JP2021189134A - 地震動評価モデル生成方法、地震動評価モデル生成装置、地震動評価方法、及び、地震動評価装置 - Google Patents

地震動評価モデル生成方法、地震動評価モデル生成装置、地震動評価方法、及び、地震動評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】データ量の増加とコンピュータの情報処理能力の向上を最大限に生かしつつ、将来発生すると考えられる地震動を高精度で評価・予測するための地震動評価モデルを生成可能な地震動評価モデル生成方法を提供する。【解決手段】地震動評価モデル生成方法は、複数の地震と当該複数の地震による地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録を関連付けて記憶するデータベース10から、地震動諸特性パラメータを特徴量とし、地震動観測記録から得られる地震動指標を目的変数として、特徴量及び目的変数で構成される学習用データ12を複数取得する取得工程と、取得工程にて取得された複数の学習用データ12に基づいて、特徴量及び目的変数の相関関係を機械学習により学習することにより地震動評価モデル13を生成する生成工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、地震動評価モデル生成方法、地震動評価モデル生成装置、地震動評価方法、及び、地震動評価装置に関する。
過去の地震(震源断層のすべり破壊現象)や地震動(地震によってもたらされる地盤の揺れ)等に関して得られた様々なデータに基づいて将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を評価・予測する技術は、その有用性ゆえ、地震動の特徴分析・解釈から建築物・構造物の挙動予測・構造設計等、更には地震防災等に至るまで、社会で幅広く活用されている。
従来、個々の専門家により自らの判断を伴いつつ選定された一部のデータが、専門的な手法により分析された上で、将来の地震による地震動の最大振幅(最大加速度・最大速度・最大変位等)や応答スペクトル(地震動をある固有周期と減衰定数を有する一質点系に入力させた場合の一質点系の最大応答振幅)等を評価・予測するための予測式(一般に距離減衰式・地震動評価式・地震動予測式等と称されることが多い)が開発され、活用されてきた(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
特開2008−39446号公報
Nobuyuki Morikawa and Hiroyuki Fujiwara,A New Ground Motion Prediction Equation for Japan Applicable up to M9 Mega-Earthquake,Journal of Disaster Research,Vol.8,No.5,2013,p.878-888
既往の検討により開発され活用されている実用的な距離減衰式等の予測式は、個々の専門家の検討に用いられた地震観測記録のデータに依存する上、大規模な地震や最大級の地震動は稀な自然現象であるため、それらの予測式に反映される既往の知見の質と量にはアンバランスが含まれている。また、日々蓄積・解析されることによるデータ量の増加とコンピュータの情報処理能力の向上は、その問題の改善に大きく寄与する可能性を秘めているが、新たなデータが得られる度に個々の専門家が予測式の再検討・再評価を行うには膨大な時間と労力を要するため、少なからず限界がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであって、データ量の増加とコンピュータの情報処理能力の向上を最大限に生かしつつ、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる、地震動評価モデル生成方法、地震動評価モデル生成装置、地震動評価方法、及び、地震動評価装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る地震動評価モデル生成方法は、
コンピュータを用いて機械学習により地震動評価モデルを生成する地震動評価モデル生成方法であって、
複数の地震と当該複数の地震による地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、前記地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録を関連付けて記憶するデータベースから、前記地震動諸特性パラメータを特徴量とし、前記地震動観測記録から得られる地震動指標を目的変数として、前記特徴量及び前記目的変数で構成される学習用データを複数取得する取得工程と、
前記取得工程にて取得された複数の前記学習用データに基づいて、前記特徴量及び前記目的変数の相関関係を前記機械学習により学習することにより、前記機械学習の学習済みモデルとして前記地震動評価モデルを生成する生成工程と、を含む。
また、本発明の一実施形態に係る地震動評価モデル生成装置は、
コンピュータであって、上記地震動評価モデル生成方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える。
また、本発明の一実施形態に係る地震動評価方法は、
コンピュータを用いて、上記地震動評価モデル生成方法により生成された前記地震動評価モデルに基づいて前記地震動の特性を評価する地震動評価方法であって、
予測対象の前記地震動諸特性パラメータを受け付ける受付工程と、
前記受付工程にて受け付けられた前記予測対象の前記地震動諸特性パラメータを前記特徴量として前記地震動評価モデルに入力することにより当該地震動評価モデルから出力される前記目的変数に基づいて、前記予測対象の前記地震動諸特性パラメータに対応する前記地震動指標を予測する予測工程と、を含む。
また、本発明の一実施形態に係る地震動評価装置は、
コンピュータであって、上記地震動評価方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える。
本発明の一実施形態に係る地震動評価モデル生成装置、及び、地震動評価装置によれば、複数の学習用データに基づいて、特徴量及び目的変数の相関関係を機械学習により学習することにより、機械学習の学習済みモデルとして地震動評価モデルを生成するので、データ量の増加とコンピュータの情報処理能力の向上を最大限に生かしつつ、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデルを提供することができる。
また、本発明の一実施形態に係る地震動評価方法、及び、地震動評価装置によれば、地震動評価モデル生成装置及び地震動評価モデル生成方法により生成された地震動評価モデルを利用することにより、個々の専門家の経験に依存することなく、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる。
本発明の第1の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。 データベース10の一例を示すデータ構成図である。 学習用データ12の集合(学習用データセットA)の各特徴量の相関を示す散布図である。 勾配ブースティング木の概要を示す概要図である。 本発明の第1の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。 地震動指標を距離減衰特性として表すときの出力結果の一例を示し、(a)はモーメントマグニチュードMwに応じた最大加速度PGA、(b)は震央方位Λに応じた擬似速度応答スペクトルpSv(1.0s)を示す図である。 目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示し、(a)は関東モデルA5、(b)は関東モデルA6、(c)は関東モデルB5、(d)は関東モデルB6をそれぞれ示す図である。 関東モデルA6における各目的変数(地震動指標)について、地震動観測記録から得られる観測値と、地震動評価モデル13により得られる評価値との相関を示す散布図である。 各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比をヒストグラムで示し、(a)は関東モデルA5、(b)は関東モデルA6をそれぞれ示す図である。 関東モデルA5、A6、B5、B6について、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比の平均とばらつきを示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。 学習用データ12の集合の各特徴量の相関を示し、(a)は学習用データセットS、(b)学習用データセットTを示す散布図である。 本発明の第2の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。 地震動指標を方位特性として表すときの出力結果の一例を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。 目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。 各目的変数(地震動指標)について、地震動観測記録から得られる観測値と、地震動評価モデル13により得られる評価値との相関を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す散布図である。 各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比をヒストグラムで示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。 地点モデルS4、T4について、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比の平均とばらつきを示す図である。 近接する複数の観測点における地震動の震源特性、伝播特性、及び、サイト特性を示す概略図である。 複数の観測点c1〜c3がグループ化された第1の観測点グループCと、複数の観測点d1〜d3がグループ化された第2の観測点グループDとをそれぞれ示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。 第1の学習用データ12Aの及び第2の学習用データ12Bの補間関係を示す散布図である。 各特徴量のクラスター分析による相互依存性を示す図である。 震央方位Λの各種のデータ形式を示し、(a)各データ形式の定義を示し、(b)は各データ形式における、目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示す概略構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示すブロック図である。
