JP2021172878A - 加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材 - Google Patents

加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】加工性と耐食性により優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を提供する。【解決手段】鋼材の表面に溶融めっき層を有し、溶融めっき層の平均組成が、質量%で、Al:10〜40%、Mg:0.5〜8%、Sn:0.05〜8.0%、Si:0〜4.0%、Ca:0〜3.0%を含有し、更に、Bi、In、Y、La、Ce、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、Mn、Fe、Sr、Sb、Pb、Bを選択的に含有する場合があり、残部がZn及び不純物からなる組成であり、溶融めっき層の金属組織が、層状Zn相及び層状Al相を含むラメラ組織と、Mg2Sn相またはMg2(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる混合組織と、を含有し、溶融めっき層に占めるラメラ組織の割合が面積比で5%以上である溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。【選択図】図1

Description

本発明は、加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材に関する。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、耐食性に優れることから、建材や土木の分野において使用されている。これらの分野において溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を使用する際には、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を様々な形状に加工する場合がある。そのため、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、耐食性のほかに加工性にも優れることが求められる。特許文献1〜3には、各種の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材が記載されている。
特許文献1には、鋼板の表面に、Mg:2〜10重量%、Al:2〜19重量%、Si:0.01〜2重量%を含有し、さらに、In:0.01〜1重量%、Bi:0.01〜1重量%、Sn:1〜10重量%の1種または2種以上を含有し、残部がZn及び不可避的不純物よりなるZn系複合めっき層を有することを特徴とする加工部と端面の耐食性に優れためっき鋼板が記載されている。
特許文献2には、鋼板表面に質量%で、Al:0.1〜20%、Mg:1〜15%、Si:0.1〜5%、Sn:0.3〜20%を含有し、かつ、SiとSnが式0.5≦Si(%)+Sn(%)≦20を満たし、残部がZnおよび不可避不純物からなる溶融めっきが1m当たり片面で10グラム以上80グラム以下被覆されたことを特徴とする耐食性、加工性に優れためっき鋼板が記載されている。
特許文献3の請求項1及び請求項5には、鋼板の表面の少なくとも一部にAlを10〜40質量%、Siを0.05〜4質量%、Mgを0.5〜4質量%含有し、残部がZn及び不可避的不純物からなるめっき層を有し、前記めっき層は、めっき層断面において層状Zn相と層状Al相が交互に整列したラメラ組織を面積分率で5%以上含有し、Fe、Mn、Ti、Sn、In、Bi、Pb、Bのいずれか1種以上を含む金属間化合物の合計存在割合を面積分率で3%以下に規制し、更に、Zn相、Al相、及びMgZn相から構成されるZn/Al/MgZn三元共晶組織を面積分率で20〜90%含有することを特徴とする、溶融Zn系めっき鋼板が記載されている。また、特許文献1は、更に、ラメラ組織を覆うように粒状Zn相と粒状Al相からなる組織を含むことが記載されている。
特許文献1は、耐食性を向上させることを目的とし、更にはクロメート処理と塗装を行った場合に、優れた塗装後耐食性が得られるものであるが、加工性については何ら考慮されていない。
また、特許文献2は、耐食性向上を目的としてめっき層にMgを含有させる一方で、Mgの含有によって加工時の「パウダリング」「かじり」「フレーキング」等の欠陥の発生を抑制するために、めっき層中に硬質な物質を形成させないようにしたものであるが、最近では更なる加工性の向上が望まれている。
また、特許文献3は、めっき層中にラメラ組織とZn/Al/MgZn三元共晶組織とを含み、更に、ラメラ組織を覆うように粒状Zn相と粒状Al相からなる組織を含んでいる。特許文献3ではラメラ組織を有することで、鋼板に塗装をした状態での塗装剥がれを抑制するとされているが、加工性については何ら考慮されていない。
特許第3229292号公報 特開2002−180225号公報 特許第6350780号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、加工性と耐食性により優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を提供することを課題とする。
[1] 鋼材の表面に溶融めっき層を有し、
前記溶融めっき層の平均組成が、質量%で、
Al:10〜40%、
Mg:0.5〜8%、
Sn:0.01〜8.0%、
Si:0〜4.0%、
Ca:0〜3.0%、
Bi:0〜5.0%未満、
In:0〜2.0%未満、
Y :0〜0.5%、
La:0〜0.5%未満、
Ce:0〜0.5%未満、
Cr:0〜0.25%未満、
Ti:0〜0.25%未満、
Ni:0〜0.25%未満、
Co:0〜0.25%未満、
V :0〜0.25%未満、
Nb:0〜0.25%未満、
Cu:0〜0.25%未満、
Mn:0〜0.25%未満、
Fe:0〜5.0%、
Sr:0〜0.5%未満、
Sb:0〜0.5%未満、
Pb:0〜0.5%未満、
B :0〜0.5%未満を含有し、
残部がZn及び不純物からなる組成であり、
前記溶融めっき層の金属組織が、層状Zn相及び層状Al相を含むラメラ組織と、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる混合組織と、を含有し、
