JP2021187708A - 炭素被覆複合材料、およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複合材料の表面に薄く、均一な炭素性被覆層が形成されることでシリコンの劣化が抑制された炭素被覆複合材料によって、初回放電容量、初回クーロン効率、サイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。【解決手段】 炭素材料およびシリコンを含む複合材料(A)の表面が、炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)であって、顕微ラマン分光分析法による炭素被覆複合材料(C)のラマンスペクトルにおいて、R値(1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.60以下であり、450〜495cm-1のピーク強度(ISi)とIGの比(ISi/IG)の変動係数が1.0以下である炭素被覆複合材料。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素被覆複合材料、およびその用途に関する。
スマートフォンやタブレットPCなどのIT機器、掃除機、電動工具、電気自転車、ドローン、自動車に使用される二次電池には、高容量および高出力を兼ね備えた負極活物質が必要とされる。負極活物質として、現在使用されている黒鉛(理論比容量:372mAh/g)よりも高い理論比容量を有するシリコン(理論比容量:4200mAh/g)が注目されている。
しかし、シリコン(Si)は電気化学的なリチウム挿入・脱離に伴って、最大で約3〜4倍まで体積が膨張・収縮する。これによりシリコン粒子が自壊したり、電極から剥離したりするため、シリコンを用いたリチウムイオン二次電池はサイクル特性が著しく低いことが知られている。このため、シリコンを単に黒鉛から置き換えて使うのではなく、負極材全体として膨張・収縮の程度を低減させた構造にして用いることが、現在盛んに研究されている。中でも炭素質材料との複合化が多く試みられている。
高容量かつ長寿命な負極材としては、例えば特許文献1には、高温下で多孔質炭素粒子とシランガスとを接触させることによって、多孔質炭素の細孔内にケイ素を生成させる方法によって得られた、シリコン−カーボン複合材料(Si−C複合材料)が開示されている。特許文献1には、前記Si−C複合材料を、さらに化学気相成長(CVD)法により、炭素質層で被覆した材料についても開示されている。
特表2018−534720号公報
特許文献1に開示されたSi−C複合材料に炭素質層を被覆した材料を負極活物質に用いた場合、本発明者らの検討によると低温でSi−C複合材料を炭素質層で被覆した場合には、低温処理ではSi−C複合材料の炭素被覆率が低く表面Siの露出が抑制されず、Si−C複合材料が酸化してしまい初回クーロン効率が低下した。また高温でSi−C複合材料を炭素質層で被覆した場合には、炭化ケイ素(SiC)生成に伴いリチウムイオン二次電池の比容量は低下してしまった。
本発明では、初回放電容量、初回クーロン効率、サイクル特性の高いリチウムイオン二次電池を得ることが可能な炭素被覆複合材料を提供することを課題とする。
本発明は以下の構成からなる。
[1] 炭素材料およびシリコンを含む複合材料(A)の表面が、炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)であって、
顕微ラマン分光分析法による前記炭素被覆複合材料(C)のラマンスペクトルにおいて、
R値(1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.60以下であり、
450〜495cm-1付近のピーク強度(ISi)と前記IGの比(ISi/IG)の変動係数が1.0以下である炭素被覆複合材料(C)。
[2] 前記R値が0.60以上1.50以下である[1]に記載の炭素被覆複合材料(C)。
[3] 前記ISi/IGが0.30以下である[1]または[2]に記載の炭素被覆複合材料(C)。
[4] 前記炭素被覆複合材料(C)が粒子状であり、
BET比表面積が0.50m2/g以上40.0m2/g以下であり、
レーザー回折法による体積基準の累積粒度分布における50%粒子径(DV50)が2μm以上30μm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[5] 前記炭素性被膜層(B)の平均厚さが0.1nm以上30.0nm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[6] 前記炭素性被膜層(B)が単層または多層のグラフェン層を含む[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[7] (炭素被覆複合材料(C)のBET比表面積)/(複合材料(A)のBET比表面積)が0.10以上1.00以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[8] (炭素被覆複合材料(C)のR値)/(複合材料(A)のR値)が0.50以上2.00以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[9] Cu−Kα線を用いた粉末XRD測定によるXRDパターンにおいて、
Si111面のピークの半値幅が3.00deg.以上、
(SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)が0.01以下である[1]〜[8]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[10] 炭素被覆複合材料(C)におけるシリコンの含有率が20〜70質量%である、[1]〜[9]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の炭素被覆複合材料(C)を含む負極活物質。
[12] [11]に記載の負極活物質と集電体を含む負極。
[13] [12]に記載の電極を用いたリチウムイオン二次電池。
本発明の炭素被覆複合材料(C)によれば、炭素材料およびシリコンを含む複合材料の表面に薄く、均一な炭素性被覆層が形成されることでシリコンの劣化が抑制されるため、初回放電容量、初回クーロン効率、サイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
実施例5で得られた炭素被覆複合材料のラマンスペクトル。
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下の説明において、「ピーク強度」はピークの高さを表す。
[1]炭素被覆複合材料(C)
本発明の一実施形態にかかる炭素被覆複合材料(C)は、炭素材料およびシリコンを含む複合材料(A)の表面が、炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)である。顕微ラマン分光分析法による前記炭素被覆複合材料(C)のラマンスペクトルにおいて、R値(1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.60以下であり、450〜495cm-1のピーク強度(ISi)と前記IGの比(ISi/IG)の変動係数が1.0以下である。
