以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、薬剤供給装置1の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態の薬剤供給装置1は、装置の外形を成す筐体2を備えている。筐体2は、上部筐体3と、下部筐体4とを有している。上部筐体3は、下部筐体4に対し上方に配置されている。下部筐体4は、上部筐体3に対し下方に配置されている。
筐体2の最上部には、天井部5が設けられている。天井部5は、平面視矩形状の形状を有している。平面視した上部筐体3の四隅には、左前柱部11、右前柱部12、図1には図示しない左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14の上端は、それぞれ天井部5に連結されている。天井部5は、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13および右後柱部14によって、支持されている。
上部筐体3の内部には、略円筒状の外形を有するドラム20が配置されている。ドラム20の詳細構成については後述する。なお、上部筐体3には、実際には四方の側面を覆うカバーが設けられているが、図1および後述する図では、ドラム20をより明確に図示する目的で、カバーは図示を省略されている。上部筐体3の前側のカバーは、開閉可能に構成されている。
下部筐体4の前面には、開閉扉6,7が設けられている。開閉扉6,7は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置1を使用する作業者は、開閉扉6,7を開けて、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を、下部筐体4の内部から取り出すことができる。開閉扉6,7には、開口が設けられてもよく、この開口から、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を取り出すことができるようにしてもよい。
図2は、弧状分割体30の構成を示す斜視図である。図2に示す弧状分割体30は、図1に示す略円筒状のドラム20を、周方向に分割したものである。弧状分割体30の概略の外形は、中空円筒を周方向に等分割した形状である。複数の弧状分割体30が組み立てられて、図1に示すドラム20が形成されている。図1に示すドラム20は、弧状分割体30が組み合わされて構成された、中空筒状体である。
図2に示す弧状分割体30は、複数の薬剤容器31と、薬剤容器31と同数の容器支持部32とを有している。薬剤容器31は、中空の容器である。薬剤容器31は、開閉可能な蓋部を有している。薬剤容器31の内部空間には、薬剤が収容されている。薬剤は、蓋部を開放することにより、薬剤容器31に収容される。本実施の形態の薬剤容器31に収容されている薬剤の剤形は、錠剤である。本実施の形態の薬剤供給装置1は、一種類または複数種類の錠剤を分包して供給するための装置である。
各々の容器支持部32は、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤容器31は、上下の容器支持部32間に取り付けられている。容器支持部32は、薬剤容器31を着脱自在に支持している。各々の薬剤容器31は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
弧状分割体30の上端部分には、円環板を周方向に分割した形状の天井部34が設けられている。弧状分割体30の下端部分には、薄肉円筒を周方向に分割した形状の外装板35が設けられている。外装板35の一部が切り欠かれて、穴部36が形成されている。穴部36は、薬剤供給装置1を使用する作業者が手指を挿し入れ可能なように、形成されている。
図3は、図2とは異なる角度から見た弧状分割体30の斜視図である。図3に示すように、弧状分割体30は、内周面39を有している。内周面39は、中空円筒を周方向に分割した弧状分割体30の外表面のうち、当該中空円筒の中心線に向く表面である。内周面39は、円筒面を周方向に分割した形状を有している。内周面39は、円筒面の一部の形状を有している。内周面39は、部分円筒面状である。
