JP2021169121A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents

レーザ加工装置およびレーザ加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キーホールの深さを正確に測定することができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供すること。【解決手段】レーザ加工装置は、加工面上の目標位置を通る加工区間を設定し、加工区間内に、目標位置を中心とした測定区間を設定し、測定区間内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置を設定する。さらに、レーザ加工装置は、加工区間の加工中に、データ取得位置それぞれにおけるキーホールの形状を示す測定データを取得し、測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成する。そして、レーザ加工装置は、投影データに基づいて、目標位置における加工方向に垂直な方向の第2指示値を求める。これにより、キーホールの深さを正確に測定できるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供できる。【選択図】図5

Description

本開示は、レーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
特許文献1は、レーザ加工装置を開示している。レーザ加工装置は、光干渉断層計を用いて試料内部の構造を可視化するOCT(Optical Coherence Tomography)技術を用いて、レーザ光によって金属加工中に発生するキーホールの深さを計測する。
以下、図26を用いて、特許文献1のレーザ加工装置について、説明する。図26は、特許文献1に開示のレーザ加工装置の構成を模式的に示す図である。
図26に示すように、溶接ヘッド108には、加工用レーザ光107と測定光105とが導入される。測定光105は、コリメータモジュール106およびダイクロイックミラー110を経て、加工用レーザ光107と光軸を共有する同軸構成となる。
測定器は、分析ユニット100、光ファイバ101、ビームスプリッタ103、光ファイバ104、参照アーム102、測定アーム109からなる光干渉断層計を用いたOCT光学系で構成される。測定光105は、OCT光学系の測定光として、光ファイバ104を通じて照射される。
加工用レーザ光107および測定光105は、集光レンズ111で集光され、加工物112に照射される。加工物112は、加工用レーザ光107により加工される。つまり、集光された加工用レーザ光107が加工物112の加工部113に照射されると、加工物112を構成する金属が溶融する。これにより、溶融金属が蒸発する際の圧力により、キーホールが形成される。そして、測定光105は、キーホールの底面に照射される。
このとき、キーホールで反射された測定光105(反射光)と、参照アーム102側の光(参照光)との光路差に応じて、干渉信号が生じる。これにより、干渉信号からキーホールの深さを求めることができる。キーホールは、形成直後に、周囲の溶融金属により埋められる。そのため、キーホールの深さは、金属加工部の溶融部の深さ(以下、「溶け込み深さ」と記す)と、ほぼ同じである。これにより、加工部113の溶け込み深さを計測できる。
特表2018−501964号公報
近年、ガルバノミラーとfθレンズとを組み合わせたレーザ加工装置が知られている。ガルバノミラーは、レーザ光を反射させる方向を、詳細に制御できるミラーである。fθレンズは、被加工物の表面の加工点に、レーザ光を集光するレンズである。
そこで、特許文献1に開示されるキーホールの深さを測定する方法を、ガルバノミラーとfθレンズとを組み合わせたレーザ加工装置に適用する構成が考えられる、この場合、以下の問題が生じる。すなわち、加工用レーザ光と測定光とは波長が異なるため、fθレンズに、色収差が生じる。これにより、被加工物の表面において、加工用レーザ光と測定光との照射位置にずれが生じる。そのため、測定光でキーホールの深さを正確に測定できない虞がある。
本開示は、キーホールの深さを正確に測定することができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供する。
本開示の一態様に係るレーザ加工装置は、被加工物の加工面の加工点に照射される加工用レーザ光を発振するレーザ発振器と、加工点に照射される測定光を出射し、加工点で反射された測定光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づく光干渉信号を生成する光干渉計を有する。また、レーザ加工装置は、加工用レーザ光および測定光の進行方向を変化させる第1ミラーと、測定光の第1ミラーへの入射角を変化させる第2ミラーと、加工用レーザ光および測定光を加工点に集光させるレンズを有する。さらに、レーザ加工装置は、補正済み加工用データに基づいて、レーザ発振器、第1ミラー、および第2ミラーを制御する制御部と、光干渉信号に基づいて、加工用レーザ光が照射されることで加工点に生じるキーホールの深さを計測する計測処理部を有する。補正済み加工用データは、レンズの色収差により生じる加工用レーザ光および測定光の少なくとも一方の加工面上の到達位置のずれを解消するためのデータであり、加工点毎に設定された、加工用レーザ光の発振強度を示す出力指示値と、第1ミラーの動作量を示す第1指示値と、第2ミラーの動作量を示す第2指示値を含む。制御部は、加工面上の目標位置を通る加工区間を設定し、加工区間内に、目標位置を中心とした測定区間を設定し、測定区間内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置を設定する。さらに、制御部は、加工区間の加工中に、データ取得位置のそれぞれにおけるキーホールの形状を示す測定データを取得して、測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成し、投影データに基づいて、目標位置における加工方向に垂直な方向の第2指示値を求める。
また、本開示の一態様に係るレーザ加工方法は、加工用レーザ光および測定光の進行方向を変化させる第1ミラーと、測定光の第1ミラーへの入射角を変化させる第2ミラーと、加工用レーザ光および測定光を被加工物の加工面の加工点に集光させるレンズを有する。そして、レーザ加工方法は、補正済み加工用データに基づいて、第1ミラー、および第2ミラーを制御して加工用レーザ光および測定光を被加工物に対して照射し、加工点で反射された測定光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、加工用レーザ光が照射されることで加工点に生じるキーホールの深さを計測するレーザ加工装置が行う。補正済み加工用データは、レンズの色収差により生じる加工用レーザ光および測定光の少なくとも一方の加工面上の到達位置のずれを解消するためのデータである。データは、加工点毎に予め設定された、加工用レーザ光の発振強度を示す出力指示値と、第1ミラーの動作量を示す第1指示値と、第2ミラーの動作量を示す第2指示値を含む。そして、レーザ加工装置は、加工面上の目標位置を通る加工区間を設定し、加工区間内に、目標位置を中心とした測定区間を設定し、測定区間内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置を設定する。さらに、レーザ加工装置は、加工区間の加工中に、データ取得位置のそれぞれにおけるキーホールの形状を示す測定データを取得して、測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成し、投影データに基づいて、目標位置における加工方向に垂直な方向の第2指示値を求める。
本開示によれば、キーホールの深さを正確に測定できるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供できる。
