JP2021179180A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Masashi Inoue
章裕 小倉
Akihiro Ogura
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【課題】スクロール圧縮機において、そのスクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ、少なくとも何れかの旋回ラップにおいてその旋回ラップの倒れに対する強度アップを図る。【解決手段】内周側旋回ラップ123の外周端部123aにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2は、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。ここで、外周側旋回ラップ122と内周側旋回ラップ123との全体のうちで外周側旋回ラップ122の外周端部122aがスクロール圧縮機2の外側表面に最も近い。そのため、例えば内周側旋回ラップ123の一部分の厚みを増すよりも、外周側旋回ラップ122の外周端部122aの厚みt4を増す方が、スクロール圧縮機2の体格拡大につながりやすい。従って、スクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ内周側旋回ラップ123の倒れに対する強度アップを図ることが可能である。【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関するものである。
この種のスクロール圧縮機として、例えば特許文献1に記載されたスクロール圧縮機が従来から知られている。この特許文献1に記載されたスクロール圧縮機は、固定スクロールと、その固定スクロールに対し一軸心まわりに旋回移動する可動スクロールとを備えている。そして、固定スクロールは、渦巻き形状を成す固定ラップと、その固定ラップの相互間にてその固定ラップを上記一軸心の径方向に連結することにより内周側圧縮空間と外周側圧縮空間とを形成するランド部とを有している。
このような構成により、特許文献1のスクロール圧縮機は、可動スクロールの旋回移動に伴って、外周側圧縮空間ではその外周側圧縮空間内に導入された流体を圧縮し、内周側圧縮空間ではその内周側圧縮空間に導入された流体を圧縮する。
特開2019−35356号公報
特許文献1に示されたように渦巻き形状の内周側圧縮空間と外周側圧縮空間とが固定スクロールに形成されたスクロール圧縮機では、旋回スクロール(別言すれば、可動スクロール)は、渦巻き形状の2つの旋回ラップを有している。そして、その2つの旋回ラップのうちの一方である内周側旋回ラップは内周側圧縮空間内へ突出し、2つの旋回ラップのうちの他方である外周側旋回ラップは外周側圧縮空間へ突出している。
例えば、内周側圧縮空間内の流体の圧縮過程では、その流体の圧力が内周側旋回ラップに対し、その内周側旋回ラップの内側と外側との両方から等しく掛かるわけではない。従って、内周側旋回ラップによって圧縮される流体の圧力は、その内周側旋回ラップを倒すように作用する場合がある。このことは、外周側圧縮空間内の流体の圧縮過程における外周側旋回ラップについても同様である。
このような旋回ラップを倒そうとする作用に対しては、例えば2つの旋回ラップの全体でラップ厚みを大きくすれば強度アップを図ることはできる。しかしながら、そのようにしたとすれば、スクロール圧縮機の体格が拡大してしまうことになる。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
本発明は上記点に鑑みて、スクロール圧縮機において、そのスクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ、少なくとも何れかの旋回ラップにおいてその旋回ラップの倒れに対する強度アップを図ることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のスクロール圧縮機は、
流体を圧縮するスクロール圧縮機であって、
固定スクロール(130)と、
固定スクロールに対し軸線(S)まわりに旋回移動する旋回スクロール(120)とを備え、
固定スクロールは、旋回スクロールに対し軸線の軸方向(DRa)の一方側に配置された固定基板(131)と、固定基板から旋回スクロール側に突出すると共に渦巻き形状を成す固定ラップ(132)と、固定基板および固定ラップに囲まれる渦巻き形状の空間(4a、6a)を内周側圧縮空間(6a)と外周側圧縮空間(4a)とに仕切る仕切部(133)とを有し、
旋回スクロールは、固定基板に対し軸方向に対向する旋回基板(121)と、旋回基板から内周側圧縮空間内へ突出するとともに渦巻き形状を成す内周側旋回ラップ(123)と、旋回基板から外周側圧縮空間内へ突出するとともに渦巻き形状を成す外周側旋回ラップ(122)とを有し、
内周側圧縮空間は、固定ラップの渦巻き形状に沿った渦巻き方向(DRw)において仕切部に対し内周側に配置され、
外周側圧縮空間は、渦巻き方向において仕切部に対し外周側に配置され、
内周側圧縮空間および外周側圧縮空間では、旋回スクロールの旋回移動に伴って流体が圧縮され、
内周側旋回ラップは、その内周側旋回ラップの厚み方向の一方側と他方側との何れでも固定ラップに接触する部分のうち渦巻き方向の最も外周側に位置する最外周接触部(123a、123i)を有し、
外周側旋回ラップは、渦巻き方向の外周側に外周端部(122a)を有し、
最外周接触部における内周側旋回ラップの厚み(t2、t2a)は、外周側旋回ラップの外周端部におけるその外周側旋回ラップの厚み(t4)よりも大きい。
ここで、内周側旋回ラップと外周側旋回ラップとの全体のうちで外周側旋回ラップの外周端部がスクロール圧縮機の外側表面に最も近い。そのため、例えば内周側旋回ラップの一部分の厚みを増すよりも、外周側旋回ラップの外周端部の厚みを増す方が、スクロール圧縮機の体格拡大につながりやすい。
これに対し、上述のように、請求項1に記載のスクロール圧縮機では、内周側旋回ラップの最外周接触部における内周側旋回ラップの厚みが、外周側旋回ラップの外周端部における外周側旋回ラップの厚みよりも大きい。従って、スクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ内周側旋回ラップの倒れに対する強度アップを図ることが可能である。
また、例えば、内周側旋回ラップの厚みが均一だとすれば、内周側旋回ラップのうち渦巻き方向での中央辺りの方が端部辺りよりも、その旋回ラップを倒そうとする負荷に対して強い。つまり、内周側旋回ラップのうち渦巻き方向の何れかの端部に近い部位ほど、その部位における内周側旋回ラップの厚みが内周側旋回ラップの強度へ与える影響は大きくなる。従って、上記のように最外周接触部における内周側旋回ラップの厚みを大きくすることは、その最外周接触部に対する渦巻き方向の内周側の部位で内周側旋回ラップの厚みを大きくすることよりも、内周側旋回ラップの体積拡大を抑えつつ強度アップを図るには効果的である。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態において、スクロール圧縮機の軸線を含む平面でスクロール圧縮機を切断した縦断面を示した断面図である。 第1実施形態のスクロール圧縮機を含む冷凍サイクルの概略構成を示した冷媒回路図である。 第1実施形態において図1のIII−III断面を示した断面図であって、外周側旋回ラップと内周側旋回ラップと外周側圧縮空間と内周側圧縮空間との渦巻き形状を表した図である。 第1実施形態において図3のIV−IV断面を示した断面図であって、外周側旋回ラップの断面と固定ラップの断面とを示した図である。 第1実施形態において図3と同じ方向視で固定スクロールを単体で示すと共に、その固定スクロールに形成された外周側圧縮空間と内周側圧縮空間と対して出入りする冷媒の経路を模式的に示した図である。 第1実施形態において、旋回スクロールの旋回移動に伴う内周側第1作動室内の冷媒の圧力変化と内周側第2作動室内の冷媒の圧力変化とを示した図である。 第2実施形態において図1のIII−III断面に相当する断面を示した断面図であって、図3に相当する図である。
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示すスクロール圧縮機2は、ガスインジェクション冷凍サイクルやエコノマイザー冷凍サイクルにおいてその冷凍サイクルの効率向上に対応するものである。具体的に、本実施形態においてスクロール圧縮機2は、図2に示す冷凍サイクル70の一部を構成している。すなわち、本実施形態のスクロール圧縮機2は、冷凍サイクル70に循環する作動流体である冷媒を吸入し、その吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
