JP2021169425A - 超音波増感剤 - Google Patents

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Isao Sakata
利夫 乾
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Abstract

【課題】患者に対する負担を軽減した、SDT(Sonodynamic Therapy:超音波化学治療法)に適用できる化合物の提供。【解決手段】式(I)で示される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩。[Rは、−N(CH2COONa)2、アスパラギン酸残基或いはグルタミン酸残基、又は−NH(CH2CH2)nOH(nは、1から3の整数を表す)を表す。]【選択図】図14

Description

本発明は、新規な電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその薬理学的に許容される塩、それらを有効成分とする超音波化学療法(SDT:Sonodynamic Therapy)用として使用する癌疾患治療剤、皮膚疾患治療剤、並びに抗菌剤に関する。
また、これらをCuやMn金属錯体化することにより、更に水溶性を増大させた新規な電子求引基担持フェニルクロリン金属錯体誘導体或いはエチレングリコール金属錯体誘導体又はその薬理学的に許容される塩に関する。
癌の新しい治療法として、超音波化学療法(SDT:Sonodynamic Therapy)用が行われている。これはある種のポルフィリン誘導体を静脈内注射などの方法により投与して、癌(腫瘍)組織に選択的に集積させた後、超音波を照射することにより癌組織のみを選択的に破壊することにより癌細胞を消滅させる治療法であり、ポルフィリン誘導体が有する癌組織への選択的集積性と、超音波増感作用という2つの特性を利用した治療法である。
他方、光物理化学的診断・治療法(PDT:Photodynamic Therapy)は光照射による治療法で、ポルフィリン誘導体が有する癌組織への選択的集積性と、光増感作用という2つの特性を利用した治療法である。
本発明者の1人は、このPDTに使用することができるポルフィリン誘導体について鋭意研究を進めてきており、これまでにATX−S10をはじめとする誘導体を多数提供してきている(特許文献1)。
一方、SDT増感剤として、これまでに癌疾患用に5−アミノレブリン酸塩酸塩(5−ALA)や、クロリンCe−Sn錯体(T−Ce)並びにエチレングリコール担持クロリンSn錯体(ACT4211)が開発されている(特許文献2、非特許文献1及び2)。
近年、5−ALAを用いたPDTによる癌診断・治療が有効であることが分ってきている。
また、5−ALAを用いたSDTによる癌治療の試みもなされている。
しかしながら、5−ALAはプロトポルフィリンIXの生合成前駆体であり、プロトポルフィリンIXの化合物特性、すなわち新生血管集積性が低いこと、最長波長吸収端が630nmであること並びに光毒性が存在し、超音波による活性が弱いことから良好なSDT治療剤とは言えない。
他方、T−CeやACT4211は植物体由来のクロロフィル誘導体で、我々の長年の研究から、動物由来でなく植物由来であることからこれらの安全性について必ずしも良好とは言えなかった。すなわち、本発明者らの開発した電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体は、血液由来のプロトポルフィリンから4〜5工程を経て合成して得られた誘導体である。本発明者らが創生したクロリン類は、生体内で分解してプロトポルフィリン代謝を経て通常の代謝ルートで排出されるため、特に安全であることが示唆される。
本出願人らは、SDT用の化合物として、超音波増感剤である前願物質のクロリンMn金属錯体(特許文献3)を出願してきた。
ところで、これまで提案してきたクロリン物質(特許第5179245号:特許文献4、特許第5651426号:特許文献5)は、Mn錯体化することにより光毒性が避けられる化合物であった。
我々は、先に前願物質(特許文献3:特開2018−199649号公報)を開発したが、その発明物質には分子内にヨード分子を含むことで、少なからず問題があった。ヨード分子は放射線診断剤となるメリットがあったが、一方ヨード分子はアレルギー発症のもとになると思われており、分子内にヨード分子を含まない化合物が求められていた。
一方、本発明者の一人のこれまでの研究によりポルフィリン骨格に電子求引基を結合、並びにMn錯体化させれば光毒性を消去できることが分かっており、その上抱水クロラールが超音波に感度良く反応することから、2個以上の塩素分子が存在すれば良いことも分かっていた。
そこで、クロル化フェニル基を結合させたポルフィリンを開発したが(非特許文献3)、水溶性が極めて乏しくSDT増感剤として利用することが出来なかった。
そこで、電子求引基担持フェニルクロリン化合物をこれまでの研究により癌への親和性が高まることが分かっているアスパラギン酸(特許文献1)のような多価カルボン酸基や多価水酸基を持つ官能基と結合させることにより水溶性が確保出来るものと逐次研究開発を重ねた。更により水溶性を持たせるためにMn、Cu及びFe錯体も検討した。
研究の結果、2個以上のカルボン酸を持つアミノ酸や、2個以上のエチレングリコール体を結合させて水溶性と癌親和性を併せ持つ誘導体を見出した。