図1は、本開示の実施の形態に係るレーザ加工装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、第1ミラーを原点位置から動作させた状態のレーザ加工装置を模式的に示す図である。 図3は、倍率色収差による加工用レーザ光および測定光のそれぞれの到達位置のずれを補正した状態のレーザ加工装置を模式的に示す図である。 図4は、第1ミラーのみを動作させて被加工物の表面を格子状に走査した場合における、加工面上の加工用レーザ光および測定光のそれぞれの軌跡を模式的に示す図である。 図5は、所定の加工光格子点における補正角の算出方法を示すフローチャートである。 図6は、求める補正角の軸として、y軸が選択された場合に設定される加工区間およびデータ取得区間の例を模式的に示す図である。 図7は、加工時の加工点とデータ取得位置との関係を模式的に示す図である。 図8は、加工方向が+x方向である場合における、x方向のキーホール形状の測定結果の例を示すグラフである。 図9は、加工方向が−x方向である場合における、x方向のキーホール形状の測定結果の例を示すグラフである。 図10は、加工方向が+x方向である場合における、y方向のキーホール形状の測定結果の例を示すグラフである。 図11は、加工方向が−x方向である場合における、y方向のキーホール形状の測定結果の例を示すグラフである。 図12は、複数の測定データを重ね合わせる例の説明に供するグラフである。 図13は、投影データから補正角を求める例の説明に供するグラフである。 図14は、加工光格子点で交わる十字状の加工痕を模式的に示す図である。 図15は、補正数表データの作成方法を示すフローチャートである。 図16は、全ての加工光格子点において、十字状の加工痕が形成された例を模式的に示す図である。 図17は、補正済み加工データの構成の一例を示す図である。 図18は、加工データの作成方法を示すフローチャートである。 図19は、補正数表データの構成を模式的に表した補正数表を示す図である。 図20は、補正角の設定方法を示すフローチャートである。 図21は、ユーザが設定した走査角Xが補正数表上のいずれかのデータ点の補正数表用走査角と一致しなかった場合における、走査角Xとその周囲の補正データ点との関係を示す図である。 図22は、レーザ加工方法を示すフローチャートである。 図23は、キーホールの深さ計測方法を示すフローチャートである。 図24は、第2ミラーの動作により倍率色収差の影響を補正した状態の、加工面における加工用レーザ光と測定光の軌跡を模式的に示す図である。 図25は、本開示の変形例1に係るレーザ加工装置の構成を模式的に示す図である。 図26は、特許文献1に開示のレーザ加工装置を模式的に示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
(実施の形態)
以下、本開示の実施の形態のレーザ加工装置について、項分けして、説明する。
<レーザ加工装置の構成>
まず、本開示の実施の形態に係るレーザ加工装置1の構成について、図1を用いて、説明する。
図1は、本実施の形態のレーザ加工装置1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施の形態のレーザ加工装置1は、加工ヘッド2、光干渉計3、計測処理部4、レーザ発振器5、制御部6、第1ドライバ7、第2ドライバ8などを備える。
光干渉計3は、OCT測定用の測定光15を出射する。出射された測定光15は、第2ミラー17上に設置される測定光導入口9から加工ヘッド2へ入力される。
レーザ発振器5は、レーザ加工用の加工用レーザ光11を発振する。発振された加工用レーザ光11は、加工光導入口10から加工ヘッド2へ入力される。
加工ヘッド2へ入力された加工用レーザ光11は、ダイクロイックミラー12を透過し、第1ミラー13で反射される。反射された加工用レーザ光11は、レンズ14を透過し、被加工物18の表面である加工面19に集光される。これにより、被加工物18の加工面19の加工点20がレーザ加工される。このとき、加工用レーザ光11が照射された加工点20が溶融し、溶融池21が形成される。そして、形成された溶融池21から溶融金属が蒸発する。これにより、溶融金属の蒸発時に生じる蒸気の圧力によって、被加工物18にキーホール22が形成される。
一方、加工ヘッド2へ入力された測定光15は、コリメートレンズ16で平行光に変換され、第2ミラー17で反射される。その後、測定光15は、ダイクロイックミラー12で反射され後、第1ミラー13で反射される。反射された測定光15は、レンズ14を透過し、被加工物18の加工面19の加工点20に集光される。集光された測定光15は、キーホール22の底面で反射され、上記伝播経路を遡って、光干渉計3まで到達する。このとき、測定光15は、光干渉計3内で図示しない、参照光と光干渉して、光干渉信号を発生させる。
計測処理部4は、光干渉計3で発生した光干渉信号から、キーホール22の深さ、すなわち加工点20の溶け込み深さを計測する。ここで、「溶け込み深さ」とは、被加工物18の溶けた部分の最頂点と、加工面19との間の距離を意味する。
なお、一般的に、加工用レーザ光11の波長と、測定光15の波長とは、異なる。具体的には、加工用レーザ光11として、例えば、YAGレーザまたはファイバレーザを用いた場合、加工用レーザ光11の波長は、1064nmである。一方、測定光15として、例えば、OCT用光源を用いた場合、測定光15の波長は、1300nmである。
また、上記ダイクロイックミラー12は、加工用レーザ光11の波長の光を透過し、測定光15の波長の光を反射する特性を有する。
第1ミラー13および第2ミラー17は、2軸以上の回転動作が可能な可動ミラーで構成される。第1ミラー13および第2ミラー17は、例えば、ガルバノミラーである。なお、上記2軸は、例えば、図1中などに示す、x軸およびy軸が相当する。
第1ミラー13、第2ミラー17は、それぞれ、第1ドライバ7、第2ドライバ8を介して、制御部6に接続され、制御部6の制御に基づいて動作する。具体的には、第1ドライバ7は、制御部6からの指示に基づいて、第1ミラー13を動作させる。第2ドライバ8は、制御部6からの指示に基づいて、第2ミラー17を動作させる。
制御部6は、メモリ31を備える。メモリ31は、被加工物18に対して所望の加工を行うための加工データ、および、後述する補正を行うための補正用データを記憶する。
なお、図1では、一例として、第1ミラー13および第2ミラー17のそれぞれについて、y方向の回転軸を中心とした回転動作のみを示している(図中の点線部分および両矢印参照)。しかし、実際には、第1ミラー13および第2ミラー17は、それぞれ、上述したように、2軸以上の回転動作が可能に構成される。そのため、第1ミラー13および第2ミラー17は、それぞれ、例えば、x方向の回転軸(図中の矢印x参照)を中心とした回転動作も可能である。
以下では、説明を簡単にするため、第1ミラー13および第2ミラー17のそれぞれが、y方向の回転軸(図中の矢印y参照)を中心とした回転動作のみを行う場合について、説明する。
第2ミラー17が原点位置にあるとき、図1に示すように、測定光15の測定光軸23は、ダイクロイックミラー12で反射された後、加工用レーザ光11の加工光軸24と一致する。
また、第1ミラー13が原点位置にあるとき、図1に示すように、加工用レーザ光11の加工光軸24は、第1ミラー13で反射された後、レンズ14を透過する際に、レンズ14の中心であるレンズ光軸25と一致する。
なお、以下では、レンズ14の中心を透過した加工用レーザ光11および測定光15が被加工物18の加工面19に到達した位置(照射位置に対応)を、「加工原点26」(図2参照)と記して説明する。つまり、第1ミラー13、第2ミラー17のそれぞれの原点位置は、加工用レーザ光11および測定光15がレンズ14の中心を透過する位置である。
レンズ14は、加工用レーザ光11および測定光15を加工点20に集光するためのレンズである。レンズ14は、例えば、fθレンズである。
第1ミラー13およびレンズ14は、ガルバノミラーとfθレンズとによる一般的な光学走査系を構成する。そのため、第1ミラー13を、その原点位置から所定の角度だけ回転させることにより、加工用レーザ光11の加工面19への到達位置を制御できる。以下では、第1ミラー13を、その原点位置から回転させる角度を、「第1ミラー13の動作量」という。なお、第1ミラー13の動作量は、加工ヘッド2を構成する各光学部材の位置関係と、レンズ14から加工面19までの距離とが決まれば、一意的に設定できる。これにより、加工用レーザ光11を、所望の加工点20へ照射することができる。
このとき、レンズ14から加工面19までの距離は、加工用レーザ光11が最も集光される焦点位置と、加工面19とを一致させた距離とすることが好ましい。これにより、加工用レーザ光11による被加工物18の加工を、最も効率的に行うことができる。なお、レンズ14から加工面19までの距離は、これに限定されず、加工の用途に応じて、適切な任意の距離に決定すればよい。
