JP2021187858A - 医薬製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方であっても、安定性が改善されている医薬製剤を提供することを目的とする。【解決手段】(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、(B)消化酵素、を含有し、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しない、医薬製剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は医薬製剤に関する。より詳細には、血圧や腎臓への影響、抗コリン作用への影響が抑制された医薬製剤に関する。
従来の胃腸薬には、胃腸症状への効果を目的として、速効性のある炭酸水素ナトリウム(重曹)等のナトリウム系制酸剤や、痙攣を抑え、胃酸の分泌を抑えるロートエキスが多く配合されている。例えば、特許文献1では、マグネシウム系制酸剤、ナトリウム系制酸剤、及びカルシウム系制酸剤を含有し、アルミニウムを含有しない制酸剤組成物が開示されている。
しかしながら、高齢者や体力(生理機能)が低下した者、基礎疾患のある方への適用には向かない成分もあり、高齢者等へのニーズに対応できていない状況がある。例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)等のナトリウム系制酸剤は、塩分を摂取した際と同様に血圧を上げる働きを起こしてしまうため、高血圧や、心臓疾患、腎臓疾患等を有する方には慎重に用いられなければならない。
また、ロートエキスは、アセチルコリンを抑制し、副交感神経の刺激を弱めること(抗コリン作用)により、内臓平滑筋の痙攣による腹痛を抑えることができ。その一方で、この神経への働きが、胃腸以外の臓器へも作用してしまうため、不整脈等の心臓疾患を有する方に影響することや、前立腺肥大を有する方に排尿障害を助長すること等が知られている。また、授乳中の方においては、ロートエキスが母乳に移行し、乳児の脈に影響することも知られている。
国際公開第2004/082692号公報
本願発明者らが、胃腸薬の処方から、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方にて製剤化することを試みたところ、これらの両成分は、健胃効果だけでなく製剤安定性にも寄与する成分であることが判明し、両者を除く処方では製剤安定性が損なわれることが新たに見出された。
具体的には、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた胃腸薬では、少なくとも、付着性、吸湿性、又は水性媒体中での濁度において、製剤安定性が損なわれることが新たに見出された。
このような新規な課題に対して、他の制酸剤や健胃成分により胃腸薬における安定性を改善させることが必要とされる。
そこで、本発明は、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方であっても、製剤安定性が改善されている医薬製剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方であっても、(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、(B)消化酵素を共存させることにより、胃腸薬の安定性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる医薬製剤を提供する。
[1]
(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、
(B)消化酵素、を含有し、
ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しない、医薬製剤。
[2]
前記(A)制酸剤が、製剤全量に対して、30質量%以上である、[1]に記載の医薬製剤。
[3]
前記カルシウム系制酸剤が、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、及び、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の医薬製剤。
[4]
前記マグネシウム系制酸剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び、ケイ酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載の医薬製剤。
[5]
前記(B)消化酵素が、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ガラクトシダーゼ、及び、セルラーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の医薬製剤。
[6]
更に、清涼剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の医薬製剤。
[7]
前記清涼剤が、メントール、カンフル、及び、ボルネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、[6]に記載の医薬製剤。
[8]
さらにアルミニウム系制酸剤を実質的に含有しない、[1]〜[7]のいずれかに記載の医薬製剤。
[9]
胃腸薬である、[1]〜[8]のいずれかに記載の医薬製剤。
