以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
図1は、薬剤供給装置1の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の薬剤供給装置1は、装置の外形を成す筐体2を備えている。筐体2は、上部筐体3と、下部筐体4とを有している。上部筐体3は、下部筐体4に対し上方に配置されている。下部筐体4は、上部筐体3に対し下方に配置されている。
筐体2の最上部には、天井部5が設けられている。天井部5は、平面視矩形状の形状を有している。平面視した上部筐体3の四隅には、左前柱部11、右前柱部12、図1には図示しない左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14の上端は、それぞれ天井部5に連結されている。天井部5は、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13および右後柱部14によって、支持されている。
上部筐体3の内部には、略円筒状の外形を有するドラム20が配置されている。ドラム20の詳細構成については後述する。なお、上部筐体3には、実際には四方の側面を覆うカバーが設けられているが、図1および後述する図では、ドラム20をより明確に図示する目的で、カバーは図示を省略されている。上部筐体3の前側のカバーは、開閉可能に構成されている。
下部筐体4の前面には、開閉扉6,7が設けられている。開閉扉6,7は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置1を使用する作業者は、開閉扉6,7を開けて、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を、下部筐体4の内部から取り出すことができる。開閉扉6,7には、開口が設けられてもよく、この開口から、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を取り出すことができるようにしてもよい。
図2は、弧状分割体30の構成を示す斜視図である。図2に示す弧状分割体30は、図1に示す略円筒状のドラム20を、周方向に分割したものである。弧状分割体30の概略の外形は、中空円筒を周方向に等分割した形状である。複数の弧状分割体30が組み立てられて、図1に示すドラム20が形成されている。図1に示すドラム20は、弧状分割体30が組み合わされて構成された、中空筒状体である。
図2に示す弧状分割体30は、複数の薬剤収容部31と、薬剤収容部31と同数の支持体32とを有している。薬剤収容部31は、中空の容器である。薬剤収容部31は、開閉可能な蓋部を有している。薬剤収容部31の内部空間には、薬剤が収容されている。薬剤は、蓋部を開放することにより、薬剤収容部31に収容される。本実施の形態の薬剤収容部31に収容されている薬剤の剤形は、錠剤である。本実施の形態の薬剤供給装置1は、一種類または複数種類の錠剤を分包して供給するための装置である。
各々の支持体32は、板状に形成されている。支持体32は、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤収容部31は、上下の支持体32間に、着脱自在に取り付けられている。各々の薬剤収容部31は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
弧状分割体30の上端部分には、円環板を周方向に分割した形状の天井部34が設けられている。弧状分割体30の下端部分には、薄肉円筒を周方向に分割した形状の外装板35が設けられている。外装板35の一部が切り欠かれて、穴部36が形成されている。穴部36は、薬剤供給装置1を使用する作業者が手指を挿し入れ可能なように、形成されている。
図3は、図2とは異なる角度から見た弧状分割体30の斜視図である。図3に示すように、弧状分割体30は、内周面39を有している。内周面39は、中空円筒を周方向に分割した弧状分割体30の外表面のうち、当該中空円筒の中心線に向く表面である。内周面39は、円筒面を周方向に分割した形状を有している。内周面39は、円筒面の一部の形状を有している。内周面39は、部分円筒面状である。
図3および他の図中に示す軸方向Zは、内周面39を形成する部分円筒面の軸方向を示している。図3および他の図中に示す径方向Rは、内周面39を形成する部分円筒面の径方向を示している。図3および他の図中に示す周方向θは、内周面39を形成する部分円筒面の周方向を示している。
