図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、エンジン22の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、充電器60と、ナビゲーション装置90と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。このエンジン22は、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気を吸気管125に設けられたスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126から燃料を噴射し、空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブ128aを介して燃焼室129に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。燃焼室129から排気バルブ128bを介して排気管133に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する触媒(三元触媒)134aを有する浄化装置134を介して外気に排出される。
このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。また、吸気バルブ128aを開閉するインテークカムシャフトの回転位置や排気バルブ128bを開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカム角θci,θcoも挙げることができる。さらに、スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットル開度THや、吸気管125に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量Qa、吸気管125に取り付けられた温度センサ149からの吸気温Taも挙げることができる。加えて、排気管133における浄化装置134の上流側に取り付けられた空燃比センサ135aからの空燃比AFや、浄化装置134の下流側に取り付けられた酸素センサ135bからの酸素信号O2も挙げることができる。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動制御信号や、燃料噴射弁126への駆動制御信号、点火プラグ130への駆動制御信号、吸気バルブ128aの開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構150への駆動制御信号を挙げることができる。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。また、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランク角θcrに対する、カムポジションセンサ144からのインテークカムシャフトのカム角θciの角度(θci−θcr)に基づいて、吸気バルブ128aの開閉タイミングVTを演算している。さらに、エンジンECU24は、水温センサ142からの冷却水温Twに基づいて浄化装置134の触媒134aの温度(触媒温度)Tcを推定している。
図1に示すように、プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や角速度ωm1,ωm2,回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、バッテリ50の蓄電割合SOCや消費可能エネルギEbを演算している。バッテリ50の蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合であり、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて演算される。バッテリ50の消費可能エネルギEbは、バッテリ50の蓄電割合SOCと下限蓄電割合SOCminとの差分(SOC−SOCmin)をエネルギに換算したものであり、差分(SOC−SOCmin)と全容量との積として演算される。
充電器60は、電力ライン54に接続されており、電源プラグ61が自宅や充電ステーションなどの充電ポイントでの家庭用電源や工業用電源などの外部電源に接続されているときに、外部電源からの電力を用いてバッテリ50を充電できるように構成されている。
ナビゲーション装置90は、地図情報などが記憶されたハードディスクなどの記憶媒体や入出力ポート、通信ポートを有する制御部が内蔵された本体92と、自車の現在地に関する情報を受信するGPSアンテナ94aと、情報センターなどの車外システムから渋滞情報や規制情報、災害情報などを受信するVICS(登録商標)アンテナ94bと、車両の現在地に関する情報や目的地までの走行予定ルートなどの各種情報を表示すると共に操作者による各種指示を入力可能なタッチパネル式のディスプレイ96と、を備える。ここで、地図情報には、サービス情報(例えば、観光情報や駐車場、充電ステーションなど)や各走行区間(例えば、信号機間や交差点間など)の道路情報などがデータベースとして記憶されている。道路情報には、距離情報や、幅員情報、車線数情報、地域情報(市街地や郊外)、種別情報(一般道路や高速道路、有料道路)、勾配情報、法定速度、信号機の数などが含まれる。ナビゲーション装置90は、操作者により目的地が設定されたときには、地図情報と車両の現在地と目的地とに基づいて車両の現在地から目的地までの走行予定ルートを設定し、設定した走行予定ルートをディスプレイ96に表示してルート案内を行なう。