新規な本電子求引基担持フェニルフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体にあっては、癌治療剤のみならず軟膏剤、ローション剤等のSDT用の外用剤としても感染症の治療に有効であることを確認し、本発明を完成させるに至った。
また、更なる水溶性の確保に向けては、本新規クロリン誘導体をMn、Fe及びCu金属錯体とすることも可能である。
特許第3613599号 アメリカ特許第6462192号 特開2018−199649号公報 特許第5179245号 特許第5651426号
Anticancer Res., 31(2) 501 (2011) Intergr. Cancer The., 7(2) 96 (2008) Cancer Sci., 98: 916 (2007)
したがって本発明は、超音波化学療法(SDT:Sonodynamic Therapy)に使用し得る電子求引基担持フェニルクロリンアミノ酸誘導体又はエチレングリコール誘導体、更には、それら電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体のMn、CuやFe錯体を有効成分とするSDT用の癌注射剤や外用剤、特に癌治療剤、皮膚疾患治療剤、並びに抗菌剤を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、その一つの基本的態様として、次式(I):
Figure 2021169425
[式中、
Xは、次式
Figure 2021169425
(なお、上記置換基を、以下、[化2]と称する。)
又は次式
Figure 2021169425
(なお、上記置換基を、以下、[化3]と称する。)
(上記式中、Yは電子吸引基を示し、ハロゲン原子、NH、OH、又はOCHである)で表される基を表し、
Rは、−N(CHCOONa)[これはイミノ二酢酸の残基を示す]、アスパラギン酸残基或いはグルタミン酸残基、又は−NH(CHCHO)OH(nは、1から3の整数を表す)を表し、
Mは、Mn、Fe又はCuを表し、
Zは、配位子を示し、OAc又はClである]
で示される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩である。
より具体的な一つの態様としては、本発明は、前記式(I)が、次式(I)−A型:
Figure 2021169425
並びに、次式(I)−B型:
Figure 2021169425
(上記各式中、X、R、Y、M、Z及びnは、前記定義と同一である)
で示される、電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩である。
また本発明は、別の態様として、上記の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、SDT用の癌治療剤、皮膚疾患治療用剤、または抗菌剤であり、またMn錯体の場合はMRI造影剤としても利用できる。
より具体的には、本発明は、注射剤、軟膏剤、舌下剤或いはローション剤の形態にある上記したSDT用の癌治療剤、皮膚疾患治療用剤、または抗菌剤であり、またMRI造影剤としても利用できる。
すなわち本発明は、その基本的な態様は、上記式(I)で示される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体、特に(I)−A型、並びに(I)−B型の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体、又はその薬理学的に許容される塩を利用して、SDTによる癌疾患治療、皮膚疾患治療、感染症治療を行う点に特徴を有するものである。
本発明により提供される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩は、水溶性クロリン誘導体であり、これらのクロリン誘導体を含有する注射剤、液剤、軟膏剤、舌下剤、坐剤或いはローション剤等の薬剤は、患部への集積性や浸透性が良好なものであり、光毒性もなく超音波に感受性があり、癌疾患治療、皮膚疾患治療並びに感染症治療におけるSDT療法において、患者に負担を与えることがない。
また超音波を使用できることから、光とは異なり深部にも到達し、治療自体を簡便に行える利点を有しており、新しい治療システムを提供できるものである。
さらに、感染症治療のためのSDT用抗菌剤として効果的なものであり、特に本電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体は水溶性を確保出来るため、非水性外用剤のみならず、水性外用製剤として用いることも可能である。
また、今日の癌治療、皮膚疾患治療並びに感染症治療用いられている抗がん剤、抗菌剤、抗生物質等は、薬剤耐性が容易に生じ易いものであるが、外部エネルギーとして超音波を用いる本発明のSDT治療システムにおいては、そのような薬剤耐性の問題が発生しない点で、その利点は、極めて特異的なものである。
なお、本化合物群も、本発明者により既に提案している物質(特許文献3)の場合と同様に、NaCl、メントール、NaHCOやEDTA等による添加増強効果が見られるものである。
