JP2021194822A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

ガスバリア性フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2021194822A
JP2021194822A JP2020101540A JP2020101540A JP2021194822A JP 2021194822 A JP2021194822 A JP 2021194822A JP 2020101540 A JP2020101540 A JP 2020101540A JP 2020101540 A JP2020101540 A JP 2020101540A JP 2021194822 A JP2021194822 A JP 2021194822A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
barrier film
gas barrier
layer
film
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020101540A
Other languages
English (en)
Inventor
遼 武井
Haruka Takei
純一 神永
Junichi Kaminaga
結希 林
Yuki Hayashi
純平 林
Junpei Hayashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2020101540A priority Critical patent/JP2021194822A/ja
Publication of JP2021194822A publication Critical patent/JP2021194822A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】熱水処理に対する耐性が高く、環境負荷も抑制されたガスバリア性フィルムを提供する。【解決手段】ガスバリア性フィルム100は、ポリプロピレンを主成分とする基材10と、基材の第一面10a側に形成された酸素バリア性皮膜15を備える。第一面の赤外分光測定において、1360〜1390cm−1に存在するピーク強度I1と、1440〜1480cm−1に存在するピーク強度I2との比は、式(1):I1/I2≦1.65を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や品質を維持するため、内容物を変性させる気体(水蒸気、酸素、その他)の進入を防ぐ性質、つまりガスバリア性が求められる。そのため、これらの包装材料には、ガスバリア性を有するフィルム材料(ガスバリア性フィルム)が用いられる。
ガスバリア性フィルムとしては、ガスバリア性を有する材料からなるガスバリア層を樹脂基材の表面に設けたものが知られている。ガスバリア層としては、金属箔や金属蒸着膜、ウェットコート法により形成された皮膜が知られている。前記皮膜としては、酸素バリア性を示すものとして、水溶性高分子、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂を含むコーティング剤から形成された樹脂膜や、水溶性高分子と無機層状鉱物とを含むコーティング剤から形成された無機層状鉱物複合樹脂膜が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、ガスバリア層として、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(例えば、特許文献2参照)や、さらに水性高分子と無機層状化合物及び金属アルコキシドを含むガスバリア性複合被膜を順次積層したガスバリア層(例えば、特許文献3参照)、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシ基と多価金属化合物との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含むガスバリア層(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
これらのガスバリア性フィルムは、透明性及び酸素遮断性を有する。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のものがよく用いられている。
特許第6176239号公報 特開昭60−49934号公報 特開2000−254994号公報 特許第4373797号公報
しかし、樹脂基材の表面にウェットコート法や蒸着法やスパッタリング法による皮膜を設けたガスバリア性フィルムは、製造ロットにより、酸素バリア性が安定しないことがあった。具体的には、ガスバリア性フィルムの酸素バリア性が、本来の酸素バリア性、つまり皮膜を構成する材料および皮膜の厚みから想定される酸素バリア性よりも劣ることがあった。特に、皮膜の厚みが薄くなると、かかる問題が生じやすい傾向があった。
また近年、環境への負荷を抑制する観点から、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)製の基材フィルムを使用したガスバリア性フィルムの要請が高まっている。しかし、発明者の検討により、PP製の基材フィルムに単にバリア層を形成しただけのガスバリア性フィルムは、実際にはボイルやレトルトなど熱水処理に対する耐性が十分でないことが明らかになった。
上記事情を踏まえ、本発明は、酸素バリア性を付与するための皮膜の厚みが薄くても、本来の酸素バリア性を充分に発現でき、かつ熱水処理に対する耐性が高く、環境負荷も抑制されたガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、ポリプロピレンを主成分とする基材と、基材の第一面上に酸素バリア性皮膜を備えるガスバリア性フィルムであり、第一面の赤外分光測定において、1360〜1390cm−1に存在するピーク強度I1と、1440〜1480cm−1に存在するピーク強度I2との比が、下記式(1)を満たす場合に、熱水処理を行った後の密着強度が1.0N/15mm以上の十分な熱水耐性を有し、かつ環境負荷も抑制されたガスバリア性フィルムを提供できる。
I1/I2≦1.65 …(1)
また樹脂基材のブロッキング防止のために添加されている微粒子が一辺250μmの領域あたり100個以下であり、平均突出高さが2.5μm以下であれば、ガス透過の経路となる酸素バリア性皮膜の欠陥が最小限となり、高い酸素バリア性を有するガスバリア性フィルムを提供できる。
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の様態を有する。
〔1〕ポリプロピレンを主成分とする基材と、
前記基材の第一面側に酸素バリア性皮膜を有し、
前記樹脂基材と前記酸素バリア性皮膜の間に下地層、または下地層および無機酸化物層の両方を備え、
前記第一面の赤外分光測定において、1360〜1390cm−1に存在するピーク強度I1と、1440〜1480cm−1に存在するピーク強度I2との比が下記式(1)を満たし、
I1/I2≦1.65 …(1)
前記第一面上には、ポリプロピレン以外の材料からなる微粒子が突出しており、
前記微粒子の数が、一辺250μmの領域あたり100個以下であり、
前記微粒子の平均突出高さが2.5μm以下である、ガスバリア性フィルム。
〔2〕前記基材は
基層と前記第一面を構成する表層と含む2以上の樹脂層を有し、
前記第一面と反対側の第二面の樹脂層の赤外分光測定における前記式(1)の値が、
前記第一面における前記式(1)の値よりも大きい、〔1〕に記載のガスバリア性フィルム。
〔3〕前記下地層の厚みが0.01〜1μmである、〔1〕または〔2〕に記載のガスバリア性フィルム。
〔4〕前記下地層は、主成分として有機高分子を含み、
前記有機高分子は、ポリアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの有機高分子の反応生成物の少なくとも1つを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔5〕前記無機酸化物層の厚みが1〜200nmである、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔6〕前記無機酸化物層が、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔7〕前記酸素バリア性皮膜の厚みが0.05〜1μmである、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔8〕前記酸素バリア性皮膜が、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つと、水溶性高分子を含む皮膜である、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔9〕前記酸素バリア性皮膜が、シランカップリング剤及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つをさらに含む、〔8〕に記載のガスバリア性フィルム。