また、ナビゲーション装置90は、目的地までの走行予定ルートを設定すると、走行予定ルートの各走行区間について、勾配情報などに基づいて走行負荷を推定する。この走行負荷は、例えば、路面勾配が登坂路側の勾配として大きいほど大きくなるように推定することができる。ナビゲーション装置90は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70からは、充電器60への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52、ナビゲーション装置90と通信ポートを介して接続されている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、CD(Charge Depleting)モードまたはCS(Charge Sustaining)モードでハイブリッド走行(HV走行)または電動走行(EV走行)を行なう。ここで、HV走行は、エンジン22の運転を伴って走行するモードであり、EV走行は、エンジン22の運転を伴わずに走行するモードである。CDモードは、バッテリ50の蓄電割合SOCを低下させるモードであり、CSモードは、バッテリ50の蓄電割合SOCを制御中心SOC*を含む管理範囲内で維持するモードである。CDモードでは、CSモードに比して、HV走行とEV走行とのうちEV走行がより行なわれやすい。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や充電ステーションなどの充電ポイントでシステムオフ(システム停止)して停車しているときに、電源プラグ61が外部電源に接続されると、外部電源からの電力を用いてバッテリ50が充電されるように充電器60を制御する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、目的地までの走行予定ルートのルート案内を行なっているときの動作について説明する。図3〜図5は、HVECU70により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
図3〜図5の処理ルーチンが実行されると、HVECU70は、ナビゲーション装置90により目的地までの走行予定ルートのルート案内を行なっているか否かを判定し(ステップS100)、走行予定ルートのルート案内を行なっていないと判定したときには、本ルーチンを終了する。この場合、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいてCDモードまたはCSモードで走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する。なお、ナビゲーション装置90による走行予定ルートのルート案内は、運転者により目的地が設定されてその目的地までの走行予定ルートを設定されたときに開始され、その後に、車両が目的地に到着したときや、運転者により目的地が解除されたとき、イグニッションスイッチ80がオフされたときなどに終了される。
ステップS100でナビゲーション装置90により走行予定ルートのルート案内を行なっていると判定したときには、目的地までの走行予定ルートの各走行区間の消費エネルギE[1]〜E[n]を予測し(ステップS110)、予測した各走行区間の消費エネルギE[1]〜E[n]の総和として目的地までの総消費エネルギEsumを予測する(ステップS120)。ここで、値1〜値nは、車両の現在地から目的地までの走行予定ルートの各走行区間を示す番号である。ステップS110の処理では、ナビゲーション装置90から通信により目的地までの走行予定ルートの各走行区間の走行負荷R[1]〜R[n]を入力し、入力した各走行区間の走行負荷R[1]〜R[n]に基づいて各走行区間の消費エネルギE[1]〜E[n]を予測するものとした。具体的には、各走行区間の走行負荷R[1]〜R[n]が大きいほど大きくなる傾向に各走行区間の消費エネルギE[1]〜E[n]を予測するものとした。
続いて、バッテリECU52から通信によりバッテリ50の消費可能エネルギEbを入力し(ステップS130)、目的地までの総消費エネルギEsumをバッテリ50の消費可能エネルギEbと比較する(ステップS140)。ステップS140の処理は、目的地までEV走行だけで走行可能であるか否かを判断する処理である。目的地までの総消費エネルギEsumがバッテリ50の消費可能エネルギEb以下のときには、目的地までEV走行だけで走行可能であると判断し、本ルーチンを終了する。この場合、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により、目的地までCDモードで走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する。
ステップS140で目的地までの総消費エネルギEsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きいときには、目的地までEV走行だけでは走行できないと判断し、目的地までの走行予定ルートの各走行区間にCDモードまたはCSモードを割り当てて目的地までの走行計画を作成する(ステップS150〜S230)。以下、この走行計画の作成について説明する。