試験例1における、B16−F10培養細胞による光毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例1における、HDF培養細胞による光毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例1における、B16−F10培養細胞による光毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、B16−F10による細胞毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、HDFによる細胞毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、B16−F10による細胞毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、HDFによる細胞毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、B16−F10による細胞毒性試験の結果を示したグラフである。 試験例2における、B16−F10による細胞毒性試験の結果を示したグラフである。
試験例3における、B16−F10によるSDT活性試験の結果を示したグラフである。 試験例3における、HDFによるSDT活性試験の結果を示したグラフである。 試験例3における、B16−F10によるSDT活性試験の結果を示したグラフである。 試験例4における、担癌動物に化合物投与後の超音波照射試験の結果を示したグラフである。 試験例4における、担癌動物に化合物投与後の超音波照射試験の結果を示したグラフである。
本発明が提供する、式(I)で示される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩は、具体的には式(I)−A型、或いは式(I)−B型の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体(以下、これらを併せて、単に「クロリン誘導体」という場合もある)である。
このクロリン誘導体は、これまで本発明者らが提供してきたクロリン誘導体であるTONS503および504‐Mn錯体(特許文献3)と同様に、癌への親和性や皮膚浸透性が高く、しかも光毒性が無く、また水溶性或いは脂溶性を持たせたことから、例えば注射剤、あるいは各種軟膏基剤中に均一に溶解・分散し、軟膏製剤自体の安定性も極めて良好なものであり、また水溶性ローション剤として製剤中に均一に溶解・分散し、製剤自体の安定性も極めて良好なものである。
そのような式(I)で示されるクロリン誘導体の中でも、特に以下の式(I)で示されるA型、及びB型:
Figure 2021169425
で示されるフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩であって、具体的には、以下の略号で示される化合物である。
Compound A:式(I)B型において、Xが[化2]であり、YがClで、Rがイミノ二酢酸残基である電子求引基担持フェニルクロリンアミノ酸誘導体。
Compound B:式(I)B型において、Xが[化2]であり、YがClで、Rが−NH(CHCHO)OHである電子求引基担持フェニルクロリンエチレングリコール誘導体。
Compound C:式(I)B型において、Xが[化2]であり、YがClで、Rが−NH(CHCHO)OHで、MがMnである電子求引基担持フェニルクロリンエチレングリコールMn金属錯体。
Compound D:式(I)B型において、Xが[化2]であり、YがFで、Rがイミノ二酢酸残基である電子求引基担持フェニルクロリンアミノ酸誘導体。
Compound E:式(I)B型において、Xが[化2]であり、YがFで、Rが−NH(CHCHO)OHである電子求引基担持フェニルクロリンエチレングリコール誘導体。
Compound F:式(I)B型において、Xが[化3]であり、Rが−NH(CHCHO)OHであるクロリンエチレングリコール誘導体。
Compound G:式(I)B型において、Xが[化3]であり、Rが−NH(CHCHO)OHで、MがMnであるクロリンエチレングリコールMn金属錯体。
これらのフェニルクロリン誘導体は、Compound AやDに対するRがイミノ二酢酸残基だけでなくアスパラギン酸残基やグルタミン酸残基でも良く、多価カルボン酸を持つアミノ酸であれば良い。
また、Compound B、C、E、FやGに対するRが2個の連結するエチレングリコール残基だけでなく1個や3個のエチレングリコール残基でも良い。
一方、YはClだけでなく電子求引基を示す他のハロゲン化合物すなわちBr、I、F原子でもよく、また同様に電子求引基を示すNH、OH、OCHであっても良い。
要するに、電子求引基を担持して光毒性を消去する官能基があればよく、しかも中でもフェニル基のオルト位やパラ位の配向が最も良い。しかし、これにこだわる必要もない。
金属錯体化について、これらの合成手順を代えて、最初の段階で金属錯体化しても、また合成途中の段階でも金属錯体化しても良い。
要するに、最終的に目的化合物が得られれば、合成手順のいずれの段階でも金属錯体化しても何ら問題はない。
したがって、前記特許に記載の内容は、本願明細書の一部を構成する。
錯体化の手段としては、前記特許に記載の方法により得られた化合物等を適当な有機溶媒中に溶解後、そこにマンガンや銅の酢酸塩や塩化物を反応させることにより、フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体の金属錯体を調製することができる。
反応に使用する金属塩や有機溶媒は特に限定されず、反応に直接の影響を与えないものであれば、任意に選択することができる。具体的には、金属塩としては酢酸塩や塩化金属塩を挙げることができ、なかでも塩化金属塩が好ましく使用され、また有機溶媒として酢酸、DMF等の溶媒を挙げることができ、なかでも酢酸が好ましく使用される。
