JP2021165786A - 駆動装置、振れ補正装置及び撮像装置 - Google Patents

駆動装置、振れ補正装置及び撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で高性能、且つ、消費電力の小さい駆動装置を提供する。【解決手段】駆動装置31は、3つの駆動ユニット2と、3つの駆動ユニット2をそれぞれ駆動することで直進移動する3つのベアリング11と、3つのベアリング11と係合し、ベアリング11の移動によって平面内の任意の方向に移動する移動部材1とを備え、前記平面と直交する方向から見た場合に、3つのベアリング11を結ぶ線により形成される三角形の領域内に移動部材1の重心が位置し、且つ、3つの駆動ユニット2はそれぞれが駆動するベアリング11よりも内側に配置された構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、駆動装置、振れ補正装置及び撮像装置に関する。
テーブルを平面内の任意の方向に駆動する駆動装置が知られている。例えば特許文献1には、テーブルを載置する基台においてテーブルの外側の3箇所にモータを固定し、テーブルにおいて各モータの近傍となる3箇所に支軸を立設し、隣接する支軸とモータの回転軸をアームで連結した駆動装置が開示されている。この駆動装置では、回転軸と直交する方向にテーブルを移動させることができるように、アームの一端は支軸に回動自在に連結され、アームの他端は回転軸に固定されている。こうして、3本のアームの回転角度θと回転半径Rとの組み合わせにより、テーブルをXYθ方向に所定量だけ移動させることが可能となっている。
特開平5−269634号公報
上記特許文献1に開示された駆動装置では、各支軸と各モータの回転軸とをアームで連結する構成となっているため、高い精度でテーブルを移動させるためには、3つのモータの回転角度及び角速度を正確に調整する必要がある。そのため、調整が不十分であると、支軸とモータの回転軸との連結部に無理な力が生じることで損傷が生じたり、モータに過大な負荷が掛かって駆動が停止したりするおそれがある。
また、上記特許文献1に開示された駆動装置では、3つのモータのうち2つのモータの駆動を停止させた状態で残り1つのモータを駆動することは、構成上、不可能となっている。つまり、3つのモータの回転角度及び角速度を協調させて駆動条件を調整する必要がある。しかし、このような駆動条件の調整は、部品の当初からの寸法ばらつきや温度による寸法変化、摩耗等による寸法の経年変化等を考慮すると、状況に対応した非常に複雑な調整が必要となるめ、容易ではない。更に、調整ずれによってモータの負荷が増大するおそれがあり、これに対応するためにモータのトルクを大きくした場合には、消費電力が大きくなってしまう。加えて、モータがテーブルの外側に配置されているため、装置全体の小型化が容易ではない。
本発明は、小型で高性能、且つ、消費電力の小さい駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る駆動装置は、3つの駆動部と、前記3つの駆動部をそれぞれ駆動することで直進移動する3つの連結部材と、前記3つの連結部材と係合し、前記3つの連結部材の移動によって平面内の任意の方向に移動する移動部材と、を備え、前記平面と直交する方向から見た場合に、前記3つの連結部材を結ぶ線により形成される三角形の領域内に前記移動部材の重心が位置し、且つ、前記3つの駆動部はそれぞれが駆動する連結部材よりも内側に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、小型で高性能、且つ、消費電力の小さい駆動装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。 図1の撮像装置が備える像振れ補正装置の分解斜視図である。 図2の像振れ補正装置の移動部材をベース板金側から見た斜視図である。 図2の像振れ補正装置を構成する駆動部の斜視図である。 図4の駆動部を構成するスライドユニットの構造を示す図である。 図2の像振れ補正装置において駆動部及び転動板がベース板金に取り付けられた状態を示す正面図である。 図2の像振れ補正装置を構成する駆動ユニットの正面図である。 図7の駆動ユニットでの移動部材の移動態様を説明する模式図である。 