JP2021178898A - 分散液及び分散液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の含有量でテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む、分散安定性に優れた分散液の提供。【解決手段】本発明の分散液の製造方法は、熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び第1の液状分散媒を含む液状組成物と、第1の液状分散媒より沸点が高く、かつ、第1の液状分散媒と相溶する極性の第2の液状分散媒とを混合して混合液を調製し、混合液を濃縮して、第1の液状分散媒を第2の液状分散媒に置換し、粒子及び第2の液状分散媒を含む分散液を得る。また、本発明の分散液は、熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水、アルコール、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒とを含み、分散液におけるテトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が3〜50質量%、かつ、粒子の平均粒子径が50μm未満であり、分散液を14日間静置した後の粒子の沈降率が60%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、所定のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子が分散した分散液、及び、その製造方法に関する。
テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)等のポリマーは、離型性、電気絶縁性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性、耐熱性等に優れており、種々の産業用途に利用されている。その使用態様の一つとして、上記ポリマーの粒子が液状分散媒に分散した分散液が知られている(特許文献1参照)。
これらのポリマーは、所定の重合溶媒の存在下、テトラフルオロエチレンを重合して得られる。重合により得られるポリマー溶液は、所定の重合溶媒中にフルオロポリマーの微粒子が分散した分散液であるとも言える反面、所定の重合溶媒中における上記微粒子の分散安定性は低く、そのままでは使用しがたい。
従って、その使用に際しては、ポリマー溶液からフルオロポリマーを造粒して回収する操作、又は、添加剤を添加してポリマー溶液の物性を調整する操作が必要となる(特許文献2、3参照)。
国際公開2019/131805号パンフレット 特開2002−053620号公報 特表2002−537427号公報
これらの操作は煩雑であるだけでなく、上記微粒子の変質(沈降、凝集等)を誘引する場合がある。さらに、後者の操作においては、添加剤によりポリマー溶液から形成される成形物の物性が損なわれる場合もある。
本発明者らは、所定のフルオロポリマーの微粒子が液状分散媒に分散し、分散安定性に優れた分散液を、容易に製造する方法を鋭意検討した。その結果、上記微粒子を含む分散液における液状分散媒を、より沸点の高い極性の液状分散媒に置換すると、その変質を高度に抑制しつつ、かかる分散液が容易に得られる点を知見した。
本発明の目的は、分散安定性に優れた分散液の製造方法の提供、及び、かかる分散液の提供である。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び第1の液状分散媒を含む液状組成物と、前記第1の液状分散媒より沸点が高く、かつ、前記第1の液状分散媒と相溶する極性の第2の液状分散媒とを混合して混合液を調製し、前記混合液を濃縮して、前記第1の液状分散媒を前記第2の液状分散媒に置換し、前記粒子及び前記第2の液状分散媒を含む分散液を得る、分散液の製造方法。
[2] 前記混合液を、前記第1の液状分散液の沸点+20℃以下の温度で濃縮する、[1]の製造方法。
[3] 前記混合液を、減圧下に濃縮する、[1]又は[2]の製造方法。
[4] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]〜[3]のいずれかの製造方法。
[5] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、極性官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]〜[4]のいずれかの製造方法。
[6] 前記液状組成物が、前記第1の液状分散媒の存在下、テトラフルオロエチレンを重合させて得られたテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む液状組成物である、[1]〜[5]のいずれかの製造方法。
[7] 前記第1の液状分散媒が、水、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、前記第2の液状分散媒が、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒であるか、若しくは、前記第1の液状分散媒が、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、前記第2の液状分散媒が、水及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である、[1]〜[6]のいずれかの製造方法。
[8] 前記分散液における前記第1の液状分散媒の含有量が、5質量%以下である、[1]〜[7]のいずれかの製造方法。
