JP2021050491A - 天井部材 - Google Patents

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裕幸 安部
Hiroyuki Abe
裕幸 安部
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Abstract

【課題】防音性、特に高周波数での防音性に優れており、かつ、軽量性にも優れた天井部材を提供する。【解決手段】四角形の主面11を有し、主面11の対向する辺12a,12bにおいて主面11の同一面側に向かって側面13a,13bが立設され、一方の側面13aには第1係合部14aが設けられ、他方の側面13bには第1係合部14aと係合可能な形状の第2係合部14bが設けられているスパンドレル10と、主面11及び側面12a,12bによって形成される凹状部15に配置され、主面11に第1接着層21を介して設けられる第1面材22、及び、第1面材22上に第2接着層23を介して設けられる第2面材24を有する積層体20とを備え、主面及び第1面材の重複領域における第1接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下であり、第1面材及び第2面材の重複領域における第2接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、天井部材に関する。
ビル及び住宅等の建築物において、耐震対策の一環として天井部材の軽量化が図られている。天井部材の軽量化の対策手段として、スパンドレル等の軽量天井部材を採用する動きがある。しかし、スパンドレル等の軽量天井部材を採用することで軽量化が図れる反面、防音性能が著しく低下し、上階から階下に伝播する騒音が問題となっている。
上階から階下に伝播する騒音としては、上階において生じた衝撃及び振動等が固体を通じて階下に伝播してもたらす固体伝播音、及び上階において生じた話し声、音楽及び風切り音等が空気を通じて階下に伝播してもたらす空気伝播音がある。また、軽量天井部材としてスパンドレルを採用した場合には、隣接するスパンドレル同士をビス等の固定部材を用いて係合して配置するので、振動が伝播することによって係合部に擦れ音が発生し、当該擦れ音も騒音となる。
上述したような多種の騒音に対しては、それぞれの騒音の種類に応じた防音材を用いた対策を講じる必要がある。例えば、単一材料から形成されている防音材は、特定の周波数においては優れた防音性を発揮するものの、その他の周波数においては防音性が不十分であるという問題点を有する。そこで、複数の材料を用いて形成された防音材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2017−509004号公報
特許文献1にて提案されている防音材を用いることで一定の防音性は得られるものの、更なる防音性を得るために防音材の厚みを厚くすると、天井部材の軽量性が損なわれるという問題が生じる。
また、軽量化を図るために天井部材としてスパンドレルを採用した場合、スパンドレル同士を係合した係合部の擦れ音による騒音は、1kHz〜4kHzと高周波であり、特許文献1にて提案されている防音材では高周波の防音性が不十分である。
そこで、本発明は、防音性、特に高周波数での防音性に優れており、かつ、軽量性にも優れた天井部材を提供することを課題とする。
本発明者が上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、スパンドレルに特定の積層体を備えることで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
本発明は、下記[1]〜[12]を要旨とする。
[1]四角形の主面を有し、前記主面の対向する辺において前記主面の同一面側に向かって側面が立設され、一方の前記側面には第1係合部が設けられ、他方の前記側面には前記第1係合部と係合可能な形状の第2係合部が設けられているスパンドレルと、前記主面及び前記側面によって形成される凹状部に配置され、前記主面に第1接着層を介して設けられる第1面材、及び、前記第1面材上に第2接着層を介して設けられる第2面材を有する積層体とを備え、前記主面及び前記第1面材の重複領域における前記第1接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下であり、前記第1面材及び前記第2面材の重複領域における前記第2接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下である、天井部材。
[2]前記第1接着層の厚みは、0.02mm以上5mm以下である、[1]に記載の天井部材。
[3]前記第2接着層の厚みは、0.02mm以上5mm以下である、[1]又は[2]に記載の天井部材。
[4]前記主面の面積における前記積層体の面積が占める面積率は、10%以上95%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の天井部材。
[5]前記積層体の厚みは、前記側面の高さ以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の天井部材。
[6]前記積層体は、前記側面の少なくともいずれかと接して配置されている、[1]〜[5]のいずれかに記載の天井部材。
