以下に、本発明の実施形態に係る時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[第1実施形態]
図1から図7を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、時計に関する。図1は、第1実施形態に係る時計の断面図、図2は、第1実施形態に係る地板の平面図、図3は、第1実施形態に係る第一ソーラーセルの平面図、図4は、第1実施形態に係る文字板の平面図、図5は、第1実施形態に係る発電器の概略構成図、図6は、第1実施形態に係る静電モータの概略構成図、図7は、第1実施形態に係る駆動回路を示す図である。図1には、図2のI−I断面が示されている。
図1および図2に示すように、第1実施形態に係る時計1は、指針10a、10b、10cを有する時計であり、例えば、アナログ電子時計である。時計1は、静電モータ2、発電器3、外装ケース4、第一ソーラーセル5、文字板11、および電磁モータ19を有する。
外装ケース4は、ケース本体41および裏蓋42を有する。ケース本体41の形状は、略筒形状である。以下の説明では、ケース本体41の軸方向を単に「軸方向Z」と称する。後述する回転軸25,35の中心軸線の方向は、軸方向Zと一致している。ケース本体41の内部空間は、軸方向Zの前面側および背面側のそれぞれに向けて開口している。より詳しくは、ケース本体41は、前面側に向けて開放している円形の開口部41aを有する。裏蓋42は、ケース本体41における背面側の開口を閉塞する。透明な風防43は、ケース本体41における前面側の開口部41aを閉塞している。風防43とケース本体41との間には、パッキン44が配置されている。
静電モータ2、発電器3、第一ソーラーセル5、および文字板11は、外装ケース4の内部に配置されている。外装ケース4の内部には、地板14および受け板15が配置されている。地板14は、様々なパーツを組み込む土台、支持板、内装ケーシングなどとして機能する。また、受け板15は、回転体の軸を支えたり、部品を固定・保持したりする機能を有する。地板14および受け板15は、ケース本体41に対して固定されている。受け板15は、地板14に対して背面側に位置している。
電磁モータ19は、分針10bおよび時針10cを回転させるモータである。電磁モータ19は、地板14に対して背面側に配置されている。電磁モータ19は、電池7から供給される電力により分針10bおよび時針10cを運針させる。
静電モータ2および発電器3は、それぞれ静電誘導変換器である。静電モータ2は、電池7等から供給される電力を機械的な動力に変換する。発電器3は、回転錘18の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。静電モータ2および発電器3は、それぞれ地板14に対して背面側に配置されている。
発電器3は、回転体30、回転軸35、帯電膜36、基板38、第一電極31、第二電極32、歯車16a、16b、回転軸17、および回転錘18を有する。回転軸35は、地板14および受け板15によって回転自在に支持されている。回転体30は、回転軸35に対して固定されている。基板38は、地板14に対して固定されており、軸方向Zにおいて回転体30と対向している。基板38は、例えば、回転体30に対して背面側に配置されている。
図5に示すように、本実施形態の回転体30の形状は、円盤形状である。回転体30には、複数の帯電膜36が形成されている。複数の帯電膜36は、回転軸35を中心とする周方向に沿って等間隔で配置されている。帯電膜36は、エレクトレット材料で構成されている薄膜である。本実施形態の帯電膜36は、マイナスの電位に帯電している。帯電膜36の形状は、扇形状である。回転体30には、隣接する帯電膜36の間に貫通孔37が形成されている。
基板38には、複数の第一電極31および複数の第二電極32が配置されている。第一電極31および第二電極32は、軸方向Zにおいて帯電膜36と対向するように配置される。第一電極31および第二電極32は、例えば、銅や金などの導電性の金属で形成された電極である。第一電極31および第二電極32は、周方向に沿って交互に配置されている。第一電極31および第二電極32は、整流回路33を介して電池7に接続されている。
図1に示すように、回転軸35には、歯車16aが固定されている。歯車16aは、回転軸17の歯車16bと噛み合っている。回転軸17は、受け板15の軸受15bによって回転自在に支持されている。回転錘18は、回転軸17に対して固定されており、回転軸17と一体回転する。回転錘18は、ユーザの腕の動きなどを捉えて回転する錘である。回転錘18の形状は、例えば、扇形状ある。回転錘18が回転すると、その回転運動が歯車16bから歯車16aに伝達される。歯車16bから歯車16aに伝達された回転トルクにより、回転体30が基板38に対して相対回転する。第一電極31および第二電極32に対して帯電膜36が相対回転することにより、第一電極31の電位と第二電極32の電位との電位差が変化する。発電器3は、この電位差により発生する電力を電池7に蓄電する。
