JP2021167051A - 研磨用キャリア及びこの研磨用キャリアの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被研磨物としてのディスク状被研磨物の外周面にスクラッチ(研磨の際に生ずる引っ掻き傷)が発生しない、好ましくは金属と樹脂とから成る積層体の被研磨物保持用キャリアを得ること及び該キャリアを正確かつ簡単に製造することができること。【解決手段】被研磨物用収納透孔を有するシート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアであって、前記被研磨物用収納透孔には、前記シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の前記合成樹脂シートの一部を液状にした後に硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられている、被研磨物保持用キャリア。【選択図】図1

Description

本発明は アルミニウム、ガラス、セラミックス等からなるディスク状被研磨物を保持することができる研磨用キャリア及びこの研磨用キャリアの製造方法に関する。
平面研磨装置を使用してアルミニウムやガラス、セラミックス等からなるディスク状被研磨物(ワーク)を研磨加工する際には、該被研磨物(ワーク)を保持するために、この技術分野の当業者に称されている「薄い板状のキャリア」が使用されている。普通一般にキャリアは金属や樹脂からなる薄い円板状体で、被研磨物(ワーク)を保持するための複数の貫通状のワーク保持穴を有すると共に、平面研磨装置の太陽歯車及び内歯歯車と噛合する係合歯を外周に備えている。そして、普通一般に、キャリアはガラス繊維をエポキシ樹脂で固めた繊維強化プラスチックにより形成され、各ワーク保持穴内にキャリアの肉厚よりもやや厚めの被研磨物(ワーク)を嵌合状態で保持するようになっている。
当業者に周知であるように、キャリアは、強化用繊維として折れ易いガラス繊維を使用していたため、該ガラス繊維が毛羽立った状態でワーク保持穴の周側壁から突出し、そのために、研磨の際、被研磨物(ワーク)の外周面に掻き傷を付け易いという欠点があった。
そこで、特許文献1の請求項1及び図3には、「ワークを研磨加工する平面研磨装置においてワークの保持に使用されるキャリヤであって、強化用繊維をプラスチックで固めた繊維強化プラスチックにより形成され、少なくとも中層部に、強化用繊維としてポリエステル繊維等の柔軟性ある繊維が配設されていることを特徴とする平面研磨装置用キャリヤ」が記載されている。そして、発明の詳細な説明の欄の段落0016には、前記平面研磨装置用キャリアの製造方法が、次のように記載されている。………中層部14に使用するのに適した強化用繊維(例えばポリエステル繊維)からなるシートに液状エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた複数の中層用含浸シート14aの上下両面に、外層部13に使用するのに適した強化用繊維(例えばガラス繊維)からなるシートに同様に熱硬化性樹脂を含浸させてなる複数の外層用含浸シート13aを重合し、これらの重合体を、剥離フィルム16、変形防止用の金属板17、緩衝用のクッション18を介して両側から熱板19,19による熱プレスを施すことにより一体成形したあと、所要の形状に裁断してキャリヤ10に仕上げるものである。これにより、ワーク外周面に掻き傷を付けることのない繊維強化プラスチック製の平面研磨装置用キャリアを提供することができる(符号は特許文献1のもの)。
この特許文献1に記載の平面研磨装置用キャリアは、薄い円盤状の被研磨物の外周面の略中央部にスクラッチ(研磨の際に生ずる引っ掻き傷)が発生しないという利点を有するものの、前記被研磨物の外周面が半径外方向に凸状に面取りされた被研磨物には相応しいが、例えば薄い円盤状の被研磨物の外周面が略垂直状態の場合には、必ずしも有効ではないという問題点がある。
次に、特許文献2の両面研磨用キャリアは、「薄肉状の被研磨物の両面研磨に使用する両面研磨用キャリアにおいて、被研磨物収納孔を有する、金属からなるキャリア本体と、上記キャリア本体の被研磨物収納孔の内周面に融着固定して形成した、樹脂材からなる被研磨物保持部とからなり、この被研磨物保持部に形成した被研磨物保持用孔に被研磨物を保持するようにしたこと(請求項1)」と、「上記被研磨物保持部は、被研磨物収納孔に樹脂材を注入して被研磨物収納孔の内周面に融着させ、その樹脂材を加圧成形して樹脂層を形成し、その樹脂層に被研磨物保持用孔を開けて形成すること(請求項2)」である。
この特許文献2の両面研磨用キャリアを理解するために、発明の詳細な説明の欄の段落0016を参照にすると、「そして、この被研磨物保持部72は、被研磨物収納孔71に樹脂材を注入して被研磨物収納孔71の内周面に融着させ、その樹脂材を加圧成形して被研磨物収納孔71の全面に樹脂層を形成し、その樹脂層に被研磨物保持用孔73を開けて形成されている。なお、被研磨物保持部72を形成する樹脂材には、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、エポキシ、ポリカーボネート、ペットボトル材などが使用される。また、被研磨物収納孔71に注入する樹脂材の量は、被研磨物収納孔71の全体を埋めるだけの量とする」と記載されている。
したがって、例えば特許文献2の図3に記載されている樹脂材から成るリング状の被研磨物保持部72は、図示しないレーザー、超音波等の加工手段を、前記被研磨物収納孔71に注入した樹脂材に照射することにより所要の大きさの開口を形成し、然る後に、円盤状の被加工物を弾性的に保持することができる環状の緩衝部材を、前記金属板の円形状の被研磨物収納孔71に一体的に残した(環状の緩衝部材の外周面が被研磨物収納孔71の内周面全体に融着した状態のもの)と理解することができる。この特許文献2の両面研磨用キャリアは、いわば実体部分に相当する注入樹脂材に、後からレーザー等の加工手段により、開口部を形成することにより、リング状の緩衝部材72を形成する方式と言える。
