JP2021195884A - 始動不良報知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】適正なタイミングでエンジンの始動不良を報知する。【解決手段】複数の車両についての現在位置の情報としての位置情報と外気温と搭載しているエンジンに始動不良が生じたことを示す始動不良情報とに基づいて、車両の現在位置を含む地域内において外気温が所定温度未満であり且つエンジンに始動不良が生じている前記車両数が増加していると判定したときに、地域内の車両および車両のユーザおよび販売店のうちの少なくとも1つに低温下でのエンジンの始動不良の可能性があることを報知する報知部を備える。【選択図】図4
Description
本発明は、始動不良報知システムに関し、詳しくは、車両が搭載するエンジンの始動不良の可能性を報知する始動不良報知システムに関する。
従来、エンジンを搭載した車両としては、外気温に基づいて次回のエンジン始動時のバッテリ温度を予測し、バッテリ温度予測値に応じた蓄電量となるようにバッテリの充放電を制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、こうした制御を行なうことにより、次回のエンジン始動時にバッテリ温度が低くても、エンジンを始動するのに必要な出力を得ることができるようにし、低温下におけるエンジンの始動性を向上させている。
しかしながら、上述の車両では、外気温に基づいてバッテリ温度を予測して、低温下におけるエンジンの始動性を向上させるための制御を実行しているものの、実際にエンジンの始動性が低下していること(始動不良の発生)を検出しているわけではない。そのため、実際にエンジンの始動性が低下していないにも関わらずエンジンの始動性を向上させるための制御を実行していることがあり、適正なタイミングでエンジンの始動不良に対処していないことがある。したがって、適正なタイミングでエンジンの始動不良を報知して、対処を促すことが望まれている。
本発明の始動不良報知システムは、適正なタイミングでエンジンの始動不良を報知することを主目的とする。
本発明の始動不良報知システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の始動不良報知システムは、
車両が搭載するエンジンの始動不良の可能性を報知する始動不良報知システムであって、
複数の前記車両についての現在位置の情報としての位置情報と外気温と搭載している前記エンジンに始動不良が生じたことを示す始動不良情報とに基づいて、前記車両の前記現在位置を含む地域内において前記外気温が所定温度未満であり且つ前記エンジンに始動不良が生じている車両数が増加していると判定したときに、前記地域内の前記車両および前記車両のユーザおよび販売店のうちの少なくとも1つに低温下での前記エンジンの始動不良の可能性があることを報知する報知部
を備えることを要旨とする。
車両が搭載するエンジンの始動不良の可能性を報知する始動不良報知システムであって、
複数の前記車両についての現在位置の情報としての位置情報と外気温と搭載している前記エンジンに始動不良が生じたことを示す始動不良情報とに基づいて、前記車両の前記現在位置を含む地域内において前記外気温が所定温度未満であり且つ前記エンジンに始動不良が生じている車両数が増加していると判定したときに、前記地域内の前記車両および前記車両のユーザおよび販売店のうちの少なくとも1つに低温下での前記エンジンの始動不良の可能性があることを報知する報知部
を備えることを要旨とする。
この本発明の始動不良報知システムは、複数の車両についての現在位置の情報としての位置情報と周辺の外気温と搭載しているエンジンに始動不良が生じたことを示す始動不良情報とに基づいて、車両の現在位置を含む地域内において外気温が所定温度未満であり且つエンジンに始動不良が生じている車両数が増加していると判定したときに、前記地域内の車両および車両のユーザおよび販売店のうちの少なくとも1つに低温下でのエンジンの始動不良の可能性があることを報知する。実際に車両から得られた位置情報と外気温と始動不良情報とを用いるから、より適正なタイミングで低温下でのエンジンの始動不良の可能性があることを報知できる。
こうした本発明の始動不良報知システムにおいて、前記車両は、前記外気温が前記所定温度未満であるときには、前記位置情報と前記始動不良情報とを送信する送信装置を備え、前記報知部は、前記送信装置からの前記位置情報と前記始動不良情報とを用いて得られる前記地域における低温下で走行している車両の総数に対する前記エンジンに始動不良が生じている前記車両の個数の割合が所定数を超えているときには、前記地域の前記車両および前記車両のユーザおよび車両販売店のうちの少なくとも1つに低温下での前記エンジンの始動不良の可能性があることを報知してもよい。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての始動不良報知システム10の構成の概略を示す構成図である。始動不良報知システム10は、図示するように、複数のハイブリッド自動車20と、管理センタ80と、販売店90と、を備える。