図7の駆動ユニットでのベアリングにかかる荷重を説明する図である。 図7の駆動ユニットでのベアリングにかかる荷重の移動部材の回転に伴う変化を説明する図である。 図5のスライドユニットにおけるベアリングと移動部材が当接した状態を説明する図である。 図7の駆動ユニットの電気的構成を示すブロック図である。 図10中の領域[1]〜[12]の駆動力を纏めた図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る駆動装置を、撮像装置の像振れ補正装置に適用した構成について説明する。そのため、最初に、撮像装置の全体的な構成について説明し、その後、駆動装置(像振れ補正装置)の詳細な構成について説明することとする。
<撮像装置の全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。撮像装置は、撮像装置本体(以下「カメラ本体部100」と記す)と交換レンズ50を備える。カメラ本体部100に設けられたマウント部210と交換レンズ50に設けられたマウント部51によって、交換レンズ50はカメラ本体部100に対して着脱可能となっている。交換レンズ50がカメラ本体部100に装着されると、カメラ本体部100の接点部220と交換レンズ50の接点部52が電気的に接続される。
被写体からの入射光は、交換レンズ50のフォーカスレンズ53を透過し、カメラ本体部100のメインミラー130に入射する。メインミラー130は、メインミラー保持枠131に保持され、回転軸部131aによってミラーアップ位置とミラーダウン位置との間を回動可能に軸支されている。メインミラー130はハーフミラーとなっており、メインミラー130を透過した光束は、サブミラー140により下方へ反射され、焦点検出ユニット150へ導かれる。
サブミラー140は、サブミラー保持枠141に保持されている。サブミラー保持枠141は、ヒンジ軸(不図示)によってメインミラー保持枠131に対して回動可能に軸支されている。焦点検出ユニット150は、フォーカスレンズ53のデフォーカス量を検出し、フォーカスレンズ53が合焦状態となるフォーカスレンズ53の駆動量を算出する。交換レンズ50は、焦点検出ユニット150により算出された駆動量を接点部220,52を介して受信する。交換レンズ50は、受信した駆動量に基づいてモータ(不図示)の駆動を制御し、フォーカスレンズ53を光軸方向に移動させることで焦点調節を行う。
メインミラー130で反射した光束は、光学ファインダ160へ導かれる。光学ファインダ160は、ピント板170、ペンタプリズム180、接眼レンズ190により構成されている。メインミラー130から光学ファインダ160へ導かれた光束は、ピント板170で結像し、被写体の光学像を形成する。使用者は、ペンタプリズム180と接眼レンズ190を介してピント板170上の光学像を観察することができる。
サブミラー140の後方にはシャッタ装置120が配置され、シャッタ装置120の後方には撮像素子ユニット30が配置されている。撮像素子ユニット30は、光学ローパスフィルタ121、撮像素子ホルダ122、撮像素子123、カバー部材124、ゴム部材125を有する。光学ローパスフィルタ121を透過した光束は、撮像素子123へと入射し、撮像素子123の表面(撮像面)で結像し、被写体の光学像を形成する。撮像素子123は、撮像素子ホルダ122に保持されており、結像面に結像した光学像を電気信号に変換する。カバー部材124は、撮像素子123を保護する。ゴム部材125は、光学ローパスフィルタ121を保持し、光学ローパスフィルタ121と撮像素子123の間を密閉する。
撮像素子ユニット30は駆動ユニット(不図示)に保持されており、駆動ユニットはビス(不図示)によってカメラ本体部100を構成する筐体に固定されている。また、カメラ本体部100には、カメラ本体部100の振れを検出する振れ検出センサが設けられている。駆動ユニットと撮像素子ユニット30は像振れ補正装置を構成しており、振れ検出センサにより検出された振れを補正する(例えば、打ち消す)ように駆動ユニットが撮像素子ユニット30を駆動する。カメラ本体部100の背面には、LCD等で構成された表示モニタ260が配置されており、撮影画像やカメラ本体部100の各種設定状態を表示することが可能となっている。
<像振れ補正装置の機械的構成>
