<基本技術>
図10は本開示の半導体デバイス駆動回路が用いられるインバータ装置300の構成を示す説明図である。
同図に示すように、インバータ装置300は駆動回路群500及びインバータ600を主要構成要素として含んでいる。
インバータ600において、P側スイッチングデバイス200a、N側スイッチングデバイス200b、P側還流ダイオード400a、及びN側還流ダイオード400bを含んでいる。図10では、P側スイッチングデバイス200a及びN側スイッチングデバイス200bとしてNチャネルのIGBTを示している。
P側スイッチングデバイス200aはコレクタにインバータ電源電位VPを受け、半導体デバイス駆動回路HVIC0からの出力信号OUTをゲートに受ける。P側スイッチングデバイス200aのエミッタに2次側基準電位VSが付与される。P側還流ダイオード400aはアノードがP側スイッチングデバイス200aのエミッタに接続され、カソードがP側スイッチングデバイス200aのコレクタに接続される。
N側スイッチングデバイス200bはコレクタがP側スイッチングデバイス200aのエミッタに接続され、半導体デバイス駆動回路LVIC0からの出力信号LOUTをゲートに受ける。N側スイッチングデバイス200bのエミッタに1次側基準電位GNDが付与される。N側還流ダイオード400bはアノードがN側スイッチングデバイス200bのエミッタに接続され、カソードがN側スイッチングデバイス200bのコレクタに接続される。
インバータ600において、P側スイッチングデバイス200aのエミッタ、あるいはN側スイッチングデバイス200bのコレクタより得られる信号が、インバータ装置300の出力信号HOUTとなる。
駆動回路群500は半導体デバイス駆動回路HVIC0と半導体デバイス駆動回路LVIC0とを主要構成要素として含み、1次側電源電位VCC及び2次側電源電位VBを受け、1次側基準電位GNDに接続されている。
半導体デバイス駆動回路HVIC0は、外部よりP側スイッチングデバイス200a駆動用の入力信号IN1を受け、入力信号IN1に基づき出力信号OUTをインバータ600に出力する。
半導体デバイス駆動回路LVIC0は、外部よりN側スイッチングデバイス200b駆動用の入力信号LIN1を受け、入力信号LIN1に基づき出力信号LOUTをインバータ600に出力する。
このような構成のインバータ装置300において、図示しない外部の制御装置から入力信号IN1を半導体デバイス駆動回路HVIC0に出力させることにより、半導体デバイス駆動回路HVIC0から、インバータ600内のP側スイッチングデバイス200aのゲートに出力信号OUTを付与することができる。
同様に、外部の制御装置から入力信号LIN1を半導体デバイス駆動回路LVIC0に出力させることにより、半導体デバイス駆動回路LVIC0から、インバータ600内のN側スイッチングデバイス200bのゲートに出力信号LOUTを付与することができる。
図11は図10で示した半導体デバイス駆動回路HVIC0の一般的な内部構成を示すブロック図である。
半導体デバイス駆動回路HVIC0は、1次側回路101a、2次側回路102a及びレベルシフト回路3aを主要構成要素として含んでいる。
第1の回路である1次側回路101aは第1の電位である1次側基準電位GNDを基準として動作する。第2の回路である2次側回路102aは第2の電位である2次側基準電位VSを基準電位として動作する。
第1の回路である1次側回路101aは入力回路1及びパルス発生回路2aを主要構成要素として含んでいる。
第2の回路である2次側回路102aはロジックフィルタ回路4、ラッチ回路5及び出力回路6を主要構成要素として含んでいる。なお、レベルシフト回路3aは1次側回路101a,2次側回路102a間を中継する回路である。
以下、半導体デバイス駆動回路HVIC0が用いる各種信号の活性状態を“H”、非活性状態を“L”として説明する。
なお、1次側回路101a内で発生する信号おける“H”は1次側電源電位VCCを意味し、“L”は1次側基準電位GNDを意味する。さらに、外部から得られる入力信号IN1における“H”は1次側電源電位VCCを意味し、“L”は1次側基準電位GNDを意味する。
2次側回路102aにおける“H”は2次側電源電位VBを意味し、“L”は2次側基準電位VSを意味する。さらに、外部に出力される出力信号OUTにおける“H”は2次側電源電位VBを意味し、“L”は2次側基準電位VSを意味する。また、レベルシフト回路3aが出力するパルス信号ONHV1及びOFFHV1における“H”は2次側電源電位VBを意味し、“L”は2次側基準電位VSを意味する。
このような構成において、入力回路1は図示しない外部の制御装置から入力信号IN1を受け、入力信号IN1に同期した入力信号IN2を出力する。
パルス発生回路2aは入力信号IN2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオン用パルスとなる。
パルス発生回路2aは入力信号IN2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオフ用パルスとなる。
このように、パルス発生回路2aは、パルス信号ONLV及びパルス信号OFFLVを含む信号を第1のパルス信号として出力する。
レベルシフト回路3aは、基準電位が1次側基準電位GNDであるパルス信号ONLV及びOFFLVを、基準電位が2次側基準電位VSであるパルス信号ONHV1及びOFFHV1に変換する。パルス信号ONHV1及びOFFHV1が第2のパルス信号となる。
したがって、レベルシフト回路3aは、第1のパルス信号を、1次側基準電位GNDと異なる2次側基準電位VSを基準とした第2のパルス信号に変換する回路となる。レベルシフト回路3aは、通常時に2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDより高くなるように動作する。
2次側回路102aにおいて、パルス信号ONHV1及びパルス信号OFFHV1がラッチ回路5に直接、付与される構成では、信号ONHV1と信号OFFHV1が同時刻に“H”となる同相信号状態時に、ラッチ回路5は誤った内容で信号LATを出力するという誤動作の恐れがある。
このため、同相信号状態の除去を目的にレベルシフト回路3aとラッチ回路5との間にロジックフィルタ回路4を挿入している。ロジックフィルタ回路4は信号ONHV1と信号OFFHV1とが同相信号状態となっている場合、強制的に共に“L”となるパルス信号ONHV2及びパルス信号OFFHV2を出力する。
ロジックフィルタ回路4は、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が同送信号状態で無い場合、パルス信号ONHV1及びOFFHV1をそのままパルス信号ONHV2及びOFFHV2として出力する。