[10]
高齢者向けである、[1]〜[9]のいずれかに記載の医薬製剤。
[11]
前記(A)制酸剤の吸収性向上用、及び/又は、力価低下抑制用である、[1]〜[10]のいずれかに記載の医薬製剤。
[12]
最大径が2.5〜8.5mmである、圧縮固形組成物であることを特徴とする、[9]または[10]のいずれかに記載の医薬製剤。
本発明によれば、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方であっても、安定性が改善されている胃腸薬を提供することが可能となる。
[医薬製剤]
本発明の医薬製剤は、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方にて製剤化されたものである。上述のように、ナトリウム系制酸剤は、塩分を摂取した際と同様に血圧を上げる働きがあり、ロートエキスは、抗コリン作用による影響があり、高齢者や体力(生理機能)が低下した方、基礎疾患のある方へは慎重な適用が必要となる。
ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いたことにより、上記高齢者等への適用は可能となったものの、少なくとも、付着性、吸湿性、又は水性媒体中での濁度において、製剤安定性が損なわれることが見出された。付着性に関する安定性が損なわれると、製剤化工程において、装置等への成分の付着が生じ、製剤品質の低下に繋がる。また、吸湿性に関する安定性が損なわれると、製剤中の水分含量が増してしまい、有効成分等の製剤の劣化等に繋がる。また、水性媒体中での濁度に関する安定性が損なわれると、分散性の低下から、有効成分の吸収性の低下等に繋がる。
本発明の医薬製剤では、(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、(B)消化酵素を共存させることで、その製剤安定性の改善がなされる。
[(A)制酸剤]
(カルシウム系制酸剤)
カルシウム系制酸剤としては、本発明の効果を奏する限り制限されず、例えば、カルシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、及び、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種とすることができる。また、カルシウム系制酸剤は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、及び、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、炭酸カルシウム、及び、沈降炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
カルシウム系制酸剤としては、上記の成分を含有する生薬成分を用いることも可能である。このような生薬成分としては、沈降炭酸カルシウムを含有するボレイ末(牡蠣の貝殻由来成分)等が挙げられる。
(マグネシウム系制酸剤)
マグネシウム系制酸剤としては、本発明の効果を奏する限り制限されず、例えば、マグネシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、及び、これらの複合物からなる群より選択される少なくとも1種とすることができる。また、マグネシウム系制酸剤は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び、ケイ酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、水酸化マグネシウム、及び、炭酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
(A)制酸剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上とすることができる。
(A)制酸剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下とすることができる。
(A)制酸剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、10〜95質量%であることが好ましく、20〜90質量%、30〜80質量%、40〜80質量%、40〜70質量%とすることができる。このうち、マグネシウム系制酸剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、10%〜80質量%、15%〜75質量%、20%〜70質量%とすることができる。
(A)制酸剤は、組成物をブロモクレゾールグリーン(以下、BCG)溶液を用いた下記BCG試験に供した際に、好ましくは5分以下、より好ましくは3分以下、さらに好ましくは2分以下、さらにより好ましくは1分以下、特に好ましくは45秒以下、最も好ましくは30秒以下で変色が見られる程度配合することが好ましい。
[BCG試験]
1M塩酸溶液約30mLを精製水でメスアップし、全量を3000mLにする。その後、溶液500mLあたり5mgのBCG(ブロモクレゾールグリーン)を入れ目視でBCGが溶解しきるまで、液色が黄色〜橙色になるまで撹拌する。その後、500mL容量の三角フラスコにBCGが溶解した当該溶液500mLを入れスターラーにて回転数を一定にして撹拌し、測定サンプル500mgを添加し、添加直後から、色調の変化完了までの時間を測定する。
