JP2021179238A - 円すいころ軸受及び転がり軸受装置 - Google Patents

円すいころ軸受及び転がり軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】外輪のクリープを防止する円すいころ軸受を低コストで製造する。【解決手段】円すいころ軸受10は、外周に内側軌道面20を有する内輪12と、内側軌道面20に配置された複数の円すいころ13と、を含む内輪組立体34と、内周に外側軌道面16を有する外輪11と、を含み、軸受中心軸mを中心として回転する。外輪11は、第1外周面17aと第2外周面17bを備える。第1外周面17aは外輪11で最も大きい直径の外周面であるとともに第2外周面17bは第1外周面17aよりも小さい直径の外周面であり、第2外周面17bが外輪の背面18に隣接して配置されているとともに第1外周面17aが第2外周面17bよりも外輪の正面側に配置されている。外側軌道面16と軸受中心軸mとのなす角度θ3が、内輪組立体34の複数の円すいころ13の転動面30に外接する仮想円錐面と軸受中心軸mとのなす角度θ4より大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、主として車両の駆動装置に使用される円すいころ軸受及び転がり軸受装置に関し、特に、ハウジングに対するクリープを防止した円すいころ軸受及び転がり軸受装置に関する。
車両のトランスミッションやデフなどの駆動装置では、図7に示すように、ハウジング80に円すいころ軸受70が組み込まれた転がり軸受装置100によって、ギア軸81が回転自在に支持されている。円すいころ軸受70は、中心軸mの回りで相対的に回転する外輪71と内輪72とを備えており、外輪71が、ハウジング80の軸受保持部82にすきまばめの状態で固定されている。
しかしながら、ハウジング80はアルミニウム鋳物で製造されており、熱膨張量が鋼製の円すいころ軸受70より大きいので、車両が走行してハウジング80の温度が上昇すると、外輪71と軸受保持部82の嵌め合い面のすきまが拡大する。このため、外輪71を拘束することができず、内輪72が回転するときの引きずり抵抗によって軸受保持部82の内側で外輪71が回動する場合がある。引きずり抵抗とは、内輪72が回転するときに、円すいころ軸受70を潤滑するオイルの粘性や転がり摩擦などによって、外輪71を回転させる力をいう。このように軸受保持部82の内側で外輪71が回動することを「クリープ」という。
外輪71がクリープすると、軸受保持部82の内周が摩耗してギア軸81が円滑に回転できず異音発生等の不具合を生じる恐れがある。特許文献1には、図8に示すように、外輪71の外周にゴム製のOリング73を組み込んで、Oリング73とハウジング80との間、及び、Oリング73と外輪71との間のすべり摩擦力によってクリープを低減する円すいころ軸受70aが記載されている。
特開平08−074845号公報
しかしながら、特許文献1の円すいころ軸受70aのように、Oリング73を組込むこととすると、Oリング73の部品費用が必要となるばかりでなく、Oリング73を組込む溝を加工するために費用が掛かり、円すいころ軸受70aの製造コストが高くなるという問題がある。更に、円すいころ軸受70aをハウジング80に組み込むときに、Oリング73が脱落するのを防止しなければならず、組付け作業が煩雑になるという問題がある。
そこで、本発明は、外輪のクリープを防止する円すいころ軸受を、別部品を使用することなく、低コストで製造することを目的としている。
本発明の一形態は、外周に内側軌道面を有する内輪と、前記内側軌道面に配置された複数の円すいころと、を含む内輪組立体と、内周に前記内側軌道面と径方向に対向する外側軌道面を有する外輪と、を含み、前記内輪組立体と前記外輪とが軸受中心軸を中心として相対的に回転する円すいころ軸受であって、前記外輪は、第1外周面と第2外周面を備え、前記第1外周面は前記外輪で最も大きい直径の外周面であるとともに前記第2外周面は前記第1外周面よりも小さい直径の外周面であり、前記第2外周面が前記外輪の背面に隣接して配置されているとともに前記第1外周面が前記第2外周面よりも前記外輪の正面側に配置されており、前記外側軌道面と前記軸受中心軸とのなす角度が、前記内輪組立体の前記複数の円すいころの転動面に外接する仮想円錐面と前記軸受中心軸とのなす角度より大きい、円すいころ軸受である。
