以下、図面を参照しながら、X線診断装置及び検出器収容装置の実施形態について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るX線診断装置の構成を示す概略図である。
図1は、実施形態に係るX線診断装置1を示す。X線診断装置1は、X線照射装置10と、立位用撮影台(以下、「立位撮影台」という)20と、臥位用撮影台(以下、「臥位撮影台」という)30と、撮影制御回路40と、高電圧電源回路50と、画像処理装置60と、移動機構制御回路70と、絞り制御回路80とを備える。また、X線診断装置1は、立位撮影台20と、臥位撮影台30とにおける複数箇所の少なくとも1箇所に、移動機構部M(図2に図示)を備える。以下、立位撮影台20と、臥位撮影台30とにおける14箇所(立位撮影台20に4箇所、臥位撮影台30に10箇所)に、移動機構部Mを備える場合について説明する。
X線照射装置10は、X線源(例えば、X線管)11と、管球収容部12と、Z軸天井レール13とを備える。また、X線照射装置10は、X線管11を所定の位置に移動させる移動機構部Mとして、Z軸台車部101と、X軸台車部102と、管球支持部103と、収容部回転軸部104とを備える。なお、管球収容部12を所定の位置に移動させることは、X線管11の焦点を所定の座標、例えば3次元座標[X,Y,Z]に移動させることと、X線管11の照射傾き角を所定の角度、例えば3軸からの照射傾き角[θX,θY,θZ]に移動させることと、のうち少なくとも一方を含む。
X線管11は、高電圧電源回路50から電力供給を受けて、立位撮影台20の前、又は、臥位撮影台30の上方に配置された被検体(例えば、患者)にX線を照射する。なお、X線管11の前段に、可動絞り部81(図6に図示)が設けられる。可動絞り部81は、X線管11のX線照射口で、X線を遮蔽する物質から構成された、スライド可能な絞り羽根を有する。可動絞り部81は、絞り制御回路80による制御の下、可動絞り部81によるX線照射口の開閉により、X線の拡がり角を変更することができる。なお、X線管11の前面に、X線管11によって発生されたX線の線質を調整する線質調整フィルタ(図示省略)が設けられてもよい。X線管11、又は、X線管11に可動絞り部81と線質調整フィルタとのうち少なくとも一方を備えた管球収容部12を、「照射部」と称する。
管球収容部12は、X線管11を収容する。管球収容部12は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、−180°〜+180°の範囲で、X軸の平行軸である収容部回転軸部104を中心として回転可能である。
Z軸天井レール13は、Z軸方向に沿って伸び並列する2本のレールを備え、天井Cに敷設される。Z軸天井レール13は、後述のZ軸台車部101を支持する。
X線照射装置10の移動機構部MとしてのZ軸台車部101は、Z軸天井レール13に沿って走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座と、取付座に固定される台車本体部と、X軸の平行方向に沿って伸び並列する2本のX軸走行レールとを備える。Z軸台車部101の車輪は、Z軸天井レール13に沿って移動可能なようにZ軸天井レール13に係合される。Z軸台車部101のレールは、後述のX軸台車部102を支持する。Z軸台車部101は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、Z軸天井レール13に沿ってZ軸の平行方向に走行する。即ち、Z軸台車部101は、X線管11をZ軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。
X線照射装置10の移動機構部MとしてのX軸台車部102は、Z軸台車部101のX軸走行レールに沿って走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座と、取付座に固定される台車本体部とを備える。X軸台車部102は、管球支持部103を支持する。X軸台車部102の車輪は、Z軸台車部101のX軸走行レールに沿って移動可能なように2本のレールに係合される。X軸台車部102の台車本体部は、後述の管球支持部103を支持する。X軸台車部102は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、Z軸台車部101のX軸走行レールに沿ってX軸の平行方向に走行する。即ち、X軸台車部102は、X線管11をX軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。
X線照射装置10の移動機構部Mとしての管球支持部103は、X軸台車部102に支持され、軸方向、つまり、Y軸方向に伸縮可能な構成を備える。管球支持部103は、後述の収容部回転軸部104を介して、管球収容部12を挟持する。管球支持部103は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、伸縮する。即ち、管球支持部103は、X線管11をY軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。
X線照射装置10の移動機構部Mとしての収容部回転軸部104は、X軸の平行軸に沿う回転軸と、回転軸を駆動する駆動部(例えば、モータ)とを備える。収容部回転軸部104は、管球収容部12が収容部回転軸部104を中心として回転可能なように設けられる。収容部回転軸部104の管球収容部12支持側は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、軸回転する。即ち、収容部回転軸部104は、管球収容部12をX軸の平行軸を中心として回転移動させることが可能である。
