JP2021188682A - 車両の動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成でパーキングロックを効果的に確立する。【解決手段】駆動力源10と、入力軸21と、出力軸22と、入力軸21に相対回転可能に設けられる第1遊転ギヤ23A及び、出力軸23Bに一体回転可能に設けられる第1固定ギヤ23Bを含む第1ギヤ列23と、入力軸21に相対回転可能に設けられる第2遊転ギヤ24A及び、出力軸22に一体回転可能に設けられる第2固定ギヤ24Bを含む第2ギヤ列24と、第1遊転ギヤ23Aを入力軸21に接続する接状態に切り替え可能な第1クラッチ機構50と、第2遊転ギヤ24Aを入力軸21に接続する接状態に切り替え可能な第2クラッチ機構60と、第1クラッチ機構50を接状態に制御した後に、第2クラッチ機構60を接状態に制御することによりパーキングロックを確立する制御部100とを備えた。【選択図】図1

Description

本開示は、車両の動力伝達装置に関し、特に、ギヤ比が異なる少なくとも二列以上のギヤ列を備える変速機のパーキングロックに好適な技術に関するものである。
例えば、特許文献1,2には、電動モータの出力軸にパーキングギヤを設け、変速操作装置がパーキングレンジに操作されると、これに連動してパーキングポールがパーキングギヤと噛合することにより、出力軸の回転を機械的にロックするようにしたパーキングロック機構を備える車両用の動力伝達装置が開示されている。
特開2018−176832号公報 特開平6−276607号公報
上記文献記載の技術のようなパーキングロック機構を備えると、パーキングギヤやパーキングポール、ギヤボックス等を変速機とは別体に設ける必要があり、部品点数の増加や装置の大型化、重量増加等を招くといった課題がある。
本開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡素な構成でパーキングロックを効果的に確立することを目的とする。
本開示の技術は、車両に搭載される駆動力源と、前記駆動力源の動力が入力される入力軸と、前記入力軸と平行に設けられると共に、前記車両の駆動輪に接続される出力軸と、前記入力軸又は前記出力軸の何れか一方に相対回転可能に設けられる第1遊転ギヤ及び、該第1遊転ギヤと常時噛合すると共に、前記入力軸又は前記出力軸のうち前記第1遊転ギヤが設けられていない他方の軸に一体回転可能に設けられる第1固定ギヤを含む第1ギヤ列と、前記入力軸又は前記出力軸の何れか一方に相対回転可能に設けられる第2遊転ギヤ及び、該第2遊転ギヤと常時噛合すると共に、前記入力軸又は前記出力軸のうち前記第2遊転ギヤが設けられていない他方の軸に一体回転可能に設けられる第2固定ギヤを含み、前記第1ギヤ列とはギヤ比が異なる第2ギヤ列と、前記第1遊転ギヤを、該第1遊転ギヤが相対回転可能に設けられた前記入力軸又は前記出力軸に一体回転可能に接続する接状態に切り替え可能な噛み合い式の第1クラッチ機構と、前記第2遊転ギヤを、該第2遊転ギヤが相対回転可能に設けられた前記入力軸又は前記出力軸に対して位相に左右されることなく一体回転可能に接続する接状態に切り替え可能な第2クラッチ機構と、前記第1クラッチ機構を接状態に制御した後に、前記第2クラッチ機構を接状態に制御することによりパーキングロックを確立する制御部と、を備えることを特徴とする。
また、前記制御部は、前記車両の車速が所定の閾値速度以下に低下したことを検知すると、前記第1クラッチ機構を接状態に制御し、変速操作装置がパーキングレンジに操作されたことを検知すると、前記第2クラッチ機構を接状態に制御することにより、前記パーキングロックを確立することが好ましい。
また、前記制御部は、前記第1クラッチ機構及び、前記第2クラッチ機構を接状態にした状態で前記車両の発進操作を検知すると、前記第2クラッチ機構を接状態から動力の伝達を遮断する断状態に制御し、前記車両の車速が所定速度に達したことを検知すると、前記第1クラッチ機構を接状態から動力の伝達を遮断する断状態に制御することが好ましい。