前記R値の変動係数が0.6以下、かつ、前記ISi/IGの変動係数が1.0以下である場合、複合材料(A)の表面は炭素性被覆層(B)によって一様に覆われており、炭素被覆複合材料(C)に含まれるシリコンが露出していない。
炭素被覆複合材料(C)に含まれるシリコンは表面に露出していると、初期リチウムイオン挿入時に露出されたシリコン部にて電解液の還元による副反応が生じ、初回クーロン効率が低くなるという問題がある。本発明の一実施形態にかかる炭素被覆複合材料(C)では、複合材料(A)表面が炭素性被覆層(B)で覆われているため電解液の還元反応が抑制され、副反応が少なくなり、初回クーロン効率が高くなる。
炭素のラマンスペクトルには、非晶質炭素に起因する1350cm-1付近のピーク(Dバンド)が存在する。Dバンドのピーク強度をIDとする。また、炭素のラマンスペクトルには、黒鉛に起因する1580cm-1付近のピーク(Gバンド)が存在する。このピーク強度をIGとする。Dバンドのピーク強度とGバンドのピーク強度の比(ID/IG)をR値とし、炭素被覆複合材料(C)表面の状態を評価することができる。R値が小さい程、炭素被覆複合材料(C)の表面の結晶化度が高いことを示す。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)は、ラマンスペクトルにおけるR値(ID/IG)が、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましく、0.80以上であることがさらに好ましい。R値が0.60以上であると、反応抵抗が十分に低いので、電池のクーロン効率の向上につながる。また、R値は1.50以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.10以下であることがさらに好ましい。1.50以下であることは、炭素性被覆層に欠陥が少ないことを意味し、副反応が低減されるため初回クーロン効率が向上する。
R値の変動係数は、顕微ラマン分光測定法によりR値を複数点測定し、その標準偏差値をR値の平均値で割って求める。変動係数を求めることでコーティング状態のばらつきを評価することができる。変動係数が大きいほどR値の均一性が低く、コーティング状態のばらつきが大きいことを示す。
顕微ラマン分光測定法では、高い空間分解能を有する顕微レーザーラマン分光器を用い、同一サンプルに対してR値を複数点測定する。R値の測定点の数は、測定精度の観点から50点以上が好ましい。R値の測定点の上限は特に制限はなく、通常は100点以下である。典型的には、毎回箇所が異なるよう、各回の測定終了後にレーザーの照射位置をずらして測定を行う。空間分解能が低すぎると(すなわち、照射位置の重なりが大きすぎると)、材料間のばらつきがR値に反映され難く、評価結果の精度が低下する場合がある。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)では、R値の変動係数が0.60以下である。R値の変動係数が0.60以下であると、コーティング状態のばらつきが小さいため、低抵抗化の効果が大きく、サイクル特性が向上する。同様の観点から、変動係数は0.50以下が好ましく、0.45以下がより好ましい。また、R値の変動係数の下限としては特に制限はなく、通常は0であり、好ましくは0.10である。
シリコンのラマンスペクトルには、アモルファスシリコンに起因するピークが450〜495cm-1に存在する。アモルファスシリコンに起因する前記範囲にみられるピークの強度をISiとする。アモルファスシリコンは比較的充放電時の膨張収縮が等方的に行われるので、アモルファスシリコンを用いると電池のサイクル特性を高くすることができる。ラマンスペクトルでは、結晶性のシリコンにより521cm-1にピークが現れる。従って、ラマンスペクトルのピークの波数が高いシリコンを活物質として用いると、シリコンのアモルファス性が低く結晶性が高いため、電池のサイクル特性が悪くなる。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)は、ラマンスペクトルによる前記シリコンに起因するピークの強度ISiと前記Gバンドの強度IGの比、ISi/IGが0.30以下であることが好ましい。ラマンスペクトルにおいてシリコンのピークが現れていることは、炭素被覆複合材料(C)の表面近傍にシリコンが堆積していることを示している。この値が前記範囲内であれば、シリコンは炭素材料の比較的奥に堆積していることになり、このことは、シリコンが電解液と直接接触しないという点で、サイクル特性の向上につながる。ISi/IGは0.25以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。また、ISi/IGの下限としては特に制限はなく、通常は0であり、好ましくは0.10である。
Si/IGの変動係数は、顕微ラマン分光測定法によりISi/IGを複数点測定し、その標準偏差値をISi/IGの平均値で割って求める。変動係数を求めることでコーティング状態のばらつきを評価することができる。変動係数が大きいほどISi/IGの均一性が低く、コーティング状態のばらつきが大きいことを示す。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)は、ISi/IGの変動係数は1.0以下である。変動係数が1.0以下であると、コーティング状態のばらつきが小さいため、低抵抗化の効果が大きく、サイクル特性が向上する。同様の観点から、変動係数は0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましい。また、ISi/IGの変動係数の下限としては特に制限はなく、通常は0であり、好ましくは0.1である。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)は、BET比表面積が40.0m2/g以下であることが好ましく、30.0m2/g以下がより好ましく、20.0m2/g以下がさらに好ましい。BET比表面積が40.0m2/g以下であれば、副反応である電解液の分解反応が起こりづらく、初回クーロン効率を高くできる。BET比表面積は、0.50m2/g以上であることが好ましく、4.0m2/g以上がより好ましく、7.0m2/g以上がさらに好ましい。BET比表面積が0.50m2/g以上であれば、リチウムイオンの挿入脱離が容易になりサイクル特性を高くできる。BET比表面積の測定は実施例に記載の方法で行うことができる。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)は、体積基準の累積粒度分布における50%粒子径DV50は2μm以上であることが好ましく、5μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましい。2μm以上であれば、粉体がハンドリング性に優れ、塗工に適した粘度や密度のスラリーを調製しやすく、また電極とした際の密度が上げやすい。