〔10〕前記酸素バリア性皮膜が、ポリカルボン酸系重合体(A)のカルボキシ基と多価金属化合物(B)との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔11〕前記基材が熱融着可能なシーラント層をさらに備え、前記シーラント層が接着剤層により前記酸素バリア性皮膜に接合されている、〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
〔12〕120℃、30分の熱水処理後において、
酸素透過度が5.0cc/m・day以下であり、
前記基材と前記シーラント層との剥離強度が1.0N/15mm以上である、〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
本発明によれば、熱水処理に対する耐性が高く、環境負荷も抑制されたガスバリア性フィルムを提供できる。さらに酸素バリア性を付与するための皮膜の厚みが薄くても、本来の酸素バリア性を充分に発現でき、酸素バリア性に優れる。
本発明の実施形態に係るガスバリア性フィルムの模式断面図である。
本発明のガスバリア性フィルムについて、実施形態を示して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスバリア性フィルム100の模式断面図である。図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
ガスバリア性フィルム100は、樹脂基材10と下地層13と無機酸化物層14と酸素バリア性皮膜15とを有する。なお無機酸化物層14は無くても構わない。
基材10は、2つ以上の樹脂層を有し少なくとも表層11と基層12を備え、表層11は微粒子16を有する。
下地層13は、樹脂基材10の第一面10aに接して位置し、その反対面に無機酸化物層14または酸素バリア性皮膜15が接して位置する。
ガスバリア性フィルム100はシーラント層18を有し、シーラント層18は接着剤層17と接して位置し、接着剤層17は酸素バリア性皮膜15と接して位置する。
基材10は、ポリプロピレンを主成分とする2以上の樹脂層を有する。本実施形態の基材は、基層12と、基層12に積層された表層11との2つの樹脂層を有する。
2以上の樹脂層を有する基材10は、例えば、共押出により形成できる。基層12および表層11の膜厚の合計である基材10の総厚は、例えば3〜200μmとすることができ、15〜60μmが好ましい。
基材10の各層の原料となる樹脂としては、入手の平易さ、水蒸気バリア性、および環境への付加を抑制する観点から、ポリプロピレンを主成分とする。ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーのいずれであってもよい。ホモポリマーはプロピレン単体のみからなるポリプロピレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる種類のコモノマーがランダムに共重合し均質的な相をなすポリプロピレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと上記コモノマーがブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相をなすポリプロピレンである。ターポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる2種類のコモノマーが共重合したポリプロピレンである。これらのポリオレフィン系樹脂は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上をブレンドして用いてもよい。基層12の原料は、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれかが好ましい。表層11の原料は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーのいずれかが好ましい。
基層12は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知の各種の添加剤から適宜選定できる。添加剤の例としては、アンチブロッキング剤(AB剤)、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のうち滑剤、スリップ剤は、加工適正の観点から好ましい。基層12における添加剤の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整できる。基層12は、典型的にはAB剤を含まない。
基層12は、単層構造でも多層構造でもよい。基層12の厚みは、例えば、3〜200μmであってよく、6〜30μmであってよい。
表層11の原料は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーのいずれかが好ましい。
表層11は微粒子を含み、微粒子は典型的にはAB剤である。微粒子の数は一辺250μmの領域あたり100個以下であり、平均突出高さが5μm以下であれば、酸素バリア性皮膜15を形成する際に、ガス透過の経路となる欠陥が発生することを抑制でき、優れた酸素バリア性が発現する。
表層11は、AB剤以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知の各種の添加剤から適宜選定できる。添加剤の例としては、耐熱安定剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、核剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料が挙げられる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のうち滑剤、スリップ剤は、加工適正の観点から好ましい。表層11における添加剤の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整できる。
表層11の厚みは、例えば、0.1〜10μmであってよく、さらには0.5〜5.0μmであってよい。
微粒子16は典型的にはAB剤であり、固体粒子であり、有機系粒子、無機系粒子等が挙げられる。有機系粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン粒子、ポリアミド粒子等が挙げられる。これら有機系粒子は、例えば、乳化重合や懸濁重合等により得られる。無機系粒子としては、シリカ粒子、ゼオライト、タルク、カオリナイト、長石等が挙げられる。これらのAB剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。微粒子16としては、有機系ではポリメチルメタクリレート粒子、無機系ではシリカ粒子が好ましい。
微粒子16の平均粒径は、第一面10aの外観、基材10の透明性、微粒子16の脱落可能性、アンチブロッキング性能を考慮すると、0.1μm以上、5μm以下が好ましい。
表層11における微粒子16の添加量は、例えば、表層11の総質量に対して0.1〜0.4質量%である。表層11における微粒子16の添加量は、具体的には以下の式により求める。
微粒子の添加量[質量%]={(i)/100}×{(ii)/100}×100
式中、(i)は、樹脂に微粒子を添加して攪拌し、押出機内に投入して混練し、溶融押出によりペレット状に形成されるマスターバッチ樹脂チップにおける微粒子の濃度(質量%)を示し、
(ii)は、微粒子を含むマスターバッチ樹脂チップを、微粒子を含まない樹脂にブレンドするときの、表層11を構成する樹脂ペレット総質量に対する微粒子を含むマスターバッチ樹脂チップの濃度(質量%)を示す。
微粒子16は基材10の第二面10bに含まれていてもよく、アンチブロッキング性能を考慮すると含むことが好ましい。
樹脂基材10は、表層11、基層12を含む各層を共押出で積層した共押出フィルムであることが好ましい。樹脂基材10は、延伸フィルムでも未延伸フィルムでもよい。
樹脂基材10は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを有することが好ましい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは特に水蒸気バリア性能が優れるので、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを有することで、ガスバリア性フィルム100の水蒸気バリア性が優れる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等の少なくとも1種がフィルム状に加工されたものであってよい。二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、共押出フィルムであることが好ましい。
