JP2021183119A - 二酸化塩素発生具 - Google Patents

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Abstract

【課題】浴室、台所の排水口等の常時水分に曝露される窪状の形態の環境下において微生物の除菌あるいは静菌及び消臭に効果的であり、しかも、構造を簡素化して製造経費を抑制した二酸化塩素発生具を提供する。【解決手段】浴室または台所の排水口に設置される二酸化塩素発生具であって、亜塩素酸塩と、pH調整剤と、吸水剤と、を含有する二酸化塩素発生剤が樹脂容器からなる容器本体に収容され、容器本体に細孔が1個以上形成され、細孔1個当たりの開口面積は0.02ないし15mm2以下であり、細孔から容器本体内に水が浸入する。【選択図】図1

Description

本発明は二酸化塩素発生具に関し、特に常時水分に曝露される環境下に設置される二酸化塩素発生具に関する。
一般家屋の室内等の生活空間において使用される二酸化塩素ガス発生剤は、液体、ゲル状物、顆粒状物等である。当該二酸化塩素ガス発生剤の使用者が使用直前に薬剤同士を混合する等の操作を必要とするもの、開封操作のみ必要とし混合操作が必要でないものがある。これらは硬質容器、軟質容器に包装され使用に供される(特許文献1,2等参照)。使用者がこの二酸化塩素発生剤を、室内等の生活空間に静置したり、あるいは身体に装着したりすることにより、空間の除菌、空間のウイルス除去、空間の消臭効果を得られる旨が表示され、二酸化塩素発生剤は販売されている。しかし、これらの空間除菌剤の使用による二酸化塩素ガスの使用者への安全性と、効果については十分検証されていない(非特許文献1,2等参照)。
他方、実用化されている二酸化塩素ガスの利用例として、安全キャビネットの滅菌、バイオロジカルクリーンルームの除染などがあり、効果については十分検証されている(特許文献3等参照)。すなわち、濃度と曝露時間を制御した場合において、二酸化塩素ガスは非常に有効であるといえる。
ここで、浴室のヘアキャッチャーを含む排水桝及び排水口、台所の網カゴを含む排水桝及び排水口等と呼称される部分(以下、排水口等と表記)には、微生物の増殖によりバイオフィルムと称される「ぬめり」が発生する。バイオフィルムは外見上好ましくなく、不快な臭気を発する。通常、ブラシ等による擦り洗いにより外見上バイオフィルムは除去され、臭気も改善される。しかし、ブラシがけには手間を要し、掃除用具の届かない部分があり、微生物の増殖と臭気を抑制できない。
次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、界面活性剤等を含む配管洗浄剤を注入すると殺菌作用と漂白作用から外見も清浄になり臭気も消滅するものの持続性に乏しく、取扱上の安全性にも問題がある。台所の排水口用洗浄除菌剤として有機塩素系の錠剤が用いられる。しかし、有機塩素系の錠剤に湯がかかると塩素系の臭気が強く不快感を与えたり、長時間水に浸水したりする場合、塩素濃度が非常に高くなる。
比較的小さい密閉空間において、空間容積に応じた二酸化塩素ガスの徐放量を設計することにより、除菌または消臭は可能である。ここで、一般には、二酸化塩素を発生させるため、使用者は保存性の高い2種類の薬剤を使用時に混合する必要がある(特許文献4、5等参照)。このとき、化学薬品を取り扱う危険性、取扱上の不便さがある。特許文献4及び5によると、2種類の薬剤は隔壁を設けられた容器内に収容されており、使用者は使用時に隔壁を破壊して薬剤を混合し、二酸化塩素ガスを発生させる仕組みである。しかしながら、構造が複雑であるため否応なく製造コストが大きくなるという問題点があった。
特開平11−278808号公報 特開平1−99559号公報 特許第5639294号公報 特開2013−244994号公報 特開2006−335447号公報
西村秀一、ウイルス不活化効果を標榜する二酸化塩素ガス放散製剤の実用性の有無の検証-冬季室内相当の温湿度での空中浮遊インフルエンザウイルスの不活化について、環境感染誌、2016、Vol.31、no.5 西村秀一、二酸化塩素ガス放散製剤のインフルエンザウイルス不活化および黄色ブドウ球菌殺菌能の検証−低湿度環境表面での検討、環境感染誌、2017、Vol.32、no.3
その後、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ヒトの生活空間の中でも比較的小さく常時水分に曝露される排水口等の窪んだ形状の小空間において二酸化塩素を放出し続けて微生物の除菌あるいは静菌、消臭の効果を持続する構成の二酸化塩素発生具を完成させるに至った。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、浴室、台所の排水口等の常時水分に曝露される環境下において微生物の除菌あるいは静菌及び消臭に効果的であり、しかも、構造を簡素化して製造経費を抑制した二酸化塩素発生具を提供する。
