以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
図1は、実施形態にかかる渋滞予測情報提供システム10と、渋滞予測情報提供システム10により予測される渋滞の予測情報の出力先である情報出力装置12の詳細を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
渋滞予測情報提供システム10は、主として現在の交通状況を示す現在状況情報(例えば、現在の渋滞情報等)および、将来(例えば、数分先、数時間先、数日先等)の将来状況情報(例えば、将来の渋滞予測情報等)の作成に必要なデータを入手し、各情報出力装置12で出力可能な提供情報(予測情報等)を作成するものである。
渋滞予測情報提供システム10は、現在状況情報および将来状況情報の作成対象(渋滞予測対象)となる対象道路区間に関する情報を道路情報データベース14から入手することが可能である。渋滞予測情報提供システム10は、道路情報データベース14から、例えば、道路の位置情報、幅情報、車線数情報、カーブ情報、勾配情報、分岐情報、交差点情報等を入手可能である。
渋滞予測情報提供システム10は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のコンピュータ資源を有している。渋滞予測情報提供システム10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
渋滞予測情報提供システム10は、路側センサ情報取得部16、周辺情報取得部18、イベント・天候情報取得部20、渋滞判定・所要時間作成処理部22、渋滞予測処理部24、出力部26等のモジュールを備える。
路側センサ情報取得部16は、道路交通状況情報(現在状況情報、将来状況情報)の作成対象となる道路(対象道路区間)の路側等に設置された複数の車両感知器等の路側センサからの路側センサ情報を逐次取得する。車両感知器は、対象道路区間における所定の基準地点(車線が複数ある場合、車線毎)に設置されている。そして、車両感知器は、基準地点を通過した車両の台数(車線毎に設置されている場合は通過台数の合計台数)の情報である通過台数情報を路側センサ情報として出力する。車両感知器は、例えば、路面下に設置されるループコイルや、路面を上方から監視するカメラや、路側に設置される超音波センサ等の少なくともいずれか、またはいくつかの組み合わせによって構成され得る。
周辺情報取得部18は、対象道路区間における事故や工事、通行止め等、渋滞の原因となり得る周辺情報を取得する。周辺情報は、事故、工事、通行止め等の位置情報(始まり位置情報、終了位置情報等)を含むことができる。また、事故の場合、事故の発生時刻、事故処理終了時刻、閉鎖車線情報等を含むことができる。工事の場合、工事開始時刻、終了時刻、工事期間が設定されている場合、工事期間中の閉鎖車線情報等を含むことができる。通行止めの場合、通行止めの開始時刻、終了時刻、車線の一部通行止めの場合、通行止めの車線情報等を含むことができる。
ここで、事故や工事、通行止め等の関する情報は、例えば、外部システムから逐次提供されてもよいし、道路管制官等が情報入力端末から入力するようにしてもよい。
イベント・天候情報取得部20は、対象道路区間の渋滞を招くようなイベントの有無やイベント規模、イベントの期間等の情報を取得する。なお、対象道路期間とイベント会場が離れている場合でも、イベント来場者が対象道路区間を利用すれば、渋滞が発生する場合がある。逆に、対象道路期間とイベント会場が近い場合でもイベント来場者が対象道路区間を利用しなければ(対象道路区間とイベント会場とを接続する道路が存在しない場合等)、渋滞は発生しない。従って、イベント・天候情報取得部20は、対象道路期間と他の道路との位置関係やイベント内容等に応じた情報を取得することができる。イベント情報は、外部システムから逐次提供されてもよいし、道路管制官等が情報入力端末から入力するようにしてもよい。
また、イベント・天候情報取得部20は、対象道路区間およびその周辺の天候情報を逐次取得する。天候の変化は、対象道路区間の交通状況、例えば区間平均速度に影響する場合がある。天候情報は、外部システムから逐次提供されてもよいし、道路管制官等が情報入力端末から入力するようにしてもよい。なお、イベント・天候情報取得部20は、イベント情報、天候情報等の現在の情報に加え、数時間先、数日先等の将来の情報も取得することができる。
