JP2021174889A - 電磁波吸収組成物及び電磁波吸収体 - Google Patents

電磁波吸収組成物及び電磁波吸収体 Download PDF

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Junichi Tsukada
萌 宮野
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Abstract

【課題】本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い周波数領域の電磁波に対し高い電磁波吸収性を有し、多様な電子機器等の誤動作問題を一種の材料で解決できる電磁波吸収体を提供することにある。【解決手段】電磁波吸収組成物であって、少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーと、及びシリコーン樹脂とを含み、かつ、電磁波吸収組成物の固形分中に含まれる前記軟磁性金属フィラーと前記フェライトフィラーとの総量が70質量%以上95質量%以下であることを特徴とする電磁波吸収組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、電磁波を吸収する電磁波吸収組成物、及び該組成物から形成される電磁波吸収体に関する。
電気回路などから外部へと放出される漏洩電磁波や、不所望に反射した電磁波の影響を回避するために、電磁波を吸収する電磁波吸収体が用いられている。
ユビキタス社会の到来に伴い、無線LANを利用したパソコン、携帯電話、携帯情報端末、衝突防止を含む道路情報システム、無線LAN等の電子機器が広く普及してきている。特に、通信分野では次世代マルチメディア移動通信(2GHz)、無線LAN(2〜30GHz)、ITS(Intelligent Transport System)の分野ではETC(自動料金収受システム)における5.8GHz、車間距離を測定して運転者に伝えるAHS(走行支援道路システム)における76GHz等の電磁波が利用されており、今後も、利用範囲は急速に高周波領域へ拡大していくことが予想される。
一方、これらの電子機器の普及に伴い、電子機器から放射される電磁波がもたらす他の電子機器への誤動作が問題とされてきている。そのため、電子機器には、電磁波をできるだけ放出しない、あるいは、外部から電磁波を受けても誤作動しないことが求められており、電子機器に対して電磁波(又は電波)吸収性能及び電磁波遮断性能を付与するための開発が行われている。また、高速道路、トンネル、建物の壁等にも、電子機器や通信機器が外部から侵入する電磁波に干渉されないように、電磁波シールド材や電磁波吸収材が用いられる。
従来検討されてきた金属箔や金属板等の導電性のシールド材を用いた反射による電磁波の遮蔽は、放射ノイズの漏洩には効果があるものの、電子機器内部において、このシールド材により反射、散乱した電磁ノイズが充満して悪影響を生じる原因となることがある。
また、従来の電磁波吸収材の電磁波吸収性能は軟磁性金属フィラーやフェライトフィラーそれぞれが持つ電磁波吸収ピークに依存しており、異なる複数の周波数帯に対して単一の材料で効果を得ることが難しい。さらに吸収量を高めるためには、効果のあるフィラーを高充填量で充填することになるため、材料が重く、屈曲性に欠ける傾向があった。このため、一つの組成物でより広い周波数帯に対して高い電磁波吸収性を持つ材料の開発が進められている(特許文献1〜3)。
特開2003−158395号公報 特開2005−251918号公報 国際公開第2006/064782号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い周波数領域の電磁波に対し高い電磁波吸収性を有し、多様な電子機器等の誤動作問題を一つの組成物材料で解決できる電磁波吸収体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、電磁波吸収組成物であって、少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーと、及びシリコーン樹脂とを含み、かつ、前記電磁波吸収組成物の固形分中に含まれる前記軟磁性金属フィラーと前記フェライトフィラーとの総量が70質量%以上95質量%以下である電磁波吸収組成物を提供する。
このようなものであれば、広い周波数領域の電磁波に対し高い電磁波吸収性を有し、多様な電子機器等の誤動作問題を一種の組成物材料で解決できる電磁波吸収体を得ることができる。
また、前記軟磁性金属フィラーが、Fe−Cr系、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Al系、Fe−Co系、Fe−Al−Si系、Fe−Cr−Si系、及びFe−Si−Ni系から選ばれるものであることが好ましい。
本発明では、このような軟磁性金属フィラーを用いることができる。
また、前記フェライトフィラーが、スピネルフェライト、及び六方晶フェライトから選ばれるものであることが好ましい。
本発明では、このようなフェライトフィラーを用いることができる。
また、前記軟磁性金属フィラーの平均粒径が、0.1〜100μmであることが好ましい。
このような平均粒径であれば、高充填化が容易であるとともに電子部品との密着性も良好である。
また、前記フェライトフィラーの平均粒径が、0.1〜100μmであることが好ましい。
このような平均粒径であれば、高充填化が容易であるとともに電子部品との密着性も良好である。
前記軟磁性金属フィラーと、前記フェライトフィラーとの平均粒径の差が1μm以上80μm以下であることが好ましい。
このような平均粒径の差とすれば、フィラーの最密充填が可能であるとともに、均一な分散性が得られる。
また、本発明では、上記の電磁波吸収組成物から形成されたものである電磁波吸収体を提供する。
