JP2021170029A - 測定装置、測定方法およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】状況に応じて白線を検出する範囲を適切に調整し、自車位置推定の精度低下を防止する。【解決手段】測定装置は、周囲の路面線を検出するためのセンサ部からの出力データを取得し、自己位置と、破線型の路面線の位置情報と、前記破線型の路面線の実線部の間隔とに基づいて所定範囲を決定する。そして、前記出力データのうち、前記所定範囲の検出結果に相当するデータを抽出し、抽出されたデータに基づいて所定の処理を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、地物の位置に基づいて移動体の位置を推定する技術に関する。
自動運転車両では、LiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサで計測した地物位置と、自動運転用の地図情報の地物位置をマッチングして高精度に自車位置を推定する必要がある。ここで利用する地物としては、白線、標識、看板などが挙げられる。特許文献1は、LiDARを用いて検出した地物位置と、地図情報の地物位置とを用いて自車位置を推定する手法の一例を記載している。また、特許文献2は、道路面に電磁波を送信し、その反射率に基づいて白線を検出する技術を開示している。
特開2017−72422号公報 特開2015−222223号公報
白線を用いて自車位置を推定する場合、白線の種類(連続線、破線など)や塗装の劣化などによって、LiDARにより計測できるデータ数に差が生じる。このため、白線を用いて自車位置推定を行う際、白線の検出に使用するLiDARのデータ数が少ない場合と多い場合とでは白線の検出精度が変わり、その結果自車位置推定の精度が変わってくる。
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明は、状況に応じて白線を検出する範囲を適切に調整し、自車位置推定の精度低下を防止することを目的とする。
請求項に記載の発明は、移動体に搭載される測定装置であって、スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得部と、前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測部と、前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定部と、前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出部と、抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定部と、を備える。
請求項に記載の発明は、移動体に搭載される測定装置により実行される測定方法であって、スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得工程と、前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測工程と、前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定工程と、前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出工程と、抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定工程と、を備える。
請求項に記載の発明は、移動体に搭載され、コンピュータを備える測定装置により実行されるプログラムであって、スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得部、前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測部、前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定部、前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出部、抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定部、として前記コンピュータを機能させる。
白線抽出方法を説明する図である。 白線予測範囲の決定方法を説明する図である。 白線中心位置の算出方法を説明する図である。 破線型白線の白線予測範囲の第1の補正方法を説明する図である。 破線型白線の白線予測範囲の第1の補正方法を説明する図である。 破線型白線の白線予測範囲の第2の補正方法を説明する図である。 測定装置の構成を示すブロック図である。 白線を利用した自車位置推定処理のフローチャートである。