ラッチ回路5は、パルス信号ONHV2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、“H”となる信号LATを出力する。
ラッチ回路5は、パルス信号OFFHV2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、“L”となる信号LATを出力する。
出力回路6は信号LATに同期した出力信号OUTを出力する。すなわち、出力回路6は信号LATと同じ信号値の出力信号OUTを出力する。この出力信号OUTによって半導体デバイスであるP側スイッチングデバイス200aが駆動される。
図12は図11で示したレベルシフト回路3aの一般的な構成例を示す回路図である。レベルシフト回路3aは、NMOSトランジスタ105a及び105b、抵抗106a及び106b、並びにインバータ107a及び107bを主要構成要素として有する。なお、NMOSトランジスタ105a及び105bとして、30V程度以上の電圧に耐えうる高耐圧素子が用いられる。
NMOSトランジスタ105aのドレインは抵抗106aを介して2次側電源電位VBを受け、NMOSトランジスタ105bのドレインは抵抗106bを介して2次側電源電位VBを受ける。
NMOSトランジスタ105aのゲートにはパルス信号ONLVが付与され、NMOSトランジスタ105bのゲートにはパルス信号OFFLVが付与される。NMOSトランジスタ105a及び105bのソースは1次側基準電位GNDが付与される。
インバータ107a及び107bは共に2次側電源電位VB及び2次側基準電位VSを動作電源としている。インバータ107aの入力がNMOSトランジスタ105aのドレインに接続され、インバータ107bの入力がNMOSトランジスタ105bのドレインに接続される。
そして、インバータ107aの出力信号がパルス信号ONHV1となり、インバータ107bの出力信号がパルス信号OFFHV1となる。
このような構成において、レベルシフト回路3aは、パルス信号ONLVをNMOSトランジスタ105aのゲートに印加し、パルス信号OFFLVをNMOSトランジスタ105bのゲートに印加して、NMOSトランジスタ105a及び105bのオン/オフ動作を駆動している。
その結果、レベルシフト回路3aは、パルス信号ONLV及びOFFLVに同期して“H”/“L”となるパルス信号ONHV1及びOFFHV1を出力することができる。
このように、レベルシフト回路3aは、基準電位が1次側基準電位GNDであるパルス信号ONLV及びOFFLVを、基準電位が2次側基準電位VSであるパルス信号ONHV1及びOFFHV1にレベルシフトしている。
スイッチングデバイス200a及び200bを駆動する際、2次側基準電位VSの変動によって、レベルシフト回路3a内の高耐圧素子であるNMOSトランジスタ105a及び105bに変位電流が生じ、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が共に“H”となる同相信号状態が発生することがある。
パルス信号ONHV1及びOFFHV1に同相信号状態が発生しても、ロジックフィルタ回路4において同相信号状態が適切に除去される場合、後段のラッチ回路5及び出力回路6が誤動作することはない。
一方、半導体デバイス駆動回路HVIC0の動作時に、2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDよりも低くなる負電位状態が発生することがある。ここで、負電位状態の発生期間を「VS負電位期間」と呼ぶ。
VS負電位期間とレベルシフト回路3aが駆動する期間とが重なると、パルス信号ONHV1及びOFFHV1に生じる変位電流由来の信号の幅に差が生じ、ロジックフィルタ回路4において同相信号状態を完全に除去できず、ラッチ回路5から出力される信号LATが誤信号となる場合がある。
図13及び図14はそれぞれ、半導体デバイス駆動回路HVIC0によるパルス信号ONHV1及びOFFHV1の同相信号状態時の動作を示すタイミング図である。図13は同相信号状態が完全除去できた場合、図14は同相信号状態が一部除去できなかった場合を示している。
図13では時刻t41に入力信号IN1が“H”から“L”に立ち下がり、時刻t42〜時刻t43にかけて同相信号状態が発生した場合を示している。
図13の斜線ハッチング領域に示すように、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が共に“H”となっている期間が時刻t42〜t43の期間で完全一致しているため、ロジックフィルタ回路4は、時刻t42〜t43の期間においてパルス信号ONHV2及びOFFHV2を強制的に“L”にすることができる。
したがって、ラッチ回路5は、パルス信号ONHV1及びOFFHV1に同相信号状態が発生しても、支障なく正常な信号LATを出力することができる。その結果、出力回路6の出力信号OUTは正常な信号値となる。
図14では時刻t41に入力信号IN1が“H”から“L”に立ち下がり、時刻t42〜時刻t43にかけて同相信号状態が発生した場合を示している。
ただし、時刻t42以降もパルス信号OFFLVが“H”の活性状態となっている。このように、VS負電位期間とパルス信号OFFLVの活性状態期間とが重複した場合、レベルシフト回路3aはパルス信号ONHV1及びOFFHV1のうち一方の“H”期間が他方より長くなる非同相出力状態になる可能性がある。
図14の斜線ハッチング領域に示すように、時刻t42〜時刻t43間、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が共に“H”となっている。しかし、時刻t43以降において、パルス信号ONHV1及びOFFHV1の一方のパルス信号ONHV1のみが“H”となる残存“H”期間が存在する。
このように、レベルシフト回路3aは非同相出力状態となると、パルス信号OFFHV1が時刻t43で“L”に信号遷移し、パルス信号ONHV1は時刻t43を経過しても“H”を維持し、時刻t44まで“H”を出力する残存“H”期間が存在する。
パルス信号OFFHV1に残存“H”期間が存在するため、ロジックフィルタ回路4は、パルス信号ONHV1の残存“H”期間を反映し、時刻t43〜時刻t44の期間、パルス信号ONHV2に“H”パルスを誤って発生させてしまう。
したがって、ラッチ回路5は、同相信号状態が終了した時刻t43以降、パルス信号ONHV2の“L”から“H”への第1の信号遷移をトリガとして、“H”の信号LATを誤って出力してしまう。
