以下、添付図面を参照して、本願の開示する検査装置、接合システムおよび検査方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
従来、半導体ウェハなどの基板同士を接合した重合基板の接合界面に発生したボイドを検査する手法が知られている。
しかしながら、従来技術では、重合基板の内部に酸化膜や金属膜が形成されていた場合、これらの膜で検査光である赤外光が吸収または反射されてしまうため、接合界面のボイドを精度よく検出することが困難であった。
そこで、上述の問題点を克服し、接合界面に発生したボイドを精度よく検出することができる技術の実現が期待されている。
<接合システムの構成>
まず、実施形態に係る接合システム1の構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る接合システム1の構成を示す模式平面図であり、図2は、同模式側面図である。また、図3は、実施形態に係る上ウェハおよび下ウェハの模式側面図である。なお、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きをZ軸の正方向とする直交座標系を示す場合がある。
図1に示す接合システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合することによって重合基板Tを形成する。
第1基板W1は、たとえばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板である。また、第2基板W2は、たとえば電子回路が形成されていないベアウェハである。第1基板W1と第2基板W2とは、略同径を有する。なお、第2基板W2に電子回路が形成されていてもよい。
以下では、第1基板W1を「上ウェハW1」と記載し、第2基板W2を「下ウェハW2」し、重合基板Tを「重合ウェハT」と記載する。すなわち、上ウェハW1は第1基板の一例であり、下ウェハW2は第2基板の一例であり、重合ウェハTは重合基板の一例である。また、上ウェハW1と下ウェハW2とを総称する場合、「ウェハW」と記載する場合がある。
また、以下では、図3に示すように、上ウェハW1の板面のうち、下ウェハW2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、下ウェハW2の板面のうち、上ウェハW1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
図1に示すように、接合システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2および処理ステーション3は、X軸正方向に沿って、搬入出ステーション2および処理ステーション3の順番で並べて配置される。また、搬入出ステーション2および処理ステーション3は、一体的に接続される。
搬入出ステーション2は、載置台10と、搬送領域20とを備える。載置台10は、複数の載置板11を備える。各載置板11には、複数枚(たとえば、25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。たとえば、カセットC1は上ウェハW1を収容するカセットであり、カセットC2は下ウェハW2を収容するカセットであり、カセットC3は重合ウェハTを収容するカセットである。
搬送領域20は、載置台10のX軸正方向側に隣接して配置される。かかる搬送領域20には、Y軸方向に延在する搬送路21と、この搬送路21に沿って移動可能な搬送装置22とが設けられる。
搬送装置22は、Y軸方向だけでなく、X軸方向にも移動可能かつZ軸周りに旋回可能である。そして、搬送装置22は、載置板11に載置されたカセットC1〜C3と、後述する処理ステーション3の第3処理ブロックG3との間で、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTの搬送を行う。
なお、載置板11に載置されるカセットC1〜C3の個数は、図示のものに限定されない。また、載置板11には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合が生じた基板を回収するためのカセットなどが載置されてもよい。
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数の処理ブロック、たとえば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。たとえば、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。
第1処理ブロックG1には、表面改質装置30と、検査装置50とが配置される。表面改質装置30は、上ウェハW1および下ウェハW2の接合面W1j、W2jを処理ガスのプラズマによって改質する。
表面改質装置30は、上ウェハW1および下ウェハW2の接合面W1j、W2jにおけるSiO2の結合を切断して単結合のSiOとすることで、その後親水化されやすくするように当該接合面W1j、W2jを改質する。
なお、表面改質装置30では、たとえば、減圧雰囲気下において所与の処理ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。そして、かかる処理ガスに含まれる元素のイオンが、上ウェハW1および下ウェハW2の接合面W1j、W2jに照射されることにより、接合面W1j、W2jがプラズマ処理されて改質される。表面改質装置30の詳細については後述する。
検査装置50は、上ウェハW1と下ウェハW2との接合時に重合ウェハTの接合界面Tj(図10参照)で発生したボイドV(図10参照)の有無や位置を検査する。検査装置50の詳細については後述する。
第2処理ブロックG2には、表面親水化装置40と、接合装置41とが配置される。表面親水化装置40は、たとえば純水によって上ウェハW1および下ウェハW2の接合面W1j、W2jを親水化するとともに、接合面W1j、W2jを洗浄する。
