JP2021192035A - チップ、検出器、ならびにそれらの製造方法および使用方法 - Google Patents

チップ、検出器、ならびにそれらの製造方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生体分子アレイ—DNA、タンパク質、および炭水化物—における超高感度検出、特に感染症(ID)のためのスクリーニングのために、極度に低いバックグラウンドシグナルを得る。【解決手段】チップは、チップ内を通るチャネルと、チャネル内に包含される非汚染性ポリマー層とを含む。また、非汚染性ポリマー層に結合した捕捉剤をさらに含む。【選択図】図1

Description

〔背景〕
本願は、2015年7月20日に提出された特許シリアル番号62/194,505の米
国仮出願に対し、優先権を主張し、そのすべての内容が、参照によって本明細書に組み込
まれる。
生体分子アレイ―DNA、タンパク質、および炭水化物―における超高感度検出に向け
て増加している技術的な後押しは、高いSNRが獲得できるように、同様に極度に低いバ
ックグラウンドシグナルを必要とする。しかしながら、市販の化学的表面修飾のほとんど
においては、通常、高い自己蛍光、または試薬および検体の非特異的結合が含まれる。一
般的に使用されるマイクロアレイのスポットのサイズがより小さくなり、サブミクロンの
長さスケールにまで小さくなる場合、この問題がますます重要になる。現在の表面修飾技
術のいくつかは、マイクロアレイにおいて上手く働くが、マイクロアレイおよびナノアレ
イを生体分子のためにルーチン使用することは、生体分子の非特異的吸着がpg/cm
のレベルにまで低減し、および精巧かつ高価な増幅技術なしに、検体を直接検出すること
ができる検出システムを設計するという、相当な課題をもたらす。
感染症(ID)のためのスクリーニングの現在の方法は、高い費用、アッセイの複雑さ
、アッセイを実施するために必要な時間、およびアッセイの感度を含む、いくつかの欠点
に苦しむ。
費用
単一の感染症マーカーの最も正確な免疫測定法に基づく試験は、酵素結合免疫吸着測定
法(ELISA)と呼ばれ、約16USドルの費用がかかり、かつ試験するマーカー毎に
、技術者の時間が平均6時間必要である。多重化を可能にした最近の改善は、今や4つの
感染媒介物のアッセイを約14USドルの費用で試験することを可能とし、平均約4.5
時間の技術者の時間を必要とする。ただし、これらの試験においては、約$110,00
0〜$160,000USドルに値する実験装置の使用が必要となる。また、各試験にお
いて、静脈血採取により患者から得られた全血のサンプルから分離することのできる約2
00μLの血清または血漿が必要であった。この血液採取は、一般的にポイント‐オブ‐
ケア(point-of-care:POC)で行われ、およびそれから実際の試験のために集中型研究
室に輸送される。
当業において、サンプルの収集、処理、および試験の主な側面を能率化することによっ
て、費用を大幅に削減する装置の必要性が残されている。理想的には、そのような装置は
、以下を提供する:(1)指スティックから得られた全血の原液を直接試験することによ
って、すべての前処理を排除すること;(2)試薬―捕捉剤としてスポットされたタンパ
ク質抗原および検出抗体―の量を減らすための試験の小型化;および(3)一工程、オン
サイトの処理。さらに、試験は、多重化することができ、かつ単一のIDのための試験に
かかる費用を著しく増加させることなく、一団のIDを標的化できる。これらの改善は、
サンプル前処理を使用せず、または検体の溶液から細胞を分離するためにマイクロ流体技
術を使用せず、完遂される。
多重化された試験は、さらなる利点を有する。たとえばHIVといった、もっとも注目
されているIDに、多くが集中しており、結果的に、他のIDのために一般大衆を試験す
るという願望または緊急性の一般的な欠如につながる。この問題に対する適切な解決は、
単一のID試験が要求されるたびに、一団のIDすべての試験を提供することであり、こ
れにより結果として、単一のID向けの試験と比較して、増分のみの費用にすることがで
きる。この問題に対する適切な解決は、単一のID試験が要求されるたびに、一団のID
すべての試験を提供することであり、これにより結果として、単一のID向けの試験と比
較して、増分のみの費用にすることができる。装置の小型化により、装置内の捕捉試薬お
よび検出抗体の使用をピコリットル量にすることによって、費用を削減できる。多重化は
、HIVといった非難される病気のための特定の試験を要求する場合にいくらかの人々が
経験する不快感を、そのような病気がチップ上で発見されるいくつかのIDの1つである
ことによって、救うこともできる。食品および風媒の IDを含む多数のIDをカバーす
る多重化試験を有することにより、個人は試験を要求することに対し、より不安を感じず
にすむ。さらに、捕捉剤の必要量を減らすための装置の小型化は、プレートベースのEL
ISAなどの、標準的な研究所のIDスクリーニング試験における最も重要な費用の1つ
を、効果的に排除する。さらに、インクジェット印刷の最近開発された技術を用いること
によって、使い捨て、多重化センサチップを、チップあたり数セント程度の費用で製造す
ることができる。
さらなる費用の削減は、高度先進医療のインフラへの依存を減らすことによって獲得さ
れ得る。たとえば、発展途上国の移動診療所においては、時間および人員が限られており
、および単一工程、オンサイト処理の多重化試験は、患者の処理量、および検出される感
染の数を著しく増加させる。さらに、小型化された、多重化アッセイを作成することによ
り、膨大な量の材料を排除し、かつ貯蔵および輸送の負担が著しく削減される。
アッセイの単純性および読み出し速度
ID試験を経験している人は、結果通知に至る心配な待ち期間(多くの場合、数日から
数週間)が不快であり、かつ将来の試験を避ける理由であると特に言及する。もし結果を
受け取るために2回目の訪問が必要であれば、患者の50%以上は、戻らない。研究によ
り、待機時間が100分であれば、50%までの患者が試験の結果を受け取る前に去り、
待機時間が50分であれば、約20%の患者が去ることが示された。試験およびその結果
を一回の訪問の間に提供することを確実にするために、速い試験が必要であり、それによ
り、患者が結果通知のために問合せ先(この情報は患者のプライバシーの懸念につながり
、試験を避ける他の理由である)を提供する必要性を排除する。
静脈穿刺により採取された全血サンプルが必要な試験では、多大な労力、時間、および
高度熟練労働者の利用可能性を必要とする。血液サンプルの実際の採取に加え、多くの診
断は、血液が細胞と血漿とに分離することを必要とする。このことは、追加の機器および
専門知識を必要とし、アッセイ費用および読み出し時間を増加させ、かつポイント‐オブ
‐ケア 診断を提供する能力を制限する。その上、静脈穿刺の処理自体が患者の医学的合
併症につながり得、かつ多くの人々が針と静脈穿刺とに対して感じる強い嫌悪感につなが
り得る。これらの懸念のすべては、指スティックを介して簡単に得ることができる、たっ
た数マイクロリットルの血液によって一団のIDを検出することが可能な試験を作成する
ことにより、減らすことができる。さらに、たった数マイクロリットルの血液から複数の
標的を検出することのできる試験を作成することによって、より多くの量の血液を採取す
ることに問題がなり、かつしばしば必要な血液の量が原因で血液採取の時に輸血が必要と
なる、新生児の試験に対するアクセスの向上が可能である。
高価または複雑なマイクロ流体の必要性を排除する装置が必要となり、それによりチッ
プ前の費用を削減し、かつ実際に臨床サンプルで実地試験をした場合に、最も現代的な「
ラボ−オン−チップ」デザインにおいてごく一般的な障害の主要な原因を排除する。
必要な材料を減らすことによって、ID試験のより高い処理量を実現できる(たとえば
、針と血液収集バイアル、およびそれらの適切な処分の懸念の排除)。さらに、本開示の
装置および方法において作成した使い捨てのアイテムは、指スティックランセット以外で
は、アッセイにおける血液接触表面として機能する、ガラスまたはプラスチックの小片だ
けである。これらの数千を1リットルの漂白液によって消毒でき、かつこれら表面は、通
常のゴミとして廃棄し得る。その上、低資源の環境における試験は、しばしば隔離された
地域において起こる。これらの地域に対し試験をもたらすことはアクセスを増加させるも
のの、いかなる型の追跡調査も、存在しないか、長い期間の後に起こるのみであることが
よくある。さらに、郵便、電話、またはEメールなどの他の方法は、利用できないか、ま
たは信頼性が低いため、しばしば対面でのコミュニケーションが唯一のオプションである
。これらの理由から、速い結果が不可欠である。上述したように、これらの状況において
、ラテラルフローストリップに基づく試験などのオプションが利用できるが、その感度は
限られており、かつこの形式の多重化試験の可能性もまた限られている。
感度
上述した問題に取り組む新しい装置は、ラテラルフローストリップアッセイの、安価、
手のひらに乗る大きさ、および速い結果が得られるという利点を有しながら、プレートベ
ースのELISAアッセイなどの、標準的な研究室の試験においてみられる感度もまた提
供する。好ましくは、このような新規の装置は、タンパク質の偶発的な吸着により生じた
バイオアッセイのバックグラウンドノイズの除去による、以前に達成できなかったレベル
の感度を実現する。
通常、最も感度の高いアッセイは、技術的に洗練されたサポートかつ資本集約的な医療
インフラを必要とする。現在の方法の下では、ポイント‐オブ‐ケアにおいて採取された
患者サンプルは、実際の試験を実施するために必要な機器および職員を維持する研究所に
輸送することができる。低資源の環境においては、単純にそのような機能へのアクセスが
持てず、これらの地域における最も感度の高い診断へのアクセスを妨げる。新規の装置は
、オンサイト分析を提供し、これにより医療インフラがあまり開発されていない環境にお
いて高感度の診断を利用することができる。
インフラが整っていない国でも、携帯電話はますます普及しつつある。これは、携帯電
話技術を利用して新規の診断装置を提供する機会を提供する。携帯電話に基づく診断装置
は、2つの理由からPOC環境において有用であろう:第1に、形態電話に基づく診断装
置は、携帯電話が蛍光画像検出器として再利用されることを可能にし、かつ第2に、形態
電話に基づく診断装置は、データが携帯電話によって診療所または病院などの遠隔地の健
康管理専門家に対して伝達されることを可能にする。十分な専門知識がPOCに存在する
場合であれば、携帯電話は単純に診断装置によって生み出されたデータの画像を取得する
ため、およびデータが検体濃度に達するように処理し、それらが提供者によって解釈され
得、診断に至るようにするために、使用することができる。しかしながら、検査が患者に
よって自己管理される例、または検査を執行する人が健康管理提供者でない例において、
データは携帯電話を介して他の場所にいる医療提供者に送信することができ、それによっ
て健康管理提供者は診断に至り、治療を処方することができる。これは、離れた場所にい
る軍事職員にとって特に有用である。
これらの需要および他の需要は、本発明によって満たされる。本発明は、全血からのフ
ェムトモラーまでの最小検出限界を有する蛍光免疫アッセイを実施することを可能にする
、特有のタンパク質および細胞耐性ポリマーブラシを利用するチップを提供する。ポリマ
ーブラシは、生体分子および細胞の非特異的吸着を排除することができる、安価な表面被
覆を提供する。さらに、本開示のタンパク質安定化特性は、外気温におけるチップの輸送
および貯蔵を可能にし、高価な気候制御貯蔵および輸送の必要性を回避する。サンプルの
必要な容積が少ないことによって、本願に記載したアッセイの迅速な実行につながり、5
分間以内で結果を出すことが可能となる。さらに、本明細書に記載の装置および方法は、
母親の病歴が利用できない場合(たとえば、戦争、飢饉、および紛争の地域)にたびたび
必要とされる、新生児のIDスクリーニングに著しく影響する可能性もあり、または既知
のIDの母親から新生児への潜在的伝達を調べることができる。最後に、拡散に依拠して
、2つの空間的に分離された試薬のセットをまとめることによってシグナルを生成するこ
とによって、本願に記載の装置および方法は、洗浄工程または液体移動工程の必要性を排
除する。
〔概要〕
本概要において提供される本発明の実施形態は、説明のみを目的とし、かつ本明細書に
開示される選択的実施形態の概観を提供することを目的とする。概要は例示的かつ選択的
であり、いかなる請求項の範囲も限定するものではなく、本明細書において開示または熟
慮された発明の実施形態の全範囲を提供するものではなく、本開示または請求項に記載し
た本発明の実施形態の範囲を、限定または束縛すると解釈されるべきではない。
本明細書においては、チップ内を通るチャネルと、チャネル内に包含される非汚染性ポ
リマー層とを含み、チャネルがチップ内に実質的に囲まれている(enclosed)チ
ップが提供される。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、第1の
基板と、第1の基板に接続された第2の基板とを含むことができ、第1の基板と第2の基
板との間に移動したチャネルを有している。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、
チップは、第1の基板を第2の基板に接着するための手段をさらに備えることができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、第1の基板または第2の基板を、実質
的にガラスで構成することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、
第1の基板または第2の基板を、実質的にプラスチックで構成することができる。本明細
書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、非汚染性ポリマー層に隣接して位
置し、かつ共有結合的に結合した、連結ポリマー層をさらに含むことができる。本明細書
に記載のいくつかの実施形態においては、連結ポリマー層は、連結することができる。本
明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは実質的に透明にできる。本明細
書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、チップ内に組み込まれた電子部品
を含まない。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、個別の、隔離
されたウェルを含まない。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、
血漿抽出成分を含まない。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップはた
った一つのチャネルを有することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態におい
ては、チップは2以上のチャネルを有することができる。本明細書に記載のいくつかの実
施形態においては、チャネルは直線状である。本明細書に記載のいくつかの実施形態にお
いては、チップは、チャネルのいずれかの端部からサンプルを導入できるように構成する
ことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップはチャネルを通
してサンプルを移動させる活性化のための手段を含まない。本明細書に記載のいくつかの
実施形態においては、チップはチャネルを通してサンプルを移動させる活性化のための装
置を含まない。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップはバーコード付
きにできる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップはバーコードなし
にできる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリマー層は、ボ
トルブラシポリマー(bottle brush polymer)を含むことができる。本明細書に記載のい
くつかの実施形態においては、ボトルブラシポリマーは、コスモトロープ頭部基(kosmot
rope head group)を含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態において
は、ボトルブラシポリマーは、ヒドロキシ末端重合オリゴエチレングリコールメチルメタ
クリレート(OEGMA)のホモポリマー、またはメトキシ末端OEGMAとヒドロキシ
末端OEGMAとのコポリマーを含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形
態においては、非汚染性ポリマー層は約10nmから約150nmの厚さにできる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリマー層は、非汚染性ポ
リマー層に直接、非共有結合した捕捉剤を含む、少なくとも1つの捕捉領域を含むことが
できる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、少なくとも1つの捕捉領域の
位置を画定することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、捕捉剤
は優先的に検体に結合することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態において
は、検体は、表面抗原、溶液媒介抗原、または結合した抗原であることができる、又は含
むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、検体は、ヒトB型血
液型抗原、ヒトA型血液型抗原、ヒトRh因子抗原、またはそれらの任意の組み合わせで
あることができる又は含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態において
は、捕捉剤は高分子であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、捕捉
剤は、抗体またはその断片であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては
、捕捉剤は、ポリヌクレオチド抗原、RNA抗原、DNA抗原、タンパク質抗原、ペプチ
ド抗原、炭水化物抗原、アプタマー抗原抗体抗原(an aptamer antigen an anitibodyanti
gen)、それらの断片、それらの任意の組み合わせであることができる、または含むことが
できる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チップは、非汚染性ポリマー
層に直接的に、非共有結合した、ヒトA血液型抗原に結合する第1の捕捉剤と、ヒトB血
液型抗原に結合する第2の捕捉剤と、およびヒトRh因子抗原に結合する第3の捕捉剤と
を含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、第1、第2、お
よび第3の捕捉剤は、非汚染性ポリマー層の離れた、画定された位置を占めることができ
る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、第1、第2、および第3の捕捉剤
は、独立して、抗体、またはその断片であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態
においては、第1、第2、および第3の捕捉剤の少なくとも一つは、独立して、IgM抗
体、IgA抗体、またはIgG抗体であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態に
おいては、チップは、非汚染性ポリマー層上に、さらに抗凝固剤を含み得る。本明細書に
記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリマー層は、抗凝固剤を含み得る。本
明細書に記載のいくつかの実施形態においては、抗凝固剤は、直接的に、非汚染性ポリマ
ー層に非共有結合されることができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては
、抗凝固剤は、非汚染性ポリマー層の一つ以上の離れた、画定された位置を占めることが
できる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、抗凝固剤は、ヘパリン、低分
子量ヘパリン、またはそれらの組み合わせであり得る。本明細書に記載のいくつかの実施
形態においては、チップは、約100fg/mlの検体の検出限界(LOD)を有するこ
とができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリマー層はさ
らに、検出剤を含む少なくとも一つの不安定領域を含むことができる。本明細書に記載の
いくつかの実施形態においては、少なくとも一つの不安定領域の位置を画定することがで
きる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、検出剤は、間接的に、非汚染性
ポリマー層に非共有結合することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態におい
ては、少なくとも1つの検出剤は、サンプルとの接触後に、サンプル中に少なくとも部分
的に溶解または分散することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては
、サンプルは、少なくとも1つの検体を含む液体であり得る。本明細書に記載のいくつか
の実施形態においては、液体は、血液であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態
においては、液体は、血漿、血清、尿、汗または唾液であり得る。本明細書に記載のいく
つかの実施形態においては、検出剤は高分子であり得る。本明細書に記載のいくつかの実
施形態においては、検出剤は、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、タンパク質、ペプチ
ド、アプタマー、抗体、その断片、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。本明細
書に記載のいくつかの実施形態においては、検出剤は標識され得る。本明細書に記載のい
くつかの実施形態においては、検出剤は、標識された抗体、またはその断片であり得る。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、検出剤は、フルオロフォア、発色団、
放射性標識、ポリヌクレオチド、小分子、酵素、ナノ粒子、微粒子、または量子ドットで
標識され得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、ナノ粒子は、貴金属ナ
ノ粒子であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリマー
層は、賦形剤を含み得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、賦形剤は、
水溶性塩、炭水化物、乳化剤、水溶性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせであり
得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、炭水化物は、グルコース、フル
クトース、キシロース、マンノース、トレハロース、ガラクトース、スクロース、または
ラクトースであり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、水溶性ポリマ
ーは、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施
形態においては、チップは、A型血液型抗原に結合する第1の検出剤、B型血液型抗原に
結合する第2の検出剤、およびRh因子抗原に結合する第3の捕捉剤を含むことができる
。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、第1、第2、および第3の検出剤は
、非汚染性ポリマー層の分離した、画定された位置を占めることができる。本明細書に記
載のいくつかの実施形態においては、チャネルは、チップ内の中央に位置することができ
る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、チャネルは、約0.01μLから
約500μLの容積を有することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態におい
ては、検出剤は、検体のチップへの侵入点に対して捕捉剤の下流に位置することができる
。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、捕捉剤および検出剤は、同じ検体に
結合することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、非汚染性ポリ
マー層がバルク水ではなく水和水を含むようにして、チップが保管される場合、捕捉剤お
よび/または検出剤は、約25℃の温度において少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約5
0%の結合活性を保持することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態において
は、チップは円筒形状であり得る。本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、毛
細管作用は、チャネルを通してサンプルを引き出すことができる。本明細書に記載のいく
つかの実施形態においては、チップは、検出器内に収容され、かつ検出器によって完全に
取り囲まれるように構成することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態におい
ては、非汚染性ポリマー層は、チャネルの長さに及んで延びることができる。本明細書に
記載のいくつかの実施形態においては、チップはダムを含み得る。本明細書においては、
検出器もまた提供される。本明細書においては、チップを含む検出器もまた提供される。
本明細書においては、チップを作成する方法もまた提供される。本明細書においては、検
体の存在または非存在を検出する方法もまた提供される。
いくつかの実施形態においては、本発明は、検体を検出するためのシステムを提供する
。典型的には、システムは、チップ、検出器、および携帯電話を含み得る。本発明のシス
テムで使用するためのチップは、非汚染性ポリマー層を含む。チップはさらに、非汚染性
ポリマー層上に配置された、捕捉剤および検出剤の少なくとも1つを含む。いくつかの実
施形態においては、捕捉剤は、非汚染性ポリマー層に非共有結合的に付着している。シス
テムの発明は、任意の検体を検出するために用い得る。好適な検体の例は、検体が、ヒト
A型血液型抗原;ヒトB型血液型抗原;ヒトAB血液型抗原;ヒトO型血液型抗原;ヒト
Rh因子抗原;グリコホリン;生物脅威病原体;感染性病原体に由来する抗原;癌抗原;
心臓血管疾患に関連する抗原;代謝性疾患に関連する抗原;上記の抗原の任意の組み合わ
せ;または上記の抗原のいずれかを認識する抗体であるか、またはそれらを含むが、それ
らに限定されない。いくつかの実施形態においては、検出剤は、フルオロフォア、および
フルオロフォアを励起する光の波長を放射する光源を含む検出器を含む。本発明のシステ
ムは、本明細書に記載されている任意のチップを、本明細書に記載の任意の検出器と組み
合わせて含むことができる。
本明細書においては、被験者における疾患または障害をスクリーニングする方法もまた
提供される。本明細書においては、被験体における疾患、障害または生物学的状態を決定
するための診断アッセイもまた提供される。本明細書に記載のいくつかの実施形態におい
ては、アッセイは、ポイント‐オブ‐ケアッセイであり得る。本明細書においては、キッ
トもまた提供される。
〔参照による組み込み〕
本明細書中の全ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許
出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示されているのと同じ程度に、参
照により組み込まれる。本明細書の用語と組み込まれた参照の用語との間に矛盾が生じた
場合、本明細書の用語が支配する。本明細書中に参照により組み込まれる特許および特許
出願は、少なくとも、US7,713,689、US8,367,314、US2006
0057180、US20090247424、US20130157889、およびU
S20130143771を含む。
〔詳細な説明〕
1つ以上の発明の実施形態の詳細を、添付の図面、特許請求の範囲、および本明細書の
説明において明らかにする。本明細書中で開示および熟考される本発明の実施形態の他の
特徴、目的、および利点は、明示的に除外されない限り、任意の他の実施形態と組み合わ
せることができる。
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、「含有する」、「含有している」
、「含む」、「含んでいる」等のようなオープンタームは、「含む」を意味する。
本明細書中で使用される場合、他に示されない限り、本明細書のいくつかの実施形態は
、数値範囲を熟慮する。数値範囲が指定されている場合、範囲には範囲の端点が含まれる
。数値範囲には、明示的に書かれているかのように、すべての値および部分範囲が含まれ
る。
用語「約」は、参照数字表示のプラスまたはマイナス10−15%を意味することがで
きる。
冠詞「a」、「an」および「the」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1以
上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連するフレーズ内に列挙さ
れた任意の単一の要素、ならびにすべての要素を含む2以上の要素の任意の組み合わせを
含むと理解すべきである。
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する技
術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、検体は、ヒトA型血液型抗原、ヒト
B型血液型抗原、ヒトAB型血液型抗原、ヒトO型血液型抗原、ヒトRh因子抗原、ヒト
MNS血液型抗原、ヒトP型血液型抗原、ヒトP1PK血液型抗原、ヒトルテラン(Lu
theran)血液型抗原、ヒトケル(Kell)血液型抗原、ヒトルイス(Lewis
)血液型抗原、ヒトダフィー(Duffy)血液型抗原、ヒトキド(Kidd)血液型抗
原、ヒトデエゴ(Diego)血液型抗原、ヒトYtまたはカートライト(Cartwr
ight)血液型抗原、ヒトXg血液型抗原、ヒトシャンナ(Scianna)血液型抗
原、ヒトドンブロック(Dombrock)血液型抗原、ヒトコルトン(Colton)
血液型抗原、ヒトランドシュタイナー‐ウィーナー(Landsteiner−Wien
er)血液型抗原、ヒトチド・ロジャース(Chido/Rodgers)血液型抗原、
ヒトH血液型抗原、ヒトHh/Bombay(ボンベイ)血液型抗原、ヒトKx血液型抗
原、ヒトガービッチ(Gerbich)血液型抗原、ヒトクロマー(Cromer)血液
型抗原、 ヒトノップス(Knops)血液型抗原、ヒトインディアン(Indian)
血液型抗原、ヒトOk血液型抗原、ヒトラフ(Raph)血液型抗原、ヒト ジョンミル
トンハーゲン(John Milton Hagen)血液型抗原、ヒト I血液型抗原
、ヒトリー(li)血液型抗原、ヒトグロボシド(Globoside)血液型抗原、ヒ
トジル(Gill)血液型抗原、ヒトRh関連糖タンパク質血液型抗原、ヒトフォルスマ
ン(Forssman)血液型抗原、ヒトランゲライス(Langereis)血液型抗
原、ヒトジュニア(Junior)血液型抗原であるか、またはそれらの任意の組み合わ
せであるか、またはそれらを含む。
本明細書で使用される場合、用語「サンプル」または「生物学的サンプル」は、任意の
望ましい操作またはさらなる処理および/または修飾を容易にするために、天然または天
然の状態から採取される任意の材料に関する。サンプルまたは生物学的サンプルは、細胞
、組織、流体(たとえば、生物学的流体)、タンパク質(たとえば、抗体、酵素、可溶性
タンパク質、不溶性タンパク質)、ポリヌクレオチド(たとえば、RNA、DNA)、膜
調製物、その他同類のものを含むことができ、これらは任意にその天然または天然の状態
からさらに単離および/または精製することができる。「生物学的流体」は、生物に由来
する任意の流体を指す。例示的な生物学的流体は、血液、血清、血漿、リンパ液、胆汁液
、尿、唾液、粘液、痰、涙、脳脊髄液(CSF)、気管支肺胞上皮洗浄、鼻咽頭洗浄、直
腸洗浄、膣洗浄、結腸洗浄、鼻洗浄、咽喉洗浄、滑液、精液、腹水、膿、母乳、耳液、汗
、および羊水を包含し得るが、それらに限定されない。生物学的流体は、その天然の状態
、または、試薬などの成分の添加、または1以上の天然成分(たとえば、血漿)の除去に
よって、修飾された状態であり得る。サンプルまたは生物学的サンプルは、たとえば、血
液、血漿、リンパ、ウイルス、細菌、ヒトサンプル、罹患したヒトサンプル、動物サンプ
ル、罹患した動物サンプル、唾液、粘液、脳脊髄液、滑液、胃液、腸液、細胞質液、また
は他の種類のサンプルであり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「バイオマーカー」は、生物学的状態または生物学
的プロセス、たとえば、疾患状態または疾患もしくは障害の診断的または予後的指標(た
とえば、疾患または障害の存在または後の発症の可能性を同定する指標)と関連する物質
を指す。バイオマーカーの存在または非存在、またはバイオマーカーの濃度の増加または
減少は、特定の状態またはプロセスと関連、および/または、特定の状態またはプロセス
を示し得る。バイオマーカーは、細胞、または細胞成分(たとえば、ウイルス細胞、細菌
細胞、真菌細胞、癌細胞など)、小分子、脂質、炭水化物、核酸、ペプチド、タンパク質
、酵素、抗原、および抗体を包含し得るが、それらに限定されない。バイオマーカーは、
細菌、真菌もしくはウイルスのような感染性病原体に由来し得るか、または疾患もしくは
障害に罹患している被験体において、健康な個体と比較して、多かれ少なかれ豊富に存在
する内在性分子であり得る(たとえば、遺伝子または遺伝子産物の発現の増加または減少
)。
本明細書中で使用される場合、用語「検出部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、
免疫化学的、化学的、電気化学的、放射能的、および他の物理的手段を含むがそれらに限
定されない方法によって検出可能な、任意の部分または化合物である。検出部分は、間接
的に検出可能であり得る;たとえば、検出部分は、特異的結合対のメンバーである部分ま
たは化合物であり得、結合対の第2のメンバーは、直接検出され得る検出部分を包含し得
る。そのような検出部分の非限定的かつ知られた例は、フルオロフォアなどの検出部分を
含むアビジンまたはストレプトアビジンに結合することができる、ビオチンである。例示
的な検出部分は、フルオロフォア、発色団、放射性標識、ポリヌクレオチド、小分子、酵
素、ナノ粒子、およびアップコンバーターを包含し得るが、それらに限定されない。
本明細書で用いられる場合、「感染症」(本明細書ではIDと略記する)という用語は
、たとえば、ウイルス、細菌、古細菌、プラナリア、アメーバおよび真菌などの微生物を
含むがそれらに限定されない感染性病原体によって引き起こされる疾患を指す。
本明細書で使用される場合、用語「ポリマー」は、当技術分野で使用されるその通常の
意味、すなわち、共有結合によって接続された1つ以上の繰り返し単位(モノマー)を特
徴とする分子構造を指す。繰り返し単位は全て同一であり得、または場合によっては、ポ
リマー内に繰り返し単位が2種類以上存在し得る。ポリマーという用語は、ホモポリマー
、コポリマー(たとえば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマ
ーなど)、およびそれらのブレンド、組み合わせおよび混合物を含む、任意の種類のポリ
マーを包含することが意図される。ポリマーは、直鎖状、分枝状、星型などであり得る。
本明細書で使用する「領域」という用語は、材料の表面上の画定された領域を指す。領
域は、異なる組成を有する2つの材料の間の明確な境界面によって識別され、かつ境界を
定めることができる。
本明細書で使用される「特異的結合対」は、互いに特異的な結合を示すか、または他の
分子と比べて互いに結合が増加した、2つの分子を指す。特異的結合対は、たとえば、受
容体およびリガンド(薬剤、タンパク質、または炭水化物など)、抗体および抗原、など
の機能的結合活性;またはたとえば、タンパク質/ペプチドおよびタンパク質/ペプチド
;タンパク質/ペプチドおよび核酸;ならびにヌクレオチドおよびヌクレオチドなどの構
造的結合活性を示すことができる。典型的には、結合対の1つのメンバーは、本明細書に
記載の装置において捕捉剤として働くことができ、かつ捕捉剤は、生物学的流体などのサ
ンプル内に検体として存在し得る、結合対の第2のメンバーに結合することができる。本
明細書で用いられる場合、「検体」は、上記のような特異的結合対の任意の第2のメンバ
ーであり得る。典型的には、検体は、生物学的流体などのサンプルの成分であるか、また
はそれらの中から見つかる。検体は、上記のバイオマーカーであり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」および「患者」は互換的に使用され、ヒ
トおよび非ヒト動物の両方を指す。「非ヒト動物」という用語は、たとえば非ヒト霊長類
、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類およびその他の同類のも
のを包含するがそれらに限定されない、哺乳類および非哺乳類のすべての脊椎動物を包含
することができる。特定の実施形態では、被験体はヒト患者である。
本明細書で用いられる場合、tRNAはトランスファーRNAを意味する。
本明細書で用いられる場合、rRNAはリボソームRNAを意味する。
本明細書で用いられる場合、mRNAはメッセンジャーRNAを意味する。
本明細書で用いられる場合、siRNAは低分子干渉RNAを意味する。
本明細書で用いられる場合、miRNAはマイクロRNAを意味する。
本明細書で用いられる場合、DNA−RNAハイブリッドは、DNAおよびRNAの両
方を含む一本鎖ポリヌクレオチドである。DNA−RNAハイブリッドは、たとえばポリ
ヌクレオチドプローブにアニールすることができる。
本明細書で用いられる場合、選択的プローブは、2以上の標的RNAに結合し得るが、
複数の標的RNAに等しくは結合しない。
本明細書で用いられる場合、特異的ポリヌクレオチドプローブは、一つの標的RNAに
のみ結合する。
本明細書に開示されるのは、標的RNAを検出する方法であって:
a)標的RNAをポリヌクレオチドプローブにアニーリングさせる工程と;
b)アニールされた標的RNAを少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸で
伸長してRNA−DNAハイブリッドを形成する工程と;
c)RNA−DNAハイブリッドを少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸
で伸長して、伸長したRNA−DNAハイブリッドを形成する工程と;および
d)伸長したRNA−DNAハイブリッドの存在を検出することによって、標的RNAの
存在を検出する工程とを含む。
この方法は、固体支持体であり得る支持体上で行うことができる。この方法は、ポリヌ
クレオチドプローブと結合した固体支持体の層または部分上で行うことができる。
この方法は、疾患または状態に関連する標的RNAの存在が検出されたときに、疾患ま
たは状態を診断するために使用することができる。これらに限定しないが、疾患または状
態は、たとえば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、
単純ヘルペスウイルス−1(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2(HSV−2)、ヒ
トパピローマウイルス(HPV)、ヒトパピローマウイルス16(HPV−16)、ヒト
パピローマウイルス−18(HPV−18)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウ
イルス(HBV)、A型肝炎ウイルス(HVA)、サイトメガロウイルス、結核、クラミ
ジア、淋菌、梅毒、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、流行性耳下腺炎、麻し
ん、コレラ、腸チフス(typhoid fever)、リウマチ熱、癌、脳卒中、虚血性疾患、心臓
血管疾患、ライム病、狂犬病、インフルエンザ、エボラ、妊娠、真菌感染症、細菌感染症
、ポリオ、天然痘、糖尿病、I型糖尿病、II型糖尿病、ウイルス感染、自己免疫疾患、
神経変性疾患、およびそれらの任意の組み合わせであり得る。
標的RNAの量は定量することができる。
この方法は、アレイまたはマイクロアレイ上で行うことができる。
この方法は、アレイまたはマイクロアレイを含むことができる医療機器上で行うことが
できる。
複数の標的RNAを同時に検出することができる。対照は、アレイまたはマイクロアレ
イに包含させることができる。複数の標的RNAを検出する場合、2つ以上のポリヌクレ
オチドプローブが異なり得る。固体支持体または医療機器またはアレイまたはマイクロア
レイは、たとえば、約5、約10、約50、約100、約500、約1000、約500
0、約10,000、約20,000、約50,000、または約1から約100,00
0、または少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10,
000、少なくとも100,000のポリヌクレオチドプローブを含むことができる。ポ
リヌクレオチドプローブは、たとえば、ポリヌクレオチドプローブがアレイまたはマイク
ロアレイ上の画定された位置を占めるように、マイクロアレイ上に印刷することができる
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、支持体、固体支持体および医療機器は、基
層および非汚染性層(たとえば、ボトルブラシポリマーを含む)を含むことができ、ポリ
ヌクレオチドプローブは、非汚染性層に結びついている。ポリヌクレオチドプローブは、
共有結合的にまたは非共有結合的に結びつくことができる。本明細書に記載のいくつかの
実施形態では、非汚染性層はアンカーと非共有結合的または共有結合的に結びつくことが
でき、アンカーは、ポリヌクレオチドプローブと共有結合で結合したテザーと、共有結合
または非共有結合している。スペーサーは、テザーとポリヌクレオチドプローブとの間に
挿入され得る。スペーサーは、たとえば、アミノ酸である。アミノ酸は、たとえば、テザ
ーおよびポリヌクレオチドプローブの両方に、共有結合的に結合することができる。この
ようにして、スペーサーの存在の有無にかかわらず、ポリヌクレオチドプローブは、非汚
染性ポリマー層に固着することができるが、ポリヌクレオチドプローブは非汚染層と、共
有結合的に結びついておらず、かつ間接的に非共有結合的にも結びついていない。そのよ
うな結びつきは、たとえば、間接的、非共有結合的な結びつきであり得る。
検体の検出結果は、データとして獲得することができ、たとえば、画像を獲得すること
ができ、かつデータを、たとえば電話回線、インターネット、イントラネット、ファック
ス、テキスト、電子メール、または手紙などの、通信媒体を介して送信することができる
たとえばデータは、たとえばスマートフォンなどの携帯電話に組み込むことができるデ
ジタルカメラなどを用いて獲得することができる、デジタル画像とすることができる。
本発明者らは、驚くべきことに、ポリヌクレオチドプローブにアニールされた標的RN
Aを酵素的に伸長させることができ(たとえば、DNA塩基(デオキシリボヌクレオチド
)を付加することができる)、および得られたDNA−RNAハイブリッドを検出できる
ことを見出した。検出は、たとえば、RNAをDNAへと逆転写することなしに、DNA
の増幅なしに、およびDNAまたは標的RNAの配列決定をせずに、起こすことができる
デオキシリボヌクレオチドは、たとえば、標的RNAの突出した(たとえば、アニール
されていない)3’末端に付加することができ、標的RNAの一部をポリヌクレオチドプ
ローブにアニールすることができる。
標的RNAは、生物学的サンプルに由来し得るか、または取得され得る。生物学的サン
プルは、溶解することができる。
標的RNAは、合成であってもよく、および天然に見出される配列であっても、または
天然には見出されない配列であってもよく、またはそれらの断片であってもよい。
標識は、蛍光色素であり得る。蛍光色素は、高分解能でリアルタイムに液滴で検出する
ことができ、および別個の励起波長および発光波長を有する多くの蛍光色素が利用可能で
あるので、1回の実験で多数の標識を監視することが可能になる。蛍光染料のセットは、
同じ反応において2つ以上の染料を同時に検出できるように選択することができる。同時
に検出できる蛍光染料のセットは、Cy3、Cy5、FAM、JOE、TAMRA、RO
X、dR110、dR6G、dTAMRA、dROX、またはこれらの任意の混合物を包
含することができるが、それらに限定されない。それらの染料は、本明細書の実施形態を
実施するために、個々にまたは任意の組み合わせで使用することができる。染料は、一分
子の検出を可能とすることができる。多数の蛍光染料が合成されており、かつ様々な形式
で市販されている。これは、ジアルデヒド基との反応においてRNAへのカップリングを
可能にするリンカー領域およびヒドラジン基を有する蛍光色素を包含することができる。
このような化合物の例は、Invitrogenのカタログを参照されたい。本開示は、
特定の蛍光色素の使用に限定されないが、異なる色素を同じ効果に適用することができる
。リンカー領域は、炭素骨格からなり得、硫黄原子、ケトン基、またはジエチレングリコ
ール基、またはドデカエチレングリコール基を含むことができる。リンカーの長さは、骨
格が1〜20原子の直鎖分子である場合に変化し得る。リンカーは、たとえば、PCT特
許公開第WO2003/048387号に開示されているように、化学反応における標識
の選択的除去を可能にする原子群を含むことができる。
標識の非限定的な例は、5−FAM(5−カルボキシフルオレセインとも呼ばれる;ま
たスピロ(イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン)−5−カルボン
