JP2021171781A - 自動車用ドアインナパネルの製造方法及び自動車用ドアインナパネル - Google Patents

自動車用ドアインナパネルの製造方法及び自動車用ドアインナパネル Download PDF

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Abstract

【課題】アルミニウム合金製板材からプレス加工によってドアインナパネルを製造する際に、工程数の増加を抑制しつつ段差部に割れが生じることを抑制できる技術を提供する。【解決手段】ドアインナパネルの製造方法は、ブランク材の外周部が保持された状態で、第1金型の第1境界部を前記ブランク材に接触させる第1工程と、接近方向に前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方を移動させることにより、前記第2金型の第4境界部が前記ブランク材に接触すると同時に、又は前記第4境界部が前記ブランク材に接触する前に、前記第1金型の第3境界部を前記ブランク材に接触させる第2工程と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、自動車用ドアインナパネルの製造方法及び自動車用ドアインナパネルに関するものである。
一般に、自動車用ドアは、ドアアウタパネルと、ドアインナパネルとを備える。例えば特許文献1の図1に開示されているように、前記ドアインナパネルは、その周縁部に段差部を有し、当該段差部は、階段状に屈曲する形状を有する。特許文献1は、上記のような形状を有する前記ドアインナパネルを、鋼板からプレス加工によって深絞り成形することを開示している(特許文献1の段落0016)。
ところで、近年、自動車の車体を軽量化するために、自動車用ドアの部品を構成する材料としてアルミニウム合金を採用する事例が増加しつつある。
特開2018−131106号公報
しかしながら、アルミニウム合金製の板材は鋼板よりも成形性が劣る。このため、上記のような段差部を有するドアインナパネルを、前記アルミニウム合金製の板材からプレス加工によって深絞り成形すると、前記段差部に割れが発生する可能性がある。
前記段差部に割れが生じることを防ぎつつ前記ドアインナパネルを成形するためには、例えば、前記アルミニウム合金製の板材に対して複数回のプレス加工(複数回の深絞り)を行うことにより、前記ドアインナパネルを段階的に深絞り成形する方法が考えられる。しかし、この方法では、製造工程の工程数が増加するので、製造コストが増加するという問題がある。
本発明の目的は、段差部を有するドアインナパネルを、アルミニウム合金製の板材からプレス加工によって深絞り成形する自動車用ドアインナパネルの製造方法において、製造工程の工程数の増加を抑制しつつ、前記段差部に割れが生じることを抑制できる技術を提供することである。
提供される製造方法は、アルミニウム合金製の板状のブランク材を第1金型と第2金型でプレス加工することにより自動車用ドアインナパネルを製造するための製造方法である。前記ドアインナパネルは、前記ドアインナパネルの周縁部の少なくとも一部を構成する段差部を有する。前記段差部は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部がこの順に階段状に連続するように構成される。前記第1金型及び前記第2金型のそれぞれは、前記第1壁部、前記第2壁部、前記第3壁部及び前記第4壁部をそれぞれ成形するために階段状に連続する第1成形面、第2成形面、第3成形面及び第4成形面を有する。前記第1金型における前記第2成形面及び前記第3成形面は凹部を構成する。前記第2金型における前記第2成形面及び前記第3成形面は前記凹部に対応する形状を有する凸部を構成する。前記第1金型おける前記第1成形面と前記第2成形面との第1境界部から前記第1金型おける前記第2成形面と前記第3成形面との第2境界部までの距離と前記第2境界部から前記第1金型における前記第3成形面と前記第4成形面との第3境界部までの距離とを足した合計距離を、前記第1境界部から前記第3境界部までの距離で割り算した値は、前記ブランク材の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下である。前記製造方法は、前記ブランク材が前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記ブランク材の外周部が保持された状態で、前記第1境界部を前記ブランク材に接触させる第1工程と、前記第1金型と前記第2金型が近づく接近方向に前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方を移動させることにより、前記第2金型における前記第2成形面と前記第3成形面との第4境界部が前記ブランク材に接触すると同時に、又は前記第4境界部が前記ブランク材に接触する前に、前記第3境界部を前記ブランク材に接触させる第2工程と、を含む。
この製造方法では、前記第1工程及び前記第2工程において前記第1金型の前記第1境界部、前記第1金型の前記第3境界部及び前記第2金型の前記第4境界部が、前記ブランク材に対して上記のような順序で接触するとともに、前記合計距離を前記第1境界部から前記第3境界部までの距離で割り算した値が、前記ブランク材の破断限界に基づいて予め設定された前記上限値以下である。これにより、前記段差部を有する前記ドアインナパネルを、アルミニウム合金製の前記ブランク材からプレス加工によって深絞り成形する際に、製造工程の工程数の増加を抑制しつつ、前記段差部に割れが生じることを抑制できる。
なお、前記第1工程は、前記ブランク材が前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記ブランク材の外周部が保持された状態で、前記第1金型と前記第2金型が近づく接近方向に前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方を移動させることにより、前記第1境界部を前記ブランク材に接触させる工程であってもよい。
提供されるドアインナパネルは、アルミニウム合金製の自動車用ドアインナパネルである。このドアインナパネルは、前記ドアインナパネルの周縁部の少なくとも一部を構成する段差部を有し、前記段差部は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部がこの順に階段状に連続するように構成され、前記ドアインナパネルは、前記第1壁部と前記第2壁部との第1境界部から前記第2壁部と前記第3壁部との第2境界部までの距離と前記第2境界部から前記第3壁部と前記第4壁部との第3境界部までの距離とを足した合計距離を、前記第1境界部から前記第3境界部までの距離で割り算した値が、前記ブランク材の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下である。
以上のように、本発明によれば、段差部を有するドアインナパネルを、アルミニウム合金製の板材からプレス加工によって深絞り成形する自動車用ドアインナパネルの製造方法において、製造工程の工程数の増加を抑制しつつ、前記段差部に割れが生じることを抑制できる技術が提供される。