弧状分割体30には、径方向Rに延びる複数の径方向通路37が形成されている。各々の径方向通路37内には、軸方向Zに対して傾斜する傾斜面38が設けられている。傾斜面38は、径方向通路37内の底面を構成している。各々の径方向通路37は、弧状分割体30の内周面39に開口している。また径方向通路37は、図1に示す薬剤収容部31の内部空間に繋がっている。径方向通路37は、薬剤収容部31の各々と、内周面39とを連通している。
図3に示すように、径方向通路37は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。図2に示すように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤収容部31および径方向通路37は、軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されている。薬剤収容部31は、弧状分割体30の外周面に面して配置されている。薬剤収容部31は、径方向Rに移動可能に設けられている。支持体32は、径方向Rに延びている。
弧状分割体30は、第1の側面40と、第2の側面43とを有している。第1の側面40と第2の側面43とは、平面状の形状を有している。第1の側面40と第2の側面43とは、弧状分割体30の下端から上端に亘って軸方向Zに延びており、かつ、弧状分割体30の内周面39から外周面に亘って径方向Rに延びている。
弧状分割体30の第1の側面40には、上方軸支持部41が固定されている。上方軸支持部41には、2箇所の貫通穴部が形成されている。これら2つの貫通穴部は、軸方向Zに離れて形成されている。2つの貫通穴部は、円形に形成されており、平面視において中心を共通している。上方軸支持部41は、図示しない上方回動軸部を受けて、上方回動軸部に対して相対回転可能に設けられている。この上方回動軸部は、ドラム20の躯体に取り付けられている。
弧状分割体30の第1の側面40にはまた、下方回動軸部42が取り付けられている。第1の側面40には、下方軸支持部が固定されており、下方軸支持部には上方軸支持部41と同様の2つの貫通穴部が形成されている。下方回動軸部42は、下方軸支持部に形成された貫通孔部を貫通している。下方回動軸部42は、第1の側面40の下端部よりも下方に延びている。下方回動軸部42は、ドラム20の躯体に係合している。
図3中に一点鎖線で示す回転軸Aは、軸方向Zに延びる仮想的な直線である。回転軸Aは、上方軸支持部41に形成された2つの貫通穴部の中心を通り、下方回動軸部42の軸線を通っている。回転軸Aは、後述する弧状分割体30の回転の中心となる。弧状分割体30は、回転軸Aを中心として回動可能である。
図4は、薬剤供給装置1の部分断面図である。図4に示す部分断面図は、図1に示す薬剤供給装置1を、水平方向に延びドラム20を通る平面に沿って切断した下側の切断面を示している。図4に示すように、上部筐体3を平面視した四隅には、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。
ドラム20は、4つの弧状分割体30を有している。図2,3に示す弧状分割体30が、内周面39を円筒状に沿わせて4つ並んで配置されることにより、図4に示す略円筒形状のドラム20が形成されている。弧状分割体30は、略円筒形状のドラム20を、周方向に4分割したものである。各々の弧状分割体30は、周方向θに4列並べられた複数の薬剤収容部31を有している。
図4に示す中心線Oは、図4に示すように並べて配置された弧状分割体30の、部分円筒面状の内周面39の中心線を示している。中心線Oはまた、略円筒形状のドラム20の中心線を示している。中心線Oは、図4の紙面垂直方向に延びている。図3,4に示す回転軸Aは、中心線Oから離れる位置に設けられ、中心線Oと平行に延びている。回転軸Aは、ドラム20の外周縁の近傍に設けられている。回転軸Aは、図4の紙面垂直方向に延びている。図2,3に示す軸方向Zは、図4の紙面垂直方向に相当する。
薬剤収容部31に対しドラム20の中心線O近くに、上述した径方向通路37が形成されている。
複数の弧状分割体30は、中心線Oを中心として周方向に並べられ、中空円筒状の形状を形成している。複数の弧状分割体30は、図4中に両矢印で示す回動方向DR1のように、中心線Oを中心として一体的に回動可能である。複数の弧状分割体30は、上部筐体3に対して相対回転可能に設けられており、薬剤供給装置1の前面に各々の弧状分割体30を順次移動できるように、構成されている。なお、図4中の下側が薬剤供給装置1の前面に相当する。