しかしながら、この特許文献2は、リング状の緩衝部材72を備えている点で、研磨の際、被研磨物(ワーク)の外周面に掻き傷を付け難いという利点を有するものの、キャリアは、基材としての金属板と、この金属板のワーク収納孔71に融着固定された被研磨物保持部72とから成るので、キャリア自体の弾性力が欠けるという問題点がある。
また、この特許文献2には、少なくとも1つ以上の被研磨物用収納透孔を有する所定形状のシート状基材を含む積層体から所望形状の「研磨用キャリア素板(積層体)」から「積層体仮キャリア(中間品)」を、簡単かつ正確に切抜く方法は記載されていない。なお、特許文献2の段落0018〜段落0020には、キャリア1を簡単に形成することができる、加工時間の短縮化によりコストの低減化を図ることができる、被研磨物保持部72の耐久性を大幅に向上させることができる等の利点が記載されているものの、本発明の如く、研磨用キャリア素板(積層体)からどのような構成又は方法で、「積層体仮キャリア(中間品)」を得るのか記載され、示唆されていない(符号は特許文献2のもの)。
次に特許文献3は、特許文献2の発明の課題を前提として、「被研磨物を保持するための保持穴が設けられた研磨用キャリアプレートであって、金属板、および、前記金属板の両面に圧着された樹脂付基材からなり、外周にギヤが形成された円形を有し、前記金属板には少なくとも1つの保持穴が形成され、前記保持穴の内周に環状の部材から形成された環状緩衝部材が取り付けられており、前記樹脂付基材には、前記環状の緩衝部材の内径と同径の貫通穴が設けられており、前記環状の緩衝部材は2枚の前記樹脂付基材と圧着固定されていることにより、前記保持穴内に固定されていること」が記載されている。特に、特許文献3の段落0023を中心として図2〜図5を参照にすると、この特許文献3の研磨用キャリアは、環状の樹脂緩衝部材を芯部に相当する金属板の保持穴3に嵌め込み、その後に、前記保持穴3の内径よりも小さい内径の貫通穴6を有する樹脂付基材5を、前記金属板の下面と上面に重ね、然る後に、上面と下面に位置する前記樹脂付基材5の小さい内径の貫通穴6を半径外方向に形成(加工)することにより、ワークを保持することができる環状緩衝部材4は、上下2枚の前記樹脂付基材にサンドイッチ状に圧着固定されているものと理解することができる。
この特許文献3は、本発明と同様に金属と樹脂から成る積層体を対象とするものであり、該積層体にワーク保持用環状緩衝部材4を設けるものであるが、前記ワーク保持用環状緩衝部材4完成前に、図2の(a)と(b)で示すように、一枚又は二枚の樹脂基材から環状の樹脂積層体を切抜き、一方、図4の(a)と(b)で示すように、芯材となる金属板の両面に重ねる上下の樹脂付基材5に環状緩衝部材4よりも小径の貫通孔6を形成し、前記環状緩衝部材4を前記上下の樹脂付基材5でサンドイッチ状に挟持するために、予め環状の樹脂積層体を金属板の保持穴に一体的に嵌合させ、次に、上下の樹脂付基材5でサンドイッチ状に挟持し、さらに、前記環状緩衝部材4と上下の樹脂付基材5の両方を圧着固定し、然る後に、ワークの外径寸法と一致するまで、前記上下の樹脂付基材5の小径の貫通孔6を半径外方向に拡大する点で、製造方法が非常に複雑である。
この特許文献3のキャリアの製造方法は、特許文献2の「実体部分に相当する注入樹脂材に、後からレーザー等の加工手段により、開口部を形成することにより、リング状の緩衝部材72を形成する方式」とは全く異なるものと言える。
付言すると、樹脂製複合材からリング状の被研磨物保持部を大雑把に切抜きし、その後、非積層体の金属板2の被研磨物収納孔の内周面に前記リング状の被研磨物保持部4を強制的に嵌合し、この嵌合後に、前記被研磨物保持部72の内径をディスク状被研磨物(ワーク)の外径寸法と一致するように前記非積層体の金属板2と前記リング状の被研磨物保持部4を、レーザー等の加工手段で半径外方向に内径を拡大する方法であるから、最終目的のリング状の被研磨物保持部の製造が面倒である、時間がかかる等の問題点がある。なお、特許文献3にも、本発明の如く、研磨用キャリア素板(積層体)からどのような方法で、「積層体仮キャリア(中間品)」を得るのか記載され、示唆されていない(符号は特許文献3のもの)。また特許文献4の図5には、両頭平面研磨盤の一例が斜視図で記載されている。なお、特許文献1及びこの明細書に於いて、「キャリヤ」と「キャリア」の用語は同義とする。
特開平6−304859号公報 特開2001−105303号公報 特開2019−188529号公報 特開2019−34357号公報
本発明の主たる課題は、被研磨物としてのディスク状被研磨物の外周面にスクラッチ(研磨の際に生ずる引っ掻き傷)が発生しない、好ましくは金属と樹脂とから成る積層体の被研磨物保持用キャリアを簡単に製造することである。また本発明の付随的課題は、被研磨物を研磨加工する平面研磨装置において、好ましくは金属と樹脂とから成る積層体の研磨用キャリア素板から被研磨物の保持に使用される所望形状の積層体仮キャリアを、簡単かつ正確に切り出すことができる被研磨物保持用キャリアの製造方法を提供することである。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
本発明の被研磨物保持用キャリアは、被研磨物用収納透孔を有するシート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアであって、前記被研磨物用収納透孔には、前記シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の前記合成樹脂シートの一部を液状にした後に硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられていることを特徴とする(第1の発明)。
