以下、図面を参照して、実施形態における電動弁について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態における電動弁Aについて説明する。図1は、第1の実施形態における電動弁Aの概要を示す概略断面図である。なお、図1において、図面の複雑化を避けるため、電動弁Aの一部の記載は省略されている。
電動弁Aは、弁体10と、ドライバ30と、回転シャフト50と、回転シャフト50に動力を伝達する動力源60と、永久磁石72を含む永久磁石部材70と、永久磁石72の回転角度を検出する角度センサ80とを備える。
弁体10は、弁座20と接触することにより流路を閉鎖し、弁座20から離間することにより流路を開放する。
ドライバ30は、弁体10を第1軸Zに沿って移動させる部材である。図1に記載の例では、ドライバ30の外周面には雄ねじ31が設けられている。雄ねじ31は、ドライバを案内する案内部材40に設けられた雌ねじ41に螺合している。ドライバ30が、案内部材40に対して回転することにより、ドライバ30は、第1軸Zに沿って移動する。ドライバ30と弁体10とは、機械的に接続されている。このため、ドライバ30が第1軸Zに沿って移動すると、弁体10も第1軸Zに沿って移動する。なお、ドライバ30と弁体10とは、一体に形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。
回転シャフト50は、ドライバ30を第1軸Zまわりに回転させる部材である。回転シャフト50は、動力源60から動力を受け取り、第1軸Zまわりを回転する。回転シャフト50とドライバ30とは、機械的に接続されている。このため、回転シャフト50が第1軸Zまわりに回転すると、ドライバ30も第1軸Zまわりに回転する。なお、回転シャフト50と、ドライバ30とは、一体に形成されてもよいし、別体として形成されてもよい。
図1に記載の例では、弁体10と、ドライバ30と、回転シャフト50とが、一直線上(第1軸Z上)に配置されている。このため、回転シャフト50の回転運動を弁体10の軸方向運動に変換する運動変換機構が単純化される。なお、実施形態は、弁体10と、ドライバ30と、回転シャフト50とが、一直線上に配置されることに限定されない。
永久磁石部材70は、回転シャフト50とともに、第1軸Zまわりを回転する。永久磁石部材70は永久磁石72を含み、永久磁石72は、第1軸Zに垂直な断面において、N極とS極とを含む。永久磁石部材70は回転シャフト50に固着されていてもよい。代替的に、後述の第3の実施形態に示されるように、永久磁石部材70は、回転シャフト50に対して相対回転不能かつ、回転シャフト50に対して第1軸Z方向に相対移動自在であってもよい。
角度センサ80は、永久磁石部材70に含まれる永久磁石72の回転角度を検出する。角度センサ80は、永久磁石72の上方に配置される。角度センサ80は、永久磁石72の回転角度を検出するセンサであるため、永久磁石72を含む回転体からは、離間配置されている。角度センサ80は、磁束密度等を検出する磁気検出素子82を含む。永久磁石72が、第1軸Zのまわりを回転すると、磁気検出素子82を通過する磁束が変化する。こうして、磁気検出素子82(角度センサ80)は、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度を検出する。
永久磁石72が、第1軸Zのまわりを回転すると、永久磁石の上方に配置された磁気検出素子82を通過する磁束の角度は連続的に変化する。よって、磁気検出素子82(角度センサ80)は、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度を連続的に検出することができる。なお、図1に記載の例において、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度の変化は、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置変化に比例する。よって、角度センサ80が、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度を検出することによって、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置、すなわち、弁の開度を算出することができる。電動弁Aは、角度センサ80が出力する角度データを、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置データ、すなわち、弁の開度データに変換する演算装置を備えていてもよい。演算装置は、制御基板90上に配置されていてもよい。
本明細書において、回転シャフト50の弁体10側の端部を第2端部と呼び、回転シャフト50の弁体とは反対側の端部を第1端部と呼ぶ。また、本明細書において、「上方」は、第2端部から第1端部に向かう方向と定義される。よって、実際には、第2端部が第1端部よりも下方にある場合であっても、本明細書においては、第2端部から第1端部に向かう方向が、「上方」である。なお、本明細書では、上方と反対の方向、すなわち、第1端部から第2端部に向かう方向が「下方」である。また、角度センサ80は、回転シャフト50の回転軸と中心を一致させた配置に限られず、その測定感度に応じて取付位置を変えてもよい。
(任意付加的な構成例1)