本実施形態の冷凍サイクル70は、図2に示すように2段圧縮サイクルすなわちガスインジェクションサイクルとして構成されている。従って、冷凍サイクル70では、中間圧の冷媒がスクロール圧縮機2にてインジェクションされる。その中間圧とは、冷凍サイクル70における最低の冷媒圧力よりも高く且つ冷凍サイクル70における最高の冷媒圧力よりも低い圧力である。図2の冷凍サイクル70は例えば蒸気圧縮式の超臨界冷凍サイクルであり、その冷凍サイクル70に循環する冷媒は、例えば二酸化炭素(すなわち、CO2)である。
具体的に、図2の冷凍サイクル70は、スクロール圧縮機2のほかに、ガスクーラ71と上段膨張弁72と気液分離器73と下段膨張弁74とエバポレータ75とを有している。冷凍サイクル70では、スクロール圧縮機2から吐出された冷媒はガスクーラ71へ流れ、放熱器としてのガスクーラ71は、その冷媒から放熱させる。
ガスクーラ71にて放熱した冷媒は、上段膨張弁72にて減圧膨張させられ、上段膨張弁72から気液二相となって気液分離器73へと流れる。気液分離器73では気液二相の冷媒が気相冷媒と液相冷媒とに分離され、液相冷媒は気液分離器73から下段膨張弁74へと流れる。その一方で、気液分離器73の気相冷媒は気液分離器73からスクロール圧縮機2へ導入される。この気液分離器73からの気相冷媒が、上記の中間圧の冷媒である。
下段膨張弁74へ流入した冷媒はその下段膨張弁74にて減圧膨張させられ、その減圧膨張後の冷媒はエバポレータ75へ流れる。そして、エバポレータ75はその冷媒に吸熱させることによりその冷媒を蒸発させ、蒸発後の気相冷媒はエバポレータ75からスクロール圧縮機2へ吸入される。この吸入された冷媒は、スクロール圧縮機2の1段目の圧縮で中間圧になるまで圧縮される。その1段目の圧縮後の冷媒は、スクロール圧縮機2内にて、気液分離器73から導入された中間圧の冷媒と合流する。その合流後の冷媒は、スクロール圧縮機2の2段目の圧縮で中間圧から更に昇圧され、その2段目の圧縮後の冷媒は、スクロール圧縮機2からガスクーラ71へ吐出される。
図1に示すように、スクロール圧縮機2はスクロール式の電動圧縮機である。スクロール圧縮機2は、気体である冷媒を圧縮する圧縮機構40と、圧縮機構40を駆動する電動モータ31とを上下方向(言い換えれば、縦方向)に配置した縦置きタイプになっている。スクロール圧縮機2は、圧縮機構40および電動モータ31に加え、密閉ハウジング3等を備えている。
密閉ハウジング3は、スクロール圧縮機2の外殻を成し気密に構成された密閉容器である。密閉ハウジング3は、大まかには両端が塞がれた円筒形状を成している。そして、密閉ハウジング3は、その内部に、圧縮機構40および電動モータ31を収容している。
本実施形態のスクロール圧縮機2では、密閉ハウジング3内において、圧縮機構40は、電動モータ31に対し、軸線Sの軸方向DRaの一方側に配置されている。なお、以下の説明では、軸線Sの軸方向DRaを圧縮機軸方向DRaと呼ぶ場合がある。また、本実施形態では圧縮機軸方向DRaは上下方向に一致し、圧縮機軸方向DRaの一方側は下側になり、圧縮機軸方向DRaの一方側とは反対側である他方側は上側になっている。
電動モータ31は、ロータ32とステータ33とを有し、ロータ32には、出力軸34が一体的に結合されている。上記の軸線Sは、この出力軸34の回転中心としての軸線であるので、ロータ32の回転中心としての軸線でもある。
出力軸34は、ロータ挿通軸部341と鍔部342と下端部343とを有している。このロータ挿通軸部341と鍔部342と下端部343は一体構成となっている。ロータ挿通軸部341は、軸線Sを中心軸線として有する回転軸であり、ロータ32の内側に挿通されている。その一方で、鍔部342と下端部343は、ロータ32よりも下側に設けられている。
出力軸34の鍔部342は、軸線Sを中心とする径方向DRrへ鍔状に張り出すように形成されている。また、その鍔部342にはバランスウェイト344が設けられている。以下の説明では、軸線Sを中心とする径方向DRrを圧縮機径方向DRrとも呼ぶ。
ロータ挿通軸部341の上端部はロータ32から上側へ突き出て、密閉ハウジング3に固定された軸受部材27内に挿入されている。また、鍔部342に連結するロータ挿通軸部341の下端部はロータ32から下側へ突き出て、密閉ハウジング3に固定されたミドルハウジング110の軸受部111内に挿入されている。これにより、出力軸34は、軸線Sまわりに回転できるように支持されている。
圧縮機構40は、旋回スクロール120と、固定スクロール130と、自転防止機構としてのオルダムリング150とを備えている。旋回スクロール120はミドルハウジング110に対し下側に配置され、固定スクロール130は旋回スクロール120に対し下側に配置されている。
旋回スクロール120は、固定スクロール130に対し自転を伴わずに軸線Sまわりに旋回移動する可動側部材である。固定スクロール130は、密閉ハウジング3に対して固定された非回転部材としての固定側部材である。
図1および図3に示すように、旋回スクロール120は、略円板形状の旋回基板121と、渦巻き形状を成す外周側旋回ラップ122と、渦巻き形状を成す内周側旋回ラップ123とを有している。外周側旋回ラップ122と内周側旋回ラップ123は、旋回基板121から下側(すなわち、圧縮機軸方向DRaの一方側)へ突出している。
固定スクロール130は、略円板状の固定基板131と、渦巻き形状を成す固定ラップ132と、仕切部133とを有している。固定基板131は、旋回スクロール120に対し下側(すなわち、圧縮機軸方向DRaの一方側)に配置されている。従って、固定基板131は旋回基板121に対し下側に配置されている。また、固定基板131と旋回基板121は、圧縮機軸方向DRaに互いに対向している。
固定ラップ132と仕切部133は、固定基板131から旋回スクロール120側(すなわち、圧縮機軸方向DRaの他方側)へ突き出るように設けられている。そして、固定スクロール130のうちの仕切部133も含め、固定スクロール130における圧縮機軸方向DRaの他方側の面は、圧縮機軸方向DRaの他方側を向いた一定の平面または略一定の平面で出来ている。
仕切部133は、固定ラップ132のうち圧縮機径方向DRrに隣り合う異なる2つの部分を、圧縮機径方向DRrに連結する。この仕切部133によって、固定基板131と固定ラップ132と旋回基板121とによって囲まれる渦巻き形状の空間4a、6aが、圧縮機径方向DRrの内側と外側との2つに仕切られる。すなわち、仕切部133は、その渦巻き形状の空間4a、6aを、圧縮機径方向DRrの外側の空間である外周側圧縮空間4aと、圧縮機径方向DRrの内側の空間である内周側圧縮空間6aとに仕切る。その外周側圧縮空間4aおよび内周側圧縮空間6aは何れも渦巻き形状を成している。
内周側圧縮空間6aは、固定ラップ132の渦巻き形状に沿った渦巻き方向DRwである固定ラップ渦巻方向DRwにおいて外周側圧縮空間4aよりも内周側に設けられている。すなわち、外周側圧縮空間4aは仕切部133に対して固定ラップ渦巻方向DRwの外周側に配置され、内周側圧縮空間6aは、仕切部133に対して固定ラップ渦巻方向DRwの内周側に配置されている。
なお、図3から判るように、外周側旋回ラップ122の渦巻き形状に沿った渦巻き方向の外周側、および、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状に沿った渦巻き方向の外周側も、上記の固定ラップ渦巻方向DRwの外周側と同じ方向である。そして、外周側旋回ラップ122の渦巻き形状に沿った渦巻き方向の内周側、および、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状に沿った渦巻き方向の内周側も、上記の固定ラップ渦巻方向DRwの内周側と同じ方向である。
図1および図3に示すように、外周側旋回ラップ122は旋回基板121から外周側圧縮空間4a内へ突出し、その外周側圧縮空間4aにて冷媒を圧縮する。内周側旋回ラップ123は旋回基板121から内周側圧縮空間6a内へ突出し、その内周側圧縮空間6aにて冷媒を圧縮する。
外周側旋回ラップ122は、固定ラップ渦巻方向DRwの外周側に設けられた外周端部122aと、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側に設けられた内周端部122bとを有している。また、内周側旋回ラップ123は、固定ラップ渦巻方向DRwの外周側に設けられた外周端部123aと、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側に設けられた内周端部123bとを有している。
外周側旋回ラップ122の端部122a、122bは、外周側旋回ラップ122のうちの端の一点ではなく、外周側旋回ラップ122のうち端の部分と言える或る程度の大きさを有している。内周側旋回ラップ123の端部123a、123bについても、これと同様である。