V50は30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。30μm以下であれば、1つ1つの粒子におけるリチウムの拡散長が短くなるためリチウムイオン電池のレート特性が優れるほか、スラリーとして集電体に塗工する際に筋引きや異常な凹凸を発生しない。
V50はレーザー回折法によって測定することができる。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)において、(炭素被覆複合材料(C)のR値)/(複合材料(A)のR値)が0.50以上であることが好ましく、0.60以上がさらに好ましく、0.70以上が最も好ましい。前記比が0.50以上であると、複合材料(A)の表面に炭素性被覆層が形成され低抵抗化の効果が大きく、サイクル特性が向上する。
一方、(炭素被覆複合材料(C)のR値)/(複合材料(A)のR値)は2.00以下であることが好ましい。前記比が2.00以下であると、過剰な炭素性被覆層(B)の形成を抑制し、それにより初回クーロン効率を高くできる。同様の観点から前記比は1.50以下がさらに好ましく、1.00以下が最も好ましい。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)において、(炭素被覆複合材料(C)のBET比表面積)/(複合材料(A)のBET比表面積)は、通常は1.00以下であり、0.90以下であることが好ましく、0.80以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましい。前記比が1.00以下であれば、炭素材料(A)の表面が十分に被覆されており、低抵抗化の効果が大きいため、サイクル特性が良好になる。前記比は、通常は0.10以上であり、0.30以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましく、0.60以上であることがさらに好ましい。0.10以上であれば、コーティング量が過剰にならず、副反応が抑えられるため初回クーロン効率が良好である。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)において、Cu−Kα線を用いた粉末XRD測定によるXRDパターンにおいて、Siの111面のピークの半値幅が3.00deg.以上であることが好ましく、3.30deg.以上がより好ましく、4.00deg.以上がさらに好ましい。3.00deg.以上であると結晶子の大きさが小さくアモルファス性が高いことになり、充放電に伴うシリコン粒子の割れの抑制につながりサイクル特性を高くできる。また、半値幅は、10.00deg.以下であることが好ましく、8.00deg.以下であることがより好ましい。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)において、Cu−Kα線を用いた粉末XRD測定によるXRDパターンにおいて、(SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)が0.01以下であることが好ましい。これにより、炭素被覆複合材料(C)中にはSiC(炭化ケイ素)が含まれていない、あるいはSiCの含有量が極めて低いことになるため、シリコンの電池活物質としての利用率が向上し、初回放電容量を高くできる。なお、前記(SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)を、ISiC111/ISi111とも表記する。ISiC111/ISi111の下限は0である、すなわち、SiCのピーク強度が観察されないことがより好ましい。なお、SiCのピーク強度とは、SiCに由来する2θで35deg.付近に現れるピーク高さを意味する。またSiのピーク強度とはSiに由来する2θで28deg.付近に現れるピーク高さを意味する。
本発明の一実施態様にかかる炭素被覆複合材料(C)において、シリコンの含有率は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。シリコンの含有率が20質量%以上であることにより、理論的には840mAh/g程度以上の、黒鉛の理論放電容量を大きく超える放電容量を得ることができる。
シリコンの含有率は70質量%以下であることが好ましく、65質量%以下より好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。前記炭素被覆複合材料(C)は、前記シリコンの含有率が70質量%以下であると、リチウムの挿入や脱離に伴うシリコンの体積変化を、担体となっている炭素材料、好ましくは多孔質炭素由来の炭素材料に吸収させることができる。
前記炭素被覆複合材料(C)におけるシリコンの含有率は、蛍光X線分析装置におけるファンダメンタル・パラメーター法(FP法)によって求めることができる。また炭素被覆複合材料(C)を燃焼して炭素分を除去し、燃え残り灰分を酸やアルカリに完全に溶解させたのち、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)等によって定量することもできる。
[2]複合材料(A)
本発明の一実施形態における炭素被覆複合材料(C)を構成する複合材料(A)は、炭素材料とシリコンを含んでいれば限定されない。炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン等の非晶質炭素材料や炭素繊維、気相法炭素繊維、マルチウォールカーボンナノチューブ、シングルウォールカーボンナノチューブ、ナノワイヤー、黒鉛材料を用いることができるが、電子伝導性が高く、サイクル特性に優れること、電極密度を高くできることから非晶質炭素材料、黒鉛材料が好ましく、非晶質炭素材料がより好ましい。
また、炭素材料は多孔質炭素材料であることが好ましい。多孔質炭素材料およびシリコンを含む複合材料の構造は限定しないが、多孔質炭素材料中の細孔内にシリコンを充填している複合材料が好ましい。
多孔質炭素は、細孔内のシリコンがリチウムの挿入・脱離に伴って膨張・収縮しても、細孔の構造を保とうとする応力が働いたり、シリコンが占有していない空間が存在して、その空間がつぶれたりすることにより、負極材全体として膨張・収縮の程度を小さくできればよく、特に限定されない。多孔質炭素材料の例としては、活性炭や、樹脂や有機物を熱分解することにより得られる炭素、モレキュラーシービングカーボン、活性炭素繊維、気相成長炭素繊維の凝集体やCNT(カーボンナノチューブ)の凝集体、無機テンプレートカーボンが挙げられる。多孔質炭素材料は公知の製造方法で生成でき、例えば、活性炭と同様の製造方法や、ポリマーに対して適切な熱処理を行うことによって生成することができる。
炭素材料にシリコンを含ませる方法は限定されない。例えば、化学気相成長(CVD)によって、シリコン含有ガス、好ましくはシランに、高温で多孔質炭素材料(例えば、多孔質の非晶質炭素材料)を曝露することによって、多孔質炭素材料の細孔内にケイ素を生成させてもよい。
ここで、多孔質であることはBET比表面積が200m2/g以上であることであり、好ましくは200m2/g以上10000m2/g以下である。