このようなものであれば、広い周波数領域の電磁波に対し高い電磁波吸収性を有し、多様な電子機器等の誤動作問題を一種の組成物材料で解決できる電磁波吸収体となる。
本発明によれば、広い周波数領域の電磁波に対し、高い電磁波吸収性を有した電磁波吸収体を提供できるため、多様な電子機器等の誤動作問題を一つの組成物材料で解決することができる。
上述のように、広い周波数領域の電磁波に対し高い電磁波吸収性を有し、多様な電子機器等の誤動作問題を一種の組成物材料で解決できる電磁波吸収体の開発が求められていた。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、異なる吸収を持つ軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーとをシリコーン樹脂中に共充填させることで、電磁波吸収性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、電磁波吸収組成物であって、少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーと、及びシリコーン樹脂とを含み、かつ、電磁波吸収組成物の固形分中に含まれる前記軟磁性金属フィラーと前記フェライトフィラーとの総量が70質量%以上95質量%以下である電磁波吸収組成物である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、目的に応じて、適宜変更を加えて実施することができる。
<電磁波吸収組成物、及び電磁波吸収体>
本発明の電磁波吸収組成物は、少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーと、及びシリコーン樹脂とを含み、かつ、前記電磁波吸収組成物の固形分中に含まれる前記軟磁性金属フィラーと前記フェライトフィラーとの総量が70質量%以上95質量%以下である電磁波吸収組成物である。
本発明の電磁波吸収組成物から電磁波吸収体を形成する方法としては特に限定されない。例えば、本発明の電磁波吸収組成物を塗布又は成型することによって、もしくは塗布又は成型し硬化させることによって電磁波吸収体を形成することができる。
本発明の電磁波吸収組成物から得られる電磁波吸収体は、少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーとをシリコーン樹脂中に共充填させたものである。
軟磁性金属フィラーと、フェライトフィラーとの総量は、電磁波吸収体中、70質量%以上95質量%以下である。両フィラーの総充填量が70質量%未満の場合には十分な電磁波吸収性能が得られず、95質量%を超える場合にはそもそもフィラーが転相できず組成物を作製することが困難となる。
本発明の電磁波吸収体においては、軟磁性金属フィラーと、フェライトフィラーの分散媒体としてシリコーン樹脂を使用することにより、加工性、柔軟性、耐候性、耐熱性に優れた電磁波吸収体を得ることが可能となる。特に、シリコーン樹脂が他のプラスチックやゴムに比較して、耐候性、耐熱性において良好な特性を持つことから、耐候性、耐熱性に優れた電磁波吸収体とすることが可能となる。耐候性が優れることから、屋外に設置する場合でも、別途に表面保護層を設ける必要はなくなる。
本発明の電磁波吸収体中のシリコーン樹脂分としては、未加硫のパテ状シリコーンやシリコーンゲル、付加反応型シリコーンゴム又は過酸化物架橋タイプのシリコーンゴム等のシリコーンゴムを使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明において、硬化タイプのシリコーンゴムを使用する場合、電磁波吸収体と電子機器要素との密着性を向上させて十分な効力を発揮するために、硬化後のゴム硬度は低いほうが好ましい。このため、低硬度タイプのシリコーンゴム、シリコーンゲルや未加硫のパテ状シリコーンを使用することが好ましい。硬化後のゴム硬度は、アスカーCで80以下、特に50以下であることが好ましい。なお、未加硫のパテ状シリコーンを用いる場合は硬化の必要はない。
<<シリコーン樹脂>>
本発明の電磁波吸収組成物に含まれるシリコーン樹脂としては特に限定はされないが、シリコーン樹脂はその硬化系に応じて、未加硫のパテ状シリコーン組成物、硬化前のシリコーンゴム組成物やシリコーンゲル組成物といったシリコーン(ゴム)組成物として用いることができる。
未加硫のパテ状シリコーン組成物、硬化前のシリコーンゴム組成物やシリコーンゲル組成物のベースポリマーとしては、公知のオルガノポリシロキサンを用いることができ、このオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
Figure 2021174889
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
ここで、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などの非置換の1価炭化水素基、更にはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、ブロモエチル基等のハロゲン置換アルキル基、シアノエチル基等のシアノ置換アルキル基等の置換の1価炭化水素基から選択することができる。中でもメチル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、更にはメチル基が50モル%以上、特には80モル%以上であることが好ましい。また、nは1.98〜2.02の正数である。このオルガノポリシロキサンとしては、1分子中にアルケニル基を2個以上有するものが好ましく、特にR1の0.001〜5モル%がアルケニル基であることが好ましい。