(A)制酸剤の1日当たりの投与量は、特に限定されないが、(A)制酸剤の総量として、好ましくは、10〜5000mg、より好ましくは、100〜4000mg、さらに好ましくは、800〜3000mgとすることができる。
本発明の医薬製剤は、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しないものである。
ナトリウム系制酸剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
本明細書において、ロートエキスとは、ナス科チョウセンハシリドコロの根茎(ロートコン)から、常法により抽出した抽出液又はその乾燥物等をいう。
本発明の医薬製剤は、さらにアルミニウム系制酸剤を実質的に含有しないものとすることができる。アルミニウム系制酸剤としては、例えば、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
本明細書において、ある成分を「実質的に含有しない」とは、「含有しない」、すなわち0質量%のほか、組成物中に当該成分が微量含まれている場合が挙げられる。その量は、成分によって異なり得るが、例えば、0.15質量%以下が挙げられ、0.1質量%以下、0.08質量%以下、0.06質量%以下等が挙げられる。例えば、ナトリウム系制酸剤を実質的に含有しない場合には、炭酸水素ナトリウムなどの成分が、制酸剤として上記微量含まれる場合のほか、添加物や生薬成分の中に炭酸水素ナトリウムなどの成分が上記微量含まれる場合も含まれる。
[(B)消化酵素]
消化酵素としては、本発明の効果を奏する限り制限されず、例えば、でんぷん消化酵素、たん白消化酵素、脂肪消化酵素、繊維素消化酵素等が挙げられる。また、消化酵素は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ガラクトシダーゼ、及び、セルラーゼからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アミラーゼ、リパーゼ、及び、プロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
アミラーゼは、本発明の効果を奏する限り限定されず、動物由来及び微生物由来の各種のアミラーゼが挙げられる。α−アミラーゼ、及び、β−アミラーゼのいずれであっても利用することが可能であり、α−アミラーゼとしては、液化型α−アミラーゼ、及び、糖化型α−アミラーゼのいずれであっても利用することが可能である。消化酵素としてアミラーゼを用いる場合、限定はされないが、α−アミラーゼであることが好ましく、糖化型α−アミラーゼであることがより好ましく、ビオヂアスターゼであることが更に好ましい。アミラーゼの市販品としては、ビオヂアスターゼ、ビオヂアスターゼ500、ビオヂアスターゼ700、ビオヂアスターゼ1000、ビオヂアスターゼ2000(以上、天野エンザイム社製)等が挙げられる。
リパーゼは、本発明の効果を奏する限り限定されず、動物由来及び微生物由来の各種リパーゼが挙げられる。リパーゼの市販品としては、リパーゼAP4、リパーゼAP6、リパーゼAP12、リパーゼM−AP5、リパーゼM−AP10、リパーゼM−AP20(以上、天野エンザイム社製)等が挙げられる。
プロテアーゼは、本発明の効果を奏する限り限定されず、動物由来及び微生物由来の各種リパーゼが挙げられる。プロテアーゼの市販品としては、プロザイム6(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
(B)消化酵素の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、好ましくは、0.01〜30質量%、より好ましくは、0.05〜25質量%、更に好ましくは、0.1〜20質量%、さらにより好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、最も好ましくは2〜8質量%とすることができる。
(B)消化酵素の1日当たりの投与量は、特に限定されないが、(B)消化酵素の総量として、好ましくは、10〜1000mg、より好ましくは、20〜800mg、さらに好ましくは、30〜500mgとすることができる。
本発明の医薬製剤は、製剤安定性の観点から、(A)制酸剤1質量部に対し、(B)消化酵素を、好ましくは、0.0001〜3質量部、より好ましくは、0.001〜1質量部、更に好ましくは、0.01〜0.3質量部含有する。
[清涼剤]
本発明の医薬製剤は、更に、清涼剤を含有していることが好ましい。清涼剤としては、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、モノテルペン、及び/又は、モノテルペンを含む精油等が挙げられる。
具体的には、モノテルペンとして、ゲラニオール、ネロール、ミルセノール、リナロール、酢酸リナロール、ラバンジュロールのような非環式モノテルペン;メントール、リモネン、アネトール、オイゲノール、ヒノキチオールのような単環式モノテルペン;カンフル、ボルネオール、イソボルネオール、シネオール、ピネンのような二環式モノテルペン;等が挙げられるが、これらに限定されない。