弧状分割体30に対し中心線O近くに、ドラム20の躯体の一部を構成する支柱50が配置されている。支柱50は、中心線Oに沿って、図4の紙面垂直方向に延びている。支柱50は、中空に形成されている。支柱50の内部には、中空空間53が形成されている。支柱50の、中空空間53に面する内周面には、4本の構造柱54が設けられている。構造柱54は、図4の紙面垂直方向に延びる中実円柱状の形状を有している。
支柱50の外周面には、図4の紙面垂直方向に延びる複数の溝形状が形成されている。この溝形状は、軸方向Zに延びる軸方向通路51を構成している。軸方向通路51は、弧状分割体30に対して径方向Rの内方に形成されている。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51に面している。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39は、軸方向通路51の外周側の壁面を構成している。
図4に示すように、本実施の形態では、支柱50の外周面には、周方向に8箇所の軸方向通路51が形成されている。1つの弧状分割体30に対し、2つの軸方向通路51が形成されている。2つの薬剤収容部31に対し、1つの軸方向通路51が形成されている。2つの径方向通路37に対し、1つの軸方向通路51が形成されている。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。薬剤収容部31と軸方向通路51とは、径方向通路37を介して、互いに連通している。
各々の下方回動軸部42に対し中心線O近くに、補強ステー49が配置されている。本実施の形態では、ドラム20は4つの弧状分割体30を有し、4つの下方回動軸部42を有しているため、補強ステー49も4箇所に設けられている。補強ステー49は、図4の紙面垂直方向に延びている。補強ステー49は、上部筐体3の下端部近傍から上端部近傍まで、上下方向に延在している。ドラム20は、円環平板状の底板60と、底板60と同形状の図示しない天井板とを有している。補強ステー49の下端は、底板60に固定されている。補強ステー49の上端は、天井板に固定されている。
図5は、薬剤が通過する経路の構成を示す部分断面図である。上述したように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられて配置されており、上下の支持体32間に挟まれて配置されている。径方向通路37は、薬剤収容部31に連通している。径方向通路37は、傾斜面38を有している。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51に面しており、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。図5に示すように、内周面39に対向する対向面52が、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39と対向面52とは、軸方向Zに沿って延びており、略平行に形成されている。
径方向通路37と軸方向通路51とは、薬剤収容部31から排出される薬剤が通過する経路を構成している。図6は、径方向通路37および軸方向通路51を通過する薬剤Mを示す部分断面図である。図6に示すように、薬剤収容部31から排出された薬剤Mは、径方向通路37、軸方向通路51を順に経由して落下し、供給される。
径方向通路37を通過する薬剤Mは、径方向通路37の底面を構成する傾斜面38に沿って、移動する。径方向通路37を通過する薬剤Mは、傾斜面38上を滑り落ちる、または傾斜面38に沿って転がり落ちるように、移動する。
径方向通路37から軸方向通路51へ移動した薬剤Mは、径方向通路37内を落下した勢いによって、内周面39から対向面52へ向かう速度成分を有している。図6に示すように、いくつかの薬剤Mは、対向面52にまで到達する。対向面52にまで到達した薬剤Mは、対向面52と衝突して跳ね返り、対向面52から離れ内周面39に近づくように移動しながら、軸方向通路51内を落下する。
