JP2021171059A - 遂行機能改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた遂行機能改善作用を発揮する遂行機能改善用組成物を提供する。【解決手段】本発明の遂行機能改善用組成物は、ラクトフェリンを含有することを特徴とする。前記遂行機能改善は、作業効率、労働生産性、判断力、思考力、注意力、集中力の維持又は向上であってもよい。前記ラクトフェリンは、リポソームにより内包されていてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、ラクトフェリンを含有する遂行機能改善用組成物に関する。
ラクトフェリン(Lactoferrin:LF)は、分子量約8万の鉄結合性の糖蛋白質であり、ヒトを含む哺乳動物の乳汁、唾液、汗、涙液等の外分泌液、粘液、好中球、消化管粘膜の細胞表面等に存在している。従来より、ラクトフェリンは、抗菌作用、ウイルスに対する感染抑制作用、抗炎症作用、脂質代謝改善作用、創傷治癒促進作用等を有することが知られている。そのため、従来よりラクトフェリンは、サプリメント等の健康食品等の原料に用いられてきた。また、近年、例えば特許文献1に開示されるように、ラクトフェリンに、腸内フローラ細菌種バランス改善作用等の生体に有用な作用が新たに見出されるようになった。
特開2018−043966号公報
本発明の目的とするところは、優れた遂行機能改善作用を発揮する遂行機能改善用組成物を提供することにある。
本発明は、ラクトフェリンが優れた遂行機能改善作用を発揮することを見出したことに基づく発明である。
上記目的を達成するための本発明の遂行機能改善用組成物は、ラクトフェリンを含有することを特徴とする。
上記遂行機能改善用組成物は、前記遂行機能改善が、認知情報処理機能改善であってもよい。
上記遂行機能改善用組成物は、前記遂行機能改善が、作業効率、労働生産性、判断力、思考力、注意力、集中力の維持又は向上であってもよい。
上記遂行機能改善用組成物は、前記ラクトフェリンが、リポソームにより内包されてもよい。
本発明によれば、優れた遂行機能改善作用を発揮する。
試験例1のラクトフェリンを摂取した場合における絶対的プレゼンティーイズムの結果を示すグラフ。 試験例2のラクトフェリンを摂取した場合における集中力改善の結果を示すグラフ。 試験例2のラクトフェリンを摂取した場合における仕事効率改善の結果を示すグラフ。 試験例3のラクトフェリンを摂取した場合において、MCI-screenの検査における遅延再生評価の結果を示すグラフ。 試験例3のラクトフェリンを摂取した場合において、MCI-screenの検査における遅延自由再生の評価結果を示すグラフ。 試験例4のラクトフェリンを摂取した場合において、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)の全誤反応数(TE)の結果を示すグラフ。 試験例4のラクトフェリンを摂取した場合において、WCSTの第1カテゴリー達成までに使用された反応カード数(NUCA)の結果を示すグラフ。 試験例4のラクトフェリンを摂取した場合において、WCSTのMilner型の保続性の誤り(PEM)の結果を示すグラフ。 試験例4のラクトフェリンを摂取した場合において、WCSTのNelson型の保続性の誤り(PEN)の結果を示すグラフ。 試験例5のラクトフェリンを摂取した場合において、ブルドン抹消検査(BCT)の総所要時間の結果を示すグラフ。 試験例5のラクトフェリンを摂取した場合において、ブルドン抹消検査(BCT)の総脱漏数の結果を示すグラフ。
本発明の遂行機能改善用組成物を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の遂行機能改善用組成物は、ラクトフェリンを有効成分として含有する。ラクトフェリンは、上述したように分子量が約8万の鉄結合性の糖蛋白質であり、哺乳動物の乳汁等に存在する。ヒトにおいても母乳、特に出産後数日の間に多く分泌される初乳に多く存在し、新生児の免疫獲得等、健康維持に関して重要な役割を果たしていると考えられている。また、ラクトフェリンは、新生児以降でも体内にも広く分布している。例えば、唾液、涙、十二指腸等の分泌液中に含まれており、新生児以外にとっても重要な役割を担っていると考えられている。