樹脂基材10の厚みは、用途、求められる特性等に応じて調整でき、特に制限されないが、例えば、3〜200μmであってよく、さらには6〜30μmであってよい。樹脂基材10の厚みは、微粒子16に由来する凸部が存在しない部分の厚みである。
樹脂基材10の表面(第一面10a、第二面10b)は、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、プラズマ処理およびオゾン処理からなる群から選ばれる少なくとも1種の処理が施されていてもよい。
(下地層)
下地層13は、樹脂基材10と、無機酸化物層14または酸素バリア性皮膜15との間に設けられる。
下地層13は、有機高分子を主成分として含有する層であり、プライマー層と呼ばれる
こともある。下地層13を設けることによって、無機酸化物層14または酸素バリア性皮膜15の成膜性や密着強度を向上させることができる。
下地層13における有機高分子の含有量は、例えば70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。前記有機高分子としては、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、樹脂基材10と無機酸化物層14或いはは酸素バリア性皮膜15との密着強度の耐熱水性を考慮すると、ポリアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれら有機高分子の反応生成物の少なくとも1つを含むことが好ましい。また下地層13は、シランカップリング剤や有機チタネートまたは変性シリコーンオイルを含んでいてもよい。
前記有機高分子としてさらに好ましくは、高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とイソシアネート化合物との反応により生成したウレタン結合を有する有機高分子、および/または高分子末端に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール類とシランカップリング剤またはその加水分解物のような有機シラン化合物との反応生成物を含む有機高分子が挙げられる。
ポリオール類としては、例えば、アクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリスチルポリオール、及びポリウレタンポリオール等から選択される少なくとも一種が挙げられる。アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるものであってもよく、アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られるものであってもよい。アクリル酸誘導体モノマーとしては、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。アクリル酸誘導体モノマーと共重合させるモノマーとしては、スチレン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、ポリオールと反応して生じるウレタン結合により樹脂基材10と無機酸化物層14または酸素バリア性皮膜15との密着性を高める作用を有する。すなわち、イソシアネート化合物は、架橋剤又は硬化剤として機能する。イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、及びこれらの誘導体が挙げられる。上述のイソシアネート化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせてもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。有機シラン化合物は、これらのシランカップリング剤の加水分解物であってもよい。有機シラン化合物は、上述のシランカップリング剤及びその加水分解物の1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
下地層13は、有機溶媒中に上述の成分を任意の割合で配合して混合液を調製し、樹脂基材10の第一面10a上に調製した混合液を用いて形成することができる。混合液は、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤;フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤;レベリング剤;流動調整剤;触媒;架橋反応促進剤;充填剤等を含有してもよい。
混合液は、オフセット印刷法、グラビア印刷法、又はシルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式、或いは、ロールコート、ナイフエッジコート、又はグラビアコートなどの周知の塗布方式を用いて樹脂基材10の上にコーティングすることができる。コーティング後、例えば50〜200℃に加熱し、乾燥及び/又は硬化することによって、下地層13を形成することができる。
下地層13の厚みは、特に制限されず、例えば、0.005〜5μmであってもよい。厚さは、用途又は求められる特性に応じて調整してもよい。下地層13の厚みとしては、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましい。下地層13の厚みが0.01μm以上であれば、樹脂基材10と無機酸化物層14または酸素バリア性皮膜15との十分な密着強度が得られ、酸素バリア性も良好となる。下地層27の厚みが1μm以下であれば、均一な塗工面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
(無機酸化物層)
無機酸化物層14の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等が挙げられ、特に酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素が、生産性に優れ、かつ耐熱、耐湿熱での酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れることから好ましい。なお無機酸化物層14は、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。無機酸化物層14の厚みは、1〜200nmが好ましく、厚みが1nm以上であれば、優れた酸素バリア性と水蒸気バリア性が得られ、厚みが200nm以下であれば、製造コストを低く抑えられるとともに、折り曲げや引っ張りなどの外力による亀裂が生じ難く、バリア性の劣化を抑えられる。無機酸化物層14は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はプラズマ気相成長法(CVD)等の公知の成膜方法によって形成することができる。
(酸素バリア性皮膜)
酸素バリア性皮膜15は、ウェットコート法により形成される酸素バリア性皮膜として公知のものであってよい。酸素バリア性皮膜15は、下地層13または無機酸化物層14の上にウェットコート法によりコーティング剤からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することにより得られる。なお、塗膜は、湿潤膜であり、皮膜は、乾燥膜である。
酸素バリア性皮膜15としては、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つと、水溶性高分子を含む皮膜(有機無機複合皮膜)が好ましい。さらにシランカップリング剤及びその加水分解物の少なくとも一方をさらに含む皮膜が好ましい。
有機無機複合膜に含まれる金属アルコキシド及びその加水分解物としては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC]及びトリイソプロポキシアルミニウム[Al(OC]等の一般式M(OR)で表されるもの、並びにその加水分解物が挙げられる。これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
有機無機複合膜における、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量は、例えば、40〜70質量%である。酸素透過度を一層低減する観点から、有機無機複合膜における、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量の下限は50質量%であってもよい。同様の観点から、有機無機複合膜における、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量の上限は65質量%であってもよい。
有機無機複合膜に含まれる水溶性高分子は、特に限定されず、例えばポリビニルアルコール系、デンプン・メチルセルロース・カルボキシメチルセルロース等の多糖類、及びアクリルポリオール系等の高分子が挙げられる。酸素ガスバリア性を一層向上させる観点から、水溶性高分子は、ポリビニルアルコール系の高分子を含むことが好ましい。水溶性高分子の数平均分子量は、例えば、40000〜180000である。