図2は、像振れ補正装置の分解斜視図である。前述したように、像振れ補正装置は、駆動ユニットと撮像素子ユニット30により構成される。駆動装置31は、移動部材1、磁気シールドシート9、駆動ユニット2、ベース板金3、転動板5,6及び転動ボール7を有する。
図3は、移動部材1をベース板金3側から見た斜視図である。図2及び図3に示されるように、移動部材1には、厚み方向(光軸方向)に貫通した長穴部1a〜1c、貫通でない丸穴部1d〜1f、突出部1g〜1i、突出部1j〜1mが設けられている。なお、各部の機能(役割)については後述する。
駆動装置31を構成する3つの駆動ユニット2は、駆動ユニット2を保持(固定)する保持部材であるベース板金3に固定された状態で、移動部材1の背面側に配置されている。3つの駆動ユニット2は、ベース板金3に対する固定方向は異なるが、同等の構成を有している。詳細は後述するが、3つの駆動ユニット2のうち所定の駆動ユニット2を駆動することにより、撮像素子ユニット30を光軸Oaと直交する面内の任意の方向に駆動することができる。先ず、駆動ユニット2の構成について説明する。
図4は、駆動ユニット2の概略構成を示す斜視図である。駆動ユニット2は、モータユニット2aとスライドユニット2bから構成されている。なお、モータユニット2aは、モータ22と、モータ22の回転駆動軸に取り付けられたネジ部23を有する。ネジ部23には、具体的には、リードスクリューが用いられている。また、モータユニット2aは、ネジ部23の回転角度を検出するために周方向に多極着磁されたマグネット24と、マグネット24の磁束を検出するホール素子等の磁気感応素子26を有する。更に、モータユニット2aは、モータ22をベース板金3に取り付けるためのモータ板金25と、ネジ部23の先端を軸支する軸受部材27を有する。
図5(a)は、スライドユニット2bの全体図(外観斜視図)である。図5(b)は、スライドユニット2bの分解斜視図である。駆動部を構成する3つの駆動ユニット2は同等の構造を有するため、1つの駆動ユニット2のスライドユニット2bについて説明する。
スライドユニット2bは、スライド部材10、ストッパピン12、螺合部材ホルダ13、ねじりコイルバネ14、バネ部材16、軸部材17,18、板金部材19及び引っ張りコイルバネ20(弾性部材)を備える。また、スライドユニット2bは、螺合部材15(第1の連結部材)及びベアリング11(第2の連結部材)を備える。
スライド部材10は、穴部10a、穴部10b,10c、穴部10d,10e、溝部10g及び突出部10fを有する。螺合部材ホルダ13は、軸部13a,13b、穴部13c及び溝部13dを有する。螺合部材15は、軸部15a、突出片部15b及びネジ部15cを有する。バネ部材16は、4本の突出片部16aを有する。
螺合部材ホルダ13の軸部13bは、ねじりコイルバネ14の内径部に挿通される。螺合部材ホルダ13の軸部13a,13bはそれぞれ、スライド部材10の穴部10d,10eに嵌合する。ねじりコイルバネ14は、螺合部材ホルダ13の穴部10d,10eとスライド部材10の軸部13a、13bの嵌合ガタと、軸部材17とスライド部材10の穴部10b,10cの嵌合ガタとを抑制するように働く。また、ねじりコイルバネ14は、螺合部材15とモータユニット2aのネジ部23のガタを抑制するように働く。これにより、目標位置に対して精度よく移動部材1を移動させることができ、簡単な構造で高い振れ補正性能を得ることが可能になる。
スライド部材10の穴部10b,10cは軸部材17と嵌合し、溝部10gは軸部材18と嵌合する。軸部材17,18それぞれの両端部は、板金部材19に設けられた穴部に圧入されて固定される。ストッパピン12の先端部は、ベアリング11の内径部に嵌合して、スライド部材10の穴部10aに圧入される。これにより、ベアリング11はスライド部材10に固定される。
螺合部材15の軸部15aと突出片部15bはそれぞれ、螺合部材ホルダ13の穴部13cと溝部13dに嵌合する。そして、バネ部材16の4本の突出片部16aのバネ力により、螺合部材ホルダ13と螺合部材15は当接した状態で保持される。引っ張りコイルバネ20の一方の端部20aはスライド部材10の突出部10fに取り付けられ、引っ張りコイルバネ20の他方の端部20bは、光軸方向で対向する移動部材1の突出部1j,1k,1mのいずれかに取り付けられる。引っ張りコイルバネ20のバネ力は移動部材1の移動範囲の全域でモータユニット2aの駆動負荷にはならないため、余分な電力を消費せずにがたつきを取り除くことができる。