前記溶融めっき層に占める前記ラメラ組織の割合が面積比で5%以上であることを特徴とする加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[2] 前記ラメラ組織のラメラ間隔が0.3μm以上であることを特徴とする[1]に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[3] 前記溶融めっき層に占める前記ラメラ組織の割合が面積比で5%以上80%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[4] 前記混合組織中の前記MgSn相または前記Mg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方の円相当平均直径が5μm以下であることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[5] 前記溶融めっき層の平均組成のうち、Al及びMgが、質量%で、
Al:15〜35%、
Mg:4〜7%であることを特徴とする[1]乃至[4]の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[6] 前記溶融めっき層が、更に、Al/Zn/MgZnの三元共晶組織、Al及びZnを含む(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相、MgZn相または面積率10%未満の残部金属間化合物のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]乃至[5]の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
[7] 前記鋼材と前記溶融めっき層との間に、Fe−Al系金属間化合物からなる厚み3μm以下の界面合金層があることを特徴とする[1]乃至[6]の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
本発明によれば、加工性と耐食性により優れた溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を提供できる。
No.11のめっき層の断面SEM写真。 No.45のめっき層の断面SEM写真。
従来の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、鋼材の表面に、Zn、Al及びMgを含む溶融金属からなるめっき浴を付着させ、溶融金属を凝固させることにより製造される。溶融金属の凝固の過程では、α’相が晶出する組成範囲を例にとると、Al及びZnを含有する初晶(α’相)が形成し、次いで、Zn/Al/MgZn三元共晶組織が晶出する。α’相は、室温では粒状の微細なAl相とZn相とが混在した混合組織であり、比較的塑性変形能に乏しく、めっき層としての加工性が低いという性質がある。
本発明者らが、α’相の改善を目指して鋭意検討したところ、溶融金属にSnを含有させるとともに凝固時の冷却速度を調整することにより、一旦晶出させたα’相を、層状Al相と層状Zn相とが交互に整列されてなるラメラ組織に変態させることで、加工性を改善できることを見出した。
また、溶融金属にSnを含有させることにより、α’相が晶出した後の溶融金属中にMgとSnを濃化させ、これらの元素が結合したMgSn相が分散したZn相を含む混合組織を形成させることで、加工性をより改善できることを見出した。このMgSn相が分散したZn相を含む混合組織は、α’相からラメラ組織への変態を生じさせるためにも必須な組織である。
更に、溶融金属中にCaを含有させることで、MgSn相の一部または全部がMg(Sn,Ca)相となり、このMg(Sn,Ca)相を微細に分散させることで、より一層、加工性を改善できることを見出した。
以下、本発明の実施形態である溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材について説明する。
本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、鋼材の表面に溶融めっき層を有し、溶融めっき層の平均組成が、質量%で、Al:10〜40%、Mg:0.5〜8%、Sn:0.01〜8.0%、Si:0〜4.0%、Ca:0〜3.0%、Bi:0〜5.0%未満、In:0〜2.0%未満、Y:0〜0.5%、La:0〜0.5%未満、Ce:0〜0.5%未満、Cr:0〜0.25%未満、Ti:0〜0.25%未満、Ni:0〜0.25%未満、Co:0〜0.25%未満、V:0〜0.25%未満、Nb:0〜0.25%未満、Cu:0〜0.25%未満、Mn:0〜0.25%未満、Fe:0〜5.0%、Sr:0〜0.5%未満、Sb:0〜0.5%未満、Pb:0〜0.5%未満、B:0〜0.5%未満を含有し、残部がZn及び不純物からなる組成であり、溶融めっき層の金属組織が、層状Zn相及び層状Al相を含むラメラ組織と、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる混合組織と、を含有し、溶融めっき層に占めるラメラ組織の割合が面積比で5%以上である溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材である。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、ラメラ組織のラメラ間隔が0.3μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、溶融めっき層に占めるラメラ組織の割合が面積比で5%以上80%以下であることが好ましい。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、混合組織中のMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方の円相当平均直径が5μm以下であることが好ましい。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、溶融めっき層の平均組成のうち、Al及びMgが、質量%で、Al:15〜35%、Mg:4〜7%であることが好ましい。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、溶融めっき層に、更に、Al/Zn/MgZnの三元共晶組織、Al及びZnを含む(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相、MgZn相または面積率10%未満の残部金属間化合物のうちの1種または2種以上を含有していてもよく、これらを含有しなくてもよい。
