以下、本開示の各実施の形態に係る制御装置について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る空気調和機は、室内における予め設定された複数の領域それぞれから入射する光に含まれる可視光の波長帯域を除く第1波長帯域の光の強度を反映した日射情報を、複数の領域それぞれの領域識別情報に対応づけて記憶する日射情報記憶部と、複数領域それぞれの温度を反映した温度レベル情報を、複数の領域それぞれの領域識別情報に対応づけて記憶する温度レベル記憶部と、を備える。また、空気調和機は、複数の領域それぞれから入射する光に含まれる第1波長帯域の光の強度を検出する光検出部と、複数の領域それぞれの温度を検出する温度検出部と、日射情報更新部と、温度レベル情報更新部と、日射位置特定部と、人体位置特定部と、風量設定部と、を備える。ここで、日射情報更新部は、光検出部により検出された複数の領域それぞれの光強度に基づいて、複数の領域それぞれの日射情報を更新する。また、温度レベル情報更新部は、温度検出部により検出された複数の領域それぞれの温度に基づいて、複数の領域それぞれの温度レベル情報を更新する。更に、日射位置特定部は、日射情報記憶部が記憶する日射情報に基づいて、室内における日射位置を特定し、人体位置特定部は、温度レベル記憶部が記憶する温度レベル情報に基づいて、室内における人体の位置を特定する。そして、風量設定部は、日射位置と人体の位置との位置関係に基づいて、複数の領域それぞれへ送出される風の風量を制御する。
例えば図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機1は、熱交換器171と、熱交換器171へ冷媒を供給する圧縮機(図示せず)と、送風ファン16と、圧縮機および送風ファン16を制御する制御ユニット11と、これらを収納する筐体15と、を備える。この空気調和機1は、例えば部屋の壁に固定された状態で使用される。筐体15には、吸い込み口15aと吹き出し口15bとが設けられている。そして、空気調和機1は、吸い込み口15aから筐体15内へ導入され熱交換器により熱交換されることにより冷却または温められた空気を、送風ファンにより吹き出し口15bから筐体15外へ吹き出す。ここで、制御ユニット11は、圧縮機を制御することにより、空気の温度を制御するとともに、送風ファン16を制御することにより、吹き出し口15bから吹き出す風の風量を制御する。
また、空気調和機1は、吹き出し口15bから吹き出される空気の風向を調節するための風向板142と、風向板142を駆動する風向板駆動部141と、温度検出部12と、光検出部13と、を備える。風向板142は、少なくとも空気調和機1から吹き出される空気の風向を水平方向へ変化させるための水平方向風向板を有する。風向板駆動部141は、例えば制御ユニット11から入力される制御信号に応じた回転角度だけ回転するモータ(図示せず)と、モータそれぞれの回転角度に応じて風向板142を傾ける伝達機構(図示せず)と、を有する。モータとしては、例えば制御ユニット11から入力されるPWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティ比に応じた回転角度だけ回転するものを採用することができる。
光検出部13は、空気調和機1が設置された部屋の室内における予め設定された複数の領域それぞれから入射する光に含まれる第1波長帯域の光の強度を検出する。ここで、第1波長帯域は、近赤外光の波長帯域に相当する。近赤外光の波長帯域は、図2に示すように、太陽光の波長帯域(300nm以上3000nm以下)の波長帯域に含まれており、700nm以上2500nm以下の波長帯域である。一方、室内の照明器具に用いられる蛍光灯、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の人工光源から放射される光には、可視光の波長帯域である400nm以上700nm以下に含まれる波長の光が含まれるが、近赤外光の波長帯域の光は含まれない。このため、光検出部13により、近赤外光を検出することにより、太陽光を人工光源から放射される光と区別して検出することができる。そして、光検出部13は、例えば部屋の窓を透過して室内に入射し、前述の複数の領域のうちの少なくとも1つに位置する床、壁等で散乱される近赤外光を検出することにより、その少なくとも1つの領域に太陽光が入射しているか否かを検出する。光検出部13は、例えば図3に示すように、光検出対象領域に指向性がある近赤外光センサ13aを有し、複数の領域のうち光検出対象領域に含まれる領域のみから入射する光のみを検出する。近赤外光センサ13aは、例えば近赤外光の波長帯域に感度ピークを有するフォトダイオードを用いたセンサであり、光検出対象領域に含まれる領域から入射する光の強度に応じた強度検出信号を制御ユニット11へ出力する。また、光検出部13は、近赤外光センサ13aの向きを変えることにより光検出対象領域を変更するためのセンサ向き調節部13bを有し、光検出対象領域に含まれる領域を任意の領域に変更することができる。ここで、センサ向き調節部13bは、近赤外線センサ13aを鉛直方向に平行な面内で旋回させるモータと、近赤外線センサ13aを鉛直方向に直交する水平面内で旋回させるモータと、を有し、各モータの回転角度を制御することにより、光検出対象領域に変更する。
温度検出部12は、空気調和機1が設置された部屋の室内における前述の複数の領域それぞれから放射され近赤外光の波長帯域よりも長波長側の第2波長帯域の光を検出することにより複数の領域それぞれの温度を検出する。温度検出部12は、複数の領域のうちの少なくとも1つに発熱する物体が存在すると、その物体から放射される熱を検出する。ここで、第2波長帯域は、遠赤外光の波長帯域に相当する。温度検出部12は、例えば熱検出対象領域に指向性がある熱センサ12aを有し、複数の領域のうち熱検出対象領域に含まれる領域のみから放射される熱のみを検出する。熱センサ12aは、例えば焦電素子を用いたセンサであり、熱検出対象領域に含まれる領域の温度に応じた温度検出信号を制御ユニット11へ出力する。また、温度検出部12は、熱センサ12aの向きを変えることにより熱検出対象領域を変更するためのセンサ向き調節部12bを有し、制御ユニット11から入力される制御信号に基づいて、熱検出対象領域に含まれる領域を任意の領域に変更することができる。ここで、センサ向き調節部12bは、熱センサ12aを鉛直方向に平行な面内で旋回させるモータと、熱センサ12aを鉛直方向に直交する水平面内で旋回させるモータと、を有し、各モータの回転角度を制御することにより、熱検出対象領域に変更する。
制御ユニット11は、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、入出力インタフェース1041、1042と、出力インタフェース1051、1052、1053と、これらを互いに接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリであり、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、半導体フラッシュメモリのような不揮発性メモリであり、CPU101が各種処理を実行するためのプログラムを記憶する。入出力インタフェース1041は、温度検出部12に接続され、CPU101から入力されるセンサ向き調節部12bを制御するための制御情報を制御信号に変換して温度検出部12へ出力するとともに、温度検出部12から入力される熱検出信号を熱検出情報に変換してCPU101へ出力する。入出力インタフェース1042は、光検出部13に接続され、CPU101から入力されるセンサ向き調節部13bを制御するための制御情報を制御信号に変換して光検出部13へ出力するとともに、光検出部13から入力される強度検出信号を強度検出情報に変換してCPU101へ出力する。出力インタフェース1051は、風向板駆動部141に接続され、CPU101から入力される風向板駆動部141を制御するための制御情報を制御信号に変換して風向板駆動部141へ出力する。出力インタフェース1052は、送風ファン16に接続され、CPU101から入力される送風ファン16を制御するための制御情報を制御信号に変換して送風ファン16へ出力する。出力インタフェース1053は、圧縮機172に接続され、CPU101から入力される圧縮機172を制御するための制御情報を制御信号に変換して圧縮機172へ出力する。
