JP2021178770A - 球状シリカ粉末 - Google Patents
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(2)表面処理する前の球状シリカ粉末において、拡散反射FT−IR法にて測定したシリカ粉末の波数3735cm−1〜3755cm−1のピーク強度をA、波数3660cm−1〜3680cm−1のピーク強度をBとしたとき、B/Aが3.0以下であることを特徴とする(1)に記載の球状シリカ粉末。
(3)不活性雰囲気下で高温加熱処理されている、あるいは還元的な反応場で高温加熱処理されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の球状シリカ粉末。
(4) 平均円形度が0.85以上であることを特徴とする(1)〜(3)にいずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
(5) 表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする(1)〜(4)いずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
(6)樹脂中に配合して使用されることを特徴とする、(1)〜(5)いずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
本発明のシリカ粉末は、25℃から30℃/minの条件で1000℃まで昇温した際に、500℃〜1000℃における脱離する水分子数が0.01mmol/g以下である。脱離水分量は、例えば、昇温脱離ガス分析装置(TDS)を用いて測定することが可能であり、25℃から30℃/minで昇温し、得られるマスクロマトグラム(m/z=18)の500℃〜1000℃範囲における面積値から、H2O脱離分子数を算出する。脱離分子数は、好ましくは0.008mmol/g以下であり、下限値は特に規定されないが、現実的には0.0001mmol/g以上である。
炭化水素系エラストマーの中では、共役ジエン系重合体が好ましい。共役ジエン系重合体の中では、1,2−ポリブタジエンが好ましい。好適に用いることができる炭化水素系エラストマーは、数平均分子量は1000以上、好ましくは1万以上であってよい。炭化水素系エラストマーの例としては、エチレン系やプロピレン系のエラストマー、共役ジエン系重合体や芳香族ビニル化合物−共役ジエン系のブロック共重合体またはランダム共重合体、およびこれらの水素化物(水添物)から選ばれる単数または複数のエラストマーが挙げられる。エチレン系エラストマーとしては、エチレン−オクテン共重合体やエチレン−1−ヘキセン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、EPR、EPDMが挙げられる。プロピレン系エラストマーとしては、アタクティックポリプロピレン、低立体規則性のポリプロピレン、プロピレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン−αオレフィン共重合体が挙げられる。
共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエンや1,2−ポリブタジエンが挙げられる。芳香族ビニル化合物−共役ジエン系のブロック共重合体またはランダム共重合体、およびこれらの水素化物(水添物)としては、SBS、SIS、SEBS、SEPS、SEEPS、SEEBS等が例示できる。好適に用いることができる1,2−ポリブタジエンは、例えば、JSR株式会社の製品として入手できるほか、日本曹達株式会社から、液状ポリブタジエン:製品名B−1000、2000、3000の製品名で入手できる。また、好適に用いることができる1,2−ポリブタジエン構造を含む共重合体としては、TOTAL CRAY VALLEY社の「Ricon100」が例示できる。
ポリフェニレンエーテルとしては、市販の公知のポリフェニレンエーテルを用いることができる。ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は任意であり、配合物の成形加工性を考慮すると数平均分子量は好ましくは1万以下、最も好ましくは5000以下である。また数平均分子量は好ましくは500以上であってよい。また、配合物の硬化を目的とした添加の場合、分子末端が変性されていることが好ましく、及び/または、一分子内に複数の官能基を有していることが好ましい。官能基としては、アリル基、ビニル基、エポキシ基等が挙げられる。官能基としては、ラジカル重合性の官能基が好ましい。ラジカル重合性の官能基としては、ビニル基が好ましい。ビニル基としては、(メタ)アクリル基や芳香族ビニル基が好ましい。さらに分子鎖の両末端がラジカル重合性の官能基で変性されている二官能性ポリフェニレンエーテルが特に好ましい。このようなポリフェニレンエーテルとしてはSABIC社のNoryl(商標)SA9000や三菱ガス化学社製二官能ポリフェニレンエーテルオリゴマー(OPE−2St)を用いることができる。
芳香族ポリエン系樹脂とは、日鉄ケミカル&マテリアル社製、ジビニルベンゼン系反応性多分岐共重合体(PDV)を包含する。このようなPDVは、例えば文献「多官能芳香族ビニル共重合体の合成とそれを用いた新規IPN型低誘電損失材料の開発」(川辺正直他、エレクトロニクス実装学会誌 p125、Vol.12 No.2(2009))に記載されている。また芳香族ポリエン系樹脂としては、上述した芳香族ポリエン単量体を主構成単位とする芳香族ポリエン重合体樹脂も挙げられる。