また、前記駆動力源は電動発電機であり、前記第1ギヤ列のギヤ比は、前記第2ギヤ列のギヤ比よりも大きいギヤ比に設定されており、前記第1遊転ギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側へ動力を伝達する一方、前記出力軸側から前記入力軸側へ動力を伝達しないワンウェイクラッチを介して、前記入力軸又は前記出力軸に設けられており、前記第2クラッチ機構は、湿式多板式のクラッチ機構であることが好ましい。
本開示の技術によれば、簡素な構成でパーキングロックを効果的に確立することができる。
本実施形態に係る車両の動力伝達装置を示す模式的な全体構成図である。 本実施形態に係るワンウェイクラッチの一例を示す模式図である。 本実施形態に係る制御装置及び、関連する周辺構成を示す模式的な機能ブロック図である。 変速機を1速にして、電動発電機を力行駆動させる際の動力伝達経路を説明する模式図である。 変速機を2速にして、電動発電機を力行駆動させる際の動力伝達経路を説明する模式図である。 本実施形態にパーキングロックの作動及び解除の制御フローを説明するフローチャート図である。
以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係る車両の動力伝達装置を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施形態に係る車両1の動力伝達装置を示す模式的な全体構成図である。
車両1には、駆動力源の一例として電動発電機10が搭載されている。電動発電機10の駆動は、制御装置100からの指令に応じて制御される。電動発電機10のアウトプットシャフト11は、変速機20の入力軸21に一体回転可能に接続されている。変速機20は、入力軸21と、入力軸21に平行に設けられた出力軸22と、これら入力軸21と出力軸22との間の動力伝達経路を確立する1速ギヤ列23及び2速ギヤ列24とを備えている。
出力軸22には、プロペラシャフト12が接続されている。また、プロペラシャフト12には、差動装置13を介して左右の駆動輪14L,14Rがそれぞれ接続されている。すなわち、電動発電機10の動力が変速機20にて所定のギヤ比(出力軸22側の歯車の歯数を入力軸21側の歯車の歯数で除した値)で減速又は増速された後に、プロペラシャフト12及び差動装置13を経由して各駆動輪14L,14Rに伝達されるようになっている。なお、車両1は、図示例の後輪駆動車に限定されず。前輪駆動車、四輪駆動車、全輪駆動車の何れであってもよい。
変速機20は、ギヤ比が異なる二列のギヤ列23,24を備えている。なお、変速機20のギヤ列数は、図示例の二列に限定されず、三列以上であってもよい。
1速ギヤ列23(本開示の第1ギヤ列)は、2速ギヤ列24よりも大きいギヤ比で設定されており、1速入力ギヤ23A(第1遊転ギヤ)と、該1速入力ギヤ23Aに常時噛合する1速出力ギヤ23B(第1固定ギヤ)とを備えている。
1速入力ギヤ23Aは、ワンウェイクラッチ30を介して入力軸21に相対回転可能又は一体回転可能に設けられている。1速出力ギヤ23Bは、出力軸22にスプライン嵌合等によって一体回転可能に設けられている。また、1速入力ギヤ23Aと入力軸21との間には、第1クラッチ機構50が設けられている。
なお、ワンウェイクラッチ30は、1速出力ギヤ23Bと出力軸22との間に設けられてもよい。この場合は、1速入力ギヤ23Aを入力軸21に一体回転可能に設けると共に、第1クラッチ機構50を1速出力ギヤ23Bと出力軸22との間に設ければよい。
2速ギヤ列24(本開示の第2ギヤ列)は、1速ギヤ列23よりも小さいギヤ比で設定されており、2速入力ギヤ24A(第2遊転ギヤ)と、該2速入力ギヤ24Aに常時噛合する2速出力ギヤ24B(第2固定ギヤ)とを備えている。
2速入力ギヤ24Aは、ニードルベアリング等を介して入力軸21に相対回転可能に設けられている。2速出力ギヤ24Bは、出力軸22にスプライン嵌合等によって一体回転可能に設けられている。また、2速入力ギヤ24Aと入力軸21との間には、第2クラッチ機構60が設けられている。
第1クラッチ機構50は、例えばドグクラッチ等の噛み合い式のクラッチ機構であって、入力軸21に一体回転可能に設けられたハブ51と、1速入力ギヤ23Aに一体回転可能に設けられたドグギヤ52と、これらハブ51及びドグギヤ52の外周歯と噛合可能な内周歯を有するスリーブ53と、制御装置100からの指令に応じてスリーブ53をシフト移動させるアクチュエータ54とを備えている。