最初に、目的地までの走行予定ルートの各走行区間からCD優先区間を設定する(ステップS150)。ここで、CD優先区間は、CDモードを優先的に割り当てる走行区間である。実施例では、ナビゲーション装置90から通信により地図情報や渋滞情報を入力し、地図情報や渋滞情報に基づいて、目的地までの走行予定ルートの各走行区間のうち、消費エネルギが負の値になると予測される走行区間(モータMG2の回生駆動によるバッテリ50の充電が予測される走行区間)や渋滞区間に、CD優先区間を設定するものとした。なお、渋滞情報は、VICS(登録商標)情報に限定されるものではなく、プローブ情報や統計情報、車車間通信情報、クラウド連携情報などを用いるものとしてもよい。
次に、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になるか否かを予測(判定)する(ステップS160,S170)。ここで、「所定期間」は、比較的短い期間として定められ、例えば、現走行区間から次走行区間や次々走行区間までの期間などを意味する。実施例では、エンジン22の前回の運転終了からの経過時間taが所定時間ta1以上であり且つエンジン22の冷却水温Twが所定温度Tw1未満のときには、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になると予測し、エンジン22の前回の運転終了からの経過時間taが所定時間ta1未満のときや、エンジン22の冷却水温Twが所定温度Tw1以上のときには、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要とされないと予測するものとした。
なお、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になると予測(判定)するときとしては、(A)今回のトリップの開始時に触媒134aの温度が暖機が必要になる上限温度(暖機必要温度)以下のときや、(B)今回のトリップで触媒134aの暖機が行なわれて触媒134aの温度が暖機必要温度よりも十分に高くなった後にCDモードの継続により触媒134aの温度が暖機必要温度よりも若干高い温度まで低下したとき(更にCDモードを継続すると所定期間内に触媒134aの温度が暖機必要温度以下に至ると想定されるとき)などを挙げることができる。
ステップS160,S170で触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になると予測(判定)したときには、車両の現在地から所定距離L1内の全走行区間にCS優先区間を設定する(ステップS180)。ここで、CS優先区間は、CDモードを割り当てにくくする走行区間、即ち、CSモードを優先的に割り当てる走行区間である。所定距離L1は、触媒134aの温度が暖機必要温度よりも十分に高くなる走行距離として、一律の距離を用いるものとしてもよいし、各走行区間で想定される車速に基づく距離を用いるものとしてもよい。実施例では、車両の現在地から所定距離L1内の走行区間について、CD優先区間か否かに拘わらずに、CS優先区間を設定するものとした。ステップS160,S170で触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要とされないと予測(判定)したときには、ステップS180の処理を実行しない。
続いて、CD優先区間のうちの1つの走行区間を対象区間に設定し(ステップS190)、設定した対象区間にCDモードを割り当てて(ステップS200)、CDモードを割り当てた走行区間(以下、「CDモード区間」という)の総消費エネルギEcdsumを予測し(ステップS210)、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumをバッテリ50の消費可能エネルギEbと比較する(ステップS220)。ステップS190の処理は、実施例では、CD優先区間のうち未だCDモードを割り当てておらずに且つ走行負荷が最小のものを対象区間に設定するものとした。ステップS210の処理は、ステップS110で予測した目的地までの走行予定ルートの各走行区間の消費エネルギE[1]〜E[n]のうち必要なものを用いて行なうことができる。ステップS220の処理は、CDモード区間をEV走行だけで走行可能であるか否かを判断する処理である。
ステップS220でCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEb以下のときには、CDモード区間をEV走行だけで走行可能であると判断し、全CD優先区間へのCDモードの割り当てを完了したか否かを判定する(ステップS230)。そして、全CD優先区間へのCDモードの割り当てを完了していない(CD優先区間のうち未だCDモードを割り当てていないものがある)と判定したときには、ステップS190に戻る。このようにして、各CD優先区間について、走行負荷(消費エネルギ)の低い順にCDモードを割り当てていくのである。
ステップS230で全CD優先区間へのCDモードの割り当てを完了したと判定したときには、CD優先区間以外且つCS優先区間以外の走行区間(以下、「無優先区間」という)のうちの1つの走行区間を対象区間に設定する(ステップS240)。そして、ステップS200〜S220と同様に、対象区間にCDモードを割り当てて(ステップS250)、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumを予測し(ステップS260)、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumをバッテリ50の消費可能エネルギEbと比較する(ステップS270)。ステップS240の処理は、実施例では、無優先区間のうち未だCDモードを割り当てておらずに且つ走行負荷が最小のものを対象区間に設定するものとした。