多孔質炭素の細孔分布を調べるには、例えばガス吸着法による吸脱着等温線を公知の方法で解析する。プローブガスは特に限定されないが、通常は窒素ガス、二酸化炭素、アルゴンが用いられる。
[3]炭素性被覆層(B)
炭素性被覆層(B)は、複合材料(A)の表面を覆う層である。炭素性被覆層(B)は複合材料(A)表面全体を覆っていてもよく、一部を覆っていてもよい。炭素性被覆層(B)は、有機化合物を熱処理により炭化させることで得られる。詳細については後述する。炭素性被覆層(B)の構造は特に限定されないが、複合材料表面の導電性を向上させることから非晶質炭素またはグラフェンを含むことが好ましい。グラフェンとは、炭素原子がハニカム状に面として連続している構造である。
炭素性被覆層(B)は、炭素材料の表面に沿って形成されたグラフェン構造を含むと、複合材料表面の導電性が高くなり、炭素性被覆層の化学的安定性及び機械的強度が高くなるため、より好ましい。炭素材料の表面に沿って形成されたグラフェン構造とは、炭素材料の表面に沿って、ハニカム状の面が形成されている構造である。炭素性被覆層(B)がグラフェン構造を含む場合、炭素性被覆層(B)は1層の単層グラフェン層を含むものでもよく、複数のグラフェン層が重なった多層グラフェン層を含むものでもよい。グラフェン層は表面に酸素性官能基の付加した酸化グラフェンを含んでもよい。炭素性被覆層(B)の構造は、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)等による解析によって確認することができる。
前記炭素性被覆層(B)の平均厚さは0.1nm以上であることが好ましい。0.1nmはグラフェンの単層の厚さに相当する。一定以上の導電性、化学的安定性、機械的強度を備える観点から炭素性被覆層(B)の平均厚さは1.0nm以上であることが好ましく、2.0nm以上がさらに好ましい。炭素性被覆層(B)の平均厚さは、好ましくは30.0nm以下である。炭素性被覆層(B)の平均厚さが30.0nm以下であると、過剰な炭素性被覆層(B)の形成が抑制され初回クーロン効率や初回放電容量維持率を良好にすることができる。同様の観点から20.0nm以下がより好ましく、10.0nm以下がさらに好ましく、5.0nm以下が最も好ましい。
炭素性被覆層(B)の平均厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定する。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
[4]炭素被覆複合材料(C)の製造方法
本発明の一実施態様における炭素被覆複合材料(C)の製造方法は、複合材料(A)と炭素性被覆層原料とを混合して混合物を得る混合工程と、混合工程で得られた混合物を500℃以上2000℃以下で熱処理する熱処理工程とを含む。
[4−1]混合工程
混合工程では複合材料(A)と炭素性被覆層原料とを混合して混合物を得る。このとき、さらにカーボンブラック等の炭素微粒子(B2)を混合してもよい。炭素微粒子(B2)は石炭微粉、気相法炭素粉、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のアモルファス炭素粒子が好ましい。この中でもカーボンブラックがより好ましい。炭素微粒子を混合させることで炭素微粒子を含む炭素性被覆層(B)が得られると、入出力特性が高くなる傾向にある。炭素微粒子(B2)を混合する場合、炭素微粒子(B2)の量は、複合材料(A)100質量部に対して、0.01〜10.00質量部であることが好ましく、0.10〜5.00質量部であることがさらに好ましい。炭素微粒子(B2)の量が前記範囲にあると、初回クーロン効率を維持したまま入出力特性を高くすることができる。
炭素微粒子(B2)を用いる場合の混合工程としては、複合材料(A)と炭素性被覆層原料(例えばカルボン酸化合物)を先に混合した後、その混合物と炭素微粒子(B2)とを混合してもよいし、複合材料(A)と炭素微粒子(B2)とを先に混合した後、その混合物と炭素性被覆層原料とを混合してもよいし、炭素性被覆層原料と炭素微粒子(B2)とを先に混合した後、その混合物と複合材料(A)とを混合してもよいし、複合材料(A)と炭素性被覆層原料と炭素微粒子(B2)とを同時に混合してもよい。
炭素性被覆層原料としては、複合材料(A)の表面に付着しコーティングする炭素を含む材料であれば限定されないが、例えば石油系ピッチ、石炭系ピッチ、樹脂、有機化合物などを用いることができる。この中でカルボン酸化合物が好ましく、一分子中にヒドロキシ基を有さずカルボキシ基を2つ以上有するポリカルボン酸化合物(単に「ポリカルボン酸化合物」ともいう)や、一分子中にカルボンキシ基及びヒドロキシ基をそれぞれ1つ以上有するヒドロキシカルボン酸化合物(単に「ヒドロキシカルボン酸化合物」ともいう)がより好ましい。これらの化合物を用いて炭素性被覆層(B)を形成すると、化学的安定性と機械的強度を備えたグラフェン層を形成でき、サイクル特性の高い電池を得ることができる。
ポリカルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸(融点185℃)、グルタル酸(融点95℃)、マレイン酸(融点131℃)、フタル酸(融点210℃)、テレフタル酸(融点300℃)、オキサロ酢酸(融点161℃)、マロン酸(融点135℃)が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、リンゴ酸(融点130℃)、クエン酸(融点153℃)、酒石酸(融点168℃(L体)、融点151℃(メソ体)、融点206℃(ラセミ体))、没食子酸(融点250℃)、サリチル酸(融点159℃)が挙げられる。このようなカルボン酸化合物を用いることにより、後述する熱処理工程において、分子間で脱水して、より密なネットワーク構造が形成され、より広範囲かつ薄く、強固に複合材料(A)の表面を覆うことができる。
中でも、一分子中にカルボキシ基を2つ以上、ヒドロキシル基を1つ以上含む化合物がより好ましく、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸(L体)が特に好ましい。
炭素性被覆層原料として用いるカルボン酸化合物は1種でもよいし、2種以上含んでいても良い。すなわち、炭素性被覆層原料として、ポリカルボン酸化合物を2種以上用いてもよいし、ヒドロキシカルボン酸化合物を2種以上用いてもよいし、ポリカルボン酸化合物とヒドロキシカルボン酸化合物を組み合わせて用いてもよい。上記カルボン酸化合物と、一分子中にカルボキシ基を1つ含む化合物を組み合わせることもできる。
すなわち、炭素性被覆層原料として用いるカルボン酸化合物には、例えば以下の三つの態様があり得る。一つ目の態様はカルボン酸化合物としてヒドロキシカルボン酸化合物のみを用いる態様、二つ目の態様はカルボン酸化合物としてポリカルボン酸化合物のみを用いる態様、三つ目の態様は、カルボン酸化合物としてヒドロキシカルボン酸化合物とポリカルボン酸化合物とを用いる態様である。
