JP2021165571A - 駆動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、異音の発生を抑制した駆動力伝達装置提供することにある。
図1は、実施形態1の駆動力伝達装置を示す全体概略図である。
以下、図1に基づき実施形態1の駆動力伝達装置の全体構成を説明する。
実施形態1の駆動力伝達装置は、エンジンEngと、モータ&クラッチユニットM/Cと、変速機ユニットT/Mと、エンジン出力軸1と、クラッチハブ軸2と、クラッチハブ3と、クラッチドラム軸4と、変速機入力軸5と、クラッチドラム6と、多板乾式クラッチ7と、スレーブシリンダー8と、モータ/ジェネレータ(モータ)9と、を備えている。
なお、多板乾式クラッチ7の締結・開放を油圧制御するスレーブシリンダー8は、一般に「CSC(Concentric Slave Cylinderの略)」と呼ばれる。
そして、多板乾式クラッチ7をスレーブシリンダー8により油圧締結したとき、エンジンEngとモータ/ジェネレータ9を、エンジン出力軸1とクラッチハブ軸2を、ダンパー21を介して連結する。
そして、クラッチハブ3とクラッチドラム6が締結された多板乾式クラッチ7を介して連結し、「ハイブリッド車走行モード」とする。
多板乾式クラッチ7は、エンジンEngに連結接続され、エンジンEngからの駆動力伝達を断接する。
スレーブシリンダー8は、多板乾式クラッチ7の締結・開放を油圧制御する。
モータ/ジェネレータ9は、多板乾式クラッチ7のクラッチドラム6の外周位置に配置され、変速機入力軸5との間で動力の伝達をする。
このモータ&クラッチユニットM/Cには、スレーブシリンダー8への第1クラッチ圧油路85を有するシリンダハウジング(ハウジング部材)81が、O−リング10によりシール性を保ちながら設けられている。
そして、ロータ92にエアギャップ93を介して配置され、シリンダハウジング81に固定されたステータ94と、ステータ94に巻き付けられたステータコイル95と、を有する。
なお、シリンダハウジング81には、冷却水を流通させるウォータジャケット96が形成されている。
Vベルト式無段変速機機構42は、変速機ハウジング41に内蔵され、2つのプーリ間にVベルトを掛け渡し、ベルト接触径を変化させることにより無段階の変速比を得る。
オイルポンプO/Pは、必要部位への油圧を作る油圧源であり、オイルポンプ圧を元圧とし、プーリ室への変速油圧やクラッチ・ブレーキ油圧、等を調圧する図外のコントロールバルブからの油圧を必要部位へ導く。
この変速機ユニットT/Mには、さらに前後進切換機構43と、オイルタンク44と、エンドプレート45と、が設けられている。エンドプレート45は、第2クラッチ圧油路47(図2参照)を有する。
チェーン駆動機構は、変速機入力軸5の回転軸線P周りの回転駆動に伴って回転する駆動側スプロケット51と、ポンプ軸57を回転駆動させる被動側スプロケット52と、両スプロケット51、52に掛け渡されたチェーン53と、を有する。
駆動側スプロケット51は、変速機入力軸5とエンドプレート45との間に介装され、変速機ハウジング41に固定されたステータシャフト54に対し、ブッシュ55を介して回転軸線P周りに回転可能に支持されている。
そして、変速機入力軸5にスプライン嵌合すると共に、駆動側スプロケット51に対して爪嵌合する第1アダプタ56を介し、変速機入力軸5からの回転駆動トルクを伝達する。
以下、図2〜図4に基づき、モータ&クラッチユニットM/Cの多板乾式クラッチ7とスレーブシリンダー8の構成を説明する。
クラッチハブ3は、エンジンEngのエンジン出力軸1に連結される(図1参照)。
クラッチハブ3には、図2に示すように、多板乾式クラッチ7の両面に摩擦フェーシング73を貼り付けた4枚のドライブプレート71がスプライン結合により保持される。
クラッチドラム6には、図2に示すように、多板乾式クラッチ7の4組のドリブンプレート72と1枚のリテーナプレート74がスプライン結合により保持される。
なお、各ドリブンプレート72は、同じ材料からなる第1ドリブンプレート72aと、第1ドリブンプレート72aより回転軸線P方向において厚みの薄い第2ドリブンプレート72bとから構成されている。
また、リテーナプレート74の図示右側のクラッチドラム6には、内周面に溝6aが形成され、4組のドリブンプレート72と1枚のリテーナプレート74の抜け止めとしてのCリング75が、溝6aに嵌合している。
