この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図4を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。図1は制御装置により制御される空調機器及び照明機器が設置された対象空間の構成を模式的に示す側面図である。図2は空調機器の室内機の構成を模式的に示す断面図である。図3は制御装置の制御系統の構成を示すブロック図である。そして、図4は制御装置の動作の一例を示すフロー図である。
この実施の形態に係る制御装置は、空調機器10及び照明機器20の動作を制御するものである。制御装置の制御対象である空調機器10は、図1に示すような対象空間1を空気調和の対象としている。対象空間1は、例えば1つの部屋の内部空間である。空調機器10は、対象空間1に係る部屋の壁面又は天井面に設置される。ここで説明する構成例では、空調機器10は、壁面に設置されている。
空調機器10は、対象空間1内の空気の温度を調節することで対象空間1内の空気調和を行う機器である。空調機器10は、冷房運転及び暖房運転の一方又は両方を含む空調運転が可能である。また、空調機器10は、除湿運転、加湿運転のいずれか1つ以上の運転を可能としてもよい。
この実施の形態の空調機器10は、空気調和装置の室内機である。次に、図2を参照しながら、この実施の形態の空調機器10の構成について説明する。同図に示すように、空調機器10は、筐体11を備えている。筐体11は、中空箱状の部材である。筐体11は、横長で前面から下面にかけて斜めに切り欠かれた略直方体状に形成されている。
筐体11の上面部には、吸込口12が形成されている。吸込口12は、外部から筐体11の内部に空気を取り込むための開口である。空調機器10の下面には、吹出口13が形成されている。吹出口13は、筐体11の内部から外部へと空気を排出するための開口である。筐体11の前面側は、前面パネル19で覆われている。
筐体11の内部には、吸込口12から吹出口13へと通じる風路が形成されている。吸込口12には、プレフィルタ18が設置されている。プレフィルタ18は、吸込口12から空調機器10の内部へと入る空気から、比較的大きなごみ、塵、埃等を取り除くためのものである。
前述した風路におけるプレフィルタ18の風下側には、熱交換器14が設置されている。熱交換器14は、前述の風路を流れる空気と熱交換を行って、前述の風路を流れる空気を加熱又は冷却する。空気を加熱するか冷却するかは、空調機器10が暖房運転であるか冷房運転であるかによる。
筐体11の内部には、ドレンパン17が設けられている。ドレンパン17は、熱交換器14の下方に配置されている。ドレンパン17は、熱交換器14のフィンの表面で生じた凝縮水を受けるためのものである。
前述した風路における熱交換器14の風下側には、送風ファン15が設置されている。送風ファン15は、吸込口12から吹出口13へと向かう空気流を、前述の風路中に生成するためのものである。
吹出口13には、ルーバ16が設けられている。ルーバ16は、吹出口13から吹き出す空気の吹き出し角度を調整するためのものである。図1の断面図では、ルーバ16として、上下風向板が表れている。ルーバ16の上下風向板は、筐体11の前面側から見て、手前側と奥側とに設置されている。また、手前側と奥側の各上下風向板は、それぞれ左右に分割されている。そして、ルーバ16の上下風向板の向きを変えることで、空調機器10は、送風方向を上下に変更可能である。
また、ここでは図示が省略されているが、ルーバ16は、左右風向板も備えている。左右風向板は、吹出口13から吹き出す空気の左右方向の吹き出し角度を調整するためのものである。
送風ファン15が動作すると、吸込口12から吹出口13へと向かう空気流が前述の風路中に生成され、吸込口12から空気が吸い込まれ、吹出口13から空気が吹き出される。吸込口12から吸い込まれた空気は、筐体11内部の前述した風路を、プレフィルタ18、熱交換器14、送風ファン15の順に通過する空気流となり、吹出口13から吹き出す。この際、送風ファン15の風下側に配置されたルーバ16の上下風向板及び左右風向板により、吹出口13から吹き出される風の方向すなわち送風方向が調整される。
この実施の形態に係る制御装置のもう1つの制御対象である照明機器20は、図1に示すような対象空間1に光を照射可能である。照明機器20は、対象空間1に係る部屋の壁面又は天井面に設置される。ここで説明する構成例では、照明機器20は、天井面に設置されている。