第1クラッチ機構50は、アクチュエータ54の作動により、スリーブ53がシフト移動してハブ51及びドグギヤ52と噛合すると、入力軸21と1速入力ギヤ23Aとを接続する係合状態とされる。一方、第1クラッチ機構50は、アクチュエータ54の作動により、スリーブ53がハブ51のみと噛合する位置までシフト移動すると、入力軸21と1速入力ギヤ23Aとの接続を遮断する断状態とされる。
第2クラッチ機構60は、例えば、入力軸21と2速入力ギヤ24Aとを位相(回転差)に左右されずに係合可能な湿式多板式のクラッチ機構であって、略円筒状のクラッチドラム61と、略円筒状のクラッチハブ62と、複数枚のセパレートプレート63と、複数枚のフリクションプレート64と、ピストン65と、油圧室66と、キャンセル油室67とを備えている。
クラッチドラム61は、入力軸21に一体回転可能に設けられている。クラッチハブ62は、クラッチドラム61よりも径方向内側に配されており、2速入力ギヤ24Aに一体回転可能に設けられている。なお、これらクラッチドラム61及び、クラッチハブ62の配置関係は、入力軸21側にクラッチハブ62を、2速入力ギヤ24A側にクラッチドラム61を入れ替えて配置してもよい。
セパレートプレート63及び、フリクションプレート64は、互いに軸方向に交互に配置されている。セパレートプレート63は、その外周側をクラッチドラム61の内周面に設けられた不図示のスプライン溝部に軸方向に移動可能且つ、周方向に一体回転可能にスプライ嵌合させている。
フリクションプレート64は、その内周側をクラッチハブ62の外周面に設けられた不図示のスプライン溝部に軸方向に移動可能且つ、周方向に一体回転可能にスプライ嵌合させている。なお、これらの配置関係は、クラッチドラム61側にフリクションプレート64を、クラッチハブ62側にセパレートプレート63を入れ替えて配置してもよい。
油圧室66及び、キャンセル油室67は、ピストン65を挟んで軸方向に対向配置されている。また、キャンセル油室67には、ピストン65を付勢するリターンスプリング68が設けられている。これら油圧室66及び、キャンセル油室67には、不図示の油圧回路から作動油が供給される。油圧回路による作動油の供給/停止は、制御装置100からの指令に応じて制御される。
具体的には、第2クラッチ機構60は、油圧回路から油圧室66に作動油が供給されると、ピストン65が各プレート63,64に向けてストローク移動し、各プレート63,64を押圧する。各プレート63,64が押圧されて互いに摩擦係合すると、第2クラッチ機構60は、入力軸21と2速入力ギヤ24Aとを接続する係合状態とされる。
一方、第2クラッチ機構60は、油圧回路から油圧室66への作動油の供給が停止されると、これに伴い油圧室66内の油圧が降下し、ピストン65がリターンスプリング68の付勢力によって各プレート63,64から離間する方向へと移動する。ピストン65が各プレート63,64から離間すると、各プレート63,64の摩擦係合が解放されることにより、第2クラッチ機構60は、入力軸21と2速入力ギヤ24Aとの接続を遮断する断状態とされる。
ワンウェイクラッチ30は、入力軸21上に設けられており、入力軸21と1速入力ギヤ23Aとに挟持されるように配されている。なお、ワンウェイクラッチ30を出力軸22と1速出力ギヤ23Bとの間に配置して構成してもよい。
ワンウェイクラッチ30は、入力軸21側から1速入力ギヤ23A側に動力を伝達する一方、1速入力ギヤ23A側から入力軸21側には空転することにより動力を伝達しない構造とされている。以下、具体的なワンウェイクラッチ30の一例を図2に示す。
図2に示すように、ワンウェイクラッチ30は、同心上に配された内輪31及び、外輪32を備えている。内輪31の外周部には、複数のラチェット歯33が周方向に所定ピッチで設けられている。各ラチェット歯33は、回転方向の一方向側が滑らかな歯面形状とされており、これとは反対方向側が直線的な歯面形状とされている。