つまり、多板乾式クラッチ7を締結することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でトルク伝達可能とし、多板乾式クラッチ7を開放することで、クラッチハブ3とクラッチドラム6の間でのトルク伝達を遮断する。
このスレーブシリンダー8は、図2に示すように、シリンダハウジング81のシリンダー孔80に摺動可能に設けたピストン82と、シリンダハウジング81に形成し、変速機ユニットT/Mにより作り出したクラッチ圧を導く第1クラッチ圧油路85と、第1クラッチ圧油路85に連通するシリンダー油室86と、を有する。
ピストン82と多板乾式クラッチ7との間には、図2に示すように、ニードルベアリング87と、ピストンアーム83と、リターンスプリング84と、アーム固定プレート88と、が介装されている。
リターンスプリング84は、ピストンアーム83とクラッチドラム6の間に介装されている。
ニードルベアリング87は、ピストン82とピストンアーム83との間に介装され、ピストン82がピストンアーム83の回転に伴って連れ回るのを抑えている。
アーム固定プレート88は、蛇腹弾性シール部材89、89と一体に設けられ、蛇腹弾性シール部材89、89の外周部がクラッチドラム6に圧入固定されている。
アーム固定プレート88と蛇腹弾性シール部材89、89により、ピストンアーム83側からのリーク油が多板乾式クラッチ7へ流れ込むのを遮断する。
つまり、クラッチドラム6のピストンアーム取り付け位置に密封固定されたアーム固定プレート88および蛇腹弾性シール部材89により、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間と、多板乾式クラッチ7を配置したドライ空間を分ける仕切り機能を持たせている。
すなわち、ピストン82の摺動部からのリーク油を、第1シール部材31により密封された第1回収油路33および第2回収油路34を経過し、変速機ユニットT/Mに戻す回路である。
これに加えて、ピストンアーム83の摺動部からのリーク油を、仕切りシール構造(アーム固定プレート88、蛇腹弾性シール部材89、89)により密封されたリーク油路32と、第1シール部材31により密封された第1回収油路33および第2回収油路34を経過し、変速機ユニットT/Mに戻す回路である。
ベアリング潤滑油路は、変速機ユニットT/Mからのベアリング潤滑油を、ニードルベアリング20と、シリンダハウジング81に対しクラッチドラム6を回転可能に支持する第1ベアリング12と、ピストン82とピストンアーム83との間に介装されたニードルベアリング87と、を通過し、変速機ユニットT/Mへ戻す経路によりベアリング潤滑を行う。
第2シール部材14により、スレーブシリンダー8を配置したウェット空間から、多板乾式クラッチ7を配置したドライ空間へとベアリング潤滑油が流れ込むのをシールしている。
実施形態1のクラッチ断接動作系は、図2に示すように、多板乾式クラッチ7と、ピストン82と、ピストンアーム83と、リターンスプリング84と、蛇腹弾性シール部材89、89と、アーム固定プレート88と、を備えている。
多板乾式クラッチ7は、図2に示すように、駆動力伝達系のクラッチハブ3とクラッチドラム6との間に設けられ、クラッチ開放とクラッチ締結により駆動力を断接する。
ピストンアーム83は、アルミ合金素材により製造される。なお、ドライ室は、シール部材62により、クラッチ室64とモータ室65に画成される。
蛇腹弾性シール部材89、89は、素材がゴム系素材であり、多板乾式クラッチ7の開放時、クラッチ開放側に戻す弾性復元力をアーム固定プレート88に与えるS字蛇腹断面形状を有する。
そして、蛇腹弾性シール部材89、89のアーム固定プレート88に対する固定位置は、図2に示すように、アーム先端よりもシリンダハウジング81側にオフセットさせた位置としている。
つまり、アーム突条83bのクラッチ室64への突出量の中程位置を、蛇腹弾性シール部材89、89の固定位置とし、蛇腹弾性シール部材89、89が、クラッチドラム6の側壁面とアーム先端との間の軸方向領域に収まる設定としている。
この構成により、蛇腹弾性シール部材89、89を、S字蛇腹断面形状としても、乾式多板クラッチ7の締結/開放動作時、乾式多板クラッチ7に蛇腹弾性シール部材89、89が干渉しないようにすることができる。
このアーム固定プレート88は、素材として鋼板に比べて熱伝導率が低い金属素材(例えば、ステンレス材)が用いられる。
次に、作用を説明する。
以下、図2を用いてスレーブシリンダー8により多板乾式クラッチ7を締結・開放するクラッチ締結/開放作用を説明する。