このように、ラッチ回路5は本来“L”となるべき時刻t43以降に、誤信号である“H”の信号LATを出力してしまう。その結果、出力回路6は時刻t44に信号LATに連動して、誤って“H”の出力信号OUTを出力する誤動作が発生してしまう。
そこで、特許文献1で述べた従来のデバイス駆動回路の負電位検出技術を、半導体デバイス駆動回路HVIC0に適用することが考えられる。以下、上記負電位検出技術を採用した半導体デバイス駆動回路HVIC0を「改良デバイス駆動回路」と称する。
すなわち、改良デバイス駆動回路内において、負電位検出技術によってVS負電位期間を検出し、負電位状態を指示する負電位検出信号を得る。
そして、改良デバイス駆動回路内において、負電位検出信号に基づきパルス発生回路2aからレベルシフト回路3aへのパルス信号ONLV及びOFFLVの出力を強制的に無効化する。
このように、VS負電位期間にパルス発生回路2aのパルス信号ONLV及びOFFLVを無効化することにより、改良デバイス駆動回路は、VS負電位期間とパルス信号ONLV及びOFFLVのうち少なくとも一方の活性状態期間とが重複する現象を確実に回避することができる。
その結果、改良デバイス駆動回路は、レベルシフト回路3aが非同相出力状態になることを確実に防止することができるため、2次側回路102aが誤って出力信号OUTを出力する誤動作を確実に回避することができる。
さらに、改良デバイス駆動回路は、負電位検出信号に基づき入力信号IN1を出力する外部の制御装置を停止させている。
しかしながら、外部の制御装置を停止状態にした場合、改良デバイス駆動回路は、VS負電位期間の終了後に、制御装置から再度、入力信号IN1を出力させる必要が生じる。
このため、VS負電位期間の終了後、入力信号IN1の再入力から、パルス発生回路2aから正常なパルス信号ONLV及びOFFLVを発生させるまでの復旧動作に時間的ロスが発生してしまう。
また、VS負電位期間は、P側スイッチングデバイス200aがオン状態からオフ状態に切り替わる度、すなわち、出力信号OUTが“L”の期間に発生する。
このため、改良デバイス駆動回路は、VS負電位発生毎に、VS負電位期間中は外部の制御装置による入力信号IN1の出力を停止させ、VS負電位期間の経過後に制御装置による入力信号IN1の出力を再開させる必要があり、制御装置の動作制御が複雑になる問題点があった。
このように、半導体デバイス駆動回路HVIC0に負電位検出技術を採用しても残存する上述した問題点の解決を図ったのが以下で述べる実施の形態である。
<実施の形態1>
図1は本開示の実施の形態1である半導体デバイス駆動回路HVIC1の構成を示すブロック図である。本開示のデバイス駆動回路である半導体デバイス駆動回路HVIC1は図10で示したインバータ装置300の駆動回路群500内に設けられる半導体デバイス駆動回路HVIC0に相当する。半導体デバイス駆動回路HVIC1において、半導体デバイス駆動回路HVIC0と同様な構成部分は同一符号を付して内容を適宜省略する。
半導体デバイス駆動回路HVIC1は、1次側回路101b、2次側回路102b、レベルシフト回路3a及び負電位検出回路3bを主要構成要素として含んでいる。
第1の回路である1次側回路101bは第1の電位である1次側基準電位GNDを基準として動作する。第2の回路である2次側回路102bは第2の電位である2次側基準電位VSを基準として動作する。
第1の回路である1次側回路101bは入力回路1及びパルス発生回路2bを主要構成要素として含んでいる。
第2の回路である2次側回路102bはロジックフィルタ回路4、ラッチ回路5及び出力回路6を主要構成要素として含んでいる。なお、レベルシフト回路3aは1次側回路101b,2次側回路102b間を中継する回路であり、負電位検出回路3bは2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDよりも低下したことを検出する回路である。
以下、半導体デバイス駆動回路HVIC1が用いる各種信号の活性状態を“H”、非活性状態を“L”として説明する。“H”及び“L”の意味内容が主として1次側回路101bと2次側回路102b間で異なることは、図11で示した基本技術の半導体デバイス駆動回路HVIC0と同様である。
このような構成において、入力回路1は図示しない外部の制御装置から、半導体デバイス駆動用の入力信号IN1を受け、入力信号IN1に同期した入力信号IN2を出力する。入力信号IN1は活性状態の“H”あるいは非活性状態の“L”を指示している。
図2は図1で示したパルス発生回路2bの内部構成を示す説明図である。同図に示すように、パルス発生回路2bは内部にON側パルス発生回路7、OFF側パルス発生回路8、インバータ107d及び107e並びにANDゲート108a及び108bを主要構成要素として含んでいる。
インバータ107dは入力に入力信号IN2を受け、インバータ107eは後述する負電位検出信号mVSを入力信号としている。
ANDゲート108aは一方入力に入力信号IN1を受け、他方入力にインバータ107eの出力信号を受け、AND信号IN20を出力する。
ANDゲート108bは一方入力にインバータ107dの出力信号である信号IN21を受け、他方入力にインバータ107eの出力信号を受け、AND信号IN22を出力する。
ON側パルス発生回路7はAND信号IN20を受け、AND信号IN20が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。なお、パルス信号ONLVは“H”パルス発生期間を除き、“L”に設定されている。
OFF側パルス発生回路8はAND信号IN22を受け、AND信号IN22が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。なお、パルス信号OFFLVは“H”パルス発生期間を除き、“L”に設定されている。
このような構成のパルス発生回路2bは、負電位検出回路3bより負電位検出信号mVSを受け、負電位検出信号mVSが“L”の時に通常状態となり、負電位検出信号mVSが“H”の時に信号無効化状態になる。
パルス発生回路2b内において、通常状態時に入力信号IN2がそのままAND信号IN20となり、入力信号IN2の反転信号がそのままAND信号IN22となる。
したがって、パルス発生回路2bは通常状態時に入力信号IN2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオン用パルスとなる。
同様に、パルス発生回路2bは通常状態時に入力信号IN2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオフ用パルスとなる。