なお、外周側旋回ラップ122の内周端部122bは外周側旋回ラップ122の巻き始め部分とも称され、外周側旋回ラップ122の外周端部122aは外周側旋回ラップ122の巻き終り部分とも称される。また、内周側旋回ラップ123の内周端部123bは内周側旋回ラップ123の巻き始め部分とも称され、内周側旋回ラップ123の外周端部123aは内周側旋回ラップ123の巻き終り部分とも称される。固定ラップ132のそれぞれの端部についても、これらと同様に称される。
図1に示すように、旋回基板121の上側には、上側を向いて円筒状に突き出た軸嵌入部124が形成されている。その軸嵌入部124は旋回基板121の中央部分に配置されており、軸嵌入部124には、出力軸34の下端部343が嵌め入れられている。また、出力軸34の下端部343は、軸線Sに対して偏心した偏心部になっている。
また、圧縮機構40が有するオルダムリング150は、旋回スクロール120の自転を防止する。そのため、旋回スクロール120は自転することなく、出力軸34の回転に伴い、軸線Sを中心とした環状の軌跡に沿って固定スクロール130に対し図3の矢印Rtの方向へ旋回移動する。要するに、出力軸34がその矢印Rtの方向へ回転し、それと共に、旋回スクロール120は、軸線Sを公転中心として矢印Rtの方向へ公転運動をする。
図3に示すように、外周側旋回ラップ122は外周側圧縮空間4a内に挿入されて固定ラップ132と係合している。そして、内周側旋回ラップ123は内周側圧縮空間6a内に挿入されて固定ラップ132と係合している。別言すれば、外周側旋回ラップ122は外周側圧縮空間4aにて固定ラップ132と噛み合い、内周側旋回ラップ123は内周側圧縮空間6aにて固定ラップ132と噛み合っている。
このように固定ラップ132と外周側旋回ラップ122とが互いに係合しているので、図3に示すように、外周側圧縮空間4aでは、外周側旋回ラップ122を挟んで複数の外周側作動室4c、4dが形成される。
すなわち、その複数の外周側作動室4c、4dとは外周側第1作動室4cと外周側第2作動室4dとのことであり、外周側圧縮空間4aは、その外周側第1作動室4cと外周側第2作動室4dとを含んでいる。そして、その外周側第1作動室4cは外周側旋回ラップ122に対して内側に形成され、外周側第2作動室4dは外周側旋回ラップ122に対して外側に形成される。
詳細に言えば、固定ラップ132と外周側旋回ラップ122は相互に噛み合って複数箇所で接触し、それによって外周側作動室4c、4dを形成している。その外周側作動室4c、4dは何れも、外周側旋回ラップ122と固定ラップ132との間に挟まれる。そして、外周側作動室4c、4dではそれぞれ、旋回スクロール120の旋回移動に伴い、外周側旋回ラップ122と固定ラップ132とによって冷媒が圧縮される。すなわち、外周側圧縮空間4aでは、旋回スクロール120の旋回移動に伴って冷媒が圧縮される。
なお、外周側旋回ラップ122の内側とは、言い換えれば外周側旋回ラップ122の渦巻き形状の径方向内側であり、外周側旋回ラップ122の外側とは、言い換えれば外周側旋回ラップ122の渦巻き形状の径方向外側である。そして、内周側旋回ラップ123の内側と外側、および固定ラップ132の内側と外側についても、これと同様である。
また、外周側圧縮空間4aは、固定ラップ132と外周側旋回ラップ122との間に圧縮機径方向DRrの隙間が常に形成される逃がし部4eを有している。その逃がし部4eは、外周側圧縮空間4aのうち圧縮機径方向DRrの外側に配置され、外周側吸入ポート911に連結している。この逃がし部4eが設けられていることにより、旋回スクロール120と固定スクロール130は、外周側圧縮空間4aでは対称スクロールを構成している。
また、固定ラップ132と内周側旋回ラップ123とが互いに係合しているので、内周側圧縮空間6aでは、内周側旋回ラップ123を挟んで複数の内周側作動室6c、6dが形成される。
すなわち、その複数の内周側作動室6c、6dとは内周側第1作動室6cと内周側第2作動室6dとのことであり、内周側圧縮空間6aは、その内周側第1作動室6cと内周側第2作動室6dとを含んでいる。そして、その内周側第1作動室6cは内周側旋回ラップ123に対して内側に形成され、内周側第2作動室6dは内周側旋回ラップ123に対して外側に形成される。
詳細に言えば、固定ラップ132と内周側旋回ラップ123は相互に噛み合って複数箇所で接触し、それによって内周側作動室6c、6dを形成している。その内周側作動室6c、6dは何れも、内周側旋回ラップ123と固定ラップ132との間に挟まれる。そして、内周側作動室6c、6dではそれぞれ、旋回スクロール120の旋回移動に伴い、内周側旋回ラップ123と固定ラップ132とによって冷媒が圧縮される。すなわち、内周側圧縮空間6aでは、旋回スクロール120の旋回移動に伴って冷媒が圧縮される。
図1および図3に示すように、外周側圧縮空間4aおよび内周側圧縮空間6aは、渦巻き状に延びる溝形状を成している。すなわち、外周側圧縮空間4aおよび内周側圧縮空間6aは、スクロール溝として固定スクロール130に形成されている。
図1、図3、および図4に示すように、固定基板131は、溝状の外周側圧縮空間4aの底面を構成する外周側固定基板面131aと、溝状の内周側圧縮空間6aの底面を構成する内周側固定基板面131bとを有している。その外周側固定基板面131aと内周側固定基板面131bは何れも、圧縮機軸方向DRaの他方側を向いた面であり、要するに、圧縮機軸方向DRaを法線方向とする上向き面である。そして、外周側固定基板面131aは外周側圧縮空間4aに面し、内周側固定基板面131bは内周側圧縮空間6aに面している。
また、固定ラップ132は固定基板131から上側へ突き出ているので、外周側固定基板面131aおよび内周側固定基板面131bは何れも、圧縮機軸方向DRaでの固定ラップ132の根元側端部に連結している。
図4および図5に示すように、固定ラップ132は、ラップ側壁面として、外周側内向きラップ面132gと外周側外向きラップ面132hと内周側内向きラップ面132iと内周側外向きラップ面132jとを有している。その外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ132の内側を向いて外周側圧縮空間4aに面する固定ラップ面であり、外周側外向きラップ面132hは、固定ラップ132の外側を向いて外周側圧縮空間4aに面する固定ラップ面である。また、内周側内向きラップ面132iは、固定ラップ132の内側を向いて内周側圧縮空間6aに面する固定ラップ面であり、内周側外向きラップ面132jは、固定ラップ132の外側を向いて内周側圧縮空間6aに面する固定ラップ面である。
固定ラップ面132g、132h、132i、132jの各形状に言及すると、内周側内向きラップ面132iは、何らかの伸開線により形成された部位のうち固定ラップ渦巻方向DRwの最も外周側に位置する部位132mである最外周側部位132mを有している。その内周側内向きラップ面132iの最外周側部位132mは、所定の第1伸開線L1の一部により形成されている。
また、内周側外向きラップ面132jは、何らかの伸開線により形成された部位のうち固定ラップ渦巻方向DRwの最も外周側に位置する部位132nである最外周側部位132nを有している。その内周側外向きラップ面132jの最外周側部位132nは、所定の第2伸開線L2の一部により形成されている。例えば、その第2伸開線L2と第1伸開線L1は何れもインボリュート曲線であるが、第2伸開線L2は、第1伸開線L1とは異なるインボリュート曲線である。
更に、外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第1伸開線L1に接するように形成されている。これと同様に、外周側外向きラップ面132hは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第2伸開線L2に接するように形成されている。
例えば、外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第1伸開線L1とは異なる曲線によって形成され、その曲線によって形成された部位にて第1伸開線L1に接している。外周側外向きラップ面132hについても同様であり、外周側外向きラップ面132hは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第2伸開線L2とは異なる曲線によって形成され、その曲線によって形成された部位にて第2伸開線L2に接している。
図1、図4、図5に示すように、外周側固定基板面131aと内周側固定基板面131bは同一平面上にはなく、内周側固定基板面131bは、外周側固定基板面131aよりも圧縮機軸方向DRaの一方側(具体的には、下側)に位置している。従って、圧縮機軸方向DRaにおける旋回基板121から内周側固定基板面131bまでの距離は、圧縮機軸方向DRaにおける旋回基板121から外周側固定基板面131aまでの距離よりも長い。