本発明の1つの好適な実施形態では、測定装置は、周囲の路面線を検出するためのセンサ部からの出力データを取得する取得部と、自己位置と、破線型の路面線の位置情報と、前記破線型の路面線の実線部の間隔とに基づいて所定範囲を決定する決定部と、前記出力データのうち、前記所定範囲の検出結果に相当するデータを抽出する抽出部と、抽出されたデータに基づいて所定の処理を行う処理部と、を備える。
上記の測定装置は、周囲の路面線を検出するためのセンサ部からの出力データを取得し、自己位置と、破線型の路面線の位置情報と、前記破線型の路面線の実線部の間隔とに基づいて所定範囲を決定する。そして、前記出力データのうち、前記所定範囲の検出結果に相当するデータを抽出し、抽出されたデータに基づいて所定の処理を行う。破線型路面線の実線部の間隔を考慮して所定範囲を決定することにより、所望のデータを適切に抽出することが可能となる。なお、本明細書においての「路面線」とは、測定対象である白線や黄色線などの区画線、および停止線や横断歩道などの線状の道路標示等である。
上記の測定装置の一態様では、前記決定部は、複数の所定範囲の少なくとも1つが、当該所定範囲の少なくとも一部において前記破線型の路面線の実線部と重なるように前記複数の所定範囲を決定する。この態様では、所定範囲の少なくとも一部において適切にデータを抽出することができる。
上記の測定装置の他の一態様では、前記決定部は、前記自己位置と前記破線型の路面線の位置情報に基づいて前記複数の所定位置を決定し、決定された複数の所定範囲の全てが前記破線型の路面線のスペース部と一致する場合に、前記複数の所定範囲の少なくとも一つの位置を移動させる。この態様では、所定範囲を移動することにより適切なデータが抽出可能となる。
上記の測定装置の他の一態様では、前記決定部は、前記自己位置と前記破線型の路面線の位置情報に基づいて前記複数の所定位置を決定し、決定された複数の所定位置の全てが前記破線型の路面線のスペース部と一致する場合に、前記複数の所定範囲の少なくとも一つの長さを長くする。この態様では、所定範囲の長さを長くすることにより適切なデータが抽出可能となる。
上記の測定装置の他の一態様では、前記決定部は、前記所定範囲の長さを、前記破線型の路面線のスペース部の長さより長くする。これにより、所定範囲が破線型路面線の実線部と重なるようにすることができる。
上記の測定装置の他の一態様では、前記決定部は、道路の種別に応じて、前記所定範囲の長さを変える。この態様では、道路の種別に応じて所定範囲を適切な長さに設定することができる。
好適な例では、前記測定装置は、移動体に搭載され、前記抽出部は、前記移動体の位置を基準として右前方、右後方、左前方、左後方の4か所に前記所定範囲を設定する。また、好適な例では、前記処理部は、前記路面線の位置を検出し、当該路面線の位置に基づいて前記測定装置の位置を推定する処理を行う。
本発明の他の好適な実施形態では、測定装置により実行される測定方法は、周囲の路面線を検出するためのセンサ部からの出力データを取得する取得工程と、自己位置と、破線型の路面線の位置情報と、前記破線型の路面線の実線部の間隔とに基づいて所定範囲を決定する決定工程と、前記出力データのうち、前記所定範囲の検出結果に相当するデータを抽出する抽出工程と、抽出されたデータに基づいて所定の処理を行う処理工程と、を備えることを特徴とする。破線型路面線の実線部の間隔を考慮して所定範囲を決定することにより、所望のデータを適切に抽出することが可能となる。
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える測定装置により実行されるプログラムは、周囲の路面線を検出するためのセンサ部からの出力データを取得する取得部、自己位置と、破線型の路面線の位置情報と、前記破線型の路面線の実線部の間隔に基づいて所定範囲を決定する決定部、前記出力データのうち、前記所定範囲の検出結果に相当するデータを抽出する抽出部、抽出されたデータに基づいて所定の処理を行う処理部、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の測定装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[白線抽出方法]
図1は、白線抽出方法を説明する図である。白線抽出とは、道路面にペイントされた白線を検出し、その所定位置、例えば中心位置を算出することをいう。
(白線予測位置の算出)
図示のように、地図座標系(X,Y)に車両5が存在し、車両5の位置を基準として車両座標系(X,Y)が規定される。具体的に、車両5の進行方向を車両座標系のX軸とし、それに垂直な方向を車両座標系のY軸とする。
