JP2021178286A - 蒸発システム - Google Patents

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JP2021178286A JP2020084746A JP2020084746A JP2021178286A JP 2021178286 A JP2021178286 A JP 2021178286A JP 2020084746 A JP2020084746 A JP 2020084746A JP 2020084746 A JP2020084746 A JP 2020084746A JP 2021178286 A JP2021178286 A JP 2021178286A
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秀夫 野田
Hideo Noda
寛司 山路
Kanji Yamaji
午良 西村
Goro Nishimura
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Abstract

【課題】 原料液から揮発成分をより効率的に蒸発させることができ、かつ原料液から効率的に溶媒や残渣を回収することのできる蒸発システムを提供すること。【解決手段】 本発明の蒸発システムは、多段式蒸発装置と圧力制御手段と受器とを備える。多段式蒸発装置は上下方向に並んで配置された複数の撹拌区画を備える撹拌槽と、撹拌区画のそれぞれに設けられている散液部と、撹拌槽の外周に設けられている少なくとも1つのジャケットとを備える。圧力制御手段では、多段式蒸発装置の該揮発成分出口が圧力制御手段用入口と接続されており、圧力制御手段用出口が多段式蒸発装置のジャケットに設けられたジャケット入口と接続されている。受器は、ジャケットに設けられたジャケット出口と接続されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸発システムに関し、より詳細には配管および付属装置数が低減されかつ原料液から効率的に溶媒回収や濃縮を行うことのできる蒸発システムに関する。
例えば、食品工業や化学工業の分野において、夾雑物や不純物を含む液体からの溶媒の回収または濃縮のために液体槽や配管を組み合わせた蒸発システムが使用されている。
図9は、従来の蒸発システムを模式的に表す図である。
蒸発システム700は、原料となる原料液を含む原料タンク710と、コンプレッサー720と、リボイラ730とを備える。当該原料タンク710の原料液は、原料タンク710内に設けられたコイルヒータ711で加熱され、その蒸気が原料タンク710の上方に設けられた揮発成分出口712から管714を通じてコンプレッサー720に供給される。原料液の蒸気はコンプレッサー720により加圧されて沸点が上昇し、管716を通じてリボイラ730に供給される。一方、原料タンク710の底部には、原料液出口722から延びかつ循環ポンプ740に接続された管718が設けられている。さらに循環ポンプ740は管723を通じてリボイラ730に接続されている。循環ポンプ740を稼働させることにより、原料タンク710の底部から原料液が管718、723を通じてリボイラ730にまで供給される。
ここで、リボイラ730はヒートポンプとして機能し、管716を通じて供給された原料液の蒸気の熱で管723を通じてリボイラ730に供給された原料液が加熱される。なお、当該リボイラ730において、管716を通じて供給された原料液の蒸気と、管723を通じてリボイラ730に供給された原料液とは混合することなく、構造上分離されており、両者の熱交換のみが行われる。これにより、管716を通じて供給された原料液の蒸気は、再び液化して管724を通じて受器750に回収される。一方、管723を通じてリボイラ730に供給された原料液はリボイラ730でも加熱されてより高温度となり、管726を通じて再び原料タンク710に供給される。
このように従来の蒸発システム700は、コンプレッサー720およびリボイラ730を用いた複数の管の配置によって、原料液に付加される熱を効率的に利用して原料液の蒸発を行うことができる。
しかし、上記蒸発システム700は、上記の通り複雑な配管構造やリボイラなどの付属装置を要し、製造コストおよびメンテナンスの点ではまだまだ改良が必要とされていた。また、原料タンク710内での原料液の加熱はコイルヒータ711のみによって行われるため、原料タンク710内での原料液の容量によって蒸発量が変動し、原料液をより安定して効率良く蒸発させることが困難であった。
近年では、撹拌槽の内部において、水平方向に回転する回転軸に取り付けられており、回転軸の回転とともに撹拌槽内の底部に貯留する原料液を下端から掬い取りかつ上端で撹拌槽の内壁に吐出して、撹拌槽の内壁を流下する濡れ面を形成することができる、散液部を備える蒸発装置に、上記コンプレッサーを組み合わせた蒸発システムが提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、散液部による撹拌槽内での原料液に含まれる揮発成分の蒸発と、蒸発した揮発成分の熱を撹拌槽の内壁を加熱するための熱源への再利用との両立が提案されている。しかし、特許文献1の蒸発システムについては、揮発成分の蒸発と当該揮発成分の熱の再利用とが効率的に行うことができるか否かの点でさらなる改良が所望されている。
特開2016−209779号公報
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、原料液から揮発成分をより効率的に蒸発させることができ、かつ原料液から効率的に溶媒や残渣を回収することのできる蒸発システムを提供することにある。
本発明は、多段式蒸発装置と、圧力制御手段と、受器とを備える蒸発システムであって、
該多段式蒸発装置が、
揮発成分出口を備え、かつ内部に原料液が供給される撹拌槽であって、上下方向に並んで配置された複数の撹拌区画を備える、撹拌槽と、
該撹拌区画のそれぞれに設けられており、かつ該撹拌槽の内壁に該原料液を流下する、散液部と、
該撹拌槽の外周に設けられており、かつ該撹拌区画における該撹拌槽の内壁を加熱して該内壁を流下する該原料液に含まれる揮発成分を蒸発させる、少なくとも1つのジャケットと、
を備え、
該撹拌区画が、