すなわち、実施形態の二酸化塩素発生具は、排水口に設置される二酸化塩素発生具であって、亜塩素酸塩と、pH調整剤と、吸水剤と、を含有する二酸化塩素発生剤が熱可塑性樹脂の成型体からなる容器本体に収容され、容器本体に細孔が1個以上形成され、前記細孔1個当たりの開口面積は0.02ないし15mm以下であることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具の容器本体は、第1容器体及び第2容器体の互いの開口部分同士を組み合わせて形成されることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具の細孔は第1容器体または第2容器体のいずれか一方に形成されることを特徴とする。また、細孔は2個以上であって細孔は第1容器体及び第2容器体の両方に形成されることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具の細孔の容器本体側に、細孔を封止する封止部材が備えられることを特徴とする。また、細孔に挿通されて封止する封止ピンが備えられることを特徴とする。加えて、細孔を被覆する被覆部材が備えられることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具では、pH調整剤が固体の有機酸であることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具では、吸水剤がゲル化剤であることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具では、二酸化塩素発生剤に増量剤が混合されていることを特徴とする。
さらに、二酸化塩素発生具では、二酸化塩素発生剤に乾燥剤が混合されていることを特徴とする。
本発明の二酸化塩素発生具によると排水口に設置される二酸化塩素発生具であって、亜塩素酸塩と、pH調整剤と、吸水剤と、を含有する二酸化塩素発生剤が熱可塑性樹脂の成型体からなる容器本体に収容され、前記容器本体に細孔が1個以上形成され、前記細孔1個当たりの開口面積は0.02ないし15mm以下であるため、浴室、台所の排水口等の常時水分に曝露される環境下において微生物の除菌あるいは静菌及び消臭に効果的であり、しかも、構造を簡素化して製造経費の抑制が可能である。
実施形態の二酸化塩素発生具の使用前の概略側面図である。 他の実施形態の二酸化塩素発生具の部分断面図である。 さらに他の実施形態の二酸化塩素発生具の部分断面図である。 細孔及び封止部材の部分拡大断面図である。 細孔及び封止ピンの部分拡大断面図である。 細孔及び被覆部材の部分拡大断面図である。 細孔の作用を示す断面模式図である。 実施形態の二酸化塩素発生具の使用中の概略側面図である。 細孔の作用を示す使用中の断面模式図である。
図1の概略側面図を用い、実施形態の二酸化塩素発生具1の構成から説明する。図示実施形態の二酸化塩素発生具1は、二酸化塩素発生のための粉末状、顆粒状、結晶状、または錠剤状の二酸化塩素発生剤15を容器本体10の内部に収容した形態である。実施形態の容器本体10は第1容器体11と第2容器体12を貼り合わせ形成される。第1容器体11と第2容器体12はフランジ部14により相互に貼り合わせられる。二酸化塩素発生剤15の化学反応の結果生じた二酸化塩素ガス(ClO)は容器本体10(図示では第1容器体11)に形成された細孔13から容器本体10の外部に拡散する。そこで、二酸化塩素発生具1が設置された周囲は、拡散した二酸化塩素ガスに曝露され、周囲のカビ、細菌類は影響を受けることとなる。
二酸化塩素発生具1は、浴室または台所の排水口等の上面が開放された窪状空間部に設置されることを目的としている。二酸化塩素は空気よりも重い気体である。そこで、排水口等の窪状空間部に二酸化塩素発生具1が設置されることにより、排水口及びその周囲では、二酸化塩素の濃度は外部よりも高められ、長時間濃度が維持されやすい。これにより、排水口の内側(内部)、及び極近傍に二酸化塩素が作用して除菌効果は高められる。
二酸化塩素発生具1の設置が想定される場所は、ほぼ常時水に晒されている環境である。具体的には、台所の排水口(ゴミを受けるカゴ内、カゴの下の椀トラップの上、椀トラップの横の水中)、浴室の排水口(ヘアキャッチャー近傍の壁、ヘアキャッチャー上あるいは中、ヘアキャッチャーの下のトラップ水中)等の場所への設置が想定される。
台所の排水口の場合、各種の食材の調理時の排水、食器洗浄の排水等が排水口を通過する。排水は非常に有機物過多であり、カビ、細菌類が排水口周囲に増殖しやすく、悪臭、ぬめりの原因となる。浴室の排水口の場合、浴槽内の水、身体の洗浄後の排水、石けん、洗剤等は排水口を通過する。そこで、浴室の排水口の周囲も有機物過多となり、カビ、細菌類が増殖しやすく、悪臭、ぬめりの原因となる。つまり、二酸化塩素発生具1の目的は、排水口等の窪状空間部の除菌、静菌または消臭である。
そこで、台所の排水口、浴室の排水口等の水分過剰環境下の窪状空間部に対し、直に二酸化塩素発生具1は設置される。そして、当該二酸化塩素発生具1から放散される二酸化塩素ガスは排水口等の水分過剰環境下の窪状空間部に持続的に維持され、カビ、細菌類の増殖は抑制される。
図1の実施形態の容器本体10は第1容器体11と第2容器体12から構成され、第1容器体11と第2容器体12はともに熱可塑性樹脂製の成型体である。容器本体10の樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド(いわゆるナイロン樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)等である。
容器本体10は常時水ないし温水(場合によっては熱湯)に晒される。また、内部発生の二酸化塩素の影響も受ける。そこで、第1容器体11と第2容器体12は少なくとも0.2mm以上、好ましくは0.5ないし1.5mm程度の厚さである。また、温度耐性の点から、ポリプロピレンが好ましく使用される。第1容器体11と第2容器体12の成型に際しては、射出成型、真空成型、ブロー成型等の公知の成型方法が用いられる。
実施形態の二酸化塩素発生具1において、第1容器体11と第2容器体12はフランジ部14により相互に合着される。相互の合着は、ヒートシールによる融着、接着剤による接着としてもよい。第1容器体11と第2容器体12が使用時に分離しない程度の強固さで貼着される。