パルス発生回路2bは、信号無効化状態時にAND信号IN20及びAND信号IN22を強制的に“L”に固定することにより、入力信号IN2を実質的に遮断することができる。
したがって、パルス発生回路2bは信号無効化状態時には入力信号IN2の信号値に関係なく、パルス信号ONLV及びOFFLVを共に“L”に固定して無効化する。
このように、パルス発生回路2bは、パルス信号ONLV及びパルス信号OFFLVを含む信号を第1のパルス信号として出力している。
以上、1次側回路101bは上述した入力回路1及びパルス発生回路2bを主要構成要素として含んでいる。
したがって、第1の回路である1次側回路101bは、半導体デバイス駆動用の入力信号IN1を受け、入力信号IN1に基づき、第1の電位である1次側基準電位GNDを基準として第1のパルス信号であるパルス信号ONLV及びOFFLVを出力する。
レベルシフト回路3aは、基準電位が1次側基準電位GNDであるパルス信号ONLV及びOFFLVを、基準電位が2次側基準電位VSであるパルス信号ONHV1及びOFFHV1に変換する。
パルス信号ONHV1及びOFFHV1を含む信号が第2のパルス信号となる。なお、レベルシフト回路3aの内部構成は図12で示した通りである。
図3は図1で示した負電位検出回路3bの内部構成を示す回路図である。負電位検出回路3bは、インバータ107c、高耐圧用の抵抗110a、中耐圧用の抵抗111a、及びクランプダイオード115を主要構成要素として含んでいる。
2次側電源電位VBと1次側基準電位GNDとの間に抵抗110a及び抵抗111aが直列に接続される。すなわち、抵抗110aの一端に2次側電源電位VBを受け、抵抗110aの他端と抵抗111aの一端とがノードN1で接続され、抵抗111aの他端に1次側基準電位GNDが付与される。抵抗110aは30V程度以上の電圧に耐えうる高耐圧素子であり、抵抗111aは抵抗110aに比べ耐圧が低い中耐圧素子である。
したがって、2次側電源電位VBが抵抗110a及び抵抗111aで分圧された分圧電位DVBがノードN1より得られる電位となる。
クランプダイオード115はアノードがノードN1に接続され、カソードに1次側電源電位VCCを受ける。
インバータ107cは1次側電源電位VCC及び1次側基準電位GNDを動作電源として動作し、ノードN1に得られる分圧電位DVBを反転して負電位検出信号mVSを出力する。したがって、負電位検出信号mVSにおいて“H”は1次側電源電位VCCを意味し、“L”は1次側基準電位GNDを意味する。
なお、2次側電源電位VBは2次側基準電位VSから一定の値(例えば|ΔV|)だけ高い電位であるため、負電位検出回路3bでは2次側電源電位VBが1次側基準電位GNDより上述した一定の値だけ高い電位を下回ること、つまりVB<|ΔV|となることを検出することで、2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDより下回る負電位状態を検出している。なお、上述した「一定の値」は、使用する半導体デバイス駆動回路HVIC1毎に事前に設定可能な固定値を意味する。
このような構成の負電位検出回路3bは、2次側基準電位VSが通常の設定電位の場合、分圧電位DVBがインバータ107cの閾値電位を上回るため、負電位検出信号mVSは“L”となる。
一方、2次側基準電位VSが通常の設定電位から低下し、分圧電位DVBがインバータ107cの閾値電位を下回ると、負電位検出信号mVSが“H”となる。
したがって、インバータ107cの閾値電位を調整したり、抵抗110a及び111aの抵抗値を調整したりすることにより、第2の電位である2次側基準電位VSが第1の電位である1次側基準電位GNDを下回る負電位状態時に、“H”の負電位検出信号mVSを正確に出力させることができる。
ダイオード115はインバータ107cの入力電位となる分圧電位DVBが、1次側電源電位VCC以上となることを防止する目的で設けられる。
このように、負電位検出回路3bは、2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDより低下する負電位状態を検出し、負電位状態の有/無を“H”/“L”で指示する負電位検出信号mVSを出力している。
2次側回路102b内のロジックフィルタ回路4はパルス信号ONHV1及びOFFHV1に基づき、以下のようにパルス信号ONHV2及びOFFHV2を出力する。
ロジックフィルタ回路4は信号ONHV1と信号OFFHV1とが共に“H”となる同相信号状態である場合、強制的に共に“L”となるパルス信号ONHV2及びOFFHV2を出力する。
ロジックフィルタ回路4は、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が同送信号状態で無い場合、パルス信号ONHV1及びOFFHV1をそのままパルス信号ONHV2及びOFFHV2として出力する。
ラッチ回路5は、パルス信号ONHV2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、“H”となる信号LATを出力する。
ラッチ回路5は、パルス信号OFFHV2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、“L”となる信号LATを出力する。
出力回路6は信号LATに同期して、信号LATと同じ信号値の出力信号OUTを出力する。
第2の回路である2次側回路102bは、上述したロジックフィルタ回路4、ラッチ回路5及び出力回路6を主要構成要素として含んでいる。
したがって、2次側回路102bは、第2のパルス信号であるパルス信号ONHV1及びOFFHV1に基づき、第2の電位である2次側基準電位VSを基準として、出力信号OUTを出力している。
図4は実施の形態1である半導体デバイス駆動回路HVIC1による動作を示すタイミング図である。図5はパルス発生回路2bの動作を示すタイミング図である。
図4では時刻t11に入力信号IN1が“H”から“L”に立ち下がり、時刻t12〜時刻t15間の負電位発生期間TMに、2次側基準電位VSが1次側基準電位GND(=0V)を下回った場合を示している。
そして、時刻t13〜時刻t15間の同相信号期間TSに、パルス信号ONHV1及びOFFHV1間で同相信号状態が発生した場合を示している。
図5に示すように、時刻t12までは、負電位検出信号mVSが“L”のため、パルス発生回路2bは通常状態となり、入力信号IN2がAND信号IN20として出力され、入力信号IN2の反転信号がAND信号IN22として出力される。
したがって、パルス発生回路2bは、時刻t11における入力信号IN2の“H”から“L”への立ち下がりである第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。
