JP2021194869A - 積層体 - Google Patents

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裕幸 安部
Hiroyuki Abe
勝仁 高橋
Katsuhito Takahashi
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Abstract

【課題】ヘルムホルツの原理による吸音性能を維持しながら、隣接する空間への音伝搬を低減する遮音性能が優れる積層体を提供する。【解決手段】積層体Aは、厚さ方向に貫通している複数の貫通孔10を有する有孔板1と、有孔板1の一面1aの一部に積層され、被着体に接合可能な接合部2とを備える。実施形態に係る積層体Aにおいて、有孔板1の厚みは、0.05mm以上であり、接合部2の積層方向(Z軸方向)に投影した総面積は、有孔板1の総面積の20〜90%であり、貫通孔10として、有孔板1の接合部2が設けられた一面1aにおける接合部2が積層されていない非接合部20の少なくとも一部と連通し、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける連通する非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとが異なるものを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、防音性に優れる積層体に関する。
ビル及び住宅等の建築物は、屋外や隣接する部屋からの騒音の進入を抑制し、居住空間の快適性を向上させるために、防音性の向上が図られている。
建築物の居住空間においては、上階において生じた振動が階下の部屋に伝達し、この伝達した振動によって生じる振動音が原因となって騒音が生じることから、建築物を構成している床材及び壁材などの構造部材の振動を抑制することも要求されている。
このような要求に対応するために、防音材としてヘルムホルツの原理を利用した有孔板が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
https://www.c-asahi.co.jp/publics/index/18/
しかしながら、防音材としての有孔板は、音を発生する側の空間の騒音をヘルムホルツの原理に従って吸音し、小さくすることができるが、音を発生する側の空間に隣接する側の空間においては、有孔板の背面にある無孔板を透過して、騒音が伝搬する。このような伝搬する騒音を防ぐためには、質量則に従って、無孔板の質量を重くする必要がある。無孔板を重くすると、例えば、地震発生時、壁、天井が落下することで人命を確保することが困難となる。また、重くすると支持部材等の強度設計、施工上の手間がかかる問題がある。
そこで、本発明は、ヘルムホルツの原理による吸音性能を維持しながら、隣接する空間への音伝搬を低減する遮音性能が優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]厚さ方向に貫通している複数の貫通孔を有する有孔板と、前記有孔板の一面の一部に積層され、被着体に接合可能な接合部とを備え、前記有孔板の厚みは、0.05mm以上であり、前記接合部の積層方向に投影した総面積は、前記有孔板の総面積の20〜90%であり、前記貫通孔として、前記有孔板の前記接合部が設けられた一面における前記接合部が積層されていない非接合部の少なくとも一部と連通し、前記有孔板の一面における前記貫通孔の積層方向に投影した断面積と前記有孔板の一面における連通する前記非接合部の積層方向に投影した断面積とが異なるものを含む、積層体。
[2]前記有孔板の前記貫通孔による開口率は、1〜80%である、[1]に記載の積層体。
[3]前記有孔板は、金属、繊維強化プラスチック、石膏ボード、合成樹脂及び合板からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記接合部による前記貫通孔の閉塞率は、90%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記接合部の厚みは、0.05mm〜20mmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記接合部は、両面粘着性及び両面接着性のいずれかの性能を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記接合部は、接着剤、粘着剤及び両面粘着テープの群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]前記接合部によって接合される被着体を備え、前記接合部の積層方向に投影した総面積は、前記有孔板と前記被着体とが積層方向で重複する重複面積の20〜80%であり、前記有孔板と前記被着体との間には、前記接合部が介在することにより空気層が形成されている、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、ヘルムホルツの原理による吸音性能を維持しながら、隣接する空間への音伝搬を低減する遮音性能が優れる積層体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る積層体Aを示す断面図である。 図2(a)は、本発明の実施形態に係る積層体に用いる有孔板を示す模式的平面図であり、図2(b)は、有孔板の貫通孔の形態を示す模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る積層体の有孔板の一面における貫通孔の積層方向に投影した断面積と非接合部の積層方向に投影した断面積との関係を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態に係る積層体Bを示す断面図である。