図2の部分断面図に示される他の実施形態の二酸化塩素発生具1Aでは、その容器本体10aは雄ねじ31と雌ねじ32を有する容器とふたによる螺合により形成される。図2の二酸化塩素発生具1Aにおいて、第1容器体11aの開口部17と第2容器体12aの開口部18は、互いの開口部17,18同士で組み合わせられる。当該形態の容器本体10aとしては、公知のスクリューキャップの軟膏用の容器等が挙げられる。後述するように、図2の二酸化塩素発生具1Aでは、第1容器体11aと第2容器体12aのそれぞれに細孔13が形成されている。また、図中の符号21は封止部材である。
図3の部分断面図に示されるさらに他の実施形態の二酸化塩素発生具1Bでは、その容器本体10bは、第1容器体12aと第2容器体12bの双方に形成された返し部分33,34の嵌合により形成される。図3の二酸化塩素発生具1Bにおいて、第1容器体11bの開口部17と第2容器体12bの開口部18は、互いの開口部17,18同士で組み合わせられる。後述するように、図3の二酸化塩素発生具1Bでも、第1容器体11bと第2容器体12bのそれぞれに細孔13が形成されている。また、図中の符号23は被覆部材である。
細孔13は、プレス成型時の金型による形成またはレーザ光照射による穿設等により形成される。細孔13の個数は1個以上であれば容器本体10の大きさに応じて適宜である。例えば、細孔13は、第1容器体11と第2容器体12のそれぞれに、間隔を置いて複数箇所、例えば3ないし6箇所形成される。むろん、容器本体10の上面または下面に限らず、側面としても良い。
細孔13は、容器本体10の内部へ進入する水の通り道であるとともに、発生した二酸化塩素の放出口としての役割を担うことから開口部となり得る。さらに、細孔13に求められる性質として、二酸化塩素発生剤15が二酸化塩素発生具1の製造、販売、使用時に至るまで、細孔13(開口部)から容易に漏出せず、二酸化塩素発生具1が排水口等に設置された際に二酸化塩素発生剤15の反応のための溶液となる水が必要かつ十分な量吸水されれば良い。そのため、細孔13の形状については特段限定されない。円形、四角形に加えてレーザまたは鋭利な刃物により形成される切れ目のようなスリットの形状であっても良い。
細孔13の役割を考慮すると、細孔1個当たりの開口面積は0.02ないし15mm以下、好ましくは、0.02ないし12.6mmであることが望ましい。個々の細孔の開口面積が小さい場合であっても、細孔を複数足すことにより、所定の開口面積を満たすことができる。細孔13の合計の開口面積については、容器本体10自体の大きさ、二酸化塩素発生剤15の量、使用条件、使用場所に応じて加減される。
細孔1個当たりの開口面積が0.02mmを下回る場合、細孔の開口面積(開口量)は極端に少なく水の表面張力の影響から水の進入に十分とは言えない。細孔1個当たりの開口面積が15mmを超える場合、水の進入は十分ではあるものの細孔の開口面積が大きくなるため、膨潤した二酸化塩素発生剤15の細孔からの漏出が顕著となる。
ここで、細孔の1個当たりの開口面積は、水の進入と膨潤した二酸化塩素発生剤の細孔からの漏出抑制を両立させる必要性から上限及び下限が規定される。これに対し、総開口面積(開口面積の合計値)については、容器本体に形成される細孔の数が適宜の数であることから、総開口面積の上限は明確に規定されない。
そこで、細孔の開口面積を大きくして細孔からの水の進入を容易にすることと、開口の広い細孔からの二酸化塩素発生剤の漏出防止の両立が求められる。この対応として、図2の断面模式図及び図4の部分拡大断面図に示されるように、細孔13の容器本体10,10a側、つまり、容器本体10,10aの内部空間16側に、細孔を封止する封止部材21が備えられる。
封止部材21は、吸水性に優れた材質であればよく、例えば、紙、和紙、水溶紙、またはセロハンである。さらには、木綿、化繊の布地としてもよい。封止部材21は二酸化塩素発生具1(1A)の未使用時に二酸化塩素発生剤15の漏出が抑制されれば、機能は足りる。図示のとおり、封止部材21は細孔13に対して内部空間16側から貼着される。使用時、二酸化塩素発生具1が排水口等に設置された後、水は二酸化塩素発生具1の外部から細孔13に進入する。そして封止部材21に浸透して透過した水は内部空間16に到達する。むろん、封止部材21は二酸化塩素ガスも透過可能である。
図2、図4に開示の封止部材21の他の態様として、図5の断面模式図に示されるように、細孔13に挿通されて当該細孔13を封止する封止ピン22が備えられる。二酸化塩素発生具1の使用時、封止ピン22が引き抜かれ、細孔13が露出する。封止ピン22を使用する形態の場合、1個当たりの細孔の開口面積を大きくすることができるため、細孔への吸水効率が求められる場合に好適である。
さらに、図6の断面模式図に示されるように、容器本体10(10a,10b)の外側、図示では第1容器体11(11a,10b)の外側に、被覆部材23が備えられ、細孔13が外側から被覆される。被覆部材23として、PET樹脂、塩化ビニル樹脂等から形成されるフィルムの粘着シール、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなるシュリンク包装フィルム等が使用される。粘着シール、シュリンク包装フィルムは、二酸化塩素発生具1の使用時に剥離され細孔13が露出する。加えて、被覆部材23として、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂のフィルム、水溶紙のシールが使用される。水溶性樹脂のフィルムの場合、剥離してもそのままとしてもよい。