そのため、圧縮機軸方向DRaにおける内周側旋回ラップ123の突出高さ(すなわち、内周側旋回ラップ123の歯丈)は、外周側旋回ラップ122の突出高さ(すなわち、外周側旋回ラップ122の歯丈)よりも大きい。その内周側旋回ラップ123の突出高さとは、内周側旋回ラップ123の歯元から先端(すなわち、歯先)までの圧縮機軸方向DRaの長さである。そして、外周側旋回ラップ122の突出高さとは、外周側旋回ラップ122の歯元から先端までの圧縮機軸方向DRaの長さである。
また、圧縮機軸方向DRaで内周側固定基板面131bの位置を歯元位置とした固定ラップ132の歯丈である内周側固定ラップ歯丈は、内周側旋回ラップ123の歯丈と同一または略同一である。圧縮機軸方向DRaで外周側固定基板面131aの位置を歯元位置とした固定ラップ132の歯丈である外周側固定ラップ歯丈は、外周側旋回ラップ122の歯丈と同一または略同一である。従って、内周側固定ラップ歯丈は外周側固定ラップ歯丈よりも大きい。
図1〜図3、および図5に示すように、固定基板131には、外周側吸入ポート911と外周側吐出ポート913と内周側吸入ポート921と内周側吐出ポート923aと内周側吐出サブポート923bと内周側吐出室924と外周側吐出室925とが形成されている。これらの吸入ポート911、921および吐出ポート913、923a、923bは何れも、固定基板131に設けられ冷媒が流通する流通孔である。
外周側吸入ポート911は、外周側圧縮空間4aのうち圧縮機径方向DRrの外側の部位にて外周側圧縮空間4aの逃がし部4eに連通している。
スクロール圧縮機2が有する冷媒入口3aにはエバポレータ75の冷媒出口75bが接続され、外周側吸入ポート911には、そのスクロール圧縮機2の冷媒入口3aが接続されている。すなわち、外周側吸入ポート911には、スクロール圧縮機2の冷媒入口3aを介してエバポレータ75の冷媒出口75bが接続されている。従って、そのエバポレータ75から流出した冷媒は、外周側吸入ポート911を介して外周側圧縮空間4aへ吸入される。
外周側吐出ポート913は、外周側圧縮空間4aと外周側吐出室925との間を連通し、外周側作動室4c、4dで圧縮された冷媒を外周側吐出室925へ流す。
詳細には、外周側吐出ポート913は、外周側圧縮空間4aのうち渦巻き形状の内周側の端部に面する部分おいて外周側圧縮空間4aに対して開口している。従って、外周側吐出ポート913は、外周側圧縮空間4aの渦巻き形状において、外周側吸入ポート911よりも内周側に配置されている。
旋回スクロール120の旋回移動に伴い、外周側圧縮空間4aには外周側吸入ポート911から冷媒が流入し、外周側作動室4c、4dがこの冷媒の一部を含みながら外周側吸入ポート911から分離するように形成される。そして、各外周側作動室4c、4dの容積変化(詳細に言えば、容積縮小)により圧縮された冷媒は各外周側作動室4c、4dから外周側吐出ポート913を通って外周側吐出室925へ流出する。詳細には、旋回スクロール120の旋回移動に伴ってそれらの作動室4c、4dが互いに連通して合体し、作動室4c、4dで圧縮された冷媒は外周側吐出ポート913を通って外周側吐出室925へ流出する。
内周側吸入ポート921は、内周側圧縮空間6aと外周側吐出室925との間を連通し、外周側吐出室925の冷媒を内周側作動室6c、6dへ流す。詳細には、内周側吸入ポート921は、内周側圧縮空間6aの渦巻き形状の外周側にて内周側圧縮空間6aへ連通している。従って、内周側吸入ポート921を通った直後の冷媒は、内周側圧縮空間6aへ吸入される。
そして、内周側吸入ポート921は、固定基板131に形成された外周側吐出室925を介して外周側吐出ポート913へ連通している。すなわち、外周側吐出ポート913は、外周側圧縮空間4aから外周側吐出室925へ冷媒を吐き出し、内周側吸入ポート921は、外周側吐出ポート913が吐き出した冷媒を外周側吐出室925から内周側圧縮空間6aに導入する。
このような冷媒流れから、旋回スクロール120の旋回移動に伴って、外周側圧縮空間4aでは冷媒が圧縮されると共に、内周側圧縮空間6aでは、外周側圧縮空間4aで圧縮された冷媒が更に圧縮される。すなわち、外周側圧縮空間4aは低段側の圧縮部であり、外周側旋回ラップ122は低段側の旋回ラップである。その一方で、内周側圧縮空間6aは高段側の圧縮部であり、内周側旋回ラップ123は高段側の旋回ラップである。要するに、本実施形態のスクロール圧縮機2では、冷媒に対し2段階の圧縮が行われる。
内周側吐出ポート923aと内周側吐出サブポート923bは、内周側圧縮空間6aと内周側吐出室924との間を連通し、内周側作動室6c、6dで圧縮された冷媒を内周側吐出室924へ流す。
詳細には、内周側吐出ポート923aは、内周側圧縮空間6aのうち渦巻き形状の内周側の端部に面する部分おいて内周側圧縮空間6aに対して開口している。一方、内周側吐出サブポート923bは、内周側固定基板面131bのうち内周側吐出ポート923aよりも圧縮機径方向DRrの外側の位置で開口している。そして、内周側吐出サブポート923bは、旋回スクロール120の旋回移動に伴って内周側第1作動室6cと内周側第2作動室6dとが互いに連通するよりも先に内周側第2作動室6dに連通する箇所に配置されている。これらの内周側吐出ポート923aおよび内周側吐出サブポート923bは、内周側圧縮空間6aの渦巻き形状において、内周側吸入ポート921よりも内周側に配置されている。
旋回スクロール120の旋回移動に伴い、内周側圧縮空間6aには内周側吸入ポート921から冷媒が流入し、内周側作動室6c、6dがこの冷媒の一部を含みながら内周側吸入ポート921から分離するように形成される。そして、内周側作動室6c、6dの容積変化(詳細に言えば、容積縮小)により圧縮された冷媒は内周側吐出ポート923aと内周側吐出サブポート923bとをそれぞれ通って内周側吐出室924に流出する。
詳細には、旋回スクロール120の旋回移動に伴って内周側作動室6c、6dが互いに連通して合体するが、その合体前に、内周側第2作動室6dは内周側吐出サブポート923bに連通し、内周側第2作動室6dから内周側吐出室924への冷媒流出が開始される。そして、その合体後には、内周側作動室6c、6dで圧縮された冷媒が、内周側吐出ポート923aと内周側吐出サブポート923bとのそれぞれを通って内周側吐出室924に流出する。
ここで、図3に示すように、内周側圧縮空間6aのうち圧縮機径方向DRrの外側には、逃がし部が設けられていない。その逃がし部とは、固定ラップ132と内周側旋回ラップ123との間に圧縮機径方向DRrの隙間が常に形成される空間である。従って、各内周側作動室6c、6dが旋回スクロール120の旋回移動に伴い内周側旋回ラップ123によって内周側吸入ポート921から分離されるタイミングは次のようになる。すなわち、内周側吸入ポート921に対し共に連通していた一対の内周側作動室6c、6dのうち内周側第2作動室6dが内周側吸入ポート921から分離されるタイミングは、内周側第1作動室6cが内周側吸入ポート921から分離されるタイミングよりも早い。
別言すると、図6に示すように、内周側第2作動室6dで冷媒の圧縮が開始される圧縮開始タイミングTPaは、内周側第1作動室6cで冷媒の圧縮が開始される圧縮開始タイミングTPbよりも早い。従って、旋回スクロール120と固定スクロール130は、内周側圧縮空間6aでは、それらの圧縮開始タイミングTPa、TPbが互いに異なる非対称スクロールを構成している。
なお、図6の実線LPiは、旋回スクロール120の旋回移動における旋回スクロール120の旋回角度と内周側第1作動室6c内の冷媒の圧力との関係を示している。図6の破線LPoは、旋回スクロール120の旋回移動における旋回スクロール120の旋回角度と内周側第2作動室6d内の冷媒の圧力との関係を示している。また、図6の圧力Psは、内周側吸入ポート921における冷媒圧力であり、圧力Pdは、内周側吐出ポート923aにおける冷媒圧力である。
図1〜図3、および図5に示すように、内周側吐出室924は、内周側圧縮空間6aから内周側吐出ポート923aまたは内周側吐出サブポート923bを通って排出された冷媒が流入する空間である。この内周側吐出室924は、圧縮機軸方向DRaで固定基板131の一方側(すなわち、下側)に配置され、固定スクロール130と吐出プレート140とによって形成されている。この吐出プレート140は、固定スクロール130の下側の面に対して、不図示のガスケットを介して取り付けられた板状の部材である。
固定基板131には吐出流路931と中間インジェクション流路951とが形成されている。吐出流路931は、内周側吐出室924にある冷媒(別言すれば、内周側圧縮空間6aで圧縮された後の高圧冷媒)をスクロール圧縮機2の外部に向けて排出する流路である。
具体的に、吐出流路931は、内周側吐出室924へ接続された一端と、スクロール圧縮機2の冷媒出口3bとしての他端とを有している。このスクロール圧縮機2の冷媒出口3bにはガスクーラ71の冷媒入口71aが接続されている。従って、内周側吐出室924の高圧冷媒は、スクロール圧縮機2の冷媒出口3bからガスクーラ71へと吐出される。