外輪32の内周部には、ラチェット歯33と係合可能な複数のラチェット爪34が設けられている。ラチェット爪34は、その基端部を外輪32に揺動可能に支持されている。また、ラチェット爪34は、外輪32に設けられたスプリング35によって常時付勢されている。
ラチェット爪34の先端部は、外輪32から斜めに突出しており、ラチェット歯33における直線的な歯面部と係合することにより、内輪31と外輪32との間でトルクを伝達できるように構成されている。
すなわち、ワンウェイクラッチ30では、内輪31に対して外輪32が反時計回り(左回転方向)に相対回転しようとすると、ラチェット爪34がラチェット歯33における直線的な歯面部と係合することにより、入力軸21側から1速入力ギヤ23A側に動力を伝達するようになる。一方、内輪31と外輪32との相対回転が逆向きの時計回り(右回転方向)になると、ラチェット爪34がラチェット歯33の滑らかな歯面部によって外輪32側に押し戻され、ラチェット爪34とラチェット歯33との係合が解除されることにより、ワンウェイクラッチ30は動力を伝達しない空転状態となる。
なお、ワンウェイクラッチ30は、図2に示す構造に限定されず、一方向にのみ動力を伝達しつつ、逆方向には空転して動力を伝達しないものであれば、他の構造を採用することもできる。
図1に戻り、車両1には、各種センサ類90〜94が設けられている。回転数センサ90は、電動発電機10の出力回転数Nを検出する。アクセル開度センサ91は、アクセルペダル86の踏み込み量に応じたアクセル開度ACを検出する。車速センサ92は、出力軸22又はプロペラシャフト12から車速Vを検出する。なお、車速センサ92は、車輪速センサであってもよい。ブレーキセンサ93は、運転者によるブレーキペダル85の踏み込みに応じた不図示のフットブレーキ装置のON/OFFを検出する。シフトポジションセンサ94は、不図示の運転室に設けられた変速操作装置80の操作レバー81の操作位置(レンジ)を検出する。これらセンサ90〜94の検出信号は、電気的に接続された制御装置100(本開示の制御部)に送信される。
図3は、本実施形態に係る制御装置100及び、関連する周辺構成を示す模式的な機能ブロック図である。
制御装置100は、例えば、コンピュータ等の演算を行う装置であり、互いにバス等で接続されたCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力ポート、出力ポート等を備え、プログラムを実行する。
また、制御装置100は、プログラムの実行により、電動発電機制御部110と、停止判定部120と、パーキングロック作動制御部130と、発進操作判定部140と、パーキングロック解除制御部150とを備える装置として機能する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアである制御装置100に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
電動発電機制御部110は、車両1の加速走行時等には、アクセル開度ACや車速Vに応じた要求駆動力を駆動輪14L,14Rに伝達するように、電動発電機10を力行駆動させる。また、電動発電機制御部110は、車両1がアクセルOFFで惰性走行するコースト走行時には、車速Vに応じた回生トルクを電動発電機10側から駆動輪14L,14R側に伝達するように、電動発電機10を発電駆動させる。発電された回生電力は、車載バッテリ70(図1に示す)の充電残容量等に応じて、不図示の補機類等に供給されるか、或いは、車載バッテリ70に蓄電される。
以下、図4,5に基づいて、力行駆動時の具体的な動力伝達経路を説明する。
図4は、変速機20を1速にして、電動発電機10を力行駆動させる際の動力伝達経路を示している。図4に示すように、1速で力行駆動する際は、第2クラッチ機構60を断状態とする。すなわち、電動発電機10の力行トルクが、入力軸21からワンウェイクラッチ30を経由して1速ギヤ列23に伝達され、1速ギヤ列23にて所望のギヤ比で減速された後に出力軸22から駆動輪14L,14Rへと伝達されるようになる。この際、第1クラッチ機構50は、接状態又は断状態の何れであってもよいが、好ましくは断状態とされる。