また、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、鋼材と溶融めっき層との間に、Fe−Al系金属間化合物からなる厚み3μm以下の界面合金層があってもよい。
更に、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、相当円径が5μm以上のMgSn相、相当円径が5μm以上のCa−Zn相、相当円径が5μm以上のMgSi相を合計で10面積%以下に制限することが好ましい。
溶融めっき層の下地となる鋼材の材質は、特に制限がない。材質として、一般鋼、Alキルド鋼や一部の高合金鋼に適用することが可能である。鋼材の形状にも特に制限はないが、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板といった鋼板を用いるとよい。鋼材が鋼板の場合、溶融めっき層は鋼板の片面に形成してもよく、両面に形成してもよい。また、鋼材には、Niプレめっきを施してもよい。鋼材に対して後述する溶融めっき法を適用することで、本実施形態に係る溶融めっき層が形成される。
次に、溶融めっき層の化学成分について説明する。以下の化学成分の説明において、「%」は「質量%」を意味する。
本実施形態に係る溶融めっき層は、平均組成で、Al:10〜40%、Mg:0.5〜8%、Sn:0.05〜8.0%、Si:0〜4.0%、Ca:0〜3.0%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含んでいる。また、めっき層は、平均組成で、Bi:0〜5.0%未満、In:0〜2.0%未満、Y :0〜0.5%、La:0〜0.5%未満、Ce:0〜0.5%未満、Cr:0〜0.25%未満、Ti:0〜0.25%未満、Ni:0〜0.25%未満、Co:0〜0.25%未満、V :0〜0.25%未満、Nb:0〜0.25%未満、Cu:0〜0.25%未満、Mn:0〜0.25%未満、Fe:0〜5.0%、Sr:0〜0.5%未満、Sb:0〜0.5%未満、Pb:0〜0.5%未満、B :0〜0.5%未満の1種または2種以上を含んでいてもよい。
Al:10〜40%
Alの含有量は、平均組成で10〜40%の範囲とする。Alは、溶融めっき層の耐食性と加工性を確保するために必要な元素である。溶融めっき層中のAlの含有量が10%未満では、耐食性と加工性を向上させるために必要なラメラ組織を十分量形成させることが困難になる。Al含有量が40%を超えると、これもα‘相からラメラ組織への変態が困難となり、耐食性と加工性が低下する原因となる。ラメラ組織を形成されるために適切なAlの含有量は、好ましくは15〜35%とし、より好ましくは20〜30%とする。
Mg:0.5〜8%
Mgの含有量は、平均組成で0.5〜8質量%の範囲とする。Mgは、溶融めっき層の耐食性を向上させるために必要な元素である。溶融めっき層中のMgの含有量が0.5%未満では、耐食性を向上させる効果が不十分になる。また、Mg含有量が8%を超える場合には、溶融めっき層中に、脆性な化合物である塊状のMgZn相が10面積%超の割合で生成し、加工性低下の原因となる。Mgの含有量は、好ましくは4〜7%である。
Sn:0.01〜8.0%
Snは、本実施形態の溶融めっき層において重要な元素である。Snは、α’相からラメラ組織を形成させる際に、ラメラ組織の形成を促進してα’相の残留を減少させるとともに、ラメラ組織のラメラ間隔を大きくする効果を奏するものと考えられ、これにより、溶融めっき層の加工性及び耐食性を向上させる。また、Snは、混合組織において相当円直径が5μm未満の微細なMgSn相またはMg(Sn,Ca)相を形成し、これにより、溶融めっき層の加工性を高めるものと考えられる。このMgSn相が分散したZn相を含む混合組織は、α’相からラメラ組織への変態を生じさせるためにも必須な組織である。Sn含有量が0.01%未満では、加工性向上及び耐食性向上の効果が得られない。また、Sn含有量の上限を8.0%以下とするのは、8.0%を超えて含有させた場合、本質的には脆性なMgSn相が相当円直径で5μm以上の塊状の粗大粒として10面積%超の割合で生成し、加工性低下の原因となるためである。Sn含有量は、0.05%以上であってもよい。
Si:0〜4.0%
溶融めっき層は、Siを4.0%以下の範囲で含有していてもよく、含有しなくてもよい。Siを含有させる場合の下限は、0.01%以上がよい。Siは、鋼材に対する溶融めっき層の界面に形成するFe−Al系界面合金層を形成させ、密着性を向上させるのに有効な元素である。Siを0.01%以上含有させることで密着性を向上させる効果が発現するため、Siを0.01%以上含有させることが好ましい。一方、4.0%を超えたSiを含有させた場合、溶融めっき層中に、MgSi相が相当円直径5μm以上の塊状の粗大粒として10面積%超の割合で生成し、耐食性と加工性の低下を招くため、Siの含有量は4.0%以下とする。めっき密着性の観点からは、0.02〜2.0%の範囲にしてもよく、0.03〜1.0%の範囲にしてもよく、0.05〜0.8%の範囲にしてもよい。Siは0%であってもよい。
Ca:0〜3.0%
Caは0〜3.0%の範囲で含有してもよく、含有しなくてもよい。Caは、鋼材に溶融めっき層を形成する際に、めっき浴におけるドロスの発生を低減させて溶融めっき層の品質を高める効果がある。また、溶融めっき層にCaを含有させることで、混合組織に含まれるMgSn相の一部または全部を、Mg(Sn,Ca)相にすることができる。Mg(Sn,Ca)相は円相当平均直径が小さいため、微小なMg(Sn,Ca)相を混合組織中に多数形成させることができ、溶融めっき層の加工性をより向上させることができる。Caを0.01%以上含有させることで加工性を向上させる効果が発現するため、Caの下限は0.01%以上が好ましい。一方、3.0%を超えるCaを含有させると、溶融めっき層中に、脆性なCa−Zn相が相当円直径5μm以上の粗大粒として10面積%超の割合で生成し、耐食性と加工性の低下を招くため、Caの含有量は3.0%以下とする。Ca含有量は、0.02〜2.0%の範囲にしてもよく、0.03〜1.0%の範囲にしてもよく、0.05〜0.8%の範囲にしてもよい。Caは0%であってもよい。