[9] 前記液状組成物が、さらに界面活性剤を含む、[1]〜[8]のいずれかの製造方法。
[10] 前記分散液における前記粒子の沈降速度が、50μm/s以下である、[1]〜[9]のいずれかの製造方法。
[11] 熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水、アルコール、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒とを含む分散液であって、前記分散液における前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が3〜50質量%、かつ、前記粒子の平均粒子径が50μm未満であり、前記分散液を14日間静置した後の前記粒子の沈降率が60%以上である、分散液。
[12] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを含む、[11]の分散液。
[13] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、極性官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[11]又は[12]の分散液。
[14] 前記分散液における前記粒子の沈降速度が、50μm/s以下である、[11]〜[13]のいずれかの分散液。
[15] さらに界面活性剤を含む、[11]〜[14]のいずれかの分散液。
本発明によれば、任意の含有量でテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む、分散安定性に優れた分散液を、簡便に製造できる。また、任意の含有量でテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含み、分散安定性、ハンドリング性及びブレンド性に優れた分散液が得られる。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「ポリマーの溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーのガラス転移点」は、的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「液体の沸点」は、1.01325×10MPa(絶対圧)下にて液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなる温度である。
「液状物の粘度」は、E型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が20rpmの条件下で測定される液状物の粘度である。
「液状物のチキソ比」は、回転数が20rpmの条件で測定される液状物の粘度を、回転数が50rpmの条件で測定される液状物の粘度で除して算出される値である。
「界面活性剤の曇点」は、温度上昇に伴う分子運動により、その作用が消失又は極端に低下する温度である。
ポリマーにおける「単位」は、モノマーから直接形成された原子団であってもよく、得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「モノマーA単位」とも記す。
本発明の分散液の製造方法(以下、「本法」とも記す。)は、熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子及び第1の液状分散媒を含む液状組成物と、第1の液状分散媒より沸点が高く、かつ、第1の液状分散媒と相溶する極性の第2の液状分散媒とを混合して混合液を調製し、これを濃縮して、第1の液状分散媒を第2の液状分散媒に置換し、Fポリマーの粒子及び第2の液状分散媒を含む分散液を得る方法である。本法により得られる分散液は、Fポリマーの粒子が第2の液状分散媒中に分散した分散液である。
本法によれば、分散安定性、ハンドリング性及びブレンド性に優れ、任意の含有量、特に高い含有量でFポリマーの粒子を含む分散液が容易に得られる。
Fポリマーの粒子と液状分散媒とを含む液状組成物(Fポリマーの粒子と重合溶媒とを含む液状組成物等)を、粒子の含有量や物性を調整するために、単に濃縮すると、粒子の沈降や凝集が誘引されて、その分散性が損なわれやすい。
そこで、本発明者らは、元の液状分散媒(第1の液状分散媒)より沸点が高く、それと相溶する極性の液状分散媒(第2の液状分散媒)を併用した濃縮を検討した結果、Fポリマーの粒子の分散状態が高度に保持された、所望の分散液が得られる点を知見した。液状組成物をより揮発性が低いとも言える第2の液状分散媒を含む状態にて濃縮すれば、第1の液状分散媒が第2の液状分散媒に連続的に置換されるため、Fポリマーの粒子の分散状態が保持されて、かかる分散液が得られたと考えられる。
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含む、熱溶融性のポリマーである。
Fポリマーの溶融温度は、260〜320℃が好ましく、285〜320℃がより好ましい。
Fポリマーのガラス転移点は、75〜125℃が好ましく、80〜100℃がより好ましい。
Fポリマーは、TFE単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)に基づく単位(PAVE単位)又はヘキサフルオロプロピレン(HFP)に基づく単位(HFP単位)とを含むポリマーであるのが好ましい。この場合、濃縮における、Fポリマーの粒子の沈降や凝集と、Fポリマーの変性とをより高度に抑制しやすい。
なお、Fポリマーは、PAVE単位とHFP単位との両方を含んでいてもよく、いずれか一方のみを含んでいてもよい。