図3および他の図中に示す軸方向Zは、内周面39を形成する部分円筒面の軸方向を示している。図3および他の図中に示す径方向Rは、内周面39を形成する部分円筒面の径方向を示している。図3および他の図中に示す周方向θは、内周面39を形成する部分円筒面の周方向を示している。
弧状分割体30には、径方向Rに延びる複数の径方向通路37が形成されている。各々の径方向通路37内には、軸方向Zに対して傾斜する傾斜面38が設けられている。傾斜面38は、径方向通路37内の底面を構成している。各々の径方向通路37は、弧状分割体30の内周面39に開口している。また径方向通路37は、図1に示す薬剤容器31の内部空間に繋がっている。径方向通路37は、薬剤容器31の各々と、内周面39とを連通している。
図3に示すように、径方向通路37は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。図2に示すように、薬剤容器31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤容器31および径方向通路37は、軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されている。弧状分割体30は、軸方向Zに並んで配置された薬剤容器31を、複数列備えている。複数列の薬剤容器31が、周方向θに並んでいる。薬剤容器31は、弧状分割体30の外周面に面して配置されている。薬剤容器31は、径方向Rに移動可能に設けられている。容器支持部32は、径方向Rに延びる部分を有している。
弧状分割体30は、第1の側面40と、第2の側面43とを有している。第1の側面40と第2の側面43とは、平面状の形状を有している。第1の側面40と第2の側面43とは、弧状分割体30の下端から上端に亘って軸方向Zに延びており、かつ、弧状分割体30の内周面39から外周面に亘って径方向Rに延びている。
弧状分割体30の第1の側面40には、上方軸支持部41が固定されている。上方軸支持部41には、2箇所の貫通穴部が形成されている。これら2つの貫通穴部は、軸方向Zに離れて形成されている。2つの貫通穴部は、円形に形成されており、平面視において中心を共通している。上方軸支持部41は、図示しない上方回動軸部を受けて、上方回動軸部に対して相対回転可能に設けられている。この上方回動軸部は、ドラム20の躯体に取り付けられている。
弧状分割体30の第1の側面40にはまた、下方回動軸部42が取り付けられている。第1の側面40には、下方軸支持部が固定されており、下方軸支持部には上方軸支持部41と同様の2つの貫通穴部が形成されている。下方回動軸部42は、下方軸支持部に形成された貫通孔部を貫通している。下方回動軸部42は、第1の側面40の下端部よりも下方に延びている。下方回動軸部42は、ドラム20の躯体に係合している。
図3中に一点鎖線で示す回転軸Aは、軸方向Zに延びる仮想的な直線である。回転軸Aは、上方軸支持部41に形成された2つの貫通穴部の中心を通り、下方回動軸部42の軸線を通っている。回転軸Aは、弧状分割体30の回転の中心となる。弧状分割体30は、回転軸Aを中心として回動可能である。
図4は、薬剤供給装置1の部分断面図である。図4に示す部分断面図は、図1に示す薬剤供給装置1を、水平方向に延びドラム20を通る平面に沿って切断した下側の切断面を示している。図4に示すように、上部筐体3を平面視した四隅には、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。
ドラム20は、4つの弧状分割体30を有している。図2,3に示す弧状分割体30が、内周面39を円筒状に沿わせて4つ並んで配置されることにより、図4に示す略円筒形状のドラム20が形成されている。弧状分割体30は、略円筒形状のドラム20を、周方向に4分割したものである。各々の弧状分割体30は、周方向θに4列並べられた複数の薬剤容器31を有している。