酸,3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソ−6−カルボキシフルオレセイン)とも呼ば
れる;5−ヘキサクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキ
サクロロ−(3’,6’−ジピバロイル−フルオレセイニル)−6−カルボン酸)];6
−ヘキサクロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ
−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);5−テトラク
ロロ−フルオレセイン;([4,7,2’,7’−テトラ−クロロ−(3’,6’−ジピ
バロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);6−テトラクロロ−フルオレセイン
;([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’,6’−ジピバロイルフルオレセイニ
ル)−6−カルボン酸]);5−TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミン)
;キサンチリウム、9−(2,4−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチル−
アミノ);6−TAMRA(6−カルボキシテトラメチルローダミン);9−(2,5−
ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチルアミノ);EDANS(5−((2−
アミノエチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);IAEDANS(5−((((
2−ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);Cy5
(インドジカルボシアニン−5);Cy3(インド−ジカルボシアニン−3);およびB
ODIPY FL(2,6−ジブロモ−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボ
ラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−pr−プロピオン酸);Quasar(
登録商標)−670染料(Biosearch Technologies);CalF
luor(登録商標)Orange色素(Biosearch Technologie
s);Roxダイ;Maxダイ(Integrated DNA Technologi
es)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、4,7,2’−トリクロロ−7’−フ
ェニル−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)、HEX、Cy3、Cy3.5、Cy
5、Cy5.5、Cy7、テトラメチルローダミン、ROX、 およびJOEならびにそ
の好適な誘導体を含むが、それらに限定されない。標識は、Alexa Fluor35
0、405、430、488、532、546、555、568、 594、633、6
47、660、680、700、および750などのAlexa Fluor染料であり
得る。標識は、Cascade Blue、Marina Blue、 Oregon
Green 500、Oregon Green 514、Oregon Green
488、Oregon Green 488−X、Pacific Blue、Rhod
amine Green、Rhodol Green、Rhodamine Green
−X、Rhodamine Red−XおよびTexas Red−Xであり得る。標識
は、プローブの5’末端、プローブの3’末端、およびプローブの5’末端および3’末
端の両方、またはプローブの内部であり得る。たとえばmRNAなどの標的ポリヌクレオ
チドの2つの末端といった、異なるそれぞれの位置を実験において検出するために、特有
の標識を用いることができる。
標識化に用いることができる染料‐ヒドラジドの非限定的な例は、Alexa Flu
or(登録商標)−ヒドラジドおよびその塩、1−ピレンブタン酸−ヒドラジド、7−ジ
エチルアミノクマリン−3−カルボン酸−ヒドラジド(DCCH)Cascade Bl
ue(登録商標)ヒドラジドおよびその塩、ビオシチン−ヒドラジド、2−アセトアミド
−4−メルカプトブタン酸−ヒドラジド(AMBH)、BODIPY(登録商標)FL−
ヒドラジド、ビオチン−ヒドラジド、Texas Red(登録商標)−ヒドラジド、ビ
オシチン−ヒドラジド、ルミノール(3−アミノフタルヒドラジド)、およびMarin
a Blue(登録商標)ヒドラジドを包含し得る。標識化に用いることのできる染料‐
エチレンジアミンの非限定的な例は、5−ジメチルアミノナフタレン−1−(N−(2−
アミノエチル))スルホンアミド(ダンシルエチレンジアミン)、Cascade Bl
ue(登録商標)エチレンジアミンおよびその塩、N−(2−アミノエチル)−4−アミ
ノ−3,6−ジスルホ−1,8−ナフタルイミド(ルシファーイエローエチレンジアミン
)およびその塩、N−(ビオチノイル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミン、
N−(2−アミノエチル)ビオチンアミド、ハイドロブロマイド(ビオチンエチレンジア
ミン)、4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアサ−s−
インダセン−3−プロピオニルエチレンジアミンおよびその塩(BODIPY(登録商標
)FL EDA)、Lissamine(商標)ローダミンBエチレンジアミン、および
DSB−X(商標)ビオチンエチレンジアミン(デスチオビオチン−X エチレンジアミ
ン、塩酸塩)を包含し得る。
標識化に用いることのできる染料‐カダベリンの非限定的な例は、5−ジメチルアミノ
ナフタレン−1−(N−(5−アミノペンチル))スルホンアミド(ダンシルカダベリン
)、5−(アンド−6)−((N−(5アミノペンチル)アミノ)カルボニル)テトラメ
チルローダミン(テトラメチルローダミンカダベリン)、N−(5−アミノペンチル)−
4−アミノ−3,6−ジスルホ−1,8−ナフタルイミドおよびその塩(ルシファーイエ
ローカダベリン)、N−(5−アミノペンチル)ビオチンアミドおよびその塩(ビオチン
カダベリン)、ビオチン−Xカダベリン(5−(((N−(ビオチノイル)アミノ)ヘキ
サノイル)アミノ)ペンチルアミンおよびその塩、Texas Red(登録商標)カダ
ベリン(Texas Red(登録商標)C5)、5−(((4−(4,4−ジフルオロ
−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−yl)
フェノキシ)アセチル)アミノ)ペンチルアミンおよびその塩(BODIPY(登録商標
)TR カダベリン)、Oregon Green(登録商標)カダベリン、Alexa
Fluor(登録商標)カダベリン、および5−((5−アミノペンチル)チオウレジ
ル)フルオレセインおよびその塩(フルオレセインカダベリン)を包含し得る。
本明細書において、マイクロアレイ形式におけるRNA検出のための表面開始酵素重合
(SIEP)の使用も開示する。この方法は、たとえば酵母ポリ(A)ポリメラーゼ(P
aP)によって触媒される、標的RNA分子の3’−OHにデオキシアデノシン三リン酸
(dATP)を組み込むための、連続的かつ相補的な反応と、その後に続く、たとえば末
端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)によって触媒される、RNA−
DNAハイブリッド(たとえば、伸長したRNA−DNAハイブリッド)の3’−OHに
おける天然デオキシヌクレオチドおよび蛍光デオキシヌクレオチド(dNTP)の混合物
の連続的な添加とを用いて、多数のフルオロフォアをRNA鎖に組み込むことができる。
酵母PaPを用いたdATPの重合により、RNAの3’末端を効率的にDNAに変換す
ることができ(約50%の変換)、かつPaPによりRNAの末端に付加された短いDN
A鎖は、1KbのDNAあたり約45個のCy3フルオロフォアを含む、天然および蛍光
dNTPの混合物から、TdTにより触媒される、より長いDNA鎖の重合の開始剤とし
て作用する。短い21塩基長のRNA標的と固定化されたペプチド核酸プローブとのハイ
ブリダイゼーションにおいて、約2pMの検出限界(LOD)および3logの線形ダイ
ナミックレンジが得られたが、4つの異なる完全長mRNA転写産物からのmRNA断片
は、マイクロアレイ形式で同様のダイナミックレンジにおいて、約10pMのLODを生
じた。
ジオキシリボヌクレオチド三リン酸は、たとえば、アデニン、チミン、グアニン、また
はシトシンであり得る窒素塩を含む。
また、本明細書に開示されるのは、表面を有する基板;表面上の非汚染性ポリマー層;
少なくとも一つの捕捉剤を含む、ポリマー層上の少なくとも一つの捕捉領域;および少な
くとも一つの検出剤および賦形剤を含む、ポリマー層上の少なくとも一つの不安定領域を
含む装置であり;捕捉領域および不安定領域は、空間的に分離されている。本開示は、ま
た方法、アッセイ、および装置を含むキットを提供する。非汚染性ポリマー層は、サンプ
ル成分と、基板および/またはポリマー層との間の非特異的結合の減少をもたらし得る。
ポリマー層上の不安定領域は、たとえば、単に装置の表面にサンプルを接触させる工程、
およびその後、捕捉領域からのシグナルを検出する工程などの、典型的なアッセイに含ま
れる必要な工程を減らすことによって、高感度の検出限界をもたらしながら、単純化され
た方法およびアッセイを可能とする。装置および関連する方法は、研究および臨床検査室
ならびに大規模なポイント‐オブ‐ケア アッセイを包含する、多くの環境に高度に適応
可能である。
基板
本開示にしたがって、さまざまな異なる型の基板を用いることができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、基板は、ポリマー層の適用を可能にする表
面を含むことができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、基板は、標識されて
いない光学的または質量の検出器(たとえば、表面プラズモン共鳴エネルギー検出器、光
導波路、エリプソメトリ検出器など)であり得、かつ基板の表面は、検出表面(たとえば
、生物学的流体と接触しているだろう表面部分)である。そのような装置の例は、米国特
許番号6,579,721;6,573,107;6,570,657;6,423,0
55;5,991,048;5,822,073;5,815,278;5,625,4
55;5,485,277;5,415,842;4,844,613;および4,82
2,135に記載されたものを包含するが、それらに限定されない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、基板は、バイオセンサ、アッセイプレート
その他同類のものであり得る。たとえば、基板は、米国特許第5,313,264号明細
書、米国特許第5,846,842号明細書、米国特許第5,496,701号明細書な
どに記載されたものなどの、光学的バイオセンサであり得る。基板は、米国特許第5,4
13,690号明細書または国際公開WO98/35232号に記載されているような、
電位差測定バイオセンサ、または電気化学的バイオセンサであり得る。基板は、米国特許
第5,777,372号明細書に記載されているような、ダイアモンドフィルムバイオセ
ンサであり得る。したがって、基板は、有機または無機でありえる;金属(たとえば、銅
または銀)または非金属であり得;ポリマーまたは非ポリマーであり得;導電性、非導電
性、または非導電性(絶縁性)であり得;反射性または非反射性であり得;多孔質または
非多孔質であり得る;など。たとえば、基板は、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、金、シリコン、
酸化ケイ素、酸窒化シリコン、インジウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、チタン、酸化チ
タン、白金、イリジウム、インジウム錫酸化物、ダイヤモンドまたはダイヤモンド様フィ
ルムなどを含むことができる。
基材は、「チップベース」および「ピンベース」のコンビナトリアル化学技術に適した
基材であり得る。すべて、公知の技術にしたがって用意することができる。たとえば、米
国特許第5,445,934号明細書、米国特許第5,288,514号明細書および米
国特許第5,624,711号明細書を参照されたい。
上記の基板は、金属、金属酸化物、合金、半導体、ポリマー(織布、不織布、成形、押
出、鋳造などの任意の好適な形態の有機ポリマーなど)、シリコン、酸化ケイ素、セラミ
ック、ガラス、およびそれらの複合物からなる群から選ばれる材料を包含するがそれらに
限定されない任意の好適な材料により、形成することができる。
本明細書に記載の基板を形成するために用いられるポリマーは、任意の好適なポリマー
であり、以下を含むが、それらに限定されない:ポリ(エチレン)(PE)、ポリプロピ
レン(PP)、ポリ(ブタジエン)(PB)のシスおよびトランス異性体、ポリイソプレ
ンのシスおよびトランス異性体、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリスチ
レン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PECLまた
はPCL)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびその同族体、ポリ(メチ
ルアクリレート)およびその同族体、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)、
ポリオルトエステル、ポリ(無水物)、ナイロン、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン
(PDMS)、ポリブタジエン(PB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリ
ルアミドおよびたとえばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)などのその同族体、フ
ッ素化ポリアクリレート(PFOA)、ポリ(エチレン−ブチレン)(PEB)、ポリス
チレン−アクリロニトリル)(SAN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およ
びその誘導体、ポリオレフィンプラストマー、ならびにそれらの組み合わせおよびこれら
のコポリマーなど。
基板は、たとえば、以下でさらに説明するように、たとえば、ポリマー層または連結層
の堆積を容易にするために、基板の表面に形成された金または酸化物層などの追加の層を
任意に有することができる。
チップ
本発明において使用するための基板は、チップの形態であり得る。典型的には、本発明
のチップは、少なくとも部分的にチップの内部に延びるチャネルを画定する。チャネルは
、1つ以上のチャネル表面上に配置された1つ以上の非汚染性ポリマー層を有し得る。チ
ャネルは、一方または両方の端部が開いていてもよく、かつチップを貫通して延びるチュ
ーブを形成するように全体的に覆われていてもよい。いくつかの実施形態では、本発明の
チップは、チャネルにサンプル(たとえば、血液などの生物学的流体)を引き込むために
毛細管作用に依存することができる。したがって、チャネルは、毛細管作用を支える寸法
を有することができる。他の実施形態において、本発明のチップは、オープンウェルを画
定し得る。一実施形態において、チップは毛細管作用を介して指採血から血液を受け入れ
るためのチャネルを有するように設計されている。そのような実施形態において、チャネ
ルは数マイクロリットルの容積、たとえば、約0.5マイクロリットルから約100マイ
クロリットル、約0.5マイクロリットルから約75マイクロリットル、約0.5マイク
ロリットルから約50マイクロリットル、約0.5マイクロリットルから約25マイクロ
リットル、約0.5マイクロリットルから約10マイクロリットル、約0.5マイクロリ
ットルから約5マイクロリットル、約1マイクロリットルから約100 マイクロリット
ル、約1マイクロリットルから約75マイクロリットル、約1マイクロリットルから約5
0マイクロリットル、約1マイクロリットルから約25マイクロリットル、約1マイクロ
リットルから約10マイクロリットル、約1マイクロリットルから約5マイクロリットル
、約2.5マイクロリットルから約100マイクロリットル、約2.5マイクロリットル
から約75マイクロリットル、約2.5マイクロリットルから約50マイクロリットル、
約2.5マイクロリットル約25マイクロリットル、約2.5マイクロリットルから約1
0マイクロリットル、または約2.5マイクロリットルから約5マイクロリットルを有す
るように設計し得る。一実施形態では、本発明のチップは、幅約4mm、長さ約9mm、
高さ約0.1mmの寸法(3.6マイクロリットル)を有するチャネルを画定することが
できる。典型的には、チャネルの1つ以上の表面は、1つ以上のマイクロスポットまたは
ナノスポットを含む。スポットは、本発明のアッセイの実施において使用される1つ以上
の試薬を含み得る。一実施形態では、直径約100ミクロンのスポットを使用することが
できる。
一実施形態では、本発明のチップは、上に列挙した寸法を有するチャネルを画定する。
チャネルの底面には、直径100ミクロンのスポットが配置されている。スポットの中心
から中心への間隔は、200ミクロンであり得る。この種類の実施形態において、4mm
x9mmチャネルは、100ミクロンの直径のスポットを、概略で900個有することが
できる。チャネルの寸法、スポットサイズ、および/またはスポット間隔は、所望の数の
スポットを収容するように調整することができる。スポットの適切な数は、約100から
約10000スポット、約100から約7500スポット、約100から約5000スポ
ット、約100から約2500スポット、約100から約1000スポット、500から
約10000スポット、約500から約7500スポット、約500から約5000スポ
ット、約500から約2500スポット、または約500から約1000スポットであり
得る。再現性のためにまったく同じスポットが一般的に望ましいが、各スポットは異なる
材料であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明のチップは、一つ以上のダムを含み得る。1つ以上の
スポットを1つ以上の他のスポットから分離するために、ダムを設けてもよい。ダムは、
水溶性であってもよく、および当業者に知られている任意の材料から作られる。ダムは、
捕捉剤と検出剤との間のチップ上に配置されてもよい。ダムは、水溶性塩、水溶性糖、水
溶性ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。ダムを構成する材料の好適
な例は、リン酸塩、クエン酸塩、トレハロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコール、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
ダムは、チップのチャンネル上の任意の位置に配置することができる。たとえば、チャ
ネルの流体の入口、チャネル内の点、またはチャネルの流体の入口と反対側のチャネルの
端部に、ダムを配置することができる。ダムは、チャネルの幅の全部または一部にわたっ
て配置されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のスポットを含み、かつチャネルの
幅にわたってダムも含むチャネルを、チップ上に画定することができる。
本発明のチップは、両面テープで分離された2つのガラスカバースリップを使用して作
製され得、チップ間に空間を形成し、それによりチャネルが画定される。光学検出法、た
とえば蛍光検出を用いる本発明のアッセイにおいて、プラスチックを含む任意の光学的に
透明な材料を、基板として使用することができる。
結合層
基板およびポリマーの選択に依存して、基板およびポリマー層の間に、任意に結合層を
含めることができる。たとえば、結合層は、開始剤(たとえば、直接的にカップリング、
または中間連結基を介してカップリングされている)にカップリング(たとえば、共有結
合的にカップル)されたアンカー基を含む化合物から形成することができる。アンカー基
の選択は、その上で結合層が形成される基板に依存し得、かつ開始剤の選択は、下記でよ
り詳細に説明するように、非汚染性ポリマーを形成するために用いられる特定の反応に依
存し得る。
アンカリング基は、共有結合的、または非共有結合的に、化合物または結合層を、基板
の表面にカップルすることができる。非共有結合的カップリングは、疎水性相互作用、水
素結合、ファンデルワールス力、イオン結合、金属−リガンド相互作用などを含むが、そ
れらに限定されない、任意の好適な二次的相互作用によることができる。
基板材料および対応するアンカリング基の例は、たとえば、金、銀、銅、カドミウム、
亜鉛、パラジウム、白金、水銀、鉛、鉄、クロム、マンガン、タングステン、およびそれ
らのチオール、スルフィド、ジスルフィド(たとえば、RがHである−SRまたは−SS
R、低級アルキルなどのアルキル、またはアリール)などの硫黄含有官能基との任意の合
金およびその他同類のもの;シランおよびクロロシラン(たとえば、RがHである−Si
Cl、低級アルキルなどのアルキル、またはアリール)でドープされたまたはドープ
されていないシリコン;アンカリング基としてカルボン酸を有する、シリカ、アルミナ、
石英、ガラスおよびその他同類のものの金属酸化物など;亜硝酸塩およびイソニトリルを
有する白金およびパラジウム;およびヒドロキサム酸を含む銅を含むことができる。アン
カリング基として追加の好適な官能基は、ベンゾフェノン、酸塩化物、無水物、エポキシ
ド、スルホニル基、ホスホリル基、ヒドロキシル基、ホスホネート、ホスホン酸、アミノ
酸基、アミドおよびその他同類のものを含み得る。米国特許第6,413,587号明細
書を参照されたい。
任意の開始剤が、開始剤の活性にとって重要でない位置に共有結合を導入することによ
って、アンカリング基に組み込まれ得る。そのような開始剤の例は、ブロムイソ酪酸塩、
ポリメチルメタクリレート−C1、ポリスチレン−C1、AIBN、2−ブロモイソ酪酸
塩、クロロベンゼン、ヘキサブロモメチルベンゼン、ヘキサクロロメチルベンゼン、ジブ
ロモキシレン、メチルブロモプロピオネートを包含し得るが、それらに限定されない。開
始剤の追加の例は、米国特許番号6,413,587(たとえばそのカラム10〜11)
に記載されている開始剤、および米国特許第6,541,580号明細書に記載されてい
る開始剤を包含し得る。
上記のように、アンカリング基と開始剤との間に、連結基または「スペーサー」を挿入
することができる。リンカーは、極性、非極性、正帯電、負帯電、または非帯電であり得
、およびたとえば、飽和または不飽和、直鎖または分枝アルキレン、ヘテロアルキレン、
アラルキレン、アルカリーレン、または他のヒドロカルビレン、たとえばハロゲン化ヒド
ロカルビレン、特にフッ素化ヒドロカルビレンであり得る。好適なリンカーは、3から2
0の炭素原子の飽和アルキレン基、すなわち-(CH-であり得、ここで、nは3か
ら20をすべて包含した整数である。米国特許番号6,413,587を参照されたい。
リンカーの他の好適な実施形態は、3から20ユニットのオリゴエチレングリコール、す