ラクトフェリンの由来は、特に限定されず、コスト面から牛乳から抽出されたものが好適に用いられる。ラクトフェリンは、天然型ラクトフェリン、ラクトフェリンから常法により鉄を除去することにより得られる遊離型(アポ型)ラクトフェリン、アポラクトフェリンに鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属を一部キレートさせた金属結合ラクトフェリン、前記金属を完全にキレートさせた金属飽和(ホロ型)ラクトフェリンであってもよい。天然型ラクトフェリンは、例えばヒト、ウシ、水牛、ウマ、ヤギ、ヒツジ等の哺乳動物の初乳、移行乳、常乳、末期乳、これらの処理物である脱脂乳、ホエー等からイオン交換クロマトグラフィー法等の常法により分離することにより得られる。これらの中で、特にウシ由来又はヒト由来の天然型ラクトフェリンが好ましい。これらのラクトフェリンは、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ラクトフェリンは、リポソームに内包された態様であってもよい。ラクトフェリンを含んだリポソームの態様により、ラクトフェリンの小腸への到達性をより向上できる。リポソーム内包型のラクトフェリンは、有効成分の一部であっても、全てであってもよい。
リポソームは、脂質小胞体であり、リン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成される。リポソームは、例えば水溶性薬物をその内水層に、脂溶性薬物を脂質二重層へ取り込むことができ、薬物のターゲティング、徐放化、副作用の軽減等を目的に、従来よりDDS製剤の薬物運搬体としてその応用が試みられている。また、リポソームは生体膜の成分から構成されているため安全性が高いことも知られている。
一般的にリポソームは、脂質二重層の数に基づいて分類され、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamellar vesicle)、LUV(largeunilamellar vesicle)、GUV(giant unilamellar vesicle)等に分類される。本発明のリポソームは、これらのいずれであってもよいが、好ましいのはMLVである。リポソームの大きさは、通常30〜1000nmが挙げられ、好ましくは30〜600nm、より好ましくは50〜200nmである。
ラクトフェリンは、脂質二重膜であるリポソーム膜で囲まれる空間に封入されている状態で存在するリポソーム内包型であることが好ましい。その他、リポソーム膜の構成成分とともに存在していてもよく、多重膜リポソームを構成する多重膜の間に存在してもよく、リポソームを構成する脂質二重膜のうちの最も外側に位置する膜の表面に付着又は結合する形態で存在してもよい。
ラクトフェリンを含んだリポソームは、公知の方法により製造することができる。例えば、まず所望量のレシチン及び必要に応じて所望量のステロールを、例えばエタノール等の適当な有機溶媒で可溶化する。次に、減圧下に溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これにラクトフェリンや任意の生理活性物質を含む溶液を添加する。次に、例えば1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム懸濁液を調製することにより、ラクトフェリンを封入したリポソームを得ることができる。
また、その他、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量ステロールを少量のエタノールに溶解後、水溶液又は緩衝液に分散して予備乳化を行った後、高圧で分散させて脂質二重層を形成させてリポソーム懸濁液を調製する方法を採用してもよい。
さらに、リポソーム分散液の調製方法は前記の方法には制限されず、公知の方法により調製することができる。例えば、下記の(1)〜(4)の方法などが挙げられる。
(1)リン脂質(レシチン)、ラクトフェリン、及びその他の成分を混合した後、pH調製剤、多価アルコール、糖類等を含む水溶液で水和し、リポソームを形成させる方法。
(2)リン脂質(レシチン)、ラクトフェリン、及びその他の成分をアルコール又は多価アルコール等に溶解し、pH調整剤、多価アルコール、糖類等を含む水溶液で水和し、リポソームを形成させる方法。
(3)超音波、フレンチプレス、ホモジナイザー等を用いて、リン脂質(レシチン)、ラクトフェリン、その他の成分を水中で複合体化させ、リポソームを形成させる方法。
(4)エタノールにリン脂質(レシチン)、ラクトフェリン、その他の成分を混合溶解し、当該エタノール溶液を塩化カリウム水溶液に添加した後にエタノールを除去し、リポソームを形成させる方法。
得られた懸濁液に対しては、必要に応じて、リポソーム外液中のラクトフェリンを除去する操作、例えば懸濁液を濾過後、得られた濾液を透析する操作を行ってもよい。