本発明の他の形態は、単一の円筒面で形成される軸受嵌合面と、前記軸受中心軸と直交する向きで前記軸受嵌合面の端から径方向に延在する端面と、を備えたハウジングと、前記一形態の円すいころ軸受と、を含み、前記円すいころ軸受は、前記第1外周面が前記軸受嵌合面に嵌め合わされるとともに前記外輪の背面が前記端面に当接して前記ハウジングに組込まれている転がり軸受装置である。
本発明の円すいころ軸受は、別部品を使用することなく、外輪のクリープを防止することができる。このため、円すいころ軸受を、低コストで製造することができる。
本発明の一実施形態である円すいころ軸受の軸方向断面図である。 本実施形態の内輪組立体と外輪の形状を説明する説明図である。 転がり軸受装置の部分断面図である。 従来の円すいころ軸受の内輪組立体と外輪の形状を説明する説明図である。 従来の円すいころ軸受を用いたときの嵌合状態の変化を示す模式図である。 本発明の一実施形態である円すいころ軸受を用いたときの嵌合状態の変化を示す模式図である。 車両のトランスミッションの軸方向断面図である。 従来のクリープ防止を目的とした円すいころ軸受の軸方向断面図である。
(円すいころ軸受)
図を用いて本発明を実施するための形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」という)である円すいころ軸受10の軸方向断面図である。円すいころ軸受10は、車両のトランスミッションなどに組み込まれて、ギア軸81を回転支持する等の用途で使用される。
円すいころ軸受10は、外輪11と、内輪12と、転動体としての複数の円すいころ13と、保持器14と、を備えている。
外輪11及び内輪12は環状であり、内輪12は外輪11の内側に組み込まれる。外輪11及び内輪12は、中心軸m(軸受中心軸)を中心として、相対的に回転することができる。以下の説明では、中心軸mと平行となる方向を軸方向とし、中心軸mと直交する方向を径方向、中心軸mの回りを周回する方向を周方向という。また、図1の左方を軸方向一方といい、右方を軸方向他方という。また、円すいころ軸受10は、軸方向他方から軸方向一方に向かう荷重を支持することができる。このため、図1の軸方向他方の側を「外輪の正面側」といい、軸方向一方の側を「外輪の背面側」という場合がある。
外輪11は、軸受鋼や肌焼鋼等の鋼材で製造されている。外輪11は、内周に外側軌道面16を有し、外周に、互いに直径が異なる二つの外周面17a、17bを備えている。また、軸方向一方に外輪の背面18を有し、軸方向他方に外輪の正面19を備えている。
外側軌道面16は、円すいころ13が転走する軌道面である。外側軌道面16は、中心軸mを軸とする円錐面で形成されており、軸方向一方に向かうにしたがって直径が小さくなっている。本実施形態の円すいころ軸受10では、外側軌道面16が中心軸mに対して傾斜する角度に特徴があるが、説明が煩雑になるのを避けるため、当該傾斜する角度については、その他の構成を説明した後で詳細に説明する。
外輪11の外周は、互いに直径が異なる二つの円筒面が、互いに中心軸を一致させて軸方向につながった形態である。外輪の正面19に近い側(正面側)にあって第2外周面17bよりも正面側に配置される外周面を第1外周面17aとし、外輪の背面18に近い側(背面側)にあって外輪の背面18に隣接して配置される外周面を第2外周面17bとして説明する。
第2外周面17bは第1外周面17aより小径であって、外輪11の軸方向のほぼ中央の位置より背面側に形成されている。第1外周面17aと第2外周面17bは、軸方向に傾いた段面27でつながっている。本実施形態では、第1外周面17aと第2外周面17bとの直径の差は0.2〜2mmに設定されている。