該撹拌槽の内壁および該撹拌槽の底部から構成されておりかつ該原料液を貯留する底部貯留部を備える、底部区画と、
該底部区画よりも上段に設けられており、そして該撹拌槽の内壁と環状の隔壁部を有する環状部材とで囲まれておりかつ該原料液を貯留する上段貯留部を備える、少なくとも1つの上段区画と
から構成されており、
該散液部が、
該撹拌槽内で鉛直方向に延びる、回転軸と、
該回転軸に対して傾斜して装着されており、かつ該回転軸の回転に伴って該底部貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する、少なくとも1つの底部流路部材と、
該回転軸に対して傾斜して装着されており、かつ該回転軸の回転に伴って該上段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する、少なくとも1つの上段流路部材と
から構成されており、そして
該圧力制御手段が、圧力制御手段用入口および圧力制御手段用出口を備え、該多段式蒸発装置の該揮発成分出口が該圧力制御手段用入口と接続されており、該圧力制御手段用出口が該多段式蒸発装置の該ジャケットに設けられたジャケット入口と接続されており、
該受器が、該ジャケットに設けられたジャケット出口と接続されている、
蒸発システムである。
1つの実施形態では、上記圧力制御手段は、ブロワー、コンプレッサーまたは真空ポンプである。
1つの実施形態では、上記ジャケットは、上記撹拌区画のそれぞれに対応するように複数設けられている。
1つの実施形態では、上記ジャケットは、上記撹拌区画のうち連続する複数の上記上段区画に亘って設けられている。
1つの実施形態では、上記複数のジャケット内での上記原料液の揮発成分の温度は、上記撹拌槽内の上記原料液の温度よりも高く設定されている。
1つの実施形態では、上記多段式蒸発装置の上記上段貯留部において、上記原料液は上記環状部材の上記筒状隔壁部を超えてオーバーフローすることにより下段に移動することができる。
1つの実施形態では、上記複数のジャケットは、上記撹拌槽における上記上段区画のみに対応して設けられている。
さらなる実施形態では、上記撹拌槽における上記底部区画に対応して、他の熱源と接続された底部ジャケットが設けられている。
1つの実施形態では、上記複数のジャケットの上記ジャケット出口毎に別々の上記受器が接続されている。
本発明によれば、リボイラなどの付属装置および複雑な配管を設けることなく、熱に要するエネルギーを低減して、原料液から揮発成分を効率良く蒸発することができる。
本発明の蒸発システムの一例を示す概略図である。 図1に示す蒸発システムを構成する多段式蒸発装置内の環状部材を表す図であって、(a)は、図1に示す2つの上段貯留部のうち、上方の上段貯留部に配置される環状部材の斜視図であり、そして(b)は、図1に示す2つの上段貯留部のうち、下方の上段貯留部に配置される環状部材の斜視図である。 図2の(a)および(b)にそれぞれ示す2つの環状部材の大きさを比較するための、当該環状部材の断面図である。 図1に示す蒸発システムを構成する多段式蒸発装置内の撹拌槽の断面図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液部の部分拡大図である。 図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液円盤を表す図であって、(a)は、図1に示す3つの散液円盤のうち、最も上方に配置される散液円盤の斜視図であり、(b)図1に示す3つの散液円盤のうち、中段に配置される散液円盤の斜視図であり、そして(c)は、図1に示す3つの散液円盤のうち、最も下方に配置される散液円盤の斜視図である。 本発明の蒸発システム内を移動する揮発成分の温度(T〜T)を説明するための模式図であって、図1に示す蒸発システムを構成する多段式蒸発装置から、散液部、回転軸およびその他の部品の記載を省略した図である。 本発明の蒸発システムの他の例を示す概略図である。 従来の蒸発システムを模式的に表す図である。
(第1の蒸発システム)
本発明の蒸発システムの一例を、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の蒸発システムの一例を示す概略図である。本発明の蒸発システム10は、多段式蒸発装置100、圧力制御手段200、および受器300を備える。
(1)多段式蒸発装置
図1に示す多段式蒸発装置100は、撹拌槽108とジャケット112b,112cと、底部ジャケット112aと、散液部120a,120b,120cとを備える。
(1−1)撹拌槽
撹拌槽108は、内部に原料液が供給される密閉可能なタンクであり、蓋体109および撹拌槽本体110を備える。撹拌槽108は、撹拌槽本体110において、水溶液、スラリーなどの液体を収容して撹拌することができる。図1に示す実施形態では、蓋体109の一部に揮発成分出口113が設けられている。撹拌槽108内で原料液から蒸発した揮発成分は、この揮発成分出口113から管160を通じて圧力制御手段200に排出され得る。
撹拌槽108を構成する撹拌槽本体110の大きさ(容量)は、多段式蒸発装置100の用途(供される原料液の種類)や、原料液の処理量などによって適宜設定され得るため、必ずしも限定されないが、例えば、0.1リットル〜100,000リットルである。撹拌槽108(すなわち、蓋体109および撹拌槽本体110)を構成する材質は特に限定されないが、例えば、種々の原料液に対して安定であり、熱伝導性に優れ、かつ入手および加工が容易であるとの理由から、鉄、ステンレススチール、チタン、ハステロイまたは銅のような金属で構成されていることが好ましい。さらに、撹拌槽本体110の内壁111は、耐薬品性を高めるために、テフロン(登録商標)やゴムライニングのような当該分野において公知のコーティングが付与されていてもよい。
図1に示す撹拌槽本体110は、上下方向に並んで配置された複数の撹拌区画124a,124b,124cに区分されている。撹拌区画のうち、撹拌槽108の最も下段に設けられた底部区画124aは、撹拌槽108における撹拌槽本体110の内壁111および底部114から構成されている底部貯留部115を備える。
底部貯留部115は、撹拌槽108または撹拌槽本体110の最も下方に貯留した原料液によって占められ得る領域であって、撹拌槽本体110の内壁111と底部114とで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域をいう。底部貯留部115は、底部区画124a内で原料液を貯留することができる。