なわち、-(CHCHO)n-であり、ここで、nは3から20をすべて含んだ整数で
ある。
アンカリング層は、任意の好適な技術によって堆積(deposit)できる。アンカ
リング層は、自己組織化単分子層として堆積することができる。アンカリング層は、化学
反応による基板の修飾によって(たとえば米国特許番号6,444,254を参照された
い)、または反応性プラズマエッチングまたはコロナ放電処理によって作り出すことがで
きる。アンカリング層は、プラズマ堆積処理によって堆積することができる。アンカリン
グ層は、スピンコーティングまたはディップコーティングによって堆積することができる
。アンカリング層は、スプレー塗装によって堆積することができる。アンカリング層は、
成膜、印刷、スタンピングなどによって堆積することができる。アンカリング層は、連続
的な層として、または非連続的な(たとえば、パターン化された)層として、堆積するこ
とができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、基板は、ガラス、シリコン酸化物または他
の無機または半導体材料(たとえば、シリコン酸化物、シリコン窒化物)、またはマイク
ロアレイの製造に一般に使用される化合物半導体(たとえば、ヒ化ガリウム、およびヒ化
インジウムガリウム)である。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、基板はマイク
ロタイター(マイクロウェル)プレートであり得る。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、アンカリング基は、シランまたはクロロシ
ラン(たとえば、RがHである−SiRCl、低級アルキルのようなアルキル、または
アリール)であり得る。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、結合層は、2つの分離した工程により、基
板上に形成される。たとえば、第1の工程において、アルキルシランまたはアルカンチオ
ールのアンカリング層は、二酸化ケイ素またはガラスまたは金などの表面上に堆積され得
、かつ末端反応性官能基(たとえば、アミン)を提示する。その後、第1の連結層によっ
て提示される末端基に対して反応性のある第1の官能基を含む二官能性分子は、第1の工
程において堆積された第1の連結層と反応することができる。二官能性分子の第2の官能
基は、ポリマー層の重合のための開始剤として作用する部分基、たとえばATRP開始剤
を含む。
ポリマー層
本明細書に記載した装置のポリマー層は、非汚染性の性質を呈する。ポリマー層に関し
て本明細書で使用される非汚染性は、生物の増殖、および、ポリマーと、生物または生体
分子(たとえば、細胞、タンパク質、ヌクレオチドなど)との間の非特異的または不定の
結合相互作用の阻害(たとえば、低減または予防)に関連する。ポリマーの非汚染性の性
質は、たとえば、非汚染(または代替的に、防汚)剤の組み込み、またはポリマー自体の
構造/構造によるものなど、任意の好適な方法によって導入することができる。非汚染剤
は、当該技術分野において公知であり、かつ装置の特定の用途に応じて、または非汚染剤
の利用可能性に応じて、当業者によって選択され得る。非限定的な例は、殺生物活性を有
する有機および無機化合物、ならびに、ポリマー層に組み込まれ得るかまたは結合され得
、生体分子(たとえば、細胞、タンパク質、ヌクレオチド、炭水化物/脂質など)とポリ
マーとが接触したときの非特異的結合相互作用を低減または阻害する化合物を包含し得る
いくつかの実施形態において、非汚染性を提供する構造(structure)または
構成(architecture)を有するポリマー層を提供する。本明細書に記載され
ている実施形態のいくつかでは、ポリマーは、一般に、そこにカップルされた生体分子(
たとえば、細胞、タンパク質、ヌクレオチド、炭水化物/脂質)の結合を阻害するように
機能する1つ以上の基を有するモノマーコア基の重合によって形成される、ブラシポリマ
ーを好適に含む。好適には、モノマーコア基は、タンパク質耐性頭部基(Protein-resista
nt head group)にカップルされ得る。
ポリマー層は、触媒連鎖移動重合、イニファーター媒介重合(たとえば、光イニファー
ター媒介重合)、フリーラジカル重合、安定フリーラジカル媒介重合(SFRP)、原子
移動ラジカル重合(ATRP)、および可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合などの
ラジカル重合技術を用いて好適に形成され得る。
たとえば、ブラシポリマーを形成するためのモノマーのフリーラジカル重合は、米国特
許第6,423,465号明細書、米国特許第6,413,587号明細書および米国特
許第6,649,138号明細書、米国特許出願公開第2003/0108879号明細
書に記載の公知の技術、および当業者にとって明白なそれらの変形などにしたがって実行
することができる。
ブラシポリマーを形成するためのモノマーの原子移動ラジカル重合は、米国特許第6,
541,580号明細書および米国特許第6,512,060号明細書、米国特許出願公
開第2003/0185741号明細書に記載の公知の技術、および当業者にとって明白
なそれらの変形などにしたがって実行することもできる。
スチレン、アクリロニトリル、アセテート、アクリレート、メタクリレート、アクリル
アミド、メタクリルアミド、ビニルアルコール、ビニル酸、およびそれらの組合せを含む
が、それらに限定されない、上記のプロセスによって重合可能な任意の好適なコアビニル
モノマーとして使用することができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、ポリ(OEGMA)(POEGMA)膜を
形成するために、オリゴ(エチレングリコール)メチルメタクリレート(OEGMA)の
表面開始ATRP(SI−ATRP)によって、ポリマー層を形成することができる。一
実施形態において、ポリマー層は、メタクリレートとメトキシ末端化OEGMAとの共重
合によって調製された官能化POEGMAフィルムである。好適には、POEGMAポリ
マーは、単一の工程で形成され得る。
一般に、本明細書に記載の処理(または当技術分野で知られているか、または当業者に
とって明らかである他の処理)によって形成されたブラシ分子は、2または5から100
または200ナノメートルまでの長さ、またはそれ以上であり得、メートル当たり、10
,20または40から100、200または500ミリグラムまで、またはそれ以上の密
度で表面部分に堆積することができる。
タンパク質耐性基は、親水性頭部基またはコスモトロープであり得る。例は、オリゴ糖
、トリ(プロピルスルホキシド)、ヒドロキシル、グリセロール、ホスホリルコリン、ト
リ(サルコシン)(Sarc)、N−アセチルピペラジン、ベタイン、カルボキシベタイ
ン、スルホベタイン、ペルメチル化ソルビトール、ヘキサメチルホスホラミド、分子内両
性イオン(たとえば、−CH(CHCHCHCHSO )(ZW)
、およびマンニトールを包含し得るが、それらに限定されない。
コスモトロープタンパク質抵抗性頭部基のさらなる例としては、以下を包含し得るが、
それらに限定されない:
-(OCHCHOH;
-O(マンニトール);
-C(O)N(CH)CH(CH(OCH))CHOCH
-N(CH Cl-/-SO -Na(1:1);
-N(CH CHCHSO -
-C(O)Pip(NAc)(Pip=ピペラジニル)
-N(CH CHCO -
-O([Glc−α(1,4)−Glc−β(1)-]);
-C(O)(N(CH)CHC(O))N(CH
-N(CH CHCHCHSO -
-C(O)N(CH)CHCHN(CH)P(O)(N(CH -;およ

-(S(O)CHCHCHS(O)CH
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、適切なタンパク質耐性頭部基は、ポ
リ(エチレングリコール)(PEG)、たとえば、3から20のモノマー単位のPEGを
含み得る。
ポリマー層上へのさらなる成分の堆積に先立って、任意の連結層およびポリマー層を有
する基板は、乾燥していてもよく、少なくともマイクロキャピラリが乾燥していてもよい
(すなわち、触って乾燥している、または目視検査で乾燥しているが、ポリマー層中に、
結合水または水和水を含む)。たとえば、捕捉剤の固定化を促進するために、ポリマー層
は、結合水または水和水を適切に保持することができるが、バルク表面水は保持しない。
連結層およびポリマー層を有する基板が乾燥形態で保存されている場合、結合水または水
和水は、ポリマー層を水に迅速に曝露し(たとえば、水に浸漬することによって)、かつ
表面を風乾させることによって(たとえば、窒素またはアルゴンジェットを用いて)、再
導入することができる。あるいは、結合水または水和水は、大気水がポリマー層に結合す
るのに十分な時間、ポリマー層を周囲の空気に曝すことによって再導入することができる
捕捉領域
装置は、ポリマー層に非共有結合することができる、少なくとも1つの捕捉剤を含む少
なくとも1つの捕捉領域を含む。捕捉領域の数は広範囲に変化し得、かつ基板の大きさお
よび形状、装置の意図された用途(たとえば、ポイント‐オブ‐ケア 診断、パネルアレ
イ(たとえば、DNAをスクリーニングするためマイクロアレイ、MMChip(マイク
ロRNA)、タンパク質、組織、細胞、化学的化合物、抗体、炭水化物など)その他同類
のものを含むいくつかの要因に依存し得る。捕捉領域を含む捕捉剤は、一般的に、特異的
結合対の1つのメンバーである。適切な捕捉剤の例は、抗原、抗体、ペプチド、タンパク
質、核酸、核酸またはペプチドアプタマー、リガンド、受容体その他同類のものを包含す
るが、それらに限定されない。実施形態は、たとえば診断パネルアレイのような複数の異
なる捕捉剤を含むことができる複数の捕捉領域を含む装置に関する。
いくつかの実施形態において、捕捉剤は、目的の任意の疾患、障害、または生物学的状
態に関連するバイオマーカーを含むことができる。したがって、捕捉剤の選択は、本明細
書に記載の装置および方法の意図された使用もしくは適用によって引き起こされ得、かつ
疾患、障害もしくは生物学的状態に関連することが知られている任意の分子、または、疾
患、障害、もしくは生物学的状態と関連している疑いのある任意の分子を含み得る。した
がって、捕捉剤の選択は、技術分野で利用可能な知識に基づき、当業者の能力の範囲内で
ある。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、捕捉剤は目的の微生物感染と関連するバイ
オマーカーを含むことができ、微生物感染の例は、以下を包含するが、これらに限定され
ない:炭疽病、鳥インフルエンザ、ボツリヌス中毒、バッファローポックス、チクングニ
ア、コレラ、コクシジオイデス症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クリミア・コンゴ出血
熱、デング熱、デング熱出血熱、ジフテリア、エボラ出血熱、Ehec(大腸菌O157
)、脳炎、セントルイス、腸管出血性大腸菌感染エンテロウイルス、食品媒介性疾患、腎
症候性出血熱、ハンタウイルス肺症候群、肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、イン
フルエンザ、日本脳炎、ラッサ熱、レジオネラ症、リーシュマニア症、レプトスピラ症、
リステリア症、発疹チフス(Louseborne typhus)、マラリア、マールブルグ出血熱、麻疹
、髄膜炎菌病、モンキーポックス、心筋炎ニパウイルス、オニョンニョン熱、百日咳、ペ
スト、急性灰白髄炎、狂犬病、再発熱、リフトバレー熱、重症急性呼吸器症候群(SAR
S)、赤痢菌症、天然痘ワクチン−偶発的な曝露、ブドウ球菌食中毒、梅毒、野兎病、腸
チフス(typhoid fever)、ウエストナイルウイルス、黄熱病など。
捕捉剤は、圧電または他の形態の非接触印刷および直接接触式クイル印刷を包含する、
マイクロプリントまたはマイクロスタンピングなどの任意の好適な技術によって、ポリマ
ー層上に堆積することができる。捕捉剤がポリマー層上に印刷される場合、捕捉剤は、装
置が生物学的流体などの流体に曝されたときに結合したままであるように、ポリマー層に
適切に吸収され得る。ブラシポリマーはまた、装置が保管されたときに捕捉剤が安定した
ままであるような保護環境を提供することができる。たとえば、捕捉剤が抗原性タンパク
質または抗体などのペプチドまたはタンパク質である実施形態では、ブラシポリマー層は
捕捉剤を分解から保護することで、装置を周囲条件下で保存できるようにすることができ
る。
アレイが、ポリマー層上の別個の位置に複数の捕捉剤を堆積させることによって形成さ
れる場合、1cmあたり1、3、5、10、100または1000までのプローブ位置
のプローブ密度を作製することができる。1cm当たり最大1,000,000個のプ
ローブ位置を有するアレイを製造するために、現代の非接触アレイ装置を、堆積工程にお
いて使用することができる。たとえば、ディップペンナノリソグラフィーを使用して、1
cmあたり10億個までの別個のプローブ位置を有するアレイを調製することができる
。本明細書に記載の特定の用途に応じて、各捕捉スポットにおける特定の分子種が異なり
得るか、またはいくつかが同じであり得る(たとえば、いくらかの冗長性または対照を提
供する)ことが理解される。
捕捉剤は、捕捉領域を形成するために、ポリマー層上に印刷し得る。捕捉領域は、任意
の特定の方法で配列することができ、およびたとえば(たとえば、任意の一般的な幾何学
的形状の)スポット、線、または他の好適なパターンなどの、任意の望ましい形状または
パターンを含むことができ、それはポリマーおよび基板の表面上の捕捉領域の同定を可能
とする。いくつかの実施形態において、複数の捕捉剤は、捕捉剤の独自性が基材上の特定
の位置に関連するように、所定のパターンで配列することができる。
不安定領域
装置は、少なくとも1つの検出剤および賦形剤を含む少なくとも1つの不安定領域をさ
らに含む。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、生物学的流体、バッファーまたは
水性溶媒などの流体との接触に際して、捕捉剤は、ポリマー層(たとえば、ポリマーブラ
シ)に非共有結合したままであり得るが、不安定領域に存在する賦形剤は、ポリマーブラ
シに吸収され、かつ検出剤の吸収を妨害することができる。したがって、たとえば生物学
的流体を含むサンプルのような水性流体に曝された場合、検出剤は可溶化されかつ流体に
放出され、かつ関心のある検体に結合することができる。また、賦形剤は保存中に検出剤
をさらに安定化させることができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、検出剤は、特異的結合対の第2のメ
ンバーに結合することが可能な化合物を含み得る。サンプル(たとえば、生物学的流体)
に可溶化されて放出されるとき、特異的結合対の第2のメンバーが流体中に存在する場合
、第2のメンバーは検出剤に結合することができる。第2のメンバーは、装置の捕捉領域
中の捕捉剤に結合できる。あるいは、検出剤は、捕捉剤に既に結合されているときに、特
異的結合対の第2のメンバーに遭遇することができる。たとえば、捕捉剤が抗原性タンパ
ク質であり、かつ検体が、抗原性タンパク質に特異的に結合することができる、患者が生
成した抗体である場合、検出剤は抗ヒト抗体を含むことができる。
本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、不安定領域は、「サンドイッチ」型アッセ
イを形成するために2つの異なる薬剤を含むことができる。そのような実施形態では、第
1の薬剤が検体に結合することができ、他方の薬剤が第1の薬剤に結合することによって
「サンドイッチ」を形成し、それからそれが捕捉剤に結合することができる。たとえば、
検出試薬は、検出部分によって官能化されたアビジンまたはストレプトアビジンに結合す
ることができるビオチンを含み得る。
検出剤は、直接的または間接的に検出可能なシグナルを提供する検出可能な部分をさら
に含む。例示的な検出部分は、フルオロフォア、発色団、放射性標識、ポリヌクレオチド
、小分子、酵素、ナノ粒子、およびアップコンバーターを包含することができるが、これ
らに限定されない。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、検出部分は、シアニン(
たとえば、Cy3またはCy5などのCyDye)、フルオレセイン、ローダミン、クマ
リン、蛍光タンパク質またはその機能的断片などのフルオロフォアであり得、またはビオ
チンなどの小分子を含むことができ、または金、銀またはラテックス粒子を含むことがで
きる。
本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、賦形剤は、検出剤とポリマーとの間の安定
ではあるが非永続的な結びつきを可能にするように選択される分子または分子の組み合わ
せであり得る。実施形態において、賦形剤は、水溶液(たとえば、バッファー、水、サン
プル、生物学的流体など)に部分的に可溶性、実質的に可溶性、または可溶性であり得る
。そのような実施形態において、賦形剤は、塩、炭水化物(たとえば、グルコース、フコ
ース、フルクトース、マルトースおよびトレハロースなどの糖)、ポリオール(たとえば
、マンニトール、グリセロール、エチレングリコール)、乳化剤、水溶性ポリマーの非限
定的な例、およびそれらの任意の組み合わせから選ばれ得る。そのような賦形剤は当該技
術分野において周知であり、かつ賦形剤と検出剤、活性型剤とポリマーとの相互作用、特
定の媒体中での賦形剤の溶解度、およびそのような要因の任意の組み合わせに基づいて選
択することができる。本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、賦形剤はPEGを含む
ことができる。
検出剤および賦形剤は、圧電または他の形態の非接触印刷および直接接触式クイル印刷
を含む、マイクロプリンティングまたはマイクロスタンピングなどの任意の好適な技術に
よってポリマー層上に堆積させることができる。検出剤と活性剤との混合物は同時に堆積
させることができ、または検出剤の前に賦形剤を堆積させることができる。
アレイが、ポリマー層上の別個の位置に複数の検出剤を堆積させることによって形成さ
れる場合、1cm当たり1、3、5、10、100または1000までのプローブ位置
のプローブ密度を作製することができる。1cm当たり最大1,000,000個のプ
ローブ位置を有するアレイを製造するために、現代の非接触アレイ装置を、堆積工程にお
いて使用することができる。たとえば、ディップペンナノリソグラフィーを使用して、1
cm当たり10億個までの別個のプローブ位置を有するアレイを調製することができる
。特定の用途に依存して、各捕捉スポットにおける特定の分子種が異なり得るか、または
いくつかが同じであり得る(たとえば、いくつかの重複性または制御を提供する)ことが
理解される。
他の要素
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、装置は、流体(たとえば、生物学的流体)
が捕捉領域および不安定領域に接触するようポリマー層上の特定の領域に閉じ込められた
ままとなるように、ポリマー層上のパターン形成された領域を区画する薬剤をさらに含む
ことができる。そのような薬剤は、たとえば、捕捉剤と不安定領域の成分との堆積の前に
ポリマー層にインク印刷された疎水性インクであり得る。あるいは、薬剤はワックスであ
ってもよい。他の実施形態では、基板の適切な幾何学的形状および/または構成を選択す
ることを通して、たとえば、サンプルが、捕捉剤および不安定なスポットの成分を含む領
域へと拡散することを可能にする幾何学的形状を選択することを通して、サンプルを装置
に含有させる、または装置に向かわせることができる。本明細書に記載の実施形態のいく
つかでは、基板はウェルまたは一連の相互接続されたウェルを含むことができる。
本明細書に記載の実施形態のいくつかでは、たとえば、生物学的流体が血液サンプルで
ある場合、不安定領域は、血液が凝固することを防ぐために抗凝固剤を含むことができる
。例示的な抗凝固剤は、クマジン、ヘパリン、および低分子量ヘパリンなどのビタミンK
拮抗薬を含み得るが、これらに限定されない。
本明細書に記載のいくつかの実施形態においては、装置は、さらに対照剤で印刷された
領域を含むことができる。たとえば、検出試薬が抗ヒト抗体を含む場合、抗ヒト検出抗体
の活性を検証し、蛍光強度などの検出部分からのシグナルを標準化するために、ヒトIg
Gの対照の捕捉領域を捕捉領域の横に印刷することができる。
装置の保存
捕捉剤、検出剤、賦形剤および他の任意成分を堆積させた後、装置を、上記のように物
品が乾燥するかまたは少なくともマイクロキャピラリが乾燥するために十分な時間、たと
えば、穏やかな乾燥、風乾、凍結乾燥、または周囲温度において周囲空気に曝露すること
によって、任意に乾燥させる。一旦装置が乾燥しているか、または少なくともマイクロキ
ャピラリが乾燥していると、装置は、容器(たとえば、不浸透性または半透過性のポリマ
ー容器など)に封入することができ、その中で、装置を保管することができ、ユーザへと
出荷することができる。一旦容器に封入されると、本装置は、本明細書に記載のいくつか
の実施形態においては、25℃の温度で保存された場合、少なくとも2ヶ月から4ヶ月、
または最大6ヶ月以上の貯蔵寿命を有することができる(たとえば、20%、30%また
は50%より大きい結合活性の損失なしに)。
検出
本明細書に記載の装置を生物学的サンプル(たとえば、生物学的流体)に曝露した後、
当該技術分野で公知の任意の好適な方法を用いて、検出剤からのシグナルを検出すること
ができる。例示的な方法には、視覚検出、蛍光検出(たとえば蛍光顕微鏡法)、シンチレ
ーション計数、表面プラズモン共鳴、エリプソメトリ、原子間力顕微鏡法、表面弾性波装
置検出、オートラジオグラフィーおよび化学発光が含まれ得るが、これらに限定されない
。当業者には理解されるように、検出方法の選択は採用される特定の検出剤に依存する。
検出器
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法において用いる検出器を提供す
る。検出器は、通常、チップを保持するように構成され、かつ1つ以上の光源を備えてい
る。光源は、チップを照射するように構成されている。光源は、光がチップを通過するよ
うに、チップを照射することができる。光源は、光がチップの表面と約0度から約90度
の角度で接触するように、チップを照射することができる。一実施形態では、光がチップ
の一つの表面と、他方の表面上でチャネルに堆積された非汚染性ポリマー層とを照射する
ように、光源を配置することができる。この型の実施形態では、光はチップの表面を通過
し得るが、チップ全体を通過し得ない。
光源は任意の型であり得、たとえば、LEDライトであり得る。本発明に使用される光
源の好適な一例は、Thor Laboratoriesによって製造されたLED37
0Fである。いくつかの実施形態では、検出器は、2つ以上の光源を含むことができ、た
とえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の光源を含むことがで
きる。光源は、同一であってもよく、または異なっていてもよい。各光源は、別の光源に
よって生成された光と同じまたは異なる波長の光を生成することができる。各光源は、同
じ強度の光を生成することができる。一実施形態では、それぞれ2mWの順方向光強度を
有する4つの光源が使用される。本発明の検出器はまた、典型的にはレンズを含む。レン
ズは、光を集めるように構成されており、たとえば、フルオロフォアによって放出された