反応温度、反応時間も特に限定されるものではなく、40〜80℃、好ましくは55℃程度の加熱下に4〜10時間程度攪拌処理をすることがよい。
一方、クロリン体を電子求引基担持フェニル誘導体化又はエチレングリコール誘導体化する際には、合成手順として最初の段階でなく工程途中の段階でも当該誘導体化しても良い。
要するに、最終的に目的化合物が得られれば、合成手順のいずれの段階でも電子求引基担持フェニル誘導体化又はエチレングリコール誘導体化しても何ら問題はない。
その幾つかの調製方法の具体的なものを以下に示す。
製造例1:式(I)B型において、Xが[化2]であり、Yがクロル、Rがイミノ二酢酸残基であるジクロロフェニルクロリンアミノ酸誘導体の調製(Compound Aの調製)
(a)CP−P−Hの調製
フォトプロトポルフィリンIX ジメチルエステル(P−MeB型)(10g)及び 2,4-dichlorophenylhydrazine HCl塩(5g)をピリジン(100mL)に溶解し1.5時間撹拌反応した。反応後、反応液を冷やした16%酢酸水中に加えて沈殿物を濾過し、濾集物(CP−P−Me)を水にて洗浄し、風乾した。
得られた風乾物をDMF(150mL)に溶解し、1.5M−NaOH(40mL)を加えて室温下で1.5時間撹拌し加水分解した。加水分解後、加水分解物に冷水中を加えて沈殿させ、沈殿物を濾過し、濾集物を水で数回洗浄して加水分解物を約12g(CP−P−Na)得た。得られた加水分解物を10%クエン酸水溶液(800mL)に懸濁させ2.5時間撹拌した。撹拌後、濾集し、濾過物を水洗後、乾燥させ、CP−P−Hを約10g得た。
CP−P−HのNMR分析とIR分析
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.72 (s, 1H), 9.54 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 7.74-7.99 (m, 3H), 7.03 (s, 1H), 6.03-6.13 (m, 2H), 4.13-4.38 (m, 4H), 3.69 (s, 6H), 3.46 (s, 3H), 3.18-3.36 (m, 4H), 1.26 (s, 3H)
γporphyrin = 1732, 2922, 2950 cm-1, γNH=N = 1510, 1593 cm-1
(b)イミノ二酢酸 ジメチルエステルの調製
イミノ二酢酸(10g)にメタノール(50mL)を加え、ice bath 上懸濁状態で撹拌した。ついで、塩化チオニル(16mL)をゆっくり滴下した。すべて滴下した後、室温で12時間反応させた。反応後、エーテルを加え沈殿物を濾過し、濾集物をエーテルでよく洗浄を行った。洗浄した固体を回収・乾燥させ、イミノ二酢酸 ジメチルエステル・塩酸塩(IDA(OMe)・HCl塩)を約11g得た。
IDA(OMe)・HCl塩のNMR分析
1H-NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 10.05 (s, 1H), 4.01 (s, 4H), 3.74 (s, 6H)
(c)目的物(Compound A)の調製
上記の(a)で得られたCP−P−H(5.0g)(781g/mol)及びEDC/HCl(10g)(155.25g/mol)をN,N−ジメチルアセトアミド(100mL)に溶解させた。その後、(b)で得られたIDA(OMe)・HCl塩(6.0g)を添加し2.5時間反応させた。そして更に4.0gのEDC/HClを追加添加して1.5時間反応させた。反応後、冷水中に加え沈殿物を得た。沈殿物を濾集し、水、EtOHにて洗浄し乾燥させCP−P−IDA(OMe)を約5g得た。
得られたCP−P−IDA(OMe)をEtOH(300mL)で懸濁させ、1.5−M−NaOH(50mL)を添加し1.5時間室温にて加水分解をした。得られた加水分解物に、EtOH/AcOEt混液(1:1)(500mL)を加え、沈殿物を得た。沈殿物を濾集し、EtOH/AcOEt混液、EtOHで洗浄後乾燥させ、目的物のCompound Aを4g得た。
Compound A(Mw:1,071.78)のNMR分析とIR分析
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.73 (s, 1H), 9.60 (s, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.11 (br, 1H), 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.37-7.43 (m, 2H), 7.18 (br, 1H), 6.16 (d, J = 18.4 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.28-4.39 (m, 2H), 4.18-4.24 (m, 2H), 3.66-3.71 (m, 8H), 3.54 (s, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.35 (s, 3H), 3.27 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.21 (t, J = 4.4 Hz, 2H), 1.44 (s, 3H)