カルボン酸化合物の融点は500℃以下であることが好ましい。融点がこの範囲内であることにより、カルボン酸化合物の熱分解が少なく被覆効果が高くなる。同様の観点から融点は400℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。カルボン酸化合物の融点は95℃以上であることが好ましい。融点がこの範囲であることにより、カルボン酸化合物の取り扱いが容易であり混合処理後の収率も高い。同様の観点から融点は110℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。
混合工程で得られる混合物は複合材料(A)と炭素性被覆層原料(例えばカルボン酸化合物)と、任意に用いられる炭素微粒子(B2)以外の材料を含んでもよいが、混合物は複合材料(A)、炭素性被覆層原料及び任意に用いられる炭素微粒子(B2)のみからなるものが好ましい。さらに、混合物は、複合材料(A)とカルボン酸化合物のみからなるものであってもよい。カルボン酸化合物は粉末状態のものを用いることが好ましい。混合方法は乾式混合が好ましく、市販の混合機、撹拌機を用いることができる。具体的な例としてはリボンミキサー、V型混合機、W型混合機、ワンブレードミキサー、ナウターミキサー等の混合機を挙げることができる。
本発明で用いられるカルボン酸化合物は従来のコーティングに使用されるピッチや高分子と比べて粘性が低いため、カルボン酸化合物を複合材料(A)の間にほぼ均一に分散させることができる。その結果、後述する加熱処理によって得られる炭素性被覆層(B)が複合材料(A)の表面を均一に覆いやすくなる。また、混合物が炭素微粒子(B2)を含む場合、カルボン酸化合物の官能基が炭素微粒子(B2)上の官能基と相互作用するため、炭素微粒子(B2)をよく分散させることが可能になる。その結果、炭素微粒子(B2)の二次粒子径の最大値が従来の場合よりも小さくなるものと考えられる。この結果、炭素微粒子が炭素性被覆層(B)の表面に均一に分散しやすくなる。
複合材料(A)と炭素性被覆層原料(例えばカルボン酸化合物)の配合量は、複合材料(A)と炭素性被覆層原料の合計質量に対して複合材料(A)が80.0質量%以上99.9質量%以下、炭素性被覆層原料が0.1質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。炭素性被覆層原料の配合量を0.1質量%以上とする理由は、炭素性被覆層原料(例えばカルボン酸化合物)で複合材料(A)を十分に被覆するためである。この観点から、炭素性被覆層原料の量は、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。炭素性被覆層原料の配合量を20.0質量%以下とする理由は、過剰な炭素性被覆層(B)の形成を抑制し、それにより高温保存性や高温サイクル特性を良好に保つためである。この観点から、カルボン酸化合物の量は、15.0質量%以下であることがより好ましく、10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
[4−2]熱処理工程
前記混合物を熱処理する工程は炭素被覆複合材料(C)を得ることができれば特に限定されない。熱処理する工程(熱処理工程)は、ロータリーキルン、ローラーハースキルン、電気式管状炉等の熱処理装置を用いて行うことができる。熱処理工程により、複合材料(A)の表面が炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)が得られる。
炭素性被覆層原料の炭素化を十分に進行させ、水素や酸素の残留を抑制し、電池特性を向上させるため、熱処理工程における熱処理温度は500℃以上が好ましく、550℃以上がさらに好ましく、600℃以上であることが最も好ましい。また、黒鉛化を抑制し、充放電レート特性を良好に保つために、熱処理温度は1000℃以下が好ましく、800℃以下がさらに好ましく、700℃以下が最も好ましい。処理時間は炭素化が十分に進行していれば特に制限はないが、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、50分以上がさらに好ましい。処理時間の上限は、炭素化が十分に進行していれば特に制限はないが、600分以下が好ましく、400分以下がより好ましく、200分以下がさらに好ましい。
熱処理工程は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気のための不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガスなどが挙げられる。
熱処理によって得られた炭素被覆複合材料(C)に対して、適宜、解砕、篩分け処理を行ってもよい。
[5]負極活物質
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池の負極活物質は上記炭素被覆複合材料(C)を含む。
負極活物質は、前記炭素被覆複合材料(C)を含むが、さらに他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば他の炭素材料や導電助剤が挙げられる。他の炭素材料や導電助剤を含む場合、炭素被覆複合材料(C)100質量部に対して、炭素材料や導電助剤を0.01〜200質量部、好ましくは0.01〜100質量部配合したものを使用することができる。他の炭素材料や導電助剤を混合して用いることにより、炭素被覆複合材料(C)の優れた特性を維持した状態で、炭素材料や導電助剤が有する優れた特性も兼ね備えた負極活物質とすることが可能である。
このような負極活物質は、炭素被覆複合材料(C)と他の炭素材料や導電助剤を混合することにより得ることができる。混合に際しては、要求される電池特性に応じて適宜、混合材料を選択し、混合量を決定することができる。
導電助剤としては炭素繊維やカーボンブラック等の炭素微粒子を用いることができる。炭素繊維としては、例えば、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などの有機系カーボンファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。これらのうち、結晶性が高く、熱伝導性の高い、気相法炭素繊維が好ましい。
炭素被覆複合材料(C)と他の材料を混合するための装置としては、市販の混合機、攪拌機を用いることができる。具体的な例としてはリボンミキサー、V型混合機、W型混合機、ワンブレードミキサー、ナウターミキサー等の混合機を挙げることができる。剪断力と衝撃、圧縮などの機械的なエネルギーが同時に係る装置による混合が好ましい。例えば、高速旋回流により粉体に剪断力・衝撃が加わる高速攪拌機や、混合羽根と容器内壁間の間隔が狭く粉体が容器内壁に押し付けられるような構造を持つ乾式混合機などが好ましい。このような混合機としては、メカノフュージョン(登録商標、ホソカワミクロン(株)製)、ノビルタ(登録商標、ホソカワミクロン(株)製)、コンポジ(登録商標、日本コークス工業(株)製)、マルチパーパスミキサー(日本コークス工業(株)製)、ハイブリダイゼーションシステム(登録商標、(株)奈良機械製作所製)等を挙げることができる。
[6]電極用ペースト