光を、スマートフォンのカメラに送る。
図25A〜図25Eを参照して、本発明の検出器は、概して円筒形であり得、かつ中心
軸に沿って検出器を通って伸長し得る中央空洞を備えることができる。本発明の検出器は
、代わりに、検出器の長軸に沿って垂直に二等分された場合に、正方形または長方形の断
面を有するように成形されてもよい。空洞は、チップ、フィルタおよびレンズを収容する
ために、様々な形状および大きさにおいて、様々な工程で成形することができる。本発明
の検出器は、1つまたは複数のLEDチャネル100を有する。そのようなLEDチャネ
ルは、上述のLEDライトを収容するように大きさが決められている。本発明の検出器は
、1つ以上の電源を1つ以上のLEDライトに接続するために使用され得る、1つ以上の
配線チャネル105を備えることもできる。本発明の検出器は、本発明の1つまたは複数
のチップを収容するように構成された1つ以上のチップスロット110を備えることがで
きる。チップスロットは、検出器の側面から内部に延びてもよく、かつ検出器を完全に貫
通していても、していなくてもよい。図25Aにおいて、チップスロット110は、一方
の側面から内部に延びているが、検出器を完全には貫通していない。上述したように、本
発明の検出器は、検出器の中心軸に沿って延びる中央空洞を備えていてもよい。図25A
において描画するように、空洞は、チップから放射された光が光路を下って携帯電話カメ
ラへと進み、カメラによって記録され得るように、光路115を提供し得る。図25Aは
また、フィルタ空洞120を示す。フィルタ空洞120は、ある波長の光をフィルタリン
グし、かつ別の波長の光を通過させるように設計された光フィルタを収容するための大き
さである。たとえば、フィルタは、上述したLED光によって放射された波長の光をフィ
ルタリングし、かつ検出剤によって放射された光の波長を通過させることができる。フィ
ルタは、典型的には、中央の光路に配置される。図25Aはまた、レンズ空間125を示
す。レンズ空間は、本発明で使用するためのレンズを収容する大きさである。本発明で使
用されるレンズは、検出剤から放出された光を集中させ、かつ集中させた光を、光を記録
し得る携帯電話カメラに向ける。図25Aは、電池室130も示している。電池空洞13
0は、上述した1つ以上のLEDライトに電力を供給することができる電池を収容できる
大きさである。典型的には、電池空洞は、フィルタおよびレンズとは反対側のチップスロ
ットの側にある。バッテリは、検出器の蓋に取り付けられてもよく、または検出器と一体
となった部分であってもよく、およびそのような実施形態では、電池空洞は蓋を収容する
ように働くことができる。本発明の検出器は、典型的には、光源に電力を供給するように
光源に電気的に接続された電池を含む。図25B、25C、および25Dは、本発明の検
出器の上面斜視図、側面図および底面斜視図のCAD図をそれぞれ示す。図25Eは、検
出器の垂直軸を通る平面に沿った本発明の検出器の断面図を示す。
本発明の検出器は、検出器を携帯電話に磁気的に取り付けるように設計された磁気部分
を含むことができる。
キット
本明細書における本発明の実施形態は、キットを含むことができる。
キットは、本明細書の支持体、固体支持体、および医療機器を含むことができる。キッ
トには、その中の材料をどのように使用するかに関する指示書、たとえば書面による指示
書を含めることができる。材料は、たとえば、本明細書、または参考として組み込まれる
任意の特許、特許出願公開公報、参考文献、または記事の、任意の物質、組成物、ポリヌ
クレオチド、溶液などであり得る。
キットは、本明細書に記載されている装置、および任意で、バッファー、試薬、および
本明細書に記載の方法を実施するための説明書などの追加の成分を含むことができる。バ
ッファーおよび試薬の選択は、たとえば、アッセイの環境(ポイント‐オブ‐ケア、研究
、臨床)、アッセイされる検体、使用される検出部分などの、特定の用途に依存する。た
とえば、捕捉剤がポリヌクレオチドであり、かつ目的の検体が相補的なポリヌクレオチド
である場合、サンプルからのポリヌクレオチドを結合できるようにするために、キットは
生物学的流体のサンプルに添加される溶解バッファーを含み得る。
キットはまた、本明細書に記載される方法および/または本明細書に記載の方法のため
の装置の使用に関する、記述的、教示的、商業的、または他の資料であり得る、情報資料
を含み得る。実施形態では、情報資料は、装置の製造、装置の物理的特性、有効期限、バ
ッチまたは製造現場情報などに関する情報を含むことができる。
例示的なアッセイの設計
以下の段落においては、本開示の1つの非限定的な実施形態をより詳細に記載する。
本開示は、目的の1つ以上のIDについて生物学的流体を試験することができる、小型
化された多重化アッセイを可能にする使い捨てチップを提供する。本明細書に記載される
実施形態のいくつかでは、アッセイは一工程で行うことができる。特定の実施形態におい
て、アッセイは、前処理またはマイクロ流体の必要性なしに行うことができる。目的のバ
イオマーカーに結合する安定的な捕捉スポットに加えて、装置は、捕捉剤の横に第2の検
出剤を印刷することを可能とする、不安定なマイクロスポットを包含することもできる。
生物学的流体の液滴と接触すると、不安定なスポット内のこれらの二次試薬は、溶液中に
溶解し、かつサンプル中に存在する標的を標識することができる。
この技術の一実施形態では、本明細書において開発されたD4ポイント‐オブ‐ケア
試験(POCT)は、全血の一滴から作動する(図2)。D4 POCTは、厚さ30n
mの「非汚染性」―タンパク質および細胞抵抗性―ポリ(オリゴエチレングリコールメタ
クリレート)(POEGMA)ブラシ被覆ガラスチップ(図2A)からなり、中央チャネ
ル内に含有される、以下の2種類のインクジェット印刷されたマイクロスポットを含む:
捕捉抗体の「安定的な」スポット、および血液との接触時にそれらが溶解するように賦形
剤を用いて印刷された、検出抗体の「可溶性」スポット。毛細管作用を用いて指採血から
チップの中央チャネル内に血液を引き込み(図2B〜E)、および血液中のタンパク質検
体が非汚染性POEGMAブラシを横切って拡散し、および捕捉抗体の安定したスポット
に結合する(図1参照)。
同時に、血液は、可溶性マイクロスポットからの蛍光標識された検出抗体を溶解し、検
出抗体は拡散し、かつそれぞれの検体捕捉抗体スポットに結合し、それにより検出複合体
を完成させ、かつ捕捉抗体スポットから定量化可能な蛍光シグナルを生成する(図1)。
この光学的シグナルは、スマートフォンに磁気的に付着する小さな装置(図2K)にチッ
プを置くことによって、スマートフォンカメラで画像化される(図2F〜I)。図2Jは
、全血の存在下で、チップの中央チャネル内に印刷された試験マイクロアレイから得られ
たスマートフォンカメラ画像である(全血をチャネルに添加した後に得られた画像)。裏
側からの光照射および検出は、血液液滴を分析のために除去する必要がなく、またいかな
る型の洗浄も分析に必要ないように、血液からの光学干渉を排除する(図2K)。
この技術の一実施形態では、本開示にかかるアッセイは、POEGMAによって被覆さ
れ、かつそれからPOEGMAのパターン化された領域を画定する疎水性インクで印刷さ
れた使い捨てチップを含む、上記使い捨てチップからなる、または本質的に上記使い捨て
チップからなる。パターン領域は、個々の捕捉剤のスポットを含む。POEGMAブラシ
の親水性の性質は、POEGMA表面全体に一滴の血液を拡散させる一方、疎水性インク
は、血液液滴を分析領域に閉じ込めることができる「囲い」を生成する。POEGMAの
パターン化された領域はまた、蛍光標識された検出抗体および可溶性ポリエチレングリコ
ールを含み得る「不安定なスポット」を含む。
本明細書中に記載されているいくつかの実施形態では、捕捉スポット中の捕捉剤は、目
的のIDの診断に役立つ抗原であってもよい。患者からの流体(たとえば、血液)のサン
プルがチップに適用されると、サンプル中の患者によって生成された抗体が、抗原に結合
することができる。そのような実施形態では、不安定なスポットは、固定化された、患者
によって生成された抗体に結合することができる蛍光標識抗ヒト抗体を含むことができる
他の実施形態では、捕捉スポット中の捕捉剤は、目的のIDの診断に役立つ抗原に対す
る抗体であり得る。患者からの流体(たとえば、血液)のサンプルがチップに適用される
とき、サンプル中の患者によって生成された抗原が抗体に結合することができる。そのよ
うな実施形態では、不安定なスポットは、同じ抗原上の異なるエピトープに特異的であり
、固定化された患者によって生成された抗原に結合することができる蛍光標識抗体を含む
ことができる。
特定の実施形態において、捕捉剤として使用される抗原性タンパク質または抗体は、独
立した複製物を提供し、かつそれによりアッセイのロバストネスを改善するために、各抗
原の個々のスポットの列としてPOEGMA表面上にスポットされる。たとえば、様々な
捕捉抗体密度のマイクロスポットを含むマイクロアレイは、既知の検出器のダイナミック
レンジ内に、より広い範囲の検体濃度が入ることを可能にし、かつそれによって、通常は
単一のサンプルを貫いている試験の希釈系列を排除することができる。低い濃度の検体は
、高い捕捉抗体密度の領域において検出することができ、一方で高い検体濃度は、低い捕
捉抗体密度の領域において検出することができる。
本明細書に記載のいくつかの実施形態では、検出抗体スポットが血液サンプルとの接触
時に確実に溶解するように、アレイの形式を定めることができる。たとえば、12個の別
々の捕捉領域がスポットとして印刷され、3個の異なる捕捉剤のそれぞれについて4個の
スポットを印刷する。Cy5標識抗ヒト抗体を包含する不安定領域を、捕捉スポットの周
囲に印刷する。
可溶性のPEGもまた、不安定なスポットに含めることができる。可溶性PEGは、P
OEGMAブラシに優先的に吸収され、かつ検出抗体のブラシへの吸着を妨害することが
できる。したがって、検出抗体は、ピエゾインクジェット印刷およびマイクロキャピラリ
乾燥処理によってスポットに閉じ込められているが、水溶液に接触した際に容易に溶解し
て血液滴に放出することができるという点で、実際には「不安定」状態にある。過剰の可
溶性PEGの添加はまた、保存の間、蛍光標識検出抗体を安定化させることができ、かつ
試験血液液滴が導入されたときに検出抗体を再可溶化する助けとなる賦形剤として働くこ
とができる。
1滴の血液と接触すると、標識された検出抗体が溶液に溶解する。本明細書に記載の実
施形態のいくつかでは、検出抗体は、血液サンプル中に存在するすべてのヒト抗体に結合
でき、かつそれによって標識することができる、抗ヒト抗体であり得る。同時に、存在す
る場合、血液中に存在する検体(すなわち、抗原に対する患者によって生成された抗体)
は、安定的に印刷された抗原スポットに結合することができる。他の実施形態においては
、検出抗体は、目的の抗原のための特異的な抗体であり得る。血液サンプルと接触すると
、抗原がサンプル中に存在する場合、検出抗体は抗原に結合することができ、抗原は今度
は捕捉剤抗体に結合することができる。
陽性対照として、ヒトIgGのスポットを抗原スポットの横に印刷することができる。
これらは、抗ヒト検出抗体の活性を検証するのに役立ち、またアッセイ間の変動を減少さ
せるために、アッセイにわたって蛍光強度を標準化するために使用することもできる。
血液凝固を防止するために、酵素ヘパリンは、不安定なスポット中のPOEGMAブラ
シ上にも印刷することができる。ヘパリンは、印刷前にPEGと混合することができ、ま
たは単独で別の工程において印刷することができる。
実施形態では、指採血を患者に対して執行することができ、かつ得られた血液の滴をチ
ップ表面に適用する。チップの表面に印刷された疎水性インキによって、標的検出領域の
みにわたって血液の液滴が広がり、検出領域内に印刷された、可溶性の検出剤およびヘパ
リン(血液の凝固を防止する)に溶解する。
可溶化されると、蛍光標識された検出抗体は、血液液滴によって印刷されたスポットか
ら溶解し、3つの連続した事象が起こり、陽性シグナルが生成される。これらの事象には
、以下が含まれ得る:(1)に、血液中に存在する検体が、個々の捕捉剤の固定化され、
かつ非蛍光のスポットに結合し、サンドイッチの前半を作り出す;(2)ポリマーブラシ
を横切って血液が拡散することによって、結果的に可溶性検出抗体がその印刷されたスポ
ットから移動する;(3)捕捉剤と検体との複合体(サンドイッチの前半)に入るに際し
、蛍光標識された検出抗体は、それらのそれぞれの検体‐捕捉剤スポットに結合し、サン
ドイッチを完成し、かつ結果的に、標識されていない薬剤が印刷されていた位置に蛍光ス
ポットを形成する。
この実施形態において、アッセイは、「不安定なスポット」として印刷された蛍光標識
された検出抗体が、印刷され、かつ安定的に固定化された、捕捉剤の隣接する列へと、検
体を含む溶液の拡散によって運ばれるという、サポートされたデータに基づく。したがっ
て、異なる捕捉剤で印刷されたスポットからの蛍光の出現を視覚化することにより、異な
る検体(陽性)の明白な同定がもたらされる。異なる検体の濃度の定量は、全血に対して
添加された検体の希釈系列を使用して装置を予め較正することにより、従来の蛍光免疫ア
ッセイと同じように実施する。
本実施形態に係るアッセイは、POC試験における重要な需要のそれぞれに以下のよう
に対処する:(1)小型化、多重化、一工程、オンサイトの処理によって、かつ指採血か
ら得られた希釈していない全血中で前処理またはマイクロ流体を用いずに直接試験するこ
とによって、ID試験の費用を低減する;(2)IDスクリーニング処理を単純化するた
めに、二次元における拡散によって、空間的に局所化した試薬を一か所に集めることによ
って、機能的アッセイを作成し、かつそれによって、液体移動工程、サンプルまたは試薬
のマイクロ流体操作、および洗浄工程の必要性を排除する。(3)この多重化プラットフ
ォームは、サンプルの前処理を行わずに一滴の血液で一団のIDマーカーをスクリーニン
グすることができる;(4)アッセイは速く、これはしばしばID検査の結果を伝えるこ
とに関連する困難を緩和する;および(5)開示された設計の実際の検出スキームは、現
在実地で利用可能な最高の感度を提供する、サンドイッチ型蛍光免疫アッセイである。
この規模のIDスクリーニングの改善は、全人口の健康に相当な影響を及ぼす可能性が
ある。感染症を制御するために、処理の一部は、空気、食物、水、または物理的接触を介
して伝達される様々な病原体を同定するための定期的なスクリーニングであり、かつ提案
したスクリーニングプラットフォームを開発することは、定期的な、および包括的なID
スクリーニングを、はるかに多くの人口の割合に、はるかに利用しやすくすると考えられ
る。最後に、高度に適応可能かつモジュール式の設計は、臨床試験におけるバイオマーカ
ーのモニタリング、パンデミックスクリーニング、バイオディフェンス、および新たに発
見されたバイオマーカーの大規模な検証を包含する、必要のある他の多くの地域のための
診断としての開発のためにもまた有用である。
以下の非限定的な実施例は、完全に例示的であり、および本開示に従って実施された特
定の実験を示すことが意図されている。
実施例
実施例1.POEGMAブラシを、ガラスおよびプラスチック上に伸長させることがで
きる
高い化学的安定性を有するポリ(オリゴエチレングリコールメタクリレート)(POE
GMA)のタンパク質および細胞耐性コーティングを開発した。POEGMAブラシは、
図3に示すように、表面開始原子移動ラジカル重合(SI−ATRP)によってガラス上
に合成される:まず、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)によって、ガラ
ス表面にアミン末端シランの単分子層を形成し(工程1)、続いてAPTES単分子層に
よって提示されたアミン基に、ATRP開始剤―ブロモイソブチリルブロミド―を付着さ
せ(工程2)、およびそれから、CuBr、ビピリジンおよびOEGMAモノマーを含有
する溶液からATRPを付着させる(工程3)。この手順は、免疫アッセイのためにAb
および他のタンパク質を印刷するために有用であり得る、厚さ約100nmのブラシの簡
便な合成を可能にする。また、D4アッセイのための基板材料としても適している透明な
熱可塑性プラスチックの範囲でPOEGMAブラシの伸長を可能にする、補完的な技術の
セットも開発した(データは示していない)。これらの結果は、材料上にPOEGMAブ
ラシを伸長させるために、多くの相補的アプローチが使用できることを示し、相補的アプ
ローチによって臨床的な免疫アッセイのための有用な基板が提供される。これらのタンパ
ク質耐性および細胞耐性のPOEGMAブラシは、チップへの細胞の結合およびタンパク
質の表面への非特異的吸着を防止するので、D4 POCTの基礎を形成することができ
る。
ガラススライドの例示的なコーティング。スライドガラスを5%(v/v)APTES
を含むエタノールで室温で一晩処理する。次いで、これらのスライドを、2%トリエチル
アミン(v/v)を含むジクロロメタン中の2%ブロモイソブチリルブロミド(BIB)
で処理し、次いでN下で100mLフラスコに入れる。次に、CuBr(143mg、
1.0mmol)、ビピリジン(312mg、2.0mmol)、ジクロロメタン(15
mL)およびOEGMA(8g、16.7mmol)を50mLフラスコ中で混合し、お
よび暗赤色溶液をNガスで30分間通気した。混合物をスライドを含有するフラスコに
添加することによって重合を開始し、および窒素置換下で1時間継続した。スライドを溶
液から取り出すことで重合を停止し、ジクロロメタンおよびメタノールですすぎ、および
室温において10分間Nガスを流しながら乾燥させた。
実施例2.抗体は、ピエゾインクジェットプリンタによってPOEGMAブラシ上に直
接印刷することができる。
PerkinElmer Piezorray(商標)非接触プリンタを用いて、室温
および室内湿度で厚さ〜100nmのPOEGMAブラシ上に、〜150μmの直径のス
ポットとして捕捉抗体(Abc)を印刷し(図4A)、かつ厚さ100nmのポリマーの
中へ非共有結合的に吸収できるようにした。水和状態においてはタンパク質吸着に対して
優れた耐性を提供するが、乾燥状態においてはインク貯蔵器として働くことから、厚さ約
100nmのPOEGMAブラシを選択した:圧電的に印刷された抗体「インク」はブラ
シに熱心に吸着され、それによって、マイクロプレートアッセイで使用するために、Ab
cの十分に高い充填密度がもたらされる。印刷後、スライドを真空デシケーター中で室温
において一晩乾燥させて、Abcのポリマーブラシへの吸収をさらに促進した。この工程
は、タンパク質が溶液からポリマーブラシに吸着しないので必要となり得る。POEGM
A被覆ガラススライドは、ポリマーブラシ上に印刷された抗体アレイの性能に悪影響を及
ぼさずに、密封容器に保管し、かつ最長2ヶ月間卓上に放置することができた。インクジ
ェットプリンタは低費用で、かつ至るところにあるため、共有結合的なカップリング工程
を用いない直接インクジェット印刷は、最小の処理工程で抗体アレイを製造する単純な方
法を提供することができる。これにより、LMIC環境に容易に配備できる、D4チップ
のための単純で大きさの変更が可能な製造技術を提供することができる。
抗体マイクロアレイの例示的なスポッティング:
以下の検体のための全ての捕捉抗体およびビオチン化検出抗体は、R&D Syste
msから得た:IL−6、ヒトインターロイキン−1b(IL−1b)、ヒト腫瘍壊死因
子(TNF−α)、ヒトインターロイキン−8(IL−8)、およびOPG。室温および
室内湿度で、非接触式PerkinElmer Piezorrayを用いて、ガラス上
のPOEGMAブラシ上に全ての捕捉抗体(PBS中5mg/mL)をスポットし、およ
び室温で一晩、真空乾燥(30KPa)下で、厚さ100nmのポリマーブラシに非共有
結合的に吸収させた。
実施例3. POEGMAブラシ上の抗体アレイは高感度である。
IL−1β、IL−6、IL−8、TNF−αおよびオステオプロテゲリン(OPG)
に特異的な抗体アレイを、Piezorrayインクジェットプリンタによって、(1)
ガラス上のSI−ATRPによって伸長された厚さ100nmのPOEGMAブラシ、お
よび(2)未修飾ニトロセルロース基板(陽性対照)上に、直接印刷した。図4Aに示し
た、ガラス上のPOEGMA上にスポットされたIL−6アッセイのマイクロアレイスポ
ットの蛍光画像は、検体濃度の増加に伴う蛍光強度の増加を示す。注目すべきことに、ス
ポットは、0.1pg/mL(5fM)のIL−6濃度においてさえ、バックグラウンド
から視覚的に識別することができた。図4Aはまた、手順が完了した際に、アッセイ前に
測定されたスポットを囲むバックグラウンド領域の蛍光強度が増加しなかったことから、
POEGMAマトリックスがアレイ製造およびその後のサンドイッチ免疫蛍光アッセイを
通して、非特異的なタンパク質吸着に抵抗する能力を保持していることを示す;実際、P
OEGMA基板上で検出された唯一のバックグラウンド蛍光は、ガラススライドの自己蛍
光によるものであった。POEGMA上のこの非常に低いバックグラウンドシグナルは、
試験された5人の検体すべてについて、血清中のフェムトモル濃度の検出限界(LOD)
、および5桁の大きさの検体濃度に及ぶダイナミックレンジ(図4B〜D)へと変換され
る。
POEGMA上にスポットされたOPG特異的抗体についてのバッファーおよび血清中
のOPG用量反応曲線(図4B)は、LODがバッファーおよび血清中で事実上同一であ
ることを示すため、タンパク質耐性基板の使用の別の重要な結果を示す。これらの結果は
、バッファー内における同じアッセイのLODと比較して、高濃度の外来タンパク質を含
む複雑な生理学的溶液中では、典型的にはLODが桁違いにより大きいという、大部分の
他の蛍光免疫アッセイとは対照的である。POEGMA上にスポットされたアレイからの
絶対シグナルは、ニトロセルロース上にスポットされたアレイから得られたシグナルより
も低かったが(生データは示していない)、POEGMAブラシから得られたバックグラ
ウンドシグナル(ガラス基板の自己蛍光レベルに近づいた)は、ニトロセルロースのもの
より著しく低かった。ニトロセルロースおよびPOEGMA上にスポットされたIL−6
特異的抗体アレイの蛍光応答を、血清中のIL−6濃度の関数として図4Cに示す。PO
EGMAブラシ上にスポットされたアレイの血清中のLODは、ニトロセルロース上の同
じ抗体マイクロアレイよりも100倍低かった。このことは、ニトロセルロースに比べて
、POEGMAブラシ上にスポットされた抗体アレイからの絶対シグナルがより低いにも
かかわらず、POEGMAブラシ上のバックグラウンド蛍光がより低いことにより、スポ
ットからのより低い絶対シグナルを補ってあまりあることを実証した。ガラス上のPOE
GMAブラシ上にスポットされたIL−6に対する抗体は、〜約15fMのLODで、希
釈されていない血液から、IL−6を直接検出できることが観察された(図4D)。
これらの結果は、非特異的なタンパク質吸着を減少させることが、これらのアッセイの
用量応答曲線におけるノイズの閾値を、フェムトモルの範囲の濃度へと低下させることに
よって、LODを減少させる強力な方法であることを実証する。これらのマイクロアレイ
はPOEGMA上に物理的にスポットされ、かつ基板に対する捕捉抗体のいかなる共有結
合的カップリングも伴わなかったので、それらは表面の化学的活性化および不活性化の必
要性を排除することにより、アッセイの製造を大幅に単純化する可能性を有する。これら
のマイクロアレイが溶液からのタンパク質および細胞の吸着に抵抗できることにより、全
血から直接検体を検出することが可能となる。これらの特徴は、高感度で血液中において
作用するD4 POCTの設計にとって極めて重要である。