外輪の背面18は、外輪11の軸方向一方で、中心軸mと直交する向きに形成されている。外輪の背面18の径方向内方の端部は、外側軌道面16の軸方向一方の端部とつながっており、外輪の背面18の径方向外方の端部は、第2外周面17bの軸方向一方の端部とつながっている。
外輪の正面19は、外輪11の軸方向他方で、中心軸mと直交する向きに形成されている。外輪の正面19の径方向内方の端部は、外側軌道面16の軸方向他方の端部とつながっており、外輪の正面19の径方向外方の端部は、第1外周面17aの軸方向他方の端部とつながっている。
内輪12は,軸受鋼や肌焼鋼等の鋼材で製造されている。内輪12は、内側軌道面20と、軸受内径面21と、内輪の正面22と、内輪の背面23と、を備えている。
内側軌道面20は、内輪12の外周に形成されており、円すいころ13が転走する軌道面である。内側軌道面20は、中心軸mを軸とする円錐面で形成されており、軸方向一方に向かうにしたがって直径が小さくなっている。内側軌道面20の軸方向一方の端部に、径方向外方に凸となった小つば24が形成されるとともに、内側軌道面20の軸方向他方の端部に、径方向外方に凸となった大つば25が形成されている。円すいころ13は、円すいころ軸受10が回転するときに大つば25で案内されて、周方向に転動する。
軸受内径面21は、中心軸mを中心とする円筒面である。内輪の正面22は、内輪12の軸方向一方で径方向に延在しており、内輪の背面23は、内輪12の軸方向他方で径方向に延在している。
円すいころ13は、軸受鋼等の鋼材で製造されている。円すいころ13は、円錐台の形状であり、円錐面で形成される転動面30と、円すいころ13の中心軸と直交する向きに形成された小径のころ小端面31と大径のころ大端面32を備えている。
保持器14は、冷間圧延鋼板をプレス成形し、或いは、合成樹脂を射出成形することによって製造される。保持器14には、円すいころ13を一つずつ収容するポケットが周方向に複数形成されている。
図2は、内輪12の内側軌道面20に円すいころ13を配置した内輪組立体34と、外輪11とを組み合わせて、円すいころ軸受10が組み立てられる様子を示している。複数の円すいころ13は、保持器14によって、周方向に等しい間隔で保持されている。
内輪組立体34と外輪11とは、互いに中心軸が一致するように組み合わされ、径方向に対向する外側軌道面16と内側軌道面20との間に複数の円すいころ13が組み込まれる。外輪11又は内輪12が回転すると、円すいころ13が、各軌道面16、20を転動する。各軌道面16、20が円錐面で形成されているので、円すいころ軸受10は、軸方向に作用する荷重(アキシアル荷重)及び径方向に作用する荷重(ラジアル荷重)を同時に支持することができる。
円すいころ軸受10の内輪組立体34は、内側軌道面20の円錐面の頂点、及び、円すいころ13の転動面30を形成する円錐面の頂点が、円すいころ軸受10の中心軸m上の点Oiで交わるように構成されている。したがって、内輪組立体34を構成する複数の円すいころ13の各転動面30に外接する仮想円錐面28を考えたときに、仮想円錐面28の頂点は中心軸mと点Oiで交わる。
一方、外輪11は、外側軌道面16を形成する円錐面の頂点が、円すいころ軸受10の中心軸m上の点Ooで交わるように構成されている。点Ooは点Oiよりも軸方向他方側(外輪の正面側)に位置する。
図2によって、各軌道面16、20の傾斜する角度について更に詳細に説明する。
ここで、図2に示すように、内側軌道面20と中心軸mとのなす角度(内側軌道面20を形成する円錐面の母線と中心軸mとのなす角度)を内輪傾斜角θ1、円すいころ13の転動面30を形成する円錐面の母線のうち円すいころ13の中心軸を挟んで対向する二つの母線のなす角度をころ円錐角θ2、外側軌道面16と中心軸mとのなす角度(外側軌道面16を形成する円錐面の母線と中心軸mとのなす角度)を外輪傾斜角θ3、仮想円錐面28と中心軸mとのなす角度(仮想円錐面28の母線と中心軸mとのなす角度)を仮想円錐面傾斜角θ4として説明する。