渋滞判定・所要時間作成処理部22は、路側センサ情報取得部16,周辺情報取得部18、イベント・天候情報取得部20で取得した各情報に基づき、対象道路区間の現在の交通状況、例えば、渋滞の有無、渋滞の範囲、渋滞区間を通過するために必要な所要時間等を算出する。この場合、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、路側センサ情報取得部16の取得した路側センサ値に基づき、対象道路区間の現時点の区間交通量や区間平均速度、区間交通密度等を算出する。そして、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、周知の判定技術で用いる渋滞判定閾値等を参照し、区間渋滞度、渋滞区間を通過するための所要時間等を決定して、現在交通状況(渋滞情報)を作成する。
また、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、周辺情報取得部18が取得した事故や工事、通行止め等の情報を現在交通状況に関連付けてもよいし、イベント・天候情報取得部20が取得したイベント情報、天候情報等を現在交通状況に関連付けてもよい。
渋滞予測処理部24は、渋滞判定・所要時間作成処理部22が算出した現在状況情報と対象道路区間の過去の交通状況を示す過去状況情報とに基づき、対象道路区間の所定時間だけ将来の交通状況を示す将来状況情報を予測する予測部として機能する。
図2は、渋滞予測処理部24の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。渋滞予測処理部24は、将来状況情報を作成するためのモジュールとして、情報取得部24a、学習部24b、予測部24c等を備える。
上述したように、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、対象道路区間の車両感知器から得られる現在状況情報(区間交通量、区間平均速度、区間交通密度等)、現在及び将来の天候情報(天候、気温、降水量等)、イベント情報(花火大会、レジャー施設のイベント等の各種行事等)、対象道路区間における事故、工事、通行止め等の情報が入力される。
情報取得部24aは、渋滞判定・所要時間作成処理部22が取得した情報を、時刻情報やカレンダー情報とともに、逐次取得する。なお、情報取得部24aは、路側センサ情報取得部16、周辺情報取得部18、イベント・天候情報取得部20から各情報を直接取得してもよい。
学習部24bは、例えば、周知の機械学習による作成手法を用いて予測モデルを作成し、予測部24cは、学習部24bが作成した予測モデルに現在状況情報を適用することにより、将来状況情報を取得する。
図3は、学習部24bで実行される学習処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
まず、学習部24bでは、渋滞判定・所要時間作成処理部22から入力される対象道路区間における、ある時刻の交通状況を示す道路交通状況情報(区間交通量、区間平均速度、区間交通密度等)を取得する。また、学習部24bは、ある時刻の交通状況の結果として所定時間経過後の生じている交通状況(区間交通量、区間平均速度、区間交通密度等の実測情報)を取得する(S100)。
そして、取得したある時間の道路交通状況情報と所定時間経過後の道路交通状況情報との関連付けを行い、予測モデルを作成する(S102)。そして、作成した予測モデルを学習部24bの内部に保存する(S104)。
学習部24bでは、渋滞判定・所要時間作成処理部22から逐次入力される各種情報を予測モデルに入力して、予測値を算出する。例えば、学習部24bは情報取得部24aを介して、時刻情報の他、対象道路区間の道路交通状況情報として、例えばカレンダー情報、イベント情報、天候情報、区間交通量、区間平均速度、区間交通密度、事故、工事、通行止め情報とを取得する。これらの情報を予測モデルに入力し、例えば、区間平均速度(予測値)と区間交通量(予測値)を算出する。
また、学習部24bは、予測モデルで設定された所定時間経過後の対象道路区間の区間平均速度(実測値)と区間交通量(実測値)を渋滞判定・所要時間作成処理部22から取得する。そして、学習部24bは、実測値としての区間平均速度と区間交通量の予測値としての区間平均速度と区間交通量との誤差が小さくなるように、予測モデルのパラメータを学習し、当該予測モデルを更新する(S106)。この更新処理を複数回実行することにより、予測モデルの精度を向上させる。