車両5の左右の側方には車線境界線である白線が存在する。白線の地図座標系における位置、即ち、白線地図位置は、サーバなどにより管理される高度化地図に含まれており、サーバなどから取得される。本実施例では、白線のデータは座標点列として高度化地図内に記憶されているものとする。また、車両5に搭載されたLiDARはスキャンライン2に沿ってスキャンデータを計測する。なお、スキャンライン2は、LiDARによるスキャンの軌跡を示す。
図1では、車両5の左側の白線WL1を構成する点の座標、即ち白線地図位置WLMP1は(mxm1,mym1)であり、車両5の右側の白線WL2を構成する点の座標、即ち白線地図位置WLMP2は(mxm2,mym2)であるとする。また、地図座標系における予測自車位置PVPは(x’,y’)で与えられ、地図座標系における予測自車方位角はΨ’で与えられる。
ここで、白線の予測位置を示す白線予測位置WLPP(l’x,l’y)は、白線地図位置WLMP(mx,my)と、予測自車位置PVP(x’,y’)と、予測自車方位角Ψ’とを用いて、以下の式(1)により与えられる。
Figure 2021170029
よって、式(1)により、白線WL1について白線予測位置WLPP1(l’xv1,l’yv1)が得られ、白線WL2について白線予測位置WLPP2(l’xv2,l’yv2)が得られる。こうして、白線WL1、WL2のそれぞれについて、白線WL1、WL2に対応する複数の白線予測位置WLPP1、WLPP2が得られる。
(白線予測範囲の決定)
次に、白線予測位置WLPPに基づいて、白線予測範囲WLPRが決定される。白線予測範囲WLPRは、予測自車位置PVPを基準として、白線が存在すると考えられる範囲を示す。白線予測範囲WLPRは、最大で車両5の右前方、右後方、左前方及び左後方の4か所に設定される。
図2は、白線予測範囲WLPRの決定方法を示す。図2(A)において、車両5の前方の任意の位置(距離α前方の位置)に前方基準点(α,0)を設定する。そして、前方基準点(α,0)と、白線予測位置WLPPとに基づいて、前方基準点(α,0)から最も近い白線予測位置WLPPを探索する。具体的には、白線WL1については、前方基準点(α,0)と、白線WL1を構成する複数の白線予測位置WLPP1(l’xv1,l’yv1)とに基づいて、以下の式(2)により距離D1を算出し、距離D1が最小値となる白線予測位置WLPP1を予測範囲基準点Pref1とする。
Figure 2021170029
同様に、白線WL2については、前方基準点(α,0)と、白線WL2を構成する複数の白線予測位置WLPP2(l’xv2,l’yv2)とに基づいて、以下の式(3)により距離D2を算出し、距離D2が最小値となる白線予測位置WLPP2を予測範囲基準点Pref2とする。
Figure 2021170029
そして、図2(B)に示すように、予測範囲基準点Prefを基準とした任意の範囲、例えば予測範囲基準点PrefからX軸方向に±ΔX、Y軸方向に±ΔYの範囲を白線予測範囲WLPRと設定する。こうして、図1に示すように、車両5の前方の左右位置に白線予測範囲WLPR1とWLPR2が設定される。同様に、車両5の後方に後方基準点を設定して予測範囲基準点Prefを設定することにより、車両5の後方の左右位置に白線予測範囲WLPR3とWLPR4が設定される。こうして、車両5に対して4つの白線予測範囲WLPR1〜4が設定される。
(白線中心位置の算出)
次に、白線予測位置WLPPを用いて白線中心位置WLCPを算出する。図3は白線中心位置WLCPの算出方法を示す。図3(A)は、白線WL1が実線である場合を示す。白線中心位置WLCP1は、白線を構成するスキャンデータの位置座標の平均値により算出される。いま、図3(A)に示すように、白線予測範囲WLPR1が設定されると、LiDARから出力されるスキャンデータのうち、白線予測範囲WLPR1内に存在する白線スキャンデータWLSD1(wx’,wy’)が抽出される。白線上は通常の道路上と比較して反射率が高いので、白線上で得られたスキャンデータは、反射強度の高いデータとなる。LiDARから出力されたスキャンデータのうち、白線予測範囲WLPR1内に存在し、路面上、かつ、反射強度が所定以上値であるスキャンデータが白線スキャンデータWLSDとして抽出される。そして、抽出された白線スキャンデータWLSDの数を「n」とすると、以下の式(4)により、白線中心位置WLCP1(sxv1,syv1)の座標が得られる。
Figure 2021170029
また、図3(B)に示すように、白線が破線である場合も同様に白線中心位置WLCP2が算出される。
(白線が破線の場合の白線予測範囲の決定)