地震動評価システム1は、地震による地震動が複数の観測点にてそれぞれ観測された地震動観測記録を収集し、その観測結果を外部に提供する観測データ提供装置2Aと、地震動観測記録に基づいて地震の震源や規模を解析し、その解析結果を外部に提供する解析データ提供装置2Bと、地震動の評価・予測に用いる地下構造に関する地下構造パラメータを外部に提供する地下構造データ提供装置2Cと、データ提供装置2A〜2Cにより提供されたデータを機械学習により学習し、地震動評価モデル13を生成する地震動評価モデル生成装置3と、地震動評価モデル生成装置3により生成された地震動評価モデル13に基づいて、地震動を評価・予測する地震動評価装置4と、各装置間を接続するネットワーク5とを備える。
ネットワーク5は、無線通信又は有線通信により各種のデータや信号を通信するものであり、任意の通信規格が用いられる。なお、本実施形態では、地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価装置4は、別々の装置であるものとして説明するが、1つの装置(地震動処理装置)として構成されていてもよい。
観測データ提供装置2Aは、地震が発生したときに、複数の観測点に設置された地震計(不図示)により測定された南北方向、東西方向及び上下方向に対する三成分の時刻歴波形データを、地震動観測記録としてそれぞれ収集し、地震動観測記録と、例えば、観測点の位置を示す観測点位置等の付加情報と、を含む観測データを外部に提供する。本実施形態では、観測データは、例えば、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、「防災科研」という)の強震観測網K−NETにより提供されるデータであって、特に、関東地方一都六県(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬)に設置された観測点138地点(図1参照)にて観測されたデータを使用するものとして説明する。
解析データ提供装置2Bは、地震動観測記録に基づいて地震の震源や規模を解析し、その解析結果として、例えば、モーメントマグニチュード、気象庁マグニチュード、震央位置、震源深さ、地震種別、断層タイプ、及び、震源メカニズム解等を含む解析データを外部に提供する。本実施形態では、解析データ提供装置2Bは、例えば、防災科研の広帯域震観測網F−NETや気象庁により提供されるデータを使用するものとして説明する。
地下構造データ提供装置2Cは、地下構造パラメータとして、例えば、地震基盤面深さ、工学的基盤面深さ、層厚、密度、地震波伝播速度、Q値、減衰定数等を含む地下構造データを外部に提供する。本実施形態では、地下構造データ提供装置2Cは、例えば、防災科研の地震ハザードステーションJ−SHISにより提供されるデータを使用するものとして説明する。
なお、データ提供装置2A〜2Cは、地震が発生したときに、当該地震に関する提供データをリアルタイムに地震動評価装置4に提供してもよいし、地震動評価装置4からデータの要求を受けたときに、その要求に関する提供データ(過去に発生した地震のうち所定の条件に合致する複数の地震に関する提供データでもよい)を地震動評価装置4に提供してもよい。また、本実施形態では、データ提供装置2A〜2Cは、別々の3つの装置であるものとして説明するが、これに限られず、1つの装置として構成されていてもよいし、他のデータ提供装置がさらに付加されてもよい。
(地震動評価モデル生成装置3の構成と各部による工程について)
地震動評価モデル生成装置3は、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データ(観測データ、解析データ、地下構造データ)に基づいて、例えば、勾配ブースティング木、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)等の機械学習アルゴリズムを実行することにより、機械学習の学習済みモデルとして、地震動評価モデル13を生成する。
地震動評価モデル生成装置3は、汎用又は専用のコンピュータで構成されており、図2に示すように、HDD、メモリ等により構成される記憶部30と、CPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部31と、ネットワーク5との通信インターフェースである通信部32と、キーボード、マウス等により構成される入力部33と、ディスプレイ、タッチパネル等により構成される表示部34とを備える。
記憶部30には、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データが登録・更新されるデータベース10と、学習済みモデルである地震動評価モデル13と、地震動評価モデル生成装置3の動作を制御して地震動評価モデル生成方法を実現する地震動評価モデル生成プログラム300とが記憶されている。
制御部31は、地震動評価モデル生成プログラム300を実行することにより、DB管理部310、取得部311、及び、生成部312として機能する。なお、各部の機能の詳細は後述する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。
(DB管理部310によるデータベース管理工程と、データベース10について)
DB管理部310は、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データ(観測データ、解析データ、地下構造データ)に基づいて、データベース10を管理する。具体的には、DB管理部310は、地震が発生し、当該地震による地震動が少なくとも1つの観測点で観測され、データ提供装置2A〜2Cにより当該地震に関する提供データが提供される度に、当該地震と当該地震による地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、当該地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録を関連付けて、データベース10に登録する。
図4は、データベース10の一例を示すデータ構成図である。データベース10には、過去に発生した複数の地震と当該複数の地震による地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、当該地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録が関連付けられた状態の地震動データ11が複数登録されて、記憶されている。
地震動諸特性パラメータは、地震動の諸特性を記述する各種のパラメータであり、地震動の諸特性は、例えば、地震動の震源特性、及び、伝播特性を含み、サイト特性、方位特性、及び、地震動観測特性をさらに含む。本実施形態では、地震動諸特性パラメータは、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データ(観測データ、解析データ、地下構造データ)を、上記の地震動の諸特性に応じて分類・記録したものである。以下に、地震動諸特性パラメータに含まれる震源特性、伝播特性、サイト特性、方位特性、及び、地震動観測特性について説明する。
震源特性は、例えば、マグニチュード(モーメントマグニチュードMw、気象庁マグニチュード等)、震央位置(緯度lat_eq,経度lon_eq)、震源深さH、地震種別Type(内陸地殻内地震・プレート境界地震・スラブ内地震)、断層タイプMech(正断層・逆断層・横ずれ断層)、震源メカニズム解(走向Strike1、傾斜角dip1、すべり角rake1)、及び、震源メカニズム解の共役解(走向Strike2、傾斜角dip2、すべり角rake2)等の少なくとも1つである。本実施形態に係る震源特性は、モーメントマグニチュードMw、震央位置(緯度lat_eq,経度lon_eq)、震源深さH、地震種別Type、断層タイプMech、震源メカニズム解(Strike1、dip1、rake1)、及び、震源メカニズム解の共役解(Strike2、dip2、rake2)である。
伝播特性は、例えば、震源距離X、断層最短距離、及び、震央距離の少なくとも1つである。本実施形態に係る伝播特性は、震源距離Xであり、観測点位置と、震央位置との間の距離として算定される。
サイト特性は、例えば、観測点位置(緯度lat_site,経度lon_site)、地震基盤面深さ、工学的基盤面深さ、層厚、密度、地震波伝播速度、Q値、及び、減衰定数の少なくとも1つである。本実施形態に係るサイト特性は、観測点位置(緯度lat_site,経度lon_site)、最上層のS波速度VS1、表層10m平均S波速度AVS10、表層30m平均S波速度AVS30、微地形区分JCODE、S波速度700m/s層上面深さD7、S波速度1400m/s層上面深さD17、S波速度2100m/s層上面深さD24、及び、地震基盤面深さD28(=S波速度2700m/s層上面深さ)である。なお、表層30m平均S波速度AVS30が、観測点の地下構造データから求められない場合には、防災科研の地震ハザードステーションJ−SHISの250mメッシュの表層30m平均S波速度AVS30で代用し、表層10m平均S波速度AVS10が、観測点の地下構造データから求められない場合には、表層30m平均S波速度AVS30で代用するものとした。また、地震基盤面深さD28は、防災科研の地震ハザードステーションJ−SHISで公開されている対象観測点位置が含まれるメッシュの深部地盤モデルの第28層の下面深さ(同モデルで地震基盤に相当するP波速度5000m/s・S波速度2700m/sの第29層の上面深さに等しい)とした。
方位特性は、例えば、観測点を基準として震央が位置する方位を示す震央方位Λである。そのため、震央方位Λは、観測点位置を基準として震央位置が存在する方位として算定される。その際、震央方位Λは、真北を0°として時計回りに定めるとともに、真北を境に不連続量となるため、本実施形態に係る方位特性は、震央方位Λを表すsinΛとcosΛのペアを用いる。
地震動観測特性は、例えば、地震動観測記録として記録された時刻歴波形のデータが南北方向、東西方向及び上下方向のいずれかであることを示す地震動の方向成分Compである。
地震動観測記録は、例えば、南北方向、東西方向及び上下方向に対する三成分の加速度、速度、及び、変位の時刻歴波形である。地震動観測記録は、所定の評価手法により評価・解析されることで、各種の地震動指標が得られる。本実施形態に係る地震動観測記録は、強震観測網K−NETのうち関東地方一都六県(東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・栃木・群馬)に設置された観測点138地点(図1参照)にて観測された水平二成分(南北方向及び東西方向)に対する時刻歴波形である。
地震動指標は、地震動の振幅特性、周期特性、及び、経時特性の少なくとも1つを含む。