図4に示す中心線Oは、図4に示すように並べて配置された弧状分割体30の、部分円筒面状の内周面39の中心線を示している。中心線Oはまた、略円筒形状のドラム20の中心線を示している。中心線Oは、図4の紙面垂直方向に延びている。図3,4に示す回転軸Aは、中心線Oから離れる位置に設けられ、中心線Oと平行に延びている。回転軸Aは、ドラム20の外周縁の近傍に設けられている。回転軸Aは、図4の紙面垂直方向に延びている。図2,3に示す軸方向Zは、図4の紙面垂直方向に相当する。
薬剤容器31に対しドラム20の中心線O近くに、上述した径方向通路37が形成されている。径方向通路37は、各々の弧状分割体30の内周部分55に形成されている。内周部分55の径方向内側の表面が、上述した内周面39である。
複数の弧状分割体30は、中心線Oを中心として周方向に並べられ、中空円筒状の形状を形成している。複数の弧状分割体30は、図4中に両矢印で示す回動方向DR1のように、中心線Oを中心として一体的に回動可能である。複数の弧状分割体30は、上部筐体3に対して相対回転可能に設けられており、薬剤供給装置1の前面に各々の弧状分割体30を順次移動できるように、構成されている。なお、図4中の下側が薬剤供給装置1の前面に相当する。
弧状分割体30に対し中心線O近くに、ドラム20の躯体の一部を構成する支柱50が配置されている。支柱50は、中心線Oに沿って、図4の紙面垂直方向に延びている。支柱50は、中空に形成されている。支柱50の内部には、中空空間53が形成されている。支柱50の、中空空間53に面する内周面には、4本の構造柱54が設けられている。構造柱54は、図4の紙面垂直方向に延びる中実円柱状の形状を有している。
支柱50の外周面には、図4の紙面垂直方向に延びる複数の溝形状が形成されている。この溝形状は、軸方向Zに延びる軸方向通路51を構成している。複数の溝形状が、複数の軸方向通路51を形成している。複数の軸方向通路51は、互いに平行に延びている。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51に面している。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39は、軸方向通路51の外周側の壁面を構成している。
軸方向通路51は、弧状分割体30に対して径方向Rの内方に形成されている。薬剤容器31は薬剤供給装置1の前面に面して配置されており、軸方向通路51は、薬剤容器31に対して、薬剤供給装置1の奥側に形成されている。
図4に示すように、本実施の形態では、支柱50の外周面には、周方向に8箇所の軸方向通路51が形成されている。8箇所の軸方向通路51は、周方向θに並んでいる。1つの弧状分割体30に対し、2つの軸方向通路51が形成されている。周方向θに並ぶ2列の薬剤容器31に対して、1つの軸方向通路51が形成されている。2つの径方向通路37に対し、1つの軸方向通路51が形成されている。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。薬剤容器31と軸方向通路51とは、径方向通路37を介して、互いに連通している。
各々の下方回動軸部42に対し中心線O近くに、補強ステー49が配置されている。本実施の形態では、ドラム20は4つの弧状分割体30を有し、4つの下方回動軸部42を有しているため、補強ステー49も4箇所に設けられている。補強ステー49は、図4の紙面垂直方向に延びている。補強ステー49は、上部筐体3の下端部近傍から上端部近傍まで、上下方向に延在している。ドラム20は、円環平板状の底板21と、底板21と同形状の図示しない天井板とを有している。補強ステー49の下端は、底板21に固定されている。補強ステー49の上端は、天井板に固定されている。
図5は、薬剤容器31および容器支持部32の分解斜視図である。図5において薬剤容器31は、矩形箱状に模式的に図示されている。薬剤容器31は、薬剤容器31内への薬剤の補充、および他種の薬剤が充填された薬剤容器との交換などを行なうために、容器支持部32から取り外されることがある。
図5に示すように、容器支持部32は、薬剤容器31が搭載される支持面32Sを有している。薬剤容器31が容器支持部32に装着された状態で、薬剤容器31は、支持面32S上に搭載されて支持される。