溶融めっき層は、更に質量%で、Bi:0〜5.0%未満、In:0〜2.0%未満、Y:0〜0.5%、La:0〜0.5%未満、Ce:0〜0.5%未満、Cr:0〜0.25%未満、Ti:0〜0.25%未満、Ni:0〜0.25%未満、Co:0〜0.25%未満、V:0〜0.25%未満、Nb:0〜0.25%未満、Cu:0〜0.25%未満、Mn:0〜0.25%未満、Fe:0〜5.0%、Sr:0〜0.5%未満、Sb:0〜0.5%未満、Pb:0〜0.5%未満、B:0〜0.5%未満の1種または2種以上を含有してもよい。これらの元素を含有させることで、溶融めっき層の耐食性をより向上させることができる。これらの元素の下限は、それぞれ、Bi、Inをそれぞれ0.1%以上とし、Y、La、Ce、Cr、Ti、Ni、Co、V、Nb、Cu、Mnをそれぞれ0.01%以上とし、Feを0.1%以上とし、Sr、Sb、Pb、Bをそれぞれ0.001%以上としてもよい。
溶融めっき層の化学成分の残部は、Zn及び不純物である。Znは、溶融めっき層中に57〜89.95%の範囲で含有していてもよい。Znをこの範囲で含有することで、溶融めっき層の耐食性を向上させることができる。
次に、溶融めっき層の金属組織について説明する。本実施形態に係る溶融めっき層は、ラメラ組織及び混合組織を含有する。溶融めっき層は、ラメラ組織及び混合組織からなるものであってもよく、性能に悪影響を及ぼさない範囲でラメラ組織及び混合組織以外の他の組織または他の相を含有していてもよい。
ラメラ組織は、層状Zn相及び層状Al相を含む組織であり、より詳細には、層状Zn相及び層状Al相が交互に配列した組織である。層状Zn相及び層状Al相は、特に限定されないが、それぞれアスペクト比(相の短辺と長辺の比:短辺/長辺)が0.1以下の層状であってもよい。また、層状Zn相及び層状Al相のそれぞれの厚みは、特に限定されないが、20〜500nm、または、20〜100nmであってもよい。ラメラ組織における層状Zn相と層状Al相との積層数は特に制限はない。
ラメラ組織のラメラ間隔は、0.3μm以上であることが好ましい。ラメラ間隔を0.3μm以上とすることで、溶融めっき層の加工性及び耐食性をより向上させることができる。本実施形態のラメラ組織のラメラ間隔は0.3μm以上とかなり大きなものとなっている。ラメラ間隔が大きい理由としてSnの影響が考えられる。溶融金属の凝固時にAl及びZnを含む組織(α’相)が形成されるが、このα’相にSnの一部が取り込まれ、その後のα’相がラメラ組織に変化する際に、Snがラメラ間隔を増大させる作用を発揮させるためと考えられる。
溶融めっき層に占めるラメラ組織の割合は、溶融めっき層の断面における面積比で5%以上80%以下であることが好ましい。ラメラ組織の面積比がこの範囲であれば、加工性及び耐食性を向上させることができる。特にラメラ組織を5%以上とすることで、加工性を向上できる。ラメラ組織の面積比の下限は、30%以上でもよく、40%以上でもよい。ラメラ組織の面積比の上限は、70%以下でもよく、60%以下でもよい。
次に、混合組織は、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる組織である。Zn相中に微細なMgSn相またはMg(Sn,Ca)相が分散することで、溶融めっき層の加工性をより高めることができる。また、Mg(Sn,Ca)相は、MgSn相のうちのSnの一部がCaに置換したものであり、溶融めっき層にCaを含有される場合に形成される。Mg(Sn,Ca)相は、Zn相中により微細に分散することができ、これにより加工性をより一層高めることができる。
混合組織中のMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方の円相当平均直径は、5μm以下であることが好ましく、5μm未満であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。これらの相の円相当平均直径が5μm以下であれば、これらの相のサイズが小さくなり、より多くのMgSn相またはMg(Sn,Ca)相がZn相中に分散されて、加工性を高めることができる。
溶融めっき層に占める混合組織の割合は、溶融めっき層の断面における面積比で5%以上であることが好ましい。混合組織の面積比がこの範囲であれば、加工性及び耐食性を向上させることができる。混合組織の面積比は、10%以上80%以下でもよく、20%以上60%以下でもよい。
本実施形態の溶融めっき層には、ラメラ組織及び混合組織以外の他の組織または他の相として、Al/Zn/MgZnの三元共晶組織、粒状のAl相及びZn相の微細混相素域である(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相、MgZn相または残部金属間化合物のうちの1種または2種以上が含まれていてもよい。
Al/Zn/MgZnの三元共晶組織は、Al相とZn相と金属間化合物であるMgZn相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl−Zn−Mgの三元系平衡状態図における高温での「α’相」(Zn相を固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含むことが多い)に相当するものである。この高温でのα’相は冷却過程でデンドライト状に成長した後、凝固が完了した後の常温へ至る冷却過程で通常は微細なAl主体相と微細なZn主体相に分離して現れる。また、三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によってはさらに少量のMgを固溶したZn固溶体である。三元共晶組織中のMgZn相は、Zn−Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。状態図で見る限りそれぞれの相にはSi、その他の元素を固溶していても少量であると考えられ、その量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書ではAl/Zn/MgZnの三元共晶組織と表す。この三元共晶組織は必須ではなく、溶融めっき層中に三元共晶組織が含まれなくてもよい。