振幅特性は、地震動観測記録(加速度、速度、及び、変位の時刻歴波形)から得られる地震動の最大加速度PGA、最大速度、及び、最大変位の少なくとも1つである。本実施形態に係る振幅特性は、最大加速度PGAである。
周期特性は、地震動観測記録(加速度、速度、及び、変位の時刻歴波形)から得られる応答スペクトル又はフーリエスペクトル等において、少なくとも1つの周期に対する応答値である。応答スペクトルは、例えば、所定の減衰定数(例えば、5%)に対する加速度応答スペクトル、擬似速度応答スペクトルpSv、速度応答スペクトル、及び、変位応答スペクトル等である。フーリエスペクトルは、例えば、加速度フーリエスペクトル、速度フーリエスペクトル、及び、変位フーリエスペクトル等である。本実施形態に係る周期特性は、0.1秒、0.5秒、1秒、3秒、5秒の各周期における減衰定数5%の擬似速度応答スペクトルpSv(0.1s)、pSv(0.5s)、pSv(1.0s)、pSv(3.0s)、pSv(5.0s)の5つである。
経時特性は、例えば、地震動観測記録(加速度、速度、及び、変位の時刻歴波形)から得られる応答継続時間スペクトルにおいて、少なくとも1つの周期に対する応答継続時間である。応答継続時間スペクトルは、例えば、所定の減衰定数(例えば、5%)に対する加速度応答継続時間スペクトル、速度応答継続時間スペクトルTSv、及び、変位応答継続時間スペクトル等である。本実施形態に係る経時特性は、0.1秒、0.5秒、1秒、3秒、5秒の各周期における減衰定数5%の速度応答継続時間スペクトルTSv(0.1s)、TSv(0.5s)、TSv(1.0s)、TSv(3.0s)、TSv(5.0s)の5つである。なお、応答継続時間の開始と終了を規定するパラメータは、p1=0.03、p2=0.95である。
(取得部311による取得工程と、学習用データ12について)
取得部311は、図3に示すように、データベース10に登録された複数の地震動データ11から、地震動諸特性パラメータを特徴量とし、地震動観測記録から得られる地震動指標を目的変数として、特徴量及び目的変数で構成される学習用データ12を複数取得する。なお、学習用データ12は、教師あり学習における学習データ(トレーニングデータ)、検証データ及びテストデータとして用いられるデータである。また、複数の学習用データ12からなる学習用データ12の集合は、学習用データセットという。
その際、取得部311は、所定の地震条件及び所定の地震動条件の少なくとも一方を満たす地震に基づく地震動データ11を、学習用データ12として選択する。地震条件及び地震動条件は、例えば、首都圏においてある程度振幅が大きな地震動がバランス良く分布するように設定されるのが好ましい。
所定の地震条件としては、以下に示す第1乃至第6の地震条件が挙げられる。例えば、1996年〜2019年1月15日の期間において発生した地震であって、最大震度が4以上でかつ東京都千代田区で震度2以上であることを第1の地震条件とする。関東地方で震度が記録された地点数が非常に少ない(一桁程度)地震を除外した上で、震央位置の偏り及び地震発生域の偏りが所定の閾値以下であることを第2の地震条件とする。地震規模(気象庁マグニチュードMj)については、3.0<Mj≦5.0、5.0<Mj≦5.5、5.5<Mjの三段階に分離したときにバランスが取れていることを第3の地震条件とする。同じ地震発生域で複数の地震が発生している場合には、震源深さの偏りが発生しないようにすることを第4の地震条件とする。モーメントマグニチュードMwが、広帯域震観測網F−netにより求められていることを第5の地震条件とする。断層面が極端に広い地震(例えば、2011年東北地方太平洋沖地震(Mj9.0))を除外することを第6の地震条件とする。上記第1乃至第6の地震条件を満たす地震としては、合計74地震が該当する。
所定の地震動条件としては、以下に示す第1乃至第5の地震動条件が挙げられる。例えば、三成分の加速度を合成したときの三成分合成値の最大加速度が1cm/s以上であることを第1の地震動条件とする。地震動観測記録において振幅が小さくノイズが大きなもの(S/N比が小さなもの)を除外することを第2の地震動条件とする。地震動観測記録において記録時間が不足(頭部不足・尾部不足・両方不足)しているものを除外することを第3の地震動条件とする。地震動観測記録において別地震・別事象等が混在して記録の分析が困難なものを除外することを第4の地震動条件とする。地震動指標における応答スペクトルやフーリエスペクトルについては、周期0.05〜10秒の帯域を中心にノイズが大きなものを除外することを第5の地震動条件とする。
取得部311が、上記第1乃至第6の地震条件を満たす合計74地震による地震動に対して、上記第1の地震動条件を満たす地震動データ11を選択することにより、取得部311により選択された学習用データ12の集合(以下、「学習用データセットA」という)は、計14104(7052記録×水平二成分)の地震動データ11からなる。また、取得部311が、記第1乃至第6の地震条件を満たす合計74地震による地震動に対して、上記第1乃至第5の地震動条件を満たす地震動データ11を選択することにより、取得部311により選択された学習用データ12の集合(以下、「学習用データセットB」という)は、計11488(5744記録×水平二成分)の地震動データ11からなる。
以下では、本実施形態に係る学習用データ12を構成する特徴量は、図4に示す25種類の地震動諸特性パラメータのうち、モーメントマグニチュードMw、震源深さH、震源距離X、震央方位Λ(sinΛとcosΛのペア)、表層30m平均S波速度AVS30、及び、地震基盤面深さ(S波速度2700m/s層上面深さ)D28の6種類の地震動諸特性パラメータであるものとして説明する。
また、本実施形態に係る学習用データ12を構成する目的変数は、図4に示す11種類の地震動指標、すなわち、最大加速度PGA、擬似速度応答スペクトルpSv(0.1s)、pSv(0.5s)、pSv(1.0s)、pSv(3.0s)、pSv(5.0s)、速度応答継続時間スペクトルTSv(0.1s)、TSv(0.5s)、TSv(1.0s)、TSv(3.0s)、TSv(5.0s)であるものとして説明する。
図5は、学習用データ12の集合(学習用データセットA)の各特徴量の相関を示す散布図である。学習用データセットAの特徴としては、遠方の小規模地震の記録が少ないこと、近距離の大規模地震の記録が無いこと、大半は震源深さ100km以浅に分布していること、関東地方の各観測点に対する震央方位Λは全方位に分散しているが、東北方向(震央方位Λ≒45°前後)が多いこと等が挙げられる。
(生成部312による生成工程と、地震動評価モデル13について)
生成部312は、図3に示すように、取得部311にて取得された複数の学習用データ12に基づいて、特徴量及び目的変数の相関関係を機械学習により学習することにより、学習済みモデルとして地震動評価モデル13を生成し、記憶部30に記憶する。本実施形態では、機械学習における機械学習アルゴリズムとして、勾配ブースティング木(Gradient Boosting Decision Tree)を用いる場合について説明する。
図6は、勾配ブースティング木の概要を示す概要図である。勾配ブースティング木は、勾配ブースティングと決定木を組み合わせた学習器である。勾配ブースティングは、複数の弱学習器(低性能な機械学習モデル)を結合していくことにより強学習器(高性能な機械学習モデル)を構築する手法である。決定木は、樹木の分岐構造を利用した条件分岐を行うことにより分類・回帰が可能な機械学習モデルを生成する手法である。これら2つの手法を組み合わせた勾配ブースティング木は、決定木により生成した複数の弱学習器を勾配ブースティングにより結合する手法である。
本実施形態では、11種類の地震動指標のうち、最大加速度PGA及び擬似速度応答スペクトルpSvについては、振幅が大きくなるにつれてデータ数が急激に減少すると考えられる。そのため、本実施形態では、目的変数の分布に発生する偏りを低減するため、最大加速度PGA及び擬似速度応答スペクトルpSvに対する目的変数のデータとして、常用対数(log10PGAとlog10pSv)をそれぞれ用いることにした。また、勾配ブースティング木における損失関数として、最大加速度PGA及び擬似速度応答スペクトルpSvには、最小二乗法(正規分布)を適用し、速度応答継続時間スペクトルTSvにはポアソン分布を適用することにした。
さらに、本実施形態では、生成部312が、勾配ブースティング木を用いて地震動評価モデル13を生成する際、地震動評価モデル13を目的変数(11種類の地震動指標)毎に生成するものとした。すなわち、特徴量(6種類の地震動諸特性パラメータ)と目的変数(最大加速度PGA=1種類目の地震動指標)との相関関係を学習させた第1の地震動評価モデル13A、特徴量(6種類の地震動諸特性パラメータ)と目的変数(擬似速度応答スペクトルpSv(0.1s)=2種類目の地震動指標)との相関関係を学習させた第2の地震動評価モデル13Bというように、第3の地震動評価モデル13Cから第11の地震動評価モデル13Kまでをそれぞれ生成し、合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kを生成するものとした。以下では、地震動評価モデル13には、合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kが含まれるものとして説明する。
(地震動評価装置4の構成と各部による工程について)
地震動評価装置4は、地震動評価モデル生成装置3により生成された地震動評価モデル13に基づいて、地震動を評価・予測し、その結果を、例えば、表示媒体や紙媒体等の出力媒体に出力する。
地震動評価装置4は、地震動評価モデル生成装置3と同様に、汎用又は専用のコンピュータで構成されており、図2に示すように、HDD、メモリ等により構成される記憶部40と、CPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部41と、ネットワーク5との通信インターフェースである通信部42と、キーボード、マウス等により構成される入力部43と、ディスプレイ、タッチパネル等により構成される表示部44とを備える。
記憶部40には、地震動評価モデル生成装置3により学習済みモデルとして生成された地震動評価モデル13と、地震動評価装置4の動作を制御して地震動評価方法を実現する地震動評価プログラム400が記憶されている。
制御部41は、地震動評価プログラム400を実行することにより、受付部410、予測部411、及び、出力処理部412として機能する。なお、各部の機能の詳細は後述する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。
(受付部410による受付工程について)