第1の実施形態において採用可能な任意付加的な構成例について説明する。構成例1では、弁体10と、回転シャフト50と、永久磁石72と、角度センサ80とが一直線上に配置されている。弁体10と、回転シャフト50と、永久磁石72と、角度センサ80とが一直線上に配置されることにより、弁体の駆動機構と、永久磁石の回転角度検出機構(換言すれば、弁体の位置検出機構)とを含む電動弁Aの全体をコンパクトにすることが可能である。
(任意付加的な構成例2)
構成例2では、角度センサ80は、回転シャフト50の回転動作を制御する制御基板90に支持されている。このため、角度センサ80を支持する支持部材を別途用意する必要がない。このため、電動弁Aの構造が単純化され、電動弁Aの小型化が可能となる。なお、制御基板90は、動力源60に制御信号を送信し、動力源の動作を制御する。
(任意付加的な構成例3)
構成例3では、電動弁Aは、永久磁石72を収容するケース(例えば、金属製のキャン100)を備える。そして、ケースの端壁102は、角度センサ80と、永久磁石部材70との間に配置されている。換言すれば、角度センサ80と永久磁石部材70とは、ケースの端壁102を介して対向配置される。なお、ケースは、第1軸Zまわりを回転する回転体ではない。よって、電動弁Aが作動する時には、永久磁石72は、静止状態にあるケースに対して相対回転する。永久磁石72等の回転体がケース内で回転するとき、回転体の振動がケースに伝わる可能性がある。図1に記載の例では、角度センサ80が、ケースに離間配置されているため、回転体の振動が角度センサ80に伝達されることが抑制される。よって、角度センサ80による永久磁石の角度検出精度が向上する。
図1に記載の例では、ケースの端壁102は、永久磁石部材70の上面を覆っている。また、図1に記載の例では、端壁102は、上側に凸であるドーム形状を有する。そして、ケースの端壁102からは、円筒状の側壁104が下方に向かって延びている。
なお、第1の実施形態において、構成例1乃至構成例3を組み合わせて採用することも可能である。例えば、第1の実施形態において、構成例1および構成例2、構成例2および構成例3、あるいは、構成例1乃至3が採用されてもよい。また、構成例1〜3は、後述の実施形態(第2の実施形態、第3の実施形態)において採用されてもよい。
(第2の実施形態)
図2乃至図4を参照して、第2の実施形態における電動弁Bについて説明する。図2は、第2の実施形態における電動弁Bの概略断面図である。図3は、第2の実施形態における電動弁Bの一部の概略拡大断面図である。また、図4は、図3の一部分を更に拡大した図である。
電動弁Bは、弁体10と、弁座20と、ドライバ30と、回転シャフト50と、回転シャフト50に動力を伝達する動力源60と、永久磁石72を含む永久磁石部材70と、永久磁石72の回転角度を検出する角度センサ80とを備える。
電動弁Bは、第1流路112と、第2流路114とを備える。弁体10と弁座20とが離間しているとき、換言すれば、弁体10が上方位置にあるとき、流体が、第1流路112を介して弁室113内に流入し、弁室113内の流体が、第2流路114を介して排出される。他方、弁体10と弁座20とが接触しているとき、換言すれば、弁体10が下方位置にあるとき、第1流路112と第2流路114とは互いに非連通状態となる。
なお、図2に記載の例では、第1流路112と、弁座20と、第2流路114とが、下側ベース部材2に設けられている。
図2に記載の例において、電動弁Bは、動力源60と動力伝達機構120とを備える。動力源60は、コイル620を含むステータ部材62と、ロータ部材64とを備える。コイル620には、電源に接続された電線630からパルス信号が入力される。そして、コイル620にパルス信号が入力されると、ロータ部材64は、パルス信号のパルス数に対応する回転角度だけ回転する。すなわち、図2に記載の例では、ステータ部材62と、ロータ部材64とにより、ステッピングモータが構成されている。
動力伝達機構120は、ロータ部材64と回転シャフト50との間を動力伝達可能に接続する部材である。動力伝達機構120は、複数の歯車を含む。動力伝達機構120は、遊星歯車機構を備えていてもよい。遊星歯車機構の詳細は、後述される。
図2に記載の例では、電動弁Bは、ハウジング部材4を備える。ハウジング部材4内には、収容空間SP(例えば、液密な閉空間)が形成され、収容空間SP内には、上述のステータ部材62、キャン100、制御基板90等が収容される。
図2に記載の例では、制御基板90が、ハウジング部材4によって支持されている。より具体的には、ハウジング部材4は、側壁を構成する筒状部材4aと、カバー部材4bとを備え、制御基板90は、カバー部材4bによって支持されている。
制御基板90(より具体的には制御基板上の回路)は、コイル620に供給されるパルス数を制御する。コイル620に、所定のパルス数が供給されると、ロータ部材64は、パルス数に対応する回転角度だけ回転する。ロータ部材64と、回転シャフト50とは、動力伝達機構120を介して動力伝達可能に接続されている。このため、ロータ部材64が回転すると、回転シャフト50は、ロータ部材64の回転角度に比例する回転角度だけ回転する。
回転シャフト50は、ドライバ30を回転させる。図2に記載の例では、回転シャフト50の第2端部52(すなわち、シャフト側係合部材)と、ドライバ30の上端部34(すなわち、ドライバ側係合部材)とが、互いに相対回転不能に、機械的に接続されている。また、回転シャフト50の第2端部52と、ドライバ30の上端部34とは、第1軸Zに沿って、互いに相対移動可能である。このため、回転シャフト50は、回転シャフト50自身の上下位置を変化させることなく、ドライバ30を上下動させることが可能である。