リポソームの懸濁液は、液状のままでも使用できるが、凍結乾燥した乾燥物として使用することもできる。リポソームの乾燥物は、錠剤、カプセル化したもの等、様々な経口摂取に適した形態とすることが可能である。
ラクトフェリンを含んだリポソーム中におけるラクトフェリンの含有量は、特に限定されないが、好ましくは10〜99質量%、より好ましくは20〜95質量%、さらに好ましくは30〜90質量%である。
レシチンの具体例としては、例えば卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチン、これらの水素添加物等が挙げられる。これらのレシチンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。レシチンは、ホスファチジルコリン又は1,2−ジアシルグリセロール3−ホスホコリンとも称され、一般的にグリセロールの1位及び2位に脂肪酸が結合している。本発明では、上記例示のレシチンに加えて、1位及び2位の両方又は片方に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが好ましく、1位に炭素数12〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが特に好ましい。ここで、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は直鎖状及び分枝状のいずれでもよい。好ましい不飽和脂肪酸としては、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を使用できる。特に2位にオレイン酸、リノール酸が多く結合したレシチンが好ましい。具体的には、卵黄レシチン、大豆レシチンが好ましい。
ステロールの具体例としては、例えば(1)コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロール等の動物由来のステロール、(2)β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、エルゴスタディエノール、シトステロール、ブラシカステロール等の植物由来のステロール(フィトステロール)、(3)チモステロール、エルゴステロール等の微生物由来のステロール等が挙げられる。これらのステロールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましく用いられる。
リポソームにおけるレシチンとステロールのモル比は、特に限定されないが、55:45〜95:5が好ましく、60:40〜90:10がより好ましく、75:25〜85:15が最も好ましい。モル比がこれらの範囲にあるとリポソーム膜の安定性が向上する。
ラクトフェリンを含んだリポソーム中におけるレシチンの含有量は、特に限定されないが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは3〜65質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。
ラクトフェリンを含んだリポソーム中におけるステロールの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0.1〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。
レシチン又はステロールの含有量は、既知の方法で測定できる。例えばレシチンの含有量は、Fiske−Subbarow法等を用いて測定できる。ステロールの含有量は、HPLC、比色法等によって定量できる。
さらに、ラクトフェリンを含んだリポソームは、その表面をコーティングすることができ、このコーティングしたリポソーム化ラクトフェリンも有効成分として利用できる。好ましいコーティングとしては、硫酸基を含有する多糖類によるコーティングが挙げられる。硫酸基含有多糖類の具体例としては、例えばフコイダン、カラギーナン、寒天、ヘパリン等が挙げられる。また、当該硫酸基含有多糖類としては、例えばコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸等の硫酸基を含まない多糖を硫酸化したものも包含される。
硫酸基含有多糖類の分子量としては、特に限定されないが5,000〜300,000Daのものが好ましく用いられる。これらの硫酸基含有多糖類の中でもフコイダン及びカラギーナンを好ましく用いることができ、特にフコイダンが好ましい。
硫酸基含有多糖類の使用量は、特に限定されないが、例えばリポソームに含有されるレシチン100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。