表面親水化装置40では、たとえばスピンチャックに保持された上ウェハW1または下ウェハW2を回転させながら、当該上ウェハW1または下ウェハW2上に純水を供給する。これにより、上ウェハW1または下ウェハW2上に供給された純水が上ウェハW1または下ウェハW2の接合面W1j、W2j上を拡散し、接合面W1j、W2jが親水化される。
接合装置41は、上ウェハW1と下ウェハW2とを接合する。かかる接合装置41の詳細については後述する。
第3処理ブロックG3には、図2に示すように、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTのトランジション(TRS)装置62、63が下から順に2段に設けられる。
また、図1に示すように、第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、搬送領域60が形成される。搬送領域60には、搬送装置61が配置される。搬送装置61は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。
かかる搬送装置61は、搬送領域60内を移動し、搬送領域60に隣接する第1処理ブロックG1、第2処理ブロックG2および第3処理ブロックG3内の所与の装置に上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTを搬送する。
また、接合システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、接合システム1の動作を制御する。かかる制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部5および記憶部6を備える。記憶部6には、接合処理などの各種処理を制御するプログラムが格納される。制御部5は、記憶部6に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって接合システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置4の記憶部6にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
<表面改質装置の構成>
次に、表面改質装置30の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、表面改質装置30の構成を示す模式断面図である。
図4に示すように、表面改質装置30は、内部を密閉可能な処理容器70を有する。処理容器70の搬送領域60(図1参照)側の側面には、上ウェハW1または下ウェハW2の搬入出口71が形成され、当該搬入出口71にはゲートバルブ72が設けられる。
処理容器70の内部には、ステージ80が配置される。ステージ80は、たとえば下部電極であり、たとえばアルミニウムなどの導電性材料で構成される。ステージ80の下方には、たとえばモータなどを備えた複数の駆動部81が設けられる。複数の駆動部81は、ステージ80を昇降させる。
ステージ80と処理容器70の内壁との間には、複数のバッフル孔が設けられた排気リング103が配置される。排気リング103により、処理容器70内の雰囲気が処理容器70内から均一に排気される。
ステージ80の下面には、導体で形成された給電棒104が接続される。給電棒104には、たとえばブロッキングコンデンサなどからなる整合器105を介して、第1の高周波電源106が接続される。プラズマ処理時には、第1の高周波電源106から所与の高周波電圧がステージ80に印加される。
処理容器70の内部には、上部電極110が配置される。ステージ80の上面と上部電極110の下面とは、互いに平行に、所与の間隔をあけて対向して配置されている。ステージ80の上面と上部電極110の下面との間隔は、駆動部81により調整される。
上部電極110は接地され、グランド電位に接続されている。このように上部電極110が接地されているため、プラズマ処理中、上部電極110の下面の損傷を抑制することができる。
そして、第1の高周波電源106から下部電極であるステージ80に、高周波電圧が印加されることにより、処理容器70の内部にプラズマが発生する。
実施形態において、ステージ80、給電棒104、整合器105、第1の高周波電源106、上部電極110、および整合器は、処理容器70内に処理ガスのプラズマを発生させるプラズマ発生機構の一例である。なお、第1の高周波電源106は、上述の制御装置4の制御部5によって制御される。
上部電極110の内部には中空部120が形成されている。中空部120には、ガス供給管121が接続されている。ガス供給管121は、内部に処理ガスや除電用ガスを貯留するガス供給源122に連通している。また、ガス供給管121には、処理ガスや除電用ガスの流れを制御するバルブや流量調整部などを含む供給機器群123が設けられている。
そして、ガス供給源122から供給された処理ガスや除電用ガスは、供給機器群123で流量制御され、ガス供給管121を介して、上部電極110の中空部120に導入される。処理ガスには、たとえば酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガスなどが用いられる。また、除電用ガスには、たとえば窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスが用いられる。
中空部120の内部には、処理ガスや除電用ガスの均一拡散を促進するためのバッフル板124が設けられている。バッフル板124には、多数の小孔が設けられている。上部電極110の下面には、中空部120から処理容器70の内部に処理ガスや除電用ガスを噴出させる多数のガス噴出口125が形成されている。
処理容器70には、吸気口130が形成される。吸気口130には、処理容器70の内部の雰囲気を所与の真空度まで減圧する真空ポンプ131に連通する吸気管132が接続される。
ステージ80の上面、すなわち上部電極110との対向面は、上ウェハW1および下ウェハW2よりも大きい径を有する平面視円形の水平面である。かかるステージ80の上面にはステージカバー90が載置され、上ウェハW1または下ウェハW2は、かかるステージカバー90の載置部91上に載置される。