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図4に示すように、温度検出制御部111、温度レベル情報更新部112、光検出制御部113、日射情報更新部114、人体位置特定部115、日射位置特定部116、風向・風量設定部117、風向・風量制御部118および圧縮機制御部119として機能する。また、図3に示す補助記憶部103は、図4に示すように、分割エリア記憶部131と、温度レベル記憶部132と、日射情報記憶部133と、人体情報記憶部134と、空気調和エリア記憶部135と、運転モード記憶部136と、風向・風量記憶部137と、を有する。
分割エリア記憶部131は、例えば図5に示すように、空気調和機1が設置されている平面視矩形状の部屋Rの室内を100の領域A1、A2、・・・、J10に分割したときの各領域A1、A2、・・・、J10それぞれの位置情報を、領域識別情報に対応づけて記憶している。なお、本実施の形態では、部屋Rの室内を100の領域A1、A2、・・・、J10に分割にする場合について説明するが、領域の数は100に限定されない。日射情報記憶部133は、例えば図6に示すように、室内における100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれから入射する光に含まれる近赤外光の強度を反映した日射情報を、100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれの領域識別情報に対応づけて記憶する。なお、図6において、「A」、「B」、・・・、「J」の行と、「1」、「2」、・・・、「10」の列と、が交差する欄は、それぞれ、領域「A1」、「A2」、・・・、「J10」における日射情報を表している。日射情報は、例えば近赤外光の強度が予め設定された基準光強度以上であるか否かを示すフラグ情報である。図6において「非検出」は、近赤外光の強度が基準光強度未満である領域であることを示し、「検出」は、近赤外光の強度が基準光強度以上である領域であることを示している。例えば図5に示すように、領域E5、E6、・・・、G7に部屋Rの窓Wを透過して太陽光が差し込んでいる領域Asが存在する場合、図6に示すように、領域E5、E6、・・・、G7の日射情報が示す近赤外光の強度は、基準光強度以上となる。
温度レベル記憶部132は、例えば図7に示すように、室内における100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれの温度を反映した温度レベル情報を、100の領域A1、A2、・・・、J1それぞれの領域識別情報に対応づけて記憶している。なお、図7において、「A」、「B」、・・・、「J」の行と、「1」、「2」、・・・、「10」の列と、が交差する欄は、それぞれ、領域「A1」、「A2」、・・・、「J10」における温度レベル情報を表している。温度レベル情報は、例えば温度が予め設定された人体温度下限値以上且つ予め設定された人体温度上限値以下であるか否かを示すフラグ情報である。なお、人体温度下限値は、例えば35.5℃に設定され、人体温度上限値は、例えば37.7℃に設定される。ここで、「非検出」は、温度が人体温度下限値未満の領域または人体温度上限値よりも高い領域であることを示し、「検出」は、温度が人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下の領域に対応する。例えば図8に示すように、領域E2、F2に人がいる領域Apが存在する場合、図7に示すように、領域E2、F2の温度が、人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下となる。ここで、図8に示すように、領域E5、E6、・・・、G7に窓Wを透過して太陽光が差し込んでいる領域Asが存在する場合であっても、領域Asの温度が人体温度下限値未満または予め設定された人体温度上限値よりも高い場合、領域E5、E6、・・・、G7の温度レベル情報は、「非検出」を示すフラグ情報に設定される。
図4に戻って、人体情報記憶部134は、人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下となる互いに連続した領域からなる第2領域群の形状について、それが人体であると判別する基準となる予め設定された人体判別基準形状を示す情報を記憶する。例えば図8に示す例の場合、この人体判別基準形状を示す情報は、例えば2つ以上3つ以下の領域が直線状に並んだ領域群であることを示す。
空気調和エリア記憶部135は、例えば図9に示すように、室内を7つの空気調和エリアに分割したときのそれぞれの空気調和エリアに含まれる領域の領域識別情報を、空気調和エリアを識別する空気調和エリア識別情報に対応づけて記憶している。ここで、7つの空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7は、例えば図10に示すように、空気調和機1が設置された場所から放射状に延在する領域に設定される。この場合、図9に示すように、例えば空気調和エリアAA1に含まれる領域B1、B2、B3、・・・、D2の領域識別情報ID(B1)、ID(B2)、ID(B3)、・・・、ID(D2)が、空気調和エリア識別情報ID(AA1)に対応づけて記憶されている。
図4に戻って、運転モード記憶部136は、空気調和機1の運転モードを示す運転モード情報を記憶する。ここで、空気調和機1の運転モードは、冷房モード、暖房モードまたは送風モードのいずれかに設定される。風向・風量記憶部137は、日射位置と人体の位置との位置関係に基づいて設定された7つの空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7それぞれへの風向および風量を示す風向・風量情報を記憶する。ここで、空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7の数は、例えば空気調和機1の風量可変性能に基づいて設定され、例えば風向板142の走査速度と送風ファン16の風量変更指示に対する応答性能とに基づいて設定される。
光検出制御部113は、光検出部13のセンサ向き調節部13bを制御することにより、光検出部13の光検出対象領域を変更するための制御情報を生成する。光検出制御部113は、生成した制御情報を光検出部13に向けて出力する。日射情報更新部114は、光検出部13により検出された100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれの光強度に基づいて、100の領域それぞれの日射情報を更新する。日射情報更新部114は、100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれについて、その領域A1、A2、・・・、J10の光の強度が前述の基準光強度以上である場合、その領域A1、A2、・・・、J10の日射情報を「検出」を示すフラグ情報に設定する。一方、日射情報更新部114は、100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれについて、その領域A1、A2、・・・、J10の光の強度が前述の基準光強度未満である場合、その領域A1、A2、・・・、J10の日射情報を「非検出」を示すフラグ情報に設定する。