本発明の一実施態様における電極用ペーストは、上記負極活物質とバインダーと溶媒を含んでなる。電極用ペーストは、負極活物質とバインダーとを混練することによって得られる。混練には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等の装置が使用できる。電極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
電極用ペーストに用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系材料等が挙げられる。
バインダーの使用量は、負極活物質100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
混練する際に用いる溶媒としては、各々のバインダーに適したものが用いられる。例えば、バインダーがフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等;バインダーがSBRの場合は水等;その他のバインダーにジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が使用され得る。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を併用することが好ましい。溶媒、及び増粘剤の量は、電極用ペーストが集電体に塗布しやすい粘度となるように調整される。
[7]負極
本発明の一実施態様における負極は、前記負極活物質と集電体とを含む負極である。前記負極は通常は、集電体とその集電体上の負極活物質とを含む。前記負極は、上記電極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形することによって得ることができる。前記負極は、リチウムイオン二次電池用負極として好適に用いることができる。なお、電極用ペーストから形成される活物質を含む層を一般に活物質層ともいう。
集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュなどが挙げられる。電極用ペーストの塗布厚は、50〜200μmとすることが好ましい。電極用ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1×103〜3×103kg/cm2とすることが好ましい。
[8]リチウムイオン二次電池
本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池は、前記負極を用いたリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は一般に、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造を有する。本発明の一実施態様におけるリチウムイオン二次電池は、負極として前記負極を用いていればよく、それ以外の部材については、特に制限はない。
リチウムイオン二次電池の正極には、正極活物質として、通常、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられ、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属元素に対するモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられ、より好ましくはV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムの遷移金属に対するモル比が0.3〜2.2の化合物が用いられる。なお、主として存在する遷移金属に対し30モル%未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。上記の正極活物質の中で、一般式LixMO2(MはCo、Ni、Fe、Mnの少なくとも1種、x=0.02〜1.2)、またはLiy24(Zは少なくともMnを含み、Co、Ni、Fe、Mnをさらに含んでいてもよい。y=0.02〜2)で表わされるスピネル構造を有する材料の少なくとも1種を用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレータを設けることがある。セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
本発明の好ましい実施態様におけるリチウムイオン二次電池を構成する電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できるが、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。
なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
以下、本発明に実施例を具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明を限定するものではない。
実施例及び比較例の複合炭素材料の評価方法、電池の作製方法、電池の特性の測定方法、及び各例で用いた原料は以下の通りである。
[1]炭素被覆複合材料の評価
[1−1]50%粒子径(DV50
レーザー回折式粒度分布測定装置としてマルバーン製マスターサイザー2000(Mastersizer;登録商標)を用いた。実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料5mgを容器に入れ、界面活性剤が0.04質量%含まれた水を10g加えて5分間超音波処理を行った後に測定を行い、体積基準の累積粒度分布における50%粒子径(DV50)を得た。
[1−2]タッピング密度(タップ密度)
タップ密度測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製Autotapを用い。実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料50gを250mLのガラスシリンダーに入れ、400回タップ後の密度を測定した。これはASTM B527及びJIS K5101−12−2に準拠した測定方法であるが、オートタップの落下高さは5mmとした。
[1−3]BET比表面積
BET比表面積測定装置としてカンタクローム(Quantachrome)社製NOVA2200eを用いた。実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料3gをサンプルセル(9mm×135mm)に入れ、300℃、真空条件下で1時間乾燥した。その後、相対圧0.1、0.2、および0.3のBET3点法により測定を行った。BET比表面積測定用のガスはN2を用いた。
[1−4]Si111面のピークの半値幅、(SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)
実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料をガラス製試料板(試料板窓18×20mm、深さ0.2mm)に充填し、下記条件で粉末XRD測定を行った。
XRD装置:株式会社リガク製 SmartLab(登録商標)
X線種:Cu−Kα線
Kβ線除去方法:Niフィルター
X線出力:45kV、200mA
測定範囲:10.0〜80.0deg.