ポリビニルアルコール系の水溶性高分子は、例えばポリ酢酸ビニルをけん化(部分けん化も含む)して得ることができる。この水溶性高分子は、酢酸基が数十%残存しているものであってもよく、酢酸基が数%しか残存していないものであってもよい。
有機無機複合膜における、水溶性高分子の含有量は、例えば、15〜50質量%である。有機無機複合膜における、水溶性高分子の含有量の下限は、酸素透過度を一層低減する観点から20質量%であってもよい。有機無機複合膜における、水溶性高分子の含有量の上限は、酸素透過度を一層低減する観点から45質量%であってもよい。
有機無機複合膜に含まれるシランカップリング剤及びその加水分解物としては、有機官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。そのようなシランカップリング剤及びその加水分解物としては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプリピルメチルジメトキシシラン、及びこれらの加水分解物が挙げられる。これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
シランカップリング剤及びその加水分解物の少なくとも一方は、有機官能基として、エポキシ基を有するものを用いることが好ましい。エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、γ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。エポキシ基を有するシランカップリング剤及びその加水分解物は、ビニル基、アミノ基、メタクリル基又はウレイル基のように、エポキシ基とは異なる有機官能基を有していてもよい。
有機官能基を有するシランカップリング剤及びその加水分解物は、その有機官能基と水溶性高分子の水酸基との相互作用によって、酸素バリア性皮膜15の酸素バリア性と、下地層13または無機酸化物層14との接着性を一層向上することができる。特に、シランカップリング剤及びその加水分解物のエポキシ基とポリビニルアルコールの水酸基とは、相互作用によって、酸素バリア性と下地層13または無機酸化物層14との接着性に特に優れる酸素バリア性皮膜15を形成することができる。
有機無機複合膜における、シランカップリング剤及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量は、例えば、1〜15質量%である。酸素透過度を一層低減する観点から、有機無機複合膜における、シランカップリング剤及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量の下限は2質量%であってもよい。同様の観点から、有機無機複合膜における、シランカップリング剤及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つの合計含有量の上限は12質量%であってもよい。
前記有機無機複合膜には、層状構造を有する結晶性の無機層状化合物を含んでいても構わない。無機層状化合物としては、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、又はマイカ族等に代表される粘土鉱物が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機層状化合物の粒径は、例えば0.1〜10μmである。無機層状化合物のアスペスト比は、例えば50〜5000である。
無機層状化合物としては、層状構造の層間に水溶性高分子が入り込むこと(インターカレーション)によって、優れた酸素バリア性と密着強度を有する皮膜を形成できることから、スメクタイト族の粘土鉱物が好ましい。スメクタイト族の粘土鉱物の具体例としては、モンモリトロナイト、ヘクトライト、及びサポナイト、水膨潤性合成雲母等が挙げられる。
また、酸素バリア性皮膜15の別の好ましい例として、ポリカルボン酸系重合体(A)のカルボキシ基と多価金属化合物(B)との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含む皮膜(ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜)が挙げられる。この場合、ポリカルボン酸系重合体(A)と多価金属化合物(B)を混合したコーティング剤を塗布、加熱乾燥することで形成されるポリカルボン酸の多価金属塩皮膜であってもよいし、ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してA皮膜を形成した上に、多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してB皮膜を形成し、A/B層間で架橋反応させて形成されるポリカルボン酸の多価金属塩皮膜であっても構わない。
[ポリカルボン酸系重合体(A)]
ポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。ポリカルボン酸系重合体としては、たとえば、エチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体;エチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。前記エチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのポリカルボン酸系重合体は1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
成分としては、上記の中でも、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性の観点から、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が好ましく、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が特に好ましい。
該重合体において、前記アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位の割合は、80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい(ただし該重合体を構成する全構成単位の合計を100mol%とする)。該重合体は、単独重合体でも、共重合体でもよい。該重合体が、上記構成単位以外の他の構成単位を含む共重合体である場合、該他の構成単位としては、例えば前述のエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位などが挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、2,000〜10,000,000の範囲内が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。数平均分子量が2,000未満では、得られるガスバリア性フィルムは充分な耐水性を達成できず、水分によってガスバリア性や透明性が悪化する場合や、白化の発生が起こる場合がある。他方、数平均分子量が10,000,000を超えると、酸素バリア性皮膜15を形成する際のコーティング剤の粘度が高くなり、塗工性が損なわれる場合がある。なお、上記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してA皮膜を形成した後に前記B皮膜を形成する場合には、ポリカルボン酸系重合体は、カルボキシ基の一部が予め塩基性化合物で中和されていてもよい。ポリカルボン酸系重合体の有するカルボキシ基の一部を予め中和することにより、A皮膜の耐水性や耐熱性をさらに向上させることができる。塩基性化合物としては、多価金属化合物、一価金属化合物およびアンモニアからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物が好ましい。多価金属化合物としては、後述する多価金属化合物(B)の説明で例示する化合物を用いることができる。一価金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤には各種添加剤を加えることができ、バリア性能を損なわない範囲で架橋剤、硬化剤、レベリング剤、消泡剤、アンチブロッキング剤、静電防止剤、分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤などがあげられる。
ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤に用いる溶媒は水性媒体が好ましい。水性媒体としては、水、水溶性または親水性有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は通常、水または水を主成分として含むものである。水性媒体中の水の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。水溶性または親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、セロソルブ類、カルビトール類、アセトニトリル類の二トリル類等が挙げられる。