静電モータ2は、図1に示すように、回転体20、第一電極21、第二電極22、第三電極23、回転軸25、帯電膜26、および基板28を有する。回転軸25は、地板14によって回転自在に支持されている。回転体20は、回転軸25に対して固定されており、回転軸25と一体に回転する。基板28は、地板14に対して固定されており、軸方向Zにおいて回転体20と対向している。基板28は、例えば、回転体20に対して背面側に配置されている。
図6に示すように、本実施形態の回転体20の形状は、円盤形状である。回転体20には、複数の帯電膜26が形成されている。複数の帯電膜26は、回転軸25を中心とする周方向に沿って等間隔で配置されている。帯電膜26は、エレクトレット材料で構成されている薄膜である。本実施形態の帯電膜26は、マイナスの電位に帯電している。帯電膜26の形状は、扇形状である。回転体20には、隣接する帯電膜26の間に貫通孔27が形成されている。
基板28には、複数の電極群24が配置されている。電極群24は、軸方向Zにおいて帯電膜26と対向するように、周方向に沿って配置されている。一つの電極群24は、第一電極21、第二電極22、および第三電極23を一つずつ有する。第一電極21、第二電極22、および第三電極23は、この順序で回転体20の回転方向に沿って並んでいる。第一電極21、第二電極22、および第三電極23は、例えば、銅や金などの導電性の金属で形成された電極である。
図7に示す駆動回路13は、静電モータ2に対する駆動信号を出力する回路である。駆動回路13は、第一駆動部13a、第二駆動部13b、および第三駆動部13cを有する。第一駆動部13aは、トランジスタP1およびトランジスタN1を有する。トランジスタP1は、接地電位VDDと第一電極21との間に介在している。トランジスタP1は、ゲート端子Gに供給される制御信号に応じて第一電極21と接地電位VDDとを接続し、あるいは第一電極21と接地電位VDDとを遮断する。
トランジスタN1は、電源VSSと第一電極21との間に介在している。電源VSSの電位は、例えば、接地電位VDDよりも低い負の電位である。トランジスタN1は、ゲート端子Gに供給される制御信号に応じて第一電極21と電源VSSとを接続し、あるいは第一電極21と電源VSSとを遮断する。第一駆動部13aは、第一電極21の状態を接地電位VDDと接続された接地状態、電源VSSと接続された印加状態、または接地電位VDDおよび電源VSSの何れとも遮断されたオープン状態、の何れかに切り替える。
第二駆動部13bは、接地電位VDDと第二電極22との間に介在するトランジスタP2、および電源VSSと第二電極22との間に介在するトランジスタN2を有する。第二駆動部13bは、第二電極22の状態を接地状態、印加状態、またはオープン状態、の何れかに切り替える。
第三駆動部13cは、接地電位VDDと第三電極23との間に介在するトランジスタP3、および電源VSSと第三電極23との間に介在するトランジスタN3を有する。第三駆動部13cは、第三電極23の状態を接地状態、印加状態、またはオープン状態、の何れかに切り替える。なお、電源VSSは電池7より直接供給される接地電位VDDよりも低い負の電位でも良いが、昇圧回路などを用いてより低い負の電位を用いることによって静電モータの2の駆動力を向上させることが出来る。
駆動回路13は、例えば、時計1の制御回路によって制御される。駆動回路13は、制御回路から出力される指令信号に応じて第一電極21、第二電極22、および第三電極23に対して駆動パルスを出力する。
秒針10aは、回転軸25に対して固定されており、回転軸25を介して回転体20と連結されている。駆動回路13は、各電極21,22,23に対する駆動パルスにより、秒針10aを運針させる。本実施形態の駆動回路13は、秒針10aを連続的に回転させる、所謂スイープ運針を実行する。
図1および図2に示すように、地板14は、モータ用窓部14a,14bおよび発電器用窓部14c,14dを有する。モータ用窓部14a,14bおよび発電器用窓部14c,14dは、軸方向Zに沿って地板14を貫通している。モータ用窓部14a,14bは、静電モータ2の回転体20を外装ケース4の外部から視認可能とする窓部である。モータ用窓部14a,14bは、軸方向Zにおいて回転体20と対向している。図2に示すように、モータ用窓部14a,14bの形状は、略半円の扇形状である。モータ用窓部14aとモータ用窓部14bとの間には、梁部14hが設けられている。図1に示すように、梁部14hは、静電モータ2の回転軸25を回転自在に支持する軸受14gを有する。