γporphyrin = 2956 cm-1, γCOO = 1732 cm-1, γCONRR’ = 1594 cm-1NH=N = 1510 cm-1
これは、UVスペクトル分析によってもその構造が支持された。
製造例2:式(I)B型において、Xが[化2]であり、Yがクロル、Rが−NHCH CH OCH CH OHであるジクロロフェニルクロリンエチレングリコール誘導体の調製(Compound Bの調製)
先の製造例1の(a)で得られたCP−P−H(3.0g)を用い、これにEDC/HCl(6.0g)を加えてN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させた。その後、2-(2-aminoethoxy)ethanol(DEGA)(2.6mL)を添加し、1時間反応させた。さらにEDC/HCl(1.0g)を追加添加し3時間反応させた。反応後、反応物を冷水中に加え沈殿物を得た。得られた反応物を水ついでEtOHで洗浄し、デシケーターで乾燥させ目的物のCompound Bを2.8g得た。
Compound B(Mw:927.93)のNMR分析とIR分析
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.73 (s, 1H), 9.53 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 7.93 (br, 1H), 7.60-7.77 (m, 2H), 7.39-7.44 (m, 2H), 6.98 (br, 1H), 6.11 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 4.22-4.34 (m, 4H), 4.12 (q, J = 6.9 Hz, 4H), 3.20-3.72 (m, 25H), 1.24 (s, 3H)
γOH = 3341 cm-1, γporphyrin = 1736, 2922, 2955 cm-1, γCONR = 1593 cm-1, γNH=N = 1510 cm-1R-O-R’ = 1115, 1239 cm-1
これは、UVスペクトル分析によってもその構造が支持された。
製造例3:式(I)B型において、Xが[化2]であり、Yがクロル、Rが−NHCH CH OCH CH OH、MがMnであるジクロロフェニルクロリンエチレングリコールMn錯体の調製(Compound Cの調製)
先の製造例2得られたCompound B(1.0g)を用い、これにDMF30mLを加えて溶解後、Mn(OAc)を加えて5時間加熱沸騰反応させて、Mn化を行った。反応後反応物を冷水中に加え沈殿物を得た。得られた反応物を水ついでエタノールで洗浄し、デシケーター内で乾燥させて目的物のCompound Cを0.8g得た。
Compound Cの安定性をHPLCで確認し、安定であることを確認した。またICP分析によりMnイオンが100%配位されていることも確認した。
製造例4:式(I)B型において、Xが[化2]であり、Yがフッ素、Rがイミノ二酢酸残基であるジフルオロフェニルクロリンアミノ酸誘導体の調製(Compound Dの調製)
(a)FP−P−Hの調製
フォトプロトポルフィリンIX ジメチルエステル(P−MeB型)(10g)及び 2,4-difluorophenylhydrazine HCl塩(5g)をピリジン(100mL)に溶解し1.5時間撹拌反応した。反応後、反応液を冷やした16%酢酸水中に加えて沈殿物を濾過し、濾集物(FP−P−Me)を水にて洗浄し、風乾しFP−P−Hを得た。以下は製造例1と同様に処理して目的物のCompound Dを得た。
製造例5:式(I)B型において、Xが[化2]であり、Yがフッ素、Rが−NHCH CH OCH CH OHであるジクロロフェニルクロリンエチレングリコール誘導体の調製(Compound Eの調製)
先の製造例4の(a)で得られたFP−P−H(3.0g)を用い、製造例2と同様に処理して目的物のCompound Eを得た。
製造例6:式(I)B型において、Xが[化3]であり、Rが−NHCH CH OCH CH OHであるクロリンエチレングリコール誘導体の調製(Compound Fの調製)
(a)PG−P−Meの調製
先の特願2010−238359(特許5651426号)の製造例記載の方法と同様に反応・後処理等の操作をして、PG−P−Meを得た。
(b)PG−P−DEGAの調製
先の製造例2の方法に従って、PG−P−Meを加水分解後PG−P−Hとし、以下製造例2と同様に操作して、Compound F(PG−P−DEGA)を得た。
製造例7:式(I)B型において、Xが[化3]であり、Rが−NHCH CH OCH CH OHで、MがMnであるクロリンエチレングリコールMn錯体の調製(Compound Gの調製)
先の製造例6の方法に従って、同様に操作してCompound Fを得た後、Mn錯体化して目的とするCompound G(PG−P−DEGA Mn錯体)を得た。
本発明においては、これらのフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはそれらの金属錯体は、SDT用の癌疾患治療剤等の注射剤および皮膚疾患治療剤、或いは抗菌剤等の外用剤として処方される。
癌疾患治療剤としての注射剤は,浸透圧やpH調整剤を用い、舌下剤は適当なゲル化剤等を用いて調製し、皮膚疾患治療剤、或いは抗菌剤としての外用剤は、非水性軟膏剤、水性軟膏剤、ローション剤等の剤型で処方される。