[多価金属化合物(B)]
多価金属化合物は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基と反応してポリカルボン酸の多価金属塩を形成する化合物であれば特に限定されず、酸化亜鉛粒子、酸化マグネシウム粒子、マグネシウムメトキシド、酸化銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独或いは複数を混合して用いてもよい。酸素バリア性皮膜の酸素バリア性の観点から酸化亜鉛が好ましい。
酸化亜鉛は紫外線吸収能を有す無機材料であり、酸化亜鉛粒子の平均粒子径は特に限定されないが、ガスバリア性、透明性、コーティング適性の観点から、平均粒子径が5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましい。
多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してB皮膜を形成する場合は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化亜鉛粒子のほかに、各種添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、コーティング剤に用いる溶媒に可溶又は分散可能な樹脂、該溶媒に可溶又は分散可能な分散剤、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、増粘剤等を含有してもよい。
上記の中でも、コーティング剤に用いる溶媒に可溶または分散可能な樹脂を含有することが好ましい。これにより、コーティング剤の塗工性、製膜性が向上する。このような樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられる。
また、コーティング剤に用いる溶媒に可溶又は分散可能な分散剤を含有することが好ましい。これにより、多価金属化合物の分散性が向上する。該分散剤としては、アニオン系界面活性剤や、ノニオン系界面活性剤を用いることができる。該界面活性剤としては、(ポリ)カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、芳香族リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の各種界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。
多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤に添加剤が含まれている場合には、多価金属化合物と添加剤との質量比(多価金属化合物:添加剤)は、30:70〜99:1の範囲内であることが好ましく、50:50〜98:2の範囲内であることが好ましい。
多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤に用いる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。また、これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、塗工性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また製造性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
ポリカルボン酸系重合体(A)と多価金属化合物(B)を混合したコーティング剤を塗布、乾燥してポリカルボン酸の多価金属塩皮膜を形成する場合には、前記したポリカルボン酸系重合体(A)と前記した多価金属化合物(B)と、水またはアルコール類を溶媒として、該溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂や分散剤、および必要に応じて添加剤を混合して、コーティング剤として、公知のコーティング方法にて塗布、乾燥することで、ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜を形成することができる。コート法として、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
酸素バリア性皮膜15の厚みは、要求される酸素バリア性に応じて設定され、例えば0.05〜5μmであってよい。酸素バリア性皮膜15の厚みとしては、0.05〜1μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。酸素バリア性皮膜15の厚みが0.05μm以上であれば、充分な酸素バリア性が得られやすい。酸素バリア性皮膜15の厚みが1μm以下であれば、第一面10aにおけるAB剤由来の凸部の有無が酸素バリア性に与える影響が大きく、本発明の有用性が高い。また、酸素バリア性皮膜15の厚みが1μm以下であれば、均一な塗工面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
ガスバリア性皮膜として、前記の有機無機複合皮膜や、前記のポリカルボン酸の多価金属塩皮膜を有するガスバリア性フィルムは、ボイル処理やレトルト殺菌処理を行っても優れた酸素バリア性を示し、シーラントフィルムとラミネートして、ボイル、レトルト処理用包装材料としても、十分な密着強度やシール強度を有し、さらに、金属箔や金属蒸着膜にはない透明さと、耐屈曲性や耐延伸性に優れ、ダイオキシン等の有害物質発生のリスクもない等の利点がある。
シーラント層18は、ガスバリア性フィルム100を用いて袋状包装体などを形成する際に熱融着により接合される層である。シーラント層18の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂材料を例示できる。シーラント層60厚さは目的に応じて決められるが、例えば15〜200μmの範囲とできる。
接着剤層17は、シーラント層18と酸素バリア性皮膜15とを接合する。接着剤層17を用いることで、シーラント層18となる樹脂フィルムと、酸素バリア性皮膜15を形成した基材10とを、ドライラミネーションにより貼り合わせることができる。接着剤層17の材料としては、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を例示できる。
酸素バリア性皮膜15の上に印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させて、包装材料とすることができる。積層する際は、接着剤を介さずに被覆層30の上に直接シーラントを形成する押出ラミネート法を用いてもよい。
基材10の第一面10aは、赤外分光測定において1370〜1380cm−1に存在するピーク強度(I1)と、1450〜1460cm−1に存在するピーク強度(I2)との強度比が式(1)の範囲にある。すなわち、I1がI2の1.65倍以下である。本実施形態において、この強度比は、第一面10aを構成する表層11の材料特性によりもたらされる。
I1/I2≦1.65 …(1)
上記式(1)の値は、測定箇所の樹脂成分に占めるポリプロピレンの割合を示している。I1は、ポリプロピレンの量を示しており、I2は、ポリエチレンとポリプロピレンとの和を示している。したがって、ホモポリマーはコポリマーやターポリマーに比して式(1)の値が大きくなり、コポリマーやターポリマーにおいては、ポリプロピレン以外の成分が増えるにつれて式(1)の値が小さくなる。
発明者らは、ポリプロピレンを主成分とする基材を用いてガスバリア性フィルムを構成するにあたり、様々な検討を行った。その結果、酸素バリア性皮膜15が形成される第一面10aにおいては、ポリプロピレンを主成分とする範囲で、その割合が低い方が、ガスバリア層の密着強度が向上することを見出した。第一面10aにおける式(1)の値は、1.55以下が好ましく、1.50以下がさらに好ましい。
本実施形態のガスバリア性フィルム100は、上記により、ポリプロピレンを主成分とするモノマテリアルの構成を保持して環境負荷を抑制しつつ、好適なガスバリア性を発揮するガスバリア層が基材と良く接合し、剥離しにくいように構成されている。
発明者らがさらに検討した結果、上記特性を有する第一面を含む表層11に、式(1)の値がより大きい基層12を加えることにより、基材10の総合的な特性がさらに向上することを見出した。式(1)の値がより大きい、すなわち、第一面を含む層よりもポリプロピレンの割合が高い層を積層することで、基材10全体としての耐熱性が向上する。その結果、酸素バリア性皮膜15を形成する際に十分な熱を基材10に掛けることができ、酸素バリア性皮膜15のバリア性能を向上できる。さらに、製造後のガスバリア性フィルムがレトルト処理、ボイル処理等の熱水処理を受けた際に、表層11の収縮を基層12が抑制して、収縮により酸素バリア性皮膜15にクラック等が生じてガスバリア機能が低下することや、酸素バリア性皮膜15が基材10から剥離しやすくなることを好適に抑制する。