支持面32S上に、一対のレール32Lが設けられている。図4に示す、弧状分割体30が周方向θに並んで円筒状のドラム20を形成している配置において、レール32Lは径方向Rに延在している。薬剤容器31の下面に、レール32Lと係合する係合部が形成されている。薬剤容器31は、レール32Lに沿って径方向Rに移動して、容器支持部32に装着され、また容器支持部32から取り外される。
薬剤容器31と容器支持部32との間には、ロック機構が設けられている。ロック機構は、薬剤容器31を、容器支持部32に装着された状態でロックする。薬剤容器31には、ロック機構によるロックを解除するための操作部が設けられている。ロック機構および操作部は、図示を省略されている。薬剤容器31が容器支持部32に装着されると、ロック機構によって薬剤容器31が容器支持部32にロックされる。操作部が操作されると、ロック機構によるロックが解除され、これによって薬剤容器31を容器支持部32から取り外すことが可能となる。
容器支持部32は、背壁32Wを有している。背壁32Wは、支持面32Sに対して略垂直に延在している。背壁32Wは、図4に示す弧状分割体30の内周部分55と隣り合って配置される。
容器支持部32には、薬剤通路32Pが形成されている。薬剤通路32Pは、容器支持部32に装着された薬剤容器31から排出される薬剤が通過するための通路である。本実施の形態では、薬剤通路32Pが、径方向通路37の全体を構成している。薬剤通路32Pは、径方向通路37の一部を構成していてもよい。詳しくは、薬剤通路32Pは、径方向通路37のうち、軸方向通路51に連なる端部とは反対の端部を含む一部を構成していてもよい。薬剤通路32Pには、入口開口32aが形成されている。入口開口32aは、支持面32Sに形成されている。容器支持部32への薬剤容器31の着脱方向、またはレール32Lの延びる方向において、薬剤通路32Pは、背壁32Wを跨いで延びている。
容器支持部32は、開閉部材60を有している。開閉部材60は、平面視において矩形の平板形状を有している。開閉部材60は、たとえば樹脂成型品である。開閉部材60は、不透明材料により形成されている。開閉部材60は、薬剤通路32Pの入口開口32aを開放する位置である開放位置と、薬剤通路32Pの入口開口32aを閉鎖する閉鎖位置とに、移動可能である。開閉部材60は、被押圧部60pを有している。被押圧部60pは、後述するように薬剤容器31と当接して、薬剤容器31から力を受ける、開閉部材60の一部の外表面である。
図6は、薬剤容器31の容器支持部32への装着の状況を示す第1の部分断面図である。図6中には、薬剤供給装置1が備える複数の薬剤容器31および複数の容器支持部32のうちの一部のみが図示されている。複数の容器支持部32は、軸方向Zに並べられて配置されている。
径方向通路37は、傾斜面38を有している。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。弧状分割体30の内周部分55の内周面39は、軸方向通路51に面しており、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。図6に示すように、内周面39に対向する対向面52が、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39と対向面52とは、軸方向Zに沿って延びており、略平行に形成されている。
弧状分割体30の内周部分55には、中空の収容部56が形成されている。薬剤容器31が容器支持部32に装着されている状態で、収容部56内に、開閉部材60と付勢部61とが収容されている。図6中に示す3つの開閉部材60のうち、図中の上側および下側に示されている2つの開閉部材60は、その大部分が収容部56内に配置されている。図6中に示す3つの開閉部材60のうち、中央部に示されている1つの開閉部材60は、収容部56外に配置されている。
径方向Rにおいて、容器支持部32の背壁32Wは、弧状分割体30の内周面39から離れて配置されている。この背壁32Wと内周面39との間のスペースを利用して、収容部56が形成されている。弧状分割体30に収容部56が形成される図示された例に替えて、背壁32Wの一部が内周面39側に突出して開閉部材60を収容可能な収容空間が形成されていてもよい。