次に、Al及びZnを含む(Zn−Al)デンドライト相について説明する。本実施形態の溶融めっき層の製造過程においては、溶融金属の凝固時に生成したα’相の大部分がラメラ組織に変化するが、ラメラ組織に変化しなかった(Zn−Al)デンドライト相が溶融めっき層に残存する場合がある。残存した(Zn−Al)デンドライト相は、Al及びZnを含有している。この(Zn−Al)デンドライト相は、Al−Zn−Mgの三元系平衡状態図において、高温相のZnを固溶したAl相が冷却時に微細かつ粒状のZn相と微細なAl相に分離して形成されたものである。粒状Zn相と粒状Al相の結晶粒径は100nm以下と非常に微細であるため、ラメラ組織に比べて著しく加工性に劣る。なお、(Zn−Al)デンドライト相をなすZn相はMgを固溶することがあり、Al相はZnとMgを固溶することがある。(Zn−Al)デンドライト相は必須ではなく、溶融めっき層中に(Zn−Al)デンドライト相が含まれなくてもよい。
次に、Zn単相は、混合組織と同時に形成する場合がある、混合組織ではZn相中にMgSn相またはMg(Sn,Ca)相が含まれるのに対して、このZn単相はMgSn相またはMg(Sn,Ca)相を含まない相である。Zn単相には少量のAl、さらには少量のMgを固溶していることもある。このZn単相は必須ではなく、溶融めっき層中にZn単相が含まれなくてもよい。
次に、MgZn相は、三元共晶組織に含まれない塊状のMgZn相であり、実際には少量のAlが分散・固溶していることもある。本実施形態の溶融めっき層には、製造条件によりMgZn相が含まれる場合がある。このMgZn相は必須ではなく、溶融めっき層中に塊状のMgZn相が含まれなくてもよい。MgZn相は、相当円直径が10μm以下の塊状であることが好ましい。
次に、残部金属間化合物とは、上述した組織、相または金属間化合物以外の金属間化合物である。このような金属間化合物として、例えば、Fe−Zn系金属間化合物等の金属間化合物を例示できる。本実施形態の溶融めっき層には、製造条件により、このような残部金属間化合物が含まれる場合がある。この残部金属間化合物は必須ではなく、溶融めっき層中に残部金属間化合物が含まれなくてもよい。
溶融めっき層に占めるAl/Zn/MgZnの三元共晶組織の割合は、面積比で30%未満が好ましく、20%未満がより好ましく、10%以下が好ましい。三元共晶組織の割合が30%以下にすることで、相対的にラメラ組織及び混合組織の面積割合が増加し、加工性を向上できる。三元共晶組織は、溶融めっき層中に含有されていなくてもよい。すなわち、面積比が0%であってもよい。
溶融めっき層に占める(Zn−Al)デンドライトの割合は、面積比で30%以下が好ましい。(Zn−Al)デンドライトの割合が30%以下であれば、相対的にラメラ組織及び混合組織の面積割合が増加し、加工性が向上する。(Zn−Al)デンドライトは、溶融めっき層中に含有されていなくてもよい。すなわち、面積比が0%であってもよい。
溶融めっき層に占めるZn単相の割合は、面積比で20%以下が好ましい。Zn単相の割合が20%以下であれば、相対的にラメラ組織及び混合組織の面積割合が増加し、加工性を確保できる。Zn単相は、溶融めっき層中に含有されていなくてもよい。すなわち、面積比が0%であってもよい。
溶融めっき層に占める相当円直径10μm以下のMgZn相の割合は、面積比で50%以下が好ましい。MgZn相の割合が50%以下であれば、相対的にラメラ組織及び混合組織の面積割合が増加し、加工性を確保できる。MgZn相は、溶融めっき層中に含有されていなくてもよい。すなわち、面積比が0%であってもよい。なお、MgZn相の面積比は、三元共晶組織に含まれるMgZn相を除いたものとする。
溶融めっき層に占める残部金属間化合物の割合は、面積比で10%以下が好ましい。残部金属間化合物の割合が10%以下であれば、相対的にラメラ組織及び混合組織の面積割合が増加し、加工性を確保できる。残部金属間化合物は、溶融めっき層中に含有されていなくてもよい。すなわち、面積比が0%であってもよい。
次に、金属組織の特定方法について説明する。
各組織及び各相の面積比の測定方法は次の通りとする。溶融めっき層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像で観察する。倍率を1500倍に拡大した状態で、5箇所の写真を撮影する。写真は、溶融めっき層の厚み全体が視野に入るように撮影する。写真撮影位置はランダムに選択する。面積率の計算結果を受けて撮影位置を任意に再選択してはならない。更に、走査型電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線元素分析装置を用いて、撮影した写真に対応する元素マッピングデータを取得し、各組織及び各相を特定する。そして、全部の断面写真に現れている各組織及び各相の全断面積を測定し、これを、全部の断面写真に現れている溶融めっき層の断面積で除することで、各組織及び各相の面積比を算出する。
ラメラ組織は、SEMの反射電子像において、層状Zn相及び層状Al相が交互に整列した部分をラメラ組織として特定する。ラメラ組織は、三元共晶組織や、他の組織または単相とは反射電子像において明瞭に区別できる。
混合組織は、Zn相中にMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方が分散した相である。このような特長を持つことから、ラメラ組織を構成する層状Zn相や三元共晶組織を形成しているZn相とは走査型電子顕微鏡の反射電子像において明瞭に区別できる。また、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相を含有することから、Zn単相とも明瞭に区別できる。
三元共晶組織は、Al相とZn相とMgZn相とが混然一体となった組織であり、SEMの反射電子像において、ラメラ組織とは明瞭に区別できる。
また、Al及びZnを含む(Zn−Al)デンドライト相は、SEMの反射電子像において、混合組織中に明瞭な境界をもって島状に見えるか、混合組織に明瞭な境界をもって隣接して見える場合がある。また、ラメラ組織に隣接して見える場合もある。(Zn−Al)デンドライト相は、Zn相およびAl相が混然一体となっているため、混合組織やラメラ組織とは反射電子像において明瞭に区別できる。
また、Zn単相は、SEMの反射電子像において、混合組織中に明瞭な境界をもって島状に見えるか、混合組織に明瞭な境界をもって隣接して見える場合がある。また、三元共晶組織中に明瞭な境界をもって島状に見える場合がある。Zn単相は、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相を含まないので、この点において混合組織とは区別できる。