実施例4.水と接触して溶解し、かつ「オンチップ」のサンドイッチ検出に必要な二次
試薬を提供する、検出試薬の可溶性マイクロスポットを印刷することができる。
蛍光標識された検出抗体の不安定なマイクロスポットは、十分な可溶性の賦形剤と混合
された場合、同じ表面上に印刷することができる。一滴の血液との接触に際して、これら
の二次試薬スポットは、溶液に溶解し、かつ血液サンプル中に存在する標的を標識する。
同時に、サンプル内に含有された標識された標的は、固定化された、不安定な捕捉スポッ
トに結合する。このアプローチの実現可能性を説明するための原理証明の初期の実験とし
て、ビオチン化Abの5つのスポットをPOEGMA表面上に印刷して、捕捉剤の「安定
的な」固定化したスポットを形成した(図5);蛍光性ではないため、図5の左のパネル
の上部では、安定的なスポットが見られない。さらに、ストレプトアビジン−Cy5およ
び可溶性PEGの溶液を、事前に印刷した可溶性PEGのスポットの上にスポットして、
検出試薬の「不安定な」スポットの8×2アレイを作製した(図5の下段、左パネル)。
1週間の保存後、指採血から得られた容積と同様の容積である、50μLのPBSを、ピ
ペットを用いて表面に供給した。図5(右のパネル)に見られるように、不安定なスポッ
トからのCy5−ストレプトアビジンは溶液に溶解し、かつ5つのビオチン化Abスポッ
トによって捕捉されて、検出可能なシグナルを生成した(図5の右パネルの一番上の列)
「不安定な」マイクロスポットの開発は、D4 POCTの設計における重要な開発で
あり得る。なぜなら、それによってこのアッセイは、流体サンプルを扱う工程を排除する
、オンチップの第2の試薬を含有することができるからである。したがって、この特徴は
、その先駆であるFemtoarray(商標)で必要とされた、多数の洗浄および液体
移動工程を排除することによって、サンドイッチアッセイ処理を大幅に単純化する。
実施例5.血液中のD4 POCTの概念証明
血液中のD4 POCTの概念証明を、ヒトIgGおよびIgMの検出において示した
;健康なドナーの血液をこの目的のために用いることができることから、これらの検体が
選択された。図6は、プロトタイプアッセイの製造を示す。はじめに、厚さ〜30nmの
POEGMAブラシを、SI−ATRPによりガラススライド上で伸長させた。次いで、
サンプルをチップの活性領域に閉じ込めるために、スライドインプリンタを使用してガラ
ススライドにワックスを格子状にスタンプした(図6A)。スライドインプリンタは、囲
いの完全な格子を生成するが、我々にとって利用可能でかつ簡便であることから、スライ
ドインプリンタを、疎水性の囲いを作製するために使用した。次に、抗体アレイを単一の
ワックスの囲いの中央にインクジェット印刷した;各スポットは〜150μmの直径であ
る。内側の4×4アレイは、「安定的な」捕捉スポットを含む捕捉抗体(Abc)のスポ
ットを含む―第1列および第4列は抗ネズミAbc(陽性対照)であり;行2:抗ヒトI
gG Abc;行3:抗ヒトIgM Abc。次に、検出カクテルを「不安定な」スポッ
トの3つの外側リングとして印刷した(図6B)。これらのスポットは、マウスCy5抗
ヒトIgGおよび/またはネズミCy5抗ヒトIgM(ヒトIgGおよびIgMに対する
Abcとは異なるエピトープを有する検出抗体)、ヘパリン、および10倍モル過剰のP
EG5000を含有する。図6Aの画像をデジタルカメラで取得し、一方で図6Bを蛍光
マイクロアレイスライドスキャナで取得した。したがって、内側の4×4抗体アレイは、
内在的な蛍光を有さず、および印刷されたAbc溶液が表面上で乾燥した後に形成される
塩析出物の光散乱のために、図6Bではほとんど見えない。外側スポットは、それらが検
出器を飽和させ、したがって白色に見えるほど十分に高い濃度でCy5標識Abdを含有
するために可視である。
図7は、D4アッセイの初期プロトタイプの写真を示す。指採血からの一滴の血液(〜
5−10μL)(図7A)をマイクロアレイに直接適用し、かつ疎水性の囲いに入れる(
図7B)。5分後、表面をスクイズボトルからの〜1mlですすぎ、緩く結合した血液細
胞およびタンパク質を置換する。興味深いことに、縁の周囲の赤色から見てとれるように
(図7C)、血液は縁に向かって流れ、かつ疎水性の囲いに結合するが、非汚染性POE
GMA表面から完全に除去される。
図8は、D4 POCTの出力を示す。図8Bにおいて、ヒトIgGおよびIgMのA
bdは不安定な検出スポットとして(PEG+ヘパリンを伴って)共に印刷されているの
で、血液中でのインキュベーションの際に完全なサンドイッチが作製され、列2および3
の両方に現れる蛍光スポットをもたらす。図8B〜Fの赤い縁は、単に、すすぎ工程によ
ってPOEGMAブラシから置換された後の、疎水性の囲いに結合した血液(および過剰
のAbd)からの拡散による。全血では、IgGの濃度は概略で5mg/mL(33μM
)であり、かつIgMの濃度は1.5mg/mL(1.6μM)であり、初期の実験にお
いてさえも、このレベルの原液からのタンパク質検体を容易に検出できることが示唆され
る。図8Eおよび8Fは、陰性対照実験を示し、チップをニワトリ血液(E)またはPB
S(F)のいずれか一方とともにインキュベートした。そのため、陽性対照の列1および
4のみがシグナルを生成し、一方で行2および3は蛍光を示さない。図8Cおよび図8D
は、他の2つの対照である;図8Cでは、Cy5抗IgMb Abdのみが不安定なスポ
ットに印刷されたので、2列目は点灯するが3列目は点灯せず、これに対しパネル4Dで
は、Cy5抗IgM Abdのみが不安定なスポットに印刷されたので、行3は点灯し、
行2は点灯しない。Cy5−Abdは、不安定なスポットの外周に高濃度で印刷されてお
り、および血液との接触に際して部分的にしか溶解せず、これによってその残留蛍光が依
然として検出器を飽和させることに留意されたい。
IgGおよびIgMは血液中でマイクロモル濃度を有するため、次にヒトPSAおよび
IL−6に対する多重化アッセイによるアッセイの感度を試験した。図9の用量反応曲線
は、ヒトIL−6および/またはPSAを添加したニワトリの全血を分析することによっ
て得られた―10マイクロリットルの各濃度の血液をチップに添加し、および20分間イ
ンキュベートし、続いて1mLによってすすいだ。この多重化D4 POCTの検出限界
(空白+3SD)は、PSAについては15pg/mLであり、かつIL−6については
2pg/mLである。対照的に、これらの同じ抗体対を用いた最適化されたELISAで
は、100μLの血清を必要とし、かつ完了するまでに5時間を要し、PSAについては
30pg/mL、およびIL−6については0.7pg/mLの検出限界を生ずる。追加
のインキュベーション時間が20分続くと、IL−6アッセイのLODが改善され、4時
間のインキュベーションで0.3pg/mLを検出することができる。
これらの予備的結果は、D4 POCTが、多重化され、20分で全血のたった10μ
LからELISA様またはより高い感受性を提供する力を有することを示している。
実施例6.POEGMA上の抗体アレイは非常にロバストである。
POEGMA上に印刷されたマイクロアレイの保存安定性を調べるために、室温で1日
および23日保存した後に、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を検出するためのD
4 POCTの用量応答を測定した(図10)。用量応答曲線は、8pg/mlのLOD
をもたらした。重要なことに、3週間周囲保存した後のアッセイにおいて、LODまたは
ダイナミックレンジには差がなかった。これらの結果はまた、PEGが周囲条件下でタン
パク質を安定化させることができるという、他の研究者の以前の観察と一致している。周
囲条件下での長い保存寿命は、ポイント‐オブ‐ケア装置にとって重要な属性である―こ
れらの印刷された診断装置は、4℃でバッファー内に保存する必要はないため、室温での
輸送、保管、および使用が可能である。
実施例7.D4 POCTの最適化
第2世代のD4チップは、第1世代のチップと同様に、中央領域に、検出試薬の不安定
なスポットに取り囲まれた捕捉スポットが印刷されたカバースリップからなる。接着剤を
塗布し、および第2のカバースリップを用いて捕捉抗体および検出抗体の印刷されたスポ
ットを覆い、その結果そのときスポットは両端に露出した中央チャネル内に含有され、D
4アッセイの分析コアはチャネルの中央に含有される(図11A)。チャネルの幅は、接
着剤で覆われたチップの領域およびチャネルの高さを制御する接着剤の量によって制御す
ることができる。これにより、指採血から得られる量と一致して、5〜50μLの範囲の
血液の容積を有するチャネルを作製することができる。チャネルの寸法は、一滴の血液が
チャネルの2つの端部のうちの一方の端部に保持される場合、毛細管作用によってチャネ
ルに運ばれるように十分な毛細管力も提供するように、注意深く選択した(図11B〜C
)。さらに、血液の界面張力はまたチップ内に血液を含有させた状態を保持する(図11
D)。この自己充填および自己密閉設計により、血液はチップ内部に完全に含有される。
実施例8.視覚的バックアップを有する細胞適合性の光検出器の設計
光検出器は、以下の要件を考慮して設計された:
(1)検出器は、使用者のポケット内で容易に持ち運ぶことができるように、小型かつ軽
量でなければならず、それによって患者を検出器から解放する。これは、現在のPOCT
(たとえば、iSTATおよびBiosite)の設計が、顕著に大きく、患者よりも介
護者により適していることとは全く対照的である。
(2)光検出器は、幅広く入手可能かつ低費用の製造技術を使用して、低費用かつ大容量
での製造が容易でなければならない
(3)検出器はスマートフォンの範囲に適合している必要がある。
(4)光学系は、いかなる整列または調整も必要としない。
(5)検出器は、血液の存在下で蛍光シグナルを定量化することができる。
(6)スマートフォンが利用できない場合、定性的な結果を読み出すことを可能とするた
めに、検出器は視覚的なバックアップを持っている。
検出器の設計を図12に示す。検出器のケーシングは、2つの別個の部品:すなわち蓋
および本体として、ABS熱可塑性プラスチックのStratasys 3−Dプリンタ
を用いて製作した。蓋は、電池のための挿入口を含み、および蓋は、検出器の本体にねじ
込まれることを可能にするためのねじ山を有する。本体には、LEDを挿入して、かつ4
5度の角度で照明することができる4つの空洞があり、かつバンドパスフィルタを挿入す
ることができるフレームがある。検出器の組み立ては単純である:2枚の印刷された部品
を製作した後、バンドパスフィルタをホルダに挿入し、かつ4本のLEDを事前に製作し
た穴に挿入し、かつ検出器にねじ止めしたときに蓋に触れるように配線する。10×倍率
レンズを追加し、電池を蓋に挿入し、かつ蓋を検出器の本体にねじ込んだ後、組み立ては
完了する。最後に、同心の磁気リングを検出器のレンズの縁に接着する。
検出器の使用も同様に単純である。蓋をゆるめて、スロットをあらわにして血液を充填
したチップを置き、その結果、印刷された抗体を含むカバースリップが底部にくる(蓋か
ら離れている)。チップをこの構成に配置すると、D4アレイ内の蛍光スポットがLED
によって下方から照射される。放射された蛍光のみが、チップと検出器のレンズとの間に
配置されたバンドパスフィルタを通過する。スポットはレンズによって10倍に拡大され
、かつアレイの画像はスマートフォンカメラによってデジタル方式で獲得される。検出器
およびスマートフォンの光学系には、磁気的自己整列が組み込まれている:同心の磁気リ
ングが、検出器のレンズ上と、スマートフォンのレンズの周囲との両方に接着されており
、これにより2つの装置の光学系が磁気的に整列される。
実施例9.癌の検出および診断
POC環境における癌検出のための複数の検体を試験するための主な障壁は以下の通り
である:(1)費用;(2)応答時間;ならびに(3)採血および検体の取り扱い。D4
POCTの設計は、D4 POCTの中核をなす一連の可能な技術を用いて、以下のよ
うにこれらの問題に対処している:第1に、小型化、多重化、および前処理またはマイク
ロ流体なしで指採血(たとえば、〜10μL)から得られた希釈されていない全血で試験
を直接行うことにより、試験費用および応答時間を低減する。アッセイの小型化は試薬の
消費(かつ、それゆえ費用)を減少させ、拡散距離(かつ、それゆえ時間)を最小限に抑
え、多重化(複数の検体を同時に試験する)は費用および時間の両方を節約する。単一の
統合されたアッセイにおいて全血から直接的に試験することにより、サンプルの一工程、
オンサイト処理が可能になる。第2に、単純かつ自己完結型のPOCアッセイを作製する
ために、オンチップ拡散を利用して空間的に分離した試薬を一か所に集めることで機能ア
ッセイを作製し、かつそれによって液体移動工程およびサンプルまたは試薬のマイクロ流
体操作の必要性を排除した。第3に、アッセイは、統合され、かつ小型化され、多重化さ
れた形式で、かつ洗浄工程を伴わずに全血で直接的に実施されるため、アッセイは速く、
見積もられた読出し時間は、たとえば20分より短い。第4に、この多重化されたプラッ
トフォームにおいては、サンプルの前処理を行わずに、一滴の血液で一団のバイオマーカ
ーを定量することが可能である。対照的に、最新のPOC診断のほとんどは、単一の検体
アッセイである。第5に、D4アッセイは、抗体対が利用可能な任意のタンパク質マイク
ロアレイに使用することができ、およびしたがって、すべての異種免疫アッセイに広く適
用することができる。
実施例10.D4チップの次世代の設計
その分析的ロバストネスおよび性能を向上させ得る、現在のD4チップに対する例示的
な修正を、以下の段落で説明する。
自己較正特性を有するD4チップを設計し、検証した。したがって、検体の希釈系列を
、陽性対照捕捉スポットの列として、チップ上に印刷する。陽性対照のスポット強度は、
各チップの内部較正として作用する用量応答曲線を提供する。これらの対照スポットでの
シグナル生成は、検出試薬の活性および拡散を検証することによって、アッセイが実行可
能であることを意味する。さらに、これらの対照スポット内の標的の濃度を変化させるこ
とによって、すべてのスポットにわたるシグナル勾配ができるので、これを蛍光強度を標
準化し、かつアッセイ間の変動を減少させるために使用し得る。この対照勾配はまた、捕
捉抗体スポットで生成されたシグナルと比較することができ、これは標的の量の定量化を
助け、かつチップに添加された血液の容積、血液粘度、インキュベーション温度および測
定時間などのサンプリング変数を減少させる、本質的には、陽性対照スポットのスポット
強度勾配は、用量応答曲線と同様に、参照シグナルを提供し、各チップの内部較正として
働く。
標的の検出のためのマイクロアレイは、図13に示すようにチップの中央チャネル内に
印刷される。AFPはサンプル標的として使用される。このマイクロアレイは、抗AFP
捕捉抗体の「安定的な」マイクロスポット、および標識された抗AFP検出抗体の「不安
定な」マイクロスポットを含む。さらに、AFPの「安定的な」マイクロスポットは、陽
性対照および較正標準として働く。
印刷された検出抗体(Abd)の不安定なスポットが血液との接触に際して確実に溶解
するように、可溶性PEGを印刷溶液に添加する。可溶性PEGはPOEGMAブラシに
優先的に吸着し、かつAbdの吸着および固定化を妨害する。単にインクジェット印刷お
よびマイクロキャピラリの乾燥工程により、スポットに閉じ込められているものの、これ
らのAbdは、「不安定な」状態のままであり、および予備的な研究に示すように、水溶
液と接触した際に、容易に溶解し、かつ放出される。過剰の可溶性PEGをAbdへ添加
することは、保存の間、検出試薬を安定化させるため、極めて重要であり、かつ重要なこ
とに、過剰の可溶性PEGは、試験血液液滴が導入された場合にAbdを再可溶化する助
けとなる賦形剤として働く。一滴の血液と接触すると、これらの標識された抗体は溶液に
溶解し、かつ血液サンプル中に存在するすべての標的に結合し、それによって標的を標識
する。
陽性対照として、AFPのスポットを捕捉抗体スポットの横に印刷する。これらは検出
試薬の活性および拡散を検証する役割を果たし、かつこれらの対照スポットにおけるシグ
ナル生成は、アッセイが実行可能であることを意味する。さらに、これらの対照スポット
内のAFPの濃度を変化させることにより、スポットにわたるシグナル勾配ができるので
、これを蛍光強度を標準化し、かつアッセイ間の変動を減少させるために使用し得る。こ
の対照勾配はまた、実験的なAFP捕捉スポットで生成されたシグナルと比較することが
でき、これは実験的なAFP量の定量化を助け、かつチップに加えられた血液の容積、血
液粘度、インキュベーション温度および測定時間などのサンプリング変数を減少させるこ
とを助ける。
血液凝固を防止するために、不安定なヘパリンスポットもまた印刷する。本研究は、ヘ
パリン、PEG、およびAbd濃縮物、ならびにPEG分子量が、不安定なスポットの溶
解、Abd活性の維持、およびスポットされたへパリンの凝固阻止能力に及ぼす効果を調
べる。様々な濃度の検出スポット成分を有するアレイを図13に示すようにスポットし、
かつ周囲の実験室条件下で、1日、1週間、および1ヶ月間保存する。保存から取り出し
た後、10μLの血液を各チップに加え、かつ凝固が生じるまでインキュベートする。検
出スポットの残留蛍光を用いて、これらのスポットの溶解性に対する添加剤の影響を定量
化し、同時にAFPの陽性対照スポットの蛍光を用いてAbd活性の維持を決定する。検
出器のダイナミックレンジに完全におよぶために必要な最適な濃度勾配を決定し、かつ血
液中のAFP濃度の生理学的範囲を取り囲むために、陽性対照スポット内のAFPの濃度
を体系的に変化させる。中央チャネル内において血液が凝固するために必要な時間は、へ
パリンの効果を決定するために用いられ、および経時的研究は、これらのチップの保存寿
命の指標を提供する。
PEG添加剤の濃度および分子量を含む、可溶性スポットを印刷するための最終的な処
方の例は、10,000MWのPEGの1%溶液中での印刷であり得る。印刷されたヘパ
リンの量の決定は、チャネル内での血液サンプルの凝固を防止するために必要であり、一
例においては、血液凝固を防止するために、各チップ上に1ngのへパリンが印刷される
ことが必要である。アッセイ較正に有用なシグナル勾配を生成するための、陽性対照スポ
ットにおけるAFPの必要濃度は、一例においては、以下の濃度のAFPから印刷された
スポットである:1μg/mL、10ng/mL、100pg/mLおよび1pg/mL
実施例11.全血でAFPを直接検出することができるD4アッセイの開発。さらなる
例示的な修飾は、「不安定なスポット」として印刷された検出試薬の概念を組み込む、A
FPの定量POCアッセイの開発につながる。このアッセイの性能指数(FOM)は、以
下のさらなる実施例で記載する、アッセイ形式の変更のベンチマークとして使用される。
定量的D4アッセイ:実施例11に記載された実験によって決定されるような検出剤の
印刷条件は、(図13に示すように)AFPを検出するためにアレイを印刷するために使
用される。0g/mlから1μg/mlまでの濃度をカバーする用量反応曲線を、AFP
添加バッファーを使用して生成し、次に、検体を添加したAFP陰性ニワトリ血液(いか
なるAFPも含まず、しかしながら、全血を使用することの複雑性を依然として正確に反
映することから、選ばれた)を用いた用量反応曲線を生成する。20の別個の用量反応希
釈物からの用量反応データは、5パラメータロジスティック(5−PL)曲線に適合する
。パラメータ推定は、MATLABを用いた大規模な信頼領域反映ニュートンアルゴリズ
ムによって実施する。アッセイは、そのブランク上限(LOB)、検出限界(LOD)、
線形較正範囲(LCR)、定量化の上限および下限(LOQ)、および変動係数(COV
)という観点から評価する。LOBを決定するために、20のゼロ標準の複製物を使用す
る。LOBは、平均ブランク+1.645(SDブランク)に等しい。LODは、測定さ
れたLOBと、LOBに近いシグナルを生成することが知られている低検体濃度の20回
の試験複製物とに基づいており、およびLOB+1.645(SD低濃度サンプル)とし
て計算される。LCRは、5−PLとの適合度から決定され、および、勾配が線形のまま
であり、かつ線の相関係数が0.995以上である較正曲線の領域として定義される。こ
の直線領域の上側の境界、および下側の境界は、LOQの上限および下限を定義する。C
OVは、各濃度について決定されたCOVを用いて、20の別個のアッセイにおいて既知
の濃度の3つのサンプル(LCR内の、低い、中程度、および高い値を表す)を試験する
ことによって、決定される。
市販の試験に対するベンチマーキング:AFP用の市販のELISAキットを用いて、
最終的なアッセイの有用性をベンチマークする。商業的ELISAおよびD4 POCT
結果との間の性能指数を直接比較するために、サンプルを並行して分析する。これは、L
OD、LOQ、DR、COV、ならびにアッセイ間およびアッセイ内の精度を提供する検
証済みの用量反応曲線を有する、全血からAFPを検出するための定量的D4アッセイの
開発につながる。D4 POCTのFOMは、市販のELISAキットと同様であるか、
またはそれより優れている。
AFPの例示的な定量的D4アッセイは、20分でELISAのような、またはそれ以
上の感度を提供することができ、かつ5pg/mLのLODを有し、かつ臨床ELISA
と同等な他のFOMを有する。
実施例12.感度を最大化するためのチップの設計
最大化された感度を有するチップを、すべての抗原が捕捉スポットによって確実に捕捉
されるように、捕捉スポットを血液流入点の近くに置き、一方で不安定なスポットを下流
とすることによって設計した。この設計のFOMを、実施例12で評価した前世代のD4
チップと比較する。
従来のラテラルフロー免疫アッセイ(LFA)では、捕捉抗体の試験系に達する前に、
検体溶液が可溶性検出試薬を溶解する。このことは、LFAのフローストリームが一方向
のみであるために必要となり、およびしたがって、捕捉抗体に到達する前に、検出試薬を
検体溶液に溶解することができる。この設計は、抗原捕捉抗体の結合に先立って、検出抗
体が抗原に結合することを可能にし、およびしたがって、抗原検出抗体結合が、抗原捕捉
抗体の結合を妨害する可能性が存在する。注意深くマッチングしたモノクローナル抗体の
対を使用すると、この問題は最小限に抑えられるが、費用が大幅に増加し得る。
提案された形式は拡散に基づく設計であるため、検出抗体を上流に配置することを必要
としない。いかなる理論にも束縛されるものではないが、捕捉スポットが検体溶液に曝露
された後に起こる拡散によって、検出抗体が捕捉スポットに到達するのみであるので、も
し検体溶液が検出スポットに先立って捕捉スポットに到達すると、チップの感度が上昇し
、および検出抗体からのいかなる干渉なく、抗原がはじめに捕捉スポットに結合すること
が可能になると考えられる。この配置の一例は、図14に示されており、チップの中央チ
ャネル内において2つの別個のアレイの位置を交替することを含む:1)抗標的捕捉スポ
ット(黄色)および標的較正スポット(青色)から構成されるアレイ、ならびに、2)可
溶性の抗標的検出スポット(赤色)のアレイ。
これらの研究は、血液が捕捉スポットおよび検出スポットに接触する順序がアッセイ感
度にどのように影響を及ぼすかを決定することにつながる。たとえば、検出スポットの上
流に捕捉スポットを配置すると、アッセイ感度が5pg/mLから0.5pg/mLへと
アッセイ感度が改善する。
実施例13.D4アッセイにおける拡散距離の影響
D4アッセイにおける拡散距離のさらなる試験を行う。図15に示されるようなアッセ
イ形式を構成し、各捕捉スポットは、近接する複数の可溶性の検出試薬スポットによって