照明機器20は、対象空間1内に寒色系の光と暖色系の光とを切り替えて照射可能である。寒色系の光は、例えば、青緑色、青色、青紫色等の青系統の色の可視光である。暖色系の光は、例えば、赤色、橙色、黄色、又は、いわゆる電灯色等の可視光である。照明機器20は、寒色系の光を発する第1の光源と、暖色系の光を発する第2の光源とを備えている。第1の光源が発する光の色温度は、第2の光源が発する光の色温度よりも高い。照明機器20は、第1の光源と第2の光源とを、互いに独立して点灯/消灯させることができる。なお、照明機器20は、第1の光源及び第2の光源の他に、通常の照明用として白色、又は、いわゆる昼白色等の可視光を発する第3の光源を備えていてもよい。
次に、図3も参照しながら、この実施の形態に係る制御装置の構成について説明を続ける。この実施の形態の制御装置は、制御装置本体30を備えている。制御装置本体30は、制御部31及び情報取得部32を備えている。情報取得部32は情報源から、必要な情報を取得する。ここで説明する構成例では、情報取得部32の情報源として、表面温度センサ41、環境情報センサ42、GPS情報受信部43及び生体情報センサ44がある。
図1に示すように、表面温度センサ41は、例えば空調機器10に設けられている。表面温度センサ41は、例えば、一方向に並べた複数のサーモパイルを備えている。複数のサーモパイルのそれぞれは、赤外線の受光及び温度の検出を個別に実行可能な素子を有している。そして、表面温度センサ41は、複数のサーモパイルの前述の一方向と直交する方向の向きを変えることができる。このようにすることで、表面温度センサ41は、一方向に並んだ複数のサーモパイルのそれぞれを走査させて、予め設定された対象範囲内について表面温度を検出することができる。この対象範囲は、対象空間1内の全体をカバーすることが望ましい。
表面温度センサ41は、サーモパイルに代えて、SOI(Silicon on Insulator)ダイオード方式の非冷却赤外線イメージセンサを備えていてもよい。SOIダイオード方式の場合、センサ部にシリコンダイオードを使用しているため、シリコン半導体ラインのみで製造可能であり、生産コストが安いというメリットがある。
表面温度センサ41は、このような構成により、前述した対象範囲内を走査して当該範囲内の表面温度分布を非接触で取得する。表面温度センサ41の検出結果、すなわち、表面温度センサ41により取得した表面温度分布データを、後述する制御装置本体30等で処理することで、対象空間1内の床面及び壁面、家具等の障害物、人(対象者2)を含む熱源の有無等を検出できる。また、対象空間1内に対象者2がいる場合、当該対象者2の位置及び皮膚温度を検出できる。
また、表面温度センサ41により取得した表面温度分布データを、制御装置本体30等で処理することで、対象空間1内の対象者2の人数も検出できる。さらに、対象空間1内の対象者2の人数の変化から、対象空間1への対象者2の入退出も検知できる。
環境情報センサ42は対象空間1内の環境情報を検出するセンサである。環境情報センサ42として、具体的に例えば、対象空間1内の空気の温度を検出する温度センサ、対象空間1内の空気の湿度を検出する湿度センサ、対象空間1内の空気の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素センサ等が挙げられる。また、環境情報として、対象空間1の外部の空気すなわち外気の温度、湿度を検出してもよい。情報取得部32は、検出された環境情報を環境情報センサ42から取得する。
この実施の形態では、対象者2について、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)により現在の位置及びその時間変化(移動)を計測可能である。具体的に例えば、対象者2が所持するスマートフォン等の携帯情報端末により、当該対象者2の位置情報が計測される。そして、計測された対象者2の現在の位置及びその時間変化の情報は、携帯情報端末から送信される。計測された対象者2の現在の位置及びその時間変化の情報は、GPS情報受信部43により受信される。この通信には、必要に応じてインターネット等の通信ネットワークが利用される。情報取得部32は、GPS情報受信部43により受信された情報から、対象空間1の対象者2の現在の位置及び移動に関する情報を取得する。
生体情報センサ44は、対象空間1の対象者2の生体情報を検出する例えばウェアラブルセンサである。生体情報センサ44が検出する生体情報として具体的に例えば、心拍数、血圧、活動量、眼(瞳)の大きさ等が挙げられる。また、前述したように、表面温度センサ41は、対象空間1内に対象者2がいる場合、当該対象者2の位置及び皮膚温度を検出できる。表面温度センサ41により検出された皮膚温度も、対象者2の生体情報である。情報取得部32は、検出された対象者2の生体情報を生体情報センサ44及び表面温度センサ41から取得する。