受付部410は、予測対象の地震動諸特性パラメータを受け付ける。具体的には、受付部410は、例えば、地震動評価装置4のユーザが予測対象として想定している地震(以下、「想定地震」という)のモーメントマグニチュードMw、震央位置、及び、震源深さHについて入力部33を介して受け付けるとともに、当該想定地震による地震動がどの程度発生するのかを予測したい予測点の位置を示す予測点位置についても入力部33を介して受け受ける。なお、予測点位置は、任意の位置でもよいし、観測点位置と同じでもよい。また、予測点位置は、複数でもよく、例えば、所定の格子間隔(例えば、5km間隔)における各格子点等でもよい。
そして、受付部410は、想定地震の震央位置と、地震動の予測点位置とに基づいて、震源距離X及び震央方位Λを算出するとともに、地下構造データ提供装置2Cにより提供された地下構造データに基づいて、地震動の予測点位置に対する表層30m平均S波速度AVS30、及び、地震基盤面深さ(S波速度2700m/s層上面深さ)D28を取得する。これにより、受付部410は、予測対象の地震動諸特性パラメータ(想定地震のモーメントマグニチュードMw、想定地震の震源深さH、想定地震の震源と予測点位置との間の震源距離X、予測点位置を基準として想定地震の震央位置が存在する方位を示す震央方位Λ、予測点位置の表層30m平均S波速度AVS30、及び、予測点位置の地震基盤面深さD28)を受け付ける。
(予測部411による予測工程について)
予測部411は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータを特徴量として、地震動評価モデル13(6種類の地震動諸特性パラメータを特徴量とし、11種類の地震動指標を目的変数として、両者の相関関係を学習した学習済みモデル)に入力することにより当該地震動評価モデル13から出力される目的変数に基づいて、予測対象の地震動諸特性パラメータに対応する地震動指標を予測する。その際、受付部410が、想定地震を複数受け付けたり、予測点位置を複数受け付けたりすることで、予測対象として複数の地震動諸特性パラメータを受け付けた場合には、予測部411は、複数の地震動諸特性パラメータの各々を地震動評価モデル13に入力することで、複数の地震動諸特性パラメータの各々に対応する地震動指標をそれぞれ予測する。
本実施形態では、地震動評価モデル13は、目的変数(11種類の地震動指標)毎に生成された合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kを含むことから、予測部411は、予測対象の地震動諸特性パラメータを特徴量として合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kにそれぞれ入力し、合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kからそれぞれ出力される目的変数(11種類の地震動指標)毎に、予測対象の地震動諸特性パラメータに対応する地震動指標を予測する。すなわち、特徴量(6種類の地震動諸特性パラメータ)と最大加速度PGA(=1種類目の地震動指標)との相関関係を学習させた第1の地震動評価モデル13Aを用いて最大加速度PGAを予測し、特徴量(6種類の地震動諸特性パラメータ)と擬似速度応答スペクトルpSv(0.1s)(=2種類目の地震動指標)との相関関係を学習させた第2の地震動評価モデル13Bを用いて擬似速度応答スペクトルpSv(0.1s)を予測する、というように、第3の地震動評価モデル13Cから第11の地震動評価モデル13Kを用いてそれぞれの目的変数を予測することで、合計11個の地震動評価モデル13A〜13Kを用いて11種類の地震動指標を予測するものとした。
(出力処理部412による出力処理工程について)
出力処理部412は、予測部411にて予測された地震動指標を視認可能な出力媒体に出力する。例えば、出力媒体が、表示部44のような表示媒体である場合には、出力処理部412は、表示媒体に表示するための表示データ(出力データ)を生成し、表示媒体に表示出力する。また、出力媒体が、紙媒体である場合には、出力処理部412は、紙媒体に印刷するための印刷データ(出力データ)を生成し、紙媒体に印刷出力する。なお、出力処理部412は、出力データを、例えば、地震動予測マップ作成システムやハザードマップ作成システム等に通信出力するようにしてもよいし、公共施設、建物、工場等の防災システムに通信出力するようにしてもよい。
例えば、出力処理部412は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータが、1つの想定地震に対して、例えば、各格子点を予測点位置とするような複数の地震動諸特性パラメータであるとき、当該複数の地震動諸特性パラメータに基づいて予測部411にて予測された各予測点位置における複数の地震動指標の値を、地図上に重畳するように、例えば、コンター図や、色分けしたメッシュ図として出力媒体に出力する。
また、出力処理部412は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータが、予測点位置を中心として異なる複数の方位特性を含む複数の地震動諸特性パラメータであるとき、当該複数の地震動諸特性パラメータに基づいて予測部411にて予測された各方位における複数の地震動指標の値を、出力媒体における基準点からの距離として表すとともに、複数の方位特性を、基準点を中心とする各方位に割り当てることにより、複数の地震動指標を出力媒体に出力する。
さらに、出力処理部412は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータが、異なる震源距離を含む複数の地震動諸特性パラメータであるとき、当該複数の地震動諸特性パラメータに基づいて予測部411にて予測された複数の地震動指標の値を距離減衰特性として表すことにより、図8(詳細は後述)に示すように、複数の地震動指標を出力媒体に出力する。
図8は、地震動指標を距離減衰特性として表すときの出力結果の一例を示し、(a)はモーメントマグニチュードMwに応じた最大加速度PGA、(b)は震央方位Λに応じた擬似速度応答スペクトルpSv(1.0s)を示す図である。
図8(a)に示す出力結果は、想定地震が、茨城方面を震源とする地震であり、予測点位置は、「SIT006(秩父)」(図1参照)である場合に出力されるものであり、プレート境界地震による岩盤サイトでの揺れを想定したものである。また、非特許文献1に基づく既往の距離減衰式の平均についても、参考のために出力したものであるが、大局的には、既往の距離減衰式と同様に、地震動評価モデル13により地震動指標が予測されたものといえる。
図8(b)に示す出力結果は、想定地震が、都心からみて北東・南・南西方向(Λ=45°、160°、230°)のプレート境界地震、及び、北西方向(Λ=320°)の内陸地震である場合に出力されるものである。これら4つの想定地震を比較すると、モーメントマグニチュードMw及び震源距離Xが同じでも、擬似速度応答スペクトルpSv(1.0s)の大きさには差が生じており、プレート境界地震の中では南方向が最も小さく、北東方向と南西方向の大小関係は、震源距離Xが50km程度を境に入れ替わっている。また、北西方向の内陸地震では、距離減衰の傾きが相対的に小さく、震源距離Xが100km未満では、他の想定地震に比べて、擬似速度応答スペクトルpSv(1.0s)の大きさが顕著に小さくなっている。このような違いは、震源特性の地域性や伝播特性の違いが地震動評価モデル13に反映された結果であり、さらに震央方位Λを考慮することにより、細かな地域特性が地震動評価モデル13に反映された結果であると考えられる。
(地震動評価モデル13の特性について)
次に、地震動評価モデル13の特性について、地震動評価モデル生成装置3により異なる学習用データ12を用いてそれぞれ生成された複数の地震動評価モデル13を比較しながら説明する。その際、地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録が関連付けられた複数の地震動データ11について、地震動観測記録から得られる地震動指標を「観測値」とし、地震動諸特性パラメータを地震動評価モデル13に入力することにより得られる地震動指標を「評価値」として、「観測値」及び「評価値」を用いて地震動評価モデル13の特性を説明する。
ここでは、学習用データセットAを用いた機械学習により「関東モデルA」を生成するものとし、特徴量として上記6種類を全て考慮した「関東モデルA6」と、震央方位Λ(sinΛ,cosΛ)を除く5種類のみを考慮した「関東モデルA5」とをそれぞれ生成し、比較した。また、学習用データセットBを用いた機械学習により「関東モデルB」を生成するものとし、特徴量として上記6種類を全て考慮した「関東モデルB6」と、震央方位Λ(sinΛ,cosΛ)を除く5種類のみを考慮した「関東モデルB5」とをそれぞれ生成し、比較した。
(目的変数に対する各特徴量の影響度について)
図9は、目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示し、(a)は関東モデルA5、(b)は関東モデルA6、(c)は関東モデルB5、(d)は関東モデルB6をそれぞれ示す図である。
図9に示す各特徴量の影響度は、機械学習に用いた学習用データ12(学習用データセットA又学習用データセットB)から1つの特徴量を選択し、そのデータ列のみシャッフルしてランダムなデータ列に置き換え、他の特徴量のデータ列は元のままとして目的変数を評価したときに、評価精度が悪化した度合いを示すものである。したがって、評価精度が大きく悪化した場合は、その特徴量が重要であり、逆に評価精度が変化しない場合は、その特徴量は評価に与える影響が小さいと考えられる。
図9(a)に示す関東モデルA5と、図9(b)に示す関東モデルA6を比較すると、短周期では震源距離Xの影響、長周期ではモーメントマグニチュードMwの影響がそれぞれ支配的である。モーメントマグニチュードMwの影響度は、速度応答継続時間スペクトルTSv(0.1s)を除いて全体に周期と共に増大し、震源距離Xの影響度は周期と共に減少した。震源深さHの影響度は、短周期側でやや大きめ、表層30m平均S波速度AVS30の影響度は、速度応答継続時間スペクトルTSv(1.0s)で相対的にやや大きめ、地震基盤面深さD28の影響度は、速度応答継続時間スペクトルTSvの周期1秒以上で大きめとなった。震央方位Λの影響度は、sinΛとcosΛを合わせて検討すると、震源深さH、地震基盤面深さD28、表層30m平均S波速度AVS30に匹敵し、相対的には、周期1秒以下で大きめとなった。総合的に見ると、周期1秒付近を境に短周期側と長周期側とで特徴が異なるように見える。