前述のように、白線予測範囲WLPRは、白線予測位置WLPPに基づいて決定されるが、白線が破線である場合(以下、この種の白線を「破線型白線」とも呼ぶ。)、白線WLが白線予測範囲WLPRに含まれない状況が生じうる。
図4(A)は、破線型白線の場合の白線予測範囲WLPRの例を示す。破線型白線WLは、実線部RPとスペース部SPとが交互に配置されてなる。ここで、実線部RPは白線がペイントされている部分であり、スペース部SPは実線部RPの間にあって白線がペイントされていない部分である。いま、図4(A)に示すように前方基準点が規定され、白線予測範囲WLPRが決定された場合、2つの白線予測範囲WLPR1、WLPR4はいずれも破線型白線のスペース部SPに対応する位置となり、白線予測範囲WLPR1、WLPR4内に破線型白線の実線部RPが含まれていない状態となる。このような場合、白線予測範囲WLPRから十分な数の白線スキャンデータWLSDを得ることができないので、白線中心位置WLCPを精度良く算出することができなくなる。
(1)第1の補正方法
このような場合の対策として、第1の補正方法では、白線予測範囲WLPRの位置を移動させる。具体的には、図4(B)に示すように、車両5の左前方の白線予測範囲WLPR1を前方に移動し、左後方の白線予測範囲WLPR4を後方に移動する。これにより、白線予測範囲WLPR1、WLPR4はいずれも破線型白線の実線部RPと重なるようになり、白線予測範囲WLPRから十分な数の白線スキャンデータWLSDを得ることが可能となる。
次に、白線予測範囲WLPRを移動させる場合の移動量について検討する。図5(A)は、図4(A)と同様に、白線予測範囲WLPR1とWLPR4がともに破線型白線のスペース部SPと一致してしまう場合を示す。図2を参照して説明したように、車両の前方の白線予測範囲は、車両5の前方に前方基準点を設定し、前方基準点と最も近い白線予測位置WLPPを予測範囲基準点Prefとし、予測範囲基準点Prefから所定距離の範囲に決定される。よって、前方基準点を前方に移動させることにより白線予測範囲WLPR1を前方に移動させることができる。同様に、車両の後方の白線予測範囲WLPRは、車両5の後方に後方基準点を設定し、後方基準点と最も近い白線予測位置WLPPを予測範囲基準点Prefとし、予測範囲基準点Prefから所定距離の範囲に決定される。よって、後方基準点を後方に移動させることにより白線予測範囲WLPR4を後方に移動させることができる。具体的には、前方基準点又は後方基準点(以下、単に「基準点」とも呼ぶ。)までの距離αを大きくすることにより、車両の前方の白線予測範囲WLPR1を前方に移動し、車両の後方の白線予測範囲WLPR4を後方に移動することができる。
図5(A)において、破線型白線の実線部RPの長さを「Lw」とし、スペース部SPの長さを「Ls」とする。この場合、基準点までの距離αが、
α=(Ls+Lw)/2 (5)
を満たすとき、白線予測範囲WLPR1、WLPR4はともに破線型白線のスペース部SPと一致してしまう。そこで、破線型白線の実線部RPの長さLwとスペース部SPの長さLsに基づいて、
α>(Ls+Lw)/2 (6)
となるように基準点までの距離αを決定すれば、2つの白線予測範囲WLPR1、WLP4の両方がともにスペース部SPに一致することを防止できる。即ち、2つの白線予測範囲WLPR1、WLPR4の少なくとも一方が、少なくともその一部において、破線型白線の実線部RPと重なるようにすることができる。
また、図5(B)に示すように、基準点までの距離αを、
α=(Ls+Lw) (7)
となるように設定すれば、白線予測範囲WLPRを破線型白線の実線部RPの長さ方向の中央付近に配置することが可能となる。
(2)第2の補正方法
白線予測範囲WLPR1、WLPR4内に破線型白線の実線部RPが含まれない状態を回避する第2の補正方法は、白線予測範囲WLPRを延長する、即ち、長さを長くすることである。図6(A)に示すように、白線予測範囲WLPR1、WLPR4の両方が破線型白線のスペース部SPと一致してしまう場合、図6(B)に示すように、白線予測範囲WLPR1、WLPR4を延長すればよい。なお、図6(B)の例では、前方の白線予測範囲WLPR1を前方に延長し、後方の白線予測範囲WLPR4を後方に延長しているが、その代わりに前方の白線予測範囲WLPR1を後方に延長し、後方の白線予測範囲WLPR4を前方に延長しても良い。また、2つの白線予測範囲WLPR1、WLPR4をいずれも前後に延長しても良い。白線予測範囲WLPRの長さが破線型白線のスペース部SPよりも長くなるようにすることにより、白線予測範囲WLPRの少なくとも一部が破線型白線の実線部RPと重なるようにすることができる。