<接合装置の構成>
次に、接合装置41の構成について、図5および図6を参照しながら説明する。図5は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式平面図であり、図6は、実施形態に係る接合装置41の構成を示す模式側面図である。
図5に示すように、接合装置41は、内部を密閉可能な処理容器190を有する。処理容器190における搬送領域60側の側面には、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTの搬入出口191が形成され、当該搬入出口191には開閉シャッタ192が設けられる。
処理容器190の内部は、内壁193によって搬送領域T1と処理領域T2に区画される。上述した搬入出口191は、搬送領域T1における処理容器190の側面に形成される。また、内壁193にも、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTの搬入出口194が形成される。
搬送領域T1のY軸負方向側には、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTを一時的に載置するためのトランジション200が設けられる。トランジション200は、たとえば2段に形成され、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTのいずれか2つを同時に載置することができる。
搬送領域T1には、搬送機構201が設けられる。搬送機構201は、たとえば鉛直方向、水平方向および鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有する。そして、搬送機構201は、搬送領域T1内、または搬送領域T1と処理領域T2との間で上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTを搬送する。
搬送領域T1のY軸正方向側には、上ウェハW1および下ウェハW2の水平方向の向きを調整する位置調整機構210が設けられる。かかる位置調整機構210では、図示しない保持部に吸着保持された上ウェハW1および下ウェハW2を回転させながら図示しない検出部で上ウェハW1および下ウェハW2のノッチ部の位置を検出する。
これにより、位置調整機構210は、当該ノッチ部の位置を調整して上ウェハW1および下ウェハW2の水平方向の向きを調整する。また、搬送領域T1には、上ウェハW1の表裏面を反転させる反転機構220が設けられる。
また、図6に示すように、処理領域T2には、上チャック230と下チャック231とが設けられる。上チャック230は、上ウェハW1を上方から吸着保持する。また、下チャック231は、上チャック230の下方に設けられ、下ウェハW2を下方から吸着保持する。
上チャック230は、図6に示すように、処理容器190の天井面に設けられた支持部材300に支持される。支持部材300には、下チャック231に保持された下ウェハW2の接合面W2jを撮像する図示しない上部撮像部が設けられる。かかる上部撮像部は、上チャック230に隣接して設けられる。
また、図5および図6に示すように、下チャック231は、当該下チャック231の下方に設けられた第1下チャック移動部310に支持される。第1下チャック移動部310は、後述するように下チャック231を水平方向(Y軸方向)に移動させる。また、第1下チャック移動部310は、下チャック231を鉛直方向に移動自在、且つ鉛直軸回りに回転可能に構成される。
図5に示すように、第1下チャック移動部310には、上チャック230に保持された上ウェハW1の接合面W1jを撮像する図示しない下部撮像部が設けられている。かかる下部撮像部は、下チャック231に隣接して設けられる。
また、図5および図6に示すように、第1下チャック移動部310は、当該第1下チャック移動部310の下面側に設けられ、水平方向(Y軸方向)に延伸する一対のレール315に取り付けられる。第1下チャック移動部310は、レール315に沿って移動自在に構成される。
一対のレール315は、第2下チャック移動部316に設けられる。第2下チャック移動部316は、当該第2下チャック移動部316の下面側に設けられ、水平方向(X軸方向)に延伸する一対のレール317に取り付けられる。
そして、第2下チャック移動部316は、レール317に沿って移動自在に、すなわち下チャック231を水平方向(X軸方向)に移動させるように構成される。なお、一対のレール317は、処理容器190の底面に設けられた載置台318上に設けられる。
次に、接合装置41における上チャック230と下チャック231の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、実施形態に係る接合装置41の上チャック230および下チャック231の構成を示す模式側面図である。
上チャック230は、略円板状であり、図7に示すように、複数、たとえば3つの領域230a、230b、230cに区画される。これらの領域230a、230b、230cは、上チャック230の中心部から周縁部(外周部)に向けてこの順で設けられる。領域230aは平面視において円形状を有し、領域230b、230cは平面視において環状形状を有する。
各領域230a、230b、230cには、図7に示すように上ウェハW1を吸着保持するための吸引管240a、240b、240cがそれぞれ独立して設けられる。各吸引管240a、240b、240cには、異なる真空ポンプ241a、241b、241cがそれぞれ接続される。このように、上チャック230は、各領域230a、230b、230c毎に上ウェハW1の真空引きを設定可能に構成されている。
上チャック230の中心部には、当該上チャック230を厚み方向に貫通する貫通孔243が形成される。この上チャック230の中心部は、当該上チャック230に吸着保持される上ウェハW1の中心部W1aに対応している。そして、貫通孔243には、基板押圧機構250の押圧ピン253が挿通するようになっている。