また、第1ミラー13は、その動作量を所定の動作スケジュールに準じて変化させる。これにより、加工用レーザ光11を、加工面19上で、任意の加工点20の位置に走査させて照射することができる。
さらに、制御部6は、レーザ発振器5のオンとオフの切り替えを制御する。これにより、加工用レーザ光11の走査可能な範囲内における、加工面19上の任意の位置を、任意のパターンでレーザ加工できる。
<色収差による影響>
つぎに、図2を用いて、レンズ14の色収差による影響について、説明する。
図2は、第1ミラー13を原点位置から動作させた状態のレーザ加工装置1を模式的に示す図である。なお、図2においては、第2ミラー17が原点位置にあるとする。
図2に示すように、第1ミラー13で反射された加工用レーザ光11および測定光15は、レンズ14に到達するまでは、同じ光軸上を進む。しかしながら、レンズ14を透過した後では、加工用レーザ光11と測定光15の進行方向にずれが生じる。すなわち、図2に示すように、加工用レーザ光11の光軸である加工光軸24aと、測定光15の光軸である測定光軸23aとが、ずれる。そのため、測定光15は、加工点20とは異なる位置に到達する。
これは、レンズ14の色収差に起因するものである。色収差とは、レンズ14を含む一般的な光学材料が、光の波長に対する屈折率が異なる性質を有するために発生する収差である。
色収差には、軸上色収差と、倍率色収差との二種類がある。軸上色収差は、光の波長によりレンズの焦点位置が異なる性質による収差である。一方、倍率色収差は、光の波長により焦点面(加工面19)における像高が異なる性質による収差である。なお、図2に示す、レンズ14透過後の加工用レーザ光11(加工光軸24a)と測定光15(測定光軸23a)の進行方向のずれは、上述の倍率色収差に起因するものである。
このとき、本実施の形態のレーザ加工装置1は、軸上色収差も、同時に、発生する。しかしながら、軸上色収差による加工用レーザ光11と測定光15のずれは、コリメートレンズ16と測定光導入口9との距離の調節により、対応可能である。つまり、コリメートレンズ16により、透過直後の測定光15を、平行光の状態から、わずかに発散状態または収束状態にすることで、軸上色収差の発生を抑制することが可能である。
なお、図2においては、加工原点26から見て、測定光15の加工面19に到達する位置が、加工用レーザ光11の加工面19に到達した位置よりも遠い。しかしながら、上記位置関係は、一例である。つまり、レンズ14のレンズ構成や加工用レーザ光11と測定光15との波長の大小関係により、測定光15の方が、加工用レーザ光11よりも加工原点26に近い位置に到達する場合もある。一般的には、長波長の光の方が、加工原点26から、より遠い位置に到達する。
また、上記倍率色収差を補正する方法としては、例えば、レンズ14に、色消しレンズの性質を持たせる方法がある。しかし、レンズ14に、fθレンズとしての性質と、色消しレンズとしての性質の両方の性質を持たせようとすると、非常に高度な光学設計技術が必要となる。そのため、レンズ14の設計に、多大な時間とコストとが掛かる。
そこで、本実施の形態のレーザ加工装置1では、以下で説明するように、第2ミラー17を動作(移動)させて、低コストで、倍率色収差の補正を実現している。
<倍率色収差の補正方法>
つぎに、図3を用いて、上述したレンズ14の倍率色収差の補正方法について説明する。
図3は、倍率色収差による加工用レーザ光11および測定光15のそれぞれの到達位置のずれを補正した状態のレーザ加工装置1を模式的に示す図である。
図3では、第2ミラー17を、原点位置から所定の動作量(動作角度)だけ動作させている。これにより、図3に示すように、ダイクロイックミラー12からレンズ14に到るまでの間において、加工用レーザ光11の加工光軸24と、測定光15の測定光軸23とは、同軸でなくなる。しかしながら、レンズ14を透過した後の加工用レーザ光11および測定光15は、それぞれ、加工面19の同じ位置、すなわち加工点20に到達している。
このとき、図3に示すように、加工用レーザ光11の加工光軸24aは、図2に示す加工光軸24aと、同じ位置を通っている。一方、上述の第2ミラー17の動作により補正された測定光15の測定光軸23bは、図2に示す測定光軸23aと、異なる位置を通っている。
なお、第2ミラー17の動作量(すなわち、第2ミラー17をその原点位置から回転させる角度)は、第1ミラー13の動作量と、1対1の関係で、対応付けられている。このとき、第1ミラー13の動作量は、加工点20の位置によって、一意的に決まっている。そのため、第2ミラー17の動作量も、加工点20の位置によって、一意的に決まる。
なお、以下では、第2ミラー17の動作量を「補正角」(後述する、「第2指示値」に対応)と記載し、その補正角の求め方について説明する。
<補正角と走査角との関係>
つぎに、第2ミラー17の補正角と、第1ミラー13の走査角との関係について、説明する。
ここで、レンズ14の焦点距離をf、レンズ14に入射する光のレンズ光軸25からの角度をθ、レンズ14を透過した光線の像面における光軸からの距離(以下、「像高」と記すう)をhとする。この場合、fθレンズであるレンズ14において、h=fθという関係が成り立つ。
また、上述したように、第1ミラー13は、回転動作する軸を、2軸、有する。
そこで、2軸を、仮に、x軸、y軸、第1ミラー13で反射された光のレンズ光軸25からのx軸成分の角度をθx、同じくレンズ光軸25からのy軸成分の角度をθyとする。そして、像面におけるx方向、y方向の像高のそれぞれを、x、yとした場合、x=fθx、y=fθyという関係が成り立つ。これにより、加工用レーザ光11が加工面19に到達する位置を(x,y)とすると、(x,y)=(fθx,fθy)となる。
また、ミラーへ光を入射させたときのミラーからの反射光の出射角度は、2倍の角度量で変化する。そのため、第1ミラー13の動作量を(φx,φy)とした場合、(2φx,2φy)=(θx,θy)の関係が成り立つ。なお、以下の説明では、第1ミラー13の動作量(φx,φy)を「走査角」(後述する、「第1指示値」に対応)と記載する。
以上のように、本実施の形態のレーザ加工装置1では、第1ミラー13の走査角(φx,φy)が決定されると、加工用レーザ光11の加工面19における到達位置、すなわち加工点20の位置(x,y)も決定される。
走査角は、上述したように、加工点20の位置によって、一意的に決定される。同様に、第2ミラー17の補正量も、加工点20の位置によって、一意的に決定される。
そこで、本実施の形態では、所定の加工点20の位置毎に、予め、走査角と補正量との関係を算出する。そして、加工時において、加工点20の位置に対応する補正量だけ第2ミラー17を動作させる。これにより、上述したレンズ14の倍率色収差による、加工用レーザ光11の照射位置に対する、測定光15の照射位置のずれを、補正できる。
<補正数表データ>
つぎに、補正数表データについて説明する。
補正数表データは、加工点20毎に走査角と補正角との対応関係を示すデータ(補正済み加工用データの一例)である。
まず、図4を用いて、被加工物18の加工面19上における加工用レーザ光11および測定光15のそれぞれの軌跡について、説明する。
図4は、第2ミラー17を動作させずに、第1ミラー13のみを動作させて被加工物18の加工面19を格子状に走査した場合における、加工面19上の加工用レーザ光11および測定光15のそれぞれの軌跡を模式的に示す図である。
なお、図4は、加工面19をレンズ14側から見た状態を示している。図4は、加工用レーザ光11の軌跡である加工光軌跡28を実線で示し、測定光15の軌跡である測定光軌跡27を点線で示している。
図4に示す例では、第2ミラー17を動作させていないため、倍率色収差の補正が行われていない場合の加工用レーザ光11および測定光15の軌跡を示す。そのため、加工原点26付近では、加工用レーザ光11および測定光15のそれぞれの軌跡は、一致する。しかし、倍率色収差により、加工原点26から遠ざかるにつれて、両者の軌跡のずれが大きくなる。つまり、加工光軌跡28は、歪みのない格子状パターンを描く。一方、測定光軌跡27は、歪んだ糸巻き型の軌跡を描く。なお、図4に示す測定光軌跡27の形状は、一例である。つまり、測定光軌跡27の歪み形状は、レンズ14の光学特性によって変化する。