温度検出制御部111は、温度検出部12のセンサ向き調節部12bを制御することにより、温度検出部12の熱検出対象領域を変更するための制御情報を生成する。温度検出制御部111は、生成した制御情報を温度検出部12に向けて出力する。温度レベル情報更新部112は、温度検出部12により検出された100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれの温度に基づいて、100の領域A1、A2、・・・、J10それぞれの温度レベル情報を更新する。温度レベル情報更新部112は、領域A1、A2、・・・、J10それぞれについて、その領域A1、A2、・・・、J10の温度が前述の人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下である場合、その領域A1、A2、・・・、J10の温度レベル情報を「検出」を示すフラグ情報に設定する。一方、温度レベル情報更新部112は、領域A1、A2、・・・、J10それぞれについて、その領域A1、A2、・・・、J10の温度が人体温度下限値未満または人体温度上限値よりも高い場合、その領域A1、A2、・・・、J10の温度レベル情報を「非検出」を示すフラグ情報に設定する。
日射位置特定部116は、近赤外光の強度が前述の基準光強度以上であり且つ互いに連続した複数の領域の数が、予め設定された第1下限数以上且つ予め設定された第1上限数以下である第1領域群を日射位置として特定する。ここで、第1下限数は、例えば「6」に設定され、第1上限数は、例えば「80」に設定される。ここで、日射位置特定部116は、日射が検出された互いに連続する領域の数が第1上限数より大きい場合は、即ち、部屋Rの室内の領域の大部分で日射が検出される場合、それらの領域の群を日射位置として特定しない。ここで、第1上限数は、例えば全ての領域の数の8割以上の数に設定できる。太陽光は、部屋Rの窓を通して部屋Rの室内に入射するため、日射が検出される領域の数は限られる。一方、白熱灯のような人工光源であっても近赤外光を放射する。従って、日射が検出された領域の数が過度に多い場合は、その領域は太陽光が検出されているのではなく、室内に設置された発熱灯のような人工光源から放射された近赤外光を検出しているものと考えられる。そこで、日射位置特定部116は、日射が検出された領域の数が第1上限数以下であるか否かを判別することにより、太陽光が照射されている領域と人工光源が照射されている領域とを区別し、日射位置の特定精度を向上させている。この場合、例えば図9に示すように、領域Asを含み且つ互いに連続した9つの領域E5、E6、・・・、G7から放射される近赤外光の強度が基準光強度以上であるとき、日射位置特定部116は、9つの領域E5、E6、・・・、G7からなる第1領域群を日射位置として特定する。
図4に戻って、人体位置特定部115は、温度が前述の人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下である、即ち、温度レベル情報が「検出」を示すフラグ情報に設定され且つ互いに連続した複数の領域の数が、予め設定された第2下限数以上且つ予め設定された第2上限数以下である第2領域群を人体の位置として特定する。また、人体位置特定部115は、第2領域群の形状が前述の人体判別基準形状と一致する場合、第2領域群を人体の位置として特定する。例えば人体判別基準形状を示す情報が、前述のように、例えば2つ以上3つ以下の領域が直線状に並んだ領域群であることを示す場合、人体位置特定部115は、「検出」を示すフラグ情報に設定された2つ以上且つ3つ以下の領域が直線状に並んだ第2領域群を人体の位置として特定する。この場合、第2下限数は、「2」であり、第2上限数は、「3」に設定されていることになる。この場合、例えば図10に示すように、領域Apを含み且つ互いに連続する2つの領域E6、F6の温度が人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下であるとき、人体位置特定部115は、2つの領域E6、F6からなる第2領域群を人体の位置として特定する。
図4に戻って、風向・風量設定部117は、日射位置特定部116により特定された日射位置と、人体位置特定部115により特定された人体の位置と、に基づいて、領域A1、A2、・・・、J10それぞれへ送出される空調空気の量を設定する。ここで、「空調空気の量」とは、領域A1、A2、・・・、J10へ空気を送る送風時間と、領域A1、A2、・・・、J10へ空気を送る際の単位時間当たりの風量と、の積で決まる量に相当する。そして、風向・風量設定部117は、風向板142の領域A1、A2、・・・、J10それぞれに対応する回転角度について、風向板142の回転速度と風量(送風強度)と、を設定する。例えば図10に示すように、2つの領域E6、F6からなる人体の位置が、日射位置にも含まれる場合、領域E6、F6からなる領域群に位置する人の体感温度は、太陽光の影響により高くなる。そして、運転モード記憶部136が記憶する運転モード情報が冷房モードを示す場合、風向・風量設定部117は、領域E6、F6を含む空気調和エリアAA4の風量を増加させることにより領域E6、F6からなる領域群に位置する人の体感温度を空気調和機1の設定温度近傍にまで低下させる。一方、運転モード記憶部136が記憶する運転モード情報が暖房モードを示すとき、風向・風量設定部117は、領域E6、F6を含む空気調和エリアAA4の風量を減少させることにより領域E6、F6からなる領域群に位置する人の体感温度を空気調和機1の設定温度近傍にまで低下させる。
風向・風量制御部118は、風向・風量記憶部137が記憶する風向・風量情報に基づいて、風向板駆動部141および送風ファン16を制御するための制御情報を生成し、生成した制御情報を風向板駆動部141および送風ファン16それぞれに向けて出力する。この風向・風量制御部118が、日射位置と人体の位置とに基づいて、複数の空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7それぞれへ送出される風の向きを設定する風向設定部と、複数の空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7それぞれへ送出される風量を設定する風量設定部と、して機能する。圧縮機制御部119は、運転モード記憶部136が記憶する運転モード情報に基づいて、圧縮機172を制御するための制御情報を生成し、生成した制御情報を圧縮機172に向けて出力する。
次に、本実施の形態に係る空気調和機1が実行する空気調和機制御処理、日射情報更新処理および温度レベル情報更新処理について図11から図14を参照しながら説明する。この空気調和機制御処理は、例えば空気調和機1へ電源が投入され少なくとも空気調和機1の風向板駆動部141および送風ファン16が起動したことを契機として開始される。また、日射情報更新処理および温度レベル情報更新処理は、空気調和機制御処理と並行して実行される。まず、日射位置特定部116および人体位置特定部115は、図11に示すように、予め設定された風向・風量設定更新時期が到来したか否かを判定する(ステップS101)。この風向・風量設定更新時期が到来する周期は、例えば10分に設定される。日射位置特定部116および人体位置特定部115が未だ風向・風量設定更新時期が到来していないと判定する限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理が繰り返し実行される。一方、日射位置特定部116および人体位置特定部115が、前述の風向・風量設定更新時期が到来したと判定したとする(ステップS101:Yes)。この場合、日射位置特定部116が、日射情報記憶部133が記憶する日射情報を更新するよう指令する日射情報更新指令を光検出制御部113および日射情報更新部114へ通知する。また、人体位置特定部115が、温度レベル記憶部132が記憶する温度レベル情報を更新するよう指令する温度レベル情報更新指令を温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112へ通知する(ステップS102)。