基板押圧機構250は、上チャック230の上面に設けられ、押圧ピン253によって上ウェハW1の中心部W1aを押圧する。押圧ピン253は、シリンダ部251およびアクチュエータ部252によって鉛直軸沿いに直動可能に設けられ、先端部において対向する基板(実施形態では上ウェハW1)をかかる先端部で押圧する。
具体的には、押圧ピン253は、後述する上ウェハW1および下ウェハW2の接合時に、まず上ウェハW1の中心部W1aと下ウェハW2の中心部W2aとを当接させるスタータとなる。
下チャック231は、略円板状であり、複数、たとえば2つの領域231a、231bに区画される。これらの領域231a、231bは、下チャック231の中心部から周縁部に向けてこの順で設けられる。そして、領域231aは平面視において円形状を有し、領域231bは平面視において環状形状を有する。
各領域231a、231bには、図7に示すように下ウェハW2を吸着保持するための吸引管260a、260bがそれぞれ独立して設けられる。各吸引管260a、260bには、異なる真空ポンプ261a、261bがそれぞれ接続される。このように、下チャック231は、各領域231a、231b毎に下ウェハW2の真空引きを設定可能に構成されている。
下チャック231の周縁部には、上ウェハW1、下ウェハW2および重合ウェハTが当該下チャック231から飛び出したり、滑落したりすることを防止するストッパ部材263が複数箇所、たとえば5箇所に設けられる。
また、接合装置41は、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとに対して、結露を抑制する結露抑制ガスGを吐出する結露抑制ガス吐出部270を有する。
実施形態において、結露抑制ガスGは、たとえば、ジュール・トムソン効果が高く、結露を抑制する効果のあるHeガスやArガス、Neガス、窒素ガスなどの不活性ガスを含む。また、結露抑制ガスGは、たとえば、水分含有量が少なく、結露を抑制する効果のある乾燥空気を含んでもよい。
結露抑制ガス吐出部270は、本体部271と、結露抑制ガス供給源272と、流量調節器273と、バルブ274とを有する。本体部271は、たとえば円環形状を有し、上チャック230の周縁部を取り囲むように配置される。
本体部271には、たとえば、環状の配管271aが設けられている。そして、かかる配管271aから、周方向に均等に配置された複数の吐出口271bが、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に向かうように形成されている。
また、本体部271の配管271aは、流量調節器273およびバルブ274を介して、結露抑制ガス供給源272に連通している。
そして、結露抑制ガス供給源272から供給された結露抑制ガスGは、流量調節器273およびバルブ274で流量制御され、配管271aに導入される。さらに、結露抑制ガスGは、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に向かって、吐出口271bから吐出される。
また、本体部271には、複数の吐出口271bが周方向に均等に複数(たとえば、30°間隔で12箇所)形成されている。これにより、結露抑制ガス吐出部270は、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に、結露抑制ガスGを周方向に略均等に吐出することができる。
なお、実施形態では、本体部271に複数の吐出口271bが周方向に均等に形成される例について示したが、本体部271に形成される吐出口は複数でなくともよい。たとえば、本体部271には、スリット形状を有する1つの吐出口が周方向に沿って形成されていてもよい。
このような構成であっても、結露抑制ガス吐出部270は、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に、結露抑制ガスGを周方向に略均等に吐出することができる。
また、実施形態では、結露抑制ガス吐出部270が、上チャック230の周縁部に配置された例について示したが、結露抑制ガス吐出部270の配置はかかる例に限られない。たとえば、結露抑制ガス吐出部270は、下チャック231の周縁部に配置されていてもよい。
このように、実施形態の接合装置41は、結露抑制ガス吐出部270によって、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に向かって、結露抑制ガスGを吐出可能に構成される。
<接合処理の詳細>
つづいて、図8を参照しながら、実施形態に係る接合システム1が実行する接合処理の詳細について説明する。図8は、実施形態に係る接合システム1が実行する接合処理の処理手順の一部を示すフローチャートである。なお、図8に示す各種の処理は、制御装置4の制御部5による制御に基づいて実行される。
まず、複数枚の上ウェハW1を収容したカセットC1、複数枚の下ウェハW2を収容したカセットC2、および空のカセットC3が、搬入出ステーション2の所定の載置板11に載置される。その後、搬送装置22によりカセットC1内の上ウェハW1が取り出され、処理ステーション3の第3処理ブロックG3のトランジション装置62に搬送される。
次に、上ウェハW1は、搬送装置61によって第1処理ブロックG1の表面改質装置30に搬送される。このとき、ゲートバルブ72が開かれており、処理容器70内が大気圧に開放されている。表面改質装置30では、所定の減圧雰囲気下において、処理ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。
このように発生したイオンが上ウェハW1の接合面W1jに照射されて、当該接合面W1jがプラズマ処理される。これにより、接合面W1jの最表面にシリコン原子のダングリングボンドが形成され、上ウェハW1の接合面W1jが改質される(ステップS101)。
次に、上ウェハW1は、搬送装置61によって第2処理ブロックG2の表面親水化装置40に搬送される。表面親水化装置40では、スピンチャックに保持された上ウェハW1を回転させながら、当該上ウェハW1上に純水を供給する。