図5は、変速機20を2速にして、電動発電機10を力行駆動させる際の動力伝達経路を示している。図5に示すように、2速で力行駆動する際は、第2クラッチ機構60を接状態とする。すなわち、電動発電機10の力行トルクが、入力軸21から接状態の第2クラッチ機構60を経由して2速ギヤ列24に伝達され、2速ギヤ列24にて所望のギヤ比で減速された後に出力軸22から駆動輪14L,14Rへと伝達されるようになる。この際、第2クラッチ機構60の接続に伴い、ワンウェイクラッチ30が空転状態となることで、1速から2速へトルク切れのない変速を実現することが可能となる。
図3に戻り、停止判定部120は、車速センサ92のセンサ値に基づいて、車両1の車速Vが所定の閾値速度以下に低下したか否かを判定する。ここで、所定の閾値速度としては、例えば、停車状態である0km/hとしてもよく、停車状態と極低速状態とを含む2〜3km/hとしてもよい。停止判定部120による判定結果は、パーキングロック作動制御部130に送信される。
パーキングロック作動制御部130は、車速Vが所定の閾値速度以下に低下したと判定されると、第1クラッチ機構50を断状態から接状態に制御する。また、パーキングロック作動制御部130は、第1クラッチ機構50を接状態にした後、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されたことをシフトポジションセンサ94により検知すると、第2クラッチ機構60を断状態から接状態に制御する。
これにより、出力軸22がギヤ比の異なる二系統の変速ギヤ列23,24によって二重噛み合いとなり、出力軸22及びプロペラシャフト12が回転できないパーキンロック状態、すなわち、車両1が前進・後退できない状態となる。このように、変速機20の二系統の変速ギヤ列23,24を用いてパーキングロック状態とすることで、パーキングロックロック機構を別途設ける構成に比べ、部品点数の削減や装置の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
発進操作判定部140は、運転者により車両1の発進操作がなされたか否かを判定する。具体的には、発進操作判定部140は、変速操作装置80がパーキングレンジPから他のレンジ(例えば、ドライブレンジD又はリバースレンジR)に操作され、且つ、ブレーキペダル85が解放(フットブレーキ装置のOFF)されると、発進操作がなされたと判定する。変速操作装置80の操作位置(レンジ)は、シフトポジションセンサ94により検知すればよく、フットブレーキ装置のOFFは、ブレーキセンサ93により検知すればよい。発進操作判定部140による判定結果は、パーキングロック解除制御部150に送信される。
パーキングロック解除制御部150は、まず、発進操作がなされたと判定されると、アクセルペダル86が踏み込まれるよりも前に、第2クラッチ機構60を接状態から断状態に制御する。これにより、非発進段の2速ギヤ列24の動力伝達経路が遮断され、その後にアクセルペダル86が踏み込まれると、電動発電機10のトルクは入力軸21から発進段用の1速ギヤ列23を介して出力軸22に伝達され、車両1が発進することとなる。次いで、パーキングロック解除制御部150は、車速Vが所定速度に達すると、第1クラッチ機構50を接状態から断状態に制御する。ここで、所定速度は、第2クラッチ機構60を断状態から接状態に切り替えて、変速機20を1速から2速にシフトアップする車速よりも低い速度で設定すればよい。
次に、図6に基づいて、本実施形態にパーキングロックの作動及び解除の制御フローを説明する。
ステップS100では、車速センサ92からのセンサ値に基づいて、車両1の車速Vが所定の閾値速度以下に低下したか否かを判定する。車速Vが所定の閾値速度以下に低下した場合(Yes)、本制御はステップS110の処理に進む。一方、車速Vが所定の閾値速度以下に低下していない場合(No)、本制御はステップS100の判定処理を繰り返す。
