対象評価単位など、表示情報を特定する情報を含むものとする。例えば、オペレータは、最新日時の情報表示を指示してもよいし、計測日時を直接指定してもよいし、年月日を指定して同日の評価結果を時系列で情報表示するよう指示してもよい。
オペレータが最新日時の情報表示、あるいは情報の日時を指定した場合の表示例を図12〜図14に示す。図12の例では、表示部18が表示する画面80に、最新日時あるいは指定された日時(2020年3月1日9時00分00秒)について、空調ゾーンZ−1〜Z−6の一律評価値として温度と湿度とPMVとが表示され、対応する実態評価値として実態温冷感(RPMV)が表示されている。
同様に、図13の例では、画面80にフロア内の空調ゾーンのレイアウトを示し、空調ゾーンZ−1〜Z−6の一律評価値として温度と湿度とPMVとが表示され、対応する実態評価値として実態温冷感が表示されているが、実態温冷感のレベルに応じて各空調ゾーンZ−1〜Z−6に対応する表示領域800−1〜800−6を色分けするようにしている。
同様に、図14の例では、画面80に空調ゾーンZ−1〜Z−6の一律評価値として温度と湿度とPMVとが表示され、対応する実態評価値として実態温冷感が表示されているが、実態温冷感のレベルに応じて各空調ゾーンZ−1〜Z−6に対応する表示領域800−1〜800−6を色分けすると共に、一律評価値PMVのレベルに応じて各空調ゾーンZ−1〜Z−6に対応する表示領域の一部801−1〜801−6を色分けするようにしている。
また、年月日(2020年3月1日)と表示時間帯(9時−17時)を指定して時系列で一律評価値と実態評価値を示す表示例を図15、図16に示す。時間帯を指定する場合には1時間毎や30分毎など表示する時間間隔を指定してももちろん構わない。
以上のように、本実施例では、実態評価を適用する際の室内環境管理画面に、実態評価での評価結果に加え、一律評価の結果を比較可能なように同時に表示することにより、居住者の感じ方の実態に合った快適性評価結果を提示しながら、空調制御結果である空調状態に異常があるか否かなどが認識し易くなる。
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本発明の第2の実施例は、実態評価値と一律評価値を同時に表示する際に、実態評価値と一律評価値の差異を同時に表示するものである。これにより、実態評価値が極端な値であっても、その要因が対象居住者の感じ方の違い(実態)によるものかどうかを認識し易くする。
図17は本実施例に係る建物管理装置101の構成を示すブロック図であり、図3と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の建物管理装置101は、環境量取得部10と、温冷感申告情報取得部11と、制御部12と、一律評価値決定部14aと、モデル生成部15と、実態評価値算出部16aと、評価情報管理部17aと、表示部18aとを備えている。
以下、第1の実施例と異なる部分のみ説明する。一律評価値決定部14aの基本動作は、第1の実施例の一律評価値決定部14と同様である。第1の実施例との違いは、一律評価値決定部14aは、一律評価値を算出した際に(図9ステップS1−15)、実態評価値との差異を比較する対象を特定する情報を一律評価値に付加することである。実態評価値との差異評価を行う一律評価値(比較指標)は、制御プロバイダや設備管理者が予め決定して設定する。
実態評価値が実態体感温度の場合は、空気温度や作用温度、SET*などの体感温度指標を比較指標とすればよい。実態評価値が実態温冷感の場合は、PMVに代表される温冷感指標を比較指標とすればよい。実態評価値が実態不満足度の場合は、PPDに代表される不満足度指標を比較指標とすればよい。
例えば、全ての一律評価値に比較フラグ情報が付加され、比較指標となる一律評価値には比較フラグ“1”が付加され、その他の一律評価値には比較フラグ“0”が付加される。本実施例では、実態評価値を実態温冷感とし、比較指標となる一律評価値をPMVとする。
図18は実態評価値算出部16aの動作を説明するフローチャートである。図18のステップS1−21〜S1−25の処理は第1の実施例で説明したとおりである。
実態評価値算出部16aは、評価単位カウントnの一律評価値から評価単位カウントnの実態評価値RPMVを算出した後に(図18ステップS1−25)、算出した実態評価値RPMVと評価単位カウントnの一律評価値のうち比較フラグが“1”となっている一律評価値PMVとの差RPMV−PMVを算出する(図18ステップS2−11)。