本発明の実施形態に係る自動車用ドアインナパネルを示す斜視図である。 前記ドアインナパネルの製造方法に用いられるプレス加工装置の概要を示す斜視図である。 プレス加工により成形されるドアインナパネルの前縁部に生じるひずみの分布を、シミュレーションにより解析した結果を示す図である。 前記製造方法に用いられるパンチ及びダイスの形状を説明するための模式図である。 前記製造方法の成形工程を示す概略の断面図である。 前記製造方法の成形工程を示す概略の断面図である。 前記製造方法の成形工程を示す概略の断面図である。 前記製造方法の成形工程を示す概略の断面図である。 前記製造方法の成形工程において、前記ドアインナパネルの前縁部に対応する領域におけるブランク材の厚みの減少率を、シミュレーションにより解析した結果を示す図である。 前記製造方法に用いられるブランク材の成形限界線図の一例を模式的に示す図である。 前記パンチ及び前記ダイスの設計に用いられる数式の一例を導出する方法について説明するための模式図である。 前記パンチ及び前記ダイスの設計に用いられる数式の一例を導出する方法について説明するための模式図である。 前記実施形態の変形例に係る製造方法の工程を示す図である。
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る自動車用ドアインナパネル100を示す斜視図である。
前記ドアインナパネル100は、自動車用のサイドドアの一部を構成する部材である。前記サイドドアは、前記ドアインナパネル100と、当該ドアインナパネル100に対して車両幅方向の外側に配置される図略のドアアウタパネルと、前記ドアインナパネル100と前記ドアアウタパネルとの間に配置される図略の複数の補強部材と、を備える。
図面において適宜示す「前」、「後」、「上」、「下」、「外」及び「内」の文字と矢印は、車両前後方向及び車両幅方向を基準とした方向であって、前記サイドドアが図略の車体のドア開口部を閉じた状態のときの方向を示している。前記「外」の文字と矢印は、車両幅方向の外側を示し、前記「内」の文字と矢印は、車両幅方向の内側を示している。
図1に示すように、前記ドアインナパネル100は、パネル本体部10と、サッシュ部15と、を含む。前記パネル本体部10は、前記ドアインナパネル100のうち、ウエストラインWL(ベルトライン)よりも下方の部分である。前記サッシュ部15は、前記ウエストラインWLよりも上方において、前記アウタパネルの図略のサッシュ部とともに、窓ガラスを保持するための窓枠を形成する部分である。このサッシュ部15は、必須のものではなく、省略されていてもよい。なお、パネル本体部10とサッシュ部15とは、一体の構成であっても、別体の構成であっても良い。具体的には、パネル本体部10とサッシュ部15とは、1枚のブランク材がプレス成形されることにより作製されたものであってもよく、複数のブランク材がそれぞれプレス成形された後にそれらが互いに接合されることにより作製されたものであってもよい。
前記パネル本体部10は、中央部17と、周縁部と、を含む。前記中央部17は、前記車両前後方向及び上下方向に広がって前記パネル本体部10の大半を占める平板状の部分であり、前記車両幅方向の内側を向く内側面を有する。前記中央部17は、必ずしも全体が平板によって構成されていなくてもよく、多少の凹凸を有していてもよい。
前記周縁部は、前記中央部17の周囲を囲む部分である。前記周縁部は、前縁部11と、後縁部12と、下縁部13と、上縁部14と、を含む。
前記前縁部11は、前記ドアインナパネル100における前記パネル本体部10の前側部分を構成し、この前側部分の上端部から下端部まで上下方向に延びるように形成されている。前記後縁部12は、前記パネル本体部10の後側部分を構成し、この後側部分の上端部から下端部まで前記上下方向に延びるように形成されている。前記下縁部13は、前記パネル本体部10の下側部分を構成し、前記前縁部11の下端部から前記後縁部12の下端部まで前記車両前後方向に延びるように形成されている。前記上縁部14は、前記パネル本体部10の上側部分を構成し、前記前縁部11の上端部から前記後縁部12の上端部まで前記車両前後方向に延びるように形成されている。
前記前縁部11は、その少なくとも一部に段差部16を有する。図1に示す実施形態では、前記前縁部11の全体が前記段差部16により構成されている。前記段差部16は、第1壁部161と、第2壁部162と、第3壁部163と、第4壁部164と、を含み、これらの壁部161〜164がこの順に階段状に連続するように構成されている。前記第1壁部161と前記第2壁部162は、これらの壁部161,162の境界部を構成する第1屈曲部B1においてつながる。前記第2壁部162と前記第3壁部163は、これらの壁部162,163の境界部を構成する第2屈曲部B2においてつながる。前記第3壁部163と前記第4壁部164は、これらの壁部163,164の境界部を構成する第3屈曲部B3においてつながる。
前記第1壁部161は、前記第2、第3及び第4壁部162,163,164よりも、前記車両幅方向の内側で、かつ、前記車両前後方向の後側に位置する。前記第1壁部161は、前記パネル本体部10の前記前側部分において上下方向に帯状に延びるように設けられ、前記車両幅方向の内側を向く内側面S1を有する。この内側面S1が向く方向は、必ずしも前記車両幅方向に平行な方向でなくてもよく、前記車両幅方向に対して多少傾斜していてもよい。図1に示す実施形態では、前記第1壁部161は、前記パネル本体部10の前記中央部17と段差を介してつながるが、このような態様に限られない。前記第1壁部161は、前記中央部17と段差を介することなくつながるものであってもよい。
前記第2壁部162は、前記第1屈曲部B1において前記第1壁部161に対して前記車両幅方向の外側に折れ曲がるように形成された部分である。前記第2壁部162は、前記パネル本体部10の前記前側部分において上下方向に帯状に延びるように設けられ、前記車両前後方向の前側を向く前面S2を有する。この前面S2が向く方向は、必ずしも前記車両前後方向に平行な方向でなくてもよく、前記車両前後方向に対して多少傾斜していてもよい。
前記第2壁部162は、例えば図1の一点鎖線IIで囲まれた部位にドアチェック配置部を有する。このドアチェック配置部は、図略のドアチェック機構を構成する部品を配置するための部分である。具体的に、前記ドアチェック配置部は、例えば、前記ドアチェック機構を構成する図略のリンク部材(棒状部材)を挿通する貫通孔を有していてもよい。また、前記ドアチェック配置部は、例えば、前記ドアチェック機構を構成する図略のガイド部材を取り付けるための取付部を有していてもよい。前記ガイド部材は、前記サイドドアの開閉動作に伴って前記リンク部材の表面を摺動しながら、前記リンク部材を案内するための部材である。従って、前記第2壁部162は、前記ドアチェック配置部を設けるための領域が確保されるように、前記車両幅方向において所定の幅を有し、前記上下方向において所定の長さを有する必要がある。
前記第3壁部163は、前記第2屈曲部B2において前記第2壁部162に対して前記車両前後方向の前側に折れ曲がるように形成された部分である。前記第3壁部163は、前記パネル本体部10の前記前側部分において上下方向に帯状に延びるように設けられ、前記車両幅方向の内側を向く内側面S3を有する。この内側面S3が向く方向は、必ずしも前記車両幅方向に平行な方向でなくてもよく、前記車両幅方向に対して多少傾斜していてもよい。
前記第3壁部163は、シール配置部を有する。このシール配置部は、図略のシール部材を取り付けるための部分である。このシール部材は、前記サイドドアが前記車体の前記ドア開口部を閉じた状態のときに、このドア開口部を画定する前記車体の部分と前記サイドドアとのシール性(密閉性)を高めるための部材である。従って、前記第3壁部163は、前記シール配置部を設けるための領域が確保されるように、前記車両前後方向において所定の幅を有し、前記上下方向において所定の長さを有する必要がある。