そうすると、供給された純水は上ウェハW1の接合面W1j上を拡散する。これにより、表面改質装置30では、改質された上ウェハW1の接合面W1jにおけるシリコン原子のダングリングボンドにOH基(シラノール基)が付着して当該接合面W1jが親水化される(ステップS102)。また、当該純水によって、上ウェハW1の接合面W1jが洗浄される。
次に、上ウェハW1は、搬送装置61によって第2処理ブロックG2の接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された上ウェハW1は、トランジション200を介して位置調整機構210に搬送される。そして位置調整機構210によって、上ウェハW1の水平方向の向きが調整される(ステップS103)。
その後、位置調整機構210から反転機構220に上ウェハW1が受け渡される。続いて搬送領域T1において、反転機構220を動作させることにより、上ウェハW1の表裏面が反転される(ステップS104)。すなわち、上ウェハW1の接合面W1jが下方に向けられる。
その後、反転機構220が回動して上チャック230の下方に移動する。そして、反転機構220から上チャック230に上ウェハW1が受け渡される。上ウェハW1は、上チャック230にその非接合面W1nが吸着保持される(ステップS105)。
上ウェハW1に上述したステップS101〜S105の処理が行われている間、下ウェハW2の処理が行われる。まず、搬送装置22によりカセットC2内の下ウェハW2が取り出され、処理ステーション3のトランジション装置62に搬送される。
次に、下ウェハW2は、搬送装置61によって表面改質装置30に搬送され、下ウェハW2の接合面W2jが改質される(ステップS106)。なお、かかるステップS106は、上述のステップS101と同様の処理である。
その後、下ウェハW2は、搬送装置61によって表面親水化装置40に搬送され、下ウェハW2の接合面W2jが親水化される(ステップS107)。なお、かかるステップS107は、上述のステップS102と同様の処理である。
その後、下ウェハW2は、搬送装置61によって接合装置41に搬送される。接合装置41に搬入された下ウェハW2は、トランジション200を介して位置調整機構210に搬送される。そして位置調整機構210によって、下ウェハW2の水平方向の向きが調整される(ステップS108)。
その後、下ウェハW2は、下チャック231に搬送され、下チャック231に吸着保持される(ステップS109)。下ウェハW2は、ノッチ部を予め決められた方向に向けた状態で、下チャック231にその非接合面W2nが吸着保持される。
次に、上チャック230に保持された上ウェハW1と下チャック231に保持された下ウェハW2との水平方向の位置調整が行われる(ステップS110)。
次に、結露抑制ガス吐出部270は、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に向かって、結露抑制ガスGの吐出を行う(ステップS111)。
これにより、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に結露抑制ガスGが供給される。なお、かかる結露抑制ガスGの供給は、以降の処理でも引き続き行われる。
次に、第1下チャック移動部290によって下チャック231を鉛直上方に移動させて、上チャック230と下チャック231の鉛直方向位置の調整を行う。これにより、当該上チャック230に保持された上ウェハW1と下チャック231に保持された下ウェハW2との鉛直方向位置の調整が行われる(ステップS112)。
このとき、下ウェハW2の接合面W2jと上ウェハW1の接合面W1jとの間の間隔は所定の距離、たとえば80μm〜200μmになっている。
次に、基板押圧機構250の押圧ピン253を下降させることによって、上ウェハW1の中心部W1aを押し下げて、上ウェハW1の中心部W1aと下ウェハW2の中心部W2aとを所定の力で押圧する(ステップS113)。
これにより、押圧された上ウェハW1の中心部W1aと下ウェハW2の中心部W2aとの間で接合が開始する。具体的には、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jはそれぞれステップS101、S106において改質されているため、まず、接合面W1j、W2j間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、当該接合面W1j、W2j同士が接合される。
さらに、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jはそれぞれステップS102、S107において親水化されているため、接合面W1j、W2j間のOH基が水素結合し、接合面W1j、W2j同士が強固に接合される。
その後、上ウェハW1と下ウェハW2との接合領域は、上ウェハW1の中心部W1aおよび下ウェハW2の中心部W2aから外周部へ拡大していく。その後、押圧ピン253によって上ウェハW1の中心部W1aと下ウェハW2の中心部W2aを押圧した状態で、真空ポンプ241bの作動を停止して、領域230bにおける吸引管240bからの上ウェハW1の真空引きを停止する。
そうすると、領域230bに保持されていた上ウェハW1が下ウェハW2上に落下する。さらにその後、真空ポンプ241cの作動を停止して、領域230cにおける吸引管240cからの上ウェハW1の真空引きを停止する。
このように上ウェハW1の中心部W1aから外周部に向けて、上ウェハW1の真空引きを段階的に停止し、上ウェハW1が下ウェハW2上に段階的に落下して当接する。そして、上述した接合面W1j、W2j間のファンデルワールス力と水素結合による接合が中心部W1a、W2aから外周部に向けて順次拡がる。
こうして、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jが全面で当接し、上ウェハW1と下ウェハW2が接合される(ステップS114)。
その後、押圧ピン253を上チャック230まで上昇させる。また、下チャック231において吸引管260a、260bからの下ウェハW2の真空引きを停止して、下チャック231による下ウェハW2の吸着保持を解除する。