このような観点からは、基層12が構成する第二面10bにおける上記式(1)の値は、第一面10aの値よりも大きいことが好ましく、1.65以上であることがより好ましい。
(ガスバリア性フィルムの製造方法)
ガスバリア性フィルム100は、樹脂基材10の第一面10aに、下地層13、または下地層13と無機酸化物層14の双方を形成した後、下地層13または無機酸化物層14の上に酸素バリア性皮膜15を形成することにより製造できる。
樹脂基材10としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
下地層13は、前記したように、ウェットコート法により樹脂基材10の第一面10aにコーティング剤からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することにより得られる。ウェットコート法としては、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知のウェットコート法を用いることができる。コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。乾燥条件としては、例えば90℃で10秒間の条件が挙げられる。
無機酸化物層14は、下地層13上に、前記した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はプラズマ気相成長法(CVD)等により成膜することで得られる。
酸素バリア性皮膜15は、下地層13、または無機酸化物層14の上に、ウェットコート法により前記したコーティング剤からなる塗膜を形成し、乾燥することにより得られる。ウェットコート法としては、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の公知のウェットコート法を用いることができる。コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。乾燥条件としては、例えば90℃で10秒間の条件が挙げられる。酸素バリア性皮膜15は、一度の塗布、乾燥により形成しても、同種のコーティング剤或いは異種のコーティング剤により、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成しても構わない。
(作用効果)
以上説明したガスバリア性フィルム100にあっては、少なくとも表層11、基層12を有する樹脂基材10と、樹脂基材10の第一面10a上に下地層13、または下地層13と無機酸化物層14を備え、さらに酸素バリア性皮膜15とを有し、表層11に含まれる微粒子16の数が、一辺250μmの領域あたり100個以下であり、微粒子16の平均突出高さが2.5μm以下であることによって、本来の酸素バリア性を充分に発現でき、酸素バリア性に優れる。また、酸素バリア性皮膜15の厚みを薄くできるので、ガスバリア性フィルム100を低コストで提供できる。
酸素バリア性皮膜15の厚みが薄くても本来の酸素バリア性を充分に発現できる理由は、以下のように考えられる。
一般に樹脂基材には、ブロッキング防止のため、AB剤の微粒子16が含まれており、AB剤による凸部が樹脂基材の両面(第一面および第二面)に存在する。この樹脂基材にウェットコート法によりコーティング剤を塗布すると、特に塗布量が少ない場合、凸部の位置で局所的に塗膜が形成されず、欠陥となる。この欠陥がガス透過の経路となり、酸素バリア性が充分に発現しない。
以上、実施形態を示して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
ガスバリア性フィルムは、必要に応じて、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、酸素吸収層、接着剤層、ヒートシール可能な熱融着層、その他の機能層等をさらに有していてもよい。
ガスバリア性フィルムがヒートシール可能なシーラント層18を有する場合、このシーラント層18は、ガスバリア性フィルムの少なくとも一方の最表面に配置される。ガスバリア性フィルムがシーラント層18を有することにより、ガスバリア性フィルムが、ヒートシールによって密封可能なものとなる。シーラント層18は、例えば、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の公知の接着剤を用いて、公知のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等により積層することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は
以下の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
<樹脂基材>
α1:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:M−1、厚さ20μm、片面コロナ処理、三井化学東セロ株式会社製)。
α2:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:ME−1、厚さ20μm、片面コロナ処理、三井化学東セロ株式会社製)。
α3:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:P2111、厚さ20μm、片面コロナ処理、東洋紡株式会社製)。
α4:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:P2102、厚さ20μm、片面コロナ処理、東洋紡株式会社製)。
α5:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:VPH2011、厚さ20μm、片面コロナ処理、コロナ処理面側のAB剤平均粒径2μm、A.J.Plast社製)。
α6:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:PB210J、厚さ20μm、片面コロナ処理、フタムラ化学株式会社製)。
α7:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:U−1、厚さ20μm、片面コロナ処理、三井化学東セロ株式会社製)。
α8:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:P2171、厚さ20μm、片面コロナ処理、東洋紡株式会社製)。
α9:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:P2161、厚さ20μm、片面コロナ処理、東洋紡株式会社製)。
α10:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:VPH2011、厚さ20μm、片面コロナ処理、コロナ処理面側のAB剤平均粒径4μm、A.J.Plast社製)。
<製造例1>
アクリルポリオールとしてアクリディックCL−1000(DIC(株)))を、イソシアネート系化合物としてTDIタイプ硬化剤コロネート2030(東ソー(株))を用いて、アクリルポリオールとイソシアネート系化合物の配合比を固形分重量比6:4となるよう配合し、希釈溶剤(酢酸エチル)を用いて下地層形成用の混合液(固形分:2質量%)を調製した。
<製造例2>
ポリビニルアルコール樹脂(PVA 商品名:ポバールPVA−105、クラレ社製、けん化度98〜99%、重合度500のポリビニルアルコール)を溶解した水溶液、およびテトラエトキシシラン(TEOS)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS 商品名:KBM−403 信越化学工業(株))をそれぞれ0.02mol/Lの塩酸で加水分解した水溶液を用意し、加水分解前の重量比でPVA:TEOS:GPTMSが40:50:10となるように水溶液を配合した。さらに配合した水溶液の溶剤成分が、質量比として水:イソプロピルアルコールが90:10となるように、希釈溶剤を加え、有機無機複合皮膜形成用のコーティング剤(5質量%)を調製した。
[実施例1−1〜1−6および比較例1−1〜1−4]
表1に記載した樹脂基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、製造例1で調製した下地層形成用の混合液を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.1μmの下地層を形成した。次いで、電子線加熱方式による真空蒸着装置を用いて、金属珪素、一酸化珪素、及び二酸化珪素の2種以上を含む混合材料を蒸発させて、下地層の上に厚さ30nmの酸化ケイ素からなる無機酸化物層を形成した。続いて形成した無機酸化物層上に、グラビア印刷機を用いて、製造例2で調製した有機無機複合皮膜形成用のコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.3μmの有機無機複合皮膜からなる酸素バリア性皮膜を形成し、実施例1−1〜1−6、および比較例1−1〜1−4のガスバリア性フィルムを得た。