図4は、予測部24cで実行される予測処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
例えば、予測部24cは情報取得部24aを介して、現在の時刻情報の他、対象道路区間の道路交通状況情報として、例えばカレンダー情報、イベント情報、天候情報、区間交通量、区間平均速度、区間交通密度、事故、工事、通行止め情報とを取得する(S200:取得ステップ)。
これらの情報を予測モデルに入力し、例えば、所定時間後の区間平均速度(予測値)と区間交通量(予測値)を算出する(S202:予測ステップ)。予測部24cは、算出したこの予測結果を渋滞判定・所要時間作成処理部22に出力して(S204)、後述する対象道路区間の渋滞度や所要時間、渋滞解消見込時間、渋滞区間を回避可能な代替経路等の将来状況情報を各情報出力装置12で出力可能な出力フォーマットに変換させる。
出力部26は渋滞判定・所要時間作成処理部22で作成された、各情報出力装置12で出力可能な出力フォーマットによる予測結果(将来状況情報)を各情報出力装置12の情報提供要求にしたがい出力させる(出力ステップ)。情報出力装置12における出力態様の詳細は後述する。
続いて、図5を用いて渋滞判定・所要時間作成処理部22の処理の具体例を説明する。
図5は、現時点の渋滞度及び渋滞を通過するために必要な所要時間情報の作成および、渋滞度及び所要時間情報に基づく各情報出力装置12に提供する提供情報の作成の流れを示す例示的なフローチャートである。
渋滞判定・所要時間作成処理部22は、路側センサ情報取得部16から対象道路区間毎の路側センサ情報とその情報を取得した時刻情報を取得する(S300)。そして、取得した路側センサ情報と時刻情報を、対象道路区間毎に集計、演算することにより、対象道路区間毎の区間平均交通量、区間平均速度、区間交通密度等の交通データを作成する(S302)。そして、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、作成された区間平均速度と、渋滞度の程度を決定する渋滞度閾値との比較により、対象道路区間毎の現時点の渋滞度情報を作成する。
渋滞判定・所要時間作成処理部22は、区間平均速度が、例えば、15km/h以上の場合は「渋滞なし」と決定し、30km/h未満〜15km/h以上の場合は「渋滞」、15km/h未満なら「停滞」等に決定して渋滞の程度を区分けする。そして、渋滞の程度を表示する場合、例えば「渋滞なし」は「緑色:G」で表示し、「渋滞」は「黄色:Y」で表示し、「停滞」は「赤色:R」で表示して、容易に識別可能な渋滞度情報を作成する(S304)。
また、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、対象道路区間毎の距離を、当該対象道路区間に対応する区間平均速度で除算することにより、現時点での対応道路区間毎にその区間を通過するのに必要な「所要間情報」を作成する(S306)。
そして、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、S302で作成した渋滞度情報と、S306で作成した所要時間情報とを関連付けて各情報出力装置12で提供可能な提供情報を作成し(S308)、このフローを一旦終了する。
なお、S304とS306の処理は、いずれもS302で算出した、各対応道路区間の交通データに基づき個別に実行可能である。したがって、図5におけるS304とS306の処理順序は便宜上示したもので、処理順序はいずれが先でもよいし、並列処理的に実行してもよい。
続いて、図6、図7を用いて、渋滞判定・所要時間作成処理部22と渋滞予測処理部24の連携による処理の具体例を説明する。
図6は、渋滞判定・所要時間作成処理部22と渋滞予測処理部24とが連携して、対象道路区間の所定時間だけ将来の交通状況を示す将来状況情報としての渋滞解消見込み時間情報、その渋滞解消見込み時間に基づく各情報出力装置12に提供する提供情報を作成する流れを示す例示的なフローチャートである。
渋滞判定・所要時間作成処理部22は、路側センサ情報取得部16から対象道路区間ごとの路側センサ情報とその情報を取得した時刻情報を取得し(S400)、対象道路区間毎に集計、演算することにより、対象道路区間毎の区間平均交通量、区間平均速度、区間交通密度等の交通データを作成する(S402)。そして、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、作成された区間平均速度と、渋滞度の程度を決定する渋滞度閾値と、の比較により、対象道路区間毎の現時点の渋滞度(RYG)情報を作成する(S404)。