ステップS110では、第1クラッチ機構50を断状態から接状態に制御する。次いで、ステップS120では、シフトポジションセンサ94からのセンサ値に基づいて、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されたか否かを判定する。変速操作装置80がパーキングレンジPに操作された場合(Yes)、本制御はステップS130の処理に進む。一方、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されていない場合(No)、本制御はステップS120の判定処理を繰り返す。
ステップS130では、第2クラッチ機構60を断状態から接状態に制御する。このように、第1クラッチ機構50及び、第2クラッチ機構60が接状態になると、変速機20の入力軸21と出力軸22との間が異なるギヤ比の変速ギヤ列23,24で接続されることとなり、出力軸22及びプロペラシャフト12が回転できないパーキングロック状態が確立されるようになる。
ステップS140では、シフトポジションセンサ94及び、ブレーキセンサ93からのセンサ値に基づいて、車両1の発進操作がなされたか否かを判定する。車両1の発進操作がなされた場合(Yes)、本制御はステップS150の処理に進む。一方、車両1の発進操作がなされていない場合(No)、本制御はステップS140の判定処理を繰り返す。
ステップS150では、アクセルペダル86が踏み込まれるよりも前に、非発進段側の第2クラッチ機構60を接状態から断状態に制御する。これにより、車両1は発進段の1速ギヤ列23にて発進可能な状態となる。
ステップS160では、アクセル開度センサ91からのセンサ値に基づいて、アクセルペダル86が踏み込まれたか否かを判定する。アクセルペダル86が踏み込まれた場合(Yes)、本制御はステップS170の判定処理に進む。一方、アクセルペダル86が踏み込まれていない場合(No)、本制御はステップS160の判定処理を繰り返す。
ステップS170では、車速センサ92からのセンサ値に基づいて、車両1の車速Vが所定速度に達したか否かを判定する。車速Vが所定速度に達していない場合(No)、本制御はステップS170の判定処理を繰り返す。一方、車速Vが所定速度に達した場合(Yes)、本制御はステップS180の処理に進み、第1クラッチ機構50を接状態から断状態に制御して、その後リターンされる。
以上詳述した本実施形態によれば、電動発電機10と駆動輪14L,14Rとの間の動力伝達経路を確立する変速機20に、ギヤ比が異なる二列の変速ギヤ列23,24を設けると共に、これら変速ギヤ列23,24の遊転ギヤ23A,24Aを入力軸21と選択的に接状態又は断状態に切り替え可能な第1クラッチ機構50及び第2クラッチ機構60を設け、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されると、各クラッチ機構50,60をそれぞれ接状態に制御するように構成されている。
これにより、出力軸22がギヤ比の異なる二系統の変速ギヤ列23,24によって二重噛み合いとなり、変速機20の変速ギヤ列23,24を用いてパーキングロック状態を効果的に確立できるようになり、パーキングロックロック機構を別体に備える構成に比べ、部品点数の削減や装置の小型化、軽量化を確実に図ることが可能となる。
[その他]
なお、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変形して実施することが可能である。
例えば、上記実施形態において、変速機20のギヤ列は二列で説明したが、変速機20のギヤ列を異なるギヤ比の三列以上としてもよい。
また、第2クラッチ機構60は、湿式多板式のクラッチ機構に限定されず、他のクラッチ機構を用いてもよい。湿式多板クラッチを用いれば、入出力回転数差(位相)の影響を受けることなく、入力軸21と2速入力ギヤ24Aとを確実に接状態とすることができる。
また、第1クラッチ機構50は、噛み合い式のクラッチ機構に限定されず、湿式多板クラッチ等の他のクラッチ機構を用いてもよい。また、車両1は、駆動力源として電動発電機10を備える電気自動車として説明したが、駆動力源として電動発電機10とエンジンとを併用するハイブリッド車両であってもよい。