図9(c)に示す関東モデルB5と、図9(d)に示す関東モデルB6を比較すると、速度応答継続時間スペクトルTSvへの効果が試作関東モデルAの結果よりも分かりやすくなった。モーメントマグニチュードMwの影響度は、周期と共に増大し、震源距離Xや震源深さHの影響度は、周期と共に減少した。表層30m平均S波速度AVS30の影響度は、周期1秒で相対的にやや大きめ、地震基盤面深さD28の影響度は周期1秒以上で大きめ、震央方位Λの影響度は、相対的には周期1秒以下で大きめとなった。
(目的変数の予測精度について)
図10は、関東モデルA6における各目的変数(地震動指標)について、地震動観測記録から得られる観測値と、地震動評価モデル13により得られる評価値との相関を示す散布図である。
図10では、目的変数として、最大加速度PGA、擬似速度応答スペクトルpSv(1.0s)、pSv(3.0s)、速度応答継続時間スペクトルTSv(1.0s)、TSv(3.0s)について比較した。いずれも横軸が観測値、縦軸が評価値である。学習用データ12のうち、機械学習に用いられた学習データは、全データの64%であり、モデル検証に用いられた検証データは、全データの36%であり、評価値が観測値に等しい場合を実線で、観測値の倍・半分となる場合を破線で示す。観測値は、全体として非常に良く評価・モデル化され、評価値の大半は観測値の倍半分以内に収まった。地震動に関する従来の知見に照らしてみても、この評価精度は高いと考えられる。
図11は、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比をヒストグラムで示し、(a)は関東モデルA5、(b)は関東モデルA6をそれぞれ示す図である。「評価値/観測値」比の値は、1を中心とする整った分布となり、最大加速度PGA、及び、擬似速度応答スペクトルpSvよりも速度応答継続時間スペクトルTSvのばらつきが小さいことが分かった。

図12は、関東モデルA5、A6、B5、B6について、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比の平均μとばらつきσを示す図である。
「評価値/観測値」比の平均は、ほぼ1であり、「評価値/観測値」比の常用対数標準偏差は、最大加速度PGA、及び、擬似速度応答スペクトルpSvでは0.17〜0.20、速度応答継続時間スペクトルTSvでは、0.10〜0.12となった。地震動に関する従来の知見に照らしてみても、この評価精度は高い。特徴量として震央方位Λを考慮に入れた場合には(関東モデルA5→A6)、各目的変数の平均とばらつきはやや改善し、震央方位Λによる地震動特性の違いを考慮することは少なからず重要であることも確認できた。また、学習用データセットAに代えて学習用データセットBを用いた場合には(関東モデルA6→B6)、速度応答継続時間スペクトルTSvの平均とばらつきがやや改善した。
以上のように、本実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法によれば、データ量の増加とコンピュータの情報処理能力の向上を最大限に生かしつつ、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
また、本実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法によれば、地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法により生成された地震動評価モデル13を利用することにより、個々の専門家の経験に依存することなく、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる。
さらに、地震動諸特性パラメータが地震動の方位特性を少なくとも含む場合には、地震動の方位特性と地震動指標との相関関係が機械学習により学習されることで、サイト周辺の地下構造が方位毎に異なることにより地震動に与える影響が地震動評価モデル13に反映されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
また、地震動指標が地震動の経時特性を少なくとも含む場合には、地震動諸特性パラメータと地震動の経時特性との相関関係が機械学習により学習されることで、将来発生すると考えられる地震による地震動の経時特性を評価・予測するための予測式を定義することなく、地震動の特性の1つとして地震動の経時特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、関東地方一都六県に設置された観測点138地点の観測データを用いて1つの地震動評価モデル13(例えば、関東モデルA5、A6、B5、B6)を生成し、地震動評価装置4が、1つの地震動評価モデル13を用いて関東地方における地震動を評価・予測するものである。これに対し、第2の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、観測点毎に地震動評価モデル13を生成し、地震動評価装置4が、観測点毎の地震動評価モデル13を用いて各観測点における地震動を評価・予測する点で相違する。その他の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態と同様のため、以下では両者の相違点を中心に説明する。
(地震動評価モデル生成装置3について)
本実施形態では、地震動評価モデル生成装置3が、防災科研の強震観測網K−NETの観測点の中から、基盤が浅く表層地盤が硬い地点の例である「SIT006(秩父)」(図1参照)と、基盤が深く表層地盤が軟らかな地点の例である「TKY028(越中島)」(図1参照)とについて、地震動評価モデル13をそれぞれ生成するものとして説明する。ここでは、SIT006(秩父)における地震動評価モデル13を「地点モデルS」、TKY028(越中島)における地震動評価モデル13を「地点モデルT」とし、それらの機械学習に必要な学習用データ12の集合をそれぞれ「学習用データセットS」、「学習用データセットT」とする。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。
取得部311は、データベース10に登録された複数の地震動データ11から、所定の地震条件として、1996年〜2019年5月31日の期間において発生した地震であって、SIT006(秩父)又はTKY028(越中島)にて地震動が観測されたことを満たす地震に基づくとともに、所定の地震動条件を満たす地震動として、三成分合成値の最大加速度が1cm/s以上であること(第1の地震動条件)、及び、モーメントマグニチュードMwが広帯域震観測網F−netにより求められていること(第5の地震動条件)を満たす地震動に基づく地震動データ11を、学習用データ12(学習用データセットS、T)として選択する。これにより、学習用データセットSは、計1468(734記録×水平二成分)の地震動データ11からなり、学習用データセットTは、計1314(657地震×2成分)の地震動データ11からなる。
その際、地点モデルS、Tは、それぞれ地点固有の地震動評価モデル13であるため、学習用データ12を構成する特徴量は、上記6種類の地震動諸特性パラメータのうち、地点毎に共通な表層30m平均S波速度AVS30、及び、地震基盤面深さD28を除く、モーメントマグニチュードMw、震源深さH、震源距離X、及び、震央方位Λの4種類の地震動諸特性パラメータである。なお、学習用データ12を構成する目的変数は、第1の実施形態と同様に、上記11種類の地震動指標である。
図14は、学習用データ12の集合の各特徴量の相関を示し、(a)は学習用データセットS、(b)学習用データセットTを示す散布図である。学習用データセットS、Tは、図5に示す学習用データセットAに比較して近距離地震のデータは少ないが、その点を除くと定性的には学習用データセットAと同様な傾向である。
生成部312は、図13に示すように、取得部311にて取得された複数の学習用データ12(学習用データセットS、T)に基づいて、特徴量(4種類の地震動諸特性パラメータ)及び目的変数(11種類の地震動指標)の相関関係を機械学習により学習することにより、観測点毎に地震動評価モデル13(地点モデルS4、T4)を生成する。
(地震動評価装置4について)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。
受付部410は、予測対象の地震動諸特性パラメータ(想定地震のモーメントマグニチュードMw、想定地震の震源深さH、想定地震の震源と予測点位置との間の震源距離X、及び、予測点位置を基準として想定地震の震央位置が存在する方位を示す震央方位Λ)を受け付ける。本実施形態では、予測点位置は、SIT006(秩父)又はTKY028(越中島)である。
予測部411は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータを特徴量として、予測点位置に応じて地震動評価モデル13(地点モデルS4、T4)に入力することにより当該地震動評価モデル13から出力される目的変数に基づいて、予測対象の地震動諸特性パラメータに対応する地震動指標を予測する。その際、予測部411は、予測点位置がSIT006(秩父)の場合には、地点モデルS4を用い、予測点位置がTKY028(越中島)の場合には、地点モデルT4を用いる。
出力処理部412は、予測部411にて予測された地震動指標を視認可能な出力媒体に出力する。例えば、出力処理部412は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータが、予測点位置を中心として異なる複数の方位特性を含む複数の地震動諸特性パラメータであるとき、当該複数の地震動諸特性パラメータに基づいて予測部411にて予測された各方位における複数の地震動指標の値を、出力媒体における基準点からの距離として表すとともに、複数の方位特性を、基準点を中心とする各方位に割り当てることにより、図16(詳細は後述)に示すように、複数の地震動指標を出力媒体に出力する。
図16は、地震動指標(擬似速度応答スペクトルpSv及び速度応答継続時間スペクトルTSv)を方位特性として表すときの出力結果の一例を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。
図16に示す出力結果は、モーメントマグニチュードMw=6、震源深さH=10km、震源距離X=180kmの条件で震央方位Λを5°間隔で変化させることで得られる複数の地震動諸特性パラメータに基づいて予測された5°間隔の擬似速度応答スペクトルpSvの値を出力したものである。図16(a)では、SIT006(秩父)を基準(中心)にして各方位における擬似速度応答スペクトルpSvの値を、最大値により基準化した上で、中心からの距離として表すものである。図16(b)では、TKO0028(越中島)を基準(中心)にして各方位における擬似速度応答スペクトルpSvの値を、最大値により基準化した上で、中心からの距離として表すものである。
(地点毎の地震動評価モデル13の特性について)