また、渋滞予測処理部24(予測部24c)は、対象道路区間を含む複数の対象道路区間の現時点の道路情報を取得し(取得ステップ)、対象道路区間毎の区間交通量および区間平均速度の予測情報を取得(算出)する(S406:予測ステップ)。そして、渋滞判定・所要時間作成処理部22は、S406で算出した対象道路区間毎の区間交通量および区間平均速度の予測情報に基づき、対象道路区間毎の所定時時間経過後の渋滞度(RYG)の予測情報を作成する(S408)。
続いて、渋滞予測処理部24(予測部24c)は、S404で算出した現時点の渋滞度(RYG)情報とS408で算出した所定時時間経過後の渋滞度(RYG)の予測情報とに基づき、渋滞解消見込み時間情報を作成する(S410:予測ステップ)。渋滞解消見込み時間は、現時点の渋滞度(RYG)情報に対して、渋滞度(RYG)の予測情報が、「渋滞なし」を示すまでの時間、例えば、区間平均速度が15km/h以上となる渋滞度(RYG)情報となるまでの時間を求めることで決定することができる。
そして、出力部26は、S410で作成した渋滞解消見込み時間と、S408で作成した対象道路区間毎の渋滞度(RYG)情報とを関連付けて各情報出力装置12で提供可能な提供情報を作成し(S412)、このフローを一旦終了する。
すなわち、出力部26は、将来における渋滞度情報と渋滞解消見込み時間とを情報出力装置12に出力し、表示させることができる(出力ステップ)。
なお、図6のフローチャートにおいて、S404の処理と、S406及びS408の処理は、いずれもS402で算出した、各対応道路区間の交通データに基づき個別に実行可能な処理である。したがって、図6におけるS404の処理とS406及びS408の処理の順序は便宜上示したもので、処理順序はいずれが先でもよいし、並列処理的に実行されてもよい。
図7は、渋滞判定・所要時間作成処理部22と渋滞予測処理部24とが連携して、現在位置から目的値まで到達できる最速の代替経路、その代替経路に基づく各情報出力装置12に提供する提供情報を作成する流れを示す例示的なフローチャートである。
渋滞判定・所要時間作成処理部22は、路側センサ情報取得部16から対象道路区間毎の路側センサ情報とその情報を取得した時刻情報を取得する(S500)。そして、取得した路側センサ情報と時刻情報とを、対象道路区間毎に集計、演算することにより、対象道路区間毎の区間平均交通量、区間平均速度、区間交通密度等の交通データを作成する(S502)。
続いて、渋滞予測処理部24(予測部24c)は、対象道路区間を含む複数の対象道路区間の現時点の道路情報を取得し(取得ステップ)、対象道路区間毎の区間交通量および区間平均速度の予測情報を取得(算出)する(S504:予測ステップ)。
そして、渋滞予測処理部24(予測部24c)は、例えば、道路利用者によって指定された出発地、出発時間、目的地を取得し、出発地から目的地に至る最短の経路の所要時間に関する予測情報及び出発地から目的地に至る他の経路の所要時間に関する予測情報を対象道路区間毎の区間交通量および区間平均速度の予測情報に基づいて作成する(S506:予測ステップ)。
そして、渋滞予測処理部24(予測部24c)は、複数の経路の所要時間を比較し、最速で目的地に至る、最短経路に変わる代替経路情報を作成する(S508:予測ステップ)。そして、出力部26は、S506で作成した各経路の所要時間と、S508で作成した最速で目的地に到達する代替経路も基づき、各情報出力装置12で提供可能な提供情報を作成し(S510)、このフローを一旦終了する。
つまり、出力部26は、出発地から目的値に至る複数の経路、つまり、最短経路や最速経路等を情報出力装置12に出力して表示させることができる(出力ステップ)。
図1に戻り、情報出力装置12は、例えば、管制情報提供システム28、道路情報板30、ハイウェイテレフォン32、ハイウェイ情報ターミナル34,端末装置36、カーナビゲーションシステム38等含む。渋滞予測情報提供システム10の出力部26は、情報出力装置12に含まれる装置の少なくとも一つに、現在状況情報や将来状況情報を含む情報を提供する。