また本発明の被研磨物保持用キャリアは、被研磨物用収納透孔を有するシート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアであって、前記被研磨物用収納透孔には、前記シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材を注入した後に該液状緩衝材を硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられていることを特徴とする(第2の発明)。
また本発明の被研磨物保持用キャリアの製造方法は、シート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアの製造方法であって、被研磨物用収納透孔を有する前記シート状基材と、このシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔を被覆する被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シートを重ねるシート重合工程と、前記上下に位置する合成樹脂シートの少なくとも前記シート状基材の前記被研磨物用収納透孔に対応する部位を、液状化手段を介して液状化させることにより、該被研磨物用収納透孔に液状化した前記合成樹脂シートの緩衝材を充填する緩衝材充填工程と、前記被研磨物用収納透孔に充填した緩衝材を、冷却又は加熱手段のいずれかを介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部を生成する樹脂製緩衝実体部生成工程と、前記樹脂製緩衝実体部を加工手段によって前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部を開口形成する被研磨物用環状緩衝保持部形成工程とを含むことを特徴とする(第3の発明)。
さらに、また本発明の被研磨物保持用キャリアの製造方法は、シート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアの製造方法であって、被研磨物用収納透孔を有する前記シート状基材と、このシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔を被覆する被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シートを重ねるシート重合工程と、前記シート状基材の前記被研磨物用収納透孔に該シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材を注入する緩衝材注入工程と、前記被研磨物用収納透孔に注入した緩衝材を冷却又は加熱手段のいずれかを介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部を生成する樹脂製緩衝実体部生成工程と、前記樹脂製緩衝実体部を加工手段によって前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部を開口形成する被研磨物用環状緩衝保持部形成工程とを含むことを特徴とする(第4の発明)。
上記構成に於いて、好ましくは、積層体を構成するシート状基材は、薄い金属板(硬質材)であり、この薄い金属板の上面と下面に該薄い金属板よりも軟質の合成樹脂シートが重ねされていることを特徴とする。
そして、前記第1乃至第4の各発明に於いて、研磨用キャリア素板の実体部分に、該研磨用キャリア素板から係合歯形成前の積層体仮キャリアを切抜く場合の位置特定情報としての基準印が設けられ、この基準印の上方又は下方のいずれかには位置検出手段が配設され、該位置検出手段が検出した前記基準印の位置情報は、切抜き制御部に送信され、該切抜き制御部は、記憶部に記録されている被研磨物に関する情報と前記基準印の位置情報を演算処理して前記積層体仮キャリアを加工機の移動を制御して形成することを特徴とする。
本発明の各独立請求項(第1乃至第4の各発明)は、被研磨物としてのディスク状被研磨物の外周面にスクラッチ(研磨の際に生ずる引っ掻き傷)が発生しない、好ましくは金属と樹脂とから成る積層体の被研磨物保持用キャリアを簡単に製造することができる。特に、製造方法の発明では、被研磨物を研磨加工する平面研磨装置において、好ましくは金属と樹脂とから成る積層体の研磨用キャリア素板から被研磨物の保持に使用される所望形状の積層体仮キャリアを、簡単かつ正確に切り出すことができる。
図1乃至図10は本発明の第1実施形態のキャリアX2とその製造方法を示す各説明図。図11及び図12は本発明の第2実施形態のキャリアX2Aとその製造方法を示す各説明図。図13は基準印を別の箇所に設けた実施形態の説明図。
研磨用キャリア素板X、積層体仮キャリアX1(中間品)、キャリアX2(最終商品)を平面視から示す説明図。 キャリアX2の平面視からの説明図。 一つの環状緩衝保持部6を含む図2の3−3線拡大断面図。 一つの基準印を含む図2の4−4線拡大断面図。なお、P1、P2等は貫通してなくても良い。 要部(環状緩衝保持部及びその製造工程)を示す概略説明図。 第1実施形態のキャリアX2の製造方法を示す工程図。 キャリア素板に対する位置検出手段の配設位置を示す概略説明図。 切抜き制御部のシステムを示すブロック図。 制御部がキャリア素板の中心を求める場合の一例を示す説明図(第2実施形態の製造方法も同様)。 制御部がキャリア素板の中心を求める場合の他の例を示す説明図(第2実施形態の製造方法も同様)。 第2実施形態のキャリアX2Aの製造方法を示す工程図。 図5と同様の説明図。 基準印をキャリア素板の積層体仮キャリアX1の実体部分の外側に複数個設けた実施形態を示す平面視からの説明図。
この明細書では、「研磨用キャリア素板X」と、この研磨用キャリア素板から切り出された「積層体仮キャリアX1」と、この積層体仮キャリアの外周縁部に平面研磨装置の内歯歯車と噛合する係合歯が連続形成された「キャリアX2」の各用語が出てくる。
前記研磨用キャリア素板Xは、最終商品としての被研磨物保持用のキャリアX2を製造するために用いられる。最終商品のキャリアは、周知のように、例えば一つ以上の被研磨物W用保持穴(例えば5個)を有する略真円形状又は多角形の平板状積層体の外周縁部に、平面研磨装置の内歯歯車と噛合する係合歯9が連続形成されている。これが被研磨物保持用キャリアX2であり、特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されている物の発明である。