軸部材17,18は、モータユニット2aのネジ部23と略平行に配置される。また、螺合部材15のネジ部15cは、モータユニット2aのネジ部23と噛み合っている。この状態でモータ22に通電を行ってモータ22を稼働させると、ネジ部23が回転して、ネジ部23のリードに従ってスライド部材10はネジ部23の軸方向と平行な方向へ直進移動する。つまり、スライド部材10に固定されているベアリング11は、ネジ部23の軸方向と平行な方向に直進移動するよう構成されている。
図2の説明に戻る。駆動部(3つの駆動ユニット2)は、ネジ4によってベース板金3へ固定される。図6は、駆動部及び転動板6がベース板金3に取り付けられた状態を示す正面図(光軸方向において撮像素子ユニット30側から見た図)である。ベース板金3に設けられた穴部3a〜3cに転動板6を嵌合させ、転動板6は更に接着や圧入、溶接等によりベース板金3に固定される。
移動部材1の丸穴部1d〜1fには、転動板5が接着又は圧入等により固定される。引っ張りコイルバネ8の両端部が、移動部材1の突出部1g〜1iとベース板金3の突出部3d〜3fにそれぞれ取り付けられる。このとき、転動ボール7(転動部材)が転動板5,6間に挟持される。こうして、移動部材1とベース板金3は、光軸方向に一定の距離を保った状態で、引っ張りコイルバネ8によって付勢されて保持される。転動ボール7の転がりにより、光軸Oaと直交する平面内での任意の方向への移動部材1の移動を滑らか行うことが可能になる。
移動部材1の長穴部1a〜1cにはベアリング11の外径部11aが挿通され、これにより3つのベアリング11はそれぞれ、長穴部1a〜1cと係合する。前述したように、3つの引っ張りコイルバネ20をそれぞれ、一方の端部20aがスライド部材10の突出部10fに取り付けられると共に他方の端部20bが移動部材1の突出部1j,1k,1mにそれぞれ取り付けられた状態とする。これにより、ベアリング11は、外径部11aの側面が移動部材1の長穴部1a〜1cの側面部1a−1〜1c−1にそれぞれ当接して付勢された状態で保持される。
図7は、駆動装置31の正面図である。つまり、図7は、図2の状態から移動部材1、転動板5、転動ボール7、引っ張りコイルバネ8を組み付けて駆動装置31が構成された状態を、光軸方向の不図示の被写体側から見た図である。なお、撮像素子ユニット30は駆動装置31の移動部材1にネジ等で固定される。その際、撮像素子ユニット30と移動部材1の間には、駆動装置31で発生する磁気の撮像素子123への侵入を防止するために、磁気シールドシート9が配置される。
図7に示されるように、駆動装置31は、スライド部材10に取り付けられた3つのベアリング11が移動部材1の長穴部1a〜1cの側面部1a−1〜1c−1に当接する構造となっている。つまり、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1(磁気シールドシート9及び転動板5を含む)は、3つのベアリング11により支持されている。そして、3つのベアリング11は、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1の重心を中心として等分に略120°間隔で配置されている。また、長穴部1a〜1cは、その略長方形の長辺が図7において駆動装置31の重心からベアリング11の中心を結んだ線と略平行となるように設けられている。
撮像装置が正姿勢(光軸Oaが水平方向と平行、且つ、重力方向で光学ファインダ160が撮像素子ユニット30の上側にある状態)で撮像装置の正面側から見た際に、撮像素子123の形状は、左右方向に長く、上下方向に短い略長方形となっている。ここで、ベアリング11の中心の3点を結ぶ略正三角形のレイアウトを考えた場合、上下方向の長さが最も短くなって小型化が可能になるのは、正三角形の性質上、1つのベアリング11が真上か又は真下に配置される構成となる。このことから、駆動装置31では、1つのベアリング11を撮像素子123の上辺側に配置し、残り2つのベアリング11を撮像素子123の下辺側に下辺からの距離を同じくして配置している。こうして、撮像素子123の上下方向の小型化を図っている。