図2は、ハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。ハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、バッテリ50と、ナビゲーション装置60と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ23bからの冷却水温Twを挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によってインバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
ナビゲーション装置60は、図示はしないが、地図情報などが記憶されたハードディスクなどの記憶媒体や入出力ポート、通信ポートを有する制御部が内蔵された本体と、自車の現在地に関する情報を受信するGPSアンテナと、自車の現在地に関する情報や目的地までの走行予定経路などの各種情報を表示すると共にユーザが各種指示を入力可能なタッチパネル式のディスプレイと、を備える。ここで、地図情報には、サービス情報(例えば、観光情報や駐車場など)や各走行区間(例えば、信号機間や交差点間など)の道路情報などがデータベースとして記憶されている。道路情報には、距離情報や、幅員情報、車線数情報、地域情報(市街地や郊外)、種別情報(一般道路や高速道路)、勾配情報、法定速度、信号機の数などが含まれる。自車の現在地に関する情報には、現在地の緯度、経度を含む現在位置(位置情報)Gpが含まれる。ナビゲーション装置60は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムや車両を特定するための番号(以下、「車両番号」という)Vidを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、ナビゲーション装置60からの現在位置Gpやを外気温を検出する温度センサ62からの外気温Tmpなどの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
通信装置76は、HVECU70と外部との通信を行なう。
ハイブリッド自動車20は、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行モード(EV走行モード)や、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)で走行する。
EV走行モードでは、走行に要求される(駆動軸36に要求される)要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じて得られる要求パワーPd*が閾値Pref以上に至ったときなどに、エンジン22を始動して、HV走行モードに移行する。エンジン22の始動は、モータMG1によってエンジン22の回転数Neが増加するようにモータリングし、エンジン22の回転数Neが所定回転数Nst(例えば、800rpm、900rpm、1000rpmなど)以上に至ったときに、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御や点火制御などを開始することによって行なわれる。
HV走行モードでは、要求パワーPd*が停止閾値Pstop未満に至ったときに、エンジン22の運転を停止(間欠停止)して、EV走行モードに移行する。エンジン22の運転の停止は、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御や点火制御などを停止して、モータMG1によりエンジン22の回転数Neが低下するようにモータリングすることにより行なわれる。
管理センタ80は、管理サーバとなるコンピュータ82と、記憶装置84と、通信装置86とを備える。コンピュータ82は、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートなどを有する。記憶装置84は、例えば、ハードディスクやSSDなどとして構成されている。記憶装置84は、ハイブリッド自動車20のナビゲーション装置60が記憶している地図情報と同一の地図情報を記憶している。通信装置86は、コンピュータ21と外部との通信を行なう。コンピュータ82と、記憶装置84と、通信装置86とは、互いに信号線を介して接続されている。