そして、制御部31は、情報取得部32が取得した情報を用いて、空調機器10及び照明機器20を制御する。例えば、制御部31は、情報取得部32が取得した環境情報から現在の季節が夏であると判定した場合、空調機器10が冷房運転を行うように制御する。そして、空調機器10が冷房運転を行う場合、制御部31は、対象空間1内の気温が基準温度以上のときに、照明機器20に寒色系の光を照射させる。
基準温度は、例えば、空調機器10の冷房運転の目標温度に応じて決定される。対象空間1内の気温と空調機器10の冷房運転の目標温度との差が大きい場合、空調機器10の冷房運転により、対象空間1内の気温が目標温度に達するまで、長い時間が必要となる。そこで、制御部31は、目標温度に予め定められた温度差を加えたものを基準温度に設定する。この場合、制御部31は、対象空間1内の気温が目標温度よりも一定温度以上高いときに、照明機器20に寒色系の光を照射させる。
寒色系の光には、人の体感温度を下げて、当該人の温冷感を寒い側に移行させる作用がある。このため、対象空間1内の気温が高く、空調機器10の冷房運転により対象空間1内の気温を目標温度にまで低下させるのに時間がかかる場合に、実際の対象空間1内の気温から受ける対象者2の体感温度を下げ、対象者2の温熱快適感の悪化を抑制できる。
なお、制御部31は、照明機器20に寒色系の光を照射させた場合、照明機器20に寒色系の光を照射させない場合と比較して、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の冷房運転を制御してもよい。ここで、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の冷房運転を制御するとは、例えば、空調機器10の圧縮機の回転数を下げる、空調機器10の送風ファン15の風量を少なくする等である。
前述したように、対象空間1内に照明機器20から寒色系の光を照射することで、対象空間1内の対象者2の体感温度を下げることができる。そこで、照明機器20から寒色系の光を照射しているときは、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の冷房運転を制御することで、対象者2の温熱快適感の悪化を抑制しつつ、気温変化による対象者2の身体負荷を低減できる。また、空調機器10の消費電力量を削減する省エネルギー効果も期待できる。
なお、基準温度を、他に例えば、予め設定された固定値としたり、対象空間1外の気温に応じて決定したりしてもよい。
また一方で、制御部31は、情報取得部32が取得した環境情報から現在の季節が冬であると判定した場合、空調機器10が暖房運転を行うように制御する。そして、空調機器10が暖房運転を行う場合、制御部31は、対象空間1内の気温が基準温度以下のときに、照明機器20に暖色系の光を照射させる。
基準温度は、例えば、空調機器10の暖房運転の目標温度に応じて決定される。対象空間1内の気温と空調機器10の暖房運転の目標温度との差が大きい場合、空調機器10の暖房運転により、対象空間1内の気温が目標温度に達するまで、長い時間が必要となる。そこで、制御部31は、目標温度から予め定められた温度差を減じたものを基準温度に設定する。この場合、制御部31は、対象空間1内の気温が目標温度よりも一定温度以上低いときに、照明機器20に暖色系の光を照射させる。
暖色系の光には、人の体感温度を上げて、当該人の温冷感を暑い側に移行させる作用がある。このため、対象空間1内の気温が低く、空調機器10の暖房運転により対象空間1内の気温を目標温度にまで上昇させるのに時間がかかる場合に、実際の対象空間1内の気温から受ける対象者2の体感温度を上げ、対象者2の温熱快適感の悪化を抑制できる。
なお、制御部31は、照明機器20に暖色系の光を照射させた場合、照明機器20に暖色系の光を照射させない場合と比較して、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の暖房運転を制御してもよい。ここで、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の暖房運転を制御するとは、前述した冷房運転の場合と同様に、例えば、空調機器10の圧縮機の回転数を下げる、空調機器10の送風ファン15の風量を少なくする等である。