また、上記実施形態においては、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されたことを検知すると、第1クラッチ機構50及び、第2クラッチ機構60を接状態にするものとして説明したが、車両1に勾配センサを設け、車両1が停車した際の路面の勾配が所定の勾配よりも急である場合には、変速操作装置80がパーキングレンジPに操作されるか否かにかかわらず、第1クラッチ機構50及び、第2クラッチ機構60を接状態に制御するように構成してもよい。このように構成すれば、フットブレーキ装置が解除された際の意図しない車両1の前進又は後退を効果的に防止することが可能となる。この場合、第1クラッチ機構50及び、第2クラッチ機構60は、車両1の発進(例えば、アクセルON)を検知すると同時に断状態に戻せばよい。
1 車両
10 電動発電機(駆動力源)
14L,14R 駆動輪
20 変速機
21 入力軸
22 出力軸
23 1速ギヤ列(第1ギヤ列)
23A 1速入力ギヤ(第1遊転ギヤ)
23B 1速出力ギヤ(第1固定ギヤ)
24 2速ギヤ列(第2ギヤ列)
24A 2速入力ギヤ(第2遊転ギヤ)
24B 2速出力ギヤ(第2固定ギヤ)
30 ワンウェイクラッチ
50 第1クラッチ機構
60 第2クラッチ機構
80 変速操作装置
100 制御装置(制御部)

Claims (4)

  1. 車両に搭載される駆動力源と、
    前記駆動力源の動力が入力される入力軸と、
    前記入力軸と平行に設けられると共に、前記車両の駆動輪に接続される出力軸と、
    前記入力軸又は前記出力軸の何れか一方に相対回転可能に設けられる第1遊転ギヤ及び、該第1遊転ギヤと常時噛合すると共に、前記入力軸又は前記出力軸のうち前記第1遊転ギヤが設けられていない他方の軸に一体回転可能に設けられる第1固定ギヤを含む第1ギヤ列と、
    前記入力軸又は前記出力軸の何れか一方に相対回転可能に設けられる第2遊転ギヤ及び、該第2遊転ギヤと常時噛合すると共に、前記入力軸又は前記出力軸のうち前記第2遊転ギヤが設けられていない他方の軸に一体回転可能に設けられる第2固定ギヤを含み、前記第1ギヤ列とはギヤ比が異なる第2ギヤ列と、
    前記第1遊転ギヤを、該第1遊転ギヤが相対回転可能に設けられた前記入力軸又は前記出力軸に一体回転可能に接続する接状態に切り替え可能な噛み合い式の第1クラッチ機構と、
    前記第2遊転ギヤを、該第2遊転ギヤが相対回転可能に設けられた前記入力軸又は前記出力軸に対して位相に左右されることなく一体回転可能に接続する接状態に切り替え可能な第2クラッチ機構と、
    前記第1クラッチ機構を接状態に制御した後に、前記第2クラッチ機構を接状態に制御することによりパーキングロックを確立する制御部と、を備える
    ことを特徴とする車両の動力伝達装置。
  2. 前記制御部は、
    前記車両の車速が所定の閾値速度以下に低下したことを検知すると、前記第1クラッチ機構を接状態に制御し、変速操作装置がパーキングレンジに操作されたことを検知すると、前記第2クラッチ機構を接状態に制御することにより、前記パーキングロックを確立する
    請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
  3. 前記制御部は、
    前記第1クラッチ機構及び、前記第2クラッチ機構を接状態にした状態で前記車両の発進操作を検知すると、前記第2クラッチ機構を接状態から動力の伝達を遮断する断状態に制御し、前記車両の車速が所定速度に達したことを検知すると、前記第1クラッチ機構を接状態から動力の伝達を遮断する断状態に制御する
    請求項1又は2に記載の車両の動力伝達装置。
  4. 前記駆動力源は電動発電機であり、
    前記第1ギヤ列のギヤ比は、前記第2ギヤ列のギヤ比よりも大きいギヤ比に設定されており、
    前記第1遊転ギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側へ動力を伝達する一方、前記出力軸側から前記入力軸側へ動力を伝達しないワンウェイクラッチを介して、前記入力軸又は前記出力軸に設けられており、
    前記第2クラッチ機構は、湿式多板式のクラッチ機構である
    請求項1から3の何れか一項に記載の車両の動力伝達装置。
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