[7]前記スパンドレルの材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である、[1]〜[6]のいずれかに記載の天井部材。
[8]前記スパンドレルの前記主面の厚みは、0.2mm以上2mm以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載の天井部材。
[9]前記第1面材は、樹脂発泡体を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の天井部材。
[10]前記第1面材の厚みは、1mm以上30mm以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載の天井部材。
[11]前記第2面材は、金属を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の天井部材。
[12]前記第2面材の厚みは、0.1mm以上2.0mm以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載の天井部材。
本発明によれば、防音性、特に高周波数での防音性に優れており、かつ、軽量性にも優れた天井部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る天井部材の模式的斜視図である。 本発明の実施形態に係る天井部材の模式的断面図である。 本発明の実施形態に係る天井部材を連接した形態を示す模式的断面図である。 スパンドレル主面の面積における積層体の面積が占める面積率を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る天井部材において積層体をスパンドレルの側面のいずれかと接して配置することを示す模式的断面図である。 本発明の実施形態に係る天井部材において積層体をスパンドレルの主面の長手方向に連続して配置することを示す模式的平面図である。 その他の実施形態に係る天井部材の積層体を示す模式的断面図(その1)である。 その他の実施形態に係る天井部材の積層体を示す模式的断面図(その2)である。
以下に図面を参照して、本発明実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分は同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(実施形態)
[天井部材]
本発明の実施形態に係る天井部材1は、図1に示すように、スパンドレル10と、積層体20とを備える。
<スパンドレル>
スパンドレル10は、図1及び図2に示すように、四角形の主面11を有し、主面11の対向する辺12a,12bにおいて主面11の同一面側に向かって側面13a,13bが立設され、一方の側面13aには第1係合部14aが設けられ、他方の側面13bには第1係合部14aと係合可能な形状の第2係合部14bが設けられている。
スパンドレル10は、建築物の天井の装飾材として使用することが可能な構造を有する部材である。スパンドレル10は、第1係合部14a及び第2係合部14bを有し、図3に示すように、隣接するスパンドレル10同士の第1係合部14aと第2係合部14bとをビス等の固定部材30を用いて係合させ、隣接するスパンドレル10同士を連接した状態で建築物の天井の野縁40に配置される。
スパンドレル10の主面11の厚みは、防音性を向上させる観点、並びに、機械的強度、耐久性及び生産性を向上させる観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.5mmであることがさらに好ましい。また、スパンドレル10の主面11の厚みは、軽量化の観点から、2.0mmであることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。
スパンドレル10の材料は、特に限定はなく、成形容易性、軽量化及び防音性の観点から、金属材料であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金であることがより好ましい。
<積層体>
積層体20は、図1及び図2に示すように、第1接着層21と、第1接着層21上に設けられた第1面材22と、第1面材22上に設けられた第2接着層23と、第2接着層23上に設けられた第2面材24とを備える。積層体20は、スパンドレル10の主面11及び側面13a,13bによって形成される凹状部15に配置され、主面11に第1接着層21を介して設けられる第1面材22、及び、第1面材22上に第2接着層23を介して設けられる第2面材24を有することを特徴とする。
積層体20は、スパンドレル10の主面11及び側面13a,13bによって形成される凹状部15に配置されることによって、主面11と第1面材22との間に第1空気層25を備える。また、積層体20は、第1面材22と第2面材24との間に第2空気層26を備える。
積層体20の厚みT1は、側面13a,13bの高さH1以下であることが好ましい。積層体20の厚みT1が側面13a,13bの高さH1以下であることによって、積層体20を凹状部15内に収容することができ、天井部材1を建築物の天井の野縁40に配置する等の作業が容易となり、天井部材1を取り扱う作業性が向上する。