前述したように、対象空間1内に照明機器20から暖色系の光を照射することで、対象空間1内の対象者2の体感温度を上げることができる。そこで、照明機器20から暖色系の光を照射しているときは、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の暖房運転を制御することで、対象者2の温熱快適感の悪化を抑制しつつ、気温変化による対象者2の身体負荷を低減できる。また、空調機器10の消費電力量を削減する省エネルギー効果も期待できる。なお、冷房運転の場合と同様に、基準温度を、他に例えば、予め設定された固定値としたり、対象空間1外の気温に応じて決定したりしてもよい。
照明機器20は、対象空間1の壁面又は天井面を照射して反射光を利用する間接照明にするとよい。照明機器20を間接照明にすることで、照明機器20から照射された光が対象者2の眼に直接入ることがない。このため、対象者2の交感神経を過剰に刺激したり、対象者2に光による不快感を与えたりすることを抑制できる。ただし、照明機器20を直接照明とすることは妨げられない。
次に、図4を参照しながら、この実施の形態における制御装置の動作の一例について説明する。まず、ステップS101において、情報取得部32は、対象者2の生体情報の取得を開始する。続くステップS102において、情報取得部32は、対象空間1内外の環境情報を取得する。さらに続くステップS103において、制御部31は、現在の空調機器10及び照明機器20の制御(これを「第一制御」ともいう)の情報を取得する。制御部31は、取得した環境情報及び第一制御の情報から、空調機器10が冷房運転するのか暖房運転するのかを判定する。ステップS103よりも先の処理は、空調機器10が冷房運転するのか暖房運転するのかにより分岐する。
空調機器10が冷房運転する場合、処理はステップS111へと進む。ステップS111より先の処理は、対象空間1内の気温(これを「室温」ともいう)が前述した基準温度以上か否かにより分岐する。室温が基準温度以上でない場合、処理はステップS112を経てステップS115へと進む。ステップS115では、制御部31は、空調機器10について前述の第一制御とは異なる制御(これを「第二制御」と呼ぶ)を行う。制御部31は、空調機器10の第二制御の内容を、取得した生体情報、環境情報及び第一制御の情報を用いて決定する。
一方、室温が基準温度以上である場合、処理はステップS113を経てステップS114へと進む。ステップS114においては、制御部31は、照明機器20に寒色系の光を照射させる。ステップS114の後、処理はステップS115と進む。ステップS115では、制御部31は、空調機器10について第二制御を行う。このステップS114を経た後の空調機器10の第二制御では、前述したように、ステップS114を経由しない場合の空調機器10の第二制御と比較して、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の冷房運転を制御してもよい。
一方、空調機器10が暖房運転する場合、処理はステップS103からステップS121へと進む。ステップS121より先の処理は、対象空間1内の気温(これを「室温」ともいう)が前述した基準温度以下か否かにより分岐する。室温が基準温度以下でない場合、処理はステップS122を経てステップS125へと進む。ステップS125では、制御部31は、空調機器10について前述の第一制御とは異なる制御(これを「第二制御」と呼ぶ)を行う。制御部31は、空調機器10の第二制御の内容を、取得した生体情報、環境情報及び第一制御の情報を用いて決定する。
一方、室温が基準温度以下である場合、処理はステップS123を経てステップS124へと進む。ステップS124においては、制御部31は、照明機器20に暖色系の光を照射させる。ステップS124の後、処理はステップS125と進む。ステップS125では、制御部31は、空調機器10について第二制御を行う。このステップS124を経た後の空調機器10の第二制御では、前述したように、ステップS124を経由しない場合の空調機器10の第二制御と比較して、対象空間1内の気温変化が緩やかになるように空調機器10の冷房運転を制御してもよい。
なお、以上の説明におけるステップS114及びステップS124の処理は、照明機器20の第二制御に相当する。
ステップS115及びステップS125の後、室温が冷房運転の目標温度に到達したら、制御部31は、室温がこのまま維持されるように空調機器10を制御する(ステップS131)。そして、ステップS132において、制御部31は、照明機器20の第二制御を終了させる。すなわち、制御部31は、ステップS114で開始した照明機器20からの寒色系の光の照射を停止させる。あるいは、制御部31は、ステップS124で開始した照明機器20からの暖色系の光の照射を停止させる。ステップS132の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
実施の形態2.