また、MgZn相は、前記の三元共晶組織を形成しているMgZn相とはSEMの反射電子像において明瞭に区別できる。
更に、残部金属間化合物は、ラメラ組織、混合組織、三元共晶組織、(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相またはMgZn相のいずれでもない相とする。残部金属間化合物の面積比は、ラメラ組織、混合組織、三元共晶組織、(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相及びMgZn相の面積比を100%から引いて得た差分とする。
次に、ラメラ組織のラメラ間隔の測定方法について説明する。上記の全部の写真において観察されたラメラ組織のうち、写真1枚につき3個のラメラ組織をランダムに選択する。ラメラ組織の全選択数は15個とする。選択された各ラメラ組織においてラメラ間隔を測定し、その平均をラメラ組織のラメラ間隔とする。ラメラ間隔の測定結果を受けて選択対象を任意に再選択してはならない。
次に、混合組織中に含まれるMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の円相当平均直径の測定方法について説明する。上記の全部の写真において観察された混合組織のうち、写真1枚につき3個の混合組織をランダムに選択する。混合組織の全選択数は15個とする。選択された混合組織に含まれるMgSn相またはMg(Sn,Ca)相を全て特定し、これらの全面積を求める。得られた面積を相の数で除することにより、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の1個あたりの平均面積を求める。この平均面積に基づき、円相当平均直径を求める。
溶融めっき層の付着量は、片面当たり10〜300g/mの範囲が好ましく、20〜250g/mの範囲でもよい。溶融めっき層の付着量が少ないと耐食性を十分に確保できない。また、めっき層の付着量が厚すぎると、部品形状等に加工する際にめっき層に割れが生じるおそれがある。
本実施形態のめっき鋼材の鋼材と溶融めっき層との間には、Fe−Al系金属間化合物からなる厚み3μm以下の界面合金層が形成されていてもよい。界面合金層は、平均濃度で、Fe:20〜60質量%、Al:10〜60質量%、残部が実質的にZn及び不純物よりなる層である。また、界面合金層は、平均濃度で、Fe:30〜60質量%、Al:10〜35質量%、残部が実質的にZn及び不純物よりなる層であってもよい。
界面合金層は、鋼材がめっき浴に接触した際に、主に、めっき浴に含まれるAlと鋼材に含まれるFeとが反応することによって形成される場合があり、FeAlまたはFeAlからなる組成のFe−Al系金属間化合物を含む。Fe−Al系金属間化合物は、いわゆる犠牲防食能力が低いため、溶融めっき層の厚みを十分に確保して鋼を防食させるとよい。界面合金層の厚みは3μm以下がよい。界面合金層の厚みが3μmを超えると、溶融めっき層の密着性が低下する場合がある。
次に、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材の製造方法を説明する。
本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、鋼材をめっき浴に浸漬させて鋼材表面に溶融金属を付着させ、次いで、鋼材をめっき浴から引き上げて鋼材表面に付着した溶融金属を凝固させる所謂溶融めっき法により形成する。
めっき浴の組成は、質量%で、Al:10〜40%、Mg:0.5〜8%、Sn:0.05〜8.0%、Si:0〜4.0%、Ca:0〜3.0%を含有し、残部としてZn及び不純物を含むものがよい。また、めっき浴には、更に質量%で、Bi:0〜5.0%未満、In:0〜2.0%未満、Y :0〜0.5%、La:0〜0.5%未満、Ce:0〜0.5%未満、Cr:0〜0.25%未満、Ti:0〜0.25%未満、Ni:0〜0.25%未満、Co:0〜0.25%未満、V:0〜0.25%未満、Nb:0〜0.25%未満、Cu:0〜0.25%未満、Mn:0〜0.25%未満、Fe:0〜5.0%、Sr:0〜0.5%未満、Sb:0〜0.5%未満、Pb:0〜0.5%未満、B:0〜0.5%未満の1種または2種以上を含んでいてもよい。
めっき浴の温度は、380℃超600℃以下の範囲が好ましく、400〜600℃の範囲であってもよい。
めっき浴に浸漬させる前の鋼材は、還元性雰囲気中で加熱することにより、表面を還元処理することが好ましい。例えば、窒素と水素の混合雰囲気中で600℃以上、望ましくは750℃以上で30秒以上熱処理する。還元処理が終了した鋼材は、めっき浴の温度まで冷却した後、めっき浴に浸漬させる。浸漬時間は例えば1秒以上でよい。めっき浴に浸漬した鋼材を引き上げる際に、ガスワイピングによってめっきの付着量を調整する。付着量は、上述したように、片面当たり10〜300g/mの範囲が好ましく、20〜250g/mの範囲でもよい。
本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材の製造方法では、めっき浴から引き上げ後の冷却条件が重要である。すなわち、鋼材をめっき浴から引き上げた後、浴温から270℃までの平均冷却速度は15℃/秒以上にする必要がある。浴温から270℃までの平均冷却速度が15℃/秒未満の場合、粗大ラメラ組織の形成を促進する元素であるSnが変態前のα‘相中に十分固溶されず、粗大ラメラ組織の形成が困難となる。従って、浴温から270℃までの平均冷却速度を15℃/秒以上とする。より好ましくは20℃/秒以上がよい。
次いで、270℃から120℃に至るまでの冷却時間が40秒以上になるように、270℃〜120℃の温度範囲の冷却速度を制御する。160℃未満の温度範囲における冷却条件は、特に制限はない。270℃〜120℃の範囲の冷却の所要時間を40秒以上とすることで、ラメラ間隔が大きなラメラ組織を形成させることが可能になる。より好ましくは、270℃〜120℃の範囲の所要時間を100秒以上、または300秒以上にするとよい。
めっき浴から鋼材を引き上げ後から冷却が開始され、初晶であるα’相が晶出し、次いで、円相当直径5μm未満のMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる混合組織が晶出する。混合組織以外に、三元共晶組織等が晶出する場合もある。その後、270℃から120℃に至るまでの時間が40秒以上になるように、270℃〜120℃の温度範囲の冷却速度を制御することで、α’相を粗大なラメラ組織に変態させる。