ここで、空気調和機制御処理と並行して実行される日射情報更新処理および温度レベル情報更新処理について詳細に説明する。日射情報更新処理では、図12に示すように、まず、光検出制御部113および日射情報更新部114が、日射情報更新指令の通知が有るか否かを判定する(ステップS201)。光検出制御部113および日射情報更新部114が、日射情報更新指令の通知が無いと判定する限り(ステップS201:No)、ステップS201の処理が繰り返し実行される。一方、光検出制御部113および日射情報更新部114が、日射情報更新指令の通知が有ると判定したとする(ステップS201:Yes)。この場合、光検出制御部113は、光検出部13の検出対象位置を初期位置に設定する(ステップS202)。ここで、光検出制御部113は、初期位置が例えば領域A1に設定されている場合、近赤外光センサ13aが領域A1を臨むように設定するための制御情報をセンサ向き調節部13bに向けて出力する。次に、光検出制御部113は、光検出部13に向けて検出要求情報を出力する(ステップS203)。このとき、光検出部13は、制御ユニット11から検出要求情報に対応する検出要求信号が入力されると、検出対象位置の領域から放射される近赤外光の強度を検出し、検出した強度を示す強度検出信号を制御ユニット11へ出力する。続いて、日射情報更新部114は、光検出部13から入力される強度検出信号から変換された近赤外光の強度を示す強度検出情報を取得する(ステップS204)。
その後、日射情報更新部114は、取得した強度検出情報に基づいて、日射情報記憶部133が記憶する日射情報を更新する(ステップS205)。具体的には、日射情報更新部114が、取得した強度検出情報が示す近赤外光の強度が基準光強度以上である場合、対応する検出対象位置の領域の日射情報を「検出」を示すフラグ情報に設定する。一方、日射情報更新部114は、取得した強度検出情報が示す近赤外光の強度が基準光強度未満である場合、対応する検出対象位置の領域の日射情報を「非検出」を示すフラグ情報に設定する。次に、光検出制御部113は、光検出部13の検出対象位置が予め設定された終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS206)。例えば検出対象位置が、領域A1から始まって領域A2、A3、・・・の順に移動していき、最後に領域J10で終わる場合、終了位置が領域J10に設定される。ここで、光検出制御部113が、光検出部13の検出対象位置がまだ終了位置に到達していないと判定すると(ステップS206:No)、検出対象位置を次の領域に設定する(ステップS207)。具体的には、光検出制御部113が、例えば近赤外光センサ13aを強度検出情報を取得した領域に隣接する領域を臨むように設定するための制御情報をセンサ向き調節部13bに向けて出力する。続いて、再びステップS203以降の処理が実行される。一方、光検出制御部113が、光検出部13の検出対象位置が終了位置に到達したと判定すると(ステップS206:Yes)、日射情報更新部114は、日射情報の更新が完了したことを通知する日射情報更新完了通知を日射位置特定部116へ出力する(ステップS208)。その後、再びステップS201の処理が実行される。
また、温度レベル情報更新処理では、図13に示すように、まず、温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令の通知が有るか否かを判定する(ステップS301)。温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令の通知が無いと判定する限り(ステップS301:No)、ステップS301の処理が繰り返し実行される。一方、温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令の通知が有ると判定したとする(ステップS301:Yes)。この場合、温度検出制御部111は、温度検出部12の検出対象位置を初期位置に設定する(ステップS302)。ここで、温度検出制御部111は、熱センサ12aが初期位置を臨むように設定するための制御情報をセンサ向き調節部12bに向けて出力する。次に、温度検出制御部111は、温度検出部12に向けて検出要求情報を出力する(ステップS303)。このとき、温度検出部12は、制御ユニット11から検出要求情報に対応する検出要求信号が入力されると、検出対象位置の領域の温度を検出し、検出した温度を示す温度検出信号を制御ユニット11へ出力する。続いて、温度レベル情報更新部112は、光検出部13から入力される温度検出信号から変換された検出対象位置の領域の温度を示す温度情報を取得する(ステップS304)。
その後、温度レベル情報更新部112は、取得した温度情報に基づいて、温度レベル記憶部132が記憶する温度レベル情報を更新する(ステップS305)。具体的には、温度レベル情報更新部112が、取得した温度情報が示す温度が前述の人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下である場合、対応する検出対象位置の領域の温度レベル情報を「検出」を示すフラグ情報に設定する。一方、温度レベル情報更新部112は、取得した温度情報が示す温度が人体温度下限値未満または人体温度上限値よりも高い場合、対応する検出対象位置の領域の日射情報を「非検出」を示すフラグ情報に設定する。次に、温度検出制御部111は、温度検出部12の検出対象位置が予め設定された終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS306)。ここで、温度検出制御部111が、温度検出部12の検出対象位置がまだ終了位置に到達していないと判定すると(ステップS306:No)、検出対象位置を次の領域に設定する(ステップS307)。続いて、再びステップS303以降の処理が実行される。一方、温度検出制御部111が、温度検出部12の検出対象位置が終了位置に到達したと判定すると(ステップS306:Yes)、温度レベル情報更新部112は、温度レベル情報の更新が完了したことを通知する温度レベル情報更新完了通知を人体位置特定部115へ出力する(ステップS308)。その後、再びステップS301の処理が実行される。
図11に戻って、ステップS102の処理が実行された後、日射位置特定部116および人体位置特定部115は、日射情報更新完了通知、温度レベル情報更新完了通知が有ったか否かを判定する(ステップS103)。日射位置特定部116および人体位置特定部115が未だ日射情報更新完了通知、温度レベル情報更新完了通知が無いと判定する限り(ステップS103:No)、ステップS103の処理が繰り返し実行される。一方、日射位置特定部116および人体位置特定部115が、日射情報更新完了通知、温度レベル情報更新完了通知が有ったと判定したとする(ステップS103:Yes)。この場合、日射位置特定部116は、日射位置に含まれるか否かを判定する判定対象領域を予め設定された初期領域に設定する(ステップS104)。次に、日射位置特定部116は、日射情報記憶部133を参照して、判定対象領域が「検出」を示すフラグ情報に設定されているか否かを判定する(ステップS105)。日射位置特定部116が、判定対象領域が「非検出」を示すフラグ情報に設定されていると判定すると(ステップS105:No)、後述のステップS108の処理が実行される。