PAVEは、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(PPVE)又はCF=CFOCF(CF)CFOCFCFCFが好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーは、極性官能基を有するのが好ましい。この場合、濃縮における、Fポリマーの粒子の沈降や凝集と、Fポリマーの変性とをより高度に抑制しつつ、分散安定性により優れた分散液を製造しやすい。
極性官能基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として極性官能基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる極性官能基を有するFポリマーが挙げられる。
極性官能基は、水酸基含有基又はカルボニル基含有基が好ましく、分散液の分散安定性の観点から、カルボニル基含有基がより好ましい。
水酸基含有基は、アルコール性水酸基を含有する基が好ましく、−CFCHOH又は−C(CFOHが好ましい。
カルボニル基含有基は、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(−OC(O)NH)、酸無水物残基(−C(O)OC(O)−)、イミド残基(−C(O)NHC(O)−等)又はカーボネート基(−OC(O)O−)が好ましい。
Fポリマーは、TFE単位、PAVE単位及び極性官能基を有するモノマーに基づく単位を含む極性官能基を有するポリマー(1)、又は、TFE単位及びPAVE単位を含み、全単位に対してPAVE単位を2.0〜5.0モル%含む極性官能基を有さないポリマー(2)が好ましい。
これらのFポリマーは、その粒子が分散安定性に優れ、ハンドリング性及びブレンド性にも優れるだけでなく、それから形成される成形品において微小球晶を形成して、その密着性を高めやすい。
ポリマー(1)は、全単位に対して、TFE単位を90〜99モル%、PAVE単位を0.5〜9.97モル%及び極性官能基を有するモノマーに基づく単位を0.01〜3モル%、それぞれ含有するのが好ましい。
また、極性官能基を有するモノマーは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。
ポリマー(1)の具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
ポリマー(2)は、TFE単位及びPAVE単位のみからなり、全単位に対して、TFE単位を95.0〜98.0モル%、PAVE単位を2.0〜5.0モル%含有するのが好ましい。
ポリマー(2)におけるPAVE単位の含有量は、全単位に対して、2.1モル%以上が好ましく、2.2モル%以上がより好ましい。
なお、ポリマー(2)が極性官能基を有さないとは、ポリマー主鎖を構成する炭素原子数の1×10個あたり、ポリマーが有する極性官能基の数が、500個未満であることを意味する。上記極性官能基の数は、100個以下が好ましく、50個未満がより好ましい。上記極性官能基の数の下限は、通常、0個である。
ポリマー(2)は、ポリマー鎖の末端基として極性官能基を生じない、重合開始剤や連鎖移動剤等を使用して製造してもよく、極性官能基を有するFポリマー(重合開始剤に由来する極性官能基をポリマーの主鎖の末端基に有するFポリマー等)をフッ素化処理して製造してもよい。フッ素化処理の方法としては、フッ素ガスを使用する方法(特開2019−194314号公報等参照)が挙げられる。
本発明におけるFポリマーの粒子は、Fポリマーを含む粒子であり、Fポリマーからなる粒子であるのが好ましい。Fポリマーの粒子に含まれ得る他の成分としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシドが挙げられる。
Fポリマーの粒子の平均粒子径は、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、1μm未満がさらに好ましい。Fポリマーの粒子の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。この場合、Fポリマーの粒子の流動性が高く、分散液のハンドリング性により優れるだけでなく、その分散安定性もより優れる。
本法における第1の液状分散媒は、25℃で不活性な液体化合物である。第1の液状分散媒は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上の第1の液状分散媒は、互いに相溶するのが好ましい。
第1の液状分散媒の沸点は、30〜120℃であるのが好ましい。
第1の液状分散媒は、水、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒が好ましい。
本法における第2の液状分散媒は、第1の液状分散媒とは異なり、25℃で不活性な液体であり、第1の液状分散媒より沸点が高く、かつ、第1の液状分散媒と相溶する化合物である。第2の液状分散媒は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。2種以上の第2の液状分散媒は、互いに相溶するのが好ましい。
第2の液状分散媒の沸点は、濃縮効率の観点から、第1の液状分散媒の沸点よりも15℃以上高いのが好ましく、20℃以上高いのがより好ましい。
第2の液状分散媒の沸点は、80〜300℃であるのが好ましい。
第2の液状分散媒は、水、アルコール、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒が好ましい。