図1において、底部区画124aより上段には、上段区画124b,124cが設けられている。上段区画124cは、撹拌槽108における撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116cとで囲まれた上段貯留部117cを備える。上段区画124bは、撹拌槽108における撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116bとで囲まれた上段貯留部117bを備える。
ここで、上段貯留部117cは、撹拌槽108または撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116cとで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域である。また、上段貯留部117bは、底部貯留部115と上段貯留部117cとの間に配置された領域であって、撹拌槽108または撹拌槽本体110の内壁111と環状部材116bとで取り囲まれておりかつ上方が開放されている領域である。上段貯留部117cは、上段区画124c内で原料液を貯留することができる。上段貯留部117bは、上段区画124b内で原料液を貯留することができる。
図1では、撹拌区画として上段区画124b,124cの2つが設けられているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。本発明においては、底部貯留部115の上方には少なくとも1つの上段貯留部(例えば、1段、2段、3段、または4段の上段貯留部)が設けられている。言い換えれば、本発明においては、2つまたはそれ以上の撹拌区画を有する。
図2は、図1に示す蒸発システムを構成する多段式蒸発装置内に配置された環状部材の斜視図である。
図2の(a)および(b)に示すように、環状部材116c,116bは、それぞれ環状底面部118c,118bと、筒状隔壁部119c,119bとを備える。
環状底面部118c,118bはいずれも、中央に円形の開口端を有する円盤状部材であり、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せでなる材料から構成されている。筒状隔壁部119c,119bは、好ましくは内径が互いに異なる円筒状であり、環状底面部118c,118bの各開口端から上方に向かって延びるように配置されている。筒状隔壁部119c,119bもまた、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せのいずれかでなる材料から構成されている。
図3は、図2の(a)および(b)にそれぞれ示す環状部材116c,116bの断面図である。
図3において、環状部材116bは、環状部材116cよりも全体として小さいサイズとなるように設計されている。
例えば、図3に示すように、環状部材116c,116bの開口端の中心線Lを一致させた場合、2つの環状部材116c,116bのうち、上方に配置される環状部材116cの中心線Lから環状底面部118cの外周部までの最短距離(環状底面部118cの半径)rc1は、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから環状底面部118bの外周部までの最短距離(環状底面部118bの外周半径)rb1よりも長く(すなわち、rc1>rb1の関係を満たすように)設計されている。rc1およびrb1の各大きさがこのような関係を満たしていることにより、図1に示す多段式蒸発装置100において撹拌槽本体110から環状部材116c,116bを容易に取り外すことが可能となる。
さらに、2つの環状部材116c,116bのうち、上方に配置される環状部材116cの中心線Lから筒状隔壁部119cの内周部までの最短距離(筒状隔壁部119cの開口半径)rc3は、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから筒状隔壁部119bの外周部までの最短距離(筒状隔壁部119bの外周半径)rb2と同一またはそれよりも長く(すなわち、rc3≧rb2の関係を満たすように)設計されている。rc3およびrb2がこのような関係を満たす場合、環状部材116cにおける筒状隔壁部119cの内周部と環状部材116bにおける筒状隔壁部119bの外周部との間には、G≧0の関係を満たす間隙Gが形成される。当該Gがこのような関係を満たすことにより、(図1に示す上段貯留部117cに貯留した)原料液の液面が環状部材116cにおける筒状隔壁部119cの高さを超えてオーバーフローしたとしても、オーバーフローした原料液は、図1に示す底部貯留部115まで落下して貯留される前に、筒状隔壁部119bの外周側に落下するため、結果として図1に示す上段貯留部117cからオーバーフローした原料液は、上段貯留部117b内に容易に貯留され得る。
なお、上記に関わらず、rc3に対して、下方に配置される環状部材116bの中心線Lから筒状隔壁部119bの内周部までの最短距離(筒状隔壁部119cの開口半径)rb3が、rc3≧rb3の関係を満たす場合は、上記間隙GはG≦0となってもよい。
本発明の好ましい実施形態では、上記環状部材116b,116cは、撹拌槽本体の内壁から撹拌槽の中心軸方向に向かって突出する係止部によって係止される。
例えば、図1の多段式蒸発装置100に記載されるような撹拌槽108が採用される場合、撹拌槽108は、図4の断面図にて示すように、撹拌槽本体110の内部が互いに連通した複数の円筒部110a,110b,110cの組み合わせから構成されている。さらに、複数の円筒部110a,110b,110cは、撹拌槽本体110の上方から下方にかけて段階的に縮径した内径を有する。図4に示す撹拌槽本体110は、円筒部110a,110b,110cを一体的に組み合わせたもの、あるいは円筒部110a,110b,110cがそれぞれ独立した部品であり、これらを分解可能に組み合わせたもののいずれであってもよい。