モノテルペンを含む精油としては、クールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、ユーカリ油、ベルガモット油、スペアミント油、ローズ油、樟脳油などが挙げられる。例えば、メントールやカンフルを含む精油としては、クールミント油、ペパーミント油、ハッカ油、樟脳油、ウイキョウ油、ケイヒ油、レモン油などを挙げることができる。これらの精油は、植物から、公知の方法で採取することができる。このような公知の精油採油方法として、水蒸気蒸留法、脱臭した動物油脂に植物を添加して精油を吸着させた後、エタノールで精油を抽出する油脂吸着法、植物をヘキサンやベンゼンのような有機溶媒又は超臨界流体で抽出し、抽出溶媒をエタノールに溶解させた後、エタノールを蒸発させて残渣を採取する溶剤抽出法、圧搾法などが挙げられる。モノテルペンは、精油から、各種クロマトグラフィーにより回収することもできる。
これらの中でも、清涼剤は、メントール、カンフル、及び、ボルネオールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、メントール、及び/又はカンフルであることがより好ましく、メントールであることが更に好ましい。
清涼剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.0005質量%以上、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上とすることができる。
清涼剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下とすることができる。
清涼剤の含有量は、本発明の効果を奏する限り、限定はされないが、製剤全量に対して、例えば、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜2質量%であることが更に好ましい。
清涼剤の1日当たりの投与量は、特に限定されないが、清涼剤の総量として、好ましくは、0.1〜30mg、より好ましくは、0.5〜25mg、更に好ましくは、1〜20mgとすることができる。
本発明の医薬製剤は、製剤安定性等の観点から、(A)制酸剤1質量部に対し、清涼剤を、好ましくは、0.0001〜1質量部、より好ましくは、0.0005〜0.25質量部、更に好ましくは、0.001〜0.07質量部含有する。
本発明の医薬製剤は、本発明の効果が十分に奏される限りにおいて、上記以外に、必要に応じて更なる種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分)を含み得るか、またはそれらと組み合わせて使用され得る。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、健胃剤、消化剤、整腸剤、止瀉剤、鎮痛鎮痙剤、粘膜修復剤、消泡剤などが例示できる。本発明において、次のような成分が挙げられるが、これらの成分に限定されるものではない。なお、これらの成分の配合量は製剤の種類、活性成分の種類などに応じて適宜選択される。
健胃剤:アカメガシワエキス、アニス実、アロエ、ウイキョウ、ウコン、ウヤク、延命草、オウゴン、オウバク、オウレン、加工大蒜、ガジュツ、カッコウ、カラムス根、乾薑、枳殻、キジツ、ケイヒ、ゲンチアナ、コウジン、コウボク、ゴシュユ、胡椒、コロンボ、コンズランゴ、サンショウ、山奈、シソシ、シュクシャ、ショウキョウ、ショウズク、青皮、石菖根、センタウリウム草、センブリ、ソヨウ、大茴香、ダイオウ、チクセツニンジン、チョウジ、チンピ、トウガラシ、トウヒ、ニガキ、ニクズク、ニンジン、ハッカ(セイヨウハッカを含む)、ヒ撥(ヒハツ)、ビャクジュツ、ホップ、ホミカエキス、睡菜葉(スイサイヨウ)、モッコウ、ヤクチ、リュウタン、リョウキョウなどの生薬又はその抽出物、ショウキョウ油、ショウズク油、チョウジ油、トウヒ油、動物胆(ユウタンを含む)、塩酸ベタイン、グルタミン酸塩酸塩、塩化カルニチン、塩化ベタネコール、乾燥酵母等。
消化剤:ウルソデスオキシコール酸、オキシコーラン酸塩類、コール酸、胆汁末、胆汁エキス(末)、デヒドロコール酸、動物胆(ユウタンを含む)等。
整腸剤:赤芽柏、アセンヤク、ウバイ、ケツメイシ、ゲンノショウコなどの生薬又はその抽出物、整腸生菌成分(乳酸菌、酪酸菌、納豆菌等)等。
止瀉剤:アセンヤク、ウバイ、オウバク、オウレン、クジン、ゲンノショウコ、五倍子、サンザシ、センブリ、ヨウバイヒなどの生薬又はその抽出物、アクリノール、塩化ベルベリン、グアヤコール、クレオソート、サリチル酸フェニル、炭酸グアヤコール、タンニン酸ベルベリン、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次没食子酸ビスマス、タンニン酸、タンニン酸アルブミン、メチレンチモールタンニン、カオリン、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム、ペクチン、薬用炭、乳酸カルシウム等。
鎮痛鎮痙剤:エンゴサク、カンゾウ、シャクヤク、ベラドンナなどの生薬又はその抽出物、塩酸オキシフェンサイクリミン、塩酸ジサイクロミン、塩酸メチキセン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルアニソトロピン、臭化メチルスコポラミン、臭化メチル-l-ヒヨスチアミン、臭化メチルベナクチジウム、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、塩酸パパベリン、アミノ安息香酸エチル等。
粘膜修復剤:赤芽柏、エンゴサク、カンゾウなどの生薬又はその抽出物、アズレンスルホン酸ナトリウム、アルジオキサ、グリチルリチン酸及びその塩類、L−グルタミン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、塩酸ヒスチジン、ブタ胃壁ペプシン分解物、ブタ胃壁酸加水分解物、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、スクラルファート水和物(ショ糖硫酸エステルアルミニウム塩)、ソファルコン等。