ハロアルカンの具体例としては、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、1−ヒドロペルフルオロヘキサン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパンが挙げられる。
ハロエーテルの具体例としては、メチルペルフルオロブチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2.2.2−トリフルオロエチルエーテルが挙げられる。
アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メタノール、エタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。
アミドの具体例としては、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
ケトンの具体例としては、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンが挙げられる。
エステルの具体例としては、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンが挙げられる。
本法における第1の液状分散媒と第2の液状分散媒との好適な態様としては、第1の液状分散媒が、水、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、第2の液状分散媒が、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である態様、第1の液状分散媒が、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、第2の液状分散媒が、水及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である態様が挙げられる。これらの態様においては、それぞれの液状分散媒の親和性が高いため濃縮の際に、Fポリマーの粒子の凝集や変性が、より抑制されやすい。
後者の態様において、第2の液状分散媒は、水及びアルコールを含む溶液であるのが好ましく、10〜90質量%の水及び10〜90質量%のアルコールを含むアルコール水溶液であるのがより好ましい。
本法における液状組成物中のFポリマーの含有量は、3〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
本法における液状組成物中の第1の液状分散媒の含有量は、50〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましい。
液状組成物は、第1の液状分散媒の存在下、テトラフルオロエチレンを重合させて得られた、Fポリマーの粒子を含む液状組成物であってもよく、別途調整したFポリマーの粒子及び第1の液状分散媒体を混合して調製した液状組成物であってもよい。上述した作用機構により、TFEを重合させて得られた重合粗液であるとも言える前者の液状組成物を用いても、本法によれば、分散安定性、ハンドリング性及びブレンド性に優れた分散液を簡便に製造できる。
本法における液状組成物は、Fポリマー及び第1の液状分散媒以外の成分を含んでいてもよい。
本法における液状組成物は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。かかる場合、Fポリマーの粒子の分散が促されやすく、本法により得られる分散液は分散性に優れやすい。
この場合の液状組成物中の界面活性剤の含有量は、1〜15質量%が好ましい。
界面活性剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
界面活性剤の曇点は、濃縮効率の観点から、45℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。界面活性剤の曇点の上限は、通常、200℃である。
界面活性剤の親水部位は、オキシアルキレン基又はアルコール性水酸基を有するのが好ましい。
オキシアルキレン基は、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。後者の場合、種類の違うオキシアルキレン基は、ランダム状に配置されていてもよく、ブロック状に配置されていてもよい。
オキシアルキレン基は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。
界面活性剤の疎水部位は、アセチレン基、ポリシロキサン基、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基を有するのが好ましい。換言すれば、界面活性剤は、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
フッ素系界面活性剤は、水酸基(特に、アルコール性水酸基)又はオキシアルキレン基と、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基とを有するフッ素系界面活性剤が好ましい。ペルフルオロアルキル基中の炭素原子−炭素原子間には、エーテル性酸素原子が挿入されていてもよい。
上記界面活性剤の重量平均分子量は、5000〜300000が好ましい。
上記界面活性剤のフッ素含有量は、15〜90質量%がより好ましい。
上記界面活性剤のオキシアルキレン基の含有量は、10〜60質量%が好ましい。
上記界面活性剤の水酸基価は、10〜100mgKOH/gが好ましい。
フッ素系界面活性剤は、フルオロ(メタ)アクリレートと親水性(メタ)アクリレートのコポリマーが好ましい。