ここで、図4に示す撹拌槽本体110では、円筒部110aと円筒部110bとの間、ならびに円筒部110bと円筒部110cとの間に、円筒部110a,110b,110cの各内径の相違により生じた段差128a,128bが設けられている。段差128a,128bは、円筒部110b,110cのそれぞれの下端において、撹拌槽本体110の内壁111から撹拌槽本体110の中心軸方向に向かって突出している。そして、これらの段差128a,128bが係止部となって、図2に示すような環状部材116b,116cにおける環状底面部118b,118c(例えば、環状底面部118b,118cの外縁)をそれぞれ係止することができる。一方、このように係止によって、環状部材116b,116cは撹拌槽本体110の上端開口部(すなわち、撹拌槽108の上方)から容易に取り外すことができる。
再び図1を参照すると、撹拌槽108の一部である蓋体109は、撹拌槽本体110の上端開口部を覆うことができ、かつ撹拌槽本体110から取り外すこともできる。蓋体109は、例えば、鉄、ステンレススチール、チタン、ハステロイまたは銅のような金属で構成されている。さらに、蓋体109の内側には、耐薬品性を高めるために、テフロン(登録商標)やゴムライニングのような当該分野において公知のコーティングが付与されていてもよい。
図1において、揮発成分出口113は、蓋体109の一部において撹拌槽108の軸方向に対して略直角となる方向に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、揮発成分出口はモーター140の配置を妨げない限りにおいて、蓋体109の上部に設けられていてもよい。あるいは、揮発成分出口は、後述する散液部の機能に影響を及ぼさない限りにおいて、撹拌槽本体110の上方(例えば、撹拌槽本体110と蓋体109との連結部分近傍の撹拌槽本体110側)に設けられていてもよい。
(1−2)ジャケット
ジャケット112b,112cは、それぞれ上段区画124b,124cに対応して撹拌槽本体110の外周に設けられており、撹拌槽本体110の内壁111(具体的には、内壁111の上段区画124bに対応する部分および内壁111の上段区画124cに対応する部分)を加熱することができる。ジャケット112b,112cはまた、ジャケット入口127b,127cおよびジャケット出口134b,134cをそれぞれ備える。ジャケット入口127b,127cは、管170から分岐した管172,174を介して後述する圧力制御手段200と接続されている。ジャケット出口134b,134cは管176,178を介して受器300(図1では、第1受器300bおよび第2受器300cで構成されている)と接続されている。後述するように、圧力制御手段200にて加熱された揮発成分は、管170から分岐した管172,174を介してジャケット入口127b,127cに導入される。これにより撹拌槽本体110の内壁110のうち、上段区画124b,124cに対応する部分は、ジャケット112b,112c内を流れる加熱された揮発成分により加熱される。その後、ジャケット112b,112c内の揮発成分は、ジャケット出口134b,134cから管176,178を介して受器300b,300cに送給される。
(1−3)底部ジャケット
他方、図1において、本発明の蒸発システム10には底部ジャケット112aが設けられている。底部ジャケット112aは、底部区画124aに対応して撹拌槽本体110の外周に設けられており、撹拌槽本体110の内壁111(具体的には、内壁111の底部区画124aに対応する部分)を加熱することができる。底部ジャケット112aはまた、底部ジャケット入口127aおよび底部ジャケット出口134aをそれぞれ備える。底部ジャケット入口127aは図示しない他の熱源と接続されており、スチームなどの高温の流体が底部ジャケット112a内に導入され、底部ジャケット出口134aを通じて外部に排出される。これにより撹拌槽本体110の内壁110のうち、底部区画124aに対応する部分は、底部ジャケット112a内を流れる高温の流体により加熱される。
(1−4)散液部
図1において、散液部120a,120b,120cは、回転軸121を共通して含むように構成されている。そして、散液部120a,120b,120cはまた、撹拌槽本体110内で回転軸121に対して上下方向に並んで配置されている。
回転軸121は、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの剛性を有する金属で構成されたシャフトであり、例えば、円筒状または円柱状の形状を有する。回転軸121は、撹拌槽本体110内で、通常、鉛直方向に配置されている。回転軸121の太さは、必ずしも限定されないが、例えば、8mm〜200mmである。回転軸121の長さは、使用する撹拌槽本体110の大きさ等によって変動し、当業者によって適切な長さが選択され得る。
回転軸121の上部は、蓋体109上に配置されたモーター140などの回転手段と接続されている。回転軸121の下部は、撹拌槽本体110の底部に接していてもよく、または接していなくてもよい。例えば、図1に示すように、回転軸121の下部が撹拌槽本体110の底部114から離れた位置に配置されていてもよい。
より詳細に説明すると、図1に示す散液部120aは、撹拌槽本体110内を軸方向に延びる回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122aと、当該取付具122aの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123aとを備える。図1に示す散液部120bは、上記回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122bと、当該取付具122bの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123bとを備える。図1に示す散液部120cは、上記回転軸121と、水平方向に延びかつ当該回転軸121に取り付けられている、取付具122cと、当該取付具122cの両端に取り付けられておりかつ回転軸121に対して所定の角度で傾斜する、2つの樋状部材123cとを備える。
図5は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液部120aの部分拡大図である。