上記式(1)のオルガノポリシロキサンとしては、その分子構造は特に限定されるものではないが、その分子鎖末端がトリオルガノシリル基等で封鎖されたものが好ましく、特にジメチルビニルシリル基等のジオルガノビニルシリル基で封鎖されたものが好ましい。また、基本的には直鎖状であることが好ましいが、部分的に分岐構造、環状構造などを有していてもよく、分子構造の異なる1種又は2種以上の混合物であってもよい。
上記オルガノポリシロキサンは、25℃における動粘度が100〜100,000,000mm/s、特に100〜100,000mm/sであることが好ましい。
上記シリコーンゴム組成物又はシリコーンゲル組成物を付加反応硬化型として調製する場合は、上記オルガノポリシロキサンとしてビニル基等のアルケニル基を1分子中に2個以上有するものを使用すると共に、硬化剤としてオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び付加反応触媒を使用する。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示される常温で液体であるものが好ましい。
Figure 2021174889
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基である。また、aは0≦a≦3、特に0.7≦a≦2.1、bは0<b≦3、特に0.001≦b≦1で、かつa+bは0<a+b≦3、特に0.8≦a+b≦3.0を満足する数である。)
ここで、R2は炭素数1〜10、特に1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、上記R1で示した基と同様の基、好ましくは脂肪族不飽和結合を含まないものを挙げることができ、特にアルキル基、アリール基、アラルキル基、置換アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などが好ましいものとして挙げられる。分子構造としては直鎖状、環状、分岐状、三次元網状のいずれの状態であってもよく、またケイ素原子に結合する水素原子は、分子鎖末端に存在しても側鎖に存在しても、この両方に存在してもよい。分子量に特に限定はないが、25℃での動粘度が1〜1,000mm/s、特に3〜500mm/sの範囲であることが好ましい。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェン環状ポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CHHSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CSiO1/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)の数と、ベースポリマー中のケイ素原子結合アルケニル基の数との比率が0.1:1〜3:1となるような量が好ましく、より好ましくは0.2:1〜2:1となるような量である。この比率が小さい場合、硬化させるとシリコーンゲルとなり、比較的大きい場合、硬化させるとシリコーンゴムとなる。
付加反応触媒としては白金族金属系触媒が用いられ、白金族金属を触媒金属として含有する単体、化合物、及びそれらの錯体などを用いることができる。具体的には、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテートなどの白金系触媒、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等のパラジウム系触媒、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のロジウム系触媒などが挙げられる。
付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、上記アルケニル基含有オルガノポリシロキサンに対して、好ましくは白金族金属として0.1〜1,000ppm、より好ましくは1〜200ppmである。0.1ppm以上であると組成物の硬化が確実に進行し、1,000ppm以下であればコストを抑えられる。
一方、シリコーンゴム組成物を有機過酸化物硬化する場合には、硬化剤として有機過酸化物を用いる。なお、有機過酸化物硬化は、ベースポリマーのオルガノポリシロキサンの重合度が3,000以上のガム状の場合に有用である。有機過酸化物としては、従来公知のものを使用することができ、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン等が挙げられる。
有機過酸化物の配合量は、上記ベースポリマーのオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましい。
<<軟磁性金属フィラー、及びフェライトフィラー>>
本発明の電磁波吸収組成物は、吸収すべき電磁波の周波数帯域に応じた軟磁性金属フィラーと、フェライトフィラーとが、その総量が組成物の固形分中70質量%以上95質量%以下となるように含まれるものである。両フィラーの総量が70質量%未満の場合十分な電磁波吸収性能が得られず、95質量%を超える場合フィラーが転相できず組成物を作製することが困難となる。
軟磁性金属フィラーとしては、Fe−Cr系、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Al系、Fe−Co系、Fe−Al−Si系、Fe−Cr−Si系、Fe−Si−Ni系が使用できる。これらの軟磁性金属フィラーは1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