フルオロ(メタ)アクリレートの具体例としては、CH=C(CH)C(O)OCHCH(CFF、CH=C(CH)C(O)OCHCH(CFF、CH=C(CH)C(O)OCHCHCHCHOCF(CF)C(=C(CF)(CF(CF)、CH=C(CH)C(O)OCH(CH)OCH(CFFが挙げられる。
親水性(メタ)アクリレートの具体例としては、CH=C(CH)C(O)(OCHCHOH、CH=C(CH)C(O)(OCHCHOH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH23OHが挙げられる。
かかる界面活性剤の具体例としては、「フタージェント」シリーズ(ネオス社製)、「サーフロン」シリーズ(AGCセイミケミカル社製)、「メガファック」シリーズ(DIC社製)、「ユニダイン」シリーズ(ダイキン工業社製)が挙げられる。
本発明における液状組成物は、さらに、無機フィラー、チキソ性付与剤、消泡剤、シランカップリング剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤を含んでいてもよい。
本法における液状組成物の粘度は、10〜8000mPa・sが好ましく、50〜6000mPa・sがより好ましい。
本法における液状組成物のチキソ比は、1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
液状組成物の粘度及びチキソ比が、上記範囲にあれば、Fポリマーの粒子が高度かつ高濃度に分散した分散液を得やすい。
本法における混合液は、液状組成物と第2の液状組成物を混合して調製される。
混合液は、液状組成物に第2の液状分散媒を混合して調製してもよく、第2の液状分散媒に液状組成物を混合して調製してもよい。
混合に際しては、第2の液状分散媒及び液状組成物のそれぞれを一括して混合してもよく、いずれかを分割して混合してもよい。後者の態様としては、濃縮を通じて、液状組成物に第2の液状分散媒を分割して混合する態様が挙げられる。
混合において、第2の液状分散媒の量は、それぞれの液状分散媒の種類、液状組成物に含まれる第1の液状分散媒の量、及び、調製する分散液に含まれるFポリマーの量に応じて、決定すればよい。
具体的には、第2の液状分散媒の量は、100重量部の第1の液状分散媒に対して、5〜200質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましい。
より具体的には、第1の液状分散媒が、水、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、第2の液状分散媒が、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である場合には、第2の液状分散媒の量は、100重量部の第1の液状分散媒に対して、5〜200質量部が好ましく、10〜150質量部がより好ましい。
また、第1の液状分散媒が、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、第2の液状分散媒が、水及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である場合には、第2の液状分散媒の量は、100質量部の第1の液状分散媒に対して、5〜200質量部が好ましく、25〜150質量部がより好ましい。
本法において、混合液の濃縮における温度は、第1の液状分散媒の沸点+50℃以下の温度が好ましく、第1の液状分散媒の沸点+20℃以下の温度がより好ましく、第1の液状分散媒の沸点+15℃以下の温度がさらに好ましい。この場合、濃縮において、Fポリマーの粒子の分散性を保持しつつ、第1の液状分散媒を第2の液状分散媒へ置換して、効率よく分散液を製造しやすい。
なお、液状組成物が界面活性剤を含む場合の温度は、界面活性剤の曇点以下の温度が好ましい。この場合、分散液中におけるFポリマーの粒子の沈降や凝集を抑制しつつ、分散液の発泡や突沸を抑制しやすい。
本法において、混合液の濃縮における圧力は、減圧が好ましく、0.05MPa(絶対圧;以下、同様である。)以下が好ましく、0.01MPa以下がより好ましい。上記圧力の下限は、0MPaである。この場合、濃縮効率に優れやすい。
混合液の濃縮の具体的な態様としては、減圧下に、第1の液状分散媒の沸点+20℃以下の温度で、混合液に含まれる第1の液状分散媒及び第2の液状分散媒の総量に対して、0.01質量%/分以上の速度にて、混合液を濃縮する態様が挙げられる。この場合、濃縮において、Fポリマーの粒子の分散性を保持しつつ、第1の液状分散媒を第2の液状分散媒へ置換して、効率よく分散液を製造しやすい。
本法における濃縮においては、得られる分散液におけるFポリマーの含有量が、液状組成物におけるFポリマーの含有量より高くなるのが好ましい。
本法においては、分散液におけるFポリマーの含有量が液状組成物におけるFポリマーの含有量より高く、前者の含有量が3〜50質量%であり、かつ、後者の含有量が1〜40質量%であるのが好ましい。
本法により得られる分散液において、第1の液状分散媒の含有量は、5質量%以下が好ましい。上記含有量の下限は、0%である。上述した作用機構により、本法によれば、混合液中の第1の液状分散媒が効率よく、かつ、高度に第2の液状分散媒に置換された分散液が得られやすい。
本法により得られる分散液の粘度は、100〜8000mPa・sが好ましく、150〜6000mPa・sがより好ましい。
本法により得られる分散液のチキソ比は、1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
本法により得られる分散液におけるFポリマーの粒子の沈降速度は、50μm/s以下であるのが好ましい。