本実施形態の円すいころ軸受10では、外輪傾斜角θ3は、仮想円錐面傾斜角θ4よりわずかに大きくなっている。すなわち、外輪傾斜角θ3=仮想円錐面傾斜角θ4+δθ(δθ>0)である。なお、仮想円錐面傾斜角θ4は、内輪傾斜角θ1ところ円錐角θ2を 足し合わせた角度に等しく、δθは、好ましくは3分から10分に設定される。
こうすることによって、外輪11と内輪組立体34とを組み合わせたときに、外側軌道面16と円すいころ13は、円すいころ13のころ小端面31の側で強く接触するようになっている。
なお、各軌道面16、20の全面にクラウニングが施されている場合には、内輪傾斜角θ1及び外輪傾斜角θ3は、各軌道面16、20の軸方向中央で接する直線と中心軸mとのなす角度で求めることができる。同様に、転動面30の全面にクラウニングが施されている場合には、ころ円錐角θ2は、円すいころ13の中心線を挟んで互いに対向する転動面30の軸方向中央で接する直線のなす角度で求めることができる。
(転がり軸受装置)
次に、図3によって、本発明に係る転がり軸受装置79の実施形態を説明する。図3は、トランスミッションの部分断面図であって、転がり軸受装置79の構成を示している。転がり軸受装置79は、円すいころ軸受10とハウジング80とで構成される。トランスミッションの全体としての形態は、従来のトランスミッション(図7参照)と同様であるため、図示を省略する。
トランスミッションは、動力を伝達するギア軸81と、転がり軸受装置79と、を備えている。ギア軸81は、両端の転がり軸受装置79に組み込まれた転がり軸受10によって、ハウジング80に対して回転自在に支持されている。ギア軸81の両端の転がり軸受装置79の構造は互いに同様である。各転がり軸受装置79に組み込まれた円すいころ軸受10は、互いに外輪11の正面が向き合うように組み込まれている。
ハウジング80は、アルミニウム鋳物などの軽合金製である。ハウジング80は、円すいころ軸受10を組付ける軸受保持部82を備えている。
軸受保持部82は、中心軸mを中心とする筒状部82aと筒状部82aの一方の端で径方向内方に突出する段部82bを備えている。筒状部82aは、径方向に所定の肉厚を有している。筒状部82aは、ハウジング80の側壁の内側から軸方向他方に向けて突出しており、軸方向他方に開口している。軸受嵌合面84が、筒状部82aの内周に形成されている。軸受嵌合面84は、中心軸mを中心とする単一の円筒面で形成されており、直径は、円すいころ軸受10の第1外周面17aの外径よりわずかに大径である。
段部82bは、軸受嵌合面84の軸方向一方の側に形成されている。段部82bの内径は軸受嵌合面84より小径であり、段部82bの軸方向他方に、当接面85が形成されている。当接面85は、軸受嵌合面84の軸方向一方の端とつながって、中心軸mと直交する向きで径方向内方に延在している。当接面85は、外輪11と軸方向に当接して、円すいころ軸受10の軸方向の位置を規制している。
円すいころ軸受10は、外輪の背面18を軸方向一方に向けて軸受嵌合面84の内周に挿入される。常温では、軸受嵌合面84の直径は、第1外周面17aの直径よりわずかに大径であり、円すいころ軸受10は、軸受保持部82にすきまばめの状態で組付けられる。
ハウジング80の軸方向他方においても同様に、円すいころ軸受10が軸方向に位置決めされて組み込まれている。各円すいころ軸受10、10は、互いに軸方向に予圧が付与された状態で組み込まれている。
トランスミッションが作動して温度が上昇すると、ハウジング80、ギア軸81及び円すいころ軸受10が、それぞれ軸方向及び径方向に膨張する。ハウジング80はアルミニウム製であり、線膨張係数は、概ね18〜25×10−6であり、ギア軸81及び円すいころ軸受10は鋼製であり、線膨張係数は、概ね10〜13×10−6である。ハウジング80の軸方向の熱膨張量が、ギア軸81の軸方向の熱膨張量より大きいので、円すいころ軸受10の軸方向の予圧が減少し、外輪の背面18と当接面85とに間にすきまが生じる場合がある。また、軸受保持部82の熱膨張量は、外輪11の熱膨張量より大きいので、外輪11の外周面と軸受嵌合面84との径方向のすきまが拡大する。