各実施例および比較例における評価項目及び測定方法について、以下に示す。
<第一面および第二面の赤外線分光測定>
フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4000(日本分光株式会社製)を用いて、ガスバリア性フィルム作製前の各基材の厚さ方向両面に対して行った。測定条件等は以下の通りである。
測定条件:ATR法
プリズム:Ge
分解能:4cm−1
積算回数:64
<微粒子の個数及び突出平均高さ>
レーザー顕微鏡LEXT OLS−4000(オリンパス株式会社製)を用いて第一面10aの表面観察を行い、微粒子の単位エリアあたりの数および突出高さを計測した。観察倍率は50倍とした。単位エリアあたりの数は、無作為に選択した257μm×259μmの範囲(面積0.067mm)と、その右側に連続する同一サイズの2エリアとで測定し、3エリアの算術平均値とした。突出高さは、3エリアでカウントされたすべての微粒子の算術平均値とした。
<熱水処理後の酸素バリア性>
各例のガスバリア性フィルムについて、接着剤を用いてCPP(ポリプロピレンフィルム)と貼り合せ、ガスバリア性フィルム/接着剤/CPP構成のレトルト処理用ガスバリア性積層フィルムを作製した。接着剤は三井化学ポリウレタン製の2液硬化型接着剤、タケラック(登録商標)A620(主剤)/タケネート(登録商標)A65(硬化剤)を使用し、CPPは東レフィルム加工製のポリプロピレンフィルム、トレファンZK93KM(60μm)を使用して、HIRANO TECSEED製マルチコーターTM−MCにてドライラミネートし、40℃で3日間養生した。なおガスバリア性フィルムの酸素バリア性皮膜が接着剤側になるように配置した。
得られたガスバリア性積層フィルムにてA5サイズの4方シールパウチを作製し、内容物として水道水150mlを充填して、120℃の熱水中で30分間の加熱殺菌処理(レトルト処理)を実施した。
熱水処理後のガスバリア性積層フィルムについて、酸素透過度測定装置(商品名:OXTRAN−2/20、MOCON社製)を用いて、30℃、70%RHの雰囲気下、酸素透過度(cm/(m・day・atm))を測定した。
<熱水処理後の密着強度>
上記手順で作製した各例のパウチを製造直後および熱水処理した後、JIS Z1707に準拠して各例のパウチの内容物と接していた部位から試験片を切り出し、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定したガスバリア層20の剥離強度を密着性の指標として測定した。測定は、T型剥離と180°剥離の2種類を、それぞれ常態(Dry)および測定部位湿潤(Wet)で行った。
実施例1−1〜1−6、および比較例1−1〜1−4の測定結果を表1に示す。
Figure 2021194822
表1に記載の結果から、実施例1−1〜1−6のガスバリア性フィルムは、第一面の式(1)の値が1.65以下であり、いずれも熱水処理後において、基材10とシーラント層18との間で高い密着性が保持されていた。また、熱水処理後も酸素透過度が5.0cc/m・day・atm以下と良好なガスバリア性能を示した。
一方、比較例1−1〜1−3のガスバリア性フィルムは、第一面の式(1)の値が1.65より大きく、熱水処理後の密着性が低かった。比較例1−4のガスバリア性フィルムは、微粒子16の平均突出高さが2.5μmより大きく、熱水処理後の酸素透過度が5.0cc/m・day・atmを上回り、良好なガスバリア性能を得られなかった。
<製造例3>
数平均分子量200,000のポリアクリル酸水溶液(東亞合成 アロンA−10H、固形分濃度25質量%)20質量部に蒸留水58.9質量部を加えて希釈した。その後、アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS アルドリッチ製)0.44質量部を添加し、撹拌を行い均一な溶液とし、ポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤を調製した。
<製造例4>
酸化亜鉛微粒子水分散液(住友大阪セメント製 ZE143)100質量部と硬化剤Liofol HAERTER UR 5889−21(Henkel製)2質量部を混合して、多価金属化合物を主成分とするコーティング剤を調製した。
[実施例2−1〜2−6および比較例2−1〜2〜4]
表2に記載した樹脂基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、製造例1で調製した下地層形成用の混合液を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.1μmの下地層を形成した。次いで、製造例3で調製したポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmのポリカルボン酸系重合体皮膜を形成し、さらにポリカルボン酸系重合体皮膜の上に、グラビア印刷機を用いて、製造例4で調製した多価金属化合物を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmの多価金属化合物皮膜を形成して、ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜からなる酸素バリア性皮膜を形成し、実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−4のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例2−7〜2−10および比較例2−5〜2〜6]
表2に記載した樹脂基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、製造例1で調製した下地層形成用の混合液を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.1μmの下地層を形成した。次いで、電子線加熱方式による真空蒸着装置を用いて、金属珪素、一酸化珪素、及び二酸化珪素の2種以上を含む混合材料を蒸発させて、下地層の上に厚さ30nmの酸化ケイ素からなる無機酸化物層を形成した。続いて形成した無機酸化物層上に、グラビア印刷機を用いて、製造例3で調製したポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmのポリカルボン酸系重合体皮膜を形成し、さらにポリカルボン酸系重合体皮膜の上に、グラビア印刷機を用いて、製造例4で調製した多価金属化合物を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmの多価金属化合物皮膜を形成して、ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜からなる酸素バリア性皮膜を形成し、実施例2−7〜2−10、比較例2−5〜2−6のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例2−11〜2−14および比較例2−7〜2〜8]
表2に記載した樹脂基材のコロナ処理面に、グラビア印刷機を用いて、製造例1で調製した下地層形成用の混合液を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.1μmの下地層を形成した。次いで、電子線加熱方式による真空蒸着装置を用いて、金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、下地層の上に厚さ20nmの酸化アルミニウムからなる無機酸化物層を形成した。続いて形成した無機酸化物層上に、グラビア印刷機を用いて、製造例3で調製したポリカルボン酸系重合体を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmのポリカルボン酸系重合体皮膜を形成し、さらにポリカルボン酸系重合体皮膜の上に、グラビア印刷機を用いて、製造例4で調製した多価金属化合物を主成分とするコーティング剤を塗工して塗膜を形成し、100℃のオーブンに10秒間通過させ乾燥させることで厚さ0.2μmの多価金属化合物皮膜を形成して、ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜からなる酸素バリア性皮膜を形成し、実施例2−11〜2−14、比較例2−7〜2−8のガスバリア性フィルムを得た。
Figure 2021194822
表2に記載の結果から、実施例2−1〜2−14のガスバリア性フィルムは、第一面の式(1)の値が1.65以下であり、いずれも熱水処理後において、基材10とシーラント層18との間で高い密着性が保持されていた。また、熱水処理後も酸素透過度が5.0cc/m・day・atm以下と良好なガスバリア性能を示した。
一方、比較例2−1〜2−3、2−5〜2−8のガスバリア性フィルムは、第一面の式(1)の値が1.65より大きく、熱水処理後の密着性が低かった。比較例2−4のガスバリア性フィルムは、微粒子16の平均突出高さが2.5μmより大きく、熱水処理後の酸素透過度が5.0cc/m・day・atmを上回り、良好なガスバリア性能を得られなかった。