なお、X線管11が、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下で、所定の位置に移動される場合について説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、X線診断装置1は、管球収容部12を掴んだ放射線技師等の操作者による手動操作により、Z軸台車部101の車輪走行や、X軸台車部102の車輪走行や、管球支持部103の車輪走行や、収容部回転軸部104の回転を行うように構成されてもよい。また、X線診断装置1が、X線管11の3軸全ての方向にスライド移動可能であり、かつ、X軸中心に回転移動可能な構成を備える場合について説明したがその場合に限定されるものではない。X線診断装置1は、X線管11の3軸の平行方向へのスライド移動と、3軸中心の回転移動との6つの移動のうち、少なくとも1つの移動が可能な構成を備えていればよい。
また、X線診断装置1が、2つの撮影台20,30に対して1つのX線管11を備える場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。例えば、立位撮影台20に対して1つのX線管11を備え、臥位撮影台30に対して1つのX線管11を備え、高電圧電源回路50からの高電圧電力の供給により、2つのX線管11のいずれかからX線を照射するように構成してもよい。
立位撮影台20は、管球収容部12に対向する位置に配置される。立位撮影台20は、立位スタンド21と、立位用のX線検出器(以下、「立位検出器」という)22と、立位検出器収容部(例えば、ブッキー)23とを備える。また、立位撮影台20は、立位検出器22を所定の位置に移動させる移動機構部Mとして、収容部スライダ201と、図3及び図4で後述する要素202〜210とを備える。なお、立位検出器22を所定の位置に移動させることは、立位検出器22の中心(又は、検出面の中心)を所定の3次元座標[X,Y,Z]に移動させることと、立位検出器22の回転角を所定の角度[θX,θY,θZ]に移動させることと、のうち少なくとも一方を含む。
立位スタンド21は、収容部スライダ201を介して、立位検出器22を収容する立位検出器収容部23を支持する。
立位検出器22は、例えば、FPD(Flat Panel Detector)によって構成される。立位検出器22は、撮影用、透視用、又は、それらの兼用のX線検出器である。立位検出器22は、二次元に配列された複数の検出素子を備える。なお、立位検出器22の前面(即ち、X線入射面)に、グリッド(図示省略)が備えられてもよい。立位検出器収容部23は、立位検出器22の前面にグリッドを収容する。グリッドは、立位検出器22に入射する散乱線を吸収してX線画像のコントラストを改善するために、X線吸収の大きい鉛等によって形成されるグリッド板と透過しやすいアルミニウムや木材等とが交互に配置される。
ここで、X線照射は、撮影と透視に大別される。撮影は、比較的高い管電流にてX線を照射する。一方で、透視は、比較的低い管電流にてX線を照射する。また、透視は、連続透視及びパルス透視に大別される。パルス透視とは、連続透視と異なり、X線のパルスが断続的に繰り返し照射される透視方法を意味する。パルス透視によれば、連続透視に比べ、透視画像の連続性(フレームレート)がやや劣るが患者に対する被曝線量を抑えることができる。
立位検出器収容部23は、収容部スライダ201を介して立位スタンド21に支持され、X線管11からのX線を検出可能なように配置される。立位検出器収容部23は、立位検出器22をその内部に収容可能なような形状を有する。立位検出器収容部23は、画像処理装置60の処理回路61による制御の下、管球収容部12の高さの変更に従って、立位スタンド21に沿って高さが変更される。ここで、3次元系のX軸、Y軸、Z軸のうち、立位スタンド21の高さ方向をY軸方向とし、立位撮影台20の前に立つ患者の左右方向をX軸方向とし、X軸方向とY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。
なお、立位検出器収容部23は、立位検出器22の他、A/D(Analog to digital)変換回路等を含む場合もある。A/D変換回路は、立位検出器収容部23に収容されている立位検出器22から出力されるアナログ信号(ビデオ信号)を入力し、デジタルの画像信号に変換して画像処理装置60に出力する。
立位撮影台20の移動機構部Mとしての収容部スライダ201は、立位スタンド21に沿って走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座と、取付座に固定されるスライダ本体部とを備える。収容部スライダ201のスライダ本体部は、立位検出器22を支持する。収容部スライダ201は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、立位スタンド21に沿ってY軸の平行方向に走行する。即ち、収容部スライダ201は、立位検出器22をY軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。
立位検出器22は、立位検出器収容部23の立位スタンド21に沿うスライド移動により、Y軸平行へのスライド移動が可能である(図2(E)に図示)。この移動は、患者が立位検出器収容部23の前面側にセットされる前に行うことができる。セットされた患者に接触する立位検出器収容部23自体が移動されるため、患者のリセットが必要になるからである。