前記第4壁部164は、前記第3屈曲部B3において前記第3壁部163に対して前記車両幅方向の外側に折れ曲がるように形成された部分である。前記第4壁部164は、前記パネル本体部10の前記前側部分において上下方向に帯状に延びるように設けられ、前記車両前後方向の前側を向く前面S4を有する。この前面S4が向く方向は、必ずしも前記車両前後方向に平行な方向でなくてもよく、前記車両前後方向に対して多少傾斜していてもよい。
前記周縁部を構成する前記後縁部12、前記下縁部13及び前記上縁部14のそれぞれは、前記前縁部11の前記段差部16と同様の段差部を有していてもよいが、前記後縁部12、前記下縁部13及び前記上縁部14において、前記段差部は必須のものではない。
図2は、前記ドアインナパネル100の製造方法に用いられるプレス加工装置の概要を示す斜視図である。図2に示すように、前記プレス加工装置は、パンチ31(第1金型の一例)と、ダイス32(第2金型の一例)と、ブランクホルダ33と、図略の駆動部と、を備える。
前記パンチ31は、プレス金型のオス型部品を構成する。前記パンチ31は、前記ドアインナパネル100における前記車両幅方向の外側の表面の形状に対応する形状(凸形状)を有する。
前記ダイス32は、前記プレス金型のメス型部品を構成する。前記ダイス32は、前記ドアインナパネル100における前記車両幅方向の内側の表面の形状に対応する形状(凹形状)を有する。前記ダイス32の前記凹形状は、前記パンチ31の前記凸形状に対応する形状である。前記ダイス32は、ダイス本体部32Aと、外周保持部32Bと、を含む。前記ダイス本体部32Aは、前記凹形状を構成する部分であり、前記外周保持部32Bは、当該ダイス本体部32Aの周囲に設けられた部分である。
前記ブランクホルダ33は、ブランク材1の外周部(被保持部)を保持するための部品である。前記ブランクホルダ33は、前記ダイス32の外周保持部32Bの表面に対向する押圧面33Sを有する。前記ブランクホルダ33は、前記押圧面33Sの内側に形成され、前記パンチ31が出入りすることが可能な大きさの貫通孔33aを有する。
前記駆動部は、金型駆動機構を含む。この金型駆動機構は、前記パンチ31と前記ダイス32が近づく接近方向とその反対方向に前記パンチ31及び前記ダイス32の少なくとも一方を移動させるように作動する。具体的に、前記金型駆動機構は、前記パンチ31と前記ダイス32とが互いに離れた離隔位置と、前記パンチ31と前記ダイス32とが嵌合する嵌合位置との間のストローク範囲において、前記パンチ31及び前記ダイス32の少なくとも一方を変位させることができる。以下では、前記嵌合位置のことを下死点と称することがある。
本実施形態では、前記金型駆動機構は、前記ダイス32を、前記接近方向である下方と前記接近方向の反対方向である上方とに変位させるように構成されているが、このような態様に限られない。前記金型駆動機構は、後述する変形例のように、前記パンチ31を、前記ダイス32に近づける接近方向とその反対方向に変位させるように構成されていてもよい。
前記駆動部は、ホルダ駆動機構をさらに含んでいてもよい。このホルダ駆動機構は、前記ブランクホルダ33を前記接近方向と平行な方向(本実施形態では下方)とその反対方向(本実施形態では上方)に移動させるように作動する。具体的に、前記ホルダ駆動機構は、後述する図5に示す成形工程の初期の段階の位置と図8に示す成形工程の終期の段階の位置との間のストローク範囲において前記ブランクホルダ33を変位させることができる。なお、前記金型駆動機構がダイス32とブランクホルダ33の両方を移動させることが可能なように構成されている場合には、前記ホルダ駆動機構は省略可能である。
前記ブランク材1は、前記プレス加工装置を用いたプレス加工のために所定の寸法に打ち抜き又は切断された板状の素材である。本実施形態では、前記ブランク材1として、アルミニウム合金製の板材が用いられる。前記アルミニウム合金としては、例えば、5000系アルミニウム合金、6000系アルミニウム合金、7000系アルミニウム合金などを挙げることができるが、これらに限られない。
図2に示すように、本実施形態に係るプレス加工装置では、ダイス32がパンチ31及びブランクホルダ33の上方に配置されている。パンチ31は、プレス加工装置に含まれる図略の支持部材に支持された状態で当該支持部材に固定されている。ダイス32及びブランクホルダ33は前記駆動部によりパンチ31に対して上下方向に移動することが可能なように構成されている。ただし、プレス加工装置は、本実施形態に係る構成に限定されない。例えば、プレス加工装置は、ダイス32がパンチ31及びブランクホルダ33の下方又は側方に配置されるように構成されていてもよい。以下、本実施形態に係る製造方法について具体的に説明する。
この製造方法は、設置工程と、保持工程と、成形工程と、を含む。前記設置工程は、前記ブランクホルダ33に前記ブランク材1を設置する工程である。前記保持工程は、前記ダイス32と前記ブランクホルダ33とにより前記ブランク材1を保持する工程である。前記成形工程は、前記パンチ31と前記ダイス32により前記ブランク材1を前記ドアインナパネル100に成形する工程である。
前記設置工程では、ダイス32は、ブランクホルダ33に対して上方に離れた位置に配置されている。この設置工程では、前記ブランク材1は、前記ブランクホルダ33の前記貫通孔33aを覆うように前記ブランクホルダ33上に設置される。前記ブランク材1は、前記ブランクホルダ33上に設置されたときに当該ブランクホルダ33の前記貫通孔33aを塞ぐ領域である中央部1Aと、前記ブランクホルダ33の押圧面33Sに対向する外周部1Bと、を含む。
この設置工程においてパンチ31に対するブランクホルダ33の相対位置は、当該設置工程においてブランク材1がブランクホルダ33上に設置されたときにパンチ31の上面の少なくとも一部が前記ブランク材1の中央部1Aの下面に近接又は接触した状態となるように調節されていることが好ましい。具体的に、本実施形態では、前記相対位置は、例えば図5に示されるようにパンチ31の上面の一部である前記第1成形面311がブランク材1の中央部1Aの下面に近接又は接触した状態となるように調節される。
前記保持工程では、前記ダイス32は、前記駆動部により前記ブランクホルダ33に近づく方向(前記接近方向)に移動する。これにより、図5に示されているように、前記ブランク材1の前記外周部1Bが前記ブランクホルダ33の押圧面33Sと前記ダイス32の前記外周保持部32Bの表面(本実施形態では下面)との間に所定の押圧力で挟まれる。その結果、前記ブランク材1は、前記ダイス32及び前記ブランクホルダ33にしわのない状態で保持される。この保持工程が完了した時点において、パンチ31の第1成形面311は、ブランク材1の中央部1Aの下面に近接又は接触している。
この保持工程の後、以下に説明する成形工程が行われる。前記駆動部は、前記保持工程において前記ダイス32及び前記ブランクホルダ33を前記接近方向に移動させ、当該保持工程が完了した時点(例えば図5に示されている時点)でダイス32及びブランクホルダ33を一旦停止させ、次の成形工程の開始時点においてダイス32及びブランクホルダ33の前記接近方向への移動を再開させてもよい。また、前記駆動部は、前記保持工程においてダイス32及びブランクホルダ33を前記接近方向に移動させ、当該保持工程が完了した時点でダイス32及びブランクホルダ33を停止させることなく次の成形工程においてダイス32及びブランクホルダ33の前記接近方向への移動をそのまま継続させてもよい。
前記成形工程では、前記ダイス32及び前記ブランクホルダ33は、図5に示される状態から、前記駆動部により前記パンチ31に対して前記接近方向に相対移動する。これにより、前記ブランク材1が前記パンチ31と前記ダイス32に挟まれて変形し始める。そして、前記ダイス32が、図8に示されているように前記下死点に到達することにより、前記ブランク材1が前記ドアインナパネル100の形状に成形される。