スキャンスピード:10.0deg./min
得られたXRDパターンに対し、解析ソフト(PDXL2、株式会社リガク製)を用い、バックグラウンド除去、スムージングを行った後に、ピークフィットを行い、ピーク位置と強度を求めた。得られたXRDスペクトルから、Si111面のピークの半値幅、(SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)を求めた。
[1−5]R値とR値の変動係数
顕微レーザーラマン分光装置として日本分光株式会社NRS−5100を用い、励起波長532.36nmで測定を行った。測定条件は、以下のとおりである。
露光時間:5秒
積算回数:2回
回折格子:300本/mm(600nm)
ラマンスペクトルにおける1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比をR値(ID/IG)とする。なお、ベースラインからピークトップまでの高さをピーク強度とした。
実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料に対して、以下の領域で顕微レーザーラマン分光イメージングを行った。
測定ポイント:22×28箇所
測定ステップ:0.32μm
測定エリア:7.0×9.0μm
上記測定のうち炭素被覆複合材料に相当する領域からランダムに100点を抽出し、得られたR値の標準偏差をR値の平均値で割った値を変動係数とした。
また、R値の平均値を炭素被覆複合材料のR値とした。
[1−6]ISi/IGとISi/IGの変動係数
顕微レーザーラマン分光装置として日本分光株式会社NRS−5100を用い、励起波長532.36nmで測定を行った。測定条件は、以下のとおりである。
露光時間:5秒
積算回数:2回
回折格子:300本/mm(600nm)
ラマンスペクトルにおける450〜495cm-1のピーク強度(ISi)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比を(ISi/IG)とする。なお、ベースラインからピークトップまでの高さをピーク強度とした。
実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料に対して、以下の領域で顕微レーザーラマン分光イメージングを行った。
測定ポイント:22×28箇所
測定ステップ:0.32μm
測定エリア:7.0×9.0μm
上記測定のうち炭素被覆複合材料に相当する領域からランダムに100点を抽出し、得られたISi/IGの標準偏差をISi/IGの平均値で割った値を変動係数とした。
また、ISi/IGの平均値を炭素被覆複合材料のISi/IGとした。
[1−7]シリコン含有率測定
以下の条件で、実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料に対して測定を行った。
蛍光X線装置 :Rigaku製 NEX CG
管電圧 :50kV
管電流 :1.00mA
サンプルカップ :Φ32 12mL CH1530
サンプル重量 :3g
サンプル高さ : 11mm
サンプルカップに実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料を導入し、FP法にてシリコン含有率を測定した。
シリコン含有率を100倍したものをSi濃度(質量%)とした。
[1−8]透過型電子顕微鏡(TEM)観察による炭素性被覆層(B)の状態と平均厚さ
実施例または比較例の各々で得られた炭素被覆複合材料をエタノールに分散させ、マイクログリッドメッシュに回収し、以下のような条件で測定を行った。
透過型電子顕微鏡装置:日立製H−9500
加速電圧:300kV
観察倍率:30,000倍
ランダムに1つの炭素被覆複合材料を選択し、その表面の被覆層を上記倍率にて5視野観察し、1視野当り2箇所の被覆層の厚さを測定した。各箇所の被覆層の厚さは、被膜層長さ10nmの平均値とした。この測定を、ランダムに選択した3つの炭素被覆複合材料に対して行い、合計30点のデータを得て、その平均を炭素性被覆層(B)の平均厚さとした。また、FFT(Fast Fourier Transform)パターンを評価することでグラフェン層、非晶質炭素層等の層構造を決定した。
[2]リチウムイオン電池の作製
[負極シートの作製]
バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた。具体的には、固形分比40%のSBRを分散した水溶液、及び固形分CMC粉末を溶解した水溶液を得た。
混合導電助剤として、カーボンブラック(SUPER C45(登録商標)、イメリス・グラファイト&カーボン社製)および気相成長法炭素繊維(VGCF(登録商標)−H、昭和電工株式会社製)を3:2の質量比で混合したものを調製した。
後述の実施例及び比較例で製造した負極活物質90質量部、混合導電助剤5質量部、CMC固形分2.5質量部となるようにCMC水溶液、SBR固形分2.5質量部となるようにSBR水溶液を混合し、これに粘度調整のための水を適量加え、自転・公転ミキサー(シンキー社製)にて混練し負極合剤層形成用スラリーを得た。
前記の負極合剤形成用スラリーを、厚み20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて厚さ150μmとなるよう均一に塗布し、ホットプレートにて乾燥後、真空乾燥させて負極シートを得た。乾燥した電極は300MPaの圧力で一軸プレス機によりプレスして電池評価用負極シートを得た。
[電解液の作製]
対極リチウムセルにおける電解液は、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートが体積比で3:5:2の割合で混合した溶媒にビニレンカーボネート(VC)を1質量%、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を10質量%混合し、さらにこれに電解質LiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解させて得られた液である。
[電極密度の測定]
プレス後の負極シート(集電体+負極合剤層)を直径16mmの円形状に打ち抜き、その質量と厚さを測定した。これらの値から、別途測定しておいた集電体(直径16mmの円形状)の質量と厚さを差し引いて負極合剤層の質量と厚さを求め、負極合剤層の質量と厚さ、および直径(16mm)から、目付、電極密度(負極合剤層密度)を算出した。正極の場合も同様の方法で電極密度を求めた。
[対極リチウムセル]
ポリプロピレン製のねじ込み式フタつきのセル(内径約18mm)内において、上記負極と16mmφに打ち抜いた金属リチウム箔をセパレータ(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層し、電解液を加えて試験用セル(対極リチウムセル)とした。
[正極シートの作製]
LiCoO2を90gと、導電助剤としてカーボンブラック(SUPER C 45(登録商標)、イメリス・グラファイト&カーボン社製)を5g、および結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を5g秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適宜加えながら攪拌・混合し、正極塗工用のスラリーを得た。
前記スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔上にロールコーターを用いて塗工し、これ乾燥させて正極用シートを得た。得られた正極用シートはロールプレスにより密度を3.6g/cm3とし、正極シートを得た。
[正負極容量比の微調整]
正極と負極を対向させてリチウムイオン二次電池を作製する際、両者の容量のバランスを考慮する必要がある。すなわち、負極の容量が小さすぎれば、電池充電時にリチウムが限界まで挿入しきった後には、金属のリチウムが負極上に析出してサイクル特性劣化の原因となる。逆に、負極の容量が大きすぎると、サイクル特性は向上するものの、その電池は負荷の小さい状態で充放電することになるので、エネルギー密度が低いものとなってしまう。
これを防ぐため、正極シートには容量が一定のものを用い、負極シートについては、対極がリチウムのコインセルを用いて、あらかじめ負極材の比容量を測定しておき、正極シートの容量QCに対する負極シートの容量QAの比が1.2となるように、負極塗工用スラリーの塗工時の厚みを微調整した。