また、加工光軌跡28および測定光軌跡27のそれぞれに対応する位置のずれ量も、同様に、レンズ14の光学特性や光学設計に依存する。一般的な例としては、レンズ14の焦点距離が250mmで、加工面領域が直径200mm程度の市販のfθレンズの場合、加工面領域の最外周付近において、加工用レーザ光11と測定光15との軌跡は、0.2mmから0.4mmのずれを生じる。
それに対して、加工点20への加工用レーザ光11の照射により生成されるキーホール22(例えば、図1参照)の直径は、加工用レーザ光のパワーや空間コヒーレンシー、レンズ14の集光能力にも依存するが、おおむね0.03mmから0.2mmと小さい。そのため、レンズ14の色収差により生じる加工用レーザ光11と測定光15との位置ずれによって、測定光15がキーホール22の底面に到達しない場合がある。これにより、測定光15で、正確な溶け込み深さが測定できなくなる。
なお、図4では、一例として、等間隔の4×4マスの格子状パターンを例に図示しているが、本開示は、これに限定されない。走査のための格子状パターンは、例えば、より細かいマス数の格子状パターンで設定してもよい。また、fθレンズの倍率色収差特性に関連して、特に、精度の必要な領域は、格子状パターンの格子間隔を狭くしてもよい。さらに、放射状の格子状パターンで設定してもよい。ただし、本実施の形態では、補正角を、x軸およびy軸の2軸で設定するため、図4示す直交格子状のパターンが、より好ましい。
そこで、図4示す加工光軌跡28と測定光軌跡27とを比較すると、格子状パターンの対応する各格子点において、ずれが生じていることが分かる。
つまり、補正数表データを作成するためには、加工光軌跡28上の、ある1つの格子点である加工光格子点30と、測定光軌跡27の対応する測定光格子点29とが一致するように、補正量を決定する必要がある。
<補正角の算出方法>
つぎに、図5を用いて、所定の格子点位置における補正角の算出方法について、説明する。
図5は、所定の加工光格子点30における補正角の算出方法を示すフローチャートである。
以下では、説明を簡単にするために、第1ミラー13のx軸と、第2ミラー17のx軸とが一致し、第1ミラー13のy軸と、第2ミラー17のy軸とが一致しているとして説明する。また、第1ミラー13の走査角を(φx,φy)、第2ミラー17の補正角を(ψx,ψy)として説明する。
図5に示すように、まず、レーザ加工装置1の制御部6は、補正角を求める加工光格子点30(目標位置の一例)を設定する(ステップS1)。
つぎに、制御部6は、求める補正角の軸を選択する(ステップS2)。
具体的には、例えば、図4に示す格子状パターンにおいて、x軸またはy軸を選択する。以下では、求める補正角の軸に、y軸を選択した場合を例に挙げて、説明する。なお、x軸を選択した場合、以下の説明において、x軸とy軸とを入れ替えて解釈すればよい。
つぎに、制御部6は、選択された補正角の軸と直交する軸方向に、例えば、図6に示すように、加工光格子点30を通る加工区間Wxを設定する(ステップS3)。
図6は、求める補正角の軸として、y軸が選択された場合に設定される加工区間Wxおよびデータ取得区間Mx(詳細は後述)の例を模式的に示す図である。具体的には、例えば、ステップS3では、図6に示すように、選択されたy軸に直交するx軸方向の加工光格子点30を通る加工区間Wxが、設定される。これにより、加工実行時における、第1ミラー13の動作スケジュールが決定される。
つぎに、制御部6は、設定された加工区間Wx内に、加工光格子点30を中心としたデータ取得区間Mx(測定区間の一例)を設定する(ステップS4)。具体的には、例えば、ステップS4では、図6に示すように、設定された加工区間Wxの範囲内に、加工光格子点30を中心としたデータ取得区間Mxが設定される。
つぎに、制御部6は、設定されたデータ取得区間Mx内に、加工方向に垂直な方向のデータ取得位置38を、複数個所、設定する(ステップS4)。具体的には、例えば、ステップS5では、図6に示すように、設定されたデータ取得区間Mxの範囲内に、加工方向(加工区間Wxの方向。例えば、x軸方向)に直交するy軸方向のデータ取得位置38(38a、38b、38c)が、設定される。
このとき、データ取得位置38の加工方向に垂直な方向(例えば、y軸方向)の走査は、第2ミラー17のみの動作によって行われる。また、第2ミラー17の走査の範囲は、データ取得位置38によらず一定である。つまり、データ取得位置38の加工方向の位置は、加工時の第1ミラー13の位置として決定される。これにより、第2ミラー17は、例えば、以下、図7に示すような、指定されたデータ取得位置38の時のみ動作するように、動作スケジュールが決定される。
図7は、加工時の加工点20とデータ取得位置38との関係を模式的に示す図である。
データ取得位置38は、図7に示すように、キーホール22上を加工方向(例えば、x軸方向)に直交する軌跡となる。また、加工方向における加工点20とデータ取得位置38との位置関係は、レンズ14の倍率色収差による加工用レーザ光11と測定光15との位置ずれの影響を除くと、同じである。そのため、図6に示すデータ取得位置38a、データ取得位置38b、データ取得位置38cは、キーホール22上の加工方向の、ほぼ同じ位置(同じ位置を含む)となる。
なお、図6では、データ取得位置38を、データ取得位置38a、データ取得位置38b、データ取得位置38cの3箇所に設定した場合を例に図示したが、実際には、3箇所より多くのデータ取得位置38を設定することが好ましい。
また、データ取得位置38の加工方向に垂直な方向の走査の範囲は、以下のように、設定することが好ましい。具体的には、まず、光学シミュレーションによって、測定光15が加工光格子点30に位置する補正角を求める。そして、求めた補正角を中心として、データ取得位置38の走査の範囲を、設定する。これにより、図7に示す加工方向における加工点20の位置と、データ取得位置38の位置との差は、光学シミュレーションで求めた補正角と、実際の補正角との差となる。その結果、より加工点20に近い位置で、キーホール22の位置の測定が可能となる。
以下、加工方向に垂直な方向のデータ取得位置を設定する理由を、図8から図11を用いて、説明する。
ここで、キーホール22の位置は、加工用レーザ光11の加工点20の位置と一致する。つまり、例えば、加工光格子点30でのキーホール22の形状の中心位置を求めれば、測定光15を、加工光格子点30と一致させることができる。
図8から図11は、キーホール22の形状の測定結果の、それぞれの例を示す。
具体的には、図8は、加工方向が+x方向である場合において、レーザ加工装置1によって、x方向のキーホール22の形状を測定した結果の例を示すグラフである。図9は、加工方向が−x方向である場合において、レーザ加工装置1によって、x方向のキーホール22の形状を測定した結果の例を示すグラフである。図10は、加工方向が+x方向である場合において、レーザ加工装置1によって、y方向のキーホール22の形状を測定した結果の例を示すグラフである。図11は、加工方向が−x方向である場合において、レーザ加工装置1によって、y方向のキーホール22の形状を測定した結果の例を示すグラフである。
図8から図11に示す測定結果は、それぞれ、加工原点26のキーホール22の形状を示している。なお、図8から図11に示す測定結果は、本実施の形態とは異なる方法で複数回測定した場合の平均出力値である。
ここで、図中の縦軸は、光干渉計3によって測定されるキーホール22の深さzを示す。図中の横軸は、加工面19の座標(単位は、μm)を示す。
まず、キーホール22の中心位置を求めるために、深さ方向の閾値Zthを横切る形状の中心位置を求めた。その結果、加工方向のキーホール22の中心位置xは、加工方向が+xである場合、図8に示すように、−15μmである。一方、加工方向が−xである場合、図9に示すように、5μmであった。すなわち、加工方向の違いにより、20μmの差異が発生することが確認された。
なお、一般的に、加工方向のキーホール22の形状は、溶融金属の粘性の影響により加工方向の後ろ側にわずかに裾を引くような形状になることが知られている。そのため、上記差異は、加工方向の違いによって、キーホール22の中心位置が、ずれたことに起因していると考えられる。
また、加工方向に垂直なキーホール22の中心位置yは、加工方向が+xである場合、図10に示すように、−20μmである。一方、加工方向が−xである場合、図11に示すように、−20μmであった。すなわち、キーホール22の中心位置yは、加工方向の違いによらず、再現する(同じである)ことが確認された。