図3は、深絞りのプレス加工により成形されたドアインナパネル100の前縁部11に生じるひずみの分布を、シミュレーションにより解析した結果を示す図である。図3は、図1の一点鎖線IIで囲まれた部位における前記ひずみの分布の解析結果を示す。図3は、前記前縁部11の前記段差部16において、図3中に折れ線の矢印TSの方向に引張ひずみが生じていることを示している。このため、前記段差部16を有するドアインナパネル100を、前記アルミニウム合金製の前記ブランク材1から従来の製造方法におけるプレス加工によって深絞り成形すると、前記段差部16に割れが発生する可能性がある。
また、図3は、前記前縁部11の前記段差部16において、上下方向のひずみがほとんど生じていないことを示している。すなわち、図3は、前記プレス加工において、前記矢印TSの方向に引張りひずみが生じる一方で前記上下方向にはひずみがほとんど生じない平面ひずみの状態で、前記前縁部11の前記段差部16における変形が進行することを示している。
本実施形態に係る製造方法は、前記段差部16において前記引張ひずみに起因する割れを生じさせずに前記アルミニウム合金製の前記ブランク材1から1回の深絞りで前記ドアインナパネル100を深絞り成形することができる。
以下では、前記パンチ31及び前記ダイス32の特徴のうち、主に、前記ドアインナパネル100における前記前縁部11の前記段差部16を成形するための部分の特徴について具体的に説明する。
図4は、前記製造方法に用いられる前記パンチ31及び前記ダイス32の形状を説明するための模式図である。図4は、前記パンチ31及び前記ダイス32のうち、前記前縁部11の前記段差部16を成形するための部分の形状を示している。図4に示す接近方向の矢印は、前記成形工程において、前記ダイス32が前記パンチ31に近づく方向を示している。図4において括弧内に示す前後及び内外の矢印は、前記パンチ31及び前記ダイス32により成形される前記ドアインナパネル100を含む前記サイドドアが前記車体のドア開口部を閉じた状態のときの方向を示している。
図5〜図8は、前記製造方法の前記成形工程をそれぞれ示す概略の断面図である。図5〜図8の断面図における断面の位置は、図2の一番上の図(前記ダイス32の図)におけるV−V線で示される位置である。図5は、前記保持工程が完了した後に行われる前記成形工程の初期の段階を示している。具体的には、図5は、前記保持工程が完了した時点及び前記成形工程が開始される時点におけるパンチ31、ダイス32、ブランクホルダ33及びブランク材1の配置を示している。この図5では、前記ブランク材1が前記ダイス32と前記ブランクホルダ33により保持されている。図8は、前記成形工程の終期の段階を示している。具体的には、図8は、成形工程が完了した時点におけるパンチ31、ダイス32、ブランクホルダ33及びブランク材1の配置を示している。図5〜図8に示すように、前記ダイス32は、前記成形工程において、図5に示す位置から前記接近方向(プレス方向)に向かって前記パンチ31に対して相対移動することにより、図6に示す位置及び図7に示す位置にこの順に到達し、最終的に図8に示す前記嵌合位置(前記下死点)に到達する。
図5に示すように、前記パンチ31は、中央部310と、前記中央部310の周りに位置する周縁部と、を含む。前記周縁部は、図4及び図5に示すように、前記ドアインナパネル100の前記前縁部11に対応する部分を有し、当該部分は、階段状に連続する第1成形面311、第2成形面312、第3成形面313及び第4成形面314を有する。前記ダイス32の前記ダイス本体部32Aは、中央部320と、前記中央部320の周りに位置する周縁部と、を含む。前記ダイス本体部32Aの周縁部は、前記ドアインナパネル100の前記前縁部11に対応する部分を有し、当該部分は、階段状に連続する第1成形面321、第2成形面322、第3成形面323及び第4成形面324を有する。
前記パンチ31における前記第1成形面311及び前記第2成形面312は凸部(第1パンチ凸部)を構成し、前記ダイス32における前記第1成形面321及び前記第2成形面322は、前記パンチ31の前記第1パンチ凸部に対応する形状を有する凹部(第1ダイス凹部)を構成する。前記パンチ31における前記第2成形面312及び前記第3成形面313は凹部(パンチ凹部)を構成し、前記ダイス32における前記第2成形面322及び前記第3成形面323は、前記パンチ31の前記パンチ凹部に対応する形状を有する凸部(ダイス凸部)を構成する。前記パンチ31における前記第3成形面313及び前記第4成形面314は凸部(第2パンチ凸部)を構成し、前記ダイス32における前記第3成形面323及び前記第4成形面324は、前記パンチ31の前記第2パンチ凸部に対応する形状を有する凹部(第2ダイス凹部)を構成する。
以下では、前記パンチ31の前記第1成形面311と前記第2成形面312の境界部を第1境界部B11と呼び、前記パンチ31の前記第2成形面312と前記第3成形面313の境界部を第2境界部B12と呼び、前記パンチ31の前記第3成形面313と前記第4成形面314の境界部を第3境界部B13と呼ぶ。また、前記ダイス32の前記第2成形面322と前記第3成形面323の境界部を第4境界部B14と呼ぶ。
前記パンチ31の前記第1成形面311と前記ダイス32の前記第1成形面321は、協働して前記段差部16の前記第1壁部161を成形する。前記パンチ31の前記第2成形面312と前記ダイス32の前記第2成形面322は、協働して前記段差部16の前記第2壁部162を成形する。前記パンチ31の前記第3成形面313と前記ダイス32の前記第3成形面323は、協働して前記段差部16の前記第3壁部163を成形する。前記パンチ31の前記第4成形面314と前記ダイス32の前記第4成形面324は、協働して前記段差部16の前記第4壁部164を成形する。
前記パンチ31及び前記ダイス32は、以下で説明する第1条件と第2条件とが満たされるように設計されている。本実施形態に係る製造方法は、以下のように設計される前記パンチ31及び前記ダイス32を用いて、アルミニウム合金製の前記ブランク材1から前記段差部16を有する前記ドアインナパネル100を、1回の深絞りで成形し、成形された前記ドアインナパネル100の前記段差部に割れが生じることを抑制できる。
なお、以下に示す前記第1条件及び前記第2条件は、前記パンチ31の寸法及び角度により規定されているが、前記ダイス32は、前記パンチ31の寸法及び角度に対応する寸法及び角度を有する形状に設計される。
[第1条件]
前記第1条件は、前記パンチ31の前記第1境界部B11、前記パンチ31の前記第3境界部B13及び前記ダイス32の前記第4境界部B14のうち、まず、前記第1境界部B11が前記ブランク材1に接触する第1工程が行われ、その後、前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触すると同時に、又は前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触する前に、前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触する第2工程が行われるという条件である。
前記第1条件は、例えば次の式(1)により表される。
Figure 2021171781
この式(1)において、寸法H、寸法H1、寸法W、角度θ1及び角度θ2は、図4にそれぞれ示されている値である。具体的に、前記寸法Hは、前記パンチ31の前記第1境界部B11から前記パンチ31の前記第4成形面314の端部Eまでの前記接近方向(前記プレス方向)の長さである。この寸法Hは、前記ドアインナパネル100における前記段差部16の前記車両幅方向の寸法(縦壁高さ)に対応する長さである。前記端部Eは、図8の断面図に示す状態、すなわち、前記パンチ31と前記ダイス32が前記嵌合位置(下死点)に配置されている状態において、第4成形面314の延長線とブランクホルダ33の押圧面33Sの延長線とが交わる交点である。