主面11の面積における積層体20の面積が占める面積率は、防音性を向上させる観点から、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。また、主面11の面積における積層体20の面積が占める面積率は、軽量化及びコスト低減の観点から、95%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましい。
なお、図4(a)に示すように、1つの積層体20が主面11に配置される場合、主面11の面積Rにおける積層体20の面積R1が占める面積率Rrは、Rr(%)=R1/R×100で算出される。図4(b)に示すように、複数の積層体20が主面11に配置される場合、主面11の面積Rにおける積層体20の面積R1,R2,・・・,Rn(図4(b)ではn=6)が占める面積率は、Rr(%)=(R1+R2+・・・+Rn)/R×100で算出される。
積層体20は、図5に示すように、側面13a,13bの少なくともいずれかと接して配置されていることが好ましい。側面13a,13bの近傍は、隣接するスパンドレル10同士を係合している係合部で生じる振動の振幅が大きくなる箇所であり、積層体20を側面13a,13bの少なくともいずれかと接して配置することで、振動による擦れ音を効率よく吸音することができ、1kHz〜4kHz程度の高周波数に対する防音性を向上させることができる。
積層体20は、スパンドレル10の主面11の長手方向(Y軸方向)に連続して配置されてもよく、非連続に配置されてもよい。実際の天井施工現場で、スパンドレルを切断して取り付けることがあるので、非連続部位だけの状態になる恐れがあり、その観点から積層体20が連続に配置されていることが望ましい。
なお、図6(a)に示すように、積層体20が主面11の長手方向に伸びる形状であって、スパンドレル10の主面11の長手方向に単体で亘る長さを有する場合、積層体20を長手方向に連接して配置する必要はない。図6(b)に示すように、主面11の長手方向に複数の積層体20を連続して配置できる場合は、積層体20同士を主面11の長手方向に連接して配置することが好ましい。
《第1面材》
第1面材22は、固体を通じて伝播してもたらす衝撃及び振動等の固体伝播音を吸収又は減衰させ、空気を通じて伝播してもたらす話し声、音楽及び風切り音等の空気伝播音を吸収し、防音性を発揮する。
第1面材22を構成する材料としては、積層体20に防音性及び制振性を付与することができれば、特に限定されず、例えば、樹脂発泡体及びゴムなどが挙げられる。第1面材22を構成する材料としては、防音性及び制振性に優れており、断熱性も有する観点から、樹脂発泡体を含むことが好ましい。
樹脂発泡体は、独立気泡及び連続気泡発泡のいずれであってもよいが、独立気泡であることが好ましい。
樹脂発泡体の発泡倍率は、2〜100倍であることが好ましく、3〜50倍であることがより好ましく、5〜30倍であることがさらに好ましい。樹脂発泡体の発泡倍率が、上記範囲内であると、樹脂発泡体が適度に発泡されることで柔軟性が良好となり、防音性及び制振性等が良好になりやすくなる。
なお、本発明における発泡倍率は、JIS K7222:2005に準拠して測定した樹脂発泡体の密度の逆数を指す。
樹脂発泡体を構成している樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、中でもポリプロピレン系樹脂がより好ましい。なお、樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ホモプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体の何れであってもよい。プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられる。
ポリウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。
ゴムとしては、特に限定されず、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム及び熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
第1面材22の一面又は両面には、布部材(図示せず)が積層一体化されていてもよい。第1面材22と第1接着層21及び/又は第2接着層23との密着が良好でない場合であっても、第1面材22に布部材が積層一体化されていることで、第1面材22と第1接着層21及び/又は第2接着層23との密着を強めることができる。第1面材22と第1接着層21及び/又は第2接着層23との密着を強めることで、第1面材22と第1接着層21及び/又は第2接着層23との剥がれを防止し、良好な防音性能を発現させることができる。布部材としては、特に限定されず、例えば、不織布、織布及び編布等が挙げられ、中でも、不織布が好ましい。
第1面材22の厚みは、積層体20の厚みT1が側面13a,13bの高さH1以下となる範囲であれば特に限定はなく、1mm以上30mm以下であることが好ましく、2mm以上20mm以下であることがより好ましく、3mm以上10mm以下であることがさらに好ましい。第1面材22の厚みが上記範囲内であることで、優れた防音性及び制振性を発現することができる。
《第1接着層》