以上により、本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材を製造できる。本実施形態の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、加工性と耐食性に優れたものになる。
板厚0.8mmのSPCC(JIS G3141)を脱脂後、東栄社製の溶融めっきシミュレーターでN−H雰囲気中で800℃、60秒加熱還元処理し、めっき浴温まで冷却した後、表1A及び表1Bに示すめっき層の平均組成と同じ組成のめっき浴に3秒浸漬し、その後、Nワイピングで、めっき付着量を調整した。めっき浴の温度は表2A及び表2Bに記載の通りとした。表1および表1Bの平均組成における残部はZnおよび不純物である。
めっき後の冷却条件は、めっき浴引き上げ後から270℃までの平均冷却速度を2〜15℃/秒とした。また、270℃から120℃に至るまでの冷却時間を40〜300秒となるように、270℃〜120℃の温度範囲の冷却速度を制御した。このようにして、各種のめっき鋼材を得た。
溶融めっき層の平均組成は、めっき層を剥離して溶解した後、誘導結合プラズマ発光分析法により、めっき層に含まれる元素の含有量を分析することで測定した。
溶融めっき層の金属組織の測定は、以下の手順で行った。
溶融めっき層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子像で観察した。倍率を1500倍に拡大した状態で、5箇所の写真を撮影した。写真は、溶融めっき層の厚み全体が視野に入るように撮影した。写真撮影位置はランダムに選択した。更に、走査型電子顕微鏡に付属するエネルギー分散型X線元素分析装置を用いて、撮影した写真に対応する元素マッピングデータを取得し、各組織及び各相を特定した。そして、全部の断面写真に現れている各組織及び各相の全断面積を測定し、これを、全部の断面写真に現れている溶融めっき層の断面積で除することで、各組織及び各相の面積比を算出した。
ラメラ組織は、SEMの反射電子像において、層状Zn相及び層状Al相が交互に整列した部分をラメラ組織として特定した。
混合組織は、Zn相中にMgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方が分散した相であり、このような特長を持つ組織を走査型電子顕微鏡の反射電子像において特定した。
三元共晶組織は、Al相とZn相とMgZn相とが混然一体となった組織であり、SEMの反射電子像において特定した。
(Zn−Al)デンドライト相は、Zn相およびAl相が混然一体となっているため、混合組織やラメラ組織とは反射電子像において明瞭に区別できた。
Zn単相は、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相を含まないので、この点において混合組織とは区別できた。
また、MgZn相は、前記の三元共晶組織を形成しているMgZn相とはSEMの反射電子像において明瞭に区別できた。
MgSn相、Ca−Zn相、MgSi相についても、SEMの反射電子像において明瞭に区別できた。
更に、その他金属間化合物は、上記の組織または相のいずれでもないものとした。その他金属間化合物の面積分率は、上記の組織及び相の合計の面積比を100%から引いて得た差分とした。
MgSn相、Ca−Zn相、MgSi相及びその他金属間化合物の合計を残部金属間化合物とした。
ラメラ組織のラメラ間隔の測定方法は、上記の全部の写真において観察されたラメラ組織のうち、写真1枚につき3個のラメラ組織をランダムに選択し、選択された各ラメラ組織においてラメラ間隔を測定し、その平均をラメラ組織のラメラ間隔とした。
MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の円相当平均直径の測定方法は、上記の全部の写真において観察された混合組織のうち、写真1枚につき3個の混合組織をランダムに選択し、選択された混合組織に含まれるMgSn相またはMg(Sn,Ca)相を全て特定し、これらの全面積を求めた。得られた面積を相の数で除することにより、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の1個あたりの平均面積を求めた。この平均面積に基づき、円相当平均直径を求めた。
なお、No.1〜45においては、鋼材とめっき層の間に、Fe−Al系金属間化合物からなる厚み3μm以下の界面合金層が確認された。
めっき鋼材の加工性は、めっき鋼材を30mm(C)×60mm(L)のサイズに切断し、これをC方向に180℃曲げ(0T曲げ)、3T曲げ、5T曲げの3通りで曲げて、めっき層の加工部の頂上をSEM観察し、頂上部(1.6mm×30mm)に存在するクラック数から評価した。評価基準は下記の通りとし、◎及び○を合格とした。
◎ :クラック数5未満
○ :クラック数5以上15未満
△::クラック数15以上30未満
× :クラック数30以上
めっき鋼材の耐食性は、めっき鋼材を50×100mmのサイズに切断し、裏面と端面にテープシールを施し、JASO−CCT−M609で規定された腐食促進試験で行い、60サイクル後及び120サイクル後の腐食減量を比較することで行った。評価基準は下記の通りとし、◎及び○を合格とした。
◎ :腐食減量 40g/m未満
○ :腐食減量 40g/m以上60g/m未満
△::腐食減量 60g/m以上80g/m未満
× :腐食減量 80g/m以上
また、図1に、No.11(実施例)のめっき層の断面SEM写真(BSE像)を示す。No.11の符号1はラメラ組織であり、符号2は混合組織であり、符号3は界面合金層である。また、図2に、No.45(比較例)のめっき層の断面SEM写真(BSE像)を示す。No.45の符号2は混合組織であり、符号3は界面合金層であり、符号4はラメラ化していないα’相である。
表1A、表2A、表3A及び表4Aに示すように、発明例のNo.2、4、5、7、9〜13、15、17、18、20〜22、25〜29、32〜36、38〜40、42、43の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材は、いずれも本発明の範囲を満たしており、加工性及び耐食性が良好である。また、No.7、17、18、20〜22、26〜29、32〜36、38〜40、42、43については、Caを含有したため、混合組織中のMgSnの一部または全部がMg(Ca,Sn)として存在していた。表3Aおよび表3Bにおける混合組織中のMgSnの相当円直径は、一部または全部がMg(Ca,Sn)として存在する場合の値を示している。