前記寸法H1は、前記パンチ31における前記第3成形面313の位置を示す。具体的に、前記寸法H1は、前記パンチ31の前記第2境界部B12から前記パンチ31の前記端部Eまでの前記接近方向の長さである。この寸法H1は、前記ドアインナパネル100の前記段差部16における前記第3壁部163の前記車両幅方向の位置を表すことができる長さである。
なお、前記第1境界部B11、前記第2境界部B12、前記第3境界部B13などの境界部は、図4に示すようにとがった角部により構成される場合だけでなく、湾曲した形状を有する湾曲部により構成される場合がある。前記境界部が前記湾曲部により構成される場合であっても、その曲率半径が小さい場合(例えば曲率半径が30mm以下である場合)には、その境界部が図4に示すとがった角部のような形状を有するものとみなして前記寸法H及び前記寸法H1のそれぞれを設定することができる。このことは、後述する寸法W、合計距離L、距離Lを設定する場合についても同様である。上記のように前記寸法を設定することがパンチ31及びダイス32の設計に与える影響はわずかであるので、上記のように前記寸法を設定した場合であっても、以下に説明する前記第1条件及び前記第2条件が満たされるように前記パンチ31及び前記ダイス32を設計することにより、前記段差部16に割れを生じさせることなく、前記ブランク材1から1回の深絞りで前記ドアインナパネル100を深絞り成形することができる。
前記寸法Wは、前記パンチ31における前記第3成形面313の幅(前記接近方向に直交する方向の幅)を示す。前記寸法Wは、前記ドアインナパネル100の前記第3壁部163の前記車両前後方向の幅に対応する寸法である。
前記角度θ1は、前記パンチ31における前記第4成形面314の角度である。具体的に、前記角度θ1は、前記パンチ31の前記第4成形面314と直線L1とのなす角度である。前記直線L1は、前記第4成形面314の前記端部Eを通り、前記接近方向に直交する直線のうち、前記ドアインナパネル100の前記車両前後方向に対応する方向に平行な直線である。
前記角度θ2は、前記パンチ31における前記第2成形面312の角度である。前記角度θ2は、前記パンチ31の前記第1成形面311と前記第2成形面312とのなす角度である。具体的に、前記角度θ2は、前記第1成形面311と前記第2成形面312を前記ダイス32側に延長した仮想面(図4では一点鎖線L2)とのなす角度である。
図5〜図8に示す具体例を参照して前記第1条件について説明する。
この第1条件における前記第1工程は、上述したようにパンチ31の第1境界部B11がブランク材1に接触する工程である。この第1工程は、前記保持工程に含まれる工程であってもよく、前記成形工程に含まれる工程であってもよい。
本実施形態では、上述したように、図5に示す前記保持工程が完了した時点においてパンチ31の第1成形面311がブランク材1の中央部1Aの下面に近接又は接触している。ここで、前記保持工程が完了した時点においてパンチ31の第1境界部B11がブランク材1に接触している場合には、前記第1工程は、前記保持工程に含まれる。一方、前記保持工程が完了した時点においてパンチ31の第1境界部B11がブランク材1の近くにあるがブランク材1には接触していない場合には、前記第1工程は、当該保持工程の後に行われる成形工程に含まれる。
図5に示すように、前記保持工程において前記ブランク材1が前記ダイス32と前記ブランクホルダ33により保持された後、前記成形工程では、前記駆動部がダイス32及びブランクホルダ33を前記接近方向(前記プレス方向)に移動させる。これにより、ダイス32及びブランクホルダ33に保持されたブランク材1も前記接近方向に移動する。図5に示す前記成形工程の初期の段階では、前記ダイス32の第1〜第4成形面321〜324(第4成形面324の前記端部Eを除く)は、未だ前記ブランク材1に接触していない。図5に示す前記保持工程が完了した時点においてパンチ31の第1境界部B11がブランク材1に接触していない場合には、図5に示す前記成形工程の初期の段階からダイス32及びブランクホルダ33が前記接近方向に移動することにより前記第1工程が行われる。前記第1工程では、前記パンチ31の前記第1境界部B11が前記ブランク材1に接触する。
前記成形工程の次の段階では、前記第2工程が行われる。前記第2工程では、前記駆動部によってダイス32及びブランクホルダ33が前記接近方向にさらに移動することにより、図6に示すように前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触する。この第2工程において前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触すると、前記ブランク材1の一部分であるブリッジ部BRは、前記第1境界部B11と前記第3境界部B13との間に架け渡されるように配置される。すなわち、前記ブリッジ部BRは、その両端において前記第1境界部B11及び前記第3境界部B13に支持される。
なお、図6における「下死点50mmup」とは、前記パンチ31と前記ダイス32とが嵌合する前記下死点に配置されている状態(図8に示す状態)を基準とした場合に、前記ダイス32が前記下死点から50mm離れていることを意味する。図7における「下死点20mmup」や他の図における同様の記載についても上記と同様のことを意味する。
前記成形工程の次の段階では、前記駆動部によってダイス32及びブランクホルダ33が前記接近方向にさらに移動し、図7に示すように前記ダイス32の前記第4境界部B14が前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに接触する。この第4境界部B14は、前記第1及び第3境界部B11,B13が接触する前記ブランク材1の表面とは反対側の表面に接触する。また、前記第4境界部B14は、前記ブリッジ部BRの中間部、すなわち、前記ブリッジ部BRのうち、前記第1及び第3境界部B11,B13に支持される前記両端の間の部分に接触する。
なお、図5〜図8に示す具体例では、前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触する前に前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触するが、本実施形態に係る製造方法では、前記第3境界部B13及び前記第4境界部B14が前記ブランク材1に同時に接触してもよい。
前記成形工程の終期の段階では、前記駆動部によって前記ダイス32及びブランクホルダ33が前記接近方向にさらに移動し、図8に示すように前記ダイス32が前記下死点(前記嵌合位置)に到達することにより、前記ブランク材1が前記ドアインナパネル100の形状に成形される。
[第2条件]
前記第2条件は、前記第1境界部B11から前記第2境界部B12までの距離(図4では、前記第1境界部B11から前記第2境界部B12までの長さ)と、前記第2境界部B12から前記第3境界部B13までの距離(図4では、符号Wで示される前記第2境界部B12から前記第3境界部B13までの長さ)とを足した前記合計距離Lを、前記第1境界部B11から前記第3境界部B13までの距離Lで割り算した値が、前記ブランク材1の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下であるという条件である。
前記第2条件は、例えば次の式(2)により表される。下式(2)では、前記上限値は「A+1」に設定されている。