消泡剤:ジメチルポリシメキサン等。
本発明の医薬製剤は、好ましくは経口投与用製剤である。その剤形としては、錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、トローチ剤、顆粒剤、丸剤、ドライシロップ剤、散剤(細粒剤を含む)、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤を含む)のような固形製剤の他、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、リモナーデ剤、チンキ剤、エキス剤、ゼリー剤、ゲル剤、リポソーム剤等を例示できる。中でも、本発明の効果をより一層発揮することや、汎用性などの観点から、固形製剤が好ましく、特には、造粒を経て調製される固形製剤などであってもよい。固形製剤には、錠剤、顆粒剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤などが含まれ、錠剤、顆粒剤が特に好ましい。
また本発明の医薬製剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、その剤形に応じて、適当な添加物を含有してもよい。このような添加物としては、固形製剤(例えば、錠剤やカプセル剤、散剤など)の場合、賦形剤(例えば、ショ糖、乳糖、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウムなど)、流動化剤(例えば、メタケイ酸アルミン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸など)、などが挙げられる。これらの添加物の製剤上の用途は上記以外であってもよい。
また液状製剤(例えば、シロップ剤、液剤、懸濁剤、軟カプセル内容物、硬カプセル内容物のうち液状のものなど)の場合の添加物としては、油性基剤(例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油;中鎖脂肪酸トリグリセリドなど)、水性基剤(例えば、マクロゴール400、水)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ガム質など)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタンなど)、懸濁化剤(例えば、サラシミツロウや各種界面活性剤、大豆レシチンなど)、分散剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、溶解補助剤、pH調節剤、防腐剤(保存剤)などが挙げられる。またこれらの製剤にはいずれの場合でも、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、および呈味剤などを適宜添加してもよい。
本発明の医薬製剤は、その剤形に応じて、(A)制酸剤、(B)消化酵素、及び、所望により用いられるその他の生理活性成分及び添加剤とを、慣用の方法により製剤化して得ることができる。
[用途]
本発明の医薬製剤は、具体的には、胃の粘膜保護、胃の粘液増強、胃粘膜血流増強等の作用を有し、胃酸への抵抗力を高め、また、胃酸の量の調整作用と相俟った優れた胃炎や胃潰瘍、胃の荒れ等の胃腸薬としての効果を発揮する。特には、本発明の医薬製剤は、胃潰瘍、胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期の治療等に用いられる。その他、もたれ(胃もたれ)、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、胸やけ、食欲不振(食欲減退)、胃部膨満感(消化不良によるものを含む)、腹部膨満感(消化不良によるものを含む)、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、胸つかえ、胃酸過多、胃重、胃弱、胃痛、胃部不快感、消化促進、消化不良、腹痛、さしこみ(疝痛(せんつう)、癲(しゃく))、げっぷ(おくび)、はき下し、くだり腹、下痢(消化不良による下痢及び腹痛を伴う下痢を含む)、食あたり、水あたり、整腸(便通を整える)、軟便、便秘などの用途に好適に用いることができる。このうち、本発明の医薬製剤は、ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを除いた処方であっても、特に(A)制酸剤、及び、(B)消化酵素とを含有することによって、少なくとも、付着性、吸湿性、又は水性媒体中での濁度において、製剤安定性が改善されるため、製剤品質の低下や劣化、又は、有効成分の吸収性の低下を抑制し、上記の有効成分本来の効果を安定的に発揮させることが可能となる。
また、本発明の医薬製剤は、製剤安定性が改善されるため、例えば、(A)制酸剤の吸収性向上用、及び/又は、(A)制酸剤の力価低下抑制用として好適に用いられる。
本発明の医薬製剤は、血圧や腎臓への影響が懸念されるナトリウム系制酸剤、抗コリン作用が懸念されるロートエキスを除いた処方により製剤化されているため、高齢者や体力(生理機能)が低下した者、基礎疾患のある方への適用が好適である。本明細書において、高齢者とは、高年齢者ともいい、一般的に年齢に伴う衰え、胃もたれ等の胃の不快症状や胃の機能低下などを感じやすい、目安として55歳以上のヒトをいう。