図7は、弧状分割体30を回転させた状態を示す斜視図である。図8は、弧状分割体30を回転させた状態を示す部分断面図である。図7,8に示すように、弧状分割体30は、軸方向Zに延びる回転軸Aを中心として、回動可能である。弧状分割体30は、図8中に両矢印で示す回動方向DR2のように、回転軸Aを中心として回動可能である。図2を参照して説明した通り、弧状分割体30は、周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31を有している。周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31が、回転軸Aを中心として、一体的に回動可能である。
図7,8において、弧状分割体30は、ドラム20の略円筒形状の径方向外側へ向けて、回動している。弧状分割体30の内周面39は、弧状分割体30の回動に伴って、回転軸Aを中心として移動する。内周面39は、軸方向通路51の壁面を構成している。図8に示す、弧状分割体30を回転軸Aを中心に時計回り方向に移動させた状態で、内周面39が移動した結果、軸方向通路51の壁面の一部が移動している。図7,8に示す、弧状分割体30を回転軸Aを中心に中心線Oから離れる方向へ回動させた状態で、軸方向通路51が露出している。この状態で、薬剤供給装置1を使用する作業者は、対向面52などの軸方向通路51の壁面、および弧状分割体30の内周面39に、容易にアクセス可能となる。
図9は、弧状分割体30のロック装置の構成を示す部分断面図である。図8および図9に示すように、ドラム20の底板60には、受け部材71が固定されている。受け部材71の先端部分には、係合部72が形成されている。
ドラム20の外装板35の、穴部36が形成された位置の上方に、フック部材75が取り付けられている。フック部材75は、図9に示すように、固定部76と、回転軸部77と、操作部78と、爪部79とを有している。固定部76は、外装板35に固定されている。回転軸部77は、固定部76に取り付けられている。操作部78は、薬剤供給装置1を使用する作業者が穴部36から手指を挿し入れることにより、指先を掛けられるように構成されている。爪部79は、受け部材71の係合部72に係合可能に構成されている。操作部78と爪部79とは、回転軸部77を回転中心として、一体として回転可能に設けられている。
図9中の左右方向(径方向R)に見て、フック部材75の爪部79と受け部材71の係合部72とは、互いに重畳する位置に配置されている。図9に示す配置において、爪部79の先端部分は、係合部72よりも外装板35から離れる位置に、配置されている。フック部材75の爪部79と、受け部材71の係合部72とが係合した図9に示す状態で、弧状分割体30は、回転軸A回りに回転できなくなっている。フック部材75と受け部材71とは、ドラム20の躯体に対して弧状分割体30を移動不能にロックする、ロック装置を構成している。
図10は、ロック装置による弧状分割体30のロックを解除した状態を示す部分断面図である。図9と図10とを比較して、図10では、操作部78と爪部79とは、回転軸部77を回転中心として、図中の時計回り方向に回転している。この操作部78と爪部79との回転は、作業者が穴部36から手指を挿し入れて操作部78を手前に引くことによって、実現される。
図10中の左右方向(径方向R)に見て、フック部材75の爪部79と受け部材71の係合部72とは、互いに重畳しない位置に配置されている。図9と比較して、爪部79が回転軸部77回りに回転移動したことにより、フック部材75の爪部79と、受け部材71の係合部72との係合が外れ、弧状分割体30のロックが解除されている。この状態で、作業者が弧状分割体30を手前に引き寄せることにより、弧状分割体30は、回転軸A回りに回転移動する。
図11は、可動密閉部材80の構成を示す部分断面図である。図11には、ドラム20の最下部が図示されており、円環板形状の底板60の内周側部分の一部が図中左側に図示されている。
軸方向通路51の下方には、ホッパ90が配置されている。ホッパ90は、軸方向通路51内を落下してきた薬剤Mを受けて、ホッパ90の下方に設けられた図示しない分包装置に薬剤Mを供給する。ホッパ90は、略円錐状の形状を有しており、中空に形成されている。ホッパ90の内部には、薬剤Mを下方の分包装置に案内する案内通路91が形成されている。案内通路91は、軸方向通路51に連通している。
ホッパ90の外周縁には、上述した軸方向Zに延在するリム部92が設けられている。リム部92は、軸方向通路51の延びる方向と同じ方向に、延在している。リム部92は、弧状分割体30のうち、径方向通路37の形成された部分の下方に、弧状分割体30とは間隔を空けて配置されている。