一方、日射位置特定部116が、判定対象領域が「検出」を示すフラグ情報に設定されていると判定したとする(ステップS105:Yes)。この場合、日射位置特定部116は、判定対象領域を含み且つ互いに連続する「検出」を示すフラグ情報に設定されている領域の数が第1下限数Nsl以上且つ第1上限数Nsh以下であるか否かを判定する(ステップS106)。日射位置特定部116が、前述の領域の数が第1下限数Nsl未満または第1上限数Nshよりも多いと判定すると(ステップS106:No)、後述のステップS108の処理が実行される。一方、日射位置特定部116は、前述の領域の数が第1下限数Nsl以上且つ第1上限数Nsh以下であると判定すると(ステップS106:Yes)、前述の領域からなる領域群を日射位置と特定する(ステップS107)。日射位置特定部116は、特定した日射位置を示す日射位置情報を風向・風量設定部117に通知する。続いて、日射位置特定部116は、判定対象領域が予め設定された終了領域に到達したか否かを判定する(ステップS108)。ここで、日射位置特定部116が、判定対象領域が終了領域に到達していないと判定すると(ステップS108:No)、判定対象領域を次の領域に設定する(ステップS109)。続いて、再びステップS105の処理が実行される。
一方、日射位置特定部116が、判定対象領域が終了領域に到達したと判定したとする(ステップS108:Yes)。この場合、人体位置特定部115は、人体の位置に含まれるか否かを判定する判定対象領域を予め設定された初期領域に設定する(ステップS110)。その後、人体位置特定部115は、温度レベル記憶部132を参照して、判定対象領域が「検出」を示すフラグ情報に設定されているか否かを判定する(ステップS111)。人体位置特定部115により判定対象領域が「非検出」を示すフラグ情報に設定されていると判定されると(ステップS111:No)、後述のステップS114の処理が実行される。一方、人体位置特定部115により判定対象領域が「検出」を示すフラグ情報に設定されていると判定されたとする(ステップS111:Yes)。この場合、人体位置特定部115は、判定対象領域を含み且つ互いに連続する「検出」を示すフラグ情報に設定されている領域の数が第2下限数Ntl以上且つ第2上限数Nth以下であるか否かを判定する(ステップS112)。
ここで、人体位置特定部115が、前述の領域の数が第2下限数Ntl未満または第2上限数Nthよりも多いと判定すると(ステップS112:No)、後述のステップS114の処理が実行される。一方、人体位置特定部115は、前述の領域の数が第2下限数Ntl以上且つ第2上限数Nth以下であると判定すると(ステップS112:Yes)、図14に示すように、前述の領域からなる領域群を人体の位置として特定する(ステップS113)。人体位置特定部115は、特定した人体の位置を示す人体位置情報を風向・風量設定部117に通知する。次に、人体位置特定部115は、判定対象領域が予め設定された終了領域に到達したか否かを判定する(ステップS114)。ここで、人体位置特定部115が、判定対象領域が終了領域に到達していないと判定すると(ステップS114:No)、判定対象領域を次の領域に設定する(ステップS115)。続いて、再びステップS111の処理が実行される。一方、人体位置特定部115が、判定対象領域が終了領域に到達したと判定したとする(ステップS114:Yes)。この場合、風向・風量設定部117は、空気調和エリア記憶部135を参照して、日射位置および人体の位置と各空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7とを比較する(ステップS116)。
その後、風向・風量設定部117は、日射位置および人体の位置を含む空気調和エリア(例えば空気調和エリアAA4)が有ったか否かを判定する(ステップS117)。風向・風量設定部117は、日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアが無いと判定すると(ステップS117:No)、各空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7への空調空気の量を同一量に設定する(ステップS118)。次に、再びステップS101の処理が実行される。一方、風向・風量設定部117は、日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアが有ったと判定すると(ステップS117:Yes)、運転モード記憶部136を参照して、空気調和機1の運転モードが冷房モードであるか否かを判定する(ステップS119)。風向・風量設定部117が、空気調和機1の運転モードが冷房モードであると判定すると(ステップS119:Yes)、日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアAA4への空調空気の量を他の空気調和エリアへの空調空気の量よりも多くなるように設定する(ステップS120)。ここで、風向・風量設定部117は、既に日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアAA4への風量を他の空気調和エリアへの空調空気の量よりも多くなるように設定している場合、その設定を維持する。例えば図10に示すように空気調和エリアAA4に日射位置および人体の位置が存在する場合において、空気調和機1が、空気調和エリアAA1、AA2、AA3、AA4、AA5、AA6、AA7の順に送風するとする。この場合、風向・風量制御部118は、例えば図15(A)に示すように、空気調和エリアAA1、AA2、AA3へ送風している間、風向板142の回転速度が予め設定された回転速度S0で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。そして、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA4に送風するタイミングになると、風向板142の回転速度が回転速度S0よりも遅い予め設定された回転速度S1で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。その後、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA5に送風するタイミングになると、再び回転速度S0で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。また、風向・風量制御部118は、例えば図15(B)に示すように、空気調和エリアAA1、AA2、AA3へ送風している間、送風ファン16の風量が予め設定された風量B0で維持されるように送風ファン16を制御する。そして、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA4に送風するタイミングになると、送風ファン16の風量が風量B0よりも大きい風量B1となるように送風ファン16を制御する。その後、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA5に送風するタイミングになると、送風ファン16の風量が再び風量B0となるように送風ファン16を制御する。この場合、空気調和エリアAA4への空調空気の量は、空気調和エリアAA1、AA2、AA3、AA5、AA6、AA7への空調空気の量に比べて多くなる。
図14に戻って、続いて、再びステップS101の処理が実行される。