こうして、実態評価値算出部16aは、ステップS1−22〜S1−25,S2−11の処理を評価単位カウントn毎に繰り返すことにより、実態評価値RPMVと評価値差とを評価単位カウントn毎に算出する。評価単位カウントn=Nv(空調ゾーンZ−6)の実態評価値と評価値差とを算出し終えると、次のステップS1−23において評価単位カウントnが上限値Nvを超えるので、実態評価値算出部16aの動作が終了する。
評価情報管理部17aは、一律評価値決定部14aから取得した一律評価値と、実態評価値算出部16aから取得した実態評価値および評価値差の情報とを関連付けて統合し評価情報として保持する。
図19は表示部18aの動作を説明するフローチャートである。表示部18aは、設備管理者等のオペレータから指示があったときに(図19ステップS2−12)、オペレータの指示に対応して、一律評価値と実態評価値とを比較可能な形態で表示すると同時に、実態評価値と一律評価値との評価値差を表示する(図19ステップS2−13)。
評価値差が予め設定された閾値より大きい場合には、オペレータが認識し易いよう、色やデザインで強調表示を行なうことが好ましい。本実施例の表示例を図20、図21に示す。図20の例では、表示部18aが表示する画面80において、実態評価値である実態温冷感(RPMV)とPMVとの評価値差である実態温冷感差異(RPMV−PMV)が所定の閾値(本実施例では+0.3)以上となっている空調ゾーンZ−4の表示領域を他の空調ゾーンと色分けして表示するようにしている。
図21の例では、実態評価値である実態温冷感(RPMV)とPMVとの評価値差である実態温冷感差異(RPMV−PMV)が所定の閾値(本実施例では+0.3)以上となっている空調ゾーンZ−4について、レイアウト上の空調ゾーンZ−4の境界線を強調するとともに、「暑がりゾーン」というガイダンスを表示するようにしている。このガイダンス表示により、対象居住者の感じ方の違い(実態)をオペレータに示している。
以上により、本実施例では、実態評価値が極端な値であっても、その要因が対象居住者の感じ方の違い(実態)によるものかどうかを認識し易くすることができる。
[第3の実施例]
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本発明の第3の実施例は、実態評価値と一律評価値値を同時に表示する際に、一律評価値(空調状態量)が正常か否かの評価を行い、この評価結果も同時に表示する。空調状態に異常がないかどうかを同時に把握することで、実態評価値が極端な値であっても、その要因が対象居住者の感じ方の違い(実態)によるものかどうかを認識し易くする。
図22は本実施例に係る建物管理装置101の構成を示すブロック図であり、図3と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施例の建物管理装置101は、環境量取得部10と、温冷感申告情報取得部11と、制御部12と、一律評価値決定部14と、モデル生成部15と、実態評価値算出部16と、評価情報管理部17bと、表示部18bと、空調状態評価部19とを備えている。
以下、第1の実施例と異なる部分のみ説明する。本実施例では、空調ゾーンZ−n(n=1〜6)の温度をTzn、湿度をHzn、PMVをPMVznとして説明する。
空調状態評価部19は、一律評価値決定部14aから一律評価値を取得し、評価単位(空調ゾーン)毎の空調状態評価を行う。空調状態評価部19は、評価情報管理部17bの要求に応じて評価単位毎の空調状態評価結果を送信する。空調状態評価に用いるパラメータの種類や評価方法は、制御プロバイダや設備管理者によって予め設定されている。
本実施例では、一律評価値決定部14aから取得する一律評価値(温度、湿度、PMV)が予め設定された範囲であるかどうかを判定する例で説明する。温度、湿度の範囲については、ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)で定められた基準を適用し、PMVの範囲についてはISO7730で定められた快適範囲を適用する。
図23は空調状態評価部19の動作を説明するフローチャートである。空調状態評価部19は、一律評価値決定部14から一律評価値を取得する(図23ステップS3−11)。そして、空調状態評価部19は、評価単位(空調ゾーン)を区別するための評価単位カウントnを1増やし(図23ステップS3−12)、評価単位カウントnが上限値Nv以下かどうかを判定する(図23ステップS3−13)。上記のように、評価単位カウントnの初期値は0、上限値Nv(空調ゾーンの数)は6である。ここでは、空調ゾーンの空調状態を評価し終えていないので、ステップS3−14に進む。