管制情報提供システム28は、高速道路やその関連道路等の管制を統括するシステムであり、交通管制室で交通管制官が認識可能な状態で、対象道路区間の交通に関する現在状況情報及び将来状況情報等を表示する管制情報提供部としての大型のディスプレイ装置28Mを備える。
道路情報板30は、高速道路や一般道路等の対象道路区間を含む道路の路肩や道路を跨ぐ状態で道路上方に設置される。道路情報板30は、主に文字表示により現在状況情報や将来状況情報等を表示可能な表示装置である。
ハイウェイテレフォン32は、公衆回線により音声情報として提供する音声情報提供部である。ハイウェイテレフォン32は、道路利用者等が携帯する携帯電話や例えばサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)等に設置された公衆電話や専用電話等で発呼することにより、現在状況情報や将来状況情報等を音声情報として提供する装置である。
ハイウェイ情報ターミナル34は、サービスエリアやパーキングエリア等に設けられた情報提供装置であり、例えばサービスエリアやパーキングエリアを中心とした広範囲の現在状況情報や将来状況情報等を道路利用者の操作にしたがい表示したり、関連する音声情報を提供したりすることが可能な装置である。
端末装置36は、道路利用者が利用可能な携帯電話やスマートフォン、タブレット等で、所定のウエブページにアクセスすることで、現在状況情報や将来状況情報等を道路利用者の操作にしたがい表示したり、関連する音声情報を提供したりすることが可能な装置である。
カーナビゲーションシステム38は、道路利用者が乗車する車両に備えられ、GPS(Global Positioning System)により特定される自車位置に基づき、その周辺の道路に関する現在状況情報や将来状況情報等を取得し道路利用者に提供する可能な装置である。
図8は、渋滞予測情報提供システム10により算出される将来状況情報等の予測情報を、情報出力装置12に含まれる管制情報提供システム28のディスプレイ装置28Mに表示する場合の処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
管制情報提供システム28は、交通管制室の交通管制官に、ディスプレイ装置28Mに表示させたい対象道路区間を含む出発地及び目的地、出発時間等の情報を、ヒューマンインターフェースを介して指定させる(S600)。管制情報提供システム28は、指定された出発地及び目的地、出発時間等の情報を渋滞予測情報提供システム10に提供する。
渋滞予測情報提供システム10は、出発地及び目的地、出発時間等に基づき、対象道路区間を決定するするとともに、路側センサ情報取得部16から車両感知器が検知した現時点の車両通過台数等の交通データを取得する(取得ステップ)。また、周辺情報取得部18が取得する対象道路区間における事故や工事、通行止め等の周辺情報や、イベント・天候情報取得部20が取得する対象道路区間の渋滞を招くようなイベント情報や天候情報等を取得する(取得ステップ)。
そして、渋滞予測情報提供システム10は、出発地及び目的地、出発時間に対する渋滞予測結果(各区間の渋滞度情報や所要時間情報等)を算出し(S602:予測ステップ)、管制情報提供システム28側に渋滞予測結果等の将来状況情報等の情報を出力する(出力ステップ)。
管制情報提供システム28は、取得した渋滞予測結果に含まれる情報、例えば、目的地までの経路、各区間の渋滞度、全体の所要時間等をディスプレイ装置28Mに表示することができる。このように、管制情報提供システム28では、出発地、目的地及び出発時間を入力することで目的地までの経路や所要時間を確認できたり、予測結果を出力したい時間帯を選択することで各区間の渋滞度を確認できたりする。その結果、将来状況情報を道路管理官の様々な運用に役立てることができる。
図9は、情報出力装置12の一例としての管制情報提供システム28のディスプレイ装置28Mに表示される予測情報(渋滞予測結果等)を含む提供情報の例示的かつ模式的な図である。
図9の上段に示される表示画面28aは、例えば、現時点における渋滞位置、渋滞度、及び渋滞範囲を示す。表示画面28aの場合、対象道路区間の道路40として、例えば、道路40a、道路40aに接続されている道路40b、さらに道路40bに接続されている道路40cが示されている。また、表示画面28aでは、渋滞度情報42として、道路40aに渋滞42m(区間平均速度15km/h以上、30hm/h未満)が発生していることが示され、道路40cに停滞42n(区間平均速度15km/h未満)が示されている。