上述した作用機構により、本法によれば、分散安定性に優れた分散液が得られやすい。かかる分散液は、塗工性等のハンドリング性と、他の成分とのブレンド性とに優れる。
本発明の分散液(以下、「本分散液」とも記す。)は、Fポリマーの粒子と、水、アルコール、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒とを含む分散液である。
本分散液におけるFポリマーの含有量は、3〜50質量%である。
Fポリマーの粒子の平均粒子径は50μm未満であり、上記分散液を14日間静置した後のFポリマーの粒子の沈降率は60%以上である。
本分散液は、Fポリマーの粒子が液状分散媒中に分散した分散液である。
本分散液におけるFポリマーの定義及び範囲は、好適な態様も含めて、本法におけるそれと同様である。
本分散液におけるFポリマーの粒子の平均粒子径は、50μm未満であり、3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、1μm未満がさらに好ましい。Fポリマーの粒子の平均粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。
本分散液における液状分散媒は、アミド、ケトン、エステル、若しくは、水及びアルコールを含む溶液であるのが好ましい。
それぞれの液状分散媒の具体的な態様は、本法におけるそれと同様である。
液状分散媒が水及びアルコールを含む溶液である場合、水及びアルコールの総量に占める水の割合は、20質量%以上であるのが好ましい。
本分散液は、Fポリマー及び液状分散媒以外の成分を含んでいてもよい。
本分散液は、さらに界面活性剤を含むのが好ましい。かかる場合、Fポリマーの粒子の分散が促されやすく、本分散液は分散性に優れやすい。
本分散液における界面活性剤の具体的な態様は、好適な態様を含めて、本法におけるそれと同様である。
本分散液は、さらに、無機フィラー、チキソ性付与剤、消泡剤、シランカップリング剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤を含んでいてもよい。
本分散液中のFポリマーの含有量は、3〜50質量%であり、5〜40質量%が好ましい。
本分散液中の液状分散媒の含有量は、50〜97質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましい。
本分散液が界面活性剤を含む場合、その含有量は、1〜15質量%が好ましい。
本分散液の粘度は、10〜8000mPa・sが好ましく、50〜6000mPa・sがより好ましい。
本分散液のチキソ比は、1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.0がより好ましい。
本分散液におけるFポリマーの粒子の沈降速度は、50μm/s以下であるのが好ましい。
本分散液は、本法により得られた分散液であるのが好ましい。
本分散液を、基材層の表面に塗布し、加熱すれば、基材層と、その表面にFポリマーを含む層(以下、「F層」とも記す。)とを有する積層体を製造できる。
かかる基材層を構成する基材としては、金属基板(銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、それらの合金等の基板)、樹脂フィルム(ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミド等のフィルム)、プリプレグ(繊維強化樹脂基板の前駆体)が挙げられる。
本分散液は、基材層の一方の表面にのみ塗布してもよく、基材層の両面に塗布してもよい。前者においては、基材層と、基材層の片方の表面にF層とを有する積層体が得られ、後者においては、基材層と、基材層の両方の表面にF層とを有する積層体が得られる。
F層の厚さは、0.1〜100μmが好ましい。本分散液は、ハンドリング性に優れるため、表面平滑性等の物理的物性にも優れた、任意の厚さのF層、特に厚いF層を容易に形成できる。
本分散液の塗布方法としては、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法が挙げられる。
本分散液を基材層に塗布した後の加熱は、段階的に行うのが好ましく、液状分散媒を除去するための加熱と、Fポリマーを溶融焼成するための加熱との2段階にて行うのが好ましい。前者の加熱における温度は、120℃〜200℃が好ましく、後者の加熱における温度は、250℃〜400℃が好ましい。
本分散液から成形される積層体の具体例としては、銅箔層と、その銅箔層の少なくとも一方の表面にF層とを有する銅張積層体、ポリイミドフィルム層と、そのポリイミドフィルム層の両方の表面にF層とを有する多層ポリマーフィルムが挙げられる。
これらの積層体は、電気特性等の諸物性に優れており、プリント基板材料等として好適である。具体的には、かかる積層体は、フレキシブルプリント基板やリジッドプリント基板の製造に使用できる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[参考例]重合粗液の調製例
まず、真空引きしたステンレス製の重合槽(内容積:1.3L)に、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル(沸点:56℃;AGC社製、「AE−3000」)と、メタノールと、PPVEとを仕込み、重合槽内部を撹拌しながら、TFEガスを仕込んで、重合槽内温を50℃に保持した。
次いで、ビス(ペルフルオロブチリル)ペルオキシドを0.05質量%で含む1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル溶液(開始剤溶液)を重合槽に圧入して重合を開始し、重合槽内圧が1.0MPaで一定になるようにTFEガスを圧入して重合を継続した。