図5から図10を参照しながら、この発明の実施の形態2について説明する。図5から図7は制御装置の動作の一例を示すフロー図である。そして、図8から図10は制御装置の動作の別例を示すフロー図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、空調機器の予備制御を行って、対象者が対象空間内に入る前に予め対象空間内を空調しておくようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る制御装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。以降の説明においては、実施の形態1と同様の又は対応する構成について、原則として実施の形態1の説明で用いたものと同じ符号を付して記載する。
この実施の形態に係る制御装置においては、制御部31は、空調機器10の予備制御を実行可能である。予備制御は、対象空間1内の気温と対象空間1外の気温との差が予め設定された基準温度差以内になるように空調機器10を動作させる制御である。基準温度差は、例えば5℃に設定される。制御部31は、対象者2が対象空間1内に入る前に、前述の予備制御を行う。対象者2が対象空間1内に入る前であるか否かは、例えば、表面温度センサ41の検出結果、GPS情報受信部43により受信した対象者2の位置情報等を確認することで判別できる。
以上のように構成された制御装置においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、制御部31は、対象者2が対象空間1内に入る前に空調機器10の予備制御を行って、対象空間1の内外の気温差が基準温度差以内になるようにしておく。このため、対象者2が対象空間1の外から対象空間1内に入る際の温度変化を小さくでき、移動時の温度変化に伴う対象者2への身体負荷を低減することが可能である。
次に、図5から図7を参照しながら、この実施の形態における制御装置の動作の一例について説明する。まず、図5のステップS201からステップS203は、図4のステップS101からステップS103と同内容である。このため、ここでの説明は省略する。
ステップS203の後、制御部31は、図6に示す空調機器10の予備制御を実行する。この予備制御における処理は、まず、空調機器10が冷房運転するのか暖房運転するのかにより分岐する。空調機器10が冷房運転する場合、処理はステップS211へと進む。ステップS211より先の処理は、対象空間1内の気温すなわち室温が対象空間1外の気温(これを「外気温」ともいう)以下か否かにより分岐する。
室温が基準温度以下でない場合、処理はステップS212を経てステップS213へと進む。ステップS213では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を冷房運転させる。一方、室温が基準温度以下である場合、処理はステップS214を経てステップS215へと進む。ステップS215では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10の運転を停止させる。
これに対し、予備制御において空調機器10が暖房運転する場合、処理はステップS221へと進む。ステップS221より先の処理は、対象空間1内の気温すなわち室温が対象空間1外の気温すなわち外気温以上か否かにより分岐する。室温が基準温度以上である場合、処理はステップS222を経てステップS223へと進む。ステップS223では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10の運転を停止させる。一方、室温が基準温度以上でない場合、処理はステップS224を経てステップS225へと進む。ステップS225では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を暖房運転させる。
ステップS213、ステップS215、ステップS225又はステップS225のいずれかの処理が終了すれば、一連の空調機器10の予備制御は終了する。予備制御が終了すると、処理は図7のステップS231へと進む。
ステップS231では、表面温度センサ41の検出結果、GPS情報受信部43により受信した対象者2の位置情報等を用いて、対象者2が対象空間1内に入ったこと(これを「対象者2の入室」ともいう)を検知する。対象者2の入室を検知した後のステップS241からステップS245、ステップS251からステップS255及びステップS261からステップS262の処理は、図4のステップS111からステップS115、ステップS121からステップS125及びステップS131からステップS132と同内容である。このため、ここでの説明は省略する。
次に、図8から図10を参照しながら、この実施の形態における制御装置の動作の別例について説明する。まず、図8のステップS301からステップS303は、図4のステップS101からステップS103と同内容である。このため、ここでの説明は省略する。
ステップS303の後、制御部31は、図9に示す空調機器10の予備制御を実行する。この予備制御における処理は、まず、空調機器10が冷房運転するのか暖房運転するのかにより分岐する。空調機器10が冷房運転する場合、処理はステップS311へと進む。ステップS311より先の処理は、対象空間1内の気温すなわち室温が対象空間1外の気温(これを「外気温」ともいう)以下か否かにより分岐する。
室温が基準温度以下でない場合、処理はステップS312を経てステップS313へと進む。ステップS313では、制御部31は、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を冷房運転させた場合に、在室者の温熱的快適性を維持できるか否かを判定する。ここで、在室者とは、対象者2が対象空間1に入る以前から対象空間1内にいる者である。室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を冷房運転させても在室者の温熱的快適性を維持できる場合、処理はステップS314へと進む。ステップS314では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を冷房運転させる。
一方、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を冷房運転させると在室者の温熱的快適性を維持できない場合、処理はステップS315へと進む。ステップS315では、制御部31は、対象者2と在室者のいずれかが温熱的弱者であるか否かを判定する。温熱的弱者とは、環境温度に対してうまく適用して、暑い環境では手足などの抹消部位から放熱し、逆に寒い環境では手足への血流量を減らすことで放熱を抑制して深部温度の低下を抑制する能力が低下、又は未発達の者のことで、具体的には、高齢者、子ども等である。