なお、立位検出器22が、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下で、所定の位置に移動される場合について説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、X線診断装置1は、立位検出器収容部23を掴んだ放射線技師等の操作者による手動操作により、立位検出器収容部23の車輪走行を行うように構成されてもよい。
続いて、移動機構部Mとしての、立位撮影台20の要素202〜210について説明する。
立位検出器22は、立位検出器収容部23の内部で、Z軸の平行軸DZを中心とする回転移動を行うことが可能であり(図2(A)に図示)、X軸の平行軸DXを中心とする回転移動を行うことが可能であり(図2(B)に図示)、X軸の平行方向へのスライド移動が可能であり(図2(C)に図示)、Y軸の平行方向へのスライド移動が可能である(図2(D)に図示)。図2(A)〜(D)において、立位検出器22の中心からX軸、Y軸、Z軸の平行方向に延びる直線をそれぞれDX、DY、DZと定義する。これらの移動は、患者が立位検出器収容部23の前面側にセットされる前ばかりでなく、患者が立位検出器収容部23の前面側にセットされる後にも行うことができる。セットされた患者に接触する立位検出器収容部23の内部で立位検出器22が移動されるため、患者のリセットが不要だからである。
図3及び図4は、図2(A)〜(D)の移動を可能にする移動機構部Mの構成例を示す図である。図3は、立位検出器22の、X軸の平行軸DXを中心とする回転移動(図2(B)に図示)と、Y軸の平行方向へのスライド移動(図2(D)に図示)とを可能にする構成である。
図3(A)の左側の図は、同右側の図のP−P断面図である。図3(A)は、立位検出器22の移動前、つまり、ホームポジションにおける立位検出器収容部23の状態を示す。図3(B)の左側の図は、同右側の図のQ−Q断面図である。図3(B)は、立位検出器22の移動後における立位検出器収容部23の状態を示す。
図3(A)に示すように、立位検出器収容部23は、その内部に、立位検出器22を収容する。また、立位検出器収容部23は、その内部に、立位検出器22を所定の位置に移動させる移動機構部Mとして、Y軸走行レール202と、キャスタ203と、支持部204と、プーリ205と、ワイヤ206と、ボールジョイント軸207とを収容する。
Y軸走行レール202と、キャスタ203と、支持部204とは、立位検出器22の、Y軸の平行方向へのスライド移動(図2(D)に図示)を可能にする。Y軸走行レール202は、立位検出器収容部23の背後側の内壁に固定され、Y軸の平行方向に沿って伸び並列する2本のレールを備える。
キャスタ203は、Y軸走行レール202に沿って走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座とを備える。キャスタ203の車輪は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、Y軸走行レール202に沿ってY軸の平行方向に走行する。
支持部204は、立位検出器収容部23の側面側の内壁に、支持部204がY軸方向に沿って移動可能なように支持され、また、キャスタ203の取付座に固定される。支持部204は、キャスタ203の走行により、Y軸の平行方向に走行する。即ち、支持部204は、立位検出器22をY軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。Y軸正方向への移動後の状態を、図3(B)に示す。
一方で、プーリ205と、ワイヤ206と、ボールジョイント軸207とは、立位検出器22の、X軸の平行軸DXを中心とする回転移動(図2(B)に図示)を可能にする。プーリ205は、回転部と、支持部204に固定され、回転部を回転可能に支持する固定部とを備える。プーリ205は、Y軸の平行方向に沿って2個設けられる。図3の左側に示す例では、Y軸の平行方向に沿って設けられる2個セットのプーリ205が2組並列されているが、2組に限定されるものではない。
ワイヤ206は、その一端が立位検出器22の背後面に固定され、Y軸に沿う同一セットの2個のプーリ205を介して、他端が立位検出器22の背後面に固定される。
ボールジョイント軸207は、その一端であるボールジョイント部が立位検出器22の背後面に係合され、他端が、支持部204の前面側に固定される。ワイヤ206が、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、動かされると、プーリ205と、ワイヤ206と、ボールジョイント軸207とは、立位検出器22をX軸の平行軸DXを中心に回転移動させることが可能である。X軸回転移動後の状態を、図3(B)に示す。
なお、図2(B)では、回転軸は立位検出器22の中心DYと一致しているが、図3では、回転軸は立位検出器22の中心と一致していない。回転軸は立位検出器22の中心と一致することが望ましいが、移動機構部Mの設置の制約により多少の不一致は問題ないものとする。
図4は、立位検出器22の、Z軸の平行軸DZを中心とする回転移動(図2(A)に図示)と、X軸の平行方向へのスライド移動(図2(C)に図示)と、Y軸の平行方向へのスライド移動(図2(D)に図示)とを可能にする構成である。
図4(A)の左側の図は、同右側の図のR−R断面図である。図4(A)は、立位検出器22の移動前、つまり、ホームポジションにおける立位検出器収容部23の状態を示す。図4(B)の左側の図は、同右側の図のS−S断面図である。図4(B)は、立位検出器22の移動後における立位検出器収容部23の状態を示す。
図4(A)に示すように、立位検出器収容部23は、その内部に、立位検出器22を収容する。また、立位検出器収容部23は、その内部に、立位検出器22を所定の位置に移動させる移動機構部Mとして、第1のスライダ208と、第2のスライダ209と、検出器回転軸部210とを収容する。