回転シャフト50の第1端部54には、上述の永久磁石部材70が配置されている。図2に記載の例では、回転シャフト50の回転動作によって、回転シャフト50の上下方向の位置が変化しない。このため、永久磁石部材70も、回転シャフト50の回転動作によって、上下方向位置が変化しない。よって、電動弁Bの動作中に、永久磁石部材70と、角度センサ80との間の距離が、一定に維持される。
すなわち、第2の実施形態では、回転シャフト50とドライバ30とが別体であり、かつ、回転シャフト50とドライバ30とが、第1軸Zに沿って、互いに相対移動可能であるため、回転シャフト50に配置された永久磁石部材70と角度センサ80との間の距離を一定に維持することが可能である。その結果、角度センサ80による永久磁石72の回転角度の検出の精度が向上する。ドライバ30の上下動に伴い、回転シャフト50および永久磁石72が上下動する場合、角度センサ80による永久磁石72の回転角度の検出精度が低下するおそれがある。これに対し、第2の実施形態では、ドライバ30が上下動しても、回転シャフト50および永久磁石72が上下動しないようにしている点で画期的である。
図2に記載の例では、回転シャフト50自体が、永久磁石72と角度センサ80との間の距離を一定に維持する永久磁石位置決め部材として機能しているということもできる。
第2の実施形態において、回転シャフト50と永久磁石部材70との間の連結は、回転シャフト50と永久磁石部材70とが相対移動不能となるように、直接的または間接的に連結されていれば、どのような連結であっても構わない。しかし、相対移動の防止をより確実にする観点からは、回転シャフト50と永久磁石部材70とが直接的に固着されていることが好ましい。
図2に記載の例では、キャン100の内部に、キャンの内部を上部空間と下部空間とに仕切る仕切り部材130が配置されている。そして、仕切り部材130によって形成された上部空間、すなわち、仕切り部材130とキャン100の端壁102(上壁)との間の空間に、永久磁石部材70が配置されている。このため、永久磁石部材70に欠け等が生じた場合であっても、磁粉等が、下部空間内に入り込むおそれがない。なお、仕切り部材130は、キャン100に対して、回転シャフト50を回転自在に支持する軸受部材であってもよい。仕切り部材130が軸受部材である場合には、仕切り部材130は、永久磁石部材70が配置される上部空間と、ロータ部材64等が配置される下部空間との間を仕切る仕切りとしての機能と、軸受としての機能の両方の機能を備えることとなる。なお、仕切り部材130の形状は、例えば、円板形状である。
仕切り部材130の材質について説明する。本実施形態の仕切り部材130は、例えば、樹脂製(例えばPPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂)である。代替的に、仕切り部材130を、軟磁性材料で形成してもよい。軟磁性材料としては、鉄、ケイ素鋼、又は磁性を有する樹脂等が例示される。キャンの内部を上部空間と下部空間とに仕切る部材を軟磁性材料で構成することで永久磁石部材70の磁気と、他の磁気(例えば、ロータ部材64の磁気)との干渉を防ぐことができる。具体的には、永久磁石部材70は周方向に2極に着磁されており、ロータ部材64は周方向に4極以上(例えば8極)の磁極が交互に入れ替わるように着磁されている。そのため、永久磁石部材70の磁気とロータ部材64の磁気の干渉を防ぐことで、角度センサ80で測定される角度のずれやロータ部材64の回転の僅かなトルク変動を防止できる。もちろん、後述する第3の実施形態の仕切り部材130を軟磁性材料で形成してもよい。
(動力伝達機構)
図3を参照して、動力源60から、弁体10に動力を伝達する機構の一例について、詳細に説明する。図3は、第2の実施形態における電動弁Bの一部の概略拡大断面図である。
図3に記載の例では、動力源60の一部を構成するステータ部材62は、キャン100の側壁104に固着されている。ステータ部材62は、ボビン622と、ボビンに巻き付けられたコイル620とを備える。
図3に記載の例では、動力源60の一部を構成するロータ部材64は、キャン100の側壁104の内側に、キャン100に対して回転自在に配置されている。ロータ部材64は、磁性材料によって形成される。ロータ部材64は、動力伝達機構120、例えば、太陽ギヤ部材121に連結される(固着される)。
太陽ギヤ部材121は、ロータ部材64に連結される連結部1211と、太陽ギヤ1212とを備える。連結部1211は、径方向(第1軸Zと垂直な方向)に沿って延びており、太陽ギヤ1212は、第1軸Zに沿って延びている。太陽ギヤ1212の軸孔には、回転シャフト50が、太陽ギヤの内壁に対して相対回転自在に配置されている。
太陽ギヤ1212の外歯は、複数の遊星ギヤ122と噛み合う。各遊星ギヤ122は、キャリア123によって支持されたシャフト124に回転自在に支持されている。各遊星ギヤ122の外歯は、環状のリングギヤ125(内歯固定ギヤ)と噛み合う。
リングギヤ125は、キャン100に対して相対回転不能な部材である。図3に記載の例では、リングギヤ125は、円筒状の支持部材126を介して後述のホルダ150に支持されている。