これにより、油圧と受圧面積を掛け合わせた油圧力がピストン82に作用し、ピストンアーム83とクラッチドラム6の間に介装されたリターンスプリング84による付勢力に抗して、ピストン82を図2の右方向にストロークさせる。
そして、油圧力と付勢力の差による締結力は、ピストン82→ニードルベアリング87→ピストンアーム83→アーム固定プレート88へと伝達され、リテーナプレート74にドライブプレート71とドリブンプレート72を押し付け、多板乾式クラッチ7が締結される。
これによりアーム固定プレート88へ伝達されていた締結力が解除され、多板乾式クラッチ7が開放される。
縦軸は、振動伝達率τであり、横軸は、振動周波数比(f/fo)である。
すなわち、(√2*fo1)以上の周波数では、第1ドリブンプレート72aの振動伝達特性での防振領域となる。
また、質量が第1ドリブンプレート72aより小さな第2ドリブンプレート72bの単独の振動伝達特性は、破線で示すように、第1ドリブンプレート72aの固有(共振)周波数fo1より高い固有(共振)周波数fo2にて振動伝達率τがピークとなり、周波数(√2*fo2)で振動伝達率τが0となり、(√2*fo2)以上の周波数では、振動伝達率τが負となる。
なお、第2ドリブンプレート72bの固有(共振)周波数fo2は、第1ドリブンプレート72aの固有(共振)周波数fo1の1.4倍以上となるように設定している。
このため、多板乾式クラッチ7が締結中に分割された回転軸線P方向の厚みの異なる2枚の第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの固有振動で、第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72b間で、動的に微小なスリップによる摩擦力が発生し、減衰効果を発揮することができるとともに、第2ドリブンプレート72bの固有(共振)周波数fo2にて振動伝達率τのピークは、第1ドリブンプレート72aの振動伝達特性での防振領域内に存在することになり、第2ドリブンプレート72bの固有(共振)周波数fo2にて振動伝達率τのピークは、防振されることにより、単独の振動特性の振動伝達率τのピークの約半分以下に減衰される。
また、第2ドリブンプレート72bの固有(共振)周波数fo2は、第1ドリブンプレート72aの固有(共振)周波数fo1の1.4倍以上となるように設定しているので、両ドリブンプレート72a、72bの影響し合うエネルギが半分となり、両ドリブンプレート72a、72bの固有(共振)周波数が連成増幅しなくなるので、より、自励振動による異音の発生を抑制することができる。
さらに、回転軸線P方向において、厚みが厚い第1ドリブンプレート72aを、厚みが薄い第2ドリブンプレート72bよりも、ピストンアーム83側に配置しているので、多板乾式クラッチ7が締結中に押し付けるピストンアーム83の4個のアーム突条83bの形状にならって、第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの摩擦締結面の当たりが不均一になることを防止することができるので、鳴きのきっかけとなる摩擦面不均一による局部的なμ−V特性を防止して、鳴きを抑制することができる。
実施形態1の駆動力伝達装置にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
よって、多板乾式クラッチ7が締結中に分割された回転軸線P方向の厚みの異なる2枚の第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの固有振動で、第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72b間で、動的に微小なスリップによる摩擦力が発生し、減衰効果を発揮することができる。
よって、両ドリブンプレート72a、72bの影響し合うエネルギが半分となり、両ドリブンプレート72a、72bの固有(共振)周波数が連成増幅しなくなるので、より、自励振動による異音の発生を抑制することができる。
よって、板乾式クラッチ7が締結中に押し付けるピストンアーム83の4個のアーム突条83bの形状にならって、第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの摩擦締結面の当たりが不均一になることを防止することができるので、鳴きのきっかけとなる摩擦面不均一による局部的なμ−V特性を防止して、鳴きを抑制することができる。
図6は、実施形態2の駆動力伝達装置におけるモータ&クラッチユニットの多板乾式クラッチの構成を示す要部断面図である。