軟磁性金属フィラーの平均粒径は0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。特には1μm以上50μm以下のものを用いるのが好ましい。粒径が0.1μm以上の場合には、粒子の比表面積が大きくなり過ぎず高充填化が容易になる。粒径が100μm以下の場合には、形成された電磁波吸収体の表面に微小な凹凸ができることがなく、電子部品と良好な密着性が得られる。
フェライトフィラーとしては、MnFe、CoFe、NiFe、CuFe、ZnFe、MgFe、Fe、Cu−Zn−フェライト、Ni−Zn−フェライト、Mn−Zn−フェライトなどのスピネル型フェライトや、BaMeFe1222(Me=Co,Ni,Zn,Mn,Mg,Cu)、BaCoFe2441などのフェロクスプレーナー型(Y型、Z型)六方晶フェライト等の軟磁性フェライト、BaFe1219、SrFe1219などのマグネプランバイト(M型)六方晶フェライト等の硬磁性フェライトが例示されるが、これらに限定されるものではない。これらのフェライトフィラーは1種単独で用いても良いし、2種以上組み合わせても良い。
なお、フェライトはセラミックスであって金属ではないから、本発明において軟磁性フェライトフィラーが軟磁性金属フィラーに含まれることはなく、両者は明確に区別されるべきものである。
フェライトフィラーの平均粒径も軟磁性金属フィラーと同様の理由で0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上50μm以下のものを用いるのがさらに好ましい。
また、軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーの平均粒径の差が1μm以上80μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2〜50μmである。両フィラーの平均粒径の差が1μm以上の場合、シリコーン樹脂への充填量が高くなって最密充填となり十分な電磁波吸収性を得ることができる。80μm以下の場合、平均粒子が大きい側が沈降して均一な分散が損なわれるようなこともない。
なお、平均粒径は、例えば、レーザー光回折法による粒度分布測定における体積基準の平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
<<その他の成分>>
本発明の電磁波吸収組成物には、柔軟性等の性能の向上を目的として、シリコーンゴム以外の合成ゴム若しくは天然ゴムを、上記シリコーンゴムにさらに添加することもできる。このような合成ゴム若しくは天然ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、各種天然ゴム等が挙げられる。ただし、これらのゴムは必須ではなく、含まれなくても構わない。
さらに、本発明の電磁波吸収組成物には、従来シリコーンゴムに添加することが知られている添加剤を添加してもよい。例えば、クレー、珪藻土等の補強性充填剤、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱剤、顔料、耐熱性向上剤、酸化防止剤、離型剤、加工助剤、接着性付与剤、反応制御剤、表面処理剤、有機溶媒等を挙げることができる。
その他、熱伝導性充填剤として、銅やアルミニウム等の金属、アルミナ、シリカ、マグネシア、ベンガラ、ベリリア、チタニア等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の金属窒化物、黒鉛、カーボンナノチューブ等の炭素材料、或いは炭化ケイ素などを用いることができる。
<電磁波吸収組成物の製造方法>
本発明の電磁波吸収組成物の製造方法としては特に限定されず常法に従って行えばよい。例えば、撹拌羽根が自転しながら公転するプラネタリーミキサー等に上述のシリコーン組成物を所定量仕込み、これに軟磁性金属フィラー及びフェライトフィラーを徐々に添加しながら撹拌混合すれば良い。フィラーを投入し終えたら、必要ならば加熱処理や減圧脱泡工程を加えることもできる。
<電磁波吸収体の形成方法>
本発明の電磁波吸収組成物は、これを成型、及び必要があれば硬化させて電磁波吸収体として利用できる。成型方法としては、例えば、コンプレッション成型、押し出し成型、インジェクション成型、トランスファー成型、カレンダー成型等、通常のシリコーン組成物成型方法や、注型法、コーティング法等も可能であり、これらの中から選択すれば良いが、コンプレッション成型やカレンダー成型が好ましい。硬化条件は、通常のシリコーン組成物と同様として構わないが、室温硬化や80℃未満の低温硬化では硬化時間が長くなる傾向があり、硬化時間を短縮しようとするとそれに伴って作業のためのポットライフが短くなってしまうので、80℃以上で加熱硬化させるのが好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[評価方法]
(動粘度測定)
25℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。
(伝送減衰率Rtp測定)
電磁波吸収性能を評価するため、IEC62333に準拠する、マイクロストリップライン法により、6〜18GHzまでの伝送減衰率Rtpを測定した。ここで伝送減衰率Rtpは下式(3)で表され、その値が大きいほど電磁波吸収性能が高いことを表している。式中、S11は反射係数、S21は透過係数である。
Figure 2021174889
伝送減衰率Rtpの単位はdBであって、実質的な電磁波吸収性能(電磁波抑制能力)との関係は、以下のとおりである。
3dB:50%吸収、6dB:75%吸収、10dB:90%吸収、20dB:99%吸収、30dB:99.9%吸収
(試料の作製)