つまり、加工方向に垂直なキーホール22の形状を測定することにより、より高精度に、キーホール22の位置を求めることができる。そのため、本実施の形態では、加工方向に垂直な方向に、データ取得位置38を設定することとした。
つぎに、制御部6は、加工面19に対して、加工を実行し、複数の測定データを取得する(ステップS6)。なお、複数の測定データは、複数のデータ取得位置38のそれぞれにおける測定結果を示すデータである。
例えば、y軸が選択された場合、ステップS6において、図6に示す、加工区間Wxの加工中に、データ取得位置38a、38b、38cのそれぞれに対応する測定データが取得される。そして、加工が終了すると、加工区間Wxにおいて、x軸方向の加工痕39(図14参照)が形成される。なお、x軸が選択された場合、y軸方向の加工痕39(図14参照)が形成される。
つぎに、制御部6は、取得された複数の測定データを、加工方向に投影するように重ね合わせて、投影データを作成する(ステップS7)。
以下、投影データを作成するステップS7の具体例について、図12を用いて、説明する。
図12は、複数の測定データを重ね合わせる例を説明するためのグラフである。
なお、図12に示す位置a、位置b、位置cは、それぞれ、図6に示すデータ取得位置38a、38b、38cに対応する。
データ取得位置38a、38b、38cに対応する測定データは、それぞれ、縦軸が光干渉計3によって測定される深さz(縦軸)、横軸がデータ取得位置38の走査方向の補正角ψy(横軸)で表される。
位置a、位置b、位置cのそれぞれのグラフにおける点群は、それぞれのψy座標の位置において、光干渉計3によって測定された深さのデータである。図7に示したように、データ取得位置38は、キーホール22上において、加工方向と直交している。そのため、位置a、位置b、位置cのグラフは、それぞれ、キーホール22の加工方向に直交した断面を測定した結果に、等しい。
このとき、加工光格子点30の補正角を求めるには、位置bのグラフからキーホール22の中心位置を求めればよい。しかしながら、それぞれの点群データの中に、キーホール22の形状を表す有効なデータが少ない。そのため、十分な精度で、キーホール22の中心位置を求めることができない。
また、位置a、位置b、位置cは、それぞれ、レンズ14の異なる走査角で取得されたデータである。そのため、位置a、位置b、位置cのキーホール22の中心位置のψy座標A、ψy座標B、ψy座標Cは、レンズ14の倍率色収差の影響により、ずれが生じている。
ここで、倍率色収差は、狭い範囲においては、線形で近似できる。そのため、加工光格子点30の位置bの座標Bを中心に、座標A〜B間と、座標B〜C間との距離は、ほぼ一致(一致を含む)する。
そこで、本実施の形態では、位置a、位置b、位置cの、それぞれのグラフの点群データを、同じ座標で重ね合わせたデータ(図12の一番下に示すグラフ参照)で作成する。
つまり、図6に示したように、データ取得位置38a、38b、38cは、加工区間Wxに直交している。そのため、図12に示す重ね合わせのグラフは、位置a、位置b、位置cの、それぞれのグラフを、加工方向に投影して重ね合わせた投影データとなる。
このとき、投影データは、加工光格子点30の位置bを中心として、左右に均等にずれた位置aおよび位置cのそれぞれの点群データの分布を重ね合わせたものである。そのため、投影データの中心位置Pは、加工光格子点30の位置bの中心位置の座標Bと一致する。
したがって、投影データの中心位置Pを求めれば、加工光格子点30の補正角を求めることができる。上記方法の採用により、倍率色収差の影響を受けずに、加工光格子点30の補正角を求めるための有効なデータを増やすことができる。これにより、キーホール22の深さの測定精度を向上させることができる。
つぎに、制御部6は、上述の投影データに基づいて、選択された軸の補正角を求める。
以下、ステップS8の具体例について、図13を用いて、説明する。図13は、投影データから補正角を求める例を説明するためのグラフである。
通常、キーホール22は、溶融金属の蒸発時に生じる蒸気の圧力によって形成されるため、常に、その形状が変化している。そのため、図13のグラフにおける点群データは、深さz方向に広がった分布となる。このとき、キーホール22の底は、最も深い位置にある。そこで、点群データの最下点付近を抽出する。これにより、データ取得位置38の形状分布40を得ることができる。
具体的には、例えば、補正角ψy軸方向の一定区間内に存在する点群データのうち、zの値が小さい、5パーセンタイルのデータを抽出する処理を、補正角ψy軸方向に行う。これにより、データ取得位置38の形状分布40を得ることができる。そして、得られたデータ取得位置38の形状分布40が、深さ方向の閾値Zthを横切る2点の中心位置Pを求める。これにより、加工光格子点30のy軸の補正角を求めることができる。
つぎに、制御部6は、第1ミラー13および第2ミラー17が回転動作する、x軸およびy軸のそれぞれの補正角を求めたか否かの判定を行う(ステップS9)。そして、x軸とy軸のデータを両方取得した場合(ステップS9のYES)、フローを終了する。
一方、x軸とy軸のデータを両方取得していない場合(ステップS9のNO)、ステップS2に戻る。具体的には、例えば、ステップS2において、y軸が選択され、ステップS8において、y軸の補正角を求めた場合、ステップS2に戻り、ステップS2において、x軸が選択される。そして、以降、ステップS3からステップS8を経て、x軸の補正角が求められる。
上述したフローにより、所定の加工光格子点30の走査角(φx,φy)における補正角(ψx,ψy)を求めることができる。
そして、上述したフローの完了後において、図14に示すように、加工面19において、加工光格子点30で交わる十字状の加工痕39が形成される。
つまり、上述した方法は、加工光格子点30の補正角を、10μm以下の精度で求めることができる。
そのため、本開示の加工ヘッド2において、ビーム品質に優れたレーザ(例えば、シングルモードのファイバレーザなど)を用いる場合、上述の方法は、好適である。つまり、シングルモードのファイバレーザの場合、加工用レーザ光11の加工点20でのビーム径が、50μm以下になる。そのため、加工光格子点30における補正角の精度が10μm以下となる上述の方法は、シングルモードのファイバレーザを用いる場合などにおいても、より有効となる。
<補正数表データの作成方法>
つぎに、補正数表データの作成方法について、図15を用いて、説明する。図15は、補正数表データの作成方法を示すフローチャートである。
図15に示すように、まず、レーザ加工装置1の制御部6は、仮の被加工物18(例えば、金属の平板)の加工面19に対して、レーザ加工を行う範囲である格子状パターン(例えば、図4に示す加工光軌跡28)を設定する(ステップS11)。そして、格子状パターンに含まれる複数の格子点のうち、1つの格子点を選定する。
つぎに、制御部6は、図5に示した方法を用いて、加工方向に垂直な方向の測定データに基づいて、補正角を求める(ステップS12)。
つぎに、制御部6は、ステップS12で求めた補正角と、そのときの走査角とを、補正数表データとして、メモリ31に保存する(ステップS13)。
つぎに、制御部6は、ステップS11で設定された格子状パターンのすべての格子点において、補正数表データを保存したか否かの判定を行う(ステップS14)。このとき、すべての格子点において、補正数表データを保存した場合(ステップS14のYES)、制御部6は、フローを終了する。
一方、すべての格子点において、補正数表データを保存していない場合(ステップS14のNO)、制御部6は、新たな格子点(すなわち、補正数表データの保存が行われていない格子点)を1つ選定する(ステップS15)。その後、制御部6は、フローをステップS12に戻り、以降のステップを実行する。
以上で説明した方法により、補正数表データが得られる。
また、上述した方法の実行により、図16に示すように、全ての加工光格子点30(図4参照)に対応して、複数の、十字状の加工痕39が、加工面19に形成される。
なお、ステップS11で設定される格子状パターンが、図4に示す4×4の格子状パターンである場合、16個の格子点における補正数表データしか作成できない。そのため、上述したように、格子点を16個以上含む格子状パターンを設定することが、より好ましい。これにより、より多くの補正数表データを作成することができる。