中間インジェクション流路951は、スクロール圧縮機2の外部から外周側吐出室925へ導入される中間圧の冷媒が通る流路である。具体的に、中間インジェクション流路951は、外周側吐出室925へ接続された一端と、スクロール圧縮機2の中間圧入口3cとしての他端とを有している。このスクロール圧縮機2の中間圧入口3cには気液分離器73の気相冷媒出口73bが接続されている。従って、気液分離器73の気相冷媒出口73bから流出した中間圧の気相冷媒は、その中間圧入口3cを通って外周側吐出室925に導入される。
外周側吐出室925は、外周側吐出ポート913と中間インジェクション流路951とのそれぞれから中間圧の冷媒が流入する中間圧室である。この外周側吐出室925は、内周側吐出室924と同様に、圧縮機軸方向DRaで固定基板131の一方側(すなわち、下側)に配置され、固定スクロール130と吐出プレート140とによって形成されている。
中間インジェクション流路951を通った後の冷媒は、外周側吐出室925において、外周側吐出ポート913から外周側吐出室925に流入した冷媒と合流する。合流後の冷媒は、内周側吸入ポート921を通って内周側圧縮空間6aへ流入する。
図3および図4に示すように、固定ラップ132の先端面132aには、弾性体で構成されたチップシール132cが設けられている。詳細に言うと、固定ラップ132の先端面132aにはチップシール溝132bが形成されており、チップシール132cはそのチップシール溝132bに嵌め込まれている。
固定ラップ132のチップシール132cは、固定ラップ132の渦巻き形状に沿って延びており、固定ラップ132の先端面132aに対向する旋回基板121に摺接する。これにより、そのチップシール132cは、固定ラップ132の先端面132aとその先端面132aに対向する旋回基板121との間の隙間を塞ぎ、その隙間を通る冷媒漏れを防止する。
具体的に、固定ラップ132のチップシール132cは、固定ラップ132のうち、作動室4c、4d、6c、6dを形成する部分の全体にわたり、渦巻き形状を成して延びている。例えば、チップシール132cは、仕切部133周りでも固定ラップ132の渦巻き形状に沿って連続的に延びている。つまり、そのチップシール132cは、仕切部133に対する圧縮機径方向DRrの内側でも外側でも、固定ラップ132のうち外周側圧縮空間4aを形成する部位から、内周側圧縮空間6aを形成する部位へと仕切部133の位置を挟んで連続的に延びている。
また、仕切部133の先端面にも、弾性体で構成されたチップシール133aが設けられている。この仕切部133のチップシール133aは、仕切部133の先端面とその先端面に対向する旋回基板121との間の隙間を塞ぎ、その隙間を通って冷媒が外周側圧縮空間4aと内周側圧縮空間6aとの間で流通する冷媒漏れを防止する。
また、外周側旋回ラップ122の先端面122cおよび内周側旋回ラップ123の先端面にも、固定ラップ132と同様にチップシール122e、123eが設けられている。そして、そのチップシール122e、123eは、それぞれの旋回ラップ122、123の渦巻き形状に沿って延びている。その外周側旋回ラップ122のチップシール122eも内周側旋回ラップ123のチップシール123eも、固定ラップ132のチップシール132cと同様の役割を果たす。
例えば、外周側旋回ラップ122で説明すると、外周側旋回ラップ122の先端面122cにはチップシール溝122dが形成されており、外周側旋回ラップ122のチップシール122eはそのチップシール溝122dに嵌め込まれている。
外周側旋回ラップ122のチップシール122eは、外周側旋回ラップ122の渦巻き形状に沿って延びており、外周側旋回ラップ122の先端面122cとその先端面122cに対向する固定基板131との間の隙間を塞ぎ、その隙間を通る冷媒漏れを防止する。その外周側旋回ラップ122のチップシール122eは、外周側旋回ラップ122の渦巻き形状の全長または略全長にわたって設けられている。内周側旋回ラップ123のチップシール123eについても、これと同様である。
図3に示すように、外周側旋回ラップ122は、その外周側旋回ラップ122の全長にわたって均一な厚みにはなっておらず、外周端部122aと内周端部122bとのそれぞれにおいて部分的に厚みが大きくなるように形成されている。内周側旋回ラップ123もこれと同様であり、内周側旋回ラップ123も、外周端部123aと内周端部123bとのそれぞれにおいて部分的に厚みが大きくなるように形成されている。なお、旋回ラップ122、123の厚みとは、圧縮機軸方向DRaに沿った方向視で表われる旋回ラップ122、123の幅、すなわち、図3に表われる旋回ラップ122、123の幅である。
また、本実施形態では、内周側旋回ラップ123の外周端部123aにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2は、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。また、外周側旋回ラップ122の内周端部122bにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt3も、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4より大きい。また、内周側旋回ラップ123の内周端部123bにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt1も、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4より大きい。
本実施形態では、旋回スクロール120の旋回移動に伴い、内周側旋回ラップ123の外周端部123aは、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向外側で内周側内向きラップ面132iに接触するときがある。また、その内周側内向きラップ面132iに接触するタイミングとは別のタイミングで、内周側旋回ラップ123の外周端部123aは、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側で内周側外向きラップ面132jに接触するときがある。
従って、内周側旋回ラップ123の外周端部123aは、その内周側旋回ラップ123が有する最外周接触部に該当する。そして、その最外周接触部とは、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向外側と径方向内側との何れでも固定ラップ132に接触する部分のうち、固定ラップ渦巻方向DRwの最も外周側に位置する部分である。その内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向外側は、言い換えれば内周側旋回ラップ123の厚み方向の一方側でもあり、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側は、言い換えれば内周側旋回ラップ123の厚み方向の他方側でもある。
上述したように、本実施形態によれば、図3に示すように、内周側旋回ラップ123の外周端部123aにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2は、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。
ここで、外周側旋回ラップ122と内周側旋回ラップ123との全体のうちで外周側旋回ラップ122の外周端部122aがスクロール圧縮機2の外側表面に最も近い。そのため、例えば内周側旋回ラップ123の一部分の厚みを増すよりも、外周側旋回ラップ122の外周端部122aの厚みt4を増す方が、スクロール圧縮機2の体格拡大につながりやすい。
これに対し、上記の厚みt2、t4は「t2>t4」となっている。従って、スクロール圧縮機2の体格拡大を抑えつつ内周側旋回ラップ123の倒れに対する強度アップを図ることが可能である。また、この内周側旋回ラップ123の倒れが抑制されれば、それにより、その倒れに起因した冷媒漏れが防止され、スクロール圧縮機2の効率向上につながる。
また、内周側旋回ラップ123は旋回基板121から突き出た形状になっている。そのため、内周側旋回ラップ123のうち何れかの端部123a、123bに近い部位ほど、その部位における内周側旋回ラップ123の厚みが内周側旋回ラップ123の強度および耐久性へ与える影響は大きくなる。例えば、内周側旋回ラップ123の外周端部123aまたは内周端部123bの厚みt1、t2の方が、その外周端部123aと内周端部123bとの間の中間部位の厚みよりも、内周側旋回ラップ123の強度および耐久性に対して大きく影響する。