第1のスライダ208は、立位検出器収容部23の内壁を走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座と、取付座に固定されるスライダ本体部とを備える。第1のスライダ208は、立位検出器22の、X軸の平行方向へのスライド移動(図2(C)に図示)を可能にする。第1のスライダ208は、立位検出器収容部23の上下側の内壁に、第1のスライダ208がX軸の平行方向に沿って移動可能なように支持される。第1のスライダ208は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、立位検出器収容部23の内壁を走行する車輪の走行により、X軸の平行方向に移動する。即ち、第1のスライダ208は、立位検出器22をX軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。X軸負方向への移動後の状態を、図4(B)に示す。
第2のスライダ209は、第1のスライダ208の外壁を走行する車輪と、車輪を駆動する駆動部(例えば、モータ)と、車輪の取付座と、取付座に固定されるスライダ本体部とを備える。第2のスライダ209は、第1のスライダ208に、第2のスライダ209がY軸の平行方向に移動可能なように支持される。第2のスライダ209は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、第1のスライダ208の外壁を走行する車輪の走行により、Y軸の平行方向に移動する。即ち、第2のスライダ209は、立位検出器22をY軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。Y軸正方向への移動後の状態を、図4(B)に示す。管球支持部103の挟持部に支持された、X軸の平行軸DXに沿う軸体である。
検出器回転軸部210は、その一端が立位検出器22の背後面に係合され、他端が、第2のスライダ209の内部で固定された、Z軸の平行軸DZに沿う軸体である。検出器回転軸部210は、立位検出器22の、Z軸の平行軸DZを中心とする回転移動(図2(A)に図示)を可能にする。検出器回転軸部210が、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、Z軸の平行軸DZを中心にして回転されると、立位検出器22をZ軸の平行軸DZを中心に回転移動させることが可能である。
なお、X線診断装置1は、立位検出器22の3軸の平行方向へのスライド移動と、3軸中心の回転移動との6つの移動のうち、少なくとも1つの移動が可能な構成を備えていればよい。
図1の説明に戻って、臥位撮影台30は、患者を載置可能なように横向きに配置され、X線管11からのX線を検出可能なように配置される。臥位撮影台30は、天板31と、寝台32と、臥位用のX線検出器(以下、「臥位検出器」という)33と、臥位検出器収容部(例えば、ブッキー)34とを備える。
天板31は、臥位撮影台30の上部側に配置される板状の形状を有し、上部に患者を載置するものである。
寝台32は、天板31を上方で支持する。寝台32は、画像処理装置60の処理回路61(又は、移動機構制御回路70)による制御の下、天板31を上下方向、左右方向、前後方向にスライドさせる。
臥位検出器33は、立位検出器22と同様に、例えば、FPDによって構成される。臥位検出器33は、撮影用、透視用、又は、それらの兼用のX線検出器である。臥位検出器33は、二次元に配列された複数の検出素子を備える。なお、臥位検出器33の前面(即ち、X線入射面)に、立位検出器22の前面と同様に、グリッド(図示省略)が備えられてもよい。臥位検出器収容部34は、臥位検出器33の前面にグリッドを収容する。
臥位検出器収容部34は、寝台32内部に設けられ、X線管11からのX線を検出可能なように配置される。なお、臥位検出器収容部34は、撮影条件に合わせて適宜取り出し可能で構成を有していてもよい。
なお、臥位検出器収容部34は、臥位検出器33の他、A/D変換回路等を含む場合もある。A/D変換回路は、臥位検出器収容部34に収容されている臥位検出器33から出力されるアナログ信号(ビデオ信号)を入力し、デジタルの画像信号に変換して画像処理装置60に出力する。
ここで、臥位検出器33は、臥位検出器収容部34の内部で、Y軸の平行軸DYを中心とする回転移動を行うことが可能であり(図5(A)に図示)、X軸の平行軸DXを中心とする回転移動を行うことが可能であり(図5(B)に図示)、X軸の平行方向へのスライド移動が可能であり(図5(C)に図示)、Z軸の平行方向へのスライド移動が可能である(図5(D)に図示)。これらの移動は、患者が臥位検出器収容部34の前面側(即ち、天板31上)にセットされる前ばかりでなく、患者が立位検出器収容部23の前面側にセットされる後にも行うことができる。
なお、図5(A)〜(D)における臥位検出器33の移動を可能にする移動機構部Mの構成については、図3及び図4に示す立位検出器22の移動を可能にする移動機構部Mの構成例と同等であるので、説明を省略する。
図1の説明に戻って、撮影制御回路40は、処理回路とメモリ等を備える。撮影制御回路40は、画像処理装置60からの指示に従って、高電圧電源回路50等を制御してX線管11からX線を照射させることで、X線撮影を実行する。なお、処理回路とメモリとの構成については、後述する画像処理装置60の処理回路61とメモリ62と同等であるので説明を省略する。
高電圧電源回路50は、撮影制御回路40による制御の下、X線照射装置10のX線管11に高電圧電力を供給する。