薬剤容器31が装着されている容器支持部32の開閉部材60は、収容部56に収容されている。薬剤容器31が装着されていない容器支持部32の開閉部材60は、収容部56に収容されておらず、容器支持部32に装着される薬剤容器31が配置されるべき位置にある。図6に示す収容部56の外部に突出している開閉部材60は、薬剤通路32Pの入口開口32aを覆っている。図6に示す収容部56内に収容されている開閉部材60は、薬剤通路32Pの入口開口32aを開放している。開閉部材60は、薬剤通路32Pを開放する開放位置と、薬剤通路32Pを閉鎖する閉鎖位置とに、移動可能に設けられている。なお図5に示す開閉部材60は、閉鎖位置にある。
図6および後述する図7,8には、図中の上から2番目の容器支持部32に、薬剤容器31を装着するときの状況が示されている。背壁32Wは、弧状分割体30の内周部分55と隣り合って配置されている。図6には、レール32L(図5)に沿って背壁32Wへ向けて移動している途中の薬剤容器31が図示されている。薬剤容器31は、押圧部31pを有している。図6では、薬剤容器31の押圧部31pは、開閉部材60の被押圧部60pから離れた位置にある。そのため図6では、薬剤容器31は、開閉部材60に対して力を作用していない。
図7は、薬剤容器31の容器支持部32への装着の状況を示す第2の部分断面図である。図7に示す薬剤容器31は、図6と比較して、容器支持部32の背壁32Wにより近い位置まで、径方向Rに移動している。薬剤容器31の押圧部31pは、開閉部材60の被押圧部60pに当接している。薬剤容器31は、開閉部材60を、収容部56の内部へ押し込んでいる。開閉部材60は、径方向Rに沿い収容部56の内部へ向かう方向の力を、薬剤容器31から受けている。図7に示す開閉部材60は、容器支持部32の背壁32Wを貫通して配置されており、一部が収容部56内にあり、一部が収容部56外にある。
開閉部材60が収容部56内に押し込まれたため、付勢部61が図中の左右方向に縮んでいる。付勢部61は、開閉部材60に対し、開閉部材60を収容部56の内部から外部へ移動させる方向の力を作用している。付勢部61は、たとえばばねである。付勢部61は、たとえばコイルばねである。
薬剤容器31の押圧部31pと開閉部材60の被押圧部60pとが接触した状態で、開閉部材60が移動している。薬剤通路32Pの入口開口32aは、開閉部材60の一部と、薬剤容器31の一部とによって、覆われている。
図8は、薬剤容器31の容器支持部32への装着の状況を示す第3の部分断面図である。図8に示す薬剤容器31は、図7と比較して、径方向Rにさらに移動して、容器支持部32の背壁32Wに隣り合う位置に配置されている。薬剤容器31は、軸方向Zに並べられて配置されており、上下の容器支持部32間に挟まれて配置されている。図8中に示す開閉部材60はいずれも、その大部分が収容部56内に配置されている。図8中に示す開閉部材60は、薬剤通路32Pを覆わない開放位置に配置されている。
容器支持部32に装着される薬剤容器31が、開閉部材60と当接し、開閉部材60に対して閉鎖位置から開放位置へ向かう方向の力を作用している。容器支持部32に装着される薬剤容器31が、開閉部材60を閉鎖位置から開放位置へ直線的に移動させている。このようにして、薬剤容器31の容器支持部32への装着に伴って、薬剤通路32Pが開放される。
開放位置にある開閉部材60は、軸方向通路51の外部に配置されている。開放位置にある開閉部材60は、薬剤容器31から排出される薬剤の通路に干渉しない位置に配置されている。そのため、開放位置にある開閉部材60によって、薬剤供給装置1を用いた薬剤Mの供給(払い出し)が妨げられることはない。
図8に示す付勢部61は、その長さが最も小さくなった状態であり、付勢部61が開閉部材60に作用する弾性力の大きさが最大になっている。付勢部61は、開閉部材60を確実に移動させることができるように、そのばね定数が規定されている。本実施の形態では、付勢部61は、薬剤容器31の最大静止摩擦力に抗して薬剤容器31を装着の方向とは反対の方向に移動させることができるように、そのばね定数が規定されている。