発電器用窓部14c,14dは、発電器3の回転体30を外装ケース4の外部から視認可能とする窓部である。図1に示すように、発電器用窓部14c,14dは、軸方向Zにおいて回転体30と対向している。発電器用窓部14c,14dの形状は、略半円の扇形状である。発電器用窓部14cと発電器用窓部14dとの間には、梁部14fが設けられている。図1に示すように、梁部14fは、発電器3の回転軸35を回転自在に支持する軸受14eを有する。軸受14eは、回転軸35の一端を支持する。回転軸35の他端は、受け板15の軸受15aによって支持される。
図1に示すように、第一ソーラーセル5および文字板11は、地板14に対して前面側、すなわち風防43の側に配置されている。第一ソーラーセル5は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換器である。第一ソーラーセル5によって発電された電力は、電池7に蓄電される。第一ソーラーセル5の形状は、図3に示すように、円盤形状である。第一ソーラーセル5は、複数の領域を有する。より詳しくは、第一ソーラーセル5は、第一領域51、第二領域52、第三領域53、および第四領域54を有する。第一領域51、第二領域52、第三領域53、および第四領域54の受光面積は等しい。つまり、本実施形態の第一ソーラーセル5は、受光面積が等しい四つの領域51,52,53,54に分割されている。受光面積は、光発電を行なう部分の有効な受光面積である。第一領域51、第二領域52、第三領域53、および第四領域54は、直列に接続されている。
第一領域51、第二領域52、および第三領域53の形状は、扇形状である。第四領域54の形状は、半円形状である。第一ソーラーセル5は、第一窓部50を有する。第一窓部50は、外装ケース4の外部から回転体20,30を視認可能とする窓部である。第一窓部50は、モータ用窓部50aおよび発電器用窓部50bを有する。例示された第一ソーラーセル5では、第四領域54に第一窓部50が配置されている。第四領域54の受光面積は、第一窓部50を除く部分の面積である。
モータ用窓部50aは、静電モータ2の回転体20を前面側から視認可能とする窓部である。モータ用窓部50aは、軸方向Zにおいて回転体20と対向している。例示されたモータ用窓部50aの形状は、円形である。モータ用窓部50aは、例えば、軸方向Zから見た場合に回転体20の全体が視認可能となるように形成されている。モータ用窓部50aは、例えば、第四領域54を貫通する貫通孔である。
発電器用窓部50bは、発電器3の回転体30を前面側から視認可能とする窓部である。発電器用窓部50bは、軸方向Zにおいて回転体30と対向している。例示された発電器用窓部50bの形状は、円形である。発電器用窓部50bは、例えば、軸方向Zから見た場合に回転体30の全体が視認可能となるように形成されている。発電器用窓部50bは、例えば、第四領域54を貫通する貫通孔である。モータ用窓部50aおよび発電器用窓部50bは、例えば、第一ソーラーセル5を打ち抜いて形成される。
なお、第一窓部50は、第一ソーラーセル5に形成される貫通孔に代えて、第一ソーラーセル5に設けられた透光部であってもよい。この場合、第一窓部50は、前面側から第一窓部50に入射する光を透過させ、かつ発電を行なわない領域である。また、領域51,52,53,54を分割するために領域51,52,53,54の境界に光発電能力を有さない分割線が必要となる。また、分割線は発電領域とは色調が異なり、時計の美観を損なう。このため、分割線は面積的に小さい方が望ましく、図10のように第一窓部50と分割線が平面視で重なるようにして分割線の面積を削減しても良い。
文字板11は、第一ソーラーセル5に対して前面側に配置されている。図4に示すように、文字板11の形状は、円盤形状である。文字板11の外径は、例えば、第一ソーラーセル5の外径と等しい。文字板11は、例えば、第一ソーラーセル5の全体を前面側から覆っている。文字板11は、光を透過させるように構成されている。より詳しくは、文字板11は、前面側から文字板11に入射した光を第一ソーラーセル5に向けて透過させる。本実施形態の文字板11は、透光性の材料で形成されている。文字板11は、多数の微小な貫通孔を有していてもよい。
図4に示すように、文字板11は、第二窓部12を有する。第二窓部12は、外装ケース4の外部から回転体20,30を視認可能とする窓部である。第二窓部12は、モータ用窓部12aおよび発電器用窓部12bを有する。文字板11において、第二窓部12を除く部分は、第一ソーラーセル5と対向する覆い部11aである。覆い部11aは、第一ソーラーセル5の発電領域を前面側から覆う。言い換えると、覆い部11aは、第一ソーラーセル5における第一窓部50以外の領域を覆う。