用いられる硬化剤としては、従来芳香族ポリエン、芳香族ビニル化合物の重合、又は硬化に使用できる公知の硬化剤を用いてよい。このような硬化剤には、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤が例示できるが、好ましくはラジカル重合開始剤を用いることができる。好ましくは、有機過酸化物系(パーオキサイド)、アゾ系重合開始剤等であり、用途、条件に応じて自由に選択できる。有機過酸化物が掲載されたカタログは日油ホームページ、例えば
https://www.nof.co.jp/business/chemical/product01a.html
https://www.nof.co.jp/business/chemical/product01b.html
https://www.nof.co.jp/business/chemical/product01c.html
からダウンロ−ド可能である。また有機過酸化物は和光純薬社や東京化成工業社のカタログ等にも記載されている。本発明に用いられる硬化剤はこれらの会社より入手できる。また公知の光、紫外線、放射線を用いる光重合開始剤を硬化剤として用いることも出来る。光重合開始剤を用いる硬化剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、または光アニオン重合開始剤が挙げられる。このような光重合開始剤は例えば東京化成工業株式会社から入手できる。さらに、放射線あるいは電子線そのものによる硬化も可能である。また、硬化剤を含まず、含まれる原料の熱重合による架橋、硬化を行うことも可能である。硬化剤の使用量に特に制限はないが、一般的には前記樹脂100質量部(硬化剤及び溶剤を除くことが好ましい)に対し、0.01〜10質量部が好ましい。過酸化物系(パーオキサイド)、アゾ系重合開始剤等の硬化剤を用いる場合には、その半減期を考慮し、適切な温度、時間で硬化処理を行う。この場合の条件は、硬化剤に合わせて任意であるが、一般的には50℃から180℃程度の温度範囲が適当である。
球状シリカ(デンカ社製:FB−5D、比表面積2.3m2/g)を加熱処理せずにそのまま、後述の実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、原料シリカ粉末1の樹脂シートの誘電正接は、樹脂にポリエチレン(PE)を使用した場合は8.0×10−4、ポリプロピレン(PP)を使用した場合は6.1×10−4であった。
球状シリカ(デンカ社製:SFP−30M、比表面積6.0m2/g)を加熱処理せずにそのまま、後述の実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、原料シリカ粉末2の樹脂シート(PE)の誘電正接は、1.4×10−3であった。
原料シリカとして、原料シリカ粉末1(デンカ社製:FB−5D、比表面積2.3m2/g)を50g、石英ガラス製円筒容器に入れ、円筒容器をムライト製のロータリーキルン内に充填し、窒素雰囲気にてロータリーキルン内温度900℃にて2時間加熱処理した。加熱処理後、炉内が200℃以下になるまで冷却し、真空乾燥機(120℃−133Pa未満環境下)にて24時間乾燥させた。各種評価の直前までアルミパック(PET/AL/PEラミネート袋:生産日本社製)のスタンドパック内で保存した。評価結果を表2に示す。なお、樹脂シート(PE)の誘電正接は、4.7×10−4であった。
加熱処理温度と時間を表2の通りにした以外は、実施例1と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
原料シリカとして、原料シリカ粉末1(デンカ社製:FB−5D、比表面積2.3m2/g)を50g、石英ガラス製円筒容器に入れ、円筒容器をムライト製のロータリーキルン内に充填し、窒素雰囲気にてロータリーキルン内温度900℃にて2時間加熱処理した。加熱処理後、炉内が200℃以下になるまで冷却し、真空乾燥機(120℃−133Pa未満環境下)にて24時間乾燥させた。回収した試料100質量部に対して、表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザン(信越シリコーン社製、SZ−31;HMDS)を1質量部添加した。添加した粉末をResodyn社製振動式ミキサーにて混合し、真空乾燥機(120℃−133Pa未満環境下)にて24時間乾燥させ、各種評価の直前まで実施例1と同様にアルミパック内で保存した。評価は、実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
表面処理剤として、ビニルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、KBM−1003;ビニル)とした以外は実施例4と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
原料シリカを原料シリカ粉末2(デンカ社製:SFP−30M、比表面積6.0m2/g)とした以外は、実施例1と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
誘電特性の評価時にポリプロピレン粉末を使用した以外は、実施例1と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
原料シリカとして、原料シリカ粉末1(デンカ社製:FB−5D、比表面積2.3m2/g)を50g、アルミナ坩堝入れ、富士電波工業製ハイマルチ(カーボン炉)、窒素雰囲気にて電気炉内温度1000℃−4時間加熱処理した。加熱処理後、炉内が200℃以下になるまで冷却し、真空乾燥機(120℃−133Pa未満環境下)にて24時間乾燥させた。各種評価の直前までアルミパック(PET/AL/PEラミネート袋:生産日本社製)のスタンドパック内で保存した。評価結果を表2に示す。