像振れ補正装置は、撮像素子ユニット30の光軸後方に駆動部が配置された構造となっている。ここで、モータユニット2aとスライドユニット2bの配置関係を考えた場合、スライドユニット2bはモータユニット2aよりも光軸Oaと直交する方向において外側に(光軸Oaから離れるように)に配置されることが望ましい。これは、3つのベアリング11が光軸Oaと直交する方向に遠ざかるほど、モータ22(ネジ部23)の回転角度に対する回転(Roll)方向の移動量の敏感度が下がり、より精度の良い回転(Roll)駆動が実現できるからである。
また、モータユニット2aは、スライドユニット2bよりも光軸Oaに近い位置に(光軸方向から見てスライドユニット2bよりも内側に位置するように)配置される。これにより、モータ22と撮像素子ユニット30の側面までの距離が長くなるため、撮像素子123の側面へ到達するモータ22からの磁束が低減する。よって、撮像素子123で生成、出力される画像信号へのノイズの侵入が低減され、撮影画像の画質低下を抑制することができる。
なお、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1の重心は、光軸Oaの近傍にあることが望ましい。本実施形態での像振れ補正装置では、上記の通り、3つのベアリング11の中心を結ぶ線で形成される三角形の領域内に光軸Oaと、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1の重心が配置されている。これにより、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1の質量を3つのベアリング11で分散して支持することができるため、効率よく駆動することが可能となる。
3つの転動ボール7は、3つのベアリング11を結ぶ線で形成される三角形に対して3つの転動ボール7を結ぶ線で形成される三角形が略逆姿勢となる(互いの三角形が底辺を略平行にして頂点が略逆向きとなる)よう配置することが、スペース効率上望ましい。つまり、本実施形態の場合、撮像素子123の上辺側に2つの転動ボール7を上辺から等距離に配置し、残り1つの転動ボール7を撮像素子123の下辺側に配置することが望ましい。これは、三角形の性質上、底辺を除く2辺の外側に空いたスペースを確保することができるためである。
次に、ベアリング11と移動部材1の位置関係について説明する。像振れ補正装置では、3つの駆動ユニット2のそれぞれのモータ22に通電を行って3つのベアリング11の位置を変化させることにより、移動部材1を任意の位置へ移動させることができる。
図8は、3つのベアリング11の位置を変化させることにより、移動部材1を移動させた3つの態様を説明する模式図である。図8(a)〜(c)において、破線で示す長穴部1a〜1c及びベアリング11の位置は、駆動部の非駆動時の位置を表しており、その際の3つのベアリング11の中心を結んで形成される三角形の重心位置Cgは、光軸Oaの位置と重なっている。また、図8(a)〜(c)において、実線で示す長穴部1a〜1c及びベアリング11の位置は、駆動部を所定の条件で駆動した後の位置を表している。図8(a)〜(c)では、便宜上、3つのベアリング11をそれぞれ、ベアリングA,B,Cと称呼する。
図8(a)は、移動部材1(撮像素子ユニット30)を図の右方向(水平(Yaw)方向)へ移動させる前後の状態を示している。移動部材1を図の右方向に距離Mだけ移動させる場合、ベアリングAをm(=M)、ベアリングBをm(=−M・sinθ)、ベアリングCをm(=−M・sinθ)だけそれぞれ移動させればよい。
図8(b)は、移動部材1(撮像素子ユニット30)を図の上方向((Pitch)方向)へ移動させる前後の状態を示している。移動部材1を図の上方向に距離Mだけ移動させる場合、ベアリングAは移動させず、ベアリングBをm(=M・cosθ)、ベアリングCをm(=−M・cosθ)だけそれぞれ移動させればよい。
図8(c)は、移動部材1(撮像素子ユニット30)を回転((Roll)方向)へ移動させる前後の状態を示している。移動部材1を図の時計まわり方向にM°だけ移動させる場合、ベアリングAをm(≒2π・L・M/360)、ベアリングBをm(≒2π・L・M/360)、ベアリングCをmC(≒2π・L・M/360)だけ移動させればよい。