空調状態評価部19は、取得した一律評価値に含まれる温度Tzn(n=1〜6)が予め設定された範囲(17℃以上28℃以下)内かどうかを判定し、温度Tznが範囲外の場合、温度Tznの異常フラグを“1”にする(図23ステップS3−14)。温度Tznの異常フラグの初期値は“0”である。
また、空調状態評価部19は、取得した一律評価値に含まれる湿度Hzn(n=1〜6)が予め設定された範囲(40%以上70%以下)内かどうかを判定し、湿度Hznが範囲外の場合、湿度Hznの異常フラグを“1”にする(図23ステップS3−15)。湿度Hznの異常フラグの初期値は“0”である。
さらに、空調状態評価部19は、取得した一律評価値に含まれるPMVzn(n=1〜6)が予め設定された範囲(−0.5以上0.5以下)内かどうかを判定し、PMVznが範囲外の場合、PMVznの異常フラグを“1”にする(図23ステップS3−16)。PMVznの異常フラグの初期値は“0”である。
こうして、空調状態評価部19は、ステップS3−12〜S3−16の処理を評価単位カウントn毎に繰り返すことにより、一律評価値を評価単位カウントn毎に評価する。評価単位カウントn=Nv(空調ゾーンZ−6)の一律評価値を評価し終えると、次のステップS3−13において評価単位カウントnが上限値Nvを超えるので、空調状態評価部19の動作が終了する。
評価情報管理部17bは、一律評価値決定部14から取得した一律評価値と実態評価値算出部16から取得した実態評価値と空調状態評価部19から取得した評価結果とを関連付けて統合し評価情報として保持する。
図24は表示部18bの動作を説明するフローチャートである。表示部18bは、設備管理者等のオペレータから指示があったときに(図24ステップS3−17)、オペレータの指示に対応して、一律評価値と実態評価値とを比較可能な形態で表示すると同時に、一律評価値(空調状態量)の評価結果を表示する(図24ステップS3−18)。
空調状態評価で異常と判定されている場合には、オペレータが認識し易いよう、色やデザインでの強調表示やガイダンス表示を行なうことが好ましい。本実施例の表示例を図25、図26に示す。図25の例では、表示部18bが表示する画面80において、PMVが範囲外となっている空調ゾーンZ−4について、PMVと実態評価値である実態温冷感(RPMV)とを他の空調ゾーンと色分けして表示するようにしている。
図26の例では、PMVが範囲外となっている空調ゾーンZ−4について、レイアウト上の空調ゾーンZ−4の境界線を強調強調するとともに、「PMVが閾値0.5以上です」というガイダンスを表示するようにしている。
以上により、本実施例では、実態評価値が極端な値であっても、その要因が対象居住者の感じ方の違い(実態)によるものかどうかを認識し易くすることができる。
第1〜第3の実施例で説明した建物管理装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図27に示す。
コンピュータは、CPU300と、記憶装置301と、インタフェース装置(I/F)302とを備えている。I/F202には、空調制御装置102−1〜102−6等が接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の管理方法を実現させるためのプログラムは記憶装置301に格納される。CPU300は、記憶装置301に格納されたプログラムに従って第1〜第3の実施例で説明した処理を実行する。
本発明は、空調の運用管理技術に適用することができる。
10…環境量取得部、11…温冷感申告情報取得部、12…制御部、14,14a…一律評価値決定部、15…モデル生成部、16,16a…実態評価値算出部、17,17a,17b…評価情報管理部、18,18a,18b…表示部、19…空調状態評価部、101…建物管理装置、102−1〜102−6…空調制御装置、103−1〜103−6…温湿度センサ、104−1〜104−6…室内機、105−1〜105−6…室外機、Z−1〜Z−6…空調ゾーン。

Claims (12)

  1. 評価対象空間の環境計測値に基づいて前記評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である第1の評価値を決定するように構成された評価値決定部と、