最後に、結露抑制ガス吐出部270は、結露抑制ガスGの吐出を停止して(ステップS115)、接合装置41での接合処理が終了する。
ここまで説明したように、実施形態では、上ウェハW1と下ウェハW2とを接合する前に、互いに向かい合う上ウェハW1の接合面W1jの周縁部W1jeと、下ウェハW2の接合面W2jの周縁部W2jeとの間に向かって、結露抑制ガスGの吐出を行う。これにより、重合ウェハTの周縁部に発生するボイドV(図10参照)(いわゆる、エッジボイド)を低減することができる。
<検査装置の構成>
次に、検査装置50の構成について、図9および図10を参照しながら説明する。図9は、実施形態に係る検査装置50の構成を示す模式側面図である。
図9に示すように、検査装置50は、内部を密閉可能な処理容器51を有する。処理容器51の側面には、重合ウェハTの搬入出口52が形成され、当該搬入出口52にはゲートバルブ53が設けられる。
処理容器51の内部には、基板保持部54および表面変位計55が配置される。基板保持部54は、保持部54aと、支柱部54bと、駆動部54cとを備え、重合ウェハTを保持して回転させる。保持部54aは、重合ウェハTの底面Tb(図10参照)を吸着して、かかる重合ウェハTを水平に保持する。
支柱部54bは、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部54cによって回転可能に支持され、先端部において保持部54aを水平に支持する。駆動部54cは、支柱部54bを鉛直軸まわりに回転させる。
かかる基板保持部54は、駆動部54cを用いて支柱部54bを回転させることによって支柱部54bに支持された保持部54aを回転させ、これにより、保持部54aに保持された重合ウェハTを回転させる。
表面変位計55は、膨らみ検出部の一例であり、基板保持部54に保持された重合ウェハTに対して鉛直方向に対向する位置に設けられる。この表面変位計55は、基準高さに対する重合ウェハTの表面Taの高低差(すなわち、重合ウェハTの表面Taの変位(以下、「表面変位」とも呼称する。))を測定する。
表面変位計55は、たとえば、レーザ干渉法によって重合ウェハTの表面変位を測定するレーザ干渉計である。表面変位計55で測定された重合ウェハTの表面変位に関するデータは、制御装置4の記憶部6(図1参照)に記憶される。
表面変位計55は、図示しない駆動部を備え、かかる駆動部によって処理容器51の内部を水平方向および鉛直方向に移動可能に構成される。
制御部5(図1参照)は、表面変位計55を水平方向に移動させるとともに、基板保持部54を回転させることにより、重合ウェハTの表面全体をスキャンしながら表面変位を測定することができる。これにより、制御部5は、重合ウェハTにおける表面変位のマッピングデータを作成することができる。
図10は、実施形態に係る検査装置50による検査方法を説明するための図である。図10に示すように、上ウェハW1の接合面W1jと下ウェハW2の接合面W2jとを接合することにより、重合ウェハTが形成される。
そして、接合面W1jと接合面W2jとを接合して形成された重合ウェハTの接合界面TjにボイドVが発生した場合、かかるボイドVに起因して、重合ウェハTの表面Taには膨らみS1が形成され、重合ウェハTの底面Tbには膨らみS2が形成される。
かかる膨らみS1、S2は、たとえば、接合界面TjにおけるボイドVの大きさが300(μm)程度の場合、高さが数(μm)〜20(nm)程度になるように膨らんでいる。
このため、実施形態では、nmオーダーの表面変位を測定可能な表面変位計55を用いることにより、接合界面TjのボイドVに起因して表面Taに形成される膨らみS1を検出することができる。
すなわち、実施形態では、重合ウェハTの内部に酸化膜や金属膜が形成されている場合であっても、表面Taに形成される膨らみS1を検出することにより、接合界面TjのボイドVを検出することができる。したがって、実施形態によれば、接合界面Tjに発生したボイドVを精度よく検出することができる。
実施形態では、たとえば、以下の工程でボイドVの検出処理を行う。まず、制御部5は、検査装置50を制御して、重合ウェハTにおける表面変位のマッピングデータを作成し、かかるマッピングデータを記憶部6に記憶させる。
次に、制御部5は、重合ウェハTにおける表面変位のマッピングデータを画像処理して、かかる表面変位のマッピングデータを平滑化する。そして、制御部5は、平滑化された表面変位のマッピングデータを用いて、ボイドVに起因する膨らみS1と、ボイドVに起因しないその他の歪みとを判別する。
たとえば、重合ウェハTの表面Taが傷などで凹んでいる場合、膨らみS1とは逆の方向に表面Taが変位していることから、制御部5は、ボイドVに起因する膨らみS1とは異なる歪みであると判別することができる。
また、接合時に生じる歪みなどに起因して表面Taが膨らんでいる場合、膨らみS1よりも緩やかに変位していることから、制御部5は、ボイドVに起因する膨らみS1とは異なる歪みであると判別することができる。
また、押圧ピン253や吸引管240a〜240c(図7参照)に起因して表面Taが膨らんでいる場合、重合ウェハTの決まった位置に変位が生じることから、制御部5は、ボイドVに起因する膨らみS1とは異なる歪みであると判別することができる。
このように、制御部5は、ボイドVに起因する膨らみS1と、ボイドVに起因しないその他の歪みとを判別して、ボイドVに起因しないその他の歪みをマッピングデータから除去する。これにより、制御部5は、重合ウェハTの接合界面Tjに発生したボイドVのマッピングデータを得ることができる。
実施形態では、重合ウェハTの膨らみS1を検出する膨らみ検出部が、表面変位計55で構成されるとよい。これにより、重合ウェハTの表面変位を精度よく検出することができることから、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
また、実施形態では、表面変位計55が、重合ウェハTに対して鉛直方向に対向する位置に設けられるとよい。これにより、重合ウェハTの表面変位をさらに精度よく検出することができることから、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