Figure 2021171781
本実施形態では、式(2)中のAは、後述する図10に示す成形限界線図に示すように平面ひずみの状態のときの破断限界の値に設定されるが、このような態様に限られない。式(2)中のAは、例えば、前記破断限界の値に安全率が加味された値であってもよい。なお、前記破断限界は、図10に示す成形限界線上のひずみの大きさである。
図9は、前記製造方法の成形工程において、前記ドアインナパネル100の前縁部11に対応する領域におけるブランク材1の厚みの減少率を、シミュレーションにより解析した結果を示す図である。図9における断面の位置は、図2の一番上の図における前記V−V線のうち、前記ドアインナパネル100の前記前縁部11に対応する領域を含む位置である。
具体的には、図9の3つの図のそれぞれにおいて、前記ブランク材1の断面は、前記第1境界部B11と前記第3境界部B13との間に架け渡されて前記第1境界部B11から前記第3境界部B13に向かって右斜め下方に延びるように直線状(一番下の図では折れ線状)に描かれた部分(断面部分)を含む。この断面部分は、符号BRの引き出し線の先端が指し示す部分である。また、これらの3つの図のそれぞれにおいて、前記ブランク材1は、前記断面部分から奥行き方向に面状に広がるように3次元的に描かれており、この奥行き方向に広がる部分(面状部分)には、図9の左に描かれたレンジ(Thinning(engineer value))に対応する濃淡が付けられている。図9の一番上の図及び上から2番目の図のそれぞれは、前記面状部分の濃淡とレンジとの比較からわかるように、前記ブランク材1の前記断面部分及び前記面状部分にはひずみがほとんど生じていないこと、すなわち、前記ブリッジ部BRにはひずみがほとんど生じていないことを示している。具体的には以下の通りである。
図9の一番上の図は、前記第2工程において前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触し、前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRが前記第1境界部B11と前記第3境界部B13との間に架け渡されるように配置され、前記ダイス32の前記第4境界部B14は前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに未だ接触していない状態を示す。
図9の上から2番目の図は、前記一番上の図の状態から、前記パンチ31と前記ダイス32がさらに近づいて、前記ダイス32の前記第4境界部B14が前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに接触する直前の状態を示す。図9の一番上の図と2番目の図に示されるシミュレーションによる解析結果は、これらの図に示される時点において前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRにはひずみがほとんど生じていないことを示している。
図9の一番下の図は、前記2番目の図の状態から、前記パンチ31と前記ダイス32がさらに近づいて、前記ダイス32の前記第4境界部B14が、前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに接触して当該ブリッジ部BRを変形させている状態を示す。図9の一番下の図に示されるシミュレーションによる解析結果は、この図に示される時点において前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRにひずみが生じ始めていることを示している。
図9に示されるシミュレーションによる解析結果は、本実施形態に係る製造方法における前記第1条件が満たされるような順序で前記第1境界部B11、前記第3境界部B13及び前記ダイス32の前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触する場合、前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRの変形が引張曲げのような変形形態で進行することを示している。すなわち、前記ブリッジ部BRは、前記ブリッジ部BRの前記両端において前記パンチ31の前記第1及び第3境界部B11,B13に支持された状態で、前記ブリッジ部BRの前記中間部が前記ダイス32の前記第4境界部B14により押圧されることにより、前記ブリッジ部BRが伸長しながら曲げられる引張曲げのような変形形態で変形する。このとき、前記第1及び第3境界部B11,B13に支持される前記ブランク材1の部位(前記ブリッジ部BRの前記両端)は、前記第1及び第3境界部B11,B13との摩擦力により位置ずれが抑制される。よって、前記ブリッジ部BRに生じるひずみ量は、前記ブリッジ部BRの長さの変化(図5〜図9の断面図における前記ブリッジ部BRの線長変化)と対応する。
従って、前記第1条件が満たされるように前記パンチ31及び前記ダイス32が設計されることにより、前記成形工程において、前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRを上記のような引張曲げのような変形形態で変形させることができる。そして、前記ブリッジ部BRを上記のような引張曲げのような変形形態で変形させることができれば、前記成形工程における前記ブリッジ部BRの挙動がシンプルなものとなる。すなわち、前記ブリッジ部BRの変形の許容範囲を、前記距離L(ひずみが生じる前の前記ブリッジ部BRの長さ)と前記合計距離L(成形によりひずみが生じた後のブリッジ部BRの長さ)との関係に基づいて規定することができる(前記第2条件)。
上記のことから、前記第1条件及び前記第2条件が満たされるように前記パンチ31及び前記ダイス32を設計することにより、前記成形工程において前記ブリッジ部BRに割れを生じさせずに前記ブランク材1から前記ドアインナパネル100を絞り成形することができる。すなわち、本実施形態に係る製造方法によれば、製造工程の工程数の増加の抑制と前記段差部16の割れの抑制とを実現するための設計指針を提供することができるので、前記パンチ31及び前記ダイス32の設計が容易になる。
図10は、前記製造方法に用いられるブランク材の成形限界線図の一例を模式的に示す図である。図10における矢印Aは、平面ひずみの状態で前記ブランク材1が変形するときの破断限界を示す。図3を参照して説明したように、前記ブランク材1から前記ドアインナパネル100をプレス加工によって深絞り成形するときには、前記前縁部11の前記段差部16において図3における前記矢印TSの方向に引張りひずみが生じる一方で前記上下方向にはひずみがほとんど生じない平面ひずみの状態で、前記前縁部11の前記段差部16の変形が進行する。
従って、前記第2条件における前記上限値は、図10における平面ひずみの状態のときの前記ブランク材1の破断限界Aに基づいて設定することができる。すなわち、この破断限界Aは、図10に示すグラフの成形限界線上の値のうち、Minor strainがゼロのときの値である。これにより、前記パンチ31及び前記ダイス32の設計がさらに容易になる。
なお、前記第1条件及び前記第2条件は、例えば図4に示すような複数のパラメータ(前記寸法H、前記寸法H1、前記幅W、前記角度θ1及び前記角度θ2)を適切な値に設定することにより満たされる。
次に、上記の式(1)の導出方法について説明する。