第1接着層21は、主面11及び第1面材22の面方向(X軸方向及びY軸方向)において、主面11と第1面材22との間に部分的に配置されている。主面11と第1面材22とは、第1接着層21を介して部分的に接続されていることで、第1面材22が主面11によって全面的に拘束されることがない。したがって、第1面材22の変形自由度が保持され、積層体20に進入した振動エネルギーは、第1面材22が変形することによって円滑に吸収又は減衰することができ、積層体20は優れた防音性及び制振性を発現する。また、主面11と第1面材22とは全面的に接続されることなく、部分的に接続されていることから、積層体20は、マス・バネ系の共振周波数よりも高い周波数を有する音波や振動エネルギーを効果的に吸収し又は減衰させることができ、優れた防音性及び制振性を有している。
本発明の実施形態に係る天井部材1は、図2に示すように、主面11及び第1面材22の重複領域R11における第1接着層21の占める領域r11,r12の面積率は、5%以上95%以下である。主面11及び第1面材22の重複領域R11における第1接着層21の占める領域r11,r12の面積率が5%未満であると、主面11と第1面材22との接着力が不十分となり、主面11と第1面材22との接着を維持できなくなる。また、95%超であると、第1面材22の変形自由度が低減し、積層体20に進入した振動エネルギーを第1面材22が変形することによって円滑に吸収又は減衰することができなくなると共に、第1面材22において音波を効果的に反射することができなくなることで、積層体20が優れた防音性及び制振性を発現することができなくなる。また、95%超であると、第1面材22を主面11に取り付ける際、第1接着層21が阻害して、適切な位置に取付けが困難になる。主面11及び第1面材22の重複領域R11における第1接着層21の占める領域r11,r12の面積率は、上記観点から、10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上80%以下であることがより好ましく、25%以上70%以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、「主面11及び第1面材22の重複領域R11」とは、積層体20の積層方向(Z軸方向)からみた時の主面11と第1面材22とが重複している部分の領域をいう。
第1接着層21が主面11と第1面材22との間に部分的に配置されていることで、主面11と第1面材22との間の残部には第1空気層25が形成されている。積層体20が第1空気層25を備えることによって、優れた防音性及び制振性を発現し、積層体20の軽量化にも寄与する。
また、積層体20が第1空気層25を備えることによって、第1空気層25と第1面材22との界面にて音響インピーダンスの差を生じさせ、空気中を伝播して積層体20に侵入した空気伝播音である音波は、第1面材22にて反射され、積層体20は優れた防音性を発現する。
第1接着層21は、主面11及び第1面材22の対向面間に配置される形状としては、均一に配置されていてもよく、不均一に配置されていてもよいが、均一に存在していることが好ましい。また、第1接着層21は、主面11及び第1面材22の対向面間に配置される形状としては、例えば、碁盤目状などのように規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよいが、規則的に配置されていることが好ましい。第1接着層21が均一及び/又は規則的に配置されていることによって、主面11と第1面材22との対向面間に均一及び/又は規則的な第1空気層25が形成され、積層体20にあらゆる方向から進入する音波及び振動エネルギーを確実に吸収し又は減衰させることができ、積層体20は優れた防音性及び制振性を発現する。
第1接着層21は、積層体20の積層方向(Z軸方向)において、主面11と第1面材22との間に設けられており、主面11と第1面材22とを接着する。
第1接着層21の厚みt1は、0.02mm以上5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上4mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。第1接着層21の厚みt1は、第1空気層25の厚みと同義であり、第1接着層21の厚みt1が上記範囲内であることで、積層体20の防音性及び制振性が向上する。
第1接着層21の厚みt1は、主面11と第1面材22との接着性向上の観点から、同一面に配置されている第1接着層21においては略同一であることが好ましい。
本明細書において、「第1接着層21の厚みt1」とは、積層体20の積層方向(Z軸方向)において、第1接着層21の両端間の距離をいう。
第1接着層21は、樹脂及び金属等の接着剤以外の材料からなるセパレータ部材(図示せず)を含んでいてもよい。第1接着層21に所定の厚みを有するセパレータ部材を含ませることで、第1接着層21の厚みt1を制御することが容易となり、特に厚みt1が大きいときに有用である。
第1接着層21を構成する接着剤としては、主面11と第1面材22とを接着することができれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤及びホットメルト接着剤等が挙げられる。
第1接着層21は、接着剤を主面11上に塗工することで形成してもよく、基材の両面に接着剤を設けた両面テープを主面11上に配置することで形成してもよい。
《第2面材》