図1に示す二酸化塩素発生具1では、その容器本体10のうち、第1容器体11に細孔13が形成されている。むろん、図示とは逆に第2容器体12に細孔13を形成することも可能である。さらに、細孔13は第1容器体11と第2容器体12の両方に形成してもよい(前出の図2、図3参照)。
特に、二酸化塩素発生具1(1A)の容器本体10の下側となる部位(図1の第2容器体12側)に細孔13が設けられる場合、封止部材21、封止ピン22、被覆部材23による二酸化塩素発生剤15の漏出抑制効果は高い。図示の細孔を封止する構造の他に、細孔の外側においてスライド移動するカバー部材(図示せず)を設けて、使用時に細孔が開放されるようにしてもよい。
二酸化塩素発生具1の容器本体10に収容される二酸化塩素発生剤15は、亜塩素酸塩、pH調整剤、吸水剤を含有する組成である。さらに、二酸化塩素発生剤15には増量剤、乾燥剤が配合される。二酸化塩素発生剤15の内容量は設置場所の容積に応じて全体で5ないし30gであり、容器本体10に収容される。
亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)または亜塩素酸カリウム(KClO)等の亜塩素酸のアルカリ金属塩である。亜塩素酸塩は二酸化塩素発生具1としての保管、搬送、販売等の容易性から、顆粒状、粉末状、または結晶状の固形である。
二酸化塩素発生剤15中の亜塩素酸塩(亜塩素酸ナトリウム)とpH調整剤との量関係は、相互のモル比により規定される。二酸化塩素ガスは、亜塩素酸塩とpH調整剤の反応により発生する。ここで、pH調整剤は液体ではなく、固体である。例えば、活性炭表面にスルホン基を導入した無機の固体酸、アミド硫酸(スルファミン酸)等が挙げられる。pH調整剤は亜塩素酸塩(亜塩素酸ナトリウム)が水に溶解した際、アルカリ性となる溶液を酸性から中性域に維持する性質であれば良い。
pH調整剤には無機の固体酸に加えて固体の有機酸も含められることから、酸剤でもある。固体の有機酸としては、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸等のカルボン酸化合物が挙げられる。列記の有機酸は無機の酸よりは電離度が小さい弱酸である。しかも、食品添加物等としても利用され、取り扱い上の安全性はより高い。また、有機酸の場合、弱酸であることから、亜塩素酸塩との反応は緩やかに進行し、二酸化塩素発生の持続性が良い。
実施形態の二酸化塩素発生具1において、容器本体10の二酸化塩素発生剤15は反応に必要な溶液としての水分を容器本体10の内部に予め保持していないことを特徴とする。亜塩素酸塩とpH調整剤は水の存在下においてイオンの状態となり、亜塩素酸塩から二酸化塩素を発生させる。そのため、水が不可欠であることに変わりは無い。しかし、背景技術にて述べたように、二酸化塩素の発生前(使用前)においては水との接触を避け、使用に際して二酸化塩素を発生させようとするときにはじめて水と接触させる工夫が必要である。このようにしなければ、二酸化塩素の発生を制御することができないためである。
これに対し、実施形態の二酸化塩素発生具1は図7の拡大断面図に示されるように、容器本体10に細孔13が形成されている。図7は二酸化塩素発生具1の使用直前ないし使用場所への設置直後を示す。二酸化塩素発生具1は前述のとおり、台所または浴室の排水口に設置される。このため、二酸化塩素発生具1の周囲は常時水分過剰の状態である。そこで、容器本体10の外部の水は細孔13を通じて、容器本体10の内部空間16に侵入可能となる。このとき侵入した水分が二酸化塩素発生剤15の二酸化塩素発生の契機となる。また、設置される場所は高湿度環境であるため、水が容器本体10に浸入しない時間が長くなるとしても、水蒸気吸収により反応は進行する。しかしながら、溶液としての水分を吸収しなければ、持続して効果的な二酸化塩素ガスを放散させることができない。従って、二酸化塩素発生具1は水蒸気を吸収するだけでなく、溶液状の水分が吸水されなければならない。
また、二酸化塩素発生剤15には吸水剤が配合される。吸水剤は細孔13から容器本体10の内部に侵入した水を同容器本体10の内部に保持する目的で配合される。吸水剤としては、綿花、麻等の含水可能な素材であれば適宜である。さらに、好ましい吸水剤としてゲル化剤が配合される。ゲル化剤は含水に伴う膨潤後に二酸化塩素発生剤15を均一かつ粘調に保つ。そのため、水溶液である状態と比較して溶液が粘性を帯びる。このため、発生した二酸化塩素ガスは通過に時間を要することとなり、二酸化塩素ガスの放散は徐放化される。ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、寒天(アガロース)、キサンタンガム、グアーガム、ポリアクリルアミド等の高分子吸水材から選択される。
図8は二酸化塩素発生具1の使用中の概略側面図である。細孔13から容器本体10の内部空間16へ侵入した水により、吸水剤として用いられるゲル化剤が膨潤した状態である。膨潤により二酸化塩素発生剤15は体積膨張する。図9は細孔13付近の拡大断面図である。ゲル化剤の膨潤により膨張した二酸化塩素発生剤15は体積膨張し、細孔13付近に達する。そのため、二酸化塩素発生剤15の体積膨張量を考慮して二酸化塩素発生剤15の充填量は容器本体10の内部空間16の1/3ないし2/3、好ましくは1/2の容量に抑制される。内容物の膨潤により、細孔13からの二酸化塩素発生剤15の漏出は防がれる。
二酸化塩素ガスの発生に際しては、水分の存在下で亜塩素酸塩とpH調整剤のみの存在で十分である。しかしながら、二酸化塩素発生具1は長期間にわたり徐々に二酸化塩素ガスを発生させ続ける必要がある。この徐放性の要求から、むしろ亜塩素酸塩とpH調整剤の反応を抑制することが望ましいといえる。そこで、二酸化塩素ガスの発生に直接関与しない成分である増量剤が添加されて反応が緩和される。