図9の中段に示される表示画面28bは、例えば、N分後における渋滞位置、渋滞度、及び渋滞範囲を示す。表示画面28bの場合、道路40aに発生している渋滞42m及び道路40cに発生している停滞42nの範囲がN分後には拡大(長くなっている)ことが示されている。
図9の下段に示される表示画面28cは、例えば、M時間後における渋滞位置、渋滞度、及び渋滞範囲を示す。表示画面28cの場合、道路40aに発生していた渋滞42mは解消されている。一方、道路40cに発生している停滞42nはさらに範囲が拡大(長くなっている)していることが示されている。
このように、管制情報提供システム28を操作する道路管制官は、渋滞予測情報提供システム10によって提供される予測情報に基づいて、ディスプレイ装置28Mに、渋滞度の予測情報を、予測したい時間を選択した上で表示させることができる。
また、ディスプレイ装置28Mにおいて、現時点あるいは将来に渋滞が発生すると予測される場合に、その渋滞の解消見込時間を渋滞予測情報提供システム10によって予測させて表示させることができる。
また、ディスプレイ装置28Mにて、出発地点、出発時間、目的地を選択した上で、最短経路と所要時間の予測情報を表示させたり、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路とその所要時間を表示させたりすることができる。
このように、管制情報提供システム28のディスプレイ装置28Mに、渋滞予測情報提供システム10の算出した予測情報を表示させることにより、将来(予測)の渋滞状況を表示できるようにし、交通管制業務の計画を立て易くすることができるとともに、業務効率化につなげることができる。例えば、渋滞させないように、高速道路の入口閉鎖の計画を企てることや、渋滞箇所で交通事故が発生しないように、道路利用者への注意喚起ができる。注意喚起は、例えば、パトロールカーの巡回による情報提供や道路情報板30等に交通事故多発エリア情報として提供等により行うことができる。
図10は、情報出力装置12の一例としての道路情報板30に表示される、渋滞予測情報提供システム10で算出した予測情報(渋滞予測結果等)を含む提供情報の例示的かつ模式的な図である。
表示内容30aは、例えば、現時点における渋滞位置、渋滞長、その渋滞を通過するための所要時間等が表示されている。表示内容30aの場合、Aic(Aインターチェンジ)〜Bic(Bインターチェンジ)の間で10kmの渋滞が発生し、その渋滞の通過には30分程度必要であることが示されている。
表示内容30bは、現在発生している渋滞情報に加え、渋滞予測情報提供システム10の算出した予測結果として、その渋滞の解消見込時間が表示されている例である。すなわち、現時点では、渋滞の通過には30分必要となるが、20分後には、その渋滞は解消する見込みであることが示される。
表示内容30cは、将来に渋滞が発生すると渋滞予測情報提供システム10で予測される場合の渋滞予測情報と、その渋滞の解消見込時間が表示される例である。表示内容30cの場合、Aic(Aインターチェンジ)〜Bic(Bインターチェンジ)の間で、15分後に10kmの渋滞が発生し、その渋滞の通過には30分程度必要であることが示されている。また、その渋滞の解消見込みは、50分後であることが示されている例である。
表示内容30dは、将来に渋滞が発生すると渋滞予測情報提供システム10で予測される場合の渋滞予測情報と、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路がある場合、その経路と所要時間を表示する例である。表示内容30dの場合、Aic(Aインターチェンジ)〜Bic(Bインターチェンジ)の間で、15分後に10kmの渋滞が発生し、その渋滞の通過には30分程度必要であるが、Cic(Cインターチェンジ)を経由すれば、同じ目的に20分で到達できる可能性があることが示されている。
表示内容30eは、渋滞予測情報提供システム10で予測された渋滞発生見込み情報を提供し、周辺のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)の利用検討を促す表示例である。表示内容30eの場合、この先で、30分後に渋滞が発生する見込みがあるので、CSA(Cサービスエリア)を利用して時間調整を行い、渋滞を回避することを勧めす例である。