また、遊星ギヤ122は、環状の第2リングギヤ127(内歯可動ギヤ)とも噛み合っている。図3に記載の例では、第2リングギヤ127が回転シャフト50に固着される出力ギヤとして機能している。代替的に、第2リングギヤ127とは異なる出力ギヤを回転シャフト50に固着し、第2リングギヤ127からの動力を、出力ギヤを介して、回転シャフト50に伝達してもよい。なお、出力ギヤに対する回転シャフト50の固着は、出力ギヤに対して回転シャフト50を圧入することにより行われてもよい。
上述の歯車構成(太陽ギヤ、遊星ギヤ、内歯固定ギヤ、および、内歯可動ギヤ)は、いわゆる不思議遊星歯車機構を構成している。不思議遊星歯車機構を用いた減速装置においては、第2リングギヤ127の歯数を、リングギヤ125の歯数とわずかに異なる歯数とすることにより、太陽ギヤ1212の回転数を大きな減速比で減速して、第2リングギヤ127に伝達することができる。
なお、図3に記載の例では、動力伝達機構120として、不思議遊星歯車機構が採用されている。しかし、実施形態では、ロータ部材64と回転シャフト50との間の動力伝達機構として、任意の動力伝達機構を採用することが可能である。動力伝達機構120として、不思議遊星歯車機構以外の遊星歯車機構が採用されてもよい。
図3に示されるように、回転シャフト50は、第1端部54と第2端部52とを備える。図3に記載の例では、回転シャフト50は、第1端部54を含む回転シャフト本体と、第2端部52を含むシャフト側係合部材とを備える。そして、回転シャフト本体とシャフト側係合部材とは、例えば溶接等によって固着されている。シャフト側係合部材は、ドライバ30の上端部34によって構成されたドライバ側係合部材に対して、相対回転不能、かつ、第1軸Z方向に沿って相対移動自在に係合している。
ドライバ30の外周面には雄ねじ31が設けられている。雄ねじ31は、ドライバを案内する案内部材40に設けられた雌ねじ41に螺合している。このため、回転シャフト50およびドライバ30が第1軸Zまわりに回転すると、ドライバ30は、案内部材40によって案内されつつ上下動する。これに対して、回転シャフト50は、太陽ギヤ1212あるいは案内部材40等のシャフト受け部材によって回転自在に支持され、かつ、第1軸Z方向には移動不能である。
なお、図3に記載の例において、ドライバ30を案内する案内部材40は、後述のホルダ150によって支持されている。
ドライバ30の下端部32は、弁体10の上端部12と、ボール160等を介して回転可能に接続されている。図3に記載の例では、ドライバ30が第1軸Zまわりに回転しながら下方に移動すると、弁体10は、第1軸Zまわりに回転することなく下方に移動する。また、ドライバ30が第1軸Zまわりに回転しながら上方に移動すると、弁体10は、第1軸Zまわりに回転することなく上方に移動する。
弁体10の下方への移動は、弁体10がドライバ30に押されることにより行われる。また、弁体10の上方への移動は、ドライバ30が上方に移動している状態で、弁体10が、コイルばね等のばね部材170によって上方に押されることにより行われる。すなわち、図3に記載の例では、ばね受け部材172と弁体10との間に配置されたばね部材170によって、弁体10が、常時、上方に付勢されている。代替的に、あるいは、付加的に、弁体10と、ドライバ30とが、第1軸Zに沿う方向に相対移動不能となるように、ボールジョイント等の回転継手によって連結されていてもよい。この場合、ばね部材170が省略されてもよい。
以上の構成により、動力源60からの動力を用いて、弁体10を駆動させることが可能である。弁体10の第1軸Zに沿う方向の移動量は、回転シャフト50および永久磁石72の回転量に比例する。このため、第2の実施形態では、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度を角度センサ80によって測定することにより、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置を正確に求めることが可能である。なお、電動弁Bは、角度センサ80が出力する角度データを、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置データ、すなわち、弁の開度データに変換する演算装置を備えていてもよい。
第2の実施形態では、回転シャフト50および永久磁石72が、角度センサ80に対して上下動しない。換言すれば、電動弁Bの作動時に、永久磁石72と角度センサ80との間の距離が一定距離に維持される。このため、第2の実施形態では、角度センサ80を用いて、永久磁石72の回転角度、および、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置を正確に算出することが可能である。
なお、図3に記載の例において、ホルダ150は、下側ベース部材2の凹部内に配置されている。また、ホルダ150と下側ベース部材2との間には、Oリング等の第1シール部材152が配置されている。また、ホルダ150は、弁体10の上端部12が移動可能な内部空間を規定している。よって、ホルダ150は、ステータ部材62等が配置される空間内に液体が浸入することを防止するシール機能に加えて、弁体10の上端部12を収容する機能を有する。
また、ホルダ150は、上述のように、円筒状の支持部材126、および、案内部材40のうちの少なくとも一方を支持する機能を有していてもよい。
さらに、図3に記載の例では、ホルダ150が、ハウジング部材4の側壁部に接するように配置されている。そして、ホルダ150とハウジング部材4の側壁部との間には、Oリング等の第2シール部材154が配置されている。このため、ホルダ150は、ステータ部材62等が配置される空間内に液体が浸入することを、更に、防止することが可能である。