この点を除き、実施形態1と同じ構成であるため、同じ構成には同一符号を付して、説明は省略する。
よって、部品点数の増加を抑制するとともに、効果的に鳴きを防止することができる。
以上、本発明を実施するための形態を実施形態に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態に示した構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態1では、複数のドリブンプレート72すべてを第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの2枚に分割し、実施形態2では、中央部付近に位置する2枚のドリブンプレート72のみを第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの2枚に分割しているが、少なくとも1枚のドリブンプレート72を第1ドリブンプレート72aと第2ドリブンプレート72bの2枚に分割すればよい。
6 クラッチドラム
64 クラッチ室
7 多板乾式クラッチ
71 ドライブプレート
72 ドリブンプレート
72a 第1ドリブンプレート
72b 第2ドリブンプレート
81 シリンダハウジング(ハウジング部材)
82 ピストン
83 ピストンアーム
83a アームボディ
83b アーム突条(アーム先端部)
84 リターンスプリング
9 モータ/ジェネレータ(モータ)
Eng エンジン
P 回転軸線
Claims (5)
- 交互に配置される、駆動力伝達系のクラッチハブにスプライン結合する複数のドライブプレートとクラッチドラムにスプライン結合する複数のドリブンプレートとを備え、クラッチ開放とクラッチ締結により駆動力を断接する多板乾式クラッチと、
ハウジング部材に摺動可能に設けられ、前記多板乾式クラッチの締結時、油圧力にてクラッチ締結方向にストロークするピストンと、
前記クラッチドラムの側壁に形成した貫通孔に摺動可能に設けられ、前記乾式クラッチを収めたクラッチ室に突出するアーム先端部が、前記ピストンのストローク動作に追従してストロークし、前記複数のドライブプレートと複数のドリブンプレートとを押圧するピストンアームと、
前記クラッチドラムの側壁と前記ピストンの間に介装され、前記多板乾式クラッチの開放時、前記ピストンアームに対しクラッチ開放方向の付勢力を与えるリターンスプリングと、
を備え、
前記複数のドリブンプレートのうち少なくとも1つのドリブンプレートを、第1ドリブンプレートと第2ドリブンプレートの2枚に分割し、前記第1ドリブンプレートと第2ドリブンプレートの回転軸線方向の厚さを異ならせた、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1に記載の駆動力伝達装置において、
前記第1ドリブンプレートは、前記第2ドリブンプレートより回転軸線方向の厚さが厚く、
前記第2ドリブンプレートの固有周波数を、前記第1ドリブンプレートの固有周波数の1.4倍以上とする、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1に記載の駆動力伝達装置において、
前記複数のドリブンプレートのうち、回転軸線方向において中央部付近に位置するドリブンプレートのみ、第1ドリブンプレートと第2ドリブンプレートの2枚に分割し、前記第1ドリブンプレートと第2ドリブンプレートの回転軸線方向の厚さを異ならせた、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1から3までのいずれか1項に記載の駆動力伝達装置において、
前記第1ドリブンプレートは、前記第2ドリブンプレートより回転軸線方向の厚さが厚く、
前記第1ドリブンプレートを、前記ピストン側に配置した、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。 - 請求項1から4までのいずれか1項に記載された駆動力伝達装置において、
前記多板乾式クラッチは、ハイブリッド駆動系のエンジンとモータの間に介装された多板乾式クラッチであり、
前記多板乾式クラッチは、クラッチ締結による走行モードのとき、前記エンジンと前記モータを動力源とし、クラッチ開放による走行モードのとき、前記モータを動力源とする、
ことを特徴とする駆動力伝達装置。
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