以下に図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本発明の実施形態に係る積層体Aは、図1に示すように、厚さ方向に貫通している複数の貫通孔10を有する有孔板1と、有孔板1の一面1aの一部に積層され、被着体に接合可能な接合部2とを備える。実施形態に係る積層体Aにおいて、有孔板1の厚みは、0.05mm以上であり、接合部2の積層方向(Z軸方向)に投影した総面積は、有孔板1の総面積の20〜90%であり、貫通孔10として、有孔板1の接合部2が設けられた一面1aにおける接合部2が積層されていない非接合部20の少なくとも一部と連通し、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける連通する非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとが異なるものを含む。
<有孔板>
有孔板1は、積層体Aの基礎となる本体部を構成する。有孔板1は、接合部2を介して被着体に設置することで、ヘルムホルツの原理に従って騒音を発生する側の空間の音を吸音し、騒音を小さくすることができる。
有孔板1は、図2(a)に示すように、厚さ方向に貫通している複数の貫通孔10を有する。貫通孔10の形状は、丸孔、角孔及び長孔等のいずれであってもよい。
貫通孔10は、規則的に配置されていてもよく、不規則的に配置されていてもよいが、防音特性を均等に発揮可能とすることから、図2(b)に示すように、規則的に配置されていることが好ましい。
貫通孔10における最大径Dは、0.1〜60mmであることが好ましく、0.3~50mmであることがより好ましく、1〜15mmであることがさらに好ましい。貫通孔10における最大径Dが上記範囲内であることで、ヘルムホルツの原理に従って効率よく騒音を吸収することができる。なお、貫通孔10における最大径Dとは、各貫通孔10における最大となる径をいう。
貫通孔10のピッチPは、1〜100mmであることが好ましく、2〜75mmであることがより好ましく、4〜50mmであることがさらに好ましい。貫通孔10のピッチPが上記範囲内であることで、ヘルムホルツの原理に従って効率よく騒音を吸収することができる。なお、貫通孔10のピッチPとは、隣接する貫通孔10の中心間距離をいう。
有孔板1の厚みは、0.05mm以上である。有孔板1の厚みが0.05mm未満であると、所望の防音特性及び機械的強度を得ることができない。有孔板1の厚みは、所望の防音特性及び機械的強度を得る観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.25mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましい。また、有孔板1の厚みは、軽量化の観点から、100mm以下であることが好ましく、75mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることがさらに好ましい。
有孔板1の貫通孔10による開口率は、1〜80%であることが好ましく、1.5〜75%であることがより好ましく、2〜70%であることがさらに好ましい。有孔板1の貫通孔10による開口率が上記範囲内であることで、ヘルムホルツの原理に従って効率よく騒音を吸収することができる。
なお、有孔板1の貫通孔10による開口率は、複数の貫通孔10の総面積を有孔板1の総面積で除して、100を乗じることで得ることができる。
有孔板1としては、積層体Aに防音性及び制振性を付与することができれば、特に限定されず、例えば、金属、繊維強化プラスチック、石膏ボード、合成樹脂及び合板等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
金属としては、例えば、鉄及びアルミニウム等が挙げられる。
合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
<接合部>
接合部2は、有孔板1の一面1aの一部に積層され、被着体に接合可能な部材である。図1に示すように、有孔板1の一面1aにおける接合部2が積層されていない箇所は非接合部20となる。非接合部20の少なくとも一部は、図1に示すように、貫通孔10と連通し、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける連通する非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとが異なる。積層体Aを通過する音及び振動は、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとが異なることによって、一種の抵抗として働くことでエネルギーが消費され、ヘルムホルツの原理による音の減衰に加え、音及び振動をさらに減衰することができる。