こうして、トランスミッションの温度が上昇すると、外輪11が、軸受保持部82の内側にすきまをもって嵌め合わされた状態となり、円すいころ軸受10は、任意の向きに変位しうる状態となる。
(従来の問題点)
本実施形態の円すいころ軸受10によるクリープ防止効果について理解を容易にするために、先ず、従来の円すいころ軸受70を用いた場合に、外輪71がクリープする現象について説明する。なお、本実施形態の転がり軸受10と共通する構成には同一の符号を付して説明する。
図4は、図2と同様の説明図であって、従来の円すいころ軸受70について、内輪72の内側軌道面20に円すいころ13を配置した内輪組立体34aと、外輪71とを組み合わせて、円すいころ軸受70が組み立てられる様子を示している。
外輪71と内輪72は、互いに中心軸が一致するように組み合わされ、互いに径方向に対向する外側軌道面16と内側軌道面20との間に複数の円すいころ13が組み込まれる。
従来の円すいころ軸受70は、外輪71の外周面74が単一の円筒面で形成されている。外周面74の直径は、本実施形態の第1外周面17aの直径と同等であり、外輪71は、軸受保持部82にすきまばめの状態で組付けられている。また、外輪傾斜角θ3は、仮想円錐面傾斜角θ4(内輪傾斜角θ1ところ円錐角θ2の和である)と同等である。
図5は、ハウジング80の軸受保持部82に従来の円すいころ軸受70が組込まれている場合に、車両の走行状態の違いによって、円すいころ軸受70の嵌合状態が変化する様子を示す模式図である。
図5(a)は、通常走行時に車輪がエンジンで駆動されるドライブ状態のときの円すいころ軸受70の嵌合状態を示しており、ギアの反力がラジアル荷重Fとして円すいころ軸受70に作用している。図5(c)は、惰性走行時に車輪の回転によってエンジンが駆動されるコースト状態のときの円すいころ軸受70の嵌合状態を示しており、ドライブ状態と逆向きのラジアル荷重Fが作用している。図5(b)は、ドライブ状態からコースト状態に切り替わるときに、ラジアル荷重Fが発生していない状態を示している。以下の説明では、この、ラジアル荷重Fが発生していない状態を「中立状態」という場合がある。
ドライブ状態では、径方向に向けて(例えば図5に示すように図の上向きである)ラジアル荷重Fが作用して、外輪71が軸受嵌合面84に強く押し付けられている。軸受保持部82は軸方向に突出した筒状に形成されているため、ラジアル荷重Fを受けている側では開口側の端部が図の上方に弾性変形しており、軸受嵌合面84が開口側ほど図の上方に向けて傾斜している。
円すいころ軸受70は、外輪71の外周面74が軸受嵌合面84に沿うように傾くので、ラジアル荷重Fが作用する側の反対側(図の下方)では、外輪71が当接面85から離れる向きに変位して、当接面85と外輪の背面18との間にすきまsが形成される。なお、図5では、円すいころ軸受70の傾き量を誇張して図示しており、ラジアル荷重Fが作用する側の反対側における実際のすきまは0.1mm以下と推定される。
こうして、ドライブ状態では、外輪71が、軸受保持部82に対して周方向の一部で強く押し付けられて、当接面85に対して傾いた状態となり、外輪の背面18と当接面85との間にすきまを有する状態となっている。
その後、コースト状態に変化するときに、円すいころ軸受70に対して一時的にラジアル荷重Fが作用しない中立状態となる。ラジアル荷重Fが負荷されないので、軸受保持部82の開口部が元の形状に復元するとともに、円すいころ軸受70が、軸受嵌合面84とほぼ同軸の状態で、軸受保持部82に収容される。また、ハウジング80の温度が上昇して軸受保持部82と外輪71との間のすきまが大きくなっているので、外輪71が、軸受保持部82の内側で容易に動きうる状態となっている。このため、外輪71が、引きずり抵抗によって内輪72の回転とともに周方向に回動する。