一方、前記積層体仮キャリアX1は、研磨用キャリア素板Xから切り抜かれた円形又は多角形、あるいは又幾何学形状の切抜き部分である。したがって、この段階では、その外周縁部に平面研磨装置の内歯歯車と噛合する係合歯9が形成されている訳ではない。もちろん、理論的には、研磨用キャリア素板から直接最終商品のキャリアを製造することも可能ではあるが、実施形態では、所定形状(例えば方形、矩形、円形など)の積層体から係合歯を有しない所定形状(例えば円形、多角形など)の積層体仮キャリアX1を適当な加工手段を用いて切り出される。
加工手段を用いて切り出された積層体仮キャリアX1は、製造業者が直接又は譲受人が間接的に適当な歯車形成機を用いて、その外周縁部に係合歯9を形成することにより、最終商品としての被研磨物保持用のキャリアX2が出来上がる。
図1は、研磨用キャリア素板Xと、この研磨用キャリア素板X(積層体)から加工手段を用いて切り抜かれた積層体仮キャリアX1(中間品)と、この積層体仮キャリアの外周縁部に連続する係合歯9を有する被研磨物保持用キャリアX2(最終商品)を平面視から概略的に示す。なお、図1の研磨用キャリア素板Xの符号3は被研磨物用収納透孔であり、実施形態ではプリプレグ1bでカバーされているので、仮想線で示す。
まず、研磨用キャリア素板Xについて説明する。この研磨用キャリア素板Xは、金属製のシート状基材1a及びこのシート状基材の両面に垂直方向に積層状態に設けられた上下一組の合成樹脂シート1b、1bと、少なくとも前記合成樹脂シート1b又は前記シート状基材1aのいずれか一方に設けられ、かつ、該積層体の一側面と略直交する上方又は下方のいずれかの位置に配設された位置検出手段10(図7参照)で検出可能な単数又は複数個の基準印P1、P2、P3…Pnを有する。実施形態の積層体は、好ましくは金属と樹脂から成り、剛質機能及び弾性変形復帰機能の両方を有する。なお、前記金属製のシート状基材1aにのみに、単数又は複数個の基準印P1、P2、P3…Pnを設けた場合には、前記シート状基材1aの外層部に相当する合成樹脂シート1bの材質は、前記位置検出手段10が前記基準印P1、P2、P3…Pnの情報を取得することができるように透明又は半透明であることが望ましい。
また、前記合成樹脂シート1bにのみに、単数又は複数個の基準印を設ける場合に於いて、例えば前記位置検出手段10が上方に配設された場合には、シート状基材1aの上面に位置する合成樹脂シートにのみに基準印を設けても良い。また前記位置検出手段10は適当なCCDカメラ、CMOSカメラ等が使用されるが、これらのカメラは単数又は複数であっても良い。例えばCCDカメラが単数の場合には、研磨用キャリア素板Xの異なる部位に所定間隔離間して複数個の基準印(例えばキャリアの研磨剤通過or透過用貫通小孔よりも小さな小孔や印)P1、P2、P3…Pnが設けられているので、該CCDカメラはカメラ用搬送手段を構成する可動アームを介して移動可能である。
前記積層体のシート状基材1aには、後述するように、予め一つ以上の被研磨物用収納透孔3が形成されている。実施形態では、合計5個の被研磨物用収納透孔3が周方向に所定ピッチで形成されている。キャリアX2(最終商品)は中心孔2と研磨剤通過用貫通孔4と係合歯9を有するが、前記中心孔2と研磨剤通過用貫通孔4と係合歯9は、研磨用キャリア素板X及び積層体仮キャリアX1(中間品)には存在しない。
付言すると、実施形態の積層体仮キャリアX1(中間品)には、例えば合計5個の被研磨物用収納透孔3と、この被研磨物用収納透孔3の内周面に圧着及び切抜き加工により一体的に形成された環状緩衝保持部6と、複数個の基準印(例えば合計3個の小孔)P1、P2、P3が設けられている。
しかして、前記シート状基材1aの被研磨物用収納透孔3の各内周面には、前記シート状基材1aの材質に比して硬度が低い材質の被研磨物用環状緩衝保持部6が一体的に設けられている。前記環状緩衝保持部6は、前記積層体の一部を構成する合成樹脂シート1bの前記被研磨物用収納透孔3に対応する部位を、液状化乃至硬化することにより生じた樹脂製緩衝実体部(第1実施形態)7に対して、加工手段11によって開口形成される。それ故に、商品化されたキャリアX2は、平面研磨装置にセットされ、前記環状緩衝保持部6の内周面でディスク状の被研磨物を保持することができる。
〈物と方法の第1実施形態〉
まず、図1乃至図6を参照にして、第1実施形態の研磨用キャリアX2(以下、「キャリアX2」といい)の構成と、このキャリアX2の製造方法を説明する。
図2はキャリアX2の平面視、図3は一つの環状緩衝保持部6を含む図2の3−3線拡大断面図、図4は一つの基準印を含む図2の4−4線拡大断面図である。なお、前記図3は一つの環状緩衝保持部6の内周面の上縁および下縁は、図面上「角」に描いているが、多少アール(弧状)であっても良い。
これらの図に於いて、2は略真円形状のキャリアX2の中心に形成された貫通状の中心孔、3は前記中心孔2の同心円上に所定のピッチを有して形成された複数個(例えば5個)の被研磨物用収納透孔、4は複数個の被研磨物W用収納透孔3の間の適宜部位に形成された複数個の研磨剤通過用貫通孔である。
P1、P2、P3が積層体を上下方向に貫通する複数個の基準印である。複数個の基準印P1、P2、P3は、例えば図1で示すように、積層体の研磨用キャリア素板Xから係合歯形成前の積層体仮キャリア1を切抜く場合を想定した場合に、該積層体仮キャリア1の「一つ」以上の被研磨物用収納透孔3を除いた実体部分に設けられている。
付言すると、複数個の基準印は、研磨用キャリア素板Xから切り抜かれる対象部位に設けられている。もちろん、複数個の基準印の位置は、この第1実施形態に限定されるものではないから、後述する図13で示すように前記実体部分の外側の適宜部位に形成しても良い。また複数個の基準印P1、P2、P3…Pnは、必ずしも貫通状の小孔である必要ではなく、黒点、黒丸、×、コード類等の検出可能な印であっても良い。実施形態では、容易に理解するために貫通孔P1(P2、P3)で図示している(例えば図4参照)。