増量剤には、芒硝(硫酸ナトリウム無水物)、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の各種の塩類である。他に、ケイ酸塩、リン酸塩等も含まれる。さらには、増量剤には、ベントナイト、タルク、ゼオライト等の鉱物も含まれる。通常、亜塩素酸ナトリウム等の亜塩素酸塩は、劇物に指定されている。このため、取り扱い時の安全性が考慮される。そこで、全成分に占める亜塩素酸塩の重量割合を制限するためにも増量剤は配合される。
加えて、二酸化塩素発生剤15には乾燥剤が混合される。二酸化塩素発生具1は未使用の状態では、含水を契機とした二酸化塩素の発生はほとんどなく、そのままの状態により保管が可能である。通常、二酸化塩素発生具1は樹脂フィルム等の包装材により包装されて流通の後、店頭に陳列される。その間、樹脂フィルムの包装材を透過する水分の影響があり得る。そこで、二酸化塩素発生具1の保存期間を延ばし、二酸化塩素発生剤15自体の劣化を防ぐ目的から乾燥剤の配合が好ましい。乾燥剤としては、シリカゲルが好例である。また、乾燥剤として、モンモリナイト、アロフェン、ゼオライトも使用される。ここで、ゼオライト等は乾燥剤と増量剤の用途において互いに兼用される。なお、二酸化塩素発生具1は含水を目的とするため、酸化カルシウムは乾燥剤として使用されない。
また必要に応じて、二酸化塩素発生剤15にはアルカリ化剤が配合される。アルカリ化剤は、使用前の乾燥状態の二酸化塩素発生剤15をアルカリ性側に維持する目的で添加される。アルカリ性に維持することにより、亜塩素酸塩の分解は抑制される。アルカリ化剤として、水酸化カルシウム、アルミン酸ナトリウム等が挙げられる。
[使用原材料]
・二酸化塩素発生剤の調製
80重量%亜塩素酸ナトリウム結晶(日本カーリット株式会社製,シルブライト80)を30重量%、
ポリアクリル酸ナトリウム高吸水性ポリマー粒子の高分子高吸水性樹脂(三洋化成工業株式会社製,サンフレッシュST−500D)を12重量%、
B型シリカゲル(豊田化工株式会社製,B形シリカゲル(mesh30−80,0.05〜0.18mm)を34重量%、
無水芒硝(東ソー株式会社製,中性無水芒硝)を24重量%の配合とし混合物とした。
当該混合物の全体重量に対し、無水クエン酸を0.06重量%配合し、さらに均一に混合し二酸化塩素発生剤を調製した。
・容器本体
蓋の直径51mm、底の直径40mm、全高29.2mm、厚さ0.2mm、内容量40mLのPET樹脂製調味料入れの容器(「樹脂容器I」)を用意した。当該容器上面(蓋)にまたは側面に0.2ないし0.3mmの直径の細孔を形成した。直径は目盛り付きのルーペにより確認した。
[二酸化塩素発生具の作成]
樹脂容器Iの内部に前出の調製に基づく二酸化塩素発生剤を容器容量の半分の容量(約17g)となるように封入した。このとき、当該容器上面(蓋)に5箇所、側面に1箇所の細孔を形成した(発生具A)。
家屋内の浴室の排水口の上部に設置されたヘアキャッチャー(毛髪等をとる網)の上に試作の二酸化塩素発生具(発生具A)を設置した。毎日、3名が当該浴室内においてシャワー等を使用した。設置から、20日目、29日目、36日目、43日目に発生具Aを回収し、発生具Aからの二酸化塩素の放散速度を測定した。
[二酸化塩素発生量の計測]
測定対象の検体(発生具A)を、4.5Lの合成樹脂製密閉容器に収容して密閉した。雰囲気の急激な温度変化がない状態として約1時間静置した。この間に最低2回以上、合成樹脂製密閉容器から内部のガスを分取(サンプリング)して検知管(株式会社ガステック製,23M)により二酸化塩素ガスの濃度を測定した。横軸に時間、縦軸に二酸化塩素ガス濃度をプロットすると右上がりの直線となる。一次式で近似した直線の傾きを使用し、理想気体の状態方程式から1時間当たりに放散された二酸化塩素分子のmg数を算出した(二酸化塩素mg/hr)。理想気体の状態方程式に代入する温度は静置時間の雰囲気空気の温度の中央値を使用した。累積日数による二酸化塩素の濃度の変化は表1である。
Figure 2021183119
発生具Aの結果について、使用開始から見ると概ね1箇月ないし40日間は二酸化塩素の発生が確認された。併せて、浴室内の設置場所であるヘアキャッチャー、排水口を目視により観察した。発生具Aの設置前と比較して、浴室排水口のぬめりは減り、赤色酵母、黒カビの汚れ、臭気も減少した。従って、浴室等の湿潤かつ常時温水に晒される環境下での使用に際し二酸化塩素発生具は有効である。
[二酸化塩素発生量の水中濃度の計測]
発生具Aによる43日経過時点の二酸化塩素の発生量から水中における二酸化塩素量は1時間の発生具Aの浸漬で0.015ppm/L、5時間の浸漬で0.075ppm/Lと推定できる。そこで、このような理論値が実際に発生具Aにより再現できるか否かを確認した。
開放容器(胴を切り取った2LサイズのPETボトル)にイオン交換水を1L注入し、この中に43日経過時点の発生具Aを投入し底に沈めた。この時、開放容器の上端から水面は5cmの位置にある窪状空間になっていた。そこで、経時的に水中の二酸化塩素濃度とpHを測定した。二酸化塩素濃度の測定は、水道水の検査に用いられるジエチルパラフェニレンジアミン法(DPD法)を用いた。結果は表2である。
Figure 2021183119