なお、長さ“L”は、駆動部の非駆動時における重心位置CgからベアリングA(又はB又はC)までの距離である。また、図8(a)〜(c)のそれぞれの逆方向である左方向、下方向、反時計まわり方向への移動部材1(撮像素子ユニット30)の移動は、同様に行うことができ、そのため、ここでの説明を省略する。
次に、撮像素子ユニット30が固定された移動部材1を3つのベアリング11で支持した際にそれぞれのベアリング11に掛かる荷重(駆動に要する力)について説明する。
図9は、3つのベアリング11にかかる荷重を説明する模式図である。3つのベアリング11を、図8と同様に、ベアリングA,B,Cとする。図9は、移動部材1が角度θだけ時計まわり方向へ回転した状態(像振れ補正装置が光軸Oaを中心に角度θだけ回転した状態)を示している。ベアリングA〜Cに一定の力Gが重力方向へ働いている場合の各駆動軸(ネジ部23)方向の分力は、以下の通りである。
即ち、駆動軸方向の分力は、ベアリングAではG・cos(90°−θ)、ベアリングBではG・cos(30°−θ)、ベアリングCではG・cos(30°+θ)となる。移動部材1を駆動する際には、3つの駆動ユニット2のそれぞれに少なくともこのような力、つまり、駆動力が必要になる。
図10は、撮像素子ユニット30と移動部材1の質量を100%として、ベアリングのA〜Cの駆動に要する力(駆動軸方向の分力)の割合を0<θ<180°の範囲で求めた結果を表すグラフである。角度θは、像振れ補正装置全体が光軸Oaを中心に回転した際の角度である。ベアリングA〜Cには、θの値に応じて、最小で0%、最大で50%の駆動力があればよいことがわかる。つまり、3つのベアリングA〜Cで支持する構造とすることで、撮像素子ユニット30と移動部材1の質量が分散されることで、駆動装置31を小型化することができ、ひいては像振れ補正装置全体の光軸方向厚みを薄くすることが可能となる。
なお、図10に示した駆動軸方向の分力(駆動力)は、撮像素子ユニット30と移動部材1の質量を支えるために必要な力であるが、実際の振れ補正のための駆動時には、諸々の周波数で駆動する際の加速力が更に付加される。しかし、この加速力は撮像素子ユニット30と移動部材1の質量を支えるために必要な力に比べると非常に小さいため、上記説明ではこの加速力を考慮していない。
次に、スライド部材10と軸部材17との関係について述べる。図11(a)は、スライドユニット2bの断面図であり、スライド部材10が引っ張りコイルバネ20によって図11の右方向に引っ張られ、ベアリング11が移動部材1の長穴部の側面部1a−1に当接している状態を示している。なお、軸部材18を不図示としている。図11(b)は、スライドユニット2b内に発生する力を説明する模式図である。
図11(a)に示す状態でスライド部材10の穴部10b,10cと軸部材17に着目すると、図11(b)に示すように、引っ張りコイルバネ20のバネ力によってスライド部材10は力F2を受けている。また、引っ張りコイルバネ20のバネ力によって、ベアリング11は側面部1a−1に付勢されて当接しているため、スライド部材10に取り付けられているベアリング11が移動部材1から力F1を受けている。このとき、力F1と力F2は同一直線上にないため、スライド部材10にモーメントが発生する。その結果、図11(b)に示すように、軸部材17に対してスライド部材10が若干斜めになり、穴部10b,10cと軸部材17とがガタ寄せされた状態で保持される。つまり、ベアリング11と側面部1a−1の当接位置と、引っ張りコイルバネ20の端部20aの取付位置と、をずらすことで、ベアリング11と長穴部1aの間のがたつきと、軸部材17と穴部10b,10cの間のがたつきを同時に抑制することができる。更に、ベアリング11をボールベアリング等で構成した場合には、内輪と外輪に生じるがたつきを抑制することができる。
本実施形態に係る駆動ユニット2では、ベアリング11と側面部1a−1の当接位置と軸部材17,18の間に引っ張りコイルバネ20の端部20aの取り付け位置を設けている。これにより、引っ張りコイルバネ20のスペースを、別途、光軸方向(図11(b)の上下方向)へ設けなくてもよいため、スライドユニット2bの光軸方向長さ(図11(b)での高さ)を低くして小型化を図ることができる。