図11及び図12は、前記式(1)を導出する方法について説明するための模式図である。図11に示すように、前記成形工程において、前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触するタイミングにおける前記パンチ31と前記ダイス32との距離をApとし、図12に示すように、前記成形工程において、前記ダイス32の前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触するタイミングにおける前記パンチ31と前記ダイス32との距離をAdとする。
図11において破線の枠で囲んだ部分の距離に着目すると、前記距離Apと、複数のパラメータ(前記寸法H、前記寸法H1、前記幅W、前記角度θ1及び前記角度θ2)との幾何学的関係から、次の式(3)が成り立つ。
Figure 2021171781
この式(3)を変形すると、次の式(4)が得られる。
Figure 2021171781
次に、図12において破線の枠で囲んだ部分の距離に着目すると、前記距離Adと、複数のパラメータ(前記寸法H、前記寸法H1、前記幅W、前記角度θ1及び前記角度θ2)との幾何学的関係から、次の式(5)が成り立つ。
Figure 2021171781
この式(5)を変形すると、次の式(6)が得られる。
Figure 2021171781
ここで、前記第1条件が満たされるためには、次の式(7)が成立する必要がある。
Figure 2021171781
前記式(4)の右辺及び前記式(6)の右辺を前記式(7)に代入して整理すると、下記式(1)が得られる。
Figure 2021171781
次に、上記の式(2)の導出方法について説明する。
前記成形工程において、前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに生じるひずみは、元の長さLに対する変形量で表され、この変形量が、例えば図10に示す成形限界線図における平面ひずみの状態のときの破断限界の値A以下であることを示す条件は、次の式(8)により表される。
Figure 2021171781
この式(8)を変形すると、次の式(2)が得られる。
Figure 2021171781
[変形例]
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような形態を含む。
(A)自動車用ドアについて
前記実施形態では、前記ドアインナパネル100は前記サイドドアの一部を構成する部材であるが、このような態様に限られない。前記ドアインナパネルは、リヤドアなどの前記サイドドア以外の自動車用ドアの一部を構成する部材であってもよい。
(B)段差部について
前記実施形態では、前記段差部16は、前記ドアインナパネル100の前縁部11を構成するものであるが、このような態様に限られない。前記段差部は、前記ドアインナパネルの周縁部の少なくとも一部を構成するものであればよい。具体的に、前記段差部は、例えば、前記後縁部を構成するものであってもよく、前記下縁部を構成するものであってもよく、前記上縁部を構成するものであってもよい。
(C)第1金型及び第2金型について
前記実施形態では、前記第1金型(前記パンチ31)及び前記第2金型(前記ダイス32)は、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように設計される。ただし、前記パンチ31及び前記ダイス32において、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように設計される部分は、前記ドアインナパネル100の周縁部の全体に対応する部分でなくてもよく、前記周縁部の一部に対応する部分でよい。すなわち、前記周縁部の一部として、前記プレス加工によって深絞り成形されるときに割れが生じやすい部分が選ばれればよい。
また、前記パンチ31及び前記ダイス32において、前記第1条件及び前記第2条件を満たすように設計される部分は、例えば図5〜図9の断面図に描かれる断面を含む上下方向の長さをもつ範囲であり、当該範囲は、前記プレス加工によって深絞り成形されるときに割れが生じやすい部分に対応する範囲である。
(D)数式について
前記実施形態では、前記成形工程において前記第1境界部B11、前記第3境界部B13及び前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触する順序を規定する前記第1条件を表現する数式の一例として、前記式(1)が採用されている。ただし、本発明の製造方法では、前記第1条件を表現する数式は、前記式(1)に限られない。
同様に、前記実施形態では、前記合計距離Lを前記距離Lで割り算した値が前記ブランク材1の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下であることを規定する前記第2条件を表現する数式の一例として、前記式(2)が採用されている。ただし、本発明の製造方法では、前記第2条件を表現する数式は、前記式(2)に限られない。
(E)パンチとダイスの相対移動について
前記実施形態では、前記プレス加工装置は、前記パンチ31が前記支持部材に固定され、前記ダイス32が前記駆動部により前記接近方向及びその反対方向に移動することができるように構成されるが、このような態様に限られない。前記プレス加工装置は、パンチ31が前記接近方向とその反対方向に移動することができ、かつ、ダイス32が前記接近方向とその反対方向に移動することができるように構成されていてもよい。また、前記プレス加工装置は、前記ダイス32が図略の支持部材に固定され、パンチ31がダイス32に対して前記接近方向とその反対方向に移動することができるように構成されていてもよい。
以下では、ダイス32が前記支持部材に固定され、パンチ31が前記駆動部により移動する場合の変形例について具体的に説明する。図13は、前記実施形態の変形例に係る製造方法の工程を示す図である。図13に示す変形例に係る製造方法では、前記駆動部の前記金型駆動機構は、前記パンチ31を、前記接近方向とこの接近方向の反対方向とに変位させるように構成されている。
前記駆動部の前記ホルダ駆動機構は、前記ブランクホルダ33と前記ダイス32とが互いに近づく方向及びその反対方向に前記ブランクホルダ33及び前記ダイス32の少なくとも一方を移動させるように作動する。具体的に、前記ホルダ駆動機構は、離隔位置と押圧位置との間のストローク範囲において、前記ブランクホルダ33及び前記ダイス32の少なくとも一方を変位させることができる。前記離隔位置は、前記ブランクホルダ33と前記ダイス32とが互いに離れた位置である。前記押圧位置は、前記ブランクホルダ33の前記押圧面33Sと前記ダイス32の外周保持部32Bの表面との間に前記ブランク材1の外周部1Bを介在させた状態で前記押圧面33Sが前記ブランク材1を押圧することが可能な位置である。
この変形例に係る製造方法は、前記実施形態と同様に、設置工程と、保持工程と、成形工程と、を含む。前記設置工程は、前記ダイス32に前記ブランク材1を設置する工程である。前記保持工程は、前記ダイス32と前記ブランクホルダ33とにより前記ブランク材1を保持する工程である。前記成形工程は、前記パンチ31と前記ダイス32により前記ブランク材1を前記ドアインナパネル100に成形する工程である。
図13では、前記ダイス本体部32Aにおける前記凹形状の開口が上側に位置するような向きでダイス32が描かれ、当該ダイス32の上に前記ブランク材1、前記ブランクホルダ33及び前記パンチ31がこの順に重なるような配置でこれらの部材が描かれているが、これらの部材の配置は、図13に示す配置に限られない。図13では、各工程を説明する際に、前記パンチ31、前記ダイス32、前記ブランクホルダ33及び前記ブランク材1の位置関係がわかりやすいように、これらの部材が便宜上、上記のような配置で描かれている。従って、この変形例では、これらの部材は、例えば図13とは上下が逆となるように配置されていてもよく、側方に並ぶように配置されていてもよい。