販売店90は、コンピュータ92と、記憶装置94と、を備える。コンピュータ92は、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートなどを有する。記憶装置94は、例えば、ハードディスクやSSDなどとして構成されている。コンピュータ92と、記憶装置94とは、互いに信号線を介して接続されている。コンピュータ92は、管理センタ80のコンピュータ82とネットワーク19を介して接続されており、コンピュータ82と各種データをやり取りする。
次に、こうして構成された始動不良報知システム10の動作について説明する。図3は、ハイブリッド自動車20のHVECU70により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図4は、管理センタ80のコンピュータ82により実行される報知処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。図3の処理ルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。図4の報知処理ルーチンは、ハイブリッド自動車20からの車両番号Vidと始動不良判定フラグ(始動不良情報)Fsterrと現在位置Gpとを管理センタ80が受信したときに実行される。そのため、最初に、図3の処理ルーチンを説明し、次に、図4の報知処理ルーチンを説明する。
図3の処理ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、外気温Tmpや現在位置Gp、始動不良判定フラグFsterrを入力する処理を実行する(ステップS100)。外気温Tmpは、温度センサ62により検出されたものを入力している。現在位置Gpは、ナビゲーション装置60から出力されたものを入力している。始動不良判定フラグFsterrは、エンジン22に始動不良が生じていないときに値0が設定され、エンジン22に始動不良が生じているときに値1が設定される。
エンジン22に始動不良が生じているか否かの判定は、以下のようにして行なわれる。HVECU70は、外気温と、エンジン22の始動が良好であるときに要求パワーPd*が閾値Pref以上に至ってからエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御や点火制御などが開始されるまでの時間(始動時間)の上限値と、の関係(例えば、外気温が−25℃のときには始動時間の上限値が5秒や、外気温が−15℃のときには始動時間の上限値が2秒や、外気温が0℃のときには始動時間の上限値が1秒など)を予めマップとしてHVECU70の図示しないROMに記憶しておき、外気温Tmpが与えられるとマップから対応する始動時間の上限値tmaxを導出する。そして、要求パワーPd*が閾値Pref以上に至ったときからの経過時間tstが上限値tmax以下であるときには、エンジン22に始動不良が生じていないと判定して、経過時間tstが上限値tmaxを超えているときに、エンジン22に始動不良が生じていると判定する。
ステップS100でデータを入力すると、外気温Tmpが所定温度LTmp未満であるか否かを判定する(ステップS110)。所定温度LTmpは、ハイブリッド自動車20の外部が低温か否かを判定するための閾値であり、例えば、0℃、5℃、10℃などに設定される。
ステップS110で外気温Tmpが所定温度LTmp以上のときには、ハイブリッド自動車20の外部が低温ではないと判断して、処理ルーチンを終了する。
ステップS110で外気温Tmpが所定温度LTmp未満のときには、ROMに記憶している車両番号Vidと始動不良判定フラグFsterrと現在位置Gpとを通信装置76を介して管理センタ80に送信する(ステップS120)。そして、始動不良判定フラグFsterrを値0にリセットして(ステップS130)、処理ルーチンを終了する。
次に、管理センタ80のコンピュータ82により実行される図4の処理ルーチンについて説明する。図4の処理ルーチンは、コンピュータ82が、通信装置86を介して、ハイブリッド自動車20の通信装置76から送信された車両番号Vidと始動不良判定フラグFsterrと現在位置Gpとを入力したときに、即ち、外気温Tmpが所定温度LTmp未満であるときに実行される。
図4の報知処理ルーチンが実行されると、管理センタ80のコンピュータ82は、現在位置Gpと記憶装置84が記憶している地図情報とに基づいて、都市単位や集落単位で予め定められた複数の地域のうち、車両番号Vidと始動不良判定フラグFsterrと現在位置Gpとを送信したハイブリッド自動車20が現在存在している地域を現在地域Amに設定する(ステップS200)。
次に、現在地域Am内でこれまでに始動不良判定フラグFsterrを送信したハイブリッド自動車20の車両総数Afaを設定する(ステップS210)。車両総数Afaは、本ルーチンを実行する前に設定されている車両総数Afa(前回Afa)に値1を加えることにより設定される。なお、車両総数Afaは、初期値として値0に設定される