一方、風向・風量設定部117が、空気調和機1の運転モードが冷房モードで無いと判定すると(ステップS119:No)、空気調和機1の運転モードが暖房モードであるか否かを判定する(ステップS121)。風向・風量設定部117が、空気調和機1の運転モードが暖房モードであると判定すると(ステップS121:Yes)、日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアAA4への空調空気の量を他の空気調和エリアへの空調空気の量よりも少なくなるように設定する(ステップS122)。ここで、風向・風量設定部117は、既に日射位置および人体の位置を含む空気調和エリアAA4への空調空気の量を他の空気調和エリアへの空調空気の量よりも少なくなるように設定している場合、その設定を維持する。この場合、風向・風量制御部118は、例えば図16(A)に示すように、空気調和エリアAA1、AA2、AA3へ送風している間、風向板142の回転速度が予め設定された回転速度S0で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。そして、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA4に送風するタイミングになると、風向板142の回転速度が回転速度S0よりも速い予め設定された回転速度S2で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。その後、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA5に送風するタイミングになると、再び回転速度S0で風向板142が回転するように風向板駆動部141を制御する。また、風向・風量制御部118は、例えば図16(B)に示すように、空気調和エリアAA1、AA2、AA3へ送風している間、送風ファン16の風量が予め設定された風量B0で維持されるように送風ファン16を制御する。そして、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA4に送風するタイミングになると、送風ファン16の風量が風量B0よりも小さい風量B2となるように送風ファン16を制御する。その後、風向・風量制御部118は、空気調和エリアAA5に送風するタイミングになると、送風ファン16の風量が再び風量B0となるように送風ファン16を制御する。この場合、空気調和エリアAA4への空調空気の量は、空気調和エリアAA1、AA2、AA3、AA5、AA6、AA7への空調空気の量に比べて多くなる。図14に戻って、続いて、再びステップS101の処理が実行される。一方、風向・風量設定部117が、空気調和機1の運転モードが送風モードであると判定すると(ステップS121:No)、ステップS118の処理が実行される。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和機1によれば、日射情報更新部114が、光検出部13により検出された領域A1、A2、・・・、J10それぞれの光強度に基づいて、領域A1、A2、・・・、J10それぞれの日射情報を更新する。また、温度レベル情報更新部112が、温度検出部12により検出された領域A1、A2、・・・、J10それぞれの温度に基づいて、領域A1、A2、・・・、J10それぞれの温度レベル情報を更新する。また、日射位置特定部116が、日射情報記憶部133が記憶する日射情報に基づいて、室内における日射位置を特定し、人体位置特定部115が、温度レベル記憶部132が記憶する温度レベル情報に基づいて、室内における人体の位置を特定する。そして、風向・風量設定部117が、日射位置と人体の位置との位置関係に基づいて、領域A1、A2、・・・、J10それぞれへ適切な風向および風量を設定するので、室内環境の快適性を向上させることができる。
例えば日射位置の領域群が存在するとともに、その領域群の中に人体の位置に相当する領域群が存在すると判定された場合、室内に太陽光が差し込む領域Asが存在し、その中に人が存在している状態であり、その人は太陽光により体感温度が上昇する。そして、空気調和機1は、冷房モードで動作している場合、室内の人が体感温度の上昇により快適さが損なわれていると推定し、その人の人体の位置を含む空気調和エリアへ優先的に冷たい風を送る。一方、空気調和機1は、暖房モードで動作している場合、室内の人が体感温度上昇により空気調和機1からの暖かい風の風量が少なくても快適さを維持できていると推定し、その人の人体の位置を含む空気調和エリアへ送る風の風量を少なくする。これにより、室内を快適な環境にすることができる。
また、本実施の形態に係る人体位置特定部115は、第2領域群の形状が予め設定された人体判別基準形状と一致する場合、第2領域群を人体の位置として特定する。これにより、室内における人が存在する位置を精度良く特定することができる。
更に、本実施の形態に係る光検出部13は、近赤外光の波長帯域の光を検出する。これにより、太陽光を人工光源から放射される光と区別して検出することができるので、日射位置を精度良く特定することが可能となる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る空気調和システムは、空気調和機の制御ユニットと、空気調和機とは別体であり空気調和機と通信可能な制御装置と、が協働して空気調和機制御処理を実行する点が実施の形態1に係る空気調和機1と相違する。
本実施の形態に係る空気調和システムは、例えば図17に示すように、空気調和機2001と、空気調和機2001とネットワークNWを介して通信可能な制御装置2002と、を備える。なお、図17において、実施の形態1と同様の構成については図3と同一の符号を付している。制御ユニット2011は、CPU101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、入出力インタフェース1041、1042と、出力インタフェース1051、1052、1053と、通信部2106と、これらを互いに接続するバス109と、を備える。通信部2106は、モデム、ゲートウェイ等を有し、CPU101から転送される情報を制御装置2002へ送信したり、制御装置2002から受信した情報をCPU101へ転送したりする。
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み出して実行することにより、図18に示すように、温度検出制御部111、温度レベル情報更新部112、光検出制御部113、日射情報更新部114、温度レベル情報送信部2115、日射情報送信部2116、風向・風量情報受信部2117、運転モード送信部2118および圧縮機制御部119として機能する。なお、図18において、実施の形態1と同様の構成については図4と同一の符号を付している。また、図17に示す補助記憶部103は、図18に示すように、分割エリア記憶部131と、温度レベル記憶部132と、日射情報記憶部133と、運転モード記憶部136と、風向・風量記憶部137と、を有する。温度レベル情報送信部2115は、温度レベル記憶部132が記憶する全ての領域の温度レベル情報が温度レベル情報更新部により更新される毎に、更新後の全ての領域それぞれの温度レベル情報を制御装置2002へ送信する。
日射情報送信部2116は、日射情報記憶部133が記憶する全ての領域の日射情報が日射情報更新部114により更新される毎に、更新後の全ての領域それぞれの日射情報を制御装置2002へ送信する。風向・風量情報受信部2117は、制御装置2002から送信される複数の空気調和エリアそれぞれへの風向および風量を示す風向・風量情報を受信すると、受信した風向・風量情報を風向・風量記憶部137に記憶させる。運転モード送信部2118は、運転モード記憶部136が記憶する運転モード情報が更新される毎に、更新後の運転モード情報を制御装置2002へ送信する。
制御装置2002は、図17に示すように、CPU201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、通信部206と、これらを互いに接続するバス209と、を備える。主記憶部102は、揮発性メモリであり、CPU201の作業領域として使用される。補助記憶部203は、不揮発性メモリであり、CPU201が各種処理を実行するためのプログラムを記憶する。通信部206は、モデム、ゲートウェイ等を有し、CPU201から転送される情報を空気調和機2001へ送信したり、空気調和機2001から受信した情報をCPU201へ転送したりする。