本発明の医薬製剤は、通常、1日1〜3回、好ましくは3回投与することができる。したがって、1回の投与のための本発明の医薬製剤は、上記1日あたりの投与量を1日の投与回数で割った量を含有することが好ましい。
[固形製剤の製造方法]
本発明はまた、(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、
(B)消化酵素、を含有させ、
ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しないことを含む、医薬製剤の製造方法に関する。
当該方法においても、(A)成分の種類や量、(B)成分の種類や量、それらの成分比、その他の成分等については、上記医薬製剤の場合と同様である。
本発明の医薬製剤は、例えば、(A)成分、(B)成分、所望により添加されるその他の成分、および所望により添加される添加剤を、当該技術分野で慣用の方法により混合及び撹拌することにより製造される。
混合及び撹拌するための装置は、特に限定されず、例えば、市販のバイオミキサー、ホモジェッター等の高速撹拌機又は高速粉砕機を用いることができる。
[圧縮固形製剤の製造法]
本発明の医薬製剤は、限定はされないが、嚥下し易い大きさに成型した、圧縮固形組成物として製造することができる。このようにすることで、服用感が向上し、嚥下能力が衰えた高齢者にも好適に使用できる。
本発明の医薬製剤を圧縮固形組成物とする場合、嚥下を容易にする観点から、圧縮固形物の大きさは、最大径が2.5〜8.5mmの範囲が好ましく、なかでも2.5〜8.0mmの範囲が好ましく、とりわけ2.5〜7.5mmの範囲が好ましく、さらに2.5〜7.0mmの範囲が好ましく、より3.0〜6.5mmの範囲が好ましく、特に3.5〜6.0mmの範囲が好ましい。この範囲における嚥下容易性は、ヒトが本発明の医薬製剤を服用した際の喉筋電位を、筋電位計を用いて測定することで検証することができる。また、目的の径を有する臼、杵を備えた圧縮成型機を用いて、3kN〜20kNの成型圧で圧縮成型して、目的とする圧縮固形物を得ることができる。
また、有効成分を摂取するために、より多くの個数を服用することが好ましい。1回に服用する個数が、個別に包装されていることが好ましい。ここで、1回に服用する個数は、例えば、5〜30個、好ましくは6〜28個、より好ましくは8〜26個である。また、1回に服用する質量は、例えば、1〜3000mg、好ましくは10〜2000mg、より好ましくは100〜1500mgである。
またこのようにして得られた圧縮固形組成物は、1回適用量を例えば収容部が幅20mmおよび長さ70mmのスティック状のアルミラミネート包材等に包装することで、1回服用単位を適用しやすくすることもできる。
[固形製剤の安定化方法]
別の実施態様において、本発明は、(A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、
(B)消化酵素、を含有させ、
ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しないことを含む、医薬製剤の安定化方法に関する。
上記安定化は、付着性、吸湿性、又は水性媒体中での濁度の改善であることが好ましい。吸湿性に関する安定性が損なわれると、製剤中の水分含量が増してしまい、有効成分等の製剤の劣化等に繋がることから、本発明により、医薬製剤中の有効成分の劣化抑制方法を提供することも可能である。
また、水性媒体中での濁度に関する安定性が損なわれると、分散性の低下から、有効成分の吸収性の低下等に繋がることから、本発明により、医薬製剤中の有効成分の分散性改善方法、又は、有効成分の吸収性改善方法を提供することも可能である。
[試験例1−1.医薬製剤の濁度評価試験1]
表1に従い、各成分を秤量し、常法により混合及び均一化を行い、粉剤を得た。各粉剤については、BCG試験による色調の変化完了までの時間が3分、好ましくは2分以下であることを確認した。100mlビーカーに30mlの水と各粉剤とを投入し、スターラーで7分間撹拌し8mlを濁度計用チューブに移し替えた。ボルテックスミキサーにて攪拌後、すぐに濁度計(型番:2100AN、HACH社製)にて濁度を7分間測定した。
表1に記載の通り、ナトリウム系制酸剤及びロートエキスを配合した医薬製剤を比較例とし、これら両成分を除き、カルシウム系制酸剤、又は、マグネシウム系制酸剤と、消化酵素を配合した医薬製剤を実施例とした。上記比較例の結果を「0」とした場合の補正値を、各濁度変化率の結果と併せて示す(表1)。
濁度変化率は、下記式に従い計算した。
変化率(%)={(攪拌後7分経過時での濁度[NTU]−0分時濁度[NTU])/0分時での濁度[NTU]}×100
改善率は、下記式に従い計算した。
改善率(%)={(比較例1-1-2の濁度変化率−各試験製剤の濁度変化率)/比較例1-1-2の濁度変化率}×100
Figure 2021187858
ナトリウム系制酸剤とロートエキスとを配合した比較例1−1−1から、ロートエキスを無配合とすると、濁度変化率が改悪した(比較例1−1−2)。具体的には、比較例1−1−1を基準とすると、比較例1−1−2では、−62.1%濁度変化率が低下した(すなわち分散状態が維持され、生体への吸収や溶解性の低下が示唆された)。この結果により、ナトリウム系制酸剤とロートエキスとの組み合わせが、濁度の観点で製剤安定性に寄与していたことが確認された。