[二電極セルの作製]
上記負極シートおよび正極シートを打ち抜いて、面積20cm2の負極片および正極片を得た。正極片のアルミニウム箔にアルミニウム製のタブを、負極片の銅箔にニッケル製のタブをそれぞれ取り付けた。ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(ハイポア(登録商標)NB630B、旭化成株式会社製)を負極片と正極片の間に挟み入れ、これを袋状のアルミラミネート包材の中に入れ、これに電解液を注入した。その後、開口部を熱融着によって封止して、評価用の二電極式セルとした。
[3]電池の評価
[初回放電容量、初回クーロン効率の測定試験]
対極リチウムセルを用いて試験を行った。レストポテンシャルから0.005Vまで電流値0.1CでCC(コンスタントカレント:定電流)放電を行った。次に0.005VでCV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電に切り替え、カットオフ電流値0.005Cで放電を行った。上限電圧1.5VとしてCCモードで電流値0.1Cで充電を行った。
試験は25℃に設定した恒温槽内で行った。ここで、初回放電時の容量を初回放電容量とした。また初回充放電時の電気量の比率、すなわち放電電気量/充電電気量を百分率で表した値を初回クーロン効率とした。
[サイクル特性(50サイクル後放電容量維持率)の測定]
二電極式セルを用いて測定を行った。0.2Cの電流で5回の充放電を繰り返すエージングを行った後、次の方法で充放電サイクル特性の測定を行った。充電は、上限電圧を4.2Vとして1Cの電流でCCモードおよびカットオフ電流を0.05CとしたCVモードで行った。放電は、下限電圧を2.8Vとして1Cの電流でのCCモードで行った。この充放電操作を1サイクルとして50サイクル繰り返し、次式で定義される50サイクル後放電容量維持率を計算した。
50サイクル後放電容量維持率(%)=
(50サイクル時放電容量/初回放電容量)×100
[4]原料
以下に、炭素被覆複合材料(C)の原料について、調製方法および入手先、物性値を示す。
[シリコン含有複合粒子(A−1)]
BET比表面積が900m2/gの市販活性炭に対して、窒素ガスと混合された1.3体積%のシランガス流を有する管炉で設定温度500℃、圧力760torr、流量100sccm、6時間処理して得られたシリコン含有複合粒子(A−1)を用いた。この複合粒子はDV50が10.0μm、BET比表面積が16.9m2/g、ラマンR値1.15、ケイ素含有量は45wt%であった。
[炭素性被覆層原料]
炭素性被覆層(B)の原料を表1及び表2に示す。
実施例1−22、比較例1−12:
各実施例及び各比較例において、表1及び表2に示す原料及び割合でV型混合機に投入し、常温で10分間乾式混合を行った。その混合物を窒素ガス雰囲気下で表1及び2に示す温度にて電気式管状炉にて1時間熱処理を行い、炭素被覆複合材料を得た。なお、表1及び2において、熱処理工程の欄に「なし」とあるのは、該当する熱処理工程を行っていないことを意味する。
得られた炭素被覆複合材料に対し、顕微レーザーラマン分光イメージングを行い、各種物性を測定した。また、得られた炭素被覆複合材料を用いて電池を作製し評価した。その結果を表1、2に示す。顕微レーザーラマン分光イメージングで得られたラマンスペクトルの例を図1に示す。図1は、実施例5で得られた炭素被覆複合材料(C)のラマンスペクトルである。
Figure 2021187708
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Figure 2021187708
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表から実施例の炭素被覆複合材料(C)は、炭素材料およびシリコンを含む複合材料(A)の表面が、炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)であって、顕微ラマン分光分析法によるラマンスペクトルから得られるR値(1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.60以下であり、450〜495cm-1のピーク強度(ISi)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ISi/IG)の変動係数が1.0以下である炭素被覆複合材料(C)であり、電池特性がすべて優れていることが分かる。
一方、炭素性被覆層材料を用いなかった比較例1や比較例2はサイクル特性が劣っている。これは芯材のR値の変動係数が大きいことから芯材の構造に欠陥が多く不均一性が高いことを示す。比較例3,4,5は炭素性被覆層材料が少なすぎたために炭素性被覆層が形成されず、サイクル特性が劣っている。比較例6,7,8,9,10,11は炭素性被覆層材料としてポリカルボン酸化合物やヒドロキシカルボン酸化合物を用いていないのでサイクル特性の高い炭素被覆複合材料を得ることができなかった。比較例12はISi/IG値の変動係数が大きくなっていることから、熱処理温度が高かったためシリコンの結晶構造が部分的に変化したことでサイクル特性が低下したと考えられる。


Claims (13)

  1. 炭素材料およびシリコンを含む複合材料(A)の表面が、炭素性被覆層(B)によって被覆された炭素被覆複合材料(C)であって、
    顕微ラマン分光分析法による前記炭素被覆複合材料(C)のラマンスペクトルにおいて、
    R値(1350cm-1付近のピーク強度(ID)と1580cm-1付近のピーク強度(IG)の比(ID/IG))の変動係数が0.60以下であり、
    450〜495cm-1のピーク強度(ISi)と前記IGの比(ISi/IG)の変動係数が1.0以下である炭素被覆複合材料(C)。
  2. 前記R値が0.60以上1.50以下である請求項1に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  3. 前記ISi/IGが0.30以下である請求項1または請求項2に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  4. 前記炭素被覆複合材料(C)が粒子状であり、
    BET比表面積が0.50m2/g以上40.0m2/g以下であり、
    レーザー回折法による体積基準の累積粒度分布における50%粒子径(DV50)が2μm以上30μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  5. 前記炭素性被膜層(B)の平均厚さが0.1nm以上30.0nm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  6. 前記炭素性被膜層(B)が単層または多層グラフェン層を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  7. (炭素被覆複合材料(C)のBET比表面積)/(複合材料(A)のBET比表面積)が0.10以上1.00以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  8. (炭素被覆複合材料(C)のR値)/(複合材料(A)のR値)が0.50以上2.00以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  9. Cu−Kα線を用いた粉末XRD測定によるXRDパターンにおいて、
    Si111面のピークの半値幅が3.00deg.以上、
    (SiC111面のピーク強度)/(Si111面のピーク強度)が0.01以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  10. 炭素被覆複合材料(C)におけるシリコンの含有率が20〜70質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の炭素被覆複合材料(C)を含む負極活物質。
  12. 請求項11に記載の負極活物質を含む負極。
  13. 請求項12に記載の負極を含む、リチウムイオン二次電池。
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