6は各被研磨物用収納透孔3の内周面にそれぞれ一体的に設けられた環状緩衝保持部である。この環状緩衝保持部6はシート状基材1aの材質に比して硬度が低い材質である。
前記環状緩衝保持部6は、後述するように、合成樹脂シートの前述した被研磨物用収納透孔3に対応する部位(例えばプリプレグの少なくとも一部)を埋めることにより生じた樹脂製緩衝実体部7が形成され、この樹脂製緩衝実体部7に対して、加工手段(例えばレーザーを噴射する加工手段、サンドブラストを噴射する加工手段など)11によって形成され、該樹脂製緩衝実体部7の内孔が、いわゆるキャリアの被研磨物用の保持穴8となる。
図5は、合成樹脂シート1bのシート状基材1aの被研磨物用収納透孔3に対応する部位(少なくともプリプレグの一部)を埋めることにより生じた樹脂製緩衝実体部7の概略説明図である。この図5では、積層体の構造体を構成するプリプレグ1bの少なくとも一部が、液状化手段(例えば加熱手段)を介して所定の温度で溶けて被研磨物用収納透孔3に流れ込んだ、或いは落ち込んだ(樹脂が液状化した状態)、被研磨物用収納透孔3に流れ込んだ樹脂が冷却又は加熱手段のいずれかを介して所定以上の高温となり、その結果、樹脂製緩衝実体部7となった状態(埋め込み状態)及びその後に加工手段を介してキャリアの被研磨物用の保持穴8が形成された状態を概念的に示している。
すなわち、第1実施形態の樹脂製緩衝実体部7は、温度如何により、加熱前に材質自体により形態保持力を有し、温度条件によっては、個体状態から液体状態に、液体状態から個体状態になる樹脂材の性質を利用したもので、前記被研磨物用収納透孔3に前記プリプレグ1bの略全体又は一部、本実施形態では、少なくとも上方に位置するプリプレグ1bの一部を、液体状態に溶かすことにより、該被研磨物用収納透孔3の一部又は略全部を略均一状態に充填した後、所要時間(例えば30分)静置状態にし、その後、水平加熱板を有する加熱装置を介して所定以上の高温(例えば150度)を与えることにより、液状化した樹脂が再び硬化する方法が採用されている。そして、前述したように、前記樹脂製緩衝実体部7に対して、加工手段11を利用して、いわゆるキャリアの被研磨物用の保持穴8を形成する。
なお、シート状基材1aの上方と下方に位置する合成樹脂シート1bを利用して樹脂製緩衝実体部7を形成する場合には、上方に位置する合成樹脂シート1bの肉厚と、シート状基材1aの下方に位置する合成樹脂シート1bの肉厚は等しいことが望ましい。もちろん、前記肉厚は適宜に設計変更し得る事項である。
ここで、図3を参照にして研磨用キャリアX2の材質について説明する。図3に於いて、1aは金属製のシート状基材である。金属は、重くて硬く、耐食性・耐熱性にすぐれた金属、例えばチタン、ステンレス鋼、KH鋼、SKD鋼、SUJ鋼等が用いられている。付言すると、外部層の合成樹脂シート1bよりも硬質な芯材にするのであれば、金属製のシート状基材1aは、少なくとも、その一側表面にセラミックスコーティングを施した金属製のもの、表面に金属メッキを被覆したSK鋼製のもの、セラミックス粒子を溶着した後、その上にDLC薄膜(ダイヤモンド・ライク・カーボンの薄膜)を被覆したもの、金属製板の表面に強化繊維としてのポリエステル繊維を薄膜状に形成したもの等が適宜に用いられている。であるから、本実施形態ではその材質を特に限定するものではない。
次に1bは合成樹脂シートである。合成樹脂シートは、好ましくはプリプレグが用いられる。ここで「プリプレグ」の概念について簡単に説明すると、一般的・平均的な通常の当業者には、例えばシート状の基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸させ、かつ乾燥させて、該樹脂を半硬化状態にしたもの、と理解されている。
したがって、本実施形態の合成樹脂シート1bも、いわゆる半硬化状態(Bステージ)のものであり、シート状基材1aよりも柔軟性があるもので、加熱プレスで所定以上の温度で加熱するCステージ(完全硬化)前は、常温で、それ自体形態保持力を有し、例えば強化繊維(ポリエステル繊維、アラミド繊維等の強化繊維を主としたもの)、複数枚の熱硬化性樹脂を含浸させたガラス繊維(ガラス繊維を主としたもの、或いは複合繊維)、ガラス繊維をエポキシ樹脂で固めた繊維強化プラスチック等で適宜形状に形成されている。この合成樹脂シート1bは、前述したように、半硬化状態(Bステージ)から液状(Aステージ)にもなる。
以上の説明から明らかなように、第1実施形態の研磨用キャリアX2は、被研磨物用収納透孔3を有する、好ましくは金属製のシート状基材1aと、この金属製のシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シート1bとから成る被研磨物保持用キャリアであって、前記被研磨物用収納透孔3には、前記シート状基材1aの材質に比して硬度が低い材質の前記合成樹脂シート1bの一部を液状にした後に硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部7を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部6が一体的に設けられている。
次に、図6はキャリアX2の第1の製造方法Yである。この第1の製造方法Yに説明に当たって、前述した研磨用キャリアX2の説明に用いた符号はそのまま援用し、重複する説明を割愛する。
図6に於いて、符号YはキャリアX2の製造方法をブロック図で概略的に示したものである。このキャリアX2の製造方法Yは、好ましくは金属製のシート状基材1aと、この金属製のシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シート1b、1bとから成る積層体の被研磨物保持用キャリアを製造することを前提とする。前記シート状基材1aと合成樹脂シート1b、1bの材質は前述した通りである。