覆い部11aは、前面側から覆い部11aに入射する光の一部を反射または吸収し、他の一部を第一ソーラーセル5へ透過させるように構成されていてもよい。覆い部11aがこのように構成されている場合、第二窓部12の光の透過率は、覆い部11aの光の透過率よりも高くなる。覆い部11aにおける光の透過率が抑えられることで、第一ソーラーセル5の分割線が目立ちにくくなる。つまり、第一ソーラーセル5における各領域51,52,53,54の境界線が目立ちにくくなる。覆い部11aは、放射状の多数の溝を有していてもよい。半径方向に延在する放射状の溝は、第一ソーラーセル5の分割線を目立ちにくくすることができる。
モータ用窓部12aは、静電モータ2の回転体20を前面側から視認可能とする窓部である。モータ用窓部12aは、軸方向Zにおいて回転体20と対向している。また、モータ用窓部12aは、第一ソーラーセル5のモータ用窓部50aと対向している。例示されたモータ用窓部12aの形状は、円形である。モータ用窓部12aの直径は、例えば、第一ソーラーセル5のモータ用窓部50aの直径と等しい。モータ用窓部12aは、モータ用窓部50aと同心上に配置されることが好ましい。モータ用窓部12aは、例えば、軸方向Zから見た場合に回転体20の全体が視認可能となるように形成されている。モータ用窓部12aは、例えば、文字板11を貫通する貫通孔である。
発電器用窓部12bは、発電器3の回転体30を前面側から視認可能とする窓部である。発電器用窓部12bは、軸方向Zにおいて回転体30と対向している。また、発電器用窓部12bは、第一ソーラーセル5の発電器用窓部50bと対向している。例示された発電器用窓部12bの形状は、円形である。発電器用窓部12bの直径は、例えば、第一ソーラーセル5の発電器用窓部50bの直径と等しい。発電器用窓部12bは、発電器用窓部50bと同心上に配置されることが好ましい。発電器用窓部12bは、例えば、軸方向Zから見た場合に回転体30の全体が視認可能となるように形成されている。発電器用窓部12bは、例えば、文字板11を貫通する貫通孔である。モータ用窓部12aおよび発電器用窓部12bは、例えば、文字板11を打ち抜いて形成される。
なお、第二窓部12は、文字板11に形成される貫通孔に代えて、文字板11が有する透光部であってもよい。この場合、文字板11には、第一の透過率を有する第二窓部12と、第二の透過率を有する覆い部11aと、が設けられてもよい。第一の透過率および第二の透過率は、それぞれ光の透過率である。第二の透過率は、第一の透過率よりも低い。第一の透過率が高いことで、外装ケース4の外部から回転体20,30を視認する場合の視認性を向上させることが可能である。
なお、文字板11において、第二窓部12の反射率が覆い部11aの反射率よりも低くされてもよい。文字板11において、第二窓部の色と、覆い部11aの色とが異なっていてもよい。上記のような各手段により、外装ケース4の外部から回転体20,30を視認する場合の視認性を向上させることが可能である。
第二窓部12が文字板11の透光部である場合、文字板11は、UV光(紫外線)を減衰させるように構成されてもよい。例えば、文字板11は、UV光をカットする膜を有していてもよい。文字板11によってUV光が減衰されることで、帯電膜26,36の劣化が抑制される。第二窓部12および覆い部11aの両方がUV光を減衰させてもよく、第二窓部12および覆い部11aのうち、第二窓部12のみがUV光を減衰させてもよい。
上記のように、本実施形態の時計1では、回転体20,30を視認可能とする第一窓部50が第一ソーラーセル5に設けられている。よって、ユーザは回転体20の回転によって静電モータ2の動作状態を確認することや、回転体30の回転によって発電器3の発電状態を確認することができる。外部から回転体20,30を視認できることで、パワーセーブ状態か故障かの判断が容易となる。また、発電器3の回転体30が外部から視認できることで、効率よく発電できる振動状態をユーザに意識させることができる。よって、充電不足の発生を極力減少させることができる。
このように、本実施形態の時計1は、第一ソーラーセル5を有することによる発電量の向上と、静電誘導変換器の動作確認の容易さと、を両立させることができる。
以上説明したように、本実施形態の時計1は、外装ケース4と、静電モータ2と、発電器3と、第一ソーラーセル5と、を有する。静電モータ2および発電器3は、外装ケース4の内部に配置された静電誘導変換器である。静電モータ2は、回転自在に支持されている回転体20を有し、発電器3は、回転自在に支持されている回転体30を有する。第一ソーラーセル5は、回転体20,30よりも前面側に配置されている。