二酸化塩素発生量の水中濃度の実測結果から、表2のとおり、浸漬から5時間経過の時点で0.05ppmの濃度となり、概ね理論値が得られたと判断できる。また、浸漬から約190時間を経過時点であっても二酸化塩素濃度が維持されている。加えて、pHは中性から弱酸性の領域で推移した。当該pHの範囲であれば、金属腐食、人体、皮膚への影響は無いといえる。この結果より、たとえ使用開始から40日を経過した二酸化塩素発生具であっても、持続的な二酸化塩素の放出が可能である。そして、溜め置いた水中に設置(水没した)状態においても二酸化塩素濃度を極端に上昇させることなく安全性が高い。
[設置場所毎の濃度比較]
・二酸化塩素発生具の作製
樹脂容器1の内部に前出の調製に基づく二酸化塩素発生剤を樹脂容器Iの容器容量の1/3の容量(約12g)となるように封入した。このとき、当該樹脂容器Iの容器上面(蓋)に3箇所の細孔を形成した(発生具B)。なお、場所による二酸化塩素濃度を計測する都合から、予め発生具Bの中にイオン交換水24mLを入れて封止し反応を開始させた。
・設置場所の再現
台所等の排水口を擬似的に再現した。2Lサイズの清涼飲料水用の容器(いわゆるペットボトル)を胴部分において横にカットし、容器の底側に水を1L注いだ。容器の切り口に、流し台用の排水口かご(ポリエチレン製,直径100mm、深さ40mm、鍔部分を含めた直径110mm)を設置した。排水口かごの底面と水面は10mmの距離とした。前出の発生具Bを排水口かごの中に設置した「かご内設置」と、発生具Bを排水口かごの下の水面に浮かべた「浮遊設置」の2種類とした。
「かご内設置」について、発生具Bの上方かつかご内の空間と、かごの直下と水面との間の部分の二酸化塩素濃度を測定した。「浮遊設置」について、かご内と、かごの直下と水面との間の部分の二酸化塩素濃度を測定した。二酸化塩素濃度は、該当部分のガスを分取し(サンプリング)して二酸化塩素ガス検出器(ATI社製,PortaSensII)により測定した。濃度計測は、反応開始から2.6日目と5.8日目とした。二酸化塩素ガス濃度の測定結果は表3である。
Figure 2021183119
表3の結果から、排水口かごの中でも、水面に浮遊させても、いずれの場合も二酸化塩素の発生を確認することができた。また、浮遊設置の場合、発生具Bへの水分供給が、かご内設置よりも多いため、反応が進み二酸化塩素の発生量が増加したといえる。従って、家庭内の台所、風呂場の排水口において、そのまま設置しても、排水口内の水溜まりに浮かべても、いずれも除菌、静菌、消臭の効果が期待される。
[微生物抑制効果の確認]
前出の二酸化塩素発生剤の調製の組成において、無水クエン酸の量を0.006重量%に減じて配合し二酸化塩素発生剤を調製した。これを樹脂容器Iの容器容量の1/3の容量(約12g)となるように封入した。このとき、当該樹脂容器Iの容器上面(蓋)に1箇所と底面に1箇所の細孔(直径0.6mm)を形成した(発生具C)。
予め水道水560mLにSCD寒天粉末を0.5g添加して溶解した。浴室の排水口から採取しPDA寒天培地にて生育させた微生物塊を白金耳で少量かき取り、9mLの滅菌希釈水に微生物塊を懸濁して不織布により濾過し濾液を得た。当該濾液を前出のSCD寒天含有の溶液に添加した。出来上がった液体は薄い透明褐色を呈した。これをPETボトル容器に注液して密栓し、1日1回開封、撹拌を行い、14日間室温下にて保管し汚水原液とした。当該汚水原液は、強い腐敗臭を生じ、バイオフィルム状の薄片が多数沈殿した。
前出の汚水原液の容器に付着したバイオフィルム状の薄片を強撹拌して分散させ白濁化させた。このうち100mLを分取し、1辺90mm、高さ180mmのPET樹脂容器に水道水900mLとともに加え約1000mLとした。これを2個用意して疑似排水口とした。混合液体は薄い白濁状態を呈した。ウォーターバスに水を張り朝から夕方まで24.5℃を保ち、夕方以降は加温を止めて自然に液温が下がるようにした。2個の疑似排水口の1つを対照とし、一方に発生具Cを浮かべて10日間の液体の微生物濃度を測定した。
・液体の微生物濃度
疑似排水口の容器内に駒込ピペットを差し入れピペットの吸入と排出を繰り返し、内部液体を撹拌し容器内の薄片を浮遊させた。ここから内部液体1mLを採取し、必要に応じて段階的に希釈した。そして、直径85mmのSCD寒天平板培地に0.1mLを塗抹し、30ないし35℃のインキュベータにおいて1ないし3日間培養した。培養後、培地に生じたコロニー数を計測し、代表値を採用した。
発生具Cを液面に浮かべずにそのまま加温を繰り返した側と、発生具Cを液面に浮かべて加温を繰り返した側との比較から、発生具Cありの側のコロニー数は約1/10以下であった。従って、微生物の完全な殺菌とは至らないものの、増殖抑制の効果を確認することができた。従って、発生具の使用により静菌効果が期待される。
また、微生物増殖に起因する臭気について、六段階臭気強度表示法(表4参照)に基づいて判定した。発生具Cなし側は開始3日後から容器直上において、明らかな腐敗臭が感じられた(六段階臭気強度にて2ないし3の判定)。発生具Cあり側は試験期間を通じて、全く腐敗臭が感じられなかった(六段階臭気強度にて0の判定)。この結果から、二酸化塩素発生具は不快な臭気の抑制にも効果を発揮していることを確認した。
Figure 2021183119
[全開口による比較]
内容量が20mLの軟膏用の容器(蓋:ポリプロピレン、本体:ポリエチレン)を用意した。蓋の中央付近に直径2.0mmの細孔を3個開けた。前出の調製の二酸化塩素発生剤を当該容器内に7.3g充填した。飽和吸水量を15mLとして、吸水率100%(15mL)となるようにイオン交換水を容器内に添加し蓋を閉めた(開口面積37.7mm)。また、吸水率100%となるようにイオン交換水を添加した後、蓋を閉めない(本体のみの)比較品を用意した(開口面積962mm)。本体の開口直径は35.0mmであった。双方の容器(検体)を3Lの密封容器内に収容し、発生する二酸化塩素ガスを吸収させる目的で新聞紙を丸めて充填した。