図4に示すように、時刻t11におけるパルス信号OFFLVの“H”パルスに連動して、レベルシフト回路3aはパルス信号OFFHV1に“H”パルスを発生させ、ロジックフィルタ回路4はパルス信号OFFHV2に“H”パルスを発生させる。その結果、時刻t11に信号LATが“L”に立ち下がるため、出力回路6は出力信号OUTを“H”から“L”に変化させる。
その後、上述したように、時刻t12〜時刻t15の期間が負電位発生期間TMとなっている。
図4の斜線ハッチング領域に示すように、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が同時に“H”となっている同相信号期間TSは完全一致しているため、ロジックフィルタ回路4は同相信号期間TSにおけるパルス信号ONHV2及びOFFHV2を強制的に“L”にすることができる。
したがって、ラッチ回路5は、負電位発生期間TM内に同相信号状態が発生しても、支障なく正常な信号LATを出力することができる。
加えて、負電位発生期間TMに一致する負電位状態指示期間TCは負電位検出信号mVSが“H”のため、パルス発生回路2bは信号無効化状態となり、図5に示すように。AND信号IN20及びAND信号IN22が“L”固定される。
実施の形態1において、負電位検出信号mVSがパルス発生回路2bの動作を制御するパルス制御信号となる。そして、負電位検出信号mVSが負電位状態を指示する“H”の期間が負電位状態指示期間TCとなる。実施の形態1では、負電位状態指示期間TCは負電位発生期間TMに一致している。
このように、信号無効化状態の負電位検出回路3bは、入力信号IN2の信号値に関係無くパルス信号ONLV及びOFFLVを共に“L”に固定する。
図4及び図5に示すように、負電位状態指示期間TC内の時刻t14に入力信号IN1及びIN2は“L”から“H”に立ち上っている。しかし、負電位検出回路3bは信号無効化状態であるため、パルス信号ONLVに“H”パルスを発生せることはなく、“L”で固定される。
時刻t15で負電位状態指示期間TCが終了すると、パルス発生回路2bは、通常状態に戻るため、図5に示すように、AND信号IN20に入力信号IN2の“H”が反映される。
その結果、負電位検出回路3bは、時刻t15直後の時刻t16に、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。なお、説明の都合上、時刻t15と時刻t16との間に微小な時間差を持たせたが、時刻t15及び時刻t16が同時刻であってもよい。
図4に示すように、時刻t16におけるパルス信号ONLVの“H”パルスに連動して、レベルシフト回路3aはパルス信号ONHV1に“H”パルスを発生させ、ロジックフィルタ回路4はパルス信号ONHV2に“H”パルスを発生させる。
その結果、時刻t16に信号LATが“H”に立ち上がるため、出力回路6は出力信号OUTを“L”から“H”に変化させる。
このように、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1は、負電位発生期間TMに一致する負電位状態指示期間TCの終了後、外部からの入力信号IN1に速やかに応答して、正常動作に復帰することができる。
また、負電位状態指示期間TC中は入力信号IN1の信号値は無視されるため、外部の制御装置は負電位状態指示期間TCにおいても入力信号IN1を引き続き出力することができる。したがって、半導体デバイス駆動回路HVIC1は、負電位状態指示期間TC中に外部装置を制御して入力信号IN1の出力を停止させる制御処理を実行する必要はない。
実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1において、パルス発生回路2bは、第1の回路である1次側回路101b内に設けられる。上述したパルス発生回路2bの特徴を以下にまとめる。
パルス発生回路2bは、入力信号IN2に加え、パルス制御信号である負電位検出信号mVSを受ける。負電位検出信号mVSは、負電位発生期間TMに一致する負電位状態指示期間TCにおいて“H”の負電位状態を指示し、負電位状態指示期間TC以外の時間帯は“L”の通常状態を指示する。
パルス発生回路2bは、負電位検出信号mVSが“H”で負電位状態を指示する時、信号無効化状態となり、負電位検出信号mVSが“L”で通常状態を指示する時、通常状態となる。
パルス発生回路2bは、通常状態時に入力信号IN1における“L”から“H”への第1の信号遷移時を起点としてパルス信号ONLVに“H”のオン用パルスを発生させ、入力信号IN1における“H”から“L”への第2の信号遷移時を起点としてパルス信号OFFLVに“H”のオフ用パルスを発生させる。
パルス発生回路2bは、信号無効化状態時に、パルス信号ONLV及びOFFLVを含む第1のパルス信号の出力を“L”に固定して無効化する第1の負電位制御動作を実行している。
さらに、パルス発生回路2bは、第1の負電位制御動作の実行後に入力信号IN1が“H”の活性状態の時、第1の負電位制御動作の終了時を起点として第1のパルス信号に含まれるパルス信号ONLVに“H”のオン用パルスを発生させる第2の負電位制御動作を実行している。
このように、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1におけるパルス発生回路2bは、信号無効化状態時に上述した第1の負電位制御動作を実行している。したがって、負電位発生期間TMに一致する負電位状態指示期間TCにパルス信号ONLV及びOFFLVが“H”の活性状態になることはない。
このため、半導体デバイス駆動回路HVIC1は、パルス制御信号である負電位検出信号mVSが“H”で負電位状態を指示する負電位状態指示期間TCにおいて、第2の回路である2次側回路102bが誤った内容で出力信号OUTを出力してしまう誤動作を確実に回避することができる。
パルス発生回路2bは、さらに、第1の負電位制御動作の終了後に上述した第2の負電位制御動作を実行している。このため、パルス発生回路2bは、負電位状態指示期間TC中に入力信号IN1に“L”から“H”への第1の信号遷移が生じた場合、負電位状態指示期間TCの経過後、速やかに、入力信号IN1及びIN2の上記第1の信号遷移を反映して第1のパルス信号に含まれるパルス信号ONLVにオン用パルスを発生させることができる。
その結果、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1は、負電位状態指示期間TCの経過後に速やかに正常状態に復帰することができる効果を奏する。