このように、渋滞における渋滞長と所要時間を提供するだけではなく、渋滞予測情報提供システム10で予測された将来状況情報を提供することにより、道路利用者の運転計画の立案を行い易くすることができる。なお、渋滞予測情報提供システム10の出力部26は、道路情報板30に表示内容30b〜30e等の複数の予測情報を提供する場合、所定の順番で表示してもよいし、対象道路区間の位置に基づいて、複数の予測情報の提供優先度を決定して表示するようにしてもよい。例えば、Cicを利用可能な位置の場合、表示内容30dを優先的に表示してもよい。また、CSAの手前の場合、表示内容30eを優先的に表示するようにしてもよい。つまり、道路利用者にとって有用度の高い表示を優先的に行うことで、渋滞予測情報提供システム10の算出した予測情報を効率的に利用させ易くすることができる。
図11は、ハイウェイテレフォン32、ハイウェイ情報ターミナル34、端末装置36、カーナビゲーションシステム38の操作と、渋滞予測情報提供システム10で予測された将来状況情報(予測情報)の提供の様子を示す例示的かつ模式的な図である。
ハイウェイテレフォン32は、所定の電話番号を入力して発呼することにより操作案内(例えば音声案内)を再生させて、操作案内にしたがって現在走行(利用)している路線(道路や地域等)を番号入力等によって選択させる。
ハイウェイテレフォン32は、選択された路線(道路)に関する情報として、例えば、現在交通状況と、渋滞予測情報提供システム10で予測された例えばN分後分後の将来状況情報等を放送する。例えば、現在発生している渋滞情報と、その渋滞の解消見込時間を提供したり、将来に渋滞が発生すると予測される場合の渋滞予測情報と、その渋滞の解消見込時間等を提供したりすることができる。
また、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路がある場合、その経路と所要時間を提供したり、渋滞予測情報で特定される対象道路区間と、渋滞を回避するための周辺のサービスエリアやパーキングエリアの利用検討を促したりする放送を提供することができる。
なお、ハイウェイテレフォン32で提供する内容は、道路情報板30で提供する内容と同じでもよい。この場合、道路利用者が自ら必要とする内容を選択的に放送させることができるので、道路利用者に効率的に渋滞予測情報提供システム10の算出した将来状況情報等を提供することができる。
ハイウェイ情報ターミナル34は、サーブスエリアやパーキングエリアで、渋滞予測情報提供システム10で予測された渋滞度の予測情報を、予測したい区間や時間を選択させた上で表示部34aに表示することができる。例えば、N分後の状況の表示を選択させることで、N分後の交通状況を表示部34aに表示することができる。
また、ハイウェイ情報ターミナル34は、現在あるいは将来に渋滞が発生すると渋滞予測情報提供システム10で予測される場合に、その渋滞の解消見込時間を表示部34a表示することもできる。
また、ハイウェイ情報ターミナル34は、道路利用者に、出発地、出発時間、目的地を選択させた上で、最短経路と所要時間の予測情報を表示部34aに表示することもできる。
さらに、ハイウェイ情報ターミナル34は、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路とその所要時間を渋滞予測情報提供システム10による予測に基づいて表示部34aに表示することもできる。
なお、ハイウェイ情報ターミナル34の表示部34aに表示する内容は、管制情報提供システム28のディスプレイ装置28Mに表示する内容と同等の内容であってもよいし、道路利用者が理解し易いように内容が整理されたり、簡略化されたりした内容でもよい。
端末装置36(例えば、スマートフォン等)、は、インストールされた所定のアプリケーションを実行させることにより、渋滞予測情報提供システム10の算出結果を利用して、今後(将来)の渋滞状況や、所要時間、解消見込み時間等を選択させ、表示させことができる。例えば、端末装置36は、道路利用者Wにアプリケーションを介して、例えば「N分後の状況」を選択させることにより、端末装置36の画面上に渋滞予測情報提供システム10が算出したN分後の状況を表示させたり、スピーカーから音声情報として出力させたりすることができる。
端末装置36は、例えば、現在発生している渋滞情報と、渋滞予測情報提供システム10が算出した渋滞の解消見込時間を表示することができる。