軸方向Zにおける、弧状分割体30とホッパ90との間に、可動密閉部材80が配置されている。可動密閉部材80は、傾斜面81と、頂平面83と、内周壁面89とを有している。
傾斜面81は、図11に示す最も下側の支持体32と底板60との間に形成される空間に向いている。図11に示す可動密閉部材80の配置では、傾斜面81は、円環板形状の底板60の内周面に対向している。頂平面83は、弧状分割体30の下面に接触している。内周壁面89は、薬剤Mが通過する通路に面している。内周壁面89は、薬剤Mが通過する通路のうち、軸方向通路51と案内通路91との境界部分に面している。内周壁面89は、弧状分割体30の内周面39に連なり、内周面39と略同じ面上を延びている。
可動密閉部材80には、溝部82が形成されている。溝部82は、ホッパ90のリム部92に対して上方に形成されており、リム部92の延在方向と同じ方向に延びている。溝部82は、リム部92の一部をその内部に収容可能である。図11に示す配置では、リム部92の上端部分が、溝部82の内部に配置されている。
可動密閉部材80は、図11中に示す両矢印方向に、往復移動可能に設けられている。図示しない付勢部材は、可動密閉部材80を上方に付勢している。可動密閉部材80は、付勢部材によって、図11中に示す両矢印の延びる方向であってホッパ90から離れる方向に、付勢されている。
図7,8に示す、弧状分割体30が回動して軸方向通路51を露出させた状態では、弧状分割体30は可動密閉部材80と接触しない位置に配置されている。このとき、上述した付勢部材の付勢力によって、可動密閉部材80は、図11に示す位置よりも上方に位置している。図7,8に示す位置から弧状分割体30が回転軸A回りに反時計回り方向に移動して、弧状分割体30が支柱50に近づくと、弧状分割体30の内周面39が、可動密閉部材80の傾斜面81に当接する。
弧状分割体30が傾斜面81に当接した状態でさらに回転すると、弧状分割体30は傾斜面81に対して摺動する。このとき、付勢部材の付勢力に逆らって、弧状分割体30から下向きの力が可動密閉部材80に作用する。これにより可動密閉部材80は、下方に移動する。弧状分割体30がさらに回転すると、弧状分割体30は、可動密閉部材80の頂平面83と接触し、頂平面83に対して摺動する。
弧状分割体30が完全に閉じられると、弧状分割体30は図11に示される位置に配置される。頂平面83は、弧状分割体30の下面に接触している。可動密閉部材80が弧状分割体30と底板60との間に配置され、弧状分割体30と底板60との間に隙間が形成されない構造となる。可動密閉部材80が弧状分割体30とホッパ90との間に配置され、弧状分割体30とホッパ90との間に隙間が形成されない構造となる。これにより、軸方向通路51とホッパ90内の案内通路91とが連続的につながり、薬剤Mが通過する通路の壁面に隙間または開口が形成されない構造が実現されている。
本実施の形態の薬剤供給装置1の構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
本実施の形態の薬剤供給装置1は、図1に示すように、ドラム20を備えている。ドラム20は、図4に示すように、複数の弧状分割体30を有している。各々の弧状分割体30は、図2に示すように、薬剤Mを収容する薬剤収容部31を複数有している。図3に示すように、弧状分割体30は、内周面39を有している。内周面39は、部分円筒面状の形状を有している。図4に示すように、内周面39を円筒状に沿わせて複数の弧状分割体30が並んで配置された状態で、薬剤収容部31は、内周面39の部分円筒面の軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されている。
図4,6に示すように、薬剤供給装置1には、薬剤収容部31から排出される薬剤Mが通過する軸方向通路51が形成されている。軸方向通路51は、軸方向Zに延びている。軸方向通路51は、弧状分割体30に対して、内周面39の部分円筒面の径方向Rの内方に形成されている。図7,8に示すように、弧状分割体30は、回転軸Aを中心として回動可能である。回転軸Aは、内周面39の部分円筒面の中心線Oから離れた位置にあり、中心線Oに平行に延びている。弧状分割体30を、回転軸Aを中心に中心線Oから離れる方向に回動させた状態で、軸方向通路51が露出している。