なお、TFEガスの消費速度が0.5g/分となるように、開始剤溶液を重合槽に間欠圧入した。併せて、TFEガスが5g消費される毎に、NAHを1質量%で含む1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル溶液を1mLずつ、重合槽に圧入した。
重合開始から290分後、重合槽を冷却し、重合を終了した。その後、重合槽から残モノマーガスを大気圧までパージして、重合粗液1を得た。
重合粗液1は、TFE単位、PPVE単位及びNAH単位を、この順に98.0モル%、1.9モル%及び0.1モル%含む極性官能基を有するポリマー1を13質量%で含んでいた。また、重合粗液1中においては、ポリマー1の粒子が1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルに分散していた。
[例1]分散液1の製造例
まず、重合粗液1に、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテルを添加し、ポリマー1の含有量を5質量%とした液状組成物1を調製した。
100質量部の液状組成物1に、ペルフルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリレートと水酸基及びポリオキシエチレン基を有する(メタ)アクリレートとのコポリマーである界面活性剤(ネオス社製、「フタージェント710FL」)を6質量%で含むN−メチル−2−ピロリドン(沸点:202℃)溶液を30質量部で添加して撹拌し、均一な混合液を得た。
次いで、この混合液を30℃に加温しつつ、エバポレーターを用いて、減圧度500mmHgから徐々に減圧していき1mmHg以下にて90分間以上、濃縮して、15質量%でポリマー1を含有する分散液1を得た。
[例2]分散液2の製造例
界面活性剤を使用しなかった以外は、例1と同様にして、15質量%でポリマー1を含有する分散液2を得た。
[例3]分散液3の製造例
界面活性剤を使用せず、濃縮における温度を70℃とした以外は、例1と同様にして、15質量%でポリマー1を含有する分散液3を得た。
[例4]分散液4の製造例
まず、100質量部の液状組成物1に、30質量%の水及び70質量%のエタノールを含むエタノール水溶液を28質量部で添加して撹拌し、均一な混合液を得た。
次いで、この混合液を30℃に加温しつつ、エバポレーターを用いて、減圧度500mmHgから徐々に減圧していき300mmHgにて60分間以上、濃縮して、15質量%でポリマー1を含有する分散液4を得た。
[例5(比較例)]分散液の製造例
30質量%の水及び70質量%のエタノールを含むエタノール水溶液に代えて、水を使用すると、二層分離した混合液が得られた。
この混合液を30℃に加温しつつ、エバポレーターを用いて、減圧度500mmHgから徐々に減圧していき300mmHgにて60分間以上、濃縮すると、ポリマー1が造粒して液界面に浮遊して分離したため、分散液を製造できなかった。
[例6(参考例)]分散液6の製造例
まず、重合粗液1から造粒回収し、粉砕して、ポリマー1の粒子を調製した。
次いで、15質量部のポリマー1の粒子を、2.5質量部の上記界面活性剤及び82.5質量部のN−メチル−2−ピロリドンを含む溶液に添加し、撹拌して、15質量%でポリマー1を含有する分散液6を得た。
分散液1〜4及び6の組成を、まとめて表1に示す。なお、表1中には、それぞれN−メチル−2−ピロリドンを「NMP」、水を「HO」、エタノールを「EtOH」として示す。
Figure 2021178898
[例7]分散液の評価例
分散液1〜4及び6に関して、その分散性、沈降性、沈降率及び沈降速度のそれぞれを、以下の手順に従って評価した。
<分散性>
各分散液を25℃にて、14日静置した後の分散状態を目視にて確認し、下記の評価基準に従って評価した。
○:粒子が沈降せず、粒子と液状分散媒との分離が見られず再分散可能である。若しくは、粒子が沈降し、粒子と液状分散媒との分離が見られるが、容易に再分散可能である。
×:粒子が沈降又は液状分散媒の界面に浮遊し、粒子と液状分散媒との分離が見られ、再度シェイカーで1時間振とう撹拌しても、凝集物の浮遊が見られ再分散できない。
<沈降率>
25℃にて、各分散液(18mL)をスクリュー管(内容積:30mL)に入れ、14日静置した。静置前後の、スクリュー管中の分散液全体の高さと沈降粒子(粒子分散層)の高さとをそれぞれ計測し、以下の式により算出した。沈降が確認されなかった場合は、分散液全体の高さに変化がないとして、沈降率100%とした。
沈降率(%)=(沈降粒子の高さ)/(分散液全体の高さ)×100
<沈降性>
各分散液を25℃にて14日静置した後の沈降状態を目視にて確認し、下記の評価基準に従って評価した。
○:粒子が沈降せず、粒子と液状分散媒との分離が見られない、即ち沈降率100%の状態である。若しくは、粒子が沈降し、粒子と液状分散媒との分離が見られるが、沈降率が60%以上の状態である。
×:粒子が液状分散媒の界面に浮遊し、粒子と液状分散媒との分離が見られる。若しくは、粒子が沈降し、粒子と液状分散媒との分離が見られ、沈降率が60%未満の状態である。
<沈降速度>
ポリアミド製の試料セル(光路長:2mm)に入れた各分散液に、LUMSizer(LUM社製)を用い、近赤外光(波長:870nm)又は青色レーザー(波長:470nm)の平行光を均一に照射し、その透過光強度をCCD検出器で測定した。そして、透過光プロファイルを求め、それから粒子の沈降速度(μm/s)を算出した。なお、測定において、試料セル中の分散液の量は0.4mLとし、温度は25℃、回転数は500rpmLightFactorlとし、10秒毎に900回のプロファイルを求めた。