液状付加反応タイプとするため、ジメチルビニルシロキシ基で両末端を封止したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(動粘度:600mm/s)100質量部をベースオイルとし、ケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサンを軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーの表面処理剤として、軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーの合計量100質量部に対して1質量部添加し、更に下記に示すフィラーA〜Fを実施例1〜3および比較例1〜5となるように加え、室温にて30分攪拌混合後、更に攪拌しながら120℃、1時間で熱処理を行い、シリコーン混合物を作製した。
(充填フィラー)
A.平均粒径8.2μmの球状Fe−Cr−Siフィラー(大同特殊鋼社製)
B.平均粒径0.2μmの球状Mn−Znフェライトフィラー(パウダーテック社製)
C.平均粒径10.9μmの球状Fe−Cr−Siフィラー(三菱製鋼社製)
D.平均粒径1.4μmの球状Mnフェライト(パウダーテック社製)
E.平均粒径15μmの球状Mn−Znフェライト(FDK社製)
F.平均粒径0.2μmの球状アルミナ(アドマテック製)
次に、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上含有したオルガノハイドロジェンポリシロキサン(動粘度:34mm/s)2質量部、触媒として5%塩化白金酸2−エチルヘキサノール溶液0.3質量部、反応制御剤としてエチニルメチリデンカルビノール0.4質量部を上記シリコーン混合物に添加混合して電磁波吸収組成物とした。
得られた電磁波吸収組成物をプレス成形にて120℃,10分間加熱硬化させ、厚さ1mmの電磁波吸収体となるシートを得た。
(フィラー配合)
ビニル基含有ジメチルポリシロキサン100質量部に対して充填したフィラーは以下の通りである。
(実施例1) A:1710質量部、B:550質量部
(実施例2) C:1710質量部、D:640質量部
(実施例3) A:1720質量部、E:410質量部、F:460質量部
(比較例1) A:1700質量部、F460質量部
(比較例2) A:3500質量部
(比較例3) E:1700質量部、F:460質量部
(比較例4) E:3500質量部
(比較例5) A:650質量部、B:300質量部、F:400質量部
実施例1〜3および比較例1〜5で作製したシートの6〜18GHzにおける伝送減衰率Rtpを表1に示す。また、実施例1〜3および比較例1〜5において組成物にフィラーを充填できたものを〇、できなかったものを×としてフィラー充填性の評価を行った結果を表1に示す。併せて、電磁波吸収体中の軟磁性金属フィラーとフェライトフィラーの含有量(w%)も表1に示す。
Figure 2021174889
実施例1〜3は、軟磁性金属フィラー、フェライトフィラーの両方を所定量配合したために、各周波数域においていずれも高い電磁波吸収性能を持ち、吸収ピークは40dB以上の電磁波吸収性能を示した。このため、本発明の電磁波吸収組成物は、多様な電子機器等の誤動作問題を一種の材料で解決できる電磁波吸収体を与えるものであることが明らかになった。
一方、比較例1、3では、それぞれ軟磁性金属フィラー、フェライトフィラーの片方だけを所定量配合したために、本発明のように広い周波数域において高い電磁波吸収能を得ることができなかった。具体的には、比較例1では6〜9GHzにおいて吸収能が低く、比較例3では12〜15GHzにおいて吸収能が低くなる結果となった。比較例2、4では、フィラーの配合量が多すぎて組成物を作製することができなかった。さらに比較例5では、軟磁性金属フィラー、フェライトフィラーの両方を含むものとしたが、配合量が少なかったために十分な電磁波吸収能が得られなかった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (7)

  1. 電磁波吸収組成物であって、
    少なくとも1種類以上の軟磁性金属フィラーと、1種類以上のフェライトフィラーと、及びシリコーン樹脂とを含み、かつ、
    前記電磁波吸収組成物の固形分中に含まれる前記軟磁性金属フィラーと前記フェライトフィラーとの総量が70質量%以上95質量%以下であることを特徴とする電磁波吸収組成物。
  2. 前記軟磁性金属フィラーが、Fe−Cr系、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Al系、Fe−Co系、Fe−Al−Si系、Fe−Cr−Si系、及びFe−Si−Ni系から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収組成物。
  3. 前記フェライトフィラーが、スピネルフェライト、及び六方晶フェライトから選ばれるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁波吸収組成物。
  4. 前記軟磁性金属フィラーの平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電磁波吸収組成物。
  5. 前記フェライトフィラーの平均粒径が、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電磁波吸収組成物。
  6. 前記軟磁性金属フィラーと、前記フェライトフィラーとの平均粒径の差が1μm以上80μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電磁波吸収組成物。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電磁波吸収組成物から形成されたものであることを特徴とする電磁波吸収体。
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