軸方向通路51内を移動する薬剤Mが、図5,6に示す対向面52などの軸方向通路51の壁面に接触すると、薬剤Mの表面に削れまたは欠けが発生し、薬剤Mの粉塵が軸方向通路51の壁面に付着する。そのため、軸方向通路51の壁面を定期的に清掃する必要がある。本実施の形態によれば、弧状分割体30を回転軸Aを中心に回動させることにより軸方向通路51を露出させることができるので、薬剤Mが通過する軸方向通路51を容易に清掃することができる。
略円筒形状のドラム20を周方向に分割した弧状分割体30が、ドラム20の中心線Oと平行な回転軸Aを中心に回動可能に設けられているので、回転軸A回りに弧状分割体30が回動する角度を増大できる。これにより、弧状分割体30の内周面39と、軸方向通路51の対向面52とを、大きく露出させることができる。回転軸Aの近傍にも十分な作業スペースが確保されるので、薬剤供給装置1を使用する作業者は、内周面39と対向面52との全体に、容易にアクセスできる。したがって、内周面39と対向面52との両方を、容易に清掃することができる。
特開平9−201399号公報(特許文献1)に記載の装置では、薬剤案内通路を開くためには上側の支点を中心にフィーダ列を持ち上げる必要があるため、作業者の負担は大きかった。これに対し、本実施の形態の薬剤供給装置1では、上下方向に延びる回転軸A回りに弧状分割体30を回転させるので、作業者は、負担少なく軸方向通路51を容易に露出させることができる。
また図8に示すように、周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31が、回転軸Aを中心として一体的に回動可能である。このようにすれば、周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31に対応する弧状分割体30の内周面39と、周方向θに並ぶ複数列の薬剤収容部31に対応する軸方向通路51とを、一回の弧状分割体30の回動によって、一度に露出させることができる。清掃が必要な軸方向通路51の壁面をまとめて露出させることができるので、清掃に係る作業者の手間を軽減することができ、清掃に要する時間を短縮することができる。
また図5,6に示すように、弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51の壁面を構成している。このようにすれば、弧状分割体30を回動することによって、弧状分割体30の内周面39と軸方向通路51の壁面とを、確実に露出することができる。
また図4に示すように、複数の弧状分割体30は、中心線Oを中心として、一体的に回動可能である。このようにすれば、ドラム20を中心線O回りに回転させて、複数の弧状分割体30を順に薬剤供給装置1の前面側に移動させることができる。前面側に配置された弧状分割体30を回転軸Aを中心として回動することで、軸方向通路51を露出させ、軸方向通路51の壁面を容易に清掃することができる。
なお、これまでの説明においては、略円筒状のドラム20が4分割された4つの弧状分割体30を備え、各々の弧状分割体30が周方向θに並ぶ4列の薬剤収容部31を有する例について説明した。薬剤収容部31は、周方向θに並ぶ各々の列毎に回動可能としてもよいが、ドラム20を周方向に分割する分割数を多くし過ぎると、清掃の手間が増えるので清掃時間が増加し、また隣の弧状分割体30との干渉が発生して弧状分割体30を回動できなくなる場合がある。一方、ドラム20を周方向に分割する分割数が少なすぎると、上部筐体3の四隅の柱との干渉が発生して弧状分割体30の回動角度が制限されてしまう。そのため、上記の実施の形態で説明したドラム20を90°ずつ4分割する例、または、ドラム20を72°ずつ5分割する例が、より好ましい。
また、図4に示すように、中心線Oを中心とする円筒形状のドラム20の径方向において、弧状分割体30が一列設けられている例について説明した。この例に限られず、ドラム20の径方向に、複数列の弧状分割体30が設けられてもよい。
また、図4,8に示す平面視において、回転軸Aが、弧状分割体30に対してドラム20の周方向の時計回り方向に設けられている例について説明した。回転軸Aは、弧状分割体30に対してドラム20の周方向の反時計回り方向に設けられてもよい。この場合、回転軸Aを中心として弧状分割体30を反時計回り方向に回動させることによって、軸方向通路51を露出させることが可能である。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。