コーティングは、例えばラクトフェリンを含んだリポソームを含む懸濁液に、硫酸基含有多糖類を加え、例えば1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌することにより実施できる。なお、1つのコーティング膜の中に複数のリポソームが含まれていてもよい。
リポソームが硫酸基含有多糖類でコーティングされていることは、例えばリポソーム溶液のゼータ電位が、硫酸基含有多糖類を添加して撹拌した際に変化することにより確認できる。
ラクトフェリンを含んだリポソームは、レシチン、ステロール以外にも必要に応じて、トコフェロール、アスコルビン酸等の抗酸化剤、乳酸、クエン酸等の有機酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン等の脂質、キトサン、フコイダン、ヒアルロン酸等の天然高分子、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー等の合成高分子、トレハロース、ラクチュロース、マルチトール等の糖質、グリセリン等のポリオール等を加えることができる。
上記有効成分であるラクトフェリンを含有する遂行機能改善用組成物は、特に経口摂取により優れた遂行機能改善作用を発揮する。遂行機能改善用組成物は、認知機能の一つである遂行機能の維持又は向上のために適用される。
遂行機能としては、目的を持った一連の活動を効果的に成し遂げるために必要な機能を示す。例えば前頭葉、より具体的には前頭連合野が遂行機能に関する中心的な役割を果たすと考えられている。遂行機能の改善とは、具体的には、認知情報処理機能の改善を示す。より具体的には、作業効率、労働生産性、認知機能、実行機能の維持又は向上を示し、さらには、作業効率、労働生産性、認知機能、実行機能の維持又は向上に必要な判断力、思考力、注意力、集中力、記憶、判断の正確さ等の維持又は向上も含まれる。これらの中でラクトフェリンによる効能発現により優れる観点から作業効率、労働生産性、集中力の維持又は向上に適用されることが好ましい。
遂行機能改善用組成物の適用形態としては、特に限定されず、例えば食品組成物、医薬組成物、医薬部外品組成物として適用される。遂行機能改善用組成物は、有効成分をそのまま食品組成物、医薬組成物等の素材として用いてもよいし、薬学上又は食品衛生学上許容される基剤、担体、添加物等を適宜配合したうえで、製品としてもよい。例えば有効成分の他、デキストリン、セルロース、大豆等由来のレシチン、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム等を含む組成物が例示される。
遂行機能改善用組成物を、食品、飲料等の食品組成物に適用する場合、例えば食品添加用組成物、各種菓子類(チョコレート、グミ等)、錠剤、カプセル(ソフトカプセル、ハードカプセル)、各種加工食品、ガム類、各種飲料等に適用できる。組成物の形態としては、適用する素材に応じて適宜設計することができ、例えば粉末状、顆粒状等の固体状、ペースト状、液状等として構成できる。
食品組成物の用途としては、特に限定されず、いわゆる(1)一般食品、(2)栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、サプリメント等の健康食品、(3)特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、機能性食品等の保健機能食品、(4)病者用食品、妊産婦授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳等の特別用途食品等が挙げられる。飲食品において用途の表示を付す場合、各種法律、施行規則、ガイドライン等によって定められた表示が挙げられる。飲食品において用途の表示には、包装、容器等のパッケージへの表示の他、パンフレット等の広告媒体への表示も含まれる。
遂行機能改善用組成物の用途の表示内容としては、遂行機能改善、遂行機能の維持又は向上、認知情報処理機能改善、認知情報処理機能の維持又は向上等の表示が挙げられる。また、上述した作業効率、労働生産性、認知機能、実行機能の維持又は向上、さらには判断力、思考力、注意力、集中力、記憶、判断の正確さ等の維持又は向上等の表示が挙げられる。また、これらの改善、維持又は向上を示唆する表示も含まれる。具体的に、計算作業の効率、即時・遅延記憶、符号処理、仕事・勉強のパフォーマンス、休み明けの集中力、休み明けの仕事・勉強効率、物事に対する集中力、仕事・勉強に対する意欲又はやる気、ひらめき等の改善、維持又は向上等の表示も例示される。