接続部2が貫通孔10を閉塞することで、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとの関係は変化する。具体的には、図3(a)に示すように、接続部2が貫通孔10を完全に閉塞しない場合、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rが有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rより小さくなる。また、図3(b)に示すように、接続部2が貫通孔10を部分的に閉塞する場合、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rが有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rより大きくなる。また、図3(c)に示すように、接続部2が貫通孔10を完全に閉塞する場合、貫通孔10が非接合部20と連通することがないため、有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rは存在しないとみなす。また、図3(d)に示すように、接続部2が貫通孔10を閉塞しない場合であって、貫通孔10と非接合部20の形状が一致する場合、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rが有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rと同じとなる。本発明においては、ヘルムホルツの原理による音の減衰を得るために、有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとが異なることを要するので、図3(a),(b)で示した有孔板1の一面1aにおける貫通孔10の積層方向に投影した断面積rと有孔板1の一面1aにおける非接合部20の積層方向に投影した断面積Rとの関係となるものを含む。
接合部2は、有孔板1の一面1a上において、例えば、碁盤目状などのように規則的に存在していてもよいし、不規則に存在していてもよいが、規則的に存在していることが好ましい。接合部2が規則的に存在していることによって、有孔板1の一面1aにおいて非接合部20が規則的に形成され、貫通孔10との連通を確保しやすくすることができる。
接続部2の有孔板1の一面1aにおける積層箇所は、有孔板1の貫通孔10を完全に被覆させなければ限定されるものではない。接続部2の有孔板1の一面1aにおける接合部2による貫通孔10の閉塞率(以下、「閉塞率」と称す)は、90%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。閉塞率が上記上限値以下であることで、ヘルムホルツの原理に従って効率よく騒音を吸収することができる。
なお、閉塞率は、積層方向において貫通孔10と接合部2とが重複する割合であり、貫通孔10が接続部2と重複する面積を複数の貫通孔10の総面積で除して、100を乗じることで得ることができる。
接合部2の厚みは、接合性を確保し、かつ積層体の防音性向上に寄与する観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましく、0.15mm以上であることがさらに好ましい。また、接合部2の厚みは、積層体の軽量化の観点から、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。ここで、本明細書において、「接合部2の厚み」とは、積層体Aの積層方向において、接合部2の両端間の距離をいう。
接合部2は、樹脂及び金属等の非粘着性材料からなるセパレータ部材(図示せず)を含んでいてもよい。セパレータ部材は、有孔板1と被着体と接する両面側に両面粘着性及び両面接着性のいずれかの性能を有するものが配置される。接合部2に所定の厚みを有するセパレータ部材を含ませることで、接合部2の厚みを、上記した所望の範囲に制御することが容易となり、特に厚みが大きいときに有用である。
接合部2は、両面粘着性及び両面接着性のいずれかの性能を有するものであればよい。接合部2として、両面粘着性及び両面接着性を有するものとしては、例えば、接着剤、粘着剤及び両面粘着テープの群から選ばれる少なくとも1種であるとよい。
接合部2として接着剤を使用する場合、有孔板1に接着剤を公知の手段にて塗工すればよい。なお、上述のセパレータ部材を使用する場合は、有孔板1と被着体と接するセパレータ部材の両面に接着剤を塗工すればよい。
接着剤としては、有孔板1と被着体とを接合させることが可能な接着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤及びホットメルト接着剤等が挙げられる。
接合部2が接着剤により構成される場合、硬化後のショアーA硬度が80以下であることが好ましく、75以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましい。接合部2の硬化後のショアーA硬度が上記上限値以下であることで、接合部2を通過する音波のエネルギーを減衰させることができ、かつ、適度な柔軟性を有し、制振性を発現することができる。
接合部2として粘着剤を使用する場合、有孔板1と被着体とを、接合部2を介して接触させ、かつ押圧するだけで有孔板1と被着体とを接合させることができる。接合部2を構成する粘着剤は、水、溶剤及び熱等を使用せずに、常温で短時間、僅かな圧力を加えるだけで接着する感圧系接着剤である。