破線型白線の実線部RPの長さLw及びスペース部の長さLsは、通常は道路の種別に応じて決まっている。例えば、高速道路においては実線部RPの長さLw=8m、スペース部SPの長さLs=12mであり、一般道路においては実線部RPの長さLw=5m、スペース部SPの長さLs=5mである。よって、車両5の走行している道路の種別に応じて、白線予測範囲WLPRの長さを変更するような制御を行っても良い。具体的には、車両5が高速道路を走行しているときは白線予測範囲WLPRの長さを12mより長くし、車両5が一般道路を走行しているときは白線予測範囲WLPRの長さを5mより長くするようにしてもよい。これにより、白線予測範囲WLPRの少なくとも一部は破線型白線の実線部RPに重なるため、白線中心位置の検出精度を上げることができる。また、一般道路では、白線予測範囲WLPRの長さを必要以上に長くしなくてすむので、白線スキャンデータWLSDを検出する際のノイズを低減することができる。
(3)破線型白線の実線部及びスペース部の長さ
上記のように、第1及び第2の補正方法を行う際には、破線型白線の実線部RPの長さLw及びスペース部SPの長さLsを知る必要がある。基本的には、破線型白線の実線部RP及びスペース部SPの長さは、上記のように道路種別に応じて決まっている。よって、車両5が走行している道路の種別を検出することにより、実線部RPとスペース部SPの長さを知ることができる。
別の方法として、地図データ中の道路の属性データなどに破線型白線の実線部RPとスペース部SPの長さが含まれている場合には、それを参照することができる。さらに他の方法としては、LiDARのスキャンデータを利用したり、カメラによる撮影画像を分析したりして、実線部RPとスペース部SPの長さを検出しても良い。もちろんこれらの手法を併用してもよい。
(4)応用例
上記の例では、2つの白線予測範囲WLPR1、WLPR4の両方を移動又は延長しているが、その代わりに、2つの白線予測範囲WLPR1、WLPR4のいずれか一方のみを移動又は延長することとしてもよい。また、図1に示すように、車両5の右側にも白線がある場合には、車両5の右側に設定する白線予測範囲にも第1又は第2の補正方法を適用することができる。その際、車両5の左側と右側とで白線の種別が異なる場合には、それぞれの白線の仕様に応じて、白線予測範囲WLPRを移動する量や延長する量を決定すればよい。
[装置構成]
図7は、本発明の測定装置を適用した自車位置推定装置の概略構成を示す。自車位置推定装置10は、車両に搭載され、無線通信によりクラウドサーバなどのサーバ7と通信可能に構成されている。サーバ7はデータベース8に接続されており、データベース8は高度化地図を記憶している。データベース8に記憶された高度化地図は、ランドマーク毎にランドマーク地図情報を記憶している。また、白線については、白線を構成する点列の座標を示す白線地図位置WLMPを含む白線地図情報を記憶している。自車位置推定装置10は、サーバ7と通信し、車両の自車位置周辺の白線に関する白線地図情報をダウンロードする。なお、白線地図情報に破線型白線の実線部と破線部の長さの情報が含まれている場合には、自車位置推定装置10はその情報も取得する。
自車位置推定装置10は、内界センサ11と、外界センサ12と、自車位置予測部13と、通信部14と、白線地図情報取得部15と、白線位置予測部16と、スキャンデータ抽出部17と、白線中心位置算出部18と、自車位置推定部19とを備える。なお、自車位置予測部13、白線地図情報取得部15、白線位置予測部16、スキャンデータ抽出部17、白線中心位置算出部18及び自車位置推定部19は、実際には、CPUなどのコンピュータが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
内界センサ11は、GNSS(Global Navigation Satellite System)/IMU(Inertia Measurement Unit)複合航法システムとして車両の自車位置を測位するものであり、衛星測位センサ(GPS)、ジャイロセンサ、車速センサなどを含む。自車位置予測部13は、内界センサ11の出力に基づいて、GNSS/IMU複合航法により車両の自車位置を予測し、予測自車位置PVPを白線位置予測部16に供給する。
外界センサ12は、車両の周辺の物体を検出するセンサであり、ステレオカメラ、LiDARなどを含む。外界センサ12は、計測により得られたスキャンデータSDをスキャンデータ抽出部17へ供給する。
通信部14は、サーバ7と無線通信するための通信ユニットである。白線地図情報取得部15は、車両の周辺に存在する白線に関する白線地図情報を通信部14を介してサーバ7から受信し、白線地図情報に含まれる白線地図位置WLMPを白線位置予測部16へ供給する。