画像処理装置60は、処理回路61と、メモリ62と、画像生成回路63と、入力インターフェース64と、ディスプレイ65と、ネットワークインターフェース66とを備える。なお、画像生成回路63は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等によって構成されるものである。しかしながら、その場合に限定されるものではなく、画像生成回路63の機能の全部又は一部は、処理回路61がプログラムを実行することで実現されるものであってもよい。
処理回路61は、X線診断装置1の全体の動作を制御する。処理回路61は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサの他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
また、処理回路61は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した処理回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メモリ62は処理回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメモリ62が複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
メモリ62は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メモリ62は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ62は、処理回路61において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ65への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース64によって行うことができるGUI(Graphic User Interface)を含めることもできる。なお、メモリ62は、記憶部の一例である。
画像生成回路63は、処理回路61による制御の下、立位検出器22(又は、臥位検出器33)のA/D変換回路(図示省略)から出力された透過データに対して対数変換処理(LOG処理)を行って必要に応じて加算処理して、X線画像データを生成する。また、画像生成回路63は、処理回路61による制御の下、生成されたX線画像データに対して画像処理を施す。画像処理としては、データに対する拡大/階調/空間フィルタ処理や、時系列に蓄積されたデータの最小値/最大値トレース処理、及びノイズを除去するための加算処理等が挙げられる。
画像生成回路63は、生成した撮影画像データをメモリ62等の記憶装置に記録する。なお、画像生成回路63は、画像生成部の一例である。
入力インターフェース64は、操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力デバイスが操作者から入力操作を受け付けると、入力回路は当該入力操作に応じた電気信号を生成して処理回路61に出力する。なお、入力インターフェース64は、入力部の一例である。
ディスプレイ65は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ65は、画像生成回路63によって生成された撮影画像データや、後述する擬似画像データや、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ65は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。なお、ディスプレイ65は、表示部の一例である。
ネットワークインターフェース66は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワークインターフェース66は、この各種プロトコルに従って、X線診断装置1と、外部の画像サーバ(図示省略)等の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続等を適用することができる。ここで、電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹のLAN(Local Area Network)やインターネット網の他、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワーク等を含む。なお、ネットワークインターフェース66は、ネットワーク接続部の一例である。
移動機構制御回路70は、画像処理装置60からの指示に従って、移動機構部Mを移動させる。具体的には、移動機構制御回路70は、モータ(図示省略)を介して、移動機構部MであるZ軸台車部101をZ軸の平行方向に移動させることで、X線管11(X線焦点)をZ軸方向の平行方向にスライド移動させることが可能である。移動機構制御回路70は、モータ(図示省略)を介して、移動機構部MであるX軸台車部102をX軸の平行方向に移動させることで、X線管11をX軸方向の平行方向にスライド移動させることが可能である。移動機構制御回路70は、モータ(図示省略)を介して、移動機構部Mである管球支持部103をY軸方向に伸縮させることで、X線管11をY軸の平行方向にスライド移動させることができる。移動機構制御回路70は、モータ(図示省略)を介して、移動機構部Mである収容部回転軸部104を制御することで、管球支持部103を、X軸の平行軸DXを中心に回転移動させることが可能である。なお、モータを移動機構部Mに含めることもできる。