当該密封容器を45℃のインキュベータに保管して経時で放散速度を測定した。経日の放散速度値(mg/h)と経過時間(h)を積分して累積放散量(mg)を算出して累積した値を縦軸に、20℃に換算した経過日数を横軸にプロットすると、経時の累積放散量の推移を表すグラフとすることができる。グラフのプロット値は表5である。
Figure 2021183119
[全開口による比較の結果]
20℃換算にて10日から50日にかけて、吸水率100%で比較すると、開口面積が極端に大きくなると二酸化塩素ガスの累積放散量は1/2程度に低下する。このことから、除菌、静菌、消臭効果が小さくなると予想される。従って、開口部面積の最大値については、所望の総放散量あるいは経時の放散速度を勘案して設定することができる。また、発明者は、同じ吸水率の場合、放散速度の安定する3日後の時点で開口面積と放散速度は正の相関があることを明らかにしている。0日から10日の間に蓋なしの場合、放散速度は蓋有りと比較して大きくなることは容易に予想され、0日から50日後の値が同程度となることはあり得るものの、開口部を大きくし過ぎずに安定して二酸化塩素を放散することが望ましい。
[水蒸気と水の比較]
内容量が15mLの軟膏用の容器(蓋:ポリプロピレン、本体:ポリエチレン)の中央付近に直径0.95mmの細孔を4個開けた(開口面積2.83mm)。前出の調製の二酸化塩素発生剤を当該容器内に7.3g充填した。この時の飽和吸水量は11mLである。イオン交換水を11mL吸水させて蓋を閉め、容器を2Lの密封容器内に収容し、発生する二酸化塩素ガスを吸収させる目的で新聞紙を丸めて充填した。当該密封容器を25℃インキュベータに保管した。
同一形状の軟膏用の容器に同様の大きさの細孔を4個開け、前出の調製の二酸化塩素発生剤を当該容器内に7.3g充填した。そして、吸水させずに同様の2Lの密封容器内に入れ、飽和食塩水を適量入れたビーカーを同密封容器内の軟膏用の容器の隣に置き、密封して同様に保管した。
1日後(1.2日後)、3日後(2.6日後)に取り出して放散速度を測定した。それぞれ3個用意し、平均値を算出した。20℃換算としたときの水蒸気曝露のみと吸水率100%の放散速度(mg/h)の結果は表6である。
Figure 2021183119
[水蒸気と水の比較の結果]
吸水させなかった容器の例では、25℃の1日後に高湿度下の検体は黄色味があり、放散速度は0.6mg/hであり、除菌、静菌、消臭効果を発揮するための値としては良好であった。3日後には0.04mg/hとなり、以降上昇せず0.03mg/h程度で推移した。吸水させた容器の例(吸水率100%)では放散速度は1.5mg/hから緩やかに低下した。放散速度と経過日数の積分により算出した累積総放散量は20℃換算で25日後に約7倍の差になった。発明者による他の実験等から、現実の排水口で除菌、静菌、消臭効果を発揮するには、放散速度で0.02mg/h程度は必要と思われる。従って、二酸化塩素発生具がその細孔から水蒸気を吸収するのみでは除菌、静菌、消臭効果を充分に発揮するには充分でなく、溶液状の水を吸水する必要があることが判明した。
[必要な吸水量の比較]
内容量が20mLの軟膏用の容器(蓋:ポリプロピレン、本体:ポリエチレン)を用意し、1個当たり前出の調製の二酸化塩素発生剤を当該容器内に7.3g充填した。軟膏用の容器の蓋と本体の両方の中央付近に直径0.6mmの細孔を1個ずつ形成した(容器例1、開口面積0.57mm)。別例として、軟膏用の容器の蓋に直径0.95mmの細孔を4個形成した(容器例2、開口面積2.83mm)。このように、開口面積の異なる2種類の容器を用意した。
さらに、初期段階にて吸水率を100%(飽和)にした例と、段階的に1、5、10、30、60%と日ごとに吸水率を上昇させた例とを比較した。
放散速度測定に際し、段階的に1、5、10、30、60%となるように5日間かけて吸水率を上昇させた群では、各段階でイオン交換水を添加して常温で2時間程度静置して放散速度を測定、その後加速のため45℃のインキュベータに2時間入れ(これは20℃下で11.3時間に相当)取り出した後に放冷し、放散速度を測定した。また、1晩後に放散速度を測定し、イオン交換水を添加して同様に操作した。開始から20℃換算とし、16.9日後までは45℃での加速し、以降35℃での加速試験とした。経時で放散速度を測定し、20℃換算した経過を横軸、縦軸に放散速度と経過日数を積分した値の累積をプロットした。
容器例1と容器例2について、段階的に吸水と初期に飽和の2系統について、20℃換算とした際の二酸化塩素量(mg)の経時変化は表7である。
Figure 2021183119
容器例1と容器例2について、二酸化塩素量に差はあるものの、総放散量には著しい相違は見られない。即ち、吸水速度(%/L)が小さくて溶液状の水を少しずつ吸水した場合でも、初期に飽和した場合でも二酸化塩素の累計総放散量は大きな差異は少なく除菌、静菌、消臭効果のいずれにも効果を発揮することが期待される。よって、効果の発揮には水蒸気の吸収ではなく、溶液状の水の吸水が必要である。
一連の実験から、二酸化塩素発生具として組み立てるに際し、容器の内部に水(溶液として)を保持しなくとも、容器の外部からの吸水を通じて十分かつ持続可能な量の二酸化塩素の発生を確認することができた。特には容器に形成される細孔の総開口面積(開口面積の合計値)の下限は0.02mm、好ましくは0.5mmである。加えて、容器内に封入されている二酸化塩素発生剤が粉末状であることを勘案して、細孔1個当たりの開口面積は15mm以下であることが望ましい。
[細孔の大きさ]