図5に示すように、散液部120aは、回転軸121の回転により、図1に示す底部貯留部115に収容された原料液を、樋状部材123aの長さ方向に沿って設けられた流路126aを通じて撹拌槽本体110の下方から上方に向かって流動させ、樋状部材123aの上端から撹拌槽本体の内壁に向かって散布することができる。
樋状部材123aは、取付具122aに対して所定の角度(取付傾斜角ともいう)θで当該樋状部材123aの下端が回転軸121側に近づくように傾斜して取付けられている。取付傾斜角θは、例えば、40°〜89.5°である。取付傾斜角θが40°を下回ると、樋状部材123aの回転半径が大きくなるために、撹拌槽本体が無用に大型化するおそれがある。取付傾斜角θが89.5°を上回ると、原料液を樋状部材123aの流路126aの下方から上方に流動させるための充分な遠心力を獲得するために、樋状部材123aをより高速で回転させることが必要となるおそれがある。
本発明において、樋状部材123aの流路126aは、例えば、半円筒状、半角筒状、V字状などの、いわゆるハーフパイプの形態を有していてもよく、あるいは、下端および上端がこのようなハープパイプの形態を有し、その間の中間部分が筒状(例えば、円筒状、角筒状)に加工されたものであってもよい。
樋状部材123aの大きさは、特に限定されないが、例えば、半円筒状の樋状部材が使用される場合、半円筒部分の直径は、例えば2mm〜200mmである。下端から上端までの長さは、例えば40mm〜8,000mmである。樋状部材123aは、例えば、鉄、ステンレススチール、ハステロイ、チタンなどの金属およびこれらの組合せのいずれかでなる材料から構成されている。
なお、上記では、図5に示す樋状部材123aについて説明したが、例えば図1に示す樋状部材123b,123cもまた同様にして設計されている。
本発明の蒸発装置において、1つの散液部に対して、例えば、複数の(すなわち、2つまたはそれ以上)、好ましくは2つ〜8つ、より好ましくは2つ〜6つの樋状部材が取り付けられている。本発明において、1つの散液部を構成するこれらの樋状部材は、回転軸の周りにそれぞれ略均等な角度となるように所定の間隔をおいて装着されていることが好ましい。
再び図1を参照すると、本発明の多段式蒸発装置100において、撹拌槽本体110内の散液部120a,120b,120cが、底部貯留部115および上段貯留部117b,117cに収容される液体(原料液)を汲み上げるために設定される好適な回転軸121の回転数(すなわち、散液部120a,120b,120cの回転数)は、使用する液体の粘性、撹拌槽本体110の大きさ、撹拌槽本体110内の液体の残量などによって異なるため、必ずしも限定されないが、例えば30rpm〜500rpmである。
(1−5)その他のコンポーネント
本発明の多段式蒸発装置100には、蓋体109の一部に、原料液供給口131を備えた供給パイプ130が配置されている。さらに、図1に示すように、蓋体109の下方には、原料液供給口131から吐出された原料液を一時的に貯留し、かつ所定量を超えた際にオーバーフロー可能な補助トレイ132が設けられている。
さらに、本発明の多段式蒸発装置100には、散液部120a,120b,120cのそれぞれの真上(より詳細には、散液部120aと環状部材116bとの間、散液部120bと環状部材116cとの間、および散液部120cと補助トレイ132との間)に、上方に段差を有する散液円盤150a,150b,150cが設けられていてもよい。散液円盤150a,150b,150cは、例えば、回転軸121に直接取り付けられており、回転軸121の回転に伴って一緒に回転することができる。
図6は、図1に示す本発明の多段式蒸発装置を構成する散液円盤150a,150b,150cの斜視図である。
散液円盤150a,150b,150cは、それぞれ円盤本体152a,152b,152c上に段差(厚み)S,S,Sを有する隆起部154a,154b,154cが設けられており、そして中央部分に開口部156a,156b,156cが穿設されている。
円盤本体152a,152b,152cは、略平坦な面を有する円盤の形態を有し、図1に示す撹拌槽本体110内の散液円盤150a,150b,150cの配置順序(図1の下方から上方)にしたがって、直径K3a,K3b,K3cがこの順番に大きくなる(すなわち、直径K3a>K3b>K3c)ように設計されている。さらに、本発明においては、円盤本体152aの直径K3aは、例えば図1に示す環状部材116bの開口部分の直径(内径)よりも大きく、円盤本体152bの直径K3bは、例えば図1に示す環状部材116cの開口部分の直径(内径)よりも大きく、そして円盤本体152cの直径K3cは、例えば図1に示す補助トレイ132の開口部分の直径(内径)よりも大きくなるように設計されている。
図6の(a)〜(c)に示す散液円盤150a,150b,150cにおいて、隆起部154a,154b,154cはそれぞれ円盤上の形態を有し、図1に示す撹拌槽本体110内の散液円盤150a,150b,150cの配置順序(図1の下方から上方)にしたがって、直径K2a,K2b,K2cがこの順番に大きくなる(すなわち、直径K2a>K2b>K2c)ように設計されている。さらに、本発明においては、隆起部154aの直径K2aは、例えば図1に示す環状部材116bの開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有し、隆起部154bの直径K2bは、例えば図1に示す環状部材116cの開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有し、そして隆起部154cの直径K2cは、例えば図1に示す補助トレイ132の開口部分の直径(内径)と同じまたはそれ未満の大きさを有するように設計されている。これに対し、隆起部154a,154b,154cの厚み(段差)S,S,Sは特に限定されず、当業者によって任意の長さが選択され得る。
さらに、図6の(a)〜(c)に示す散液円盤150a,150b,150cにおいて、開口部156a,156b,156cの開口径K1a,K1b,K1cは、図1に示す回転軸121の軸径に一致するように互いに同一(K1a=K1b=K1c)に設計されている。
(2)圧力制御手段