前記設置工程では、図13における一番上の図に示されているように、前記ブランク材1は、前記ダイス32の前記ダイス本体部32Aを覆うように当該ダイス32に設置される。前記ブランク材1は、前記ダイス本体部32Aを覆うように設置されたときに当該ダイス本体部32Aに対向する領域である中央部1Aと、前記ダイス32の前記外周保持部32Bに対向する外周部1Bと、を含む。
前記保持工程では、前記ブランクホルダ33は、前記ホルダ駆動機構により前記ダイス32に近づく方向に相対移動する。これにより、図13における上から2番目の図に示されているように、前記ブランク材1の前記外周部1Bが前記ブランクホルダ33の押圧面33Sと前記ダイス32の前記外周保持部32Bの表面との間に所定の押圧力で挟まれる。その結果、前記ブランク材1は、前記ダイス32及び前記ブランクホルダ33にしわのない状態で保持される。この保持工程が完了した時点において、前記パンチ31は、前記ブランク材1から離れた位置に配置されている。
前記成形工程では、前記パンチ31は、前記金型駆動機構により前記ダイス32に対して前記接近方向に相対移動することにより、図13における上から3番目の図に示されているように、前記ブランク材1に近接又は接触する(例えば図5に示されるような成形工程の初期の段階)。その後、前記パンチ31が前記金型駆動機構により前記接近方向にさらに相対移動することにより、前記ブランク材1が前記パンチ31と前記ダイス32に挟まれて変形し始める(例えば図6及び図7に示されるような成形工程の段階)。そして、前記パンチ31が、図13における一番下の図に示されているように前記下死点に到達することにより、前記ブランク材1が前記ドアインナパネル100の形状に成形される(例えば図8に示されるような成形工程の終期の段階)。
この変形例においても、前記パンチ31及び前記ダイス32は、上述した第1条件と第2条件とが満たされるように設計されている。この変形例では、前記第1条件における前記第1工程、すなわち、パンチ31の第1境界部B11がブランク材1に接触する工程は、前記成形工程に含まれる工程である。すなわち、前記保持工程が完了した時点において前記ブランク材1から離れた位置に配置された前記パンチ31が前記成形工程において前記接近方向に移動することにより、当該パンチ31の前記第1境界部B11が前記ブランク材1に接触する前記第1工程が行われる。
前記成形工程の次の段階では、前記第2工程が行われる。前記第2工程では、前記駆動部の前記金型駆動機構によって前記パンチ31が前記接近方向にさらに移動することにより、前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触する(例えば図6に示される状態)。この第2工程において前記パンチ31の前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触すると、前記ブランク材1の一部分であるブリッジ部BRは、前記第1境界部B11と前記第3境界部B13との間に架け渡されるように配置される。すなわち、前記ブリッジ部BRは、その両端において前記第1境界部B11及び前記第3境界部B13に支持される。
前記成形工程の次の段階では、前記金型駆動機構によって前記パンチ31が前記接近方向にさらに移動し、前記ダイス32の前記第4境界部B14が前記ブランク材1の前記ブリッジ部BRに接触する(例えば図7に示される状態)。なお、この変形例では、前記第4境界部B14が前記ブランク材1に接触する前に前記第3境界部B13が前記ブランク材1に接触するが、前記第3境界部B13及び前記第4境界部B14が前記ブランク材1に同時に接触してもよい。
前記成形工程の終期の段階では、前記金型駆動機構によって前記パンチ31が前記接近方向にさらに移動し、前記パンチ31が前記ダイス32に嵌合する下死点(嵌合位置)に到達することにより、前記ブランク材1が前記ドアインナパネル100の形状に成形される(例えば図8に示される状態)。
1 ブランク材
1B ブランク材の外周部
16 インナパネルの段差部
31 パンチ(第1金型の一例)
32 ダイス(第2金型の一例)
100 自動車用ドアインナパネル
161 ドアインナパネルの第1壁部
162 ドアインナパネルの第2壁部
163 ドアインナパネルの第3壁部
164 ドアインナパネルの第4壁部
311 パンチの第1成形面
312 パンチの第2成形面
313 パンチの第3成形面
314 パンチの第4成形面
321 ダイスの第1成形面
322 ダイスの第2成形面
323 ダイスの第3成形面
324 ダイスの第4成形面
A ブランク材の破断限界
B11 パンチの第1境界部
B12 パンチの第2境界部
B13 パンチの第3境界部
B14 ダイスの第4境界部
L 合計距離
第1境界部から第3境界部までの距離

Claims (2)

  1. アルミニウム合金製の板状のブランク材を第1金型と第2金型でプレス加工することにより自動車用ドアインナパネルを製造するための製造方法であって、
    前記ドアインナパネルは、前記ドアインナパネルの周縁部の少なくとも一部を構成する段差部を有し、前記段差部は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部がこの順に階段状に連続するように構成され、
    前記第1金型及び前記第2金型のそれぞれは、前記第1壁部、前記第2壁部、前記第3壁部及び前記第4壁部をそれぞれ成形するために階段状に連続する第1成形面、第2成形面、第3成形面及び第4成形面を有し、前記第1金型における前記第2成形面及び前記第3成形面は凹部を構成し、前記第2金型における前記第2成形面及び前記第3成形面は前記凹部に対応する形状を有する凸部を構成し、
    前記第1金型おける前記第1成形面と前記第2成形面との第1境界部から前記第1金型おける前記第2成形面と前記第3成形面との第2境界部までの距離と前記第2境界部から前記第1金型における前記第3成形面と前記第4成形面との第3境界部までの距離とを足した合計距離を、前記第1境界部から前記第3境界部までの距離で割り算した値は、前記ブランク材の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下であり、
    前記製造方法は、
    前記ブランク材が前記第1金型と前記第2金型との間に配置され、前記ブランク材の外周部が保持された状態で、前記第1境界部を前記ブランク材に接触させる第1工程と、
    前記第1金型と前記第2金型が近づく接近方向に前記第1金型及び前記第2金型の少なくとも一方を移動させることにより、前記第2金型における前記第2成形面と前記第3成形面との第4境界部が前記ブランク材に接触すると同時に、又は前記第4境界部が前記ブランク材に接触する前に、前記第3境界部を前記ブランク材に接触させる第2工程と、を含む、自動車用ドアインナパネルの製造方法。
  2. アルミニウム合金製の自動車用ドアインナパネルであって、
    前記ドアインナパネルの周縁部の少なくとも一部を構成する段差部を有し、
    前記段差部は、第1壁部、第2壁部、第3壁部及び第4壁部がこの順に階段状に連続するように構成され、
    前記ドアインナパネルは、前記第1壁部と前記第2壁部との第1境界部から前記第2壁部と前記第3壁部との第2境界部までの距離と前記第2境界部から前記第3壁部と前記第4壁部との第3境界部までの距離とを足した合計距離を、前記第1境界部から前記第3境界部までの距離で割り算した値が、ブランク材の破断限界に基づいて予め設定された上限値以下である、自動車用ドアインナパネル。
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