次に、地点毎の地震動評価モデル13の特性について、学習用データセットSを用いた機械学習により生成された地点モデルS4と、学習用データセットTを用いた機械学習により生成された地点モデルT4とを比較しながら説明する。
図17は、目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。
図17(a)に示す地点モデルS4では、最大加速度PGA、及び、短周期の擬似速度応答スペクトルpSvへの影響度は、モーメントマグニチュードMwと震源距離Xが同等であり、震源距離Xがやや上回る程度だが、それを除くとモーメントマグニチュードMwの影響度が最も大きい。震央方位Λの影響度は、短周期側ほど大きい。震央方位Λの影響度は、擬似速度応答スペクトルpSvよりも速度応答継続時間スペクトルTSvに対して大きく、震源深さHを上回り、震源距離Xに同等又は上回り、図9に示す関東モデルA5、A6の結果を大きく上回っている。震源深さHの影響度は小さい。
図17(b)に示す地点モデルT4では、短周期では震源距離Xの影響、それ以外ではモーメントマグニチュードMwの影響が支配的である。モーメントマグニチュードMwの影響度は全体に周期と共に増大し、震源距離Xの影響度は全体に周期と共に減少した。震央方位Λの影響度は短周期側ほど大きく、特に速度応答継続時間スペクトルTSvについては最大加速度PGAや擬似速度応答スペクトルpSvよりも大きく、周期0.1秒以外では震源距離Xを上回り、短周期側ではモーメントマグニチュードMwをも上回った。震源深さHの影響度は小さい。基盤の深い地点モデルT4では、基盤の浅い地点モデルS4と比較すると、短周期の速度応答継続時間スペクトルTSvへのモーメントマグニチュードMwの影響度が相対的に小さくなっている。
図18は、各目的変数(地震動指標)について、地震動観測記録から得られる観測値と、地震動評価モデル13により得られる評価値との相関を示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す散布図である。観測値は、全体として非常に良く評価・モデル化され、評価値の大半は観測値の倍半分以内に収まった。
図19は、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比をヒストグラムで示し、(a)は地点モデルS4、(b)は地点モデルT4をそれぞれ示す図である。「評価値/観測値」比の値は、1を中心とする整った分布となり、最大加速度PGA、及び、擬似速度応答スペクトルpSvよりも速度応答継続時間スペクトルTSvのばらつきが小さいことが分かった。
図20は、地点モデルS4、T4について、各目的変数(地震動指標)の「評価値/観測値」比の平均とばらつきを示す図である。「評価値/観測値」比の平均は、ほぼ1であり、「評価値/観測値」比の常用対数標準偏差は、最大加速度PGA、及び、擬似速度応答スペクトルpSvでは、概ね0.2強、速度応答継続時間スペクトルTSvでは、0.1強となった。
以上のように、本実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法によれば、地震動諸特性パラメータと地震動指標との相関関係が機械学習により観測点毎に学習されることで、各観測点における地下構造の違いが地震動に与える不確定要因が除外されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
また、本実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法によれば、地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法により生成された観測点毎の地震動評価モデル13を利用することにより、個々の専門家の経験に依存することなく、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる。
(第3の実施形態)
第2の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、観測点毎に地震動評価モデル13(例えば、地点モデルS4、T4)を生成し、地震動評価装置4が、観測点毎の地震動評価モデル13を用いて各観測点における地震動を評価・予測するものである。これに対し、第3の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、複数の観測点が所定の分類基準に従ってグループ化された観測点グループ毎に地震動評価モデル13を生成し、地震動評価装置4が、観測点グループ毎の地震動評価モデル13を用いて各観測点グループにおける地震動を評価・予測する点で相違する。その他の基本的な構成及び動作は、第1及び第2の実施形態と同様のため、以下では両者の相違点を中心に説明する。
図21は、近接する複数の観測点における地震動の震源特性、伝播特性、及び、サイト特性を示す概略図である。
図21に示す第1乃至第3の観測点のように、複数の観測点が近接している場合、観測点が極近傍にある場合や観測点周辺の地下構造が急変している場合等を除けば、近接する複数の観測点の間では、地震動の震源特性及び伝播特性はほぼ同等とみなすことができ、それぞれの観測点の直下の基盤に入力される地震動はほぼ同一であると考えられる。また、サイト特性については、地震動観測記録や地震動観測記録から得られる地震動指標を比較することで、近接する複数の観測点の間における類似性を判断することが可能であると考えられる。
したがって、所定の分類基準としては、以下に示す第1乃至第3の分類基準が挙げられる。例えば、第1の分類基準は、複数の観測点の間の距離が所定の基準値よりも小さいときに、当該複数の観測点を同一の観測点グループに分類するものである。第2の分類基準は、複数の観測点の各々における地下構造パラメータを比較したときの類似度が所定の基準値よりも高いときに、当該複数の観測点を同一の観測点グループに分類するものである。第3の分類基準は、複数の観測点にてそれぞれ観測された地震動観測記録(時刻歴波形データ)の各々又は地震動観測記録の各々から得られる地震動指標の各々が、例えば、GOF(Goodness of Fit)を用いた適合度を比較することで所定の基準値よりも類似するときに、当該複数の観測点を同一の観測点グループに分類するものである。
図22は、複数の観測点c1〜c3がグループ化された第1の観測点グループCと、複数の観測点d1〜d3がグループ化された第2の観測点グループDとをそれぞれ示す図である。複数の観測点c1〜c3、d1〜d3が、所定の分類基準に従ってグループ化されることで、図22に示すように、第1の観測点グループCと、第2の観測点グループDとが形成される。ここでは、第1の観測点グループCにおける地震動評価モデル13を「グループモデルC」、第2の観測点グループDにおける地震動評価モデル13を「グループモデルD」とし、それらの機械学習に必要な学習用データ12を「学習用データセットC」、「学習用データセットD」とする。
図23は、本発明の第3の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。
取得部311は、データベース10から、第1の観測点グループを形成する各観測点c1〜c3にて地震動が観測された地震に基づく地震動データ11を、学習用データ12(学習用データセットC)として選択する。また、取得部311は、データベース10から、第2の観測点グループを形成する各観測点d1〜d3にて地震動が観測された地震に基づく地震動データ11を、学習用データ12(学習用データセットD)として選択する。
生成部312は、取得部311にて取得された複数の学習用データ12(学習用データセットC、D)に基づいて、特徴量(4種類の地震動諸特性パラメータ)及び目的変数(11種類の地震動指標)の相関関係を機械学習により学習することにより、観測点グループ毎に地震動評価モデル13(グループモデルC4、D4)を生成する。
図24は、本発明の第3の実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法の一例を示す機能説明図である。
予測部411は、受付部410にて受け付けられた予測対象の地震動諸特性パラメータを特徴量として、予測点位置に応じて地震動評価モデル13(グループモデルC4、D4)に入力することにより当該地震動評価モデル13から出力される目的変数に基づいて、予測対象の地震動諸特性パラメータに対応する地震動指標を予測する。
その際、予測部411は、予測対象の地震動諸特性パラメータに含まれる予測点位置が、各観測点c1〜c3や各観測点c1〜c3を結ぶ線の内側(例えば、図22に示す予測点e1)の場合には、グループモデルC4を用い、予測点位置が、各観測点d1〜d3や各観測点d1〜d3を結ぶ線の内側(例えば、図22に示す予測点e2)の場合には、グループモデルD4を用いる。なお、予測点位置が、図22の予測点e3で示すように、第1の観測点グループCと、第2の観測点グループDとの中間にある場合には、グループモデルC4を用いて予測した地震動指標と、グループモデルD4を用いて予測した地震動指標とを平均化したり、距離や地下構造パラメータの類似度に応じて按分したりしてもよい。
以上のように、本実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法によれば、地震動諸特性パラメータと地震動指標との相関関係が機械学習により観測点グループ毎に学習されることで、学習用データ(教師データ)の確保を容易にしつつ、学習用データのばらつきが低減されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデルを提供することができる。
また、本実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法によれば、地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法により生成された観測点グループ毎の地震動評価モデルを利用することにより、個々の専門家の経験に依存することなく、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる。
さらに、観測点グループは、所定の分類基準(観測点間の距離や地下構造パラメータの類似度等)に従って分類されグループ化されることで、地下構造の違いが地震動に与える不確定要因が除外されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデルを提供することができる。
(第4の実施形態)