白線位置予測部16は、白線地図位置WLMPと自車位置予測部13から取得した予測自車位置PVPとに基づいて、前述の式(1)により白線予測位置WLPPを算出する。また、白線位置予測部16は、白線予測位置WLPPに基づいて、前述の式(2)、(3)により白線予測範囲WLPRを決定する。なお、白線位置予測部16は、前述のように全ての白線予測範囲WLPRが破線型白線のスペース部SPと一致してしまう場合には、白線予測範囲WLPRを移動する又は延長する補正を行う。そして、白線位置予測部16は、決定した白線予測範囲WLPRをスキャンデータ抽出部17へ供給する。
スキャンデータ抽出部17は、白線位置予測部16から供給された白線予測範囲WLPRと、外界センサ12から取得したスキャンデータSDとに基づいて白線スキャンデータWLSDを抽出する。具体的には、スキャンデータ抽出部17は、スキャンデータSDのうち、白線予測範囲WLPRに含まれ、路面上、かつ、反射強度が所定値以上であるスキャンデータを、白線スキャンデータWLSDとして抽出し、白線中心位置算出部18へ供給する。
白線中心位置算出部18は、図3を参照して説明したように、式(4)により白線スキャンデータWLSDから白線中心位置WLCPを算出する。そして、白線中心位置算出部18は、算出された白線中心位置WLCPを自車位置推定部19へ供給する。
自車位置推定部19は、高度化地図における白線地図位置WLMPと、外界センサ12による白線の計測データである白線中心位置WLCPとに基づいて、車両の自車位置と自車方位角を推定する。なお、高度化地図のランドマーク位置情報と外界センサによるランドマークの計測位置情報をマッチングすることにより自車位置を推定する方法の一例が特開2017−72422に記載されている。
上記の構成において、外界センサ12は本発明のセンサ部の一例であり、スキャンデータ抽出部17は本発明の取得部及び抽出部の一例であり、白線位置予測部16は本発明の決定部の一例であり、自車位置推定部19は本発明の処理部の一例である。
[自車位置推定処理]
次に、自車位置推定装置10による自車位置推定処理について説明する。図8は、自車位置推定処理のフローチャートである。この処理は、CPUなどのコンピュータが予め用意されたプログラムを実行し、図7に示す各構成要素として機能することにより実現される。
まず、自車位置予測部13は、内界センサ11からの出力に基づいて、予測自車位置PVPを取得する(ステップS11)。次に、白線地図情報取得部15は、通信部14を通じてサーバ7に接続し、データベース8に記憶された高度化地図から白線地図情報を取得する(ステップS12)。ここで、白線地図情報取得部15は、前述のように白線地図情報に破線型白線の実線部とスペース部の長さの情報が含まれている場合には、その情報も取得する。なお、ステップS11とS12はいずれが先でもよい。
次に、白線位置予測部16は、ステップS12で得られた白線位置情報に含まれる白線地図位置WLMPと、ステップS11で得られた予測自車位置PVPに基づいて、白線予測位置WLPPを算出する(ステップS13)。また、白線位置予測部16は、白線予測位置WLPPに基づいて白線予測範囲WLPRを決定する。この際、白線位置予測部16は、前述のように全ての白線予測範囲WLPRが破線型白線のスペース部SPと一致してしまう場合には、白線予測範囲WLPRを移動する又は延長する補正を行う。そして、白線位置予測部16は、白線予測範囲WLPRをスキャンデータ抽出部17へ供給する(ステップS14)。
次に、スキャンデータ抽出部17は、外界センサ12としてのLiDARから得たスキャンデータSDのうち、白線予測範囲WLPR内に属し、路面上、かつ、反射強度が所定値以上であるスキャンデータを白線スキャンデータWLSDとして抽出し、白線中心位置算出部18へ供給する(ステップS15)。
次に、白線中心位置算出部18は、白線予測範囲WLPRと白線スキャンデータWLSDに基づいて白線中心位置WLCPを算出し、自車位置推定部19へ供給する(ステップS16)。そして、自車位置推定部19は、白線中心位置WLCPを利用して自車位置推定を行い(ステップS17)、自車位置及び自車方位角を出力する(ステップS18)。こうして自車位置推定処理は終了する。
[変形例]
上記の実施例では、車線を示す車線境界線である白線を使用しているが、本発明の適用はこれには限られず、横断歩道、停止線などの線状の道路標示を利用してもよい。また、白線の代わりに、黄色線などを利用しても良い。これら、白線、黄色線などの区画線や、道路標示などは本発明の路面線の一例である。
5 車両
7 サーバ
8 データベース
10 自車位置推定装置
11 内界センサ
12 外界センサ
13 自車位置予測部
14 通信部
15 白線地図情報取得部
16 白線位置予測部