第2面材24は、固体を通じて伝播してもたらす衝撃及び振動等の固体伝播音を吸収又は減衰させ、空気を通じて伝播してもたらす話し声、音楽及び風切り音等の空気伝播音を吸収し、防音性を発揮する。
第2面材24を構成する材料としては、積層体20に防音性及び制振性を付与することができれば、特に限定されず、例えば、金属、繊維強化プラスチック、石膏及び樹脂等が挙げられる。
積層体20は、優れた制振性を発現するために、芯材となる第1面材22の両側の主面22及び第2面材24に剛性の大きい部材を配置する構成の拘束型制振材であることが好ましい。また、積層体20は、不燃材であることが望ましい。積層体20に防音性、制振性及び不燃性を付与する観点から、第2面材を構成する材料としては、金属、繊維強化プラスチック及び石膏を含むことが好ましく、アルミニウム及びアルミニウム合金、鉄(メッキ品含む)、ステンレス等の金属を含む金属シートであることがより好ましい。
第2面材24の厚みは、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上1.5mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上1.0mm以下であることがさらに好ましい。第2面材24の厚みが上記範囲内であることで、優れた防音性及び制振性を発現することができ、積層体20に防音性及び制振性を付与することができる。
《第2接着層》
第2接着層23は、第1面材22及び第2面材24の面方向(X軸方向及びY軸方向)において、第1面材22と第2面材24との間に部分的に配置されている。第1面材22と第2面材24とは、第2接着層23を介して部分的に接続されていることで、第1面材22が第2面材24によって全面的に拘束されることがない。したがって、第1面材22の変形自由度が保持され、積層体20に進入した振動エネルギーは、第1面材22が変形することによって円滑に吸収又は減衰することができ、積層体20は優れた防音性及び制振性を発現する。また、第1面材22と第2面材24とは全面的に接続されることなく、部分的に接続されていることから、積層体20は、マス・バネ系の共振周波数よりも高い周波数を有する音波や振動エネルギーを効果的に吸収し又は減衰させることができ、優れた防音性及び制振性を有している。
本発明の実施形態に係る天井部材1は、図2に示すように、第1面材22及び第2面材24の重複領域R12における第2接着層23の占める領域r21,r22の面積率は、5%以上95%以下である。第1面材22及び第2面材24の重複領域R12における第2接着層23の占める領域r21,r22の面積率が5%未満であると、第1面材22と第2面材24との接着力が不十分となり、主面11と第1面材22との接着を維持できなくなる。また、95%超であると、第1面材22の変形自由度が低減し、積層体20に進入した振動エネルギーを第1面材22が変形することによって円滑に吸収又は減衰することができなくなると共に、第1面材22において音波を効果的に反射することができなくなることで、積層体20が優れた防音性及び制振性を発現することができなくなる。また、95%超であると、第2面材24を第1面材22に取り付ける際、第2接着層23が阻害して、適切な位置に取付けが困難になる。第1面材22及び第2面材24の重複領域R12における第2接着層23の占める領域r21,r22の面積率は、上記観点から、10%以上90%以下であることが好ましく、20%以上80%以下であることがより好ましく、25%以上70%以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、「第1面材22及び第2面材24の重複領域R12」とは、積層体20の積層方向(Z軸方向)からみた時の第1面材22と第2面材24とが重複している部分の領域をいう。
第2接着層23が第1面材22と第2面材24との間に部分的に配置されていることで、第1面材22と第2面材24との間の残部には第2空気層26が形成されている。積層体20が第2空気層26を備えることによって、優れた防音性及び制振性を発現し、積層体20の軽量化にも寄与する。
また、積層体20が第2空気層26を備えることによって、第2空気層26と第1面材22及び第2面材24との界面にて音響インピーダンスの差を生じさせ、空気中を伝播して積層体20に侵入した空気伝播音である音波は、第1面材22及び第2面材24にて反射され、積層体20は優れた防音性を発現する。
第2接着層23の配置位置は、積層体20の積層方向(Z軸方向)からみた時に、第1接着層21と揃えた位置であってもよく、第1接着層21と異なる位置であってもよい。
第2接着層23は、第1面材22及び第2面材24の対向面間に配置される形状としては、均一に配置されていてもよく、不均一に配置されていてもよいが、均一に存在していることが好ましい。また、第2接着層23は、第1面材22及び第2面材24の対向面間に配置される形状としては、例えば、碁盤目状などのように規則的に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよいが、規則的に配置されていることが好ましい。第2接着層23が均一及び/又は規則的に配置されていることによって、第1面材22と第2面材24との対向面間に均一及び/又は規則的な第2空気層26が形成され、積層体20にあらゆる方向から進入する音波及び振動エネルギーを確実に吸収し又は減衰させることができ、積層体20は優れた防音性及び制振性を発現する。