遂行機能改善用組成物を、医薬組成物や医薬部外品として使用する場合は、服用(経口摂取)により投与する場合の他、経腸投与等を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば錠剤、丸剤、散剤、液剤、坐剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤等として構成してもよい。医薬組成物や医薬部外品として用いる場合、薬学的に許容される基剤、担体、添加剤として、例えば溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等が例示できる。
本実施形態の遂行機能改善用組成物の効果について説明する。
(1)本実施形態では、有効成分としてラクトフェリンを含むよう構成した。したがって、優れた遂行機能の改善作用を発揮できる。特に、認知情報処理機能改善に効果を発揮でき、より具体的には作業効率、労働生産性、認知機能、実行機能、判断力、思考力、注意力、集中力、記憶、判断の正確さ等の維持又は向上等に効果を発揮できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
・上記実施形態の遂行機能改善用組成物は、遂行機能に関する機能の改善、維持又は向上を目的とした適用のみならず、遂行機能の悪化の防止、低下の遅延、健常者が遂行機能の低下の予防を目的とした摂取も含むものとする。また、ヒト以外のペット、家畜等の飼養動物に適用してもよい。
・上記実施形態の遂行機能改善用組成物中に含まれるラクトフェリン(ラクトフェリン単体)の量は、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、1〜10000mg、5〜5000mg、10〜2000mg、20〜1000mgが例示できる。また、組成物中における含有割合も固形分中において例えば0.1〜100質量%、好ましくは1〜90質量%、1〜99質量%、10〜80質量%含むよう構成できる。
・上記実施形態の遂行機能改善用組成物は、一日の摂取量、摂取期間も目的・状態等に応じて適宜設定できる。優れた遂行機能改善作用の発現の観点から、ラクトフェリンを基準として成人一日あたり10〜10000mgが例示でき、この中でも20〜5000mgが好ましく、30〜500mgがより好ましく、50〜300mgがさらに好ましく、100〜200mgが最も好ましい。
・上記実施形態の遂行機能改善用組成物は、成人1日当たり1回又は複数回(好ましくは2〜3回)に分けて摂取することが好ましい。子供の場合は、年齢に応じて摂取回数を制限したり、1回当たりの摂取量を制限する事が好ましい。制限の方法としては例えば、成人であれば複数個摂取するところを摂取する個数を減らしたり、タブレット、打錠剤に割線を設け、摂取量に応じて分割してから摂取する方法等が挙げられる。
次に、実施例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
(1)遂行機能改善用組成物の調製
有効成分であるラクトフェリンとして、ウシ由来LFを85%以上含む食品用原料を使用した。ラクトフェリン原料を一般的な方法を用いてリポソームに内包させ、賦形剤等を配合して錠剤を調製した。
具体的には、まず大豆レシチンをエタノールに溶解させ、ラクトフェリン水溶液に分散して予備乳化を行った後、140MPa程度の高圧で分散させてラクトフェリンを封入したリポソーム懸濁液を調製し、これにデキストリンを混和し凍結乾燥して乾燥粉末を得た。次に当該粉末にセルロース、微粒化二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム等の賦形剤を配合して打錠して、ラクトフェリン内包リポソーム含有錠剤(300mg/錠)を得た。なお、当該錠剤6錠あたり、LFとして270mgを含むように原材料量を調整した。すなわち、1錠300mgあたりラクトフェリン45mgを含有する遂行機能改善用組成物を調製した。
(2)試験例1:絶対的プレゼンティーイズム
これらの錠剤を一日6錠(ラクトフェリン270mg/日)ずつ、4週間被験者266名に摂取させた。摂取開始から4週間後に遂行機能改善作用として絶対的プレゼンティーイズムを評価した。
絶対的プレゼンティーイズム(Absolute presenteeism)とは、労働生産性を評価するものである。プレゼンティーイズムとは、何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や労働生産性が低下している状態である。プレゼンティーイズムの一般的な測定方法として「WHO−HPQスケール」の3項目(問B9〜問B11)が用いられている。