なお、第2の実施形態における電動弁Bの各構成は、図1に記載の第1の実施形態における電動弁Aにおいて採用されてもよい。
(第3の実施形態)
図5乃至図8を参照して、第3の実施形態における電動弁Cについて説明する。図5は、第3の実施形態における電動弁Bの一部の概略拡大断面図である。図6は、図5におけるA−A矢視断面図である。図7は、図5の一部分を更に拡大した図である。図8は、図5におけるB−B矢視断面図である。
第3の実施形態における電動弁Cは、回転シャフト50aの構成、および、永久磁石部材70の支持機構が、第1、2の実施形態における回転シャフトの構成、および、永久磁石部材の支持機構と異なる。このため、第3の実施形態では、回転シャフト50aの構成、および、永久磁石部材70の支持機構を中心に説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
第2の実施形態では、回転シャフト50は、キャン100に対して、上下動しない部材であるのに対し、第3の実施形態では、回転シャフト50aは、キャン100および永久磁石部材70に対して、上下動する部材である。なお、第3の実施形態では、第2の実施形態と同様に、永久磁石部材70は、キャン100に対して、上下動しない部材である。
図6を参照して、回転シャフト50aを、永久磁石部材70に対して、相対移動可能にするための機構の一例について説明する。図6に示されるように、永久磁石部材70は、回転シャフト50aの第1係合部53に係合する第2係合部73を有する。第1係合部53と第2係合部73とは、回転シャフト50aが第1軸Zまわりに回転する時に、互いに係合する(互いに接触する)。他方、第1係合部53と第2係合部73とは、第1軸Zに沿う方向には互いに係合しない。このため、回転シャフト50aは、永久磁石部材70に対して相対回転不能、かつ、永久磁石部材70に対して上下動可能である。
図6に示されるように、永久磁石部材70は、貫通穴または非貫通穴である穴部76を備えていてもよい。穴部76の第1軸Zに垂直な断面形状は、非円形形状(例えば、D字形状)である。回転シャフト50aのうち、穴部76内に進入する部分の断面形状は、穴部76の内面を規定する壁面に相補的な形状であり、非円形形状(例えば、D字形状)である。
図6に記載の例では、永久磁石部材70は、永久磁石72と、永久磁石72に固着されたカラー部材74とを備える。カラー部材74は、永久磁石72の内側(径内方向側)に配置されている。そして、カラー部材74に上述の第2係合部73が設けられている。
図6に記載の例では、回転シャフト50aに接触するのは、永久磁石72ではなく、カラー部材74である。よって、回転シャフト50aと永久磁石72とが接触することにより永久磁石72が摩耗することがない。なお、カラー部材74の材質は、例えば、SUS304である。
次に、図7を参照して、永久磁石72と角度センサ80との間の距離を一定に維持する永久磁石位置決め部材180について説明する。永久磁石位置決め部材180は、ケースであるキャン100の内部に配置されている。図7に記載の例では、永久磁石位置決め部材180は、軸受部材として機能するボール184と、板ばね182とを含む。換言すれば、永久磁石位置決め部材180は、永久磁石部材70を挟むように配置されたボール184と板ばね182である。
ボール184は、キャン100の端壁102と永久磁石部材70との間に配置される。ボール184は、永久磁石部材70に対する軸受として機能するとともに、永久磁石部材70の上下方向位置を規定する位置決め部材として機能する。
図7に記載の例では、板ばね182は、仕切り部材130(軸受部材)と、永久磁石部材70との間に配置されている。板ばね182は、永久磁石部材70を、キャン100の端壁102に向けて付勢する。なお、電動弁Cの組み立て誤差を吸収するために、仕切り部材130(軸受部材)を、キャン100に対して、微小距離だけ上下動可能に配置する場合がある。仕切り部材がキャン100に対して上下動可能な場合であっても、板ばね182が永久磁石部材70を端壁102に対して付勢するため、永久磁石部材70の上下方向位置が好適に維持される。
なお、ボール184とは異なる任意の軸受部材を、キャン100の端壁102と永久磁石部材70との間に配置してもよい。また、板ばね182に代えて、任意の軸受部材を仕切り部材130と永久磁石部材70との間に配置してもよい。この場合であっても、任意の軸受部材により、永久磁石72と角度センサ80との間の距離が一定に維持される。
図5乃至図7に記載の例では、回転シャフト50a自体が上下動可能である。このため、回転シャフト50a自体を、ドライバ30として利用することが可能である。すなわち、回転シャフト50aが、永久磁石部材70を回転させる機能と、弁体10を弁座20に向けて移動させるドライバとしての機能の両方を備える。
第1、2の実施形態では、出力ギヤに、回転シャフト50が固着される例が説明された。これに対し、第3の実施形態では、出力ギヤ129と回転シャフト50aとは、互いに固着されていない。代わりに、出力ギヤ129と回転シャフト50aとは、第1軸Zまわりに互いに相対回転不能に係合する。
図8を参照して、出力ギヤ129と回転シャフト50aとを相対回転不能に係合させる係合機構の一例について説明する。図8は、図5におけるB−B矢視断面図である。