ただし、多くの補正数表データを作成しても、第1ミラー13の走査角は、機構上の動作範囲内であれば、どのような値でも設定することができる。そのため、第1ミラー13の走査角が、作成した補正数表データと、一致しない場合が生じうる。この場合、補正数表データを補間して補正角を求める必要がある。
上記補正数表データを補間して補正角を求める方法については、後述する。
<加工データ>
つぎに、被加工物18の加工に用いられる加工データについて、説明する。
従来、fθレンズおよびガルバノミラーを有するレーザ加工装置は、制御部が、時系列に設定された複数の加工データを用いて、レーザ発振器およびガルバノミラーを制御していた。これにより、被加工物の表面の各加工点に対して、時系列で加工が行われていた。なお、上記加工データは、例えば、レーザ発振器への出力指示値と、走査角および加工速度のデータ項目とが加工点毎にセットになったデータである。ここで、出力指示値は、加工用レーザ光の発振強度を示す。
しかしながら、本実施の形態のレーザ加工装置1は、レーザ加工装置1が用いる加工データのデータ項目として、レーザ発振器5への出力指示値(レーザ出力データ)、加工点20の位置(加工点位置)、および走査角のほか、さらに、補正角が加えられる。なお、以下の説明では、補正角がデータ項目として加えられた加工データを「補正済み加工データ」と記載して説明する。
以下、図17を用いて、上記補正済み加工データの一例について、説明する。図17は、補正済み加工データの構成の一例を示す図である。
図17に示すように、補正済み加工データは、一組のデータ項目として、データ番号k、レーザ出力データL、加工点位置x、加工点位置y、走査角φx、走査角φy、補正角ψx、補正角ψyを含む。
データ番号kは、加工データの順番を示す。レーザ出力データLは、レーザ発振器5への出力指示値を示す。加工点位置xは、x方向の加工点20の位置を示す。加工点位置yは、y方向の加工点20の位置を示す。走査角φxは、x方向の走査を担う第1ミラー13の走査角を示す。走査角φyは、y方向の走査を担う第1ミラー13の走査角を示す。補正角ψxは、x方向の測定光15の位置の補正を担う第2ミラー17の補正角を示す。補正角ψyは、y方向の測定光15の位置の補正を担う第2ミラー17の補正角を示す。
なお、図17において、データ番号k以外の各データ項目に付された添え字kは、データ番号k番目に対応するデータ項目であることを表している。補正済み加工データにおける走査角は、第1指示値の一例である。補正済み加工データにおける補正角は、第2指示値の一例である。
以上で説明したように、補正済み加工データは構成される。
以下、図18を用いて、加工データ(補正済み加工データ)の作成方法について、説明する。図18は、加工データの作成方法を示すフローチャートである。
図18に示すように、レーザ加工装置1の制御部6は、まず、参照するデータ番号kを、ゼロ(0)に設定する(ステップS21)。なお、データ番号kは、メモリ31内の加工データが保存されている領域に付されている。
つぎに、制御部6は、メモリ31内のデータ番号kの領域(メモリ位置)に、レーザ出力データL、加工点位置x、yを設定(保存)する(ステップS22)。これらの値は、所望のレーザ加工を実現するために、レーザ加工装置1のユーザが、図示しない操作部(例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなど)を用いて設定する設定値である。
つぎに、制御部6は、ステップS22で設定した加工点位置x、yに基づいて、第1ミラー13の走査角φx,φyを算出し、その走査角φx,φyをメモリ31内のデータ番号kの領域に保存する(ステップS23)。このとき、レンズ14の焦点距離がfである場合、加工点位置と走査角との間には、(x,y)=(2f・φx,2f・φy)の関係がある。そのため、走査角は、加工点位置から自動的に決定される。
なお、加工点位置と走査角の関係式や対応数表などは、ユーザが、予め設定してもよい。この場合、加工点位置と走査角の関係式や対応数表などを用いて、さらに、第1ミラー13の走査角φx,φyを決定してもよい。
つぎに、制御部6は、全てのデータ番号kについて、加工データの設定が完了したか否かを判定する(ステップS24)。このとき、全てのデータ番号kについて、加工データの設定が完了した場合(ステップS24のYES)、制御部6は、フローを終了する。
一方、全てのデータ番号kについて、加工データの設定が完了していない場合(ステップS24のNO)、制御部6は、参照するデータ番号kを、1つ増加させる(ステップS25)。その後、制御部6は、フローをステップS22へ戻し、以降のステップを実行する。
以上により、全てのデータ番号kについて、加工データ(補正済み加工データ)が設定される。
<補正角の設定方法>
つぎに、図18のフローにより設定された各加工データに対して、加工点位置毎の補正角(第2指示値)を設定する方法について、図19および図20を用いて、説明する。
まず、図19を用いて、加工位置の補正数表データの構成について、説明する。図19は、加工位置の補正数表データの構成を模式的に表した加工位置の補正数表34を示す図である。
つまり、図19は、加工面19における格子点毎に設定された補正済み加工データを、データ点32として模式的に示している。補正済み加工データである各データ点32は、上述したように、加工面19上の位置(すなわち、加工点位置)、走査角、および補正角を含んでいる。なお、図19に示す補正データ点33は、加工面19上の加工原点26に対応する点である。
以下の説明においては、加工位置の補正数表34の各データ点32の位置を、便宜上、走査角(φx,φy)で示すこととする。そして、走査角φxに対応する方向のデータ番号をi、走査角φyに対応する方向のデータ番号をjとして示す。
このとき、各データ点32は、補正数表用走査角(Φx,Φy)と、補正数表用補正角(Ψxij,Ψyij)との組である(Φx,Φy,Ψxij,Ψyij)を保持している。つまり、補正数表用走査角(Φx,Φy)は、走査角(φx,φy)の要素を持つ。
つぎに、図20を用いて、補正角(第2指示値)の設定方法について、説明する。図20は、補正角の設定方法を示すフローチャートである。
ステップS31において、レーザ加工装置1の制御部6は、参照するデータ番号kを、ゼロ(0)に設定する。
図20に示すように、制御部6は、まず、参照するデータ番号kを、ゼロ(0)に設定する(ステップS31)。
つぎに、制御部6は、メモリ31内のデータ番号kの領域に保存されている走査角(φx,φy)と、加工位置の補正数表34内のすべての補正数表用走査角(Φx,Φy)とを比較する。そして、制御部6は、φx=Φxかつφy=Φyとなるデータ番号i,jが存在するか否かを判定する(ステップS32)。具体的には、ステップS32において、制御部6は、加工位置の補正数表34内に、ユーザが設定した走査角と、全く同じ走査角を含むデータ項目が存在するか否かを判定する。
このとき、φx=Φxかつφy=Φyとなるデータ番号i,jが存在する場合(ステップS32のYES)、制御部6は、フローを、下記に示すステップS33へ進める。一方、φx=Φxかつφy=Φyとなるデータ番号i,jが存在しない場合(ステップS32のNO)、制御部6は、フローをステップS34へ進める。
そして、ステップS33において、制御部6は、φx=Φxかつφy=Φyとなるデータ番号i,jを用いて、補正角を(ψx,ψy)=(Ψxij,Ψyij)に設定する。すなわち、本ステップS33では、ユーザが設定した走査角と、全く同じ走査角を含むデータ項目が存在するため、制御部6は、対応する補正数表用補正角を、そのまま、補正角として設定する。
また、ステップS34において、制御部6は、補正数表34内において、ユーザが設定した走査角(φx,φy)を囲む最近接の4点のデータを用いて、補間処理を行い、補正角(ψx,ψy)を設定する。なお、ステップS34の詳細については、後述する。
つぎに、制御部6は、ステップS33またはステップS34において設定した補正角(ψx,ψy)を、メモリ31内の加工データのデータ番号kの領域に設定(保存)する(ステップS35)。
つぎに、制御部6は、メモリ31内に保存されている加工データの全てについて、補正角の設定が完了したか否かを判定する(ステップS36)。このとき、加工データの全てについて、補正角の設定が完了した場合(ステップS36のYES)、制御部6は、フローを終了する。