第1の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、過去に発生した地震に基づくデータベース10から学習用データ12を取得し、地震動評価モデル13を生成するものである。これに対し、第4の実施形態に係る地震動評価システム1では、地震動評価モデル生成装置3が、過去に発生した実地震に基づく第1のデータベース10Aと、シミュレーションにより算出された仮想地震に基づく第2のデータベース10Bとから学習用データ12をそれぞれ取得し、地震動評価モデル13を生成する点で相違する。その他の基本的な構成及び動作は、第1の実施形態と同様のため、以下では両者の相違点を中心に説明する。
図25は、本発明の第4の実施形態に係る地震動評価システム1の一例を示すブロック図である。
地震動シミュレーション装置6は、所定のシミュレーション手法に従ってシミュレーションを実行することにより仮想地震及び仮想地震による仮想地震動を算出するものであり、そのときのシミュレーション条件やシミュレーション結果をシミレーションデータとして外部に提供する。その際、所定のシミュレーション手法は、任意の手法が採用可能であり、複数の手法が採用されてもよい。
なお、地震動シミュレーション装置6は、地震動評価装置4からデータの要求を受けたときに、その要求に関するシミュレーションデータ(地震動評価装置4からシミュレーション条件を受けた場合には、そのシミュレーション条件に基づいてシミュレーションを実行したときのシミュレーション結果を含むシミレーションデータでもよい)を地震動評価装置4に提供してもよい。また、地震動シミュレーション装置6は、自装置にてシミュレーションを実行することでシミュレーションデータを提供するものでもよいし、他の装置でシミュレーションが実行されたときのシミュレーションデータを提供するものでもよい。
地震動評価モデル生成装置3の記憶部30には、地震動評価モデル13及び地震動評価モデル生成プログラム300の他に、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データが登録・更新される第1のデータベース10A(第1の実施形態に係るデータベース10に相当する)と、地震動シミュレーション装置6により提供されたシミュレーションデータが登録・更新される第2のデータベース10Bとが記憶されている。
制御部31は、地震動評価モデル生成プログラム300を実行することにより、第1のDB管理部310A、第2のDB管理部310B、第1の取得部311A、第2の取得部311B、及び、生成部312として機能する。第1のDB管理部310A、及び、第1の取得部311Aは、第1の実施形態に係るDB管理部310、取得部311にそれぞれ相当する。
図26は、本発明の第4の実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法の一例を示す機能説明図である。
第1のDB管理部310A(第1のDB管理工程)は、データ提供装置2A〜2Cにより提供された提供データに基づいて、実地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録を関連付けて、第1のデータベース10Aに登録する。そのため、第1のデータベース10Aには、複数の実地震と当該複数の実地震による実地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、当該実地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録が関連付けられた状態の地震動データ11が複数登録されて、記憶されている。
第1の取得部311A(第1の取得工程)は、第1のデータベース10Aに登録された複数の地震動データ11から、地震動諸特性パラメータを特徴量とし、地震動観測記録から得られる地震動指標を目的変数として、特徴量及び目的変数で構成される第1の学習用データ12Aを複数取得する。
第2のDB管理部310B(第2のDB管理工程)は、地震動シミュレーション装置6により提供されたシミュレーションデータに基づいて、仮想地震動がシミュレーションにより算出されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動算出結果を関連付けて、第2のデータベース10Bに登録する。そのため、第2のデータベース10Bには、複数の仮想地震と当該複数の仮想地震による仮想地震動がシミュレーションの地震動算出結果として算出された少なくとも1つの仮想観測点との各組み合わせについて、当該仮想地震動がシミュレーションにより算出されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動算出結果が関連付けられた状態の地震動データ11が複数登録されて、記憶されている。
第2の取得部311B(第2の取得工程)は、第2のデータベース10Bに登録された複数の地震動データ11から、地震動諸特性パラメータを特徴量とし、地震動算出結果から得られる地震動指標を目的変数として、特徴量及び目的変数で構成される第2の学習用データ12Bを複数取得する。
その際、第2の取得部311Bは、実地震動の地震動諸特性パラメータの分布を仮想地震動の地震動諸特性パラメータの分布により補間するように、第2のデータベース10Bから第2の学習用データ12Bを複数取得するのが好ましい。
図27は、第1の学習用データ12A及び第2の学習用データ12Bの補間関係を示す散布図である。図27における散布図は、第1の学習用データ12Aにおける実地震動の地震動諸特性パラメータの分布(グレースケールによる濃淡部分)として、モーメントマグニチュードMw(横軸)及び震源距離X(縦軸)の相関を示すものである。
第2の取得部311Bは、第1のデータベース10Aから取得された第1の学習用データ12Aではデータ数やその割合が所定の閾値よりも少ないデータ不足部分(例えば、図27の破線で囲まれた内側部分)の地震動諸特性パラメータについて、第2のデータベース10Bに登録されているか否かを検索し、当該データ不足部分に対応する仮想地震動の地震動諸特性パラメータにより構成された第2の学習用データ12Bを第2のデータベース10Bから取得する。その際、データ不足部分に対応する第2の学習用データ12Bが第2のデータベース10Bに登録されていない場合には、第2の取得部311Bは、データ不足部分に基づいてシミュレーション条件を設定して地震動シミュレーション装置6に要求することにより、当該データ不足部分に対応する第2の学習用データ12Bを地震動シミュレーション装置6から取得するようにしてもよい。なお、地震動諸特性パラメータの分布は、図27に示す例では、モーメントマグニチュードMw及び震源距離Xに基づく分布である場合について説明したが、これに限られず、地震動諸特性パラメータに含まれる特性のうち、少なくとも2つの特性を変数とする分布であればよい。
また、第2のデータベース10Bには、複数のシミュレーション手法に基づく地震動データ11が登録されていてもよく、その場合には、第2の取得部311Bは、複数のシミュレーション手法に基づく地震動データ11が登録された第2のデータベース10Bから第2の学習用データ12Bを複数取得するようにしてもよい。その際、第2の取得部311Bは、例えば、各シミュレーション手法の間で地震動諸特性パラメータの分布を補間するように、第2の学習用データ12Bを取得してもよいし、各シミュレーション手法の性能を比較し、地震動諸特性パラメータに適したシミュレーション手法に基づく地震動データ11を第2の学習用データ12Bとして選択してもよい。
生成部312(生成工程)は、図26に示すように、第1の取得部311Aにて取得された複数の第1の学習用データ12Aと、第2の取得部311Bにて取得された複数の第2の学習用データ12Bとに基づいて、特徴量及び目的変数の相関関係を機械学習により学習することにより、学習済みモデルとして地震動評価モデル13を生成する。
地震動評価装置4は、地震動評価モデル生成装置3により生成された地震動評価モデル13に基づいて、地震動を評価・予測し、その結果を出力媒体に出力する。なお、地震動評価装置4は、第1の実施形態と同様に構成されているため、詳細な説明は省略する。
以上のように、本実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法によれば、過去に発生した実地震に基づく第1の学習用データ12Aと、シミュレーションにより算出された仮想地震に基づく第2の学習用データ12Bとを用いて、地震動諸特性パラメータと地震動指標との相関関係が機械学習により学習される。これにより、学習用データ(教師データ)の確保を容易にしつつ、学習用データの偏りが低減されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
また、本実施形態に係る地震動評価装置4及び地震動評価方法によれば、地震動評価モデル生成装置3及び地震動評価モデル生成方法により生成された地震動評価モデル13を利用することにより、個々の専門家の経験に依存することなく、将来発生すると考えられる地震による地震動の特性を高精度で評価・予測することができる。
さらに、過去に実地震として発生したことがなく、第1の学習用データ12Aでは用意することが不可能な地震動諸特性パラメータを補完するように、第2の学習用データ12Bが選択されることで、学習用データの分布の偏りが低減されるので、地震動の特性を高精度で評価・予測することが可能な地震動評価モデル13を提供することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記第2の実施形態では、地震動評価モデル生成装置3が、2つの地点モデルS4、T4を作成し、第3の実施形態では、地震動評価モデル生成装置3が、2つのグループモデルC4、D4を作成するものとして説明した。これに対し、地震動評価モデル生成装置3が、3つ以上の観測点毎に又は3つ以上の観測点グループ毎に地震動評価モデル13を生成するようにしてもよい。また、第2の実施形態又は第3の実施形態に、第4の実施形態を組み合わせてもよく、地震動評価モデル生成装置3が、過去に発生した実地震に基づく第1のデータベース10Aと、シミュレーションにより算出された仮想地震に基づく第2のデータベース10Bとから学習用データ12をそれぞれ取得し、観測点毎に又は観測点グループ毎に地震動評価モデル13を生成するようにしてもよい。
上記各実施形態に係る地震動評価モデル生成装置3は、新たな地震が発生し、地震動観測記録が観測されたときに、当該新たな地震に基づく地震動データ11によりデータベース10に更新し、更新後のデータベース10に基づいて、地震動評価モデル13を自動的に再生成するようにしてもよい。そして、上記各実施形態に係る地震動評価装置4は、再生成された地震動評価モデル13に基づいて、地震動の特性を自動的に再評価・再予測してもよい。
(特徴量の選定について)