取り囲まれる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、アッセイ反応時間は、近位
に位置する複数の可溶性検出試薬スポットによって減少すると考えられ、かつこの幾何学
的形状により、各捕捉スポットの周囲に溶解した検出試薬をより高い局所濃度とすること
ができ、かつそれによって、チップ上に印刷することのできる検出試薬の量を低減する。
この幾何学的形状により、より短い拡散距離がもたらされ、およびしたがって、標識さ
れた検出抗体の同心円環によって捕捉スポットが取り囲まれている、予備的な研究におい
て用いた標準的な幾何学的形状よりも、捕捉した抗原をより速く標識できる可能性がある
。図15のアレイをさらに用量範囲の抗原に曝露し、かつアッセイFOMを実施例12に
記載したように決定し、かつ予備的な研究において示した標準D4アッセイと比較する。
FOMが標準的なD4アッセイと同等またはそれより良好であると仮定して、アッセイの
経時的ビデオを、標準的なD4アッセイの性能測定基準を依然として保持しながらアッセ
イを短縮することができる程度を評価するために用いた。
アッセイを短縮することは有利であるが、この幾何学的形状がチップ上に印刷された検
出抗体の量を減少させることによって、アッセイの費用をどのように低下させる可能性が
あるのかを決定することもまた有用である。この場合、各捕捉スポットの周囲の検出抗体
の局所濃度は、検出スポットの溶解中に高くなければならない。いかなる理論に束縛され
るものではないが、スポットが近接していることによる、このより高い局所濃度によって
、印刷された検出抗体の量を減少させて、各捕捉スポットの周囲に、第1世代のD4形式
で印刷されたより多くの量の検出抗体で達成されるのと同じ局所濃度を生み出すことがで
きる。各検出スポットに印刷された検出試薬の量を体系的に減少させることにより、標準
的なD4アッセイと同等のFOMをもたらすために必要な検出試薬の最小量を決定する。
上述した可能性のある利点に加えて、この幾何学的形状は、各捕捉スポットが最も近い
検出スポットから同じ距離に位置するので、検出スポット溶解中に、各捕捉スポットを検
出抗体により均一に曝露することをもたらす。アッセイ時間、検出抗体の要件、および/
またはアッセイの変動性の有用な低下が観察された場合、この幾何学的形状を、以下の実
施例15に記載される最終設計に組み込む。
これらの例示的な研究は、拡散距離がアッセイ時間およびチップ上に印刷された検出抗
体の量にどのように影響を及ぼすかを決定することにつながる。たとえば、提案された幾
何学的形状によって、5pg/mLの感度を達成するために必要な時間を、20分から1
5分まで低減し得る。他の例においては、幾何学的形状によって、チップ上に印刷された
検出抗体の合計を、200ピコグラムから50ピコグラムまで低減させることが可能であ
る。
実施例14.チップ設計の統合
実施例11〜14で検討した、すべての特徴および潜在的な印刷の幾何学的形状を、考
慮に入れ、かつ単一のアッセイ形式に組み合わせ、および最終的な、最適化されたチップ
を、検体を添加したニワトリの血液を使用してそのFOMについて検査する。ブランク上
限(LOB)、検出限界(LOD)、線形較正範囲(LCR)、定量化の上限および下限
(LOQ)、および変動係数(COV)を、実施例12に記載したように決定し、および
AFP用の市販のプレートベースのELISA試験キットの結果と比較した。
本明細書に記載のAFP検出の例示的なD4アッセイは、ELISAのような、または
それ以上の感度を依然として維持しつつ、改善された感度、短縮されたアッセイ時間、ま
たは減少した検出抗体要件を有する。
実施例15.AFP−L3アッセイの開発
実施例10〜14のAFPアッセイ開発中に同定された設計的特徴を用いて、AFP−
L3アイソフォーム用の同等のD4アッセイを製造する。アッセイFOMを実施例12に
記載のように決定し、かつ市販のプレートベースのELISA試験キットとの並列比較を
用いて、AFP−L3アッセイをベンチマークする。
本明細書に記載のAFP−L3検出の例示的なD4アッセイは、20分でELISAの
ような、またはそれ以上の感度を提供することができる。たとえば、アッセイは、5μg
/mLのLODおよび臨床ELISAと同等な他のFOMを有する。
実施例16.AFPおよびAFP−L3のための二重化D4アッセイ
AFPおよびAFP−L3の両方を検出するように設計されたアレイを印刷するために
、実施例10〜15に記載の実験によって決定された、最適化された印刷条件および幾何
学的形状を使用する(この時点で新しい幾何学的形状が選択され得るが、図16の二重化
アレイは、元のD4アッセイ形式で表される。)。0g/mLから1μg/mLまでの濃
度をカバーする用量反応曲線は、検体を添加したバッファー、続いて検体を添加した検体
陰性ニワトリの血液を用いた用量応答曲線を用いて生成する。各検体を二重化アレイで個
別に試験し、かつFOMを実施例15および実施例16で測定したものと比較する。多重
化免疫アッセイでは、適合しない捕捉抗体および検出抗体またはそれらの標的の間の予期
せぬ交差反応の可能性が存在する。単一マーカーを添付した血液へアレイを曝露すること
によって、任意の可能性のある交差反応性が明らかになり、かつ必要に応じてその後に抗
体を選択するラウンドを使用する。アッセイは、実施例12に記載されるように、そのL
OB、LOD、LCR、LOQおよびCOVという観点から評価する。
本明細書に記載のAFPおよびAFP−L3の両方の検出のための例示的な二重化D4
アッセイは、定量的であり、かつ実施例15および16で評価された単一の検体アッセイ
のFOMを維持する。
実施例17.検出器設計の最適化
費用、波長、分光幅、およびLEDの電力出力、ならびにLED照射の角度を含む、検
出器のいくつかの側面を最適化する。いくつかの光学的フィルタの選択肢がまた存在し、
かつこれらは、全体としての費用を可能な限り低くするという第一目標によって評価され
る。試験は、蛍光標識されたタンパク質の標準化されたアレイを含むD4チップを、各検
出器の変形によって画像化することによって行い、および携帯電話のカメラに対して、十
分に高いシグナル強度を送ることが可能な、もっとも費用の低い構成要素を選ぶ。
本明細書に記載されている例示的な検出器は、依然として試験アレイの十分な画像化を
提供する最も安価な構成要素から構成される。一例においては、検出器は総計10ドルの
構成要素を含み、かつ試験アレイを画像化する場合に1,000カウント/ピクセル/秒
の平均強度を生成する。
実施例18.スポット強度を定量化するための携帯電話アプリケーションの作成
画像解析には、以下の2つの選択肢が存在する:1)分析のために画像を中央サーバに
送信する、および2)電話機上で分析を行う。電話機上で画像解析を実行する選択肢は、
データシグナルをすぐに利用できないLMICアプリケーションに適している。たとえば
、JavaCVの画像処理技術ライブラリは、本明細書の需要を満たすために、適応する
ことができる。アプリ開発の間、実施例10〜17によって生成された画像を、市販のマ
イクロアレイスキャナとセットになって売られた画像分析ソフトウェアから以前に得られ
た結果と比較して、電話機上での分析をベンチマークするために使用する。
本明細書に記載した例示的なアプリケーションは、それらの位置に基づいて試験スポッ
トを識別でき、かつ平均ピクセル強度/スポット測定値を生成することができる、Jav
aCVに基づく画像分析ツールを含む。たとえば、アプリケーションはまた、オンチップ
での較正標準に従って、参照用の用量反応曲線を参照することができ、かつ試験スポット
の強度をオンチップでの較正標準に従って、測ることができる。
実施例19.システム全体のベンチマーキング
最適化された検出器およびアプリケーションの完成に際して、新しいFOMを生成し、
かつ実施例16の二重鎖アッセイで得られたものと比較する。中央研究所で実施されたE
LISAと同等またはそれ以上の性能測定基準を有し、20分以内にスマートフォンでア
ッセイ結果を提供する統合POCTを開発する。
例示的なシステムは、中央研究所で実施されるELISAと同等またはそれ以上の性能
測定基準で20分以内にスマートフォンでアッセイ結果を提供する、統合POCTであり
得る。
実施例20.開発されたPOCTの臨床試験:模擬血液サンプルを用いた試験
統合D4アッセイは、0g/mlから1μg/mlの範囲の検体添加ニワトリの血液に
おいて4logスケールまたは濃度にわたって実施されるアッセイによって最適化される
。以下に記載する研究は、臨床技術者によって実施され、かつD4 POCTの開発者に
よって実施されない。実施例1〜20に記載の実験は、D4アッセイの開発に深く関与す
る職員によって実施されるため、これは重要な差異である。アッセイは最終的には、アッ
セイ形式に以前にさらされたことのない職員―典型的には、LMIC環境における臨床技
術者、および潜在的にはユーザによってさえも―によって実施されるため、研究室から実
地での使用への移行において、アッセイを、アッセイ開発に密接に関わっていない個人へ
と譲り渡すために、研究室において決定されたFOMが、LMICサイトに近い環境に適
合することを検証することが重要である。
表1は、各種類の検証基準をまとめたものである。D4アッセイの結果が基本的に定量
的(蛍光強度のデジタル読み出し)であるため、統計的推測を通知するために、これらの
結果に対して精度を評価する。すべての試験ポイントは、特に明記されていない限り、3
重に実行する。アッセイ精度を最初に評価する(表1)。標的実施パラメータを95%の
信頼度で分析できることを確実にするという最終目標のために、観察された精度に基づい
て、後に続く試験のために、反復の数を調整することができる。単一検体AFPおよびA
FP−L3に対する多重化AFP+AFP−L3アッセイの定量的な方法の比較結果は、
試験ケースとしてD4多重化アッセイを、および基準ケースとして単一検体アッセイを用
いた線形回帰のセットとなる。傾き、切片、および変動係数を、適切な95%信頼区間で
計算する。単一検体D4アッセイが特徴付けされていないので、データについての仮定を
避けるために、ブランド/アルトマン(Bland/Altman)分析もまた行う。
表1.実地使用へのアッセイ移行における、シングルプレックスおよびデュアルプレッ
クスアッセイの開発で評価される分析パラメータ
Figure 2021192035
プロトタイプD4 AFPおよびデュアルAFP+AFP−L3 D4 POCTがい
ったん開発されると、完全な最高点の検証が、表1に概説された経路にしたがって行われ
る。仕事を始める前に、SOP、データ形式と型、最終的な統計解析の詳細、および検定
力を保証するための十分な複製物(これまでに収集した予備データによって使用可能とな
る)を含む詳細な検証計画を作成する。この検証からの結果は、以下を含む一般的に受け
入れられた診断基準と比較される:他のアッセイ特異的測定量(LOD、LOQ、アッセ
イ範囲)の中でも定性的感度および特異性≧95%;定量的方法比較の傾き0.95〜1
.05、バイアス≦5%、R2≧90;名義の正確度85〜115%;精度(CV)≦1
0%;直線性≧90。
臨床的な有用性の例示的な結果は、経験の浅いユーザによる、本明細書に記載されるD
4アッセイの検証を含み、それは、実施例21に記載の他のアッセイ特異的測定値(LO
D、LOQ、アッセイ範囲)の中でも、感度および特異性≧95%;定量的方法比較の傾
き0.95〜1.05、バイアス≦5%、R2≧90;名義の正確度85〜115%;精
度(CV)≦10%;直線性≧90をもたらす。
実施例21.新しく採取したヒト血液中での試験
D4アッセイの試験後、新たに採取した患者の血液を用いた小規模(〜20回)の試験
をサイト1で実施する。D4結果をAFPおよびAFP−L3のELISAと比較する。
臨床研究および実験プロトコールの詳細を以下に記載する。
臨床試験の設計:このセクションは、限られた数の患者の血液サンプルを用いてサイト
1において実施される事前検証臨床試験、およびLMICサイト:すなわちサイト2にお
けるD4 POCTのより大規模な臨床試験の両方に適用される。2つの研究の最大の違
いは囲い地の大きさであり、サイト1ではアームあたり〜20個、LMIC臨床サイトで
はアームあたり〜100個であると予想される。
研究集団:研究の承認は、各試験場の施設倫理審査委員会から得、かつ肝細胞癌腫(H
CC)患者および健康な対照を含むすべての参加者からのインフォームドコンセントを得
る。
HCCは、超音波、CTまたはMRIによる特徴付け、および生化学(AFP血清学お
よび肝臓機能の酵素)に基づいて定義され、および米国肝臓病研究協会のガイドラインに
従って組織病理学によって確認される。腫瘍段階は、バルセロナクリニック肝臓癌(BC
LC)病期分類システムに従って定義される。BCLCステージ0+Aを有する腫瘍は、
早期HCCとして分類される。慢性HBV感染の診断には、慢性HBV感染の予防および
治療のガイドラインに従い、過去6ヶ月間のHBsAgの存在、1mL当たり10コピ
ーを超えるHBV DNA濃度、および血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ量の
上昇が包含される。肝硬変の診断は、肝生検試料の組織病理学、ならびに、そこにおいて
可能な、結節性肝臓輪郭(nodular liver contour)、腹水の存在、門脈圧亢進症、静脈
瘤、尾状葉の肥大、脾腫、および側副門−静脈吻合を包含する、臨床的な、実験室におけ
る、および画像の証拠に基づく。AFP濃度が上昇している肝硬変の患者は、複数の方法
(超音波検査、CT、またはMRI)による画像化を受ける必要があり、かつ登録前少な
くとも3ヶ月間は肝臓塊の証拠がない。他の固形腫瘍の病歴を有する患者は、研究から除
外される。
健常な対照は、肝臓が生物化学的に正常であり、肝臓病の病歴を有さず、ウイルス性肝
炎を有さず、かつ悪性疾患を有さない適格な献血者である。2つの囲い地内において、年
齢および性別において、可能な限りグループを適合させた。
統計的解析:
試験段階において、HCC患者のグループ、および健常な対照の被験体のグループを募
集する。AFP量は、平均、中央値および標準誤差によって、2つのグループについて別
々にまとめる。2つのグループにおけるAFP量の中央値が等しいという帰無仮説を、そ
れらはマンホイットニー検定を使用して等しくないという対立仮説に対して試験する。診
断試験では、AFPレベルが特定のカットオフポイントを上回っている場合には「陽性」
と分類され、およびそうでない場合には被験体は検査について「陰性」と分類される。カ
ットオフポイントの違いは、試験の動作特性の違いを生む。具体的には、試験の感度は、
試験において「陽性」と正しく分類されたHCC被験体の割合である。特異性は、「陰性
」と正しく分類された非HCC被験体の割合である。さらに、陽性的中率は、試験におい
て陽性と分類された被験体のうち真陽性である被験体の割合であり;および陰性的中率は
、陰性として分類された被験体のうち真陰性である被験体の割合である。受信者操作者特
性(ROC)曲線は、試験のための様々なカットオフポイントにおける、真陽性の割合に
対する偽陽性の割合をプロットすることによって得られる。ROC曲線下面積(AUC)
を用いて、試験の診断値を評価する。検査に診断値がないという帰無仮説の下では、AU
Cは0.5に等しく、かつより高いAUC値(1まで)はより高い診断値を示す。有意水
準0.05では、真のAUCがそれぞれ0.6、0.65、0.7および0.75であれ
ば、帰無仮説を拒絶するために80%のパワーを達成するために必要な2つのグループ(
症例および対照)のそれぞれの被験体の数は約130、60、30および20である。感
度および特異性の合計を最大化することによって、診断のための最適なカットオフ値を求
めるために、受信者操作者特性曲線もまた使用される。最適カットオフを有する試験の感
度、特異性、陽性予測値および陰性予測値は、それらの95%信頼区間とともに計算する
統計分析は、R(バージョン3.0.2)およびSAS(バージョン9.0)を用いて
行なう。2つの独立したグループ間の差異は、マンホイットニーのU検定(連続変数およ
びノンパラメトリック分析)で検定する。感度、特異性およびそれぞれの曲線下面積(A
UC)を評価するために、受信者操作特性(ROC)曲線を構築する。診断の最適カット
オフ値は、感度および特異性の合計を最大化することによって調べる。また、最適カット
オフ値の下での感度および特異度も、それらの95%信頼区間とともに計算する。これら
の量およびそれらの95%信頼区間は、試験段階から計算されたものと比較する。
本明細書に記載の新たに採取したヒト血液からの例示的なD4アッセイは、感度および
特異性の合計を最大にすることによって、AFPおよびAFP−L3による診断のための
最適カットオフ値の推定値を提供する。一例においては、90%の感度および85%の特
異性を提供する、250ng/mLのAFPおよび100ng/mLのAFP−L3のカ
ットオフ値である。
さらに、本明細書に記載のD4アッセイは、中央研究所で実施されるELISAと同等
またはそれ以上の性能測定基準で20分以内にスマートフォンでアッセイ結果を提供する
統合POCT形式である。性能評価のための例示的な市販のELISAには、46pg/
mLのLOD、および312pg/mLから20ng/mLのアッセイ範囲、およびアッ
セイ範囲にわたって、CV%<10である、R&Dsystemsのヒトアルファ−フェ
トプロテインQuantikin ELISAキット(DAFP00)が含まれる。
実施例22.赤血球捕捉のためのPOEGMA抗体アレイ:初期の結果
初期の結果を図18〜24に示す。
適切な形態のために、GAMA401抗D抗体以外の全ての抗体用に、イン‐ハウスで
開発された印刷バッファーを使用することができ、GAMA401抗D抗体は受け取った
まま印刷する必要がある。
アレイは、A、B、O血液型に特異的に見える。
D陰性の血液は利用できなかったので、GAMA401抗D抗体の特異性はまだ実証さ
れていない。
試験した3つの血液サンプルのいずれにおいても、F8D8抗D抗体によってシグナル
は生成されなかった;したがって、スポット形態を評価することはできなかった。
結果は、直感的な読み出しを伴うアレイの作製を実証する。
実施例23.DNAの検出
スライド上の各ウェルを、100μLのTdTバッファー中で、10U TdT、10
0μM dATP単量体、および0.5μM、1μM、2μM、または5μMのCy3−
dATPヌクレオチドまたはダイターミネーター、Cy3ジデオキシヌクレオチド(Cy
3−ddATP)とインキュベートすることにより、Cy5標識オリゴヌクレオチドプラ
イマーをスポットしたガラススライド上で表面開始酵素重合(SIEP)を行った。SI
EPを37℃で1時間実施した後、スライドを0.1%Tween20を含むSSCバッ
ファーで3回洗浄することによって、非特異的に結合した任意の反応物の除去を容易にし
た。
SIEPによるRNAハイブリダイゼーションのオンチップ蛍光標識。グリセルアルデ
ヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子由来のDNA配列を、我々のアッセ
イを試験するためのモデル系として選択した。完全に相補的な5’−ビオチン化された1
7量体PNAプローブ[5’−Ac−GTCCACCACCCTGTTGC−リシン−ビ
オチン−3’、1μM]およびB型肝炎ウイルス(HBV)配列に由来する非特異的PN
Aプローブ[5’−Ac−ACCTTGTCATGTACCAT−リシン−ビオチン−3
’、1μM]を、ストレプトアビジン(2.5μM)と個々に混合し、かつ次いで非接触
プリンター(Piezzorray、Perkin−Elmer)を用いて、ガラス基板
上に伸長した16、20の非汚染性ポリ(オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート
)(POEGMA)ブラシ上にスポットした。プローブをスポットしたスライドを、それ
から真空チャンバー内で一晩インキュベートし、および使用前に、0.1%Tween2
0を含む1×SSCバッファーですすいだ。ハイブリダイゼーションした標的の用量反応
曲線を、1pM〜0.1μMの濃度範囲をカバーする標的RNAの溶液によって、印刷し
たプローブをインキュベートすることによって生成した。ハイブリダイゼーションの前に
各標的溶液を95℃で10分間加熱し、およびそれから氷中で冷却し、および印刷したプ
ローブと共にインキュベートした。アッセイは2つの標的を用いて実施した:(1)プロ
ーブに相補的な21量体の合成RNA標的[5’−rGrCrArArCrArGrGr
GrUrGrGrUrGrGrArCrCrUrCrA−3’]、および(2)in v
itroで転写されたGAPDH mRNAの全長(約1.4kb、詳細はSIにおいて
見つけられる)。各標的を、ハイブリダイゼーションバッファー(3×SSC、0.1%
Tween 20および4.95M尿素)中で、42℃において穏やかに振とうしながら
一晩(約16時間)インキュベートした。合成RNAを受け取ったまま使用した一方で、
in vitroで転写したGAPDH mRNAを、受け取ったまま、または断片化試
薬中における70℃における15分間のインキュベーションによって断片化して使用した
。断片化したRNA標的のために、洗浄バッファー(1×SCC、0.1%Tween−
20)ですすいだ(3×)後、結合した断片化したRNA標的を、37℃で1時間、オン
チップで酵素的に脱リン酸化することによって(0.125 %BSAおよび0.1%T
ween 20中、0.0625ユニット/μLホスファターゼ)、3’−OHの利用可
能性を確保した。次に、結合したRNA標的の3’−OHを、SIEPによりDNAに変
換した。PaPを用いて37℃で2時間、短いオリゴ−dATを組み込みP(1×PaP
バッファー中、6ユニット/μL PaPおよび500μM dATP)、続いて、Cy
5 dATPを組み込むために、37℃で1時間、TdTを用いたSIEPを行った(1
×TdTバッファー中、0.1ユニット/μL TdT、100μM dATP、および
0.5μM Cy3−dATP)。次いで、スライドを0.1%Tween 20を含む
1×SSCバッファー中で30分間すすぎ、かつGenePixスキャナー上で直ちにス
キャンした。次いで、スポットの平均シグナル強度(バックグラウンドを差し引いたもの
)を標的RNA濃度の関数としてプロットした。
実施例24 マイクロRNA配列の単一工程検出のための競合結合アッセイ
この実施形態は、図26に示した。この実施形態は、競合的免疫アッセイと同様であり
、標識された/競合する標的を送る方法が異なる―この形式においては、標識された標的
は、検体溶液に添加されておらず、しかしながら、代わりに、スポッティングの前に、プ
ローブに対して直接的にハイブリダイズされている。そうであるから、この形式は、スポ
ッティングに先立って、標識された標的にハイブリダイズしたマイクロスポットまたはプ
ローブに依存する。多数の非相補的塩基を含むようにこの標識された標的の配列を設計す
ることにより、このプレハイブリダイズされた、部分的に相補的な標識された標的が、検
体溶液中に存在する任意の標的によって置換されることが引き起こされる(検体溶液中に
存在する標的は、いかなるミスマッチ塩基も含まず、および従って、より高い親和性でプ
ローブ配列にハイブリダイズする)。この形式において、マイクロスポットシグナル強度
の減少は、検体サンプル中の標的の量を定量化するために用いられる。理想的には、この
方法はRNA精製工程を回避し得る。しかしながら、RNA精製が必要だとしても、この
方法はなお、逆転写、標識化、および/またはPCR増幅を排除する可能性がある。
以下のパラメータは、感度およびSN比に関して最適化される。1.配列の長さ;2.