一方、加工データのすべてについて、補正角の設定が完了していない場合(ステップS36のNO)、制御部6は、参照するデータ番号kを、1つ増加させる(ステップS37)。その後、制御部6は、フローを、ステップS32へ戻して、以降のステップを実行する。
以上により、図18に示すフローにより設定された加工データにおいて、全てのデータ番号kについて、補正角が設定される。つまり、補正済み加工データが生成される。
<補間処理の詳細>
つぎに、図21を用いて、図20に示すステップS34の補間処理について、詳細に説明する。
なお、ステップS34の補間処理は、ユーザが設定した走査角(φx,φy)が、データ点32内の補正数表用走査角(Φx,Φy)のいずれにも一致していない場合に実行される。
図21は、ユーザが加工データとして設定した走査角X(φx,φy)が、図19に示す加工位置の補正数表34のいずれかのデータ点32の補正数表用走査角(Φx,Φy)と一致しなかった場合における、走査角X(φx,φy)とその周囲の補正データ点の関係を示す図である。
図21に示すように、走査角X(φx,φy,ψx,ψy)に対応する点は、補正データ点A(Φx,Φy,Ψxij,Ψyij)、補正データ点B(Φxi+1,Φy,Ψxi+1j,Ψyi+1j)、補正データ点C(Φx,Φyj+1,Ψxij+1,Ψyij+1)、補正データ点D(Φxi+1,Φyj+1,Ψxi+1j+1,Ψyi+1j+1)の4点で作られる格子内に位置する。このとき、Φx≦φx≦Φxi+1(等号は、同時には成立しない)、Φy≦φy≦Φyj+1(等号は、同時には成立しない)の関係が成立している。
そして、補正角(ψx,ψy)は、走査角X(φx,φy)の値と、補正データ点A、B、C、Dの値とを用いて、以下に示す、式(1)および式(2)により求められる。
ψx=(EΨxij+FΨxi+1j+GΨxij+1+HΨxi+1j+1)/J・・・(1)
ψy=(EΨyij+FΨyi+1j+GΨyij+1+HΨyi+1j+1)/J・・・(2)
なお、式(1)、および、式(2)におけるE、F、G、H、Jは、下記に示す、式(3)から式(7)により求められる。
E=(φx−Φx)(φy−Φy)・・・・・(3)
F=(Φxi+1−φx)(φy−Φy)・・・・(4)
G=(φx−Φx)(Φyj+1−φy)・・・・(5)
H=(Φxi+1−φx)(Φyj+1−φy)・・・(6)
J=(Φxi+1−Φx)(Φyj+1−Φy)・・・(7)
上述の補間処理により、ユーザが設定した走査角に基づいて、補正角を算出することができる。
なお、上述の補間処理では、線形補間法を用いた例で説明したが、これに限られない。補間処理として、例えば、公知の二次元補間手法(スプライン補間、二次曲面近似など)を用いてもよい。また、補間処理として、予め加工位置の補正数表34上の補正数表用補正角(Ψxij,Ψyij)から、走査角に対する補正角の高次の近似連続曲面を算出し、走査角に対応する補正角を算出してもよい。
<レーザ加工方法>
つぎに、図22を用いて、レーザ加工装置1によるレーザ加工方法について、説明する。
図22は、レーザ加工方法を示すフローチャートである。
図22に示すように、まず、レーザ加工装置1の制御部6は、参照するデータ番号kを、ゼロ(0)に設定する(ステップS41)。
つぎに、制御部6は、データ番号kに対応する補正済み加工データ(レーザ出力データL、走査角(φx,φy)、補正角(ψx,ψy))を、メモリ31から読み出す(ステップS42)。
つぎに、制御部6は、読み出した、走査角(φx,φy)に基づいて第1ミラー13を動作させ、補正角(ψx,ψy)に基づいて第2ミラー17を動作させる(ステップS43)。
具体的には、制御部6は、第1ドライバ7に対して、走査角(φx,φy)を通知する。これにより、第1ドライバ7は、走査角(φx,φy)に基づいて、第1ミラー13を動作させる。また、制御部6は、第2ドライバ8に対して、補正角(ψx,ψy)を通知する。これにより、第2ドライバ8は、補正角(ψx,ψy)に基づいて、第2ミラー17を動作させる。
つぎに、制御部6は、読み出したレーザ出力データLに基づいて、レーザ発振器5から加工用レーザ光11を発振させる。
具体的には、制御部6は、レーザ出力値としてのレーザ出力データLを、レーザ発振器5へ送信する。これにより、レーザ発振器5は、レーザ出力データLに基づいて、加工用レーザ光11を発振する。
つぎに、制御部6は、メモリ31内に保存されている全てのデータ番号kに対応するレーザ加工が終了したか否かを判定する(ステップS44)。このとき、全てのデータ番号kに対応するレーザ加工が終了した場合(ステップS45のYES)、制御部6は、フローを終了する。
一方、全てのデータ番号kに対応するレーザ加工が終了していない場合(ステップS45のNO)、制御部6は、参照するデータ番号kを、1つ増加させる(ステップS46)。
そして、その後、制御部6は、フローをステップS42へ戻り、以降のステップを、実行する。
以上のフローにより、全てのデータ番号kについて、レーザ加工が実行される。
<キーホール深さ計測方法>
つぎに、図23を用いて、上述したレーザ加工方法の実行時におけるキーホール22(例えば、図1参照)の深さの計測方法について、説明する。
図23は、キーホール22の深さの計測方法を示すフローチャートである。
まず、レーザ加工装置1の制御部6は、図22に示すレーザ加工方法を開始する前に、未加工の被加工物18の加工面19の位置データを取得する。上記位置データは、未加工状態の加工面19の高さ(換言すれば、図1などに示すZ軸方向における加工面19の位置)を示すデータである。
つぎに、図23に示すように、制御部6は、計測処理部4に対してキーホール22の深さの計測開始の指令を出す(ステップS51)。
つぎに、図22に示すレーザ加工方法が開始されると、計測処理部4は、光干渉計3から測定光15を出射させる。そして、計測処理部4は、キーホール22から反射して戻って来た測定光15と参照光との光路差に応じた光干渉信号を生成する(ステップS52)。
つぎに、計測処理部4は、位置データ、および、生成した光干渉信号を用いて、キーホール22の深さ(すなわち、溶け込み深さ)を算出する。そして、制御部6は、算出されたキーホール22の深さを示すデータ(以下、「キーホール深さデータ」と記す)を、メモリ31に保存する(ステップS53)。
つぎに、制御部6は、キーホール22の深さの計測を終了するか否かを判定する(ステップS54)。このとき、計測を終了しない場合(ステップS54のNO)、制御部6は、フローをステップS52へ戻して、以降のステップを実行する。
一方、計測を終了する場合(ステップS54のYES)、制御部6は、図22に示すレーザ加工方法が終了した後に、計測処理部4に対して、キーホール22の深さの計測終了の指令を出す(ステップS55)。
なお、ステップS51のキーホール22の深さの計測開始の指令、および、ステップS55のキーホール22の深さの計測終了の指令は、制御部6が実行する必要はない。例えば、ユーザが図示しない操作部などを用いて、上記各指令を実行させるように構成してもよい。これにより、例えば、キーホール深さ計測を制御する機能とレーザ加工を制御する機能を分離することができる。そのため、レーザ加工装置1の設計の自由度が向上する。
<効果>
以上で説明したように、本実施の形態によれば、レーザ加工装置1は、加工面19上の加工光格子点30を通る加工区間Wxを設定し、加工区間Wx内に、加工光格子点30を中心としたデータ取得区間Mxを設定し、データ取得区間Mx内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置38を設定する。さらに、レーザ加工装置1は、加工区間Wxの加工中に、データ取得位置38のそれぞれにおけるキーホール22の形状を示す測定データを取得して、測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成し、投影データに基づいて、加工光格子点30における加工方向に垂直な方向の第2指示値(第2ミラー17の補正角)を求める。
この構成によれば、レンズ14の倍率色収差によって生じる、レンズ14透過後の加工面19における加工用レーザ光11と、測定光15の到達位置とのずれを補正できる。これにより、光干渉計3によるキーホール22の深さの計測を、適切に実施できる。その結果、キーホールの深さを、より正確に計測できる。
以下、上記構成を備えるレーザ加工装置1における、レンズ14の倍率色収差の補正結果について、図24を用いて、説明する。