粘着剤としては、有孔板1と被着体とを接合させることが可能な粘着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
接合部2として粘着剤を使用する場合、有孔板1に粘着剤を公知の手段にて塗工すればよい。なお、上述のセパレータ部材を使用する場合は、有孔板1と被着体と接するセパレータ部材の両面に粘着剤を塗工すればよい。
接合部2として両面粘着テープを使用する場合、両面粘着テープは、基材と基材の両面に設けられる粘着剤層とを備える。粘着剤層は、上記した粘着剤により構成される層である。
両面粘着テープの基材としては、両面粘着テープの基材として使用される公知のものを使用することができ、例えば、樹脂、不織布及び発泡シート等の非粘着性基材が挙げられる。
接合部2が両面粘着テープの場合、一方の粘着剤層を有孔板1に接着し、他方の粘着剤層表面を被着体に接着すればよい。なお、上述のセパレータ部材を使用する場合は、有孔板1と被着体と接するセパレータ部材の両面に両面粘着テープを設ければよい。
<被着体>
積層体Bは、図4に示すように、接合部2によって接合される被着体3を備えることで、有孔板1と被着体3との間には、接合部2が介在することにより空気層4が形成されている。
積層体Bが空気層4を備えることによって、空気層4と貫通孔10との組み合わせによりヘルムホルツ共鳴器としての役割を担うこととなり、ヘルムホルツの原理による吸音性能を発揮することができる。また、積層体Bが空気層4を備えることによって、優れた防音性及び制振性を発現し、積層体Bの軽量化にも寄与する。
被着体3としては、無孔板及び防音対象物等が挙げられる。
無孔板としては、貫通孔が存在しない板材であれば特に限定されず、例えば、金属、繊維強化プラスチック、石膏ボード、合成樹脂及び合板等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。無孔板は、上述した有孔板1と同じ材質であってよく、異なる材質であってもよい。
防音対象物としては、特に限定されず、例えば、自動車、鉄道、船舶及び航空機などの輸送機器の構成部材、建築物の構成部材(例えば、外壁部材、内装部材、天井部材など)、産業機械などの産業機器の構成部材、コンピューターなどのOA機器の構成部材、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品の構成部材などが挙げられる。
接合部2の積層方向(Z軸方向)に投影した総面積は、有孔板1と被着体3とが積層方向で重複する重複面積の20〜80%であることが好ましく、25〜70%であることがより好ましく、30〜60%であることがさらに好ましい。ここで、本明細書において、「接合部2の積層方向に投影した総面積」とは、積層体Bの積層方向から見た時の複数の接合部2を投影した総面積をいう。また、「有孔板1と被着体3とが積層方向で重複する重複面積」とは、積層体Bの積層方向から見た時の有孔板1と被着体3とが重複している部分の面積をいう。接合部2の積層方向に投影した総面積が、上記下限値以上であることで、有孔板1と被着体3との接合が十分となり、接合を維持することが容易となり、制振性も優れる。また、接合部2の積層方向に投影した総面積が、上記上限値以下であることで、積層体Bに進入した振動エネルギーは、空気層4によって吸収又は減衰することができ、積層体Bは優れた防音性を発現することができる。
<製造方法>
積層体Aの製造方法を説明する。積層体Aの製造方法は、特に限定されず、例えば、下記の製造方法が挙げられる。
(1)有孔板1の一面1a上に両面粘着テープを所定厚みで部分的に貼り付け、接合部2を形成することで積層体Aを製造する。両面粘着テープは、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。
(2)有孔板1の一面1a上に粘着剤又は接着剤を所定厚みで部分的に塗工し、接合部2を形成することで積層体Aを製造する。粘着剤又は接着剤は、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。
(3)有孔板1の一面1a上に、有孔板1及び被着体と接する両面側に粘着材又は接着材を設けたセパレータ部材を部分的に配置し、セパレータ部材である接合部2を配置することで積層体Aを製造する。セパレータ部材である接合部2は、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。
積層体Bの製造方法を説明する。積層体Bの製造方法は、特に限定されず、例えば、下記の製造方法が挙げられる。
(1)有孔板1の一面1a上に両面粘着テープを所定厚みで部分的に貼り付け、接合部2を形成する。両面粘着テープは、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。そして、有孔板1上に設けられた両面粘着テープからなる接合部2を被着体3に対向して配置した後、押圧することで、有孔板1上に、両面粘着テープである接合部2を介して被着体3を積層一体化させた積層体Bを製造する。
(2)有孔板1の一面1a上に粘着剤又は接着剤を所定厚みで部分的に塗工し、接合部2を形成することで積層体Aを製造する。粘着剤又は接着剤は、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。そして、有孔板1上に設けられた粘着剤又は接着剤からなる接合部2を被着体3に対向して配置した後、粘着剤を養生又は接着剤を固化させることによって、有孔板1上に、粘着剤又は接着剤である接合部2を介して被着体3を積層一体化させた積層体Bを製造する。