なお、内輪72が回転することによって円すいころ13が中心軸mの回りで公転しており、円すいころ13に遠心力が作用している。外側軌道面16が傾斜しているので、遠心力の分力が軸方向一方に作用して、外輪71が当接面85に向けて軸方向に付勢される。こうして、外輪71が当接面85に押し付けられた後は、外輪の背面18と当接面85との間のすべり摩擦によって外輪71の回動は抑制される。
このように、従来の円すいころ軸受70は、トランスミッションがドライブ状態からコースト状態に切り替わるときに、外輪71が軸受保持部82の内側で動きうる状態となり、クリープが発生する場合があった。
(本実施形態の作用効果)
これに対して、本実施形態では、外輪11の形態を工夫することによってクリープの発生を抑制している。図6によって、円すいころ軸受10のクリープを防止する作用について説明する。図6は、図5と同様の模式図であって、ハウジング80の軸受保持部82に本実施形態の円すいころ軸受10が組込まれている場合に、車両の走行状態の違いによって、円すいころ軸受10の嵌合状態が変化する様子を示している。
図6(a)を参照する。ドライブ状態では、図5と同様に、径方向に向けてラジアル荷重Fが作用して、外輪11が軸受嵌合面84に強く押し付けられている。
軸受保持部82は軸方向に突出した筒状に形成されており、ラジアル荷重Fを受けている側では開口側の端部がラジアル荷重Fの方向に弾性変形する。これにより、軸受嵌合面84が開口部ほど図の上方に位置するように中心軸mに対して傾いている。
円すいころ軸受10は、大径の第1外周面17aと小径の第2外周面17bを備えている。図3に示したように、円すいころ軸受10は、第1外周面17aと軸受嵌合面84とがわずかなすきまをもって嵌め合わされることによって、径方向に位置決めされている。ラジアル荷重Fが作用して、径方向に付勢されると、外輪11の外周面のうち最も大きい直径である第1外周面17aが軸受嵌合面84に押し付けられる。
このとき、本実施形態の円すいころ軸受10は、外輪傾斜角θ3が内輪傾斜角θ1ところ円錐角θ2との和よりδθだけ大きいことにより(図2参照)、外側軌道面16と転動面30は、ころ小端面31に近い側で強く接触している。このため、外輪11を径方向外方に付勢する力は、第1外周面17aと第2外周面17bとをつなぐ段面27の位置を挟んで、背面側(第2外周面17bと径方向に対応する位置である)の方が正面側(第1外周面17aと径方向に対応する位置である)より大きくなる。
円すいころ軸受10の第2外周面17bは、外輪の背面に隣接して配置されるとともに軸受嵌合面84との間に径方向にすきまをもって形成されている。このため、外輪11の外周面17a、17bは、軸受嵌合面84の向きに拘束されることがなく、外輪11は、段面27と軸受嵌合面84とが接する位置を中心として、時計回りの方向に付勢される。このため、ラジアル荷重Fが作用する側の反対側(図の下方)では、外輪11が当接面85に押し付けられて、当接面85と外輪の背面18との間にすきまsが生じない。したがって、外輪11は、外輪の背面18の向きを常に当接面85と平行な状態に維持することができる。
こうして、本実施形態の円すいころ軸受10は、ドライブ時の円すいころ軸受10の傾きを抑制して、外輪の背面18と当接面85とが接触した状態を維持することができる。
なお、段面27は、外側軌道面16ところ小端面31側の転動面30とが接触する位置より正面側に配置されるのが好ましい。これにより、外輪11が、外側軌道面16と円すいころ13との接触荷重によって、時計回りの方向に効果的に付勢されるからである。また、段面27は、外輪11の幅の中央より背面側に配置されるのが好ましい。これにより、軸受嵌合面84と第1外周面17aとの嵌め合い長さを十分大きくすることができるので、軸受保持部82の内側に円すいころ軸受10を安定して保持することができる。