CPU201は、補助記憶部203が記憶するプログラムを主記憶部202に読み出して実行することにより、図18に示すように、温度レベル情報受信部211、人体位置特定部212、日射情報受信部213、日射位置特定部214、風向・風量設定部215、風向・風量情報送信部216および運転モード受信部217として機能する。また、図17に示す補助記憶部103は、図18に示すように、温度レベル記憶部232と、日射情報記憶部233と、人体情報記憶部234と、空気調和エリア記憶部235と、運転モード記憶部236と、風向・風量記憶部237と、を有する。温度レベル記憶部232は、空気調和機2001から受信した各領域の温度レベル情報を、各領域の領域識別情報に対応づけて記憶する。日射情報記憶部233は、空気調和機2001から受信した各領域の日射情報を、各領域の領域識別情報に対応づけて記憶する。人体情報記憶部234は、実施の形態1に係る人体情報記憶部134と同様に、領域群の形状について、それが人体であると判別する基準となる予め設定された人体判別基準形状を示す情報を記憶する。
空気調和エリア記憶部235は、実施の形態1に係る空気調和エリア記憶部135と同様に、室内を複数の空気調和エリアに分割したときのそれぞれの空気調和エリアに含まれる領域の領域識別情報を、空気調和エリアを識別する空気調和エリア識別情報に対応づけて記憶している。運転モード記憶部236は、空気調和機2001から受信した運転モード情報を記憶する。風向・風量記憶部237は、日射位置と人体の位置との位置関係に基づいて設定された複数の空気調和エリアそれぞれへの風向と風量とを示す風向・風量情報を記憶する。
日射情報受信部213は、空気調和機2001から日射情報を受信すると、受信した日射情報を用いて、日射情報記憶部233が記憶する各領域の日射情報を更新する。温度レベル情報受信部211は、空気調和機2001から温度レベル情報を受信すると、受信した温度レベル情報を用いて、温度レベル記憶部232が記憶する各領域の温度レベル情報を更新する。日射位置特定部214は、日射情報記憶部233が記憶する各領域の日射情報を参照して、近赤外光の強度が前述の基準光強度以上であり且つ互いに連続した複数の領域の数が、予め設定された第1下限数以上且つ予め設定された第1上限数以下である第1領域群を日射位置として特定する。人体位置特定部212は、温度レベル記憶部232が記憶する各領域の温度レベル情報を参照して、温度が前述の人体温度下限値以上且つ人体温度上限値以下であり且つ互いに連続した複数の領域の数が、予め設定された第2下限数以上且つ予め設定された第2上限数以下である第2領域群を人体の位置として特定する。
運転モード受信部217は、空気調和機2001から送信される運転モード情報を受信すると、受信した運転モード情報を運転モード記憶部236に記憶させる。風向・風量設定部215は、日射位置特定部214により特定された日射位置と、人体位置特定部212により特定された人体の位置と、運転モード記憶部236が記憶する運転モード情報と、に基づいて、各空気調和領域へ送出される風の風量を設定する。風向・風量設定部215は、設定した風向および風量を示す風向・風量情報を風向・風量記憶部237に記憶させる。風量送信部216は、風向・風量記憶部237が記憶する風向・風量情報を、空気調和機2001へ送信する。
次に、本実施の形態に係る制御装置2002が実行する空気調和機制御処理について図19を参照しながら説明する。この空気調和機制御処理は、例えば制御装置2002へ電源が投入されたことを契機として開始される。なお、図19において、実施の形態1に係る空気調和機制御処理と同様の処理については図11と同一の符号を付している。まず、日射位置特定部214および人体位置特定部212は、予め設定された風向・風量設定更新時期が到来したか否かを判定する(ステップS101)。この風向・風量設定更新時期が到来する周期は、例えば10分に設定される。日射位置特定部214および人体位置特定部212が未だ風向・風量設定更新時期が到来していないと判定する限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理が繰り返し実行される。一方、日射位置特定部214および人体位置特定部212が、前述の風向・風量設定更新時期が到来したと判定したとする(ステップS101:Yes)。この場合、日射位置特定部214が、空気調和機2001に対してその日射情報記憶部133が記憶する日射情報を更新するよう指令する日射情報更新指令情報を空気調和機2001へ送信する。また、人体位置特定部212が、空気調和機2001に対して温度レベル記憶部132が記憶する温度レベル情報を更新するよう指令する温度レベル情報更新指令情報を空気調和機2001へ送信する(ステップS2102)。
ここで、本実施の形態に係る空気調和機2001が実行する日射情報更新処理および温度レベル情報更新処理について図20および図21を参照しながら説明する。なお、図20および図21において、実施の形態1に係る日射情報更新処理および温度レベル情報更新処理と同様の処理については図12および図13と同一の符号を付している。この空気調和機制御処理は、例えば空気調和機1へ電源が投入され少なくとも空気調和機1の風向板駆動部141および送風ファン16が起動したことを契機として開始される。日射情報更新処理では、図20に示すように、まず、光検出制御部113および日射情報更新部114が、制御装置2002から日射情報更新指令情報を受信したか否か判定する(ステップS2201)。光検出制御部113および日射情報更新部114が、日射情報更新指令情報を受信していないと判定する限り(ステップS2201:No)、ステップS2201の処理が繰り返し実行される。一方、光検出制御部113および日射情報更新部114が、日射情報更新指令情報を受信したと判定したとする(ステップS2201:Yes)。この場合、ステップS203からS205までの一連の処理が実行される。次に、光検出制御部113は、光検出部13の検出対象位置が予め設定された終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS206)。ここで、光検出制御部113が、光検出部13の検出対象位置がまだ終了位置に到達していないと判定すると(ステップS206:No)、検出対象位置を次の領域に設定する(ステップS207)。一方、光検出制御部113が、光検出部13の検出対象位置が終了位置に到達したと判定すると(ステップS206:Yes)、日射情報送信部2116は、日射情報記憶部133が記憶する更新後の日射情報を制御装置2001へ送信する(ステップS2208)。その後、再びステップS2201の処理が実行される。
また、温度レベル情報更新処理では、図21に示すように、まず、温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令情報を受信したか否かを判定する(ステップS2301)。温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令情報を受信していないと判定する限り(ステップS2301:No)、ステップS2301の処理が繰り返し実行される。一方、温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112が、温度レベル情報更新指令情報を受信したと判定したとする(ステップS2301:Yes)。この場合、ステップS302からS305までの一連の処理が実行される。次に、温度検出制御部111は、温度検出部12の検出対象位置が予め設定された終了位置に到達したか否かを判定する(ステップS306)。ここで、温度検出制御部111が、温度検出部12の検出対象位置がまだ終了位置に到達していないと判定すると(ステップS306:No)、検出対象位置を次の領域に設定する(ステップS307)。続いて、再びステップS303以降の処理が実行される。一方、温度検出制御部111が、温度検出部12の検出対象位置が終了位置に到達したと判定すると(ステップS306:Yes)、温度レベル情報送信部2115は、温度レベル記憶部132が記憶する更新後の温度レベル情報を制御装置2001へ送信する(ステップS2308)。その後、再びステップS2301の処理が実行される。