第2接着層23は、積層体20の積層方向(Z軸方向)において、第1面材22と第2面材24との間に設けられており、第1面材22と第2面材24とを接着する。
第2接着層23の厚みt2は、0.02mm以上5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上4mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。第2接着層23の厚みt2は、第2空気層26の厚みと同義であり、第2接着層23の厚みt2が上記範囲内であることで、積層体20の防音性及び制振性が向上する。
第2接着層23の厚みt2は、第1面材22と第2面材24との接着性向上の観点から、同一面に配置されている第2接着層23においては略同一であることが好ましい。
本明細書において、「第2接着層23の厚みt2」とは、積層体20の積層方向(Z軸方向)において、第2接着層23の両端間の距離をいう。
第2接着層23は、樹脂及び金属等の接着剤以外の材料からなるセパレータ部材(図示せず)を含んでいてもよい。第2接着層23に所定の厚みを有するセパレータ部材を含ませることで、第2接着層23の厚みt2を制御することが容易となり、特に厚みt2が大きいときに有用である。
第2接着層23を構成する接着剤としては、第1面材22と第2面材24とを接着することができれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤及びホットメルト接着剤等が挙げられる。
第2接着層23は、接着剤を主面11上に塗工することで形成してもよく、基材の両面に接着剤を設けた両面テープを主面11上に配置することで形成してもよい。
[天井部材の製造方法]
本発明の実施形態に係る天井部材の製造方法を説明する。天井部材の製造方法は、特に限定されず、例えば、下記の工程(1)〜工程(3)を含む製造方法が挙げられる。
工程(1):四角形の主面を有し、主面の対向する両辺において主面の同一面側に向かって側面が立設され、一方の側面には第1係合部が設けられ、他方の側面には第1係合部と係合可能な形状の第2係合部が設けられているスパンドレルを用意する工程
工程(2):第1接着層と、第1接着層上に設けられた第1面材と、第1面材上に設けられた第2接着層と、第2接着層上に設けられた第2面材とを備える積層体を用意する工程
工程(3):スパンドレルの主面及び側面によって形成される凹状部に積層体を配置する工程
[その他の実施形態]
例えば、以上の説明では、積層体20の第1面材22として単層の面材を用いた場合を説明したが、図7に示すように、第1面材22は、複数個(2個以上)の第1分割面材22aが第1面材間接着層22bを介して互いに積層一体化させてなる複層の面材であってもよい。複数個の第1分割面材22aは互いに同一である必要はない。第1面材間接着層22bが複数個ある場合も、互いに同一である必要はない。
さらに、以上の説明では、積層体20の第2面材24として単層の面材を用いた場合を説明したが、図8に示すように、第2面材24は、複数個(2個以上)の第2分割面材24aが第2面材間接着層24bを介して互いに積層一体化させてなる複層の面材であってもよい。複数個の第2分割面材24aは互いに同一である必要はない。第2面材間接着層24bが複数個ある場合も、互いに同一である必要はない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[評価方法]
<床衝撃音レベル測定>
天井部材によって低減する床衝撃音レベルをJIS A1440−2:2007に準拠して測定した。具体的には、音源室と受音室とを仕切る厚さ200mmのコンクリート製仕切壁に、音源室と受音室とを連通させる開口部を形成し、この開口部にJIS25形仕様の天井を吊り、30本の天井部材を固定部材によって連接して天井に取り付けた。そして、音源室においてバンクマシーン(リオンテック株式会社製、商品名「F1−02」)により床衝撃音を発生させ、受音室に設置したマイクにおいて1kHz、2kHz及び4kHzでの床衝撃音レベル(dB)を測定した。床衝撃音レベルは小さい程、防音性に優れている。
(実施例1)
スパンドレルとして、幅100mm、長さ4,000mm、厚み0.6mmの主面、高さ10mmの側面を有するアルミニウム製スパンドレル(森村金属社製、商品名「MR91」)を用意した。
第1面材として、幅80mm、長さ4,000mm、厚み7mm、発泡倍率10倍のポリプロピレン系樹脂独立気泡発泡シート(積水化学工業社製、商品名「ゼットロン」)を用意した。
次いで、二液型のエポキシ系接着剤(コニシ社製、商品名「E520W」)を用意し、主剤と硬化剤とを混合した。そして、第1面材の一面にエポキシ系接着剤を長手方向に連続した線状であって規則的且つ均一に塗工面積が33%となるように塗工し、厚み0.2mmの第1接着層を形成した。また、第1面材の他面にエポキシ系接着剤を長手方向に連続した線状であって規則的且つ均一に塗工面積が33%となるように塗工し、厚み0.2mmの第2接着層を形成した。
次いで、第2面材として、幅80mm、長さ4,000mm、厚み0.5mmの高耐食アルミニウムシート(JIS規格品「A5052P−H32」)を用意した。そして、第2接着層上に第2面材を積層し、幅80mm、長さ4,000mm、厚み7.9mmの積層体を得た。積層体において、主面及び第1面材の重複領域における第1接着層の占める領域の面積率33%(第1空気層の占める領域の面積率67%)であり、第1面材及び第2面材の重複領域における第2接着層の占める領域の面積率33%(第2空気層の占める領域の面積率67%)であった。