従って、上記のように外周端部123aにおける内周側旋回ラップ123の厚みt2を大きくすることは、その外周端部123aと内周端部123bとの間の中間部位で内周側旋回ラップ123の厚みを大きくすることよりも、内周側旋回ラップ123の体積拡大を抑えつつ強度アップを図るには効果的である。
また、外周側圧縮空間4aは低段側の圧縮部に相当し、内周側圧縮空間6aは高段側の圧縮部に相当するので、内周側圧縮空間6aで圧縮される冷媒の圧力上昇勾配は、外周側圧縮空間4aで圧縮される冷媒の圧力上昇勾配よりも大きくなる。そのため、内周側作動室6c、6dの相互間における差圧DPi(図6参照)に起因して内周側旋回ラップ123を倒すように作用する負荷は、外周側作動室4c、4dの相互間における差圧に起因して外周側旋回ラップ122を倒すように作用する負荷よりも大きい。このことからも、内周側旋回ラップ123の外周端部123aにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2を大きくすることは、スクロール圧縮機2の強度アップ(言い換えれば、耐久性向上)を図る上で効果的であると言える。
また、気液分離器73(図2参照)からスクロール圧縮機2の中間圧入口3cへ導入される中間圧の冷媒の流量であるガスインジェクション流量は、内周側作動室6c、6dの合計容積の最大値が大きいほど多くなる。そして、スクロール圧縮機2の体格拡大を抑えつつ、その内周側作動室6c、6dの合計容積の最大値を大きくするためには、内周側旋回ラップ123の歯丈を大きくして内周側作動室6c、6dを圧縮機軸方向DRaへ拡大する必要がある。これに対し、内周側旋回ラップ123の歯丈を大きくすれば、その分、内周側旋回ラップ123は、その内周側旋回ラップ123を倒そうとする負荷に弱くなる。
従って、内周側旋回ラップ123の外周端部123aにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2を大きくすることは、ガスインジェクション流量を多くすると共にスクロール圧縮機2の強度アップ(言い換えれば、耐久性向上)を図る上で効果的であると言える。
また、外周側圧縮空間4aは逃がし部4eを有し、その逃がし部4eでは冷媒は昇圧されない。従って、外周側旋回ラップ122の外周端部122aには、外周側作動室4c、4dの相互間における差圧に起因して外周側旋回ラップ122をそれの外側へ倒すように作用する負荷は生じるが、外周側旋回ラップ122の内側へ倒すように作用する負荷は生じない。
これに対し、外周側旋回ラップ122の内周端部122bには、外周側作動室4c、4dの相互間における差圧に起因して外周側旋回ラップ122をそれの外側へ倒すように作用する負荷も、外周側旋回ラップ122の内側へ倒すように作用する負荷も生じる。そして、内周側旋回ラップ123の外周端部123aと内周端部123bとのそれぞれに作用する負荷についても、これと同様である。
従って、旋回ラップ122、123の各端部123b、123a、122b、122aの厚みt1、t2、t3、t4のうち、外周側旋回ラップ122の外周端部122aの厚みt4が旋回スクロール120の強度および耐久性に与える影響が、最も小さい。このことからも、上記のように図3の厚みt2、t4を「t2>t4」とすることは、スクロール圧縮機2の体積拡大を抑えつつ強度アップおよび耐久性向上を図る上で効果的である。
また、本実施形態によれば、図3および図6に示すように、内周側第2作動室6dで冷媒の圧縮が開始される圧縮開始タイミングTPaは、内周側第1作動室6cで冷媒の圧縮が開始される圧縮開始タイミングTPbよりも早い。従って、それらの圧縮開始タイミングTPa、TPbが例えば互いに同じ場合と比較して、内周側第2作動室6dの最大容積が大きくなる。これにより、内周側旋回ラップ123の歯丈(別言すれば、ラップ高さ)を抑えることができ、その分、内周側旋回ラップ123の根本の強度アップを図ることが可能である。
また、上記の圧縮開始タイミングTPa、TPbが例えば互いに同じ場合に比して、内周側吸入ポート921に対しより近い位置から、内周側第2作動室6dでの冷媒圧縮を開始することができる。そのため、その冷媒圧縮の開始前に内周側吸入ポート921から内周側第2作動室6dへ流れる冷媒の経路を短くすることができ、その冷媒が圧縮冷媒から加熱され熱膨張することによる体積効率の低下を小さくすることができる。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、外周側旋回ラップ122の内周端部122bにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt3は、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。従って、上記の厚みt2、t4が「t2>t4」となっていることによる作用効果と同様の理由で、スクロール圧縮機2の体格拡大を抑えつつ外周側旋回ラップ122の倒れに対する強度アップを図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、図4および図5に示すように、内周側内向きラップ面132iの最外周側部位132mは、所定の第1伸開線L1の一部により形成されている。また、内周側外向きラップ面132jの最外周側部位132nは、所定の第2伸開線L2の一部により形成されている。更に、外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第1伸開線L1に接するように形成され、外周側外向きラップ面132hは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第2伸開線L2に接するように形成されている。
従って、固定ラップ132に設けられたチップシール132cを、固定ラップ132に沿って滑らかに延伸する渦巻き形状にすることができるので、例えば仕切部133周りで局所的に屈曲した形状にする必要がない。これにより、そのチップシール132cの局所的に屈曲した形状に起因してチップシール132cのシール機能が不十分になることを防止することが可能である。
例えば、チップシール132cの局所的に屈曲した形状に起因してチップシール132cがチップシール溝132b内で引っ掛かり、チップシール132cが旋回基板121から部分的に離れると、チップシール132cのシール機能が損なわれるという不具合が生じる。このような不具合を防止することが可能である。
また、チップシール132cが例えば仕切部133周りで局所的に屈曲した形状になっている場合と比較して、固定ラップ132の厚み方向に先端面132aが有する先端幅のうちチップシール132cが設けられていない幅を小さくすることができる。そのため、固定ラップ132の先端面132aのうちチップシール132cが設けられていない部位を通る冷媒の漏れを抑制することが可能である。
また、本実施形態によれば、図3に示すように、内周側旋回ラップ123の内周端部123bにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt1は、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。従って、上記の厚みt2、t4が「t2>t4」となっていることによる作用効果と同様の理由で、スクロール圧縮機2の体格拡大を抑えつつ内周側旋回ラップ123の倒れに対する強度アップを図ることが可能である。
また、本実施形態によれば、外周側圧縮空間4aおよび内周側圧縮空間6aで圧縮される冷媒としての流体は二酸化炭素である。従って、スクロール圧縮機2が吸入する冷媒の圧縮開始時の圧力が例えば3MPa程度と高圧である。従って、それよりも格段に低い圧力から圧縮が開始される他の冷媒との比較では、外周側作動室4c、4dの相互間における差圧に起因して外周側旋回ラップ122を倒すように作用する負荷が大きくなる。そして、内周側旋回ラップ123を倒すように作用する負荷も大きくなる。そのため、各旋回ラップ122、123の強度アップおよび耐久性向上による効果を大きく享受することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
図7に示すように、内周側旋回ラップ123は、その内周側旋回ラップ123のうち固定ラップ渦巻方向DRwの外周側に偏って配置された逃がし部123gを有している。そして、その逃がし部123gは、内周側旋回ラップ123の厚み方向の一方側または他方側において旋回スクロール120が旋回移動中に固定ラップ132から常に離れるように形成されている。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。
なお、上記の内周側旋回ラップ123の厚み方向の一方側とは、言い換えれば内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向外側でもあり、内周側旋回ラップ123の厚み方向の他方側とは、言い換えれば内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側でもある。