さらに、負電位状態指示期間TCに、入力信号IN1を出力する外部の制御装置を停止させる必要はないため、半導体デバイス駆動回路HVIC1は、制御装置の制御を行う必要がない。加えて、外部の制御装置は負電位状態指示期間TCにおいても通常通り、入力信号IN1の出力を継続することができる。
その結果、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1は、入力信号IN1を出力する外部の制御装置に対する制御の簡略化を図り、かつ、外部の制御装置の負担の軽減化を図ることができる。
<実施の形態2>
図6は本開示の実施の形態2である半導体デバイス駆動回路HVIC2の構成を示すブロック図である。本開示のデバイス駆動回路である半導体デバイス駆動回路HVIC2は図10で示したインバータ装置300の駆動回路群500内に設けられる半導体デバイス駆動回路HVIC0に相当する。半導体デバイス駆動回路HVIC2において、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1と同様な構成部分は同一符号を付して内容を適宜省略する。
半導体デバイス駆動回路HVIC2は、1次側回路101c及び2次側回路102cを主要構成要素として含んでいる。
第1の回路である1次側回路101cは第1の電位である1次側基準電位GNDを基準電位として動作する。第2の回路である2次側回路102cは第2の電位である2次側基準電位VSを基準電位として動作する。
第1の回路である1次側回路101cは入力回路1、パルス発生回路2c及びタイマー回路15aを主要構成要素として含んでいる。
第2の回路である2次側回路102cはロジックフィルタ回路4、ラッチ回路5及び出力回路6を主要構成要素として含んでいる。レベルシフト回路3aは1次側回路101c,2次側回路102c間を中継する回路であり、負電位検出回路3bは2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDよりも低下したことを検出する回路である。
以下、半導体デバイス駆動回路HVIC2が用いる各種信号の活性状態を“H”、非活性状態を“L”として説明する。“H”及び“L”の意味内容が主として1次側回路101cと2次側回路102c間で異なることは、図11で示した基本技術の半導体デバイス駆動回路HVIC0と同様である。
パルス発生回路2cはパルス発生回路2bと異なり、負電位検出信号mVSではなく、後述するタイマー制御信号tVSをパルス制御信号として受けている。
パルス発生回路2cの内部構成は、負電位検出信号mVSがタイマー制御信号tVSに置き換わる点を除き、図2で示したパルス発生回路2bと同一の構成を呈している。すなわち、図2において、インバータ107eが負電位検出信号mVSに代えてタイマー制御信号tVSを入力に受ける点が異なる。
パルス発生回路2cは後述するタイマー回路15aよりタイマー制御信号tVSを受け、タイマー制御信号tVSが“L”の時に通常状態となり、タイマー制御信号tVSが“H”の時に信号無効化状態になる。
したがって、パルス発生回路2cは通常状態時に入力信号IN2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオン用パルスとなる。
同様に、パルス発生回路2cは通常状態時に入力信号IN2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオフ用パルスとなる。
パルス発生回路2cは信号無効化状態時には入力信号IN2の信号値に関係なく、パルス信号ONLV及びOFFLVを共に“L”に固定する第1の負電位制御動作を実行する。
このように、パルス発生回路2cは、パルス発生回路2bと同様に、パルス信号ONLV及びパルス信号OFFLVを含む信号を第1のパルス信号として出力している。
以上、1次側回路101cは上述した入力回路1及びパルス発生回路2cを主要構成要素として含んでいる。
したがって、第1の回路である1次側回路101cは、半導体デバイス駆動用の入力信号IN1を受け、入力信号IN1に基づき、第1の電位である1次側基準電位GNDを基準として第1のパルス信号であるパルス信号ONLV及びOFFLVを出力する。
レベルシフト回路3aは、パルス信号ONLV及びOFFLVをパルス信号ONHV1及びOFFHV1にレベルシフトする。パルス信号ONHV1及びOFFHV1を含む信号が第2のパルス信号となる。
負電位検出回路3bは、2次側基準電位VSが1次側基準電位GNDより低下する負電位状態を検出し、負電位状態の有/無を“H”/“L”で指示する負電位検出信号mVSを出力している。
1次側回路101c内のタイマー回路15aは、負電位検出回路3bから出力される負電位検出信号mVSを受ける。
タイマー回路15aは、負電位検出信号mVSに同期して負電位状態の指示を開始し、開始時点からタイマー設定時間TRの経過後に負電位状態の指示を終了する。すなわち、タイマー回路15aは、負電位検出信号mVSの“H”立上りに同期して“H”となり、その後、タイマー設定時間TRが経過するまで“H”を継続するタイマー制御信号tVSを出力する。
したがって、タイマー制御信号tVSは、パルス発生回路2cの動作を制御するためのパルス制御信号として機能する。
すなわち、実施の形態2では、負電位状態指示期間TCは、タイマー制御信号tVSが“H”の負電位状態を指示する期間となる。タイマー制御信号tVSが“H”を継続する時間はタイマー設定時間TRによって規定される。
図7は実施の形態2である半導体デバイス駆動回路HVIC2の動作を示すタイミング図である。図8はパルス発生回路2cの動作を示すタイミングである。
図7では時刻t21に入力信号IN1が“H”から“L”に立ち下がり、時刻t22〜時刻t25間の負電位発生期間TMに、2次側基準電位VSが1次側基準電位GND(=0V)を下回る場合を示している。そして、時刻t23〜時刻t24間の同相信号期間TSに、パルス信号ONHV1及びOFFHV1間で同相信号状態が発生した場合を示している。
図8に示すように、時刻t22までは、タイマー制御信号tVSが“L”のため、パルス発生回路2cは通常状態となり、入力信号IN2がAND信号IN20として出力され、入力信号IN2の反転信号がAND信号IN22として出力される。
したがって、パルス発生回路2bは、時刻t21における入力信号IN2の“H”から“L”への立ち下がりである第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。
図7に示すように、時刻t21におけるパルス信号OFFLVの“H”パルスに連動して、レベルシフト回路3aはパルス信号OFFHV1に“H”パルスを発生させ、ロジックフィルタ回路4はパルス信号OFFHV2に“H”パルスを発生させる。その結果、時刻t21に信号LATが“L”に立ち下がるため、出力回路6は出力信号OUTを“H”から“L”に変化させる。