制御部31は、例えば情報取得部32が取得した生体情報等を用いて対象者2と在室者のいずれかが温熱的弱者であるか否かを判定する。そして、続くステップS316で、制御部31は、対象者2と在室者のうちの温熱的弱者を優先するように空調機器10を制御する。すなわち、例えば、対象者2が温熱的弱者であれば、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を冷房運転させる。また、在室者が温熱的弱者であれば、在室者の温熱的快適性を損なわない程度に空調機器10を冷房運転させる、又は、空調機器10の運転を停止させる。
これに対し、ステップS311で室温が基準温度以下である場合、処理はステップS317を経てステップS318へと進む。ステップS318では、制御部31は、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させた場合に、在室者の温熱的快適性を維持できるか否かを判定する。室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させても在室者の温熱的快適性を維持できる場合、処理はステップS319へと進む。ステップS319では、制御部31は、空調機器10の運転を停止させる。
一方、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させると在室者の温熱的快適性を維持できない場合、処理はステップS320へと進む。ステップS320では、制御部31は、対象者2と在室者のいずれかが温熱的弱者であるか否かを判定する。そして、続くステップS321で、制御部31は、対象者2と在室者のうちの温熱的弱者を優先するように空調機器10を制御する。すなわち、例えば、対象者2が温熱的弱者であれば、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10の運転を停止させる。また、在室者が温熱的弱者であれば、在室者の温熱的快適性を損なわない程度に空調機器10の運転を停止させる、又は、空調機器10を冷房運転させる。
図9の予備制御において空調機器10が暖房運転する場合、処理はステップS331へと進む。ステップS331より先の処理は、対象空間1内の気温すなわち室温が対象空間1外の気温すなわち外気温以上か否かにより分岐する。
室温が基準温度以上である場合、処理はステップS332を経てステップS333へと進む。ステップS333では、制御部31は、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させた場合に、在室者の温熱的快適性を維持できるか否かを判定する。室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させても在室者の温熱的快適性を維持できる場合、処理はステップS334へと進む。ステップS334では、制御部31は、空調機器10の運転を停止させる。
一方、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10の運転を停止させると在室者の温熱的快適性を維持できない場合、処理はステップS335へと進む。ステップS335では、制御部31は、対象者2と在室者のいずれかが温熱的弱者であるか否かを判定する。そして、続くステップS336で、制御部31は、対象者2と在室者のうちの温熱的弱者を優先するように空調機器10を制御する。すなわち、例えば、対象者2が温熱的弱者であれば、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10の運転を停止させる。また、在室者が温熱的弱者であれば、在室者の温熱的快適性を損なわない程度に空調機器10の運転を停止させる、又は、空調機器10を暖房運転させる。
これに対し、ステップS331で室温が基準温度以上でない場合、処理はステップS337を経てステップS338へと進む。ステップS338では、制御部31は、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を暖房運転させた場合に、在室者の温熱的快適性を維持できるか否かを判定する。室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を暖房運転させても在室者の温熱的快適性を維持できる場合、処理はステップS339へと進む。ステップS339では、制御部31は、情報取得部32が取得する環境情報を確認しながら、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を暖房運転させる。
一方、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで空調機器10を暖房運転させると在室者の温熱的快適性を維持できない場合、処理はステップS340へと進む。ステップS340では、制御部31は、対象者2と在室者のいずれかが温熱的弱者であるか否かを判定する。そして、続くステップS341で、制御部31は、対象者2と在室者のうちの温熱的弱者を優先するように空調機器10を制御する。すなわち、例えば、対象者2が温熱的弱者であれば、室温と外気温との温度差が5℃以内になるまで、空調機器10を暖房運転させる。また、在室者が温熱的弱者であれば、在室者の温熱的快適性を損なわない程度に空調機器10を暖房運転させる、又は、空調機器10の運転を停止させる。
ステップS314、ステップS316、ステップS319、ステップS321、ステップS334、ステップS336、ステップS339又はステップS341のいずれかの処理が終了すれば、一連の空調機器10の予備制御は終了する。予備制御が終了すると、処理は図10のステップS351へと進む。
図10のステップS351、ステップS361からステップS365、ステップS371からステップS375及びステップS381からステップS382の処理は、図7のステップS231、ステップS241からステップS245、ステップS251からステップS255及びステップS261からステップS262の処理は、と同内容である。このため、ここでの説明は省略する。
以上のような特に図9に示す予備制御の別例によれば、既に対象空間1内に在室者がいて、後から対象者2が対象空間1内に入る場合に、在室者の温熱的快適性を損うことを抑制しつつ、温熱的弱者を優先しながら後から対象空間1内に入る対象者2の身体負荷の低減を図ることが可能である。