しかして、Aはシート重合工程で、このシート重合工程Aでは、被研磨物用収納透孔3を有する好ましくは金属製のシート状基材1aと、この金属製のシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔3に符合する第2の被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シート1b、1bを重ねる。このシート重合工程Aでは、加熱及び加圧することができる加熱プレス機が工場内の適宜箇所に設置され、該加熱プレス機の上方に位置する加熱板と下方に位置する加熱板16の間にシート状基材1a及び合成樹脂シート1b、1bがセットされる。加熱板16は上下方向及び左右方向に移動可能である。
また上方と下方に位置する前記合成樹脂シート1bの略全部又は一部を液状化することができる液状化手段としての加熱装置の液状化手段(加熱板)15を加熱プレス機の近傍に配設する。上方の液状化手段(加熱板)15も加熱板16と同様に上下及び左右方向に移動可能である。
次に、Bは緩衝材充填工程で、この緩衝材充填工程Bでは、前記上方に位置する合成樹脂シート1bの少なくとも前記シート状基材1aの前記被研磨物用収納透孔3に対応する部位を、液状化手段15(図5参照)を介して液状化させることにより、該被研磨物用収納透孔3に液状化(流動化も含む)した前記合成樹脂シート1bの緩衝材を充填する。この実施形態では、前記緩衝材は、予め被研磨物用収納透孔3に液状化した緩衝材を、管、光媒体等を介して注入するのではなく、シート状基材1aの上方と下方に重ねられた合成樹脂シート1b自体の素材の一部を利用する。
次に、Cは樹脂製緩衝実体部生成工程で、この樹脂製緩衝実体部生成工程Cでは、前記被研磨物用収納透孔3に充填した緩衝材を、加熱手段の上下一組の加熱体16、16(例えば加熱プレス機の上方に位置する加熱板と下方に位置する加熱板)を介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部7を生成する。なお、この樹脂製緩衝実体部生成工程Cは、上下の合成樹脂シート1b、1bをその熱硬化性樹脂の性質を利用してシート状基材1aに一体的に積層する工程を兼用している。
次に、Dは被研磨物用環状緩衝保持部形成工程で、この被研磨物用環状緩衝保持部形成工程では、前記樹脂製緩衝実体部7を加工手段によって前記被研磨物用収納透孔3の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部6を開口形成する。これにより、被研磨物を保持する保持穴8ができる。
ところで、本発明の製造方法の第1実施形態では、上記A乃至Dの各工程を含む被研磨物保持用キャリアの製造方法であって、前述した研磨用キャリア素板Xの実体部分に、該研磨用キャリア素板から係合歯形成前の積層体仮キャリアX1を切抜く場合の位置特定情報としての基準印P1が、少なくとも一つ以上設けられ、この基準印の上方又は下方のいずれかには位置検出手段10が配設されている。
そして、該位置検出手段10が検出した前記基準印の位置情報は、図8で示すように、入力部19を介して切抜き制御部20に送信され、該切抜き制御部20は、記憶部21に記録されている被研磨物に関する情報22と前記基準印の位置情報P1を演算処理し、そして、該切抜き制御部20は、この演算情報に基づいて出力部23を介して前記積層体仮キャリアX1用の切抜き加工機30等の移動を制御する。
なお、符号24は、位置検出手段10が基準印の位置に一致しているか否かを見る座標情報を示す表示部で、例えば液晶画面が用いられている。また特に図示しないが、実施形態の切抜き制御部20は、キャリアを製造するために必要な駆動装置(位置情報検出手段、切抜き加工機等)を適宜に制御する。
図7は、研磨用キャリア素板Xから積層体仮キャリアX1を切抜く前に、例えば研磨用キャリア素板Xの上方に配設した一台の位置検出手段10(例えばCCDカメラ)を下向きに位置付けた状態を示す(CCDカメラの実践が第1の停止位置、CCDカメラの仮想線が移動後に停止した位置)。
前記基準印が、P1乃至P3であると仮定した場合、これらの基準印P1乃至P3は、少なくとも前記位置検出手段の第1停止位置で取得することができる第1の位置情報(P1)と、前記位置検出手段が前記第1の停止位置から空間を移動した後に停止した位置で取得することができる第2位置情報(P2)と、この第2位置情報の停止位置から空間を移動した後に停止した位置で取得することができる第3位置情報(P3)である。
これらの位置情報P1、P2及びP3は、有線又は無線で切抜き制御部20に送信されると、演算処理機能を有する該切抜き制御部20は、例えば図9で示すように、各位置情報P1、P2及びP3をそれぞれ基準にして真円形状を求める演算をして各円の中心点を決定する。切抜き制御部20は、この各円の中心点からの所定距離、移動方向等により、切抜き対象の積層体仮キャリアの形状及び大きさを特定することができる。
ところで、前記記憶部に記録されている積層体仮キャリアに関する情報は、加工対象である研磨用キャリア素板の識別情報(a0001)、形状情報(b0010)、半径情報(c0100)、P1、P2、P3、…Pnに関するマトリックス座標情報、加工履歴等であり、前記形状情報、半径情報等の情報は、前記研磨用キャリア素板の識別情報に紐づけされている。
また、図10は切抜き制御部20がキャリア素板Xの中心を求める場合の他の例を示す説明図で、この場合には、切抜き制御部20は、各位置情報P1、P2(二点間)をそれぞれ基準にして真円形状を求める、又は一方の位置情報P1を軸として他方の位置情報P2を求めて各円の中心点を決定する等の演算をする。
しかして、切抜き制御部20は、研磨用キャリア素板Xの中心点(キャリアX2の中心孔2に相当する位置)、積層体仮キャリアの外形寸法及び加工形状を決定したならば、切抜き加工機30の移動を制御する。切抜き加工機30は、例えば積層体仮キャリアが真円形状ならば、真円の軌道を描く。
〈物と方法の第2実施形態〉