図1において、圧力制御手段200は、揮発成分出口113から排出された揮発成分を例えば加圧により加熱することができる。圧力制御手段200の例としては、ブロワー、コンプレッサーまたは真空ポンプが挙げられる。原料液に含まれる揮発成分の種類によって変動するため必ずしも限定されないが、圧力制御手段200は、管160から導入された揮発成分温度を、例えば20℃〜150℃、好ましくは50℃〜140℃まで上昇させ、その後管170に排出することができる。
このようにして、圧力制御手段200によって加熱された揮発成分は、管170から分岐した管172,174を介してジャケット入口127b,127cに供給され、ジャケット112b,112c内での原料液の揮発成分の温度が、撹拌槽108(または撹拌槽本体110)内の原料液の温度よりも高くなるように設定される。
(3)受器
受器300は、ジャケット112b,112cからジャケット出口134b,134cおよび管176,178を介して凝縮液の形態で排出される揮発成分を最終的に収容することができる容器である。なお、図1では、受器300は、第1受器300bおよび第2受器300cから構成され、上段区画124b,124cのそれぞれに設けられた管176,178から排出される揮発成分が第1受器300bおよび第2受器300cに別々に収容されていることが好ましい。後述するように、第2受器300cに収容される揮発成分(すなわち、上段区画124c側に配置されたジャケット112c、ジャケット出口134cおよび管178を介して収容される揮発成分)は、第1受器300bに収容される揮発成分(すなわち、上段区画124b側に配置されたジャケット112b、ジャケット出口134bおよび管176を介して収容される揮発成分)よりも凝縮温度が低い可能性がある。このため、各上段区画124b,124cで凝縮する揮発成分(凝縮液)が、ジャケット112b,112c内(特にジャケット112cの下方に位置するジャケット112c内)で混在することのないよう、ジャケット112b,112cのそれぞれで凝縮した揮発成分(凝縮液)は、対応する別々の受器(すなわち、第1受器300bおよび第2受器300c)に収容することが好ましい。
(4)作用
図1に示す本発明の多段式蒸発装置100は、以下のようにして原料液から揮発成分を蒸発しかつ回収することができる。
まず、撹拌槽108の外部に取り付けられた原料タンク(図示せず)から供給された原料液が、供給パイプ130を通じて原料液供給口131から吐出され、補助トレイ132内に貯留される。そして、補助トレイ132に貯留された原料液がオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150cに接触し、散液円盤150cの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。これにより、当該原料液は、上段貯留部117cよりも下方に位置する貯留部(例えば、上段貯留部117bおよび/または底部貯留部115)に直接的に移動することなく、上段貯留部117c内に一層確実に貯留される。このとき、オーバーフローした原料液は、補助トレイ132からそのまま落下して上段貯留部117cに貯留されるか、あるいは補助トレイ132の下面から内壁111を伝って上段貯留部117cに貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、上段貯留部117cに貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
上段貯留部117cに貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120c内の樋状部材123cの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126cを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123cの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び上段貯留部117cに貯留される。これにより、原料液が、上段貯留部117c内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる揮発成分が蒸発する。
一方で、上段貯留部117cに貯留される原料液が増加して、環状部材116cに設けられた筒状隔壁部119cをオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150bに接触し、散液円盤150bの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。これにより、当該原料液は、上段貯留部117bよりも下方に位置する底部貯留部115に直接的に移動することなく、上段貯留部117b内に一層確実に貯留される。あるいは、オーバーフローした原料液は、上段貯留部117cの下面から内壁111を伝って上段貯留部117bに貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、上段貯留部117bに貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
上段貯留部117bに貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120b内の樋状部材123bの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126bを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123bの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び上段貯留部117bに貯留される。これにより、原料液は上段貯留部117b内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる揮発成分が蒸発する。