図19に戻って、ステップS2102の処理が実行された後、日射情報受信部213および温度レベル情報受信部211は、日射情報および温度レベル情報を受信したか否かを判定する(ステップS2103)。日射情報受信部213が日射情報を受信しない或いは温度レベル情報受信部211が温度レベル情報を受信しないと判定する限り(ステップS2103:No)、ステップS2103の処理が繰り返し実行される。一方、日射情報受信部213および温度レベル情報受信部211が、日射情報、温度レベル情報を受信したと判定したとする(ステップS2103:Yes)。この場合、ステップS104以降の一連の処理が実行される。
以上説明したように、本実施の形態に係る空気調和システムによれば、空気調和機2001の制御ユニット2011の機能を簡素化することができる。従って、本実施の形態に係る空気調和ユニットに適用できる空気調和機2001のバリエーションを広げることができるので、空気調和システムの構成の自由度を高めることができる。
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示は前述の実施の形態によって限定されるものではない。例えば、光検出部13が、近紫外光の波長帯域の光を検出するものであってもよい。近紫外光の波長帯域は、図2に示すように、太陽光の波長帯域(300nm以上3000nm以下)の波長帯域に含まれており、200nm以上380nm以下の波長帯域である。一方、室内の照明器具に用いられる蛍光灯、LEDランプ等の人工光源から放射される光には、可視光の波長帯域である400nm以上700nm以下に含まれる波長の光が含まれるが、近紫外光の波長帯域の光は含まれない。このため、光検出部13により、近紫外光を検出することにより、太陽光を人工光源から放射される光と区別して検出することができる。
各実施の形態において、日射位置に人体の位置が含まれない場合であっても、直ぐに人が室内へ入ってくることが想定されるとき、日射位置を含む空気調和エリアへの風の風量を他の空気調和エリアへの風の風量よりも多くしたり、或いは、日射位置を含む空気調和エリアへの風の風量を他の空気調和エリアへの風の風量よりも少なくしたりしてもよい。
各実際の形態では、光検出部13が光を検出する単位領域の大きさと、温度検出部12が温度を検出する単位領域の大きさ、即ち検出粒度が同じである例について説明した。但し、光検出部13の検出粒と温度検出部12の検出粒度とは、必ずしも同じであるものに限定されない。例えば温度検出部12の検出粒度が、光検出部13の検出粒度よりも小さくてもよい。
各実施の形態において、温度検出部12が、マトリクス状に配列された複数の熱センサを有するものであってもよい。この場合、複数の熱センサそれぞれが、複数の領域それぞれの温度を同時に検出するようにしてもよい。
各実施の形態では、風向・風量設定部117が、空気調和エリアAA1、AA2、・・・、AA7の全てに空調空気を送る例について説明したが、これに限らず、例えば日射位置および人体の位置が含まれる空気調和エリア(例えば空気調和エリアA44)のみに空調空気を送るように設定してもよい。
各実施の形態において、風向・風量制御部118が、例えば空気調和機1、2001が日射位置に人体の位置が含まれる場合、冷房モードで動作するとき、日射位置を含む空気調和エリアへ送風する際、風量を他の空気調和エリアと同一にしながら他の空気調和エリアへ送風する場合に比べて風向板142の走査速度を低下させるようにしてもよい。また、空気調和機1、2001が、日射位置に人体の位置が含まれる場合、暖房モードで動作するとき、日射位置を含む空気調和エリアへ送風する際、風量を他の空気調和エリアと同一にしながら他の空気調和エリアへ送風する場合に比べて風向板142の走査速度を上昇させるようにしてもよい。
或いは、空気調和機1、2001が、日射位置に人体の位置が含まれる場合、冷房モードで動作するとき、日射位置を含む空気調和エリアへのみ送風し、暖房モードで動作するとき、日射位置を含む空気調和エリアへのみ送風しないものであってもよい。空気調和機1、2001が、例えば吹き出し口15bを開閉する開閉スロットまたはルーバ(図示せず)を備えるものである場合、風向・風量制御部118が、送風ファン16の風量を一定にして、空気調和エリア毎に開閉スロットまたはルーバの開度を調節することにより送風する空気調和エリアを選択するようにすればよい。
各実施の形態では、人体位置特定部115が、温度レベル情報が「検出」を示すフラグ情報に設定され且つ互いに連続した複数の領域の数が第2下限数以上且つ第2上限数以下である第2領域群を人体の位置として特定する例について説明した。但し、人体の位置の特定方法はこれに限定されない。例えば、人体位置特定部115が、まず、部屋R内の温度情報を示す熱画像を取得し、熱画像の中から対象とする1つの画素を決定する。次に、人体位置特定部115が、対象とする1つの画素の温度と、その画素の左右、上下および斜めの隣接する8つの画素の温度と、の温度差を算出する。そして、人体位置特定部115は、算出した温度差が閾値内であれば、対象とする画素を人体に対応する画素の候補である候補画素として抽出する。そして、人体位置特定部115は、抽出された候補画素が予め設定された数だけ纏まって存在している場合、この候補画素の群が予め設定された人体の形状であるか否かを判定する。人体位置特定部115は、候補画素の群が人体の形状であり且つ人体に近い温度である場合、この候補画素の群を人体に対応する画素群であると推定する。
各実施の形態では、前述の風向・風量設定更新時期が到来する毎に、日射位置特定部116が、日射情報更新指令を光検出制御部113および日射情報更新部114へ通知し、人体位置特定部115が、温度レベル情報更新指令を温度検出制御部111および温度レベル情報更新部112へ通知する例について説明した。但し、これに限らず、例えば、日射位置特定部116が、風向・風量設定更新時期の到来周期よりも長い周期で、日射情報更新指令を光検出制御部113および日射情報更新部114へ通知するようにしてもよい。これは、日射位置が、人体の位置に比べて急激に変化しないので、日射情報の更新頻度を低減してもよいことに基づくものである。
また、本開示に係る空気調和機1、2001の制御ユニット11、2011および制御装置2002の各種機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。この場合、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、プログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)およびMO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、前述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。そして、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを記録媒体に格納してもよい。
さらに、搬送波に各プログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS,Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前述の処理を実行できるように構成してもよい。