具体的に本実施形態において、内周側旋回ラップ123の逃がし部123gは、内周側旋回ラップ123の外周端部123aを含んでいる。そして、逃がし部123gは、旋回スクロール120が旋回移動中の何れの位置にあっても固定ラップ132から離れている逃がし面123hを、内周側旋回ラップ123の厚み方向の一方側または他方側に有している。
例えば本実施形態の内周側旋回ラップ123では、逃がし部123gは、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側において、旋回スクロール120が旋回移動中に固定ラップ132から常に離れる。従って、逃がし面123hは、逃がし部123gのうち、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側に設けられ、内周側外向きラップ面132jに対して対向する。
また、内周側旋回ラップ123の逃がし部123gは、上記したように外周端部123aを含むので、この外周端部123aも、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側において、旋回スクロール120が旋回移動中に固定ラップ132から常に離れる。従って、本実施形態の内周側旋回ラップ123の外周端部123aは、内周側旋回ラップ123が有する最外周接触部123iに該当しない。
本実施形態の最外周接触部123iには、内周側旋回ラップ123のうち、逃がし部123gから外れており且つ固定ラップ渦巻方向DRwの最も外周側に位置する部分が該当する。そして、本実施形態では、内周側旋回ラップ123の最外周接触部123iにおけるその内周側旋回ラップ123の厚みt2aは、外周側旋回ラップ122の外周端部122aにおけるその外周側旋回ラップ122の厚みt4よりも大きい。これにより、内周側旋回ラップ123のうち逃がし部123gが設けられていない箇所では、内周側旋回ラップ123を倒そうとする流体の圧力負荷に対し強度および耐久性を確保することが可能である。
ここで、逃がし部123gが無く内周側旋回ラップ123によって圧縮される冷媒の圧力が内周側旋回ラップ123の全長にわたって掛かると仮定すると、内周側旋回ラップ123のうち何れかの端部122a、122bに近い部位ほど、圧縮される冷媒の圧力に起因して倒れやすい。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように、内周側旋回ラップ123の逃がし部123gは外周端部123aを含み、固定ラップ渦巻方向DRwの外周側に偏って配置されている。そして、その逃がし部123gは、旋回スクロール120が旋回移動中の何れの位置にあっても固定ラップ132から離れている逃がし面123hを、内周側旋回ラップ123の厚み方向の他方側に有している。
従って、内周側旋回ラップ123によって圧縮される冷媒の圧力が内周側旋回ラップ123を上記厚み方向の一方側へ倒そうとする作用と他方側へ倒そうとする作用とのうち片方の作用は、内周側旋回ラップ123の外周端部123aには及ばない。すなわち、倒れに対し最も弱い箇所の1つである外周端部123aにおいて、内周側旋回ラップ123を倒そうとする流体の圧力負荷が軽減されるので、内周側旋回ラップ123の耐久性向上を図ると共に、スクロール圧縮機2の信頼性を確保できる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では図1に示すように、圧縮機軸方向DRaは上下方向に一致し、圧縮機軸方向DRaの一方側は下側になり、圧縮機軸方向DRaの一方側とは反対側である他方側は上側になっている。しかしながら、これは一例であり、圧縮機軸方向DRaと上下方向との関係はこれに限られるわけではない。
(2)上述の各実施形態では図5に示すように、外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第1伸開線L1とは異なる曲線によって形成され、その曲線によって形成された部位にて第1伸開線L1に接しているが、これは一例である。例えば、外周側内向きラップ面132gは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第1伸開線L1の一部によって形成されていてもよい。この場合でも、外周側内向きラップ面132gのうち、その第1伸開線L1の一部によって形成された部位(言い換えれば、ラップ面)は第1伸開線L1に接する。
これと同様に、外周側外向きラップ面132hは、固定ラップ渦巻方向DRwの内周側では第2伸開線L2の一部によって形成されていてもよい。この場合でも、外周側外向きラップ面132hのうち、その第2伸開線L2の一部によって形成された部位(言い換えれば、ラップ面)は第2伸開線L2に接する。
(3)上述の第2実施形態では図7に示すように、逃がし部123gは、旋回スクロール120が旋回移動中に固定ラップ132から常に離れている逃がし面123hを、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向内側に有しているが、これは一例である。例えば、その逃がし部123gは、逃がし面123hを、内周側旋回ラップ123の渦巻き形状の径方向外側に有していてもよいし、その渦巻き形状の径方向外側と径方向内側との両方に有していてもよい。
(4)上述の各実施形態では、図3および図5に示すように、外周側圧縮空間4aは低段側の圧縮部であり、内周側圧縮空間6aは高段側の圧縮部であるが、これは一例である。逆に、外周側圧縮空間4aが高段側の圧縮部であり、内周側圧縮空間6aが低段側の圧縮部であっても差し支えない。更に言えば、外周側圧縮空間4aと内周側圧縮空間6aが互いに連通しておらず、外周側圧縮空間4aと内周側圧縮空間6aとのそれぞれで冷媒の圧縮が独立に行われても差し支えない。
(5)上述の各実施形態では、図2、図3、および図5に示すように、スクロール圧縮機2を含む冷凍サイクル70は2段圧縮サイクルであるが、それに限らず、スクロール圧縮機2に中間圧の冷媒が導入されない1段圧縮サイクルであっても差し支えない。
(6)上述の各実施形態において、スクロール圧縮機2が圧縮する冷媒は例えば二酸化炭素であるが、その冷媒に限定はない。更に言えば、スクロール圧縮機2が圧縮する流体は、冷媒である必要もない。また、上述の各実施形態においてスクロール圧縮機2を含む冷凍サイクル70は蒸気圧縮式の超臨界冷凍サイクルであるが、亜臨界冷凍サイクルであってもよい。
(7)上述の各実施形態では、図1に示すスクロール圧縮機2は、圧縮機構40と電動モータ31とを上下方向に配置した縦置きタイプになっているが、圧縮機構40と電動モータ31との位置関係は、これに限られない。例えば、圧縮機構40の下方に電動モータ31があってもよい。また、圧縮機構40と電動モータ31が上下方向には並でおらず、圧縮機構40と電動モータ31とが水平方向に(言い換えれば、横方向に)並んでいてもよい。
(8)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、内周側旋回ラップは、その内周側旋回ラップの厚み方向の一方側と他方側との何れでも固定ラップに接触する部分のうち渦巻き方向の最も外周側に位置する最外周接触部を有する。外周側旋回ラップは、渦巻き方向の外周側に外周端部を有する。そして、最外周接触部における内周側旋回ラップの厚みは、外周側旋回ラップの外周端部におけるその外周側旋回ラップの厚みよりも大きい。
また、第2の観点によれば、内周側圧縮空間は、内周側旋回ラップに対して内側に形成される内周側第1作動室と、内周側旋回ラップに対して外側に形成される内周側第2作動室とを含む。その内周側第1作動室および内周側第2作動室ではそれぞれ、旋回スクロールの旋回移動に伴い固定ラップと内周側旋回ラップとによって流体が圧縮される。そして、内周側第2作動室で流体の圧縮が開始される圧縮開始タイミングは、内周側第1作動室で流体の圧縮が開始される圧縮開始タイミングよりも早い。
従って、内周側第1作動室の圧縮開始タイミングと内周側第2作動室の圧縮開始タイミングとが互いに同じ場合と比較して、内周側第2作動室の最大容積が大きくなる。これにより、内周側旋回ラップの歯丈(別言すれば、ラップ高さ)を抑えることができ、その分、内周側旋回ラップの根本の強度アップを図ることが可能である。
また、第3の観点によれば、内周側旋回ラップは、その内周側旋回ラップのうち渦巻き方向の外周側に設けられた外周端部を含み渦巻き方向の外周側に偏って配置された逃がし部を有する。そして、その逃がし部は、旋回スクロールが旋回移動中の何れの位置にあっても固定ラップから離れている逃がし面を、内周側旋回ラップの厚み方向の一方側または他方側に有している。