第一ソーラーセル5は、外装ケース4の外部から回転体20,30を視認可能とする第一窓部50を有する。本実施形態の時計1は、第一ソーラーセル5を有することで、発電機能の確保を実現できる。例えば、発電器3が発電を行なうことができない静止状態において、第一ソーラーセル5は発電可能である。よって、本実施形態の時計1は、発電機能の確保と、静電誘導変換器の動作確認の容易さと、を両立させることが可能である。
本実施形態の時計1は、第一ソーラーセル5よりも前面側に配置された透光性の文字板11を有する。文字板11は、第二窓部12を有する。第二窓部12は、第一窓部50と対向し、かつ回転体20,30を視認可能とするものである。第一窓部50に加えて第二窓部12が設けられることで、外部から回転体20,30が視認可能となる。
本実施形態の文字板11は、第一ソーラーセル5の発電領域を覆う覆い部11aを有する。文字板11において、第二窓部12の光の透過率は、覆い部11aの光の透過率よりも高い。第二窓部12の光の透過率が高いことで、回転体20,30の視認性が向上する。
本実施形態の文字板11は、文字板11を透過する光のUV光を減衰させるように構成されている。よって、帯電膜26,36の劣化が抑制される。
本実施形態の時計1は、秒針10aを有する。秒針10aは、表示用の運動体の一例である。静電誘導変換器は、秒針10aを運動させる静電モータ2を含む。この場合、ユーザは静電モータ2の回転体20の動作を容易に視認することができる。
本実施形態の静電誘導変換器は、発電器3を含む。この場合、ユーザは発電器3の発電状態を容易に視認することができる。
[第2実施形態]
図8を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図8は、第2実施形態に係る時計の断面図である。第2実施形態において、上記第1実施形態と異なる点は、例えば、第一ソーラーセル5としてリングソーラーセルが配置されている点である。
図8に示すように、第2実施形態の第一ソーラーセル5の形状は、円環形状である。より詳しくは、第一ソーラーセル5の形状は、円筒形状である。第一ソーラーセル5は、ケース本体41の開口部41aに配置されている。例示された第一ソーラーセル5は、パッキン44に対して背面側に配置されており、軸方向Zにおいてパッキン44と対向している。つまり、第一ソーラーセル5は、前面側から見た場合にパッキン44の背後に隠れている。第一ソーラーセル5は、第一窓部50を有する。第一窓部50は、円環形状の第一ソーラーセル5の中空部である。第一ソーラーセル5の内周面は、例えば、パッキン44の内周面と連続している。第2実施形態の時計1では、一つの第一窓部50を介して回転体20,30が視認可能となっている。
第一ソーラーセル5に対して半径方向の内側には、見返しリング70が配置されている。見返しリング70は、透光性を有する円環形状の部材である。風防43を透過して見返しリング70に入射する光は、見返しリング70によって第一ソーラーセル5に導かれる。つまり、見返しリング70は、装飾部材としての機能と、第一ソーラーセル5に導光する機能と、を有する。
上記第1実施形態と同様に、文字板11は、モータ用窓部12aおよび発電器用窓部12bを有する。ユーザは、第一ソーラーセル5の第一窓部50、モータ用窓部12a、および地板14のモータ用窓部14a,14bを介して静電モータ2の回転体20を視認することができる。また、ユーザは、第一ソーラーセル5の第一窓部50、発電器用窓部12b、および地板14の発電器用窓部14c,14dを介して発電器3の回転体30を視認することができる。
第一ソーラーセル5は、複数の領域に分割されていてもよい。例えば、第一ソーラーセル5は、周方向に沿って並ぶ複数のセルに分割されていてもよい。第2実施形態の第一ソーラーセル5は、パッキン44の背後に隠れており、かつ見返しリング70によって覆われている。よって、第一ソーラーセル5が分割線を有していたとしても、その分割線が視認されにくい。
[第3実施形態]
図9を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記第1実施形態および第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図9は、第3実施形態に係る時計の断面図である。第3実施形態において、上記第1実施形態と異なる点は、例えば、第二ソーラーセル6を有する点である。
図9に示すように、第3実施形態の時計1は、発電器3に対して背面側に配置された第二ソーラーセル6を有する。第二ソーラーセル6は、軸方向Zにおいて発電器3の回転体30と対向している。