本発明において、これらの製剤に含有させる式(I)で示されるフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体の配合量は、配合された有効成分であるフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体が患部部位に到達し残留され、また経皮吸収され、疾患部位に蓄積され、超音波の照射により標的細胞、或いは細菌を死滅させるのに十分な量が配合されればよい。本発明者らの検討によれば、その配合量は、製剤重量をベースとして0.1〜20重量%であれば、十分な効果が得られることが判明した。
配合量が0.1重量%未満であると目的とする治療効果を上げることができず、また20重量%以上配合させてもそれ以上の効果は得られなかった。
なお、配合量は含有させる有効成分の種類により一概に特定することはできず、また、含有させる有効成分の安定性は有効成分の濃度、用いる基剤に大きく影響されないため、上記の含有量の範囲内で、用途に合わせ種々変更させることが可能である。
以上のようにして得られた本発明の製剤をSDTに使用する場合には、各種癌には点滴注射、舌下投与、坐剤投与又は患部位に局部注射することにより、他方、日光角化症、炎症性角化症、表皮癌、感染症等には皮膚疾患部位に直接塗布することにより、効果的にフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体が集積され、その後、その部位を超音波等の照射により、当該疾患を効果的に治療することができる。
この軟膏剤、ローション剤等の外用剤の適用において、本発明が提供するフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体は、テープストリッピングを必要としないで皮膚患部への浸透性が良好なものであり、したがって、皮膚疾患治療におけるSDTにおいて、患者に負担を与えることがなく、治療自体を簡便に行える利点を有している。
なお、軟膏剤、ローション剤等の外用剤の塗布にあたっては、ODT効果(密封包帯効果:Occlusive Dressing Technique)を得るために、塗布部位を密閉状態に保つこともより効果的である。
また、本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはそれらの金属錯体は、SDT用の抗菌剤として、各種の感染症に対して有効であることが判明した。そのような感染症としては、ヒトのみならず各種動物における感染症を含み、酵母様真菌に起因する犬、猫等におけるマラセチア性外耳炎、爪感染症、水虫等の真菌による感染症、MRSA、緑膿菌、大腸菌等を原因菌とする各種感染症、歯周病菌による歯槽膿漏等の歯科系感染症、その他結核菌、或いはウイルスによる感染症や疣へのSDT用の治療に使用することができる。
本発明が提供するフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体を含有する製剤を塗布した後の疾患部位における超音波照射に際しては、種々の超音波を使用することができる。なかでも、医療用の超音波照射器等を用いることがより効果的である。
かくして、本発明の注射製剤あるいは軟膏製剤、ローション製剤等を疾患部位に注射しあるいは塗布し、有効成分を患部に集積あるいは経皮吸収させた後、当該疾患部位を超音波照射することにより、当該癌疾患、皮膚疾患、或いは感染症を効果的に治療することができる。
以下に本発明を、具体的処方例、試験例等により詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
試験例1:フェニルクロリン誘導体(Compound A、Compound B、Compound F、及びCompound G)の光毒性試験
本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体は、光無感作が望まれる。そのため、光処理に対する光毒性を、LED660nmおよび405nmによる処理に対する光毒性で検討した。
なお、同時に光陽性対照群として前願物質のTONS504(特許文献3)を用いた。
<実験操作>
(1)96ウェルプレートに1×10 cells/wellずつマウスメラノーマ細胞(B10−F10)又はヒト繊維芽細胞(HDF)を別々に播種し、5%炭酸ガスインキュベーターで培養した。
(2)各化合物を100μMになるようにDMSOで溶解し、終濃度1μMになるように培地で希釈した。
(3)培地交換で化合物入り培地を添加し、5時間後に1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄した後PBSを入れ,以下の条件でLED光照射を行った。
<照射条件>
・波長:405nm又は660nm
・照射量:46.1mW/cm
・照射時間:6分
(4)照射48時間後に、1×PBSで2回洗浄した後、0.5%クリスタルバイオレット(Crystal violet)溶液を50μL添加した。
(5)常温で15分間インキュベート後、水道水100μL/wellで4回洗浄を行った。
(6)常温で1時間乾燥後、1%SDSを100μL/well添加し、Crystal violetが溶出したのを確認後、マイクロプレートリーダーで吸光度(abs:570nm)を測定し、生存率を求めた。
<結果>