次に、図11及び図12を参照にして、第2実施形態の研磨用キャリアX2A(以下、「キャリアX2A」といい)の構成と、このキャリアX2Aの第2の製造方法Y1を説明する。
図11は、図6と同様に第2実施形態のキャリアX2Aの第2の製造方法Y1を示す工程図である。また図12は図11の要部(緩衝材注入工程B1、樹脂製緩衝実体部生成工程C1)の説明図である。なお、第2の製造方法で得られるキャリアX2Aは、第1の製造方法Yで得られるキャリアX2と全く同一なので、第2実施形態のキャリアX2Aには第1実施形態のそれと同様の符号を付す。それ故に、第2実施形態のキャリアX2Aの平面視、断面図等は、図2、図3及び図4をそのまま援用する。第2実施形態は樹脂製緩衝実体部7Aの製造過程が異なる。したがって、同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する。
第2実施形態の研磨用キャリアX2Aは、被研磨物用収納透孔3を有するシート状基材1aと、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シート1b、1bとから成る被研磨物保持用キャリアである。前記被研磨物用収納透孔3には、前記シート状基材1aの材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材を注入した後に該液状緩衝材を硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部7Aを加工手段によって形成された被研磨物用環状緩衝保持部6Aが一体的に設けられている(図12を参照)。
したがって、図11及び図12で示すように、キャリアX2Aの製造方法Y1は、好ましくは金属製のシート状基材1aと、この金属製のシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シート1b、1bとから成る被研磨物保持用キャリアの製造方法Y1に於いて、被研磨物用収納透孔3を有する前記シート状基材1aと、このシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔3に符合する第2の被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シート1b、1bを重ねるシート重合工程Aと、前記シート状基材の前記被研磨物用収納透孔3に該シート状基材1aの材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材bを注入する緩衝材注入工程B1と、前記被研磨物用収納透孔3に注入した緩衝材bを、冷却又は加熱手段のいずれかを介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔3の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部7Aを生成する樹脂製緩衝実体部生成工程C1と、前記樹脂製緩衝実体部7Aを加工手段によって前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部6Aを開口形成する被研磨物用環状緩衝保持部形成工程Dとを含む。以下、その余の行程は、第1実施形態の製造方法と同一なので、第1製造方法の説明を援用する。
最後に、図13は基準印P1、P2、P3…Pnをキャリア素板Xの積層体仮キャリアX1の実体部分の外側に複数個(例えば3個)設けた実施形態を示す平面視からの説明図である。この図13は、研磨用キャリア素板Xに基準印を設ける場合、その箇所は切抜き対象である積層体仮キャリアX1の実体部分ではなく、その外側に多数設けても良い旨を示したものである。キャリア素板Xの切抜き対象である積層体仮キャリアX1の実体部分ではなく、その外側に多数の基準印P1、P2、P3…Pnを設けた場合には、単純な円形又は四角形以外に、六角形、八角形、達磨形状、瓢箪形状など所望の積層体仮キャリアX1をキャリア素板Xから得ることが可能となる。
本発明は、金属と樹脂からなる積層体に樹脂製緩衝実体部(7、7A)を設け、この樹脂製緩衝実体部に環状緩衝保持部6を形成する点で、単一層のみである金属板のワーク収納孔に樹脂材を注入して該ワーク収納孔の内周面に樹脂製緩衝実体部を設け、この樹脂製緩衝実体部に環状緩衝保持部を開口形成する特許文献2(特開2001−105303号公報)とは相違する。また前記特許文献2に対して、本発明は、キャリアの製造方法に於いて、研磨用キャリア素板の実体部分に、該研磨用キャリア素板から係合歯形成前の積層体仮キャリアを切抜く場合の位置特定情報としての基準印が設けられ、この基準印の上方又は下方のいずれかには位置検出手段が配設された点が相違する。したがって、本明細書では、特に特許文献2との相違点を詳細に説明した。
また本発明のキャリア及びその製造方法は特許文献3(特開2019−188529号公報)のキャリア及びその製造方法とは相違する。特に、第1実施形態は、「被研磨物用収納透孔には、シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の前記合成樹脂シートの一部を液状にした後に硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられている点」が相違する。
さらに、実施形態では、基準印P1、P2、P3…Pnをキャリア素板Xの積層体仮キャリアX1の実体部分に又は実体部分の外側に複数個(例えば3個)設けた製造方法について言及したが、前記基準印P1、P2、P3…Pnが増えるにしたがって、複雑な形状のキャリアを得ることができる。
なお、本発明の各実施形態の説明に当たって、周知技術の説明を割愛している。例えば普通一般に積層体1a、1b、1bを、加熱プレスを用いて一体的に積層する場合には、合成樹脂シート1b、1bの各表面に上下一組の剥離フィルムと変形防止用の金属板を配設した状態で、前記積層体1a、1b、1bを上下の熱板を加圧・加熱する。加圧・加熱後には、前記上下一組の剥離フィルムを剥離する。また、積層時に生じた材料端部の不要に部分をカットする。