原料シリカを原料シリカ粉末2(デンカ社製:SFP−30M、比表面積6.0m2/g)とし加熱温度と雰囲気を表2の通りにした以外は、実施例8と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
加熱処理温度と時間と雰囲気を表2の通りにした以外は、実施例9と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表2に示す。
加熱処理温度、時間、原料シリカ粉末、雰囲気を表3の通りにした以外は、実施例1と同様に加熱処理および評価を行った。評価結果を表3に示す。
粉末をカーボンテープで試料台に固定後、オスミウムコーティングを行い、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7001F SHL)で撮影した倍率500〜50000倍、解像度1280×1024ピクセルの画像をパソコンに取り込んだ。この画像を、画像解析装置(日本ローパー社製、Image−Pro Premier Ver.9.3)を使用し、粒子(粉末粒子)の投影面積(S)と粒子の投影周囲長(L)を算出してから、下記の式(1)より円形度を算出した。原料シリカがFB−5Dの場合1〜10μm、原料シリカSFP−30Mの場合、0.2〜1μmの任意の粒子200個について円形度を算出し、その平均値を平均円形度とした。
円形度=4πS/L2 ・・・式(1)
粉末1.2gを測定用試料セルに入れ、乾式密度計(島津製作所社製「アキュピックII1340」)を用い、気体(ヘリウム)置換法により測定した。
測定用セルに試料を1g充填し、Mountech社製 Macsorb HM model−1201全自動比表面積系測定装置(BET一点法)により比表面積を測定した。測定前の脱気条件は、200℃−10分とした。吸着ガスは窒素とした。
B(水素結合性シラノール基)とA(孤立シラノール基)の積分強度比は、フーリエ変換型赤外分光光度計(PerkinElmer社製Frontier型赤外分光装置)を用いて、大気雰囲気下で拡散反射法による測定(分解能8.0cm−1、積算回数32回)を行い、得られた拡散反射スペクトルから、3800−2875cm−1の間にベースラインを引き、3735cm−1〜3755cm−1の孤立シラノール基ピーク強度、3660cm−1〜3680cm−1の水素結合性シラノール基ピーク強度をそれぞれ算出し、そのピーク強度比を求めた。
昇温脱離ガス分析装置(電子科学製 EMD−WA1000S/W;TDS)を用い、上部熱電対の温度において、25℃から30℃/minで1000℃まで大気雰囲気下で昇温し、得られたマスクロマトグラム(m/z=18)の500℃〜1000℃範囲における面積値から、H2O脱離分子数を算出した。石英試料皿に、カーボンシート、試料粉末(10mg)、カーボンシートの順で載せた状態で、測定を行った。
加熱処理後の球状シリカ粉末の充填量が40体積%になるように、球状シリカ粉末及び、ポリエチレン(PE)粉末(住友精化社製フローセンUF−20S)またはポリプロピレン(PP)粉末(住友精化社製フローブレンQB200)を計量し、Resodyn社製振動式ミキサーにて混合した(加速度60g, 処理時間2分)。得られた混合粉末を所定体積分(厚さが0.3 mmになるように)計量し、直径3cmの金枠内に入れ、熱プレス機(井元製作所社製「IMC−1674−A型」)にてPEの場合、140℃, 10MPa, 15分、PPの場合、190℃, 10MPa, 60分にてシート化し評価試料とした。評価試料のシートの厚さは0.3mmであり、形状やサイズは測定器に搭載できれば、評価結果に影響しないが、1.5cm角である。
また、原料球状シリカ粉末1および2を樹脂に配合して測定した樹脂シートの誘電正接をa、実施例および比較例の球状シリカ粉末を樹脂に配合して測定した樹脂シートの誘電正接をbとし、式(2)から樹脂シート自体の誘電正接の低減率(%)を求めた。
樹脂シート自体の誘電正接の低減率(%)={1−(b/a)}×100 ・・・式(2)
Claims (6)
- 25℃から30℃/minの条件で1000℃まで昇温した際に、500℃〜1000℃における脱離する水分子数が0.01mmol/g以下であり、比表面積が1〜30m2/gであることを特徴とする球状シリカ粉末。
- 表面処理する前の球状シリカ粉末において、拡散反射FT−IR法にて測定したシリカ粉末の波数3735cm−1〜3755cm−1のピーク強度をA、波数3660cm−1〜3680cm−1のピーク強度をBとしたとき、B/Aが3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の球状シリカ粉末。
- 不活性雰囲気下で高温加熱処理されている、あるいは還元的な反応場で高温加熱処理されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の球状シリカ粉末。
- 平均円形度が0.85以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3にいずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
- 表面処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
- 樹脂中に配合して使用されることを特徴とする、請求項1〜請求項5いずれか一項に記載の球状シリカ粉末。
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