また、端末装置36は、将来に渋滞が発生すると渋滞予測情報提供システム10が予測した場合の渋滞予測情報と、その渋滞の解消見込時間を表示することができる。
また、端末装置36は、渋滞予測情報提供システム10の算出結果を用いて、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路がある場合、その経路と所要時間を表示することができる。
さらに、端末装置36は、渋滞予測情報提供システム10が算出した渋滞発生見込み情報を提供するとともに、その周辺のサービスエリアやパーキングエリアの利用検討を促す情報を提供することができる。
なお、端末装置36で提供する内容は、道路情報板30で提供する内容と同じでもよい。この場合、道路利用者が自ら必要とする内容を選択的に放送させることができるので、道路利用者に渋滞予測情報提供システム10の算出した将来状況情報等の情報を効率的に提供することができる。
カーナビゲーションシステム38は、渋滞予測情報提供システム10の算出結果を利用して、今後(将来)の渋滞状況や、所要時間、解消見込み時間等を選択させ、表示させることができる。例えば、カーナビゲーションシステム38は、リモコンやタッチスクリーンで構成される入力装置を備える表示部38aからの入力を受け付けることにより、例えば「N分後の状況」を選択させることができる。そして、カーナビゲーションシステム38の表示部38a上に渋滞予測情報提供システム10が算出したN分後の状況を表示させたり、スピーカーから音声情報として出力させたりすることができる。
例えば、カーナビゲーションシステム38は、現在発生している渋滞情報と、その渋滞の解消見込時間を表示したり、将来に渋滞が発生すると渋滞予測情報提供システム10が予測した場合の渋滞予測情報と、その渋滞の解消見込時間を表示したりすることができる。
また、カーナビゲーションシステム38は、渋滞予測情報提供システム10の算出結果に基づき、目的地までの最短経路よりも、所要時間が短くなる代替経路がある場合、その経路と所要時間を表示することができる。
また、カーナビゲーションシステム38は、渋滞予測情報提供システム10が算出した渋滞発生見込み情報を提供するとともに、その周辺のサービスエリアやパーキングエリアの利用検討を促す情報を提供することができる。
なお、端末装置36で提供する内容は、道路情報板30で提供する内容と同じでもよい。この場合、道路利用者が自ら必要とする内容を選択的に放送させることができるので、渋滞予測情報提供システム10の算出した将来状況情報等の情報を道路利用者に効率的に提供することができる。
このように、渋滞予測情報提供システム10の将来状況情報等の予測情報の出力先として、ハイウェイテレフォン32、ハイウェイ情報ターミナル34、端末装置36、カーナビゲーションシステム38等を用いて道路利用者に予測情報を提供することで、道路利用者に、経路選択、目的地点への到着予定時刻の把握等を行い易くさせることができる。例えば、観光シーズンや帰省シーズン等で長時間の渋滞が予測される場合には、渋滞発生が予想される時刻を確認することで、サービスエリアやパーキングエリアの休憩地点からの出発時刻検討ができることに加え、渋滞に突入する前にサービスエリアやパーキングエリアを利用する検討ができるような情報提供も可能となる。
なお、図1においては、管制情報提供システム28と渋滞予測情報提供システム10とを別々に配置する例を示しているが、別の実施形態では、渋滞予測情報提供システム10は、管制情報提供システム28と一体的に構成されてもよい。
また、図1で示す情報出力装置12は、一例であり、渋滞予測情報提供システム10の算出した将来状況情報等の予測情報の出力ができれば、他の出力装置を用いてもよく、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図9〜図11に示した出力例は一例であり、道路利用者に適切な情報の提供ができれば、出力内容は適宜変更可能であり、情報の有効利用を行わせることができる。
本実施形態の渋滞予測情報提供システム10のCPUで実行される渋滞予測情報提供プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、渋滞予測情報提供プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される渋滞予測情報提供プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。