    前記第1の評価値に基づいて前記評価対象空間の居住者の温熱実感を反映した第2の評価値を算出するように構成された評価値算出部と、
    前記第1の評価値と前記第2の評価値とを同時に表示するように構成された表示部とを備えることを特徴とする管理装置。
  2. 請求項1記載の管理装置において、
    前記評価値算出部は、前記第2の評価値に加えて、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を算出し、
    前記表示部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を表示することを特徴とする管理装置。
  3. 請求項2記載の管理装置において、
    前記表示部は、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差が予め設定された閾値を超えた場合に、閾値を超えたことをオペレータに通知する表示を行うことを特徴とする管理装置。
  4. 請求項1記載の管理装置において、
    前記第1の評価値を評価するように構成された評価部をさらに備え、
    前記表示部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第1の評価値の評価結果を表示することを特徴とする管理装置。
  5. 請求項4記載の管理装置において、
    前記表示部は、前記評価部による評価の結果、前記第1の評価値が予め設定された範囲外と判定された場合に、範囲外であることをオペレータに通知する表示を行うことを特徴とする管理装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の管理装置において、
    前記評価値算出部は、前記第1の評価値と前記第2の評価値との関係を予め学習した温熱実感モデルを用いて、前記第1の評価値から前記第2の評価値を算出することを特徴とする管理装置。
  7. 評価対象空間の環境計測値に基づいて前記評価対象空間の標準的な温熱快適性指標である第1の評価値を決定する第1のステップと、
    前記第1の評価値に基づいて前記評価対象空間の居住者の温熱実感を反映した第2の評価値を算出する第2のステップと、
    前記第1の評価値と前記第2の評価値とを同時に表示する第3のステップとを含むことを特徴とする管理方法。
  8. 請求項7記載の管理方法において、
    前記第2のステップは、前記第2の評価値に加えて、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を算出するステップを含み、
    前記第3のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差を表示するステップを含むことを特徴とする管理方法。
  9. 請求項8記載の管理方法において、
    前記第3のステップは、前記第2の評価値と前記第1の評価値との差が予め設定された閾値を超えた場合に、閾値を超えたことをオペレータに通知する表示を行うステップを含むことを特徴とする管理方法。
  10. 請求項7記載の管理方法において、
    前記第2のステップと前記第3のステップとを間に、前記第1の評価値を評価する第4のステップをさらに含み、
    前記第3のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを表示すると同時に、前記第1の評価値の評価結果を表示するステップを含むことを特徴とする管理方法。
  11. 請求項10記載の管理方法において、
    前記第3のステップは、前記第4のステップにおける評価の結果、前記第1の評価値が予め設定された範囲外と判定された場合に、範囲外であることをオペレータに通知する表示を行うステップを含むことを特徴とする管理方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれか1項に記載の管理方法において、
    前記第2のステップは、前記第1の評価値と前記第2の評価値との関係を予め学習した温熱実感モデルを用いて、前記第1の評価値から前記第2の評価値を算出するステップを含むことを特徴とする管理方法。
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