以上、本発明の一実施形態、および実施例について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
また、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、適宜の位置に印刷層が設けられてもよい。また、被覆層上に介在フィルムを取り付けて、耐ピンホール性、耐寒性、耐熱性、耐落袋性、引き裂き耐性等の所望の物性をガスバリア性フィルムに付与してもよい。
さらに、本発明のガスバリア性フィルムにおいて、接着層やシーラント層は必須ではない。すなわち、接着層やシーラント層は、ガスバリア性フィルムの具体的用途等を考慮して、必要に応じて設ければよい。
本発明のガスバリア性フィルムは、熱水処理後においても優れた密着強度とガスバリア性を示す。また、酸素バリア性皮膜を薄膜化しても品質を安定化出来て、原材料コストの削減が可能となる。
本発明のガスバリア性フィルムは、例えば包装用材料として好適に利用可能であるり、ボイル処理、レトルト処理用の包装材料としても好適に利用可能である。本発明のガスバリア性フィルムを包装用材料として用いることで、内容物の品質保持性を高めることができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、包装材料以外の用途にも用いることができる。包装材料以外の用途としては、例えば、電子デバイス関連フィルム、太陽電池用フィルム、燃料電池用各種機能性フィルム、基板フィルム等の用途が挙げられる。
100 ガスバリア性フィルム
10 樹脂基材
11 樹脂基材 表層
12 樹脂基材 基層
13 下地層
14 無機酸化物層
15 酸素バリア性皮膜
16 微粒子
17 接着剤層
18 シーラント層

Claims (12)

  1. ポリプロピレンを主成分とする基材と、
    前記基材の第一面側に酸素バリア性皮膜を有し、
    前記樹脂基材と前記酸素バリア性皮膜の間に下地層、または下地層および無機酸化物層の両方を備え、
    前記第一面の赤外分光測定において、1360〜1390cm−1に存在するピーク強度I1と、1440〜1480cm−1に存在するピーク強度I2との比が下記式(1)を満たし、
    I1/I2≦1.65 …(1)
    前記第一面上には、ポリプロピレン以外の材料からなる微粒子が突出しており、
    前記微粒子の数が、257μm×259μmの領域(面積0.067mm)あたり100個以下であり、
    前記微粒子の平均突出高さが2.5μm以下である、ガスバリア性フィルム。
  2. 前記基材は
    基層と前記第一面を構成する表層と含む2以上の樹脂層を有し、
    前記第一面と反対側の第二面の樹脂層の赤外分光測定における前記I1/I2の値が、
    前記第一面における前記I1/I2の値よりも大きい、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記下地層の厚みが0.01〜1μmである、請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記下地層は、主成分として有機高分子を含み、
    前記有機高分子は、ポリアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの有機高分子の反応生成物の少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記無機酸化物層の厚みが1〜200nmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記無機酸化物層が、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記酸素バリア性皮膜の厚みが0.05〜1μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 前記酸素バリア性皮膜が、金属アルコキシド及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つと、水溶性高分子を含む皮膜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  9. 前記酸素バリア性皮膜が、シランカップリング剤及びその加水分解物、乃至はその反応生成物の少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
  10. 前記酸素バリア性皮膜が、ポリカルボン酸系重合体(A)のカルボキシ基と多価金属化合物(B)との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  11. 前記基材が熱融着可能なシーラント層をさらに備え、前記シーラント層が接着剤層により前記酸素バリア性皮膜に接合されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
  12. 120℃、30分の熱水処理後において、
    酸素透過度が5.0cc/m・day以下であり、
    前記基材と前記シーラント層との剥離強度が1.0N/15mm以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
JP2020101540A 2020-06-11 2020-06-11 ガスバリア性フィルム Pending JP2021194822A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020101540A JP2021194822A (ja) 2020-06-11 2020-06-11 ガスバリア性フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020101540A JP2021194822A (ja) 2020-06-11 2020-06-11 ガスバリア性フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021194822A true JP2021194822A (ja) 2021-12-27

Family

ID=79197959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020101540A Pending JP2021194822A (ja) 2020-06-11 2020-06-11 ガスバリア性フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021194822A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6834943B2 (ja) 積層フィルム、及び包装袋
US20210291501A1 (en) Gas barrier film
WO2021029156A1 (ja) バリアフィルム及びバリア性包装材料
JP6287061B2 (ja) ガスバリア性包装材料前駆体の製造方法
JP6131570B2 (ja) ガスバリア用コーティング液、その製造方法、ガスバリア性積層体の製造方法、包装材料の製造方法および加熱殺菌用包装材料の製造方法
WO2014192500A1 (ja) ガスバリア性包装材料
WO2015029950A1 (ja) グラビア印刷用水系コーティング剤およびガスバリア性フィルム
WO2021230319A1 (ja) ガスバリアフィルム
JP4915097B2 (ja) ガスバリア性積層体及びその製造方法
JP2021194822A (ja) ガスバリア性フィルム
JP2018158530A (ja) ガスバリア性積層フィルム
WO2022168976A1 (ja) ガスバリアフィルム
JP6809622B1 (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP7031783B1 (ja) ガスバリアフィルム、積層体、および包装材料
WO2021176824A1 (ja) ガスバリア性フィルム及びその製造方法
WO2024024780A1 (ja) 積層体、包装材料、および包装体
WO2024014451A1 (ja) ガスバリアフィルムおよびバリア性積層体
JP2024017663A (ja) 積層体、包装材料、および包装体
JP2024017603A (ja) 積層体、包装材料、および包装体
JP2023086487A (ja) ガスバリア性フィルム、積層体、および包装材料
JP2022107930A (ja) ガスバリア性フィルム、積層体、および包装材料
WO2023248610A1 (ja) ガスバリア性フィルム、積層体、および包装材料
JP2023049126A (ja) ガスバリア性フィルム、積層体、および包装材料
JP2023132672A (ja) ガスバリアフィルム
JP2023132666A (ja) 積層体、包装材料、および包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240625