その結果を図1、図2および図3に示した。図中に示した結果からも判明するように、本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそれらのMn錯体は、B10−F10細胞およびHDF細胞を用いた光照射実験で安定であること、すなわち光毒性が無いことが確認された。
一方、対照群である前願物質のTONS504やCompound Fには、光感作が認められた。
試験例2:フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそのMn金属錯体(Compound A、Compound B、Compound F、及びCompound G)の細胞毒性試験
本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそのMn金属錯体は、暗所下での細胞無毒性が望まれる。そのための確認を、以下の試験により行った。
<実験操作>
(1)96ウェルプレートに2.5×10cells/wellずつB10−F10細胞およびHDF細胞を別々に播種し、5%炭酸ガスインキュベーターで培養した。
(2)Compound A、Compound B、Compound F、及びCompound Gを測り取り、濃度が夫々10mM、30mM、10mM、3mM、1mM、0.3mM、0.1mM、0.03mM及び0.01mMになるようにDMSOで調整した。
(3)DMSOが1%になるようにDEME培地を用いて希釈し、終濃度を1000μM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM、1μM、0.3μM及び0.1μMにし、培地交換で添加した。
(4)添加24時間後に1×PBSで2回洗浄を行い、培地を入れインキュベートした。
(5)24時間後、1×PBSで2回洗浄を行い、0.5%Crystal violet溶液を50μL添加した。
(6)常温で15分間インキュベート後、水道水100μL/wellで4回洗浄を行った。
(7)常温で1時間乾燥後、1%SDSを100μL/well添加し、Crystal violetが溶出したのを確認後、マイクロプレートリーダーで吸光度(abs:570nm)を測定し、生存率を求めた。
<結果>
その結果を図4、図5、図6、図7、図8および図9に示した。図中に示した結果からも判明するように、本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそれらのMn金属錯体(Compound A、Compound B、及びCompound G)には、細胞毒性が10μM以下では認められなかった。
なお、Compound Aに関しては、100μM以上の濃度では少し沈殿が出るようであった。
試験例3:フェニルクロリン誘導体及びエチレングリコール誘導体(Compound A、Compound B、Compound F、及びCompound G)の超音波活性試験
本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそのMn金属錯体は、超音波感作が望まれる。そのため、超音波処理に対する感受性を,以下のとおり検討した。
<実験操作>
(1)Φ6シャーレに1×10cells/wellずつB10−F10細胞およびHDF細胞を別々に播種し、5%炭酸ガスインキュベーターで培養した。
(2)各化合物を100μMになるようにDMSOで溶解し、終濃度1μMになるように培地で希釈した。
(3)培地交換で化合物入り培地を添加し、5時間後に以下の条件で、超音波照射を行った。
<照射条件>
・Probe L(有効照射面積:5cm
・照射時間:4分
・Duty cycle:20%
・周波数:1MHz
・照射量:0.4W/cm
(4)照射24時間後に1×PBSで2回洗浄し、1×Trypsinを500μL加え3分間インキュベート後、物理的に細胞をはがし1mL培地を加えた。
(5)細胞懸濁液30μLと0.4%トリパンブルー(Trypan blue)30μLを合わせ、血球計算盤を用いて生細胞数をカウントし、生存率を求めた。
<結果>
その結果を図10、図12に示した。図中に示した結果からも判明するように、本発明のフェニルクロリンクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体は、B16−F10細胞並びにHDF細胞を用いた超音波照射実験で、細胞破壊効果があることが確認された。
なお、図の中でUSは超音波照射を、AはCompound Aを、A+USはCompound Aに超音波照射を、BはCompound Bを、B+USはCompound Bに超音波照射を、F+USはCompound Fに超音波照射を、G+USはCompound Gに超音波照射をした結果を示す。
以下に、本発明が提供する新規フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体を含有する製剤について、SDTによる治療効果の実際を記載する。
試験例4:担癌動物を用いた超音波照射試験
<方法>
Balb/c系の6週令雌性マウスを用いた。
担癌マウスは、EMT−6腫瘍細胞を1×10個を背中背部に接種して作成した。
接種6日後に、本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体(Compound B及びCompound G)を尾静脈より夫々1mg/kg、5mg/kg又は10mg/kgを投与し、投与4時間後に5分間の超音波照射を行った。
<超音波照射条件>
・伊藤超短波(株)製装置:UST770
・周波数:1MHz