続いて、入力した始動不良判定フラグFsterrが値1であるか否かを判定する(ステップS220)。始動不良判定フラグFsterrが値1でないときには、前回本ルーチンを実行したときに設定している始動不良判定フラグFsterrを送信したハイブリッド自動車20の総数(前回Af)を、始動不良車両数Afに設定する(ステップS230)。始動不良判定フラグFsterrが値1のときには、前回Afに値1を加えたものを始動不良車両数Afに設定する(ステップS240)。
こうして車両の車両総数Afaと始動不良車両数Afとを設定すると、始動不良車両数Afを車両総数Afaで除して始動不良割合Rf(=Af/Afa)を演算し(ステップS250)、始動不良割合Rfが所定割合Rfrefを超えているか否かを判定する(ステップ260)。ここで、所定割合Rfrefは、現在地域Amにおいてエンジン22の始動不良が発生した車両が増加しているか否かを判定するための閾値であり、例えば、0.2、0.3、0.4などに設定される。報知処理ルーチンは、外気温Tmpが所定温度LTmp未満であるとき、つまり、低温下で実行されることから、ステップS260は、現在地域Am内で低温下でエンジン22の始動不良が発生した車両が増加しているか否かを判定する処理になっている。
ステップS260で始動不良割合Rfが所定割合Rfref以下であるときには、低温下の現在地域Amにおいてエンジン22の始動不良が発生した車両が増加していないと判断して、報知処理ルーチンを終了する。
ステップS260で始動不良割合Rfが所定割合Rfrefを超えているときには、低温下の現在地域Amにおいてエンジン22の始動不良が発生した車両が増加していると判断して、設定されている現在地域Am内に立地している販売店90に車両番号Vidと他の車両にもエンジン22の始動不良が発生する可能性が高いという不良多発情報とを報知して(ステップS270)、報知処理ルーチンを終了する。このように、実際にハイブリッド自動車20から得られた現在位置Gpや外気温Tmp、始動不良判定フラグFsterrに基づいて、低温下でエンジン22の始動不良が発生した地域の販売店90に不良が生じている車両番号Vidと不良多発情報とを報知するから、より適正なタイミングで、不良が生じている車両番号Vidと不良多発情報とを販売店90へ報知できる。
車両番号Vidと不良多発情報とを受信した販売店90のコンピュータ92は、受信した車両番号Vidと不良多発情報とを記憶装置94に記憶する。図4の報知処理ルーチンは、管理センタ80の通信装置86が、低温下で各ハイブリッド自動車20から送信される車両番号Vidと始動不良判定フラグFsterrと現在位置Gpとを受信する毎に実行され、車両番号Vidと不良多発情報とは、ステップS270が実行される毎に販売店90に送信される。したがって、販売店90の記憶装置94には、複数のハイブリッド自動車20のいずれかに低温下でエンジン22の始動不良が発生する毎に、始動不良が発生した車両番号Vidと不良多発情報とが蓄積されていく。
販売店90のコンピュータ92は、定期点検などによりハイブリッド自動車20が入庫され車両番号Vidが入力されると、入力された車両番号Vidと記憶装置94に記憶されている車両番号Vidとを照合する。そして、入力したハイブリッド自動車20の車両番号Vidが記憶装置94に記憶されている車両番号Vidと一致したときには、過去にエンジン22の始動不良が発生しており、エンジン22の燃焼室クリーニングや排気通路110のクリーニングなどの保守やエンジン22の燃焼室や排気通路110の点検を行なう必要があると判断して、保守点検要求を図示しない販売店90のディスプレイなどに報知する。保守点検要求を認識した販売店90では、スタッフがエンジン22の保守や点検を行なうことにより、エンジン22の始動不良を抑制できる。
また、販売店90のコンピュータ92は、不良多発情報を受信したときには、販売店90が立地している地域内で供給される燃料の性状が劣化しているなどにより他のハイブリッド自動車20にも低温によるエンジン22の始動不良が発生する可能性が高いと判断して、他のハイブリッド自動車20に点検を促す点検情報を送信する。点検情報を受信したハイブリッド自動車20のHVECU70は、図示しない車室内のディスプレイに点検情報を表示し、ハイブリッド自動車20のユーザに点検を促すことができる。点検情報を認識したユーザが、不良多発情報を受信した販売店90などにエンジン22の保守や点検を依頼し、販売店90なでで、タッフがエンジン22の保守や点検を行なうことにより、エンジン22の始動不良を抑制できる。