一方、表1B、表2B、表3B及び表4Bに示すように、No.1は、溶融めっき層のAl含有量が低く、めっき層におけるラメラ組織の面積比が低くなった。このため、0T曲げにおいてクラックが多数発生した。
No.3は、溶融めっき層のMg含有量が低く、溶融めっき層におけるラメラ組織の面積比が低下し、耐食性が劣位になった。
No.6は、溶融めっき層のMg含有量が過剰であり、ラメラ層が形成されなかった。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.8は、溶融めっき層のSi含有量が過剰であり、このためMgSi相が多く形成され、加工性が劣位になった。
No.14は、溶融めっき層にSnが含有されず、ラメラ組織及び混合組織が形成されなかった。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.16は、溶融めっき層のAl含有量が過剰であり、ラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.19は、溶融めっき層のCa含有量が過剰であり、このためCa−Zn相が多く形成され、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.23は、浴温から270℃までの冷却速度が遅く、ラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性が劣位になった。
No.24は、溶融めっき層のAl含有量が低く、めっき層におけるラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性が劣位になった。
No.30は、浴温から270℃までの冷却速度が遅く、めっき層におけるラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.31は、270℃から160℃までの冷却所要時間が15秒と短く、ラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性が劣位になった。
No.37は、溶融めっき層のSn含有量が過剰であり、このためMgSn相が多く形成された。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
No.41は、浴温から270℃までの冷却速度が遅く、めっき層におけるラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性が劣位になった。
No.44は、溶融めっき層のMg含有量が過剰であり、このためMgZn相が多く形成された。このため、加工性が劣位になった。
No.45は、270℃から160℃までの冷却所要時間が15秒と短く、ラメラ組織が形成されなかった。このため、加工性及び耐食性が劣位になった。
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Claims (7)

  1. 鋼材の表面に溶融めっき層を有し、
    前記溶融めっき層の平均組成が、質量%で、
    Al:10〜40%、
    Mg:0.5〜8%、
    Sn:0.01〜8.0%、
    Si:0〜4.0%、
    Ca:0〜3.0%、
    Bi:0〜5.0%未満、
    In:0〜2.0%未満、
    Y :0〜0.5%、
    La:0〜0.5%未満、
    Ce:0〜0.5%未満、
    Cr:0〜0.25%未満、
    Ti:0〜0.25%未満、
    Ni:0〜0.25%未満、
    Co:0〜0.25%未満、
    V :0〜0.25%未満、
    Nb:0〜0.25%未満、
    Cu:0〜0.25%未満、
    Mn:0〜0.25%未満、
    Fe:0〜5.0%、
    Sr:0〜0.5%未満、
    Sb:0〜0.5%未満、
    Pb:0〜0.5%未満、
    B :0〜0.5%未満を含有し、
    残部がZn及び不純物からなる組成であり、
    前記溶融めっき層の金属組織が、層状Zn相及び層状Al相を含むラメラ組織と、MgSn相またはMg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方がZn相中に分散されてなる混合組織と、を含有し、
    前記溶融めっき層に占める前記ラメラ組織の割合が面積比で5%以上であることを特徴とする加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  2. 前記ラメラ組織のラメラ間隔が0.3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  3. 前記溶融めっき層に占める前記ラメラ組織の割合が面積比で5%以上80%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  4. 前記混合組織中の前記MgSn相または前記Mg(Sn,Ca)相の何れか一方または両方の円相当平均直径が5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  5. 前記溶融めっき層の平均組成のうち、Al及びMgが、質量%で、
    Al:15〜35%、
    Mg:4〜7%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  6. 前記溶融めっき層が、更に、Al/Zn/MgZnの三元共晶組織、Al及びZnを含む(Zn−Al)デンドライト相、Zn単相、MgZn相または面積率10%未満の残部金属間化合物のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
  7. 前記鋼材と前記溶融めっき層との間に、Fe−Al系金属間化合物からなる厚み3μm以下の界面合金層があることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の加工性と耐食性に優れる溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼材。
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