17 スキャンデータ抽出部
18 白線中心位置算出部
19 自車位置推定部

Claims (10)

  1. 移動体に搭載される測定装置であって、
    スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得部と、
    前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測部と、
    前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定部と、
    前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出部と、
    抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定部と、
    を備える測定装置。
  2. 前記決定部は、複数の予測範囲の少なくとも1つが、当該予測範囲の少なくとも一部において前記破線型の路面線の実線部と重なるように前記予測範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記決定部は、前記予測位置と前記破線型の路面線の位置情報に基づいて前記複数の予測範囲を決定し、決定された複数の予測範囲の全てが前記破線型の路面線のスペース部と一致する場合に、前記複数の予測範囲の少なくとも一つの位置を移動させることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
  4. 前記決定部は、前記予測位置と前記破線型の路面線の位置情報に基づいて前記複数の予測範囲を決定し、決定された複数の予測範囲の全てが前記破線型の路面線のスペース部と一致する場合に、前記複数の予測範囲の少なくとも一つの長さを長くすることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
  5. 前記決定部は、前記予測範囲の長さを、前記破線型の路面線のスペース部の長さより長くすることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
  6. 前記決定部は、道路の種別に応じて、前記予測範囲の長さを変えることを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
  7. 前記抽出部は、前記移動体の位置を基準として右前方、右後方、左前方、左後方の4か所に前記予測範囲を設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測定装置。
  8. 移動体に搭載される測定装置により実行される測定方法であって、
    スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得工程と、
    前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測工程と、
    前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定工程と、
    前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出工程と、
    抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定工程と、
    を備える測定方法。
  9. 移動体に搭載され、コンピュータを備える測定装置により実行されるプログラムであって、
    スキャン型の外界センサである第1のセンサから、前記移動体周囲の路面線を含む出力データを取得する取得部、
    前記移動体に搭載された第2のセンサの出力に基づいて前記移動体の予測位置を算出する予測部、
    前記予測位置と、地図データに含まれる破線型の路面線の位置情報と、に基づき前記路面線の予測範囲を算出し、前記算出された前記路面線の予測範囲と、前記破線型の路面線の実線部の間隔と、に基づき前記路面線の予測範囲を補正することで、前記路面線の予測範囲を決定する決定部、
    前記出力データのうち、前記予測範囲において検出されたデータを抽出する抽出部、
    抽出されたデータと、前記地図データに含まれる前記路面線の位置情報とに基づいて、前記移動体の現在位置を推定する推定部、
    として前記コンピュータを機能させるプログラム。
  10. 請求項9に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
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