その後、前述したように、時刻t22〜時刻t24の期間が負電位発生期間TMとなっている。
図7の斜線ハッチング領域に示すように、パルス信号ONHV1及びOFFHV1が“H”となっている同相信号期間TSは完全一致しているため、ロジックフィルタ回路4はパルス信号ONHV2及びOFFHV2を強制的に“L”にすることができる。
したがって、ラッチ回路5は、負電位発生期間TMに同相信号状態が発生しても、支障なく正常な信号LATを出力することができる。
加えて、負電位状態指示期間TC中はタイマー制御信号tVSが“H”のため、パルス発生回路2cは信号無効化状態となり、図8に示すように。AND信号IN20及びAND信号IN22が“L”固定される。
その結果、信号無効化状態のパルス発生回路2cは、入力信号IN2の信号値に関係無くパルス信号ONLV及びOFFLVを共に“L”に固定する。
図7及び図8に示すように。負電位発生期間TMの経過後、負電位状態指示期間TC内の時刻t25に入力信号IN1及びIN2は“L”から“H”に立ち上がっている。
しかし、負電位状態指示期間TCに含まれる時刻t25では、パルス発生回路2cは依然として信号無効化状態であるため、パルス信号ONLVに“H”パルスが発生することはなく、“L”で固定される。
時刻t26で負電位状態指示期間TCが終了すると、パルス発生回路2cは、通常状態に戻るため、図8に示すように、AND信号IN20に入力信号IN2の“H”が反映される。
その結果、パルス発生回路2cは、時刻t26に、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる第2の負電位制御動作を実行する。
図7に示すように、時刻t26におけるパルス信号ONLVの“H”パルスに連動して、レベルシフト回路3aはパルス信号ONHV1に“H”パルスを発生させ、ロジックフィルタ回路4はパルス信号ONHV2に“H”パルスを発生させる。
その結果、時刻t26に信号LATが“H”に立ち下がるため、出力回路6は出力信号OUTを“L”から“H”に変化させる。
このように、実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2は、負電位状態指示期間TCの終了後、外部からの入力信号IN1に速やかに応答して、正常動作に復帰することができる。
また、負電位状態指示期間TC中は入力信号IN1の信号値は無視されるため、外部の制御装置は負電位状態指示期間TCにおいても入力信号IN1を引き続き出力することができる。したがって、半導体デバイス駆動回路HVIC2は、負電位状態指示期間TC中に外部装置を制御して入力信号IN1の出力を停止させる必要はない。
実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2において、パルス発生回路2cは、第1の回路である1次側回路101c内に設けられる。上述したパルス発生回路2cの特徴を以下にまとめる。
パルス発生回路2cは、入力信号IN2に加え、タイマー制御信号tVSを受ける。タイマー制御信号tVSは負電位検出信号mVSの“H”立ち上がりに同期して負電位状態を指示する“H”となり、タイマー設定時間TRによって規定される負電位状態指示期間TCの経過後に負電位状態の指示を終了して“L”となる。したがって、タイマー回路15aは、負電位状態指示期間TCを除く期間、“L”の通常状態を指示する。
このように、タイマー制御信号tVSは、パルス発生回路2cの動作を制御するためのパルス制御信号として機能する。
パルス発生回路2cは、タイマー制御信号tVSが“H”で負電位状態を指示する時、信号無効化状態となり、タイマー制御信号tVSが“L”で通常状態を指示する時、通常状態となる。
パルス発生回路2cは、通常状態時に入力信号IN1における“L”から“H”への第1の信号遷移時を起点としてパルス信号ONLVに“H”のオン用パルスを発生させ、入力信号IN1における“H”から“L”への第2の信号遷移時を起点としてパルス信号OFFLVに“H”のオフ用パルスを発生させる。
パルス発生回路2cは、信号無効化状態時に、パルス信号ONLV及びOFFLVを含む第1のパルス信号の出力を“L”に固定して無効化する第1の負電位制御動作を実行している。
さらに、パルス発生回路2cは、第1の負電位制御動作の実行後に入力信号IN1が“H”の活性状態の時、第1の負電位制御動作の終了時を起点として第1のパルス信号に含まれるパルス信号ONLVに“H”のオン用パルスを発生させる第2の負電位制御動作を実行している。
このように、実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2におけるパルス発生回路2cは、信号無効化状態時に上述した第1の負電位制御動作を実行している。したがって、タイマー設定時間TRによって規定される負電位状態指示期間TC内にパルス信号ONLV及びOFFLVが“H”の活性状態になることはない。
このため、半導体デバイス駆動回路HVIC2は、パルス制御信号であるタイマー制御信号tVSが“H”で負電位状態を指示する負電位状態指示期間TC内に、第2の回路である2次側回路102cが誤った内容で出力信号OUTを出力してしまう誤動作を確実に回避することができる。
パルス発生回路2cは、さらに、第1の負電位制御動作の終了後に上述した第2の負電位制御動作を実行している。このため、負電位状態指示期間TC中に入力信号IN1に“L”から“H”への第1の信号遷移が生じた際、パルス発生回路2cは、負電位状態指示期間TCの経過後、速やかに、入力信号IN1及びIN2の上記第1の信号遷移を反映して第1のパルス信号に含まれるパルス信号ONLVにオン用パルスを発生させることができる。
その結果、実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2は、負電位状態指示期間TCの経過後に速やかに正常状態に復帰することができる効果を奏する。
半導体デバイス駆動回路HVIC2は、負電位状態指示期間TCに、入力信号IN1を出力する外部の制御装置を停止させる必要なく、制御装置の制御が不要となる。加えて、制御装置は負電位状態指示期間TCにおいても通常通り、入力信号IN1の出力を継続することができる。
その結果、実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2は、入力信号IN1を出力する外部の制御装置に対する制御の簡略化を図り、かつ、制御装置の負担の軽減化を図ることができる。