また、移動機構制御回路70は、移動機構部Mである収容部スライダ201を制御することで、立位検出器22を、立位検出器収容部23と共にY軸の平行方向にスライド移動させることが可能である。移動機構制御回路70は、移動機構部Mの要素202〜210(図3及び図4に図示)を制御することで、立位検出器22を、立位検出器収容部23の内部でスライド移動及び回転移動させることが可能である。移動機構制御回路70は、移動機構部Mの要素202〜210(図3及び図4に図示)を制御することで、臥位検出器33を、臥位検出器収容部34の内部でスライド移動及び回転移動させることが可能である。なお、移動機構制御回路70は、移動機構制御部の一例である。
絞り制御回路80は、画像処理装置60からの指示に従って可動絞り部81を制御し、X線照射口の開閉により、X線管11から出射したX線の拡がり角を変更する。なお、絞り制御回路80は、絞り制御部の一例である。
続いて、X線診断装置1の機能について説明する。
図6に示すように、処理回路61は、メモリ62に記憶された、又は、処理回路61内に直接組み込まれたコンピュータプログラムを読み出して実行することで、移動制御機能611と、位置算出機能612と、追従制御機能613と、絞り制御機能614と、撮影制御機能615とを実現する。以下、機能611〜615がコンピュータプログラムの実行により実現される場合を例に挙げて説明するが、機能611〜615の全部又は一部の機能は、ASIC等の回路により実現されてもよい。また、機能611〜615の全部又は一部の機能は、撮影制御回路40によって実現されるものであってもよい。又は、機能611〜613の全部又は一部の機能が移動機構制御回路70によって実現され、機能614の全部又は一部の機能が絞り制御回路80によって実現され、機能615の全部又は一部の機能が撮影制御回路40によって実現されてもよい。
移動制御機能611は、入力インターフェース64を用いた入力に従って移動機構部Mの動作を制御することで、(1)X線管11の焦点の座標と、(2)X線管11の照射傾き角と、(3)立位検出器収容部23のY軸座標と、(4)立位検出器22の座標と、(5)立位検出器22の回転角と、(6)臥位検出器33の座標と、(7)臥位検出器33の回転角と、のうち少なくとも1つを移動させる。なお、上記(1)〜(3)については、管球収容部12を掴んだ操作者による手動操作により移動されてもよい。移動制御機能611は、移動制御部の一例である。
位置算出機能612は、位置センサからの情報に基づいて、移動制御機能611により移動後の上記(1)〜(7)のうち少なくとも1つを算出する機能を含む。位置算出機能612は、位置算出部の一例である。
上記(1)の算出について説明する。例えば、位置算出機能612は、Z軸天井レール13を走行するZ軸台車部101の車輪に取り付けられた位置センサ(例えば、ロータリーエンコーダ)から車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準としたX線管11の焦点のZ軸座標を算出する。例えば、位置算出機能612は、Z軸台車部101のレールを走行するX軸台車部102の車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準としたX線管11の焦点のX軸座標を算出する。位置算出機能612は、管球支持部103を伸縮させるための車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準としたX線管11の焦点のY軸座標を算出する。これらにより、位置算出機能612は、X線管11の焦点の3次元座標[X,Y,Z]を算出する。
上記(2)の算出について説明する。例えば、位置算出機能612は、管球収容部12を管球収容部12に対してX軸回転移動させるための収容部回転軸部104に取り付けられた位置センサから回転軸の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準としたX線管11の照射傾き角θYを算出する。
上記(3)の算出について説明する。例えば、位置算出機能612は、立位スタンド21上を走行する収容部スライダ201の車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器収容部23、つまり、立位検出器22の中心のY軸座標を算出する。
上記(4)の算出について説明する。例えば、位置算出機能612は、Y軸走行レール202を走行するキャスタ203(図3に図示)の車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器22の中心のY軸座標を算出する。例えば、位置算出機能612は、走行する第1のスライダ208(図4に図示)の車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器22の中心のX軸座標を算出する。例えば、位置算出機能612は、走行する第2のスライダ209(図4に図示)の車輪に取り付けられた位置センサから車輪の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器22の中心のY軸座標を算出する。
上記(5)の算出について説明する。例えば、位置算出機能612は、プーリ205(図3に図示)の回転部に取り付けられた位置センサから回転部の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器22のX軸の平行軸DXを中心とした回転角を算出する。例えば、位置算出機能612は、回転する検出器回転軸部210(図4に図示)に取り付けられた位置センサから回転軸の回転による変位情報を取得し、変位情報に基づいて、基準位置を基準とした立位検出器22の回転角を算出する。