(3)有孔板1の一面1a上に、有孔板1及び被着体と接する両面側に粘着材又は接着材を設けたセパレータ部材を部分的に配置し、セパレータ部材である接合部2を配置することで積層体Aを製造する。セパレータ部材である接合部2は、貫通孔10の一部を閉塞させてもよいが、貫通孔10を完全に閉塞させないように貼り付ける。そして、有孔板1に配置されたセパレータ部材である接合部2を被着体3に対向して配置した後、粘着剤を養生又は接着剤を固化させることによって、有孔板1上に、粘着剤又は接着剤を有したセパレータ部材である接合部2を介して被着体3を積層一体化させた積層体Bを製造する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ABS樹脂からなる板材(900mm×900mm、厚み:15mm、森野化工株式会社製)を用意した。用意した板材にドリルで厚み方向に直径5mmの貫通孔10を25mmピッチで並列に開けて開口率3%の有孔板1を作製した。
両面テープ(厚み:0.12mm、570E、積水化学工業社製)を用意し、有孔板1の一面1aに両面テープを碁盤目状に規則的に且つ均一に貼り付けて接合部2を形成した。接合部2は、有孔板1の貫通孔10を全く閉塞しないようにして配置した(閉塞率0%)。
なお、接合部2の総面積は、有孔板1と被着体3との重複面積が33%となるように形成した。
しかる後、有孔板1の一面1a上に接合部2を介して被着体3としての無孔板(アルミニウム板、厚み:2mm)を積層し、積層体を作製した。
(比較例1)
接合部2の総面積を、有孔板1と被着体3との重複面積が100%となるように形成した以外は、実施例1と同様の要領で積層体を得た。
(比較例2)
被着体3としての無孔板(アルミニウムシート、厚み:4mm)を用いた以外は、実施例1と同様の要領で積層体を得た。
得られた積層体の音響透過損失を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
(音響透過損失)
積層体の音響透過損失をJIS A1441−2007に準拠して測定した。具体的には、残響室と無響室とを仕切る壁部に、残響室と無響室とを連通させる開口部を形成し、この開口部に積層体を取り付けた。残響室側より高周波数(1〜4kHz帯)の音を発生させ、残響室の平均音圧レベルと無響室の音響パワーレベルを測定し、音響透過損失を算出した。音響透過損失(dB)を表1に示した。音響透過損失が高い程、防音性に優れている。
Figure 2021194869
積層体は、ヘルムホルツの原理による吸音性能を維持しながら、隣接する空間への音伝搬を低減する遮音性能が優れ、軽量性にも優れている。従って、積層体は、輸送機器、建築物、産業機器、OA機器及び家電製品などの施工部材に好適に適用することができる。
1:第1面材
2:接合部
3:被着体
4:空気層
A,B:積層体

Claims (8)

  1. 厚さ方向に貫通している複数の貫通孔を有する有孔板と、
    前記有孔板の一面の一部に積層され、被着体に接合可能な接合部とを備え、
    前記有孔板の厚みは、0.05mm以上であり、
    前記接合部の積層方向に投影した総面積は、前記有孔板の総面積の20〜90%であり、
    前記貫通孔として、前記有孔板の前記接合部が設けられた一面における前記接合部が積層されていない非接合部の少なくとも一部と連通し、前記有孔板の一面における前記貫通孔の積層方向に投影した断面積と前記有孔板の一面における連通する前記非接合部の積層方向に投影した断面積とが異なるものを含む、積層体。
  2. 前記有孔板の前記貫通孔による開口率は、1〜80%である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記有孔板は、金属、繊維強化プラスチック、石膏ボード、合成樹脂及び合板からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記接合部による前記貫通孔の閉塞率は、90%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記接合部の厚みは、0.05mm〜20mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記接合部は、両面粘着性及び両面接着性のいずれかの性能を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記接合部は、接着剤、粘着剤及び両面粘着テープの群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記接合部によって接合される被着体を備え、
    前記接合部の積層方向に投影した総面積は、前記有孔板と前記被着体とが積層方向で重複する重複面積の20〜80%であり、
    前記有孔板と前記被着体との間には、前記接合部が介在することにより空気層が形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。

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