さらに、上段貯留部117bに貯留される原料液が増加して、環状部材116bに設けられた筒状隔壁部119bをオーバーフローすると、オーバーフローした原料液は、一旦散液円盤150aに接触し、散液円盤150aの回転によって撹拌槽本体110の内壁111方向に散布される。あるいは、オーバーフローした原料液は、上段貯留部117bの下面から内壁111を伝って底部貯留部115に貯留される。後者の場合では、オーバーフローした原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部が、底部貯留部115に貯留されるまでの間にジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発する。
底部貯留部115に貯留された原料液は、モーター140および回転軸121の回転に伴って回転する散液部120a内の樋状部材123aの下端から汲み上げられ、そして回転軸121の回転に伴う遠心力を利用して流路126aを下方から上方に移動する。そして、原料液は、樋状部材123aの上端から内壁111に向かって散布され、原料液に含まれる揮発成分の少なくとも一部がジャケット112から内壁111に付与された熱によって蒸発し、残部はそのまま流下して再び底部貯留部115に貯留される。これにより、原料液は底部貯留部115内、散液部120c内および内壁111上をこの順で繰り返し移動し、徐々に原料液に含まれる揮発成分が蒸発する。
本発明の多段式蒸発装置100では、撹拌槽本体110の底部(すなわち、底部貯留部115の底部)の中央部分に、撹拌槽本体110の内部において高さ方向に延びる隔壁部129が設けられていてもよい。底部貯留部115に貯留される原料液の液面が隔壁部129の上端を越えると、原料液はオーバーフローし、撹拌槽本体110の底部に設けられた廃液排出口133から図示しない管を通じて外部に排出される。
なお、内壁111で蒸発した揮発成分は、気体の状態のまま撹拌槽本体110の上方に移動し、蓋体109に設けられた揮発成分出口113から排出される。
図7に示すように、揮発成分出口113から排出された揮発成分は管160を通り圧力制御手段200内に導入される。その後、揮発成分は圧力制御手段200内で例えば加圧されることにより加熱される。これにより管170に排出される揮発成分の温度Tは、管160内の通過の際の温度(すなわち、撹拌槽本体110内の温度)Tよりも高くなり(T>T)、加熱された揮発成分は、当該温度Tで管170から分岐した管172,174を介してジャケット入口127b,127cにそれぞれ供給される。その後、ジャケット112b,112c内の揮発成分の熱は、撹拌槽本体110を通じて内壁111の上段区画124b,124cにそれぞれ対応する部分に温度Tで伝えられ、そして散液部(図示せず)から内壁111に向かって散布されかつ内壁111を流下する原料液との熱交換により、当該原料液に含まれる揮発成分の蒸発が促される。この熱交換は、内壁111の上段区画124cに対応する部分では温度Tと温度Tとの間(ここでT<Tである)の交換となり、内壁111の上段区画124bに対応する部分では温度Tと温度Tとの間(ここでT<Tである)の交換となる。
ここで、本発明では、上段区画124c,124bおよび底部区画124aのそれそれで処理される原料液について、各区画で揮発成分の一部が蒸発した後の残渣(濃縮液)がその下段の区画に移動する。このため、各区画124c,124b,124aの原料液に含まれる揮発成分の含有量(濃度)は、上段区画124cに位置するものが最も高く、底部区画124aに位置するものが最も低くなる。その結果、各区画124c,124b,124aに位置する各原料液から揮発成分を蒸発させるための温度T,T,Tには、T<T<Tの関係式が成立する。
こうして熱交換を経た後のジャケット112b,112c内の揮発成分(凝縮液)は温度がTでジャケット出口134b,134cから管176,178に排出され、第1受器300bおよび第2受器300cにそれぞれ収容される。
一方、内壁111の底部区画124aに対応する部分では、底部ジャケット入口127aから供給された底部ジャケット112a内の高温の流体の熱が温度Tで撹拌槽本体110を通じて内壁111の底部区画124aに対応する部分に伝えられ、そして散液部120aの樋状部材126aの上端から内壁111に向かって散布されかつ内壁111を流下する原料液との熱交換により、当該原料液に含まれる揮発成分の蒸発が促される。この熱交換は、内壁111の底部区画124aに対応する部分にて温度Tと温度Tとの間(ここでT<Tである)の交換となる。
ここで、底部ジャケット112aは、底部ジャケット112aに対して上方のジャケット112b,112cに導入される揮発成分の温度Tとは独立して高い温度T(T>T)の流体を流すことにより、底部区画124aの底部貯留部115に貯留される原料液に含まれる揮発成分の蒸発を任意に制御することができる。その結果、底部貯留部115の隔壁部129からオーバーフローして廃液排出口133より外部に排出される原料液(例えば廃棄用の原料液)の最終的な濃度を調節することができる。底部ジャケット112aはまた、本発明の蒸発システムにおいて多段式蒸発装置100を始動する際の補助的な熱源としても機能し得る。
このように、図1に示す本発明の蒸発システム10では、多段式蒸発装置100の底部貯留部115および上段貯留部117b,117cのそれぞれに貯留した原料液が、散液部120a,120b,120cの回転を通じて撹拌槽本体110の内壁111に散布され、揮発成分の蒸発を効率的に促すことができる。そして、この揮発成分の蒸発には、圧力制御手段200を通じて加熱された当該揮発成分自体の熱が利用される。
(第2の蒸発システム)
図8は、本発明の蒸発システムの他の例を示す概略図である。なお、図8において、本発明の蒸発システム20を構成する各要素は、上記図1に示す蒸発システム10を構成するものと同一のものには同一符号が付されている。
本発明の蒸発システム20は、多段式蒸発装置100’、圧力制御手段200、および受器300’を備える。
蒸発システム20では、図1に示す蒸発システム10と比較して、多段式蒸発装置100’の撹拌槽本体110の外周に単一のジャケット112’が設けられており、当該ジャケット112’は、撹拌槽本体110における底部区画124a’および上段区画124b’,124c’の略すべての外周部分を覆っている。撹拌槽108内で原料液から蒸発した揮発成分は、この揮発成分出口113から管160を通じて圧力制御手段200に導入され、当該圧力制御手段200内で例えば加圧により加熱される。次いで、加熱された揮発成分は、その後管170’を介して、ジャケット112’の最も上段に位置する上段区画124c’に設けられたジャケット入口127’からジャケット112’内に供給される。ジャケット112’内の加熱された揮発成分は、撹拌本体110の内壁111の、上段区画124c’,124b’および底部区画124a’のすべてに対応する部分で熱交換され、ジャケット内で凝縮した揮発成分は最も下方に位置する底部区画124a’に設けられた底部ジャケット出口134a’から多段式蒸発装置100’の外部に排出され、受器300’に収容される。