上記(6)の算出については、上記(4)の算出と同様であるので説明を省略する。また、上記(7)の算出については、上記(5)の算出と同様であるので説明を省略する。
なお、X線管11(又は、管球収容部12)の照射傾き角を検知する位置センサは、X線管11に具備されたジャイロスコープ等の姿勢を検出できるセンサであってもよい。また、X線検出器の回転角を検知する位置センサは、X線検出器に具備されたジャイロスコープ等の姿勢を検出できるセンサであってもよい。
追従制御機能613は、位置算出機能612によって算出された管球収容部12の位置に正対するようなX線検出器(例えば、立位検出器22)の位置(3次元座標と照射傾き角とのうち少なくとも1つ)を算出する機能と、移動機構制御回路70を介して立位撮影台20の移動機構部Mを制御して、算出された位置まで立位検出器22を移動させる機能とを含む。つまり、追従制御機能613は、管球収容部12が移動されると、管球収容部12の移動に応じて、管球収容部12と立位検出器22との位置関係を維持するように、立位検出器22を追従させて移動させるように立位撮影台20の移動機構部Mを制御する。
また、追従制御機能613は、位置算出機能612によって算出されたX線検出器(例えば、立位検出器22)の位置が正対するような管球収容部12の位置(3次元座標と照射傾き角とのうち少なくとも1つ)を算出する機能と、移動機構制御回路70を介してX線照射装置10の移動機構部Mを制御して、算出された位置まで管球収容部12を移動させる機能とを含む。つまり、追従制御機能613は、立位検出器22が移動されると、立位検出器22の移動に応じて、管球収容部12と立位検出器22との位置関係を維持するように、管球収容部12を追従させて移動させるようにX線照射装置10の移動機構部Mを制御する。追従制御機能613は、追従制御部の一例である。
絞り制御機能614は、被検体の検査部位の情報やX線画像データに基づき、絞り羽根と線質調整フィルタを制御する機能を含む。絞り制御機能614は、絞り制御部の一例である。
撮影制御機能615は、撮影制御回路40と画像生成回路63とを制御してX線撮影を実行させ、X線画像データを生成する機能を含む。撮影制御機能615は、撮影制御部の一例である。
続いて、X線診断装置1の動作について説明する。
図7は、X線診断装置1の第1動作例をフローチャートとして示す図である。図7において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、検出器22,33のうち、立位検出器22が用いられる場合について説明する。
X線診断装置1の立位撮影台20の前面に患者がセットされる(ステップST1)。また、立位撮影台20が使用される場合は、移動制御機能611は、入力インターフェース64を介した入力操作により、患者のサイズに合わせて立位検出器収容部23をY軸方向に移動させ、立位検出器収容部23の高さをセットする(ステップST1)。移動制御機能611は、入力インターフェース64を介した入力操作により、管球収容部12の位置(3次元座標と照射傾き角とのうち少なくとも1つ)を移動させて、管球収容部12の焦点位置をセットする(ステップST2)。
位置算出機能612は、ステップST2によってセットされた管球収容部12の位置を算出する(ステップST3)。追従制御機能613は、ステップST3によって算出された管球収容部12の位置に正対するような立位検出器22の位置(3次元座標と照射傾き角とのうち少なくとも1つ)を算出する(ステップST4)。ここで、管球収容部12の位置に正対するような立位検出器22の位置とは、X線管11の焦点Fから照射されるX線の照射領域Wの中心軸BCが、検出面の中心DCに垂直に進入するような立位検出器22の位置を意味する(図8参照)。
図7の説明に戻って、追従制御機能613は、立位撮影台20の移動機構部Mを制御して、ステップST4によって算出された位置まで立位検出器22を移動させる(ステップST5)。移動方法については、図2〜図5を用いて前述したとおりである。追従制御機能613は、ステップST5の移動により、実際に立位検出器22が管球収容部12に正対したか否かを判断する(ステップST6)。ステップST6の判断でYES、つまり、立位検出器が管球収容部12に正対したと判断される場合、撮影制御機能615は、X線撮影(又は、X線透視)を実行し、X線画像データを生成する(ステップST7)。
一方で、ステップST6の判断でNO、つまり、立位検出器が管球収容部12に正対していないと判断される場合、追従制御機能613は、その後の撮影をインターロックし、インターロック状態である旨を操作者に対して、表示又は音声等で出力する(ステップST8)。これにより、不適切なポジショニングでの撮影を回避することができる。
追従制御機能613は、立位検出器22が管球収容部12に正対していない状態で撮影を希望するか否かを判断する(ステップST9)。例えば、追従制御機能613は、入力インターフェース64を介した入力操作により、撮影を希望するか否かを判断すればよい。ステップST9の判断でYES、つまり、救急患者を撮影する場合等のように、立位検出器22が管球収容部12に正対していない状態で撮影を希望すると判断される場合、撮影制御機能615は、X線撮影(又は、X線透視)を実行し、X線画像データを生成する(ステップST7)。
一方で、ステップST9の判断でNO、つまり、立位検出器が管球収容部12に正対していない状態で撮影を希望しないと判断される場合、患者のセットがやり直される(ステップST1)。
以上のように、図7に示すX線診断装置1の動作によると、任意にセットされたX線管11の位置に対して自動的にX線検出器を正対させることができるので、X線管11とX線検出器との最適なポジショニングを容易にすることができる。