容器支持部32に対して薬剤容器31が確実には装着されていないとき、付勢部61は、薬剤容器31を、上記反対の方向に移動させることができる。したがって薬剤容器31は、容器支持部32から上記反対の方向に突き出ることになり、これによって作業者は、薬剤容器31の装着不良を容易に判断することができる。
容器支持部32に対して薬剤容器31が確実に装着されると、ロック機構によって薬剤容器31がロックされる。そのため、薬剤容器31は、上記反対の方向に移動することはなく、容器支持部32に対して前記反対の方向に突き出ることはない。
図6,7および8を、この順番で参照することにより、薬剤容器31を容器支持部32に装着するときの薬剤容器31および開閉部材60の動作が示されている。他方、薬剤容器31を容器支持部32から取り外すときの薬剤容器31および開閉部材60の動作は、図8,7および6を、この順番で参照することにより、説明される。
具体的には、図8において、薬剤容器31は容器支持部32に装着されており、開閉部材60は薬剤通路32Pを開放する開放位置にある。この状態から、薬剤容器31を、容器支持部32の背壁32Wから離れる方向に、径方向Rに移動させる。付勢部61は、開閉部材60を、収容部56の内部から外部へ出る方向に、付勢している。薬剤容器31の移動に伴って、付勢部61の作用する弾性力を受けた開閉部材60は、収容部56から押し出される。そのため図7に示すように、開閉部材60は、その一部が収容部56の外部に突き出して薬剤通路32Pの入口開口32aを覆う位置に、移動する。
続いて、薬剤容器31の押圧部31pが開閉部材60の被押圧部60pから離れる図6に示す位置まで、薬剤容器31を更に移動させる。この薬剤容器31の移動に伴って、付勢部61から力を受けた開閉部材60は、図6に示すように、薬剤通路32Pを閉鎖する閉鎖位置に移動する。このようにして、薬剤容器31の容器支持部32からの取り外しに伴って、開閉部材60が開放位置から閉鎖位置へ移動して、薬剤通路32Pが開閉部材60によって閉鎖されることになる。付勢部61は、開閉部材60を、開放位置から閉鎖位置へ向かう方向に付勢している。
図9は、径方向通路37および軸方向通路51を通過する薬剤Mを示す部分断面図である。径方向通路37および軸方向通路51は、薬剤容器31から排出される薬剤Mが通過する経路を構成している。図9に示すように、薬剤容器31から排出された薬剤Mは、薬剤通路32Pの入口開口32aから、薬剤通路32Pにより構成される径方向通路37内に入り、径方向通路37を通過する。その後薬剤は、軸方向通路51を経由して落下し、分包紙またはバイアルに供給される。
径方向通路37を通過する薬剤Mは、径方向通路37の底面を構成する傾斜面38に沿って、移動する。径方向通路37を通過する薬剤Mは、傾斜面38上を滑り落ちる、または傾斜面38に沿って転がり落ちるように、移動する。
径方向通路37から軸方向通路51へ移動した薬剤Mは、径方向通路37内を落下した勢いによって、内周面39から対向面52へ向かう速度成分を有している。図6に示すように、いくつかの薬剤Mは、対向面52にまで到達する。対向面52にまで到達した薬剤Mは、対向面52と衝突して跳ね返り、対向面52から離れ内周面39に近づくように移動しながら、軸方向通路51内を落下する。
薬剤通路32Pにより構成される径方向通路37内に、薬剤通路32Pを通過する薬剤Mを検出する検出部70が配置されている。検出部70は、径方向通路37の壁面、詳しくは薬剤通路32Pの入口開口32aの近傍の壁面に取り付けられている。検出部70は、薬剤容器31から排出された薬剤Mを光学的に検出するセンサである。検出部70は、径方向通路37の傾斜面38と対向する天井面に取り付けられていてもよい。
本実施の形態の薬剤供給装置1の構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
本実施の形態の薬剤供給装置1は、図5〜9に示すように、薬剤容器31を着脱自在に支持する容器支持部32を備えている。容器支持部32には、薬剤容器31から排出される薬剤Mが通過する薬剤通路32Pが形成されている。容器支持部32は、開閉部材60を有している。開閉部材60は、薬剤通路32Pを開放する図8に示す開放位置と、薬剤通路32Pを閉鎖する図6に示す閉鎖位置とに、移動可能である。