さらに、半導体デバイス駆動回路HVIC2は、負電位検出信号mVSでなく、タイマー制御信号tVSをパルス発生回路2cに出力している。このため、負電位検出信号mVSが“H”に変化した後、2次側基準電位VSの変動により負電位検出回路3bに変位電流が流れ、負電位検出信号mVSにノイズが入ったとしても、安定して“H”のタイマー制御信号tVSを出力することができる。
このように、半導体デバイス駆動回路HVIC2は、タイマー制御信号tVSをパルス制御信号とすることにより、パルス発生回路2cの信号無効化状態を安定して設定することができる。
また、タイマー設定時間TRを想定される負電位発生期間TMより長く設定することにより、負電位状態指示期間TCの経過後に負電位発生期間TMが存在する場合に、負電位発生期間TM内に、パルス発生回路2cが通常状態に復帰してしまう不具合を確実に回避することができる。
<実施の形態3>
図9は実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3内のパルス発生回路2dの内部構成を示す説明図である。
本開示のデバイス駆動回路である半導体デバイス駆動回路HVIC3は、図6で示す半導体デバイス駆動回路HVIC2において、パルス発生回路2cをパルス発生回路2dに置き換え、負電位検出回路3bから出力される負電位検出信号mVSをタイマー回路15aに加え、パルス発生回路2dにも出力するようにした点が異なる。
図9に示すように、パルス発生回路2dは内部にON側パルス発生回路7、OFF側パルス発生回路8、インバータ107d及び107e、ANDゲート108a及び108b並びにORゲート109aを主要構成要素として含んでいる。
以下、図2で示したパルス発生回路2bと異なる点を中心に説明する。この際、実施の形態1のパルス発生回路2bと同様な構成部分は同一符号を付して内容を適宜省略する。
ORゲート109aは一方入力に負電位検出信号mVSを受け、他方入力にタイマー制御信号tVSを受け、OR信号orVSを出力する。OR信号orVSは、負電位状態を指示する“H”を論理的に正とした、負電位検出信号mVSとタイマー制御信号tVSとの論理和信号となる。
インバータ107eはORゲート109aから出力されるOR信号orVSを入力信号としている。
パルス発生回路2dは負電位検出回路3bより負電位検出信号mVSを受け、タイマー回路15aよりタイマー制御信号tVSを受ける。したがって、実施の形態3では、負電位検出信号mVS及びタイマー制御信号tVSの組合せがパルス制御信号となる。
パルス発生回路2dはOR信号orVSが“L”の時に通常状態となり、OR信号orVSが“H”の時に信号無効化状態になる。すなわち、パルス発生回路2dは、負電位検出信号mVS及びタイマー制御信号tVSが共に“L”時に通常状態となり、負電位検出信号mVS及びタイマー制御信号tVSのうち少なくとも一方が“H”の時に信号無効化状態になる。
したがって、実施の形態3において、負電位状態指示期間TCは、負電位検出信号mVS及びタイマー制御信号tVSのうち少なくとも一方が負電位状態である“H”を指示する期間となる。
パルス発生回路2d内において、通常状態時に入力信号IN2がそのままAND信号IN20となり、入力信号IN2の反転信号がそのままAND信号IN22となる。
したがって、パルス発生回路2dは通常状態時に入力信号IN2が“L”から“H”に遷移する第1の信号遷移時を起点として、パルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオン用パルスとなる。
同様に、パルス発生回路2dは通常状態時に入力信号IN2が“H”から“L”に遷移する第2の信号遷移時を起点として、パルス信号OFFLVに単発の“H”パルスを発生させる。この“H”パルスがオフ用パルスとなる。
パルス発生回路2dは、信号無効化状態時にAND信号IN20及びAND信号IN22を強制的に“L”に固定することにより、入力信号IN2を実質的に遮断することができる。
したがって、パルス発生回路2dは信号無効化状態時には入力信号IN2の信号値に関係なく、パルス信号ONLV及びOFFLVを共に“L”に固定して無効化する。すなわち、パルス発生回路2dは信号無効化状態時に第1の負電位制御動作を実行している。
このように、パルス発生回路2dは、パルス信号ONLV及びパルス信号OFFLVを含む信号を第1のパルス信号として出力している。
上述した実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、負電位検出信号mVSとタイマー制御信号tVSとの組合せをパルス制御信号として入力するパルス発生回路2dを有することを特徴としている。
したがって、タイマー設定時間TRが負電位発生期間TMより長い場合、実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、実施の形態2の半導体デバイス駆動回路HVIC2と同様な内容で第1及び第2の負電位制御動作を実行することができる。
この場合、実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、実施の形態2と同様な効果を奏する。
一方、負電位発生期間TMがタイマー設定時間TRより長い場合、実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、実施の形態1の半導体デバイス駆動回路HVIC1と同様な内容で第1及び第2の負電位制御動作を実行することができる。
この場合、実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、実施の形態1と同様な効果を奏する。
このように、実施の形態3の半導体デバイス駆動回路HVIC3は、負電位状態指示期間TCの最小期間を規定するタイマー設定時間TRを一定の長さに設定することにより、安定して第1の負電位制御動作を実行することができる。
さらに、半導体デバイス駆動回路HVIC3においては、負電位発生期間TMがタイマー設定時間TRより長くなった場合、負電位状態指示期間TCが負電位発生期間TMに一致する。このため、半導体デバイス駆動回路HVIC3は、負電位発生期間TMがタイマー設定時間TRより長くなっても、第1及び第2の負電位制御動作を支障無く実行することができる。
<その他>
上述した実施の形態において、各々が第1の信号遷移時を起点としてパルス信号ONLVに単発の“H”パルスを発生させるパルス発生回路2a〜2dを示した。しかしながら、パルス発生回路2a〜2dは、それぞれ「単発の“H”パルス」に代えて「複数の“H”パルス」を発生するようにしても良い。
なお、本開示は、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。