図9は、X線診断装置1の第2動作例をフローチャートとして示す図である。図9において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、検出器22,33のうち、立位検出器22が用いられる場合について説明する。また、図9において、図7に示すステップと同一ステップには同一符号を付して説明を省略する。
ステップST2に続き、位置算出機能612は、ステップST1によってセットされた立位検出器22の位置を算出する(ステップST13)。追従制御機能613は、ステップST2によって算出された立位検出器22の位置が正対するような管球収容部12の位置(3次元座標と照射傾き角とのうち少なくとも1つ)を算出する(ステップST14)。ここで、立位検出器22の位置が正対するような管球収容部12の位置とは、X線管11の焦点Fから照射されるX線の照射領域Wの中心軸BCが、検出面の中心DCに垂直に進入するような管球収容部12の位置を意味する(図8参照)。
図9の説明に戻って、追従制御機能613は、X線照射装置10の移動機構部Mを制御して、ステップST14によって算出された位置まで管球収容部12を移動させる(ステップST15)。移動方法については、図1を用いて前述したとおりである。
なお、X線検出器(例えば、立位検出器22)が管球収容部12に正対するように、立位検出器22又は管球収容部12を移動させる場合について説明したがその場合に限定されるものではない。また、X線診断装置1が、立位撮影台20と、臥位撮影台30との少なくとも1つを含む一般X線撮影装置である場合について説明したが、その場合に限定されるものではない。例えば、X線診断装置1は、その他のX線装置、例えば、乳房X線診断装置や、X線TV装置(消化器系)や、アンギオ装置(循環器系)や、回診車に搭載のX線装置も含むものとする。
以上のように、図9に示すX線診断装置1の動作によると、任意にセットされたX線検出器の位置に対して自動的にX線管11を正対させることができるので、X線管11とX線検出器との最適なポジショニングを容易にすることができる。
(変形例1)
実際に管球収容部12の位置がセットされた後で、X線検出器(例えば、立位検出器22)の位置を算出してセットする場合(図7に図示)と、実際に立位検出器22の位置がセットされた後で、管球収容部12の位置を算出してセットする場合(図9に図示)とについて説明したが、それらの場合に限定されるものではない。例えば、撮影制御機能615は、事前に患者の検査部位について、X線条件を下げたX線撮影、例えば透視又はワンショット撮影を行い、そのX線画像データを取得する。そして、追従制御機能613は、X線画像データに基づく操作者による操作に応じて、管球収容部12と立位検出器22との最適位置を算出する。そして、追従制御機能613は、最適位置まで管球収容部12と立位検出器22とを移動させる。
図10は、事前撮影に取得されたX線画像データ(透視像)を模式的に示す。操作者は、透視像を見ながら、検査部位、例えば、胸部がROIの中に含まれているか否かを判断する。含まれていない場合は、事前撮影における管球収容部12と立位検出器22との位置が適切ではないと考えられる。その場合は、操作者は、入力インターフェース64を用いて、表示された透視像を任意の方向(2次元又は3次元)に任意の量だけ移動させる。具体的には、透視像に対して、上下左右動や、2次元(平面)回転や、3次元回転を行う。追従制御機能613は、当該移動方向と当該その移動量を実座標系に変換して管球収容部12と立位検出器22との位置を最適位置として算出する。
なお、管球収容部12と立位検出器22との最適位置の算出は、表示されたX線画像データを操作者が動かす場合に限定されるものではない。例えば、追従制御機能613は、管球収容部12と立位検出器22との最適位置が紐づけられた複数のX線画像データとのパターンマッチングにより、最適位置を算出してもよい。又は、追従制御機能613は、管球収容部12と立位検出器22との最適位置とX線画像データを入力として作成された学習済モデルに対して、事前撮影で取得されたX線画像データを入力することで、最適位置を出力してもよい。また、追従制御機能613は、管球収容部12及び立位検出器22の最適位置は、管球収容部12と立位検出器22とのそれぞれについて同時に算出されるか、又は、立位検出器22と管球収容部12とのいずれかが算出された後で、両者が正対するように、他方が算出される。
(変形例2)
図2(A)において、Z軸の平行軸DZを中心とした立位検出器22の回転を説明し、図2(B)において、X軸の平行軸DXを中心とした立位検出器22の回転を説明したがその場合に限定されるものではない。立位検出器22は、Y軸の平行軸DYを中心として回転するものであってもよい(図11(A)に図示)。
また、図5(A)において、Y軸の平行軸DYを中心とした臥位検出器33の回転を説明し、図5(B)において、X軸の平行軸DXを中心とした臥位検出器33の回転を説明したがその場合に限定されるものではない。臥位検出器33は、Z軸の平行軸DZを中心として回転するものであってもよい(図11(B)に図示)。
なお、移動制御機能611は、移動制御部の一例である。位置算出機能612は、位置算出部の一例である。追従制御機能613は、追従制御部の一例である。絞り制御機能614は、絞り制御部の一例である。撮影制御機能615は、撮影制御部の一例である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、照射部とX線検出器との最適なポジショニングを容易にすることができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。