上記各実施形態では、学習用データ12を構成する特徴量は、図4に示す25種類の地震動諸特性パラメータのうち、6種類又は4種類の地震動諸特性パラメータが選定されたものとして説明したが、25種類の地震動諸特性パラメータから任意の地震動諸特性パラメータを特徴量として選定して組み合わせてもよいし、25種類の地震動諸特性パラメータ以外の他の地震動諸特性パラメータを特徴量としてさらに組み合わせてもよい。その際、各特徴量のクラスター分析(後述する図28参照)を行い、その分析結果に基づいて、特徴量とする地震動諸特性パラメータを選定してもよい。例えば、複数のクラスターに分類された場合には、各クラスターを代表するような地震動諸特性パラメータを特徴量として選定してもよいし、相互依存性が高い複数の地震動諸特性パラメータが存在する場合には、その中から代表の地震動諸特性パラメータを特徴量として選定してもよい。
図28は、各特徴量のクラスター分析による相互依存性を示す図である。学習用データセットAにおいて各特徴量のクラスター分析を行った結果、25種類の地震動諸特性パラメータは、図28に示すように、3つのクラスターに分類された。すなわち、図28の対角線上にゾーニングされたように、相互情報量が相対的に大きい3つの領域である。
1つ目は、図28の右上に位置し、震央位置(緯度lat_eq,経度lon_eq)、モーメントマグニチュードMw、震源深さH、震源メカニズム解(Strike1、dip1、rake1)、震源メカニズム解の共役解(Strike2、dip2、rake2)、地震種別Type、断層タイプMech、及び、震源距離Xからなる「震源クラスター」である。2つ目は、中央部分に位置する、観測点位置(緯度lat_site,経度lon_site)、表層10m平均S波速度AVS10、表層30m平均S波速度AVS30、最上層のS波速度VS1、S波速度700m/s層上面深さD7、S波速度1400m/s層上面深さD17、S波速度2100m/s層上面深さD24、地震基盤面深さD28、及び、微地形区分JCODEからなる「サイトクラスター」である。3つ目は、左下に位置する、震央方位(sinΛ,cosΛ)からなる「震央方位クラスター」である。なお、右上隅に位置する地震動の方向成分Comp(本実施形態では、南北方向成分又は東西方向成分)は、いずれのクラスターにも属さず独立している。
震源クラスター及びサイトクラスターは、震源特性及びサイト特性にそれぞれ分類された。伝播特性である震源距離Xは、震源クラスターに集約されたが、震源距離Xと、震源クラスターのその他の特徴量との相互情報量はいずれも0.2程度以下と小さく、両者の結びつきは弱いことが分かった。
(震央方位Λについて)
上記各実施形態では、特徴量の1つである震央方位Λに、sinΛとcosΛのペア(以下、「ケースC10」という)を適用したものとして説明したが、震央方位Λとして、他のデータ形式を適用してもよい。
図29は、震央方位Λの各種のデータ形式を示し、(a)各データ形式の定義を示し、(b)は各データ形式における、目的変数(地震動指標)に対する各特徴量(地震動諸特性パラメータ)の影響度を示す図である。なお、図29(b)は、学習用データセットTを用いた機械学習により生成された地点モデルT4を用いた場合の結果である。
震央方位Λの特徴量のデータ形式として、ケースC11、C12は、ケースC10と同様に、三角関数を用いた連続量を適用したものであり、ケースC11は、sinΛのみを適用し、ケースC12は、cosΛのみを適用した。また、ケースC01は、真北を震央方位0°と定義するΛSをそのまま適用し、ケースC02は、真南を震央方位0°と定義するΛNをそのまま適用した。ケースC10〜12、C01、C02では、震央方位Λが、全方位に対して連続量として与えられるが、北方の地震に対するC01と、南方の地震に対するC02については、それぞれ方位0°付近にて震央方位の値が不連続となる。
また、震央方位Λの特徴量のデータ形式として、ケースC10〜12、C01、C02のように、震央方位Λに対応する連続量を与えるものではなく、ケースC21〜C24、C33のように、全方位を所定の区分数に分割した複数の方位区分(例えば、12方位)のうち震央方位Λに対応する方位区分を離散量として与えるようにしてもよい。ケースC24は、ケースC22の文字列での四方位N・S・E・Wの出現回数に対応する4組の数字を適用し、ケースC33は、ケースC23を20方位に変更した。
各ケースにおける各特徴量の影響度は、図29(b)に示すように、各ケースとも同様の傾向であるが、地点モデルT4では、震央方位Λに関する特徴量の影響度は、震央方位Λが方位区分を用いた離散量により与えられる5つのケースC21〜C24、C33では相対的に小さく、震央方位Λが連続量により与えられるケースC11〜C12、C01、C02では相対的に高くなることが分かった。
(プログラムについて)
上記実施形態では、地震動評価モデル生成プログラム300及び地震動評価プログラム400は、記憶部30、40にそれぞれ記憶されたものとして説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、DVD、USBメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、地震動評価モデル生成プログラム300及び地震動評価プログラム400は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。
1…地震動評価システム、
2A…観測データ提供装置、2B…解析データ提供装置、
2C…地下構造データ提供装置、
3…地震動評価モデル生成装置、4…地震動評価装置、
5…ネットワーク、6…地震動シミュレーション装置、
10…データベース、10A…第1のデータベース、10B…第2のデータベース、
11…地震動データ、
12…学習用データ、12A…第1の学習用データ、12B…第2の学習用データ、
13、13A〜13K…地震動評価モデル、
30…記憶部、31…制御部、32…通信部、33…入力部、34…表示部、
40…記憶部、41…制御部、42…通信部、43…入力部、44…表示部、
300…地震動評価モデル生成プログラム、
310…DB管理部、310A…第1のDB管理部、310B…第2のDB管理部、
311…取得部、311A…第1の取得部、311B…第2の取得部、312…生成部、
400…地震動評価プログラム、
410…受付部、411…予測部、412…出力処理部

Claims (9)

  1. コンピュータを用いて機械学習により地震動評価モデルを生成する地震動評価モデル生成方法であって、
    複数の地震と当該複数の地震による地震動が観測された少なくとも1つの観測点との各組み合わせについて、前記地震動が観測されたときの地震動諸特性パラメータ及び地震動観測記録を関連付けて記憶するデータベースから、前記地震動諸特性パラメータを特徴量とし、前記地震動観測記録から得られる地震動指標を目的変数として、前記特徴量及び前記目的変数で構成される学習用データを複数取得する取得工程と、
    前記取得工程にて取得された複数の前記学習用データに基づいて、前記特徴量及び前記目的変数の相関関係を前記機械学習により学習することにより、前記機械学習の学習済みモデルとして前記地震動評価モデルを生成する生成工程と、を含む、
    地震動評価モデル生成方法。
  2. 前記地震動諸特性パラメータは、
    前記地震動の震源特性、及び、伝播特性を含み、
    前記震源特性は、
    マグニチュード、震央位置、震源深さ、地震種別、断層タイプ、震源メカニズム解、及び、前記震源メカニズム解の共役解の少なくとも1つであり、
    前記伝播特性は、
    震源距離、断層最短距離、及び、震央距離の少なくとも1つである、
    請求項1に記載の地震動評価モデル生成方法。
  3. 前記地震動諸特性パラメータは、
    前記地震動のサイト特性をさらに含み、
    前記サイト特性は、
    観測点位置、地震基盤面深さ、工学的基盤面深さ、層厚、密度、地震波伝播速度、Q値、及び、減衰定数の少なくとも1つである、
    請求項2に記載の地震動評価モデル生成方法。
  4. 前記地震動諸特性パラメータは、
    前記地震動の方位特性をさらに含み、
    前記方位特性は、
    前記観測点を基準として震央が位置する方位を示す震央方位である、
    請求項2又は請求項3に記載の地震動評価モデル生成方法。
  5. 前記地震動指標は、
    前記地震動の振幅特性、周期特性、及び、経時特性の少なくとも1つを含み、
    前記振幅特性は、
    前記地震動観測記録から得られる前記地震動の最大加速度、最大速度、及び、最大変位の少なくとも1つであり、
    前記周期特性は、
    前記地震動観測記録から得られる応答スペクトル又はフーリエスペクトルにおいて、少なくとも1つの周期に対する応答値であり、
    前記経時特性は、
    前記地震動観測記録から得られる応答継続時間スペクトルにおいて、少なくとも1つの周期に対する応答継続時間である、
    請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の地震動評価モデル生成方法。
  6. 前記取得工程は、
    前記地震動諸特性パラメータ及び前記地震動観測記録を関連付けて地震動データとして記憶する前記データベースから、前記学習用データを複数取得する際、
    所定の地震条件及び所定の地震動条件の少なくとも一方を満たす前記地震に基づく前記地震動データを、前記学習用データとして選択する、
    請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の地震動評価モデル生成方法。
  7. コンピュータを用いて、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の地震動評価モデル生成方法により生成された前記地震動評価モデルに基づいて、前記地震動の特性を評価する地震動評価方法であって、
    予測対象の前記地震動諸特性パラメータを受け付ける受付工程と、
    前記受付工程にて受け付けられた前記予測対象の前記地震動諸特性パラメータを前記特徴量として前記地震動評価モデルに入力することにより当該地震動評価モデルから出力される前記目的変数に基づいて、前記予測対象の前記地震動諸特性パラメータに対応する前記地震動指標を予測する予測工程と、を含む、
    地震動評価方法。
  8. コンピュータであって、
    請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の地震動評価モデル生成方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える、
    地震動評価モデル生成装置。
  9. コンピュータであって、
    請求項7に記載の地震動評価方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える、
    地震動評価装置。
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