ステップS270でCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEb以下のときには、CDモード区間をEV走行だけで走行可能であると判断し、全無優先区間へのCDモードの割り当てを完了したか否かを判定する(ステップS280)。そして、全無優先区間へのCDモードの割り当てを完了していない(無優先区間のうち未だCDモードを割り当てていないものがある)と判定したときには、ステップS240に戻る。このようにして、各無優先区間について、走行負荷(消費エネルギ)の低い順にCDモードを割り当てていくのである。
ステップS280で全無優先区間へのCDモードの割り当てを完了したと判定したときには、CS優先区間のうちの1つの走行区間を対象区間に設定する(ステップS290)。そして、ステップS200〜S220と同様に、対象区間にCDモードを割り当てて(ステップS300)、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumを予測し(ステップS310)、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumをバッテリ50の消費可能エネルギEbと比較する(ステップS320)。ステップS290の処理は、実施例では、CS優先区間のうち未だCDモードを割り当てておらずに且つ走行負荷が最小のものを対象区間に設定するものとした。
ステップS320でCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEb以下のときには、CDモード区間をEV走行だけで走行可能であると判断し、ステップS290に戻る。このようにして、各CS優先区間について、走行負荷(消費エネルギ)の低い順にCDモードを割り当てていくのである。
ステップS220,S270,S320のうちの何れかで、CDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きいときには、ステップS190,S240,S290のうちの何れかで設定した対象区間にCDモードを割り当てるとCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きくなると判断し、その対象区間および残りの走行区間にCSモードを割り当てる(ステップS330)。
いま、ステップS140で目的地までの総消費エネルギEsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きいときを考えている。したがって、全CS優先区間へのCDモードの割り当てを完了する前に、ステップS220,S270,S320のうちの何れかでCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きくなり、ステップS330で対象区間および残りの走行区間にCSモードを割り当てることになる。即ち、少なくとも1つの走行区間について、CSモードを割り当てることになる。
このように、目的地までの走行予定ルートの各走行区間について、CD優先区間の走行負荷(消費エネルギ)の低い順、無優先区間の走行負荷の低い順、CS優先区間の走行負荷の低い順に対象区間を変更しながら各対象区間にCDモードを割り当てていき、対象区間にCDモードを割り当てるとCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きくなると判定したときに、その対象区間および残りの走行区間にCSモードを割り当てて、目的地までの走行計画を作成する。したがって、CD優先区間には、CDモードを割り当てる可能性が高く、CS優先区間には、CSモードを割り当てる可能性が高い。
したがって、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になると予測(判定)するとき、例えば、(A)今回のトリップの開始時に触媒134aの温度が暖機必要温度以下のときや、(B)今回のトリップで触媒134aの暖機が行なわれて触媒134aの温度が暖機必要温度よりも十分に高くなった後にCDモードの継続により触媒134aの温度が暖機必要温度よりも若干高い温度まで低下したときなどに、車両の現在地から所定距離L1内の走行区間にCSモードを割り当てる可能性が高い。
こうして目的地までの走行計画を作成すると、制御時間tcを値0にリセットし(ステップS350)、走行計画に従ってCDモードまたはCSモードで走行するようにエンジン22とモータMG1,MG2とを制御する(ステップS360)。ステップS360の処理は、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40との協調制御により行なわれる。(A)や(B)のときに、車両の現在地から所定距離L1内の走行区間にCSモードを割り当てる可能性が高いから、(B)のときに、触媒134aの温度が暖機必要温度以下に至る前にCSモードに移行することができ、エンジン22を運転する際にエミッションが悪化するのを抑制することができる。
続いて、制御時間tcにステップS360の処理に要する時間Δtを加えて制御時間tcを更新し(ステップS370)、制御時間tcを所定時間tc1と比較すると共に(ステップS380)、先読み情報が更新されたか否かを判定する(ステップS390)。ここで、ステップS380,S390の処理は、目的地までの走行計画を更新するか否かを判断する処理である。所定時間tc1は、目的地までの走行計画の更新時間として定められ、例えば、数十秒〜数分程度を用いることができる。また、先読み情報は、車両の現在地から所定距離L2(例えば、数km〜十数km程度)だけ目的地側の地点までの渋滞情報などであり、実施例では、数十秒〜数分程度の間隔で更新されるものとした。