図24は、第2ミラー17の動作による、倍率色収差の影響を補正した状態の、加工面19における加工用レーザ光11と測定光15の軌跡の一例を示す図である。
図24に示すように、上記補正により、加工用レーザ光11の軌跡である加工光軌跡28と、測定光15の軌跡である測定光軌跡27、および各格子点が、図4と異なり、それぞれ一致することが分かる。
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について、具体的に、説明する。
[変形例1]
上記実施の形態では、測定光15の光軸方向を変化させるために、ガルバノミラーである第2ミラー17を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
レーザ加工装置1に用いる第2ミラーは、例えば、測定光導入口9とダイクロイックミラー12との間に設置され、制御部6の制御に基づいて測定光15の光軸方向を変化させることができる、例えば、図25に示す第2ミラー35の構成でもよい。
図25は、第2ミラー35を用いたレーザ加工装置1を模式的に示す図である。
図25に示すレーザ加工装置1は、図1などに示した第2ミラー17の代わりに、第2ミラー35を有し、さらに、移動ステージ36およびステージドライバ37を有する。なお、図25に示すレーザ加工装置1は、図1などに示したコリメートレンズ16を有していない。
第2ミラー35は、測定光導入口9とダイクロイックミラー12との間に固定された放物面ミラーである。なお、第2ミラー35は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーなどで構成してもよい。
また、移動ステージ36は、測定光導入口9に設けられる。
ステージドライバ37は、制御部6と電気的に接続され、制御部6からの指示に基づいて、移動ステージ36を動作させる。これにより、移動ステージ36は、図25中のyz方向(図中の上下方向の両矢印参照)に移動する。すなわち、移動ステージ36の移動方向は、測定光軸23に垂直な2軸方向である。
さらに、測定光導入口9における測定光15の出射端は、第2ミラー35の焦点と一致するように配置される。これにより、測定光15は、第2ミラー35で反射された後に平行光となって、ダイクロイックミラー12へ向かう。
このとき、移動ステージ36の移動により、第2ミラー35からダイクロイックミラー12へ向かう測定光軸23の角度が変化する。これにより、ガルバノミラーである第2ミラー17を用いた場合と、同様の効果が得られる。
本開示のレーザ加工装置およびレーザ加工方法は、例えば、自動車や電子部品などのレーザ加工において、有用である。
1 レーザ加工装置
2 加工ヘッド
3 光干渉計
4 計測処理部
5 レーザ発振器
6 制御部
7 第1ドライバ
8 第2ドライバ
9 測定光導入口
10 加工光導入口
11,107 加工用レーザ光
12,110 ダイクロイックミラー
13 第1ミラー
14 レンズ
15,105 測定光
16 コリメートレンズ
17,35 第2ミラー
18 被加工物
19 加工面
20 加工点
21 溶融池
22 キーホール
23,23a,23b 測定光軸
24,24a 加工光軸
25 レンズ光軸
26 加工原点
27 測定光軌跡
28 加工光軌跡
29 測定光格子点
30 加工光格子点
31 メモリ
32 データ点
33,A,B,C,D 補正データ点
34 補正数表
36 移動ステージ
37 ステージドライバ
38,38a,38b,38c データ取得位置
39 加工痕
40 形状分布
100 分析ユニット
101,104 光ファイバ
102 参照アーム
103 ビームスプリッタ
106 コリメータモジュール
108 溶接ヘッド
109 測定アーム
111 集光レンズ
112 加工物
113 加工部
A,B,C 座標

Claims (5)

  1. 被加工物の加工面の加工点に照射される加工用レーザ光を発振するレーザ発振器と、
    前記加工点に照射される測定光を出射し、前記加工点で反射された前記測定光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づく光干渉信号を生成する光干渉計と、
    前記加工用レーザ光および前記測定光の進行方向を変化させる第1ミラーと、
    前記測定光の前記第1ミラーへの入射角を変化させる第2ミラーと、
    前記加工用レーザ光および前記測定光を前記加工点に集光させるレンズと、
    補正済み加工用データに基づいて、前記レーザ発振器、前記第1ミラー、および前記第2ミラーを制御する制御部と、
    前記光干渉信号に基づいて、前記加工用レーザ光が照射されることで前記加工点に生じるキーホールの深さを計測する計測処理部と、を有し、
    前記補正済み加工用データは、
    前記レンズの色収差により生じる前記加工用レーザ光および前記測定光の少なくとも一方の前記加工面上の到達位置のずれを解消するためのデータで、前記加工点毎に設定された、前記加工用レーザ光の発振強度を示す出力指示値と、前記第1ミラーの動作量を示す第1指示値と、前記第2ミラーの動作量を示す第2指示値と、を含み、
    前記制御部は、
    前記加工面上の目標位置を通る加工区間を設定し、
    前記加工区間内に、前記目標位置を中心とした測定区間を設定し、
    前記測定区間内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置を設定し、
    前記加工区間の加工中に、前記データ取得位置それぞれにおけるキーホールの形状を示す測定データを取得し、
    前記測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成し、
    前記投影データに基づいて、前記目標位置における前記加工方向に垂直な方向の前記第2指示値を求める、
    レーザ加工装置。
  2. 前記制御部は、
    前記第1ミラーおよび前記第2ミラーが回転動作する、x軸およびy軸のそれぞれについて、前記目標位置における前記加工方向に垂直な方向の前記第2指示値を求める、
    請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記制御部は、
    前記加工面上に格子状パターンを設定し、
    前記格子状パターンの格子点を、前記目標位置に設定する、
    請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記制御部は、
    前記補正済み加工用データを生成し、記憶する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置。
  5. 加工用レーザ光および測定光の進行方向を変化させる第1ミラーと、前記測定光の前記第1ミラーへの入射角を変化させる第2ミラーと、前記加工用レーザ光および前記測定光を被加工物の加工面の加工点に集光させるレンズと、を有し、補正済み加工用データに基づいて、前記第1ミラー、および前記第2ミラーを制御して前記加工用レーザ光および前記測定光を前記被加工物に対して照射し、前記加工点で反射された前記測定光と参照光との光路差によって生じる干渉に基づいて、前記加工用レーザ光が照射されることで前記加工点に生じるキーホールの深さを計測するレーザ加工装置が行うレーザ加工方法であって、
    前記補正済み加工用データは、
    前記レンズの色収差により生じる前記加工用レーザ光および前記測定光の少なくとも一方の前記加工面上の到達位置のずれを解消するためのデータで、前記加工点毎に予め設定された、前記加工用レーザ光の発振強度を示す出力指示値と、前記第1ミラーの動作量を示す第1指示値と、前記第2ミラーの動作量を示す第2指示値と、を含み、
    前記レーザ加工装置は、
    前記加工面上の目標位置を通る加工区間を設定し、
    前記加工区間内に、前記目標位置を中心とした測定区間を設定し、
    前記測定区間内に、加工方向に対して垂直な軌跡である複数のデータ取得位置を設定し、
    前記加工区間の加工中に、前記データ取得位置それぞれにおけるキーホールの形状を示す測定データを取得し、
    前記測定データを加工方向に投影して重ね合わせた投影データを作成し、
    前記投影データに基づいて、前記目標位置における前記加工方向に垂直な方向の前記第2指示値を求める、
    レーザ加工方法。
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