図8に示されるように、出力ギヤ129は、回転シャフト50aの第3係合部55に係合する第4係合部1290を有する。第3係合部55と第4係合部1290とは、回転シャフト50aが第1軸Zまわりに回転する時に、互いに係合する(互いに接触する)。他方、第3係合部55と第4係合部1290とは、第1軸Zに沿う方向には互いに係合しない。このため、回転シャフト50aは、出力ギヤ129に対して相対回転不能、かつ、出力ギヤ129に対して上下動可能である。
図8に示されるように、出力ギヤ129は、穴部またはスリット等の回転シャフト受容部1291を備えている。回転シャフト受容部1291の断面形状は、非円形形状(例えば、長方形形状)である。回転シャフト50aのうち、回転シャフト受容部1291内に進入する部分の断面形状は、回転シャフト受容部1291の内面を規定する壁面に相補的な形状であり、非円形形状(例えば、長方形形状)である。
図7に示されるように、出力ギヤ129は、案内部材40等の支持部材によって、第1軸Zまわりに回転可能に支持される。
第3の実施形態において、動力源60からの動力により出力ギヤ129が回転する。なお、動力源60から出力ギヤ129までの動力伝達機構としては、第2の実施形態において説明された遊星ギヤ機構等の動力伝達機構が採用されてもよい。
出力ギヤ129が回転すると、回転シャフト50aが回転する。第3の実施形態では、回転シャフト50aとドライバ30とが一体に形成された一つの部材であるか、あるいは、互いに固着されて一体化された部材である。また、ドライバ30の外周面には雄ねじ31が設けられており、雄ねじ31は、ドライバを案内する案内部材40に設けられた雌ねじ41に螺合している。
このため、回転シャフト50aが回転すると、回転シャフト50a(ドライバを含む回転シャフト50a)は、第1軸Zに沿って移動する。回転シャフト50aと弁体10とは、機械的に接続されている。このため、回転シャフト50aが第1軸Zに沿って移動すると、弁体10も第1軸Zに沿って移動する。
以上の構成により、動力源60からの動力を用いて、弁体10を駆動させることが可能である。弁体10の第1軸Zに沿う方向の移動量は、回転シャフト50aおよび永久磁石72の回転量に比例する。このため、第3の実施形態では、永久磁石72の第1軸Zまわりの回転角度を角度センサ80によって測定することにより、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置を正確に求めることが可能である。なお、電動弁Cは、角度センサ80が出力する角度データを、弁体10の第1軸Zに沿う方向の位置データ、すなわち、弁の開度データに変換する演算装置を備えていてもよい。
第3の実施形態では、回転シャフト50aに、永久磁石部材70を固着する必要がない。また、回転シャフト50aを出力ギヤに固着させる必要がない。このため、電動弁Cの組立を効率的に行うことが可能である。
(角度センサの一例)
図9乃至図12を参照して、各実施形態における角度センサ80の一例について説明する。図9乃至図12は、永久磁石72と角度センサ80との配置関係を模式的に示す図であり、上側には底面図が記載され、下側には一部切り欠き斜視図が記載されている。
図9に示されるように、永久磁石72は、上面視で、N極およびS極を備えている。図9に記載の例では、上面視で、永久磁石72のN極の数は1個であり、永久磁石72のS極の数は1個である。代替的に、上面視で、永久磁石のN極の数、永久磁石のS極の数が、それぞれ、2個以上であってもよい。図9に記載の例では、永久磁石72は、N極とS極との境界面78を備え、当該境界面78は、回転シャフト(50;50a)の中心軸に一致する第1軸Zをとおり第1軸Zに垂直な面である。そして、境界面78の一方側にN極が配置され、境界面78の他方側にS極が配置されている。なお、永久磁石72は、例えば、円板形状を有するマグネットである。また、永久磁石72は、磁粉と樹脂バインダとを混合して成型することにより得られるプラスチックマグネットであってもよい。
角度センサ80は、永久磁石72の上方に配置されている。図9に記載の例では、角度センサ80は、回転シャフト(50;50a)の延長線上、すなわち、第1軸Z上に位置している。角度センサ80は、少なくとも1つの磁気検出素子82(例えば、ホール素子、磁気抵抗素子等)を含み、より好ましくは、2個以上あるいは3個以上の磁気検出素子を含む。
図9に記載の例では、角度センサ80は、4個の磁気検出素子(82a乃至82d)を備える。磁気検出素子(82a乃至82d)は、磁束の第1軸Zに沿う方向の成分を検出する素子であってもよい。図9において、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82dが+Z方向の磁束成分を検出し、磁気検出素子82bおよび磁気検出素子82cが−Z方向の磁束成分を検出する。磁気検出素子82a(または磁気検出素子82b)によって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82d(または磁気検出素子82c)によって検出される磁束の大きさとが等しいとき、境界面78は、X軸に垂直である。このとき、角度センサ80は、永久磁石72の回転角度が、例えば、0度であると判断する。