絶対的プレゼンティーイズムは、過去28日間のその人の仕事上のパフォーマンスを表し、下記の質問の評価数値から求められる。具体的には、問B11から求められる値×10(範囲=0〜100%)の数値で表される。100点満点でのスコアが高い程、パフォーマンスが良好な状態を表す。結果を図1に示す。図1中における***は、0週と4週間の間において対応あるt検定、有意確率(両端)p<0.001を示す。
(問B9)0があなたの仕事において誰でも達成できるような仕事のパフォーマンス、10がもっとも優れた勤務者のパフォーマンスとした0から10までの尺度上で、あなたの仕事と似た仕事において多くの勤務者の普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか。
(問B11)同じ0から10までの尺度上で、過去4週間(28日間)の間のあなたの勤務日におけるあなたの総合的なパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか。
図1に示されるように、ラクトフェリンの摂取から4週間後の絶対的プレゼンティーイズムの数値は向上していることが確認される。つまり、ラクトフェリンにより、労働生産性の向上が図られることが確認された。
(3)試験例2:集中力及び仕事効率
試験例1の被験者において、錠剤の摂取開始から1週間毎に下記の評価基準に基づき、遂行機能改善作用として被験者の集中力及び仕事効率について評価した。
集中力は、物事に集中できるか否かによって判断される抑うつ感が評価される。被験者に物事に集中できないときが、(a)ほとんどなかった場合、(b)ときどきあった場合、(c)しばしばあった場合、(d)いつもあった場合の4段階のいずれに該当するか回答を得た。結果を図2に示す。図2中における***は、0週との間において漸近有意確率(両端)p<0.001を示す。**は、0週との間において漸近有意確率(両端)p<0.01を示す。
仕事効率は、仕事が手につくか否かによって判断される抑うつ感を評価される。被験者に仕事が手につかないときが、(a)ほとんどなかった場合、(b)ときどきあった場合、(c)しばしばあった場合、(d)いつもあった場合の4段階のいずれに該当するか回答を得た。結果を図3に示す。**は、0週との間において漸近有意確率(両端)p<0.01を示す。*は、0週との間において漸近有意確率(両端)p<0.05を示す。
図2,3に示されるように、ラクトフェリンの継続的な摂取に伴い集中力及び仕事効率が向上していることが確認された。
以上により、ラクトフェリンの継続的な摂取により作業効率、労働生産性等に関する遂行機能の改善が図られることが確認された。
(4)試験例3:認知機能評価
試験例1で得られた錠剤を一日6錠(ラクトフェリン270mg/日)ずつ、3か月被験者26名に摂取させた。26名の内訳は、30代女性6名、男性6名、40代女性5名、男性2名、50代女性1名、男性5名、60代女性0名、男性1名である。摂取開始から3か月の期間において、認知機能評価として軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)の検査における、その改善傾向を評価した。
軽度認知障害は、「認知症の診断基準を満たさず、日常生活活動は保たれながらも,自覚を伴う加齢以上の認知機能障害」と定義される。その軽度認知障害のスクリーニングとして、MCI-screen(あたまの健康チェック:株式会社ミレニアの登録商標)を用いた。10単語想起テストとして遅延再生評価(delayed recall assessment)及び遅延自由再生(delayed free recall)について評価した。なお、MCI-screen(あたまの健康チェック)は、日本内科学会雑誌107巻12号2430〜2436頁(2018)が参酌される。
摂取開始時と3か月後における遅延再生評価の結果を図4、遅延自由再生の評価結果を図5に示す。遅延再生評価は、得点が高いほど認知機能に優れていることを示す。また、遅延自由再生は、スコアが高いほど認知機能に優れていることを示す。
図4,5に示されるように、ラクトフェリンの継続的な摂取に伴い、軽度認知障害の検査において記憶の改善傾向が確認された。なお、図4中の0か月と3か月の間において対応あるt検定を実施し、有意確率(両端)は、p=.014を示す。図5中の0か月と3か月の間において対応あるt検定を実施し、有意確率(両端)は、p=.054を示す。
(5)試験例4:実行機能評価
試験例3の被験者に対して、摂取開始から3か月の期間において、実行機能評価として前頭葉機能の検査における、その改善傾向を評価した。