ステップS380で制御時間tcが所定時間tc1未満で且つステップS390で先読み情報が更新されていないと判定したときには、目的地までの走行計画を更新しないと判断し、ステップS360に戻る。一方、ステップS380で制御時間tcが所定時間tc1以上のときや、ステップS390で先読み情報が更新されたと判定したときには、目的地までの走行計画を更新すると判断し、本ルーチンを終了する。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、目的地までの走行計画を作成する際に、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になると予測されるときには、車両の現在地から所定距離L1内の全走行区間にCS優先区間を設定することにより、CSモードを優先的に割り当てる(CDモードを割り当てにくくする)。これにより、触媒134aが冷える(触媒134aの暖機が必要になる)前にCSモードに移行することができるから、エンジン22を運転する際にエミッションが悪化するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、目的地までの走行計画を作成する際には、目的地までの走行予定ルートの各走行区間について、CD優先区間の走行負荷(消費エネルギ)の低い順、無優先区間の走行負荷の低い順、CS優先区間の走行負荷の低い順に対象区間を変更しながら各対象区間にCDモードを割り当てていき、対象区間にCDモードを割り当てるとCDモード区間の総消費エネルギEcdsumがバッテリ50の消費可能エネルギEbよりも大きくなると判定したときに、その対象区間および残りの走行区間にCSモードを割り当てるものとした。しかし、CS優先区間については、強制的にCSモードを割り当てるものとしてもよい。こうすれば、車両の現在地から所定距離L1内の全走行区間にCSモードをより確実に割り当てることができる。これにより、触媒134aが冷える(触媒134aの暖機が必要になる)前にCSモードにより確実に移行することができる。また、CS優先区間については、車両の現在地から遠い順に対象区間に設定していくものとしてもよい。こうすれば、車両の現在地から所定距離L1内の走行区間において、CSモードの走行区間が短くなるのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、目的地までの走行計画を作成する際において、触媒134aの暖機が現在から所定期間内に必要になるか否かを予測(判定)するための条件として、エンジン22の前回の運転終了からの経過時間taが所定時間ta1以上である第1時間条件と、エンジン22の冷却水温Twが所定温度Tw1未満である第2条件と、をAND条件で用いるものとした。しかし、この成立条件として、第1条件と第2条件とをOR条件で用いるものとしてもよいし、第1条件だけを用いるものとしてもよいし、第2条件だけを用いるものとしてもよい。また、この成立条件として、CSモードからCDモードへの前回の移行からの経過時間tbが所定時間tb2以上である第3条件だけを用いるものとしてもよいし、触媒温度Tcが所定温度Tc1未満である第4条件だけを用いるものとしてもよいし、第3条件と第4条件とをAND条件やOR条件で用いるものとしてもよい。さらに、第1条件と第2条件とのうちの少なくとも1つと第3条件と第4条件とのうちの少なくとも1つとをAND条件やOR条件で用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、本体92とGPSアンテナ94aとVICS(登録商標)アンテナ94bとディスプレイ96とを有するナビゲーション装置90を備えるものとした。しかし、ナビゲーション装置90を備えるのに代えてまたは加えて、車載通信機を備え、車載通信機を介してHVECU70と情報センターなどの車外システムとの間で通信を行なうものとしてもよい。ナビゲーション装置90を備えずに車載通信機を備える場合、車載通信機としては、GPSアンテナが内蔵されたものを用いるのが好ましい。また、この場合、GPSアンテナからの自車の現在地や車外システムが有する地図情報などに基づいてHVECU70または車外システムにより走行予定ルートを設定し、この走行予定ルートを車載のディスプレイに表示するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、蓄電可能な装置であればよく、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にモータMG2を接続すると共に駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続し、モータMG1,MG2に電力ライン54を介してバッテリ50を接続する構成とした。しかし、駆動輪に連結された駆動軸に変速機を介してモータを接続すると共にモータにクラッチを介してエンジンを接続し、モータに電力ラインを介してバッテリを接続する構成としてもよい。また、駆動輪に連結された駆動軸にモータを接続すると共にエンジンに発電機を接続し、モータと発電機とに電力ラインを介してバッテリを接続する構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG2が「モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、ナビゲーション装置90が「ナビゲーション装置」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。