配列の内容物(GC対AU対TA)3.シーケンスの一意性(ゲノムが他の極端に類似す
る配列を含むか)4.検体溶液の性質(イオン強度、pHなど);5.温度;6.ミスマ
ッチ塩基の位置/内容物(プローブの開始/終了に対するプローブの中間、AC対AG対
AAなど);7.プローブの長さ(標的鎖とプローブ鎖との間に、何塩基の重複した塩基
が存在するか/どの重複した塩基が存在するか、プローブは相補部分の前/後にオーバー
ハングを含有するか)。8.インキュベーション時間。1〜3は標的配列の機能であり、
変化させることはできないが、4〜8を用いてプローブ−標的結合を合わせることができ
る。
本発明のいくつかの実施形態においては、標識された標的の可溶性スポットがプローブ
スポットの横に印刷される。この技術は、対照群を1つの標識(たとえばCy3)によっ
て、かつ実験群を別個の標識(たとえばCy5)によって標識することによって、遺伝子
発現の倍数変化を測定する、伝統的なDNAアレイに基づくアッセイにさらによく似てい
る。しかしながら、この実施形態では、標識された標的の可溶性スポットが溶解するにつ
れて検体溶液に添加される「対照」標的のみが標識される。これらの標識された標的がプ
ローブスポットへと結合する度合いは、検体溶液中に存在する、標識されていない標的配
列の濃度と反比例の関係にある。
適切な配列は、以下を包含する:
・miRNA 標的 (mir−155)
5’−UUAAUGCUAAUCGUGAUAGGGGU
・LNA プローブ
5’−CCTATCACGATTAGCATTAA−ビオチン
・部分的に相補性を有する、標識されたmiRNA標的(AがCへと変化している、変異
は太い下線で示した)
Figure 2021192035
実施例25 免疫組織化学を増強するための標的細胞アレイ
免疫組織化学(IHC)は病理学の分野において重要な役割を果たし、およびその重要
性は、新たな標的治療のためにコンパニオン診断が必要とされるにつれて、増加する運命
にある。しかしながら、客観的価値の調査の内在的な主観性から(in situタンパ
ク質濃度)、コンパニオン診断に必要とされる正確性を獲得するために、新しい技術が必
要とされることが示唆される。
IHCは、患者ケアおよび治療過程の決定において、しばしば重要な役割を果たす。特
定のおよび/または稀な細胞型を標的とするように、より多くの薬物が設計されているが
、潜在的な副作用およびこれらの薬物の多くが高費用であるために、IHCは薬物投与の
前の薬物応答を予測するためによく使用される。たとえば、トラスツズマブ(ハーセプチ
ン)の使用は、HER2/neu受容体が過剰発現されている20%〜30%の乳癌の治
療において示唆されているだけであり、およびトラスツズマブの処方の前に、HER2の
過剰発現が実際に存在するかどうかを判定するために、乳癌腫瘍生検をIHCおよび他の
方法によって評価しなければならない。しかし、IHCによって再現性のある結果を獲得
することは、固定条件、標本前処理、試薬、検出方法、洗浄手順および結果の解釈を包含
する多数の変動要因のために、かなり困難である。この再現性の乏しさは、主要な課題を
提示し、および多数の研究が、IHCアッセイに用いられる品質管理基準を改善する必要
性を実証する。HER2過剰発現のためのIHC試験結果の1つの研究では、初期の局所
試験と追跡の中央研究室における試験との間で15%の不一致率が見出された。
個々の細胞は分析のためにアレイに印刷される。組織サンプルの天然の形態は、伝統的
なIHCの間で広く保存されており、およびいくつかの例においては、これは必要かつ有
用であるが、分析を単に複雑にするだけだというたくさんの例がある。たとえば、組織生
検が特定の表面レセプターの過剰発現について検査されている場合、細胞は分析のために
組織サンプル中に埋め込まれたままである必要はない。細胞をアレイの中へと組織化する
ことにより、視覚によって、または自動化された形式のいずれかによって行われても、画
像の取得および分析が大幅に単純化される。
標的細胞型に特異的な捕捉剤は、外来細胞の数を制限するために使用される。伝統的な
IHCは、多数の細胞からなる全組織切片の分析を包含し、かつ非常にしばしば、これら
の細胞の大部分は、特異的および/または珍しい細胞型を特徴付けることが目的である場
合は、重要ではない。特定の細胞型を標的とするための抗体などの表面固定化捕捉剤を使
用することにより、目的の特異低および/または珍しい細胞型を選択することが可能にな
る。この技術を使用して、分析する外来細胞の数を制限し、かつそれによって分析時間、
試薬要件、および結果として偽陽性の可能性を低減する。
標識された検出剤の基質のバックグラウンドへの非特異的吸着によって生成されたノイ
ズを排除することにより、シグナル対ノイズ比およびアッセイ解釈を大幅に改善すること
ができ、偽陽性の減少およびより敏感かつ定量的な結果を生成する。さらに、非特異的吸
着の欠如により、洗浄手順を大幅に低減または排除することができ、アッセイ手順を大幅
に簡素化し、かつ信頼性および再現性を改善する。
本発明の本態様に係るアレイの適切な調製方法の1つは、以下の通りである。ガラスス
ライドをポリ(オリゴ(エチレングリコール)メタクリレート)(POEGMA)で被覆
するために、表面開始原子移動ラジカル重合を使用する。本発明者らは、血液および細胞
溶解物などの複雑な生物学的流体中で実施されるアッセイにおいて、細胞およびタンパク
質の非特異的吸着によって引き起こされるバックグラウンドノイズを完全に排除する、こ
の非汚染性コーティングの能力を最近実証した。抗HER2/neu抗体のマイクロスポ
ットアレイをPOEGMA表面上に直接印刷する。これらのマイクロスポットは、本発明
者らの研究室で開発されたPOEGMA表面上に抗体をパターン化する方法を用いて作製
され、非汚染性表面上において安定した抗体マイクロスポットを得るための化学的活性化
および不活性化の必要性を排除し、製造プロセスを大幅に単純化する。さらに、本発明者
らは、この技術を用いてPOEGMA表面上に印刷された抗体は、通常の周囲条件下にお
いて非常に長い貯蔵寿命を有し、冷蔵またはバッファー中に保存する必要がないことを示
した。これにより、これらのアレイの貯蔵および輸送がはるかに単純になる。既に0〜3
+のHER2/neu発現スコアを受けている乳房腫瘍サンプルを用いて、アッセイを評
価する。腫瘍試料をコラゲナーゼDで処理し、かつPOEGMA上の抗HER2/neu
アレイを得られた細胞懸濁液に曝露する。HER2/neu陽性細胞は、抗HER2ne
uマイクロスポット(マイクロスポット当たり約1個の細胞となるように、円形で10μ
mの直径のマイクロスポットが使用される)によって捕捉され、かつ続いて、各細胞のH
er2/neu発現を定量化するために、第2の抗Her2/neu抗体による標識化を
用い得る。結果を、事前に決定した0〜3+のHER2/neu発現値と比較する。
この実施形態は、IHC試験を、より信頼性が高く、より速く、より安価にし、かつよ
り容易にポイント‐オブ‐ケアに適用できるようにする。乳癌腫瘍におけるHER2/n
eu発現を、本発明のこの実施形態を用いてアッセイする。
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し説明してきたが、そのような実施形態が単
なる例示として提供されることは、当業者には明らかであろう。
本発明から逸脱することなく、当業者には数多くの変形、変更、および置換が可能である
。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施におい
て採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するも
のであり、かつこれらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物が
その中に包含されることが意図される。
図1は、ポリオリゴ(エチレングリコール)メチルメタクリレート(POEGMA)ブラシ上における、2−D拡散ポイント‐オブ‐ケア(POC)アッセイの設計を示す。POEGMAブラシにより被覆されたチップ上に、2つのタイプのスポットが印刷される:(1)血液から検体を捕捉し、かつ検出複合体の下半分を形成する、捕捉抗体の「安定な」スポット、および(2)血液との接触時にそれらの印刷されたスポットから拡散し、かつ検出複合体の標識された半分を形成する、検出抗体の「可溶性」スポット。 図2は、D4 POC試験(D4=分注、溶解、拡散、検出)のワークフローを示す。(A)血液導入前のマイクロアレイチップ。(B〜E)毛細血管作用を介した指採血からの血液の導入。(F)電話機に装置を接続する。(G)チップを装置に挿入する。(H)キャップを装置上に置く。(I)電話カメラを用いて撮像する準備ができている装置。(J)血液添加後のマイクロアレイの電話画像―裏面からの撮像および光照射は、血液からの光学的干渉を排除する。(K)検出器の設計の切り抜き概略図。 図3は、SI−ATRPによるガラス上のPOEGMAブラシの合成を示す。洗浄したガラススライドを、工程1においてAPTESで官能化し、およびシラン単層中のアミン基を、工程2においてATRP開始剤を付着させるために使用する。次いで、スライドをOEGMAモノマーおよび触媒の溶液に浸漬して、SI―ATRPによって、POEGMAブラシをスライド上に伸長させる。 図4は、以下を示す。(A)血清から直接の情報を得た典型的なIL−6マイクロアレイの画像。(B)POEGMAブラシ上のバッファーおよび血清中のOPGの用量反応曲線。(C)POEGMAブラシおよびニトロセルロース上の血清中のIL−6の用量反応曲線。(D)全血から直接の情報を得たIL−6マイクロアレイの用量反応曲線。B〜Dにおいて、縦軸はスポットにおける、平均バックグラウンドを引いた蛍光強度を示し、かつX軸は溶液中の検体濃度を示す。エラーバーは、1標準偏差である。 図5は、安定的な捕捉剤スポットおよび不安定な検出剤スポットを、同じ表面上に印刷することの実行可能性の原則証明を示す。不安定なCy5−ストレプトアビジンスポットを溶液に溶解し、およびバッファー一滴をチップに添加した後、ビオチン化Abの安定的なスポットに結合させた。 図6は、ワックスの格子を型押しされた、POEGMAブラシを有するガラススライドを示す。(A)抗体マイクロアレイは、ワックスの囲いの中央にスポットされている。(B)可溶性蛍光検出試薬を含むマイクロスポットに囲まれた、内側の4×4捕捉抗体アレイの拡大図。(A)の画像はデジタルカメラにより取得し、(B)は蛍光マイクロアレイスライドスキャナによって取得した。 図7は、例示的なアッセイを示す。(A)血液を分注する、(B)5分間インキュベートする;および(C)Visine(商標)ボトルからの1mLで洗浄する。 図8は、全血中のヒトIgGおよびIgMについての例示的なD4 POCTの結果を示す。(A)液体曝露前の印刷されたアッセイ。(B)〜(D)5分間の10μLのヒト血液の後、すすぎ洗いする。(B)「不安定な」検出スポットの外側の列にスポットされた、Cy5−抗IgGおよびCy5−抗IgM。(C)不安定な検出スポットにおけるCy5−抗IgGのみ。(D)不安定な検出スポットにおけるCy5抗IgMのみ。(E)ニワトリの全血10μLの後。(F)10μLのPBSの後。 図9は、ニワトリの全血に添加したヒトPSAおよびIL−6に対する多重化D4 POCTの結果を示す。LODはブランク+3SDである。 図10は、印刷後、1日(三角)および23日(四角)室温保存した後のBNP D4 POCTの用量反応曲線を説明する。上段:+対照、最下位列:BNP 図11は、第2世代のD4チップの例を示す(A)。抗体マイクロアレイは、チャネルの中央の底部カバースリップ上に印刷される。どのように血液が中央チャネルに充填され、かつ毛細管作用(B〜D)によってチャネル内に保持されるかを示す図(B〜D)。 図12は、以下を示す。(A)D4光学的検出器の設計の切り抜き概略図。スマートフォンに付着する磁気リングは、(A)の底部にある。切り抜き図は、蛍光発光の裏面からの光励起および読み出しを示す。(B)検出器のスマートフォンへの磁気カップリングおよびスマートフォンに対する検出器の光学位置合わせ。(C)蛍光試験抗体アレイのデジタル画像。(D)シグナルの視覚検査。 図13は、ヒトα−フェトプロテイン(AFP)のD4マイクロアレイの例示的な形式を示す。+対照スポット内においてAFP濃度を変えることによって生成されるシグナル勾配は、内部較正標準として役立つ。 図14は、試験アレイ形式を示す。2つの別々のアレイが印刷され、1つは抗AFP捕捉スポットおよびAFP較正用であり、かつもう1つは可溶性抗AFP検出スポット用である。これらの2つのアレイが検体溶液に曝される順序は、互い違いである―血液が最初に最初にパネルAの捕獲スポットに接触し、かつ最初にパネルBの検出スポットに接触する。 図15は、検出抗体の拡散距離を減少させるために、各安定捕捉スポットを不安定な検出スポットで取り囲むことができることを示す。 図16は、陽性の対照較正標準を用いた、AFPおよびAFP−L3のための例示的な二層D4アレイを示す。 図17は、例示的なD4 POCTバイオインタフェースを示す。 図18は、POEGMA抗体アレイ形式1を説明する。全ての抗体は、スポット直径約125ミクロンで、受け取ったまま印刷した。ワックスの囲い内に印刷された実際のアレイの画像を上部に示し、抗体の位置を重ねて表示した画像を下部に示した。アレイ中の抗体の位置:RBC=33F1抗ヒト赤血球;A=GAMA120抗A;B=GAMA110抗B;D1=F8D8抗D;D2=GAMA401抗D。 図19は、A+血液に曝露したPOEGMA抗体アレイのいくつかの結果を説明する:洗浄前(上)ならびに洗浄および吸引後(下)のアレイの画像。洗浄前にはスポットが見えるが、重力沈降した細胞および溶液中の細胞によって覆い隠される。 A+血液に曝露したPOEGMA抗体アレイの結果を説明する:洗浄および吸引後のアレイの画像(上)、および選択したスポットの形態(下)。A+血液について予想されるように、1,6行目の抗RBC、2行目の抗Aおよび5行目の抗D2に対して結合が起こる。 図21は、バッファー添加物で印刷されたPOEGMA抗体アレイを説明する。全ての抗体は、印刷バッファーで1:1に希釈した。スポットの直径はおおよそ110ミクロンである。ワックスの囲いの中に印刷された実際のアレイの画像を上に示し、抗体の位置を重ねて表示した画像を下に示す。アレイ中の抗体の位置:RBC=33F1抗ヒト赤血球;A=GAMA120抗A;B=GAMA110抗B;D1=F8D8抗D;D2=GAMA401抗D。 図22は、血液型抗原の検出のためのPOEGMA抗体アレイの結果を示す。A+血液に曝露(上);B+血液に曝露(中);O+血液に曝露(下)。結果は、アレイがA、B、O血液型に特異的であることを示している。 図23は、A+血液に曝露された場合の、血液型抗原の検出のためのPOEGMA抗体の結果を示す。 図24は、視覚的読み出しによる血液型抗原の検出のためのPOEGMA抗体アレイを示す。アレイには、A、B、またはABのような血液型を、正または負の符号で表示する。Oは、AまたはBの非存在によって示される。アレイ中の抗体の位置:RBC = 33F1抗ヒト赤血球;A=GAMA120抗A;B=GAMA110抗B;D1=F8D8抗D;D2=GAMA401抗D。 図25は、本発明の検出器の一実施形態の概略図を提供する。図25Aは、検出器の上面図を示す概略図である。図25Bは上面斜視図である。図25Cは側面図である。図25Dは底面斜視図である。図25Eは、検出器の長軸を通る平面に沿った断面図である。 図26は、マイクロRNA配列の単一工程検出のための競合的結合アッセイの概略図を提供する。

Claims (54)

  1. チップ内を通るチャネルと、前記チャネルの少なくとも1つの表面上に配置された非汚
    染性ポリマー層とを含むチップであって、
    前記チャネルは前記チップ内に実質的に囲まれており、
    前記チップは、直接的に、非共有結合的に、前記非汚染性ポリマー層に結合した捕捉剤
    をさらに含む、チップ。
  2. 前記非汚染性ポリマー層は、i)pH7.4を有するリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液
    によって10分間予備処理した後;ii)それからmlあたりフィブロネクチン1mgの
    濃度のフィブロネクチン溶液に25℃で20分間曝露し、;およびiii)次いで、pH
    7.4を有するPBS溶液で10分間すすぎ;表面プラズモン共鳴または代替法によって
    評価した場合、1ng/cm以下のフィブロネクチン吸収を示す、請求項1に記載のチ
    ップ。
  3. 前記チップが、前記非汚染性ポリマー層がバルク水ではなく水和水を含むようにして保
    管される場合、前記捕捉剤は、約25℃の温度において少なくとも約1ヶ月間、少なくと
    も約50%の結合活性を保持する、請求項1又は2に記載のチップ。
  4. 前記チップは、体液を分析して、体液中の検体を検出することが可能である、請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のチップ。
  5. 前記検体は、ヒトA血液型抗原、ヒトB血液型抗原、ヒトAB血液型抗原、ヒトO血液
    型抗原、ヒトRh因子抗原、グリコホリン、生物脅威病原体、感染性病原体に由来する抗
    原、癌抗原、心臓血管疾患に関連する抗原、代謝性疾患に関連する抗原、またはそれらの
    任意の組み合わせ、または上記のいずれかを認識する抗体である、または含む、請求項4
    に記載のチップ。
  6. 前記非汚染性ポリマー層が、ヒドロキシ末端重合オリゴエチレングリコールメチルメタ
    クリレート(OEGMA)のホモポリマー、またはメトキシ末端OEGMAとヒドロキシ
    末端OEGMAとのコポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップ。
  7. 前記非汚染性ポリマー層は、約10nm〜約150nmの厚さである、請求項1〜6の
    いずれか1項に記載のチップ。
  8. さらに検出剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のチップ。
  9. 前記捕捉剤と検出剤とが、前記非汚染性ポリマー層の反対側の端部に位置する、請求項
    1〜8のいずれか1項に記載のチップ。
  10. 前記チップがさらにダムを備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のチップ。
  11. 前記ダムが、前記捕捉剤と検出剤との間に位置する、請求項10に記載のチップ。
  12. 前記ダムが、水溶性塩、水溶性糖、水溶性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせ
    を含む、請求項10または11に記載のチップ。
  13. 前記ダムが、リン酸塩、クエン酸塩、トレハロース、ポリビニルアルコール、ポリエチ
    レングリコール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項10から12のいずれ
    か1項に記載のチップ。
  14. 前記チャネルは、約0.01μLから約500μLの容量を有する、請求項1〜13の
    いずれか1項に記載のチップ。
  15. 非汚染性ポリマー層を含むチップを受け入れるように構成された本体と;
    前記チップが前記本体に配置された場合に、前記本体との組み合わせで、前記チップを
    実質的に取り囲む蓋と;および
    前記光が非汚染性ポリマー層に接触するように第1の波長の光を放射するように位置し
    た光源とを含む、検出器。
  16. 前記非汚染性ポリマー層から放射された光が通るように位置したフィルタをさらに備え
    る、請求項15に記載の検出器。
  17. 前記フィルタを通過する第2の波長の光を増強するように配置されたレンズをさらに備
    える、請求項15または16に記載の検出器。
  18. 前記光源に電力を供給する電源をさらに備える、請求項15〜17のいずれか1項に記
    載の検出器。
  19. 前記検出器は、おおよそ20cm〜30cmの容積を有する、請求項15〜18の
    いずれか1項に記載の検出器。
  20. 非汚染性ポリマー層を含むチップを受け入れるように構成された本体と;
    前記チップが前記本体に配置された場合に、前記本体との組み合わせで、前記チップを
    実質的に取り囲む蓋と;
    前記光が非汚染性ポリマー層に接触するように第1の波長の光を放射するように位置し
    た光源と;
    前記非汚染性ポリマー層から放射された第2の波長の光が通るように位置したフィルタ
    と;
    前記フィルタを通過する前記第2の波長の光を増強するように位置したレンズと;およ

    前記光源に電力を供給する電源と;を含み、
    前記検出器はおおよそ20cm〜30cmの容積を有する、検出器。
  21. 非汚染性ポリマー層を含むチップを受け入れるように構成されたチップホルダと;
    前記非汚染性ポリマー層上に第1の波長の光を放射するように位置した光源と;
    前記第1の波長の光を通し、かつ非汚染性ポリマー層から放射された第2の波長の光が
    フィルタを通過するように位置したフィルタと;
    前記フィルタを通過する前記第2の波長の光を増強するように位置したレンズと;
    前記光源に電力を供給する電源と;
    本体と;および
    前記検出器内に含まれる場合に、本体との組み合わせで、実質的にチップを取り囲む蓋
    と;を含み、
    前記検出器は、おおよそ20cm〜30cmの容積を有する、検出器。
  22. 前記検出器は、約25cmの容積を有する、請求項15〜21のいずれか1項に記載
    の検出器。
  23. 前記検出器は、自給式である、請求項15〜22のいずれか1項に記載の検出器。
  24. 前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを含む、請求項15〜23のいずれか1項に記
    載の検出器。
  25. 前記光源は、前記チップ内に含まれる検出剤の励起を可能にする角度で、前記チップの
    前記非汚染性ポリマー層を照射する、請求項15〜24のいずれか1項に記載の検出器。
  26. 前記検出剤は、フルオロフォアである、請求項25に記載の検出器。
  27. 前記検出器は、さらに1つから8つの光源を含む、請求項15〜26のいずれか1項に
    記載の検出器。
  28. 撮像装置に接続されている、請求項15〜27のいずれか1項に記載の検出器。
  29. 前記撮像装置はスマートフォンである、請求項28に記載の検出器。
  30. チップを含み、
    前記チップは、第1の面を有する第1の基板を含み、
    前記第1の面は実質的に平坦であり、
    前記非汚染性ポリマー層は、前記光源と前記非汚染性ポリマー層とが、前記第1の面の
    反対側となるように位置し、および
    前記光源は、前記第1の面に垂直な線から測定して90度以下の角度で、前記第1の基
    板および前記非汚染性ポリマー層を照射するように構成されている、請求項15〜29の
    いずれか1項に記載の検出器。
  31. 前記フィルタと前記レンズとの間の距離は、約0cm〜約3cmの範囲である、請求項
    15〜30のいずれか1項に記載の検出器。
  32. 前記チップを備え、前記フィルタと前記チップとの間の距離は、約0cm〜約3cmの
    範囲である、請求項15〜31のいずれか1項に記載の検出器。
  33. 前記光源から前記チップまでの距離が、約0cm〜約5cmの範囲である、請求項15
    〜32のいずれか1項に記載の検出器。
  34. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のチップを含む検出器。
  35. 少なくとも1つの捕捉剤を非汚染性ポリマー層中へと堆積する工程を含み、前記非汚染
    性ポリマーはチップによって取り囲まれている、チップを作製する方法。
  36. 前記非汚染性ポリマー層上に、少なくとも1つの検出剤を堆積する工程をさらに含む、
    請求項35に記載の方法。
  37. 前記非汚染性ポリマー層上に、少なくとも1つの賦形剤を堆積する工程をさらに含む、
    請求項35または36に記載の方法。
  38. 前記非汚染性ポリマー層の幅にわたってダムを堆積させる工程をさらに含む、請求項3
    5〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. a)請求項1〜14のいずれか1項に記載のチップをサンプルと接触させる工程と;お
    よび
    b)検体の存在または非存在を決定する工程とを含み、
    前記チップからの検出可能なシグナルは、検体の存在を示し、または前記チップからの
    検出可能なシグナルが存在しないことは、検体の非存在を示す、検体の存在または非存在
    を検出する方法。
  40. 前記検体が、表面抗原、溶液媒介抗原、または結合した抗原である、または含む、請求
    項39に記載の方法。
  41. 前記検体が、ヒトA型血液型抗原、ヒトB型血液型抗原、ヒトAB血液型抗原、ヒトO
    型血液型抗原、ヒトRh因子抗原、グリコホリン、もしくはそれらのいずれかの組み合わ
    せである、または含む、請求項39または40に記載の方法。
  42. 前記検体は、生物脅威病原体である、または含む、請求項39に記載の方法。
  43. 前記生物脅威病原体が、炭疽病、リシン毒素、ペスト、野兎病、天然痘、ブルセラ症、
    チフス熱(typhus fever)、ウイルス性脳炎、ウイルス性出血熱、Q熱、メリディオド症、
    鼻疽、ボツリヌス毒素、SEB毒素、または食中毒細菌である、または含む、請求項42
    に記載の方法。
  44. 前記検体が感染性病原体に由来する抗原である、請求項39に記載の方法。
  45. 前記検体が癌抗原である、請求項39に記載の方法。
  46. 前記検体が、心臓血管疾患に関連する抗原である、請求項39に記載の方法。
  47. 前記検体が、代謝性疾患に関連する抗原である、請求項39に記載の方法。
  48. 前記検体が、個々の被験体由来である、請求項39〜47のいずれか1項に記載の方法
  49. 非汚染性ポリマー層を含むチップと;
    検出器と;および
    携帯電話とを含む、検体を検出するためのシステム。
  50. 前記チップが、前記非汚染性ポリマー層上に配置された、捕捉剤と、検出剤とを含む、
    請求項51に記載のシステム。
  51. 前記捕捉剤が非汚染性ポリマー層に非共有結合的に付着している、請求項51または5
    2に記載のシステム。
  52. 前記検体が、ヒトA血液型抗原、ヒトB血液型抗原、ヒトAB血液型抗原、ヒトO血液
    型抗原、ヒトRh因子抗原、グリコホリン、生物脅威病原体、感染性病原体に由来する抗
    原、癌抗原、心臓血管疾患に関連する抗原、代謝性疾患に関連する抗原、もしくはそれら
    のいずれかの組み合わせ、もしくは上記のいずれかを認識する抗体である、または含む、
    請求項49から51のいずれか1項に記載のシステム。
  53. 前記検出剤がフルオロフォアを含み、かつ前記検出器が前記フルオロフォアを励起する
    光の波長を放射する光源を含む、請求項49〜52のいずれか1項に記載のシステム。
  54. 請求項1〜14のいずれか1項のチップと;
    請求項15〜34のいずれか1項の検出器と;および
    携帯電話とを含む、検体を検出するためのシステム。
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