図10に示されるように、永久磁石72がR方向に回転することを想定する。図10において、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82dが+Z方向の磁束成分を検出し、磁気検出素子82bおよび磁気検出素子82cが−Z方向の磁束成分を検出する。図9に記載の状態から図10に記載の状態に移行するにつれて、磁気検出素子82bおよび磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさは増加し、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82cによって検出される磁束の大きさは減少する。例えば、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさとの比、および、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82bによって検出される磁束の大きさとの比に基づいて、角度センサ80は、磁力線のX軸に対する傾き、すなわち、永久磁石72の回転角度を求めることができる。
図11に示されるように、永久磁石72が更にR方向に回転することを想定する。図11において、磁気検出素子82dが+Z方向の磁束成分を検出し、磁気検出素子82bが−Z方向の磁束成分を検出する。図10に記載の状態から図11に記載の状態に移行するにつれて、磁気検出素子82bおよび磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさは減少する。また、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82cによって検出される磁束の大きさは減少する。例えば、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさとの比、および、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82bによって検出される磁束の大きさとの比に基づいて、角度センサ80は、磁力線のX軸に対する傾き、すなわち、永久磁石72の回転角度を求めることができる。
図12に示されるように、永久磁石72が更にR方向に回転することを想定する。図12において、磁気検出素子82cおよび磁気検出素子82dが+Z方向の磁束成分を検出し、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82bが−Z方向の磁束成分を検出する。図11に記載の状態から図12に記載の状態に移行するにつれて、磁気検出素子82aおよび磁気検出素子82cによって検出される磁束の大きさは増加し、磁気検出素子82bおよび磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさは減少する。例えば、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82dによって検出される磁束の大きさとの比、および、磁気検出素子82aによって検出される磁束の大きさと、磁気検出素子82bによって検出される磁束の大きさとの比に基づいて、角度センサ80は、磁力線のX軸に対する傾き、すなわち、永久磁石72の回転角度を求めることができる。
図9乃至図12から把握されるように、角度センサ80は、永久磁石72のX軸に対する傾き、すなわち、永久磁石72の絶対的な回転角度を検出可能である。すなわち、永久磁石72が回転移動していない時でも、角度センサ80は、永久磁石72のX軸に対する傾き(すなわち、回転角度)を算出することができる。当該回転角度の算出は、例えば、少なくとも3つの磁気検出素子82を通過する磁束の向きと、少なくとも3つの磁気検出素子82を通過する磁束の大きさとに基づいて行われる。
図9乃至図12に記載の例では、角度センサ80は、永久磁石72の絶対的な回転角度を検出可能である。このため、電動弁の電源がOFFになり、かつ、永久磁石72の回転角度情報が失われた場合であっても、再び電源がONになった時に、角度センサ80は、直ちに、永久磁石72の回転角度を求めること(出力すること)ができる。
図9乃至図12に記載の例では、各磁気検出素子が、第1軸(Z軸)に沿う方向の磁束成分を検出する例について説明された。代替的に、各磁気検出素子が、X軸に沿う方向の磁束成分、および/または、X軸およびZ軸の両者に垂直なY軸に沿う方向の磁束成分を検出するようにしてもよい。
なお、図9乃至図12を参照しつつ説明された永久磁石72および角度センサ80の各々は、第1、2の実施形態における電動弁あるいは第3の実施形態における電動弁において採用可能である。
(電動弁の作動異常の有無を判定する演算装置)
図13を参照して、電動弁の作動異常の有無を判定する演算装置200について説明する。図13は、電動弁の作動異常の有無を判定する演算装置200の機能を模式的に示す機能ブロック図である。
電動弁は、演算装置200を含む。演算装置200は、例えば、ハードウェアプロセッサと記憶装置202と含み、出力装置220と情報伝達可能に接続されている。電動弁は、演算装置200(あるいは、演算装置および出力装置220)を含む電動弁システムであるということもできる。
電動弁B、C(電動弁システム)は、第2の実施形態または第3の実施形態において説明されたように、コイル620を含むステータ部材62と、ロータ部材64とを含む。ロータ部材64の回転角度、および、ロータ部材64の回転角度に比例する弁体10の位置(弁座20からの高さ)は、コイル620に入力される入力パルス数に比例する。このため、コイル620に入力される入力パルス数をモニタリングすることにより、弁体10の位置(弁座20からの高さ)を算出することが可能である。