なお、実施形態に係る膨らみ検出部は、レーザ干渉計などの表面変位計55に限られず、重合ウェハTの表面Taに形成されるnmオーダーの高さの膨らみS1を検出することができれば、どのような装置を用いてもよい。
たとえば、実施形態に係る膨らみ検出部は、重合ウェハTにおける表面Taの高低差を画像解析で検出する表面検査器で構成されてもよい。これにより、重合ウェハTの表面変位を短時間で検出することができることから、接合界面Tjに発生したボイドVを短時間で検出することができる。
なお、かかる表面検査器において解析に用いられる画像は、暗視野で取得された画像であってもよいし、明視野で取得された画像であってもよい。
また、実施形態では、表面変位計55が、重合ウェハTの表面Ta全体の変位を測定するとよい。これにより、重合ウェハTに発生したボイドVが見逃されることを抑制することができる。
また、実施形態では、表面変位計55が、ボイドVが生じやすい重合ウェハTの周縁部に限定して表面Taの変位を測定してもよい。これにより、重合ウェハTの表面変位を短時間で検出することができることから、重合ウェハTの周縁部に発生したボイドVを短時間で検出することができる。
また、実施形態では、ある重合ウェハTの周縁部にボイドVが発生していた場合、制御部5は、次の重合ウェハTを形成する際に、結露抑制ガス吐出部270から吐出される結露抑制ガスGの吐出量を増加させるとよい。
これにより、外部要因によって重合ウェハTの周縁部にボイドVが発生した場合に、かかる外部要因に起因して次の重合ウェハTの周縁部にもボイドVが発生することを抑制することができる。
また、実施形態では、重合ウェハTにおける表面Taの変位を測定する処理に加えて、重合ウェハTにおける底面Tbの変位を測定する処理を行ってもよい。図10に示すように、接合界面TjにボイドVが発生した場合、表面Taに膨らみS1が形成されるとともに、底面Tbに膨らみS2が形成される。
したがって、膨らみS1と膨らみS2とが重合ウェハTの同じ箇所に形成されている場合、かかる箇所にはボイドVが発生している可能性が非常に高い。
したがって、実施形態では、重合ウェハTにおける表面Taの変位を測定する処理に加えて、重合ウェハTにおける底面Tbの変位を測定する処理を行うことにより、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
すなわち、表面Taに膨らみS1が形成されるとともに、表面Taと同じ箇所である底面Tbに凹みが形成されていれば、膨らみS1はボイドVではなく歪みの可能性が高い。そこで、制御部5は、膨らみS1の変位の絶対値と底面Tbの凹みの変位の絶対値とがほぼ同一である場合、膨らみS1をボイドVではなく歪みとして判別する。これにより、実施形態では、膨らみS1がボイドVとして誤って検知されることを抑制することができる。
このように、重合ウェハTにおける底面Tbの変位を測定する処理を追加して行う場合、底面Tbに対向する表面変位計(図示せず)を処理容器51の内部に別途設けて、かかる表面変位計を用いて底面Tbの変位を測定してもよい。
また、検査装置50に重合ウェハTの表裏面を反転させる反転機構(図示せず)を別途設けて、表裏面を反転させた重合ウェハTの底面Tbを表面変位計55で測定してもよい。
実施形態に係る検査装置50は、基板保持部54と、膨らみ検出部(表面変位計55)と、各部を制御する制御部5と、を備える。基板保持部54は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とを接合して構成される重合基板(重合ウェハT)を保持する。膨らみ検出部(表面変位計55)は、重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1を検出する。制御部5は、膨らみ検出部(表面変位計55)で検出された重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1に基づいて、重合基板(重合ウェハT)における第1基板と第2基板との接合界面Tjに発生したボイドVを検出する。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVを精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、膨らみ検出部は、基準高さに対する重合基板(重合ウェハT)の表面Taの高低差を測定する表面変位計55で構成される。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、表面変位計55は、重合基板(重合ウェハT)に対して鉛直方向に対向する位置に設けられる。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、膨らみ検出部は、重合基板(重合ウェハT)の表面Taの高低差を画像解析で検出する表面検査器で構成される。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVを短時間で検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、膨らみ検出部(表面変位計55)は、重合基板(重合ウェハT)の表面全体を検出する。これにより、重合ウェハTに発生したボイドVが見逃されることを抑制することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、膨らみ検出部(表面変位計55)は、重合基板(重合ウェハT)の表面Taの周縁部を検出する。これにより、重合ウェハTの周縁部に発生したボイドVを短時間で検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、膨らみ検出部(表面変位計55)は、重合基板(重合ウェハT)の底面Tbの膨らみを検出する。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る検査装置50において、制御部5は、膨らみ検出部で検出される重合基板の表面Taの膨らみと重合基板の底面Tbの膨らみとに基づいて、重合基板の表面Taの膨らみが接合界面Tjに発生したボイドVに起因するか否かを判別する。