・照射量:2W/cm
・Duty cycle:50%
<結果>
その結果を図13および図14に示した。図中に示した結果からも判明するように、本発明のフェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体には腫瘍抑制効果が見られることが確認され、特に、Compound BおよびCompound Gを用いた超音波照射では、薬剤1mg、5mgおよび10mg投与後、4時間後に5分間の超音波照射で顕著な効果が認められた。
以上記載のように、本発明は超音波化学療法(SDT)として使用する電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそれらの金属錯体を提供するものであり、本発明が提供する電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体は、癌適用注射製又は剤及び舌下剤や皮膚適用軟膏製剤とすることにより、患部到達性や皮膚透過性(経皮吸収性)が極めて良好なものである。
したがって、癌疾患部位に選択的に集積され、他方、日光角化症、炎症性角化症、表皮癌、感染症等の皮膚疾患、例えば乳頭腫等の疾患部位に塗布することにより、疾患部位に効果的に電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびその金属錯体が集積され、超音波照射により効果的に癌治療や皮膚疾患治療を行うことができる。
また、SDT用の抗菌剤として、各種細菌に対して抗菌活性を示すものであり、今日の感染症治療用いられている抗生物質等は、薬剤耐性が容易に生じやすいものであるが、本発明のSDT診断・治療システムにおいては、そのような薬剤耐性の問題が発生しない点で、その利点は、極めて特異的なものであり、その医療上の価値は多大なものである。
また、過去の試験結果より,本電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体をMn錯体化すると水溶性も増し、MRI造影剤としても有効であり、本発明の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体およびそのMn金属錯体を投与後、患部をMRIで特定後、SDT照射治療が可能である利点を有する。

Claims (10)

  1. 次式(I):
    Figure 2021169425
    [式中、
    Xは、次式:
    Figure 2021169425
    又は、次式:
    Figure 2021169425
    (上記式中、Yは電子吸引基を示し、ハロゲン原子、NH、OH、又はOCHである)で表される基を表し、
    Rは、−N(CHCOONa)[これはイミノ二酢酸の残基を示す]、アスパラギン酸残基或いはグルタミン酸残基、又は−NH(CHCHO)OH(nは、1から3の整数を表す)を表し、
    Mは、Mn、Fe又はCuを表し、
    Zは、配位子を示し、OAc又はClである]
    で示される電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩。
  2. 式(I)が、次式(I)−A型:
    Figure 2021169425
    (式中、X、R、Y、M、Z及びnは、前記定義と同一である)
    で示される請求項1に記載の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩。
  3. 式(I)が、次式(I)−B型:
    Figure 2021169425
    (式中、X、R、Y、M、Z及びnは、前記定義と同一である)
    で示される請求項1に記載の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはそれらの金属錯体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の癌疾患治療用剤。
  5. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の皮膚疾患治療用剤。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電子求引基担持フェニルクロリン誘導体又はエチレングリコール誘導体あるいはその金属錯体又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の抗菌剤。
  7. 注射剤の形態にある、請求項4に記載の超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の癌疾患治療用剤。
  8. 軟膏剤の形態にある、請求項4、5又は6に記載の超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の癌疾患治療剤、皮膚疾患治療用剤又は抗菌剤。
  9. ローション剤の形態にある、請求項4、5又は6に記載の超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の癌疾患治療剤、皮膚疾患治療用剤又は抗菌剤。
  10. 舌下錠の形態にある、請求項4、5又は6に記載の超音波化学療法(STD:Sonodynamic Therapy)用の癌疾患治療剤、皮膚疾患治療用剤又は抗菌剤。
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