以上の結果を、まとめて表2に示す。
Figure 2021178898
本発明の分散液は、フィルム、含浸物(プリプレグ等)、積層板(銅張積層体等の金属積層板等)等の成形品の製造に使用でき、離型性、電気特性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性、耐熱性、滑り性、耐摩耗性等が要求される用途の成形品の製造に使用できる。本発明の分散液から形成される成形品は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、塗料、化粧品等として有用であり、具体的には、電線被覆材、電気絶縁性テープ、石油掘削用絶縁テープ、プリント基板用材料、分離膜、電池材料(リチウム二次電池用、燃料電池用等の電極バインダー材料)、コピーロール、家具、自動車ダッシュボート、家電製品のカバー、摺動部材(荷重軸受、すべり軸、バルブ、ベアリング、歯車、カム、ベルトコンベア、食品搬送用ベルト等)、工具(シャベル、やすり、きり、のこぎり等)、ボイラー、ホッパー、パイプ、オーブン、焼き型、シュート、ダイス、便器、コンテナ被覆材として有用である。

Claims (15)

  1. 熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子及び第1の液状分散媒を含む液状組成物と、前記第1の液状分散媒より沸点が高く、かつ、前記第1の液状分散媒と相溶する極性の第2の液状分散媒とを混合して混合液を調製し、前記混合液を濃縮して、前記第1の液状分散媒を前記第2の液状分散媒に置換し、前記粒子及び前記第2の液状分散媒を含む分散液を得る、分散液の製造方法。
  2. 前記混合液を、前記第1の液状分散液の沸点+20℃以下の温度で濃縮する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記混合液を、減圧下に濃縮する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、極性官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記液状組成物が、前記第1の液状分散媒の存在下、テトラフルオロエチレンを重合させて得られたテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む液状組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記第1の液状分散媒が、水、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、前記第2の液状分散媒が、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒であるか、若しくは、前記第1の液状分散媒が、ハロアルカン及びハロエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の液状分散媒であり、前記第2の液状分散媒が、水及びアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記分散液における前記第1の液状分散媒の含有量が、5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記液状組成物が、さらに界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記分散液における前記粒子の沈降速度が、50μm/s以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 熱溶融性のテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、水、アルコール、アミド、ケトン及びエステルからなる群から選択される少なくとも1種の液状分散媒とを含む分散液であって、前記分散液における前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が3〜50質量%、かつ、前記粒子の平均粒子径が50μm未満であり、前記分散液を14日間静置した後の前記粒子の沈降率が60%以上である、分散液。
  12. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位又はヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを含む、請求項11に記載の分散液。
  13. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、極性官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項11又は12に記載の分散液。
  14. 前記分散液における前記粒子の沈降速度が、50μm/s以下である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の分散液。
  15. さらに界面活性剤を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の分散液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023224050A1 (ja) * 2022-05-19 2023-11-23 Agc株式会社 水系分散液の製造方法及び水系分散液

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