他方、弁体10の位置(弁座20からの高さ)は、永久磁石72の回転角度にも比例する。このため、永久磁石72の回転角度をモニタリングすることにより、弁体10の位置(弁座20からの高さ)を算出することが可能である。原理的には、コイル620への入力パルス数から算出される弁体10の位置と、永久磁石72の回転角度から算出される弁体10の位置とは一致する。そこで、演算装置200は、コイル620への入力パルス数から算出される弁体10の位置と、永久磁石72の回転角度から算出される弁体10の位置とが異なる時に、電動弁B、C(電動弁システム)に何らかの異常があると判定する。すなわち、電動弁B、C(電動弁システム)は、自身の異常の有無を検出する自己診断機能を備える。
なお、弁体10の位置と回転シャフト50(50a)の回転角度とは比例関係にあり、弁体10の位置と永久磁石72の回転角度とは比例関係にあり、弁体10の位置と出力ギヤの回転角度とは比例関係にある。このため、本明細書において、弁体10の位置を算出することと、回転シャフト50の回転角度を算出することとは等価であり、弁体10の位置を算出することと、永久磁石72の回転角度を算出することとは等価であり、弁体10の位置を算出することと、出力ギヤの回転角度を算出することとは等価である。
図13を参照して、演算装置200についてより具体的に説明する。演算装置200は、有線あるいは無線を介して、角度センサ80から永久磁石の回転角度データを受け取る。また、演算装置200は、有線あるいは無線を介して、上述の制御基板90等からコイル620への入力パルス数のデータを受け取る。演算装置200は、受け取った回転角度データおよび入力パルス数のデータを記憶装置202に記憶する。
演算装置200の記憶装置202には、永久磁石の回転角度データから弁体10の位置αを算出する第1の弁体位置算出プログラムが記憶されている。なお、本明細書において、弁体10の位置αには、弁体10の位置自体の他に、回転シャフト50の回転角度、永久磁石の回転角度、あるいは、出力ギヤの回転角度のように弁体10の位置に比例する物理量が包含される。演算装置200は、第1の弁体位置算出プログラムを実行することにより、永久磁石の回転角度データから弁体10の位置αを算出する。
また、演算装置200の記憶装置202には、入力パルス数のデータから弁体10の位置βを算出する第2の弁体位置算出プログラムが記憶されている。なお、本明細書において、弁体10の位置βには、弁体10の位置自体の他に、回転シャフト50の回転角度、永久磁石の回転角度、あるいは、出力ギヤの回転角度のように弁体10の位置に比例する物理量が包含される。演算装置200は、第2の弁体位置算出プログラムを実行することにより、コイル620への入力パルス数のデータから弁体10の位置βを算出する。
さらに、演算装置200の記憶装置202には、弁体の位置αと、弁体の位置βとを比較して、比較結果に基づき、電動弁(電動弁システム)の作動異常の有無を判定する判定プログラムが記憶されている。演算装置200は、判定プログラムを実行することにより、電動弁(電動弁システム)の作動異常の有無を判定する。例えば、演算装置200は、判定プログラムを実行することにより、弁体の位置αと弁体の位置βとの差が、予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。そして、演算装置200は、判定プログラムを実行することにより、弁体の位置αと弁体の位置βとの差が、予め設定された閾値以上である時に、電動弁(電動弁システム)の作動異常があると判定してもよい。演算装置200は、判定プログラムを実行することにより、電動弁(電動弁システム)の作動異常があると判定した場合、作動異常を伝える信号をディスプレイ、警報装置等の出力装置220に送信してもよい。代替的に、あるいは、付加的に、演算装置200は、判定プログラムを実行することにより、電動弁(電動弁システム)の作動異常があると判定した場合、当該判定結果を、記憶装置202に記憶してもよい。この場合、電動弁(電動弁システム)の作動異常が、ログデータとして、記憶装置202に記憶されることとなる。
電動弁(電動弁システム)が、上述の演算装置200を備える場合、コイル620への入力パルス数、および、角度センサによって測定された永久磁石の回転角度の両方を用いて、弁体10の位置をダブルチェックすることが可能となる。その結果、電動弁(電動弁システム)の信頼性が飛躍的に向上する。
なお、上述の演算装置200において、第1の弁体位置算出プログラム、第2の弁体位置算出プログラム、判定プログラム等のプログラムを用いる代わりに、第1の弁体位置算出、第2の弁体位置算出、および、電動弁(電動弁システム)の作動異常の有無の判定を、電子回路によってハード的に行ってもよい。また、当該電子回路あるいは演算装置200のハードウェアプロセッサが、制御基板90に搭載されてもよい。
図13を用いて説明された演算装置200等の構成は、第2の実施形態における電動弁Bあるいは第3の実施形態における電動弁Cにおいて採用されてもよい。図1に示される第1の実施形態における電動弁Aに、少なくとも、コイルを含むステータ部材と、回転シャフトに動力伝達可能に連結されるロータ部材とが付加される場合には、図13を用いて説明された演算装置200等の構成は、図1に示される実施形態における電動弁Aにおいて採用されてもよい。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。