複数種類の容器を用意し、異なる形状、開口面積の細孔を形成した。その上で、細孔からの内部成分である二酸化塩素発生剤の漏出、吸水の良否を検証した。漏出量は容器を軽く叩いてこぼれた量を計量した。
試作例1は「15cc軟膏容器」、試作例2は「14ccPET樹脂容器(調味料用容器)」、試作例3は「15cc軟膏容器」、試作例4は「20cc軟膏容器」、試作例5は「14ccPET樹脂容器(調味料用容器)」、試作例6は「20cc軟膏容器」、試作例7は「14ccPET樹脂容器(調味料用容器)」、試作例8は「20cc軟膏容器、不織布を封止部材として使用」、試作例9は「20cc軟膏容器、脱脂綿を封止部材として使用」とした。表8は各試作例と、その細孔数(開口数)、総開口面積(開口面積の合計値)(mm)、漏出量(mg)、吸水速度(%/L)を示す。表中の「上」と「下」は吸水速度の測定時の細孔の向いている位置である。試作例1は容器に細孔を形成していない例である。試作例4は容器の上下に細孔を形成した例である。試作例2、3、5ないし9は容器の一方の面に細孔を形成した例である。
Figure 2021183119
結果、総開口面積に比して漏出は多くなるも、吸水は向上する。そこで、封止部材を用いることにより、総開口面積を大きくしつつ、漏出抑制と吸水を両立可能となる。表中の各試作例の総開口面積を踏まえると、1個の細孔の開口面積の上限は、試作例7、8、9の結果から考慮して15mm、好ましくは12.6mmとなる。なお、発明者の実験によると、1個の細孔(円形、直径4mm)の開口面積が12.6mmを超過した場合、吸水により二酸化塩素発生剤は膨潤して細孔からの吹き出しが顕著となった。さらに、膨潤により吹き出した二酸化塩素発生剤を通じて二酸化塩素発生具と接する流水により内部の二酸化塩素発生剤が流出することも確認した。この点からも、細孔1個当たりの開口面積の上限は15mm、好ましくは12.6mm以下となる。
[まとめ]
二酸化塩素発生具の作製と検証から、台所及び浴室の排水口への設置が有効であることが確認された。台所及び浴室の排水口は、常時水、温水と接し、しかも有機物過多であるため、カビ、細菌が増殖しやすい環境下である。このような場所において、局所的に二酸化塩素を徐放的に拡散しているため、長期間にわたり殺菌ないし静菌に有効な二酸化塩素の濃度を維持し続けることができる。従って、カビ、細菌はほぼ常に二酸化塩素発生具から放散される二酸化塩素に曝露され、殺菌ないし静菌、消臭の効果が及ぶ。特に、二酸化塩素発生具において反応に必要な水分は外部から供給されるため、別途の水を保持する構造は必要とせず、構造自体が簡便であり、製造も容易である。さらに、使用開始時に混合操作を必要とせず、化学的知識のない者にも安全で操作性に優れている。
本発明の二酸化塩素発生具は、台所及び浴室の排水口への設置後に二酸化塩素を温和な条件により徐放する。ヒトの存在する空間(生活空間)であっても二酸化塩素ガスの不快な臭いを感じさせず、長期間にわたり排水口及びその近傍の二酸化塩素濃度を維持し続けることができる。そのため、特に窪状空間における水分過剰環境下の微生物によるぬめり等の汚れ対策において有効である。
1,1A,1B 二酸化塩素発生具
10,10a,10b 容器本体
11,11a,11b 第1容器体
12,12a,12b 第2容器体
13 細孔
14 フランジ部
15 二酸化塩素発生剤
16 内部空間
17 第1容器体の開口部
18 第2容器体の開口部
21 封止部材
22 封止ピン
23 被覆部材

Claims (11)

  1. 排水口に設置される二酸化塩素発生具であって、
    前記二酸化塩素発生具は、
    亜塩素酸塩と、pH調整剤と、吸水剤と、を含有する二酸化塩素発生剤が熱可塑性樹脂の成型体からなる容器本体に収容され、
    前記容器本体に細孔が1個以上形成され、前記細孔1個当たりの開口面積は0.02ないし15mm以下である
    ことを特徴とする二酸化塩素発生具。
  2. 前記容器本体は、第1容器体及び第2容器体の互いの開口部分同士を組み合わせて形成される請求項1に記載の二酸化塩素発生具。
  3. 前記細孔は前記第1容器体または前記第2容器体のいずれか一方に形成される請求項2に記載の二酸化塩素発生具。
  4. 前記細孔は2個以上であって、前記細孔は前記第1容器体及び前記第2容器体の両方に形成される請求項2に記載の二酸化塩素発生具。
  5. 前記細孔の前記容器本体側に、前記細孔を封止する封止部材が備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  6. 前記細孔に挿通されて封止する封止ピンが備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  7. 前記細孔を被覆する被覆部材が備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  8. 前記pH調整剤が固体の有機酸である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  9. 前記吸水剤がゲル化剤である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  10. 前記二酸化塩素発生剤に増量剤が混合されている請求項1ないし9のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
  11. 前記二酸化塩素発生剤に乾燥剤が配合されている請求項1ないし10のいずれか1項に記載の二酸化塩素発生具。
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