その後、図6(b)に示すように、コースト状態に変化するときの中立状態ではラジアル荷重Fが負荷されないので、軸受保持部82の開口部が元の形状に復元するとともに、円すいころ軸受10が、軸受嵌合面84とほぼ同軸の状態で、軸受保持部82に収容される。ドライブ状態で、外輪の背面18と当接面85とが接触した状態が維持されているので、中立状態においても外輪の背面18と当接面85とが当接している。更に、内輪12が回転することによって円すいころ13が中心軸mの回りで公転しており、円すいころ13に遠心力が作用している。外側軌道面16が傾斜しているので、遠心力の分力が軸方向一方に作用して、外輪11が当接面85に向けて軸方向に押し付けられる。こうして、外輪の背面18と当接面85との間のすべり摩擦によって外輪11の回動は抑制される。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受10は、軸受保持部82に組込まれたときに、外輪の背面18とハウジング80の当接面85とが常に接触した状態を維持することができる。したがって、ハウジング80の温度が上昇して軸受保持部82と外輪11との間のすきまが拡大している場合であっても、外輪の背面18と当接面85とのすべり摩擦によって外輪11の回動を抑制することができる。
こうして、本発明を用いた円すいころ軸受は、Oリング等の別部品を使用することなく、外輪のクリープを防止することができる。このため、円すいころ軸受を、低コストで製造することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。例えば、円すいころ軸受が、アルミニウム製のハウジング80に組付けられる場合について説明したが、ギア軸とハウジングとを、線膨張係数の近似した素材とした場合のように、円すいころ軸受に対する予圧変動が起こりにくい場合でも、外輪のクリープを防止する目的のためだけに本発明の円すいころ軸受を利用することができる。更に、本発明の円すいころ軸受は、車両のトランスミッションに用いる場合のみに限定されず、種々な場所に使用できる。
10:円すいころ軸受、11:外輪、12:内輪、13:円すいころ、14:保持器、16:外側軌道面、17a:第1外周面、17b:第2外周面、18:外輪の背面、19:外輪の正面、20:内側軌道面、21:軸受内径面、22:内輪の正面、23:内輪の背面、24:小つば、25:大つば、27:段面、30:ころ転動面、31:ころ小端面、32:ころ大端面、34:内輪組立体、70:円すいころ軸受、71:外輪、72:内輪、73:Oリング、74:外周面、79:転がり軸受装置、80:ハウジング、81:ギア軸、82:軸受保持部、82a:筒状部、82b:段部、84:軸受嵌合面、85:当接面

Claims (2)

  1. 外周に内側軌道面を有する内輪と、前記内側軌道面に配置された複数の円すいころと、を含む内輪組立体と、
    内周に前記内側軌道面と径方向に対向する外側軌道面を有する外輪と、
    を含み、前記内輪組立体と前記外輪とが軸受中心軸を中心として相対的に回転する円すいころ軸受であって、
    前記外輪は、第1外周面と第2外周面を備え、前記第1外周面は前記外輪で最も大きい直径の外周面であるとともに前記第2外周面は前記第1外周面よりも小さい直径の外周面であり、前記第2外周面が前記外輪の背面に隣接して配置されているとともに前記第1外周面が前記第2外周面よりも前記外輪の正面側に配置されており、
    前記外側軌道面と前記軸受中心軸とのなす角度が、前記内輪組立体の前記複数の円すいころの転動面に外接する仮想円錐面と前記軸受中心軸とのなす角度より大きい、円すいころ軸受。
  2. 単一の円筒面で形成される軸受嵌合面と、前記軸受中心軸と直交する向きで前記軸受嵌合面の端から径方向に延在する端面と、を備えたハウジングと、
    請求項1に記載する円すいころ軸受と、を含み、
    前記円すいころ軸受は、前記第1外周面が前記軸受嵌合面に嵌め合わされるとともに前記外輪の背面が前記端面に当接して前記ハウジングに組込まれている転がり軸受装置。
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