第3実施形態の発電器3では、回転体30の前面に帯電膜36が配置されている。また、基板38は、回転体30に対して前面側に配置されており、軸方向Zにおいて回転体30と対向している。第一電極31および第二電極32は、帯電膜36と対向する位置に配置されている。
第3実施形態の基板38および電極31,32は、透明である。基板38は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明な樹脂で形成されている。電極31,32は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いて形成された透明な膜である。従って、基板38および電極31,32は、前面側から入射する光を回転体30および第二ソーラーセル6に向けて透過させる。
第二ソーラーセル6は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換器である。第二ソーラーセル6によって発電された電力は、電池7に蓄電される。第二ソーラーセル6の形状は、例えば、円盤形状である。第二ソーラーセル6は、第一ソーラーセル5と同様に、複数の領域に分割されている。第二ソーラーセル6は、例えば、半径方向に延在する分割線によって分割されていてもよい。
矢印Ar1で示すように、風防43を透過した光は、文字板11の発電器用窓部12b、第一ソーラーセル5の発電器用窓部50b、および地板14の発電器用窓部14c,14dを通過し、更に、基板38および電極31,32を透過して回転体30に入射する。回転体30に入射する光の一部は、回転体30の貫通孔37を通過して第二ソーラーセル6に到達する。
また、矢印Ar2で示すように、風防43を透過した光は、文字板11を透過して第一ソーラーセル5に到達する。なお、第3実施形態の静電誘導変換器は、静電モータ2を有していない。よって、文字板11の第二窓部12は、モータ用窓部12aを有していない。また、第一ソーラーセル5の第一窓部50は、モータ用窓部50aを有していない。
第3実施形態の時計1は、風防43から第二ソーラーセル6までの光の到達率が、風防43から第一ソーラーセル5までの光の到達率よりも高くなるように構成されている。言い換えると、矢印Ar1で示す光路に沿った光の到達率は、矢印Ar2で示す光路に沿った光の到達率よりも大きい。
風防43から第二ソーラーセル6までの光の到達率は、例えば、第二窓部12における光の透過率、第一窓部50における光の透過率、基板38および電極31,32における光の透過率、および回転体30の貫通孔37の開口面積等によって決まる。また、風防43から第一ソーラーセル5までの光の到達率は、例えば、文字板11の覆い部11aにおける光の透過率等によって決まる。
第二ソーラーセル6への光の到達率が第一ソーラーセル5への到達率よりも高いことで、第二ソーラーセル6の単位面積あたりの受光量は、第一ソーラーセル5の単位面積あたりの受光量よりも多くなる。ここで、第二ソーラーセル6の前面側に回転体30が位置していることで、第二ソーラーセル6の分割線が目立ちにくくなっている。従って、第二ソーラーセル6までの光の到達率を高くしても、第二ソーラーセル6の分割線がユーザに視認されにくい。よって、時計1の美観に影響を与えることなく第二ソーラーセル6における発電量の増加を図ることができる。
以上説明したように、第3実施形態に係る時計1は、回転体30に対して背面側に配置された第二ソーラーセル6を有する。よって、第一窓部50を透過した光を利用して、第二ソーラーセル6によって発電することができる。
本実施形態の回転体30は、軸方向Zにおいて第二ソーラーセル6と対向する貫通孔37を有する。第二ソーラーセル6は、第一窓部50および貫通孔37を透過した光を受光する。第二ソーラーセル6を貫通孔37と対向させて配置することで、第二ソーラーセル6における受光量の向上を図ることができる。
なお、時計1が静電モータ2を有する場合、回転体20の背面にも第二ソーラーセル6が配置されてもよい。
[実施形態の変形例]
時計1は、上記第1実施形態または第3実施形態の第一ソーラーセル5に加えて、上記第2実施形態(図8)のリングソーラーを有していてもよい。この構成により、発電能力の向上を図ることができる。
時計1は、複数の発電器3を有していてもよい。この場合、複数の発電器3のそれぞれに対して発電器用窓部12b,50b等の窓部が適宜設けられる。時計1は、複数の静電モータ2を有していてもよい。この場合、複数の静電モータ2のそれぞれに対してモータ用窓部12a,50a等の窓部が適宜設けられる。
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。