上記説明の通り、本実施形態に係る像振れ補正装置によれば、簡単な構成で部品間のがたつきを抑制することができ、これにより、モータ22を駆動してネジ部23を回転させた際に、その回転角度に応じて正確にベアリング11を移動させることができる。こうして、高い精度で振れ補正を行うことが可能になる。
次に、像振れ補正装置の電気的構成について説明する。図12は、駆動装置31の電気的構成を示すブロック図である。カメラ本体部100内に設けられたヨー方向、ピッチ方向、ロール方向それぞれのジャイロセンサ311〜313の出力は、撮像素子123の各方向の目標位置算出部321〜323に入力され、撮像素子123の目標位置が算出される。
算出された目標位置は制御部331に入力され、制御部331よりモータ351〜353(3つのモータ22に対応する)への駆動指令信号に変換され、モータドライバ341へ出力される。モータドライバ341は、時々刻々と変化する撮像素子123の目標位置に従って、モータ351〜353へ駆動信号を入力する。これにより、モータ351〜353が駆動することで、振れ補正機構部371(スライドユニット2b及び移動部材1に対応する)が所定位置へ移動することで、撮像素子ユニット30を所定位置へ移動させる。その際、磁気感応素子361〜363(磁気感応素子26に対応する)により常にモータ351〜353の駆動状態(ネジ部23の回転角度)を検出し、撮像素子123を目標位置へ移動させるフィードバック制御が行われる。
なお、像振れ補正装置(撮像装置)が図1に示した正姿勢か、又は、正姿勢から光軸を中心に90°回転させた縦姿勢かで、3つのベアリング11それぞれに必要な駆動力が変わってくる。そこで、振れ補正機構部371に、正姿勢か縦姿勢かを検出する姿勢検出部381を設け、姿勢検出結果の信号が制御部331に入力されて、振れ補正機構部371の姿勢に応じた駆動指令がモータドライバ341に入力される構成とすることも望ましい。姿勢検出部381は、振れ補正機構部371でなく、カメラ本体部100の内部に設けてもよく、この場合、撮像装置の動作を制御する制御装置からの制御信号が制御部331へ入力され、姿勢に応じた駆動指令がモータドライバ341に入力される。
次に、像振れ補正装置での消費電力の低減方法について説明する。先に図10を参照して、3つのベアリング11に必要な駆動力について説明し、駆動ユニット2の小型化や光軸方向厚みの低減に効果を奏する旨を説明したが、これらに限らず、駆動ユニット2の構成は、以下に説明するように消費電力削減の効果をも奏する。
図13に示すように、0<θ<180°の範囲を12分割(領域[1]〜[12])する。このとき、領域[1]での駆動力は、ベアリングAは0〜15%、ベアリングBは50%、ベアリングCは35〜50%となっている。このことから、ベアリングAの駆動力は非常に小さくてもよい。つまり、ベアリングAを駆動するモータ22への入力(駆動電圧や駆動電流)を小さくすることができる。一方、ベアリングBとベアリングCをそれぞれ駆動するモータ22には通常の駆動力が必要となる。
領域[2]では、ベアリングAは15〜25%、ベアリングBは50%、ベアリングCは25〜35%となっている。このことから、ベアリングA,Cをそれぞれ駆動するモータ22は、駆動力はやや弱くてもよいために入力をやや小さくすることができる。領域[3]では、ベアリングAは25〜35%、ベアリングBは50%、ベアリングCは15〜25%となっている。このことから、ベアリングA,Cをそれぞれ駆動するモータ22は、駆動力はやや弱くてもよいために入力をやや小さくすることができる。
図13は、図10中の領域[1]〜[12]について必要な駆動力を纏めた図である。丸印は通常の駆動力が必要であり、1つの逆三角印は通常よりやや弱い駆動力が必要であり、2つの逆三角形印は通常より非常に弱い駆動力で済むことを表している。通常より非常に弱い駆動力で済む場合とは、モータ22への入力が非常に小さくても構わないということであり、消費電力を大きく低減させることが可能なことを表している。また、通常よりやや弱い駆動力が必要な場合も、モータ22への入力はやや小さくても構わないということであり、消費電力を低減させることが可能なことを表している。