容器支持部とは別部材の蓋部材を設けた従来の薬剤供給装置とは異なり、容器支持部32が開閉部材60を有している構成であるため、薬剤通路を開放するために蓋部材を取り外したり、薬剤通路を閉鎖するために蓋部材を取り付けたりする手作業を必要としない。蓋部材を一旦取り外した後に再度取り付けるときに、取り外した蓋部材を探す手間も必要でない。
薬剤容器31を容器支持部32から取り外すときに、開閉部材60を開放位置から閉鎖位置へ移動させることにより、薬剤通路32Pを確実に閉鎖できるので、薬剤通路32Pへの異物の侵入を抑制できる。薬剤容器31を容器支持部32に装着するときに、開閉部材60を閉鎖位置から開放位置へ移動させることにより、薬剤通路32Pを確実に開放できるので、薬剤容器31から排出される薬剤Mの通路を確保できる。薬剤容器31の着脱作業の際に、薬剤通路32Pを容易に開放または閉鎖できるので、着脱作業に係る手間を軽減することができる。
薬剤通路32Pを開放または閉鎖するための構成を簡単な構造で実現できるので、多数の薬剤容器31および容器支持部32を備える薬剤供給装置1の製造コスト増加を抑制できる。多数の薬剤容器31を順に取り外しおよび装着する場合に、薬剤容器31の着脱作業の手間を軽減できるため、好適である。
また図6〜8に示すように、容器支持部32に装着される薬剤容器31が、開閉部材60を閉鎖位置から開放位置へ移動させている。薬剤容器31を容器支持部32に装着する動作のみで薬剤通路32Pが開放されるので、薬剤供給装置1を取り扱う作業者は、開閉部材60を手作業で移動させる必要はない。したがって、薬剤容器31の容器支持部32への装着作業に係る手間を、一層軽減することができる。
また図6,7に示すように、薬剤容器31は押圧部31pを有しており、開閉部材60は被押圧部60pを有している。被押圧部60pは、薬剤容器31が容器支持部32に装着されるとき押圧部31pと当接し、閉鎖位置から開放位置へ向かう方向の力を受ける。このようにすれば、薬剤容器31を容器支持部32に装着する動作に伴って、確実に開閉部材60を移動させて、薬剤通路32Pを開放することができる。
また図6〜8に示すように、薬剤容器31の容器支持部32からの取り外しに伴って、開閉部材60が開放位置から閉鎖位置へ移動している。薬剤容器31を容器支持部32から取り外す動作のみで薬剤通路32Pが閉鎖されるので、薬剤供給装置1を取り扱う作業者は、開閉部材60を手作業で移動させる必要はない。したがって、薬剤容器31の容器支持部32からの取り外し作業に係る手間を、一層軽減することができる。
また図6〜8に示すように、薬剤供給装置1は、開閉部材60を開放位置から閉鎖位置へ向かう方向に付勢する付勢部61をさらに備えている。このようにすれば、薬剤容器31を容器支持部32から取り外す動作に伴って、確実に開閉部材60を移動させて、薬剤通路32Pを閉鎖することができる。
また図6〜8に示すように、薬剤容器31を容器支持部32に対し着脱する方向と、開閉部材60が開放位置と閉鎖位置とを移動する方向とが平行である。このようにすれば、開閉部材60を簡単な構造で実現することができる。また開放位置にある開閉部材60を収容する収容部56の容積が小さくて済むので、装置を小型化することができる。
また図9に示すように、薬剤供給装置1は、薬剤通路32Pを通過する薬剤Mを光学的に検出する検出部70をさらに備えている。開閉部材60は、不透明である。このようにすれば、開閉部材60を閉鎖位置に配置することにより、薬剤通路32P内が開閉部材60によって遮光される。これにより、検出部70の誤作動を抑制でき、検出部70による薬剤Mの検出精度を向上できるので、薬剤容器31から排出される薬剤Mの個数を正確に数えることができる。
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2における薬剤容器31の容器支持部32への装着の状況を示す第1の部分断面図である。図11は、実施の形態2における薬剤容器31の容器支持部32への装着の状況を示す第2の部分断面図である。実施の形態1では、薬剤容器31を容器支持部32に対し着脱する方向が径方向Rであり、開閉部材60が開放位置と閉鎖位置とを移動する方向もまた径方向Rであり、これら二方向が互いに平行である例について説明したが、この例に限られるものではない。