以上説明した実施例の始動不良報知システム10によれば、複数のハイブリッド自動車20についての現在位置Gpと外気温Tmpと搭載しているエンジン22に始動不良が生じたことを示す始動不良判定フラグFsterrとに基づいて、現在地域Amにおいて低温下でエンジン22に始動不良が生じている始動不良車両数Afが増加していると判定したときには、低温下でのエンジン22の始動不良の可能性があることを販売店90に報知することにより、適正なタイミングでエンジン22の始動不良を報知できる。
実施例の始動不良報知システム10では、図4の報知処理ルーチンのステップS260で、始動不良割合Rfが所定割合Rfrefを超えているか否かを判定している。しかしながら、ステップS260では、始動不良車両数Afが増加しているか否かを判定すればよいから、例えば、始動不良車両数Afが所定数Afref(例えば、100台、200台、300台など)を超えているか否かを判定してもよい。この場合、始動不良車両数Afが所定数Afrefを超えているときに、始動不良車両数Afが増加していると判定すればよい。
実施例の始動不良報知システム10では、図4の報知処理ルーチンのステップS270で、現在地域Am内で低温下でのエンジン22の始動不良の可能性があるという情報を販売店90に送信している。しかしながら、こうした情報を現在地域Am内にいる各ハイブリッド自動車20に送信してもいい。また、ユーザが管理センタ80と通信可能な端末を携帯している場合には、こうした情報を現在地域Am内にいるユーザに送信してもよい。
実施例の始動不良報知システム10では、図4の報知処理ルーチンを管理センタ80のコンピュータ82で実行しているが、図4の報知処理ルーチンの一部または全てを販売店90のコンピュータ92で実行してもよいし、ハイブリッド自動車20のHVECU70で実行してもよい。
実施例では、本発明をハイブリッド自動車20を備える始動不良報知システム10に適用する場合について例示している。しかしながら、本発明は、エンジン22を備える車両であれば如何なる形態の車両に適用しても構わない。例えば、ハイブリッド自動車20に替えて、モータMG1,MG2やプラネタリギヤ30を備えずに、エンジン22と、回転軸がエンジン22のクランクシャフト26にクラッチを介して接続されると共に駆動軸36に接続されたモータと、を備える形態のハイブリッド自動車や、モータMG1,MG2やプラネタリギヤ30を備えずに、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26と駆動軸36とに接続された変速機とを備える形態の車両に適用しても構わない。
実施例では、本発明を複数のハイブリッド自動車20と管理センタ80と販売店90とを備える始動不良報知システム10に適用する場合について例示している。しかしながら、本発明を、管理センタ80を備えずに複数のハイブリッド自動車20と販売店90とを備える始動不良報知システムや、販売店90を備えずに複数のハイブリッド自動車20と管理センタ80とを備える始動不良報知システムに適用しても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、ハイブリッド自動車20が「車両」に相当し、エンジン22が「内燃機関」に相当し、ハイブリッド自動車20のHVECU70と管理センタ80のコンピュータ82とが「報知部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、始動不良報知システムの製造産業などに利用可能である。
10 始動不良報知システム、19 ネットワーク、20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23a クランクポジションセンサ、23b 水温センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、60 ナビゲーション装置、62 温度センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、76,86 通信装置、80 管理センタ、82,92 コンピュータ、84,94 記憶装置、90 販売店。
Claims (1)
- 車両が搭載するエンジンの始動不良の可能性を報知する始動不良報知システムであって、
複数の前記車両についての現在位置の情報としての位置情報と外気温と搭載している前記エンジンに始動不良が生じたことを示す始動不良情報とに基づいて、前記車両の前記現在位置を含む地域内において前記外気温が所定温度未満であり且つ前記エンジンに始動不良が生じている車両数が増加していると判定したときに、前記地域内の前記車両および前記車両のユーザおよび販売店のうちの少なくとも1つに低温下での前記エンジンの始動不良の可能性があることを報知する報知部
を備える始動不良報知システム。
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