比較例1−1−2に対して、ナトリウム系制酸剤を無配合とし、代わりにカルシウム系制酸剤を配合すると、濁度変化率が改善したが、十分な改善値には至らなかった(比較例1−1−3)。
比較例1−1−3に対して、更に消化酵素を配合すると、濁度変化率が顕著に改善し(実施例1−1−1)、更にメントールを配合することで、改善効果を高めることが確認された(実施例1−1−2)。(A)成分、及び、(B)成分を他の成分に置き換えても、同様の改善傾向が認められた(実施例1−1−3乃至実施例1−1−6)。
[試験例1−2.医薬製剤の濁度評価試験2]
攪拌後3分経過時での濁度を測定したことを除き、試験例1−1と同様の方法により、濁度評価試験を行った。
具体的には、表2に従い、各成分を秤量し、常法により混合及び均一化を行い、粉剤を得た。100mlビーカーに30mlの水と各粉剤とを投入し、スターラーで3分間撹拌し8mlを濁度計用チューブに移し替えた。ボルテックスミキサーにて攪拌後、すぐに濁度計(型番:2100AN、HACH社製)にて濁度を7分間測定した。
表2に記載の通り、ナトリウム系制酸剤及びロートエキスを配合した医薬製剤を比較例とし、これら両成分を除き、カルシウム系制酸剤、又は、マグネシウム系制酸剤と、消化酵素を配合した医薬製剤を実施例とした。上記比較例の結果を「0」とした場合の補正値を、各濁度変化率の結果と併せて示す(表2)。
濁度変化率は、下記式に従い計算した。
変化率(%)={(攪拌後3分経過時での濁度[NTU]−0分時濁度[NTU])/0分時での濁度[NTU]}×100
改善率は、下記式に従い計算した。
改善率(%)={(比較例1-2-2の濁度変化率−各試験製剤の濁度変化率)/比較例1-2-2の濁度変化率}×100
Figure 2021187858
ナトリウム系制酸剤とロートエキスとを配合した比較例1−2−1から、ロートエキスを無配合とすると、濁度変化率が改悪した(比較例1−2−2)。具体的には、比較例1−2−1を基準とすると、比較例1−2−2では、−63.2%濁度変化率が低下した(すなわち分散状態が維持され、生体への吸収や溶解性の低下が示唆された)。この結果により、ナトリウム系制酸剤とロートエキスとの組み合わせが、濁度の観点で製剤安定性に寄与していたことが確認された。
比較例1−2−2に対して、ナトリウム系制酸剤を無配合とし、代わりにカルシウム系制酸剤、及び、消化酵素を配合すると、濁度変化率が顕著に改善した(実施例1−2−1)。(A)成分、及び、(B)成分を他の成分に置き換えても、同様の改善傾向が認められた(実施例1−2−2乃至実施例1−2−4)。
[試験例2.医薬製剤の付着性評価試験]
表3に従い、各成分を秤量し、常法により混合及び均一化を行い、粉剤を得た。各粉剤については、BCG試験による色調の変化完了までの時間が3分、好ましくは2分以下であることを確認した。10号規格のガラス瓶の空の重さと金属キャップ(錻力(ブリキ)製)の重さをそれぞれ測定した後に、各粉剤を投入しふたを閉めた。約20秒間で転倒混合20回実施し、その後に金属キャップの重さを測定し、金属キャップに付着した製剤の量を求めた。付着率(%)の結果を、表3に併せて示す。
付着率(%)は、下記式に従い計算した。
付着率(%)=
(転倒混合20回後の蓋の重さ[g]初期の蓋の重さ[g])/初期の蓋の重さ[g]×100
改善率は、下記式に従い計算した。
改善率(%)={(比較例2−2の付着率−各試験製剤の付着率)/比較例2−2の付着率}×100
Figure 2021187858
ナトリウム系制酸剤とロートエキスとを配合した比較例2−1から、ロートエキスを無配合とすると、付着率が向上(改悪)した(比較例2−2)。具体的には、比較例2−1を基準とすると、比較例2−2では、−120.8%付着率が向上する結果となった。この結果により、ナトリウム系制酸剤とロートエキスとの組み合わせが、付着性の観点で製剤安定性に寄与していたことが確認された。
比較例2−2に対して、ナトリウム系制酸剤を無配合とし、代わりにカルシウム系制酸剤を配合し、更に消化酵素を配合すると、付着率が顕著に低下(改善)し(実施例2−1、実施例2−3)、更にメントールを配合することで、改善効果を高めることが確認された(実施例2−4)。
(A)成分、及び、(B)成分を他の成分に置き換えても、同様の改善傾向が認められた(実施例2−3乃至実施例2−6)。
[試験例3.医薬製剤の吸湿性評価試験]
表4及び表5に従い、各成分を秤量し、常法により混合及び均一化を行い、粉剤を得た。各粉剤については、BCG試験による色調の変化完了までの時間が3分、好ましくは2分以下であることを確認した。各粉剤を2g秤量し、シャーレに入れた。シャーレを含めた重さを測定し、0hの重さとした。各粉剤を33%RH、93%RH環境下のデシケーターに入れ48h、120h後の重さを測定した。吸湿性(%)の結果を表4、表5に併せて示す。なお、表4では、93%RH、48時間後の試験結果を示し、表5では、33%RH、120時間後の試験結果を示す。
吸湿性(%)は、下記式に従い計算した。
吸湿性(%)=
(48hもしくは120h後の重さ[g]−0h後の重さ[g])/0h後の重さ[g]×100
改善率は、下記式に従い計算した。
93%RH(48時間後)における改善率(%)=
{(比較例3−1の吸湿性−各試験製剤の吸湿性)/比較例3−1の吸湿性}×100
33%RH(120時間後)における改善率(%)=
{(比較例3−3の吸湿性−各試験製剤の吸湿性)/比較例3−3の吸湿性}×100
Figure 2021187858