図8に示す蒸発システム20では、多段式蒸発装置100’が上記単一のジャケット112’を備えているとともに、撹拌槽本体110の底部に電熱コイルなどの補助ヒータ170が設けられている。補助ヒータ170は、底部区画124a’の底部貯留部115に貯留される原料液に含まれる揮発成分の蒸発を任意に制御して、底部貯留部115の隔壁部129からオーバーフローにより廃液排出口133から外部に排出される原料液(例えば廃棄用の原料液)の最終的な濃度を調節することができる。補助ヒータはまた、本発明の蒸発システム20において多段式蒸発装置100’を始動する際の補助的な熱源としても機能し得る。
本発明の蒸発システムは、例えば、不純物を含有する液体たとえばメチルエステル、乳酸、魚油、油脂、グリセリン、などの精製および濃縮;インク、塗料、化学品などの化学製品に含まれる水、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサン、トルエン、アセトン、エチレングリコールなどの除去;塗料および樹脂製造分野に使用するモノマーおよびポリマーなどから揮発性の不純物の除去;において有用である。
10,20 蒸発システム
100,100’ 多段式蒸発装置
108 撹拌槽
109 蓋体
110 撹拌槽本体
111 内壁
112a 底部ジャケット
112b,112c ジャケット
113 揮発成分出口
114 底部
115 底部貯留部
116b,116c 環状部材
117b,117c 上段貯留部
118b,118c 環状底面部
119b,119c 筒状隔壁部
120a,120b,120c 散液部
121 回転軸
122a,122b,122c 取付具
123a,123b,123c 樋状部材
124a,124b,124c 撹拌区画
126a,126b,126c 流路
127a 底部ジャケット入口
127b,127c ジャケット入口
131 原料液供給口
132 補助トレイ
134a 底部ジャケット出口
134b,134c ジャケット出口
140 モーター
150a,150b,150c 散液円盤
152a,152b,152c 円盤本体
154a,154b,154c 隆起部
156a,156b,156c 開口部
170 補助ヒータ
200 圧力制御手段
300,300’ 受器
300b 第1受器
300c 第2受器

Claims (9)

  1. 多段式蒸発装置と、圧力制御手段と、受器とを備える蒸発システムであって、
    該多段式蒸発装置が、
    揮発成分出口を備え、かつ内部に原料液が供給される撹拌槽であって、上下方向に並んで配置された複数の撹拌区画を備える、撹拌槽と、
    該撹拌区画のそれぞれに設けられており、かつ該撹拌槽の内壁に該原料液を流下する、散液部と、
    該撹拌槽の外周に設けられており、かつ該撹拌区画における該撹拌槽の内壁を加熱して該内壁を流下する該原料液に含まれる揮発成分を蒸発させる、少なくとも1つのジャケットと、
    を備え、
    該撹拌区画が、
    該撹拌槽の内壁および該撹拌槽の底部から構成されておりかつ該原料液を貯留する底部貯留部を備える、底部区画と、
    該底部区画よりも上段に設けられており、そして該撹拌槽の内壁と環状の隔壁部を有する環状部材とで囲まれておりかつ該原料液を貯留する上段貯留部を備える、少なくとも1つの上段区画と
    から構成されており、
    該散液部が、
    該撹拌槽内で鉛直方向に延びる、回転軸と、
    該回転軸に対して傾斜して装着されており、かつ該回転軸の回転に伴って該底部貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する、少なくとも1つの底部流路部材と、
    該回転軸に対して傾斜して装着されており、かつ該回転軸の回転に伴って該上段貯留部に貯留された該原料液を該撹拌槽本体の下方から上方に向かって流動する、少なくとも1つの上段流路部材と
    から構成されており、そして
    該圧力制御手段が、圧力制御手段用入口および圧力制御手段用出口を備え、該多段式蒸発装置の該揮発成分出口が該圧力制御手段用入口と接続されており、該圧力制御手段用出口が該多段式蒸発装置の該ジャケットに設けられたジャケット入口と接続されており、
    該受器が、該ジャケットに設けられたジャケット出口と接続されている、
    蒸発システム。
  2. 前記圧力制御手段が、ブロワー、コンプレッサーまたは真空ポンプである、請求項1に記載の蒸発システム。
  3. 前記ジャケットが、前記撹拌区画のそれぞれに対応するように複数設けられている、請求項1または2に記載の蒸発システム。
  4. 前記ジャケットが、前記撹拌区画のうち連続する複数の前記上段区画に亘って設けられている、請求項1または2の記載の蒸発システム。
  5. 前記複数のジャケット内での前記原料液の揮発成分の温度が、前記撹拌槽内の前記原料液の温度よりも高く設定されている、請求項1から4のいずれかに記載の蒸発システム。
  6. 前記多段式蒸発装置の前記上段貯留部において、前記原料液が前記環状部材の前記筒状隔壁部を超えてオーバーフローすることにより下段に移動することができる、請求項1から5のいずれかに記載の蒸発システム。
  7. 前記複数のジャケットが、前記撹拌槽における前記上段区画のみに対応して設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の蒸発システム。
  8. 前記撹拌槽における前記底部区画に対応して、他の熱源と接続された底部ジャケットが設けられている、請求項7に記載の蒸発システム。
  9. 前記複数のジャケットの前記ジャケット出口毎に別々の前記受器が接続されている、請求項1から8のいずれかに記載の蒸発システム。
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