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVをさらに精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る接合システム1は、接合装置41と、検査装置50と、各部を制御する制御部5とを備える。接合装置41は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とを接合することによって重合基板(重合ウェハT)を形成する。検査装置50は、重合基板(重合ウェハT)を検査する。また、検査装置50は、重合基板(重合ウェハT)を保持する基板保持部54と、重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1を検出する膨らみ検出部(表面変位計55)と、を有する。制御部5は、膨らみ検出部(表面変位計55)で検出された重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1に基づいて、重合基板(重合ウェハT)における第1基板と第2基板との接合界面Tjに発生したボイドVを検出する。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVを精度よく検出することができる。
また、実施形態に係る接合システム1において、接合装置41は、向かい合う第1基板(上ウェハW1)の接合面の周縁部と第2基板(下ウェハW2)の接合面の周縁部との間に結露を抑制する結露抑制ガスGを吐出する結露抑制ガス吐出部270を有する。制御部5は、重合基板(重合ウェハT)の周縁部にボイドVが検出された場合に、結露抑制ガス吐出部270から吐出される結露抑制ガスGの吐出量を増加させる。これにより、外部要因によって重合ウェハTの周縁部にボイドVが発生した場合に、かかる外部要因に起因して次の重合ウェハTの周縁部にもボイドVが発生することを抑制することができる。
<検査処理の詳細>
つづいて、図11を参照しながら、実施形態に係る接合システム1が実行する検査処理の詳細について説明する。図11は、実施形態に係る接合システム1が実行する検査処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図11に示す各種の処理は、制御装置4の制御部5による制御に基づいて実行される。
最初に、制御部5は、搬送装置61によって重合ウェハTを検査装置50に搬送し、搬送された重合ウェハTを基板保持部54で保持する(ステップS201)。そして、制御部5は、表面変位計55および基板保持部54を制御して、基板保持部54で保持された重合ウェハTの表面Taの膨らみS1を検出する(ステップS202)。
かかるステップS202では、たとえば、制御部5が、重合ウェハTにおける表面変位のマッピングデータを作成することにより、重合ウェハTの表面Ta全体の膨らみS1を検出する。
次に、制御部5は、検出された重合ウェハTの表面Taの膨らみS1に基づいて、重合ウェハTにおける上ウェハW1と下ウェハW2との接合界面Tjに発生したボイドVを検出する(ステップS203)。
かかるステップS203では、たとえば、制御部5が、ボイドVに起因しないその他の歪みをマッピングデータから除去することにより、重合ウェハTの接合界面Tjに発生したボイドVのマッピングデータを作成する。
次に、制御部5は、重合ウェハTの全域において、接合界面TjにボイドVが発生していたか否かを判定する(ステップS204)。ここで、接合界面TjのどこかにボイドVが発生していた場合(ステップS204,Yes)、制御部5は、重合ウェハTの周縁部において、接合界面TjにボイドVが発生していたか否かを判定する(ステップS205)。
ここで、周縁部の接合界面TjにボイドVが発生していた場合(ステップS205,Yes)、制御部5は、接合装置41を制御して、結露抑制ガス吐出部270から吐出される結露抑制ガスGの吐出量を増加させる(ステップS206)。
次に、制御部5は、接合界面TjにボイドVが発生していた重合ウェハTを接合状態NGと判定し(ステップS207)、処理を完了する。
また、上述のステップS205において、周縁部の接合界面TjにボイドVが発生していなかった場合(ステップS205,No)、制御部5は、ステップS207の処理に進む。
また、上述のステップS204において、接合界面TjのどこにもボイドVが発生していなかった場合(ステップS204,No)、制御部5は、かかる重合ウェハTを接合状態OKと判定し(ステップS208)、処理を完了する。
実施形態に係る検査方法は、膨らみ検出工程(ステップS202)と、ボイド検出工程(ステップS203)とを含む。膨らみ検出工程(ステップS202)は、第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)とを接合して構成される重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1を検出する。ボイド検出工程(ステップS203)は、検出された重合基板(重合ウェハT)の表面Taの膨らみS1に基づいて、重合基板(重合ウェハT)における第1基板(上ウェハW1)と第2基板(下ウェハW2)との接合界面Tjに発生したボイドVを検出する。これにより、接合界面Tjに発生したボイドVを精度よく検出することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
たとえば、上述の実施形態では、上ウェハW1と下ウェハW2とをファンデルワールス力を用いて接合した重合ウェハTの接合界面Tjに発生したボイドVを検出する例について示した。しかしながら、本開示はこの例に限られず、たとえば、上ウェハW1と下ウェハW2とを接着剤などで接合した重合ウェハの接合界面に発生したボイドを検出してもよい。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。