よって、図12に示したように姿勢検出部381を設けて像振れ補正装置(撮像装置)の姿勢(θ)を検出するように構成すれば、検出姿勢に応じてベアリングA〜Cをそれぞれ駆動するモータ22への入力を選択的に調節して消費電力を低減させることができる。なお、ベアリングA〜Cを重力に従って(ベアリングAでは駆動軸の+方向、ベアリングBでは駆動軸の−方向、ベアリングCでは駆動軸の+方向(図9参照))駆動する場合、重力によって駆動力が補助される。よって、この場合にはモータ22への入力を更に減らして、消費電力を更に低減させることができる。具体的には、重力方向と駆動方向とのなす角が、0°以上90°未満であれば、モータ22への入力低減によって消費電力を低減させることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、駆動装置31は、移動部材1に撮像素子ユニット30を固定した撮像装置での像振れ補正装置に限らず、ステージを目標位置に移動させる移動装置(所謂XYθステージ)にも適用が可能である。
1 移動部材
2 駆動ユニット
2a モータユニット
2b スライドユニット
3 ベース板金
7 転動ボール
11 ベアリング
22 モータ
30 撮像素子ユニット
31 駆動装置
50 交換レンズ
100 カメラ本体部
123 撮像素子

Claims (9)

  1. 3つの駆動部と、
    前記3つの駆動部をそれぞれ駆動することで直進移動する3つの連結部材と、
    前記3つの連結部材と係合し、前記3つの連結部材の移動によって平面内の任意の方向に移動する移動部材と、を備え、
    前記平面と直交する方向から見た場合に、前記3つの連結部材を結ぶ線により形成される三角形の領域内に前記移動部材の重心が位置し、且つ、前記3つの駆動部はそれぞれが駆動する連結部材よりも内側に配置されていることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記3つの駆動部を保持する保持部材と、
    前記保持部材と前記移動部材との間に挟持される3つの転動部と、を備え、
    前記平面と直交する方向から見た場合に、前記3つの連結部材を結ぶ線により形成される三角形と前記3つの転動部を結ぶ線で形成される三角形とは頂点が略逆向きとなることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記3つの連結部材と前記3つの駆動部は前記移動部材の背面側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 移動部材の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
    前記姿勢検出手段による検出結果と前記3つの連結部材のそれぞれの駆動方向に基づいて、前記3つの駆動部のうち1つ又は2つの駆動部への入力を選択的に小さくする制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
  5. 前記制御手段は、前記姿勢検出手段によって検出された重力方向に対して前記連結部材の駆動方向が所定の角度をなす場合に、その連結部材を駆動する駆動部への入力を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
  6. 前記所定の角度は、0°以上90°未満であることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置と、
    前記移動部材に保持される撮像素子を備え、
    前記3つの駆動部の駆動により、前記撮像素子と前記移動部材は前記撮像素子の撮像面と平行な平面内の任意の方向に移動することを特徴とする振れ補正装置。
  8. 請求項7に記載の振れ補正装置を備える撮像装置であって、
    前記撮像装置の振れを検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された前記撮像装置の振れを補正するように前記3つの駆動部を駆動する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
  9. 被写体からの入射光を前記撮像素子に結像させる交換レンズを着脱するためのマウント部を有することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
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