ここで、内周側旋回ラップによって圧縮される流体の圧力が内周側旋回ラップの全長にわたって掛かると仮定すると、内周側旋回ラップのうち渦巻き方向の何れかの端部に近い部位ほど、圧縮される流体の圧力に起因して倒れやすい。これに対し、上記第3の観点の構成では、内周側旋回ラップによって圧縮される流体の圧力が内周側旋回ラップを上記厚み方向の一方側へ倒そうとする作用と他方側へ倒そうとする作用とのうち片方の作用は、内周側旋回ラップの外周端部には及ばない。すなわち、倒れに対し最も弱い箇所の1つである内周側旋回ラップの外周端部において、内周側旋回ラップを倒そうとする流体の圧力負荷が軽減されるので、内周側旋回ラップの耐久性向上を図ると共に、スクロール圧縮機の信頼性を確保できる。
また、第4の観点によれば、外周側旋回ラップの内周端部におけるその外周側旋回ラップの厚みは、外周側旋回ラップの外周端部におけるその外周側旋回ラップの厚みよりも大きい。従って、上記第1の観点と同様の理由から、スクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ外周側旋回ラップの倒れに対する強度アップを図ることが可能である。
また、第5の観点によれば、固定ラップは、その固定ラップの内側を向いて内周側圧縮空間に面する内周側内向きラップ面と、固定ラップの外側を向いて内周側圧縮空間に面する内周側外向きラップ面とを有する。固定ラップは、固定ラップの内側を向いて外周側圧縮空間に面する外周側内向きラップ面と、固定ラップの外側を向いて外周側圧縮空間に面する外周側外向きラップ面とを有する。固定ラップの先端面にはチップシールが設けられる。内周側内向きラップ面のうち伸開線により形成され渦巻き方向の最も外周側に位置する部位は、所定の第1伸開線の一部により形成される。内周側外向きラップ面のうち伸開線により形成され渦巻き方向の最も外周側に位置する部位は、所定の第2伸開線の一部により形成される。そして、外周側内向きラップ面は、渦巻き方向の内周側では第1伸開線に接するように形成され、外周側外向きラップ面は、渦巻き方向の内周側では第2伸開線に接するように形成されている。
従って、固定ラップに設けられたチップシールを、固定ラップに沿って滑らかに延伸する渦巻き形状にすることができるので、例えば仕切部周りで局所的に屈曲した形状にする必要がない。これにより、そのチップシールの局所的に屈曲した形状に起因してチップシールのシール機能が不十分になることを防止することが可能である。
また、第6の観点によれば、内周側旋回ラップの内周端部におけるその内周側旋回ラップの厚みは、外周側旋回ラップの外周端部におけるその外周側旋回ラップの厚みよりも大きい。従って、上記第1の観点と同様の理由から、スクロール圧縮機の体格拡大を抑えつつ内周側旋回ラップの倒れに対する強度アップを図ることが可能である。
また、第7の観点によれば、内周側圧縮空間および外周側圧縮空間で圧縮される流体は二酸化炭素である。従って、スクロール圧縮機が吸入する流体の圧縮開始時の圧力が高くなり、それにより、圧縮途中の流体の圧力に起因して各旋回ラップを倒すように作用する負荷が大きくなる。そのため、各旋回ラップの強度アップによる効果を大きく享受することができる。
4a 外周側圧縮空間
6a 内周側圧縮空間
120 旋回スクロール
121 旋回基板
122 外周側旋回ラップ
123 内周側旋回ラップ
130 固定スクロール
131 固定基板
132 固定ラップ
133 仕切部

Claims (7)

  1. 流体を圧縮するスクロール圧縮機であって、
    固定スクロール(130)と、
    前記固定スクロールに対し軸線(S)まわりに旋回移動する旋回スクロール(120)とを備え、
    前記固定スクロールは、前記旋回スクロールに対し前記軸線の軸方向(DRa)の一方側に配置された固定基板(131)と、前記固定基板から前記旋回スクロール側に突出すると共に渦巻き形状を成す固定ラップ(132)と、前記固定基板および前記固定ラップに囲まれる渦巻き形状の空間(4a、6a)を内周側圧縮空間(6a)と外周側圧縮空間(4a)とに仕切る仕切部(133)とを有し、
    前記旋回スクロールは、前記固定基板に対し前記軸方向に対向する旋回基板(121)と、前記旋回基板から前記内周側圧縮空間内へ突出するとともに渦巻き形状を成す内周側旋回ラップ(123)と、前記旋回基板から前記外周側圧縮空間内へ突出するとともに渦巻き形状を成す外周側旋回ラップ(122)とを有し、
    前記内周側圧縮空間は、前記固定ラップの渦巻き形状に沿った渦巻き方向(DRw)において前記仕切部に対し内周側に配置され、
    前記外周側圧縮空間は、前記渦巻き方向において前記仕切部に対し外周側に配置され、
    前記内周側圧縮空間および前記外周側圧縮空間では、前記旋回スクロールの旋回移動に伴って流体が圧縮され、
    前記内周側旋回ラップは、該内周側旋回ラップの厚み方向の一方側と他方側との何れでも前記固定ラップに接触する部分のうち前記渦巻き方向の最も外周側に位置する最外周接触部(123a、123i)を有し、
    前記外周側旋回ラップは、前記渦巻き方向の外周側に外周端部(122a)を有し、
    前記最外周接触部における前記内周側旋回ラップの厚み(t2、t2a)は、前記外周側旋回ラップの前記外周端部における該外周側旋回ラップの厚み(t4)よりも大きい、スクロール圧縮機。
  2. 前記内周側圧縮空間は、前記内周側旋回ラップに対して内側に形成される内周側第1作動室(6c)と、前記内周側旋回ラップに対して外側に形成される内周側第2作動室(6d)とを含み、
    前記内周側第1作動室および前記内周側第2作動室ではそれぞれ、前記旋回スクロールの旋回移動に伴い前記固定ラップと前記内周側旋回ラップとによって流体が圧縮され、
    前記内周側第2作動室で流体の圧縮が開始される圧縮開始タイミング(TPa)は、前記内周側第1作動室で流体の圧縮が開始される圧縮開始タイミング(TPb)よりも早い、請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記内周側旋回ラップは、該内周側旋回ラップのうち前記渦巻き方向の外周側に設けられた外周端部(123a)を含み前記渦巻き方向の外周側に偏って配置された逃がし部(123g)を有し、
    前記逃がし部は、前記旋回スクロールが旋回移動中の何れの位置にあっても前記固定ラップから離れている逃がし面(123h)を、前記内周側旋回ラップの前記厚み方向の一方側または他方側に有している、請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記外周側旋回ラップは、前記渦巻き方向の内周側に内周端部(122b)を有し、
    前記外周側旋回ラップの前記内周端部における該外周側旋回ラップの厚み(t3)は、前記外周側旋回ラップの前記外周端部における該外周側旋回ラップの厚みよりも大きい、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記固定ラップは、該固定ラップの内側を向いて前記内周側圧縮空間に面する内周側内向きラップ面(132i)と、前記固定ラップの外側を向いて前記内周側圧縮空間に面する内周側外向きラップ面(132j)と、前記固定ラップの内側を向いて前記外周側圧縮空間に面する外周側内向きラップ面(132g)と、前記固定ラップの外側を向いて前記外周側圧縮空間に面する外周側外向きラップ面(132h)とを有し、
    前記固定ラップの先端面(132a)にはチップシール(132c)が設けられ、
    前記内周側内向きラップ面のうち伸開線により形成され前記渦巻き方向の最も外周側に位置する部位(132m)は、所定の第1伸開線(L1)の一部により形成され、
    前記内周側外向きラップ面のうち伸開線により形成され前記渦巻き方向の最も外周側に位置する部位(132n)は、所定の第2伸開線(L2)の一部により形成され、
    前記外周側内向きラップ面は、前記渦巻き方向の内周側では前記第1伸開線に接するように形成され、
    前記外周側外向きラップ面は、前記渦巻き方向の内周側では前記第2伸開線に接するように形成されている、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記内周側旋回ラップは、前記渦巻き方向の内周側に内周端部(123b)を有し、
    前記内周側旋回ラップの前記内周端部における該内周側旋回ラップの厚み(t1)は、前記外周側旋回ラップの前記外周端部における該外周側旋回ラップの厚みよりも大きい、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
  7. 前記内周側圧縮空間および前記外周側圧縮空間で圧縮される流体は二酸化炭素である、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のスクロール圧縮機。
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