図10,11に示すように、実施の形態2の開閉部材60は、直角三角形状の断面を有している。開閉部材60の被押圧部60pは、容器支持部32の支持面32Sに対して傾斜するとともに背壁32Wに対して傾斜する、斜め方向に延びる平面である。実施の形態2の容器支持部32には、背壁32Wの背後に、開放位置にある開閉部材60を収容可能な収容空間32Rが形成されている。
薬剤容器31は、当接縁31Aを有している。薬剤容器31は、図10中の両矢印に示すように、容器支持部32の支持面32Sに対して直交する方向に移動する。図10に示す薬剤容器31の配置から、支持面32Sに近づく方向に薬剤容器31が移動すると、当接縁31Aが被押圧部60pに当接する。薬剤容器31が支持面32Sに近づく方向にさらに移動すると、当接縁31Aが被押圧部60pに対して相対的に摺動する。このとき開閉部材60は、図10に示す閉鎖位置から図11に示す開放位置へ向かって移動する。図11に示す薬剤容器31が支持面32S上に載置された状態で、開閉部材60の大部分が収容空間32R内に収容され、薬剤通路32Pは開放されている。
薬剤容器31の移動方向は、軸方向Zである。開閉部材60の移動方向は、径方向Rである。薬剤容器31を容器支持部32に対し着脱する方向と開閉部材60が開放位置と閉鎖位置とを移動する方向とは、非平行であってもよい。薬剤容器31を容器支持部32に対し着脱する方向と開閉部材60が開放位置と閉鎖位置とを移動する方向とは、図10,11に示すように互いに直交する方向であってもよい。
開閉部材60が直線的に移動する実施の形態1,2の構成に替えて、開閉部材60が曲線的に移動する構成としてもよく、直線と曲線とを組み合わせた軌跡を開閉部材60が移動する構成としてもよい。開放位置から閉鎖位置へ移動するときに、開閉部材60が変形する構成としてもよい。
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3における薬剤容器31および容器支持部32の分解斜視図である。実施の形態1,2では、薬剤容器31の容器支持部32への装着に伴って開閉部材60が閉鎖位置から開放位置へ移動し、薬剤容器31の容器支持部32からの取り外しに伴って開閉部材60が開放位置から閉鎖位置へ移動する例について説明した。この例に限られず、開閉部材60は、薬剤通路32Pを開放する開放位置と薬剤通路32Pを閉鎖する閉鎖位置とに移動可能であれば、どのような構成でもよい。
図12に示す開閉部材60は、実線で示す背壁32Wに埋め込まれた位置と、二点鎖線で示す支持面32S上に配置された位置とに、移動可能である。開閉部材60は、図12に二点鎖線の両矢印で示すように、容器支持部32の支持面32Sに沿う開閉部材60の一方縁部を中心に、両方向に回動可能である。
開閉部材60の移動は、薬剤供給装置1を取り扱う作業者が、手作業で行なう。開閉部材60には指掛部62が設けられている。作業者は、指掛部62に手指を掛けて背壁32Wから開閉部材60を引き出し、薬剤通路32Pの入口開口32aを覆う閉鎖位置へ移動させる。作業者はまた、閉鎖位置にある開閉部材60を指でつまみあげ、背壁32W内へ開閉部材60を押し込んで、薬剤通路32Pの入口開口32aを開放する開放位置へ移動させる。
実施の形態3においても、薬剤容器31を容器支持部32に対し着脱する方向と開閉部材60が開放位置と閉鎖位置とを移動する方向とは、非平行である。
実施の形態3の薬剤供給装置1によれば、容器支持部32が開閉部材60を有している構成であるため、薬剤通路を開放するために蓋部材を取り外したり、薬剤通路を閉鎖するために蓋部材を取り付けたりする手作業を必要としない。蓋部材を一旦取り外した後に再度取り付けるときに、取り外した蓋部材を探す手間も必要でない。したがって、薬剤容器31の着脱作業に係る手間を軽減することができる。
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の構成を適宜組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。