前頭葉機能の検査として、ウィスコンシンカードソーティングテスト(Wisconsin Card Sorting Test:WCST)を用いた。摂取開始時、摂取から1.5か月後、3か月後において検査を行った。
具体的には、赤、緑、黄、青の1〜4個の三角形、星型、十字型、丸からなる図形のカードを示しながら、被験者の反応をみる検査方法である。まず、検者は、被験者に対して色・形・数の3つの分類カテゴリーのいずれかに従って、1枚ずつカードを示す。被験者は、それがどのカテゴリーに属するのかを自分自身で類推し、反応カードを示す。検者は、検者の分類カテゴリーと被験者のそれとの一致(正解)、不一致(誤り)のみを答える。被験者は、検者の正否の返答のみを手がかりとして、検者の考えている分類カテゴリーを推測して4枚のカードの何れかを選択する。検者は、被験者の連続正答が決められた回数に達成したら、被験者に予告なしに分類カテゴリーを変更する。これを一定回数(標準的には128回)続けていく。
下記に示される全誤反応数(TE)、第1カテゴリー達成までに使用された反応カード数(NUCA)、Nelson型の保続性の誤り(PEN)、Milner型の保続性の誤り(PEM)についてそれぞれ評価を行った。結果を図6〜9にそれぞれ示す。なお、各評価は、数値が小さいほど前頭葉機能の改善傾向を示す。
全誤反応数(TE):ちがっているとみなされた反応の合計数。
第1カテゴリー達成までに使用された反応カード数(NUCA):ひとつの概念またはセットが形成されるまでに要した試行錯誤の段階を示す。
Nelson型の保続性の誤り(PEN):直前の誤反応と同じカテゴリーに分類された誤反応数。誤反応の保続傾向、前反応の抑制障害との関連を有する。
Milner型の保続性の誤り(PEM):カテゴリー達成後、分類カテゴリーが変更されたにも関わらず以前のカテゴリーで分類を行った保続傾向の数。
図6〜9に示されるように、ラクトフェリンの継続的な摂取に伴い、いずれの評価結果も数値が低下し、判断の正確さが向上する傾向が示された。つまり、前頭葉機能の改善傾向が示された。
なお、図6中の0か月と3か月の間において、一元配置分散分析及びTukeyのHSD検定を実施し、有意確率(両側)は、p=.057を示す。図7中の0か月と3か月の間においては、p=.028を示す。図8中の0か月と1.5か月の間においては、p=.025を示す。図8中の0か月と3か月の間においては、p=.004を示す。図9中の0か月と1.5か月の間においては、p=.023を示す。図9中の0か月と3か月の間においては、p=.023を示す。
(6)試験例5:作業効率・集中力評価
試験例3の被験者に対して、摂取開始から3か月の期間において、作業効率・集中力評価としてブルドン抹消検査(BCT)を用いて評価した。摂取開始時、摂取から1.5か月後、3か月後において検査を行った。
四角の異なった角や辺に印のついた図形を並べた列の中から、指定された形の図形と同じところに印のついたものだけを選んで抹消させる検査方法である。図形は1列に40個並び、25往復行って平均時間と作業曲線を判定の対象とする。総所要時間(秒)と総脱漏数をカウントした。結果を図10,11に示す。
図10,11に示されるように、ラクトフェリンの継続的な摂取に伴い、いずれの評価結果も数値が低下する傾向が示された。つまり、作業効率・集中力の改善傾向が示された。
なお、図10中の0か月と1.5か月の間において、一元配置分散分析及びTukeyのHSD検定を実施し、有意確率(両側)は、p=.074を示す。図10中の0か月と3か月の間においては、p=.011を示す。図11中の0か月と1.5か月の間においては、p=.104を示す。図11中の0か月と3か月の間においては、p=.045を示す。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)医薬品組成物又は食品組成物である前記遂行機能改善用組成物。(b)ラクトフェリンの摂取量は20mg〜5000mg/日である前記遂行機能改善用組成物。

Claims (4)

  1. ラクトフェリンを含有する遂行機能改善用組成物。
  2. 前記遂行機能改善は、認知情報処理機能改善である請求項1に記載の遂行機能改善用組成物。
  3. 前記遂行機能改善は、作業効率、労働生産性、判断力、思考力、注意力、集中力の維持又は向上である請求項1又は2に記載の遂行機能改善用組成物。
  4. 前記ラクトフェリンは、リポソームにより内包されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の遂行機能改善用組成物。
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