スパンドレルの主面及び側面によって形成される凹状部に、第1接着層が接するように得られた積層体を配置し、実施例1における天井部材を得た。
得られた天井部材について、評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
第1接着層及び第2接着層として、厚さ0.2mmの両面テープ(積水化学工業社製、商品名「575F」)を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の天井部材を得た。得られた天井部材について、評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
第1面材として、幅80mm、長さ4,000mm、厚み3mm、発泡倍率10倍のポリプロピレン系樹脂独立気泡発泡シート(積水化学工業社製、商品名「ゼットロン」)を使用した。また、第1接着層及び第2接着層として、厚さ2.0mmの両面テープ(スリオン社製、商品名「スリオンテック ♯593200」)を使用した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例3の天井部材を得た。得られた天井部材について、評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
スパンドレルとして実施例1と同様のものを使用し、積層体をなしとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の天井部材を得た。得られた天井部材について、評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2021050491
1:天井部材
10:スパンドレル
11:主面
12a,12b:辺
13a,13b:側面
14a:第1係合部
14b:第2係合部
15:凹状部
20:接着層
21:第1接着層
22:第1面材
22a:第1分割面材
22b:第1面材間接着層
23:第2接着層
24:第2面材
24a:第2分割面材
24b:第2面材間接着層
25:第1空気層
26:第2空気層
30:固定部材
40:天井の野縁

Claims (12)

  1. 四角形の主面を有し、前記主面の対向する辺において前記主面の同一面側に向かって側面が立設され、一方の前記側面には第1係合部が設けられ、他方の前記側面には前記第1係合部と係合可能な形状の第2係合部が設けられているスパンドレルと、
    前記主面及び前記側面によって形成される凹状部に配置され、前記主面に第1接着層を介して設けられる第1面材、及び、前記第1面材上に第2接着層を介して設けられる第2面材を有する積層体とを備え、
    前記主面及び前記第1面材の重複領域における前記第1接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下であり、
    前記第1面材及び前記第2面材の重複領域における前記第2接着層の占める領域の面積率は、5%以上95%以下である、天井部材。
  2. 前記第1接着層の厚みは、0.02mm以上5mm以下である、請求項1に記載の天井部材。
  3. 前記第2接着層の厚みは、0.02mm以上5mm以下である、請求項1又は2に記載の天井部材。
  4. 前記主面の面積における前記積層体の面積が占める面積率は、10%以上95%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の天井部材。
  5. 前記積層体の厚みは、前記側面の高さ以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の天井部材。
  6. 前記積層体は、前記側面の少なくともいずれかと接して配置されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の天井部材。
  7. 前記スパンドレルの材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の天井部材。
  8. 前記スパンドレルの前記主面の厚みは、0.2mm以上2mm以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の天井部材。
  9. 前記第1面材は、樹脂発泡体を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の天井部材。
  10. 前記第1面材の厚みは、1mm以上30mm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の天井部材。
  11. 前記第2面材は、金属を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の天井部材。
  12. 前記第2面材の厚みは、0.1mm以上2.0mm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の天井部材。

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