本発明は、アルミニウム、ガラス、セラミックス等からなるディスク状被研磨物を保持することができる研磨用キャリア及びこの研磨用キャリアの製造方法の技術分野で利用することができる。
X…キャリア素板、
X1…積層体仮キャリア(中間品)、
X2、X2A…キャリア(最終商品)、
Y1…キャリアX2の製造方法、
Y2…キャリアX2Aの製造方法、
W…被研磨物、
A…シート重合工程、
B…緩衝材充填工程、
B1…緩衝材注入工程、
C、C1…樹脂製緩衝実体部生成工程(積層工程)、
D…被研磨物用環状緩衝保持部形成工程、
P1、P2、P3、…Pn…基準印、
1a…シート状基材、
1b…プリプレグ、
2…中心孔、
3…被研磨物用収納透孔、
4…研磨剤通過用貫通孔、
6、6A…環状緩衝保持部、
7、7A…樹脂製緩衝実体部、
8…被研磨物用の保持穴、
9…係合歯、
10…位置検出手段、
11…加工手段、
15…液状化手段、
16…上下一組の加熱体、
20…切抜き制御部、
21…記憶部、
22…被研磨物に関する情報、
23…出力部、
24…表示部、
30…切抜き加工機。

Claims (7)

  1. 被研磨物用収納透孔を有するシート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアであって、
    前記被研磨物用収納透孔には、前記シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の前記合成樹脂シートの一部を液状にした後に硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられている、被研磨物保持用キャリア。
  2. 被研磨物用収納透孔を有するシート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアであって、
    前記被研磨物用収納透孔には、前記シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材を注入した後に該液状緩衝材を硬化することによって生じた樹脂製緩衝実体部を加工手段によって開口形成された被研磨物用環状緩衝保持部が一体的に設けられている、被研磨物保持用キャリア。
  3. シート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアの製造方法であって、
    被研磨物用収納透孔を有する前記シート状基材と、このシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔を被覆する被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シートを重ねるシート重合工程と、前記上下に位置する合成樹脂シートの少なくとも前記シート状基材の前記被研磨物用収納透孔に対応する部位を、液状化手段を介して液状化させることにより、該被研磨物用収納透孔に液状化した前記合成樹脂シートの緩衝材を充填する緩衝材充填工程と、前記被研磨物用収納透孔に充填した緩衝材を、冷却又は加熱手段のいずれかを介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部を生成する樹脂製緩衝実体部生成工程と、前記樹脂製緩衝実体部を加工手段によって前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部を開口形成する被研磨物用環状緩衝保持部形成工程とを含む被研磨物保持用キャリアの製造方法。
  4. シート状基材と、このシート状基材の両面に積層状態に一体的に設けられた上下一組の合成樹脂シートから成る被研磨物保持用キャリアの製造方法であって、
    被研磨物用収納透孔を有する前記シート状基材と、このシート状基材の両面に前記被研磨物用収納透孔を被覆する被研磨物用収納透孔を有しない合成樹脂シートを重ねるシート重合工程と、前記シート状基材の前記被研磨物用収納透孔に該シート状基材の材質に比して硬度が低い材質の液状緩衝材を注入する緩衝材注入工程と、
    前記被研磨物用収納透孔に注入した緩衝材を冷却又は加熱手段のいずれかを介して硬化させることにより、前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の樹脂製緩衝実体部を生成する樹脂製緩衝実体部生成工程と、前記樹脂製緩衝実体部を加工手段によって前記被研磨物用収納透孔の内周面と一体の被研磨物用環状緩衝保持部を開口形成する被研磨物用環状緩衝保持部形成工程とを含む被研磨物保持用キャリアの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載のいずれかの被研磨物保持用キャリアの製造方法に於いて、研磨用キャリア素板の実体部分に、該研磨用キャリア素板から係合歯形成前の積層体仮キャリアを切抜く場合の位置特定情報としての基準印が設けられ、この基準印の上方又は下方のいずれかには位置検出手段が配設され、該位置検出手段が検出した前記基準印の位置情報は、切抜き制御部に送信され、該切抜き制御部は、記憶部に記録されている被研磨物に関する情報と前記基準印の位置情報を演算処理して前記積層体仮キャリアを加工機の移動を制御して形成することを特徴とする被研磨物保持用キャリアの製造方法。
  6. 請求項5に記載の被研磨物保持用キャリアの製造方法に於いて、前記基準印は、前記積層体を上下方向に貫通する小孔であることを特徴とする被研磨物保持用キャリアの製造方法。
  7. 請求項5に記載の被研磨物保持用キャリアの製造方法に於いて、前記基準印は複数個であり、これらの基準印は、少なくとも前記位置検出手段の第1停止位置で取得することができる第1の位置情報(P1)と、前記位置検出手段が前記第1の停止位置から空間を移動した後に停止した位置で取得することができる第2位置情報(P2)であることを特徴とする被研磨物保持用キャリアの製造方法。
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