Figure 2021187858
ナトリウム系制酸剤を配合した比較例3−1と比較して、ナトリウム系制酸剤を含有せず、カルシウム系制酸剤、又は、マグネシウム系制酸剤と、消化酵素と配合した実施例では、吸湿性が顕著に向上していることが確認された(実施例3−1乃至3−7)。更にメントールを配合することで、吸湿性がより一層向上することが認められた(実施例3−5乃至3−7)。
[試験例4.医薬製剤の濁度評価試験2]
表6に従い、各成分を秤量し、常法により混合及び均一化を行い、粉剤を得た。各粉剤については、BCG試験による色調の変化完了までの時間が3分、好ましくは2分以下であることを確認した。100mlビーカーに30mlの水と各粉剤とを投入し、スターラーで7分間撹拌し8mlを濁度計用チューブに移し替えた。ボルテックスミキサーにて攪拌後、すぐに濁度計(型番:2100AN、HACH社製)にて濁度を7分間測定した。
表6に記載の通り、消化酵素を含有しない医薬製剤を比較例4−1、カルシウム系制酸剤、マグネシウム系制酸剤、及び、消化酵素を含有しない医薬製剤を比較例4−2とし、比較例4−2に対して消化酵素を配合した医薬製剤を比較例4−3とした。また、カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤と、消化酵素を配合した医薬製剤を実施例4−1とした。
濁度変化率は、下記式に従い計算した。
変化率(%)={(攪拌後7分経過時での濁度[NTU]−0分時濁度[NTU])/0分時での濁度[NTU]}×100
改善率は、下記式に従い計算した。
改善率(%)={(基準となる比較例の濁度変化率−各試験製剤の濁度変化率)/基準となる比較例の濁度変化率}×100
Figure 2021187858
比較例4−1に対して、消化酵素を配合すると、濁度変化率が顕著に改善した(実施例4−2)。しかしながら、カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤を配合していない医薬製剤では、消化酵素を配合させたとしても、濁度変化率が改善することはなく、寧ろ、濁度変化率が改悪することが示された。このような結果が得られた原因は不明であるが、カルシウム系制酸剤、又は、マグネシウム系制酸剤と、消化酵素とを共存させることが濁度変化率を顕著に改善させることに寄与しているものと推測される。また、ナトリウム系制酸剤、及び、アルミニウム系制酸剤を実質的に(微量に)含有する場合であっても、本発明の効果は奏されることが確認された。
[製剤例]
下記の表7〜9に示す処方により、常法に基づいて本発明の医薬製剤を調製した。
Figure 2021187858
Figure 2021187858
Figure 2021187858

Claims (12)

  1. (A)カルシウム系制酸剤、及び、マグネシウム系制酸剤からなる群より選択される少なくとも1種の制酸剤、並びに、
    (B)消化酵素、を含有し、
    ナトリウム系制酸剤、及び、ロートエキスを実質的に含有しない、医薬製剤。
  2. 前記(A)制酸剤が、製剤全量に対して、30質量%以上である、請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 前記カルシウム系制酸剤が、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、及び、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
  4. 前記マグネシウム系制酸剤が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び、ケイ酸マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  5. 前記(B)消化酵素が、アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ガラクトシダーゼ、及び、セルラーゼからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  6. 更に、清涼剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  7. 前記清涼剤が、メントール、カンフル、及び、ボルネオールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の医薬製剤。
  8. さらにアルミニウム系制酸剤を実質的に含有しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  9. 胃腸薬である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  10. 高齢者向けである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  11. 前記(A)制酸剤の吸収性向上用、及び/又は、力価低下抑制用である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
  12. 最大径が2.5〜8.5mmである、圧縮固形組成物であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の医薬製剤。
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